JP2006206757A - 共重合体ラテックス及びその製造方法並びに紙塗工用組成物 - Google Patents

共重合体ラテックス及びその製造方法並びに紙塗工用組成物 Download PDF

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基裕 大河内
Keisuke Tsukimawashi
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Abstract

【課題】紙塗工用組成物のバインダーとして使用し、得られる塗工紙が優れた印刷光沢を示す共重合体ラテックスを提供する。
【解決手段】共役ジエン系単量体由来の構造単位と、エチレン性不飽和カルボン酸単量体由来の構造単位とを有する共重合体を含有する共重合体ラテックスであって、所定の接触角測定法で接触角を測定したときに、0秒後接触角に対する、0秒後接触角から4秒後接触角への変化率が20%以上であり、且つ、4秒後接触角に対する、4秒後接触角から10秒後接触角への変化率が20%未満である共重合体ラテックス。
【選択図】なし

Description

本発明は、共重合体ラテックス及びその製造方法並びに紙塗工用組成物に関し、更に詳しくは、べとつき防止性にみる塗工操業性に優れ、且つ、接着強度、白紙光沢、着肉性、インク乾燥性、印刷光沢の優れた印刷適性を有する塗工紙を得ることができる共重合体ラテックス、及びその共重合体ラテックスの製造方法、並びにその共重合体ラテックスを含有する紙塗工用組成物に関する。
紙の外観や印刷適性を改良するために、紙(塗工原紙)に、顔料とバインダーとを含有する紙塗工用組成物が塗工される。そして、紙塗工用組成物に含有されるバインダーとしては、澱粉やラテックスが用いられている。この中でラテックスは、塗工操業性に優れ、接着強度、印刷光沢等の印刷適性に優れた塗工紙を得るために有用なバインダーである。従来、このような種々の特性を有するラテックスが作製されてきたが(例えば、特許文献1、2参照)、塗工紙の印刷適性、特に印刷光沢については更なる改良が求められていた。
特開2001−031727号公報 特開2001−172894号公報
塗工紙の印刷光沢については、従来のラテックスの設計は耐油性モノマー(アクリロニトリル)を多く使用し、インクの塗工紙への過度の吸収を抑制することで性能を発現させていた。しかし、耐油性モノマーの多量使用にも印刷光沢向上には限界があるばかりではなく、他の塗工紙物性とのバランスが崩れる原因ともなる。そこで今回、塗工紙物性の適正なバランスを維持したところでさらに印刷光沢を向上させた紙塗工用組成物を提供することを目的にラテックスを設計した。
本発明は、上述の従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、紙塗工用組成物のバインダーとして使用し、その紙塗工用組成物を紙に塗工して得られる塗工紙が優れた操業性、接着強度、印刷光沢を示す共重合体ラテックス、及びその共重合体ラテックスの製造方法並びにその共重合体ラテックスを含有する紙塗工用組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明によって以下の共重合体ラテックス及びその製造方法並びに紙塗工用組成物が提供される。
[1] 共役ジエン系単量体由来の構造単位と、エチレン性不飽和カルボン酸単量体由来の構造単位とを有する共重合体を含有する共重合体ラテックスであって、以下の接触角測定法で接触角を測定したときに、0秒後接触角に対する、0秒後接触角から4秒後接触角への変化率が20%以上であり、且つ、4秒後接触角に対する、4秒後接触角から10秒後接触角への変化率が20%未満である共重合体ラテックス。
(接触角測定法)
共重合体ラテックスを膜状に形成し、それを乾燥して得られる薄膜の表面に、アニリン点80〜100℃のナフテン系石油溶剤を接触させて0秒後の接触角、4秒後の接触角及び10秒後の接触角をそれぞれ測定する。
[2] コア/シェル型共重合体ラテックスであって、前記コア/シェル型共重合体ラテックスの重合に使用される各単量体の使用割合が、単量体全体を100質量%としたときに、共役ジエン系単量体35〜65質量%、シアン化ビニル単量体20〜45質量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体1〜10質量%、及びこれらと共重合可能な他の単量体0〜44質量%であり、コア部用であるシアン化ビニル単量体が、シアン化ビニル単量体全体の70質量%以上であり、GPCゲル含量と、コア部GPCゲル含量との差が、10%以下である[1]に記載の共重合体ラテックス。
[3] 少なくともシェル部重合にメルカプタン系分子量調節剤が使用され、前記メルカプタン系分子量調節剤の使用量が、単量体全体100質量部に対して0.1〜1質量部であり、前記シェル部重合用メルカプタン系分子量調節剤の使用量が、メルカプタン系分子量調節剤の全使用量の80質量%以上である[2]に記載の共重合体ラテックス。
[4] コア/シェル型共重合体ラテックスの製造方法であって、単量体全体を100質量%としたときに、共役ジエン系単量体35〜65質量%、シアン化ビニル単量体20〜45質量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体1〜10質量%、及びこれらと共重合可能な他の単量体0〜44質量%とし、コア部用であるシアン化ビニル単量体を、シアン化ビニル単量体全体の70質量%以上とし、GPCゲル含量と、コア部GPCゲル含量との差を、10%以下とする共重合体ラテックスの製造方法。
[5] 少なくともシェル部重合にメルカプタン系分子量調節剤を使用し、前記メルカプタン系分子量調節剤の使用量を、単量体全体100質量部に対して0.1〜1質量部とし、前記シェル部重合用メルカプタン系分子量調節剤の使用量を、メルカプタン系分子量調節剤の全使用量の80質量%以上とする[4]に記載の共重合体ラテックスの製造方法。
[6] [1]〜[3]のいずれかに記載の共重合体ラテックスと顔料とを含有し、前記共重合体ラテックスの含有量が、前記顔料100質量部に対して3〜25質量部である紙塗工用組成物。
本発明の共重合体ラテックスによれば、所定の接触角測定法で接触角を測定したときに、0秒後接触角に対する、0秒後接触角から4秒後接触角への変化率が20%以上であり、且つ、4秒後接触角に対する、4秒後接触角から10秒後接触角への変化率が20%未満であるため、本発明の共重合体ラテックスを含有する紙塗工用組成物を塗工した塗工紙に、印刷をしたときに、塗工紙にインクが接触した初期の段階(0〜4秒に相当)で、一定量のインク溶剤が塗工紙に吸収されインク乾燥性を良好にし、その後(4〜10秒に相当)、インク溶剤吸収が小さくなり塗工紙上に留まる状態で平滑化されることにより、印刷された塗工紙の印刷光沢が優れたものとなる。また、本発明の共重合体ラテックスの製造方法によれば、このような本発明の共重合体ラテックスを製造することができる。
本発明の紙塗工用組成物は、本発明の共重合体ラテックスと顔料とを、所定量含有するため、得られる塗工紙は印刷光沢に優れたものとなる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」という。)を具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
本発明の共重合体ラテックスの一の実施の形態は、共役ジエン系単量体由来の構造単位と、エチレン性不飽和カルボン酸単量体由来の構造単位とを有する共重合体を含有する共重合体ラテックスであって、以下の接触角測定法で接触角を測定したときに、0秒後接触角に対する、0秒後接触角から4秒後接触角への接触角の変化率(以下、「接触角の4秒後変化率」ということがある。)が20%以上、且つ、4秒後接触角に対する、4秒後接触角から10秒後接触角への接触角の変化率(以下、「接触角の10秒後変化率」ということがある。)が20%未満のものである。接触角の4秒後変化率は、20〜40%であることが好ましく、25〜35%であることが更に好ましい。また、接触角の10秒後変化率は、0〜10%であることが好ましく、0〜5%であることが更に好ましい。
(接触角測定法)
共重合体ラテックスを膜状に形成し、それを乾燥して得られる薄膜の表面に、アニリン点が80〜100℃のナフテン系石油溶剤を接触させて0秒後の接触角、4秒後の接触角及び10秒後の接触角をそれぞれ測定する。好ましくはこのナフテン系石油溶剤は、比重0.8以上、沸点250℃以上、アニリン点80〜100℃、ナフテン系炭化水素(脂環式炭化水素)含有率70〜80質量%、アロマ系炭化水素(芳香族炭化水素)含有率1質量%以下の石油系炭化水素である。測定に用いられるナフテン系石油溶剤の具体例としては、新日本石油社製「AFソルベント5号」(商品名)が挙げられる。このAFソルベント5号の性状は、「比重:0.88、沸点範囲:276〜302℃、アニリン点88.2℃、ナフテン系炭化水素含有率76.8質量%、アロマ系炭化水素の含有量:0.2質量%、(他は、パラフィン系炭化水素(飽和炭化水素)成分)」である。
上記接触角は、TAPPI T558pm−95のA法で測定し、測定する液滴としてAFソルベント5号を使用する。即ち、具体的には、共重合体ラテックスをポリエチレンテレフタレートフィルム上にNo.18ロッドにより塗布し、120℃で30秒間、乾燥し、皮膜を形成させる。この皮膜の「AFソルベント5号」に対する接触角の経時変化(0秒後接触角から10秒後接触角までの変化)を自動接触角計(CA−V:協和界面科学社製)を用いて測定し、0秒後接触角に対する、0秒後接触角から4秒後接触角への接触角の変化率R0-4と、4秒後接触角に対する、4秒後接触角から10秒後接触角への接触角の変化率R4-10を下記式(1)、(2)により求める。
0-4(%)=(θ0−θ4)/θ0×100 …(1)
4-10(%)=(θ4−θ10)/θ4×100 …(2)
θ0:AFソルベント5号を共重合体ラテックス皮膜に接触させた直後の接触角
θ4:AFソルベント5号を共重合体ラテックス皮膜に接触させてから4秒後の接触角
θ10:AFソルベント5号を共重合体ラテックス皮膜に接触させてから10秒後の接触角
このように、本実施の形態の共重合体ラテックスは、上記接触角の4秒後変化率が20%以上であり、且つ、接触角の10秒後変化率が20%未満であるため、本実施の形態の共重合体ラテックスを含有する紙塗工用組成物を塗工した塗工紙に、印刷をしたときに、塗工紙にインクが接触した初期の段階(0〜4秒に相当)で、一定量のインク溶剤が塗工紙に吸収されインク乾燥性を良好にし、その後(4〜10秒に相当)インク溶剤吸収が小さくなり塗工紙上に留まる状態で平滑化されることにより、印刷された塗工紙の印刷光沢が優れたものとなる。
本実施の形態の共重合体ラテックスは、共役ジエン系単量体由来の構造単位35〜65質量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体由来の構造単位1〜10質量%及びこれらと共重合可能な他の単量体25〜64質量%を有することが好ましい(各単量体由来の構造単位の合計を100質量%とする。)。そして、更に、共役ジエン系単量体由来の構造単位35〜65質量%、シアン化ビニル単量体由来の構造単位20〜45質量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体由来の構造単位1〜10質量%、及びこれらと共重合可能な他の単量体由来の構造単位0〜44質量%を有することが好ましい(各単量体由来の構造単位の合計を100質量%とする。)。
本実施の形態の共重合体ラテックスは、以下に示す本発明の共重合体ラテックスの製造方法の一の実施の形態で製造された共重合体ラテックスであることが好ましい。即ち、共役ジエン系単量体、シアン化ビニル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体及び必要に応じてこれらと共重合可能な他の単量体を含有するコア部用単量体を共重合して粒子状のコア部が生成され、得られたコア部の存在下、共役ジエン系単量体、シアン化ビニル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体及び必要に応じてこれらと共重合可能な他の単量体を含有するシェル部用単量体を乳化重合して得られる、コア/シェル型共重合体ラテックスであって、単量体全体を100質量%としたときに、共役ジエン系単量体35〜65質量%、シアン化ビニル単量体20〜45質量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体1〜10質量%、及びこれらと共重合可能な他の単量体0〜44質量%であり、コア部用単量体として使用されるシアン化ビニル単量体が、シアン化ビニル単量体全体の70質量%以上であり、GPCゲル含量と、コア部GPCゲル含量との差が、10%以下である共重合体ラテックスであることが好ましい。
(コア部)
本実施の形態の共重合体ラテックスの製造方法において、コア部は、共役ジエン系単量体、シアン化ビニル単量体及びエチレン性不飽和カルボン酸単量体を含有するコア部用単量体を、乳化重合により共重合して得ることが好ましい。そして、コア部用単量体は、これらと共重合可能な他の単量体を必要に応じて含んでもよい。コア部添加方法は特に限定されないが、多段分割インクレ法、例えば3段階に分けて重合して得られることも好ましい。この場合には、コア部用単量体の一部(1段目コア部単量体)を第1段目としてまず乳化重合(共重合)して第1のコア部を形成した後、残りのコア部単量体を使用して、第2段目、第3段目の乳化重合(共重合)を順次行ってコア部を生成させることが好ましい。この場合、コア部は、第1のコア部を核として、それを覆うようにして少なくとも2層が形成されたものとなる。上記1段目コア部単量体を乳化重合するときには、1段目コア部単量体を一括で仕込んでもよいし、連続的又は断続的に添加しながら重合してもよい。また、上記残りのコア部単量体は、第1のコア部が存在する重合液中に、連続的又は断続的に添加してもよいし、各他のコア部用単量体毎に一括して仕込んで重合してもよい。
本実施の形態の共重合体ラテックスの製造方法において、1段目コア部単量体の、コア部用単量体全体に対する使用割合は、10〜20質量%であることが好ましく、10〜15質量%であることが更に好ましく、10〜12質量%であることが特に好ましい。10質量%未満であると、塗工紙強度が低下することがあり、20質量%を超えると、重合様態が不安定となることがある。また、コア部用単量体の中で、1段目コア部単量体以外の使用割合は、例えば、3段階に分けて重合した場合には、2段目コア部単量体の使用割合が50〜70質量%であることが好ましく、3段目コア部単量体の使用割合が20〜35質量%であることが好ましい。1段目コア部単量体、2段目コア部単量体及び3段目コア部単量体のそれぞれの組成は異なっていてもよい。
コア部用の共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、クロロプレン等が挙げられるが、好ましくは1,3−ブタジエンである。これらの共役ジエン系単量体は、1種単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。共役ジエン系単量体は、コア部に適度な柔軟性と伸びを与え、耐衝撃性を付与するために有用な成分である。そして、その使用割合はコア部単量体全体に対して40〜70質量%であることが好ましく、50〜65質量%であることが更に好ましく、55〜65質量%であることが特に好ましい。40質量%未満であると、コア部が硬くなり過ぎ、接着強度が悪化する。70質量%を超えると、軟らかくなり過ぎ、べとつき防止性(塗工操業性)が悪化する。
コア部用のシアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられるが、好ましくはアクリロニトリルである。これらのシアン化ビニル単量体は、1種単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。その使用割合は、コア部単量体全体に対して15〜45質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることが更に好ましく、25〜35質量%であることが特に好ましい。15質量%未満であると、インク溶剤の吸収が高くなり過ぎ印刷光沢が低下する。45質量%を超えると、コア部が硬くなり過ぎ接着強度が低下する。
コア部用のエチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられる。これらのエチレン性不飽和カルボン酸単量体は、1種単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。エチレン性不飽和カルボン酸単量体の使用割合は、コア部全体に対して0.5〜3質量%であることが好ましく、1.0〜2.5質量%であることが更に好ましく、1.5〜2.0質量%であることが特に好ましい。0.5質量%未満であると、ラテックスの安定性が低下することがある。3質量%を超えると、ラテックス粘度が増大することがある。
コア部用単量体の中で、上記単量体(共役ジエン系単量体、シアン化ビニル単量体及びエチレン性不飽和カルボン酸単量体)と共重合可能な他の単量体としては、以下のものが挙げられ、その使用割合は、コア部用単量体全体に対して0〜35質量%であることが好ましく、0〜25質量%であることが更に好ましい。上記他の単量体としては芳香族ビニル単量体、アルキル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、アクリルアミド系化合物、N−メチロールアクリルアミド、水酸基を有する単量体等が挙げられる。これらのうち、芳香族ビニル単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン等が挙げられ、特にスチレンが好ましい。アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、特にメチルメタクリレートが好ましい。更にアクリルアミド系化合物としては、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。また、水酸基を有する単量体としては、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
コア部用単量体を乳化重合するに際しては、水性媒体中で乳化剤、重合開始剤、分子量調節剤などを用いて重合することができる。また、重合温度は、特に限定されないが、30〜70℃が好ましく、35〜50℃が更に好ましい。重合時間は、1〜15時間が好ましく、3〜10時間が更に好ましい。
乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを単独で、あるいは2種以上を併用して使用できる。ここで、アニオン性界面活性剤としては、例えば高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ポリエチレングリコールアルキルエーテルの硫酸エステルなどが挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型などが用いられる。両性界面活性剤としては、アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、燐酸エステル塩を、カチオン部分としてはアミン塩、第4級アンモニウム塩を持つものが挙げられ、具体的にはラウリルベタイン、ステアリルベタインなどのベタイン類、ラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ(アミノエチル)グリシン、などのアミノ酸タイプのものなどが用いられる。
重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性重合開始剤、過酸化ベンゾイル、ラウリルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性重合開始剤、還元剤との組み合わせによるレドックス系重合開始剤などを、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせで使用できる。
分子量調節剤、キレート化剤、無機電解質なども公知のものが使用できる。分子量調節剤としては、クロロホルム、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素類、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸などのメルカプタン類、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイドなどのキサントゲン類、ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー、1,1−ジフェニルエチレンなど通常の乳化重合で使用可能なものを全て使用できる。
(シェル部)
本実施の形態の共重合体ラテックスの製造方法において、シェル部は、上述の方法でコア部を生成させた後に、共役ジエン系単量体、シアン化ビニル単量体及びエチレン性不飽和カルボン酸単量体を含有するシェル部用単量体を添加し、コア部の周囲にグラフト重合することにより、コア部を覆うように形成することが好ましい。そして、シェル部用単量体は、上記単量体と共重合可能な他の単量体を必要に応じて含んでもよい。このようにして得られたものが、本実施の形態の共重合体ラテックスである。
シェル部用単量体を乳化重合するときの重合温度は、特に制限しないが、30〜80℃が好ましく、40〜70℃が更に好ましい。重合時間は、1〜10時間が好ましく、2〜8時間が更に好ましい。
シェル部用として使用する、共役ジエン系単量体、シアン化ビニル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、及びこれらと共重合可能な他の単量体は、上述したコア部用単量体として好適に使用される各単量体の中から選択して使用することが好ましい。
共役ジエン系単量体の使用割合は、シェル部単量体全体に対して5〜50質量%であることが好ましく、8〜45質量%であることが更に好ましく、10〜35質量%であることが特に好ましい。5質量%未満であると、シェル部が硬くなり過ぎ、接着強度が悪化する。50質量%を超えると、軟らかくなり過ぎ、べとつき防止性(塗工操業性)が悪化する。
シアン化ビニル単量体の使用割合は、シェル部単量体全体に対して0〜70質量%であることが好ましく、0〜60質量%であることが更に好ましく、0〜50質量%であることが特に好ましい。70質量%を超えると、シェル部が硬くなり過ぎ接着強度が低下する。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体の使用割合は、シェル部単量体全体に対して1〜20質量%であることが好ましく、2〜18質量%であることが更に好ましく、5〜15質量%であることが特に好ましい。1質量%未満であると、本実施の形態の共重合体ラテックスの機械的安定性及び化学的安定性が低下することがある。20質量%を超えると、本実施の形態の共重合体ラテックスの粘度が高くなり過ぎ、作業性が低下することがある。
上記単量体と共重合可能な他の単量体の使用割合は、シェル部用単量体全体に対して0〜70質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることが更に好ましく、15〜25質量%であることが特に好ましい。
シェル部用単量体を乳化重合するに際しては、乳化剤、重合開始剤、分子量調節剤等を適宜使用することができる。これら乳化剤、重合開始剤、分子量調節剤等は、シェル部用単量体に添加して使用してもよいし、シェル部用単量体に添加せずに、重合液中に直接添加してもよい。これら添加剤としては、上述したコア部重合において使用できるものを好適に使用することができる。これら添加剤の中でも、シェル部の分子量を調節するために分子量調節剤を使用することが好ましく、特に、メルカプタン系分子量調節剤を使用することが好ましい。メルカプタン系分子量調節剤の使用量を、コア部用単量体及びシェル部用単量体の合計100質量部に対して0.1〜1質量部とすることが好ましく0.2〜0.8質量部とすることが更に好ましい。0.1質量部未満であると、トルエンゲル含量が高くなり強度が低下することがあり、1質量部を超えるとトルエンゲル含量が低くなり操業性が低下することがある。ここで、「トルエンゲル含量」とは、共重合体ラテックスを常温でpH8.0に調整した後、イソプロパノールで凝固させ、得られた凝固物を洗浄、乾燥した後、0.03gの試料を100mlのトルエンに25℃、20時間浸漬させたときの、トルエン中に残存する固形物(120メッシュの金網で濾過し、得られる残存固形分)の、浸漬前の全固形分に対する質量比率をいう。そして、シェル部重合用メルカプタン系分子量調節剤の使用量を、全メルカプタン系分子量調節剤の80質量%以上とすることが好ましく、90〜100質量%とすることが更に好ましく、特に100質量%とすることが特に好ましい。80質量%未満であると、コア部GPCゲルが低く印刷光沢が低下することがある。
(共重合体ラテックス)
本実施形態の共重合体ラテックス製造方法により製造されるコア/シェル型共重合体ラテックスは、上述したように、コア部と、その周囲を覆うように形成されたシェル部とを備えるものである。これは、共役ジエン系単量体、シアン化ビニル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、及びこれらの単量体と共重合可能な他の単量体を、各工程においてそれぞれ重合することにより得られたものであるが、この重合に使用される単量体全体に対する、各単量体の使用割合は、以下の通りであることが好ましい。即ち、単量体全体(コア部用単量体とシェル部用単量体の合計)を100質量%としたときに、共役ジエン系単量体35〜65質量%、シアン化ビニル単量体20〜45質量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体1〜10質量%、及びこれらと共重合可能な他の単量体0〜44質量%であることが好ましい。
上記共役ジエン系単量体が、35質量%未満であると、共重合体が硬くなり過ぎ、接着強度が悪化することがある。65質量%を超えると、軟らかくなり過ぎ、べとつき防止性が悪化することがある。シアン化ビニル単量体が、20質量%未満であると、インク溶剤の吸収が高くなり過ぎ印刷光沢が低下することがある。45質量%を超えると、共重合体が硬くなり過ぎ接着強度が低下することがある。エチレン性不飽和カルボン酸単量体が、1質量%未満であると、共重合体の機械的安定性及び化学的安定性が低下し多量の凝集物の発生を招くことがある。10質量%を超えると、共重合体の粘度が高くなり過ぎ、作業性が低下することがある。
また、コア部用のシアン化ビニル単量体が、シアン化ビニル単量体全体の70質量%以上であることが好ましい。コア部用単量体として使用されるシアン化ビニル単量体の使用割合が70質量%未満であると、インク溶剤の吸収が高くなり過ぎ印刷光沢が低下することがある。
コア/シェル型共重合体ラテックスを構成するコア部とシェル部の質量比は、[コア部/シェル部]が[50/50]〜[95/5]であることが好ましい。コア部が50質量%未満であると、インク溶剤の吸収が高くなり過ぎ、印刷光沢が低下することがある。コア部が95質量%を超えると、インク溶剤との親和性が低下し印刷光沢が低下することがある。
本実施の形態のコア/シェル型共重合体ラテックスの平均粒子径は、50〜200nmであることが好ましい。50nm未満であると、ラテックス粘度が高くなり過ぎることがある。また、得られる塗工紙の白紙光沢が低下することがある。200nmを超えると、得られる塗工紙の表面強度が低下することがある。ここで、平均粒子径とは、光散乱法による平均粒子径である。この測定は例えば、大塚電子社製の「FPRA−1000(商品名)」を用いて常法によって測定することができる。
本実施の形態の共重合体ラテックスの製造方法により製造された、本実施の形態の共重合体ラテックスは、共重合体ラテックスの全体のGPCゲル含量と、コア部のGPCゲル含量(コア部GPCゲル含量)との差([GPCゲル含量]−[コア部GPCゲル含量])が、10%以下であることが好ましく、0〜5%であることが更に好ましく、0〜3%であることが特に好ましい。10%を超えると、コア部GPCゲル含量が低くインクの経時的な吸収が抑制できないため、印刷光沢が低下することがある。ここで、「GPCゲル含量」とは、下記GPC測定条件により測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)から得られる分子量分布において、ポリスチレン換算の分子量で100万以上を示すもの(「GPCゲル」)の全成分に対する含有量をいう。「GPCゲル含量」の測定方法を、図1を用いて説明する。図1は、下記GPC測定条件に従って得られたクロマトグラムを示す。クロマトグラム中の溶出曲線1において、溶出時間T1(分子量100万)より早く検出されるピーク1(面積S1)がGPCゲルであり、ピーク2(面積S2)はGPCゲル以外の成分である。そして、溶出曲線1と横軸で囲まれた部分を全面積S(S=S1+S2)とした場合、GPCゲル含量A(%)は、下記式(3)により求められる。
A(%)={S1/(S1+S2)}×100 …(3)
GPC測定条件:
1.試料の調製
純水を用い、固形分を20質量%に調整した共重合体ラテックス0.2gに、常法に従い洗浄、水洗したカチオン交換樹脂約1gを加え、陽イオンを除去する。次いで、テトラヒドロフラン20mlを加え、2時間放置し、溶解する。次にポリテトラフルオロエチレン製メンブレインフィルター(ポアサイズ3μm、アドバンテック社製)で濾過し、濾液を測定試料とする。
2.装置、測定条件等
測定装置;「HLC−8220(商品名)」(東ソー社製)
カラム;有機溶媒系GPCカラム「TSKgel GMHHR−H(30)(商品名)」(充填剤;ポリスチレンゲル、粒子径;30μm、カラムサイズ;7.8mmI.D.×300mm、東ソー社製)
検出器;示差屈折率計
温度;40℃
溶媒;テトラヒドロフラン
流速;1ml/分
注入量;50μl
尚、測定に際しては、分子量既知のポリスチレン標準物質を用いて、予め検量線を作成し、これを用いる。
(紙塗工用組成物)
本発明の紙塗工用組成物の一の実施の形態は、上記本発明の共重合体ラテックスと、顔料とを含有するものであり、共重合体ラテックスの含有量(固形分)が、顔料100質量部に対して3〜25質量部であり、5〜20質量部であることが好ましく、7〜15質量部であることが更に好ましい。3質量部未満であると、バインダーとしての充分な接着機能を発現し難くなる。25質量部を超えると、塗工紙の白色度を損ねたり、過度な粘着性に起因する塗工紙製造プロセスや塗工紙印刷プロセスでの操業トラブルの原因となる。ここで、共重合体ラテックスの含有量とは、共重合体ラテックスの固形分の含有量のことであり、共重合体ラテックスの固形分とは、共重合体ラテックスから、分散媒あるいは溶媒である水を除いた成分をいう。
(紙塗工用組成物−バインダー)
本実施の形態の紙塗工用組成物に含有される本発明の共重合体ラテックスは、バインダーとして機能するが、バインダーとしては、その他にも、澱粉、カゼイン、大豆蛋白等を含有してもよい。これらの中では、澱粉が好ましい。澱粉としては、燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉等の加工澱粉を使用することができる。これらは、1種単独で又は2種以上を併用することができる。
(紙塗工用組成物−顔料)
本実施の形態の紙塗工用組成物に含有される顔料としては、カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワイト等を使用することができる。これらの中でも、重質炭酸カルシウムが好ましく、カオリンと重質炭酸カルシウムとを使用することも好ましい。これらは、1種を単独で使用することもでき、また2種以上を併用することもできる。
紙塗工用組成物に含有される顔料と共重合体ラテックスとの合計量は、紙塗工用組成物の固形分全体に対して90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。
本実施の形態の紙塗工用組成物には、上記顔料及び共重合体ラテックスに加えて、耐水性改良剤、顔料分散剤、粘度調節剤、着色顔料、蛍光染料及びpH調節剤等一般に使用されている種々の添加剤を任意に配合することができる。顔料、共重合体ラテックス、その他添加剤を含む紙塗工用組成物の固形分濃度は、30〜70質量%が好ましい。
本発明の紙塗工用組成物を塗工原紙に塗布して製造される塗工紙は、優れた印刷光沢を示す。以下、本発明の紙塗工用組成物を塗工原紙に塗布して製造される塗工紙(以下、「本塗工紙」ということがある。)について説明する。
(塗工紙)
本塗工紙は、上述した本発明の紙塗工用組成物を塗工原紙に塗布して得られ、塗工原紙と、塗工層とを備えるものである。
(塗工紙−塗工原紙)
本塗工紙を構成する塗工原紙は特に限定されず、本発明の紙塗工用組成物を塗工することにより優れた印刷光沢を発現するものであればよい。塗工原紙の原料パルプの種類は特に限定されず、例えば、機械パルプ、化学パルプ、古紙パルプ(DIP)等が挙げられる。また、塗工原紙には、内添剤として炭酸カルシウム、クレー及びタルク等の顔料、アルキルケテンダイマー、ロジン酸石鹸及び硫酸バンド等のサイズ剤、カチオン澱粉及びポリアクリルアミド等の紙力増強剤、並びに嵩高剤等を使用することもできる。更に、上記塗工原紙の表面には、サイズプレス、ゲートロールコーター、メータードサイズプレス等を使用して、アクリルアミド又はアクリル−スチレンポリマー等の表面サイズ剤を塗布することもできる。
(塗工紙−塗工層)
本塗工紙を構成する塗工層は、紙塗工用組成物の塗工量が、1〜50g/m2であることが好ましい。1g/m2より少ないと白紙光沢や印刷光沢が低下することがあり、50g/m2より多いとコストの割りに品質の向上が小さくなることがある。
(塗工紙の製造)
本塗工紙の製造方法は、上述した紙塗工用組成物(塗工液)を塗工原紙に、下記塗工方法により塗工するものである。塗工方法としては、一般の塗工紙の製造方法において用いられている方法を採用することができる。例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ゲートロールコーター、チャンプレックスコーター、サイズプレスコーター、グラビアコーター、カーテンコーター等を使用して塗工することができる。
本塗工紙を製造する方法としては、塗工工程以外に、紙塗工用組成物を塗工して未乾燥塗工紙を作製した後に、乾燥工程を有することが好ましい。また、上記乾燥工程の後に更に、カレンダー工程を設けてもよい。カレンダー処理を行うことで、得られた塗工紙の白紙光沢及び印刷光沢を充分に引き出すことができる。更に、上述の工程以外に適宜所望の工程を有してもよい。
本実施の形態の塗工紙は、枚葉オフセット印刷用及び輪転オフセット印刷用として特に好適に使用することができる。また、その他の平版印刷用、グラビア印刷等の凹版印刷用、及び凸版印刷用としても使用することができる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。尚、実施例において割合を示す「部」及び「%」はそれぞれ質量部及び質量%を意味する。
(共重合体ラテックスの製造)
(実施例1)
撹拌装置及び温度調節機を備えた耐圧反応容器に、「1段目成分」として水:99部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:0.429部、アクリル酸:0.5部、ブタジエン:6.25部、スチレン:1.525部、アクリロニトリル:3.075部、過硫酸カリウム:1.4部、亜硫酸水素ナトリウム:0.18部及び硫酸第一鉄7水塩:0.0054部を仕込み、窒素で重合系内を置換した。その後、重合系内の温度を40℃に昇温し、この温度で1.5時間重合を行った。次いで、「コア部」の「2段目成分」としてアクリル酸:0.5部、イタコン酸:0.25部、ブタジエン:27.3部、スチレン:4.55部、アクリロニトリル:13.65部、α−メチルスチレンダイマー:0.6部と、還元剤水溶液の1/5量とを6時間かけて連続的に重合系内に添加し、重合を進めた。更に、「コア部」の「3段目成分」としてイタコン酸:0.25部、ブタジエン:14.05部、スチレン:2.4部、アクリロニトリル:7.05部と、還元剤水溶液の1/5量とを2時間かけて連続的に重合系内に添加した。その後、重合系内の温度を55℃に昇温し、「シェル部」の「シェル部成分(シェル部用単量体)」としてアクリル酸:1.3部、イタコン酸:0.75部、ブタジエン:3.15部、スチレン:5.575部、アクリロニトリル:7.9部、t−ドデシルメルカプタン:0.3部と、還元剤水溶液の2/5量とを2時間かけて連続的に重合系内に添加した。重合を完結させるために、残り1/5量の還元剤水溶液を2時間かけて連続的に添加した。最終的な重合転化率は98%であった。得られた共重合体ラテックスを、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを用いてpH7.5(常温推算値)に調整した後、水蒸気を吹き込んで未反応単量体を除去し、更に加熱水蒸気蒸留によって固形分濃度50%のコア/シェル型共重合体ラテックスを得た(実施例1)。
(実施例2〜4、比較例3,4)
撹拌装置及び温度調節機を備えた耐圧反応容器に、表1,2に示される配合処方の「コア部」の「1段目成分」を仕込み、窒素で重合系内を置換した。その後、重合系内の温度を40℃に昇温し、この温度で1.5時間重合を行った。次いで、表1,2に示される「コア部」の「2段目成分」と、還元剤水溶液の1/5量とを6時間かけて連続的に重合系内に添加し、重合を進めた。更に、表1,2に示される「コア部」の「3段目成分」と、還元剤水溶液の1/5量とを2時間かけて連続的に重合系内に添加した。その後、重合系内の温度を55℃に昇温し、表1,2に示される「シェル部」の「シェル部成分(シェル部用単量体)」と、還元剤水溶液の2/5量とを2時間かけて連続的に重合系内に添加した。重合を完結させるために、残り1/5量の還元剤水溶液を2時間かけて連続的に添加した。最終的な重合転化率は98%であった。得られた共重合体ラテックスを、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを用いてpH7.5(常温推算値)に調整した後、水蒸気を吹き込んで未反応単量体を除去し、更に加熱水蒸気蒸留によって固形分濃度50%の共重合体ラテックスを得た(実施例2〜4、比較例3,4)。
(比較例1,2)
撹拌装置及び温度調節機を備えた耐圧反応容器に、表2に示される配合処方の「コア部」の「1段目成分」を仕込み、窒素で重合系内を置換した。その後、重合系内の温度を45℃に昇温し、この温度で2時間重合を行った。次いで、重合系内の温度を50℃に昇温し、表2に示される「コア部」の「2段目成分」と、還元剤水溶液の1/5量とを3時間かけて連続的に重合系内に添加し、重合を進めた。さらにその後、重合系内の温度を55℃に昇温し、表2に示される「シェル部」の「シェル部成分」と、還元剤水溶液の3/5量とを3時間かけて連続的に重合系内に添加した。重合を完結させるために、残り1/5量の還元剤水溶液を2時間かけて連続的に添加した。最終的な重合転化率は98%であった。得られた共重合体ラテックスを、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを用いてpH7.5(常温推算値)に調整した後、水蒸気を吹き込んで未反応単量体を除去し、更に加熱水蒸気蒸留によって固形分濃度50%の共重合体ラテックスを得た(比較例1,2)。
Figure 2006206757
Figure 2006206757
得られた共重合体ラテックスについて、以下に示す方法で、平均粒子径、共重合体ラテックスの皮膜の接触角、及びGPCゲル含量を測定した。結果を「共重合体ラテックスの特性」として表3に示した。表3において、「接触角変化率[R0−4]」は、「0−4秒間の接触角変化率R0-4」を示し、「接触角変化率[R4−10]」は、「4−10秒間の接触角変化率R4-10」を示し、「[R0−4]−[R4−10]」は、「0−4秒間の接触角変化率R0-4」から「4−10秒間の接触角変化率R4-10」を差し引いた値を示す。また、GPCゲル含量は、最終的に得られた共重合体ラテックスについて測定すると共に、コア部の重合後(シェル部の重合前)、重合液をサンプリングして、コア部についても測定した。GPCゲル(コア)は、コア部についての測定結果を示し、GPCゲル(全体)は、得られた共重合体ラテックスについての測定結果を示し、GPCゲルΔ(全体−コア)は、共重合体ラテックスについての測定結果からコア部についての測定結果を差し引いた値を示す。
Figure 2006206757
(平均粒子径)
共重合体ラテックスの平均粒子径は、粒子径測定装置(FPAR−1000(商品名):大塚電子社製)を用いて常法により求めた。
(接触角測定)
接触角は、上述した接触角測定法で測定した。即ち、液滴としてAFソルベント5号を使用して、TAPPI T558pm−95のA法で測定し、R0-4及びR4-10を求めた。
(GPCゲル含量)
上述した「GPCゲル含量」の測定方法により、GPCゲル含量を測定した。
(紙塗工用組成物の調製)
得られた共重合体ラテックスを用いて表4に示す配合処方で紙塗工用組成物を調製した。調製に際しては、表4に示す配合処方の原料に、全固形分が66%となるように水を加え、ミキサーを用いて均一に混合して紙塗工用組成物とした。
Figure 2006206757
(塗工紙の製造)
得られた紙塗工用組成物を塗工原紙上に、塗工量が片面11.0±0.5g/m2となるように、電動式ブレードコーター(熊谷理機工業社製)で塗工し、150℃の電気式熱風乾燥機にて4秒間乾燥した。得られた塗工紙を温度23℃、湿度60%の恒温恒湿槽に1昼夜放置し、その後、線圧140kg/cm、ロール温度40℃の条件でスーパーカレンダー処理を2回行い、塗工紙を製造した。得られた塗工紙について、以下に示す方法で、性能評価を行った。結果を「塗工紙の特性」として表3に示した。
(塗工紙の評価)
(べとつき防止性)
共重合体ラテックスをポリエチレンテレフタレートフィルム上にNo.18ロッドにより塗布し、120℃で30秒間、乾燥し、皮膜を形成させた。この皮膜と黒羅紗紙を合わせて、グロスカレンダーにより線圧15kg/cm−19rpm、温度105℃の条件下で圧着させた。両者をひきはがして、黒羅紗紙のラテックスへの転写の程度を目視で1.0〜5.0の得点範囲で評価を行った。転写の少ないものほど高得点とした。数値は測定回数6回の平均値で示した。
(ドライピック強度)
RI印刷機で印刷したときのピッキングの程度を肉眼で判定し、1.0〜5.0の得点範囲で評価を行った。ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。数値は測定回数6回の平均値で示した。
(白紙光沢)
塗工紙を村上式光沢計を使用して、75度の角度で測定した。数字が大きい程、光沢が高いことを示す。
(着肉性)
RI印刷機を用いて、塗工紙の表面に、水を付着させたゴムロールで水を付与したのち、市販のオフセット印刷用藍インキで印刷した。室温で1日乾燥後、インクの濃さをマクベス濃度計にて測定した。濃度の値が高いほど着肉性(インキ受理性)が良好であることを示す。
(印刷光沢)
RI印刷機を用いて市販のオフセット印刷用墨インキを2回連続(インターバル30sec)してベタ塗りし、村上式光沢計を使用して60度の角度で測定した。数字が大きい程、光沢が高いことを示す。
(インク乾燥性)
RI印刷機を用いて、市販のオフセット印刷用墨インクを塗工紙表面に印刷し、その後白紙を重ね合わせて一定の圧力で加圧し、白紙へのインク転移の程度をマクベス濃度計にて測定した。転移が少ないものほど数字が小さく、インクの乾燥性が速いことを示す。
実施例1〜4の共重合体ラテックス及びこれらを使用した塗工紙は、いずれも、各評価結果が良好であった。比較例1においては、0−4秒間の接触角変化率R0-4が20%未満であるため、塗工紙の印刷光沢が悪かった。また、比較例2〜4においては、4−10秒間の接触角変化率R4-10が20%以上であるため、塗工紙の印刷光沢が悪かった。
本発明の共重合体ラテックス及び紙塗工用組成物は、印刷光沢に優れた塗工紙を製造するために利用することができる。そして、本発明の共重合体ラテックスの製造方法は、そのような本発明の共重合体ラテックスを製造することができる。
本発明の共重合体ラテックスのゲル成分をGPC測定して得られたクロマトグラムの一例を示す図である。
符号の説明
1…溶出曲線。

Claims (6)

  1. 共役ジエン系単量体由来の構造単位と、エチレン性不飽和カルボン酸単量体由来の構造単位とを有する共重合体を含有する共重合体ラテックスであって、
    以下の接触角測定法で接触角を測定したときに、0秒後接触角に対する、0秒後接触角から4秒後接触角への変化率が20%以上であり、且つ、4秒後接触角に対する、4秒後接触角から10秒後接触角への変化率が20%未満である共重合体ラテックス。
    (接触角測定法)
    共重合体ラテックスを膜状に形成し、それを乾燥して得られる薄膜の表面に、アニリン点80〜100℃のナフテン系石油溶剤を接触させて0秒後の接触角、4秒後の接触角及び10秒後の接触角をそれぞれ測定する。
  2. コア/シェル型共重合体ラテックスであって、
    前記コア/シェル型共重合体ラテックスの重合に使用される各単量体の使用割合が、単量体全体を100質量%としたときに、共役ジエン系単量体35〜65質量%、シアン化ビニル単量体20〜45質量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体1〜10質量%、及びこれらと共重合可能な他の単量体0〜44質量%であり、
    コア部用であるシアン化ビニル単量体が、シアン化ビニル単量体全体の70質量%以上であり、
    GPCゲル含量と、コア部GPCゲル含量との差が、10%以下である請求項1に記載の共重合体ラテックス。
  3. 少なくともシェル部重合にメルカプタン系分子量調節剤が使用され、前記メルカプタン系分子量調節剤の使用量が、単量体全体100質量部に対して0.1〜1質量部であり、前記シェル部重合用メルカプタン系分子量調節剤の使用量が、メルカプタン系分子量調節剤の全使用量の80質量%以上である請求項2に記載の共重合体ラテックス。
  4. コア/シェル型共重合体ラテックスの製造方法であって、
    単量体全体を100質量%としたときに、共役ジエン系単量体35〜65質量%、シアン化ビニル単量体20〜45質量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体1〜10質量%、及びこれらと共重合可能な他の単量体0〜44質量%とし、
    コア部用であるシアン化ビニル単量体を、シアン化ビニル単量体全体の70質量%以上とし、
    GPCゲル含量と、コア部GPCゲル含量との差を、10%以下とする共重合体ラテックスの製造方法。
  5. 少なくともシェル部重合にメルカプタン系分子量調節剤を使用し、前記メルカプタン系分子量調節剤の使用量を、単量体全体100質量部に対して0.1〜1質量部とし、前記シェル部重合用メルカプタン系分子量調節剤の使用量を、メルカプタン系分子量調節剤の全使用量の80質量%以上とする請求項4に記載の共重合体ラテックスの製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の共重合体ラテックスと顔料とを含有し、前記共重合体ラテックスの含有量が、前記顔料100質量部に対して3〜25質量部である紙塗工用組成物。
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