JP3029298B2 - 紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法 - Google Patents

紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法

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JP3029298B2
JP3029298B2 JP03003896A JP389691A JP3029298B2 JP 3029298 B2 JP3029298 B2 JP 3029298B2 JP 03003896 A JP03003896 A JP 03003896A JP 389691 A JP389691 A JP 389691A JP 3029298 B2 JP3029298 B2 JP 3029298B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、共重合体ラテックスの
製造方法に関するものである。さらに詳しくは、紙塗工
用のバインダーとして好適な高性能の共重合体ラテック
スを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来,合成共重合体ラテックスは、例え
ば紙塗工用バインダー、カーペットバックサイジング用
バインダー、不織布や人工皮革などの繊維結合用バイン
ダー、あるいは各種材料の粘接着剤などとして広く用い
られている。そして、共重合体ラテックスがこのような
用途に用いられる場合、該共重合体ラテックスは、接着
強度が高く、かつ耐水性、乾燥加熱による耐ブリスター
性などに優れていることが要求される。
【0003】例えば、塗工紙は、紙の印刷適性の向上お
よび光沢などの光学的特性の向上を目的として、抄造さ
れた原紙表面に、カオリンクレー、炭酸カルシウム、サ
チンホワイト、タルク、酸化チタンなどの顔料、それら
のバインダーとしての共重合体ラテックスおよび保水剤
あるいは補助バインダーとしてのスターチ、カゼイン、
ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース
などの水溶性高分子を主構成成分とする塗料が塗工され
たものである。該共重合体ラテックスとしては、スチレ
ンとブタジエンを主要単量体成分とし、これらを乳化重
合して得られたスチレン−ブタジエン系共重合体ラテッ
クス、いわゆるSBラテックスが汎用的に用いられてい
る。
【0004】ところで、近年、カラー印刷された雑誌類
やパンフレット、広告類の需要の拡大に伴って、塗工紙
の生産が著しく増大している。特に、オフセット印刷で
の高速印刷化傾向に伴い、塗工紙および顔料バインダー
の品質に対する要求水準もますます高度化しており、そ
のため、塗工紙の品質の中でも特にインクピック抵抗
性、いわゆるピック強度の向上が強く求められている。
しかも、このピック強度性能は他の印刷物性、すなわち
湿潤ピック強度、耐ブリスター性、網点再現性などとは
負の相関関係にあるため、これらの諸物性を高水準にバ
ランス化させる改良が一段と要求されている。塗工紙の
これらの性質は、顔料バインダーとして用いられるSB
系ラテックスの性能に特に強く依存することから、これ
まで該SBラテックスの性能について種々の検討が加え
られてきた。例えば、共重合体ラテックスの皮膜のベン
ゼン、トルエン、テトラヒドロフランなどの溶剤に対す
る不溶解部分の割合がピック強度と耐ブリスター性の支
配因子であることが確認されていることから、この面よ
り種々の検討がなされており、具体的にはラテックス中
の共重合体の組成およびゲル分率を特定の範囲に調整す
ることにより、優れた性能を発揮させることが提案され
ている(特公昭59−3598号公報、特公昭60−1
7879号公報、特開昭58−4894号公報)。この
ゲル分率は、一般的に重合温度および連鎖移動剤により
調整されている。
【0005】しかしながら、連鎖移動剤によりゲル分率
を調整した場合、一般的には塗工紙のピック強度は、S
Bラテックスにおいてそのゲル分率が75〜95重量%
の範囲で最も高くなるのに対して、耐ブリスター性はゲ
ル分率の低いものほど良好となることが認められてお
り、ピック強度と耐ブリスター性の両方を同時に高い水
準まで向上させるには、前記の技術は、いずれも充分に
満足し得るものではない。
【0006】さらに,塗工紙の生産量の伸長に伴い、生
産能力を向上するために、高速塗工化が進んでいる。高
速塗工に伴う乾燥能力の低下への対応および生産効率を
高める目的で塗工液の高固形分化が進められている。塗
工液を高固形分化するには、重質炭酸カルシウムの配合
比率を高める等の顔料面からの流動性の改良とスターチ
等の増粘性の大きい水溶性バインダーを減らしラテック
スを増量することによるバインダー面から流動性の改良
が取られている。しかし、バインダー面からの改良にお
いては、バッキングロールやカレンダーロール汚れの問
題があり、未だ解決されていないのが現状である。特
に、ウェブオフセット印刷用紙の耐ブリスター性の向上
を目的としてゲル分率を低く設定した共重合ラテック
スは、耐ベタツキ性に劣り、バッキングロールの汚れが
問題になる傾向にある。また、グラビア印刷用紙の製造
においては、網点再現性を高めるために低Tgの共重合
体ラテックスを用いるために、耐ベタツキ性に劣り、ス
ーパーカレンダー汚れが起きやすい。
【0007】耐ベタツキ性を改良する方法として共重合
ラテックスにアミド基含有エチレン系不飽和単量体を導
入する方法が提案されている(特開昭63−01264
7号公報、特開平2−210094号公報)。しかし、
これらの方法では、共重合体ラテックスの耐ベタツキ性
改良が充分でなく、特に低ゲルラテックスおよび低Tg
の共重合体ラテックスの耐ベタツキ性に劣る欠点があ
る。このように、従来技術では塗工紙の製造および印刷
のいっそうの高速化に対応することができず、高品質の
塗工紙の製造を可能にするバインダーとしての共重合体
ラテックスの出現が強く求められているのが現状であ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の通り、従来の紙
塗工用バインダーは、これを用いて得られる塗工紙がピ
ック強度、湿潤ピック強度、着肉性、耐ブリスター性、
印刷光沢、グラビア印刷適性などの塗工紙物性および操
業性における要求を同時に十分に答えることができなか
った。本発明により、このような事情のもとで、シート
オフセット印刷紙塗工においては耐バッキングロール汚
れ特性、湿潤ピック強度に優れ、ウェブオフセット印刷
紙塗工においては耐バッキングロール汚れ特性、ピック
強度、湿潤ピック強度ならびに塗工カラーの機械的安定
性に優れ,グラビア印刷紙塗工においては耐スーパーカ
レンダー汚れ特性、網点再現性に優れる塗工紙を得るこ
とができる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の高
性能共重合体ラテックスを開発すべく鋭意研究を重ねた
結果、単量体として、(a)共役ジエン系単量体、
(b)芳香族ビニル系単量体、(c)エチレン系不飽和
カルボン酸、(d)シアン化ビニル系単量体、(e)ア
ミド基含有エチレン系単量体、および(f)共重合可能
な他のビニル系単量体の少なくとも4種の単量体を用
い、水性媒体中においてこれらの単量体100重量部を
乳化重合させる際に、第1段として、少なくとも
(a)、(c)を含む単量体70〜99重量部を乳化重
合し、第2段として、得られた重合体ラテックスの存在
下において、少なくとも(d)、(e)を含む単量体1
〜30重量部を重合し、かつ(d)と(e)の合計が、
第2段で重合する単量体全量の50重量%を越える単量
体を重合することにより、この目的を達成することを見
出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、水性媒体中におい
て、共役ジエン系単量体20〜70重量部、芳香族ビニ
ル系単量体0〜78重量部、エチレン系不飽和カルボン
酸0.5〜10重量部、シアン化ビニル系単量体1〜2
0重量部、アミド基含有エチレン系単量体0.5〜10
重量部、および共重合可能な他のビニル系単量体0〜5
0重量部の少なくとも4種の単量体を乳化重合させて得
られる共重合体ラテックスを製造するにあたり、第1段
として、少なくとも(a)共役ジエン系単量体、(c)
エチレン系不飽和カルボン酸を含む単量体70〜99重
量部を重合し、第2段として、得られた重合体ラテック
スの存在下において、少なくとも(d)シアン化ビニル
系単量体、(e)アミド基含有エチレン系単量体を含む
単量体1〜30重量部を重合し、かつ(d)と(e)の
合計が、第2段で重合する単量体全量の50重量%を越
えることを特徴とするジエン系共重合体ラテックスの製
造方法である。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて用いられる(a)共役ジエン系単量体としては、
例えばブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−
ブタジエンなどが挙げられる。これらの共役ジエン系単
量体は、1種あるいは2種以上を組み合わせてもよく、
また、その使用量は全単量体の重量に基づき、20〜7
0重量部、好ましくは凝集力の点から25〜60重量部
の範囲で選ばれる。この使用量が20重量部未満では得
られる重合体が脆すぎる。また、70重量部を越えると
柔らかすぎ、いずれの場合も高い凝集力が得られず、本
発明の目的が十分に達せられない。
【0012】本発明において用いられる(b)芳香族ビ
ニル系単量体としては、例えばスチレン、α−メチルス
チレン、ビニルトルエン、P−メチルスチレンなどが挙
げられる。芳香族ビニル系単量体の使用量は全単量体の
重量に基づき、0〜78重量部、好ましくは10〜70
重量部の範囲で選ばれる。この使用量が78重量部を越
えると塗工紙のピック強度が劣り好ましくない。
【0013】本発明において用いられる(c)エチレン
系不飽和カルボン酸単量体としては、例えばアクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール
酸、クロトン酸などが挙げられる。これらのカルボン酸
は1種あるいは2種以上を組み合わせてもよく、また、
その使用量は全単量体の重量に基づき0.5〜10重量
部、好ましくは1〜7重量部の範囲で選ばれる。この使
用量が0.5重量部未満では、ラテックスの分散安定性
が十分ではなく、塗料調整や塗工時において種々の問題
が生じ、かつピック強度も低い。また、10重量部を越
えるとラテックスや塗料の粘度が高くなり過ぎるととも
に、耐水性が低下する傾向がみられ好ましくない。
【0014】本発明において用いられる(d)シアン化
ビニル系単量体としては、例えばアクリロニトリル、メ
タクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどが
挙げられる。これらのシアン化ビニル系単量体は2種以
上を組み合わせてもよく、また、その使用量は全単量体
の重量に基づき1〜20部の範囲で選ばれる。この使用
量が1重量部未満では、共重合体ラテックス耐ベタツ
キ性の改良効果、塗工紙の湿潤ピック強度の改良効果が
十分に出現されない。また、20重量部を越えるとラテ
ックスの重合安定性に劣り、好ましくない。
【0015】本発明において用いられる(e)アミド基
含有エチレン系単量体としては、例えばアクリルアミ
ド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミ
ド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタアクリ
ルアミドなどのN−モノアルキル(メタ)アクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチ
ルメタクリルアミドなどのN,N−ジアルキル(メタ)
アクリルアミド、グリシジルメタクリルアミドなどを挙
げることができる。これらのアミド基含有エチレン系単
量体は2種以上を組み合わせてもよく、また、その使用
量は全単量体の重量に基づき0.5〜10重量部の範囲
で選ばれる。この使用量が0.5重量部未満では、共重
合体ラテックスの耐ベタツキ性の改良効果、塗工紙の耐
水性改良効果が十分に出現されない。また、10重量部
を越えると共重合体ラテックスの粘度が高くなると共
に、紙塗工液の流動性が低下し好ましくない。
【0016】本発明において用いられる(f)共重合可
能な他の単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル
酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、ア
クリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジ
ルなどのアクリル酸あるいはメタクリル酸のアルキルエ
ステル類、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル
類、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、アミノエチ
ルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレートな
どのエチレン性アミン類、スチレンスルホン酸ナトリウ
ムなどを挙げることができる。これらの共重合可能な単
量体は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせても
よく、また、その使用量は全単量体の重量に基づき0〜
50重量部の範囲で選ばれる。この使用量が50重量部
を越えると本発明の効果を出現させるうえで好ましくな
い。
【0017】本発明のジエン系共重合体ラテックスは、
2段階の乳化重合によって製造する。すなわち、第1段
として少なくとも(a)、(c)を含む単量体70〜9
9重量部、好ましくは80〜97重量部を乳化重合し、
第2段として、第1段で得られた重合体ラテックスの存
在下で、少なくとも(d)、(e)を含む残りの単量体
1〜30重量部、好ましくは3〜20重量部を乳化重合
する。第2段で重合する単量体が1重量部未満および3
0重量部を越えるとピック強度、耐水ピック強度、耐ベ
タツキ性のバランスが低下し、本発明の効果が出現され
ず好ましくない。第2段で重合する単量体は、(d)お
よび(e)を含有することが必要であり、(d)単量体
は0.5〜10重量部、好ましくは2〜10重量部、
(e)単量体は0.5〜10重量部、好ましくは2〜7
重量部が好適である。また、第2段で重合する単量体の
内、(d)と(e)の合計重量が、第2段で重合する単
量体の全重量の50%を越えることが、本発明の効果を
出現させる上で好ましい。また、第2段重合を開始する
時点での第1段単量体の重合収率は80重量%以上であ
ることが、本発明の効果を出現させる上で好ましい。
【0018】本発明における共重合体ラテックスは、水
性媒体中において、前記共役ジエン系単量体と芳香族ビ
ニル単量体とエチレン性不飽和カルボン酸単量体とシア
ン化ビニル単量体とアミド基含有エチレン系不飽和単量
体、および共重合可能な他の単量体を2段乳化重合させ
ることによって得られる。この乳化重合法については特
に制限なく、従来公知の方法、例えば水と前記の単量
体、連鎖移動剤と界面活性剤とラジカル重合開始剤と必
要に応じて用いられる他の添加剤成分とを基本構成成分
とする分散系において、該単量体を重合させて共重合体
粒子の水性分散液、すなわち共重合体ラテックスを製造
する方法などが用いられる。この共重合体ラテックス中
の該共重合体の濃度は40〜60重量%の範囲で選ば
れ、また、その粒子径は0.05〜1μm、好ましくは
0.07〜0.3μmの範囲にあるのが有利である。該
平均粒子径は界面活性剤やシードラテックスの使用割合
などによって調整することができ、一般的にその使用割
合を高くするほど生成共重合体ラテックスの平均粒子径
は小さくなる傾向がある。前記連鎖移動剤としては、n
−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n
−ラウリルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、
t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、テト
ラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラム
ジスルフィドなどのジスルフィド類、四塩化炭素、四臭
化炭素などのハロゲン化誘導体、2−エチルヘキシルチ
オグリコレート、α−メチルスチレンダイマーおよび水
溶性連鎖移動剤としてのホスフィン酸ソーダが挙げら
れ、これらの1種または2種以上が使用される。
【0019】前記界面活性剤としては、例えば脂肪族セ
ッケン、ロジン酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、ジ
アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルスルホコハク
酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエ
チレンアルキルアリール硫酸塩などのアニオン性界面活
性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチ
レンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシ
プロピレンブロックコポリマーなどのノニオン性界面活
性剤が挙げられる。この界面活性剤は通常、アニオン性
界面活性剤単独またはアニオン性/ノニオン性の混合系
で用いられ、その使用量は全単量体の重量に基づき、通
常0.05〜2重量%の範囲で選ばれる。
【0020】前記ラジカル重合開始剤は、熱または還元
性物質によりラジカル分解して、単量体の付加重合を起
こさせる作用を有するものであり、このようなものとし
ては、例えば水溶性または油溶性のペルオキソ二硫酸
塩、過酸化物、アゾビス化合物など、具体的にはペルオ
キソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペ
ルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチル
ヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾ
ビスイソブチロニトリル、クメンハイドロパーオキサイ
ドなどが挙げられるが、これらの中で特にペルオキソ二
硫酸塩が好適である。このラジカル重合開始剤の使用量
は、その使用量は全単量体の重量に基づき、通常0.2
〜1.5重量%の範囲で選ばれる。
【0021】この乳化重合における重合温度は、通常6
0〜100℃の範囲で選ばれるが、重合の促進あるいは
より低温での重合を望む場合には、酸性亜硫酸ナトリウ
ム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその
塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始剤に組み合わ
せて用いることで、いわゆるレドックス重合法を採用す
ることができる。
【0022】本発明においては、所望に応じ各種重合調
整剤、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸
水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリ
ウムなどのpH調整剤やエチレンジアミン四ナトリウム
などの各種キレート剤などを添加することができる。ま
た、必要に応じ本発明の共重合体ラテックスにアルカリ
感応ラテックスを添加してもさしつかえない。
【0023】本発明の共重合体ラテックスを紙塗工用塗
料のバインダーとして用いる場合には、通常行われてい
る方法、例えば分散剤を溶解させた水中に、無機、有機
顔料類、水溶性高分子、各種添加剤とともに該共重合体
ラテックスを添加して混合し、均一な分散液として用い
る方法を採用することができる。そして、この紙塗工用
塗料は、各種ブレードコーター、ロールコーターなどを
用いる通常の方法によって、原紙に塗工することができ
る。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定
されるものではない。なお、各特性は次のようにして求
めた。 (1)共重合体ラテックスの性状 (イ)共重合体のゲル分率 ポリプロピレンフィルム上にNo26ワイヤーバーで共
重合体ラテックスを均一に塗工し、50℃の乾燥機内で
1時間乾燥して皮膜を形成させた。次に、このラテック
ス皮膜を剥がして、化学天秤で約0.5gを正確に秤量
してから300ccのトルエンの入った容器中に浸し、
振とう器で室温にて6時間攪拌した後、内容物をあらか
じめ精秤した325メッシュの金網でろ過し、金網に残
った残留物を秤量した。その後50℃の乾燥機で2時間
乾燥させ、次式によりゲル分率を求めた。
【0025】
【数1】
【0026】(2)紙塗工性能評価 (イ)耐ブリスター性 RI印刷試験機(明製作所製)を用いて塗工紙の両面を
印刷インク(大日本インキ社製、Webb Zett
黄)0.3ccをべた刷りした。この印刷された塗工紙
を適当な大きさに裁断し、その試験片を所定の温度に調
整したシリコンオイル恒温槽に浸してブリスターが発生
するか否かを観察した。恒温槽の温度を変化させてこの
試験を行い、ブリスターの発生する温度が高いものほど
耐ブリスター性に優れる。◎(優)〜×(劣)に分類す
る。
【0027】(ロ)ピック強度 RI印刷試験機(明製作所製)を用いて、印刷インク
(東華色素社製SDスーパーデラックス50紅B:タッ
ク18)0.4ccを重ね刷りし、ゴムロールに現れた
ピッキング状態を別の台紙に裏取りし、その状態を観察
した。評価は10点評価法で行い、ピッキング現象の少
ないものほど高得点とした。
【0028】(ハ)湿潤ピック強度 RI印刷試験機(明製作所製)を用いてモルトンロール
で塗工紙表面に給水を行い、その直後に印刷インク(東
華色素社製、SDスーパーデラックス50紅B;タック
15)0.4cc1回刷りを行い、ゴムロールに現れた
ピッキング状態を別の台紙に裏取りし、その状態を観察
した。評価は10点評価法で行い、ピッキング現象の少
ないものほど高得点とした。
【0029】(ニ)耐ベタツキ性 マイラーフィルムにラテックスをNo13ワイヤーバー
にて塗布した後、130℃で60秒乾燥する。黒ラシャ
紙と重ね合わせ、温度70℃、線圧500kg/cmの
スーパーカレンダーを通す。黒ラシャ紙をマイラーフィ
ルムより剥離し、ラシャ紙繊維のラテックスフィルム上
への転移を肉眼で観察する。◎(優)〜×(劣)に分類
する。
【0030】(ホ)グラビア印刷適性 大蔵省印刷研究所式グラビア印刷機を使用し、網点グラ
ビア版を用いて印刷を行い、ハーフトーン部のミスドッ
トを数え、◎(優)〜×(劣)に分類する。(ヘ)機械
的安定性紙塗工液をマロン式安定性試験を用いて、機械
的安定性を測定する。
【0031】 評価基準 ○:残査発生率0.05%以下 △:残査発生率0.05〜0.2% ×:残査発生率0.2%以上
【0032】
【実施例1】直径0.04μmのシード粒子の水性分散
体(シ−ド固形分濃度25%)2重量部を、攪拌装置と
温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に入
れ、さらに水70重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.
1重量部、フマール酸1重量部、イタコン酸1.5重量
部を仕込み、内温を80℃に昇温し、次いで表1に示す
単量体Aの内イタコン酸とフマール酸を除く単量体と水
15重量部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム1重量部、ラ
ウリル硫酸ナトリウム0.1重量部、水酸化ナトリウム
0.2重量部からなる開始剤系水溶液とを、それぞれ5
時間および6時間かけて一定の流速で添加した。つい
で、表1に示す単量体混合物Bを、単量体混合物Aの添
加が終了して後、30分経過した時点で添加した。そし
て80℃の温度をそのまま2時間保ったのち冷却し、生
成した共重合体ラテックスを水酸化ナトリウムでpHを
7に調整してからスチームストリッピング法により未反
応の単量体を除去し、200メッシュの金網でろ過し
た。該共重合体ラテックスは、最終的に固形分濃度が5
0重量%になるように調整した。このようにして得られ
た共重合体ラテックスをラテックスAとする。該ラテッ
クスAのゲル含有率を表1に示す。
【0033】
【実施例2〜7及び比較例1〜6】表1に示した重合成
分を用いる以外は実施例1と同様に重合を行いラテック
スB〜Mを得た。ラテックスB〜Gは実施例の共重合体
ラテックスであり、H〜Mは比較例の共重合体ラテック
スである。これら共重合体ラテックスB〜Mのゲル含有
率を合わせて記す。
【0034】
【応用例】(紙塗工用カラーの配合処方)共重合体ラテ
ックスA〜Mを用い、下記の配合で紙塗工用カラーを得
た。 (配合処方) クレー 70 炭酸カルシウム 30 ポリアクリル酸ソーダ 0.2 水酸化ナトリウム 0.1 リン酸エステル化デンプン 2.5 共重合体ラテックス 12 水(全固形分が65%になるように添加) 得られた紙塗工液を坪量75g/m2 の塗工原紙に塗工
量が片面12g/m2 になるようにブレード塗工して、
紙塗工印刷用紙を得た。
【0035】(適用例1〜3、比較適用例1〜2:シー
トオフセット用紙の評価)表1の共重合体ラテックスを
用いて既述の評価方法に従い評価した結果を表2に示
す。適用例1〜3は、本発明の範囲の重合体ラテックス
である。 (適用例4〜5、比較適用例3〜4:ウェブオフセット
用紙の評価)表1の共重合体ラテックスを用いて既述の
評価方法に従い評価した結果を表3に示す。適用例4〜
5は、本発明の範囲の重合体ラテックスである。
【0036】(適用例6〜7、比較適用例5〜6:グラ
ビア塗工紙の評価)表1の共重合体ラテックスを用いて
既述の評価方法に従い評価した結果を表4に示す。適用
例6〜7は、本発明の範囲の重合体ラテックスである。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【発明の効果】本発明は、印刷用塗工紙におけるピック
強度と他の性能とのバランスおよび塗工操業性に係わる
耐ベタツキ性を向上させうる高性能の共重合体ラテック
スを容易に得ることができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)共役ジエン系単量体20〜70重
    量部、(b)芳香族ビニル系単量体0〜78重量部、
    (c)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜10
    重量部、(d)シアン化ビニル系単量体1〜20重量
    部、(e)アミド基含有エチレン系不飽和単量体0.5
    〜10重量部、及び(f)その他の共重合可能なビニル
    系単量体0〜50重量部からなる単量体100重量部を
    乳化重合するにあたり、第1段として、少なくとも
    (a)、(c)を含む単量体70〜99重量部を乳化重
    合し、第2段として、得られた重合体ラテックスの存在
    下において、少なくとも(d)、(e)を含む単量体1
    〜30重量部を重合し、かつ、(d)と(e)の合計が
    第2段で重合する単量体全量の50重量%を越えること
    を特徴とする紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法。
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