JP2820128B2 - 塗被用組成物 - Google Patents

塗被用組成物

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JP2820128B2
JP2820128B2 JP21062396A JP21062396A JP2820128B2 JP 2820128 B2 JP2820128 B2 JP 2820128B2 JP 21062396 A JP21062396 A JP 21062396A JP 21062396 A JP21062396 A JP 21062396A JP 2820128 B2 JP2820128 B2 JP 2820128B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗工紙の製造やカ
ーペットバッキング材に使用する塗被用組成物、好まし
くは高固形分濃度で使用して良好な塗工ができ、かつ塗
工紙物性に優れ、特に印刷用に適した塗工紙を得ること
のできる紙塗被用組成物として好適な塗被組成物に関す
る。
【0002】
【背景技術】高固形分濃度の紙塗被用組成物による塗工
は乾燥負荷を軽減し、また塗工の生産性を高めるなどの
利点があり、その技術開発をめざして種々の試みがなさ
れてきた。従来紙塗工用に使われている塗料を単に高固
形分にするだけでは、塗料の粘度が大幅に増大し、流動
性が悪化して塗工に適さなくなる。紙塗工用の塗料とし
て具備すべき性能としては、塗工時の高剪断速度下にお
ける粘度が適当で、流動性が良好であること、また低剪
断速度下における粘度も適当でなければならない。
【0003】このような紙塗被用組成物を得るには、顔
料に炭酸カルシウムを多量に用い、カオリナイトクレー
やサチン白を少なく用いることが有効であるとされてい
るが、炭酸カルシウムを多量に用いると得られる塗工紙
の光沢や剛度の低下を招く。
【0004】また、近年、印刷時の生産性を向上させる
ため印刷速度を上げる傾向にあり、塗工紙の表面強度な
らびに耐ブリスター性に対する要求は、益々厳しいもの
となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来公知
の塗工技術においては、炭酸カルシウムを多量に用いた
塗工性の優れた塗料であって光沢の優れた塗工紙を得る
ことは極めて困難であり、さらに耐ブリスター性,接着
強度についても最近の厳しい要求に十分対応できるもの
ではなかった。
【0006】本発明の目的は、高固形分濃度でありなが
ら良好な塗工性を有し、かつ優れた塗工紙物性を有する
紙塗被用組成物をはじめ、種々の用途に用いることがで
きる塗被用組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、炭酸カルシウ
ムを少なくとも30重量%含む顔料100重量部と、水
溶性高分子化合物0〜10重量部と、下記の共重合体ラ
テックス5〜50重量部(固形分換算)とを含有してな
り、固形分濃度が58重量%以上であることを特徴とす
る塗被用組成物に関する。
【0008】 共重合体ラテックス; (a) 共役ジエン系単量体 15〜60重量%、 (b) エチレン系不飽和単量体 30〜84.5重量%、 (c) ビニルシアン化合物単量体 0〜30重量%、 (d) エチレン系不飽和カルボン酸単量体 0.5 〜10重量%、 を含む単量体を、(A)ターピノーレン、α−テルピネ
ン、γ−テルピネンおよびジペンテンから選ばれる少な
くとも1種の化合物5〜95重量%と、(B)アルキル
メルカプタン類、四塩化炭素、キサントゲンジスルフィ
ド類およびチウラムジスルフィド類から選ばれる少なく
とも1種の化合物95〜5重量%とからなる重合連鎖移
動剤の存在下に乳化重合して得られる共重合体ラテック
ス。
【0009】以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】本発明に使用される顔料の少なくとも30
重量%、好ましくは50〜90重量%を占める炭酸カル
シウムとしては、平均粒子径が5μm以下、好ましくは
0.5〜2μmの重質炭酸カルシウムおよび平均粒子径が
1μm以下、好ましくは0.2〜0.8 μmの軽質炭酸カル
シウムが好適である。
【0011】炭酸カルシウム以外の顔料としては、塗工
に一般に用いられる各種のクレー,二酸化チタン,水酸
化アルミニウム,サチン白,タルク,亜硫酸カルシウム
その他の顔料を配合することができる。
【0012】炭酸カルシウムが顔料中30重量%未満で
は、塗被用組成物の粘度増加と流動性の大幅な低下を招
き、塗工作業性が極めて低下する。
【0013】本発明で使用される水溶性高分子化合物と
しては、例えば、酸化デンプンなどの変性デンプン,デ
ンプン,カゼイン,ポリビニルアルコール,アルギン酸
ナトリウム,カルボキシメチルセルロース,メチルセル
ロース,ハイドロオキシセルロース等の天然または合成
水溶性高分子化合物を挙げることができ、特に、変性デ
ンプンが好ましい。これらの水溶性高分子化合物は1
種、または2種以上を組合せて使用することができる。
【0014】水溶性高分子化合物の使用量は、顔料10
0重量部に対し0〜10重量部、好ましくは0.1 〜10
重量部、特に好ましくは1〜5重量部である。この使用
量が10重量部を越えると粘度が高くなり塗工に適さな
くなる。また水溶性高分子化合物は水溶液で添加するた
め、添加量が多くなると必然的に高固形分の塗被用組成
物が得られなくなる。
【0015】本発明の共重合体ラテックスの製造に使用
する(a)共役ジエン系単量体の具体例としては、例え
ばブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタ
ジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンなどを挙げる
ことができる。これらは、単独で、あるいは2種以上を
組み合わせて使用することができる。これらのうち、特
にブタジエンが好ましい。
【0016】この単量体(a)は、得られる共重合体に
適当な弾性および膜の硬さを付与するために使用される
が、その使用量は、全単量体に対し15〜60重量%、
好ましくは20〜55重量%の範囲から選ばれる。この
使用量が15重量%未満では十分な接着強度を得ること
ができず、一方60重量%を越えると耐水性および接着
強度が低下して好ましくない。
【0017】(b)エチレン系不飽和単量体の具体例と
しては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエ
ン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2
−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジルなどのア
クリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル化合
物、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメ
チルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドな
どのエチレン系不飽和カルボン酸のアクリルアミドまた
はメタクリルアミド化合物、酢酸ビニルなどのカルボン
酸ビニルエステル類などの後記する(c)成分および
(d)成分以外のエチレン系不飽和単量体を挙げること
ができる。これらは単独で、あるいは2種以上を組合せ
て使用することができる。これらのうち、特に芳香族ビ
ニル化合物としてはスチレンが、アルキルエステル化合
物としてはメタクリル酸メチルが好適に使用される。
【0018】この単量体(b)は、得られる共重合体に
適度の硬さ、弾性および耐水性を付与するために使用さ
れるが、その使用量は30〜84.5重量%、好ましくは3
0〜73.5重量%の範囲から選ばれる。この使用量が30
重量%未満では塗被組成物の耐水性が劣り、一方84.5重
量%を越えると共重合体が硬くなりすぎ、接着強度が低
下して好ましくない。
【0019】(c)ビニルシアン化合物単量体の具体例
としては、2−シアノエチルアクリレート,アクリロニ
トリル,メタクリロニトリル,α−クロルアクリロニト
リルなどのシアン化ビニル化合物などを挙げることがで
きる。これらは単独で、あるいは2種以上を組合せて使
用することができる。単量体(c)としてはアクリロニ
トリルが好適に使用される。単量体(c)は、光沢を向
上させる作用がある。単量体(c)の使用量は0〜30
重量%、好ましくは1〜25重量%であり、その使用量
が30重量%を越えると接着強度が低下する。
【0020】(d)エチレン系不飽和カルボン酸単量体
の具体例としては、アクリル酸,メタクリル酸,クロト
ン酸などのモノカルボン酸類、マレイン酸,フマル酸,
イタコン酸などのジカルボン酸類、さらにマレイン酸メ
チル,イタコン酸メチル,β−メタアクリルオキシエチ
ルアシッドヘキサハイドロフタレート等のハーフエステ
ル類等を挙げることができる。また、ジカルボン酸の無
水物も使用することができる。これらは単独でも、ある
いは2種以上を組合せて使用することもできる。この単
量体(d)としては、ジカルボン酸,そのハーフエステ
ル類およびジカルボン酸無水物から選ばれる少なくとも
1種を必須とすることが好ましく、特にジカルボン酸を
用いることが好ましい。そして、ジカルボン酸,ハーフ
エステル類およびジカルボン酸無水物から選ばれる少な
くとも1種(α)とモノカルボン酸(β)との重量比率
(α)/(β)は、5/95〜100/0、さらに好ま
しくは10/90〜95/5である。この比率範囲で用
いると、接着強度,ラテックスならびに塗被組成物の機
械的安定性が優れる。
【0021】単量体(d)の使用量は、全単量体に対し
0.5 〜10重量%、好ましくは1〜7重量%の範囲から
選ばれる。この使用量が0.5 重量%未満では接着強度の
ほか、共重合体ラテックスの機械的安定性が低下し、一
方10重量%を越えると共重合体ラテックスの粘度が高
くなって、取扱い(ハンドリング)が困難となり、操作
性が低下して好ましくない。
【0022】本発明における共重合体ラテックスは、上
記単量体を乳化重合することによって得られるが、本発
明の特徴はこの乳化重合を特定の重合連鎖移動剤の存在
下に行なう点にある。すなわち、本発明においては、
(A)ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネ
ンおよびジペンテンから選ばれる少なくとも1種の化合
物(以下、「成分(A)」という)5〜95重量%と、
(B)アルキルメルカプタン類、四塩化炭素、キサント
ゲンジスルフィド類およびチウラムジスルフィド類から
選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、「成分
(B)」という)95〜5重量%とからなる重合連鎖移
動剤の存在下で乳化重合を行う。
【0023】上記の重合連鎖移動剤の存在下に重合して
得られる共重合体ラテックスを用いた本発明の塗被用組
成物は、塗工性を低下させることなく、これを紙塗被用
組成物として用いた場合、接着強度,耐ブリスター性お
よび印刷光沢に優れ、特に印刷光沢については極めて優
れている。
【0024】前記成分(B)のアルキルメルカプタン類
の具体例としては、例えば、オクチルメルカプタン、n
−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、
n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメル
カプタン、t−テトラデシルメルカプタンなどを挙げる
ことができ、これらのうち、t−ドデシルメルカプタン
が好ましく使用される。
【0025】また、キサントゲンジスルフィド類の具体
例としては、ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエ
チルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサン
トゲンジスルフィドなどを挙げることができる。
【0026】チウラムジスルフィド類の具体例として
は、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチル
チウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフ
ィド、ジペンタメチレンチウラムジスルフィドなどを挙
げることができる。
【0027】重合連鎖移動剤中の成分(A)の割合は、
5〜95重量%である。成分(A)と成分(B)とを併
用することにより、重合時における反応性を高めること
ができる。
【0028】重合連鎖移動剤の使用量は、全単量体10
0重量部当り、通常0.05〜20重量部、好ましくは0.1
〜10重量部、より好ましくは0.3 〜10重量部であ
る。重合連鎖移動剤の使用量が0.05重量部未満では耐ブ
リスター性が劣り、一方、20重量部を越えると接着強
度が低下して好ましくない。
【0029】なお、成分(A)の使用量については、全
単量体100重量部当り0.1 〜5重量部の範囲で使用す
るのが好ましい。
【0030】本発明における共重合体ラテックスは、前
記単量体および重合連鎖移動剤を使用する点を除けば、
従来公知の乳化重合方法によって製造することができ
る。すなわち、水性媒体(通常、水)に単量体ならびに
重合開始剤、乳化剤、重合連鎖移動剤などを加えて乳化
重合を行うことによって得られる。
【0031】本発明における乳化重合に使用する重合開
始剤については特に制限はなく、例えばクメンハイドロ
パーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパー
オキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイドなど
のハイドロパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイ
ド、ラウロイルパーオキサイドなどのパーオキサイド類
およびアゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物類
などの有機系重合開始剤、ならびに過硫酸カリウム、過
硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩な
どの無機系重合開始剤を使用することができる。
【0032】本発明においては、有機系重合開始剤を単
独で使用すると得られる共重合体ラテックスの機械的安
定性が劣り、また重合中に多量の凝固物が発生すること
から、無機系重合開始剤を単独で、あるいは有機系重合
開始剤と組合わせて使用するのが好ましい。
【0033】なお、上記重合開始剤は重亜硫酸ナトリウ
ムなどの還元剤と組み合わせた、いわゆるレドックス系
重合開始剤としても使用することができる。
【0034】これら重合開始剤のうち、過硫酸カリウ
ム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、またはこれと
アゾビスイソブチロニトリルあるいはベンゾイルパーオ
キサイドとの組合せ、さらにはこれらと還元剤とを組み
合わせたものが好ましく使用される。
【0035】本発明における重合開始剤の使用量は、全
単量体100重量部当り、通常0.1〜5重量部であり、
好ましくは0.5 〜2重量部である。無機系重合開始剤と
有機系重合開始剤とを併用する場合には、有機系重合開
始剤の割合は、好ましくは全重合開始剤の70重量%以
下、さらに好ましくは50重量%以下である。有機系重
合開始剤の割合が70重量%を越えると、有機系重合開
始剤を単独で使用した場合のような問題が生じて好まし
くない。
【0036】本発明における乳化重合に使用する乳化剤
については特に制限はなく、アニオン型、ノニオン型お
よび両性型界面活性剤のいずれも使用することができ
る。これらは単独でも、あるいは2種以上を混合して使
用することもできる。例えば、ラウリル硫酸ナトリウム
などの高級アルコールの硫酸エステル塩、ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスル
ホン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどの
脂肪族カルボン酸エステルのスルホン酸塩などのアニオ
ン型界面活性剤、ポリエチレングリコールのアルキルエ
ステル型、アルキルフェニルエーテル型、アルキルエー
テル型などのノニオン型界面活性剤などを使用すること
ができる。また、両性界面活性剤としては、アニオン部
分としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸
塩、りん酸塩、りん酸エステル塩を、またカチオン部分
としてアミン塩、第4級アンモニウム塩をもつものを挙
げることができる。具体的には、アルキルベタインの塩
としてラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ココア
ミドプロピルベタイン、2−ウンデシルヒドロキシエチ
ルイミダゾリウムベタインの塩が、またアミノ酸タイプ
のものとしてはラウリル−β−アラニン、ステアリル−
β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、
オクチルジ(アミノエチル)グリシン、ジオクチルジ
(アミノエチル)グリシンの塩を挙げることができる。
【0037】これら乳化剤のうち、特にアルキルベンゼ
ンスルホン酸塩が好ましく使用される。さらに具体的に
は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが特に
好ましく使用される。このアルキルベンゼンスルホン酸
塩は、他の界面活性剤、例えば高級アルコールの硫酸エ
ステル塩、脂肪族カルボン酸エステルのスルホン酸塩な
どのアニオン型界面活性剤あるいはポリエチレングリコ
ールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アル
キルフェニルエーテル型などのノニオン型界面活性剤な
どと併用してもよい。
【0038】乳化剤の使用量は、全単量体100重量部
当り、通常0.05〜2重量部であり、好ましくは0.05〜1
重量部である。乳化剤の使用量が2重量部を越えると、
耐水性が劣り、塗被用組成物の泡立ちが著しくなって塗
工時に問題となる。なお、アルキルベンゼンスルホン酸
塩を他のアニオン型あるいはノニオン型界面活性剤と併
用する場合、アルキルベンゼンスルホン酸塩の使用割合
は全乳化剤の50重量%以上とするのが好ましい。
【0039】本発明における乳化重合方法およびその条
件については特に制限はなく、従来公知の方法および条
件下において実施することができる。
【0040】例えば、重合連鎖移動剤の添加方法につい
ては、一括添加方式、分割添加方式、連続添加方式ある
いはこれらの組合わせのいずれでもよい。
【0041】また、単量体の添加方法については、一括
添加方式、分割添加方式、連続添加方式あるいはこれら
の組合せのいずれでもよい。これらの方式のうち、凝固
物の生成の減少、反応熱の除去などの点からは、分割添
加方式または連続添加方式が好ましい。
【0042】さらに、エチレン系不飽和カルボン酸単量
体の全量または一部を含む全単量体の10〜50重量%
を1段目で重合し、2段目では残りの単量体50〜90
重量%を連続的に添加して乳化重合する2段重合方法に
よれば、重合工程における凝固物の生成がより一層減少
でき、本発明が目的とする塗被用組成物が効果的に得ら
れることから、この2段重合方法によって本発明の乳化
重合を実施するのが好ましい。なお、この方法におい
て、重合連鎖移動剤は1段目,2段目のいずれか一方に
添加してもよく、あるいは両方に添加してもよい。重合
連鎖移動剤を2段目に使用する場合には、連続的に添加
するのが好ましい。
【0043】得られた共重合体ラテックスのゲル含量
は、好ましくは5%以上、さらに好ましくは10〜98
%である。ゲル含量が5%未満では、接着強度および機
械的安定性の低下が大きく、さらにはラテックスフィル
ムの粘着性の増大に伴いバッキングロール汚れ等の問題
が生じるので好ましくない。また、ゲル含量が98%を
越えると、接着強度が低下する傾向を示すので好ましく
ない。
【0044】本発明の塗被用組成物は、固形分濃度が5
8重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ま
しくは65重量%以上、特に好ましくは67重量%以上
である。
【0045】本発明の塗被用組成物は、その固形分濃度
が60重量%以上であるにもかかわらず、塗被用組成物
の粘度が適当で、良好な流動性を有し、かつ接着強度,
耐ブリスター性および印刷光沢等の塗工紙物性に優れて
いる。従来の技術では、固形分濃度を58重量%以上と
して良好な流動性を保持しようとすると、十分な塗工紙
物性が得られず、例えば紙塗被用組成物の場合、一般に
は固形分濃度58重量%未満の領域で調製が行われてき
た。
【0046】本発明の塗被用組成物は、その固形分濃度
を高くすることができることから、塗工工程の生産性の
向上および乾燥エネルギーの低減に大きく寄与する。
【0047】さらに、従来の塗被用組成物では炭酸カル
シウムを使用すると、他の顔料、例えばクレー等を使用
した場合に比べ例えば塗工紙の仕上りや印刷適性が劣っ
ていたのに対し、本発明においては炭酸カルシウムを多
量に使用してもクレー等の場合と同等の塗工紙物性が得
られるので、安価な炭酸カルシウムの使用は塗被用組成
物のコストを下げることができる。
【0048】本発明の塗被用組成物はブレード塗工に使
用した場合にもっとも大きな効果を発揮するものである
が、その他の塗工方式で使用しても、十分にその効果を
発揮するものである。
【0049】
【実施例】以下に実施例に挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例によって限定されるものではな
い。なお、実施例において示す「部」および「%」は特
に記載のない限り重量部および重量%を意味する。
【0050】(共重合体ラテックスの製造)100リッ
トルの耐圧反応容器に、表1に示すように、1段目の単
量体混合物としてイタコン酸2部,アクリル酸1部,ブ
タジエン10部,スチレン18部,メタクリル酸メチル
10部およびアクリロニトリル5部を仕込み、さらに水
150部,ターピノーレン0.2部,t−ドデシルメルカ
プタン0.1部,ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
0.2部および過硫酸カリウム1.0 部を仕込んだ後、窒素
雰囲気中で温度70℃で2時間重合を行った。次に、2
段目の単量体混合物として、ブタジエン25部,スチレ
ン21部,アクリロニトリル3部およびメタクリル酸メ
チル5部を、またターピノーレン0.2部およびt−ドデ
シルメルカプタン0.1部を8時間かけて連続的に添加し
て重合を行った。その後、重合を完結させるため、さら
に3時間反応を継続し、重合転化率98%で重合を終了
した。
【0051】得られた共重合体ラテックスを水酸化ナト
リウムを用いてpH 7.5に調整した後、水蒸気を吹き込ん
で未反応単量体を除去し、さらに加熱減圧蒸溜によって
固形分濃度50%の共重合体ラテックス(A)を得た。
【0052】表1に示す重合処方を用い、他は共重合体
ラテックス(A)と同様の方法で共重合体ラテックス
(B)および(a),(b)を製造した。
【0053】なお、共重合体ラテックス(A)および
(B)は本発明の範囲内の共重合体ラテックスであり、
一方、共重合体ラテックス(a)および(b)は本発明
の範囲外の共重合体ラテックスである。
【0054】
【表1】 実施例1,2、比較例1,2 表2に示した塗被用組成物成分の顔料,水溶性高分子化
合物,分散剤,共重合体ラテックスおよびそれぞれの塗
料固形分濃度にするための水をコーレス分散機中に投入
し、混合して紙塗被用組成物を得た。
【0055】これらの紙塗被用組成物を16g/m2
塗工層が形成されるように、ブレードコーターで塗工し
乾燥した後、スーパーカレンダーによって仕上げ、塗工
紙物性測定用の塗工紙を得た。
【0056】塗被用組成物物性(塗料物性)および塗工
紙物性を下記の試験法で測定した。試験結果を表2に示
す。
【0057】試験法; (1)粘 度 BM型粘度計(60rpm ,No.4スピンドル)により初
期粘度を測定した。
【0058】(2)高剪断粘度 ハーキュレス・ハイシエア・ビスコメーター(8800rpm
,Fボブ)により測定した。
【0059】(3)印刷光沢度 75°村上式光沢度計で測定した。
【0060】(4)ドライピック RI印刷試験機を使用し、タック値15インキで数回重
ね刷りを行い、印刷面のピッキング状態を5点法で目視
判定する。数字の高い方が良好。
【0061】(5)ウェットピック RI印刷機を使用し、モルトンロールで試験片上に給水
を行い、その直後にタックNo.16で印刷し、ピッキン
グの度合いを5点法で目視判定する。数字の高い方が良
好。
【0062】(6)耐ブリスター性 両面印刷塗工紙を調湿(約6%)した後、加熱オイルバ
スに投げ込み、ブリスターが発生するときの最低温度を
示した。
【0063】(7)塗 工 性 熊谷理機工業(株)製ブレードコーターにて600m/分
の速度で塗工し、塗工量の制御の難易,ストリークの発
生程度を目視で判定した。
【0064】判定結果は次の4段階で評価した。
【0065】◎:非常に良好,○:良好,△:劣る,
×:非常に劣る
【表2】 実施例1および2は本発明の範囲内の紙塗被用組成物で
あり、紙塗被用組成物の粘度および高剪断粘度が塗工操
作性に適した範囲内にあり、かつ塗工性,塗工紙物性に
おいても本発明の目的とする効果が得られている。
【0066】比較例1は、共重合体ラテックスの製造時
に重合連鎖移動剤として、t−ドデシルメルカプタンの
みを使用した例であり、ドライピック,ウェットピッ
ク,印刷光沢度が劣る。
【0067】比較例2は共重合体ラテックスの製造時に
重合連鎖移動剤として、四塩化炭素のみを使用した例で
あり、ウェットピック,印刷光沢度,耐ブリスター性が
劣る。
【0068】
【発明の効果】本発明の塗被用組成物によれば、高固形
分濃度で使用して良好な塗工ができ、紙塗被組成物とし
て用いると接着強度,耐ブリスター性および印刷光沢等
の塗工紙物性が一段と優れた塗工紙を得ることができ、
さらに、カーペットバッキング材などとしても好適であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D21H 19/36 D21H 1/22 A // C08F 2/38 3/78 (72)発明者 矢田 正明 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本 合成ゴム株式会社内 (72)発明者 山脇 一公 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本 合成ゴム株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−250496(JP,A) 特開 平1−280095(JP,A) 特開 昭63−113008(JP,A) 特開 昭57−66195(JP,A) 特開 昭57−176297(JP,A) 特開 昭56−159395(JP,A) 「近大工学部研究報告」No.16, p.19−27,昭和58年3月25日,近畿大 学工学部発行 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09D 113/02 C09D 5/02 C09D 201/00 - 201/10 C08F 2/38

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭酸カルシウムを少なくとも30重量%
    含む顔料100重量部と、水溶性高分子化合物0〜10
    重量部と、下記の共重合体ラテックス5〜50重量部
    (固形分換算)とを含有してなり、固形分濃度が58重
    量%以上であることを特徴とする塗被用組成物。 共重合体ラテックス; (a) 共役ジエン系単量体 15〜60重量%、 (b) エチレン系不飽和単量体 30〜84.5重量%、 (c) ビニルシアン化合物単量体 0〜30重量%、 (d) エチレン系不飽和カルボン酸単量体 0.5 〜10重量%、 を含む単量体を、(A)ターピノーレン、α−テルピネ
    ン、γ−テルピネンおよびジペンテンから選ばれる少な
    くとも1種の化合物5〜95重量%と、(B)アルキル
    メルカプタン類、四塩化炭素、キサントゲンジスルフィ
    ド類およびチウラムジスルフィド類から選ばれる少なく
    とも1種の化合物95〜5重量%とからなる重合連鎖移
    動剤の存在下に乳化重合して得られる共重合体ラテック
    ス。
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