JP2010150723A - 多層抄き塗工板紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】段ボールケース及び紙器等の収容箱等として使用されている多層抄き塗工板紙において、米坪を従来の板紙の10〜15%低減させ、低米坪・軽量化を図ることができ、また低米坪・軽量化を図っても、段ボールケース、紙器用途に適した加工適性を満足させる品質を有すると同時に、青果物用途の段ボールケースに使用された場合の水性・油性インクの両方に適したスタンプ印刷適性を有する多層抄き塗工板紙を提供する。
【解決手段】複数層から成る基紙の表面層上に有機顔料を含有する表面層用塗工液を塗布して表面塗工層を形成し、かつ基紙の裏面層(反表面塗工層側の層)上に水溶性樹脂からなる裏面層用塗工液を塗布して裏面塗工層を形成し、この裏面塗工層の表面のJAPAN TAPPI No.1に準じて測定したワックスピックを10〜20Aとする。
【選択図】なし

Description

本発明は、段ボールケース及び紙器等の収容等の収容箱として使用されている多層抄き塗工板紙において、近年、低米坪・軽量化が進み、より圧縮強度が要求されてきており、10〜15%の低米坪・軽量化を実現し、なお段ボール、紙器等の加工適性を満足させる品質を有する多層抄き塗工板紙に関する。また、同時に青果物用途の段ボールケースに使用された場合の、水性・油性インクの両方に適したスタンプ印刷適性を有する多層抄き塗工板紙に関する。
近年、資源保護、環境リサイクルへの関心が強くなり、包装資材のリサイクル、低減が望まれて来ている。このため、製品・商品等を梱包する段ボールケース、紙器等に使用されている段ボール原紙、白板等の低米坪・軽量化が進んできており、また、板紙の米坪を10〜15%規格ダウンさせて低米坪・軽量化を行なっても、従来と同等もしくはそれ以上の強度、加工適性、印刷適性を有することが要求されてきています。
例えば、特許文献1には、古紙パルプの繊維長を1.5mm以上に規定し、古紙パルプの灰分を10%以下にすること等で、古紙を多配合しても、板紙の重要品質の一つである剛度を向上させた高級板紙が開示されている。しかし、特許文献1に記載の高級板紙は、主に単紙で使用されている紙器用途に使用されており、段ボールケースとしての加工適性、製函適性、耐罫線割れ適性等の品質は満足できていない。また、このような高級板紙は、低米坪・軽量化して使用する際に必要な剛度も満足していない。
また、特許文献2には、アクリル系又は、スチレン系の樹脂材料とラテックスと有機顔料とを主成分として、0.3〜2.0g/mの塗工を施し、紙密度を規定することにより、インク接着力が強くかつ高い印刷光沢が得られ、しかも塗工層の板紙との接着強度を高くした印刷用板紙が開示されている。しかしながら、特許文献2に記載の印刷用板紙は、低塗工量で耐罫線割れ適性は持ち合わせているものの、米坪を10〜15%低米坪・軽量化すると、従来品と同等に使用できる強度、加工適性を満足するものではなかった。
また、特許文献3には、裏面の顔料塗工層の顔料の種類、塗工量を規定し、特定の粒子径の滑剤を使用することにより、オフセット印刷後に表面と裏面が擦れても表面層の印刷部に部分的なインク剥がれを起こすことなく、また、裏面の印刷適性に優れると共に、オフセット印刷作業性及び打ち抜き作業性を向上させた白板紙が開示されている。しかしながら、特許文献3に記載の白板紙においても、低米坪・軽量化して使用すると、従来品と同様に使用できる圧縮強度や加工適性を満足させることはできなかった。
さらに、特許文献4には、裏面の塗工量を3〜10g/mに規定し、平坦化した裏面白色度を45%以上にすることにより、裏面に脱墨処理を施さない古紙を多配合したコート白ボールに裏面印刷したとき、印刷面のインク発色性が良好で、かつ光沢度が高く、更に表面印刷したときの印刷面の耐白抜け性に優れ、さらに製函時の折れ割れ適性を良好なものとしたコート白ボールが開示されている。しかしながら、特許文献4に記載のコート白ボールも、前述の特許文献1〜3と同様、低米坪・軽量化を図ると、強度を満足することができず、加工適性、スタンプ印刷適性を満足させるものではなかった。
特開2006−322097号公報 特開2006−322081号公報 特開2008−95274号公報 特許第3399382号公報
本発明は、上述したような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、段ボールケース及び紙器等の収容箱等として使用されている多層抄き塗工板紙において、米坪を従来の板紙の10〜15%低減させ、低米坪・軽量化を図ることができ、また低米坪・軽量化を図っても、段ボールケース、紙器用途に適した加工適性を満足させる品質を有すると同時に、青果物用途の段ボールケースに使用された場合の、水性・油性インクの両方に適したスタンプ印刷適性を有する多層抄き塗工板紙を提供することにある。
本発明の上記目的は、少なくとも複数層から成る基紙を有する多層抄き塗工板紙において、少なくとも前記基紙の表面層上に有機顔料を含有する表面層用塗工液を塗布して表面塗工層を形成し、かつ前記基紙の裏面層(反表面塗工層側の層)上に水溶性樹脂からなる裏面層用塗工液を塗布して裏面塗工層を形成し、該裏面塗工層の表面のJAPAN TAPPI No.1に準じて測定したワックスピックが10〜20Aであることを特徴とする多層抄き塗工板紙を提供することによって達成される。
また、本発明の上記目的は、前記水溶性樹脂が、少なくともポリビニルアルコール系樹脂とポリアクリルアミド系樹脂とを含有することを特徴とする多層抄き塗工板紙を提供することによって効果的に達成される。
さらにまた、本発明の上記目的は、前記表面層用塗工液の塗布量が片面当り5〜18g/mであって、また、前記基紙のJIS−P8252(525℃)に準じて測定した灰分が10〜25%であることを特徴とする多層抄き塗工板紙を提供することによって、より効果的に達成される。
本発明に係る多層抄き塗工板紙によれば、複数層からなる基紙を有する多層抄き塗工板紙において、少なくとも基紙の表面層上に、有機顔料を含有する塗工液を塗布して塗工層を形成し、かつ基紙の裏面層(反表面塗工層側の層)上に、水溶性樹脂からなる塗工液を塗布し、基紙の裏面のワックスピックを10〜20Aとしたので、板紙を従来の10〜15%、低米坪・軽量化させることができ、このように低米坪・軽量化しても、段ボール、紙器等の加工適性を満足させることができると共に、板紙を青果物用途等の段ボールケースに使用する場合の、水性・油性インクの両方に適したスタンプ印刷適性を満足させることができるようになる。
以下、本発明に係る多層抄き塗工板紙について、基紙の紙層が、表面層、3層の中層及び裏面層の5層から成る場合を例に詳細に説明する。なお、本発明に係る多層抄き塗工板紙は、以下の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内において、その構成を適宜変更できることはいうまでもない。
本発明に係る多層抄き塗工板紙(以下、「本多層抄き塗工板紙」という)の基紙の表面層上に、有機顔料を主成分とする表面層用塗工液を塗布して表面塗工層を形成し、かつ、基紙の裏面層上(反表面塗工層側の表面層上)に水溶性樹脂からなる裏面層用塗工液を塗布して裏面塗工層を形成し、裏面塗工層の表面のJAPAN TAPPI No.1に準じて測定したワックスピック(以下、単に「ワックスピック」という。)を10〜20Aとする。これにより、従来の板紙と比べると10〜15%の低米坪・軽量化が可能となり、また低米坪・軽量化しても、段ボール、紙器等への加工適性、及びスタンプ印刷適性の両方をバランス良く満足させることができる。
有機顔料は、無機顔料と比べると、硬度が低いものの、粒子に弾力性と剛性があり、光沢もあるので、印刷適性、耐罫線割れ適性、及び圧縮強度を、バランス良く満足させることができる点で無機顔料よりも好ましい。従って、このように表面層用塗工液に有機顔料を含有させることで、表面塗工層の柔軟性および剛性を確保することができる。これにより、表面層の曲げ応力に対する耐性が向上し、耐罫線割れ適性を向上させることができるので、表面塗工層の割れの発生を大幅に減少させることができるとともに、水性・油性インクの両方に適したスタンプ印刷適性を得ることができる。さらには、従来の板紙と比べて10〜15%の低米坪・軽量化を行っても、板紙としての圧縮強度を確保することができ、加工適性を満足することができる。
また、有機顔料を含有する表面層用塗工液の塗工量は、表面塗工層の乾燥状態(基紙上に形成された表面塗工層の状態)において、5〜18g/m(dry換算)、より好ましくは6〜15g/mである。これにより、表面塗工層と接する基紙の表面層のパルプ繊維間の目止めをすることができるので、スタンプ印刷適性を向上させることができると共に、印刷面の平滑化及び塗工層の剛性を確保できる。また、表面塗工層の厚みが厚くなりすぎないので、インクが基紙へと浸透しやすく、インク接着性が高くなるので、本多層抄き塗工板紙のスタンプ印刷適性をより向上させることができる。
なお、表面層用塗工液の塗工量が5g/m未満では、表面層のパルプ繊維間の目止め効果を発揮することができず、スタンプ印刷のインク滲みが発生しやすくなる問題があり、本願の所望とするスタンプ印刷適性を十分に得ることができない。また、従来の板紙と比べて10〜15%低米坪・軽量化すると、塗工層の剛性を保ち、圧縮強度を確保することが難しくなる。一方、塗工量が18g/mを超えると表面塗工層の厚みが厚くなりすぎ、塗工層の剛性は向上するものの、表面層の曲げ応力に対する耐性を得ることができず、段ボールなどに必要な耐罫線割れ適性等の加工適性に劣る傾向がある。
以下、表面層用塗工液について詳述する。表面層用塗工液に含有する有機顔料としては、真球状又は中空状のプラスチックピグメント(PP)が好ましい。無機顔料に比べて硬度が低いものの、剛性を有しているので、顔料自体の変形も容易であり、耐罫線割れ適性を向上させ、本多層抄き板紙の米坪を、従来の板紙と比べて10〜15%の低米坪・軽量化しても、圧縮強度の低下を防止し、加工適性を向上させる効果がある。
このようなプラスチックピグメントとしては、共役ジエン単量体5〜18重量%、イタコン酸0.25〜4重量%、アクリル酸0.25〜6重量%、及びこれらと共重合可能なその他の単量体72〜94.5重量%からなる単量体混合物を乳化共重合して得られるものが用いられる。
共役ジエン単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、クロロプレンなどが挙げられる。なかでも、1,3−ブタジエンが好適である。これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、共役ジエン単量体の使用量は、全単量体の5〜18重量%、好ましくは8〜16重量%である。この量が少ないと本多層抄き塗工板紙はスタンプ印刷適性に劣り、逆に多いと、耐罫線割れ適性等の加工適性に劣る傾向にある。
イタコン酸の使用量は、全単量体の0.25〜4重量%、好ましくは0.5〜3重量%である。イタコン酸はアルカリ金属塩又はアンモニウム塩として用いることもできる。イタコン酸の使用量が少ないと表面層用塗工液の機械的安定性に劣り、逆に多いと本多層抄き塗工板紙のスタンプ印刷適性を満足することが難しくなり、また白紙光沢も低下する。
アクリル酸の使用量は、全単量体の0.25〜6重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。アクリル酸は、アルカリ金属塩又はアンモニウム塩として用いることもできる。アクリル酸の使用量が少ないと表面層用塗工液の機械的安定性に劣り、逆に多いと得られた表面層用塗工液のラテックスの粘度が上昇して取り扱い難くなると共に、本多層抄き塗工板紙がスタンプ印刷適性に劣る傾向となり、また白紙光沢も低下する。
共役ジエン単量体、イタコン酸およびアクリル酸と共重合可能なその他の単量体としては、例えば、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体、イタコン酸およびアクリル酸を除くエチレン性不飽和酸単量体、架橋性単量体などが挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン等が挙げられるが、特にスチレンが好ましい。
エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−シアノエチルアクリロニトリルなどが挙げられるが、特に(メタ)アクリロニトリルが好ましい。
エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸テトラフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸シアノメチル、(メタ)アクリル酸2−シアノエチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジルなどのエチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体;マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、マレイン酸ジエチルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸エステル単量体;などが挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体が好ましく使用できる。
エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、等が挙げられる。
イタコン酸およびアクリル酸を除くエチレン性不飽和酸単量体としては、例えば、メタクリル酸、クロトン酸などのアクリル酸を除く不飽和モノカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸などのイタコン酸を除く不飽和多価カルボン酸;マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノメチルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物;ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などのスルホン酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸−3−クロロ−2−リン酸プロピル、(メタ)アクリル酸−2−リン酸エチル、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンリン酸などのリン酸基含有単量体;などが挙げられる。これらは、アルカリ金属塩又はアンモニウム塩として用いることもでき、また、これらの単量体は、単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
架橋性単量体としては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレート類;ジビニルベンゼン等が挙げられる。
これらの他の単量体は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの他の単量体のうち、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体が好ましく使用される。なお、イタコン酸およびアクリル酸を除くエチレン性不飽和酸単量体の使用量は、全単量体の2重量%以下、より好ましくは1重量%以下であり、特に好ましくは使用しない。
他の単量体の使用量は、全単量体の72〜94.5重量%、好ましくは76〜91重量%である。この使用量が少ないと本多層抄き塗工板紙の耐ブロッキング性に劣り、逆に多いと本多層抄き塗工板紙はスタンプ印刷適性に劣る傾向となり、また白紙光沢も低下する。
また、イタコン酸とアクリル酸との重量比は1:1〜1:3の範囲とすることが好ましい。この範囲で両者を用いると、機械的安定性により優れる表面層用塗工液が得られ、かつ表面層用塗工液の粘度も低く抑えることができるので、高速塗工にも好適に使用できる。
また、表面層用塗工液に用いられる有機顔料の体積平均粒子径は150〜500nm、より好ましくは180〜320nmである。これにより、本多層抄き塗工板紙は、白紙光沢と表面強度とのバランスにより優れるものとなる。なお、この粒子径は、乳化剤および重合開始剤の使用量を調節したり、シードラテックスの粒子径やその使用量を調整するなどして、所望の値に制御できる。
さらに、有機顔料のテトラヒドロフラン不溶解分は40重量%以上、より好ましくは50〜95重量%である。この量が少ないと、本多層抄き塗工板紙の耐ブロッキング性が低下する傾向にある。逆にこの量が多すぎると、本多層抄き塗工板紙のスタンプ印刷適性が低下する傾向にあり、また白紙光沢も低下する。
さらにまた、有機顔料のガラス転移温度(Tg)は30〜95℃、好ましくは50〜80℃である。ガラス転移温度がこの範囲内にあると、本多層抄き塗工板紙の白紙光沢及び耐ブロッキング性のバランスにより優れる表面塗工層を形成することができる。
また、表面層用塗工液は、有機顔料の他、バインダー成分として、SBRラテックスが含有されていることが好ましい。SBRラテックスは適度な造膜性及び剛性があり、かつ、インク着肉性も良好である。従って、表面層用塗工液に、有機顔料とSBRラテックスとを含有することにより、多層抄き塗工板紙としての耐罫線割れ適性、並びにインク着肉性はもちろんのこと、本多層抄き塗工板紙を低米坪・軽量化しても、圧縮強度を維持する働きをするため、本多層抄き塗工板紙の加工適性及びスタンプ印刷適性をより向上させることができる。
なお、バインダー成分となる樹脂としては上記SBRラテックスの他、アクリルアミド系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、PVA等のポリビニル系樹脂、澱粉等の樹脂もあるが、本発明においては、SBRラテックスのようなスチレン系の樹脂が特に好ましい。
また、表面層用塗工液におけるSBRラテックスの配合量は、顔料(有機顔料+無機顔料)100重量部に対して、SBRラテックスが6〜15重量部、好ましくは9〜12重量部とすることが好ましい。なお、有機顔料以外の顔料としては、クレー、炭酸カルシウム、シリカ等の無機顔料が使用される。中でもクレー、炭酸カルシウムが用いられると、加工適性及びスタンプ印刷適性を得るという本発明の目的を達成させるには好ましい。
SBRラテックスの配合量が顔料に対して6重量部未満であると、バインダー成分が少なく、耐罫線割れ適性を満足することが難しくなる。さらに、有機顔料を基紙の表面に固着させることが難しくなるため、擦れにより表面塗工層に傷が入りやすくなる。一方、SBRラテックスの配合量が15重量部を超えると、表面塗工層の表面に粘り感が発生する傾向になり、巻取り製品に加工した際に表面塗工層と裏面塗工層とが貼り付く傾向になるため、紙表面にピッキングを発生させてしまうおそれがある。また、表面塗工層の曲げ応力に対する耐性は向上するが、表面塗工層自体の柔軟性がなくなり、硬くなる傾向になるので、耐罫線割れ適性を満足させることが難しくなることに加え、特に水性のスタンプ印刷適性に問題が生じる。
すなわち、表面層用塗工液中の顔料としては、クレー:炭酸カルシウム:有機顔料の比率を20〜60:25〜71:4〜15であることが好ましい。これにより、従来の板紙と比べて10〜15%の低米坪・軽量化を可能とし、また、このように低米坪・軽量化しても、段ボールや紙器等への加工適性を維持すると共に、スタンプ印刷適性を有することができる。
なお、上記表面層用塗工液の塗工方法としては、シングル塗工でもダブル塗工以上の多段塗工でもよく、塗工設備としては、バーコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ゲートロールコーター、及びサイズプレス等のロールコーター、ビルブレードコーター、ベルバパコーター、カレンダーロールコーターなどがある。また、基紙の表面層上に表面層用塗工液を塗布する前(表面塗工層を形成する前)に、表面層用塗工液を均一に塗工し、表面塗工層を平滑にするために、カレンダーパートで基紙に表面処理を施すことが好ましい。
また、基紙の裏面層上に水溶性樹脂からなる裏面層用塗工液を塗布して裏面塗工層を形成する。この裏面層用塗工液は、水溶性樹脂としては、例えば、でんぷん(リン酸エステル化でんぷん、カチオン化でんぷん等の各種変性でんぷんを含む)、ポリビニルアルコール系樹脂(PVA)、ポリアクリルアミド系樹脂(PAM)、カゼイン、ポリスチレン−ブタジエン系ラテックス、ポリ酢酸ビニル系ラテックス、ポリアクリル系ラテックス、ポリウレタン系ラテックス等を用いることができる。これらの中でも造膜性、剛性、基材への浸透性を考えると、PVAとPAMの2種類を組み合わせて用いることが好ましい。
この場合におけるPVAとPAMの混合比率については、40:60〜60:40が好ましく、より好ましくは45:55〜55:45である。これにより、裏面側の毛羽立ちを防止するとともに、裏面塗工層側の剛性も確保でき、低米坪化が図れ、本発明の目的を達成することができ、本多層抄き塗工板紙を、加工適性に優れると共に、スタンプ印刷適性にも優れるものとすることができる。
また、裏面層用塗工液は濃度が1〜8%、より好ましくは2〜5%となるように調整することが良い。裏面層用塗工液の濃度が1%未満であると、裏面層用塗工液の基紙への浸透がよすぎるため、基紙の裏面層側の紙表面の剛性を得ることが難しくなる傾向になる。このため、多層抄き板紙を低米坪・軽量化させても圧縮強度を維持することが難しくなり、本多層抄き塗工板紙が所望とする加工適性を満足することが難しくなる。一方、濃度が8%を超えると、低米坪・軽量化させても圧縮強度を維持することはできるが、裏面層用塗工液の粘性が高くなりすぎる傾向となるため、裏面層用塗工液の基紙への浸透が悪化し、さらに操業性が低下するという問題が発生することに加え、裏面層側の表面が硬くなる傾向になり、耐罫線割れ適性等の加工適性を満足することが難しくなる。
さらに、効果的には裏面層用塗工液に架橋剤を添加することが好ましく、これにより本発明の目的をより容易に達成することができる。すなわち、これらの架橋剤を含有させることで、より効果的に基紙の裏面から浸透させた裏面層用塗工液を基紙の繊維と強固に結合させることができるようになる。従って、従来の板紙と比べて10〜15%の低米坪・軽量化を図っても、裏面塗工層の剛性を低下させることなく、耐罫線割れ適性も維持することができ、本発明の目的をより容易に達成することができるようになるのである。なお、架橋剤としては、エポキシ系、ジルコニウム系が好ましい。さらに、エポキシ系では、WS4024(25%品、日本PMC株式会社製)が特に好ましく、ジルコニウム系では、炭酸ジルコニウムアンモニウムを含有するベイコート20(45%品、日本軽金属株式会社製)が特に好ましい。
また、このような裏面層用塗工液の塗工量は0.2〜0.6g/m(dry換算)、より好ましくは0.4〜0.5g/mである。これにより、本多層抄き塗工板紙において、10〜15%の低米坪・軽量化を図っても、段ボールや紙器に加工する際に必要な加工適性を維持すると共に、さらにスタンプ印刷適性を付与することがより容易となる。なお、裏面層用塗工液の塗工量が0.2g/m未満であると、本発明の所望とする裏面層側の紙表面の剛性を満足することが難しくなり、一方で0.6g/mを超えると、裏面層側の紙表面の剛性は満足することができるが、裏面塗工層の柔軟性がなくなり、硬くなる傾向になるため、本発明の所望とする耐罫線割れ適性等の加工適性を満足させることが難しくなる。
上記のような裏面層用塗工液を基紙の裏面層上に塗布して裏面塗工層を形成することにより、裏面塗工層の表面のワックスピックを10〜20Aにすることが好ましく、より好ましくは12〜16Aである。ワックスピックが10A未満であると、裏面塗工層の剛性が弱い傾向になり、低米坪・軽量化を実現しても、加工適性及びスタンプ印刷適性を有するという本願の目的を達成することが難しくなる。一方、ワックスピックが20Aを超えると、裏面塗工層の剛性が強くなりすぎる傾向になり、柔軟性がなくなり、硬くなるため、耐罫線割れ適性を満足することが難しくなる。
なお、上記裏面層用塗工液の塗工方法としては、シングル塗工でもダブル塗工以上の多段塗工でもよく、塗工設備としては、バーコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ゲートロールコーター、及びサイズプレス等のロールコーター、ビルブレードコーター、ベルバパコーター、カレンダーロールコーターなどがある。塗工設備については、これらの中でも高線圧下での塗工が可能なカレンダーロール塗工方式が好ましい。また、カレンダーロールとしてはチルドロールがより好ましい。さらに、塗工後の裏面塗工層の表面の平坦化処理はオンマシンカレンダーやソフトカレンダー、グロスカレンダーなどが使用できる。
次に、本多層抄き塗工板紙の基紙について説明する。本多層抄き塗工板紙の基紙の表面塗工層と接する層(表面塗工層が形成される層。以下、「表面層」と言う。)は、針葉樹パルプが50〜70重量%、より好ましくは55〜65重量%配合された原料パルプを用いて形成される。これにより、本多層抄き板紙の低米坪・軽量化を図ることにおいて、表面層のパルプ繊維の結合を強くし、段ボール、紙器の用途に必要な耐罫線割れ適性を満足させることができると共に、微細繊維や無機物の欠落も防止することができる。なお、針葉樹パルプの配合量が50重量%未満であると、長繊維パルプが少なくなることで罫線割れが発生しやくなる。一方、70重量%を超えると、長繊維パルプが多すぎるために、表面層を均一な地合いとすることができず(平坦にすることができず)、印刷不良の原因となるとともに、本多層抄き塗工板紙の低米坪・軽量化を図るにあたり、紙がしまりにくくなり、本多層抄き塗工板紙の剛性を確保することが難しくなる。なお、針葉樹パルプは、繊維が柔らかくカレンダー処理を施す際に繊維が潰れ易いため、表面塗工層の形成前に基紙にカレンダー処理を施すことにより、さらに基紙の表面が平坦となり、表面層用塗工液を表面層上に均一に塗工することが可能となる。
なお、裏面層については、その原料パルプは特に限定されないが、一般的には、紙器製造時に発生する裁落損紙、新聞、雑誌等を原料として抄造した白ボール、地券古紙等を主原料とする原料パルプが用いられる。また、中層の原料パルプには、上白古紙とコート紙の白損からなる中白古紙等とを適宜配合したものが好適に用いられる。
また、本多層抄き塗工板紙においては、JIS−P8252(525℃)に準じて測定した灰分が10〜25%、13〜20%がより好ましい。灰分が10%未満であると、紙密度が低下する傾向になり、圧縮強度が低下する傾向になる。一方、灰分25%を超えると、耐罫線割れ適性を満足することが難しくなる。
さらに、上記の灰分範囲において、本多層抄き塗工板紙の基紙の紙密度を0.48〜0.98g/cmに調整すると、表面層用塗工液の基紙への吸収バランスがもっとも良くなり、従来の板紙と比べて10〜15%低米坪・軽量化することを可能にし、また低米坪・軽量化しても、板紙の圧縮強度を維持し、加工適性を維持することができることが分かった。これにより、表面層用塗工液を4.5〜9.5g/mの範囲としても、本多層抄き塗工板紙が所望とする加工適性及びスタンプ印刷適性を、より容易に得ることができるようになる。
上述した原料パルプは、公知の抄紙工程、例えばワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、サイズプレス、カレンダーパートなどを経て、表面層、表下層、中層、裏下層及び裏面層の5層の紙層を有する本多層抄き塗工板紙の基紙が形成される。なお、本多層抄き塗工板紙の基紙の抄紙方法については、特に限定されるものではないので、酸性抄紙法、中性抄紙法、アルカリ性抄紙法のいずれであっても良い。また、抄紙機も特に限定されるものではないので、例えば長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機、円網短網コンビネーション抄紙機等の公知の種々の抄紙機を使用することができる。
また、本多層抄き塗工板紙に用いられる基紙は、各層の繊維配向性(ジェットワイヤー比)を、表面層が100〜96、表下層が100〜96、中層が106〜102、裏下層が106〜102、裏面層が106〜100の範囲で、且つ、表層<表下層<裏下層<裏層≦中層の関係を有するように調整することが好ましいことがわかった。これにより、本発明の目的とする低米坪・軽量化が図れ、かつ剛性を維持できる表面塗工層及び裏面塗工層を形成することができる。
また、基紙の坪量は100〜500g/mとすることが好ましい。坪量が100g/m未満であると、多層抄き塗工板紙を段ボール用途に使用した際、段ボールケースの圧縮強度が低くなるといった問題がある。一方、500g/mを超えると、基紙の紙厚も大きくなるため、多層抄き塗工板紙を折り曲げた際に、表面の応力が強くなりすぎ、表面塗工層及び基紙の表面層にひび割れが発生するという問題が発生する。
また、本多層抄き塗工板紙の基紙は、プレス工程後に鏡面仕上げされたドライヤーに圧接することが好ましく、特にヤンキードライヤーなどの大径ドライヤーに圧接乾燥することが望ましい。さらには、圧接前の基紙の湿紙水分が53〜60%であるとより好ましくなる。湿紙水分が53%未満であると表面に存在する水分の絶対量が少なくなり、表裏面のみが過乾燥気味になり、表面塗工層形成前あるいは裏面塗工層形成前の、基紙の表裏面の凹凸が大きくなり、上述した表面層用塗工液あるいは裏面層用塗工液の塗工量では本発明の目的を達成することが難しくなる。一方、湿紙水分が60%を超えると基紙の表面層あるいは裏面層に分布する絶対水分量が多くなり、表面層あるいは裏面層から蒸発する水蒸気量が多くなるので、鏡面と基紙との接触が不十分となり、良好な表面層及び裏面層を得ることが難しくなる。
なお、基紙を抄紙後、2次加工で印刷機やバーコーターやロッドコーター、エアナイフ等の塗工機により表面層用塗工液及び裏面層用塗工液を塗工して表面塗工層及び裏面塗工層を形成し、本多層抄き塗工板紙を形成することも可能である。
以上に詳述したように、複数層から成る基紙を有し、基紙の表面層上に特定の有機顔料を、特定量配合した表面層用塗工液を塗布して表面塗工層を形成し、かつ基紙の裏面層上に特定の水溶性樹脂を特定の配合割合とした裏面層用塗工液を塗布して裏面塗工層を形成し、さらに、基紙の灰分、層別の繊維配向性を規定することで、表面層及び裏面層の剛性を高めることができるので、従来の板紙と比べて10〜15%の低米坪・軽量化が図れ、さらに低米坪・軽量化を図っても、加工適性およびスタンプ印刷適性を満足させることができるに至ったのである。
本発明に係る多層抄き塗工板紙の効果を確認するため、以下のような各種の試料を作製し、これらの各試料に対する品質を評価する試験を行った。なお、本実施例において、配合、濃度等を示す数値は、固形分又は有効成分の質量基準の数値である。また、本実施例で示すパルプ・薬品等は一例にすぎないので、本発明はこれらの実施例によって制限を受けるものではなく、適宜選択可能であることはいうまでもない。
本発明に係る24種類の多層抄き塗工板紙(これを「実施例1」ないし「実施例24」とする。)と、これらの実施例1ないし実施例24と比較検討するために、2種類の多層抄き塗工板紙(これを「比較例1」及び「比較例2」とする。)を、表1に示すような構成で作製した。また、参考例として、王子製紙株式会社の市販品(参考例1)、北越製紙株式会社の市販品(参考例2)、レンゴー株式会社の市販品(参考例3)、及び大王製紙株式会社の市販品(参考例4)を用いた。
Figure 2010150723
[実施例1]
以下の原料を用いて、下記の製造法に従い、表面層、表下層、中層、裏下層、裏面層の5層から成る基紙を有する多層抄き塗工板紙を得た。
<基紙>
・表面層
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)60質量%(dry)と、広葉樹晒クラフトパルプ40質量%(dry)を配合した後に、ダブルディスクレファイナーにより、カナディアンスタンダードフリーネス(CSF)を400ccに調整した。このパルプ中に、無機顔料として、タルク(日本タルク(株)製、ナノエースD1000、平均粒子径1.0μm)を、原料パルプの重量に対して固形分で8重量%添加し、原料パルプスラリーを得た。
・表下層、中層、及び裏下層
上白古紙と中白古紙とを1:1の重量比で配合したものを主成分とした原料パルプスラリーを用いた。
・裏面層
地券古紙を主成分とした原料スラリーを用いた。
これらの原料パルプスラリーを用い、円網抄紙機にて、表面層、表下層、中層、裏下層及び裏面層の紙層を、ジェットワイヤー比が表1に示すようになるように抄き合わせて、坪量が210g/mである5層抄きの多層抄き塗工板紙の基紙を得た。この基紙の湿紙状態の水分率を55%に調整し、鏡面仕上げされたヤンキ−ドライヤー表面に圧接しながら、基紙を乾燥した。さらに、グロスカレンダーの加圧条件を変え、基紙の紙密度を0.98g/cmに調整した。
<表面層用塗工液>
次に、有機顔料として、粒子径が300nmである真球状のプラスチックピグメント(商品名「V1004」、日本ゼオン(株)製)を9重量部配合し、無機顔料として、クレー(アマゾンプラスJPG)を41重量部、炭酸カルシウム(ハイドロカーブ90、湿式重カル)を50重量部配合し、バインダーとして、スチレンブタジエンラテックス(SBR)(スマーテックPA−6082(50%品、日本A&L(株)製)を9重量部配合して、表面層用塗工液を作製する。なお、各配合量の数値は、乾燥状態における数値である。
<裏面層用塗工液>
水溶性樹脂のポリビニルアルコール(PVA)系樹脂として、PVA(JF−17、日本酢ビポバール(株)製)を固形分換算で1.5質量%、ポリアクリルアミド系樹脂として、PAM(ハリコートG−50、30%品ハリマ化成品)を固形分換算で1.5質量%、架橋剤として、エポキシ系のWS4024(25%品、日本PMC(株)製)を固形分換算で0.15質量%配合して、裏面層用塗工液を作製する。
この表面層用塗工液をバーコーターにて、基紙の表面層上に11.0g/mの塗工量で塗工して表面塗工層を形成し、裏面層用塗工液をバーコーターにて、基紙の裏面層上に0.4g/m塗工して裏面塗工層を形成し、多層抄き塗工板紙(実施例1)を得た。
また、実施例2〜24、及び比較例1〜2を表1に示す条件以外は実施例1と同様にして、各試料である多層抄き塗工板紙を作製した。また、参考例1〜4は市販品および当社一般品とした。なお、この裏面層用塗工液の、水溶性樹脂として添加される澱粉としては日本コーンスターチ(株)製のモデスターSPRNを、スチレンとしては、荒川化学(株)製のポリマロン1329を、またラテックスとしては、SBRである日本A&L(株)製のスマーテックPA−6082を用いた。さらにまた、架橋剤のジルコニウム系として、日本軽金属株式会社製の、炭酸ジルコニウムアンモニウムを含有するベイコート20(50%品)を用いた。
なお、表1中の「紙密度(g/cm)」とは、各試料である多層抄き塗工板紙の基紙の坪量と、JIS−P8118(1998)に記載の「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した基紙の紙厚から算出した値である。
これらの全実施例、比較例、及び参考例について品質評価を行った結果は、表2に示すとおりであった。なお、この品質評価試験は、JIS−P8111に準拠して温度23±2℃、湿度50±2%の環境条件で行った。
なお、表2中の「灰分」とは、JIS−P8251(2003)紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼方法に準拠して測定した灰分(%)の値を言う。
また、「圧縮強度(横)(N)」とは、JIS−P8126(2005)に記載の「紙及び板紙−圧縮強さ試験方法−リングクラッシュ法」に準拠して測定した圧縮強度(横)の値である。
「ワックスピック(裏)(A)」とは、JAPAN TAPPI No.1(2000)に記載の「紙及び板紙−ワックスによる表面強さ試験方法」に準じて測定した、裏面塗工層側のワックスピック強度(A)の値である。
「耐折強度(横)(回)」とは、JIS−P8115(2001)に記載の「紙及び板紙−耐折強さ試験方法−MIT試験機法」に準じて測定した横方向の耐折回数である。
「インク抜け」とは、グラビア印刷機にサカタインクス(株)製のグラビアインクNT−2000を使用し、100線、50μ深度のグラビアロールを用いて各試料である多層抄き塗工板紙の表面塗工層上にベタ印刷を行ない、A4サイズの各試料の表面塗工層上に発生した直径0.3mm以上のピンホールの数を、肉眼で確認し、評価したものである。なお、その評価基準は下記の通りとした。
◎:ピンホールの数が5個以下である。
○:ピンホールの数が6個〜10個である。
△:ピンホールの数が11個〜20個である。
×:ピンホールの数が20個を超えている。
「耐罫線割れ適性」とは、インク抜けと同様に印刷を行った各試料の多層抄き塗工板紙をA4サイズ(縦目)に断裁し、長辺に対して2つ折りにし、プレス圧2.0kg/mで5分間プレス後、肉眼にて折り目部分のひび割れの発生の有無を確認することによって評価したものである。なお、評価基準は下記の通りとした。
◎:ひび割れが発生していない。
○:折り目長さに対して、総全長が15%未満であるひび割れが発生する。
△:折り目長さに対して、総全長が15%以上30%未満であるひび割れが発生する。
×:折り目長さに対して、総全長が30%以上であるひび割れが発生する。
「RIピック」とは、JIS−P8129に規定されているIGT印刷適性試験機に用いる標準タックグレードインクを、熊谷理機工業(株)製KRK万能印刷適性試験機を用いて多層抄き塗工板紙の塗工層に印刷した後、RI印刷適性試験によって評価したものである。なお、評価基準は下記の通りとした。
◎:表面の毛羽立ち又は紙むけが認められない。
○:0.5mm以上の毛羽立ち又は紙むけが2箇所以下である。
△:0.5mm以上の毛羽立ち又は紙むけが3〜5箇所である。
×:0.5mm以上の毛羽立ち、紙むけが6箇所以上である。
「スタンプ印刷適性」とは、市販の油性および水性のスタンプ、シャチハタスタンプ、朱肉印を用いて、捺印後3秒後にその表面をふき取った際の擦れ状態を目視確認し、評価したものである。なお、その評価基準は下記の通りとした。
◎:インクの擦れ汚れがまったく発生していない。
○:殆どインクの擦れ汚れが発生していない。
△:インクの擦れ汚れが発生している。
×:インクが擦り取られてしまう。
さらにまた、「坪量(g/m)」とは、多層抄き塗工板紙の基紙の全体の坪量で、JIS−P8124(1998)に記載の「紙及び板紙−坪量測定方法」に準拠して測定した値である。
Figure 2010150723
表2から、実施例1〜24に係る多層抄き塗工板紙、すなわち本発明に係る多層抄き塗工板紙であると、従来の板紙である参考例の10〜15%、低米坪・軽量化させることができることが分かる。また、本発明に係る多層抄き塗工板紙は、このように低米坪・軽量化しても、段ボール、紙器等の加工適性を満足させることができると共に、板紙を青果物用途等の段ボールケースに使用する場合の、水性・油性インクの両方に適したスタンプ印刷適性を満足させることができるということが分かる。

Claims (3)

  1. 少なくとも複数層から成る基紙を有する多層抄き塗工板紙において、少なくとも前記基紙の表面層上に有機顔料を含有する表面層用塗工液を塗布して表面塗工層を形成し、かつ前記基紙の裏面層(反表面塗工層側の層)上に水溶性樹脂からなる裏面層用塗工液を塗布して裏面塗工層を形成し、該裏面塗工層の表面のJAPAN TAPPI No.1に準じて測定したワックスピックが10〜20Aであることを特徴とする多層抄き塗工板紙。
  2. 前記水溶性樹脂が、少なくともポリビニルアルコール系樹脂とポリアクリルアミド系樹脂とを含有することを特徴とする請求項1に記載の多層抄き塗工板紙。
  3. 前記表面層用塗工液の塗布量が片面当り5〜18g/mであって、また、前記基紙のJIS−P8252(525℃)に準じて測定した灰分が10〜25%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の多層抄き塗工板紙。
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