JP6824221B2 - 印刷用塗工紙 - Google Patents

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Description

本発明は、オフセット印刷機向け印刷用塗工紙でありながらインクジェット印刷機で印刷ができる印刷用塗工紙に関する。
インクジェット記録方式は、インクの液滴を微細なノズルから記録用紙に吐出し、用紙上に付着させることによってインクドットを形成して記録を行う方式である。
インクジェット記録方式は、家庭向け及びSOHO向けの小型プリンター、POPやポスター製作に用いるワイドフォーマットプリンター、並びに商業印刷物の生産に用いるオンデマンド印刷機に使用される。用いる印刷用塗工紙は、マット調からグロス調まで種々の光沢感のものが存在する。ビジネス文書、DM、書籍、小冊子、チラシ、パンフレット、カタログなどの商業印刷物を生産するための印刷用塗工紙と、インクジェット記録方式において銀塩写真の代替用に開発された写真用紙とは、印刷物のコスト、印刷物生産性及び印刷物の扱い方の点で、要求される品質が異なる。
安価でありながら高速インクジェット印刷適性を有するとともに、一般的な商業印刷であるオフセット印刷適性及び凸版印刷適性を有するオンデマンド印刷用塗工紙として、基紙の少なくとも片面にインク受理層を設け、カレンダー処理してなる印刷用塗工紙であって、前記基紙が内添サイズ剤及び外添サイズ剤を含有せず、かつ、内添紙力増強剤を含有し、前記インク受理層が、顔料とスチレンブタジエンラテックスと潤滑剤とを含有し、更に澱粉を含有し、前記顔料の40質量%以上が炭酸カルシウムであり、枚葉紙では14.85m/分以上、ロール紙では20m/分以上の水性インクを用いた高速インクジェット印刷用のオンデマンド印刷用塗工紙が公知である(例えば、特許文献1参照)。
オフセット印刷機や凸版印刷機などの刷版印刷機は、印刷画像を形成した「版」を必要とする。一方、オンデマンド印刷機は「版」を必要としない。すなわち、オンデマンド印刷機は、画像に関するデジタル情報に沿って画像形成装置が用紙に直接印刷する。
インクジェット記録方式を使用するオンデマンド印刷機、すなわちインクジェット印刷機が存在する。インクジェット印刷機の例としては、SCREENグラフィックソリューションズ社のTruepressJet、ミヤコシ社のMJPシリーズ、コダック社のProsper及びVERSAMARK、富士フイルム社のJetPress、Hewlett−Packard社のPageWideWebPressなどがある。
このようなインクジェット印刷機は、印刷諸条件に依存するものの、家庭向け及びSOHO向け小型インクジェットプリンター、並びにワイドフォーマットインクジェットプリンターに比べてカラー印刷速度が10倍〜数十倍と速く、印刷速度が15m/分以上、より高速では100m/分を超える。このため、インクジェット印刷機は、家庭向け及びSOHO向け小型インクジェットプリンター及びワイドフォーマットインクジェットプリンターと区別される。
原紙の填料によって塗工紙の品質が影響を受けることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
特開2016−147398号公報
田中宏一著、「製紙用填料」、紙パ技協誌、1997年、第51巻第7号、68〜79頁
オンデマンド印刷機の普及に伴い、印刷用塗工紙は、刷版印刷機だけでなくオンデマンド印刷機に対応する必要がある。特に、商業印刷物の生産に多く用いられるオフセット印刷機と、インクジェット印刷機とに適用できる必要がある。
オフセット印刷機は、刷版に付着したインクがブランケットを介して印刷用塗工紙に接触して転写され、印刷物を生産する。インクジェット印刷機は、用紙と非接触である微細なノズルからインク滴を印刷用塗工紙に吐出して、印刷物を生産する。このような印刷機構の違いから、オフセット印刷機のインクは、粘着性を有し且つ色材含有濃度が高い。インクジェット印刷機のインクは、流動性を有し且つ色材含有濃度が低い。
従来のオフセット印刷機向けの印刷用塗工紙は、インクジェット印刷機に使用すると、印刷速度が増すにつれてインクの吸収が追随できずに印刷汚れを発生することがある。
また、インクジェット印刷機に対応するインクの吸収性を高めると、オフセット印刷機で通常の印刷(例えば、AMスクリーン/175線)を行った場合に、ハイライト部でハイトーン域の網点が再現し難いことがある。これは、ハイトーン域に存在する網点がドットゲインによって単なる白に飛んでしまう現象である。「網点が飛ぶ」とは、網点のドットが紙面に形成されず抜ける現象である。製版印刷業者は、ドットゲインを刷版工程で調整するものの、紙の影響が大きいために紙の品質向上を要望する。
これらは、オフセット印刷機とインクジェット印刷機との印刷方法及びインクの違いに起因する、と考えられる。
本発明の目的は、オフセット印刷機及びインクジェット印刷機で印刷できることを目指し、下記の品質を有する印刷用塗工紙を提供することである。
(1)インクジェット印刷機の印刷で印刷汚れを良好に抑制する(耐印刷汚れ性)
(2)オフセット印刷機の印刷でハイライト部の再現性を良好に得る(ハイライト部再現性)
本発明者らは鋭意研究を行った結果、本発明の目的は以下により達成される。
填料を含有する原紙と、前記原紙の少なくとも片面に1層以上の塗工層とを有し、前記塗工層において原紙を基準として最外に位置する最外塗工層がカオリン、炭酸カルシウム、澱粉類、ラテックス及びカチオン性樹脂を少なくとも含有し、最外塗工層中のカオリンと炭酸カルシウムとの含有質量比がカオリン:炭酸カルシウム=1:9〜6:4であり、前記填料が平均粒子径3.5μm以上5.5μm以下かつ粒度分布曲線において粒子径2μm未満である粒子の累積頻度5%以下の軽質炭酸カルシウムを含む印刷用塗工紙。
本発明により、耐印刷汚れ性、ハイライト部再現性を有する印刷用塗工紙を提供することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の印刷用塗工紙は、填料を含有する原紙と、前記原紙の少なくとも片面に1層以上の塗工層とを有する。前記塗工層において原紙を基準として最外に位置する最外塗工層は、顔料としてカオリン及び炭酸カルシウム、バインダとして澱粉類及びラテックス、並びにカチオン性樹脂を少なくとも含有する。
本発明において、「塗工層を有する」とは、用紙の断面を電子顕微鏡によって観察した際に、原紙と区別できる明確な塗工層を有する用紙を指す。例えば、樹脂成分やポリマー成分を塗工し、塗工された前記成分が少量であって原紙に吸収され、結果として、印刷用紙の断面を電子顕微鏡によって観察した際に原紙と区別できる明確な層を有しない場合、「塗工層を有する」に該当しない。
原紙は、LBKP(Leaf Bleached Kraft Pulp)、NBKP(Needle Bleached Kraft Pulp)などの化学パルプ、GP(Groundwood Pulp)、PGW(Pressure GroundWood pulp)、RMP(Refiner Mechanical Pulp)、TMP(ThermoMechanical Pulp)、CTMP(ChemiThermoMechanical Pulp)、CMP(ChemiMechanical Pulp)、CGP(ChemiGroundwood Pulp)などの機械パルプ、及びDIP(DeInked Pulp)などの古紙パルプから選ばれる少なくとも1種のパルプに、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー及びカオリンなどから選ばれる各種填料、さらに必要に応じて、サイズ剤、定着剤、歩留まり剤、カチオン性樹脂や多価陽イオン塩などのカチオン化剤、紙力剤などの各種添加剤を配合した紙料を抄造した抄造紙である。さらに原紙には、抄造紙にカレンダー処理、澱粉やポリビニルアルコールなどで表面サイズ処理、あるいは表面処理などを施した上質紙が含まれる。さらに原紙には、表面サイズ処理あるいは表面処理を施した後にカレンダー処理した上質紙が含まれる。
紙料中には、その他の添加剤として顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などの1種又は2種以上を、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、適宜配合することができる。
原紙のパルプは、原紙中のパルプ100質量部に対してLBKPが70質量部以上が好ましい。この理由は、後記する軽質炭酸カルシウムとの相乗効果により、得られる印刷用塗工紙の白色度及び不透明度が向上するからである。
原紙は填料を含有する。原紙の填料は、少なくとも一種として、平均粒子径3.5μm以上5.5μm以下かつ粒度分布曲線において粒子径2μm未満である粒子の累積頻度が5%以下である軽質炭酸カルシウムを含む。軽質炭酸カルシウムが平均粒子径3.5μm未満であると、印刷用塗工紙は、耐印刷汚れ性を得ることができない。また、軽質炭酸カルシウムが平均粒子径5.5μm超であると、印刷用塗工紙は、ハイライト部再現性を得ることができない。また、軽質炭酸カルシウムが粒子径2μm未満である粒子の累積頻度が5%超であると、印刷用塗工紙は、ハイライト部再現性を得ることができない。
軽質炭酸カルシウムは、化学的に製造される炭酸カルシウムである。軽質炭酸カルシウムの製造方法の例としては、炭酸ガス化合法または可溶性塩反応法などを挙げることができる。炭酸ガス化合法とは、石灰石を焼成して得られる生石灰を水に溶かして石灰乳とし、石灰乳に炭酸ガスを反応させて軽質炭酸カルシウムを生成する方法である。可溶性塩反応法とは、石灰乳に塩化カルシウム溶液と炭酸ソーダとを反応させ軽質炭酸カルシウムを生成する方法である。反応条件などによって、軽質炭酸カルシウムの結晶形・大きさ・形状を調整することができる。軽質炭酸カルシウムの結晶形としては、カルサイト系結晶またはアラゴナイト系結晶などがある。カルサイト系結晶は、形状が通常、紡錘状、それらが凝集結合したような毬栗状、または立方体状(キュービック状または団子状)である。アラゴナイト系結晶は、形状が通常、棒状あるいは針状である。また、軽質炭酸カルシウムの製造方法の例としては特開2013−60692号公報に開示された、生石灰に対するモル比が2.5以下の範囲で消和水を添加し混合することにより消石灰を得る工程、該消石灰と水を混合することにより消石灰スラリーを得る工程、及び該消石灰スラリーに二酸化炭素含有ガスを吹き込み炭酸化する工程を経て製造する方法を挙げることができる。
本発明において、平均粒子径は、単粒子の状態にある場合は単粒子の粒子径として、二次粒子など凝集粒子の状態にある場合は凝集粒子の粒子径として、それぞれ測定された粒子径の平均値である。平均粒子径は、例えば、エネルギー分散形X線分光器などの元素分析機能付走査型電子顕微鏡を用いて印刷用塗工紙の原紙部を露出させて当該部分の電子顕微鏡写真を撮影し、撮影された粒子を面積が近似する球形と見なして粒子径を計算し、撮影画像内に存在する100個の粒子を測定することによって、平均粒子径を算出する方法である。また、粒度分布曲線は、上記のように粒子径を求めた100個の粒子から作成することができる。該粒度分布曲線から粒子径2μm未満である粒子の累積頻度を求めることができる。
平均粒子径は、レーザー回折・散乱法または動的光散乱法を利用する測定により求めることもできる。その場合、平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法あるいは動的光散乱法を用いた体積を基準とした粒度分布測定に基づく平均粒子径である。平均粒子径は、得られた粒度分布曲線から算出することができる。例えば、平均粒子径は、日機装社製レーザー回折・散乱式粒度分布測定器Microtrac MT3300EXIIを用いて粒度分布を測定し、算出することができる。また、粒度分布曲線は、上記の測定で得られた粒度分布曲線である。該粒度分布曲線から粒子径2μm未満である粒子の累積頻度を求めることができる。
原紙の填料には、前記特定の軽質炭酸カルシウム以外に従来公知の填料を含むことができる。従来公知の填料の例としては、カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、水酸化アルミニウム及びアルミナなどを挙げることができる。原紙は、これらからなる群から選ばれる一種又は二種以上を軽質炭酸カルシウムと併用して含有することができる。
原紙中の軽質炭酸カルシウムの含有量は、原紙中の填料100質量部に対して50質量部以上が好ましい。また、原紙中の填料の含有量は、原紙中のパルプ100質量部に対して2質量部以上15質量部以下が好ましい。これらの理由は、耐印刷汚れ性が良化するからである。
塗工層は、塗工層塗工液を塗工及び乾燥することによって原紙の少なくとも片面に設けることができる。塗工層は1層又は2層以上である。塗工層中、原紙を基準として最も外側に位置する塗工層を最外塗工層という。塗工層が1層の場合は該塗工層が最外塗工層になる。塗工層が2層以上の場合、原紙と最外塗工層との間に存在する塗工層は、顔料、バインダ及び各種添加剤の各々有無及び種類について特に限定しない。
塗工層の各塗工量は特に限定されない。好ましい塗工量は、乾燥固形分量で片面あたり5g/m以上30g/m以下の範囲である。塗工層が2層以上の場合は、それらの合計の値である。塗工層が2層以上の場合、最外塗工層が乾燥固形分量で片面あたり塗工量の70質量%を占めることが好ましい。
塗工層は、原紙の片面又は両面に有してよい。また片面の場合は、原紙において塗工層を有する側とは反対面に従来公知のバックコート層を有してよい。
原紙に塗工層を設ける方法は特に限定されない。例えば、製紙分野で従来公知の塗工装置及び乾燥装置を用いて、塗工層塗工液を塗工及び乾燥する方法を挙げることができる。塗工装置の例としては、コンマコーター、フィルムプレスコーター、エアナイフコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、Eバーコーター、フィルムトランスファーコーターなどを挙げることができる。乾燥装置の例としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤーなどの熱風乾燥機、赤外線加熱ドライヤー、マイクロ波を利用した乾燥機などの各種乾燥装置を挙げることができる。
塗工層はカレンダー処理を施すことができる。
カレンダー処理とは、ロール間に紙を通すことによって平滑性や厚みを平均化する処理である。カレンダー処理の装置としては、例えば、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、多段カレンダー、マルチニップカレンダーなどを挙げることができる。本発明の印刷用塗工紙には、最外塗工層がキャスト処理された印刷用塗工紙を含めない。
最外塗工層は、顔料としてカオリン及び炭酸カルシウムを含有する。
最外塗工層中のカオリンと炭酸カルシウムとの含有質量比は、カオリン:炭酸カルシウム=1:9〜6:4である。インクジェット印刷機に対する印刷適性の点から、炭酸カルシウムは重質炭酸カルシウムが好ましい。
最外塗工層は、カオリン及び炭酸カルシウム以外に従来公知の顔料を含有することができる。従来公知の顔料の例としては、タルク、サチンホワイト、リトポン、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、活性白土、珪藻土などの無機顔料、及びプラスチック顔料などの有機顔料を挙げることができる。最外塗工層は、これら顔料から1種又は2種以上を組み合わせて、カオリン及び炭酸カルシウムと併用して含有することができる。
最外塗工層の顔料中、カオリン及び炭酸カルシウムが占める割合は80質量%以上が好ましい。
最外塗工層は、バインダとして澱粉類及びラテックスを含有する。最外塗工層中における澱粉類とラテックスとの含有質量比は乾燥固形分量として澱粉類:ラテックス=1:9〜4:6が好ましい。
澱粉類は、グルコースがグリコシド結合によって重合した多糖類、及びグルコースがグリコシド結合によって重合した多糖類においてグルコースが有する水酸基を種々置換基によって変性した多糖類である。澱粉類の例としては、澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、エーテル化澱粉、カチオン性澱粉、両性澱粉、ジアルデヒド澱粉、燐酸エステル化澱粉及び尿素燐酸エステル化澱粉などのエステル化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、並びにヒドロキシブチル化澱粉などを挙げることができる。澱粉類は、尿素燐酸エステル化澱粉が好ましい。この理由は、耐印刷汚れ性が良化するからである。
尿素燐酸エステル化澱粉は、燐酸エステル基とカルバミン酸エステル基とをグルコースに有する澱粉である。燐酸エステル基を導入する方法の例としては、トリポリ燐酸ナトリウムなどの燐酸塩を単独で添加して焙焼反応させる方法、燐酸エステル基とカルバミン酸エステル基とを導入する方法の例としては、無機燐酸類と共に尿素を添加して焙焼反応させる方法を挙げることができる。尿素燐酸エステル化澱粉は、主に、後者の無機燐酸類と尿素を焙焼反応させる方法によって各種尿素置換度のものを得ることができる。
尿素燐酸エステル化澱粉は尿素置換度平均値が0.005以上0.05以下であることが好ましい。「尿素置換度」とは、澱粉を構成するグルコース単位が有する水酸基におけるカルバミン酸エステル基の置換度である。例えば、尿素置換度=0.02は、澱粉を構成するグルコース単位100個当たり置換基が2個有することを意味する。尿素置換度は、澱粉において従来から知られた値であって公知の方法で求められる。例えば、熱分解GC法又はCHN元素分析計を用いた窒素含有量から求めることができる。また、「澱粉科学実験法」鈴木繁男・中村道徳編集、1979年第1刷発行、朝倉書店発行を参考にすることができる。
本発明において、ラテックスは、水中に安定して分散することができるポリマーの樹脂を指す。ラテックスの例としては、従来公知の水分散性バインダであって、スチレン−ブタジエン共重合体又はアクリロニトリル−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系樹脂、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの重合体あるいはメチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などのアクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などのビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はこれらの各種共重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性樹脂、あるいはメラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂、天然ゴムなどを挙げることができる。ラテックスは、スチレン−ブタジエン共重合体の樹脂が好ましい。
最外塗工層は澱粉類及びラテックス以外に従来公知のバインダを含有することができる。バインダの例としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン及び大豆蛋白などの天然高分子樹脂又はその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール及びその各種変性ポリビニルアルコール、ポリプロピレングリコール、及びポリエチレングリコールなどを挙げることができる。最外塗工層は、これらバインダからなる群から選ばれる1種又は2種以上を澱粉類及びラテックスに併用して含有することができる。
最外塗工層において、澱粉類及びラテックスは最外塗工層のバインダ中80質量%以上を占めることが好ましい。また、最外塗工層のバインダの含有量は、カオリン及び炭酸カルシウムを含む最外塗工層中の顔料100質量部に対して、5質量部以上13質量部以下であることが好ましい。
最外塗工層はカチオン性樹脂を含有する。カチオン性樹脂は従来公知のカチオン性樹脂である。好ましいカチオン性樹脂は、プロトンが配位し易く、水に溶解したとき解離してカチオン性を呈する1級〜3級アミン又は4級アンモニウム塩を含有するポリマー又はオリゴマーである。また、好ましいカチオン性樹脂は、カチオン化度が0meq/g超3meq/g以下の低カチオン又はカチオン化度が3meq/g超の高カチオン性樹脂である。ここで、カチオン化度は、コロイド滴定法によって測定される値である。
従来公知のカチオン性樹脂の例としては、ポリエチレンイミン、ポリアミン及び変性ポリアミン、ポリビニルピリジン、ポリアミドアミン、ポリビニルアミン、変性ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリアリルアミン、ポリジアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリジアルキルアミノエチルアクリレート、ポリジアルキルアミノエチルメタクリルアミド、ポリジアルキルアミノエチルアクリルアミド、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、アリルジメチルアンモニウムクロライドとアクリルアミドなどとの共重合物、ジメチルアミン−エピクロルヒドリン重縮合物などの脂肪族モノアミンとエピハロヒドリン化合物との重縮合物もしくはジエチレントリアミン−エピクロルヒドリン重縮合物などの脂肪族ポリアミンとエピハロヒドリン化合物との重縮合物、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物、ポリエポキシアミン、ポリアミド−エポキシ樹脂、メラミン樹脂、並びに尿素系樹脂を挙げることができる。最外塗工層は、これらカチオン性樹脂からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有することができる。カチオン性樹脂の平均分子量は特に限定されない。平均分子量は、500以上100000以下が好ましく、1000以上60000以下がより好ましい。
最外塗工層のカチオン性樹脂は、変性ポリアミン又は変性ポリアミドが好ましい。
最外塗工層中のカチオン性樹脂の含有量は、カオリン及び炭酸カルシウムを含む最外塗工層中の顔料100質量部に対して、片面あたり0.25質量部以上0.5質量部以下が好ましい。
(1)本発明の印刷用塗工紙は、最外塗工層において、顔料としてカオリン及び炭酸カルシウムを特定の含有質量比で、バインダとして澱粉類及びラテックスを、並びにカチオン性樹脂を含有する。(2)本発明の印刷用塗工紙は、原紙の填料として、平均粒子径3.5μm以上5.5μm以下かつ粒度分布曲線において粒子径2μm未満である粒子の累積頻度5%以下の軽質炭酸カルシウムを含む。印刷用塗工紙は、これら(1)及び(2)の相乗効果によって、本発明の効果を得ることができる。
最外塗工層は、さらに必要に応じて塗工紙分野で従来公知の各種添加剤を含有することができる。添加剤の例としては、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、発泡剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤などを挙げることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されない。ここで「質量部」及び「質量%」は、乾燥固形分量あるいは実質成分量の各々「質量部」及び「質量%」を表す。塗工層の塗工量は乾燥固形分量を表す。
<原紙>
濾水度400mlcsfのLBKP85質量部及びNBKP15質量部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム及び/又はクレー、両性澱粉1.0質量部、硫酸バンド0.8質量部、アルキルケテンダイマーサイズ剤を添加して紙料を調成し、該紙料を長網抄紙機で抄造し、得られた抄造紙の両面にサイズプレス装置で両面に澱粉を付着させ、マシンカレンダー処理をして原紙を作製した。填料の各部数及び用いた軽質炭酸カルシウムの平均粒子径(R)及び粒度分布曲線において粒子径2μm未満である粒子の累積頻度(F)を表1に記載する。
<最外塗工層塗工液>
最外塗工層塗工液は、下記の内容により調製した。
カオリン 部数は表1に記載
炭酸カルシウム 部数は表1に記載
シリカ 部数は表1に記載
澱粉類 種類及び部数は表1に記載
ラテックス 種類及び部数は表1に記載
カチオン性樹脂 種類及び部数は表1に記載
上記の内容で配合し、水で混合・分散して、濃度43質量%に調整した。
(印刷用塗工紙)
印刷用塗工紙を以下の手順にて作製した。
原紙上に最外塗工層塗工液をブレードコーターにて両面塗工し、その後に乾燥した。さらに乾燥後に、カレンダー処理を施した。塗工量は、片面あたり14g/mとした。
Figure 0006824221
<耐印刷汚れ性>
ミヤコシ社のインクジェット印刷機MJP20MX−7000を用い、水性顔料インクにて印刷速度:160m/分の条件で6000m、評価画像を印刷した。評価画像は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各単色及びブラックを除く他の3色インクによる2重色(レッド、グリーン、ブルー)の計7色のベタ画像部パターンを、3cm×3cm四方で横一列に隙間なく配置する画像とした。耐印刷汚れ性は、印刷部分に存在する印刷汚れを目視にて観察し、視認される程度によって下記の基準にて評価した。本発明において、4又は5の評価であれば、印刷用塗工紙は耐印刷汚れ性を有するものとする。
5:印刷汚れが認められない。良好。
4:印刷汚れがほぼ認められない。概ね良好。
3:印刷汚れが僅かに認められる。実用上問題ない。
2:印刷汚れが少し認められる。実用上問題あり。
1:印刷汚れが認められる。
<ハイライト部再現性>
枚葉機(三菱重工製ダイヤ3H−4)を用い、平版オフセットプロセスインキを使用して4色印刷を行った。印刷には、175線で、各色単色の10%、20%、30%網点画像を用いた。得られた画像に発生する網点の飛びを目視にて観察し、下記の基準にて評価した。本発明において、4又は5の評価であれば、印刷用塗工紙はハイライト部再現性を有するものとする。
5:網点の飛びが認められない。良好。
4:網点の飛びが認められない。網点の細りが僅かに認められる。概ね良好。
3:網点の飛びが認められない。網点の細りが認められる。実用上問題ない。
2:網点の飛びが僅かに認められる。実用上問題あり。
1:網点の飛びが認められる。
評価結果を表1に示す。
表1から、本発明に該当する実施例1〜27は、耐印刷汚れ性及びハイライト部再現性を有することが分かる。一方、本発明の構成を満足しない比較例1〜9は、これらの効果を有することができないと分かる。また、比較例10は、オフセット印刷に対してブランケットパイリングを発生し、オフセット印刷機に対する適性を有する印刷用塗工紙ではなかった。

Claims (1)

  1. 填料を含有する原紙と、前記原紙の少なくとも片面に1層以上の塗工層とを有し、前記塗工層において原紙を基準として最外に位置する最外塗工層がカオリン、炭酸カルシウム、澱粉類、ラテックス及びカチオン性樹脂を少なくとも含有し、最外塗工層中のカオリンと炭酸カルシウムとの含有質量比がカオリン:炭酸カルシウム=1:9〜6:4であり、前記填料が、平均粒子径3.5μm以上5.5μm以下かつ粒度分布曲線において粒子径2μm未満である粒子の累積頻度5%以下の軽質炭酸カルシウムを含む印刷用塗工紙。
JP2018090927A 2018-05-09 2018-05-09 印刷用塗工紙 Active JP6824221B2 (ja)

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