JP2009073059A - インクジェット記録用紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 高速インクジェットプリンターに使用するインクジェット記録用紙であって、パルプ、填料としてロゼッタ型軽質炭酸カルシウム、および内添サイズ剤としてアルケニル無水コハク酸を含有する基紙に、カチオン性樹脂とアニオン性蛍光染料、及び結着剤を含有し、かつ顔料を含まない塗工液を塗工してなり、ステキヒトサイズ度が10〜25秒かつJIS−P8251に規定された灰分が13%〜25%である。
【選択図】 図1
Description
インクジェット記録用紙として、インク受容層を設けた塗工紙タイプと顔料を含むインク受容層を設けない普通紙タイプに大別される。デジタルカメラの画像出力には高精細画像を再現できる塗工紙タイプが主に用いられ、一方、ビジネスレポートや公共料金の明細書などの印刷には安価な普通紙タイプが主に用いられる。今後、このようなインクジェット記録の用途拡大に伴い、低コストでかつ高精細画像を再現可能な普通紙タイプのインクジェット記録用紙が求められている。
耐フェザーリング性について述べると、近年コンビニエンスストアで取り扱い可能な公共料金などの振込用紙に記載されるバーコードGS1−128に統一された。GS1−128は従来主流であったJAN、CODE39などと比較して非常に高精細であり、これまで以上に高い耐フェザーリング性が求められる。
また特許文献2には、カチオン性樹脂を0.2〜2.0g/m2の範囲で付着させ、ブリストー吸収係数が1.07〜1.90(ml/m2・ms1/2)である高速輪転インクジェットプリンティングシステムに用いるシートが記載されている。
また、特許文献3には、蛍光染料と、ジアリルジメチルアンモニウム塩を含むモノマーを重合して得られるポリマー、染料固着剤、特定のカチオン性ポリマーを含有した紙塗工用組成物、及びそれを塗工してなるインクジェット記録用紙が記載されている。
したがって、本発明は、高いインク乾燥性を有すると共に高精細バーコードが読み取り可能となる高い耐フェザーリング性を有し、かつ耐水性があり高白な普通紙タイプのインクジェット記録用紙を提供することを目的とする。
<パルプ>
基紙は、木材パルプおよび填料、助剤等を抄紙してなる。木材パルプとしては、公知の化学パルプ、機械パルプ、および脱墨パルプ等が挙げられる。また、これら各種パルプは必要に応じて単独で使用され、または併用される。パルプとしては、抄紙に慣用される従来公知のものを用いることができ、例えば広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)等の化学パルプ;砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ;等の木材パルプや、古紙パルプ(DIP)を挙げることができる。さらに、コットンパルプや麻、バガス、ケナフ、エスパルト、楮、三椏、雁皮等の非木材パルプも用いることができる。
基紙中に内添する填料は、ロゼッタ(rosette)型の軽質炭酸カルシウムを主に含む。ロゼッタ型の軽質炭酸カルシウムとは、紡錘形状の軽質炭酸カルシウムの一次粒子が放射状に凝集してロゼッタ型の二次粒子を形成したものであり、具体的にはSpecialty Minerals Inc.社のアルバカーHO、アルバカー5970アルバカーLO等の製品を好ましく挙げることができる。ここで、放射状とは、例えば上記二次粒子の中心近傍から、各一次粒子の長手方向が放射状に伸びたものを指す。
基紙のJIS−P8251に規定された灰分は13〜25%であることが必要であり、好ましくは15〜20%である。灰分が13〜25%であると、インクジェット記録時のインク乾燥性が向上する。一方、灰分が13%未満であるとこれらの効果が得られず、25%を超えるとインクが記録用紙における横方向へのインクの浸透を制御できず、繊維に沿ってインクがニジみやすくなり、耐フェザーリング性が低下する。
なお、JIS−P8251に規定する灰分は、試料(紙)を525±25℃の温度で燃焼させた後の灰分残留物の量を、試料の絶乾質量に対する百分率で表したものである。
基紙を抄造する抄紙機としては、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、ヤンキー抄紙機などの公知の装置を適宣使用することができる。このうち、ツインワイヤー抄紙機を用いて抄造することにより、原料スラリーの上下より脱水を行うために紙表裏の組成差が小さいため、特に好ましい。本発明におけるインクジェット記録用紙を得るために、抄造条件としてパルプ濾水度、ジェットワイヤー比、プロファイル、プレス、カレンダーなどの調整が行われ、また乾燥条件も抄紙機のドライヤーでの蒸気圧および通気方法など、公知の方法が利用できる。抄紙pHは、酸性領域からアルカリ性領域で行うことが可能である。好ましくは、pH6〜9の弱酸性〜弱アリカリ性領域である。また、基紙中には、本発明の効果を損なわない範囲で、紙力増強剤、消泡剤、pH調整剤、色相を調整するための染料または有色顔料、視覚的白さを向上させるための蛍光染料等の抄紙用内添薬品を内添することができる。
本発明においては、内添サイズ剤としてアルケニル無水コハク酸を用いる。アルケニル無水コハク酸の含有量としては、紙質量当り0.01〜5質量%程度であることが好ましく、0.1〜0.3質量%であることが特に好ましい。含有量が0.01%未満である場合、十分なサイズ度を得ることが困難である。一方、5質量%を超える場合、得られたインクジェット記録用紙の摩擦係数が極端に低下してしまうなど、紙質への悪影響が出る場合がある。摩擦係数を極端に低下させた場合、フォーム印刷機および高速インクジェットプリンターを用いて印刷した場合にフィードロールで紙滑りが発生しやすくなり、バタ付きなどの問題が生じる。
本発明においては上記基紙中に、内添サイズ剤にアルケニル無水コハク酸を、内添填料にロゼッタ(rosette)型の軽質炭酸カルシウムを含有することで、高いインク吸収性を保ちつつ、高いサイズ効果を発現させることができるが、さらにJIS−P8122にて規定されるステキヒトサイズ度が10〜25秒であることが必要である。高いレベルでの耐フェザーリング性とインク乾燥性の両立を図るためには、ステキヒトサイズ度が12秒〜18秒であることが特に好ましい。ステキヒトサイズ度が10秒未満である場合、インクジェット記録用紙に打ち込まれたインクが横方向に広がりやすくなり、耐フェザーリング性が大きく低下する。一方、ステキヒトサイズ度が25秒を超える場合、耐フェザーリング性は良好であるが、インク乾燥性が大きく低下するため、高速インクジェットプリンターに使用することが困難である。
<カチオン性樹脂>
本発明においては、アニオン性のインクジェット用インクに耐水性を付与するため、染料定着剤となるカチオン性樹脂がインク受容層に含まれていることが好ましい。
本発明においては、高い白色度を得るために、塗工液中に蛍光染料を配合することが好ましい。蛍光染料としては、ジアミノスチルベン型、イミダゾール型、オキサゾール型、トリアゾール型、クマリン型、ナフタルイミド型、およびピラゾリン型蛍光染料が挙げられる。一般的にアニオン性の蛍光染料はカチオン性樹脂との相溶性が悪く、混合時に凝集物が発生する。本発明においては、前述したカチオン性樹脂との相溶性が高く、高い白色度が得られる蛍光染料として、特にジアミノスチルベン型が好ましい。
塗工液中に含有する結着剤に特に制限はなく、例えば公知の樹脂から適宣選択することができる。本発明においては、水溶性高分子接着剤、合成エマルジョン系接着剤等、水に溶解または分散可能なものが好ましい。水溶性高分子接着剤としては、デンプンまたはその変性物、ポリビニルアルコールおよびその変性物、カゼインなどを挙げることができる。また、合成エマルジョン系接着剤としては、アクリル樹脂系エマルジョン、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、スチレンブタジエンラテックス、ウレタン樹脂系エマルジョンなどを挙げることができるが、印刷濃度の点から水溶性高分子接着剤を使用することが好ましい。結着剤として具体的には、完全ケン化型ポリビニルアルコール、部分ケン化型ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、酸化デンプン、ヒドロキシルエチルエーテル化デンプン、リン酸エステル化デンプンなどが挙げられる。
なお、本発明の効果を損なわない範囲で、塗工液中にサイズ剤、染料、保水剤、耐水化剤、pH調整剤、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、界面活性剤、導電剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、などの添加剤を配合することが可能である。
本発明においては、インク受理層はトランスファーロールコーターにより高速(300m/min.以上、1000m/min.以上も可能)で塗工形成される。これらは支持体に同時に両面塗工でき、抄紙機上に容易に設置できる塗工方式である。これにより、生産性が大幅に向上するとともに、支持体の両面同時に塗工することにより、両面印刷可能なインクジェット記録用紙を安価に製造可能となる。トランスファーロールコーターとしては、ゲートロールコーター、ロッドメータリングサイズプレス、ブレードメータリングサイズプレスなどが挙げられ、前計量方式(印刷塗工方式)で支持体に塗工液を塗布する(複数のロールやバ−やブレード等で計量した塗工液を、アプリケーションロールを用いて支持体に塗布する)コーターであり、ブレードコーターやバーコーターなどの後計量方式(支持体に付着させた塗工液を掻き取る方式)で塗工するコーターと比較して、塗工時に用紙にかかる負荷が小さいため断紙し難く、より高速で塗工できる等の利点がある。
なお、従来のインクジェット記録用紙の製造における塗工方式としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、バーコーター、カーテンコーターなどが用いられているが、これらの方式で支持体に同時に両面塗工することは困難であり、両面塗工するには、製造工程数の増加、乾燥負荷の増大などの問題が生じ、実用的でない。
本発明における高速インクジェットプリンターとは、印刷速度100m/min.以上のロール印刷機を指す。前記インクジェットプリンターには、インク各色毎にラインヘッドが搭載されており、高速印刷を可能としている。インクは水性染料タイプ、または水性顔料タイプに分別される。また、マイクロ波乾燥、高周波乾燥、シリンダー乾燥、熱風乾燥などの補助乾燥装置が設置されている。具体的には、Kodak versamark 社製VX5000e、イセトー社製イセトースーパージェット4000、ミヤコシ社製MJP600などが挙げられる。
広葉樹クラフトパルプ(濾水度350ml c.s.f)からなるパルプスラリー100部に対して、填料としてロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(アルバカー5970:SMI社製)を対パルプ当たり20%、内添サイズ剤としてアルケニル無水コハク酸(AS1532:星光PMC社製)をポリマーサイズ剤(SP1800:星光PMC社製)で乳化させたエマルション0.2%、カチオン化デンプン0.8%を添加し、ツインワイヤー型抄紙機を使用して800m/min.の速度で坪量80g/m2になるよう抄造した基紙に、酸化澱粉(MS#3600:日本食品化工社製)10.0%、分子量数千のポリアミンエピハロヒドリン系樹脂(DK6850:星光PMC社製)4.0%、スチルベン型蛍光染料(カヤホールPASQリキッド:日本化薬社製)0.3%からなる塗工液を、オンマシン上に設置されたロッドメータリングサイズプレスを用いて両面で7g/m2となるよう塗工することにより、インクジェット記録用紙1を得た。
基紙に内添するアルケニル無水コハク酸エマルションを0.3%とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙2を作製した。
基紙に内添するアルケニル無水コハク酸エマルションを0.12%とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙3を作製した。
基紙に内添するロゼッタ型軽質炭酸カルシウムを30%、アルケニル無水コハク酸エマルションを0.25%とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙4を作製した。
基紙に内添するロゼッタ型軽質炭酸カルシウムを15%、アルケニル無水コハク酸エマルションを0.20%とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙5を作製した。
塗工液中のポリアミンエピハロヒドリン系樹脂を2.5%とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙6を作製した。
塗工液中に分子量数万のポリアミンエピハロヒドリン系樹脂(DK6854:星光PMC社製)を4.0%配合した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙7を作製した。
基紙に内添するアルケニル無水コハク酸エマルションを0.05%とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙8を作製した。
基紙に内添するアルケニル無水コハク酸エマルションを0.40%とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙9を作製した。
基紙にアルキルケテンダイマー(AD1604:星光PMC社製)を0.20%配合した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙10を作製した。
基紙に中性ロジン(NT−87:荒川化学社製)を0.20%配合した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙11を作製した。
塗工液中の蛍光染料を無配とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙12を作製した。
塗工液中のポリアミンエピハロヒドリン系樹脂を無配とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙13を作製した。
基紙に内添するロゼッタ型軽質炭酸カルシウムを10%、アルケニル無水コハク酸エマルションを0.15%とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙14を作製した。
基紙に内添するロゼッタ型軽質炭酸カルシウムを40%、アルケニル無水コハク酸エマルションを0.30%とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙15を作製した。
基紙に内添する軽質炭酸カルシウムを紡錘状(PC:白石工業社製)20%とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙16を作製した。
<評価項目>
・灰分
JIS−P8251に準拠して、各インクジェット記録用紙の525度灰分を測定した。
・ISO白色度
JIS−P8148(ISO 2470)に準拠して、各インクジェット記録用紙のISO白色度(UV−in)を測定した。90%を超えると充分に高白であり、問題ない。
・ステキヒトサイズ度
JIS−P8122に準拠して、各インクジェット記録用紙のステキヒトサイズ度を測定した。
・走行性
得られたインクジェット記録用紙を用いて、印刷速度150m/min.でインクジェット印刷を行い、印刷時における紙滑りやバタツキ、粉落ちなどの走行性を目視評価した。以下の評価が○、△であれば実用上問題なく使用できる。
○:良好
△:やや良好
×:不良
各記録用紙について,インクジェットプリンターSCITEX6240システムプリンター(SCITEX社製)に上記インクを用いて、インクジェット記録を行い、以下の評価項目に従って印刷適性を評価した。評価結果を表1、表2に示す。
・耐フェザーリング性
黒色のベタ印刷パターンを印刷した後、線のニジミ具合を目視判定した。以下の評価が○、△であれば実用上問題なく使用できる。
○:ニジミがない
△:若干、ニジミが生じる
×:ニジミが多い
黒色のベタ印刷パターンを印刷した後、蒸留水に30秒浸漬して耐水性を目視判定した。以下の評価が○、△であれば実用上問題なく使用できる。
○:インクが流れ落ちない
△:若干、インク流れ落ちている
×:ほとんどのインクが流れ出した
黒色のベタ印刷パターンを上記インクジェットプリンターでベタ印刷した後、ベタ部を指でこすり、乾燥に要するまでの時間を測定した。以下の評価が○、△であれば実用上問題なく使用できる。
○:乾燥に要する時間が5秒未満であった
△:乾燥に要する時間が5秒以上を超え、10秒以下であった
×:乾燥に要する時間が10秒を超えた
Claims (4)
- 高速インクジェットプリンターに使用するインクジェット記録用紙であって、パルプ、填料としてロゼッタ型軽質炭酸カルシウム、および内添サイズ剤としてアルケニル無水コハク酸を含有する基紙に、カチオン性樹脂とアニオン性蛍光染料、及び結着剤を含有し、かつ顔料を含まない塗工液を塗工してなり、ステキヒトサイズ度が10〜25秒かつJIS−P8251に規定された灰分が13%〜25%である普通紙タイプのインクジェット記録用紙。
- 前記カチオン性樹脂がポリアミンエピハロヒドリン系樹脂であり、前記アニオン性蛍光染料がスチルベン型蛍光染料である請求項1に記載のインクジェット用紙。
- 前記カチオン性樹脂の分子量が10,000以下である請求項1又は2に記載されたインクジェット用紙。
- 前記基紙に前記塗工液をトランスファーロールコーターで塗工してなる請求項1〜3のいずれかに記載されたインクジェット用紙。
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