JP2002194010A - 共重合体ラテックスの製造方法および該製造方法で得られた共重合体ラテックス - Google Patents

共重合体ラテックスの製造方法および該製造方法で得られた共重合体ラテックス

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JP2002194010A
JP2002194010A JP2000396476A JP2000396476A JP2002194010A JP 2002194010 A JP2002194010 A JP 2002194010A JP 2000396476 A JP2000396476 A JP 2000396476A JP 2000396476 A JP2000396476 A JP 2000396476A JP 2002194010 A JP2002194010 A JP 2002194010A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重合安定性、粒径コントロール性に優れ、ド
ライピック強度とウェットピック強度、印刷光沢等の塗
工紙物性に優れ、かつ湿潤ベタツキ性に代表される耐バ
ッキングロール汚れ特性にも優れるジエン系共重合ラテ
ックスの製造方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 75℃以下の重合温度領域で、低Tgシ
ードを用いて、共役ジエン系単量体、エチレン性不飽和
カルボン酸単量体およびその他共重合可能な単量体を多
段乳化重合し、かつ第一工程と最終工程それぞれ単量体
からなる共重合体部分の重量比と溶解性パラメータ差を
特定範囲にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジエン系共重合体
ラテックス、およびそれを用いる紙塗工用組成物に関
し、さらに詳しくは、オフセット印刷、グラビア印刷に
供される塗工紙あるいは塗工板紙その他に使用する紙塗
工用のバインダーとして好適な、高性能のジエン系共重
合体ラテックス、およびそれらを用いる紙塗工用組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、合成共重合体ラテックスは、例え
ば紙塗工用バインダー、カーペットバックサイジング用
バインダー、不織布や人工皮革などの繊維結合用バイン
ダー、あるいは各種材料の粘接着剤などとして広く用い
られてる。そして、共重合体ラテックスがこのような用
途に用いられる場合、共重合体ラテックスは、接着強度
が強く、耐水性、乾燥加熱による耐ブリスター性などに
優れていることが要求される。
【0003】塗工紙は、紙の印刷適性の向上および光沢
などの光学的特性の向上を目的して抄造された原紙表面
に、カオリンクレー、炭酸カルシウム、サチンホワイ
ト、タルク、酸化チタンなどの顔料、それらのバインダ
ーとしての共重合体ラテックスおよび保水剤あるいは補
助バインダーとしてスターチ、カゼイン、ポリビニルア
ルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性高
分子を主構成成分とする紙塗工用組成物が塗工用組成物
が塗工されたものである。
【0004】共重合体ラテックスとしては、スチレンと
ブタジエンを主要単量体成分とし、これらを乳化重合し
て得られたスチレン−ブタジエン系共重合体ラテック
ス、いわゆるSB系ラテックスが汎用的に用いられてい
る。近年、カラー印刷された雑誌類やパンフレット、広
告類の需要の拡大に伴って印刷速度の高速化が進められ
ており、塗工紙および顔料バインダーに対する要求水準
はますます高度化している。その中でも、特にインクピ
ック抵抗性、いわゆるドライピック強度と、湿し水が塗
付された後のインクピック抵抗性、いわゆるウェットピ
ック強度の向上が強く求められている。これらのピック
強度性能自体負の相関関係にあるだけでなく、他の印刷
物性、すなわち耐ブリスター性、網点再現性などとも負
の相関関係にあるため、これらの諸物性を高水準にバラ
ンス化させる改良が一段と要求されている。塗工紙のこ
れらの性質は、顔料バインダーとして用いられているS
B系ラテックスの性能に強く依存することから、これま
でSB系ラテックスについても種々の検討がなされてき
た。
【0005】例えば、これらの諸物性の高バランス化を
目指し、2段もしくは多段重合法において特定のモノマ
ー組成で重合する方法を用いたラテックスの改良が提案
されている。(第1427990号,特開昭62−11
7897号,特開平6−240559号,特開平7−2
58308号,特開平7−324112号,特開平7−
324113号,特開平9−25308号、特開平9−
31141号,特開平9−31895号、特開2000
−351803号)しかしながら近年における本技術分
野においては、より高度な物性バランスの達成が要求さ
れており、いずれの方法も塗工紙におけるドライピック
強度、ウェットピック強度、耐ブリスター性、印刷光沢
等の塗工紙物性や紙塗工における耐バッキングロール汚
れ特性を向上させる方法として十分とは言い難かった。
【0006】一方、塗工紙の生産能力を向上するために
近年高速塗工化が進んでおり、塗工液においては塗工の
高速化に伴う乾燥能力の低下への対応および生産効率を
高める目的で塗工液の高固形分化が進められている。塗
工液を高固形分化するには、重質炭酸カルシウムの配合
率を高める等の顔料面からの流動性の改良とスターチ等
の増粘性の大きい水溶性バインダーを減らしラテックス
を増量することによるバインダー面からの改良が採られ
ている。しかし、炭酸カルシウム比率を高める顔料面か
らの流動性の改良では、白紙光沢が低下し好ましくな
い。また、ラテックス量を増量するバインダー面からの
流動性の改良では、塗工紙表面のベタツキ性を増大させ
るため、バッキングロール汚れやスーパーカレンダー汚
れなどの問題を発生させ好ましくない。これらの問題を
解決するために共重合体ラテックスを重合するにあた
り、2段重合で第2段目にシアン化ビニル単量体、アミ
ド基含有エチレン性不飽和単量体を重合することが提案
されている(特開平4−240297号,特開平5−2
39113号)が、これらの方法では塗工紙の印刷適性
と共重合体ラテックスの耐ベタツキ性は改善されるもの
の十分とは言い難く高速塗工のための高固形分条件下で
の塗工液の流動性は満足し得るものではなかった。
【0007】さらに、共重合ラテックスを重合するにあ
たり、2段重合を行い第2段目にメタクリロニトリルを
ある添加速度で連続的に添加重合することにより、塗工
紙の印刷適性と高速塗工のための高固形分の塗工液の流
動性に優れることが提案されている(特開平10−18
2709号)が、この方法でも塗工紙の印刷適性と紙塗
工における耐バッキングロール汚れ特性が満足し得るも
のではなかった。このように、従来の技術では印刷と塗
工紙の製造の一層の高速化に対応することができず、生
産性を高め高品質の塗工紙の製造を可能にするバインダ
ーとしての共重合体ラテックスの出現が強く求められて
いるのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、重合安定
性、粒径コントロール性に優れ、ドライピック強度とウ
ェットピック強度、印刷光沢等の塗工紙物性に優れ、か
つ湿潤ベタツキ性に代表される耐バッキングロール汚れ
特性にも優れるジエン系共重合ラテックスの製造方法を
提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題
を解決するため鋭意研究を重ねた結果、75℃以下の重
合温度領域で、低Tgシードを用いて、共役ジエン系単
量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体およびその他
共重合可能な単量体を多段乳化重合し、かつ第一工程と
最終工程それぞれ単量体からなる共重合体部分の重量比
と溶解度パラメータ差を特定範囲にしたジエン系共重合
体ラテックスが課題を達成することを見出し、本発明を
なすに至った。
【0010】すなわち本発明の第1は、ガラス転移温度
(Tg)30℃以下のラテックス粒子をシードとして用
い、共役ジエン系単量体、およびこれらと共重合可能な
その他単量体を、全単量体に対する重合率が少なくとも
80%に達するまで重合温度75℃以下で重合を実施す
る多段重合により乳化重合するにあたって、第一工程で
添加する単量体混合物(A)から得られる共重合体部分
(PA)と最終工程で添加する単量体混合物(B)から
得られる共重合体部分(PB)の重量比が下記式(1)
を満たし、かつ第一工程で添加する単量体混合物(A)
から得られる共重合体部分(PA)の溶解性パラメータ
(SPA)と最終工程で添加する単量体混合物(B)か
ら得られる共重合体部分(PB)の溶解性パラメータ
(SPB)とが下記式(2)を満たすジエン系共重合体
ラテックスの製造方法である。 0.25<(PA)/(PB)<4 (1) 0.2<(SPB)−(SPA)<2.0 (2) 本発明の第2は、最終工程での重合温度が、第一工程で
の重合温度よりも、5℃以上高いことを特徴とする請求
項1記載の製造方法である。本発明の第3は、透過型電
子顕微鏡により測定した粒子径の標準偏差が15以下で
ある請求項1および2記載の製造方法により得られたジ
エン系共重合体ラテックスである。
【0011】本発明について、以下に具体的に説明す
る。なお以下の説明において、全単量体の合計は100
重量部とする。本発明に用いられる共役ジエン系単量体
としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、
2,3−ジメチル1,3−ブタジエン、2−エチル−
1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエ
ン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、2−クロル
−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等を挙げる
ことができるが、好ましくは1,3−ブタジエンであ
る。これらの共役ジエン系単量体は、1種あるいは2種
以上を組み合わせて使用される。
【0012】共役ジエン系単量体の使用量は、全単量体
100重量部に対し、好ましくは20〜70重量部、さ
らに好ましくは凝集力の点から25〜60重量部の範囲
で選ばれる。この使用量が20重量部未満では得られる
重合体が脆すぎ、また70重量部を越えると重合体が柔
らかすぎ、いずれの場合も高い凝集力が得られず、本発
明の目的を十分に達することができない。共役ジエン系
単量体の第一工程における使用量は、第一工程に添加す
る単量体混合物(A)に対し、好ましくは30〜90重
量部%、さらに好ましくは45〜75重量%である。こ
の使用量が30重量%未満では、得られる重合体が脆く
なりすぎ、十分に高いドライピック強度を得ることが難
しく、また90重量%を越えると、湿潤ベタツキ性に代
表される耐バッキングロール汚れ適性が劣るようにな
り、本発明の目的を十分に達成することができない。
【0013】また共役ジエン系単量体の最終工程におけ
る使用量は、最終工程で添加する単量体混合物(B)に
対し、好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは1
0〜40重量%である。この使用量が5重量%未満では
得られる重合体が脆くなり、塗工紙のドライピック強度
の改良効果が十分に得られない。また、50重量%を超
えると、湿潤ベタツキ性に代表される耐バッキングロー
ル汚れ特性の改良効果、および塗工紙のウェットピック
強度の改良効果が十分に発現されず、本発明の目的を十
分に達することができない。
【0014】本発明に用いられるエチレン性不飽和カル
ボン酸単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル
酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸
などが挙げられる。これらのエチレン性不飽和カルボン
酸単量体は1種あるいは2種以上組み合わせても良い。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体の使用量は、全単量
体100重量部に対し、好ましくは0.5〜10重量
部、さらに好ましくは1〜7重量部の範囲から選ばれ
る。この量が0.5重量部未満では、重合安定性、スト
リッピング安定性が十分でなく、塗工液調整や塗工時に
おいて種々の問題が生じ、かつドライピック強度も劣
り、また10重量部を超えるとラテックスや塗工液の粘
度が高くなり過ぎ、かつウェットピック強度が低下する
傾向が見られ、本発明の目的を十分に達することができ
ない。
【0015】共役ジエン系単量体、エチレン性不飽和カ
ルボン酸単量体と共重合可能なその他の単量体として
は、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、(メタ)
アクリルアミド系単量体、酢酸ビニルなどのカルボン酸
ビニルエステル類、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル
類、アミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチル
アクリレートなどのアミノ基含有エチレン性単量体類、
スチレンスルホン酸ナトリウムなどを挙げることができ
る。これらの共重合可能な単量体は1種あるいは2種以
上を組み合わせて使用される。
【0016】共重合可能なその他単量体の使用量は、共
役ジエン系単量体+エチレン性不飽和カルボン酸単量体
+共重合可能なその他単量体=100重量部になるよう
に選択され、共役ジエン系単量体とエチレン性不飽和カ
ルボン酸単量体の好ましい範囲から、20〜79.5重
量部になる。シアン化ビニル系単量体としては、例えば
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルア
クリルニトリルなどを挙げることができるが、特にアク
リロニトリルが好ましい。これらのシアン化ビニル系単
量体は1種あるいは2種以上組み合わせてもよい。
【0017】シアン化ビニル系単量体の最終工程におけ
る使用量は、最終工程で添加する単量体混合物(B)に
対し、好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは1
5〜50重量%である。その使用量が5重量%未満で
は、紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性の指標
となる共重合体ラテックスの耐湿潤ベタツキ性、および
塗工紙のウェットピック強度が十分に発現されず、また
60重量%を越えるとラテックスの重合安定性に劣り、
本発明の目的を十分に達することができない。
【0018】芳香族ビニル系単量体としては、例えばス
チレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メ
チルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレ
ン、エチルスチレン、ビニルキシレン、ブロモスチレ
ン、ビニルベンジルクロリド、p−t−ブチルスチレ
ン、クロロスチレン、アルキルスチレン、ジビニルベン
ゼン、トリビニルベンゼンなどが挙げられるが、特にス
チレンが好ましい。
【0019】(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量
体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチ
ル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メ
タ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、
n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミルヘキシル
(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレー
ト、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アク
リレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシ
ル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アク
リレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル
(メタ)アクリレート、2−エチル−ヘキシル(メタ)
アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ
(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メ
タ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ジエチレングリコールエトキシアクリレー
ト、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポ
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロー
ルプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロー
ルメタンテトラ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)
アクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフ
ェニル)プロパン、メトキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレー
ト、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキ
シポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2,
2−ビス[4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェ
ニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリ
ロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビ
ス[4−((メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ)フェ
ニル]プロパン、イソボルニル(メタ)アクリレートな
どが挙げられる。
【0020】(メタ)アクリルアミド系単量体として
は、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチロール
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリル
アミドなどのN−モノアルキル(メタ)アクリルアミ
ド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの
N、N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、グリシジ
ルメタアクリルアミド、N−アルコキシ(メタ)アクリ
ルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンス
ルホン酸などが挙げられ、その好ましい使用量は全単量
体100重量部に対し、10重量部以下、さらに好まし
くは7重量部以下である。10重量部を超えて使用する
とラテックスおよび紙塗工組成物の低せん断粘度を上げ
てしまい作業性を悪化させてしまうので好ましくない。
【0021】本発明のジエン系共重合体ラテックスの製
造方法では、2段階以上の、多段階重合法を用いて乳化
重合するにあたり、第一工程で添加する単量体混合物
(A)の組成から得られる共重合体部分(PA)の溶解
性パラメータ(SPA)と最終工程で添加する単量体混
合物(B)の組成から得られる共重合体部分(PB)の
溶解性パラメータ(SPB)とが、下記式(2)を満た
すことが必須である。 0.2<(SPB)−(SPA)<2 (2) また、より好ましい範囲は0.4<(SPB)−(SP
A)<1.5であり、さらに好ましい範囲は0.5<
(SPB)−(SPA)<1.3である。(SPB)−
(SPA)が0.2以下では、湿潤ベタツキ性が劣り、
また、(SPB)−(SPA)が2以上では、特にドラ
イピック強度が劣るため、本発明の目的を十分に達成す
ることができない。
【0022】なお、各共重合体部分の溶解性パラメータ
(SPA)および(SPB)は、Robert F.F
edorsが規定する方法により、各々の単量体化合物
構造と単量体組成から算出することができる。(POL
YMER ENGINNEERING AND SCI
ENCE,1974,Vol.14,No.2,147
−154page参照) また、第一工程に添加された単量体混合物(A)の、最
終工程での単量体混合物(B)が重合を開始する直前で
の、重合率は30〜90重量%であることが好ましい。
この場合での重合率が30重量%未満では特に湿潤ベタ
ツキ性とウェットピック強度が十分でなく、90重量%
を超えるとドライピック強度が十分でなくなり、本発明
の目的を十分に達成することができない。
【0023】本発明の第一工程で添加される単量体混合
物(A)の組成から得られる共重合体部分(PA)と最
終工程で添加される単量体混合物(B)の組成から得ら
れる共重合体部分(PB)の重量比(PA)/(PB)
は、下記式(1)を満たすことが必須である。 0.25<(PA)/(PB)<4 (1) また、より好ましくは0.41<(PA)/(PB)<
2.4の範囲である。重量比(PA)/PBが0.25
以下の場合ドライピック強度が十分でなく、また(P
A)/(PB)が4以上の場合湿潤ベタツキ性が十分で
なく、本発明の目的を十分に達成することができない。
【0024】本発明で使用される単量体を乳化重合する
に際しては、特に制限はなく、従来公知の方法で、水性
媒体中で前記の単量体、連鎖移動剤と界面活性剤、ラジ
カル重合開始剤と必要に応じて用いられる他の添加剤成
分を基本構成成分とする分散系において単量体を重合さ
せて、共重合体粒子の水性分散液、すなわちジエン系共
重合体ラテックスを製造する方法などが用いられる。本
発明において、重合にガラス転移温度(Tg)が30℃
以下のシードラテックスを使用することは必須である。
シードのガラス転移温度が30℃を越える場合、シード
に添加される単量体の膨潤が不充分になり、粒径コント
ロール性と重合安定性も低下するため、本発明の目的を
十分に達成することができない。
【0025】本発明に使用するシードは、共重合ポリマ
ーのガラス転移温度が30℃以下になるように共重合性
単量体を選択し、乳化重合して得られるラテックス粒子
のことである。シードの製造に使用する共重合性単量体
は、水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル単量体0.5〜10重量部、およびエチレン系不飽和
カルボン酸単量体0.5〜10重量部、およびその他の
共重合可能な単量体80〜99重量部の範囲にあること
が好ましい。さらに、これらの単量体は、不飽和結合を
1つのみ有し、シード粒子は直鎖構造を主体とする高分
子であることが好ましい。不飽和結合を2個以上有する
単量体を使用し、乳化重合して得られる高度に架橋構造
を有するシードを本発明の重合に使用した場合、シード
に添加される単量体の膨潤が不充分になり、粒径コント
ロール性と重合安定性も低下するため、本発明の目的を
十分に達成することができない。
【0026】シードの平均粒子径としては、5〜70n
mであることが好ましく、5−50nmであることがよ
り好ましく、5〜30nmであることがさらに好まし
い。70nmを越えると、そのシードを使用して生成す
るジエン系共重合体ラテックス中のシードの比率が増大
するため、ドライピック強度が低下し、本発明の目的を
十分達成することができない。5nm未満のシードは、
シードを構成する単量体重合率が高い領域(70%以
上)で、作成することができず、また重合を途中で止
め、重合率が低いところで5nm未満のシードを作成し
た場合、分子量が低くなるため、シードに添加される単
量体の膨潤が不充分になり、粒径コントロール性と重合
安定性も低下するため、本発明の目的を十分に達成する
ことができない。
【0027】シードの重量平均分子量(Mw)は、ポリ
スチレン換算で、2万<Mw<100万であることが好
ましい。Mwが2万以下でも、100万以上でも、シー
ドに添加される単量体の膨潤が不充分になり、粒径コン
トロール性と重合安定性も低下するため、本発明の目的
を十分に達成することができない。シードを構成する単
量体の内、水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキル
エステル単量体としては、例えばアクリル酸2−ヒドロ
キシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アク
リル酸2−ヒドロキシプロピルエチル、メタクリル酸2
−ヒドロキシプロピル、アクリル酸1−ヒドロキシプロ
ピルエチル、メタクリル酸1−ヒドロキシプロピル、ヒ
ドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げ
られる。
【0028】シードを構成するエチレン性不飽和カルボ
ン酸単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル
酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸
などが挙げられる。これらのエチレン性不飽和カルボン
酸単量体は1種あるいは2種以上組み合わせても良い。
シードを構成するその他共重合可能な単量体の内、比較
低いTgを与えるモノマーとしては、例えば2−エチル
ヘキシルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチ
ルアクリレート、メチルアクリレート、イソプロピルア
クリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタク
リレート、イソブチルメタクリレート、n−ヘキシルメ
タクリレート、ラウリルメタクリレート、2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリ
レート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキ
シプロピルアクリレート、酢酸ビニル、ジアセトンアク
リルアミド等が挙げられる。
【0029】シードラテックスの重合は、本発明のラテ
ックスの重合に先だって同一反応容器で行っても、異な
る反応容器で重合したシードラテックスを用いても良
い。このジエン系共重合体ラテックス中の共重合体の平
均粒子径は、本発明の目的を十分に達成するために、
0.04〜0.4μmの範囲にあることが望ましく、
0.05〜0.2μmの範囲にあることがより好まし
く、0.05〜0.13μmの範囲にあることがさらに
好ましい。本発明のジエン系共重合体ラテックスの平均
粒子径は、主に使用するシードラテックスの使用量、シ
ードラテックスの平均粒子径等によって調整することが
でき、一般にその使用割合を高くするほど生成するジエ
ン系共重合体ラテックスの平均粒子径は小さくなる傾向
がある。ただし適切なシードを適切量使用しない場合、
重合系が不安定になり、逆に粒径肥大し、重合安定性を
低下させる場合もある。
【0030】本発明の製造方法により得られたジエン系
共重合体ラテックスの透過型電子顕微鏡により撮影した
粒子1000個に対する粒子径の標準偏差は、15以下
である方が好ましい。粒子径の標準偏差が15よりも多
い場合、印刷光沢が劣るようになる。ジエン系共重合体
ラテックスを製造する際の重合温度は、全単量体に対す
る重合率が80%に達するまで重合温度が75℃以下で
あることが必須である。より好ましくは重合率が90%
に達するまで重合温度が75℃以下であること、または
重合率が80%に達するまで重合温度が70℃以下であ
ること、さらに好ましくは重合率が90%に達するまで
重合温度が70℃以下であることである。重合率が80
%に達するまでに重合温度を75℃より高くした場合、
ドライピック強度またはウェットピック強度が低下する
ことで、本発明の目的を達成することができない。
【0031】ジエン系共重合体ラテックスを製造する際
の各工程での重合温度に関し、第一工程と比較し、最終
工程の方が5℃以上高い方が好ましい。より好ましくは
15℃以上である。5℃より低い場合、高重合率に達す
るまで非常に長い時間がかかり、生産性の点で工業的に
好ましくない。5℃より低い場合でも、最終工程以降
で、多量の開始剤と還元剤を加え、重合を速く進行させ
ることはできるが、分子量が低下し、高いドライピック
強度を有するラテックスを製造することができない。
【0032】重合時間は、通常3〜30時間である。本
発明で用いるシードのガラス転移温度と重合温度の関係
は、重合温度からシードのガラス転移温度を引いた温度
差が+10℃以上あることが好ましく、温度差が+20
℃以上あることがより好ましい。温度差が+10℃未満
だと、シードに中の添加される単量体の膨潤が不充分に
なり、重合安定性、粒径コントロール性が劣るようにな
り、本発明の目的を達成することができない。単量体組
成物の添加方法としては、各重合工程とも、単量体組成
物の一括添加法、単量体組成物の一部を添加した後に重
合の進行に従って断続的もしくは連続的に添加する方
法、また、単量体組成物を連続的に添加する方法等のい
ずれでもよい。また、単量体組成物を連続的に添加する
場合の添加速度にも、特に制限はない。
【0033】本発明のジエン系共重合体ラテックスの製
造方法では、一般の乳化重合に使用されている公知の連
鎖移動剤を使用することができる。例えば、α−メチル
スチレンダイマーなどの核置換α−メチルスチレンの二
量体類、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカ
プタン、n−ラウリルメルカプタン、n−ドデシルメル
カプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタ
ン類、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチ
ルチウラムジスルフィドなどのジスルフィド類、四塩化
炭素、四臭化炭素などのハロゲン化誘導体、2−エチル
ヘキシルチオグリコレート、ターピノーレンなどを挙げ
られ、これらの1種または2種以上が使用される。連鎖
移動剤としては特にα−メチルスチレンダイマ−、t−
ドデシルメルカプタン、ターピノーレンが好ましい。連
鎖移動剤は単量体100重量部あたり0.1〜10重量
部の範囲内で使用することが好ましい。この範囲を外れ
るとピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性のバ
ランスが低下し本発明の効果を出現させることが難しく
なる。α−メチルスチレンダイマーには、異性体として
2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,
4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテンおよび1,
1,3−トリメチル−3−フェニルインダンがあるが、
本発明で使用されるα−メチルスチレンダイマーとして
は、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの
比率が60重量%以上であることが好ましく、特に好ま
しくは、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテ
ンの比率が80重量%以上である。
【0034】界面活性剤としては、一般の乳化重合に使
用されている公知の界面活性剤を使用することができ
る。例えば、脂肪族セッケン、ロジン酸セッケン、アル
キルスルホン酸塩、ジアルキルアリールスルホン酸塩、
アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキ
ル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩
などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエ
ーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロック
コポリマーなどのノニオン性界面活性剤、スチレンスル
ホン酸ナトリウムの様な不飽和結合を有する反応性界面
活性剤、さらに必要に応じてベタイン型などの両性界面
活性剤などが挙げられ、これらの1種または2種以上が
使用される。この界面活性剤は通常、アニオン性界面活
性剤単独、反応性界面活性剤単独、アニオン性/反応性
またはアニオン性/ノニオン性の混合系で用いられ、そ
の使用量は全単量体の重量に対し、通常0.05〜2重
量%の範囲で選ばれる。
【0035】前記ラジカル重合開始剤は、熱または還元
性物質の存在下ラジカル分解して単量体の付加重合を開
始させるものであり、無機系開始剤および有機系開始剤
のいずれも使用できる。このようなものとしては、例え
ば水溶性又は油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化
合物等、具体的には過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウ
ム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒド
ロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビス
ブチロニトリル、クメンハイドロパーオキサイドなどが
あり、また他に、POLYMER HANDBOOK
(3rd edition)、J.Brandrupお
よびE.H.Immergut著、JohnWilly
& Sons刊(1989)に記載されている化合物
が挙げられる。また、酸性亜硫酸ナトリウム、アスコル
ビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリッ
トなどの還元剤を重合開始剤に組み合わせて用いる、い
わゆるレドックス重合法を採用することもできる。第一
工程では特に無機系のラジカル重合開始剤を使用するこ
とが好ましく、さらには重合の全工程において無機系の
ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。これら
の中で特に過硫酸塩が重合開始剤として好適である。こ
の重合開始剤の使用量は、全単量体の重量に対し、通常
0.1〜5.0重量%の範囲から、好ましくは0.2〜
3.0重量%の範囲から選ばれる。
【0036】本発明においては、必要に応じ各種重合調
整剤を添加することができる。例えば、pH調整剤とし
て、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモ
ニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸
水素二ナトリウムなどのpH調整剤を添加することがで
き、この中でも水酸化カリウムがピック強度と湿潤ピッ
ク強度のバランスを高める点で特に好ましく、重合後の
pH調整剤としては好適である。また、エチレンジアミ
ン四酢酸ナトリウムなどの各種キレート剤、無機電解
質、有機電解質、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアク
リル酸アンモニウム等の高分子電解質などを重合安定剤
や粘度重合調整剤として添加することもできる。また、
必要に応じ本発明の共重合体ラテックスにアルカリ感応
ラテックスを添加してもさしつかえない。
【0037】本発明の製造方法で得られるジエン系共重
合体ラテックスを紙塗工用塗料のバインダーとして用い
る場合には、通常行われている実施態様で行うことがで
きる。すなわち、分散剤を溶解させた水中に、カオリン
クレー、炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミ
ニウム、サチンホワイト、タルク等の無機顔料、プラス
チックピグメントやバインダーピグメントとして知られ
る有機顔料、澱粉、カゼイン、ポリビニルアルコール、
カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子、増粘
剤、染料、消泡剤、防腐剤、耐水化剤、滑剤、印刷適性
向上剤、保水剤等の各種添加剤とともにジエン系共重合
体ラテックスを添加して混合し、均一な分散液とする態
様である。顔料と本発明のジエン系共重合体ラテックス
の使用割合は組成物の使用目的によって適宜決定するこ
とが出来るが、好ましくは顔料100重量部に対してラ
テックス3〜30重量部である。そして、この紙塗工液
は、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナ
イフコーター、バーコーターなどを用いる通常の方法に
よって原紙に塗工することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下に実施例により本発明をさら
に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって
制約を受けるものではない。なお、各特性は次のように
求めた。 (a)シードの重量平均分子量:Mw シードをガラス転移温度(Tg)以上で成膜し、このフ
ィルムをテトラヒドロフランに溶解させ、ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリ
スチレン換算の重量平均分子量として求めた。 (b)シードのガラス転移温度:Tg 上記と同様に作成したシードラテックスフィルムについ
て、セイコー電子社製示差熱量計(DSC−220C)
を用いて、昇温速度15℃/分の条件で測定した。
【0039】(c)シードの平均粒子径、共重合体の平
均粒子径 光散乱法粒度分析計(シーエヌウッド社製モデル600
0)により、平均直径を求めた。 (d)粒径コントロール性 シード効率:eで判断した。e=Se÷Sf×100 ここで、Sfはモノマー量100部に対する仕込みシー
ド量であり、Dsは実測のシード粒子径であり、Dpは
実測のポリマー粒子径である。また、Seはモノマー量
100部に対する有効シード量であり、次式で与えられ
る。 Se=100/[(Dp)3/(Ds)3−1] 粒子径:Dp、Ds シード効率80%以上:○、50〜80%未満:△、5
0%未満:×と判定した。
【0040】(e)重合率の測定方法 重合中にサンプリングしたラテックスを2g秤量後、1
30℃で30分乾燥後、固形分を測定し、リアクター内
に添加される単量体量から重合率を求めた。 (f)重合安定性の測定方法 重合終了後、ラテックス1Lを200メッシュ金網でろ
過し、金網上に残った固形分を、130℃で60分乾燥
後、その重量を求めた。 0.2g未満:○、0.2〜0.4g:△、0.4gを
超えて以上:×と判定した。 (g)ドライピック強度 RI印刷試験機(明製作所)を用いて、中央部に塗工紙
(1.5cm×20cm)をならべて貼った台紙(30
cm×25.5cm)に、印刷インク(東華色素社製、
商品名:SDスーパーデラックス50紅B(タック18
のもの)0.5ccを25cm×21cmの印刷面積で
台紙ごと印刷し塗工紙に重ね刷りした。ゴムロールに現
れたピッキング状態を別の台紙に裏取りし、その状態を
観察した。評価は5点評価法で行い、ピッキング現象の
少ないものほど高得点とした。
【0041】(h)ウェットピック強度 RI印刷試験機(明製作所)を用いて、中央部に塗工紙
(1.5cm×20cm)ならべて貼った台紙(30c
m×25.5cm)にモルトンロールで塗工紙表面に給
水を行い、その直後に印刷インク(東華色素社製、商品
名:SDスーパーデラックス50紅B(タック15のも
の)0.5ccを25cm×21cmの印刷面積で1回
刷りを行い、ゴムロールに現れたピッキング状態を別の
台紙に裏取りし、その状態を観察した。評価は5点評価
法で行い、ピッキング現象の少ないものほど高得点とし
た。
【0042】(i)印刷光沢 RI印刷試験機(明製作所)を用いて、中央部に塗工紙
(1.5cm×20cm)をならべて貼った台紙(30
cm×25.5cm)に、印刷インク(大日本インク社
製、商品名:ジオスGスミ)0.6ccを25cm×2
1cmの印刷面積で1回刷りを実施した。23℃、湿度
50%で、24時間放置後、印刷光沢値を光沢計を用
い、60℃で測定した。60以上を合格とした。 (j)湿潤ベタツキ性 ラテックスをポリエチレンテレフタレートフィルム上に
No14のバーにより塗布し、130℃で30秒間乾燥
し、皮膜を形成させる。片面表面を水に浸漬した黒ラシ
ャ紙をこの皮膜と合わせて、カレンダーを用い、温度8
0℃の条件下で圧着させる。両者を引きはがして、黒ラ
シャ紙のラテックスへの転写の程度を目視で5点評価法
で行い、転写の少ないものほど高得点とした。
【0043】(シードA−Cの製造方法)撹拌機を備え
た温度調節可能な反応器の内部を予め窒素置換した後、
イオン交換水850重量部、ドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム20重量部、水酸化ナトリウム0.1重量
部、亜硫酸水素ナトリウム0.5重量部、硫酸第二鉄
0.0005重量部、表1に示す単量体混合物と連鎖移
動剤を全量加えてから、90℃に温度調節し、過硫酸ナ
トリウム1重量部とイオン交換水50重量部にを溶解さ
せた開始剤水溶液を一括添加した。その後2時間90℃
を保持してから、重合系内温度を下げ、シードラテック
ス分散液を得た。合成されたシードラテックス分散液は
固形分は、固形分約10重量%、ポリマーの粒径、Tg
およびMwは表1に示した。
【0044】
【表1】
【0045】
【実施例1】シードAを(固形分換算)0.3重量部
(シード水溶液固形分濃度10重量%)、ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部、イオン交換水
200重量部を撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り
付けた耐圧反応容器に入れた後、45℃で表2中の第一
工程単量体、第一工程連鎖移動剤と過硫酸ナトリウム1
部を添加し、反応を進行させた。開始剤添加開始6時間
後、表2中の第二工程単量体、連鎖移動剤を60℃で7
時間に渡って追添した。第二工程単量体添加終了後、内
温を65℃にして6時間反応させた。最終重合率は98
%であった。生成したラテックスは、200メッシュ金
網で濾過した。次に、水酸化カリウムを添加し、pH8
に調整後、未反応単量体を除去し、さらに濃縮後、ポリ
アクリル酸ナトリウム0.5重量部、水酸化カリウムを
加え、このジエン系共重合体ラテックスを最終的に固形
分濃度50%、pH8に調整した。
【0046】得られた共重合体ラテックスを用いて、下
記の配合で紙塗工用組成物を調整した。 (配合処方) カオリンクレー 70 重量部 炭酸カルシウム 30 重量部 ポリアクリル酸ナトリウム 0.2重量部 水酸化ナトリウム 0.1重量部 リン酸エステル化デンプン 2.5重量部 共重合体ラテックス 12 重量部 水(全固形分が64%になるように添加)
【0047】なお、カオリンクレーはウルトラホワイト
90(ENGELHARD社製)を、炭酸カルシウムは
カービタル90(ECC社製)を、ポリアクリル酸ナト
リウムはアロンT−40(東亞合成社製)を、リン酸エ
ステル化デンプンはMS−4600(日本食品加工社
製)をそれぞれ使用した。得られた紙塗工用組成物を坪
量75g/m2の塗工原紙に塗工量が片面14g/m2
なるようにブレード塗工後、恒温恒湿室(23℃、湿度
50%)に一晩放置した。これをカレンダーロールで、
ロール温度50℃、線圧147000N/mの条件で1
塗工面につき2回通紙する事により塗工紙を得た。この
塗工紙を用いておこなった評価結果を表3に示した。
【0048】
【実施例2】シード種としてシードBを用いた以外、実
施例1と同様に重合し、最終重合率は98%であった。
次いで、実施例1と同様に調整し、評価を実施した。
【0049】
【実施例3〜6】実施例1と同様に重合し、最終重合率
は97〜99%であった。次いで、実施例1と同様に調
整し、評価を実施した。
【0050】
【実施例7】第二工程単量体添加終了後の内温を70℃
にした以外、実施例1と同様に重合し、最終重合率は9
8%であった。次いで、実施例1と同様に調整し、評価
を実施した。
【0051】
【実施例8】シードAを(固形分換算)0.3重量部
(シード水溶液固形分濃度10重量%)、ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部、イオン交換水
200重量部を撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り
付けた耐圧反応容器に入れた後、45℃で表2中の第一
工程単量体、第一工程連鎖移動剤と過硫酸ナトリウム1
重量部を添加し、反応を進行させた。開始剤添加開始6
時間後、表2中の第二工程単量体、連鎖移動剤を60℃
で3時間に渡って追添し、次いで第三工程単量体、連鎖
移動剤を65℃で4時間に渡って追添した。第三工程単
量体添加終了後、内温を70℃にして6時間反応させ
た。最終重合率は96%であった。次いで、実施例1と
同様に調整し、評価を実施した。
【0052】
【実施例9】シードAを(固形分換算)0.3重量部
(シード水溶液固形分濃度10重量%)、ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部、イオン交換水
200重量部を撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り
付けた耐圧反応容器に入れた後、45℃で表2中の第一
工程単量体、第一工程連鎖移動剤の50重量%と過硫酸
ナトリウム1部を添加した。開始剤添加後、第一工程単
量体、第一工程連鎖移動剤の残りの50重量%を6時間
に渡って追添した。第一工程追添終了後、すぐに表2中
の第二工程単量体、連鎖移動剤を60℃で7時間に渡っ
て追添した。第二工程単量体添加終了後、内温を65℃
にして6時間反応させた。最終重合率は97%であっ
た。次いで、実施例1と同様に調整し、評価を実施し
た。
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【比較例1】シード種としてシードCを用いた以外、実
施例1と同様に重合し、評価を実施した。使用するシー
ドのTgが、本発明の請求項の範囲外であり、重合安定
性と粒径コントロール性が劣った。
【0056】
【比較例2、3】比較例2は、シードを使用しない以
外、実施例1と同様に重合し、評価を実施した。比較例
3は、シードを使用しない代わりに、還元剤として亜硫
酸水素ナトリウムを0.5部使用した以外、実施例1と
同様に重合し、評価を実施した。比較例2−3は、シー
ドを使用しないため、本発明の請求項の範囲外であり、
比較例2は重合安定性、粒径コントロール性、ウェット
ピック強度、印刷光沢が劣り、比較例3は、重合安定性
と数粒子径の標準偏差が大きくなったことによる印刷光
沢が劣った。
【0057】
【比較例4】重合温度55℃で1段で単量体を13時間
かけて添加後、内温を65℃にして6時間反応させた。
実施例4は多段重合でないため、本発明の請求項の範囲
外であり、ドライピック強度と湿潤ベタツキ性が劣っ
た。
【0058】
【比較例5、6】実施例1と同様に重合し、評価を実施
した。比較例5、6は、第一工程と最終工程それぞれの
単量体からなる共重合体部分の重量比が、本発明の請求
項の範囲外であり、比較例5は、重合安定性、粒径コン
トロール性、ドライピック強度、ウェットピック強度、
印刷光沢、湿潤ベタツキ性が劣り、比較例6はウェット
ピック強度と湿潤ベタツキ性が劣った。
【0059】
【比較例7】第一工程の重合温度60℃、第二工程の重
合温度75℃、第二工程単量体添加終了後、内温を90
℃にして6時間反応させた。第二工程単量体添加終了時
での重合率は75%であり、最終重合率は97%であっ
た。本比較例は、全単量体100重量部に対する重合率
が80%を越える時点で、重合温度が75℃を超えてい
るため、本発明の請求項の範囲外であり、ドライピック
強度、ウェットピック強度が劣った。
【0060】
【比較例8、9】実施例1と同様に重合し、評価を実施
した。比較例8、9は、第一工程と最終工程それぞれの
単量体からなる共重合体部分の溶解性パラメータ差が、
本発明の請求項の範囲外であり、比較例8は、湿潤ベタ
ツキ性が劣り、比較例9は、重合安定性、粒径コントロ
ール性、ドライピック強度が劣った。
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、ラテックスの粒子径を
正確にコントロールでき、シード効率が向上し、重合残
さが低減する。塗工紙におけるドライピック強度、ウェ
ットピック強度等の塗工紙バランスを向上することがで
きる。また、紙塗工におけるバッキングロール汚れ特性
を向上することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 KB02 KB08 KB13 KB14 KB19 PA63 PA69 PA70 PB08 PC02 PC06 PC09 PC13 4J026 AC34 BA05 BA10 BA20 BA24 BA26 BA31 BA33 BA45 BA46 BA47 BB03 BB04 DA04 DB04 FA04 GA06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス転移温度(Tg)30℃以下のラ
    テックス粒子をシードとして用い、共役ジエン系単量
    体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体およびこれらと
    共重合可能なその他単量体を、全単量体に対する重合率
    が少なくとも80%に達するまで重合温度75℃以下で
    重合を実施する多段重合により乳化重合するにあたっ
    て、第一工程で添加する単量体混合物(A)から得られ
    る共重合体部分(PA)と最終工程で添加する単量体混
    合物(B)から得られる共重合体部分(PB)の重量比
    が下記式(1)を満たし、かつ第一工程で添加する単量
    体混合物(A)から得られる共重合体部分(PA)の溶
    解性パラメータ(SPA)と最終工程で添加する単量体
    混合物(B)から得られる共重合体部分(PB)の溶解
    性パラメータ(SPB)とが下記式(2)を満たすジエ
    ン系共重合体ラテックスの製造方法。 0.25<(PA)/(PB)<4 (1) 0.2<(SPB)−(SPA)<2.0 (2)
  2. 【請求項2】 最終工程での重合温度が、第一工程での
    重合温度よりも、5℃以上高いことを特徴とする請求項
    1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 透過型電子顕微鏡により測定した粒子径
    の標準偏差が15以下である請求項1および2記載の製
    造方法により得られたジエン系共重合体ラテックス。
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