JP3693423B2 - 共重合体ラテックス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジエン系共重合体ラテックスに関し、さらには紙塗工用途などに用いられる接着剤として、優れた強度を示しかつブリスター性のバランスも良い共重合体ラテックスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
共役ジエン系単量体、エチレン系不飽和カルボン酸などからなる単量体混合物を乳化重合して得られる共重合体ラテックスは、接着剤として広い用途に用いられている。その中でも特に代表的な用途の例として、塗工紙分野をあげることができる。
【0003】
塗工紙は、印刷適性の向上および光沢などの光学的特性の向上を目的として、原紙の表面に、カオリンクレー、炭酸カルシウム、サチンホワイト、タルク、酸化チタンなどの顔料が塗布されたものだが、それらの接着剤として共重合体ラテックスが単独で、あるいは補助バインダーとしてのスターチ、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性高分子とともに用いられる。
【0004】
近年、出版用あるいは包装用として大量の塗工紙が使用されている。塗工紙の多くはオフセット輪転印刷によって行われているが、需要の拡大、生産コストの削減などの理由から高速印刷の傾向がますます強まっている。そのために塗工紙の品質に対する要求水準もますます高度化していて、表面強度、耐水強度、耐ブリスター性、印刷光沢等の向上が強く求められている。このような品質は顔料の接着剤として用いられる共重合体ラテックスの設計に依存するが、ラテックスに対しては特に接着強度の向上が求められている。また、オフセット輪転印刷用塗工紙に用いられる共重合体ラテックスには、耐ブリスター性と接着強度の高バランス化が強く求められている。
【0005】
これまで、ラテックスについては様々な検討がなされてきたが、中でもラテックスのゲル分率、すなわちラテックスを乾燥して形成させた皮膜のトルエン、テトラヒドロフランなどの溶剤に対する不溶解部分の割合が接着強度と耐ブリスター性の支配因子であることが確認されていることから、この面よりいろいろの検討がなされてきた。具体的にはラテックス中の共重合体の組成及びゲル分率を特定の範囲に調整する方法が提案されている(特公昭59−3598号、特公昭60−17879号、特開昭58−4894号公報)。
【0006】
ラテックスのゲル分率は単量体組成、重合温度をはじめとした様々な重合因子によって変化するが、連鎖移動剤の添加により所望の水準に調整することが一般的かつ簡便な方法である。ところが、単に連鎖移動剤の添加量を増やしてゲル分率を低下させると、耐ブリスター性は向上するが接着強度の低下を招くことになる。このような逆バランスを解消すべく、特公平3−42360号公報には連鎖移動剤の添加方法について検討がなされている。すなわち単位時間当たりに添加される単量体混合物に対する連鎖移動剤の量を連続的に変化するように添加する方法が提案されている。
【0007】
また、特開平3−109561号公報には連鎖移動剤としてα−メチルスチレンダイマーを用いる方法、および連続的に添加される単量体混合物とα−メチルスチレンダイマーとの単位時間当たりの重量比を連続的に変化させる方法が提案されている。
しかしながら、共重合体ラテックスの接着強度を高い水準にまで向上させるには、前記技術はいずれも十分に満足しうるものではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、接着剤として紙塗工に用いた場合に接着強度が優れ、かつブリスター性のバランスの良い共重合体ラテックスを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく共重合体ラテックスの製造方法について種々検討を行った結果、重合開始後、反応器中へのα−メチルスチレンダイマーの添加速度を非連続的に増大させ、さらにその後、α−メチルスチレンダイマーを一定の速度以上で一定の時間以内に添加することにより、前記の目的が達せられることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の第1は、(a)共役ジエン系単量体20〜70重量%、(b)エチレン系不
飽和カルボン酸単量体0.5〜10重量%、(c)その他の共重合可能なビニル系単量体20〜79.5重量%からなる単量体混合物100重量部をα−メチルスチレンダイマーの存在下に乳化重合してジエン系共重合体ラテックスを製造するにあたり、次に示す二つの条件(1)、(2)を満たす製造方法で製造される共重合体ラテックスである。
(1)α−メチルスチレンダイマーの添加速度が非連続的に増大する重合工程を含み、該工程の前後におけるα−メチルスチレンダイマーの添加速度の差が、単位時間当たり0.3部以上。
(2)α−メチルスチレンダイマーの添加速度が非連続的に増大した後の重合工程において、全単量体混合物100重量部に対して0.2〜3重量部のα−メチルスチレンダイマーを、単位時間当り0.3重量部以上の添加速度で1時間以内に添加する工程を含んでいること。
【0011】
また、本発明の第2は、次に示す二つの条件(1)、(2)を満たす製造方法により製造される発明の第1に記載の共重合体ラテックス共重合体ラテックスである。
(1)α−メチルスチレンダイマーの添加速度が非連続的に増大する重合工程を含み、該工程の前後におけるα−メチルスチレンダイマーの添加速度の差が、単位時間当たり0.5部以上。
(2)α−メチルスチレンダイマーの添加速度が非連続的に増大した後の重合工程において、全単量体混合物100重量部に対して0.2〜3重量部のα−メチルスチレンダイマーを、単位時間当り0.5重量部以上の添加速度で1時間以内に添加する工程を含んでいること。
そして、本発明の第3は、顔料および共重合体ラテックスを含有する紙塗工用組成物において、該共重合体ラテックスとして発明の第1又は第2に記載の共重合体ラテックスを用いる紙塗工用組成物である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明で用いる(a)共役ジエン系単量体としては、例えばブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。これらの共役ジエン系単量体は、1種あるいは2種以上を組み合わせてもよく、また、その使用量は20〜70重量%、好ましくは凝集力の点から25〜60重量%の範囲で選ばれる。この使用量が20重量%未満では得られる重合体が脆すぎるし、70重量%を越えると柔らかすぎ、いずれの場合も強度が不足する。
【0012】
本発明で用いる(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などが挙げられる。これらのカルボン酸は1種あるいは2種以上を組み合わせても良く、その使用量は、0.5〜10重量%、好ましくは1〜7重量%の範囲で選ばれる。この量が0.5重量%未満では、ラテックスの分散安定性が十分ではなく、塗工液調整や塗工時において種々の問題が生じ、かつ強度も不足する。10重量%を越えるとラテックスや塗工液の粘度が高くなりすぎ好ましくない。
【0013】
本発明で用いる(c)その他の共重合可能なビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、P−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミドなどのN−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドなどのN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、グリシジルメタクリルアミドなどのアミド基含有エチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジルなどのアクリル酸あるいはメタクリル酸のアルキルエステル類、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、アミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレートなどのエチレン性アミン類、スチレンスルホン酸ナトリウムなどを挙げる事ができる。
【0014】
これらの共重合可能な単量体は1種用いても良いし、2種以上組み合わせても良い。また、その使用量は20〜79.5重量%、好ましくは25〜70重量%の範囲で選ばれる。この使用量が20重量%未満、または79.5重量%を超えると塗工紙の表面強度が劣り好ましくない。
本発明の特徴は、α−メチルスチレンダイマーの添加方法にある。すなわち、重合開始後、重合器へのα−メチルスチレンダイマーの添加速度が実質的に非連続的に増大する工程を含み、その工程の前後におけるα−メチルスチレンダイマーの添加速度の差が、単位時間当たり0.3部以上であることが重要であり、これにより接着強度の優れる共重合体ラテックスを得ることができる。全重合工程においてα−メチルスチレンダイマーの添加速度が一定であったり、または添加速度が連続的に増大する工程のみを含んでいたり、あるいは非連続的に増大してもその添加速度の差が単位時間当たり0.3部未満では、本発明の効果が得られず、優れた接着強度が発現しない。なお、非連続的に増大する工程の前後におけるα−メチルスチレンダイマーの添加速度自体は、一定であっても良いし、連続的に変化しても良い。非連続的に増大する直前の添加速度がゼロであっても構わない。
【0015】
本発明にいう非連続的に増大する工程の判定は次のように行う。重合工程における任意の時刻tの前後でα−メチルスチレンダイマーの添加速度が異なる場合であって、それぞれの添加速度自体が一定の場合には、該時刻tの後の添加速度から該時刻tの前の添加速度を減じ、その値が0.3部/時以上であれば良い。好ましくは0.4部/時以上、さらに好ましくは0.5部/時以上である。
【0016】
実際の製造工程においては、添加速度を時刻tに瞬間的に変化させる場合に加え、ある程度の時間幅を持って変化させる場合もある。このようなある時刻tの前後で添加速度がある時間の幅を持って急激に変化するような場合には、その時刻tの直前および直後の15分間で添加されるα−メチルスチレンダイマーの全単量体混合物100重量部あたりの添加部数から単位時間当たりの添加速度(部/時)を各々求め、直後の添加速度から直前の添加速度を減じ、その値が0.3部/時以上であれば、実質的に非連続的に添加されているとする。
【0017】
本発明のもう一つの特徴は、α−メチルスチレンダイマーの添加速度が非連続的に増大した後の工程での、α−メチルスチレンダイマーの使用方法にある。すなわち、全単量体混合物100重量部に対して0.2〜3重量部のα−メチルスチレンダイマーを、単位時間当り0.3重量部以上の添加速度で1時間以内に添加する工程を含んでいることが必要で、これにより、より接着強度の優れる共重合体ラテックスを得ることができる。α−メチルスチレンダイマーの添加速度が単位時間当り0.3重量部未満では、本発明の効果が得られず、強度が不十分となる。α−メチルスチレンダイマーの添加速度は、単位時間当り0.3重量部以上が必要であり、好ましくは0.5重量部以上、さらに好ましくは0.8重量部以上である。添加速度の上限は特に必要なく、α−メチルスチレンダイマーを瞬時に添加する、いわゆるショット添加法であっても何ら差し支え無い。
【0018】
この時に添加するα−メチルスチレンダイマーの量は0.2〜3重量部が好ましく、さらに好ましくは0.5〜2重量部である。0.2重量部未満では本発明の効果が得られず、また3重量部を越えると粒径コントロール性や重合安定性に問題が生じ好ましくない。また、単位時間当たり0.3部以上の添加速度でα−メチルスチレンダイマーを添加する工程は1時間以内で終了することが好ましい。該工程が1時間を超えると本発明の効果が不十分であり、優れた強度が発現しない。なお、該工程が終了した後は、α−メチルスチレンダイマーの添加速度が単位時間当たり0.3部未満であればよいが、0.2部未満であることが好ましい。
【0019】
なお、本発明の効果を十分に発揮するためには、α−メチルスチレンダイマーの添加速度が非連続的に増大する工程、およびその後のα−メチルスチレンダイマーを一定の添加速度以上で添加する工程が、全単量体混合物重量に対する重合転化率15〜90%の範囲にある事が好ましい。
以上が本発明の特徴であるが、α−メチルスチレンダイマーの使用方法は上述した条件を満たす工程を含んでいれば、他の方法との併用は何等差し支えない。例えば、単位時間当たりの添加速度が0.3重量部未満の速度で添加する方法と併用しても良いし、重合開始時に予めα−メチルスチレンダイマーを添加しておく方法と併用しても構わない。また、該条件を満たすα−メチルスチレンダイマーの添加工程を、重合中に2回以上含んでいても差し支えない。
【0020】
なお、α−メチルスチレンダイマーの全使用量は、全単量体混合物100重量部に対し、0.2〜10重量部の範囲にあることが好ましい。
本発明における共重合体ラテックスは、以上に述べた製造上の特徴を有するものだが、乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤等は公知のものが使用される。
乳化剤としては、例えば、脂肪族セッケン、ロジン酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、ジアルキルアリールスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーなどのノニオン性界面活性剤が挙げられる。この界面活性剤は通常、アニオン性界面活性剤単独、またはアニオン性/ノニオン性の混合系で用いられ、その使用量は全単量体の重量に基づき、通常0.1〜2重量部の範囲で選ばれる。
【0021】
重合開始剤は、熱または還元性物質によりラジカル分解して、単量体の付加重合を起こさせる作用を有するものであり、このようなものとしては、例えば水溶性または油溶性のペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物など、具体的にはペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、クメンヒドロペルオキシドなどが挙げられるが、これらの中で特にペルオキソ二硫酸塩が好適である。この重合開始剤の使用量は、全単量体の重量に基づき、通常0.2〜2重量部の範囲で選ばれる。
【0022】
この乳化重合における重合温度は、通常50〜100℃の範囲で選ばれるが、重合の促進あるいはより低温での重合を望む場合には、酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始剤に組み合わせて用いることで、いわゆるレドックス重合法を採用することができる。
【0023】
連鎖移動剤は、例えばn−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドなどのジスルフィド類、四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化誘導体、2−エチルヘキシルチオグリコレートなどを挙げることができる。
【0024】
本発明においては、所望に応じ各種重合調製剤、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどのpH調製剤やエチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどの各種キレート剤などを添加する事ができる。また、必要に応じ本発明の共重合体ラテックスにアルカリ感応ラテックスを添加してもさしつかえない。
【0025】
乳化重合法は、例えば単量体混合物の一括仕込み法、または単量体混合物の一部を重合し、次いで残りの単量体混合物を断続的もしくは連続的に添加する方法を用いることができる。あるいは単量体混合物を重合の開始から連続的に添加する方法をとることもできる。
また、本発明は、公知の乳化重合法であればどの様な方法と組み合わせて用いても構わない。例えば、単量体混合物の組成を変えて2段階(あるいは多段階)に分けて重合する2段重合法(あるいは多段重合法)と組み合わせても良いし、または主な単量体混合物の添加が終了した後に、メタクリル酸メチル、メタクリロニトリル等の特定の単量体(混合物)を添加する重合法と組み合わせて用いても構わない。
【0026】
本発明の共重合体ラテックスを用いて塗工液を調製する際、顔料として、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、サチンホワイト等の紙塗工用に一般に使用されている鉱物性顔料を使用する事ができる。なお、一般には、共重合体ラテックスはラテックス固形分として顔料100重量部に対して5〜30重量部、好ましくは7〜15部程度の範囲で配合される。また、顔料分散剤、蛍光染料、着色顔料等を任意に配合することができるし、必要に応じ、カゼイン、デンプン等の水溶性天然高分子物質、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、またはアルカリ可溶性ラテックスを添加することも可能である。
【0027】
本発明の共重合体ラテックスを用いた塗工液は、例えば、フラッデッドニップ、ファウンテン、ショートドゥエル、バリドゥエル等の各種ブレードコーター、ゲートロール等のロールコーターなどを用いる通常の方法によって、原紙に塗工することができる。
このようにして得られた塗工紙は、各種のカレンダーに通紙して表面仕上げをすることができるが、例えばスーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトニップカレンダー等の各種カレンダーを用いる事ができる。これらのカレンダーは、オンマシンやオフマシンの形態で使用することができる。
【0028】
本発明の共重合体を用い、製造された塗工紙は、オフセット印刷、グラビア印刷等に供することができる。
さらに、本発明の共重合体ラテックスは、カーペットバッキング剤、塗料、工業用および家庭用接着剤等の各種接着剤用途に使用する事ができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
なお、各特性は次のようにして求めた。
(1)粒子径
粒度分析計(日機装(株)社製、商品名:マイクロトラック粒度分析計9230UPA)を用い、数平均粒子径を求めた。
(2)ゲル含有量
ラテックスのpHを8に調整した後、130℃で30分乾燥してラテックス皮膜を得、約0.5gを精秤し30ccのトルエン中で3時間振とう後、325メッシュの金網で濾過し、得られる残存固形分の全固形分に対する重量%を求めた。
(3)ドライピック強度
RI印刷試験機(明製作所製)を用いて、印刷インク(T&K TOKA社製、商品名:SDスーパーデラックス50紅B、タック18のもの)0.4ccを重ね刷りし、ゴムロールに現れたピッキング状態を別の台紙に裏取りし、その状態を観察した。評価は10点評価法とし、ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。
(4)ウェットピック強度
RI印刷試験機(明製作所製)を用い、吸水ロールで塗工紙表面を湿潤させた直後に、印刷インク(T&K TOKA社製、商品名:SDスーパーデラックス50紅B、タック15のもの)0.4ccを1回刷りし、ゴムロールに現れたピッキング状態を別の台紙に裏取りし、その状態を観察した。評価は10点評価法とし、ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。
(5)耐ブリスター性
原紙の両面に塗工して製造した塗工紙サンプルを恒温恒湿槽(条件:25℃、RH50%)で調湿した後、加熱したオイルバスに投入してブリスターが発生する温度を求めた。
【0030】
【実施例1】
撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に、初期仕込み成分として、水70重量部、粒子径0.0215μmのシードラテックス0.80重量部、α−メチルスチレンダイマー0.15重量部、フマール酸2.5重量部、およびドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.3重量部を仕込み75℃に昇温した。次いで表1に示す組成の単量体混合物を5.5時間で、また、水20重量部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム1重量部、水酸化ナトリウム0.2重量部、およびドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.2重量部からなる開始剤系水溶液を6.5時間で、それぞれ一定の流速で添加した。また、単量体混合物の添加とは別に、独立添加系としてα−メチルスチレンダイマー0.4重量部を、単量体混合物の添加を開始してから5時間後に、0.5時間かけて添加した。該αメチルスチレンダイマーを添加し始める時の全単量体混合物の転化率は77%であり、添加終了時における全単量体混合物の転化率は84%であった。単量体混合物および開始剤系水溶液の添加が終了した後、さらに80℃で3時間反応を継続させて重合転化率95%以上の共重合体ラテックスを得た。該共重合体ラテックスは、水酸化ナトリウムでpHを7に調整してからスチームストリッピング法により未反応の単量体を除去し、最終的に、pH8、固形分濃度が50重量%になるように調整した。得られたラテックスは、既述の方法に従って、粒子径とトルエンゲルを測定した。
【0031】
なお、α−メチルスチレンダイマーの添加速度は、次のようにして求めた。単量体混合物添加系、独立添加系それぞれについて、添加したα−メチルスチレンダイマーの重量部数を添加に要した時間数で除し、得られた値を単位時間当たりの添加速度とした。単量体混合物の添加と独立系α−メチルスチレンダイマーの添加が同時に実施されている場合は、それぞれの添加速度の和を、本発明に関わるα−メチルスチレンダイマーの添加速度とした。得られた値は表1に示した。
【0032】
【実施例2〜3】
単量体混合物の組成、および独立系α−メチルスチレンダイマーの添加条件を表1に記載する様に変化させた以外は、実施例1と同様にして実施例2〜3の共重合体ラテックスを得た。
【0033】
【実施例4】
単量体混合物の組成、および独立系α−メチルスチレンダイマーの添加条件を表1に記載する様に変化させた以外は、実施例1と同様にして実施例4の共重合体ラテックスを得た。本発明に関わるα−メチルスチレンダイマーの添加工程は、以下のようにして2回実施した。重合開始(単量体混合物、開始剤水溶液を同時に添加開始)してから2時間後にα−メチルスチレンダイマー0.7重量部を0.5時間で、また重合開始してから4.5時間後に、α−メチルスチレンダイマー0.5重量部を0.25時間かけて添加した。最初のα−メチルスチレンダイマーを添加し始める時の全単量体混合物の転化率は25%であり、添加終了時における全単量体混合物の転化率は30%であった。2回目のα−メチルスチレンダイマーを添加し始める時の全単量体混合物の転化率は60%であり、添加終了時における全単量体混合物の転化率は63%であった。単量体混合物および開始剤水溶液の添加が終了した後、さらに80℃で3時間反応を継続させて重合転化率95%以上の共重合体ラテックスを得た。該共重合体ラテックスは、水酸化ナトリウムでpHを7に調整してからスチームストリッピング法により未反応の単量体を除去し、最終的に、pH8、固形分濃度が50重量%になるように調整した。得られたラテックスは、既述の方法に従って粒子径とトルエンゲルを測定した。
【0034】
【比較例1〜5】
単量体混合物の組成、独立系α−メチルスチレンダイマーの添加条件を、表2に記載する様に変化させた以外は、実施例1と同じようにして比較例の共重合体ラテックスを得た。α−メチルスチレンダイマーの添加速度、および添加時の単量体混合物の重合転化率は表2に示した。
【0035】
比較例1は、本発明に関わるα−メチルスチレンダイマーの添加工程を含まない。
比較例2、3は、α−メチルスチレンダイマーの添加量が本発明の範囲を外れている。
比較例4では、α−メチルスチレンダイマーの添加速度、および添加時間が本発明の範囲を外れている。
【0036】
比較例5では、α−メチルスチレンダイマーの添加速度そのものは大きいが、非連続的に増大する工程を含まない。
【0037】
【比較例6】
実施例1と同様の方法で、表2に記載の単量体組成で重合を実施したが、α−メチルスチレンダイマーの添加速度を次のように連続的に変化させた。単量体混合物は一定の速度で5.5時間かけて添加し、α−メチルスチレンダイマーの添加は、α−メチルスチレンダイマーと単量体混合物の重量比が、添加開始時に0.005、添加終了時に0.046となるよう、添加速度を連続的に増大させた。α−メチルスチレンダイマーの添加に要した時間は単量体混合物と同じ5.5時間であり、添加量は2.5部である。比較例6では、α−メチルスチレンダイマーの添加速度が非連続的に増大する工程を含まない。
【0038】
比較例1〜6で得られたラテックスは、実施例と同様に粒子径とトルエンゲルを測定し、その結果を表2に記載した。
【0039】
【実施例5】
実施例1〜4で得られた共重合体ラテックスを用い、次に示す配合処方で紙塗工液組成物を調製した。
<配合処方>(単位は重量部)
クレー:70炭酸カルシウム:30分散剤:0.2水酸化ナトリウム:0.1酸化デンプン:4共重合体ラテックス:10水:全固形分が64%になるように添加。
【0040】
次いで、調製した塗工液を用い、塗工量が片面12g/m2 となるよう坪量75g/m2 の塗工原紙に塗工した。塗工はベンチブレードコーター(エスエムティー社製)を用い、塗工速度20m/分、乾燥温度150℃で行った。塗工後、ロール温度50℃、線圧150kg/cmでスーパーカレンダー処理を行い塗工紙を得た。
【0041】
得られた塗工紙の性能は、先に述べた方法で評価した。評価結果を表3に示す。
本発明の共重合体ラテックスを用いた紙塗工用組成物は接着強度が優れている。また、耐ブリスター性も良好である。
【0042】
【比較例7】
比較例1〜6で得られた共重合体ラテックスを用い、実施例5と同様に紙塗工組成物を調製して評価した。結果を表3に示す。いずれも接着強度が不十分である。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、接着強度に優れたラテックスが得られ、このラテックスを顔料などと共に紙塗工用途に用いた時には、表面強度が優れ、かつ耐ブリスター性のバランスに優れた塗工紙を得ることできる。
Claims (3)
- (a)共役ジエン系単量体20〜70重量%、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜10重量%、(c)その他の共重合可能なビニル系単量体20〜79.5重量%からなる単量体混合物100重量部をα−メチルスチレンダイマーの存在下に乳化重合してジエン系共重合体ラテックスを製造するにあたり、次に示す二つの条件(1)、(2)を満たす製造方法により製造される共重合体ラテックス。
(1)α−メチルスチレンダイマーの添加速度が非連続的に増大する重合工程を含み、該工程の前後におけるα−メチルスチレンダイマーの添加速度の差が、単位時間当たり0.3部以上。
(2)α−メチルスチレンダイマーの添加速度が非連続的に増大した後の重合工程において、全単量体混合物100重量部に対して0.2〜3重量部のα−メチルスチレンダイマーを、単位時間当り0.3重量部以上の添加速度で1時間以内に添加する工程を含んでいること。 - 次に示す二つの条件(1)、(2)を満たす製造方法により製造される請求項1に記載の共重合体ラテックス共重合体ラテックス。
(1)α−メチルスチレンダイマーの添加速度が非連続的に増大する重合工程を含み、該工程の前後におけるα−メチルスチレンダイマーの添加速度の差が、単位時間当たり0.5部以上。
(2)α−メチルスチレンダイマーの添加速度が非連続的に増大した後の重合工程において、全単量体混合物100重量部に対して0.2〜3重量部のα−メチルスチレンダイマーを、単位時間当り0.5重量部以上の添加速度で1時間以内に添加する工程を含んでいること。 - 顔料および共重合体ラテックスを含有する紙塗工用組成物において、該共重合体ラテックスとして請求項1又は2に記載の共重合体ラテックスを用いる紙塗工用組成物。
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