JP6507539B2 - 塗工白板紙 - Google Patents

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Description

本発明は、塗工白板紙に関するものである。
従来の塗工白板紙は、通常、抄合せによる白板紙の基紙の片面に、顔料と接着剤を主成分として含有する2層の塗工層を有し、枚葉平判オフセット印刷及びグラビア印刷の双方に対して印刷適性が求められるが、抄合せによる白板紙の地合不良からくる平滑性不良、これに起因する塗工層のグラビア印刷時における版への密着性(クッション性)などの理由により、必ずしも良好なグラビア印刷適性を有するものではなかった。また、これらの課題を解決するために塗工層を平滑性、クッション性の有するものとすると一般的にオフセット印刷を行った際、パイリング等の印刷トラブルを引き起こすことが多い。これについては、例えばアート紙、コート紙といった一般印刷用紙の分野では、オフセット印刷用、グラビア印刷用として完全に区別されており、それぞれの用紙を異なる印刷方式で印刷した場合、前述したような印刷トラブルが発生する。特に、オフセット印刷用とグラビア印刷用の用紙間では、耐パイリング性を向上させるため、接着剤の量を多くして印刷強度を向上させると、印刷時のインキの乾燥性(インキセット性)が低下する、あるいは白色度や隠蔽性等の光学特性が低下する問題がある。
紙器類に加工使用される塗工白板紙は、印刷、出版用途の一般的な印刷用塗工紙とは異なり、印刷適性と併せて紙器加工適性も求められる。表面の美粧性や表面保護のための表面加工として、ニス加工、プレスコート加工及びフィルム貼合加工等、更に製函加工として、打抜き加工、罫線入れ加工、糊付け加工等が行われるため、上記印刷適性と併せて、これら多岐に渡る後加工適性も塗工白板紙に要求される。
塗工白板紙の表面加工については、前記のようにニス加工、プレスコート加工及びフィルム貼合加工等の各種表面加工方法があるが、このうちニス用コーターとUV乾燥設備を印刷機の後に設置して、印刷後の塗工白板紙にそのまま連続してニス加工を行うことにより、より効率よく紙器が生産でき、経済的にも優れている理由から、インラインニス(UVニス)加工が使用されるケースが増えている。しかしながら、オフセット印刷適性も求められる塗工白板紙では、インキ乾燥性や吸水着肉性などのオフセット印刷適性向上に対して、塗工層の吸収能力向上が必要となるが、この塗工層によって塗工白板紙の表面に展開したニスが吸収されてしまうため充分な厚みのニス層を形成することができなくなり、このためニス光沢発現が低下して、所望とする美粧性効果、表面保護効果が得られない問題がある。
上記の問題に対し、オフセット、グラビア印刷共用塗工白板紙として、下塗り層に焼成クレー、構造化カオリン及びデラミネーテッドクレーから選ばれる少なくとも1種の顔料を全顔料あたり固形分対比で30〜70重量%含有し、かつ接着剤としてガラス転移温度が−50〜−5℃である重合体ラテックスを全顔料対比固形分5〜25重量%含有し、上塗り層の接着剤として、ガラス転移温度が0℃以上の重合体ラテックスを全顔料対比固形分で3〜30重量%含有する塗工白板紙が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、上記の塗工白板紙のように焼成クレー等を30〜70重量%含有すると塗料粘度の上昇を引き起こすため、塗工装置による塗工の際に塗料濃度を低く設定する必要があるが、この塗料濃度低下に伴って塗工層の被覆性、平滑性が低下するため、グラビア印刷のミッシングドットが悪化する恐れがある。また、上記方法のように焼成クレーや構造化カオリンのような嵩高な塗工層を形成する顔料を用いるため塗工層の吸収性が高くなり、ニス加工適性が低下しやすい。
また、平滑発現性に優れる印刷用塗被紙として、上塗り塗被層に、粒度分布曲線の75質量%に該当する粒子径(D75)と25質量%に該当する粒子径(D25)との比、D75/D25が1.5〜3.3の範囲にある重質炭酸カルシウムを、当該上塗り塗被層に含まれる全顔料の10〜90質量%に相当する量で含有させることが提案されている(特許文献2参照)。更にまた、下塗り塗工層に顔料として平均粒子径が1.0〜3.5μmの範囲にあり、粒度分布曲線の75質量%に該当する粒子径(D75)と25質量%に該当する粒子径(D25)との比、D75/D25が1.5〜4.0の範囲にある軽質炭酸カルシウムを50質量部以上含有させることが提案されている(特許文献3参照)。
しかし、紙器の強度発現に対して紙厚を維持する必要からカレンダ加圧処理による表面の平滑化が制限されるために、印刷、出版用途の一般的なグラビア印刷用塗工紙に比べて、平滑性が発現し難い傾向にある塗工白板紙においては、上記技術のように粒子径分布に特徴のある顔料による平滑発現性向上のみでは、充分なグラビア印刷適性を得ることが難しい。
上塗り塗被層の接着剤として、平均粒子径が80〜120nmの共重合体ラテックスを含有させることが提案されている(特許文献4)。しかしながら、上塗り塗被層のラテックスの平均粒子径を規定しただけでは、十分なクッション性が得られえず、グラビア印刷のミッシングドット(網点欠落)が悪化する恐れがある。
上記のように塗工白板紙の品質向上に対して各種の提案がされているが、紙器加工における印刷適性、ニス加工適性、後加工適性などの各種適性、更に汚れ等の原因となる表面のベタツキがないこと、特にグラビア印刷適性とニス加工適性を充分に満足する結果が得られていないのが現状である。
特開2002−363887号公報 特開2004−003057号公報 特開2009−221613号公報 特開2012−122166号公報
本発明は、塗工白板紙に求められる紙器加工の際の印刷適性と後加工適性の各種品質を両立し、特に印刷適性としてグラビア印刷のミッシングドットが少なく、ベタツキを抑え、後加工適性としてニス光沢発現性に優れた塗工白板紙を提供することを主な目的とする。
本発明者等は、上記従来技術に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、上記問題点を解決するに至った。即ち、本発明は、下記の塗工白板紙に係る。
項1:基紙の表面に顔料と接着剤を含有する塗工層を備えた塗工白板紙において、塗工層が基紙に近い側に下塗り層を有し、基紙から遠い側に上塗り層を有する少なくとも2層の多層構造であって、接着剤として上塗り層中に平均粒子径が75〜150nm、且つガラス転移温度が−50〜−20℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスを含有させ、下塗り層中にガラス転移温度が−40〜5℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスを含有させたことを特徴とする塗工白板紙。
項2:前記上塗り層におけるスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスの含有量が上塗り層に含有される顔料100質量部に対して固形分で9〜25質量部であり、及び/または下塗り層におけるスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスの含有量が下塗り層に含有される顔料100質量部に対して固形分で9〜25質量部である、項1に記載の塗工白板紙。
項3:前記上塗り層に低ガラス転移温度のスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスを用い、下塗り層に高ガラス転移温度のスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスを用いて、前記ガラス転移温度の差が5〜50℃である、項1または2に記載の塗工白板紙。
項4:前記下塗り層がロッドコーターを用いた塗工方式により形成され、前記上塗り層がブレードコーターを用いた塗工方式またはエアナイフコーターを用いた塗工方式のいずれかにより形成された、項1〜3のいずれか1項に記載の塗工白板紙。
項5:前記上塗り層の顔料として平均粒子径が0.5〜1.2μmである重質炭酸カルシウムを上塗り層の顔料の50質量%以上含有する、項1〜4のいずれか1項に記載の塗工白板紙。
項6:前記上塗り層の顔料として平均粒子径が1.2μm以下であるカオリンを含有する、項1〜5のいずれか1項に記載の塗工白板紙。
項7:前記下塗り層が基紙に最も近い塗工層であり、前記上塗り層が基紙から最も遠い塗工層である、項1〜6のいずれか1項に記載の塗工白板紙。
本発明の塗工白板紙は、グラビア印刷のミッシングドットが少なく、ニス光沢発現性に優れ、ベタツキを抑える。
本発明における塗工層は、基紙の表面に設けられており、顔料と接着剤を含有している。また、塗工層は、基紙に近い側に下塗り層を有し、基紙から遠い側に上塗り層を有する少なくとも2層の多層構造である。
本発明では、上塗り層中にスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスを接着剤として用いている。スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスの含有量は、特に限定されないが、上塗り層に含有される顔料100質量部に対して固形分で9〜25質量部が好ましい。9質量部以上とすることにより、上塗り層のクッション性、変形性、表面強度、及びニス加工適性を向上し、グラビア印刷適性を向上してミッシングドットが生じるのを抑え、またニス光沢を向上できる。一方、25質量部以下とすることにより、上塗り層の平滑性、インキ乾燥性を向上し、結果的にグラビア印刷適性を向上できる。含有量は、10質量部以上がより好ましい。一方、20質量部以下がより好ましい。
上塗り層に用いるスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスの平均粒子径は、75〜150nmである。平均粒子径が75nm未満では、ラテックスを含有する上塗り層用塗液を塗工した後の乾燥中にラテックスがマイグレーションしやすくなる。マイグレーションを起こすと、上塗り層用塗液のラテックス以外の成分が下塗り層中に浸透し、均一な塗工層が形成されない。これにより、上塗り層のクッション性、変形性、平滑性が悪くなり、グラビア適性が悪化し、ミッシンングドットが増える。また、ベタツキが悪化し、汚れが発生する恐れがある。一方、平均粒子径が150nmを超えると、塗工層の空隙増加によって吸収性が向上してニス加工適性が悪化する。これにより、ニス光沢が低下する恐れがある。平均粒子径は、85〜140nmが好ましく、85〜120nmがより好ましく、85〜110nmが更に好ましい。
上塗り層に用いるスチレン−ブタジエン系共重合体のガラス転移温度は、−50〜−20℃である。ガラス転移温度が−50℃未満では、ベタツキが悪化し、汚れの原因となったり、操業性が悪化したりする恐れがある。一方、ガラス転移温度が−20℃を超えると、上塗り層のクッション性が悪くなり、グラビア適性が悪化する恐れがある。ガラス転移温度は、−50〜−25℃が好ましく、−50〜−30℃がより好ましく、−42〜−32℃が更に好ましい。
本発明における上塗り層に含有できるその他の接着剤としては、例えば、酸化澱粉、カチオン化澱粉、エステル化澱粉等の各種澱粉類、ポリビニルアルコール等の合成樹脂接着剤、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白類、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体等の水溶性接着剤、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステルの重合体または共重合体等のアクリル酸系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス、あるいはこれらの各種重合体ラテックスをカルボキシ基等の官能基含有単量体で変性したアルカリ溶解性あるいは非アルカリ溶解性の重合体ラテックスが挙げられる。
上塗り層においてラテックスと水溶性接着剤を併用する場合、水溶性接着剤の含有量は、上塗り層に含まれる全顔料100質量部に対して3質量部以下とすることが好ましく、0質量部とすることが特に好ましい。上塗り層における水溶性接着剤の含有量が、上塗り層に含まれる全顔料に対して3質量部以下とすることにより、上塗り層のクッション性及び平滑性を高めて、グラビア印刷適性を向上できる。また、塗工〜乾燥の際にバインダーマイグレーションによる水溶性接着剤の局在化を抑えて、インキ乾燥性を向上できる。
本発明における上塗り層に含有できる顔料としては、特に限定はなく、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、亜硫酸カルシウム、石膏、硫酸バリウム、タルク、カオリン、クレー、焼成カオリン、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、デラミカオリン、ケイソウ土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベントナイト、セリサイト、製紙スラッジ、脱墨フロスを原料とした再生粒子等の無機顔料のほか、尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機顔料等が挙げられる。これらは、1種単独または2種以上組合せて使用することができる。
これらの中でも重質炭酸カルシウムは、白色度が高いことに加えて、安価であり、白色顔料として多用されている。この粒子径を細かくするほど、白紙光沢、平滑性を向上できる。また、軽質炭酸カルシウムよりニス適性が優れることから、平均粒子径が0.5〜1.2μmである重質炭酸カルシウムを上塗り層中に用いるのが好ましい。より好ましくは0.6〜1.0μm、更に好ましいのは0.7〜0.9μmである。平均粒子径を1.2μm以下とすることにより、平滑性を向上し、グラビア適性、ニス適性を向上できる。一方、0.5μm以上とすることにより、接着剤の要求量が抑え、ニス適性、印刷光沢を向上できる。
前記重質炭酸カルシウムは、上塗り層に含まれる全顔料の50質量%以上であることが好ましい。より好ましくは55質量%以上、更に好ましいのは60質量%以上である。50質量%以上とすることにより、白色度を向上し、ニス適性を向上できる。
本発明では、上塗り層が更に顔料として平均粒子径が1.2μm以下のカオリンを含むことが好ましい。これにより、インキセット性を向上でき、作業性を改善することができる。平均粒子径の下限は特に限定されないが、2次凝集体の生成などが問題とならず、入手可能なものとして、好ましくは0.2μm以上である。本発明における平均粒子径は、光散乱方式により測定し、累積質量が50%となる粒子径である。
本発明における下塗り層は、上塗り層に隣接していてもよく、基紙の表面に隣接していてもよい。本発明では、下塗り層が基紙に最も近い塗工層であり、前記上塗り層が基紙から最も遠い塗工層であることが好ましい。これにより、本発明の効果を遺憾なく発揮させることができる。また、必要により基紙の裏面にも本発明における塗工層が形成されていてもよい。
本発明における下塗り層の顔料としては、特に限定はなく、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、亜硫酸カルシウム、石膏、硫酸バリウム、タルク、カオリン、クレー、焼成カオリン、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、デラミカオリン、ケイソウ土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベントナイト、セリサイト、製紙スラッジ、脱墨フロスを原料とした再生粒子等の無機顔料のほか、尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機顔料等が挙げられる。これらは、1種単独または2種以上組合せて使用することができる。
本発明では、下塗り層に含有される接着剤としてスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスを用いる。スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスのガラス転移温度は、−40〜5℃の範囲内である。下塗り層中のスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスのガラス転移温度が−40℃未満であると、共重合体ラテックスが軟らかくなり過ぎてオフセット印刷における塗工層強度が悪化する恐れがある。またベタツキを生じて汚れの原因となる。一方、5℃を超えると、充分なグラビア印刷適性を得るために必要な下塗り層のクッション性、変形性が得られない。ガラス転移温度は、−30〜5℃が好ましく、−30〜0℃がより好ましく、−25〜0℃が特に好ましい。
下塗り層における上記の共重合体ラテックスの平均粒子径は、97〜300nm程度が好ましい。より好ましくは、110〜300nm、更に好ましくは125〜250nm程度である。下塗り層の共重合体ラテックスの平均粒子径を97nm以上とすることにより、下塗り層のクッション性、変形性、平滑性を向上し、グラビア印刷適性を向上できる。一方、300nm以下とすることにより、塗工層強度を向上できる。
下塗り層における上記の共重合体ラテックスは、特に限定されず、たとえばスチレン−ブタジエン系共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルの重合体または共重合体等のアクリル酸系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス、あるいはこれらの各種重合体ラテックスをカルボキシ基等の官能基含有単量体で変性したアルカリ溶解性あるいは非アルカリ溶解性の重合体ラテックスの一種または2種以上選択して使用することが可能である。グラビア印刷適性を向上する観点からスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスを用いることが好ましい。
下塗り層における上記の重合体ラテックスの含有量は、特に限定されないが、下塗り層に含有される顔料100質量部に対して固形分で9〜25質量部程度が好ましい。9質量部以上とすることにより、下塗り層のクッション性、変形性、平滑性、及び塗工層強度を向上して、グラビア印刷適性を向上できる。これにより、オフセット印刷強度を向上する効果も得られる。一方、25質量部以下とすることにより、下塗り層の平滑性、インキ乾燥性を向上して、結果的にグラビア印刷適性を向上できる。含有量は、10質量部以上が好ましい。一方、20質量部以下が好ましい。
下塗り層におけるラテックス以外の接着剤としては、水溶性接着剤として、ポリビニルアルコール、酸化澱粉、カチオン化澱粉、エステル化澱粉、デキストリン等の澱粉類から1種または2種以上を本発明の効果を損なわない範囲内で適宜選択して使用できるが、その際の水溶性接着剤の含有量については、下塗り層に含まれる全顔料100質量部に対して3質量部以下とすることが好ましく、0質量部とすることが特に好ましい。下塗り層における水溶性接着剤の合計量を3質量部以下とすることにより、下塗り層のクッション性を向上し、グラビア印刷適性を向上できる。
本発明では、上塗り層に低ガラス転移温度のスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスを用い、下塗り層に高ガラス転移温度のスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスを用いることが好ましい。接着剤としてガラス転移温度の異なるスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスを用いて、上塗り層と下塗り層の多層構造を有することによって、クッション性、変形性、平滑性、及び塗工層強度をより一層高めることができる。低ガラス転移温度のスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスと、高ガラス転移温度のスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスとのガラス転移温度の差は、5〜50℃の範囲が好ましく、10〜50℃の範囲がより好ましく、20〜50℃の範囲が更に好ましい。
本発明における塗工層は、例えば水を分散媒体とする塗液を用いて、塗工及び乾燥させることにより形成することができる。例えば、上塗り層は、特定のラテックス、重質炭酸カルシウム、必要により軽質炭酸カルシウム、カオリン、その他の接着剤等を含有する上塗り層用塗液を用いて下塗り層上に形成することができる。また、下塗り層は、顔料及び接着剤を含有する下塗り層用塗液を用いて基紙上に形成することができる。塗液中には、必要に応じて分散剤、苛性ソーダ、アンモニア水等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、蛍光染料、離型剤、染料、耐水化剤、流動変性剤、着色顔料等を適宜含有させることもできる。
上塗り層用塗液及び下塗り層用塗液は、特に限定されないが、塗工紙製造に一般に使用される塗工装置を用いた塗工方式により塗工することができる。塗工装置としては、例えば、ブレードコーター、ロッドコーター、エアナイフ、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、ダイスロットコーター、グラビアコーター、チャンプレックスコーター、2ロールサイズプレスコーター、ゲートロールサイズプレスコーター、フィルムメタリングサイズプレスコーター等が挙げられる。また、塗工装置にかかわらずオンマシン方式またはオフマシン方式により白板紙を構成する基紙上に塗工することができる。
下塗り層を形成するための塗工方式としては、比較的に基紙表面の凹凸に沿った形式で一定の厚みを有する塗工層を形成(いわゆる輪郭塗工)することが可能であり、これによって一定のクッション性を有する塗工層が得られやすく、かつ高濃度塗工、高速塗工が可能であることから、ロッドコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター等を用いた塗工方式が好ましい。これらの中でも比較的に高平滑な塗工面を得る観点からロッドコーターを用いた塗工方式により形成することが好ましい。
更に、下塗り層用塗液は、分散剤としてポリカルボン酸ナトリウム塩を含有することが好ましい。これにより、塗工前の塗液は、経時的な増粘が抑えられ、B型粘度を好ましい範囲に安定して調整することができる。分散剤の含有量としては、特に限定されないが、全顔料100質量部に対して、0.01〜0.3部の範囲が好ましい。
上塗り層の塗工方式としては、比較的に高平滑な塗工面を有する塗工層を形成(いわゆる平坦塗工)することが可能であり、これによって高いグラビア印刷適性が得られやすく、かつ高濃度塗工、高速塗工が可能であるブレードコーターによる塗工方式、または白紙面感に優れ、塗工計量の際に装置磨耗等がなく、安定して長時間操業が可能なエアナイフ塗工方式のいずれかで形成することが好ましい。
本発明における下塗り層用塗液及び上塗り層用塗液の固形分濃度は、10〜75%の範囲で選ぶことができる。各塗工層の塗工量については、片面あたり乾燥重量で0.5〜20g/mの範囲となるように、塗工方式に合わせて固形分濃度を適宜調整することが好ましく、更に下塗り層の塗工量については片面あたりの乾燥重量として5〜15g/m、上塗り層の塗工量については片面あたりの乾燥重量として3〜15g/m、かつ下塗り層及び上塗り層の塗工量の合計が片面あたりに乾燥重量として8〜25g/mの範囲となるように調整することが、より好ましい。
下塗り層の塗工量を片面あたりの乾燥重量として5g/m以上とすることにより、基紙表面を十分に被覆することができ、本発明における所望の平滑性が得られるため好ましい。一方、15g/m以下とすることにより、製函時に罫線を入れて箱にした場合等に塗工層割れを引き起こす恐れがない。また、上塗り層についても、片面あたりの乾燥重量として3g/m以上とすることにより、下塗り層表面を十分に被覆することができ、インキ転写不良等を引き起こす恐れがなく、オフセット印刷及びグラビア印刷とも印刷適性を向上することができる。一方、15g/m以下とすることにより、下塗り層の場合と同様に、製函時に罫線を入れて箱にした場合等に塗工層割れを引き起こす恐れがない。
本発明では、固形分濃度50〜70%、B型粘度400mPa・s以下の下塗り層用塗液を用いて塗工することが好ましい。より好ましくは300mPa・s以下である。これにより、ロッドコーターによる塗工適性を向上することができる。本発明における下塗り層用塗液は、特に限定されないが、好ましくは特定の炭酸カルシウムとラテックスを含有することにより、通常、塗工が進むにつれて選択吸収のために上昇傾向にある塗液の固形分濃度と粘度を、上記の範囲に安定して保持することができ、操業性を著しく向上させるとともにグラビア印刷適性により一層優れた効果が得られる。
本発明では、下塗り層及び上塗り層を塗工した基紙の表面とは反対側の面(裏面)に印刷適性、オフセット印刷作業性、また打ち抜き作業性を高める目的で顔料塗工層を設けてもよい。
本発明における白板紙の基紙は、2層以上の紙層を抄合わせることにより抄造される。すなわち、基紙は、少なくとも白色度の比較的高い表層と白色度の比較的低い裏層からなる多層構造を有している。しかし、白板紙の米坪は、200g/m以上の場合が多いため、表層、裏層の間に中層が存在する3層以上の構成が通常であり、更に好ましくは、表層/表下層/中層(1層以上)/裏層の4層以上で構成される。但し、基紙の層構成はこれらに限定されるものではない。本発明における上塗り層及び下塗り層は、表層側を表面として設けられている。
表層には、通常白色度の高いパルプが使用される。例えば、針葉樹、広葉樹をクラフトパルプ化、サルファイトパルプ化、アルカリパルプ化して得られる晒化学パルプ、或いはコットンパルプ、リンターパルプ、古紙パルプ等が挙げられる。古紙パルプとしては、上白・カード、特白・中白・白マニラ、模造・色上、新聞、雑誌、切付・中質反古、等の古紙より調製されたパルプが挙げられるが、本発明に使用される古紙として限定するものではない。これらの古紙は離解、除塵処理後、そのまま使用されることもあるが、必要に応じて、脱墨、漂白、インク分散、洗浄、等の各工程を経た後、古紙パルプとして使用できる。
基紙は、必要に応じて表下層を有する。表下層には、上記表層に使用されるパルプが使用される他、針葉樹、広葉樹をクラフトパルプ化、サルファイトパルプ化、アルカリパルプ化等して得られる未晒化学パルプ、或いはGP(グラウンドパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)等の機械パルプ、古紙パルプが使用できる。古紙パルプとして、上記表層に使用される古紙の他、茶模造、段ボール、台紙・地券、ボール、等より調製されるパルプが使用できる。但し、通常は、表層と比較して低級な古紙、即ち中質繊維を多く含んだ古紙が使用される。例えば、新聞、雑誌、特白・中白、ボール等の脱墨古紙が使用されるのが一般的であるが、本発明はこれらのものを使用することに限定されるものではない。
基紙は、必要に応じて中層を有する。中層には表層、表下層、裏層に使用され得る全てのパルプを使用することができるが、中層は少なくとも表層と裏層の間に挟まれる層であるため、通常は、白板紙の基紙を構成する紙層のうち、最も低級なパルプが使用されるのが一般的である。例えば、新聞、雑誌、切符、中質反古、茶模造、段ボール、台紙、地券、ボール、等が挙げられる。これらの古紙は離解、除塵処理後そのまま使用されるのが一般的であるが、必要に応じて、脱墨、漂白、インク分散、洗浄、等の各工程を経た後使用されることもある。但し、本発明はこれらの原料を使用したものに限定されるものではない。
裏層には、表層、表下層、中層に使用されるパルプ全てを使用することが可能であるが、通常は、新聞、雑誌、切符、中質反古、茶模造、段ボール、台紙、地券、ボール等の古紙が、離解、除塵処理後そのまま使用される。勿論、離解、除塵処理後、必要に応じて脱墨、漂白、インク分散、等の工程を任意に加えることも可能であるが、本発明はこれらの処理をしたものを使用したものに限定されるものではない。
上記の表層から裏層に至る各層に使用されるパルプスラリー組成物には、必要に応じて、適宜、紙力増強剤、耐水化剤、撥水剤、発泡性マイクロカプセル、サイズ剤、染料、歩留向上剤、填料、PH調整剤、スライムコントロール剤、増粘剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、防腐剤、殺鼠剤、防虫剤、保湿剤、鮮度保持剤、脱酸素剤、マイクロカプセル、発泡剤、界面活性剤、電磁シールド材、帯電防止剤、防錆剤、芳香剤、消臭剤等を選択し配合することができる。これらは複数種併用することもできる。
本発明の白板紙に使用される基紙は、勿論、手抄により得ることも可能であるが、通常は、少なくとも2つ以上のワイヤーパートを備えた多段式の抄紙機により抄造される。単一のワイヤー型式としては、円網式、長網式、傾斜式、ツインワイヤー式、等があり、一般に製紙用として使用されている方式を多段に組み合わせたワイヤーパートが通常使用される。例を挙げるならば、長網抄合わせ、短網抄合わせ、短網円網コンビネーション、長網円網コンビネーション等がある。また、乾燥方法についても一般に製紙用として使用される方式、例えばヤンキードライヤー、多筒式ドライヤー等が使用されるが、白板紙は一般に紙厚が大きいことを考慮すれば多筒式ドライヤーがより好ましい。
本発明では、下塗り層を形成する前、下塗り層を形成し終えた後、また、上塗り層を形成し終えた後の任意の過程でマシンカレンダ、ソフトカレンダ、あるいはスーパーカレンダ等を使用して平滑化処理を施すことができる。平滑性を向上する観点から上塗り層を形成した後が好ましい。前記のように塗工後の塗工白板紙に対して平滑化処理を施すことにより塗工白板紙の平滑性が向上し、これによってグラビア印刷適性を良化させやすくなる。
本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、特に断らない限り、例中の「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
(顔料の平均粒子径)
固形分濃度が約10%の顔料希釈液を調製し、日機装社製のマイクロトラックHRAX−100を用いて光散乱法により顔料粒度分布を測定し、得られた顔料粒度分布から、粒度分布曲線の50累計質量%に該当する粒子径を、平均粒子径とした。
(ラテックスの粒子径)
各共重合体ラテックスの水中における共重合体ラテックス(エマルジョン粒子)のブラウン運動を動的レーザー光散乱法により観測し、この散乱光強度の時間的な揺らぎ(散乱光の光子数の揺らぎ)を正確な時間尺度で把握することにより拡散係数を求める光子相関法により解析した。なお、平均粒子径の単位を「nm」とした。
(ラテックスのガラス転移温度)
各共重合体ラテックスを、100℃で20時間真空乾燥を行って得られた共重合体ラテックスの乾燥フィルムについて示差走査熱量計(DSC:セイコーインスツルメンツ社製)を用いて測定した。
実施例1
(基紙の作製)
基紙の表面となる第1層目の表層にケント古紙含む模造・色上古紙パルプ、第2層目の表下層に脱墨古紙パルプ、第3層目の中層、第4層目の中層、及び裏面となる第5層目の裏層に未脱墨古紙パルプをそれぞれ使用して5層に抄き合わせた後にマシンカレンダ処理して、米坪290g/mの塗工白板紙用の基紙を得た。
(下塗り層用塗液の調製)
顔料として、カオリンA(商品名:HT−GAS、BASF社製、平均粒子径3.12μm)40部と、重質炭酸カルシウムA(商品名:FMT65、ファイマテック社製、平均粒子径1.54μm)60部を使用し、分散剤として、顔料100部に対しポリアクリル酸ソーダ0.25部を添加し、コーレス分散機を用いて固形分濃度が70%の顔料分散液を調製した。次いで、この顔料分散液に対して、顔料100部に対する固形分換算として、酸化澱粉(商品名:王子エースY、王子コーンスターチ社製)4部、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックスA(商品名:S2831(J)−3、JSR社製、ガラス転移温度−25℃、平均粒子径120nm)10部をそれぞれ添加し、最終的に固形分濃度が62%の下塗り層用塗液を得た。
(上塗り層用塗液の調製)
顔料として、カオリンB(商品名:カオファイン、Thiele社製、平均粒子径0.5μm)30部、重質炭酸カルシウムB(商品名:FMT90、ファイマテック社製、平均粒子径1.06μm)65部、及び二酸化チタン(商品名:KA−100、韓国コスモケミカル社製)5部を使用し、分散剤として、顔料100に対しポリアクリル酸ソーダ0.1%を添加し、コーレス分散機を用いて固形分濃度が68%の顔料分散液を調製した。次いで、この顔料分散液に対して、顔料100部に対する固形分換算として、酸化澱粉(商品名:エースY、前出)2部、及びスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスI(商品名:T2548A、JSR社製、ガラス転移温度−34℃、平均粒子径140nm)10部をそれぞれ添加し、最終的に固形分濃度が60%の上塗り層用塗液を得た。
(塗工白板紙の作製)
前記の塗工白板紙用の基紙の表面に、ロッドコーターを用いて前記の下塗り層用塗液を片面当たり乾燥重量で10g/mとなるように塗工及び乾燥して下塗り層を形成した。下塗り層上に、ブレードコーターを用いて前記の上塗り層用塗液を片面当たり乾燥重量で10g/mとなるように塗工及び乾燥して上塗り層を形成した。下塗り層と上塗り層が形成された基紙に対して、金属ロール表面温度が200℃、2ニップのソフトカレンダによる通紙処理を行なって、塗工白板紙を得た。
実施例2
実施例1の上塗り層用塗液の調製において、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスIに代えて、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスII(商品名:S2831(J)−4、JSR社製、ガラス転移温度−39℃、平均粒子径90nm)を用いた以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
実施例3
実施例1の上塗り層用塗液の調製において、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスIに代えて、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスIII(商品名:OJ3000H、JSR社製、ガラス転移温度−30℃、平均粒子径80nm)を用いた以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
実施例4
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスAに代えて、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスB(商品名:PB4460、日本エイアンドエル社製、ガラス転移温度−5℃、平均粒子径165nm)を用いた以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
実施例5
実施例2の下塗り層用塗液の調製において、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスAに代えて、前記のスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスBを用いた以外は、実施例2と同様にして塗工白板紙を得た。
実施例6
実施例5の上塗り層用塗液の調製において、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスIIの量を10部に代えて20部とした以外は、実施例5と同様にして塗工白板紙を得た。
実施例7
実施例3の下塗り層用塗液の調製において、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスAに代えて、前記のスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスBを用いた以外は、実施例3と同様にして塗工白板紙を得た。
実施例8
実施例2の下塗り層用塗液の調製において、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスAに代えて、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスC(商品名:PB4459、日本エイアンドエル社製、ガラス転移温度−3℃、平均粒子径200nm)を用いた以外は、実施例2と同様にして塗工白板紙を得た。
比較例1
実施例1の上塗り層用塗液の調製において、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスIに代えて、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスIV(商品名:PB9317、A&L社製、ガラス転移温度−44℃、平均粒子径160nm)を用いた以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
比較例2
実施例1の上塗り層用塗液の調製において、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスIに代えて、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスV(商品名:BA025、旭化成ケミカルズ社製、ガラス転移温度−12℃、平均粒子径95nm)を用いた以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
比較例3
実施例1の上塗り層用塗液の調製において、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスIに代えて、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスVI(商品名:PB0414、日本エイアンドエル社製、ガラス転移温度4℃、平均粒子径70nm)を用いた以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
比較例4
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスAに代えて、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスD(商品名:PB9317、前出)を用いた以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
比較例5
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスAに代えて、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスラテックスE(商品名:PB4440、日本エイアンドエル社製、ガラス転移温度7℃、平均粒子径130nm)を用いた以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
かくして得られた塗工白板紙を、JIS P8111に準拠した条件で6時間調湿後、白紙品質として白紙光沢度及び平滑度、オフセット印刷適性として印刷強度及び印刷光沢度、グラビア印刷適性としてミッシングドット、後加工適性(ニス適性)としてUVニス光沢度、並びにベタツキについて、以下の評価を行った。その結果は、表1に示す通りであった。
(白紙光沢度)
塗工白板紙の塗工面を、JIS P8142:2005に準拠して測定した。
(プリント・サーフ表面粗さ)
塗工白板紙の塗工面のプリント・サーフ表面粗さをJIS P8151:2004に準じて、PPS平滑度計(型式165、L&W製)を用いて、ソフトバッキングを使用し2MPaに加圧してPPS平滑度として測定した。
(オフセット印刷適性:印刷強度)
RI印刷機(明製作所製)を用いて、オフセットインキ(商品名:紙試験用SD50 紅、東洋インキ社製)を0.6cc使用して塗工白板紙を印刷した際に発生する塗工層ピッキングの程度を目視評価した。
○:ピッキングが全く発生せず、表面強度が良好である。
△:ピッキングが少し発生しており、表面強度がやや劣る。
×:ピッキングが多く発生しており、表面強度がかなり劣る。
(オフセット印刷適性:印刷光沢度)
塗工白板紙の塗工面に、RI印刷機(明製作所製)を用いて、印刷インキ(商品名:FUSION−G 墨、Sタイプ、大日本インキ化学工業社製)を0.6cc使用して印刷を行い、光沢度計(GM−26D、村上色彩研究所製)を用いて60度光沢度を測定した。
(グラビア印刷適性:ミッシングドット)
塗工白板紙の塗工面に、印刷局式グラビア印刷試験機を用いて、グラビア印刷を行い、50%階調網点部のミッシングドット(網点欠落)の程度を目視観察し、下記の基準で評価した。ミッシングドットは少ないほどよい。
○:網点の欠落がほとんどない。
△:十数個程度のミッシングドットが認められるが、実用上の問題はない。
×:二十個を超える多数のミッシングドットが認められ、実用上問題である。
(UVニス光沢度)
UV硬化型ニス(商品名:ダイキュアクリアUV1603、DICグラフィックス社製)をザーンカップ#4で10秒となるように調整した後に、UV硬化装置付き塗工装置(型式:SG610UV、デュプロ社製)を用いて、前記UV硬化型ニスを塗工白板紙の塗工面に塗工及びUV硬化乾燥させてニス表面加工を行った。得られた塗工白板紙のニス加工部分について、入射角60度の光沢度計(GM-26D、村上色彩技術研究所製)を用いて光沢度を測定した。
(ベタツキ1)
塗工白板紙の塗工後の仕上カレンダ工程におけるカレンダロールのベタツキの程度(操業中のロール貼り付き音、カレンダ表面及び塗工面の汚れ)を評価した。
○:ロール貼り付き音はなく、カレンダ表面汚れ発生もない。
△:ロール張り付きの傾向はほとんどなく、カレンダ表面汚れもほとんどない。
×:ロール張り付きのため、カレンダ表面に汚れが発生し、塗工面にも汚れが生じる。
(ベタツキ2)
塗工白板紙の下塗り層塗工後のバッキングロール等のコーターロールのベタツキの程度(操業中のロール表面及び塗工面の汚れ)を評価した。
○:ロール貼り付き音はなく、カレンダ表面汚れ発生もない。
△:ロール張り付きの傾向はほとんどなく、カレンダ表面汚れもほとんどない。
×:ロール張り付きのため、カレンダ表面に汚れが発生し、塗工面にも汚れが生じる。
Figure 0006507539

Claims (7)

  1. 基紙の表面に顔料と接着剤を含有する塗工層を備えた塗工白板紙において、塗工層が基紙に近い側に下塗り層を有し、基紙から遠い側に上塗り層を有する少なくとも2層の多層構造であって、接着剤として上塗り層中に平均粒子径が75〜150nmであり、且つガラス転移温度が−50〜−30℃の範囲内にのみ存在するスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスを含有させ、下塗り層中にガラス転移温度が−25〜5℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスを含有させたことを特徴とする塗工白板紙。
  2. 前記上塗り層におけるスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスの含有量が上塗り層に含有される顔料100質量部に対して固形分で9〜25質量部であり、及び/または下塗り層におけるスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスの含有量が下塗り層に含有される顔料100質量部に対して固形分で9〜25質量部である、請求項1に記載の塗工白板紙。
  3. 前記上塗り層に低ガラス転移温度のスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスを用い、下塗り層に高ガラス転移温度のスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスを用いて、前記ガラス転移温度の差が5〜50℃である、請求項1または2に記載の塗工白板紙。
  4. 前記上塗り層の顔料として平均粒子径が0.5〜1.2μmである重質炭酸カルシウムを上塗り層の顔料の50質量%以上含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗工白板紙。
  5. 前記上塗り層の顔料として平均粒子径が1.2μm以下であるカオリンを含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗工白板紙。
  6. 前記下塗り層におけるスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスの平均粒子径が97〜300nmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗工白板紙。
  7. 基紙の表面に顔料と接着剤を含有する塗工層を形成する工程を含む塗工白板紙の製造方法であって、
    塗工層が基紙に近い側に下塗り層を有し、基紙から遠い側に上塗り層を有する少なくとも2層の多層構造であって、接着剤として上塗り層中に平均粒子径が75〜150nmであり、且つガラス転移温度が−50〜−30℃の範囲内にのみ存在するスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスを含有させ、下塗り層中にガラス転移温度が−25〜5℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスを含有させ、
    下塗り層がロッドコーターを用いた塗工方式により形成され、上塗り層がブレードコーターを用いた塗工方式またはエアナイフコーターを用いた塗工方式のいずれかにより形成されることを特徴とする、塗工白板紙の製造方法。
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