JP2019094590A - 印刷用塗工紙 - Google Patents

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【課題】本発明の目的は、インクジェット印刷機の印刷速度に対応した耐印刷汚れ性を有する印刷用塗工紙を提供することである。【解決手段】課題は、原紙と、前記原紙の少なくとも片面に塗工層とを有し、前記塗工層において原紙を基準として最外に位置する最外塗工層が白色顔料およびバインダを少なくとも含有し、最外塗工層において、白色顔料の少なくとも2種にカオリンおよび炭酸カルシウムを含み、カオリンと炭酸カルシウムとの最外塗工層中の含有質量比(カオリン:炭酸カルシウム)が1:9〜6:4であり、且つバインダの少なくとも2種にスチレン−ブタジエン共重合体樹脂および澱粉類を含み、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂と澱粉類との最外塗工層中の含有質量比(スチレン−ブタジエン共重合体樹脂:澱粉類)が6:4〜9:1であり、前記原紙が嵩高剤を含有する印刷用塗工紙によって解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、オフセット印刷機向け印刷用塗工紙でありながらインクジェット印刷機で印刷ができる印刷用塗工紙に関する。
インクジェット記録方式は、インクの液滴を微細なノズルから記録用紙に吐出し、用紙上に付着させることによってインクドットを形成して記録を行う方式である。
インクジェット記録方式は、家庭向けおよびSOHO向けの小型プリンター、POPやポスター製作に用いるワイドフォーマットプリンター、並びに商業印刷物の生産に用いるオンデマンド印刷機に使用される。用いる印刷用塗工紙は、マット調からグロス調まで種々の光沢感のものが存在する。ビジネス文書、DM、書籍、小冊子、チラシ、パンフレット、カタログなどの商業印刷物を生産するための印刷用塗工紙と、インクジェット記録方式において銀塩写真の代替用に開発された写真用紙とは、印刷物のコスト、印刷物生産性および印刷物の扱い方の点で、要求される品質が異なる。
インクジェット印刷機に使用する書籍用紙に好適なインクジェット記録用紙として、無機顔料を含有する塗工層を有さないインクジェット記録用紙であって、インク定着剤と嵩高剤とを含有し、インク定着剤がカチオン性高分子であり、紙の横目方向の水中伸度が3.0%以下であるインクジェット記録用紙が公知である(例えば、特許文献1参照)。
オフセット印刷機や凸版印刷機などの刷版印刷機は、印刷画像を形成した「版」を必要とする。一方、オンデマンド印刷機は「版」を必要としない。すなわち、オンデマンド印刷機は、画像に関するデジタル情報に沿って画像形成装置が用紙に直接印刷する。
インクジェット記録方式を使用するオンデマンド印刷機、すなわちインクジェット印刷機が存在する。インクジェット印刷機の例としては、SCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズ社のTruepressJet、ミヤコシ社のMJPシリーズ、コダック社のProsperおよびVERSAMARK、富士フイルム社のJetPress、Hewlett−Packard社のColorInkjetWebPressなどがある。
このようなインクジェット印刷機は、印刷諸条件に依存するものの、家庭向けおよびSOHO向け小型インクジェットプリンター、並びにワイドフォーマットインクジェットプリンターに比べてカラー印刷速度が10倍〜数十倍と速く、印刷速度が15m/分以上、より高速では100m/分を超える。このため、インクジェット印刷機は、家庭向けおよびSOHO向け小型インクジェットプリンターおよびワイドフォーマットインクジェットプリンターと区別される。
特開2017−109382号公報
オンデマンド印刷機の普及に伴い、印刷用塗工紙は、刷版印刷機だけでなくオンデマンド印刷機に対応する必要がある。特に、商業印刷物の生産に多く用いられるオフセット印刷機と、インクジェット印刷機とに適用できる必要がある。
オフセット印刷機は、刷版に付着したインクがブランケットを介して印刷用塗工紙に接触して転写され、印刷物を生産する。インクジェット印刷機は、用紙と非接触である微細なノズルからインク滴を印刷用塗工紙に吐出して、印刷物を生産する。このような印刷機構の違いから、オフセット印刷機のインクは、粘着性を有し且つ色材含有濃度が高い。インクジェット印刷機のインクは、流動性を有し且つ色材含有濃度が低い。
従来のオフセット印刷機向けの印刷用塗工紙は、インクジェット印刷機に使用すると、印刷速度が増すにつれてインクの吸収が追随できずに印刷汚れを発生することがある。そこで、インクの吸収を得るために多孔質性の白色顔料を印刷用塗工紙に多用すると、オフセット印刷機に対する紙の強度が得られない。
これらは、オフセット印刷機とインクジェット印刷機との印刷方法およびインクの違いに起因すると考えられる。
「紙塗工−高分子ラテックスの応用」(室井宗一著、高分子刊行会発行、1992年)によれば、印刷用塗工紙の塗工層を形成する塗工層塗工液は基本的に、白色顔料、バインダとしてのラテックスおよび水溶性ポリマーから構成され、添加剤として分散剤、潤滑剤、消泡剤、抑泡剤、防腐剤、嵩高剤、印刷適性向上剤および耐水化剤などが配合される。
新しい印刷方式によって印刷用塗工紙に求められる品質を得るために、これら材料の種類と含有量とが検討される。しかしながら、それらの組み合わせは無限に近い数となる。
本発明の目的は、オフセット印刷機に対する適性を有する印刷用塗工紙でありながらインクジェット印刷機で印刷できることを目指し、インクジェット印刷機の印刷速度に一層対応して印刷汚れの発生を防止することができる(以下、「耐印刷汚れ性」という。)印刷用塗工紙を提供することである。
本発明者は鋭意研究を行った結果、本発明の目的は以下により達成される。
原紙と、前記原紙の少なくとも片面に塗工層とを有し、前記塗工層において原紙を基準として最外に位置する最外塗工層が白色顔料およびバインダを少なくとも含有し、最外塗工層において、白色顔料の少なくとも2種にカオリンおよび炭酸カルシウムを含み、カオリンと炭酸カルシウムとの最外塗工層中の含有質量比(カオリン:炭酸カルシウム)が1:9〜6:4であり、且つバインダの少なくとも2種にスチレン−ブタジエン共重合体樹脂および澱粉類を含み、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂と澱粉類との最外塗工層中の含有質量比(スチレン−ブタジエン共重合体樹脂:澱粉類)が6:4〜9:1であり、前記原紙が嵩高剤を含有する印刷用塗工紙。
本発明により、インクジェット印刷機の印刷速度に対応する耐印刷汚れ性を有する印刷用塗工紙を提供することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の印刷用塗工紙は、原紙と、前記原紙の少なくとも片面に塗工層とを有する。前記塗工層において原紙を基準として最外に位置する最外塗工層は、白色顔料としてカオリンおよび炭酸カルシウム、バインダとしてスチレン−ブタジエン共重合体樹脂および澱粉類を少なくとも含有する。
本発明において、「塗工層を有する」とは、用紙の断面を電子顕微鏡によって観察した際に、原紙と区別できる明確な塗工層を有する用紙を指す。例えば、樹脂成分やポリマー成分を塗工し、塗工された前記成分が少量であって原紙に吸収され、結果として、印刷用紙の断面を電子顕微鏡によって観察した際に原紙と区別できる明確な層を有しない場合、「塗工層を有する」に該当しない。
原紙は、LBKP(Leaf Bleached Kraft Pulp)、NBKP(Needle Bleached Kraft Pulp)などの化学パルプ、GP(Groundwood Pulp)、PGW(Pressure GroundWood pulp)、RMP(Refiner Mechanical Pulp)、TMP(ThermoMechanical Pulp)、CTMP(ChemiThermoMechanical Pulp)、CMP(ChemiMechanical Pulp)、CGP(ChemiGroundwood Pulp)などの機械パルプ、およびDIP(DeInked Pulp)などの古紙パルプから選ばれる少なくとも1種のパルプに、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリンなどの各種填料、さらに、サイズ剤、定着剤、歩留まり剤、カチオン性樹脂や多価陽イオン塩などのカチオン化剤、紙力剤などの各種添加剤を必要に応じて配合した紙料を抄造した抄造紙である。さらに原紙には、抄造紙にカレンダー処理、澱粉やポリビニルアルコール等で表面サイズ処理、あるいは表面処理等を施した上質紙が含まれる。さらに原紙には、表面サイズ処理あるいは表面処理を施した後にカレンダー処理した上質紙が含まれる。
紙料中には、その他の添加剤として顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などの1種または2種以上を、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、適宜配合することができる。
本発明の原紙は嵩高剤を含有する。
嵩高剤は、原紙に含有させることでパルプの繊維間結合を阻害する作用効果によって原紙を低密度化する剤である。嵩高剤は製紙分野で従来公知のものであって、例えば、多価アルコールと脂肪酸とのエステルである脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステルのポリオキシアルキレン付加物、高級脂肪酸エステルのポリオキシアルキレン付加物、多価脂肪酸とアルコールとのエステルである多価脂肪酸アルコールエステル、多価脂肪酸アルコールエステルのポリオキシアルキレン付加物、ポリアミンのポリオキシアルキレン付加物と脂肪酸とのエステル化合物、多価アルコールと脂肪酸若しくはヒドロキシルカルボン酸とのエステル化合物の該ヒドロキシル基にアニオン基を導入してなる化合物、直鎖状脂肪酸アミンのポリオキシアルキレン付加物と脂肪酸とのエステル化合物、高級アルコールのポリオキシアルキレン付加物と脂肪酸とのエステル化合物、などのエステル系化合物およびその誘導体;脂肪酸モノアミド、脂肪酸アミドアミンのポリオキシアルキレン付加物、脂肪酸ポリアミドアミン、脂肪酸ジアミドアミン、ポリアルキレンポリアミン−脂肪酸−エピクロロヒドリン縮合物、ポリアルキレンポリアミン−脂肪酸−尿素縮合物、多価脂肪酸とポリアミンとのアミド化合物、多価脂肪酸と直鎖状アミンとのアミド化合物、などのアミド化合物及びその誘導体;脂肪酸アミドアミンのポリオキシアルキレン付加物と脂肪酸とのエステル化合物、などの分子内にアミド結合とエステル結合とを有する化合物;高級アルコールまたは高級脂肪酸のポリオキシアルキレン付加物、多価アルコール型非イオン界面活性剤、糖アルコール系非イオン界面活性剤、糖系非イオン界面活性剤、油脂系非イオン界面活性剤、などの上記以外のポリオキシアルキレン付加物およびその誘導体;その他の化合物として、高級アルコール、スルホコハク酸誘導体、界面活性能を有する部位を含む構成単位とアニオン性モノマーおよびカチオン性モノマーの1種以上に由来する構成単位とを有する重合体、などを挙げることができる。
嵩高剤は、脂肪酸多価アルコールエステルおよび多価脂肪酸アルコールエステルが好ましい。
原紙中の嵩高剤の好ましい含有量は、原紙中のパルプ100質量部に対して0.1質量部以上である。また、嵩高剤の含有量が1.5質量部を超える範囲では効果が飽和するために薬品コスト増になるから、原紙中の嵩高剤の好ましい含有量の上限は1.5質量部以下である。
塗工層は、塗工層塗工液を塗工および乾燥することによって原紙の少なくとも片面に設けることができる。塗工層は1層または2層以上である。塗工層中、原紙を基準として最も外側に位置する塗工層を最外塗工層という。塗工層が1層の場合は該塗工層が最外塗工層になる。塗工層が2層以上の場合、原紙と最外塗工層との間に存在する塗工層は、顔料、バインダおよび各種添加剤の各々有無および種類について特に限定しない。
塗工層の各塗工量は特に限定されない。好ましい塗工量は、乾燥固形分量で片面あたり5g/m以上30g/m以下の範囲である。塗工層が2層以上の場合は、それらの合計の値である。塗工層が2層以上の場合、最外塗工層が乾燥固形分量で片面あたり塗工量の70質量%を占めることが好ましい。
塗工層は、原紙の片面または両面に有してよい。また片面の場合は、原紙において塗工層を有する側とは反対面に従来公知のバックコート層を有してよい。
原紙に塗工層を設ける方法は特に限定されない。例えば、製紙分野で従来公知の塗工装置および乾燥装置を用いて、塗工層塗工液を塗工および乾燥する方法を挙げることができる。塗工装置の例としては、コンマコーター、フィルムプレスコーター、エアナイフコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、Eバーコーター、フィルムトランスファーコーターなどを挙げることができる。乾燥装置の例としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等の各種乾燥装置を挙げることができる。
塗工層はカレンダー処理を施すことができる。
カレンダー処理とは、ロール間に紙を通すことによって平滑性や厚みを平均化する処理である。カレンダー処理の装置としては、例えば、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、多段カレンダー、マルチニップカレンダーなどを挙げることができる。
本発明の印刷用塗工紙には最外塗工層がキャスト処理された印刷用塗工紙を含めない。
最外塗工層は、白色顔料としてカオリンおよび炭酸カルシウムを含有する。
最外塗工層中のカオリンと炭酸カルシウムとの含有質量比(カオリン:炭酸カルシウム)は1:9〜6:4である。インクジェット印刷機に対する印刷適性の点から、炭酸カルシウムは重質炭酸カルシウムが好ましい。
最外塗工層は、カオリンおよび炭酸カルシウム以外に従来公知の白色顔料を含有することができる。従来公知の白色顔料の例としては、タルク、サチンホワイト、リトポン、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、活性白土、珪藻土などの無機白色顔料、およびプラスチック顔料などの有機白色顔料を挙げることができる。最外塗工層は、これら白色顔料から1種または2種以上を組み合わせて、カオリンおよび炭酸カルシウムと併用して含有することができる。
最外塗工層の白色顔料中、カオリンおよび炭酸カルシウムが占める割合は60質量%以上が好ましく、80質量%が更に好ましい。
最外塗工層は、バインダとしてスチレン−ブタジエン共重合体樹脂および澱粉類を含有する。
スチレン−ブタジエン共重合体樹脂を構成する単量体の含有量は、ブタジエンが40質量%以上、スチレンが15質量%以上が好ましい。また、ブタジエンおよびスチレンの合計の含有量は68質量%以上が好ましい。このようなラテックスは、添加する単量体の濃度を調整しつつ乳化重合により得ることができる。
スチレン−ブタジエン共重合体樹脂を構成するブタジエンおよびスチレン以外の単量体の例としては、アクリロニトリル、アクリル酸、アクリル酸塩、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸塩、メタクリル酸エステル、エチレンおよび酢酸ビニルなどを挙げることができる。
澱粉類は、グルコースがグリコシド結合によって重合した多糖類、およびグルコースがグリコシド結合によって重合した多糖類においてグルコースが有する水酸基を種々置換基によって変性した多糖類である。澱粉類の例としては、澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、エーテル化澱粉、カチオン性澱粉、両性澱粉、ジアルデヒド澱粉、燐酸エステル化澱粉および尿素燐酸エステル化澱粉等のエステル化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、並びにヒドロキシブチル化澱粉等を挙げることができる。澱粉類は、尿素燐酸エステル化澱粉が好ましい。
尿素燐酸エステル化澱粉は、燐酸エステル基とカルバミン酸エステル基とをグルコースに有する澱粉である。燐酸エステル基を導入する方法の例としては、トリポリ燐酸ナトリウム等の燐酸塩を単独で添加して焙焼反応させる方法、燐酸エステル基とカルバミン酸エステル基とを導入する方法の例としては、無機燐酸類と共に尿素を添加して焙焼反応させる方法を挙げることができる。尿素燐酸エステル化澱粉は、主に、後者の無機燐酸類と尿素を焙焼反応させる方法によって各種尿素置換度のものを得ることができる。
尿素燐酸エステル化澱粉は尿素置換度平均値が0.005以上0.05以下であることが好ましい。「尿素置換度」とは、澱粉を構成するグルコース単位が有する水酸基におけるカルバミン酸エステル基の置換度である。例えば、尿素置換度=0.02は、澱粉を構成するグルコース単位100個当たり置換基が2個有することを意味する。尿素置換度は、澱粉において従来から知られた値であって公知の方法で求められる。例えば、熱分解GC法またはCHN元素分析計を用いた窒素含有量から求めることができる。また、「澱粉科学実験法」鈴木繁男・中村道徳編集、1979年第1刷発行、朝倉書店発行を参考にすることができる。
最外塗工層中におけるスチレン−ブタジエン共重合体樹脂と澱粉類との含有質量比(スチレン−ブタジエン共重合体樹脂:澱粉類)は、乾燥固形分量として6:4〜9:1である。
最外塗工層は、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂および澱粉類以外に従来公知のバインダを含有することができる。バインダの例としては、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系樹脂、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの重合体若しくはメタクリル酸エステル−ブタジエン共重合体などのアクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体および塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などのビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、またはこれらの各種共重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性樹脂、またはメラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂、天然ゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチンおよび大豆蛋白等の天然高分子樹脂若しくはその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールおよびその各種変性ポリビニルアルコール、ポリプロピレングリコール、並びにポリエチレングリコール等を挙げることができる。最外塗工層は、これらバインダからなる群から選ばれる1種または2種以上をスチレン−ブタジエン共重合体樹脂および澱粉類に併用して含有することができる。
最外塗工層において、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂および澱粉類は最外塗工層のバインダ中80質量%以上を占めることが好ましい。
最外塗工層のバインダの含有量は、カオリンおよび炭酸カルシウムを含む最外塗工層中の白色顔料100質量部に対して、5質量部以上13質量部以下が好ましい。
最外塗工層は分散剤を含有することが好ましい。
分散剤は、顔料などの水に不溶性物質を水溶液中で分散するための材料であって、従来公知の分散剤である。従来公知の分散剤の例としては、ポリカルボン酸ナトリウム等のポリカルボン酸系樹脂、ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、イソブチレン−マレイン酸系樹脂、スルホン化ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、縮合燐酸塩などを挙げることができる。最外塗工層は、これら分散剤からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。
最外塗工層の分散剤は、ポリカルボン酸系樹脂およびアクリル系樹脂からなる群から選ばれる1種または2種以上が好ましい。
最外塗工層中の分散剤の好ましい含有量は、カオリンおよび炭酸カルシウムを含む最外塗工層中の白色顔料100質量部に対して片面あたり0.02質量部以上0.3質量部以下である。分散剤は、バインダと重なる材料が存在する。しかしながら、分散剤として使用する材料はバインダに比べて最外塗工層中の含有量が明確に少なく、また、分散剤はバインダに比べて分子量が小さいため、区別できる。最外塗工層が分散剤を含有することによってインクジェット印刷機に対する印刷適性が良化する。
最外塗工層は滑剤を含有することが好ましい。
滑剤は、従来公知の滑剤である。従来公知の滑剤の例としては、高級脂肪酸塩、ワックス類および有機珪素化合物などを挙げることができる。高級脂肪酸塩としては、例えば、ラウリン酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ミリスチン酸塩などの高級脂肪酸金属塩(例えば、これらのナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、カルシウム塩)、また、ラウリン酸アンモニウム、オレイン酸アンモニウム、パルミチン酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、ミリスチン酸アンモニウムなどの高級脂肪酸アンモニウム塩である。ワックス類としては、例えば、植物性ワックス、動物性ワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、合成ワックス(炭化水素系合成ワックス、ポリエチレンエマルション系ワックス、高級脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、ケトン・アミン類、水素硬化油など)、ポリプロピレンおよびポリテトラフルオロエチレン重合体等の脂肪族炭化水素並びにその誘導体を挙げることができる。有機珪素化合物としては、例えば、ポリアルキルシロキサンおよびその誘導体、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アルキル・アラルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイルなどを挙げることができる。最外塗工層は、これら滑剤からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。
最外塗工層の滑剤は高級脂肪酸塩が好ましい。
最外塗工層中の滑剤の好ましい含有量は、カオリンおよび炭酸カルシウムを含む最外塗工層中の白色顔料100質量部に対して片面あたり0.25質量部以上0.6質量部以下である。最外塗工層が滑剤を含有することによってインクジェット印刷機に対する印刷適性が良化する。
最外塗工層はカチオン性樹脂を含有することが好ましい。
カチオン性樹脂は従来公知のカチオン性樹脂である。好ましいカチオン性樹脂は、プロトンが配位し易く、水に溶解したとき解離してカチオン性を呈する1級〜3級アミンまたは4級アンモニウム塩を含有するポリマーまたはオリゴマーである。また、好ましいカチオン性樹脂は、カチオン化度が0meq/g超3meq/g以下の低カチオンまたはカチオン化度が3meq/g超の高カチオン性樹脂である。ここで、カチオン化度は、コロイド滴定法によって測定される値である。
従来公知のカチオン性樹脂の例としては、ポリエチレンイミン、ポリアミンおよび変性ポリアミン、ポリビニルピリジン、ポリアミドアミン、ポリビニルアミン、変性ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリアリルアミン、ポリジアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリジアルキルアミノエチルアクリレート、ポリジアルキルアミノエチルメタクリルアミド、ポリジアルキルアミノエチルアクリルアミド、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、アリルジメチルアンモニウムクロライドとアクリルアミド等との共重合物、ジメチルアミン−エピクロルヒドリン重縮合物等の脂肪族モノアミンとエピハロヒドリン化合物との重縮合物もしくはジエチレントリアミン−エピクロルヒドリン重縮合物等の脂肪族ポリアミンとエピハロヒドリン化合物との重縮合物、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物、ポリエポキシアミン、ポリアミド−エポキシ樹脂、メラミン樹脂、並びに尿素系樹脂を挙げることができる。最外塗工層は、これらカチオン性樹脂からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。カチオン性樹脂の平均分子量は特に限定されない。平均分子量は、500以上100000以下が好ましく、1000以上60000以下がより好ましい。
最外塗工層のカチオン性樹脂は、変性ポリアミンまたは変性ポリアミドが好ましい。
最外塗工層中のカチオン性樹脂の好ましい含有量は、カオリンおよび炭酸カルシウムを含む最外塗工層中の白色顔料100質量部に対して片面あたり0.25質量部以上0.5質量部以下である。最外塗工層がカチオン性樹脂を含有することによってインクジェット印刷機に対する印刷適性が良化する。
最外塗工層は、さらに必要に応じて塗工紙分野で従来公知の各種添加剤を含有することができる。添加剤の例としては、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、発泡剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤等を挙げることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されない。ここで「質量部」および「質量%」は、乾燥固形分量あるいは実質成分量の各々「質量部」および「質量%」を表す。塗工層の塗工量は乾燥固形分量を表す。
<原紙>
濾水度400mlcsfのLBKP100質量部からなるパルプスラリーに、填料として炭酸カルシウム8質量部、両性澱粉1.0質量部、硫酸バンド0.8質量部、AKDサイズ剤1質量部および嵩高剤として脂肪酸多価アルコールエステルを添加して紙料を調成し、該紙料を長網抄紙機で抄造し、得られた抄造紙の両面にサイズプレス装置で両面に澱粉を付着させ、マシンカレンダー処理をして原紙を作製した。
パルプ100質量部に対して嵩高剤の含有量が0質量部を原紙1、嵩高剤の含有量が0.1質量部を原紙2、嵩高剤の含有量が0.5質量部を原紙3、嵩高剤の含有量が1質量部を原紙4、嵩高剤の含有量が1.2質量部を原紙5とした。
また、脂肪酸多価アルコールエステルに代えて嵩高剤として脂肪酸ポリアミドアミンを用い、パルプ100質量部に対して嵩高剤の含有量が0.5質量部を原紙6とした。
<最外塗工層塗工液>
最外塗工層塗工液は、下記の内容により調製した。
カオリン 部数は表1に記載
炭酸カルシウム 部数は表1に記載
シリカ 部数は表1に記載
澱粉類 種類および部数は表1に記載
スチレン−ブタジエン共重合体樹脂 部数は表1に記載
分散剤 種類および部数は表1に記載
滑剤 種類および部数は表1に記載
カチオン性樹脂 種類および部数は表1に記載
上記の内容で配合し、水で混合・分散して、濃度48質量%に調整した。
Figure 2019094590
(印刷用塗工紙)
印刷用塗工紙を以下の手順にて作製した。
原紙上に最外塗工層塗工液をブレードコーターにて両面塗工し、その後に乾燥した。さらに乾燥後に、カレンダー処理を施した。塗工量は、片面あたり14g/mとした。
<耐印刷汚れ性>
ミヤコシ社のインクジェット印刷機MJP20MX−7000を用い、水性顔料インクにて印刷速度:160m/分および200m/分の条件で各3000m、評価画像を印刷した。評価画像は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各単色およびブラックを除く他の3色インクによる2重色(レッド、グリーン、ブルー)の計7色のベタ画像部パターンを、3cm×3cm四方で横一列に隙間なく配置する画像とした。耐印刷汚れ性は、印刷部分に存在する印刷汚れを目視にて観察し、視認される程度によって下記の基準にて評価した。本発明において、3〜5の評価であれば、印刷用紙は耐印刷汚れ性を有するものとする。
5:印刷汚れが認められない。良好
4:印刷汚れがほぼ認められない。概ね良好。
3:印刷汚れが僅かに認められる。しかし、実用上問題ない。
2:印刷汚れが少し認められる。
1:印刷汚れが認められる。
評価結果を表2に示す。
Figure 2019094590
表2から、本発明に該当する実施例1〜22は、印刷速度に対応した耐印刷汚れ性を有することが分かる。一方、本発明の構成を満足しない比較例1〜4は、印刷速度に対応した耐印刷汚れ性を有することができないと分かる。また、比較例5は、オフセット印刷に対してブランケットパイリングを発生し、オフセット印刷機に対する適性を有する印刷用塗工紙ではなかった。

Claims (1)

  1. 原紙と、前記原紙の少なくとも片面に塗工層とを有し、前記塗工層において原紙を基準として最外に位置する最外塗工層が白色顔料およびバインダを少なくとも含有し、最外塗工層において、白色顔料の少なくとも2種にカオリンおよび炭酸カルシウムを含み、カオリンと炭酸カルシウムとの最外塗工層中の含有質量比(カオリン:炭酸カルシウム)が1:9〜6:4であり、且つバインダの少なくとも2種にスチレン−ブタジエン共重合体樹脂および澱粉類を含み、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂と澱粉類との最外塗工層中の含有質量比(スチレン−ブタジエン共重合体樹脂:澱粉類)が6:4〜9:1であり、前記原紙が嵩高剤を含有する印刷用塗工紙。
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