以下、本発明に係る紙包装容器用原紙について、主に図面を用いて詳細に説明する。なお、本発明に係る紙包装容器用原紙は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本明細書(特許請求の範囲、図面を含む。)に記載の事項を逸脱しない範囲内において、その構成を適宜変更できることはいうまでもない。
図1は、本発明に係る紙包装容器用原紙の一態様を示す概念的断面図である。図1に示す紙包装容器用原紙1は、表面層2、表下層3、中層4及び裏面層5の層構造を有する基紙6から成り、基紙6の表面層側表面(以下「上表面」とする。)上に表面層用塗工液から成る表面塗工層7が設けられ、基紙6の裏面層側表面(以下「下表面」とする。)上に裏面層用塗工液から成る裏面塗工層8が設けられている。
表面層と表下層は、混合クラフトパルプと古紙パルプとからなる構成を有し、以下に好ましい態様を説明する。先ず、表面層2について説明する。表面層2に使用するパルプは、主に針葉樹晒クラフトパルプや広葉樹晒クラフトパルプの混合パルプ(以下「混合晒クラフトパルプ」とする。)が望ましい。この混合晒クラフトパルプの割合としては、(針葉樹晒クラフトパルプ):(広葉樹晒クラフトパルプ)=15:85〜85:15にして形成される。これにより、本紙包装容器用原紙の低米坪・軽量化を図ることによって、表面層のパルプ繊維の結合を強くし、紙器の用途に必要な耐罫線割れ適性を満足させることができると共に、微細繊維や無機物の欠落も防止することができる。なお、針葉樹晒クラフトパルプの割合が15未満であり且つ広葉樹晒クラフトパルプの割合が85を超えると、長繊維パルプが少なくなることで罫線割れが発生しやくなる。一方針葉樹晒クラフトパルプの割合が、85を超え、且つ広葉樹晒クラフトパルプの割合が15未満であると、長繊維パルプが多すぎるために、表面層を均一な地合いとすることができず(平坦にすることができず)、印刷不良の原因となるとともに、本紙包装容器用原紙の低米坪・軽量化を図るにあたり、紙がしまりにくくなり、本紙包装容器用原紙の剛性を確保することが難しくなる。なお、混合晒クラフトパルプは、繊維が柔らかくカレンダー処理を施す際に繊維が潰れ易いため、表面塗工層の形成前に基紙にカレンダー処理を施すことにより、さらに基紙の表面が平坦となり、表面層用塗工液を表面層上に均一に塗工することが可能となる。
また、表面層2は、上述の混合晒クラフトパルプに加えて、古紙統計分類における上白カード由来の古紙(例えば、上白古紙、コート紙等)からなる上質系古紙パルプ(以下単に「上質系古紙パルプ」とする。)が加えられる。このことでまた更に、本発明に係る紙容器用原紙が、低米坪・軽量化を図ることが可能となり、表面層2のパルプ繊維の結合を強くし、紙器の用途に必要な耐罫線割れ適性を満足させることができると共に、微細繊維(例えば紙粉等)や無機物の欠落も防止することができる。表面層2において、上質系古紙パルプは、上述の混合晒クラフトパルプとの混合割合、即ち(混合晒クラフトパルプ):(上質系古紙パルプ)=30:70〜70:30となることが好ましい。なお、混合晒クラフトパルプの割合が30未満であり且つ上質系古紙パルプの割合が70を超えると、長繊維パルプが少なくなることで罫線割れが発生しやすくなる。一方混合晒クラフトパルプの割合が、70を超え、且つ上質系古紙パルプの割合が30未満であると、長繊維パルプが多すぎるために、表面層を均一な地合いとすることができず(平坦にすることができず)、印刷不良の原因となるとともに、本紙包装容器用原紙の低米坪・軽量化を図るにあたり、紙が締まり難くなり、本紙包装容器用原紙の剛性を確保することが難しくなる。
上記パルプのみでも、表面層2は成立するが、サイズ剤、硫酸バンド、紙力増強剤(後述の表面増強剤とは別)といった内添薬品を使用してもよい。この場合、サイズ剤は、5〜10kg/PT(50%固形分換算)くらいが好ましく、硫酸バンドは、60〜70kg/PTくらいが好ましく、紙力増強剤は、5〜10kg/PT(20%固形分換算)くらいが、表面層へ印刷におけるインクの含浸量調整、サイズ剤や紙力増強剤の原料パルプへの定着、表層面の強度向上を確保する故に好ましい。この場合のサイズ剤は、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、ロジン等の内添サイズ剤が用いられる。また、紙力増強剤は、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(PAE)、ポリビニルアミン、カチオン化でんぷんなどが用いられる。
次に、表下層3について説明する。表下層3は、古紙統計分類におけるケント、特白、中白、白マニラ若しくは模造、又は色上からなる古紙由来の古紙パルプから成る。表下層は、表面層のパルプ色相への影響を最小限に抑えながら、表面層原料パルプと性状が大きく変わらない原料パルプを用いることで、表面層の色調を維持しながら表層の剥がれや紙質強度を維持することが出来る。
また、上記パルプのみでも、表下層3は成立するが、表面層2同様にサイズ剤、硫酸バンド、紙力増強剤(後述の表面増強剤とは別)といった内添薬品を使用してもよい。この場合、サイズ剤は、4〜8kg/PT(50%固形分換算)くらいが好ましく、硫酸バンドは、80〜95kg/PTくらいが好ましく、紙力増強剤は、4〜8kg/PT(20%固形分換算)が好ましい。表下層は、表層程の印刷適性や紙力を必要としないが、表面層における紙力増強剤やサイズ剤、硫酸バンド等の薬品の抄き合わせ時の紙層間移動を抑えることによる相乗効果を確保するため、前記範囲に招請することが好ましい。特に紙力増強剤は紙質強度を高めることができる反面、紙層を硬くする問題を有し、紙層が硬くなると本件発明が対象とする、折り曲げが必須になる紙包装容器への利用に於いて、いわゆる折り目で紙層が断裂する問題が生じるため、表面層に追従して柔軟な折り曲げが可能な範囲に前記薬品の含有量を調整することが必要である。この場合のサイズ剤もまた、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、ロジン等の内添サイズ剤が用いられる。また、紙力増強剤は、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(PAE)、ポリビニルアミン、カチオン化でんぷんなどが用いられる。
中層4及び裏面層5については、同じ原料パルプを用いて、その原料パルプは特に限定されないが、一般的には、紙器製造時に発生する裁落損紙、新聞、雑誌等を原料として抄造した白ボール、地券古紙等を主原料とする原料パルプ、即ち古紙由来古紙パルプが用いられ、機械パルプも含有している。ちなみに、中層4及び裏面層5は、図1に示す概念的断面図においては、2層構造を記しているが、3層以上の多層(複数層)構造にしてもかまわない。逆に中層4及び裏面層5を1層(単層)構造にしてもかまわない。また中層を複数層構造にする場合、上述の古紙であれば、各層について同じ種類のものを用いても違う種類のものを用いても制限はない。
また、上記パルプのみでも、中層4及び裏面層5は成立するが、表面層2や表下層3同様にサイズ剤、硫酸バンド、紙力増強剤(後述の表面増強剤とは別)といった内添薬品を使用してもよい。この場合、サイズ剤は、5〜10kg/PT(50%固形分換算)くらいが好ましく、硫酸バンドは、40〜70kg/PTくらいが好ましく、紙力増強剤は、2〜7kg/PT(20%固形分換算)くらいが好ましい。中層(及び/若しくは裏面層)は、折り曲げが必須になる紙包装容器への利用において、折り曲げた際のクッション効果を担う必要があり、原料パルプ本来の柔軟な性状を維持するため、前記記載の必要最低限の効果を醸し出すことが可能な薬品使用量にとどめる必要がある。この場合のサイズ剤もまた、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、ロジン等の内添サイズ剤が用いられる。また、紙力増強剤は、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(PAE)、ポリビニルアミン、カチオン化でんぷんなどが用いられる。
また、本紙包装容器用原紙1においては、JIS−P8252(525℃)に準じて測定した灰分が10〜25%、13〜20%がより好ましい。灰分が10%未満であると、紙密度が低下する傾向になり、圧縮強度が低下する傾向になる。一方、灰分25%を超えると、耐罫線割れ適性を満足することが難しくなる。
さらに、上記の灰分範囲において、本紙包装容器用原紙1の基紙6の紙密度を0.77〜0.90g/cm3に調整すると、表面層用塗工液の基紙への吸収バランスがもっとも良くなり、従来の板紙と比べて10〜15%低米坪・軽量化することを可能にし、また低米坪・軽量化しても、板紙の圧縮強度を維持し、加工適性を維持することができることが分かった。
上述した原料パルプは、公知の抄紙工程、例えばワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、サイズプレス、カレンダーパートなどを経て、表面層、表下層、並びに少なくとも1つの中層及び/若しくは裏面層の4層の紙層を有する本紙包装容器用原紙の基紙が形成される。なお、本紙包装容器用原紙の基紙6の抄紙方法については、特に限定されるものではなく、酸性抄紙法、中性抄紙法、アルカリ性抄紙法のいずれであっても良い。また、抄紙機も特に限定されるものではないので、例えば長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機、円網短網コンビネーション抄紙機等の公知の種々の抄紙機を使用することができる。
また、本紙包装容器用原紙に用いられる基紙6は、各層の基紙坪量(g/m2)を、表面層が36〜44、表下層が49〜60、中層(裏面層)が145〜200の範囲で、且つ、表面層<表下層<中層≦裏面層の関係を有するように調整することが好ましいことがわかった。これにより、本発明の目的とする低米坪・軽量化が図れ、かつ剛性を維持できる表面塗工層及び裏面塗工層を形成することができる。
本発明に係る紙包装容器用原紙の製品の縦目は、圧縮強度が720から840Nであることが望ましい。紙包装用器への本発明の利用に於いては、紙の流れ方向が容器の重みや形状支える方向に多用されるため、少なくとも本発明に於いて好適に用いられるティシュカートン用として前記強度を保有することが好ましい。
また、本件発明に係る紙包装容器用原紙の製品の坪量は250〜350g/m2とすることが好ましい。坪量が250g/m2未満であると、紙包装容器用原紙を例えばティッシュケース用途に使用した際、ティッシュケースの圧縮強度が低くなるといった問題がある。一方、350g/m2を超えると、本件発明に係る紙包装容器用原紙の製品の紙厚も大きくなるため、紙包装容器用原紙を折り曲げた際に、表面の応力が強くなりすぎ、表面塗工層及び基紙の表面層にひび割れが発生するという問題が発生する。
また、本紙包装容器用原紙の基紙6は、プレス工程後に鏡面仕上げされたドライヤーに圧接することが好ましく、特にヤンキードライヤーなどの大径ドライヤーに圧接乾燥することが望ましい。さらには、圧接前の基紙の湿紙水分が53〜60%であるとより好ましくなる。湿紙水分が53%未満であると表面に存在する水分の絶対量が少なくなり、表裏面のみが過乾燥気味になり、表面塗工層形成前あるいは裏面塗工層形成前の、基紙の表裏面の凹凸が大きくなり、後述する表面層用塗工液あるいは裏面層用塗工液の塗工量では本発明の目的を達成することが難しくなる。一方、湿紙水分が60%を超えると基紙の表面層あるいは裏面層に分布する絶対水分量が多くなり、表面層あるいは裏面層から蒸発する水蒸気量が多くなるので、鏡面と基紙との接触が不十分となり、良好な表面層及び裏面層を得ることが難しくなる。そして、JISP8127による紙包装容器用原紙の製品水分が、4.0〜9.5%である。紙包装容器に求められる折機での作業性や折部の断裂対策として、紙力増強剤などの紙層を硬くする薬品の使用を控える事と相俟って、原料パルプの柔軟性を維持する目的で、製品水分を所定の範囲に調整することが好ましい。
なお、基紙6を抄紙後、2次加工で印刷機やバーコーターやロッドコーター、エアナイフ等の塗工機により表面層用塗工液及び裏面層用塗工液を塗工して表面塗工層7及び裏面塗工層8を形成し、本紙包装容器用原紙を形成する。
本発明に係る紙包装容器用原紙の表面層2上(上表面)に、顔料及び接着剤を主成分とする表面層用塗工液を塗被して表面塗工層7を形成し、且つ、基紙の裏面層上(下表面)に水溶性樹脂からなる裏面層用塗工液を塗被して裏面塗工層8を形成し、裏面層側における内包物(例えばティッシュ)と紙包装容器用原紙内表面(裏面層に相当)との擦過性、紙粉抑制効果を満足させることができる。
表面塗工層7に用いる顔料は基本無機顔料で良い。無機顔料としては、クレー、炭酸カルシウム、シリカ等の無機顔料が使用でき、中でもクレー及び炭酸カルシウムが用いられると、加工適性及び印刷適性を得るという本発明の目的を達成させるには好ましい。無機顔料の配合量については、クレー:炭酸カルシウムの場合の比率が10〜90:90〜10であることが好ましい。これにより、ティッシュカートンや紙器等への加工適性を維持すると共に、印刷適性を有することができる。表面塗工層中の無機顔料として平坦性と光沢性を醸しだす無機顔料としてクレーの使用が好ましく、印刷の見栄えを向上する白色殿高い無機顔料として炭酸カルシウムと組み合わせることが好ましく、クレーの含有量が10重量部未満では印刷の精細さが劣る問題が生じ、90重量部を超えると印刷インクの乾燥性が低下する問題が生じやすい。また、炭酸カルシウムの含有量に於いても、10重量部未満では白色度が低下しがちで、印刷見栄えが悪くなる問題が生じやすく、90重量%を超えると、印刷の精細さが欠如する問題が生じやすい。また、有機顔料も使用が可能である。有機顔料は、無機顔料と比べると、硬度が低いものの、粒子に弾力性と剛性があり、光沢もあるので、印刷適性、耐罫線割れ適性、及び圧縮強度を、バランス良く満足させることができる点で無機顔料よりも好ましい。従って、このように表面層用塗工液に有機顔料を含有させることで、表面塗工層の柔軟性および剛性を確保することができる。これにより、表面層の曲げ応力に対する耐性が向上し、耐罫線割れ適性を向上させることができるので、表面塗工層の割れの発生を大幅に減少させることができる。ただし、ティッシュカートンや紙器の場合は、加工適正を維持すると共に、印刷適正を有しさえすればよいので、有機顔料についてはあってもなくてもどちらでも構わない。
また、表面層用塗工液の塗工量は、表面塗工層7の乾燥状態(基紙上に形成された表面塗工層の状態)において、2〜10g/m2(dry換算)、より好ましくは4.5〜9.5g/m2である。これにより、表面塗工層と接する基紙の表面層のパルプ繊維間の目止めをすることができるので、印刷適性を向上させることができると共に、印刷面の平滑化及び塗工層の剛性を確保できる。また、表面塗工層の厚みが厚くなりすぎないので、インクが基紙へと浸透しやすく、インク接着性が高くなるので、色再現性の良い高精細な印刷が可能になる。
なお、表面層用塗工液の塗工量が2g/m2未満では、表面層のパルプ繊維間の目止め効果を発揮することができず、印刷のインク滲みが発生しやすくなる問題があり、本願の所望とする高精細な印刷適性を十分に得ることができない。一方、塗工量が10g/m2を超えると表面塗工層の厚みが厚くなりすぎ、塗工層の剛性は向上するものの、表面層の曲げ応力に対する耐性を得ることができず、紙器加工時に必要な耐罫線割れ適性等の加工適性に劣る傾向がある。
表面層用塗工液に含有する有機顔料としては、中空状のプラスチックピグメント(PP)が好ましい。無機顔料に比べて硬度が低いものの、剛性を有しているので、顔料自体の変形も容易であり、耐罫線割れ適性を向上させ、本紙包装容器用原紙の加工適性を向上させる効果がある。
また表面塗工層7(表面層用塗工液に用いる)用接着剤として、SBRラテックスが含有されていることが好ましい。SBRラテックスは適度な造膜性及び剛性があり、かつ、インク着肉性も良好である。従って、表面層用塗工液に、有機顔料とSBRラテックスとを含有することにより、紙包装容器用原紙としての耐罫線割れ適性、並びにインク着肉性はもちろんのこと、本紙包装容器用原紙を低米坪・軽量化しても、圧縮強度を維持する働きをするため、本紙包装容器用原紙の加工適性をより向上させることができる。
なお、接着剤となる樹脂としては上記SBRラテックスの他、アクリルアミド系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、PVA等のポリビニル系樹脂、澱粉等の樹脂もあるが、本発明においては、SBRラテックスのようなスチレン系の樹脂が特に好ましい。
また、表面層用塗工液におけるSBRラテックスの配合量は、顔料(無機顔料)100重量部に対して、SBRラテックスが6〜15重量部、好ましくは9〜12重量部とすることが好ましい。
SBRラテックスの配合量が顔料に対して6重量部未満であると、接着剤が少なく、耐罫線割れ適性を満足することが難しくなる。さらに、擦れにより表面塗工層に傷が入りやすくなる。一方、SBRラテックスの配合量が15重量部を超えると、表面塗工層の表面に粘り感が発生する傾向になり、巻取り製品に加工した際に表面塗工層と裏面塗工層とが貼り付く傾向になるため、紙表面にピッキングを発生させてしまうおそれがある。また、表面塗工層の曲げ応力に対する耐性は向上するが、表面塗工層自体の柔軟性がなくなり、硬くなる傾向になるので、耐罫線割れ適性を満足させることが難しくなることに加え、特に水性の印刷適性に問題が生じる。
なお、上記表面層用塗工液の塗工方法としては、シングル塗工でもダブル塗工以上の多段塗工でもよく、塗工設備としては、バーコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ゲートロールコーター、及びサイズプレス等のロールコーター、ビルブレードコーター、ベルバパコーター、カレンダーロールコーターなどがある。また、基紙の表面層上に表面層用塗工液を塗被する前(表面塗工層を形成する前)に、表面層用塗工液を均一に塗工し、表面塗工層7を平滑にするために、カレンダーパートで基紙に表面処理を施すことが好ましい。
表面層用塗工液の塗工により、表面塗工層7を形成の際、当該塗工層の白色度が73%以上、白紙光沢度が20%〜50%であることが好ましい。本願が主目的とする紙包装容器用の原紙は、内容物の購買意欲をそそるための見栄えや、情報をその表層で図ることが必要であり、更には見栄えや情報が搬送やディスプレーにおいて汚損や欠落する問題を招かない必要がある。白色度や光沢度を所定の範囲することで、印刷見栄えを向上することが可能になり、消費者の購買意欲を向上する。
また、本発明の好適な構成として、基紙の裏面層上(下表面)に水溶性樹脂からなる裏面層用塗工液を塗被して裏面塗工層8を形成する。この裏面層用塗工液は、水溶性樹脂としては、例えば、でんぷん(リン酸エステル化でんぷん、カチオン化でんぷん等の各種変性でんぷんを含む)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリルアミド系樹脂(PAM)、カゼイン、ポリスチレン−ブタジエン系ラテックス、ポリ酢酸ビニル系ラテックス、ポリアクリル系ラテックス、ポリウレタン系ラテックス等を用いることができる。これらの中でも本発明に係る紙包装容器用原紙1の造膜性、剛性、基材への浸透性を考えると、PVAと滑剤を組み合わせて用いることが好ましい。
ポリビニルアルコールは、重合度が1000〜2000且つケン化度が98〜99であることが望ましい。ポリビニルアルコールは、重合度が高くなると得られる被膜強度が強く、水に溶け難くなる性状を有し、またケン化度が高くなると得られる被膜強度が強くなり、冷水にも溶け難くなる性状を呈する。本件発明者等は、本件発明が対象とする包装容器用原紙に求められる要求品質を満たすため、粘性が高まり操業性が低下する問題を有するものの、被膜強度を得る目的で所定の重合度、ケン化度のポリビニルアルコールを用いることが好適との知見を得ている。ちなみに、ポリビニルアルコールは、当該裏面層用塗工液において、2〜3重量部(50%固形分換算)が好ましい。2重量部未満であると表面被膜が形成できず、表面強度が低く、紙面繊維のトラレによる紙ムケ等が発生する。3重量部以上であると被膜厚が厚くなり、接着剤の浸透を阻害するため、糊接着強度が低下する。
また、PVAに加え、滑剤として、高級脂肪族炭化水素(パラフィンワックス)、高級脂肪族アルコール系滑剤、高級脂肪酸系滑剤、高級脂肪酸アミド系滑剤、高級脂肪酸金属塩系滑剤、高級脂肪酸エステル系滑剤が使用可能であるが、中でもパラフィンワックスを用いるのが好ましい。パラフィンワックスを使用する目的としては、裏面層の紙粉や異物脱落防止のためである。なお、パラフィンワックスについては、ワックスの形状については特に限定はないが、エマルションタイプのものが好ましい。ちなみに、滑剤(主にパラフィンワックス)は、当該裏面層用塗工液において、0.04〜0.2重量部(40%固形分換算)が好ましい。0.04重量部未満であると摩擦抵抗値が向上しないため、紙粉インキ粕の脱落が改善できない。0.2重量部以上であると表面滑り性が向上するため、ケースを重ねた際の荷崩れ等のトラブルが発生しやすくなる。
また、PVA、滑剤のほか表面紙力増強剤として、変性ポリアクリルアミド系樹脂を0.24〜0.4重量部(20%固形分換算)用いることができる。
また、裏面層用塗工液は濃度が1〜8%、より好ましくは2〜5%となるように調整することが良い。裏面層用塗工液の濃度が1%未満であると、裏面層用塗工液の基紙への浸透がよすぎるため、基紙の裏面層側の紙表面の剛性を得ることが難しくなる傾向になる。このため、紙包装容器用原紙の圧縮強度を維持することが難しくなり、本紙包装容器用原紙が所望とする加工適性を満足することが難しくなる。一方、濃度が8%を超えると、圧縮強度を維持することはできるが、裏面層用塗工液の粘性が高くなりすぎる傾向となるため、裏面層用塗工液の基紙への浸透が悪化し、さらに操業性が低下するという問題が発生することに加え、裏面層側の表面が硬くなる傾向になり、裏面層側の耐罫線割れ適性等の加工適性を満足することが難しくなる。
また、このような裏面層用塗工液の塗工量は0.08〜1.62g/m2(dry換算)、より好ましくは0.05〜2.0g/m2である。これにより、本紙包装容器用原紙において、段ボールや紙器に加工する際に必要な加工適性を維持すると共に、さらに本紙包装容器用原紙により得られる紙包装用容器器内容部(例えばティッシュ等)の汚損を防止できる。
なお、裏面層用塗工液の塗工量が0.05g/m2未満であると、本発明の所望とする裏面層側の紙表面の剛性を満足することが難しくなり、一方で2.0g/m2を超えると、裏面層側の紙表面の剛性は満足することができるが、裏面塗工層の柔軟性がなくなり、硬くなる傾向になるため、本発明の所望とする耐罫線割れ適性等の加工適性を満足させることが難しくなる。
上記のような裏面層用塗工液を基紙の裏面層5上に塗被して裏面塗工層8を形成することにより、裏面塗工層8の表面の強度はもとより、内包物(例えば、ティッシュ、紙タオル、キッチンペーパー等)との擦過性、紙粉抑制に優れた効果を示す。
なお、上記裏面層用塗工液の塗工方法としては、シングル塗工でもダブル塗工以上の多段塗工でもよく、塗工設備としては、バーコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ゲートロールコーター、及びサイズプレス等のロールコーター、ビルブレードコーター、ベルバパコーター、カレンダーロールコーターなどがある。塗工設備については、これらの中でも高線圧下での塗工が可能なカレンダーロール塗工方式が好ましい。また、カレンダーロールとしてはチルドロールがより好ましい。さらに、塗工後の裏面塗工層の表面の平坦化処理はオンマシンカレンダーやソフトカレンダー、グロスカレンダーなどが使用できる。
以上に述べたように、複数層から成る基紙を有し、基紙の裏面層上に特定の水溶性樹脂、滑剤、紙力増強剤を特定の配合割合とした裏面層用塗工液を塗被して裏面塗工層を形成し、さらに、基紙の灰分、層別の繊維配向性を規定することで、表面層及び裏面層の剛性を高めることができるので、従来の板紙と比べて10〜15%の低米坪・軽量化が図ることが可能になり、さらに低米坪・軽量化を図っても、加工適性および印刷適性を満足させることができるに至った。
次に、以上に述べた本発明に係る実施形態について、詳細な実施例(具体例)を挙げて説明する。なお、本実施例について、必要に応じて図1の記載を用いながら説明する。また、発明を実施するための形態の項における「〇%固形分換算」なる記載と、本「実施例」の項における「固形分換算(〇%)」は同義である(〇は数字)。
本実施例では、本発明に係る多層抄きの紙包装容器用原紙の効果を確認するため、以下のような各種の試料を作製し、これらの各試料に対する品質を評価する試験を行った。なお、本実施例において、配合、濃度等を示す数値は、固形分又は有効成分の質量基準の数値である。また、本実施例で示すパルプ・薬品等は一例にすぎないので、本発明はこれらの実施例によって制限を受けるものではなく、適宜選択可能であることはいうまでもない。
[実施例1]基紙の作製
本発明に係る31種類の紙包装容器用原紙(これを「実施例1」乃至「実施例31」とする。)と、これらの実施例1乃至実施例31と比較検討するために、3種類の紙包装容器用原紙(これを「比較例1」乃至「比較例3」とする。)を、表1に示すような構成で作製した。
以下の原料を用いて、下記の製造法に従い、表面層、表下層、並びに中層(及び裏面層)の3層から成る基紙を有する紙包装容器用原紙を得た。なお、「実施例1」を典型例として説明する。
<基紙>
・表面層
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)30質量%(dry)、広葉樹晒クラフトパルプ20質量%(dry)、上白古紙15質量%及びコート紙35質量%を配合し、坪量を40g/m2とした。このパルプ中に、内添薬品として、サイズ剤(ロジンエマルションサイズ剤、商品名:R10、近代科学工業社製)を、原料パルプの重量に対して固形分換算(50%)で7kg/PT(絶乾パルプトン)、硫酸バンド(住友化学社製)を、原料パルプの重量に対して固形分で65kg/PT、並びに紙力増強剤(品名:TST153、星光PMC社製)を、原料パルプの重量に対して固形分換算(20%)で8kg/PT添加し、原料パルプスラリーを得た。
・表下層
上質ケント古紙100質量%を原料パルプスラリーとして用いた。また、このパルプ中に、表面層同様に内添薬品として、サイズ剤(ロジンエマルジョンサイズ剤、商品名:R10、近代科学工業社製)を、原料パルプの重量に対して固形分換算(50%)で5.5kg/PT、硫酸バンド(住友化学社製)を、原料パルプの重量に対して固形分で90kg/PT、並びに紙力増強剤(品名:TST153、星光PMC社製)を、原料パルプの重量に対して固形分換算(20%)で5.6kg/PT添加し、原料パルプスラリーを得た。また、坪量を54g/m2とした。
・中層(裏面層)
地券古紙及び新聞古紙それぞれ共に50質量%を主成分とした原料スラリーを用いた。また、このパルプ中に、表面層同様に内添薬品として、サイズ剤(ロジンエマルジョンサイズ剤、商品名:R10、近代科学工業社製)を、原料パルプの重量に対して固形分換算(50%)で7.5kg/PT、硫酸バンド(住友化学社製)を、原料パルプの重量に対して固形分で60kg/PT、並びに紙力増強剤(品名:TST153、星光PMC社製)を、原料パルプの重量に対して固形分換算(20%)で3.0kg/PT添加し、原料パルプスラリーを得た。また、ダブルディスクレファイナーにより、坪量を170g/m2とした。
次に、表面層用塗工液及び裏面層用塗工液について、表2に示す配合比で調製した。表2中の「実施例1乃至31」、並びに「比較例1乃至3」は、表1のものと同一である。調整方法に係る典型例については、実施例1を例に表2の後に記す。
<表面層用塗工液>
次に、無機顔料として、クレー(アマゾンプラスJPG)を23重量部、炭酸カルシウム(ハイドロカーブ90、湿式重カル)を77重量部配合し、バインダーとして、スチレンブタジエンラテックス(SBR)(スマーテックPA−6082(50%品、日本A&L(株)製)を9重量部配合して、表面層用塗工液を調製した。なお、各配合量の数値は、乾燥状態における数値である。
<裏面層用塗工液>
水溶性樹脂のポリビニルアルコール(PVA)系樹脂として、PVA(JF−17、日本酢ビ・ポバール(株)製。重合度1700、ケン化度98.0〜99.0)を固形分換算(50%)で1.3重量部、滑剤として、ポリエチレンワックスエマルション(ハイテックE−9015、東邦化学工業株式会社製)を固形分換算(40%)で0.08重量部、紙力増強剤として、変性ポリアクリルアミド系紙力増強剤(T−ST153、星光PMC社製)を固形分換算(20%)で0.24重量部配合して、裏面層用塗工液を調製した。
この表面層用塗工液をバーコーターにて、基紙の表面層上に6.0g/m2の塗工量で塗工して表面塗工層を形成し、裏面層用塗工液をバーコーターにて、基紙の裏面層上に1.62g/m2塗工して裏面塗工層を形成し、紙包装容器用原紙(実施例1)を得た。なお、塗工量の数値もまた、乾燥(dry)状態における数値である。
<カレンダー処理>
次に、カレンダー処理について次に示す表3の条件で行った。なお、表3中の「実施例1乃至31」、並びに「比較例1乃至3」は、表1及び2のものと同一である。カレンダー処理に係る典型例については、実施例1を例に表3の後に記す。
表3中で「ハードカレンダー」としているが、ここではハードニップカレンダー処理を行った。ここで、「NO.1カレンダー」及び「NO.2カレンダー」なる記載は、カレンダーが2スタック存在するという意味である。実施例1においては、NO.1カレンダー及びNO.2カレンダーいずれもニップの数が1である。また、表3中で「ソフトカレンダー」としているが、ソフトカレンダー処理についてはグロスカレンダーを用いて行っており、実施例1においては、グロスを195℃、線圧を110kgf/cmとしている。
また、実施例2〜31、及び比較例1〜3について、表1、2及び3に示す条件以外は実施例1と同様にして、それぞれの実施例若しくは比較例に係る紙包装容器用原紙を作製した。
[実施例2]品質評価試験
これらの全実施例及び比較例について品質評価を行った結果は、表4に示すとおりであった。なお、この品質評価試験は、JIS−P8111に準拠して温度23±2℃、湿度50±2%の環境条件で行った。
先ず、表4中の「製品米坪」とはJIS−P8124(1998)に記載の「紙及び板紙−坪量測定方法」に準拠して測定した値である。
次に、表4中の「製品水分(%)」とは、JISP8127により測定した紙包装容器用原紙の製品水分である。
表4中の「基紙坪量+総塗工量」とは、表1の「基紙坪量」と、表2の「総塗工量(表面層用塗工液の塗工量+裏面層用塗工液の塗工量)」との和である。
「密度(g/cm3)」とは、各試料である紙包装容器用原紙の基紙の坪量と、JIS−P8118(1998)に記載の「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した基紙の紙厚から算出した値である。
なお、表4中の「灰分」とは、JIS−P8251(2003)に記載の「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼方法」に準拠して測定した灰分(%)の値を言う。
「紙厚(μm)」とは、各実施例及び比較例に係る製品としての紙の厚さである。
「白色度(%)」とはJIS-P8148(2001)に記載の「紙、板紙及びパルプ-ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法」に準拠して測定した白色度(pt)の値を言う。
「白紙光沢(%)」とはJIS-P8142(2005)に記載の「紙及び板紙-75度鏡面光沢度の測定方法」に準拠して測定した未印刷原紙の光沢度(%)の値を言う。
「平滑度(秒)」とはJIS-P8119(1998)に記載の「紙及び板紙−ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」に準拠して測定した平滑度(秒)の値である。
「コップ吸水度(g/m2)」とはJIS−P8140(1991)に記載の「紙及び板紙−吸水度試験方法−コッブ法に準拠した接触時間2分の測定値であり、うち「(表)」は表層側を表し、「(裏)」は裏面層側を表す。
「比破裂強度(kPa/m2/g)」とはJIS-P8142(2005)に記載の「紙及び板紙‐75度鏡面光沢度の測定方法」に準拠した測定した未印刷原紙の光沢度(%)の値を言う。
また、「圧縮強度(縦)(N)」とは、JIS−P8126(2005)に記載の「紙及び板紙−圧縮強さ試験方法−リングクラッシュ法」に準拠して測定した圧縮強度(縦)の値である。
「印裂強度(縦)(mN)」とはJIS−P8116(1990)に記載の「紙−引裂き強さ試験方法−エルメンドルフ形引裂き試験方法」に準拠した測定値である。また、「印裂強度(横)(mN)」は、抄造方向における幅方向の測定値である。
「ワックスピック(裏)(A)」とは、JAPAN TAPPI No.1(2000)に記載の「紙及び板紙−ワックスによる表面強さ試験方法」に準拠して測定した、裏面塗工層側のワックスピック強度(A)の値である。
「耐折強度(横)(回)」とは、JIS−P8115(2001)に記載の「紙及び板紙−耐折強さ試験方法−MIT試験機法」に準じて測定した横方向の耐折回数である。
「製箱性」とは、本願に基づく紙包装容器用原紙をブランクシート化し、ブランクシートを、ティシュペーパーを収納するためのティシュカートンに製箱する工程に於いて評価したものである。なお、評価基準は下記の通りとした。
◎:ブランクシートを成形位置に移送する際に用紙表面に傷入りが発生せず、ブランクシートの移送時における左右のガイドレールとの間の摩擦力に違いが生じて、ブランクシートが水平面上において斜めに傾いてしまい、成形位置に対するブランクシートの位置がずれてマンドレルでの成形精度が低下する問題も生じない。
○:ブランクシートを成形位置に移送する際に用紙表面に傷入りが殆ど発生せず、ブランクシートの移送時における左右のガイドレールとの間の摩擦力に違いが生じて、ブランクシートが水平面上において斜めに傾いてしまい、成形位置に対するブランクシートの位置がずれてマンドレルでの成形精度が低下する問題も生じない。
△:ブランクシートを成形位置に移送する際に用紙表面に傷入りが散見され、ブランクシートの移送時における左右のガイドレールとの間の摩擦力に違いが生じて、ブランクシートが水平面上において斜めに傾いてしまい、成形位置に対するブランクシートの位置がずれてマンドレルでの成形精度が低下する問題が若干生じた。
×:ブランクシートを成形位置に移送する際に用紙表面に傷入りが生じると共に、ブランクシートの移送時における左右のガイドレールとの間の摩擦力に違いが生じて、ブランクシートが水平面上において斜めに傾いてしまい、成形位置に対するブランクシートの位置がずれてマンドレルでの成形精度が低下する。
「耐罫線割れ適性」とは、インク抜けと同様に印刷を行った各試料の多層抄き塗工板紙をA4サイズ(縦目)に断裁し、長辺に対して2つ折りにし、プレス圧2.0kg/m2で5分間プレス後、肉眼にて折り目部分のひび割れの発生の有無を確認することによって評価したものである。なお、評価基準は下記の通りとした。
◎:ひび割れが発生していない。
○:折り目長さに対して、総全長が15%未満であるひび割れが発生する。
△:折り目長さに対して、総全長が15%以上30%未満であるひび割れが発生する。
×:折り目長さに対して、総全長が30%以上であるひび割れが発生する。
「RIピック」とは、JIS−P8129に規定されているIGT印刷適性試験機に用いる標準タックグレードインク(TV=18)を、熊谷理機工業(株)製KRK万能印刷適性試験機を用いて多層抄き塗工板紙の塗工層に印刷した後、RI印刷適性試験によって評価したものである。なお、評価基準は下記の通りとした。
◎:表面の毛羽立ち又は紙むけが認められない。
○:0.5mm以上の毛羽立ち又は紙むけが2箇所以下である。
△:0.5mm以上の毛羽立ち又は紙むけが3〜5箇所である。
×:0.5mm以上の毛羽立ち、紙むけが6箇所以上である。
表4から、実施例1〜31に係る多層抄き塗工板紙、すなわち本発明に係る紙包装容器用原紙であると、従来の板紙である比較例よりも10〜15%ほど低米坪・軽量化させることができることが分かる。また、本発明に係る紙包装容器用原紙は、このように低米坪・軽量化しても、ティッシュカートン等の加工適性を満足させることができるということが分かる。
以上、本発明に係る実施例を述べたが、本発明は上記に述べた実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲及び本明細書に記載の事項内で様々な検討課題があることは言うまでもない。