JP4666325B2 - 共重合体ラテックスおよび紙塗工用組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カーペットバッキング剤、接着剤、粘着剤、繊維結合剤、水系現像可能なフレキソ印刷用感光性樹脂および塗料などに用いられるジエン系共重合体ラテックスに関する。紙塗工用ラテックスに関し、さらに詳しくは、オフセット印刷、グラビア印刷に供される塗工紙あるいは塗工板紙その他に使用する紙塗工用のバインダーとして好適な、高性能のジエン系共重合体ラテックス、およびそれを用いる紙塗工用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成共重合体ラテックスは、例えば、紙塗工用バインダー、カーペットバックサイジング用バインダー、不織布や人工皮革などの繊維結合用バインダー、あるいは各種材料の粘接着剤などとして広く用いられている。共重合体ラテックスがこのような用途に用いられる場合、共重合体ラテックスには、接着強度が強く、耐水性、乾燥加熱による耐ブリスター性などに優れていることが要求される。
塗工紙は、紙の印刷適性の向上および光沢などの光学特性の向上を目的として、抄造された原紙表面に、カオリンクレー、炭酸カルシウム、サチンホワイト、タルク、酸化チタンなどの顔料、それらのバインダーとしての共重合体ラテックスおよび粘度調整剤あるいは補助バインダーとしてのスターチ、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性高分子を主構成成分とする紙塗工用組成物が塗工されているものである。
【0003】
ここで、バインダーとしての共重合体ラテックスとしては従来からスチレンとブタジエンを主要モノマー成分として乳化重合されたスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス、いわゆるSB系ラテックスが汎用的に用いられている。
近年、カラー印刷された雑誌類やパンフレット、広告類の需要の拡大に伴って印刷速度の高速化が進められており、塗工紙および顔料バインダーに対する要求水準はますます高度化している。その中でも、特にインクピック抵抗性、いわゆるピック強度と、湿し水が塗布された後のインクピック抵抗性、いわゆる湿潤ピック強度の向上が強く求められている。これらのピック強度性能自体が負の相関関係にあるだけでなく、他の印刷物性、すなわち耐ブリスター性、紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性などとも負の相関関係にあるため、これらの諸物性を高水準にバランス化させる改良が一段と要求されている。これらの相反する物性は、顔料バインダーとして用いられているジエン系共重合体ラテックスの性能に強く依存することから、これまでジエン系共重合体ラテックスについて種々の検討がなされてきた。
【0004】
例えば、これらの諸物性の高バランス化を目指し、2段もしくは多段重合法において特定のモノマー組成で重合する方法を用いたラテックスの改良が提案されている(第1427990号公報,特開昭62−117897号公報,特開平6−240559号公報,特開平7−258308号公報,特開平7−324112号公報,特開平7−324113号公報,特開平9−31141号公報,特開平9−31895号公報)。しかしながら近年における本技術分野においては、より高度な物性バランスの達成が要求されており、いずれの方法も塗工紙におけるピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性や紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性を向上させる方法として十分とは言い難かった。
【0005】
一方、塗工紙の生産能力を向上するために近年高速塗工化が進んでおり、塗工液においては塗工の高速化に伴う乾燥能力の低下への対応および生産効率を高める目的で塗工液の高固形分化が進められている。塗工液を高固形分化するには、重質炭酸カルシウムの配合率を高める等の顔料面からの流動性の改良とスターチ等の増粘性の大きい水溶性バインダーを減らしラテックスを増量することによるバインダー面からの改良が採られている。しかし、炭酸カルシウム比率を高める顔料面からの流動性の改良では、白紙光沢が低下し好ましくない。また、ラテックス量を増量するバインダー面からの流動性の改良では、塗工紙表面のベタツキ性を増大させるため、バッキングロール汚れやスーパーカレンダー汚れなどの問題を発生させ好ましくない。これらの問題を解決するために共重合体ラテックスを重合するにあたり、2段重合で第2段目にシアン化ビニル単量体、アミド基含有エチレン性不飽和単量体を重合することが提案されている(特開平4−240297号公報,特開平5−239113号公報)が、これらの方法では塗工紙の印刷適性と共重合体ラテックスの耐ベタツキ性は改善されるものの十分とは言い難く高速塗工のための高固形分条件下での塗工液の流動性は満足し得るものではなかった。さらに、共重合ラテックスを重合するにあたり、2段重合を行い第2段目にメタクリロニトリルをある添加速度で連続的に添加重合することにより、塗工紙の印刷適性と高速塗工のための高固形分の塗工液の流動性に優れることが提案されている(特開平10−182709)が、この方法でも塗工紙の印刷適性と紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性が満足し得るものではなかった。
このように、従来の技術では印刷と塗工紙の製造の一層の高速化に対応することができず、生産性を高め高品質の塗工紙の製造を可能にするバインダーとしての共重合体ラテックスの出現が強く求められているのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の通り、従来の紙塗工用バインダーは、これを用いた塗工紙のピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性および操業性における要求を同時に満足させることはできなかった。本発明はこのような事情のもとで、塗工紙におけるピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性に優れ、かつ紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性(耐ベタツキ性および再分散性)に優れる高性能の共重合体ラテックスを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記のような従来技術の持つ問題点に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、反応性乳化剤の存在下で乳化重合することにより得られる特定のジエン系共重合体ラテックスが目的を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の第1は、1種または2種以上の反応性乳化剤の存在下で、多段重合法により乳化重合して得られる共役ジエン系共重合体ラテックスであって、第一工程が共役ジエン系単量体(a)10〜50重量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体(b)0.5〜30重量%、および共役ジエン系単量体(a)およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体(b)と共重合可能なその他の単量体(c)20〜89.5重量%(ただし(a)+(b)+(c)=100重量%)からなり、第二工程が共役ジエン系単量体(a)30〜80重量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体(b)0〜20重量%、および共役ジエン系単量体(a)およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体(b)と共重合可能なその他の単量体(c)0〜70重量%(ただし(a)+(b)+(c)=100重量%)からなる共役ジエン系共重合体ラテックスである。
発明の第2は、反応性乳化剤が下記の一般式(I)である請求項1記載のジエン系共重合体ラテックスである。
【0008】
【化6】
【0009】
(式中、R1は水素またはメチル基、R2は炭素数8〜24の炭化水素基またはアシル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、mは0〜50の整数、nは0〜50の整数、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウムである。)
発明の第3は、反応性乳化剤が下記の一般式(II)である請求項1記載のジエン系共重合体ラテックスである。
【0010】
【化7】
【0011】
(式中、 Aは炭素数2〜4のアルキレン基、kは1または2の整数、lは1〜50の整数、mは0〜50の整数、nは1または2の整数、Xは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウムである。)
発明の第4は、反応性乳化剤が下記の一般式(III)である請求項1記載のジエン系共重合体ラテックスである。
【0012】
【化8】
【0013】
(式中、R1は炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基、R2は水素または炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基、R3は水素またはプロペニル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜200の整数、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウムである。)
発明の第5は、反応性乳化剤が下記の一般式(IV)である請求項1記載のジエン系共重合体ラテックスである。
【0014】
【化9】
【0015】
(式中、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、mは0〜100の整数、nは0〜100の整数、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウムである。)
【0017】
発明の第6は、発明の第1乃至5のいずれかに記載のジエン系共重合体ラテックスを含む紙塗工用組成物である。
【0018】
本発明について以下にさらに詳しく説明する。
本発明のジエン系共重合体ラテックスは、2段階以上の多段階重合法を用いて乳化重合することによって製造される。
本発明で使用される反応性乳化剤とは、分子中にラジカル重合性の二重結合を有する乳化剤を意味し、アニオン性、ノニオン性、カチオン性のいずれでもよく、つぎのようなものを例示することができる。
【0019】
下記一般式(I)で表されるものとして、例えば旭電化工業(株)製アデカリアソープ(商標)SE−1025N等。
あるいは、下記一般式(II)で表されるリン酸エステル系のものとして、旭電化工業(株)製SDX−1055等。
あるいは、下記一般式(III)で表されるアルキルフェノールエーテル系、例えば第一工業製薬(株)製アクアロン(商標)HS−10等。
【0020】
あるいは、下記一般式(IV)で表されるもの、例えば第一工業製薬(株)製アクアロン(商標)KH−10等。
あるいは、下記一般式(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、で表されるアリルスルホコハク酸塩で、例えば花王(株)製ラテムル(商標)S−120、S−180A、S−180、三洋化成(株)製エレミノール(商標)JS−2等。
その他、p−スチレンスルホン酸塩、メチルプロパンスルホン酸アクリルアミドの塩、アクリル酸スルホアルキルエステルの塩、メタアクリル酸スルホアルキルエステルの塩などもあげることができるが、これだけに限定されるものではない。
【0021】
これらの反応性乳化剤は、1種または2種類以上を使用することができ、その使用量は全単量体の重量に基づき、0.01〜10重量%、好ましくは0.02〜7重量%、さらに好ましくは0.03〜5重量%の範囲である。使用量が0.01重量%未満では紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性の指標の1つとなる共重合体ラテックス再分散性が低く、また重合安定性に劣り、10重量%を超えて使用すると塗工紙の湿潤ピック強度が低下し好ましくない。
【0022】
本発明の第一工程の単量体は、共役ジエン系単量体(a)、エチレン性不飽和カルボン酸単量体(b)、および共役ジエン系単量体(a)およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体(b)と共重合可能なその他の単量体(c)とからなる。
本発明の第一工程に用いられる(a)共役ジエン系単量体としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等を挙げることができるが、好ましくは1,3−ブタジエンである。これらの共役ジエン系単量体は、1種あるいは2種以上を組み合わせて使用される。
【0023】
これらの共役ジエン系単量体(a)の好ましい使用量は、第一工程の単量体の10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%、さらに好ましくは20〜40重量%である。(a)成分の使用量が10重量%未満では得られる重合体が脆くなり、塗工紙のピック強度の改良効果が十分に得られない。また、50重量%を超えると、紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性の指標となる共重合体ラテックスの耐ベタツキ性改良効果、および塗工紙の湿潤ピック強度の改良効果が十分に出現されず、本発明の目的が十分に達せられない。
【0024】
第一工程で使用されるエチレン性不飽和カルボン酸単量体(b)としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などが挙げられる。これらのエチレン性不飽和カルボン酸単量体は1種あるいは2種以上組み合わせてもよく、その好ましい使用量は、第一工程の単量体の0.5〜30重量%、さらに好ましくは0.7〜25重量%、最も好ましくは1〜20重量%の範囲で選ばれる。この量が0.5重量%未満では、ラテックスの分散安定性が十分でなく、塗工液調整や塗工時において種々の問題が生じ、かつピック強度も低い。10重量部を超えるとラテックスや塗工液の粘度が高くなり過ぎると共に、湿潤ピック強度が低下する傾向が見られ好ましくない。
【0025】
第一工程で使用される共役ジエン系単量体(a)およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体(b)と共重合可能なその他の単量体(c)としては、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、(メタ)アクリルアミド系単量体、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、アミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレートなどのアミノ基含有エチレン性単量体類、スチレンスルホン酸ナトリウムなどを挙げることができる。これらの共重合可能な単量体は1種あるいは2種以上を組み合わせて使用される。
【0026】
芳香族ビニル系単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルキシレン、ブロモスチレン、ビニルベンジルクロリド、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンなどが挙げられるが、特にスチレンが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチル−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールエトキシアクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0027】
シアン化ビニル系単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリルニトリルなどを挙げることができるが、特にアクリロニトリルが好ましい。これらのシアン化ビニル系単量体は1種あるいは2種以上組み合わせてもよい。(b)成分の好ましい使用量は、全単量体の重量に基づき60重量部以下、好ましくは50重量部以下である。その使用量が60重量部を越えるとラテックスの重合安定性に劣り好ましくない。
【0028】
(メタ)アクリルアミド系単量体としては、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミドなどのN−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのN、N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、グリシジルメタアクリルアミド、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられ、その好ましい使用量は全単量体の重量に基づき10重量部以下、さらに好ましくは7重量部以下である。10重量部を超えて使用するとラテックスおよび紙塗工組成物の低せん断粘度を上げてしまい作業性を悪化させてしまうので好ましくない。
【0029】
本発明の第二工程の単量体は、共役ジエン系単量体(a)、エチレン性不飽和カルボン酸単量体(b)、および共役ジエン系単量体(a)およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体(b)と共重合可能なその他の単量体(c)とからなる。
本発明の第二工程に用いられる共役ジエン系単量体(a)は第一工程で用いられる共役ジエン系単量体例と同様であり、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等を挙げることができるが、好ましくは1,3−ブタジエンである。これらの共役ジエン系単量体は、1種あるいは2種以上を組み合わせて使用される。
【0030】
これらの共役ジエン系単量体(a)の好ましい使用量は、第二工程の単量体の30〜80重量%、好ましくは35〜75重量%、さらに好ましくは40〜70重量%である。この使用量が30重量%未満では得られる重合体が脆くなりすぎ、十分に高いピック強度が得られ難い。また、80重量%を超えると、要求される耐ベタツキ性を達成することが難しく、本発明の目的が十分に達せられない。
第二工程で使用されるエチレン性不飽和カルボン酸単量体(b)としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などが挙げられる。これらのエチレン性不飽和カルボン酸単量体は1種あるいは2種以上組み合わせてもよく、その好ましい使用量は、第ニ工程の単量体の0〜20重量%、さらに好ましくは0〜18重量%、最も好ましくは0〜15重量%の範囲で選ばれる。この量が20重量部を超えると湿潤ピック強度が悪化するとともに、塗工液の粘度が高くなり過ぎるので好ましくない。
【0031】
第二工程で使用される共役ジエン系単量体(a)およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体(b)と共重合可能なその他の単量体(c)としては、第一工程で用いられる共役ジエン系単量体(a)と共重合可能なその他の単量体例と同様であり、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、(メタ)アクリルアミド系単量体、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、アミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレートなどのアミノ基含有エチレン性単量体類、スチレンスルホン酸ナトリウムなどを挙げることができる。これらの共重合可能な単量体は1種あるいは2種以上を組み合わせて使用される。
【0032】
本発明では、本発明の効果を出現させる上で第一工程に添加された単量体から乳化重合して得られた共重合体の第二工程の重合を開始する時点でのゲル含量は20〜90重量%であることが好ましく、さらには30〜80重量%であることが好ましい。第二工程の重合を開始する時点でのゲル含量が20重量%未満では特に紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性の指標となる耐ベタツキ性の向上が十分に認められず、90重量%を超えるとピック強度の向上が十分に認められない。なお、本発明ではトルエン不溶分をもってゲル含量とする。
【0033】
また、第一工程に添加された単量体の第二工程の重合を開始する時点での重合転化率は50〜90重量%であることが好ましく、さらには60〜80重量%であることが好ましい。重合転化率が50重量%未満では特に湿潤ピック強度と紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性の向上が十分に認められず、90重量%を超えるとピック強度の向上が十分に認められない。
本発明の第一工程で添加される単量体と第二工程で添加される単量体の重量比は、用いる単量体の組成内容、重合転化率、および各々の単量体由来の共重合体間の相溶性により一概に決定できないが、通常1/9〜9/1までが選択され、好ましくは3/7〜7/3の範囲である。該重量比が1/9未満では湿潤ピック強度、耐ベタツキ性の改良効果が十分でなく、また、9/1を超えると特にピック強度の改良効果が十分でなく、いずれも本発明の効果であるピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性バランスの向上が十分に認められず好ましくない。
【0034】
本発明で使用される単量体を乳化重合するに際しては、特に制限はなく、従来公知の方法で、水性媒体中で前記の単量体、連鎖移動剤と反応性乳化剤以外の乳化剤、ラジカル重合開始剤と必要に応じて用いられる他の添加剤成分を基本構成成分とする分散系において単量体を重合させて、共重合体粒子の水性分散液、すなわちジエン系共重合体ラテックスを製造する方法などが用いられる。
このジエン系共重合体ラテックス中の共重合体の濃度は40〜60重量%の範囲で選ばれ、また、その平均粒子径は0.04〜0.4μmの範囲にあることが望ましく、さらに0.05〜0.2μmの範囲にあることが好ましい。平均粒子径はシードラテックスや乳化剤の使用割合などによって調整することができ、一般にその使用割合を高くするほど生成共重合体ラテックスの平均粒子径は小さくなる傾向がある。シードラテックスの重合は、本発明のラテックスの重合に先だって同一反応容器で行っても、異なる反応容器で重合したシードラテックスを用いても良い。
【0035】
単量体組成物の添加方法としては、各重合工程とも、単量体組成物を一括添加する方法、単量体組成物の一部を添加した後に重合の進行に従って断続的もしくは連続的に添加する方法、また、単量体組成物を連続的に添加する方法等のいずれでもよい。また、単量体組成物を連続的に添加する場合の添加速度にも、特に制限はない。
【0036】
本発明のジエン系共重合体ラテックスは、一般の乳化重合に使用されている公知の連鎖移動剤を使用することができる。例えば、α−メチルスチレンダイマーなどの核置換α−メチルスチレンの二量体類、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドなどのジスルフィド類、四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化誘導体、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノーレンなどを挙げられ、これらの1種または2種以上が使用される。連鎖移動剤としては特にα−メチルスチレンダイマ−およびt−ドデシルメルカプタンが好ましい。連鎖移動剤は単量体100重量部あたり0.2〜10重量部の範囲内で使用することが好ましい。この範囲を外れるとピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性のバランスが低下し本発明の効果を出現させることが難しくなる。α−メチルスチレンダイマーには、異性体として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテンおよび1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダンがあるが、本発明で使用されるα−メチルスチレンダイマーとしては、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの比率が60重量%以上であることが好ましく、特に好ましくは、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの比率が80重量%以上である。
【0037】
反応性乳化剤以外の乳化剤としては、一般の乳化重合に使用されている公知の乳化剤を使用することができる。例えば、脂肪族セッケン、ロジン酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、ジアルキルアリールスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩などのアニオン性乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーなどのノニオン性乳化剤、さらに必要に応じてベタイン型などの両性乳化剤などが挙げられ、これらの1種または2種以上が使用される。この乳化剤は通常、アニオン性乳化剤単独、反応性乳化剤単独、アニオン性/反応性またはアニオン性/ノニオン性の混合系で用いられ、その使用量は全単量体の重量に基づき、通常0〜3重量%の範囲で選ばれる。
【0038】
前記ラジカル重合開始剤は、熱または還元性物質の存在下ラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものであり、無機系開始剤および有機系開始剤のいずれも使用できる。このようなものとしては、例えば水溶性又は油溶性のペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等、具体的にはペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロパーオキサイドなどがあり、また他に、POLYMER HANDBOOK(3rd edition)、J.BrandrupおよびE.H.Immergut著、John Willy & Sons刊(1989)に記載されている化合物が挙げられる。また、酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始剤に組み合わせて用いる、いわゆるレドックス重合法を採用することもできる。第一工程では特に無機系のラジカル重合開始剤を使用することが好ましく、さらには重合の全工程において無機系のラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。これらの中で特にペルオキソ二硫酸塩が重合開始剤として好適である。この重合開始剤の使用量は、全単量体の重量に基づき、通常0.1〜5.0重量%の範囲から、好ましくは0.2〜3.0重量%の範囲から選ばれる。
【0039】
この乳化重合における重合温度は、通常60〜100℃の範囲で選ばれるが、前記レドックス重合法等により、より低い温度で重合を行っても良い。また、各重合工程での重合温度は同じでも異なっていても良い。重合時間は、通常5〜30時間である。また、本発明の第二工程終了後にさらに単量体を添加し、重合工程を重ねても良い。
本発明においては、必要に応じ各種重合調整剤を添加することができる。例えば、pH調整剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどのpH調整剤を添加することができ、この中でも水酸化カリウムがピック強度と湿潤ピック強度のバランスを高める点で特に好ましく、重合後のpH調整剤としては好適である。また、エチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどの各種キレート剤なども重合調整剤として添加することもできる。また、必要に応じ本発明の共重合体ラテックスにアルカリ感応ラテックスを添加してもさしつかえない。
【0040】
本発明のジエン系共重合体ラテックスを紙塗工用塗料のバインダーとして用いる場合には、通常行われている実施態様で行うことができる。すなわち、分散剤を溶解させた水中に、カオリンクレー、炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、タルク等の無機顔料、プラスチックピグメントやバインダーピグメントとして知られる有機顔料、澱粉、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子、増粘剤、染料、消泡剤、防腐剤、耐水化剤、滑剤、印刷適性向上剤、保水剤等の各種添加剤とともにジエン系共重合体ラテックスを添加して混合し、均一な分散液とする態様である。顔料と本発明のジエン系共重合体ラテックスの使用割合は組成物の使用目的によって適宜決定することが出来るが、好ましくは顔料100重量部に対してラテックス3〜30重量部である。そして、この紙塗工液は、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーターなどを用いる通常の方法によって原紙に塗工することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制約を受けるものではない。なお、各特性は次のようにして求めた。
(1)共重合体ラテックスの性状
(い)粒径
光散乱法粒度分析計(シーエヌウッド社製モデル6000)により共重合体ラテックス粒子の平均直径を測定した。
(ろ)ゲル含量(トルエン不溶分)
共重合体ラテックス試料をpH8に調整し、100℃で30分間乾燥してフィルムを作製した。トルエン(30ml)中にこの乾燥フィルム(0.5g)を加え、3時間振とうした後、325メッシュの金網で濾過し、金網上に残った固形分を乾燥し、全固形分に対する重量%を求めた。
【0042】
(は)耐ベタツキ性
マイラーフィルムにラテックスをNo13ワイヤーバーにて塗布した後、130℃で60秒乾燥する。黒ラシャ紙と重ね合わせ、温度70℃、線圧20kg/cmのスーパーカレンダーを通す。黒ラシャ紙をマイラーフィルムより剥離し、ラシャ紙繊維のラテックスフィルム上への転移を肉眼で観察した。評価は10点評価法で行い、転移の少ないものほど高得点とした。
(に)再分散性
マイラーフィルムにラテックスをNo18ワイヤーバーにて塗布した後、90℃で30秒乾燥する。得られたラテックスフィルムを30℃の水に30秒浸漬した後、水から出し、指で擦り再分散の程度を目視評価した。評価は5点評価法で行い、再分散の程度が著しいものほど高得点とした。
【0043】
(2)紙塗工性能評価
(い)ピック強度
RI印刷試験機(明製作所)を用いて、中央部に塗工紙(1.5cm×20cm)をならべて貼った台紙(30cm×25.5cm)に、印刷インク(東華色素社製、商品名:SDスーパーデラックス50紅B(タック18のもの)0.4ccを25cm×21cmの印刷面積で台紙ごと印刷し塗工紙に重ね刷りした。ゴムロールに現れたピッキング状態を別の台紙に裏取りし、その状態を観察した。評価は10点評価法で行い、ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。
【0044】
(ろ)湿潤ピック強度
RI印刷試験機(明製作所)を用いて、中央部に塗工紙(1.5cm×20cm)ならべて貼った台紙(30cm×25.5cm)にモルトンロールで塗工紙表面に給水を行い、その直後に印刷インク(東華色素社製、商品名:SDスーパーデラックス50紅B(タック15のもの)0.4ccを25cm×21cmの印刷面積で1回刷りを行い、ゴムロールに現れたピッキング状態を別の台紙に裏取りし、その状態を観察した。評価は10点評価法で行い、ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。
【0045】
(は)耐ブリスター性
RI印刷試験機(明製作所)を用いて、台紙(30cm×25.5cm)の中央部に塗工紙(20cm×20cm)を貼り、印刷インク(大日本インキ社製、商品名:Webb Zett 黄)0.3ccを25cm×21cmの印刷面積で台紙ごとべた刷りした。この条件で両面印刷された塗工紙を適当な大きさに裁断し、その試験片を所定の温度に調整したシリコンオイル恒温槽に浸してブリスターが発生するか否かを観察した。恒温槽の温度を変化させてこの試験を行った。ブリスター発生温度が高いものほど耐ブリスター性に優れる。
【0046】
【実施例1】
平均直径0.035μmのシード粒子の水性分散体(シード固形分濃度重量35%)3.0重量部を撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に入れ、さらに水70重量部、反応性乳化剤A(アデカリアソープ(商標)SE−1025N、旭電化(株)製)1部、表1に示す第一工程用単量体の内のイタコン酸の組成(重量部)に第一工程の添加比率(重量%)を乗じた部数を仕込み、内温を80℃に昇温した。次いで表1に示す第一工程重合用単量体の内のイタコン酸を除く単量体と連鎖移動剤の組成(重量部)に第一工程の添加比率(重量%)を乗じた部数を混合した単量体組成物と、水15重量部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム1重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1重量部、水酸化ナトリウム0.2重量部からなる開始剤系水溶液を、それぞれ2時間および3時間かけて一定の流速で添加した。第一工程重合用単量体混合物の添加終了から1時間後より表1に示す第二工程重合用単量体の組成(重量部)に第二工程の添加比率(重量%)を乗じた部数を混合した単量体組成物を3時間かけて連続的に添加した。そして80℃の温度をそのまま4時間保ったのち冷却した。次いで生成したジエン系共重合体ラテックスに水酸化ナトリウムを添加してpHを8とした。次に、スチームストリッピング法により未反応単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過した。このジエン系共重合体ラテックスは最終的には固形分濃度50重量%になるように調整した。このようにして得られたジエン系共重合体ラテックスをラテックス(イ)とする。
【0047】
【実施例2〜7】
表1に示した反応性乳化剤(B:リン酸エステル型反応性乳化剤、SDX−1055、旭電化(株)製、C:アクアロン(商標)HS−10、第一工業製薬(株)製、D:アクアロン(商標)KH−10、第一工業製薬(株)製、E:エレミノール(商標)JS−2、三洋化成(株)製)、単量体成分、連鎖移動剤を用い、単量体組成物の添加時間を各工程の添加比率に応じて増減した以外は実施例1と同様の方法でラテックス(ロ)〜(ト)を得た。
【0048】
【比較例1〜3】
表1に示した乳化剤、単量体成分、連鎖移動剤を用い、単量体組成物の添加時間を各工程の添加比率に応じて増減した以外は実施例1と同様の方法でラテックス(チ)〜(ヌ)を得た。
【0049】
【表1】
【0050】
【実施例8〜14】
ラテックス(イ)〜(ト)を用いて下記の配合で紙塗工用組成物を調整した。
(配合処方)
カオリンクレー 70 重量部
炭酸カルシウム 30 重量部
ポリアクリル酸ソーダ 0.2 重量部
水酸化ナトリウム 0.1 重量部
リン酸エステル化デンプン 2.5 重量部
共重合体ラテックス 12 重量部
水(全固形分が64%になるように添加)
【0051】
なお、カオリンクレーとしてはウルトラホワイト90(ENGELHARD社製)を、炭酸カルシウムとしてはカービタル90(ECC社製)を、ポリアクリル酸ソーダとしてはアロンT−40(東亜合成社製)を、リン酸エステル化デンプンとしてはMS−4600(日本食品化工社製)をそれぞれ使用した。
得られた紙塗工用組成物を坪量75g/m2 の塗工原紙に塗工量が片面14g/m2 になるように両面ブレード塗工して、塗工紙を得た。この塗工紙を用いて行った評価結果を表2に示す。
【0052】
【比較例4〜6】
ラテックスとして、(チ)〜(ヌ)を用いた以外は実施例8〜14と同様にして塗工紙を得た。この塗工紙を用いて行った評価結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
表2から明らかなように、本発明の共重合体ラテックス(イ)〜(ホ)をバインダーとして用いた塗工紙(実施例8〜12)は、いずれも塗工紙におけるピック強度、湿潤ピック強度等の塗工紙物性に優れ、かつ紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性の指標となる耐ベタツキ性および、再分散性に優れていることが分かる。
第一工程の添加比率を30重量%にしたラテックス(ヘ)では、湿潤ピック強度と耐ベタツキ性がやや劣る(実施例13)。
【0055】
第一工程の添加比率を70重量%にしたラテックス(ト)では、耐ベタツキ性にやや優れるが、ピック強度がやや劣る(実施例14)。
これに対して、反応性乳化剤を使用しないラテックス(チ)〜(ヌ)では、特に湿潤ピック強度、耐ベタツキ性および再分散性に劣り、かつ重合安定性もやや劣る(比較例4〜6)。
【0056】
【発明の効果】
塗工紙におけるピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性をバランス良く向上することができる。また、紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性の指標となる耐ベタツキ性、再分散性を向上することができる。
Claims (6)
- 1種または2種以上の反応性乳化剤の存在下で、第一工程が共役ジエン系単量体(a)10〜50重量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体(b)0.5〜30重量%、および共役ジエン系単量体(a)およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体(b)と共重合可能なその他の単量体(c)20〜89.5重量%(ただし(a)+(b)+(c)=100重量%)からなり、第二工程が共役ジエン系単量体(a)30〜80重量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体(b)0〜20重量%、および共役ジエン系単量体(a)およびエチレン系不飽和カルボン酸単量体(b)と共重合可能なその他の単量体(c)0〜70重量%(ただし(a)+(b)+(c)=100重量%)からなる二段重合法により乳化重合して得られるジエン系共重合体ラテックス。
- 反応性乳化剤が下記の一般式(I)である請求項1記載のジエン系共重合体ラテックス。
- 反応性乳化剤が下記の一般式(II)である請求項1記載のジエン系共重合体ラテックス。
- 反応性乳化剤が下記の一般式(III)である請求項1記載のジエン系共重合体ラテックス。
- 反応性乳化剤が下記の一般式(IV)である請求項1記載のジエン系共重合体ラテックス。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載のジエン系共重合体ラテックスを含む紙塗工用組成物。
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