JP2003268017A - 共重合体ラテックスおよび紙塗工用組成物 - Google Patents

共重合体ラテックスおよび紙塗工用組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗工紙におけるピック強度、湿潤ピック強
度、耐ブリスター性等の塗工紙物性をバランス良く向上
し、紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性を向上
することを目的課題とする。 【解決手段】 第一工程で添加する単量体混合物(A)
が共役ジエン系単量体と共重合可能なその他の単量体5
0〜80重量%、かつ、第二工程で添加する単量体混合
物(B)が共役ジエン系単量体50〜90重量%および
このものと共重合可能なその他の単量体10〜50重量
%、かつ、第三工程で添加する単量体混合物(C)共重
合体ラテックスが、単量体混合物(A)の組成から得ら
れる共重合体の溶解性パラメータ(SPA)と単量体混
合物(B)の組成から得られる共重合体の溶解性パラメ
ータ(SPB)とが、下記式(1)を満たす共重合体ラ
テックス。 0.8<(SPA)−(SPB)<4 (1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジエン系共重合体
ラテックス、およびそれを用いる紙塗工用組成物に関
し、さらに詳しくは、オフセット印刷、グラビア印刷に
供される塗工紙あるいは塗工板紙その他に使用する紙塗
工用のバインダーとして好適な、高性能のジエン系共重
合体ラテックス、およびそれを用いる紙塗工用組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、合成共重合体ラテックスは、例え
ば、紙塗工用バインダー、カーペットバックサイジング
用バインダー、不織布や人工皮革などの繊維結合用バイ
ンダー、あるいは各種材料の粘接着剤などとして広く用
いられている。共重合体ラテックスがこのような用途に
用いられる場合、共重合体ラテックスには、接着強度が
強く、耐水性、乾燥加熱による耐ブリスター性などに優
れていることが要求される。塗工紙は、紙の印刷適性の
向上および光沢などの光学特性の向上を目的として、抄
造された原紙表面に、カオリンクレー、炭酸カルシウ
ム、サチンホワイト、タルク、酸化チタンなどの顔料、
それらのバインダーとしての共重合体ラテックスおよび
粘度調整剤あるいは補助バインダーとしてのスターチ、
ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースな
どの水溶性高分子を主構成成分とする紙塗工用組成物が
塗工されているものである。
【0003】ここで、バインダーとしての共重合体ラテ
ックスとしては従来からスチレンとブタジエンを主要モ
ノマー成分として乳化重合されたスチレン−ブタジエン
系共重合体ラテックス、いわゆるSB系ラテックスが汎
用的に用いられている。近年、カラー印刷された雑誌類
やパンフレット、広告類の需要の拡大に伴って印刷速度
の高速化が進められており、塗工紙および顔料バインダ
ーに対する要求水準はますます高度化している。その中
でも、特にインクピック抵抗性、いわゆるピック強度
と、湿し水が塗布された後のインクピック抵抗性、いわ
ゆる湿潤ピック強度の向上が強く求められている。これ
らのピック強度性能自体が負の相関関係にあるだけでな
く、他の印刷物性、すなわち耐ブリスター性、網点再現
性などとも負の相関関係にあるため、これらの諸物性を
高水準にバランス化させる改良が一段と要求されてい
る。これらの相反する物性は、顔料バインダーとして用
いられているジエン系共重合体ラテックスの性能に強く
依存することから、これまでジエン系共重合体ラテック
スについて種々の検討がなされてきた。
【0004】例えば、これらの諸物性の高バランス化を
目指し、2段もしくは多段重合法において特定のモノマ
ー組成で重合する方法を用いたラテックスの改良が提案
されている。(第1427990号公報,特開昭62−
117897号公報,特開平6−240559号公報,
特開平7−258308号公報,特開平7−32411
2号公報,特開平7−324113号公報,特開平9−
31141号公報,特開平9−31895号公報)しか
しながら近年における本技術分野においては、より高度
な物性バランスの達成が要求されており、いずれの方法
も塗工紙におけるピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリ
スター性等の塗工紙物性や紙塗工における耐バッキング
ロール汚れ特性を向上させる方法として十分とは言い難
かった。
【0005】一方、塗工紙の生産能力を向上するために
近年高速塗工化が進んでおり、塗工液においては塗工の
高速化に伴う乾燥能力の低下への対応および生産効率を
高める目的で塗工液の高固形分化が進められている。塗
工液を高固形分化するには、重質炭酸カルシウムの配合
率を高める等の顔料面からの流動性の改良とスターチ等
の増粘性の大きい水溶性バインダーを減らしラテックス
を増量することによるバインダー面からの改良が採られ
ている。しかし、炭酸カルシウム比率を高める顔料面か
らの流動性の改良では、白紙光沢が低下し好ましくな
い。また、ラテックス量を増量するバインダー面からの
流動性の改良では、塗工紙表面のベタツキ性を増大させ
るため、バッキングロール汚れやスーパーカレンダー汚
れなどの問題を発生させ好ましくない。
【0006】これらの問題を解決するために共重合体ラ
テックスを重合するにあたり、2段重合で第2段目にシ
アン化ビニル単量体、アミド基含有エチレン性不飽和単
量体を重合することが提案されている(特開平4−24
0297号公報,特開平5−239113号公報)が、
これらの方法では塗工紙の印刷適性と共重合体ラテック
スの耐ベタツキ性は改善されるものの十分とは言い難く
高速塗工のための高固形分条件下での塗工液の流動性は
満足し得るものではなかった。
【0007】さらに、共重合ラテックスを重合するにあ
たり、2段重合を行い第2段目にメタクリロニトリルを
ある添加速度で連続的に添加重合することにより、塗工
紙の印刷適性と高速塗工のための高固形分の塗工液の流
動性に優れることが提案されている(特開平10−18
2709)が、この方法でも塗工紙の印刷適性と紙塗工
における耐バッキングロール汚れ特性が満足し得るもの
ではなかった。このように、従来の技術では印刷と塗工
紙の製造の一層の高速化に対応することができず、生産
性を高め高品質の塗工紙の製造を可能にするバインダー
としての共重合体ラテックスの出現が強く求められてい
るのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の通り、従来の紙
塗工用バインダーは、これを用いた塗工紙のピック強
度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性お
よび操業性における要求を同時に満足させることはでき
なかった。本発明はこのような事情のもとで、塗工紙に
おけるピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等
の塗工紙物性に優れ、かつ紙塗工における耐バッキング
ロール汚れ特性に優れる高性能の共重合体ラテックスを
提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな従来技術の持つ問題点に鑑み、鋭意研究を重ねた結
果、単量体組成、乳化重合条件を特定することにより得
られる特定のジエン系共重合体ラテックスが目的を達成
することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわ
ち本発明の第1は、共役ジエン系単量体、およびこのも
のと共重合可能なその他の単量体を三段重合法により乳
化重合して得られる共重合体ラテックスであって、第一
工程で添加する単量体混合物(A)が共役ジエン系単量
体20〜50重量%およびこのものと共重合可能なその
他の単量体50〜80重量%から成り、かつ、第二工程
で添加する単量体混合物(B)が共役ジエン系単量体5
0〜90重量%およびこのものと共重合可能なその他の
単量体10〜50重量%から成り、かつ、第三工程で添
加する単量体混合物(C)が、(C)のみを重合して得
られる共重合体のガラス転移点が80℃以上となる単量
体から成る共重合体ラテックスであって、単量体混合物
(A)の組成から得られる共重合体の溶解性パラメータ
(SPA)と単量体混合物(B)の組成から得られる共
重合体の溶解性パラメータ(SPB)とが、下記式
(1)を満たす共重合体ラテックスである。 0.8<(SPA)−(SPB)<4 (1) 発明の第2は、発明の第1に記載の共重合体ラテックス
を含む紙塗工用組成物である。
【0010】本発明について以下にさらに詳しく説明す
る。本発明の共重合体ラテックスは、三段階重合法を用
いて乳化重合することによって製造される。本発明の第
一工程で添加される単量体混合物(A)は、共役ジエン
系単量体、およびこのものと共重合可能なその他の単量
体から成るが、特に共役ジエン系単量体と共重合可能な
その他の単量体としてシアン化ビニル系単量体を20〜
60重量%含有することが好ましい。
【0011】第一工程に用いられる共役ジエン系単量体
としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、
2,3−ジメチル1,3−ブタジエン、2−エチル−
1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエ
ン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、2−クロル
−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等を挙げる
ことができるが、好ましくは1,3−ブタジエンであ
る。これらの共役ジエン系単量体は、1種あるいは2種
以上を組み合わせて使用される。これらの共役ジエン系
単量体の好ましい使用量は、単量体混合物(A)の20
〜50重量%、さらに好ましくは25〜40重量%であ
る。この使用量が20重量%未満では得られる重合体が
脆くなり、塗工紙のピック強度の改良効果が十分に得ら
れない。また、50重量%を超えると、紙塗工における
耐バッキングロール汚れ特性の指標となる共重合体ラテ
ックスの耐ベタツキ性改良効果、および塗工紙の湿潤ピ
ック強度の改良効果が十分に出現されず、本発明の目的
が十分に達せられない。
【0012】第一工程で使用される共役ジエン系単量体
と共重合可能なその他の単量体としては、シアン化ビニ
ル系単量体、芳香族ビニル系単量体、エチレン性不飽和
カルボン酸単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル単量体、(メタ)アクリルアミド系単量体、酢酸ビニ
ルなどのカルボン酸ビニルエステル類、塩化ビニルなど
のハロゲン化ビニル類、アミノエチルアクリレート、ジ
メチルアミノエチルアクリレートなどのアミノ基含有エ
チレン性単量体類、スチレンスルホン酸ナトリウムなど
を挙げることができる。これらの共重合可能な単量体は
1種あるいは2種以上を組み合わせて使用される。
【0013】シアン化ビニル系単量体としては、例えば
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルア
クリルニトリルなどを挙げることができるが、特にアク
リロニトリルが好ましい。これらのシアン化ビニル系単
量体は1種あるいは2種以上組み合わせてもよく、ま
た、その好ましい使用量は単量体混合物(A)の20〜
60重量%、さらに好ましくは25〜50重量%であ
る。その使用量が20重量%未満では、紙塗工における
耐バッキングロール汚れ特性の指標となる共重合体ラテ
ックスの耐ベタツキ性改良効果、および塗工紙の湿潤ピ
ック強度の改良効果が十分に出現されない。また、60
重量%を越えるとラテックスの重合安定性に劣り好まし
くない。
【0014】芳香族ビニル系単量体としては、例えばス
チレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メ
チルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレ
ン、エチルスチレン、ビニルキシレン、ブロモスチレ
ン、ビニルベンジルクロリド、p−t−ブチルスチレ
ン、クロロスチレン、アルキルスチレン、ジビニルベン
ゼン、トリビニルベンゼンなどが挙げられるが、特にス
チレンが好ましい。エチレン性不飽和カルボン酸単量体
としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン
酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などが挙げら
れる。これらのエチレン性不飽和カルボン酸単量体は1
種あるいは2種以上組み合わせてもよく、その好ましい
使用量は、全単量体の重量に基づき0.5〜10重量
部、さらに好ましくは1〜7重量部の範囲で選ばれる。
この量が0.5重量部未満では、ラテックスの分散安定
性が十分でなく、塗工液調整や塗工時において種々の問
題が生じ、かつピック強度も低い。10重量部を超える
とラテックスや塗工液の粘度が高くなり過ぎると共に、
湿潤ピック強度が低下する傾向が見られ好ましくない。
【0015】(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量
体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチ
ル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メ
タ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、
n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミルヘキシル
(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレー
ト、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アク
リレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシ
ル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アク
リレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル
(メタ)アクリレート、2−エチル−ヘキシル(メタ)
アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ
(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メ
タ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ジエチレングリコールエトキシアクリレー
ト、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポ
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロー
ルプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロー
ルメタンテトラ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)
アクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフ
ェニル)プロパン、メトキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレー
ト、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキ
シポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2,
2−ビス[4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェ
ニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリ
ロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビ
ス[4−((メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ)フェ
ニル]プロパン、イソボルニル(メタ)アクリレートな
どが挙げられる。
【0016】(メタ)アクリルアミド系単量体として
は、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチロール
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリル
アミドなどのN−モノアルキル(メタ)アクリルアミ
ド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの
N、N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、グリシジ
ルメタアクリルアミド、N−アルコキシ(メタ)アクリ
ルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンス
ルホン酸などが挙げられ、その好ましい使用量は全単量
体の重量に基づき10重量部以下、さらに好ましくは7
重量部以下である。10重量部を超えて使用するとラテ
ックスおよび紙塗工組成物の低せん断粘度を上げてしま
い作業性を悪化させてしまうので好ましくない。
【0017】本発明の第二工程で添加される単量体混合
物(B)は、共役ジエン系単量体、およびこのものと共
重合可能なその他の単量体から成る。第二工程に用いら
れる共役ジエン系単量体は第一工程で用いられる共役ジ
エン系単量体例と同様であり、例えば1,3−ブタジエ
ン、イソプレン、2,3−ジメチル1,3−ブタジエ
ン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−
1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、クロロプ
レン、2−クロル−1,3−ブタジエン、シクロペンタ
ジエン等を挙げることができるが、好ましくは1,3−
ブタジエンである。これらの共役ジエン系単量体は、1
種あるいは2種以上を組み合わせて使用される。これら
の共役ジエン系単量体の好ましい使用量は、単量体混合
物(B)の50〜90重量%、さらに好ましくは55〜
80重量%である。この使用量が50重量%未満では得
られる重合体が脆くなりすぎ、十分に高いピック強度が
得られ難い。また、90重量%を超えると、要求される
耐ベタツキ性を達成することが難しく、本発明の目的が
十分に達せられない。
【0018】第二工程で使用される共役ジエン系単量体
と共重合可能なその他の単量体は、第一工程で用いられ
る共役ジエン系単量体と共重合可能なその他の単量体例
と同様であり、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル
系単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル単量体、(メタ)アク
リルアミド系単量体、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニ
ルエステル類、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、
アミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアク
リレートなどのアミノ基含有エチレン性単量体類、スチ
レンスルホン酸ナトリウムなどを挙げることができる。
これらの共重合可能な単量体は1種あるいは2種以上を
組み合わせて使用される。
【0019】本発明の第三工程で添加される単量体混合
物(C)は、(C)のみを重合して得られる共重合体の
ガラス転移点が80℃以上となる単量体から成る。第三
工程で用いられる単量体としては、例えば、スチレン、
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸
メチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル
アミド、メタクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸
などが挙げられ、混合物を用いる場合は、下記式より計
算される混合物のガラス転移点:Tgが80℃以上で無
ければならない。 1/Tg=Σ{W(i)/Tg(i)} ここで、W(i)は単量体混合物(C)中の単量体iの
重量分率であり、Tg(i)は単量体(i)の単独重合
体のガラス転移点を絶対温度であらわした値である。
【0020】単量体混合物(C)の組成が(C)のみを
重合して得られる共重合体のガラス転移点が80℃以下
では、本発明の効果であるピック強度、湿潤ピック強
度、耐ブリスター性等の塗工紙物性バランスに優れ、か
つ紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性に優れる
高性能の共重合体ラテックスを得ることができない本発
明の共重合体ラテックスは、三段階重合法を用いて乳化
重合するにあたり、第一工程で添加する単量体混合物
(A)の組成から得られる共重合体の溶解性パラメータ
(SPA)と第二工程で添加する単量体混合物(B)の
組成から得られる共重合体の溶解性パラメータ(SP
B)とが、下記式(1)を満たすことが必須である。 0.8<(SPA)−(SPB)<4 (1)
【0021】これを満たすことにより、本発明の効果で
あるピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の
塗工紙物性バランスに優れ、かつ紙塗工における耐バッ
キングロール汚れ特性に優れる高性能の共重合体ラテッ
クスを得ることができる。(SPA)−(SPB)が
0.8以下では、特に湿潤ピック強度と紙塗工における
耐バッキングロール汚れ特性が十分でなく、また、(S
PA)−(SPB)が4以上では、特にピック強度と耐
ブリスター性が不十分で本発明の目的が達せられない。
また、好ましい範囲は1.2<(SPA)−(SPB)
<3である。なお、共重合体の溶解パラメータ(SP
A)および(SPB)は、Robert F.Fedo
rsが規定する方法により、各々の単量体化合物構造と
単量体組成から算出することができる。(POLYME
R ENGINNEERINGAND SCIENC
E,1974,Vol.14,No.2,147−15
4page参照)
【0022】本発明では、本発明の効果を出現させる上
で、第一工程に添加された単量体混合物(A)の第二工
程の重合を開始する時点での重合転化率は50〜90重
量%であることが好ましく、さらには60〜80重量%
であることが好ましい。重合転化率が50重量%未満で
は特に湿潤ピック強度と紙塗工における耐バッキングロ
ール汚れ特性の向上が十分に認められず、90重量%を
超えるとピック強度の向上が十分に認められない。ま
た、第一、第二工程に添加された単量体混合物(A)、
(B)の第三工程の重合を開始する時点での重合転化率
は80〜95重量%であることが好ましく、さらには8
5〜90重量%であることが好ましい。重合転化率が8
0重量%未満では紙塗工における耐バッキングロール汚
れ特性の向上が十分に認められず、95重量%を超える
と重合不安定となり重合残さが多量に発生し好ましくな
い。
【0023】本発明の第一工程で添加される単量体混合
物(A)と第二工程で添加される単量体混合物(B)の
重量比(A)/(B)は、(A)、(B)の組成内容、
重合転化率、および各々の混合物由来の共重合体間の相
溶性により一概に決定できないが、通常1/9〜9/1
までが選択され、好ましくは3/7〜7/3の範囲であ
る。重量比(A)/(B)が1/9未満では湿潤ピック
強度、耐ベタツキ性の改良効果が十分でなく、また、9
/1を超えると特にピック強度の改良効果が十分でな
く、いずれも本発明の効果であるピック強度、湿潤ピッ
ク強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性バランスの向上
が十分に認められず好ましくない。また、本発明の第三
工程で添加される単量体混合物(C)の割合は、全体の
20%未満が好ましく、より好ましくは3%〜10%の
範囲である。単量体混合物(C)が20%以上だと十分
なピック強度が得られず、好ましくない。
【0024】本発明で使用される単量体を乳化重合する
に際しては、特に制限はなく、従来公知の方法で、水性
媒体中で前記の単量体、連鎖移動剤と界面活性剤、ラジ
カル重合開始剤と必要に応じて用いられる他の添加剤成
分を基本構成成分とする分散系において単量体を重合さ
せて、共重合体粒子の水性分散液、すなわちジエン系共
重合体ラテックスを製造する方法などが用いられる。こ
のジエン系共重合体ラテックス中の共重合体の濃度は4
0〜60重量%の範囲で選ばれ、また、その平均粒子径
は0.04〜0.4μmの範囲にあることが望ましく、
さらに0.05〜0.2μmの範囲にあることが好まし
い。平均粒子径はシードラテックスや界面活性剤の使用
割合などによって調整することができ、一般にその使用
割合を高くするほど生成共重合体ラテックスの平均粒子
径は小さくなる傾向がある。シードラテックスの重合
は、本発明のラテックスの重合に先だって同一反応容器
で行っても、異なる反応容器で重合したシードラテック
スを用いても良い。
【0025】単量体組成物の添加方法としては、各重合
工程とも、単量体組成物の一括添加法、単量体組成物の
一部を添加した後に重合の進行に従って断続的もしくは
連続的に添加する法、また、単量体組成物を連続的に添
加する法等のいずれでもよい。また、単量体組成物を連
続的に添加する場合の添加速度にも、特に制限はない。
本発明のジエン系共重合体ラテックスは、一般の乳化重
合に使用されている公知の連鎖移動剤を使用することが
できる。例えば、α−メチルスチレンダイマーなどの核
置換α−メチルスチレンの二量体類、n−ブチルメルカ
プタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメル
カプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメ
ルカプタンなどのメルカプタン類、テトラメチルチウラ
ムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドな
どのジスルフィド類、四塩化炭素、四臭化炭素などのハ
ロゲン化誘導体、2−エチルヘキシルチオグリコレー
ト、ターピノーレンなどを挙げられ、これらの1種また
は2種以上が使用される。
【0026】連鎖移動剤としては特にα−メチルスチレ
ンダイマ−およびt−ドデシルメルカプタンが好まし
い。連鎖移動剤は単量体100重量部あたり0.2〜1
0重量部の範囲内で使用することが好ましい。この範囲
を外れるとピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター
性のバランスが低下し本発明の効果を出現させることが
難しくなる。α−メチルスチレンダイマーには、異性体
として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテ
ン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテンお
よび1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダンが
あるが、本発明で使用されるα−メチルスチレンダイマ
ーとしては、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペ
ンテンの比率が60重量%以上であることが好ましく、
特に好ましくは、2,4−ジフェニル−4−メチル−1
−ペンテンの比率が80重量%以上である。
【0027】界面活性剤としては、一般の乳化重合に使
用されている公知の界面活性剤を使用することができ
る。例えば、脂肪族セッケン、ロジン酸セッケン、アル
キルスルホン酸塩、ジアルキルアリールスルホン酸塩、
アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキ
ル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩
などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエ
ーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロック
コポリマーなどのノニオン性界面活性剤、スチレンスル
ホン酸ナトリウムの様な単量体との反応性を有する官能
基を持った反応性界面活性剤、さらに必要に応じてベタ
イン型などの両性界面活性剤などが挙げられ、これらの
1種または2種以上が使用される。この界面活性剤は通
常、アニオン性界面活性剤単独、反応性界面活性剤単
独、アニオン性/反応性またはアニオン性/ノニオン性
の混合系で用いられ、その使用量は全単量体の重量に基
づき、通常0.05〜2重量%の範囲で選ばれる。
【0028】前記ラジカル重合開始剤は、熱または還元
性物質の存在下ラジカル分解して単量体の付加重合を開
始させるものであり、無機系開始剤および有機系開始剤
のいずれも使用できる。このようなものとしては、例え
ば水溶性又は油溶性のペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、
アゾビス化合物等、具体的にはペルオキソ二硫酸カリウ
ム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸ア
ンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシ
ド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスブチロニトリ
ル、クメンハイドロパーオキサイドなどがあり、また他
に、POLYMER HANDBOOK(3rd ed
ition)、J.BrandrupおよびE.H.I
mmergut著、John Willy & Son
s刊(1989)に記載されている化合物が挙げられ
る。
【0029】また、酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビ
ン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリット
などの還元剤を重合開始剤に組み合わせて用いる、いわ
ゆるレドックス重合法を採用することもできる。第一工
程では特に無機系のラジカル重合開始剤を使用すること
が好ましく、さらには重合の全工程において無機系のラ
ジカル重合開始剤を使用することが好ましい。これらの
中で特にペルオキソ二硫酸塩が重合開始剤として好適で
ある。この重合開始剤の使用量は、全単量体の重量に基
づき、通常0.1〜5.0重量%の範囲から、好ましく
は0.2〜3.0重量%の範囲から選ばれる。
【0030】この乳化重合における重合温度は、通常6
0〜100℃の範囲で選ばれるが、前記レドックス重合
法等により、より低い温度で重合を行っても良い。ま
た、各重合工程での重合温度は同じでも異なっていても
良い。重合時間は、通常5〜30時間である。また、本
発明の第二工程終了後にさらに単量体を添加し、重合工
程を重ねても良い。本発明においては、必要に応じ各種
重合調整剤を添加することができる。例えば、pH調整
剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、
リン酸水素二ナトリウムなどのpH調整剤を添加するこ
とができ、この中でも水酸化カリウムがピック強度と湿
潤ピック強度のバランスを高める点で特に好ましく、重
合後のpH調整剤としては好適である。また、エチレン
ジアミン四酢酸ナトリウムなどの各種キレート剤なども
重合調整剤として添加することもできる。また、必要に
応じ本発明の共重合体ラテックスにアルカリ感応ラテッ
クスを添加してもさしつかえない。
【0031】本発明のジエン系共重合体ラテックスを紙
塗工用塗料のバインダーとして用いる場合には、通常行
われている実施態様で行うことができる。すなわち、分
散剤を溶解させた水中に、カオリンクレー、炭酸カルシ
ウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワ
イト、タルク等の無機顔料、プラスチックピグメントや
バインダーピグメントとして知られる有機顔料、澱粉、
カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセ
ルロース等の水溶性高分子、増粘剤、染料、消泡剤、防
腐剤、耐水化剤、滑剤、印刷適性向上剤、保水剤等の各
種添加剤とともにジエン系共重合体ラテックスを添加し
て混合し、均一な分散液とする態様である。顔料と本発
明のジエン系共重合体ラテックスの使用割合は組成物の
使用目的によって適宜決定することが出来るが、好まし
くは顔料100重量部に対してラテックス3〜30重量
部である。そして、この紙塗工液は、各種ブレードコー
ター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコ
ーターなどを用いる通常の方法によって原紙に塗工する
ことができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下に、実施例により本発明をさ
らに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によっ
て制約を受けるものではない。なお、各特性は次のよう
にして求めた。 (1)共重合体ラテックスの性状 (い)粒径 光散乱法粒度分析計(シーエヌウッド社製モデル600
0)により共重合体ラテックス粒子の平均直径を測定し
た。 (ろ)耐ベタツキ性 マイラーフィルムにラテックスをNo13ワイヤーバー
にて塗布した後、130℃で60秒乾燥する。黒ラシャ
紙と重ね合わせ、温度70℃、線圧20kg/cmのス
ーパーカレンダーを通す。黒ラシャ紙をマイラーフィル
ムより剥離し、ラシャ紙繊維のラテックスフィルム上へ
の転移を肉眼で観察した。評価は10点評価法で行い、
転移の少ないものほど高得点とした。
【0033】(2)紙塗工性能評価 (い)ピック強度 RI印刷試験機(明製作所)を用いて、中央部に塗工紙
(1.5cm×20cm)をならべて貼った台紙(30
cm×25.5cm)に、印刷インク(東華色素社製、
商品名:SDスーパーデラックス50紅B(タック18
のもの)0.4ccを25cm×21cmの印刷面積で
台紙ごと印刷し塗工紙に重ね刷りした。ゴムロールに現
れたピッキング状態を別の台紙に裏取りし、その状態を
観察した。評価は10点評価法で行い、ピッキング現象
の少ないものほど高得点とした。
【0034】(ろ)湿潤ピック強度 RI印刷試験機(明製作所)を用いて、中央部に塗工紙
(1.5cm×20cm)ならべて貼った台紙(30c
m×25.5cm)にモルトンロールで塗工紙表面に給
水を行い、その直後に印刷インク(東華色素社製、商品
名:SDスーパーデラックス50紅B(タック15のも
の)0.4ccを25cm×21cmの印刷面積で1回
刷りを行い、ゴムロールに現れたピッキング状態を別の
台紙に裏取りし、その状態を観察した。評価は10点評
価法で行い、ピッキング現象の少ないものほど高得点と
した。
【0035】(は)耐ブリスター性 RI印刷試験機(明製作所)を用いて、台紙(30cm
×25.5cm)の中央部に塗工紙(20cm×20c
m)を貼り、印刷インク(大日本インキ社製、商品名:
Webb Zett 黄)0.3ccを25cm×21
cmの印刷面積で台紙ごとべた刷りした。この条件で両
面印刷された塗工紙を適当な大きさに裁断し、その試験
片を所定の温度に調整したシリコンオイル恒温槽に浸し
てブリスターが発生するか否かを観察した。恒温槽の温
度を変化させてこの試験を行った。ブリスター発生温度
が高いものほど耐ブリスター性に優れる。
【0036】
【実施例1】平均直径0.035μmのシード粒子の水
性分散体(シード固形分濃度重量35%)3.0重量部
を撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反
応容器に入れ、さらに水70重量部、ラウリル硫酸ナト
リウム0.1重量部、表1に示す第一工程用単量体の内
のイタコン酸とフマール酸の組成(重量部)に第一工程
の添加比率(重量%)を乗じた部数を仕込み、内温を8
0℃に昇温した。次いで表1に示す第一工程重合用単量
体の内のイタコン酸とフマール酸を除く単量体と連鎖移
動剤の組成(重量部)に第一工程の添加比率(重量%)
を乗じた部数を混合した単量体組成物と、水15重量
部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム1重量部、ラウリル硫
酸ナトリウム0.1重量部、水酸化ナトリウム0.2重
量部からなる開始剤系水溶液を、それぞれ2時間および
3時間かけて一定の流速で添加した。
【0037】第一工程重合用単量体混合物の添加終了か
ら1時間後より表1に示す第二工程重合用単量体の組成
(重量部)に第二工程の添加比率(重量%)を乗じた部
数を混合した単量体組成物を3時間かけて連続的に添加
した。次に表1に示す第三工程重合用単量体を第二工程
重合用単量体混合物の添加終了直後より2時間かけて連
続的に添加した。そして80℃の温度をそのまま4時間
保ったのち冷却した。次いで生成したジエン系共重合体
ラテックスに水酸化ナトリウムを添加してpHを8とし
た。次に、スチームストリッピング法により未反応単量
体を除去し、200メッシュの金網で濾過した。このジ
エン系共重合体ラテックスは最終的には固形分濃度50
重量%に調整した。このようにして得られたジエン系共
重合体ラテックスをラテックス(イ)とする。
【0038】
【実施例2〜4】表1に示した単量体成分、連鎖移動剤
を用い、単量体組成物の添加時間を各工程の添加比率に
応じて増減した以外は実施例1と同様の方法でラテック
ス(ロ)〜(ニ)を得た。
【0039】
【比較例1〜4】表1に示した単量体成分、連鎖移動剤
を用い、単量体組成物の添加時間を各工程の添加比率に
応じて増減した以外は実施例1と同様の方法でラテック
ス(ホ)〜(チ)を得た。
【0040】
【表1】
【0041】
【実施例5〜8】ラテックス(イ)〜(ニ)を用いて下
記の配合で紙塗工用組成物を調整した。 (配合処方) カオリンクレー 70 重量部 炭酸カルシウム 30 重量部 ポリアクリル酸ソーダ 0.2 重量部 水酸化ナトリウム 0.1 重量部 リン酸エステル化デンプン 2.5 重量部 共重合体ラテックス 12 重量部 水(全固形分が64%になるように添加)
【0042】なお、カオリンクレーとしてはウルトラホ
ワイト90(ENGELHARD社製)を、炭酸カルシ
ウムとしてはカービタル90(ECC社製)を、ポリア
クリル酸ソーダとしてはアロンT−40(東亜合成社
製)を、リン酸エステル化デンプンとしてはMS−46
00(日本食品化工社製)をそれぞれ使用した。得られ
た紙塗工用組成物を坪量75g/m2の塗工原紙に塗工
量が片面14g/m2になるように両面ブレード塗工し
て、塗工紙を得た。この塗工紙を用いて行った評価結果
を表2に示す。
【0043】
【比較例5〜8】ラテックスとして、(ホ)〜(チ)を
用いた以外は実施例8〜14と同様にして塗工紙を得
た。この塗工紙を用いて行った評価結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】表2から明らかなように、本発明の共重合
体ラテックス(イ)〜(ニ)をバインダーとして用いた
塗工紙(実施例5〜8)は、いずれも塗工紙におけるピ
ック強度、湿潤ピック強度等の塗工紙物性に優れ、かつ
紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性の指標とな
る耐ベタツキ性に優れていることが分かる。第三工程の
ないラテックス(ホ)、第三工程で添加される単量体の
Tgが低いラテックス(へ)では、湿順ピック強度、耐
ベタツキ性に劣る(比較例5、6)。
【0046】第一工程で添加する単量体混合物(A)の
組成から得られる共重合体の溶解性パラメータ(SP
A)と第二工程で添加する単量体混合物(B)の組成か
ら得られる共重合体の溶解性パラメータ(SPB)と
が、本発明の請求範囲である0.8<(SPA)−(S
PB)<4の小さいほうに範囲外であるラテックス
(ト)では、特に湿潤ピック強度と耐べたつき性に劣る
(比較例7)。(SPA)−(SPB)が本発明の範囲
外で、大きすぎるラテックス(チ)では、特にピック強
度に劣る(比較例8)。
【0047】
【実施例9〜12】内温を75℃に昇温、その温度で重
合を行い、表3に示した単量体成分、連鎖移動剤を用
い、単量体組成物の添加時間を各工程の添加比率に応じ
て増減した以外は実施例1と同様の方法でラテックス
(リ)〜(ヲ)を得た。
【0048】
【比較例9〜12】内温を75℃に昇温、その温度で重
合を行い、表3に示した単量体成分、連鎖移動剤を用
い、単量体組成物の添加時間を各工程の添加比率に応じ
て増減した以外は実施例1と同様の方法でラテックス
(ワ)〜(タ)を得た。
【0049】
【表3】
【0050】
【実施例13〜16】ラテックスとして、(リ)〜
(ヲ)を用いた以外は実施例5〜8と同様にして塗工紙
を得た。この塗工紙を用いて行った評価結果を表4に示
す。
【0051】
【比較例13〜16】ラテックスとして、(ワ)〜
(タ)を用いた以外は実施例5〜8と同様にして塗工紙
を得た。この塗工紙を用いて行った評価結果を表4に示
す。
【0052】
【表4】
【0053】表4から明らかなように、本発明の共重合
体ラテックス(リ)〜(ヲ)をバインダーとして用いた
塗工紙(実施例13〜16)は、いずれも塗工紙におけ
るピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の塗
工紙物性に優れ、かつ紙塗工における耐バッキングロー
ル汚れ特性の指標となる耐ベタツキ性に優れていること
が分かる。第三工程のないラテックス(ワ)、第三工程
で添加される単量体のTgが低いラテックス(カ)で
は、湿順ピック強度、耐ベタツキ性に劣る(比較例1
3、14)。
【0054】第一工程で添加する単量体混合物(A)の
組成から得られる共重合体の溶解性パラメータ(SP
A)と第二工程で添加する単量体混合物(B)の組成か
ら得られる共重合体の溶解性パラメータ(SPB)と
が、本発明の請求範囲である0.8<(SPA)−(S
PB)<4の小さいほうに範囲外であるラテックス
(ヨ)では、特に湿潤ピック強度と耐べたつき性に劣る
(比較例15)。(SPA)−(SPB)が本発明の範
囲外で、大きすぎるラテックス(タ)では、特にピック
強度に劣る(比較例16)。
【0055】
【発明の効果】塗工紙におけるピック強度、湿潤ピック
強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性をバランス良く向
上することができる。また、紙塗工における耐バッキン
グロール汚れ特性を向上することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 AA05 AA07 AA08 BA03 BA06 BB08 BB09 DA01 KA01 KB09 KB13 KB14 KB19 KB29 4J100 AB02Q AB03Q AB04Q AB08Q AB09Q AB16Q AJ02Q AJ08Q AJ09Q AL03Q AL04Q AL05Q AL08Q AL09Q AL10Q AL11Q AL62Q AL63Q AL66Q AL75Q AM02Q AM15Q AM17Q AM19Q AM21Q AR17P AS02P AS04P AS06P AS07P BA02Q BA05Q BA08Q BB01P BC04Q BC43Q BC54Q CA04 CA05 CA06 EA07 FA20 FA34 FA35 JA13 4L055 AG11 AG12 AG27 AG48 AG63 AG70 AG71 AG74 AG75 AG76 AG89 AH02 AH37 AJ04 BE08 EA20 EA29 EA32 EA40 FA13 FA15 FA19 FA20 FA30 GA05 GA19

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共役ジエン系単量体、およびこのものと
    共重合可能なその他の単量体を三段重合法により乳化重
    合して得られる共重合体ラテックスであって、第一工程
    で添加する単量体混合物(A)が共役ジエン系単量体2
    0〜50重量%およびこのものと共重合可能なその他の
    単量体50〜80重量%から成り、かつ、第二工程で添
    加する単量体混合物(B)が共役ジエン系単量体50〜
    90重量%およびこのものと共重合可能なその他の単量
    体10〜50重量%から成り、かつ、第三工程で添加す
    る単量体混合物(C)が、(C)のみを重合して得られ
    る共重合体のガラス転移点が80℃以上となる単量体か
    ら成る共重合体ラテックスであって、単量体混合物
    (A)の組成から得られる共重合体の溶解性パラメータ
    (SPA)と単量体混合物(B)の組成から得られる共
    重合体の溶解性パラメータ(SPB)とが、下記式
    (1)を満たす共重合体ラテックス。 0.8<(SPA)−(SPB)<4 (1)
  2. 【請求項2】 顔料100重量部に対し、請求項1記載
    の共重合体ラテックスを3〜30重量部用いた紙塗工用
    組成物。
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