JP3144839B2 - 紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法 - Google Patents

紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法

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JP3144839B2 JP18789391A JP18789391A JP3144839B2 JP 3144839 B2 JP3144839 B2 JP 3144839B2 JP 18789391 A JP18789391 A JP 18789391A JP 18789391 A JP18789391 A JP 18789391A JP 3144839 B2 JP3144839 B2 JP 3144839B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、共重合体ラテックスの
製造方法および、該共重合体ラテックスを用いる紙塗工
用組成物に関するものである。さらに詳しくいえば、オ
フセット印刷、グラビア印刷に供される印刷用塗工紙あ
るいは塗工板紙その他の塗工用のバインダーとして好適
な高性能の共重合体ラテックスを製造する方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】塗工紙は、紙の印刷適性の向上および光
沢などの光学的特性の向上を目的として、抄造された原
紙表面に、カオリンクレー、炭酸カルシウム、サチンホ
ワイト、タルク、酸化チタンなどの顔料、それらのバイ
ンダーとしての共重合体ラテックスおよび保水剤あるい
は補助バインダーとしてのスターチ、カゼイン、ポリビ
ニルアルコール、カルボキシルメチルセルロースなどの
水溶性高分子を主構成成分とする塗工液が塗布されたも
のである。
【0003】上記の共重合体ラテックスとしては、スチ
レンとブタジエンを主要単量体成分とし、これらを乳化
重合して得られたスチレン−ブタジエン系共重合体ラテ
ックス、いわゆるSBラテックスが汎用的に用いられて
いる。近年、塗工紙の生産量の伸長に伴い、生産能力を
向上するために、高速塗工化が進んでいる。高速塗工に
伴う乾燥能力の低下への対応および生産効率を高める目
的で塗工液の高固形分化が進められている。塗工液を高
固形分化する方法には、重質炭酸カルシウムの配合比率
を高める等の顔料面からの流動性の改良とスターチ等の
増粘性の大きい水溶性バインダーを減らしラテックスを
増量することによるバインダー面から流動性の改良が採
られている。
【0004】しかし、炭酸カルシウム比率を高める顔料
面からの流動性の改良では、白紙光沢が低下し好ましく
ない。また、ラテックス量を増量するバインダー面から
の流動性の改良では、塗工紙表面のベタツキ性を増大さ
せるため、バッキングロール汚れやスーパーカレンダー
汚れなどの問題を発生させ好ましくない。また、一方で
印刷速度の高速化が進められており、その塗工紙におい
ては印刷時に優れたピック強度、湿潤ピック強度を発現
することが必要となっている。
【0005】塗工液の流動性を改良する技術手段として
共重合体ラテックスの粒子径をコントロールする方法が
ある。しかし、共重合体ラテックスの粒子径を小さくす
ることにより高速剪断速度下の流動性(ハイシェアー粘
度)は改良されるが、低速剪断速度下での流動性(塗工
液粘度)が高くなり、塗工液の移送などに問題を生じ好
ましくない。
【0006】共重合体ラテックスの粒子径を効率的にコ
ントロールする方法として、シード重合法が公知であ
り、例えば特公昭49−38924号公報は、0.03
〜0.15μmのシードラテックスを用いるSBラテッ
クスの重合法を開示している。しかし、上記発明のシー
ドラテックスを用いた共重合体ラテックスでは、良好な
塗工液の流動性は得られない。
【0007】また、特開平1−110518号公報は、
溶液重合により得られた均一な共重合体を水系に転相す
ることにより得られた、粒子径が0.001〜0.03
μmの高分子エマルジョンの存在下で不飽和結合を有す
る単量体を乳化重合する方法を開示している。しかし、
上記発明の高分子エマルジョン存在下でのSBラテック
スの乳化重合においては、重合安定性が著しく劣り、粒
子径のコントロールができないこと、および重合残査を
多量に発生する問題があり好ましくない。
【0008】さらに、特開平2−235906号公報
は、エチレン性架橋モノマーを用いた架橋性ポリマー粒
子をシードラテックスとして用い共重合体ラテックスを
製造する方法を開示している。しかし、上記発明のシー
ドラテックスを用いた共重合体ラテックスでは、塗工液
の良好な流動性が得られない。また、塗工紙の湿潤ピッ
ク強度を高める技術手段として共重合体ラテックスの粒
子径を小さくする方法があるが、ピック強度(水が介在
しない条件でのピック強度)は、粒子径依存性が小さ
く、粒子径が0.15μm以下になると、むしろ低下傾
向にある。〔紙塗工に関する諸問題点と周辺技術、昭和
62年5月、産業技術研究会〕したがって、塗工液の流
動性および塗工紙のピック強度の双方に優れる共重合体
ラテックスは、未だ提供されていないのが実情である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、塗工
液の流動性および機械的安定性を高めることにより、塗
工液の高固形分化を可能にし、しかも印刷時の操業性に
かかわるピック強度、湿潤ピック強度に優れる共重合体
ラテックスを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の高
性能共重合体ラテックスを開発すべく鋭意研究を重ねた
結果、単量体として、(a)共役ジエン単量体、(b)
芳香族ビニル系単量体、(c)エチレン系不飽和カルボ
ン酸および(d)その他の共重合可能なビニル系単量体
からなる単量体100重量部を、平均粒子径が0.01
〜0.03μmで、エチレン系不飽和カルボン酸を1〜
20重量%含む単量体からなるシードラテックスおよび
α−メチルスチレンダイマーの存在下で乳化重合するこ
とにより、この目的を達成することができることを見出
し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、水性媒体中において、共役ジエ
ン系単量体、芳香族ビニル系単量体、エチレン系不飽和
カルボン酸、その他の共重合可能なビニル系単量体を乳
化重合させて得られる共重合体ラテックスを製造するに
あたり、本発明は、(a)共役ジエン系単量体20〜7
0重量部、(b)芳香族ビニル系単量体10〜78重量
部、(c)エチレン系不飽和カルボン酸0.5〜10重
量部および(d)その他の共重合可能なビニル系単量体
を含む単量体100重量部を、平均粒子径が0.01〜
0.03μmで、エチレン系不飽和カルボン酸を1〜2
0重量%含む単量体からなるシードラテックスおよびα
−メチルスチレンダイマーの存在下で乳化重合すること
を特徴とするジエン系共重合体ラテックスの製造方法、
である。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いられる(a)共役ジエン系単量体としては、例えば
ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジ
エンなどが挙げられる。これらの共役ジエン系単量体
は、1種あるいは2種以上を組み合わせてもよく、ま
た、その使用量は全単量体の重量に基づき、20〜70
重量部、好ましくは凝集力の点から25〜60重量部の
範囲で選ばれる。
【0013】この使用量が20重量部未満では得られる
重合体が脆すぎるし、70重量部を越えると柔らかす
ぎ、いずれの場合も高い凝集力が得られず、本発明の目
的が十分に達せられない。本発明において用いられる
(b)芳香族ビニル系単量体としては、例えばスチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチル
スチレンなどが挙げられる。芳香族ビニル系単量体の使
用量は全単量体の重量に基づき、10〜78重量部、好
ましくは15〜70重量部の範囲で選ばれる。この使用
量が78重量部を越えると塗工紙のピック強度が劣り好
ましくない。
【0014】本発明で用いられる(c)エチレン系不飽
和カルボン酸単量体としては、例えばアクリル酸、メタ
クリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロ
トン酸などが挙げられる。これらのカルボン酸は1種あ
るいは2種以上を組み合わせてもよく、その使用量は、
全重合体の重量に基づき0.5〜10重量部、好ましく
は1〜7重量部の範囲で選ばれる。
【0015】この量が0.5重量部未満では、ラテック
スの分散安定性が十分ではなく、塗工液調整や塗工時に
おいて種々の問題が生じ、かつピック強度も低いし、1
0重量部を越えるとラテックスや塗工液の粘度が高くな
り過ぎるとともに、耐水性が低下する傾向がみられ好ま
しくない。本発明で用いられる(d)共重合可能な他の
ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン
化ビニル系単量体、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチルアクリ
ルアミド、N−メチルメタアクリルアミドなどのN−モ
ノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル
アクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドな
どの、N,N−ジアルキル (メタ) アクリルアミド、グ
リシジルメタクリルアミドなどのアミド基含有エチレン
系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタ
クリル酸グリシジルなどのアクリル酸あるいはメタクリ
ル酸のアルキルエステル類、酢酸ビニルなどのカルボン
酸ビニルエステル類、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニ
ル類、アミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチ
ルアクリレートなどのエチレン性アミン類、スチレンス
ルホン酸ナトリウムなどを挙げることができる。
【0016】これらの共重合可能な単量体は1種用いて
もよいし、2種以上を組み合わせてもよい。本発明で
は、前記した(a)(b)(c)(d)の四つの単量体
の重合によるジエン系共重合ラテックスの製造方法にお
いて、ラテックスの粒子径コントロール、および得られ
たラテックスの粘度低減、さらには紙塗工液の流動性を
高める目的で、重合安定性が高く、微粒径のシードラテ
ックスを用いることを特徴とする。
【0017】本発明の製造方法で得られる共重合体ラテ
ックスの粒子径は0.05〜0.2μmの範囲にあるこ
とが望ましく、さらには0.07〜0.17μmの範囲
にあることが好ましい。0.05μm未満および0.2
μmを越える粒子径の共重合体ラテックスの粒子径で
は、本発明の効果が発揮しずらい。本発明で用いられる
シードラテックスの平均粒子径は、0.01〜0.03
μmの範囲であることが好ましい。0.01μm未満で
は、共重合体ラテックスの粒子径コントロール性に劣り
好ましくない。また、0.03μmを越えると、ラテッ
クス粘度および塗工液粘度が上昇し、本発明の効果が損
なわれ好ましくない。
【0018】本発明で用いられるシードラテックスの製
造においては、製造方法は限定されないがエチレン系不
飽和カルボン酸を1〜20重量%含む単量体を用いるこ
とが好ましい。1重量%未満では、前記した(a)
(b)(c)(d)の四つの単量体の乳化重合において
粒子径コントロールが劣り好ましくなく、15重量%を
越える場合には、ラテックス粘度が上昇し好ましくな
い。
【0019】本発明で用いられるシードラテックスの単
量体組成は、エチレン系不飽和カルボン酸を1〜20重
量%用いることを除いて、特に限定されるものではな
く、例えば、スチレンに代表される芳香族ビニル単量
体、ブタジエンに代表される共役ジエン系単量体、アク
リル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタア
クリル酸メチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルに代
表されるアクリル酸あるいはメタアクリル酸のアルキル
エステル類、アクリロニトリルに代表されるシアン化ビ
ニル系単量体、アクリルアミドに代表されるアミド基含
有エチレン系単量体、アクリル酸、イタコン酸、フマー
ル酸、メタアクリル酸に代表されるエチレン系不飽和カ
ルボン酸などが使用できる。
【0020】しかし、本発明で用いられるシードラテッ
クスの製造においてエチレン性架橋単量体を用いること
は、本発明の効果を効率的に発揮するうえで好ましくな
い。本発明で用いられるシードラテックスは、一般的な
乳化重合法によって製造することができる。すなわち、
水性媒体(通常、水)に単量体混合物、乳化剤、連鎖移
動剤ならびにラジカル重合開始剤などを加えて乳化重合
を行うことによって得られる。
【0021】シードラテックスの粒子径を小さくする方
法としては、乳化剤量を高めること、ラジカル開始剤量
を高めること、重合温度を高めることなどが効果的であ
る。本発明で用いられるシードラテックスの量は、最終
的に得ようとする共重合体ラテックスの粒子径の設定に
応じて決められるが、好ましくは、単量体100重量部
あたり、0.05〜10重量部が好ましい。0.05重
量部未満では粒子径コントロール性に劣り、また10重
量部を越えるとラテックス粘度が上昇し、いずれも好ま
しくない。
【0022】本発明の共重合体ラテックスは、前記した
(a)(b)(c)(d)の四つの単量体を微粒径シー
ドラテックス存在化で重合することにより得られるが、
本発明の特徴は、特定の連鎖移動剤の存在下で乳化重合
を行うことにある。すなわち、α−メチルスチレンダイ
マーの存在下、好ましくは単量体100重量部あたり
0.2〜2重量部と他の連鎖移動剤0〜2重量部の存在
下で乳化重合することである。この使用範囲を外れる
と、ピック強度、湿潤ピック強度が低下し、本発明の効
果が良好に発揮されない。
【0023】α−メチルスチレンダイマーには、異性体
として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテ
ン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテンお
よび1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダンが
あるが、本発明で使用されるα−メチルスチレンダイマ
ーとしては、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペ
ンテンの比率が60重量%以上であることが好ましく、
特に好ましくは、2,4−ジフェニル−4−メチル−1
−ペンテンの比率が80重量%以上である。
【0024】α−メチルスチレンダイマーと併用する連
鎖移動剤としては、一般の乳化重合に使用されている公
知の連鎖移動剤を使用することができる。例えば、n−
ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−
ラウリルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t
−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、テトラ
メチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジ
スルフィドなどのジスルフィド類、四塩化炭素、四臭化
炭素などのハロゲン化誘導体、2−エチルヘキシルチオ
グリコレートなどを挙げることができる。
【0025】本発明の共重合体ラテックスは、水性媒体
中において、前記(a)共役ジエン系単量体と(b)芳
香族ビニル単量体と(c)エチレン性不飽和カルボン酸
単量体および(d)共重合可能な他の単量体を前記した
0.01〜0.03μmの平均微粒径のシードラテック
スと特定な連鎖移動剤の存在下で乳化重合させる点を除
けば、従来の乳化重合法によって製造することができ
る。
【0026】すなわち、水性媒体(通常、水)に単量体
混合物、乳化剤ならびにラジカル重合開始剤などを加え
て乳化重合を行うことによって得られる。単量体および
連鎖移動剤の重合系への添加方法は特に限定されるもの
でなく、一括添加、均一添加、不均一添加のいずれであ
ってもかまわない。上記した従来の乳化重合法で用いら
れる乳化剤としては、例えば脂肪族セッケン、ロジン酸
セッケン、アルキルスルホン酸塩、ジアルキルアリール
スルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエ
チレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルア
リール硫酸塩などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂
肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロッ
クコポリマーなどのノニオン性界面活性剤が挙げられ
る。この界面活性剤は通常、アニオン性界面活性剤単独
またはアニオン性/ノニオン性の混合系で用いられ、そ
の使用量は全単量体の重量に基づき、通常0.05〜2
重量%の範囲で選ばれる。
【0027】前記した乳化重合法に用いられるラジカル
重合開始剤は、熱または還元性物質によりラジカル分解
して、単量体の付加重合を起こさせる作用を有するもの
であり、このようなものとしては、例えば水溶性または
油溶性のペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合
物など、具体的にはペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオ
キソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウ
ム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸
化ベンゾイル、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、
クメンハイドロパーオキサイドなどが挙げられるが、こ
れらの中で特にペルオキソ二硫酸塩が好適である。この
重合開始剤の使用量は、その使用量は全単量体の重量に
基づき、通常0.2〜1.5重量%の範囲で選ばれる。
【0028】本発明の乳化重合における重合温度は、5
0〜100℃の範囲で選ばれることが好ましいが、重合
の促進あるいはより低温での重合を望む場合には、酸性
亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソル
ビン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始
剤に組み合わせて用いることで、いわゆるレドックス重
合法を採用することができる。
【0029】本発明においては、所望に応じ各種重合調
整剤、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸
水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリ
ウムなどのpH調整剤やエチレンジアミン四ナトリウム
などの各種キレート剤などを添加することができる。ま
た、必要に応じ本発明の共重合体ラテックスにアルカリ
感応ラテックスを添加してもさしつかえない。
【0030】本発明の製造方法によって得られる共重合
体ラテックスをオフセット印刷、グラビア印刷に供され
る印刷用塗工紙あるいは塗工板紙その他の塗工用塗料の
バインダーとして用いる場合には、通常行われている方
法、例えば分散剤を溶解させた水中に、カオリン、炭酸
カルシウム、サチンホワイト、タルク、酸化チタンなど
の無機顔料類・有機顔料、水溶性高分子、各種添加剤と
ともに本発明によって得られた共重合体ラテックスを添
加して混合し、均一な分散液として用いる方法を採用す
ることができる。
【0031】そして、この紙塗工用塗料は、各種ブレー
ドコーター、ロールコーターなどを用いる通常の方法に
よって、原紙に塗工することができる。
【0032】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定
されるものではない。なお、各特性は次のようにして求
めた。 (1)シード効率 重合安定性の目安としてのシード効率(f)を次式で求
めた。ここで、dはシードラテックスの平均粒子径、D
は共重合体ラテックスの粒子径、Wはシードラテックス
の使用重量部である。
【0033】f=104 (d/D)3 ÷W (2)ピック強度 RI印刷試験機(明製作所製)を用いて、印刷インク
(東華色素社製 商品名SDスーパーデラックス50紅
B;タック18)0.4ccを重ね刷りし、ゴムロール
に現れたピッキング状態を別の台紙に裏取りし、その状
態を観察した。評価は10点評価法で行い、ピッキング
現象の少ないものほど高得点とした。 (3)湿潤ピック強度 RI印刷試験機(明製作所製)を用いてモルトンロール
で塗工紙表面に給水を行い、その直後に印刷インク(東
華色素社製 商品名 SDスーパーテラックス50紅
B;タック15)0.4cc1回刷りを行い、ゴムロー
ルに現れたピッキング状態を別の台紙に裏取りし、その
状態を観察した。評価は10点評価法で行い、ピッキン
グ現象の少ないものほど高得点とした。 (4)機械的安定性 紙塗工液をマロン式安定性試験を用いて、機械的安定性
を測定した。
【0034】 評価基準 ○:残査発生率0.05%以下 △:残査発生率0.05〜0.2% ×:残査発生率0.2%以上 (5)塗工液粘度 ブルックフィールド粘度計で測定した。 (6)ハイシェアー流動性 熊谷理機製ハーキュレスハイシェアー粘度計で測定。E
ボブ、4400回転の条件で測定した。 (7)粒子径 粒子径は、透過型電子顕微鏡写真により100個のポリ
マー粒子について計算した値の平均値である。
【0035】
【実施例1】まず、シードラテックスの合成について述
べる。攪拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐
圧反応容器に、水288.2重量部、ラウリル硫酸ナト
リウム20重量部、亜硫酸水素ナトリウム0.44重量
部、イタコン酸4重量部、アクリル酸0.4重量部、ス
チレン6重量部、メチルメタアクリレート3.2重量部
を仕込み、内温を80℃に昇温した後、水3.6部およ
びペルオキソ二硫酸ナトリウム0.5重量部からなる開
始剤溶液を反応容器内にショット添加した。15分間反
応させた後、スチレン54重量部、メチルメタアクリレ
ート28.8重量部、アクリル酸3.6重量部からなる
混合モノマーおよび水20重量部、苛性ソーダ0.35
重量部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム0.5重量部から
なる開始剤溶液を、それぞれ2時間かけて一定の流速で
添加した。その後、1.5時間さらに重合し、反応を停
止した。得られたシードラテックスの粒子径は0.02
15μmであった。得られたシードラテックスをSX−
1とする。
【0036】次いで共重合体ラテックスの重合は、得ら
れた粒子径0.0215μmのシードラテックス(水性
分散体)(SX−1)0.45重量部、水70重量部、
ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.1重量部、フマ
ール酸1重量部、イタコン酸1.5重量部を、攪拌装置
と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に仕
込み、内温を80℃に昇温した。次いで表1に示す単量
体の内フマール酸、イタコン酸を除く単量体と水20重
量部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム1重量部、ラウリル
硫酸ナトリウム0.1重量部、水酸化ナトリウム0.2
重量部からなる開始剤系水溶液とを、それぞれ5時間お
よび6時間かけて一定の流速で添加した。
【0037】そして80℃の温度をそのまま2時間保っ
たのち冷却し、次いで生成した共重合体ラテックスを水
酸化ナトリウムでpHを7に調整してからスチームスト
リッピング法により未反応の単量体を除去し、200メ
ッシュの金網で濾過した。得られた共重合体ラテックス
は、最終的に固形分温度が50重量%になるように調整
した。このようにして得られたラテックスをX−1とす
る。X−1の粒子径は0.13μmであり、シード効率
は100%であった。
【0038】
【実施例2〜4】実施例1で得られたシードラテックス
SX−1の使用量および単量体組成を変えたほかは、実
施例1に準拠して、共重合体ラテックス(X−2〜4)
を得た。
【0039】
【比較例1】まず、シードラテックスの合成は攪拌装置
と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に、
水288.2重量部、ラウリル硫酸ナトリウム20重量
部、亜硫酸水素ナトリウム0.44部、スチレン6重量
部、メチルメタアクリレート4重量部を仕込み、内温を
80℃に昇温した。次いで水3.6部およびペルオキソ
二硫酸ナトリウム0.5重量部からなる開始剤溶液を反
応容器内にショット添加した。
【0040】15分間反応させた後、スチレン54重量
部、メチルメタアクリレート36重量部からなる混合モ
ノマーおよび水20重量部、苛性ソーダ0.35重量
部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム0.5重量部からなる
開始剤溶液を、それぞれ2時間かけて一定の流速で添加
した。その後、1.5時間さらに重合し、反応を停止し
た。得られたシードラテックスの粒子径は0.024μ
mであった。得られたシードラテックスをSX−2とす
る。
【0041】次に共重合体ラテックスの重合は、上記で
得られたシードラテックス(SX−2)を0.45部用
いたほかは、実施例1に準拠して共重合体ラテックス
(X−5)を得た。X−5の粒子径は0.21μmであ
った。シード効率は33%であった。
【0042】
【比較例2】まず、シードラテックスの合成は、攪拌装
置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器
に、水288.2重量部、ラウリル硫酸ナトリウム10
重量部、亜硫酸水素ナトリウム0.44部、イタコン酸
4重量部、アクリル酸0.4重量部、スチレン6重量
部、メチルメタアクリレート3.2重量部を仕込み、内
温を80℃に昇温した。次いで水3.6部およびペルオ
キソ二硫酸ナトリウム0.5重量部からなる開始剤溶液
を反応容器内にショット添加した。
【0043】15分間反応させた後、スチレン54重量
部、メチルメタアクリレート28.8重量部、アクリル
酸3.6重量部からなる混合モノマーおよび水20重量
部、苛性ソーダ0.35重量部、ペルオキソ二硫酸ナト
リウム0.5重量部からなる開始剤溶液を、それぞれ2
時間かけて一定の流速で添加した。その後、1.5時間
さらに重合し、反応を停止した。得られたシードラテッ
クスの粒子径は0.045μmであった。得られたシー
ドラテックスをSX−3とする。
【0044】次の共重合体ラテックスの重合は、上記で
得られたシードラテックス(SX−3)を4.1部用い
たほかは、実施例1に準拠して共重合体ラテックス(X
−6)を得た。X−6の粒子径は0.14μmであっ
た。シード効率は81%であった。
【0045】
【比較例3】シードラテックスとしはSX−1を0.4
5部用い、表1に示すように連鎖移動剤としてα−メチ
ルスチレンダイマーを用いない重合により得られた共重
合体ラテックスをX−7とする。X−7の粒子径は0.
13μmであり、シード効率は100%であった。
【0046】
【参考実施例5〜8、参考比較例4〜6】紙塗工用カラ
ーの配合処方は、共重合体ラテックスX−1からX−7
を用いて下記の配合で紙塗工用カラーを得た。 配合処方 クレー 70 炭酸カルシウム 30 ポリアクリル酸ソーダ 0.2 水酸化ナトリウム 0.1 酸化エステル化デンプン 4 共重合体ラテックス 13 水(全固形分が64%になるように添加) 得られた紙塗工液を坪量75g/m2の塗工原紙にブレ
ード塗工して、紙塗工印刷用紙をえた。塗工量は片面1
2g/m2になるよう調整した。
【0047】既述の評価方法に従い評価した結果を表2
に示す。参考実施例5〜8は、本発明の範囲の共重合体
を用いたものである。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】実施例より明らかなように、本発明によ
ると高速印刷特性にかかわるピック強度、湿潤ピック強
度に優れる共重合体ラテックスを容易に得ることができ
る。さらに得られた共重合体ラテックスは、高速、高固
形分塗工にかかわる塗工液粘度とハイシェアー粘度が低
く、また機械的安定性に優れる塗工液を得ることができ
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)共役ジエン系単量体 20〜70
    重量部 (b)芳香族ビニル系単量体 10〜78重量部 (c)エチレン系不飽和カルボン酸単量体 0.5〜1
    0重量部 (d)その他の共重合可能なビニル系単量体 0〜6
    9.5重量部 からなる単量体100重量部を、平均粒子径が0.01
    〜0.03μmで、エチレン系不飽和カルボン酸を1〜
    20重量%含む単量体からなるシードラテックスおよび
    α−メチルスチレンダイマーの存在下で乳化重合するこ
    とを特徴とする共重合体ラテックスの製造方法。
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