JP2007146318A - 紙塗工用組成物、及び塗工紙 - Google Patents

紙塗工用組成物、及び塗工紙 Download PDF

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Abstract

【課題】視覚による印刷光沢の優れた印刷適性を有する塗工紙を得ることができる紙塗工用組成物を提供する。
【解決手段】顔料と、共重合体ラテックスとを含む紙塗工用組成物であって、顔料100質量%中に、動的光散乱法による平均粒子径が150nm以下でガラス転移温度(Tg)が30℃以上の密実有機顔料を1〜25質量%含有する紙塗工用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、紙塗工用組成物、及び塗工紙に関し、さらに詳しくは、視覚による印刷光沢(視感印刷光沢)の優れた印刷適性を有する塗工紙を得ることができる紙塗工用組成物、及び、このような紙塗工用組成物からなる塗工層を備えた塗工紙に関する。
オフセット印刷に用いられる塗工紙は、外観や印刷適性を改良するために、紙(塗工原紙)に、顔料とバインダーとを含有する紙塗工用組成物が塗工される(例えば、特許文献1参照)。そして、この紙塗工用組成物に含有されるバインダーとしては、澱粉やラテックスが用いられている。
一方、紙塗工用組成物に含まれる顔料は、白紙の光沢や印刷物の印刷光沢を向上させるために無機顔料と有機顔料を併用することが主流となっている(例えば、特許文献1参照)。この有機顔料の代表的なものとしては、密実有機顔料(密実プラスチックピグメント)と中空有機顔料(中空プラスチックピグメント)とを挙げることができ、最近では、使用量が少なくて白紙光沢と印刷光沢が比較的に良好となるため中空有機顔料が主流として用いられている。
特開昭61−225395号公報
しかし、従来の中空有機顔料は高価であることや密実有機顔料を用いた紙塗工用組成物では、JIS Z 8741の鏡面光沢度測定方法に準拠して測定した印刷光沢は良好となるが、人間が視覚により判定した印刷光沢(視感印刷光沢)向上には限界があることが我々の研究の結果から明らかとなってきた。また、視感印刷光沢を向上させるために、単純に共重合体ラテックスを増量する方法も検討されているが、塗工紙に印刷するインク乾燥性の大幅低下と白紙光沢の低下を招き実用は困難である。このため、インク乾燥性や白紙光沢、通常の印刷光沢を低下させずに、さらに視感印刷光沢を向上させることが可能な紙塗工用組成物の開発が望まれていた。
本発明は、上述の従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、視覚による印刷光沢(視感印刷光沢)の優れた印刷適性を有する塗工紙を得ることができる紙塗工用組成物、及び、このような紙塗工用組成物からなる塗工層を備えた塗工紙を提供する。
上記課題を解決するため、本発明によって以下の紙塗工用組成物、及び、このような紙塗工用組成物からなる塗工層を備えた塗工紙が提供される。
[1] 顔料と、共重合体ラテックスとを含む紙塗工用組成物であって、前記顔料100質量%中に、動的光散乱法による平均粒子径が150nm以下でガラス転移温度(Tg)が30℃以上の密実有機顔料を1〜25質量%含有する紙塗工用組成物(以下、「第一の発明」ということがある)。
[2] 前記密実有機顔料が、(a)芳香族ビニル単量体((a’)単量体)由来の構造単位50〜100質量部、(b)脂肪族共役ジエン単量体((b’)単量体)由来の構造単位0〜20質量部、(c)エチレン性不飽和カルボン酸単量体((c’)単量体)由来の構造単位0〜20質量部、(d)シアン化ビニル単量体((d’)単量体)0〜50質量%、及び(e)これらの(a’)〜(d’)単量体と共重合可能な他の単量体((e’)単量体))由来の構造単位0〜50質量部(但し、(a)+(b)+(c)+(d)+(e)=100質量部)、を含んでなるものである前記[1]に記載の紙塗工用組成物。
[3] 前記顔料100質量部に対して、前記共重合体ラテックスを3〜25質量部含む前記[1]又は[2]に記載の紙塗工用組成物。
[4] 前記共重合体ラテックスが、コア/シェル型共重合体ラテックスである前記[1]〜[3]のいずれかに記載の紙塗工用組成物。
[5] 塗工原紙と、前記塗工原紙に塗工された前記[1]〜[4]のいずれかに記載の紙塗工用組成物からなる塗工層と、を備えた塗工紙(以下、「第二の発明」ということがある)。
[6] 前記塗工紙の上に、RI印刷機で印刷部のベタ濃度がマクベス濃度計で2.2±0.1となるように墨インクを印刷し、印刷物が乾燥した後に、下記の拡散反射光強度の測定方法によって測定される前記印刷物の前記印刷部の拡散反射光強度の逆数の値が30以上である前記[5]に記載の塗工紙。
(拡散反射光強度の測定方法)
JIS Z 8741の鏡面光沢度測定方法に準拠して光量を調整した白色光を用い、入射側と受光側とに偏光板(P偏光)を装着し、前記印刷物の前記印刷部に入射角が57°となるように前記偏光板を通過させた前記白色光を入射し、受光角が40°となる領域にて拡散反射光の強度を測定する。
[7] 前記塗工原紙に塗工された前記紙塗工用組成物の塗工量が、前記塗工原紙片面当たり3〜25g/m2である前記[5]又は[6]に記載の塗工紙。
本発明(第一の発明)の紙塗工用組成物は、紙塗工用組成物に含まれる顔料が、顔料100質量%中に、動的光散乱法による平均粒子径が150nm以下でガラス転移温度(Tg)が30℃以上の密実有機顔料を1〜25質量%含有するものであり、得られる塗工紙は、印刷光沢、特に視覚による印刷光沢(視感印刷光沢)に優れたものとなる。また、本発明の紙塗工用組成物は、塗工紙に印刷するインクの乾燥性低下及び白紙光沢の低下を抑制することもできる。
また、本発明(第二の発明)の塗工紙は、上記した紙塗工用組成物からなる塗工層を備えたものであり、優れた視感印刷光沢を実現可能な塗工紙である。
以下、本発明(第一及び第二の発明)を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」という)を具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
(紙塗工用組成物)
まず、本発明(第一の発明)の紙塗工用組成物の一の実施の形態について説明する。本実施の形態の紙塗工用組成物は、顔料と、共重合体ラテックスとを含む紙塗工用組成物であって、顔料100質量%中に、動的光散乱法による平均粒子径が150nm以下でガラス転移温度(Tg)が30℃以上の密実有機顔料を1〜25質量%含有するものである。
このような本実施の形態の紙塗工用組成物は、塗工原紙に塗工して塗工紙を製造した場合に、印刷光沢に優れた印刷を実現することができる。特に、本実施の形態の紙塗工用組成物を用いた場合、塗工紙の白紙光沢がさほど向上しなくとも、その表面に印刷を行った際の視覚による印刷光沢(以下、「視覚印刷光沢」ということがある)を大幅に向上させることができる。以下、本実施の形態の紙塗工用組成物の詳細について説明する。
(顔料)
本実施の形態の紙塗工用組成物に使用する顔料は、上記したように顔料100質量%中に、動的光散乱法による平均粒子径が150nm以下でガラス転移温度(Tg)が30℃以上の密実有機顔料を1〜25質量%含有するものである。なお、動的光散乱法による平均粒子径が150nmを超えると、白紙光沢や通常の印刷光沢は維持又は良好となるが、塗工層中へインクが浸透し過ぎて視感印刷光沢が低下する。なお、動的光散乱法による平均粒子径は、例えば、大塚電子社製のFPAR−1000を用い、常法により求めることができる。
また、顔料100質量%中に、密実有機顔料が1質量%未満であると、視感印刷光沢向上の効果を得ることができず、また、密実有機顔料が25質量%を超えると、塗工紙製造におけるコストが高くなり過ぎ問題となる。
また、密実有機顔料のガラス転移温度が30℃以上であると、紙塗工用組成物を塗工し乾燥させた後でも、密実有機顔料が完全に成膜せず、密実有機顔料の球状粒子形態を完全にもしくは一部を残して塗工層中に存在させることができる。このため、白紙光沢を維持又は向上させながら視感印刷光沢を良好に向上させることができる。なお、密実有機顔料のガラス転移温度が30℃未満であると、密実有機顔料を構成する密実粒子が溶着し接着強度が発現することにより、塗工層の構造を乱し白紙光沢が大幅に低下してしまう。
なお、本明細書における「ガラス転移温度」とは、密実有機顔料を130℃で30分間加熱乾燥してフィルムを作製し、この乾燥フィルムのガラス転移温度(Tg)を、示差走査熱量計(セイコー電子社製、商品名「DSC−220C」)を用いて、昇温速度15℃/分の条件で測定した値のことである。
本実施の形態の紙塗工用組成物に使用する顔料を構成する密実有機顔料の動的光散乱法による平均粒子径は、40〜130nmであることが好ましく、50〜110nmであることがさらに好ましい。この動的光散乱法による平均粒子径が40nm未満の場合には、密実有機顔料の固形分が低くなり過ぎることがあり、130nmを超える場合には、塗工層中へインクが浸透し過ぎて視感印刷光沢が低下することがある。
また、密実有機顔料のガラス転移温度(Tg)は、35℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがさらに好ましい。この密実有機顔料のガラス転移温度(Tg)は、脂肪族共役ジエン単量体由来の構造単位の量によって調節することが可能である。例えば、密実有機顔料のガラス転移温度(Tg)を30℃以上とする場合には、脂肪族共役ジエン単量体由来の構造単位の含有を20質量部以下とし、また、ガラス転移温度(Tg)を35℃以上とする場合には、脂肪族共役ジエン単量体由来の構造単位の含有を18質量部以下とする。さらに、ガラス転移温度(Tg)を40℃以上とする場合には、脂肪族共役ジエン単量体由来の構造単位の含有を16質量部以下とする。
また、密実有機顔料の含有割合としては、顔料100質量%中に、2〜22質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがさらに好ましい。
密実有機顔料の組成については特に制限はなく、従来公知の塗工用組成物に含有されている密実プラスチックピグメント等を挙げることができるが、例えば、本実施の形態の紙塗工用組成物においては、密実有機顔料が、(a)芳香族ビニル単量体((a’)単量体)由来の構造単位50〜100質量部、(b)脂肪族共役ジエン単量体((b’)単量体)由来の構造単位0〜20質量部、(c)エチレン性不飽和カルボン酸単量体((c’)単量体)由来の構造単位0〜20質量部、(d)シアン化ビニル単量体((d’)単量体)0〜50質量%、及び(e)これらの(a’)〜(d’)単量体と共重合可能な他の単量体(((e’)単量体))由来の構造単位0〜50質量部(但し、(a)+(b)+(c)+(d)+(e)=100質量部)、を含んでなるものであることが好ましい。
なお、(a)芳香族ビニル単量体((a’)単量体)由来の構造単位が50質量部未満であると、製造コストが高くなったり、重合安定性が低下することがある。また、(b)脂肪族共役ジエン単量体由来の構造単位が20質量部を超えると、塗工乾燥過程で有機顔料が成膜してしまい白紙光沢の低下を招くことがあり、また、(c)エチレン性不飽和カルボン酸単量体由来の構造単位が20質量部を超えると、塗料粘度が高くなり過ぎることがある。
芳香族ビニル単量体((a’)単量体)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン等を挙げることができる。これらの中でも、スチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル単量体は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、(a)芳香族ビニル単量体((a’)単量体)由来の構造単位は、密実有機顔料全体に対して55〜95質量部であることがさらに好ましく、60〜90質量部であることが特に好ましい。
脂肪族共役ジエン単量体((b’)単量体)としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−トリメトキシシリル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2,4−ジメチル−1,3−ブタジエン等を挙げることができる。これらの中でも、ブタジエンが好ましい。これらの脂肪族共役ジエン単量体は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、この(b)脂肪族共役ジエン単量体((b’)単量体)由来の構造単位は任意の成分であるが、例えば、密実有機顔料全体に対して2〜18質量部であることがさらに好ましい。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体((c’)単量体)としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等を挙げることができる。これらのエチレン性不飽和カルボン酸単量体は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、(c)エチレン性不飽和カルボン酸単量体((c’)単量体)由来の構造単位は、0〜10質量部であることがさらに好ましい。なお、この(c)エチレン性不飽和カルボン酸単量体((c’)単量体)由来の構造単位は任意の成分であるが、例えば、密実有機顔料全体に対して1〜15質量部であることがさらに好ましく、2〜10質量部であることがさらに好ましい。
また、シアン化ビニル単量体((d’)単量体)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができる。これらのシアン化ビニル単量体は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、この(d)シアン化ビニル単量体((d’)単量体)由来の構造単位は任意の成分であるが、例えば、密実有機顔料全体に対して0〜30質量部であることがさらに好ましい。
これらの(a’)〜(d’)単量体と共重合可能な他の単量体((e’)単量体))としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、等を挙げることができる。これらの他の単量体((e’)単量体))は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本実施の形態の紙塗工用組成物に用いられる密実有機顔料のトルエンゲル含有量は、5〜100質量%であり、10〜100質量%であることが好ましい。トルエンゲル含有量が10質量%未満であると、塗工層中へインクが浸透し過ぎて視感印刷光沢が低下することがある。塗工層強度が発現し難く、塗工層強度を発現させるためにバインダーを多く使用する必要性がある。なお、本明細書にいう「トルエンゲル含有量」とは、被対象物(ここでは、密実有機顔料)をイソプロパノール中で凝固させ、得られた凝固物をトルエンに浸漬させた場合における、トルエン中に残存する固形物の、前記凝固物に対する質量比率(トルエンゲル含有率)をいう。
また、紙塗工用組成物に使用する顔料には、上記の密実有機顔料の他に、従来公知の中空有機顔料や無機顔料が含まれている。無機顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、サチンホワイト、酸化亜鉛等を挙げることができる。炭酸カルシウムとしては、重質炭酸カルシウム及び/又は立方形、球状形、紡錘形の軽質炭酸カルシウムを使用することができる。
(共重合体ラテックス)
紙塗工用組成物に用いられる共重合体ラテックスはバインダーとして機能するものである。この共重合体ラテックスとしては、従来公知の紙塗工用組成物に使用されている共重合体ラテックスを好適に用いることができる。さらに、本実施の形態の紙塗工用組成物は、この共重合体ラテックスが、コア/シェル型共重合体ラテックスであることが好ましい。コア/シェル型共重合体ラテックスは動的光散乱法による平均粒子径が180nm以下で且つトルエンゲル含有量が50〜95質量%であることが好ましい。コア/シェル型共重合体ラテックスの動的光散乱法による平均粒子径は40〜150nmがさらに好ましい。動的光散乱法による平均粒子径が180nmを超えると塗工層強度の低下やインクセット性が早くなるとともに塗工層中へインクが浸透し過ぎて視感印刷光沢が低下することがある。また、動的光散乱法による平均粒子径が40nm以下のコア/シェル型共重合体ラテックスは固形分が低くなり過ぎることがある。また、コア/シェル型共重合体ラテックスのトルエンゲル含有量が50質量%以下であると塗工層強度の低下や塗工層中へインクが浸透し過ぎて視感印刷光沢が低下することがある。
紙塗工用組成物に含まれる共重合体ラテックスの含有量は、顔料100質量部に対して、3〜25質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることがさらに好ましく、7〜15質量部であることが特に好ましい。3質量部未満であると、バインダーとしての十分な接着機能を発現し難くなる。25質量部を超えると、塗工紙の白色度を損ねたり、過度な粘着性に起因する塗工紙製造プロセスや塗工紙印刷プロセスでの操業トラブルの原因となる。ここで、共重合体ラテックスの含有量とは、共重合体ラテックスの固形分の含有量のことであり、共重合体ラテックスの固形分とは、共重合体ラテックスから、分散媒あるいは溶媒である水を除いた成分をいう。
(バインダー)
本実施の形態の紙塗工用組成物は、澱粉、カゼイン、大豆蛋白等のバインダーをさらに含んだものであってもよい。これらの中では、澱粉が好ましい。澱粉としては、燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉等の加工澱粉を使用することができる。これらは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(その他の添加剤)
本実施の形態の紙塗工用組成物には、上記顔料、共重合体ラテックス及びバインダーに加えて、耐水性改良剤、顔料分散剤、粘度調節剤、着色顔料、蛍光染料及びpH調節剤等、一般に使用されている種々の添加剤を任意に配合することができる。顔料、共重合体ラテックス、澱粉等のバインダー、及びその他添加剤を含む紙塗工用組成物の固形分濃度は、30〜70質量%であることが好ましい。
(塗工紙)
次に、本発明(第二の発明)の塗工紙の一の実施の形態について説明する。本実施の形態の塗工紙は、塗工原紙と、塗工原紙に塗工された第一の発明の実施の形態の紙塗工用組成物からなる塗工層と、を備えた塗工紙である。本実施の形態の塗工紙は、優れた印刷光沢を実現することができる。
なお、本実施の形態の塗工紙は、この塗工紙の上に、RI印刷機で印刷部のベタ濃度がマクベス濃度計で2.2±0.1となるように墨インクを印刷し、印刷物が乾燥した後に、下記の拡散反射光強度の測定方法によって測定される印刷物の印刷部の拡散反射光強度の逆数の値が30以上である塗工紙であることが好ましい。
(拡散反射光強度の測定方法)
JIS Z 8741の鏡面光沢度測定方法に準拠して光量を調整した白色光を用い、入射側と受光側とに偏光板(P偏光)を装着し、前記印刷物の前記印刷部に入射角が57°となるように偏光板を通過させた白色光を入射し、受光角が40°となる領域にて拡散反射光の強度を測定する。
従来、塗工紙にインクを印刷した印刷物の印刷部の印刷光沢評価は、日本工業規格(JIS規格 JIS Z 8741)に規定された鏡面光沢度測定方法によって、その鏡面反射率(正反射率)を測定することによって行われている。視覚的要素による光沢は、ギラツキ感、シャープ感、及びソフト感等の鮮映感や、色艶感及び白ボケ感等の光沢感のように様々の要素を有しているが、これら全てが上記の鏡面反射率と高い相関関係を有しているものではない。
一方、所定の反射角(受光角)の拡散反射光強度は、人間の視覚によって認識される光沢感と非常に強い負の相関を示すものである。印刷部のベタ濃度が上記の値となるように墨インクを印刷し、印刷物が乾燥した後に、その印刷部の拡散反射光強度の逆数の値が30以上となるような塗工紙は、より優れた印刷光沢を実現することが可能となる。なお、印刷部の拡散反射光強度の逆数の値が30未満となる塗工紙は、印刷光沢が比較的に悪くなることがある。本実施の形態の塗工紙に用いる紙塗工用組成物(第一の発明の実施の形態)は、この拡散反射光強度の逆数の値を30以上にすることが可能な紙塗工用組成物である。
なお、拡散反射光強度の測定は、例えば、村上色彩技術研究所製の三次元変角光沢計(商品名:GP−200)を用いて測定を行うことができる。また、印刷部のベタ濃度は、例えば、サカタインクス社製のマクベス濃度計(商品名:RD−914)によって測定することができる。
ここで、拡散反射光強度の測定方法について具体的に説明する。拡散反射光強度の測定(以下、本測定ということがある)は、例えば、図1に示すような、ハロゲンランプ(21)、コンデンサーレンズ(22)、スリット(24)が形成された集光部材(23)、及びコリメーター(25)を有する光源(26)と、被対象物(印刷物(10))を配設するための試料台(27)と、テレスコープレンズ(28)及び受光部(29)を有する測定手段(30)とを備えた光沢計(31)を好適に用いることができる。ここで、図1は、拡散反射光強度の測定を行うために光沢計の一例を示す模式図である。なお、このような光沢計(31)は、日本工業規格(JIS規格 JIS Z 8741)に規定された鏡面光沢度測定方法にも用いることが可能な光沢計である。
このような光沢計(31)を用いて、拡散反射光強度の測定を行う際には、まず、JIS Z 8741の鏡面光沢度測定方法に準拠して、ハロゲンランプ(21)から照射する白色光(32)の調整を行う。具体的には黒色ガラス標準板で光沢度100%に合わせるためニュートラルデンシティーフィルター(NDフィルターと呼ぶ)を装着して光源の感度を調整する。なお、本測定を行う際には、入射側と受光側にP偏光板(35)を装着し、光の振動方向をP偏光板(35)にて偏光し印刷物(10)内部から反射する拡散反射光の強度を測定する。P偏光板(35)としては、グラントムソン偏光プリズムを挙げることができる。
次に、塗工紙に黒インクを印刷した印刷物(10)を試料台(27)上に配設し、白色光(32)を、コンデンサーレンズ(22)を通過させた後に、スリット(24)が形成された集光部材(23)で集光し、集光した白色光(32)をコリメーター(25)により平行な光(平行光(33))に変換し、P偏光板(35)を通過させた後、この平行光(33)を試料台(27)上の印刷物(10)に、入射角が57°となるように入射する。
次に、受光角が40°となる領域にて、印刷物(10)によって反射する反射光(34)を、P偏光板(35)を通過させた後、テレスコープレンズ(28)によって集約し、受光部(29)にて受光して、拡散反射光の強度を測定する。次に、得られた拡散反射光の強度から、その逆数の値を算出する。以上のようにして印刷物の印刷部の拡散反射光強度の逆数の値を求めることができる。
(塗工原紙)
本実施の形態の塗工紙を構成する塗工原紙は特に限定されず、第一の発明の紙塗工用組成物を塗工することにより優れた印刷光沢を発現するものであればよい。塗工原紙の原料パルプの種類は特に限定されず、例えば、機械パルプ、化学パルプ、古紙パルプ(DIP)等が挙げられる。また、塗工原紙には、内添剤として炭酸カルシウム、クレー及びタルク等の顔料、アルキルケテンダイマー、ロジン酸石鹸及び硫酸バンド等のサイズ剤、カチオン澱粉及びポリアクリルアミド等の紙力増強剤、並びに嵩高剤等を使用することもできる。さらに、上記塗工原紙の表面には、サイズプレス、ゲートロールコーター、メータードサイズプレス等を使用して、アクリルアミド又はアクリル−スチレンポリマー等の表面サイズ剤を塗布することもできる。
(塗工層)
本実施の形態の塗工紙を構成する塗工層は、第一の発明の実施の形態の紙塗工用組成物を塗工原紙に塗工した形成されたものである。本実施の形態における塗工層は、紙塗工用組成物の塗工量が、片面当たり3〜25g/m2であることが好ましい。3g/m2より少ないと白紙光沢や印刷光沢が低下することがあり、25g/m2より多いとコストの割りに品質の向上が小さくなることがある。
(塗工紙の製造)
本実施の形態の塗工紙の製造方法は、上述した紙塗工用組成物を塗工原紙に、下記塗工方法により塗工するものである。紙塗工用組成物を塗工原紙に塗工する塗工方法としては、一般の塗工紙の製造方法において用いられている方法を採用することができる。例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ゲートロールコーター、チャンプレックスコーター、サイズプレスコーター、グラビアコーター、カーテンコーター等を使用して塗工することができる。これらの中でも、ブレードコーターにより塗工する場合に、第一の発明の実施の形態である紙塗工用組成物の低いハイシェアー粘度による効果が強く発揮される。それは、ブレードコーターにより塗工すると、紙塗工用組成物に高い剪断力を加えながら塗工することになるため、ハイシェアー粘度が高いと、塗工に大きな支障をきたすことになるからである。
本実施の形態の塗工紙を製造する方法としては、塗工工程以外に、紙塗工用組成物を塗工して未乾燥塗工紙を作製した後に、その未乾燥塗工紙を乾燥させる乾燥工程を有することが好ましい。乾燥工程における乾燥方法としては、特に限定されるものではなく、一般の塗工紙の製造方法において用いられている方法を採用することができる。例えば、熱風乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥等を採用することができる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本実施の形態の塗工紙を製造する方法としては、上記乾燥工程の後にさらに、カレンダー工程を設けてもよい。カレンダー処理を行うことで、得られた塗工紙の白紙光沢及び印刷光沢を十分に引き出すことができる。カレンダー処理としては、スーパーカレンダー、マシンカレンダー及びソフトニップカレンダー等が挙げられる。これらは1種のみを施してもよく、2種以上を施してもよい。
本実施の形態の塗工紙の製造方法は、上述の工程以外に適宜所望の工程を有してもよい。
本実施の形態の塗工紙は、枚葉オフセット印刷用及び輪転オフセット印刷用として特に好適に使用することができる。また、その他の平版印刷用、グラビア印刷等の凹版印刷用、及び凸版印刷用としても使用することができる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。なお、実施例において割合を示す「部」及び「%」はそれぞれ質量部及び質量%を意味する。
(密実有機顔料Aの製造)
攪拌機を備え、温度調節の可能なオートクレーブ中に、水200部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0部、過硫酸カリウム1.0部、重亜硫酸ナトリウム0.5部、及び1段目成分として、スチレン23部、メチルメタアクリレート1.25部及びt−ドデシルメルカプタン0.7部を一括して仕込み、45℃で4時間反応させ、重合転化率が70%以上であることを確認した(1段目の重合)。その後、2段目成分として、スチレン69部、メチルメタアクリレート3.75部、イタコン酸1部、アクリル酸2部を8時間にわたって連続的に添加しながら60℃で重合を継続した。
連続添加終了後も、さらに70℃で3時間反応させ(2段目の重合)、共重合体からなる粒子を含む密実有機顔料前駆体Aを得た。最終的な重合転化率は99%であった。得られた密実有機顔料前駆体Aを、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを用いてpH7.5(常温)に調整した後、水蒸気を吹き込んで未反応単量体を除去し、さらに加熱水蒸気蒸留によって固形分濃度50%の密実有機顔料Aを得た。得られた密実有機顔料Aについて、ガラス転移温度(Tg)、トルエンゲル含有量、及び動的光散乱法による平均粒子径を以下の方法で求めた。測定結果を表1に示す。
[ガラス転移温度]:密実有機顔料を130℃で30分間加熱乾燥してフィルムを作製し、示差走査熱量計(セイコー電子社製、商品名「DSC−220C」)を用いて、昇温速度15℃/分の条件で測定した。
[トルエンゲル含有量]:密実有機顔料を水酸化ナトリウムでpH8.0(25℃)に調整した後、イソプロパノールで凝固させ、得られた凝固物を蒸留水により洗浄し、乾燥させて乾燥試料を得た。その後、所定量(約0.03g)の乾燥試料を、100mlのトルエンに、25℃で、20時間浸漬した。次いで、この溶液を120メッシュの金網で濾過し、得られる残存固形分の質量を測定し、処理前の全固形分に対する割合(質量%)を求めた。
[動的光散乱法による平均粒子径]:レーザーパーティクルアナライザー(大塚電子社製商品名、「FPAR−1000」大塚電子社製)を使用し、動的光散乱法により測定した。
Figure 2007146318
(密実有機顔料Bの製造)
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8部、1段目成分として、1,3−ブタジエン1.75部、スチレン21.25部、メチルメタアクリレート1.25部、t−ドデシルメルカプタン0.5部、2段目成分として、1,3−ブタジエン5.25部、スチレン63.75部、メチルメタアクリレート3.75部、イタコン酸1部、アクリル酸2部とした以外は密実有機顔料Aの製造と同様の方法により重合を行い、固形分濃度50%の密実有機顔料Bを得た。
(密実有機顔料Cの製造)
1段目成分として、1,3−ブタジエン3.75部、スチレン19.25部、メチルメタアクリレート1.25部、t−ドデシルメルカプタン0.3部、2段目成分として、1,3−ブタジエン11.25部、スチレン57.75部、メチルメタアクリレート3.75部、イタコン酸1部、アクリル酸2部とした以外は密実有機顔料Aの製造と同様の方法により重合を行い、固形分濃度50%の密実有機顔料Cを得た。
(密実有機顔料Dの製造)
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8部、1段目成分として、1,3−ブタジエン1.75部、スチレン18.75部、メチルメタアクリレート1.25部、アクリロニトリル2.5部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、2段目成分として、1,3−ブタジエン5.25部、スチレン56.25部、メチルメタアクリレート3.75部、アクリロニトリル7.5部、アクリルアミド1.0部、イタコン酸1部、アクリル酸2部とした以外は密実有機顔料Aの製造と同様の方法により重合を行い、固形分濃度50%の密実有機顔料Dを得た。
(密実有機顔料Eの製造)
1段目成分として、1,3−ブタジエン4.25部、スチレン16.75部、メチルメタアクリレート1.25部、2段目成分として、1,3−ブタジエン15.75部、スチレン55.25部、メチルメタアクリレート1.25部、イタコン酸1部、アクリル酸2部とした密実有機顔料Dの製造と同様の方法により重合を行い、固形分濃度50%の密実有機顔料Eを得た。
(密実有機顔料Fの製造)
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部とした以外は密実有機顔料Bの製造と同様の方法により重合を行い、固形分濃度50%の密実有機顔料Fを得た。
得られた密実有機顔料B〜Gについても、ガラス転移温度、トルエンゲル含有量、及び動的光散乱法による平均粒子径を上記の方法で求めた。測定結果を表1に示す。
(共重合体ラテックスaの製造)
撹拌機を備え、温度調節の可能なオートクレーブ中に、まずコア成分の重合として水200部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3部、過硫酸カリウム1.0部、α−メチルスチレンダイマー1.0部、t−ドデシルメルカプタン0.2部、1,3−ブタジエン8.5部、スチレン1部、及びアクリロニトリル3部を一括して仕込み、50℃で2時間反応させ、重合転化率が80%以上であることを確認した(1段目の重合)。その後、2段目単量体成分として、1,3−ブタジエン38.5部、スチレン3.5部、アクリロニトリル20部、メチルメタクリレート2部、イタコン酸0.5部、及びアクリル酸1部を8時間に渡って連続的に添加しながら55℃で重合を継続し重合転化率が80%以上であることを確認した。その後、シェル成分の重合として、1,3−ブタジエン3部、スチレン7部、アクリロニトリル8部、メチルメタクリレート2.5部、イタコン酸0.5部、及びアクリル酸1部を2時間に渡って連続的に添加しながら60℃で重合を継続した。連続添加終了後も更に70℃で4時間反応させ、コアシェル型共重合体ラテックスである共重合体ラテックスaを得た。最終的な重合転化率は99%であった。この共重合体ラテックスaの配合処方を表3に示す。
(実施例1)
密実有機顔料A5部と、重質炭酸カルシウム(商品名;カービタル90 イメリス社製)25部、軽質炭酸カルシウム(商品名;ブリリアント15 白石工業社製)10部、微粒カオリンクレー(商品名;ミラグロスJP エンゲルハード社製)20部、2級カオリンクレー(商品名;HT エンゲルハード社製)40部(合計100部)に、上記共重合体ラテックスa10部と、澱粉(商品名;MS4600 日本食品工業社製)とを加え、さらに、その他の添加剤として、分散剤(商品名;アロンT−40 東亜合成社製)0.1部と、水酸化ナトリウム(商品名;水酸化ナトリウム1級 和光純薬社製)0.1部とを加えて混合し、紙塗工用組成物を調製した。調製に用いた混合機は、SMT社製のコーレス分散機を使用した。調製した紙塗工用組成物の配合処方を表2に示す。
次に、得られた塗工用組成物を、塗工原紙(80.5g/m2)上に、塗工量が片面当たり15.0±0.5g/m2となるようにラボブレードコーターによって塗工し、100℃の熱風で10秒間乾燥し、乾燥した塗工紙を温度23℃、湿度50%の恒温恒湿槽に1昼夜放置した。次に、線圧100kg/cm、ロール温度50℃の条件でスーパーカレンダー処理を4回行い、印刷用の塗工紙(実施例1)を得た。ブレード塗工時の操業性及び得られたオフセット印刷用塗工紙について、印刷光沢、目視印刷光沢、拡散反射光強度の逆数の値、白紙光沢、ドライピック強度、ウェットピック強度、及びインクセット性の評価を以下の方法により行った。評価結果を表2に示す。
Figure 2007146318
Figure 2007146318
(印刷光沢)
RI印刷機(明製作所製)を用いて、墨インクで印刷した印刷物のベタ濃度がマクベス濃度計で2.2±0.1となるように印刷した後、印刷物が完全に乾いてから村上式光沢計により60°の角度でJIS P 8142に準拠して正反射光沢度測定した。
(目視印刷光沢)
RI印刷機(明製作所製)を用いて、墨インクで印刷した印刷物のベタ濃度がマクベス濃度計で2.2±0.1となるように印刷した後、塗工紙及び印刷に携わり専門知識を有する研究員5名が、それぞれの印刷物の色艶、光沢感、及び白ボケ感の三項目について肉眼で5段階(1〜5点)に評価し、その平均値を算出した。
(視感印刷光沢)
拡散反射光強度の逆数の値を求めることにより視感による印刷光沢(以下、「視感印刷光沢」ということがある)を評価した。評価方法は、RI印刷機(明製作所製)を用いて、墨インクで印刷した印刷物のベタ濃度がマクベス濃度計で2.2±0.1となるように印刷し、印刷物が乾燥した後に、村上式光沢計をJIS Z 8741の鏡面光沢度測定方法に準拠した方法により白色光を調整し、その白色光を入射側と受光側に偏光板(P偏光)を装着して、印刷物の印刷部に入射角が57°となるように入射した。受光角が40°となる領域にて、印刷物の印刷部にて反射した拡散反射光の強度を測定し、得られた拡散反射光の強度の逆数の値を算出し、視感印刷光沢の評価値とした。視感印刷光沢の値(即ち、拡散反射光強度の逆数の値)が大きいほど視感印刷光沢は良く、30以上の値であると良好であると評価することができる。
(白紙光沢)
光沢計(村上色彩社製)を使用し、75度の角度でJIS P 8142に準拠して正反射光沢度測定した。
(ドライピック強度)
RI印刷機(明製作所製)で印刷したときのピッキングの程度を肉眼で判定し、5段階評価した。ピッキングの全く起きていない場合を5、ピッキングが多いものほど低得点にした。
(ウェットピック強度)
塗工紙の表面を吸水ロールで湿してから、RI印刷機(明製作所製)を用いて印刷した際のピッキングの程度を肉眼で判定し、5段階評価した。得点のつけ方はドライピック強度と同様である。
(インクセット性)
RI印刷機(明製作所製)を用いて塗工紙に印刷した後、印刷機上で印刷面に白紙を乗せて、一定時間後(30秒〜5分)にロールで圧着し、このときのインクの付着状からインクセット性を評価した。インクの付着した紙をスキャナーに取り込み、インクの輝度を測定して判定を行った。インクの付着の度合いが大きいものほど、インクセットは遅く、輝度は大である。すなわち、数値の小さい方がインクセット性は良好である。
(実施例2)
密実有機顔料Aに代えて密実有機顔料Bを5部用いた以外は、実施例1と同様の方法にて紙塗工用組成物を得、得られた紙塗工用組成物を用いて塗工紙(実施例2)を得た。
(実施例3)
密実有機顔料Aに代えて密実有機顔料Cを5部用いた以外は、実施例1と同様の方法にて紙塗工用組成物を得、得られた紙塗工用組成物を用いて塗工紙(実施例3)を得た。
(実施例4)
密実有機顔料Aに代えて密実有機顔料Dを5部用いた以外は、実施例1と同様の方法にて紙塗工用組成物を得、得られた紙塗工用組成物を用いて塗工紙(実施例4)を得た。
(実施例5)
密実有機顔料A5部に代えて、密実有機顔料A2.5部と中空有機顔料(商品名;AE851 JSR社製)2.5部を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて紙塗工用組成物を得、得られた紙塗工用組成物を用いて塗工紙(実施例5)を得た。
(実施例6)
密実有機顔料Aに代えて密実有機顔料Eを5部用いた以外は、実施例1と同様の方法にて紙塗工用組成物を得、得られた紙塗工用組成物を用いて塗工紙(実施例6)を得た。
(実施例7)
軽質炭酸カルシウムを使用せず、密実有機顔料Aを20部とした以外は、実施例1と同様の方法にて紙塗工用組成物を得、得られた紙塗工用組成物を用いて塗工紙(実施例7)を得た。
(比較例1)
密実有機顔料Aを使用せず、軽質炭酸カルシウムを15部とした以外は、実施例1と同様の方法にて紙塗工用組成物を得、得られた紙塗工用組成物を用いて塗工紙(比較例1)を得た。
(比較例2)
密実有機顔料Aに代えて密実有機顔料Fを5部用いた以外は、実施例1と同様の方法にて紙塗工用組成物を得、得られた紙塗工用組成物を用いて塗工紙(比較例2)を得た。
(比較例3)
密実有機顔料Aを使用せず、軽質炭酸カルシウムを15部とし、さらに、共重合体ラテックスaを12部に増量した以外は、実施例1と同様の方法にて紙塗工用組成物を得、得られた紙塗工用組成物を用いて塗工紙(比較例4)を得た。
顔料100質量%中に、動的光散乱法による平均粒子径が150nm以下でガラス転移温度(Tg)が30℃以上の密実有機顔料を1〜25質量%含有する紙塗工用組成物を用いた実施例1〜7は、印刷光沢、目視印刷光沢、及び視感印刷光沢(拡散反射光強度の逆数の値による視感印刷光沢)の全てにおいて優れたものであった。また、白紙光沢は、比較例1及び2と比べると低いものであるが、使用上問題となるような値ではない。また、ドライピック強度、ウェットピック強度、及びインクセット性についても好ましい値であった。
一方、比較例1〜3の紙塗工用組成物を用いた塗工紙は、比較例1及び2は拡散反射光強度の逆数の値による視感印刷光沢に劣り、比較例3は白紙光沢に劣るものであった。
本発明の紙塗工用組成物は、印刷光沢に優れた塗工紙を製造するために利用することができる。また、本発明の塗工紙は、その表面に光沢感に優れた印刷を行うことが可能であり、優れた印刷光沢を必要とする印刷物用の塗工紙として好適に用いることができる。
本発明の塗工紙を用いた印刷物における拡散反射光強度を測定するための光沢計の構成を示す模式図である。
符号の説明
10:印刷物、21:ハロゲンランプ、22:コンデンサーレンズ、23:集光部材、24:スリット、25:コリメーター、26:光源、27:試料台、28:テレスコープレンズ、29:受光部、30:測定手段、31:光沢計、32:白色光、33:平行光、34:反射光、35:P偏光板。

Claims (7)

  1. 顔料と、共重合体ラテックスとを含む紙塗工用組成物であって、
    前記顔料100質量%中に、動的光散乱法による平均粒子径が150nm以下でガラス転移温度(Tg)が30℃以上の密実有機顔料を1〜25質量%含有する紙塗工用組成物。
  2. 前記密実有機顔料が、
    (a)芳香族ビニル単量体((a’)単量体)由来の構造単位50〜100質量部、
    (b)脂肪族共役ジエン単量体((b’)単量体)由来の構造単位0〜20質量部、
    (c)エチレン性不飽和カルボン酸単量体((c’)単量体)由来の構造単位0〜20質量部、
    (d)シアン化ビニル単量体((d’)単量体)0〜50質量部、及び
    (e)これらの(a’)〜(d’)単量体と共重合可能な他の単量体((e’)単量体))由来の構造単位0〜50質量部(但し、(a)+(b)+(c)+(d)+(e)=100質量部)、を含んでなるものである請求項1に記載の紙塗工用組成物。
  3. 前記顔料100質量部に対して、前記共重合体ラテックスを3〜25質量部含む請求項1又は2に記載の紙塗工用組成物。
  4. 前記共重合体ラテックスが、コア/シェル型共重合体ラテックスである請求項1〜3のいずれかに記載の紙塗工用組成物。
  5. 塗工原紙と、前記塗工原紙に塗工された請求項1〜4のいずれかに記載の紙塗工用組成物からなる塗工層と、を備えた塗工紙。
  6. 前記塗工紙の上に、RI印刷機で印刷部のベタ濃度がマクベス濃度計で2.2±0.1となるように墨インクを印刷し、印刷物が乾燥した後に、下記の拡散反射光強度の測定方法によって測定される前記印刷物の前記印刷部の拡散反射光強度の逆数の値が30以上である請求項5に記載の塗工紙。
    (拡散反射光強度の測定方法)
    JIS Z 8741の鏡面光沢度測定方法に準拠して光量を調整した白色光を用い、入射側と受光側とに偏光板(P偏光)を装着し、前記印刷物の前記印刷部に入射角が57°となるように前記偏光板を通過させた前記白色光を入射し、受光角が40°となる領域にて拡散反射光の強度を測定する。
  7. 前記塗工原紙に塗工された前記紙塗工用組成物の塗工量が、前記塗工原紙片面当たり3〜25g/m2である請求項5又は6に記載の塗工紙。
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