JP6177209B2 - 圧着用原紙および圧着用紙 - Google Patents

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Description

本発明は、商業印刷物を製造するための産業用インクジェット印刷機を用いて印刷を施した上に感圧接着剤層を設け、折りたたんで圧着し、感圧接着剤層どうしが接着後に再剥離可能な後糊圧着方式に用いられる圧着用原紙に関する。
近年、インクジェット記録方式の技術が急速に進歩し、多数枚の商業印刷物を製造するための産業用または商業用の印刷機に、インクジェット記録方式を使用する産業用インクジェット印刷機が公知である(例えば、特許文献1および2、非特許文献1および2参照)。産業用インクジェット印刷機は、例えば、大日本スクリーン製造社のTruepressJet、ミヤコシ社のMJPシリーズ、コダック社のProsperおよびVERSAMARK、富士フイルム社のJetPress、Hewlett−Packard社のColorInkjetWebPressなどの名称で販売されている。
産業用インクジェット印刷機はオンデマンド印刷が可能であるために、印刷は、固定情報をオフセット印刷機など従来からの印刷機で印刷し、可変情報を産業用インクジェット印刷機で印刷することができる。圧着用紙の主な用途は、請求書・利用明細書の通知・ダイレクトメール・クーポン券・各種案内状などである。これら用途では、可変情報を多く含むために、オフセット印刷機など従来からの印刷機と産業用インクジェット印刷機とを併用する場合が多い。
産業用インクジェット印刷機は、印刷諸条件に依存するものの一般家庭向けおよびSOHO向けインクジェットプリンター、並びに大判インクジェットプリンターに比べてカラー印刷速度が10倍〜数十倍と速く、印刷速度が15m/分以上、より高速では60m/分を超える。このため、産業用インクジェット印刷機は、一般家庭向けおよびSOHO向けインクジェットプリンターおよび大判インクジェットプリンターと区別される。
感圧接着剤層を有し、折りたたんで圧着し、感圧接着剤層どうしが接着後に再剥離が可能な圧着用紙として、例えば、圧着葉書が公知である(例えば、特許文献3参照)。
感圧接着剤層を有する圧着葉書などの圧着用紙を作製する方法には、先糊方式と後糊方式とに大別される。先糊方式は、圧着用原紙に感圧接着剤層を設けてから感圧接着剤層側に画像を印刷する方式である。後糊方式は、圧着用原紙に画像を印刷してから印刷面に感圧接着剤層を設ける方式である。
先糊方式では、圧着用紙の感圧接着剤層上に印刷するため、感圧接着剤層に印刷適性が求められる。また、感圧接着剤層が良好な接着性を有するためには印刷される面積が制限される。
後糊方式では、圧着用原紙に画像を印刷した後に、印刷を施した上に感圧接着剤層を設けるために、感圧接着剤層に印刷適性が求められない。圧着用原紙に印刷適性が求められる。後糊方式の感圧接着剤層として、UVニスから成る層と水性エマルションから成る層が知られている。中でも、マット調から光沢調まで得られることおよび材料コストが比較的安価であることから、水性エマルションから成る層を採用する場合が多い。
後糊方式によって作製される従来の圧着用紙は、オフセット印刷に主眼がおかれた一般的な塗工紙を圧着用原紙としているものがほとんどである。
オフセット印刷適性およびインクジェット記録適性を有し、高い白紙光沢を有し、且つ高湿環境下においても安定した剥離力を保持する後糊方式での親展葉書作製用の感圧接着シート用塗工紙基材として、塗工紙が、基紙と、その少なくとも一面上に顔料およびバインダー樹脂とを主成分として含む塗工層を少なくとも一層有し、前記基紙が、密度0.65g/cm以上、表面平滑度10〜100秒、表面サイズ度2〜200秒、内部結合強さ200J/m以上であり、かつ塗工層表面の75°における光沢度が50%以上である感圧接着シート用塗工紙が公知である(例えば、特許文献4参照)。また、後糊方式によって製造される圧着用紙に用いられ、オフセット印刷性およびインクジェット記録性に優れる塗工紙として、支持体となる基紙と、前記基紙の少なくとも一方の面に形成された顔料層と、前記顔料層の上に、クレーおよびシリカが質量比20:80〜80:20の割合で配合された顔料と、バインダーとを含む目止め剤を塗工することによって形成される目止め層とを備え、前記クレーは、比表面積が16〜24m/gであり、平均粒子径が0.1〜25μmである塗工紙が公知である(例えば、特許文献5参照)。
また、原紙上に直接ビジネスフォーム印刷を行うことが可能な後糊圧着用の圧着葉書用紙として、原紙上にビジネスフォーム印刷またはビジネスフォーム印刷およびレーザープリンタ印刷を施した上に感圧接着剤を塗布乾燥させ、折りたたんで加圧し、接着を行う後糊圧着方式に用いられる圧着葉書用紙であって、感圧接着剤が、天然ゴム系エマルション接着剤にポリアクリル樹脂およびフィラーを含有する圧着葉書用紙が公知である(例えば、特許文献6参照)。
特開2011−251231号公報 特開2005−088525号公報 特開2008−230099号公報 特開2009−228171号公報 特開2006−207076号公報 特開2005−213467号公報
徳増路子著「B2判印刷本紙対応インクジェット印刷機」(「印刷雑誌」、印刷学会出版部発行、2010年8月号(Vol.93)、21頁〜24頁) 宮城安利著「オフセット品質のインクジェット印刷機」(「印刷雑誌」、印刷学会出版部発行、2010年8月号(Vol.93)、25頁〜29頁)
後糊方式によって作製される従来の圧着用紙は、オフセット印刷に主眼がおかれた一般的な塗工紙を圧着用原紙としているものがほとんどである。しかしながら、オフセット印刷機に用いる一般的な塗工紙は、産業用インクジェット印刷機の印刷速度では、速やかにインクを吸収・定着することができないため、インク汚れや滲みが発生する。
特許文献4および5に記載されるが如くの塗工紙は、各々EPSON社製インクジェットプリンターPM−800CおよびPM−970Cを用いて評価している。このため、これら塗工紙は、産業用インクジェット印刷機の印刷速度で速やかにインクを吸収・定着することについて十分とはいえない。
印刷業者は、用紙に対するコストを抑えるために、塗工層を有しない廉価な非塗工紙を圧着用原紙に要望する場合が多い。ここで、非塗工紙とは、電子顕微鏡で紙の断面を観察した時に塗工層が視認されないものをいう。
しかしながら、非塗工紙は、インクを吸収・定着するために役立つ塗工層を有しないため、インクの裏抜け、印刷画像の滲み、または印刷画像の色濃度不均一という産業用インクジェット印刷機の印刷に関する問題を一般的に有する。
ここで、「インクの裏抜け」とは、インクが、印刷側の面に止まらず原紙の深部まで到達し、反対面側から印刷された画像が視認される現象である。また、「色濃度不均一」とは、印刷速度が速くなるにつれ印刷用塗工紙のインクの吸収性に部分的なバラツキが発生することによってベタ印刷画像などで色濃度が不均一になる現象である。
微細なノズルからインク滴を吐出するというインクジェットの原理から、産業用インクジェット印刷機に使用されるインクはオフセット印刷機など従来からの印刷機のインクに比べて色材の含有濃度が低い。このため、「インクの裏抜け」や「色濃度不均一」は、インクが吸収・定着される前に移動し易いことに起因すると考えられる。
また、非塗工紙は、産業用インクジェット印刷機のインクを吸収するために、比較的に低サイズ度や低密度に設計される場合が一般的である。しかしながら、インクの吸収性を高めた非塗工紙を圧着用原紙に用いた場合、少なくとも産業用インクジェット印刷機を用いて印刷を施した圧着用原紙上に水性エマルションの感圧接着剤層を設けると、感圧接着剤層どうしの良好な接着が得られないという圧着に関わる問題を有する。産業用インクジェット印刷機に使用されるインクは、微細なノズル中で目詰まりすることを防止する成分を含有する。この成分が、感圧接着剤層を設ける際には拡散して圧着接着剤と混ざるためと考えられる。
本発明の目的は、少なくとも産業用インクジェット印刷機を用いて印刷を施した上に感圧接着剤層を設け、折りたたんで圧着し、感圧接着剤層どうしが接着後に再剥離可能な後糊圧着方式に用いられる圧着用原紙であって、非塗工紙でありながら、オフセット印刷機など従来の印刷機に対する印刷適性を有し、産業用インクジェット印刷機を用いて印刷を施した時に下記の品質を有する圧着用原紙を提供することである。
(1)インクの裏抜けの抑制(インク裏抜け抑制性)
(2)印刷画像の滲みの抑制(耐滲み性)
(3)印刷画像の色濃度不均一の抑制(色濃度均一性)
(4)水性エマルションから成る感圧接着剤層どうしの接着が良好(接着性)
本発明者らは上記に鑑み鋭意研究した結果、本発明の目的は、少なくとも産業用インクジェット印刷機を用いて印刷を施した上に感圧接着剤層を設け、折りたたんで圧着し、感圧接着剤層どうしが接着後に再剥離が可能な後糊圧着方式に用いられる圧着用原紙において、カチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有し、JIS P 8124に準拠して求められる坪量が110g/m以上130g/m以下、JIS P 8140に準拠して求められる10秒コッブサイズ度が15g/m以上50g/m以下、JIS P 8118に準拠して求められる密度が1.00g/cm以上1.15g/cm以下、JIS P 8149に準拠して求められる不透明度が95%以上、およびJIS Z 8741に準拠して求められる75度光沢度が20%以上30%以下である圧着用原紙によって達成される。
本発明により、少なくとも産業用インクジェット印刷機を用いて印刷を施した上に感圧接着剤層を設け、折りたたんで圧着し、感圧接着剤層どうしが接着後に再剥離が可能な後糊圧着方式に用いられる圧着用原紙であって、オフセット印刷機など従来の印刷機に対する印刷適性を有し、産業用インクジェット印刷機を用いて印刷を施した時に、インク裏抜け抑制性、耐滲み性および色濃度均一性を有し、並びに接着性を有する圧着用原紙を提供することができる。
以下、本発明の圧着用原紙について詳細に説明する。
本明細書中で使用される場合、「インクジェット印刷」とは、産業用インクジェット印刷機を使用して印刷することをいう。また、「圧着用原紙」とは、感圧接着剤層を設ける前のものをいい、「圧着用紙」とは、圧着用原紙に感圧接着剤層を設けたものをいう。
産業用インクジェット印刷機には、用紙搬送の違いによって連続紙タイプとカット紙タイプがある。また搭載するインク種には、色材が染料である水性染料インクと色材が顔料である水性顔料インクとがある。本発明において、産業用インクジェット印刷機の用紙搬送またはインク種についてはいずれでも構わない。
本発明において、産業用インクジェット印刷機の印刷速度は、60m/分以上である。これ未満の印刷速度であってもインクジェット印刷が可能であるが、産業用という観点から生産性が重視され、生産性として60m/分以上が望まれる。カット紙タイプの場合は、印刷速度は、毎分当たりの印刷される用紙サイズから算出する。
印刷する画像に可変情報と固定情報が存在する場合は、固定情報の一部または全部をグラビア印刷機、オフセット印刷機、活版印刷機、フレキソ印刷機、熱転写印刷機またはトナー印刷機など従来からの印刷機を使用して印刷することが好ましい。特に、印刷画質や製造コストの点でオフセット印刷機が好ましい。従来からの印刷機は、インクジェット印刷する前であっても後であっても構わない。
本発明において、従来からの印刷機は、例えば、グラビア印刷機、オフセット印刷機、活版印刷機、フレキソ印刷機、熱転写印刷機またはトナー印刷機である。グラビア印刷機は、画像が彫り込まれたロール状の版胴を介してインクを被印刷体に転写する凹版印刷方式の印刷機である。オフセット印刷機は、インクを一度ブランケットに移してから被印刷体に再び転移する間接印刷方式の印刷機である。活版印刷機は、凸版に付与されたインクを被印刷体に押しつけるように圧をかけて印刷する凸版印刷方式の印刷機である。フレキソ印刷機は、柔軟な弾性のある樹脂版を使用する凸版印刷方式の印刷機である。熱転写印刷機は、各色のインクリボンを使用する印刷機であって、熱によってインクリボンから色材を被印刷体に転写する方式の印刷機である。トナー印刷機は、帯電ドラムに付着したトナーを、静電気を利用して被印刷体に転写させる電子写真方式の印刷機である。
本発明の圧着用原紙は、カチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する。好ましい本発明の態様は、抄造紙に、カチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有させて成る圧着用原紙である。
抄造紙に、カチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有させる方法は、(1)紙料中に添加して抄造する方法、(2)サイズプレス液に添加してサイズプレスを用いて付与する方法、(3)表面処理液に添加してサイズプレス以外のカーテンコーターやエアーナイフコーターなどの塗工手段を用いて付与する方法、などがある。本発明において、カチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を抄造紙に含有させる方法は上記(2)の方法が好ましい。この理由は、(2)の方法が、最も、カチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を圧着用原紙の表面近傍に且つ均一に付与させることができるからである。
カチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を抄造紙に含有させる方法として「(2)サイズプレス液に添加してサイズプレスを用いて付与する方法」の場合は、サイズプレス液に、カチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物以外に従来公知の表面サイズ剤を添加することができる。「(3)表面処理液に添加してサイズプレス以外のカーテンコーターやエアーナイフコーターなどの塗工手段を用いて付与する方法」の場合は、表面処理液に、カチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物以外に公知の各種助剤を含有することができる。ただし、(2)や(3)の方法によって塗工層を形成するような顔料成分等は、サイズプレス液または表面処理液に含有しない。
サイズプレスは、従来公知の方式である。サイズプレスの例としては、インクラインドサイズプレス、ホリゾンタルサイズプレス、フィルムトランスファー方式としてロッドメタリングサイズプレス、ロールメタリングサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレスを、ロッドメタリングサイズプレスではシムサイザー、オプティサイザー、スピードサイザー、フィルムプレスを、ロールメタリングサイズプレスではゲートロールコーターを挙げることができる。その他に、ビルブレードコーター、ツインブレードコーター、ベルバパコーター、タブサイズプレス、カレンダーサイズプレスなども挙げることができる。好ましいサイズプレスは、インクラインドサイズプレス、ホリゾンタルサイズプレス、ゲートロールコーター、シムサイザー、フィルムプレスである。
カチオン性樹脂は、カチオン性ポリマーまたはカチオン性オリゴマーであり、従来公知のものを使用することができる。好ましいカチオン性樹脂は、プロトンが配位し易く、水に溶解したとき離解してカチオン性を呈する1級〜3級アミンまたは4級アンモニウム塩を含有するポリマーまたはオリゴマーである。カチオン性樹脂の例としては、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリアミンスルホン、ポリジアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリジアルキルアミノエチルアクリレート、ポリジアルキルアミノエチルメタクリルアミド、ポリジアルキルアミノエチルアクリルアミド、ポリエポキシアミン、ポリアミドアミン、ジシアンジアミド−ホルマリン縮合物、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンなどの化合物およびこれらの塩酸塩、さらに、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドとアクリルアミドなどのモノマーとの共重合物、ポリジアリルメチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン−エピクロルヒドリン重縮合物やジエチレントリアミン−エピクロルヒドリン重縮合物などの脂肪族モノアミンまたは脂肪族ポリアミンとエピハロヒドリン化合物との重縮合物などを挙げることができ、これらからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。なお、カチオン性樹脂はこれらに限定されない。商業的入手容易性の点から、カチオン性樹脂はジメチルアミン−エピクロルヒドリン重縮合物、ポリエチレンイミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物がより好ましく、ジメチルアミン−エピクロルヒドリン重縮合物が更に好ましい。本発明において、カチオン性樹脂の平均分子量は特に限定されないが、500以上20,000以下の範囲が好ましい。
水溶性多価陽イオン塩は、金属の多価陽イオンを含む水溶性塩である。好ましい多価陽イオン塩は、金属の多価陽イオンを含み、20℃の水に1質量%以上溶解することができる塩である。金属の多価陽イオンの例としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ニッケル、亜鉛、銅、鉄、コバルト、スズ、マンガンなどの二価陽イオン;アルミニウム、鉄、クロムなどの三価陽イオン;またはチタン、ジルコニウムなどの四価陽イオン;並びにそれらの錯イオンを挙げることができ、これらからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、二価陽イオンからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。金属の多価陽イオンと塩を形成する陰イオンとしては、無機酸および有機酸のいずれに由来するものでもよく、特に限定されない。無機酸の例としては、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸などを挙げることができ、これらからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。有機酸の例としては、ギ酸、酢酸、乳酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、有機スルホン酸などを挙げることができ、これらからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。ただし、サイズ剤の定着剤として用いられる硫酸アルミニウムは除く。
水溶性多価陽イオン塩は、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硝酸カルシウムおよび酢酸カルシウムなどのカルシウム塩、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、ギ酸マグネシウムおよび酢酸マグネシウムなどのマグネシウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物がより好ましく、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硝酸カルシウムおよび酢酸カルシウムなどのカルシウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が更に好ましい。
「(1)紙料中に添加して抄造する方法」の場合、カチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩からなる群から選ばれる化合物の圧着用原紙中の含有量は、0.2g/m以上6.0g/m以下が好ましい。また、「(2)サイズプレス液に添加してサイズプレスを用いて付与する方法」または「(3)表面処理液に添加してサイズプレス以外のカーテンコーターやエアーナイフコーターなどの塗工手段を用いて付与する方法」の場合、抄造紙への付与量は、乾燥固形分換算で片面あたり0.1g/m以上3.0g/m以下が好ましい。
上記の理由は、カチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩からなる群から選ばれる化合物の圧着用原紙中の含有量または抄造紙への付与量が、上記範囲であると、インクジェット印刷を施した時に、インク裏抜け抑制性、耐滲み性および色濃度均一性がより良好になるからである。
ここで、含有量および付与量は、カチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩から選ばれる化合物を合計した含有量および付与量である。上記(1)の場合、カチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩からなる群から選ばれる化合物の含有量は、例えば、超音波洗浄機などによって紙から抽出される陽イオンを分析することによって、および全窒素分析装置を用いて窒素量を分析することによって求めることができる。上記(2)または上記(3)の場合、カチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩からなる群から選ばれる化合物の付与量は、サイズプレス液中および表面処理液中の濃度と乾燥固形分換算付与量とから求めることができる。
「(2)サイズプレス液に添加してサイズプレスを用いて付与する方法」または「(3)表面処理液に添加してサイズプレス以外のカーテンコーターやエアーナイフコーターなどの塗工手段を用いて付与する方法」の場合、少なくとも付与は、少なくともインクジェット印刷を施した上に感圧接着剤層を設ける圧着用原紙面であることが好ましい。
抄造紙は、LBKP(Leaf Bleached Kraft Pulp)、NBKP(Needle Bleached Kraft Pulp)などの化学パルプ、GP(Groundwood Pulp)、PGW(Pressure GroundWood pulp)、RMP(Refiner Mechanical Pulp)、TMP(ThermoMechanical Pulp)、CTMP(ChemiThermoMechanical Pulp)、CMP(ChemiMechanical Pulp)、CGP(ChemiGroundwood Pulp)などの機械パルプ、DIP(DeInked Pulp)などの古紙パルプから選択されるセルロースパルプを少なくとも1種と、填料と、さらに必要に応じてサイズ剤、定着剤、歩留まり剤、カチオン化剤などの各種添加剤とを含有する紙料から、酸性、中性、アルカリ性の従来公知の方法で抄造されたものである。
填料は、製紙分野で従来公知の白色顔料である。白色顔料の例としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどの白色無機顔料を挙げることができる。さらに、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂などの白色有機顔料を挙げることができる。また、これらから複数種を併用することができる。
本発明の圧着用原紙の灰分量は、12質量%以上25質量%以下が好ましい。ここで、灰分量とは、圧着用原紙を500℃で1時間燃焼処理を行った後の不燃物の質量と、燃焼処理前の圧着用原紙の絶乾質量に対する比率(質量%)であり、水溶性多価陽イオン塩の量を除く値である。灰分量は、抄造紙中の填料含有量を調整するなどの従来公知の方法で制御することができる。
本発明において、圧着用原紙は、カチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩以外にその他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、紙力増強剤などを本発明の所望の効果を損なわない範囲で、適宜含有することができる。
圧着用原紙の、JIS P 8124に準拠して求められる坪量が110g/m以上130g/m以下、JIS P 8140に準拠して求められる10秒コッブサイズ度が15g/m以上50g/m以下、JIS P 8118に準拠して求められる密度が1.00g/cm以上1.15g/cm以下、JIS P 8149に準拠して求められる不透明度が95%以上、およびJIS Z 8741に準拠して求められる75度光沢度が20%以上30%以下である。
これらの値を満足することによって、および上記のカチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を有する相乗効果によって、圧着用原紙は、オフセット印刷機など従来の印刷機に対する印刷適性を有し、インクジェット印刷を施した時に、インク裏抜け抑制性、耐滲み性、色濃度均一性、および接着性を有することができる。この理由は不明であるが、坪量、密度および不透明度は紙の主に内部構造に関係し、10秒コッブサイズ度は紙表面の多孔性に主に関係し、並びに75度光沢度は紙表面の粗さに主に関係することから、これら値を満足させることで、圧着用原紙は、インクが吸収・定着される前の移動やノズルの目詰まりを防止する成分の拡散を抑えることができる特異的な構造を形成していると考えられる。
圧着用原紙の坪量・10秒コッブサイズ度・密度・不透明度・75度光沢度は、すべて製紙分野で公知の物性であって、抄造条件・パルプの種類や配合・カレンダー処理・サイズ剤の使用などの従来公知の方法により適宜調節することができる。圧着用原紙の密度や光学的特性を変化させる方法は、パルプの種類や繊維の形態と寸法、填料の種類や粒子径によって調整することができる。特に光散乱は、針葉樹パルプより広葉樹パルプの場合、化学パルプより機械パルプの場合、叩解度が低い場合、あるいは填料の粒子径が大きい場合に増す傾向にあり、結果として光沢が低下する傾向や不透明度が上昇する傾向を示す。圧着用原紙の10秒コッブサイズ度は、抄造紙に含まれるサイズ剤の含有量によって調節することができる。サイズ剤には、アルキルケテンダイマー型サイズ剤やロジン型サイズ剤など製紙分野で従来公知のものを用いることができる。
また、密度・75度光沢度を調節するため、抄造紙または抄造紙にカチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を付与した後に、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、多段カレンダー、マルチニップカレンダーなどのカレンダー処理を施すことが好ましい。
本発明において、JIS Z 8741に準拠して求められる75度光沢度は、カレンダー処理を施して20%以上30%以下にすることが特に好ましい。これにより、本発明にかかる接着性がさらに良好になるからである。カレンダー処理により75度光沢度を所定の値に調節することで感圧接着剤層どうしの接着性が得られることは、従来からは予想されない効果である。
本発明の別の態様は、本発明の圧着用原紙に少なくともインクジェット印刷を施し、その上に感圧接着剤層を設けた圧着用紙である。これにより、圧着用原紙を用いた圧着用紙は、感圧接着剤層どうしの良好な接着性を得ることができる。
感圧接着剤層の感圧接着剤は、従来公知のものであって、UVニスまたは水性エマルションのいずれであっても構わない。好ましくは水性エマルションである。
水性エマルションは、従来公知のゴムラテックスが好ましい。ゴムラテックスの例としては、天然ゴム若しくはその変性物、合成ゴム、天然ゴム若しくはその変性物と合成ゴムとの混合物などを挙げることができる。天然ゴムの変性物の例としては、天然ゴムにスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アルキル(メタ)アクリレートなどをグラフト重合して得られるグラフト天然ゴムなどを挙げることができる。また、合成ゴムの例としては、(ポリ)イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴムなどを挙げることができる。また、これらから複数種を併用することもできる。水性エマルションはこれらに限定されない。
感圧接着剤層は、ロジン系樹脂などの粘着性付与剤、ワックスやシリコーン樹脂などの接着力制御剤、デンプン類やポリビニルアルコールなどのバインダー、および分散剤や増粘剤などその他の添加剤を、必要に応じて適宜含有することができる。
圧着用原紙に、少なくともインクジェット印刷を施した上に感圧接着剤層を設ける方法は、従来公知の塗工方法である。例えば、各種グラビアコーター、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、Uコンマコーター、AKKUコーター、スムージングコーター、ショートドウェルコーター、ディップコーター、カーテンコーター、スライドコーター、ダイコーター、サイズプレス、シムサイザーなどの各種塗工装置、グラビア、オフセット、凸版、平版などの印刷方式を挙げることができる。
感圧接着剤層の塗工量は、乾燥固形分量で片面あたり2.0g/m以上10.0g/m以下が好ましい。これにより、接着性が良好であって且つ材料コストが抑えられるからである。
圧着用紙は、圧着する前に、カレンダー処理を施すことができる。これにより、感圧接着剤層の平滑性が増すために接着性がより向上する。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその主旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、実施例において示す「部」は、特に明示がない限り、乾燥固形分あるいは実質成分の質量部を示す。また、付与量は乾燥固形分量を示す。
(紙料)
紙料として、下記の配合とした。
濾水度350〜420mlcsfのLBKPおよび/またはNBKP
100部
炭酸カルシウム 15部
両性澱粉 0.8部
サイズ剤の定着剤(硫酸バンド) 0.8部
アルキルケテンダイマー型サイズ剤 部数を表1に記載
カチオン性樹脂(ジメチルアミン−エピクロルヒドリン重縮合物)
部数を表1に記載
水溶性多価陽イオン塩(塩化カルシウム) 部数を表1に記載
(サイズプレス液)
サイズプレス液として、下記の配合とした。
リン酸エステル化澱粉 片面あたりの付与量1.5g/m
樹脂 種類および片面あたりの付与量を表1に記載
水溶性陽イオン塩 種類および片面あたりの付与量を表1に記載
(圧着用原紙の作製)
紙料を長網抄紙機で抄造・乾燥して抄造紙を得た。この抄造紙に対して両面にサイズプレスを施した。サイズプレス後にカレンダー処理をした。カレンダー処理は、弾性ロールと金属ロールとからなる装置を使用した。所定の坪量・密度・不透明度になるように抄造条件やパルプの種類や配合を、所定の密度・75度光沢度になるようにカレンダー処理のニップ線圧および金属ロールの温度を、適宜調節した。また、所定のコッブサイズ度になるようにサイズ剤の上記部数を調整した。
(圧着用紙の作製)
オフセット印刷機としてミヤコシ社製オフセットフォーム輪転機および産業用インクジェット印刷機として大日本スクリーン製造社製産業用インクジェット印刷機TruePress Jet520を用いて、評価画像を圧着用原紙に印刷した。
印刷された圧着用原紙に、水性エマルションの感圧接着剤である天然ゴム系の62%水分の接着剤(サイデン化学社製、MUX−101)をエアーナイフコーターで片面あたりの塗工量が5g/mになるよう両面塗工し、120℃の温度条件にて乾燥し、圧着用紙を得た。次に、この圧着用紙をZ字状に3つ折りにして折りたたみ、圧着ロール間隔を一定に設定したドライシーラー(トッパンフォームズ社製、ドライシーラー6860)を用いて圧着した。
(坪量)
JIS P 8124に規定された紙及び板紙−坪量の測定方法に準拠し、圧着用原紙の坪量を測定した。値を表1に記載する。
(10秒コッブサイズ度)
JIS P 8140に規定されたコッブ吸水度測定方法に準拠し、圧着用原紙の10秒コッブサイズ度を測定した。測定溶媒と圧着用原紙との接触時間は10秒とした。測定の溶媒は純水を用いた。値を表1に記載する。
(密度)
JIS P 8118に規定された紙及び板紙−厚さおよび密度の測定方法に準拠し、圧着用原紙の密度を測定した。値を表1に記載する。
(不透明度)
JIS P 8149に規定された不透明度測定方法に準拠し、圧着用原紙の不透明度を測定した。値を表1に記載する。
(75度光沢度)
JIS Z 8741に規定された光沢度測定法に準拠し、村上色彩技術研究所社製デジタル光沢計GM−26D型を用いて、入反射角度を75度として圧着用原紙の光沢度を測定した。値を表1に記載する。
Figure 0006177209
(圧着用原紙のオフセット印刷機に対する印刷適性の評価)
ミヤコシ社製オフセットフォーム輪転機で、印刷速度:150m/分、使用インク:T&K TOKA UVベストキュア墨および金赤、UV照射量:8kW2基の条件で6000mの印刷を行った。印刷後のブランケットパイリングの発生状況および印刷画像の状態について目視評価によって判定した。本発明において評価3〜5であれば、圧着用原紙は、オフセット印刷機に対する印刷適性を有するものとする。
5:極めて良好。
4:良好。
3:実用上問題ない範囲。
2:不良。
1:極めて不良。
(圧着用原紙のインク裏抜け抑制性の評価)
大日本スクリーン製造社製産業用インクジェット印刷機TruePress Jet520を使用し、印刷速度:75m/分、使用インク:水性染料インクの条件で6000mの印刷を行った。評価画像は、10cm×10cmのブラックのベタ印刷パターンを、間隔を設けて繰り返し配置した画像とした。白紙部分およびベタ印刷部分の反対面側において、JIS P 8148に準拠する白色度測定方法によって白色度の測定を行った。「白紙部分の白色度(光学%)」−「ベタ印刷部分の白色度(光学%)」を算出し、圧着用原紙のインク裏抜けを評価した。白色度の測定は、日本電色社製PF−10を使用し、標準板上にサンプルを一枚乗せ、UVカットの条件で行った。本発明において評価3〜5であれば、圧着用原紙は、インク裏抜け抑制性を有するものとする。
5:10光学%未満。
4:10光学%以上、13光学%未満。
3:13光学%以上、16光学%未満。
2:16光学%以上、19光学%未満。
1:19光学%以上。
(圧着用原紙の耐滲み性の評価)
大日本スクリーン製造社製産業用インクジェット印刷機TruePress Jet520を使用し、印刷速度:75m/分、使用インク:水性染料インクの条件で6000mの印刷を行った。評価画像は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、各単色の50面積%網点パターンおよび文字を並べた画像とした。印刷から24時間放置後、印刷部分を水中に30秒間浸け、浸漬後に余分な水分を濾紙で拭き取った。自然乾燥させた後に印刷部分の滲み具合を目視評価によって判定した。本発明において評価3〜5であれば、圧着用原紙は、耐滲み性を有するものとする。
5:滲みがまったくない。
4:僅かに滲みがあるが、ほとんど気にならない。
3:滲みはあるものの、網点ドットおよび文字がはっきり識別できる。
2:滲みがあり、網点ドットおよび文字がはっきりせず、ぼやけて見える。
1:滲み出しが大きく、網点ドットおよび文字が明らかに不明瞭。
(圧着用原紙の色濃度均一性の評価)
大日本スクリーン製造社製産業用インクジェット印刷機TruePress Jet520を使用し、印刷速度:75m/分、使用インク:水性染料インクの条件で印刷を行った。評価画像は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各単色およびブラックを除く他3色インクからの2重色(レッド、グリーン、ブルー)の計7色のベタパターンを、3cm×3cm四方で横一列に隙間なく配置した画像とした。各色ベタ印刷部分の色濃度均一性について目視評価によって判定した。本発明において評価3〜5であれば、圧着用原紙は、色濃度均一性を有するものとする。
5:色濃度が均一である。
4:色によっては濃度が極僅かに不均一である。
3:色濃度が僅かに不均一である。
2:色濃度が部分的に不均一である。
1:印刷部分の全体に、色濃度が不均一である。
(圧着用紙の接着性の評価)
圧着加工後の接着強度から判定した。
接着強度は、テンシロン万能引っ張り試験機を用いて測定を行った。圧着用紙の接着強度を(N/25mm)で表した。圧着−再剥離の用途から、圧着加工後は自然に開封や輸送中などの衝撃で開封することがなく、開封時は紙が破損することなく開封できることが、圧着用紙に求められる。実用的な取り扱いから、良好な接着強度は0.20N/25mm〜0.40N/25mmの範囲以内である。より良好な接着強度は0.24N/25mm〜0.35N/25mmの範囲以内である。さらに良好な接着強度は0.27N/25mm〜0.32N/25mmの範囲以内である。上記を鑑み、接着強度の測定から接着性を評価した。本発明において評価3〜5であれば、圧着用紙は、接着性を有するものとする。
5:0.27N/25mm〜0.32N/25mmの範囲以内。
4:上記5を除く0.24N/25mm〜0.35N/25mmの範囲以内。
3:上記4〜5を除く0.20N/25mm〜0.40N/25mmの範囲以内。
2:上記3〜5を除く0.10N/25mm〜0.50N/25mmの範囲以内。
1:0.10N/25mm未満または0.50N/25mm超。
表2に評価結果を示す。
Figure 0006177209
表2より、本発明に該当する実施例1〜18は、少なくとも産業用インクジェット印刷機を用いて印刷を施した上に感圧接着剤層を設け、折りたたんで圧着し、感圧接着剤層どうしが接着後に再剥離可能な後糊圧着方式に用いられる圧着用原紙として、オフセット印刷機など従来の印刷機に対する印刷適性を有し、インクジェット印刷を施した時の、インク裏抜け抑制性、耐滲み性および色濃度均一性を有することが分かる。さらに、これら圧着用原紙に、少なくともインクジェット印刷を施した上に水性エマルションの感圧接着剤層を設けた場合に、感圧接着剤層どうしの良好な接着性を得ることができると分かる。
本発明に該当しない比較例1〜9は、本発明の効果を有しないと分かる。
また、主に、実施例1と実施例14〜17との対比から、カチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩からなる群から選ばれる化合物の含有量が、0.2g/m以上6.0g/m以下が好ましいと分かる。また、主に、実施例1と実施例18との対比から、カチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が、サイズプレスを用いて、少なくとも感圧接着剤層を設ける圧着用原紙面に付与されることが好ましいと分かる。

Claims (6)

  1. 少なくとも産業用インクジェット印刷機を用いて印刷を施した上に感圧接着剤層を設け、折りたたんで圧着し、感圧接着剤層どうしが接着後に再剥離が可能な後糊圧着方式に用いられる圧着用原紙において、非塗工紙であって、カチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有し、JIS P 8124に準拠して求められる坪量が110g/m以上130g/m以下、JIS P 8140に準拠して求められる10秒コッブサイズ度が15g/m以上50g/m以下、JIS P 8118に準拠して求められる密度が1.00g/cm以上1.15g/cm以下、JIS P 8149に準拠して求められる不透明度が95%以上、およびJIS Z 8741に準拠して求められる75度光沢度が20%以上30%以下である圧着用原紙。
  2. カチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩からなる群から選ばれる化合物の含有量が、0.2g/m以上6.0g/m以下である請求項1に記載の圧着用原紙。
  3. カチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が、サイズプレスを用いて、少なくとも感圧接着剤層を設ける圧着用原紙面に付与されて含有される請求項1に記載の圧着用原紙。
  4. カチオン性樹脂および水溶性多価陽イオン塩からなる群から選ばれる化合物の付与量が、片面あたり乾燥固形分換算で0.1g/m以上3.0g/m以下である請求項3に記載の圧着用原紙。
  5. 圧着用原紙のJIS Z 8741に準拠して求められる75度光沢度が、カレンダー処理によって、20%以上30%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の圧着用原紙。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の圧着用原紙と、少なくとも産業用インクジェット印刷機を用いて印刷して形成された画像と、印刷を施した上に感圧接着剤層とを有する圧着用紙。
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