JP6712669B2 - インクジェット印刷用紙 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット印刷用紙に関する。更に詳しくは、一般印刷用塗工紙と同様の風合いを有するインクジェット印刷用紙に関すものである。
インクジェット記録方式は、染料インクや顔料インクの液滴を吐出し、記録紙上に付着させることによってドットを形成し、記録を行う方式である。近年、インクジェットプリンター、インク、記録媒体の技術的進歩によって、印字品質の高い記録が可能になってきている。また、商業印刷等の分野においては、可変情報をデジタル化して高速に印刷する、いわゆるオンデマンド印刷方式が導入されつつあり、オンデマンド印刷方式を採用しているインクジェット印刷機も登場しつつある。オンデマンド印刷方式においては、情報を製版することなく紙などのメディアに直接印刷することが可能なために少部数の印刷にも適している。最近では、装置の高速化や高精細化に著しい進歩が見られることによる用途の拡大に伴い、一般印刷用塗工紙(例えば一般オフセット印刷用紙)と同様の風合いを有する塗工紙にもインクジェット印刷を行う需要が増大してきている。
しかし、一般的な印刷用塗工紙をインクジェット印刷方式で印刷する場合、一般印刷用塗工紙を従来市販のインクジェット用紙と比較すると、インクジェット用インクの吸収性が著しく悪く、画像鮮明性やインク乾燥性が悪化して実用的でない場合がある。この理由として、塗工層に使用する顔料の細孔容積が著しく低く、バインダーとして一般的に使用されるラテックスが塗工層の細孔容積を著しく低下させてしまうことが挙げられる。ラテックスとしては一般的にはコスト面と強度面で有利なスチレンブタジエンラテックスを用いることが多いが、スチレンブタジエンラテックスは撥水性が高い傾向にあるため、インクの吸収性が低下し印字画像が悪化する恐れがある。また一般的な印刷用塗工紙と同様の風合いを得るためにキャレンダー処理を施すが、キャレンダー処理時にキャレンダーロール表面が汚れやすいため、離型剤を塗工層中に含有させていることが挙げられる。離型剤は撥水作用を持つため、インクの吸収性が低下し印字画像が悪化する。
従来、インクジェット用紙のインク受容層としては、シリカ、アルミナ、ベーマイト等の比表面積の大きな顔料を主成分として用いて塗工層の細孔容積を大きくしたものが使用されている。しかし、これらのインクジェット用紙は、一般印刷用塗工紙の風合いを有さないばかりか、高価であるため、オンデマンド印刷のような商業印刷分野においては実用的ではない。
また、従来のインクジェット印刷用紙の技術としては、塗工層に使用するバインダーとして、2種類以上の親水性接着剤を含有させる印刷用紙(特許文献1)、塗工量および液体吸収性を限定した印刷用紙(特許文献2)が開示されているが、インク吸収性には効果があるものの、キャレンダー処理時にはロール表面にラテックス由来の汚れが発生しやすく白紙面感が劣化する。またキャレンダー表面の汚れにより均一な塗工層面が形成されず、塗工層表面にインク吸収性のムラが発生し、印字画像が悪化する欠点がある。
特開2011−110736 特開2009−138317
本発明は、印字品位の高いインクジェット印刷用紙を提供することにある。
本発明者は、支持体上の少なくとも片面に密実プラスチックピグメントを含む顔料とブタジエン共重合ラテックスを含有するインク受容層を有するオンデマンドインクジェット印刷用紙において、前記インク受容層に水分散性の高級脂肪酸塩およびその誘導体から選ばれる1種以上を含有し、かつ前記インク受容層に含有しているブタジエン共重合ラテックスが少なくともアクリロニトリルを含む共重合体であることで、インクジェット用インクの吸収性を維持しながら、キャレンダー処理時のロール表面の汚れを抑制し、良好な白紙面感を得られることを見出し本発明に至った。
本発明により、一般印刷用塗工紙と同様の風合いを有し、印字品位が高くかつ安価なインクジェット印刷用紙を提供することができる。また、本発明の製造方法に従えば、従来の一般印刷用塗工紙の製造効率と同程度の製造効率を維持することが可能である。
(1)基紙
本実施形態に係るインクジェット印刷用紙の基紙に使用するパルプ繊維はLBKP(広葉樹さらしクラフトパルプ)、NBKP(針葉樹さらしクラフトパルプ)などの化学パルプ、GP(砕木パルプ)、PGW(加圧式砕木パルプ)、RMP(リファイナーメカニカルパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、CTMP(ケミサーモメカニカルパルプ)、CMP(ケミメカニカルパルプ)、CGP(ケミグランドパルプ)などの機械パルプ、DIP(脱インキパルプ)などの木材パルプ及びケナフ、バガス、竹、コットンなどの非木材パルプである。これらは、単独で使用するか、又は任意の割合で混合して使用することが可能である。また、本発明の目的とする効果を損なわない範囲において、合成繊維を更に配合することができる。環境保全の観点から、ECF(Elemental Chlorine Free)パルプ、TCF(Total Chlorine Free)パルプ、古紙パルプ、植林木から得られるパルプが好ましい。また、本発明に係る基紙を構成するパルプは、インクジェット記録用紙として適切な叩解度を有する紙料とすることが好ましい。適切な叩解度としては、例えば、カナダ標準ろ水度(フリーネス)(JIS P 8121:1995「パルプのろ水度試験方法」)で、350〜650mlCSFである。本発明において使用される適切なパルプとしては、例えば、パルプ中80〜100質量%のLBKP(広葉樹さらしクラフトパルプ)を含有する400〜550mlCSFのパルプであればよい。
本実施形態に係る基紙に使用する填料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、焼成クレー、二酸化チタン、水酸化アルミニウムである。基紙中の填料含有量は、パルプの乾燥質量100質量部に対して、2〜20質量部であることが好ましい。より好ましくは3〜17質量部である。さらに好ましくは、4〜15質量部である。2質量部以下では白色度向上、不透明度向上等の効果が得られない。20質量部を超えると基紙自体の強度が不足し印刷・加工に耐えられず実質使用することが困難である。
本実施形態に係る基紙中においては、パルプ、填料に加えて、は内添サイズ剤、湿潤紙力増強剤などの内添紙力増強剤、嵩高剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、蛍光消色剤、ピッチコントロール剤などの各種助剤を、各製品に合わせて好適に配合することができる。内添サイズ剤は、各種公知のものが使用でき、特に限定されず、例えば、強化ロジンサイズ剤、酸性ロジンサイズ剤、弱酸性ロジンサイズ剤、AKD、ASAである。前記内添紙力増強剤としては、従来公知の紙力増強剤を使用することが可能であり、例えば、澱粉系紙力増強剤、ポリアクリルアミド系紙力増強剤、ポリビニルアルコール系紙力増強剤である。
基紙を抄紙する方法は、特に限定されるものではなく、長網抄紙機、長網多層抄紙機、円網抄紙機、円網多層抄紙機、長網円網コンビ多層抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種装置で製造できる。
本実施形態に係る抄紙方法で得られる基紙には、表面サイズ液を塗布しても良い。表面サイズ液として澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの公知の水溶性高分子などが上げられるが特に限定されるものではない。基紙の坪量は、特に限定されないが、30〜300g/mであることが好ましい。
(2)インク受容層
本発明において、インク受容層に含有させる顔料としては、密実プラスチックピグメントを含むことが必要である。インク受容層に密実プラスチックピグメントを含むことで、インク吸収性を維持したまま白紙光沢を向上させることができる。本発明において使用する密実プラスチックピグメントは中空構造を有さない(内部空隙のない)プラスチックピグメントを示し、炭酸カルシウム、カオリンなどの一般的な無機顔料に比べて、弾性変形しやすいという特徴を有するため、インク受容層内の空隙構造を保ちながら、表面の平滑性を向上させることで、結果としてインク吸収性を維持したまま白紙光沢を向上できると推測される。密実プラスチックピグメントの成分としては少なくともモノマーとしてスチレンを含む共重合体であることが好ましい。例えば、ポリスチレンまたはスチレンを主成分としたほかの共重合可能なモノマーとの共重合物であることが好ましく、ポリスチレンがより好ましい。他に重合可能なモノマーとしては、例えば、アクリロニトリルやアクリレート、メチルメタクリレート、ブタジエン等が挙げられ、密実プラスチックピグメントとして好ましい例としては、スチレンアクリル共重合体、スチレン共重合体、スチレンブタジエン共重合体などである。密実プラスチックピグメントは顔料100部に対して0.1〜40部であることが好ましく。インク吸収性を維持しながら白紙光沢を向上させることができる。より好ましくは、5.0〜30部であり、インク吸収性を維持しながら白紙光沢をより向上さることができる。0.1部を下回るとインク吸収性と白紙光沢が共に低下する場合があり、40部を超えると白紙光沢は向上するもののインク吸収性が低下する場合がある。またプラスチックピグメントとして、内部に空隙を含む中空プラスチックピグメントは塑性変形しやすく、前記のような効果が得られない。それに対して、本発明において使用する密実プラスチックピグメントとは中空構造を有さない(内部空隙のない)プラスチックピグメントであり、密実プラスチックピグメントであれば、内部と外側で成分を変えたコアシェル型のプラスチックピグメントを用いても良い。さらに当該密実プラスチックピグメントの粒子径(平均粒径)としては、0.05μm〜0.8μmであることが好ましい。本発明において密実プラスチックピグメント以外の顔料は、一般に印刷用塗工紙に使用されている公知の白色顔料を1種類以上含むものであり、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン(クレーを含む)、焼成クレー、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、中空プラスチックピグメント等の有機高分子微粒子等であり、これらの中から目的に応じて1種あるいは2種以上が適宜選択して使用される。本実施形態で使用する密実プラスチックピグメント以外の顔料は、一般印刷用紙に使用される公知の顔料を1種以上含むものであり、例えば、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪藻土、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機顔料、又はアクリル、スチレン、塩化ビニル、ナイロンなどの有機顔料が挙げられる。中でも、炭酸カルシウム、カオリン、タルクから選ばれる少なくとも1種を使用すると、一般印刷用塗工紙と同様の風合いをより得られるので好ましい。また、本発明において、コストが高くなるアルミナ、シリカ、ベーマイト等の顔料は使用しないことが好ましい。顔料の組合せとしては、密実プラスチックピグメントを必須成分とする以外は特に限定されないが、例えば、全顔料100質量部に対し密実プラスチックピグメントを0.1〜40質量部、カオリンを30〜60質量部、炭酸カルシウムを20〜50質量部の割合で使用すればよい。さらに、例えば、全顔料100質量部に対し密実プラスチックピグメントを0.1〜30質量部、カオリンを30〜65質量部、炭酸カルシウムを20〜55質量部の割合で使用すればよい。カオリンが30質量部未満となると光沢度が劣る場合がある。
本発明においては、インク受容層のバインダーとしてブタジエン共重合ラテックスを含有する。本発明でいうブタジエン共重合ラテックスとは少なくともブタジエンをモノマーとして含む共重合体ラテックスであればよく、一般的に、ブタジエンとスチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどのモノマーを共重合することで製造されるものであり、各モノマーの組成比を変えることで強度物性、Tg等の品質を調整することができる。本発明においては、インク受容層中に含まれるバインダーとして前記ブタジエン共重合ラテックスを含み、ブタジエン共重合ラテックスが少なくともモノマーとしてアクリロニトリルを含む共重合体であることが必要である。前記ブタジエン共重合ラテックスとしてはブタジエンとアクリロニトリルに加えて、例えば、スチレン、メチルメタクリレート、メタクリルアミド、アクリル酸などのモノマーを共重合したブタジエン共重合ラテックスでも良い。前記ブタジエン共重合ラテックスをインク受容層のバインダーとして含むことで、インクジェットインクの吸収性を最適にコントロールすることができる。アクリロニトリルはスチレンやブタジエン、メチルメタクリレートなどと比べてポリマーとした時の水に対する接触角が低く、濡れ広がりやすい。そのため、アクリロニトリルを含むことによりインクの濡れ広がりが促進されることでインク吸収性が向上すると推測される。前記ブタジエン共重合ラテックスを含むことで、光沢度などの印刷塗工紙の風合いを保ちながら、塗工層強度を従来の一般印刷用塗工紙並みの強度にすることが可能である。前記ブタジエン共重合ラテックスのガラス転移温度、粒子径、アクリロニトリル比率により、キャレンダー処理時のロール表面の汚れが発生しやすくなるが、水分散性の高級脂肪酸塩を添加することで、抑制可能である。また、本発明においては、インク受容層のバインダーとして前記ブタジエン共重合ラテックス以外の公知のバインダーも用いることができる。このようなバインダーとしては、酸化澱粉、酵素変性澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン性澱粉、両性澱粉などの澱粉類、ゼラチン、カゼイン、大豆タンパク、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、等の合成樹脂類等が例示できる。これらの中から目的に応じて1種あるいは2種以上が適宜選択して使用される。特に印刷用塗工紙で一般に用いられる澱粉と前記ブタジエン共重合ラテックスの組み合わせがインク受容層の塗工層強度及びコスト抑制の観点から好ましい。
前記ブタジエン共重合ラテックスとしては、アクリロニトリルを10%〜40%の組成比(質量%)の範囲で共重合していることが好ましい。前記ブタジエン共重合ラテックスにおけるアクリロニトリルの組成比が10%未満の場合は、インク吸収性が低く、印字滲みが発生して印字品位に劣る恐れがある。40%を超える場合は光沢度が低下して白紙面感に劣る恐れがある。さらに好ましくは10〜31%であり、印字品位と白紙面感のバランスに優れる。ここで言う組成比とは、ブタジエン共重合ラテックスを共重合する際のモノマー量の比率である。ブタジエン共重合ラテックスの組成比はガスクロマトグラフ質量分析計で求めることができる。インク受容層中のブタジエン共重合ラテックスの組成比も同様に、インク受容層をガスクロマトグラフ質量分析計で分析することにより求められる。前記ブタジエン共重合ラテックスにおけるブタジエンのモノマー量の比率としては20〜55質量%であることが好ましく、ブタジエン共重合ラテックスとしては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合ラテックスであることが好ましく、さらに、スチレンのモノマー量の比率としては10〜50質量%であることが好ましい。
バインダーの配合量は特に限定されないが、全顔料100質量部に対し3〜50質量部とすることが好ましく、5〜40質量部、例えば、8〜20質量部とすることがより好ましい。配合量が3質量部未満であると塗工層が脱落する恐れがあり、50質量部を超えると、インク吸収性が悪化するために裏移りが発生する可能性がある。バインダーのうちブタジエン共重合ラテックスの割合は全顔料100質量部に対し3〜30質量部が好ましい。3質量部未満では塗工層が脱落する恐れがあり、30質量部を超える場合ではインク吸収性が悪化するために裏移りが発生する可能性がある。ブタジエン共重合ラテックス以外のバインダーとしては、公知のバインダーを使用することができる。このようなバインダーとしては、酸化澱粉、酵素変性澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン性澱粉、両性澱粉などの澱粉類、ゼラチン、カゼイン、大豆タンパク、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、等の合成樹脂類等が例示できる。これらの中から目的に応じて1種あるいは2種以上が適宜選択して使用される。特に印刷用塗工紙で一般に用いられる澱粉がインク受容層の塗工層強度及びコスト抑制の観点から好ましい。
さらに本発明においては、光沢を付与し、一般的な印刷塗工用紙と同様の風合いを得るために、基紙にインク受容層を設けた後に、スーパーキャレンダー、グロスキャレンダー、シューニップキャレンダー、ソフトキャレンダーなどの公知のキャレンダー装置によりキャレンダー処理を行うことができる。
キャレンダー処理において、キャレンダーロールの材質、キャレンダー処理時の温度条件などにより、インク受容層の一部がキャレンダーロール表面に転移して汚れが発生する場合がある。キャレンダーロール表面の汚れが発生した場合には、光沢を付与することできず、一般的な印刷塗工用紙のような優れた白紙面感を得ることができない。さらに、キャレンダー表面の汚れにより均一な塗工層が形成されず、塗工層表面にインク吸収性のムラが生じ、優れた印字画像を得ることができない。
キャレンダー処理時のロール表面の汚れはインク受容層に離型剤を含有することで抑制可能である。一般的な離型剤としては、パラフィンワックスや流動パラフィンなどの炭化水素系、高級脂肪酸塩や高級脂肪酸エステルなどの高級脂肪酸系、フッ素系、シリコーン系などの離型剤がある。しかしながらこれらの離型剤の多くは、インク受容層表面に撥水性を付与する効果があるため、インクの吸収性が低下し、優れた印字画像が得られない場合がある。
本発明においては、前記インク受容層中に離型剤として水分散性の高級脂肪酸塩およびその誘導体から選ばれる1種以上を含有させる必要がある。前述の通り、離型剤はインク受容層表面に撥水性を付与する場合があり、水分散性の高級脂肪酸塩およびその誘導体においても同様に撥水性を付与するため、優れた印字画像が得られない場合がある。しかし、鋭意検討の結果、水分散性の高級脂肪酸塩およびその誘導体の含有量を適正にコントロールすることで、インクジェット用インクの吸収性を維持しながら、キャレンダー処理時のロール表面の汚れを抑制し、良好な白紙面感を得られることを見出した。
本発明においては、インク受容層中に水分散性の高級脂肪酸塩およびその誘導体から選ばれえる1種以上をインク受容層中の顔料100質量部に対し0.1〜5.0部含有させる必要がある。0.1部未満の場合はキャレンダー処理時にロール表面が汚れ、インク受容層表面に欠点を発生させて白紙面感を損ねてしまう。また、キャレンダー表面の汚れにより塗工層が均一に形成されず、塗工層表面にインク吸収性のムラが生じ、優れた印字画像を得られない。5.0部を超える場合はインク吸収性が低下し優れた印字画像が得られない。また、離型性が高くなりすぎるため、キャレンダー処理時に十分に面が平滑にならず白紙面感が低下する。好ましくは0.35〜1.5部である。さらに好ましくは0.65〜0.95部、さらには例えば、0.7〜0.95部、0.7〜0.9部、0.75〜0.85部である。0.35部以上0.65部未満では白紙光沢、白紙面感に優れており、特に印字画像が非常に優れている。0.95より多く1.5部以下では白紙光沢、印字画像が優れており、特に白面面感が非常に優れている。0.65〜0.95部では白紙光沢、白紙面感、印字画像に最も優れている。
本発明においては、前記水分散性の高級脂肪酸塩およびその誘導体は、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アンモニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、リシノール酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、オレイン酸カルシウム、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸バリウム、パルチミン酸カルシウムなどの水に難溶または不溶な高級脂肪酸塩を、分散乳化剤を用いて乳化し、水分散体としたものが挙げられる。スルホ化、エステル化等の誘導体化処理をしたものを用いても良い。これらは1種を単独で使用するか、又は2種以上を併用しても良い。これらの水分散性の高級脂肪酸塩の内、ステアリン酸塩は光沢度が高くなり好ましい。さらに好ましくはステアリン酸カルシウムであり、光沢度が最も高くなりやすい。また、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アンモニウム、オレイン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛から選択される一つ以上を組み合わせてもよい。
本発明においては、前記インク受容層中にカチオン性高分子を含むことができる。前記カチオン性高分子が微カチオン性高分子であることがより好ましい。カチオン性高分子は、インク受容層の細孔容積を増加することで、インク吸収性を向上させる効果がある。微カチオン性高分子を用いることで細孔容積を適度に増加でき、インク吸収性を適度にコントロールすることができる。ブタジエン共重合ラテックスと併用することで、インク吸収性を最適にコントロールすることができる。本明細書において、微カチオン性とは、カチオン化度が0meq/gを超え3.00meq/g以下であることをいう。カチオン性高分子のカチオン化度は、0.05〜2.50meq/gであることがより好ましい。インク吸収性を向上することができる。3.00meq/gを超えると塗料の増粘又は安定性の低下によって凝集物が発生し、良好な印字画像を得られない場合や光沢度が劣る場合がある。前記カチオン化度はコロイド滴定法にて測定可能である。
カチオン性高分子のインク受容層中の含有量としては、インク受容層中の顔料100質量部に対して0.01〜5.00質量部であることが好ましい。より好ましくは、0.05〜3.00質量部である。0.01質量部未満の場合はインク吸収性に劣る場合がある。5.00質量部を超えると、塗料の増粘又は安定性の低下によって凝集物が発生し、良好な印字画像を得られない場合がある。
カチオン性高分子としては、例えば、ポリエチレンイミン、エピクロルヒドリン変性ポリアルキルアミン、ポリアミン、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムハライド、ポリジアクリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリビニルピリジウムハライド、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリスチレン共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド二酸化硫黄共重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドアミド共重合物、ジシアンジアミドホルマリン重縮合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物、ポリアリルアミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミドエポキシ樹脂、メラミン樹脂酸コロイド、尿素系樹脂、カチオン変性ポリビニルアルコール、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型化合物、ポリアミジン化合物、変性ポリアミン樹脂、変性ポリアミド樹脂、その他第4級アンモニウム塩類又はカチオン変性ポリウレタン樹脂であり、微カチオン性のものが好ましい。これらは1種を単独で使用するか、又は2種以上を併用してもよい。
また、前記インク受容層には、必要に応じ各種助剤、例えば、粘度調節剤、柔軟剤、光沢付与剤、耐水化剤、分散剤、流動変性剤、紫外線吸収剤、安定化剤、帯電防止剤、架橋剤、サイズ剤、蛍光増白剤、着色剤、pH調節剤、消泡剤、可塑剤、防腐剤が必要に応じて適宜配合される。
(3)塗工方式
前記インク受容層を塗工する方式としては、特に限定することはなく、一般に使用されている塗工装置が使用される。例えばエアーナイフコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、ダイスロットコーター、チャンプレックスコーター、メータリングブレード式のサイズプレスコーター、ショートドウェルコーター、スプレーコーター、ゲートロールコーターリップコーター等の公知の各種塗工装置を用いることができる。
インク受容層の基紙への塗工量は、特に限定されるものではないが、固形分換算で基紙の片面あたり2〜40g/mとすることが好ましい。塗工量が2g/m未満では所望の白紙光沢を得ることが困難となり、40g/mを超える場合はコスト的に不利となる。また、インク受容層を形成する塗工液を2回以上塗工して、インク受容層を2層以上で構成することも可能である。更に、基紙とインク受容層との間には顔料とバインダーを主体としたアンダー層を設けてもよい。
(4)キャレンダー処理
本発明においては、基紙にインク受容層を設けた後のキャレンダー処理装置としては、通常のスーパーキャレンダー、グロスキャレンダー、シューニップキャレンダー、ソフトキャレンダー、等を用いることが出来る。その際の加圧装置形態、加圧ニップ数、温度条件等の処理条件を適宜調節して処理することが出来る。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明する。この実施例は本発明の範囲を限定するものではない。なお、特に指定が無い場合、実施例及び比較例中の部、%は特に明示しない限りそれぞれ固形質量部、固形質量%を示す。
(実施例1)
<基紙の作製>
カナディアンスタンダードフリーネス450mlcsfの広葉樹晒クラフトパルプ100部、軽質炭酸カルシウム(TP−121:奥多摩工業社製)10部、カチオン澱粉0.3部、中性ロジンサイズ(CC167:星光PMC社製)0.2部に水を加えて紙料を調製し、長網多筒式抄紙機を用いて坪量70g/mの基紙を作製した。この基紙にはゲートロールコーターにより、リン酸エステル化澱粉(MS4600:日本食品化工社製)を両面で乾燥塗布量2.5g/mとなるように塗布している。
<インク受容層用塗工液の調製>
カオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード社製)51部、重質炭酸カルシウム(カービラックス、イメリス社製)34部、密実プラスチックピグメント(NIPOL V1004、スチレンブタジエン共重合体、日本ゼオン社製、粒子径0.3μm)15部、に分散剤(アロンT−50、東亜合成社製)0.2部を加え、加水してコーレス分散機を用いて水分散し、顔料スラリーを作成した。この顔料スラリーに、バインダーとして澱粉(MS4600、日本食品加工社製)2部、市販ブタジエン共重合ラテックスA(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、メチルメタクリレートの各組成比12%、39%、44%、5%)10部、微カチオン性高分子としてフロックスターESC51(ポリアクリルアミド樹脂、カチオン化度1.20meq/g、三晶社製)0.2部、水分散性の高級脂肪酸塩としてステアリン酸カルシウムの水分散物0.35部に水を加えて固形分濃度50%のインク受容層用塗工液を調製した。
<インクジェット印刷用紙の作製>
上記で得られたインク受容層用塗工液を、基紙の両面に、ブレードコーターで片面当たり乾燥塗工量が10g/mになるように塗工し、乾燥後にキャレンダー処理を行い、坪量が90g/mのインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例2)
インク受容層用塗工液の調製において、ステアリン酸カルシウムの水分散物0.35部を、ステアリン酸アンモニウムの水分散物0.35部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例3)
インク受容層用塗工液の調製において、ステアリン酸カルシウムの水分散物0.35部を、ステアリン酸亜鉛の水分散物0.35部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例4)
インク受容層用塗工液の調製において、ステアリン酸カルシウムの水分散物0.35部を、オレイン酸マグネシウムの水分散物0.35部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例5)
インク受容層用塗工液の調製において、ステアリン酸カルシウムの水分散物の添加量を1.5部に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例6)
インク受容層用塗工液の調製において、ステアリン酸アンモニウムの水分散物1.5部に変更した以外は実施例2と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例7)
インク受容層用塗工液の調製において、ステアリン酸亜鉛の水分散物の添加量を1.5部に変更した以外は実施例3と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例8)
インク受容層用塗工液の調製において、オレイン酸マグネシウムの水分散物の添加量を1.5部に変更した以外は実施例4と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例9)
インク受容層用塗工液の調製において、ステアリン酸カルシウムの水分散物の添加量を0.5部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例10)
インク受容層用塗工液の調製において、ステアリン酸カルシウムの水分散物の添加量を0.65部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例11)
インク受容層用塗工液の調製において、ステアリン酸カルシウムの水分散物の添加量を0.8部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例12)
インク受容層用塗工液の調製において、ステアリン酸アンモニウムの水分散物の添加量を0.8部に変更した以外は、実施例2と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例13)
インク受容層用塗工液の調製において、ステアリン酸亜鉛の水分散物の添加量を0.8部に変更した以外は、実施例3と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例14)
インク受容層用塗工液の調製において、オレイン酸マグネシウムの水分散物の添加量を0.8部に変更した以外は、実施例4と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例15)
インク受容層用塗工液の調製において、ステアリン酸カルシウムの水分散物の添加量を0.95部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例16)
インク受容層用塗工液の調製において、ステアリン酸カルシウムの水分散物の添加量を0.1部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例17)
インク受容層用塗工液の調製において、ステアリン酸カルシウムの水分散物の添加量を5.0部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例18)
インク受容層用塗工液の調製において、ステアリン酸カルシウムの水分散物の添加量を0.65部とし、更にステアリン酸アンモニウムの水分散物を0.3部添加とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例19)
インク受容層用塗工液の調製において、市販ブタジエン共重合ラテックスAの添加量を8.0部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例20)
インク受容層用塗工液の調製において、市販ブタジエン共重合ラテックスAの添加量を15.0部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例21)
インク受容層用塗工液の調製において、市販ブタジエン共重合ラテックスAの添加量を20.0部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例22)
インク受容層用塗工液の調製において、市販ブタジエン共重合ラテックスAを市販ブタジエン共重合ラテックスB(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、メチルメタクリレートの各組成比15%、26%、29%、30%)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例23)
インク受容層用塗工液の調製において、市販ブタジエン共重合ラテックスAを市販ブタジエン共重合ラテックスC(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、メチルメタクリレートの各組成比25%、51%、16%、8%)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例24)
インク受容層用塗工液の調製において、市販ブタジエン共重合ラテックスAを市販ブタジエン共重合ラテックスD(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、メチルメタクリレートの各組成比33%、48%、19%、0%)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例25)
インク受容層用塗工液の調製において、微カチオン性高分子として配合しているフロックスターESC51(ポリアクリルアミド樹脂、カチオン化度1.20meq/g、三晶社製)の添加量を0.05部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例26)
インク受容層用塗工液の調製において、微カチオン性高分子として配合しているフロックスターESC51(ポリアクリルアミド樹脂、カチオン化度1.20meq/g、三晶社製)の添加量を2.0部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例27)
インク受容層用塗工液の調製において、微カチオン性高分子として配合しているフロックスターESC51をPA0629(変性ポリアミン系樹脂、カチオン化度0.05meq/g、星光PMC社製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例28)
インク受容層用塗工液の調製において、微カチオン性高分子として配合しているフロックスターESC51をSumirez Resin SPI−203(50)H(変性ポリアミド系樹脂、カチオン化度3.00meq/g、田岡化学社製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例29)
インク受容層用塗工液の調製において、微カチオン性高分子として配合しているフロックスターESC51をカチオン性高分子であるハイマックス700M(ポリアミジン系樹脂、カチオン化度5.37meq/g、ハイモ社製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例30)
インク受容層用塗工液の調製において、微カチオン性高分子として配合しているフロックスターESC51を無添加とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例31)
インク受容層用塗工液の調製において、密実プラスチックピグメントの添加量を0.1部、カオリンの添加量を59.9部、重質炭酸カルシウムの添加量を40部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例32)
インク受容層用塗工液の調製において、密実プラスチックピグメントの添加量を40部、カオリンの添加量を36部、重質炭酸カルシウムの添加量を24部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例33)
インク受容層用塗工液の調製において、密実プラスチックピグメントの添加量を5.0部、カオリンの添加量を57部、重質炭酸カルシウムの添加量を38部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例34)
インク受容層用塗工液の調製において、密実プラスチックピグメントの添加量を30部、カオリンの添加量を42部、重質炭酸カルシウムの添加量を28部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例35)
インク受容層用塗工液の調製において、密実プラスチックピグメントとしてモビニール972(スチレン/アクリル共重合体、日本合成化学工業社製、粒子径0.07μm))を使用した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例36)
インク受容層用塗工液の調製において、密実プラスチックピグメントとしてグロスデール207S(スチレン系共重合体、三井化学社製、粒子径0.7μm)を使用した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例37)
インク受容層用塗工液の調製において、密実プラスチックピグメントとしてL8900(スチレン共重合体、旭化成ケミカルズ社製、粒子径0.35μm)を使用した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例38)
インク受容層用塗工液の調製において、密実プラスチックピグメントとしてモビニール972(スチレン/アクリル共重合体、日本合成化学工業社製、粒子径0.07μm))を使用した以外は、実施例22と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例39)
インク受容層用塗工液の調製において、密実プラスチックピグメントとしてモビニール972(スチレン/アクリル共重合体、日本合成化学工業社製、粒子径0.07μm))を使用した以外は、実施例23と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例40)
インク受容層用塗工液の調製において、密実プラスチックピグメントとしてモビニール972(スチレン/アクリル共重合体、日本合成化学工業社製、粒子径0.07μm))を使用した以外は、実施例24と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例41)
インク受容層用塗工液の調製において、顔料としてカオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード社製)30部、重質炭酸カルシウム(カービラックス、イメリス社製)55部、密実プラスチックピグメント(NIPOL V1004、スチレンブタジエン共重合体、日本ゼオン社製、粒子径0.3μm)15部、を使用した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例42)
インク受容層用塗工液の調製において、顔料としてカオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード社製)51部、軽質炭酸カルシウム34部(TP−121、奥多摩工業社製)、密実プラスチックピグメント(NIPOL V1004、スチレンブタジエン共重合体、日本ゼオン社製、粒子径0.3μm)15部、を使用した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(実施例43)
インク受容層用塗工液の調製において、顔料としてカオリン(ウルトラホワイト90、エンゲルハード社製)20部、重質炭酸カルシウム(カービラックス、イメリス社製)65部、密実プラスチックピグメント(NIPOL V1004、日本ゼオン社製)15部、を使用した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(比較例1)
インク受容層用塗工液の調製において、ステアリン酸カルシウムの水分散物を添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(比較例2)
インク受容層用塗工液の調製において、ステアリン酸カルシウムの水分散物の添加量を7.5部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(比較例3)
インク受容層用塗工液の調製において、市販ブタジエン共重合ラテックスAを市販ブタジエン共重合ラテックスE(アクリロニトリル組成比0%)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
(比較例4)
インク受容層用塗工液の調製において、密実プラスチックピグメントを添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてインクジェット印刷用紙を作製した。
各実施例及び比較例で得られたインクジェット印刷用紙について、以下に示す方法により評価を行った。得られた結果を表1〜表8に示す。
(1)印字の滲み評価
以下の2機種のインクジェットプリンターを用いてベタ印字を行い、印字画像を目視で以下のように評価した。
プリンターA:JetPress720(FUJIFILM社製)
プリンターB:PX−G930(EPSON社製)
◎:印字ベタ部の印字ムラ、印字滲みが全くなく、実用できる。
○+:印字ベタ部の印字ムラ、印字滲みのいずれかが僅かに発生するが、実用できる。
○:印字ベタ部の印字ムラ、印字滲みが僅かに発生するが、実用できる。
△:印字ベタ部の印字ムラ、印字滲みが発生し、実用不可。
×:印字ベタ部の印字ムラ、印字滲みが著しく発生し、実用不可。
(2)白紙光沢
JIS−P8142に順じ、75度光沢度計を用いて測定を行った。数値が高い方が高級感に優れていて好ましい。
(3)白紙面感
一般印刷用塗工紙白紙面感を以下のように目視で評価した。
◎:キャレンダーロール表面に汚れが全くなく、白紙面感に非常に優れており、実用できる。
○:キャレンダーロール表面に僅かに汚れが発生するが、白紙面感に優れており、実用できる。
△:キャレンダーロール表面に汚れが発生し、白紙面感に劣り、実用不可。
×:キャレンダーロール表面に汚れが著しく発生し、白紙面感が著しく劣り、実用不可。
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表1〜7から明らかなように、実施例1〜43で得られたインクジェット印刷用紙は、一般印刷用塗工紙の風合いを保ちつつ、インクジェットの印字に優れている。
表8から明らかなように、比較例1で得られたインクジェット印刷用紙は、水分散性の高級脂肪酸塩を添加していないために、キャレンダーロール表面が汚れて白紙面感、印字画像に劣った。比較例2で得られたインクジェット印刷用紙は、水分散性の高級脂肪酸塩を多量に添加したためインクジェットの印字ベタ部の印字ムラ、印字滲みに劣った。比較例3で得られたインクジェット印刷用紙は、ブタジエン共重合ラテックスにアクリロニトリルが共重合されていないためにインクジェットの印字ベタ部の印字ムラ、印字滲みに劣った。比較例4で得られたインクジェット印刷用紙は、密実プラスチックピグメントを添加していないために、インクジェットの印字ベタ部の印字ムラ、印字滲みに劣った。

Claims (5)

  1. 基紙の少なくとも片面に、密実プラスチックピグメントを含む顔料とブタジエン共重合ラテックスを含有するインク受容層を有するインクジェット印刷用紙の製造方法であって、
    密実プラスチックピグメントを含む顔料とブタジエン共重合ラテックスを含有し、さらに、水分散性の高級脂肪酸塩およびその誘導体から選ばれる1種以上を、顔料100部当り0.1〜5.0部含有するインク受容層用塗工液を基紙の少なくとも片面に塗工する工程を含み、かつ前記インク受容層用塗工液に含有しているブタジエン共重合ラテックスが少なくともアクリロニトリルを含む共重合体であることを特徴とするインクジェット印刷用紙の製造方法
  2. 前記水分散性の高級脂肪酸塩およびその誘導体が、ステアリン酸塩およびその誘導体から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印刷用紙の製造方法
  3. 前記ブタジエン共重合ラテックスが、アクリロニトリルを10%〜40%の組成比の範囲で共重合されていることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット印刷用紙の製造方法
  4. 前記インク受容層に微カチオン性高分子を含有し、微カチオン性高分子のカチオン化度が0meq/gを超え3.00meq/g以下であることを特徴とする請求項1〜3に記載のインクジェット印刷用紙の製造方法
  5. インク受容層において、全顔料100質量部に対し密実プラスチックピグメントを0.1〜40質量部、カオリンを30〜60質量部、炭酸カルシウムを20〜50質量部を含むことを特徴とする請求項1〜4に記載のインクジェット印刷用紙の製造方法
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