JP2007177374A - 印刷用塗工紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原紙上に顔料及び接着剤を含有する塗工層を設けてなる印刷用艶消し塗工紙において、顔料として、レーザー法で測定した顔料粒子が体積基準で6.5〜23μmの範囲に20%以上含まれる粒度分布を有し、かつレーザー法及び沈降法でそれぞれ測定した平均粒子径の比(レーザー法/沈降法)が3.0〜10の範囲である無機顔料を含有する艶消し塗工紙。
【選択図】なし
Description
嵩高化と塗工印刷品質の二つの要望は相反するものであり、高品質印刷塗工紙は一般的に原紙坪量及び塗工量が多く、またカレンダー処理による平滑化などにより、同一坪量で比較して密度が高くなっていた。一方で、塗工量を低減することで用紙は嵩高化するが、塗工層による原紙の被覆性が低下するため画線部のガサツキ感、すなわち微小な光沢むらが顕著になる問題があった。
嵩高化のための手法としては、嵩高なパルプおよび嵩高な填料の使用による塗工紙用原紙の嵩高化、および低塗工量による嵩高化等が考えられる。
例えば、低密度で、印刷適性を良好にするために、アスペクト比、つまり顔料の長径/短径の比が比較的高く、板状の構造であるデラミネーテッドクレーを顔料として用いることが報告されている(特許文献1参照)。しかしながら、このような顔料を用いても、印刷適性が不十分であった。
本発明の塗工液には、分散剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤等の通常使用される各種助剤を使用しても良い。本発明においては、保水性を向上させる場合は、アクリル系合成保水剤、ヒドロキシエチルセルロースを用いることが好ましく、会合型のアクリル系合成保水剤を使用するのがより好ましい。会合型アクリル系合成保水剤は、塗工液の保水性を向上させ、かつ塗工液の高ずり粘度を低くする働きがある。そのため、高速塗工に適するとともに、塗工時に塗料が塗工原紙内部に押し込まれず、原紙上の塗工層を嵩高にし、塗工層のクッション性が向上する。尚、アクリル系合成保水剤および/またはヒドロキシエチルセルロースを用いる場合、配合量としては、顔料100重量部に対して0.1〜1.0重量部が好ましい。
本発明の原紙には、通常のパルプ、填料等が配合される。本発明において原紙に配合されるパルプの種類等は特に限定されない。例えば広葉樹クラフトパルプ(以下、LBKPとする)、針葉樹クラフトパルプ(以下、NBKPとする)、サーモメカニカルパルプ、砕木パルプ、古紙パルプ等が使用される。
また、原紙に配合される填料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、水和珪酸、無定型シリケート、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物ホワイトカーボン、酸化チタン、合成樹脂填料等の公知の填料を使用することができる。填料の使用量は、パルプ重量当たり5〜18重量%以上が好ましい。また、本発明においては、より低密度で、印刷適性等に優れた塗工紙を得るために、無定型シリケート、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物を填料として使用することが好ましい。特に、軽質炭酸カルシウム粒子の表面をシリカで被覆した軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物を全量または一部に使用することにより、塗工紙密度は低く、更に十分な剛度を備えた塗工紙を得ることができる。この軽質炭酸カルシウム−シリカ複合粒子は、紙を低密度化する効果に優れ、吸油量が大きく、不透明度を向上させる効果に優れるという特性を有する粒子である。また、カレンダー処理を行った後でも、低密度を維持し高平滑度、低密度といった相反する性質を発揮することができる。また、軽質炭酸カルシウム粒子の表面をシリカで被覆した軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物は、低密度化、剛度、不透明度、印刷適性のバランスをより良好にするために、軽質炭酸カルシウムとシリカとの固形分重量比が、軽質炭酸カルシウム/シリカ=30/70〜70/30であることが好ましい。 本発明においては、該軽質カルシウム−シリカ複合物を含有した低密度の原紙に、特定の粒度分布を有する顔料を含有する塗工液を塗工することにより、塗工液が原紙に浸透しにくくなり、塗工量を減らしても原紙被覆性が良好なため、インキ着肉性、印刷光沢度などの印刷適性等に優れ、白色度も優れ、更なる低密度化をはかることが可能になる。また、他の填料と比べて、特にカレンダー処理した場合に、塗工紙の紙厚低下が少なく低密度が維持される特長がある。このような効果が得られることについては、軽質炭酸カルシウムの周りをシリカによって覆うすることにより、固い顔料を製造することが可能となり、カレンダー処理によって潰れにくくなるためと考えられる。また、炭酸カルシウムの結晶形態はカルサイト、アラゴナイトのいずれでも良く、また形状についても針状、柱状、紡錘状、球状、立方形状、ロゼッタ型のいずれでも良い。この中でも特にロゼッタ型のカルサイト系の軽質炭酸カルシウムを用いた場合に、特に優れた嵩高、不透明度改善効果が高い軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物が得られる。なお、ロゼッタ型とは、紡錘状の軽質炭酸カルシウム一次粒子が毬栗状に凝集した形状あるいは柱状、針状の軽質炭酸カルシウム一次粒子が毬栗状に凝集した形状を指し、他の軽質炭酸カルシウムより高い比表面積と吸油性を示す特徴がある。ロゼッタ型でも特にカルサイト系の紡錘状の軽質炭酸カルシウム一次粒子が毬栗状に凝集した形状がより好ましい。このような軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物を製造法としては、例えば特願2004−27483号の記載に基づいて得ることができる。また、軽質炭酸カルシウム−ケイ酸の複合物の平均粒子径は、その用途が紙用の填料である場合には、30μm以下が好ましく、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは1〜10μmである。
本発明においては、さらに必要に応じて、硫酸バンド、サイズ剤、紙力増強剤、歩留向上剤、着色顔料、染料、消泡剤などを含有してもよい。
本発明のパルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物(以上、結合阻害剤と略称する)は、疎水基と親水基を持つ化合物で、上記試験で引張り強度の低下作用を有するものである。特に、製紙用で紙の嵩高化のために上市された低密度化剤(あるいは嵩高剤)は本発明の結合阻害剤として適しており、例えば、WO98/03730号公報、特開平11−200284号公報、特開平11−350380号公報、特開2003−96694号、特開2003−96695号公報等に示される化合物等が挙げられる。具体的には、高級アルコールのエチレン及び/またはプロピレンオキサイド付加物、多価アルコール型非イオン型界面活性剤、高級脂肪酸のエチレンオキサイド化合物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物のエチレンオキサイド化合物、あるいは脂肪酸ポリアミドアミン、脂肪酸ジアミドアミン、脂肪酸モノアミド、あるいはポリアルキレンポリアミン・脂肪酸・エピクロロヒドリン縮合物などを使用することができ、これらを単独あるいは2種類以上併用することができる。好ましくは多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、脂肪酸ポリアミドアミン、脂肪酸ジアミドアミン、脂肪酸モノアミド、ポリアルキレンポリアミン・脂肪酸・エピクロロヒドリン縮合物の少なくとも1種類以上使用することが望ましい。本発明の艶消し印刷用塗工紙は、嵩高で柔軟な用紙にするためには、パルプの繊維間結合阻害剤をパルプ100重量部に対して0.1〜10重量部配合することが好ましく、特に0.2〜1.0重量部を含有することが好ましい。
塗工原紙に調整された塗工液を塗工する方法としては、ブレードコーター、バーコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、リバースロールコーター、カーテンコーター、サイズプレスコーター、ゲートロールコーター等を用いて、一層もしくは二層以上を原紙上に片面あるいは両面塗工する。塗工量は、所望の特性に応じて決定されるが、本発明の場合は片面当たり3〜15g/m2、更には3〜10g/m2の少ない塗工量で、良好な被覆性と印刷品質を得ることができる。
このようにして得られた印刷用塗工紙は、必要に応じて、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトカレンダー、ホットソフトカレンダー等のカレンダー処理を行ってもよい。本発明においては、カレンダー処理を行わなくても良好な被覆性を得ることができ、インキ着肉性などの良好な印刷適性を有する。従って、低密度、低白紙光沢でも印刷品質の良好な艶消し塗工紙を得ることができる。本発明においては、特に密度が1.00g/cm3以下、好ましくは0.40〜0.90g/cm3でより効果を発揮することができる。
〈評価方法〉
(1)体積分布平均粒径:レーザー回析/散乱式粒度分布測定機(MALVERN Instruments社製、機器名:マスターサイザーS)を用いて粒子の体積粒径分布を測定し、体積累積分布の50%部分の値を平均粒径とした。また、この体積粒径分布より6.5〜23μmの範囲に占める比率を求めた。さらに、沈降式粒度分布測定機(Micrometritics社製Sedigraph5100)を用いて同様に平均粒径を測定し、レーザー式の平均粒径を沈降式の平均粒径で除した値をアスペクト比の指標とした。
(2)白紙光沢度:JIS P 8142に基づいて測定した。
(3)印刷光沢度:ローランドオフセット平判印刷機(4色)を用いて、A3サイズの版を用いて印刷速度8000枚/時間で印刷し、得られた印刷物(4色ベタ印刷部)の表面をJIS P 8142に基づいて測定した。
(4)インキ着肉性:ローランドオフセット平判印刷機(4色)を用いて、A3サイズの版を用いて印刷速度8000枚/時間で印刷し、得られた印刷物(藍単色ベタ印刷部)のインキ着肉性を4段階で目視評価した。
◎:極めて良好、○:良好、△:やや劣る、×:劣る
(5)密度:JIS P 8118に基づいて測定した。
(6)平滑度:JAPAN TAPPI No.5「空気マイクロメーター型試験器による紙及び板紙の平滑度・透気度試験方法」に基づいて測定した。
(7)光沢むら:白紙及び印刷部表面の微小な光沢むらを10人のモニターにより、目視で評価した。
◎:極めて良好、○:良好、△:やや劣る、×:劣る
(8)塗工適性:ブレード塗工時のストラクタイト、ストリーク、スクラッチの発生状況を目視で評価した。
◎:極めて良好、○:良好、△:やや劣る、×:劣る
[実施例1]
大粒径クレー(Huber社製HuberPrime1000, レーザー法で測定した体積基準で6.5〜23μmの範囲にある粒子の割合:44%,レーザー法による平均粒径6.3μm,沈降法による体積基準の平均粒径1.9μm,レーザー法の平均粒径/沈降法の平均粒径=3.3)60部、微粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−90)40部からなる顔料に、分散剤としてポリアクリル酸ソーダを0.2部添加してセリエミキサーで分散し、固形分濃度60%の顔料スラリーを調整した。この様にして得られた顔料スラリーに、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(ガラス転移温度0℃、ゲル含量85%)13部を加えた後、さらに水を加えて塗工液を得た。製紙用パルプとして化学パルプを100部、填料として軽質炭酸カルシウムを5部、パルプ繊維間の結合阻害剤として花王(株)KB−115を0.4部含有する坪量56g/m2の原紙(密度0.7g/cm3)に片面当たりの塗工量が固形分で10g/m2になるように、800m/分の塗工速度のブレードコーターで両面塗工を行い、紙水分が5%になるように乾燥し、塗工紙を得た。
[実施例2]
実施例1において、大粒径クレー(Huber社製HuberPrime1000)60部、微粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−90)40部のかわりに、大粒径クレー(Huber社製HuberPrime1000)90部、微粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−90)10部に変更した以外は実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[実施例3]
実施例1において、大粒径クレー(Huber社製HuberPrime1000)60部、微粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−90)40部のかわりに、大粒径クレー(Huber社製HuberPrime1000)10部、微粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−90)90部に変更した以外は実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[実施例4]
実施例1において、大粒径クレー(Huber社製HuberPrime1000)60部、微粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−90)40部のかわりに、大粒径クレー(Huber社製HuberPrime1000)30部、微粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−90)70部に変更した以外は実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[実施例5]
実施例1において、填料として軽質炭酸カルシウムを5部、パルプ繊維間の結合阻害剤として花王(株)KB−115を0.4部のかわりに、填料として無定形シリケート(含水珪酸アルミニウムソーダ)を4部(嵩比重0.4g/ml)、タルクを6部に変更した以外は実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[実施例6]
実施例1において、填料として軽質炭酸カルシウムを5部、パルプ繊維間の結合阻害剤として花王(株)KB−115を0.4部のかわりに、填料として軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物10部に変更した以外は実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[実施例7]
実施例1において、パルプ繊維間の結合阻害剤として花王(株)KB−115を0.4部配合していない以外は実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[比較例1]
実施例1において、大粒系クレー(Huber社製HuberPrime1000,体積分布平均粒径6.3μm)60部、微粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−90)40部のかわりに、エンジニアードクレー(Imerys社製Contour1500, 6.5〜23μmの粒径比率1%,レーザー法による体積分布平均粒径2.0μm,沈降法による体積分布平均粒径0.4μm,レーザー法の粒径/沈降法の粒径=4.5)60部、微粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−90)40部に変更した以外は実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[比較例2]
実施例1において、大粒径クレー(Huber社製HuberPrime1000,体積分布平均粒径6.3μm)60部、微粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−90)40部のかわりに、エンジニアードクレー(Imerys社製カピムDG, 6.5〜23μmの粒径比率4.4%,レーザー法による体積分布平均粒径1.2μm,沈降法による体積分布平均粒径0.5μm,レーザー法の粒径/沈降法の粒径=2.3)60部、微粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−90)40部に変更した以外は実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[比較例3]
実施例1において、大粒径クレー(Huber社製HuberPrime1000,体積分布平均粒径6.3μm)60部、微粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−90)40部のかわりに、微粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−90)100部に変更した以外は実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
以上の結果を表1に示した。
表1に示すように、実施例1〜7は、低密度で、白紙光沢度が低く、インキ着肉性等の印刷適性が良好であり、白紙及び印刷部表面の微小な光沢むらが少ない艶消し塗工紙を得ることができる。比較例1、2は、微小な光沢むらが若干発生し劣る。比較例3は、インキ着肉性等に劣る。
Claims (3)
- 原紙上に顔料及び接着剤を含有する塗工層を設けてなる艶消し塗工紙において、顔料として、レーザー法で測定した顔料粒子が体積基準で6.5〜23μmの範囲に20%以上含まれる粒度分布を有し、かつレーザー法及び沈降法でそれぞれ測定した平均粒子径の比(レーザー法/沈降法)が3.0〜10の範囲である無機顔料を塗工層に含有することを特徴とする艶消し塗工紙。
- 前記無機顔料が顔料100重量部当たり10重量部以上含有することを特徴とする請求項1に記載の艶消し塗工紙。
- 白紙光沢度が15%未満であり、塗工紙密度が1.00g/m3以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の艶消し塗工紙。
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