JP4961688B2 - オフセット印刷用塗工紙 - Google Patents

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Description

本発明は、オフセット印刷用紙に関し、白色度が高く、印刷適性に優れたオフセット印刷用塗工紙に関する。
近年、印刷物に対し、写真や図案を多用し、更にカラー化するなどにより、視覚的に内容を強力に伝達しようとする要望が高い。一方、省資源、輸送コストなどの点から印刷物の軽量化に対しても強い要望がある。この二つの要望は相反する物であって、視覚に訴えるのに適するグレードの塗工紙は、原紙坪量、塗工量共に多くなる傾向にある。
一般に塗工紙は、高光沢塗工紙と艶消し塗工紙に大別される。高光沢塗工紙は、従来高級印刷に用いられてきたアート紙、スーパーアート紙、コート紙などであり、印刷仕上がりは、白紙光沢も印刷光沢も高いグロス調である。艶消し塗工紙は白紙光沢と印刷光沢によりダル調、マット調がある。マット調は、白紙面、印刷面共に光沢が低くフラットで落ち着いた感じの印刷物で、ダル調は、白紙光沢度は低いが、印刷光沢度は高いという、グロス調とマット調の中間のものである。マット調は、従来のグロス調に比べて印刷後の文字部が読みやすく、近年需要が増えている。高光沢塗工紙、ダル調塗工紙、マット調塗工紙は印刷前の白紙光沢度に差はあるものの、いずれにおいても、印刷後の光沢度が高いことは重要課題の一つである。
また、塗工紙は原紙に100%化学パルプを使用した上質塗工紙と、一部機械パルプを使用した中質塗工紙に分けられる。中質塗工紙は、機械パルプを含むため、上質塗工紙と比較して白色度に劣るが、白色度が高いことも、印刷物の内容を視覚に訴えるためには重要な要素の一つであり改善を必要としている。
塗工紙は、主に顔料と接着剤からなる塗工液を原紙上に塗工し製造するが、顔料が塗工紙の白紙物性、印刷適性を決定する重要な因子の一つとなる。一般に塗工顔料として、従来から、クレー、炭酸カルシウム等が使用されているが、クレーは白紙光沢度発現等に優れるが白色度が低く、炭酸カルシウムは白色度に優れるが光沢度発現性に劣るといった一長一短の性質であり、また、両者を混合しても両者の長所が共に発現することは難しい。
また、近年、雑誌及び書籍は重厚なのもから軽い物が好まれる様になってきた。これに伴い、紙にも軽量化が求められてきている。また環境保護気運の高まりに伴い、森林資源から製造される製紙用パルプを有効に活用する上でも紙の軽量化は避けて通れない問題であり、オフセット印刷用塗工紙の分野においても、軽量化の傾向にある。
従来のオフセット印刷用塗工紙に軽量化を試みた場合、原紙坪量を相対的に低くする必要があり、それに伴い塗工量も減少させざるを得なくなるため、従来の技術に基づきオフセット印刷用塗工紙を生産した場合、印刷光沢度等も低下するといった問題がある。
また、塗工原紙を低密度(嵩高)にし、低塗工量で原紙被覆性を良好にして軽量化を試みる方法もある。
原紙の低密度化の方法として、紙の主原料である製紙用パルプの検討が挙げられる。一般的に製紙用パルプには木材パルプが使用されている。低密度化のためのパルプとしては、化学薬品により繊維中の補強材料であるリグニンを抽出した化学パルプより、薬品は使用せずリファイナーやグラインダーで木材を磨り潰すことにより製造される機械パルプの方が繊維は剛直であり、低密度化には有利である。その中でもグランドパルプ(GP)は低密度化への寄与は大きい。しかしながら、機械パルプを多く配合する場合、白色度、塗工適性等に劣る問題がある。通常製紙用パルプは叩解処理によって繊維を柔軟にし、フィブリル化するが、叩解処理は低密度化とは相反する処理であり、できるだけ行わないことが低密度化のためには望ましい。
パルプ化樹種の選択によっても、紙の密度は大きく影響を受ける。すなわち、木材繊維自体が粗大な方が低密度化が可能である。例えば、広葉樹材においては、比較的低密度化が可能な樹種としては、ガムウッド、メープル、バーチ等が挙げられる。しかしながら、現在の環境保護気運の高まりの中では特にこれらの樹種のみを特定して集荷しパルプ化することは困難である。
近年の環境保護気運の高まりや、資源保護の必要性から古紙パルプの配合増が求められている。古紙パルプは上質紙、新聞紙、雑誌、チラシ、塗工紙などのその紙質上から明確に分類してパルプ化される場合は少なく、混合されたままパルプ化されるため、パルプの性質としてバージンの機械パルプと比較して密度は高くなる傾向にある。この理由として古紙パルプの繊維分は化学パルプ、機械パルプの混合物であることが挙げられる。また、紙中に含まれる填料分あるいは塗工紙の填料成分として、一般的に使用されるタルク、クレー、カオリンはその配合により密度を高くする傾向にある。この様に古紙パルプの配合増は用紙密度を高くする傾向がある。
以上のように、従来の手法をベースにパルプのみを変更してオフセット印刷用塗工原紙を得たとしても、軽量化されたオフセット印刷用塗工紙を得ることは困難である。
抄造時における低密度化の検討としては、抄造時にはそのプレス工程でできるだけプレス圧を低くすること、また紙の表面に平滑性を付与するために行われるカレンダー処理は行わない方がよい。
この様なパルプ化、抄造時の工夫の他に、塗工原紙に対してパルプに次いで多く配合されている填料分の検討も行われている。例えば、填料分として中空の合成有機物のカプセルを配合することにより低密度化を達成する方法が知られている。また、抄造時のドライヤー部での熱にて膨張することにより低密度化を達成する合成有機発泡性填料(例えば商品名:EXPANSEL、日本フィライト株式会社製)も提案されている。しかしながら、これらの合成有機発泡性填料を用いる方法では抄紙時の乾燥条件が難しく、またこの手法のみで変更してオフセット印刷用塗工紙を得た場合においても、低密度かつ印刷適性に優れたオフセット印刷用塗工紙の製造は困難である。
また、填料分ではないが、微細フィブリル化セルロースを添加する方法も提案されている(特許文献1参照)。この微細フィブリル化セルロースを用いる方法では、微細セルロースを特別に調整する必要があり、更に抄紙時にパルプのフリーネスを400mlC.S.F.以上、好ましくは500mlC.S.F.以上にする必要があり、機械パルプを多く配合した紙料ではフリーネスを調成する事が困難である。
上記の方法を組み合わせて嵩高原紙を抄造したとしても、嵩高原紙は一般の原紙と比較して空隙量が多いため、塗料は原紙内部に浸透しやすく、原紙被覆性は一般原紙に塗工する場合と比較して劣る。塗料による原紙被覆性が劣る場合、印刷光沢度も低くなる。
次に、塗工原紙に塗工層を設けて原紙被覆性を良好にする手法として、顔料として体積分布平均粒径3.5〜20μmであるデラミネーテッドクレーを顔料100重量部当たり30〜90重量部含有することにより、低密度原紙に塗工した場合においても原紙被覆性が良好になることが知られている(特許文献2参照)。しかし、この方法では、近年の更なる低坪量化、嵩高化に対しては、低塗工量で十分な原紙被覆性を維持することは困難である。また、顔料として体積分布平均粒径3.5〜20μmであるデラミネーテッドクレーを顔料100重量部あたり30〜90重量部含有させた場合、塗料粘度は相対的に高くなり、塗工速度800m/min以上の高速塗工に適さないこと、カレンダ処理後においても白紙光沢度を高くすることは困難であった。
オフセット印刷適性を向上させる手法として、平滑性を付与する手法が考えられるが、一般的な方法である高線圧スーパーカレンダ処理をした場合、塗工層表面は平滑になるが、塗工紙密度が高くなる。近年、従来のスーパーカレンダーに代わり、高温カレンダーによる方法が多数提案されており、仕上げ速度の高速化、印刷光沢度、不透明度、剛度等が相対的に向上されることが報告されているが、この手法のみを変更してオフセット印刷用塗工紙を得た場合においても、低密度の物を得ることは困難である。
この様に、従来の技術においては、低密度で、白色度が高く、操業性に優れ、所望の印刷適性を持ったオフセット印刷用塗工紙を得ることは困難であった。
特開平8−13380号公報 特開2002−105889号公報
この様な状況を鑑みて、本発明の課題は、低密度で、白色度が高く、高印刷光沢度などの印刷適性に優れたオフセット印刷用塗工紙を提供することにある。
本発明者等は、上記課題に鋭意検討を行った結果、原紙上に、顔料及び接着剤を含有する塗工層を有するオフセット印刷用塗工紙において、顔料として、主にアスペクト比が20以下の硫酸カルシウムと、クレーを含有し、硫酸カルシウムの含有量を、顔料100重量部あたり10重量部以上にすることにより、低密度で、白色度が高く、高印刷光沢度などの印刷適性に優れ、操業性に優れたオフセット印刷用塗工紙を製造して得ることができる。本発明においては、顔料として、アスペクト比20以下の硫酸カルシウムを顔料100重量あたり30重量部以上含むことにより、より低密度で、白色度が高く、高印刷光沢度などの印刷適性に優れ、操業性に優れたオフセット印刷用塗工紙を製造して得ることができる。また、印刷適性向上の点から、クレーのレーザー回折法で測定した平均粒子径が1.0〜10.0μmの範囲であることが好ましい。また、弾性ロールと100℃以上に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙して仕上げることによって、より低密度で、印刷光沢度が高く、印刷光沢度から白紙光沢度を引いた光沢度の差が大きくコントラストに優れ、印刷適性に優れる。
本発明の硫酸カルシウムは、印刷適性、塗工適性を向上させるために、硫酸カルシウムの固形分濃度が65重量%のスラリー状態において、B型粘度で200〜2000mPa・sが好ましく、より好ましくは200〜1000mPa・sである。
本発明により、低密度で、白色度が高く、高印刷光沢度、印刷光沢度から白紙光沢度を引いた光沢度の差が大きくコントラストに優れ、更に印刷部と白紙部の擦れにより白紙部がインキで汚れるインキ落ちが発生しないなどの印刷適性に優れたオフセット印刷用塗工紙を得ることができ、また、印刷適性に優れ、操業性が良好なオフセット印刷用塗工紙を効率よく製造することができる。
本発明においては、顔料として、主にアスペクト比が20以下の硫酸カルシウムと、クレーを含有し、硫酸カルシウムの含有量を、顔料100重量部あたり10重量部以上にすることにより、低密度で、白色度が高く、高印刷光沢度などの印刷適性に優れ、操業性の良好なオフセット印刷用塗工紙を得ることができる。アスペクト比が20以下の硫酸カルシウムを顔料100重量部当たり10重量部以上使用することにより、塗工層構造は嵩高になり、印刷光沢度が高く、印刷光沢度から白紙光沢度を引いた光沢度の差が大きくコントラストに優れ、該硫酸カルシウムとクレーを主な顔料とすることにより、嵩高は維持されたまま、印刷光沢度やコントラストが向上し、更に印刷部と白紙部の擦れにより白紙部がインキで汚れるインキ落ちが発生せず、印刷適性に優れる。また、硫酸カルシウム顔料単体の白色度は炭酸カルシウムと比較して低いが、硫酸カルシウムを配合した塗工層は嵩高になり、塗料による原紙被覆性が炭酸カルシウムを配合した場合と比較して向上するため、クレーを混合しても白色度は高い。主に硫酸カルシウムとクレーを混合し、塗工紙の高白色度、印刷適性を向上させるために、硫酸カルシウムを顔料100重量部当たり30重量部以上含有することが好ましく、更に好ましくは55重量部以上である。硫酸カルシウムとクレーとの混合比は、硫酸カルシウム/クレー=20/80/〜99/1が好ましく、より好ましくは50/50〜95/5である。混合するクレーは、印刷適性向上の点から、レーザー回折法で測定した平均粒子径が1.0〜10.0μm、より好ましくは1.0〜5.0μmの範囲であることが好ましい。さらに、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレーを用いることが好ましい。これらのクレーとアスペクト比が20以下の硫酸カルシウムを併用して用いることにより、塗工層構造はより嵩高になり原紙の被覆性に優れる。また、硫酸カルシウムとクレーの配合量は、白色度、印刷光沢度向上の点で、顔料100重量部に対して70重量部以上であることが好ましく、より好ましくは80重量部以上である。
また、硫酸カルシウムのアスペクト比は20以下であることが重要である。塗工適性、印刷適性の点からアスペクト比は、好ましくは15以下、より好ましくは2〜10である。アスペクト比が20を超えると塗料の粘度は高くなり、塗工面感は劣り、印刷適性が劣る。尚、アスペクト比とは粒子の長径/短径の比のことである。
また、硫酸カルシウムとしては、比重の小さい二水和物であることが好ましい。硫酸カルシウム二水和物の比重は2.3であり、一般的にオフセット印刷用塗工紙に用いられる炭酸カルシウム(2.6〜2.7)、クレー(2.5〜2.6)と比較して比重が低く、単位重量当たりの体積はこれらの約1.1〜1.2倍である。このため、塗料による原紙被覆効果も比例して高くなり、オフセット印刷適性も向上する。塗工層を嵩高にするには、顔料の粒度分布は塗工適性が良好な範囲で狭いことが好ましい。また、上記の顔料を使用した場合、塗料による原紙被覆性及びオフセット印刷適性が向上するため、塗工量を減らし、原紙坪量を増やし、塗工紙の低密度化を測ることが可能になる。硫酸カルシウムの平均粒径は0.1〜25μm(レーザー回折法で測定)の範囲であることが好ましく、より好ましい範囲は1.0〜5.0μmである。平均粒径が0.1μmより小さい場合、塗工する際に硫酸カルシウムが原紙表面の空隙内部に浸透し、塗料による原紙被覆性が劣り、結果として印刷適性が劣る。平均粒径が25μmより大きい場合、塗料の流動性は劣り、塗工後の平滑性は相対的に劣り、印刷適性が劣る。本発明の硫酸カルシウムは、印刷適性、塗工適性を向上させるために、硫酸カルシウムを固形分として、65重量%濃度のスラリー状態において、B型粘度(30℃、60rpm)で200〜2000mPa・sが好ましく、より好ましくは200〜1000mPa・s、更に好ましくは200〜800mPa・sである。
また、本発明の硫酸カルシウムは、印刷光沢度から白紙光沢度を引いた光沢度の差が大きくコントラストに優れている。本発明においては、コストの点から炭酸カルシウムを混合しても硫酸カルシウムの影響が大きく、光沢度差が大きく、コントラストを維持することができる。ただし、炭酸カルシウムを多く配合すると、印刷部と白紙部の擦れにより白紙部がインキで汚れる、いわゆるインキ落ちと呼ばれる現象が起こる問題がある。これは、炭酸カルシウムの形状に起因すると考えられ、炭酸カルシウムを配合する場合は、顔料100重量部当たり20重量部未満である。また、他の従来から紙の塗工顔料として用いられるものも、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で併用することができる。これらの顔料の種類としては、上記顔料の他にタルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイト等の無機顔料や、プラスチックピグメント等の有機顔料が挙げられる。
本発明において用いる接着剤は、塗工紙用に従来から用いられている、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、あるいはポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成接着剤、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパクなどのタンパク質類、酸化澱粉、カチオン化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体などのから、1種以上を適宜選択して使用することができる。これらの接着剤は、顔料100重量部に対して、5〜35重量部の範囲で使用される事が好ましい。35重量部を超える場合は、塗料の粘度が高くなり、配管やスクリーンを通過しづらくなるといった操業性の問題が生じる等のデメリットが生じ好ましくない。また、5重量部未満の場合は、十分な表面強度がえられず好ましくない。
本発明の塗工液には、助剤として分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、染料、蛍光染料等の通常使用される各種助剤を使用することができる。
本発明における原紙は、パルプ、填料と各種助剤からなる。パルプとしては、半化学パルプ、機械パルプ、古紙パルプ等を用いることができるが、機械パルプを10重量%以上含有させることが好ましい。機械パルプは化学パルプに比べ繊維が剛直なので、機械パルプを配合した原紙は抄紙工程でかかる各種の圧力で紙層が潰れることが少なく、全体として嵩高になり、不透明度が向上し、剛度が大きくなる。機械パルプは白色度や塗工適性等の点から製紙用パルプの60重量%以下とすることが好ましい。
原紙に用いる填料は、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、カオリン、クレー、シリカ、ゼオライト、酸化チタン、合成樹脂填料等の公知の填料を使用することができる。配合量は、3〜20重量%程度である。これら填料は、紙料スラリーの抄紙適性や強度特性を調節する目的で、単独又は2種以上を混合使用してもよい。
これらの紙料に必要に応じ通常抄紙工程で使用される薬品類、例えば紙力増強剤、サイズ剤、消泡剤、着色剤、嵩高剤、柔軟化剤などを、本発明の効果を阻害しない範囲で添加し抄紙することができる。
原紙の抄紙方法については、特に限定される物ではなく、トップワイヤー等を含む長網マシン、丸網マシン等を用いて、酸性抄紙、中性抄紙、アルカリ抄紙方式で抄紙した原紙のいずれであってもよい。また、サイズプレス、ゲートロールコーター、ビルブレード等を用いて、澱粉、ポリビニルアルコールなどを予備塗工した原紙等も使用可能である。塗工原紙としては、一般の塗工紙に用いられる坪量が25〜400g/m程度のものが好ましい。
本発明において、調整された塗工液を原紙に塗工する方法については、特に限定される物ではなく、公知の塗工装置を用いる事ができる。例えばブレードコーター、バーコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、リバースロールコーター、カーテンコーターサイズプレスコーター、ゲートロールコーター等が挙げられる。これらを用いて、一層もしくは二層以上を原紙上に片面あるいは両面塗工する。片面辺りの塗工量は3g/m〜25g/mであることが好ましく、より好ましくは5g/m〜15g/mである。。片面辺りの塗工量が3g/mより少ない場合、十分な原紙被覆性が得られず、インキ着肉性に劣る。本発明においては、塗工速度が600m/分以上、より好ましくは、塗工速度が1000m/分以上の高速でも操業性が良好である。
湿潤塗工層を乾燥させる手法としては、例えば、蒸気加熱ヒーター、ガスヒーター、赤外線ヒーター、電気ヒータ、熱風加熱ヒーター、マイクロウェーブ、シリンダードライヤー等の通常の方法が用いられる。乾燥後、必要に応じて、後加工であるスーパーカレンダー、高温ソフトカレンダー等の仕上げ工程によって平滑性を付与することが可能である。特に、本発明においては、カレンダー処理する場合、弾性ロールと100℃以上に加熱した金属ロールなどの剛性ロールからなる高温カレンダーに通紙して仕上げる事が好ましい。金属ロールの表面温度は、好ましくは150℃以上、300℃程度である。塗工紙の含有水分が適当であれば、100℃以上に加熱された金属ロールを用いることにより、低いニップ圧あるいは短いニップ滞留時間で原紙あるいは塗工層を平滑化することができ、塗工紙の密度は低くなり、不透明度が高く、剛度がある低密度で嵩高な塗工紙となり、その上従来のスーパーカレンダーよりも処理速度が速く、巻取りの枠替えなどが省略できるため、効率よく生産でき操業性に優れる。また、高温ソフトニップカレンダーを用いる場合の好ましい条件としては、例えば、ロール相当径300mm以上、弾性ロールのショアーD硬度80〜100、好ましくは85〜95であって、通紙速度400〜3000m/分、線圧30〜500kg/cm、カレンダー前塗工水分5〜8%で、カレンダーニップ数2ニップ以上で処理を行うことが好ましい。本発明においては、顔料として主に硫酸カルシウムとクレーを含む塗工層を有する塗工紙は、嵩高で有効塗工層が稼げるため、上記のソフトカレンダー処理することにより、より低密度で、印刷光沢度が高く、印刷光沢度から白紙光沢度を引いた光沢度の差が大きくコントラストに優れ、印刷適性等に優れるものである。
本発明の効果は、特に白紙光沢度が60%以下のマット調、ダル調の塗工紙で、密度が1.20〜0.40g/cm、より好ましくは1.10〜0.40g/cmにおいて、優れた効果を発揮することができる。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、もちろんこれらの例に限定される物ではない。なお、特に断らない限り、例中の部および%は、それぞれ重量部、重量%を示す。なお、塗工液及び得られたオフセット印刷用塗工紙について以下に示す様な評価法に基づいて試験を行った。
(評価方法)
(1)アスペクト比:電子顕微鏡(JSM−840M:日本電子製)を用いて硫酸カルシウムの100個の粒子について長径、短径を測定し、長径、短径からアスペクト比(=長径/短径)の平均を求めた。
(2)B型粘度:調製した顔料スラリーの粘度を、30℃で、B型粘度計(TV−10:東機産業製)の回転数60rpmにて測定した。
(3)平均粒子径:塗工顔料を、分散剤ヘキサメタリン酸ソーダ0.2%を添加した純水中に滴下混合して均一分散体とし、MALVERN Instruments社製Laser Diffraction粒度分布測定器(マスターサイザー S)を用いて、レーザー回折法による体積基準の粒径分布を測定し、粒径分布の50%の粒径を平均粒径とした。
(4)密度:JIS P 8118に基づいて測定した。
(5)白色度:JIS P 8148に基づいて測定した。
(6)白紙光沢度:JIS P 8142に基づいて測定した。
(7)印刷光沢度:ローランド平判印刷機(4色)にて、平判印刷用インキ(東洋インキ製 ハイユニティM)を用いて印刷速度8000枚/分で印刷し、得られた印刷物(4色ベタ印刷部)の表面をJIS P 8142に基づいて測定した。
(8)インキ落ち:ローランド平判印刷機(4色)にて、平判印刷用インキ(東洋インキ製 ハイユニティM)を用いて印刷速度8000枚/分で印刷し、得られた印刷物(4色ベタ印刷部)の表面を、学振型摩擦堅牢度試験器(スガ試験機製)を用い、印刷したサンプルと白紙を加重200gfで、30往復/分の速度で3往復摩擦を行い、印刷した紙から白紙へ転移したインキ濃度を目視することにより、インキの転移しない程度を評価した。◎:極めて良好、○:良好、△:やや劣る、×:劣る
(9)塗工適性:ブレード塗工時のストラクタイト、ストリーク、スクラッチの発生状況を目視で評価した。◎:全く発生しない、○:殆ど発生しない、△:少し発生する、×:発生する
[実施例1]
1級クレー(IMERYS社製Capim DG:平均粒子径 1.2μm)100部に、分散剤としてポリアクリル酸ソーダを添加して(対無機顔料 0.2部)セリエミキサーで分散し、固形分濃度63%の1級クレースラリーを調整した。固形分濃度65重量%の硫酸カルシウム(KEMIRA社製 CoCoat、顔料粒子のアスペクト比 6、平均粒径 3.4μm)顔料スラリー(B型粘度 450mPa・s、無機顔料40部相当)に、アルカリ増粘型のスチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(ガラス転移点温度−20℃、ゲル含量85%)12部、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉(ペンフォード社製 PG295)8部、ポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA105)1部を加えた後、事前に分散しておいた1級クレースラリー(無機顔料60部相当)を添加し、さらに水を加えて固形分濃度58%の塗工液を得た。
塗工原紙は、填料として軽質炭酸カルシウムを原紙重量あたり7%含有し、製紙用パルプとして機械パルプを35%、化学パルプを40%、古紙パルプを25%含有する坪量42g/m、密度0.70g/cmの中質紙を用いた。
上記の原紙に、前述の塗工液を片面当たりの塗工量が8g/mになる様に、1200m/分の塗工速度でブレードコーターを用いて両面塗工を行い、塗工紙水分が5%となる様に乾燥した。
乾燥後、ロール温度80℃、2ニップ、カレンダー線圧200kg/cm、通紙速度10m/分でスーパーカレンダー処理を行いオフセット印刷用塗工紙を得た。
[実施例2]
実施例1において、塗工顔料として硫酸カルシウム40部、1級クレー60部からなる無機顔料の代わりに、硫酸カルシウム60部、1級クレー40部に変更した以外は実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。
[実施例3]
実施例1において、塗工顔料として硫酸カルシウム40部、1級クレー60部からなる無機顔料の代わりに、硫酸カルシウム95部、1級クレー5部に変更した以外は実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。
[実施例4]
実施例1において、塗工顔料として硫酸カルシウム40部、1級クレー60部からなる無機顔料の代わりに、硫酸カルシウム25部、1級クレー65部、重質炭酸カルシウム10部に変更した以外は実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。
[実施例5]
実施例1において、乾燥後、スーパーカレンダー処理を行う代わりに、金属ロール表面温度150℃、弾性ロールショアD硬度92、通紙速度1200m/分、線圧300kg/cm、カレンダーニップ数4ニップの条件で高温ソフトニップカレンダー処理を行った以外は実施例1と同様な方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。
[比較例1]
実施例1において、塗工顔料として硫酸カルシウム40部、1級クレー60部からなる無機顔料の代わりに、1級クレー100部に変更した以外は実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。
[比較例2]
実施例1において、塗工顔料として硫酸カルシウム40部、1級クレー60部からなる無機顔料の代わりに、硫酸カルシウム60部、軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製TP−123CS)顔料スラリー(無機顔料40部に相当)に変更した以外は実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。
[比較例3]
実施例1において、塗工顔料として硫酸カルシウム40部、1級クレー60部からなる無機顔料の代わりに、硫酸カルシウム60部、重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製 FMT−90)顔料スラリー(無機顔料40部に相当)に変更した以外は実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。
[比較例4]
実施例1において、塗工顔料として硫酸カルシウム40部、1級クレー60部からなる無機顔料の代わりに、1級クレー60部、重質炭酸カルシウム40部に変更した以外は実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。
[比較例5]
実施例1において、塗工顔料として硫酸カルシウム40部、1級クレー60部からなる無機顔料の代わりに、重質炭酸カルシウム100部に変更した以外は実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。
[実施例6]
実施例1において、スーパーカレンダー処理を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。
[比較例6]
実施例1において、塗工顔料として硫酸カルシウム40部、1級クレー60部からなる無機顔料の代わりに、1級クレー100部に変更し、スーパーカレンダー処理を行わなかった以外は実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。
以上の結果を表1に示した。
Figure 0004961688

Claims (1)

  1. 原紙上に、顔料及び接着剤を含有する塗工層を有するオフセット印刷用塗工紙において、顔料として、主にアスペクト比が20以下であり、かつ、固形分濃度65%のスラリーに調製した時に、B型粘度で200〜800mPa・sである硫酸カルシウムとレーザー回折法で測定した平均粒子径が1.0〜10.0μmの範囲であることを特徴とするクレーを含有し、硫酸カルシウムの含有量が顔料100重量部あたり10重量部以上であり、弾性ロールと100℃以上に加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙して仕上げたことを特徴とするオフセット印刷用塗工紙。
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