JP2000351803A - ジエン系共重合体ラテックス - Google Patents

ジエン系共重合体ラテックス

Info

Publication number
JP2000351803A
JP2000351803A JP11369755A JP36975599A JP2000351803A JP 2000351803 A JP2000351803 A JP 2000351803A JP 11369755 A JP11369755 A JP 11369755A JP 36975599 A JP36975599 A JP 36975599A JP 2000351803 A JP2000351803 A JP 2000351803A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
monomer
weight
parts
polymerization
copolymer latex
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11369755A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4606536B2 (ja
Inventor
Mikine Hayashi
幹根 林
Tsutomu Nakagawa
勉 仲川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP36975599A priority Critical patent/JP4606536B2/ja
Publication of JP2000351803A publication Critical patent/JP2000351803A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4606536B2 publication Critical patent/JP4606536B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピック強度等の塗工紙物性に優れ、耐バッキ
ングロール汚れ特性にも優れるラテックスを提供する。 【解決手段】 共役ジエン、芳香族ビニル、エチレン性
不飽和カルボン酸、シアン化ビニル、その他共重合可能
な単量体各々の特定量を多段乳化重合する場合、重合最
終段にANを添加するか、または重合最終段に芳香族ビ
ニルとシアン化ビニルを添加し、さらに重合後に水酸化
カリウム特定量を添加し、かつ最終段の前段の単量体組
成の溶解度係数と最終段の単量体組成の溶解度係数の差
が特定の範囲となるラテックス。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、ジエン系共重合体
ラテックス、およびそれを用いる紙塗工用組成物に関す
る。さらに詳しく言えば、オフセット印刷、グラビア印
刷に供される塗工紙あるいは塗工板紙その他に使用する
紙塗工用のバインダーとして好適な、高性能のジエン系
共重合体ラテックス、およびそれを用いる紙塗工用組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、合成共重合体ラテックスは、例え
ば、紙塗工用バインダー、カーペットバックサイジング
用バインダー、不織布や人工皮革などの繊維結合用バイ
ンダー、あるいは各種材料の粘接着剤などとして広く用
いられている。そして、共重合体ラテックスがこのよう
な用途に用いられる場合、共重合ラテックスは、接着強
度が強く、耐水性、乾燥加熱による耐ブリスター性など
に優れていることが要求される。
【0003】塗工紙は、紙の印刷適性の向上および光沢
などの光学的特性の向上を目的として抄造された原紙表
面に、カオリンクレー、炭酸カルシウム、サチンホワイ
ト、タルク、酸化チタンなどの顔料、それらのバインダ
ーとしての共重合体ラテックスおよび保水剤あるいは補
助バインダーとしてのスターチ、カゼイン、ポリビニル
アルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性
高分子を主構成成分とする紙塗工用組成物が塗工された
ものである。
【0004】共重合体ラテックスとしては、スチレンと
ブタジエンを主要単量体成分とし、これらを乳化重合し
て得られたスチレン−ブタジエン系共重合体ラテック
ス、いわゆるSB系ラテックスが汎用的に用いられてい
る。近年、カラー印刷された雑誌類やパンフレット、広
告類の需要の拡大に伴って印刷速度の高速化が進められ
ており、塗工紙および顔料バインダーに対する要求水準
はますます高度化している。その中でも、特にインクピ
ック抵抗性、いわゆるピック強度と、湿し水が塗布され
た後のインクピック抵抗性、いわゆる湿潤ピック強度の
向上が強く求められている。これらのピック強度性能自
体が負の相関関係にあるだけでなく、他の印刷物性、す
なわち耐ブリスター性、網点再現性などとも負の相関関
係にあるため、これらの諸物性を高水準にバランス化さ
せる改良が一段と要求されている。塗工紙のこれらの性
質は、顔料バインダーとして用いられているSB系ラテ
ックスの性能に強く依存することから、これまでSB系
ラテックスについても種々の検討がなされてきた。
【0005】例えば、これらの諸物性の高バランス化を
目指し、2段もしくは多段重合法において特定のモノマ
ー組成で重合する方法を用いたラテックスの改良が提案
されている。(特公昭62−58371号公報,特公昭
62−31116号公報,特公昭64−2716号公
報,特公昭60−19927号公報,特開平4−415
02号公報,特開平7−18003号公報,特開平5−
272094号公報,特開平7−247327号公報)
しかし、いずれも塗工紙におけるピック強度、湿潤ピッ
ク強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性や紙塗工におけ
る耐バッキングロール汚れ特性を向上させる方法として
十分とは言い難かった。
【0006】一方、塗工紙の生産能力を向上するために
近年高速塗工化が進んでおり、塗工液においては塗工の
高速化に伴う乾燥能力の低下への対応および生産効率を
高める目的で塗工液の高固形分化が進められている。塗
工液を高固形分化するには、重質炭酸カルシウムの配合
率を高める等の顔料面からの流動性の改良とスターチ等
の増粘性の大きい水溶性バインダーを減らしラテックス
を増量することによるバインダー面からの改良が採られ
ている。しかし、炭酸カルシウム比率を高める顔料面か
らの流動性の改良では、白紙光沢が低下し好ましくな
い。また、ラテックス量を増量するバインダー面からの
流動性の改良では、塗工紙表面のベタツキ性を増大させ
るため、バッキングロール汚れやスーパーカレンダー汚
れなどの問題を発生させ好ましくない。これらの問題を
解決するために共重合体ラテックスを重合するにあた
り、2段重合で第2段目にシアン化ビニル単量体、アミ
ド基含有エチレン性不飽和単量体を重合することが提案
されている(特開平4−240297号公報,特開平5
−239113号公報)が、これらの方法では塗工紙の
印刷適性と共重合体ラテックスの耐ベタツキ性は改善さ
れるものの十分とは言い難く高速塗工のための高固形分
条件下での塗工液の流動性は満足し得るものではなかっ
た。さらに、共重合ラテックスを重合するにあたり、2
段重合を行い第2段目にメタクリロニトリルをある添加
速度で連続的に添加重合することにより、塗工紙の印刷
適性と高速塗工のための高固形分の塗工液の流動性に優
れることが提案されている(特開平10−18270
9)が、この方法でも塗工紙の印刷適性と紙塗工におけ
る耐バッキングロール汚れ特性が満足し得るものではな
かった。
【0007】このように、従来の技術では印刷と塗工紙
の製造の一層の高速化に対応することができず、生産性
を高め高品質の塗工紙の製造を可能にするバインダーと
しての共重合体ラテックスの出現が強く求められている
のが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の通り、従来の紙
塗工用バインダーは、これを用いた塗工紙のピック強
度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性お
よび操業性における要求を同時に満足させることはでき
なかった。本発明はこのような事情のもとで、塗工紙に
おけるピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等
の塗工紙物性に優れ、かつ紙塗工における耐バッキング
ロール汚れ特性に優れる高性能の共重合体ラテックスを
提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の高
性能共重合体ラテックスを開発すべく鋭意研究を重ねた
結果、単量体組成、乳化重合条件を特定することにより
得られる特定のジエン系共重合体ラテックスが目的を達
成することを見出し、本発明を完成した。すなわち、本
発明の第1は、(a)共役ジエン系単量体を20〜70
重量部、(b)芳香族ビニル系単量体を0.5〜78重
量部、(c)エチレン性不飽和カルボン酸単量体を0.
5〜10重量部、少なくともその一部がアクリロニトリ
ルである(d)シアン化ビニル系単量体を0.5〜50
重量部、(e)その他共重合可能なビニル系単量体を
0.1〜50重量部(全単量体の合計を100重量部と
する。)を多段重合法を用いて乳化重合するにあたり、
該多段重合の最終段において、上記(d)シアン化ビニ
ル系単量体のアクリロニトリルを少なくとも一部含む単
量体組成物1〜20重量部を添加して乳化重合し、かつ
重合後に水酸化カリウム0.05〜2.0重量部を添加
して得られるジエン系共重合体ラテックスであって、か
つ多段重合の最終段の前段で添加する単量体組成物の組
成から得られる共重合体の溶解パラメータ(A)と最終
段で添加する単量体組成物の組成から得られる共重合体
の溶解パラメータ(B)とが、下記式(1)を満たすジ
エン系共重合体ラテックスである。
【0010】 1.0<(B)−(A)<4.5 (1) 発明の第2は、最終段で添加する単量体組成物に(b)
芳香族ビニル系単量体の少なくとも一部を含み、かつ最
終段で添加する少なくともその一部がアクリロニトリル
である(d)シアン化ビニル系単量体と(b)芳香族ビ
ニル系単量体との重量比が、2/8〜8/2である発明
の第1に記載のジエン系共重合体ラテックスである。
【0011】発明の第3は、(a)共役ジエン系単量体
を20〜70重量部、(b)芳香族ビニル系単量体を
0.5〜78重量部、(c)エチレン性不飽和カルボン
酸単量体を0.5〜10重量部、(d)シアン化ビニル
系単量体を0.5〜50重量部、(e)その他共重合可
能なビニル系単量体を0.1〜50重量部(全単量体の
合計を100重量部とする。)を多段重合法を用いて乳
化重合するにあたり、該多段重合の最終段において、少
なくともその一部が(b)芳香族ビニル系単量体および
(d)シアン化ビニル系単量体からなる単量体組成物1
〜20重量部を添加して乳化重合し、かつ重合後に水酸
化カリウム0.05〜2.0重量部を添加して得られる
ジエン系共重合体ラテックスであって、かつ多段重合の
最終段の前段で添加する単量体組成物の組成から得られ
る共重合体の溶解パラメータ(A)と最終段で添加する
単量体組成物の組成から得られる共重合体の溶解パラメ
ータ(B)とが、下記式(2)を満たすジエン系共重合
体ラテックスである。 2.0<(B)−(A)<4.5 (2)
【0012】発明の第4は、最終段で添加する(d)シ
アン化ビニル系単量体と(b)芳香族ビニル系単量体と
の重量比が、2/8〜8/2である発明の第3に記載の
ジエン系共重合体ラテックスである。発明の第5は、最
終段で添加する(b)芳香族ビニル系単量体がスチレン
である発明の第2ないし4に記載のジエン系共重合体ラ
テックスである。発明の第6は、顔料および、発明の第
1ないし5に記載のジエン系共重合体ラテックスを含有
する紙塗工用組成物である。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。なお、以
下の説明において、全単量体の合計は100重量部とす
る本発明において用いられる(a)共役ジエン系単量体
としては、例えばブタジエン、イソプレン、2−クロロ
−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。これらの共役
ジエン系単量体は、1種あるいは2種以上を組み合わせ
てもよく、また、その使用量は全単量体の重量に基づ
き、20〜70重量部、好ましくは凝集力の点から25
〜60重量部の範囲で選ばれる。この使用量が20重量
部未満では得られる重合体が脆すぎるし、70重量部を
超えると重合体が柔らかすぎ、いずれの場合も高い凝集
力が得られず本発明の目的が十分に達せられない。
【0014】本発明において用いられる(b)芳香族ビ
ニル系単量体としては、例えばスチレン、α−メチルス
チレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレンなどが挙
げられる。芳香族ビニル系単量体の使用量は全単量体の
重量に基づき0.5〜78重量部、好ましくは10〜7
0重量部の範囲で選ばれる。この使用量が78重量部を
超えると塗工紙のピック強度が劣り好ましくない。本発
明において用いられる(c)エチレン性不飽和カルボン
酸単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、
イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸など
が挙げられる。これらのカルボン酸は1種あるいは2種
以上組み合わせてもよく、その使用量は、全単量体の重
量に基づき0.5〜10重量部、好ましくは1〜7重量
部の範囲で選ばれる。この量が0.5重量部未満では、
ラテックスの分散安定性が十分でなく、塗工液調整や塗
工時において種々の問題が生じ、かつピック強度も低
い。10重量部を超えるとラテックスや塗工液の粘度が
高くなり過ぎると共に、耐水性が低下する傾向が見られ
好ましくない。
【0015】本発明において用いられる(d)シアン化
ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどを挙げる
ことができる。これらのシアン化ビニル系単量体は2種
以上を組み合わせてもよく、また、その使用量は全単量
体の重量に基づき0.5〜50重量部の範囲で選ばれ
る。その使用量が0.5重量部未満では、紙塗工におけ
る耐バッキングロール汚れ特性の指標となる共重合体ラ
テックスの耐ベタツキ性改良効果、および塗工紙の湿潤
ピック強度の改良効果が十分に出現されない。また、5
0重量部を越えるとラテックスの重合安定性に劣り好ま
しくない。
【0016】本発明の第1では、(d)シアン化ビニル
系単量体にはアクリロニトリルを含む。(d)シアン化
ビニル系単量体全量に対するアクリロニトリルの量は、
1重量%〜100重量%である。本発明において用いら
れる(e)その他共重合可能なビニル単量体としては、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸メチル、アクリル酸2−ヒドロキシエ
チル、メタクリル酸グリシジルなどのアクリル酸あるい
はメタクリル酸のアルキルエステル類、酢酸ビニルなど
のカルボン酸ビニルエステル類、塩化ビニルなどのハロ
ゲン化ビニル類、アミノエチルアクリレート、ジメチル
アミノエチルアクリレートなどのアミノ基含有エチレン
性単量体類、スチレンスルホン酸ナトリウムなどを挙げ
ることができる。これらの共重合可能な単量体は1種あ
るいは2種以上を組み合わせてもよく、その使用量は全
単量体の重量に基づき0.1〜50重量部の範囲で選ば
れる。この使用量が50重量部を超えると本発明の効果
を出現させる上で好ましくない。また、アクリルアミ
ド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミ
ド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリル
アミドなどのN−モノアルキル(メタ)アクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチ
ルメタアクリルアミドなどのN,N−ジアルキル(メ
タ)アクリルアミド、グリシジルメタアクリルアミドな
どのアミド基含有不飽和単量体類は、塗工液の流動性の
点から好ましくない。
【0017】本発明の第1のジエン系共重合体ラテック
スは、2段階以上の、多段階重合法を用いて乳化重合す
るにあたり、多段重合の最終段の前段で添加する単量体
組成物の組成から得られる共重合体の溶解パラメータ
(A)と最終段で添加する単量体組成物の組成から得ら
れる共重合体の溶解パラメータ(B)とが、下記式
(1)を満たすことが必須である。 1.0<(B)−(A)<4.5 (1) これを満たすことにより、本発明の効果であるピック強
度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性バ
ランスに優れ、かつ紙塗工における耐バッキングロール
汚れ特性に優れる高性能の共重合体ラテックスを得るこ
とができる。(B)−(A)が1.0以下では、特に湿
潤ピック強度と紙塗工における耐バッキングロール汚れ
特性が十分でなく、また、(B)−(A)が4.5以上
では、特にピック強度と耐ブリスター性が不十分で本発
明の目的が達せられない。また、好ましい範囲は1.5
<(B)−(A)<3.5である。
【0018】本発明の第3のジエン系共重合体ラテック
スでは、2段階以上の、多段階重合法を用いて乳化重合
するにあたり、多段重合の最終段の前段で添加する単量
体組成物の組成から得られる共重合体の溶解パラメータ
(A)と最終段で添加する単量体組成物の組成から得ら
れる共重合体の溶解パラメータ(B)とが、下記式
(2)を満たすことが必須である。 2.0<(B)−(A)<4.5 (2) これを満たすことにより、ピック強度、湿潤ピック強
度、耐ブリスター性等の塗工紙物性バランスに優れ、か
つ紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性に優れる
高性能の共重合体ラテックスを得ることができる。
(B)−(A)が2.0を超えることで、特に湿潤ピッ
ク強度と紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性が
良好となり、また、(B)−(A)が4.5未満では、
特にピック強度と耐ブリスター性が良好である。また、
好ましい範囲は2.0<(B)−(A)<3.5であ
る。
【0019】なお、共重合体の溶解パラメータ(A)お
よび(B)は、Robert F.Fedorsが規定
する方法により、各々の単量体化合物構造と単量体組成
から算出することができる。(POLYMER ENG
INNEERING ANDSCIENCE,197
4,Vol.14,No.2,147−154ページ参
照) 本発明のジエン系共重合体ラテックスには、重合後に水
酸化カリウムの0.05〜2.0重量部添加が必要であ
る。水酸化カリウムの量が0.05重量部以下では特に
湿潤ピック強度の改良効果が十分でなく本発明の効果で
あるピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の
塗工紙物性バランスの向上が認められず、また、2.0
重量部を越えると塗工液の流動性の面で満足し得るもの
とはならない。
【0020】また、本発明の第1のジエン系共重合体ラ
テックスは、該多段重合の最終段において、(d)シア
ン化ビニル系単量体のアクリロニトリルを少なくとも一
部含む単量体組成物1〜20重量部を添加して乳化重合
することが必要である。最終段で重合する単量体組成物
が1重量部未満では、特に湿潤ピック強度と紙塗工にお
ける耐バッキングロール汚れ特性の向上が認められず、
また、20重量部を超えると、重合安定性が低下し好ま
しくない。最終段で添加するアクリロニトリルは0.5
〜20重量部の範囲で使用することが好ましい。
【0021】発明の第3のジエン系共重合体ラテックス
は、該多段重合の最終段において、少なくともその一部
が(b)芳香族ビニル系単量体および(d)シアン化ビ
ニル系単量体からなる単量体組成物1〜20重量部を添
加して乳化重合することが必要である。最終段で重合す
る単量体が1重量部未満では、特に湿潤ピック強度と紙
塗工における耐バッキングロール汚れ特性の向上が認め
られず、また、20重量部を超えると、重合安定性が低
下し好ましくない。
【0022】また、本発明の第1のジエン系共重合体ラ
テックスは、最終段で添加する単量体組成物に(b)芳
香族ビニル系単量体の少なくとも一部を含み、かつ最終
段で添加する少なくともその一部がアクリロニトリルで
ある(d)シアン化ビニル系単量体と(b)芳香族ビニ
ル系単量体との重量比が、2/8〜8/2であることが
好ましい。(d)シアン化ビニル系単量体と(b)芳香
族ビニル系単量体との重量比が2/8以上で、特に湿潤
ピック強度と紙塗工における耐バッキングロール汚れ特
性の向上が十分に認められ、また、重量比が8/2以下
で、ピック強度と耐ブリスター性等の塗工紙物性バラン
スが良好で好ましい。
【0023】発明の第3のジエン系共重合体ラテックス
は、最終段で添加する(d)シアン化ビニル系単量体と
(b)芳香族ビニル系単量体との重量比が、2/8〜8
/2であることが好ましい。(d)シアン化ビニル系単
量体と(b)芳香族ビニル系単量体との重量比が2/8
以上で、特に湿潤ピック強度と紙塗工における耐バッキ
ングロール汚れ特性の向上が十分に認められ、また、重
量比が8/2以下で、ピック強度と耐ブリスター性等の
塗工紙物性バランスが良好で好ましい。
【0024】さらに、本発明のジエン系共重合体ラテッ
クスは、最終段で(b)芳香族ビニル系単量体を添加す
る場合、(b)芳香族ビニル系単量体がスチレンである
ことが好ましい。これを満たすことにより、本発明の効
果であるピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性
等の塗工紙物性バランスにさらに優れ、かつ紙塗工にお
ける耐バッキングロール汚れ特性にさらに優れる高性能
の共重合体ラテックスを得ることができる。
【0025】少なくとも(a)共役ジエン系単量体の全
量を含む全単量体の80〜99重量部を最終段の前段ま
でに重合することは、紙塗工における耐バッキングロー
ル汚れ特性の点から好ましい。該最終段の重合を開始す
る時点での、最終段の前段までの重合転化率が60%以
上90%未満であることは、本発明の効果を出現させる
上で好ましく、さらに好ましくは60%以上85%未
満、さらには60%以上80%未満であることが好まし
い。重合転化率が60%未満では特に湿潤ピック強度と
紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性の向上が十
分に認められず、90%以上ではピック強度の向上が十
分に認められない。
【0026】本発明で使用される単量体を乳化重合する
に際しては、特に制限はなく、従来公知の方法で、水性
媒体中で前記の単量体、連鎖移動剤と界面活性剤、ラジ
カル重合開始剤と必要に応じて用いられる他の添加剤成
分を基本構成成分とする分散系において、単量体を重合
させて共重合体粒子の水性分散液、すなわちジエン系共
重合体ラテックスを製造する方法などが用いられる。こ
のジエン系共重合体ラテックス中の共重合体の濃度は4
0〜60重量%の範囲で選ばれ,また、その平均粒子径
は0.04〜0.4μmの範囲にあることが望ましく,
さらに0.05〜0.2μmの範囲にあるのが好まし
い。平均粒子径はシードラテックスや界面活性剤の使用
割合などによって調整することができ、一般にその使用
割合を高くするほど生成共重合体ラテックスの平均粒子
径は小さくなる傾向がある。シードラテックスの重合
は、本発明のラテックスの重合に先だって同一反応容器
で行っても、異なる反応容器で重合したシードラテック
スを用いても良い。
【0027】単量体組成物の添加方法としては、各段と
も、単量体組成物の一括添加法、単量体組成物の一部を
添加した後に重合の進行に従って断続的もしくは連続的
に添加する法、また、単量体組成物を連続的に添加する
方法等いずれでもよい。また、単量体組成物を連続的に
添加する場合の添加速度にも、特に制限はない。
【0028】本発明のジエン系共重合体ラテックスは、
一般の乳化重合に使用されている公知の連鎖移動剤を使
用することができる。例えば、核置換α−メチルスチレ
ンの2量体の一つであるα−メチルスチレンダイマー、
n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、
n−ラウリルメルカプタン,n−ドデシルメルカプタ
ン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、
テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウ
ラムジスルフィドなどのジスルフィド類、四塩化炭素、
四臭化炭素などのハロゲン化誘導体、2−エチルヘキシ
ルチオグリコレートなどを挙げられ、これらの1種また
は2種以上が使用される。連鎖移動剤としては特にα−
メチルスチレンダイマ−が好ましく、単量体100重量
部あたり0.2〜10重量部の範囲内で使用することが
さらに好ましい。この範囲を外れるとピック強度、湿潤
ピック強度、耐ブリスター性のバランスが低下し本発明
の効果を出現させることが難しくなる。α−メチルスチ
レンダイマーには、異性体として2,4−ジフェニル−
4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−
メチル−2−ペンテンおよび1,1,3−トリメチル−
3−フェニルインダンがあるが、本発明で使用されるα
−メチルスチレンダイマーとしては、2,4−ジフェニ
ル−4−メチル−1−ペンテンの比率が60重量%以上
であることが好ましく、特に好ましくは、2,4−ジフ
ェニル−4−メチル−1−ペンテンの比率が80重量%
以上である。また、他の連鎖移動剤は、2重量部以下で
使用することが好ましい。これらの連鎖移動剤の使用方
法には特に制限はないが、最終段の前段までに使用され
ることが好ましい。
【0029】界面活性剤としては、例えば脂肪族セッケ
ン、ロジン酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、ジアル
キルアリールスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸
塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエ
チレンアルキルアリール硫酸塩などのアニオン性界面活
性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチ
レンオキシプロピレンブロックコポリマーなどのノニオ
ン性界面活性剤が挙げられる。この界面活性剤は通常、
アニオン性界面活性剤単独またはアニオン性/ノニオン
性の混合系で用いられ、その使用量は全単量体の重量に
基づき、通常0.05〜2重量%の範囲で選ばれる。
【0030】前記ラジカル重合開始剤は、熱または還元
性物質の存在下ラジカル分解して単量体の付加重合を開
始させるものであり、無機系開始剤および有機系開始剤
のいずれも使用できる。このようなものとしては、例え
ば水溶性又は油溶性のペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、
アゾビス化合物等、具体的にはペルオキソ二硫酸カリウ
ム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸ア
ンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシ
ド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスブチロニトリ
ル、クメンハイドロパーオキサイドなどがあり、また他
に、POLYMER HANDBOOK(3rd ed
ition)、J.BrandrupおよびE.H.I
mmergut著、John Willy & Son
s刊(1989)に記載されている化合物が挙げられ
る。また、酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やそ
の塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリットなどの還
元剤を重合開始剤に組み合わせて用いる、いわゆるレド
ックス重合法を採用することもできる。これらの中で特
にペルオキソ二硫酸塩が重合開始剤として好適である。
この重合開始剤の使用量は、全単量体の重量に基づき、
通常0.1〜5.0重量%の範囲から、好ましくは0.
2〜3.0重量%の範囲から選ばれる。
【0031】この乳化重合における重合温度は、通常6
0〜100℃の範囲で選ばれるが、前記レドックス重合
法等により、より低い温度で重合を行っても良い。ま
た、各段での重合温度は同じでも異なっていても良い。
本発明においては、必要に応じ各種重合調整剤を添加す
ることができる。例えば、水酸化カリウム以外のpH調
整剤として、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、
炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナ
トリウムなどのpH調整剤も添加することができる。ま
た、エチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどの各種キレ
ート剤なども重合調整剤として添加することもできる。
また、必要に応じ本発明の共重合体ラテックスにアルカ
リ感応ラテックスを添加してもさしつかえない。
【0032】本発明のジエン系共重合体ラテックスを紙
塗工用塗料のバインダーとして用いる場合には、通常行
われている実施態様で行うことができる。すなわち、分
散剤を溶解させた水中に、カオリンクレー、炭酸カルシ
ウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワ
イト、タルク等の無機顔料、プラスチックピグメントや
バインダーピグメントとして知られる有機顔料、澱粉、
カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセ
ルロース等の水溶性高分子、増粘剤、染料、消泡剤、防
腐剤、耐水化剤、滑剤、印刷適性向上剤、保水剤等の各
種添加剤とともにジエン系共重合体ラテックスを添加し
て混合し、均一な分散液とする態様である。そして、こ
の紙塗工液は、各種ブレードコーター、ロールコータ
ー、エアーナイフコーター、バーコーターなどを用いる
通常の方法によって原紙に塗工することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下に、実施例により本発明をさ
らに詳細に説明する。なお、各特性は次のようにして求
めた。 (1)共重合体ラテックスの性状 (い)粒径 光散乱法粒度分析計(シーエヌウッド社製モデル600
0)により共重合体ラテックス粒子の平均直径を測定し
た。 (ろ)重合安定性 乳化重合後の共重合体ラテックス250gをあらかじめ
精秤した200メッシュの金網で濾過し、発生した残渣
凝固物量を秤量した。共重合体ラテックスに対し、重量
%で0.2%以上を×、0.05%以上〜0.2%未満
を△、0.05未満を○と判定した。
【0034】(は)耐ベタツキ性 マイラーフィルムに共重合体ラテックスをNo13ワイ
ヤーバーにて塗布した後、130℃で60秒乾燥する。
黒ラシャ紙と重ね合わせ、温度70℃、線圧19600
N/mのスーパーカレンダーを通す。黒ラシャ紙をマイ
ラーフィルムより剥離し、ラシャ紙繊維のラテックスフ
ィルム上への転移を肉眼で観察した。評価は10点評価
法で行い、転移の少ないものほど高得点とした。
【0035】(2)紙塗工性能評価 (い)ピック強度 RI印刷試験機(明製作所)を用いて、中央部に塗工紙
(1.5cm×20cm)をならべて貼った台紙(30
cm×25.5cm)に、印刷インク(東華色素社製、
商品名:SDスーパーデラックス50紅B(タック18
のもの)0.4mlを25cm×21cmの印刷面積で
台紙ごと印刷し塗工紙に重ね刷りした。ゴムロールに現
れたピッキング状態を別の台紙に裏取りし、その状態を
観察した。評価は10点評価法で行い、ピッキング現象
の少ないものほど高得点とした。
【0036】(ろ)湿潤ピック強度 RI印刷試験機(明製作所)を用いて、中央部に塗工紙
(1.5cm×20cm)ならべて貼った台紙(30c
m×25.5cm)にモルトンロールで塗工紙表面に給
水を行い、その直後に印刷インク(東華色素社製、商品
名:SDスーパーデラックス50紅B(タック15のも
の)0.4mlを25cm×21cmの印刷面積で1回
刷りを行い、ゴムロールに現れたピッキング状態を別の
台紙に裏取りし、その状態を観察した。評価は10点評
価法で行い、ピッキング現象の少ないものほど高得点と
した。
【0037】(は)耐ブリスター性 RI印刷試験機(明製作所)を用いて、台紙(30cm
×25.5cm)の中央部に塗工紙(20cm×20c
m)を貼り、印刷インク(大日本インキ社製、商品名:
Webb Zett 黄)0.3mlを25cm×21
cmの印刷面積で台紙ごとべた刷りした。この条件で両
面印刷された塗工紙を適当な大きさに裁断し、その試験
片を所定の温度に調整したシリコンオイル恒温槽に浸し
てブリスターが発生するか否かを観察した。恒温槽の温
度を変化させてこの試験を行った。ブリスター発生温度
が高いものほど耐ブリスター性に優れる。
【0038】
【実施例1】平均直径0.035μmのポリスチレン製
シード粒子の水性分散体(シード固形分濃度重量35
%)3.0重量部を撹拌装置と温度調節用ジャケットを
取り付けた耐圧反応容器に入れ、さらに水70重量部、
ラウリル硫酸ナトリウム0.1重量部および表1に示す
第1段重合用単量体の内のイタコン酸とフマール酸の全
量を仕込み、内温を80℃に昇温し、次いで表1に示す
第1段重合用単量体の内のイタコン酸とフマール酸を除
く単量体と連鎖移動剤の混合物と、水15重量部、ペル
オキソ二硫酸ナトリウム1重量部、ラウリル硫酸ナトリ
ウム0.1重量部、水酸化ナトリウム0.2重量部から
なる開始剤系水溶液を、それぞれ5時間および6時間か
けて一定の流速で添加した。第1段目重合用単量体混合
物の添加が終了した後、表1に示す第2段重合用単量体
組成物を2時間かけて連続的に添加した。そして80℃
の温度をそのまま4時間保ったのち冷却した。次いで生
成したジエン系共重合体ラテックスに表1に示した量の
水酸化カリウムと水酸化ナトリウムを添加することでp
Hを8とした。次に、スチームストリッピング法により
未反応単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過し
た。このジエン系共重合体ラテックスは最終的には固形
分濃度50重量%になるように調整した。このようにし
て得られたジエン系共重合体ラテックスを共重合体ラテ
ックス(イ)とする。
【0039】
【実施例2〜4】表1に示した単量体成分、連鎖移動
剤、水酸化カリウムを用い、実施例1と同様の方法で共
重合体ラテックス(ロ)〜(ニ)を得た。
【0040】
【比較例1、2】表1に示した単量体成分、連鎖移動
剤、水酸化カリウムを用い、実施例1と同様の方法で共
重合体ラテックス(ホ)、(ヘ)を得た。
【0041】
【比較例3】表1に示した単量体成分、連鎖移動剤、水
酸化カリウムを用い、第2段目の重合を行わない以外は
実施例1と同様の方法で共重合体ラテックス(ト)を得
た。
【0042】
【比較例4】表1に示した単量体成分、連鎖移動剤、水
酸化カリウムを用い、実施例1と同様の方法で共重合体
ラテックス(チ)を得た。
【0043】
【表1】
【0044】
【実施例5〜8】共重合体ラテックス(イ)〜(ニ)を
用いて下記の配合で紙塗工用組成物を調整した。 (配合処方) カオリンクレー 70 重量部 炭酸カルシウム 30 重量部 ポリアクリル酸ソーダ 0.2 重量部 水酸化ナトリウム 0.1 重量部 リン酸エステル化デンプン 2.5 重量部 共重合体ラテックス 12 重量部 水(全固形分が64%になるように添加) なお、カオリンクレーとしてはウルトラホワイト90
(ENGELHARD社製)を、炭酸カルシウムとして
はカービタル90(ECC社製)を、ポリアクリル酸ソ
ーダとしてはアロンT−40(東亜合成社製)を、リン
酸エステル化デンプンとしてはMS−4600(日本食
品化工社製)をそれぞれ使用した。
【0045】得られた紙塗工用組成物を坪量75g/m
2 の塗工原紙に塗工量が片面14g/m2 になるように
両面ブレード塗工した後、恒温恒湿室(23℃、湿度6
5%)に一晩放置した。これをカレンダーロールで、ロ
ール温度50℃、線圧147000N/mでの条件で1
塗工面につき2回通紙することにより塗工紙を得た。こ
の塗工紙を用いて行った評価結果を表2に示す。
【0046】
【比較例5〜8】共重合体ラテックスとして、(ホ)〜
(チ)を用いた以外は実施例5〜8と同様にして塗工紙
を得た。この塗工紙を用いて行った評価結果を表2に示
す。
【0047】
【表2】
【0048】表2から明らかなように、本発明の共重合
体ラテックス(イ)〜(ニ)をバインダーとして用いた
塗工紙(実施例5〜8)は、いずれも塗工紙におけるピ
ック強度、湿潤ピック強度等の塗工紙物性に優れ、かつ
紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性の指標とな
る耐ベタツキ性に優れていることが分かる。これら実施
例に対して、最終段である2段目において、アクリロニ
トリルを含まず、かつ1段目で添加する単量体組成物の
組成から得られる共重合体の溶解パラメータ(A)と2
段目で添加する単量体組成物の組成から得られる共重合
体の溶解パラメータ(B)とが、本発明の請求範囲であ
る1.0<(B)−(A)<4.5の範囲外である共重
合体ラテックス(ホ)では、特に湿潤ピック強度と耐ベ
タツキ性に劣る。(比較例5)
【0049】また、これら実施例に対して、最終段であ
る2段目において、(d)シアン化ビニル系単量体を含
まず、かつ1段目で添加する単量体組成物の組成から得
られる共重合体の溶解パラメータ(A)と2段目で添加
する単量体組成物の組成から得られる共重合体の溶解パ
ラメータ(B)とが、本発明の請求範囲である2.0<
(B)−(A)<4.5の範囲外である共重合体ラテッ
クス(ホ)では、特に湿潤ピック強度と耐ベタツキ性に
劣る。(比較例5) 重合後の水酸化カリウムの添加量が、本発明の請求範囲
外である共重合体ラテックス(へ)では、特に湿潤ピッ
ク強度に劣る。(比較例6) 2段目の重合を行わず、(B)−(A)が算出不能で本
発明の請求範囲外となる共重合体ラテックス(ト)で
は、特に湿潤ピック強度と耐ベタツキ性に劣る。(比較
例7)
【0050】最終段である2段目において、アクリロニ
トリルを含んでいても、(B)−(A)が本発明の請求
範囲外となる共重合体ラテックス(チ)では、湿潤ピッ
ク強度と耐ベタツキ性には満足できるものの、特にピッ
ク強度が劣る。(比較例8)最終段である2段目におい
て、(b)芳香族ビニル系単量体を含まず、かつ(B)
−(A)が本発明の請求範囲外となる共重合体ラテック
ス(チ)では、湿潤ピック強度と耐ベタツキ性には満足
できるものの、特にピック強度が劣ることが分かる。
(比較例8)
【0051】
【実施例9〜12】表3に示した単量体成分、連鎖移動
剤、水酸化カリウムを用い、内温を75℃に昇温、その
温度にて重合を行った以外は実施例1と同様の方法で共
重合体ラテックス(リ)〜(ヲ)を得た。
【0052】
【比較例9】表3に示した単量体成分、連鎖移動剤、水
酸化カリウムを用い、内温を75℃に昇温、その温度に
て重合を行った以外は実施例1と同様の方法で共重合体
ラテックス(ワ)を得た。
【0053】
【比較例10】表3に示した単量体成分、連鎖移動剤、
水酸化カリウムを用い、第2段目の重合を行わず、内温
を75℃に昇温、その温度にて重合を行った以外は実施
例1と同様の方法で共重合体ラテックス(カ)を得た。
【0054】
【比較例11、12】表3に示した単量体成分、連鎖移
動剤、水酸化カリウムを用い、内温を75℃に昇温、そ
の温度にて重合を行った以外は実施例1と同様の方法で
共重合体ラテックス(ヨ)、(タ)を得た。
【0055】
【表3】
【0056】
【実施例13〜16】共重合体ラテックス(リ)〜
(ヲ)を用いて下記の配合で(実施例5〜8と同様
に)、紙塗工用組成物を調整した。 (配合処方) カオリンクレー 70 重量部 炭酸カルシウム 30 重量部 ポリアクリル酸ソーダ 0.2 重量部 水酸化ナトリウム 0.1 重量部 リン酸エステル化デンプン 2.5 重量部 共重合体共重合体ラテックス 12 重量部 水(全固形分が64%になるように添加)
【0057】得られた紙塗工用組成物を坪量75g/m
2 の塗工原紙に塗工量が片面14g/m2 になるように
両面ブレード塗工した後、恒温恒湿室(23℃、湿度6
5%)に一晩放置した。これをカレンダーロールで、ロ
ール温度50℃、線圧147000N/mでの条件で1
塗工面につき2回通紙することにより塗工紙を得た。こ
の塗工紙を用いて行った評価結果を表4に示す。
【0058】
【比較例13〜16】共重合体ラテックスとして、
(ワ)〜(タ)を用いた以外は実施例13〜16と同様
にして塗工紙を得た。この塗工紙を用いて行った評価結
果を表4に示す。
【0059】
【表4】
【0060】表4から明らかなように、本発明の共重合
体ラテックス(リ)〜(ヲ)をバインダーとして用いた
塗工紙(実施例13〜16)は、いずれも塗工紙におけ
るピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の塗
工紙物性に優れ、かつ紙塗工における耐バッキングロー
ル汚れ特性の指標となる耐ベタツキ性に優れていること
が分かる。これに対して、最終段である2段目におい
て、(d)シアン化ビニル系単量体を含まず、かつ重合
後の水酸化カリウムの添加量と(B)−(A)が本発明
の請求範囲外である共重合体ラテックス(ワ)では、特
に湿潤ピック強度と耐ベタツキ性に劣る。(比較例1
3) 2段目の重合を行わず、(B)−(A)が算出不能で本
発明の請求範囲外となる共重合体ラテックス(カ)で
は、特に湿潤ピック強度と耐ベタツキ性に劣る。(比較
例14)
【0061】最終段である2段目において、アクリロニ
トリルを含んでいても、(B)−(A)が本発明の請求
範囲外となる共重合体ラテックス(ヨ)では、耐ベタツ
キ性には満足できるものの、塗工紙におけるピック強
度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性に
劣る。(比較例15) 最終段である2段目において、(b)芳香族ビニル系単
量体を含まず、かつ重合後の水酸化カリウムの添加量と
(B)−(A)が本発明の請求範囲外となる共重合体ラ
テックス(ヨ)では、耐ベタツキ性には満足できるもの
の、塗工紙におけるピック強度、湿潤ピック強度、耐ブ
リスター性等の塗工紙物性に劣る。(比較例15) 最終段の2段目に重合する単量体組成物の重量部が本発
明の請求範囲外であり、かつ重合後の水酸化カリウムの
添加量と(B)−(A)が本発明の請求範囲外である共
重合体ラテックス(タ)では、重合安定性が優れず(比
較例12)、かつ耐ベタツキ性には満足できるものの、
塗工紙におけるピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリス
ター性等の塗工紙物性に劣る。(比較例16)
【0062】
【発明の効果】塗工紙におけるピック強度、湿潤ピック
強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性をバランス良く向
上することができる。また、紙塗工における耐バッキン
グロール汚れ特性を向上することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 5/02 C09D 5/02 109/04 109/04 125/00 125/00 133/02 133/02 133/18 133/18 D21H 19/58 D21H 19/58

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)共役ジエン系単量体を20〜70
    重量部、(b)芳香族ビニル系単量体を0.5〜78重
    量部、(c)エチレン性不飽和カルボン酸単量体を0.
    5〜10重量部、少なくともその一部がアクリロニトリ
    ルである(d)シアン化ビニル系単量体を0.5〜50
    重量部、(e)その他共重合可能なビニル系単量体を
    0.1〜50重量部(全単量体の合計を100重量部と
    する。)を多段重合法を用いて乳化重合するにあたり、
    該多段重合の最終段において、上記(d)シアン化ビニ
    ル系単量体のアクリロニトリルを少なくとも一部含む単
    量体組成物1〜20重量部を添加して乳化重合し、かつ
    重合後に水酸化カリウム0.05〜2.0重量部を添加
    して得られるジエン系共重合体ラテックスであって、か
    つ多段重合の最終段の前段で添加する単量体組成物の組
    成から得られる共重合体の溶解パラメータ(A)と最終
    段で添加する単量体組成物の組成から得られる共重合体
    の溶解パラメータ(B)とが、下記式(1)を満たすジ
    エン系共重合体ラテックス。 1.0<(B)−(A)<4.5 (1)
  2. 【請求項2】 最終段で添加する単量体組成物に(b)
    芳香族ビニル系単量体の少なくとも一部を含み、かつ最
    終段で添加する少なくともその一部がアクリロニトリル
    である(d)シアン化ビニル系単量体と(b)芳香族ビ
    ニル系単量体との重量比が、2/8〜8/2である請求
    項1に記載のジエン系共重合体ラテックス。
  3. 【請求項3】 (a)共役ジエン系単量体を20〜70
    重量部、(b)芳香族ビニル系単量体を0.5〜78重
    量部、(c)エチレン性不飽和カルボン酸単量体を0.
    5〜10重量部、(d)シアン化ビニル系単量体を0.
    5〜50重量部、(e)その他共重合可能なビニル系単
    量体を0.1〜50重量部(全単量体の合計を100重
    量部とする。)を多段重合法を用いて乳化重合するにあ
    たり、該多段重合の最終段において、少なくともその一
    部が(b)芳香族ビニル系単量体および(d)シアン化
    ビニル系単量体からなる単量体組成物1〜20重量部を
    添加して乳化重合し、かつ重合後に水酸化カリウム0.
    05〜2.0重量部を添加して得られるジエン系共重合
    体ラテックスであって、かつ多段重合の最終段の前段で
    添加する単量体組成物の組成から得られる共重合体の溶
    解パラメータ(A)と最終段で添加する単量体組成物の
    組成から得られる共重合体の溶解パラメータ(B)と
    が、下記式(2)を満たすジエン系共重合体ラテック
    ス。 2.0<(B)−(A)<4.5 (2)
  4. 【請求項4】 最終段で添加する(d)シアン化ビニル
    系単量体と(b)芳香族ビニル系単量体との重量比が、
    2/8〜8/2である請求項3に記載のジエン系共重合
    体ラテックス。
  5. 【請求項5】 最終段で添加する(b)芳香族ビニル系
    単量体がスチレンである請求項2ないし4に記載のジエ
    ン系共重合体ラテックス。
  6. 【請求項6】 顔料および、請求項1ないし5に記載の
    ジエン系共重合体ラテックスを含有する紙塗工用組成
    物。
JP36975599A 1999-04-05 1999-12-27 ジエン系共重合体ラテックス Expired - Lifetime JP4606536B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36975599A JP4606536B2 (ja) 1999-04-05 1999-12-27 ジエン系共重合体ラテックス

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9737999 1999-04-05
JP11-97379 1999-04-05
JP36975599A JP4606536B2 (ja) 1999-04-05 1999-12-27 ジエン系共重合体ラテックス

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000351803A true JP2000351803A (ja) 2000-12-19
JP4606536B2 JP4606536B2 (ja) 2011-01-05

Family

ID=26438560

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP36975599A Expired - Lifetime JP4606536B2 (ja) 1999-04-05 1999-12-27 ジエン系共重合体ラテックス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4606536B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002226523A (ja) * 2001-01-31 2002-08-14 Asahi Kasei Corp 共重合体ラテックスおよび紙塗工用組成物
JP2008248446A (ja) * 2007-03-30 2008-10-16 Nippon A & L Kk 紙塗工用共重合体ラテックス
JP5632954B1 (ja) * 2013-07-24 2014-11-26 日本エイアンドエル株式会社 共重合体ラテックス
JP5632955B1 (ja) * 2013-07-24 2014-11-26 日本エイアンドエル株式会社 共重合体ラテックス
JP5632956B1 (ja) * 2013-07-24 2014-11-26 日本エイアンドエル株式会社 共重合体ラテックス
JP5632953B1 (ja) * 2013-07-24 2014-11-26 日本エイアンドエル株式会社 共重合体ラテックスの製造方法
JP2015042728A (ja) * 2013-07-24 2015-03-05 日本エイアンドエル株式会社 共重合体ラテックス
JP2015042727A (ja) * 2013-07-24 2015-03-05 日本エイアンドエル株式会社 共重合体ラテックス
CN109293814A (zh) * 2017-07-25 2019-02-01 济宁明升新材料有限公司 一种用于造纸涂料的丁苯胶乳的制备方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3029298B2 (ja) * 1991-01-17 2000-04-04 旭化成工業株式会社 紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法
JP3242855B2 (ja) * 1996-12-27 2001-12-25 旭化成株式会社 ジエン系共重合体ラテックス

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002226523A (ja) * 2001-01-31 2002-08-14 Asahi Kasei Corp 共重合体ラテックスおよび紙塗工用組成物
JP2008248446A (ja) * 2007-03-30 2008-10-16 Nippon A & L Kk 紙塗工用共重合体ラテックス
JP5632954B1 (ja) * 2013-07-24 2014-11-26 日本エイアンドエル株式会社 共重合体ラテックス
JP5632955B1 (ja) * 2013-07-24 2014-11-26 日本エイアンドエル株式会社 共重合体ラテックス
JP5632956B1 (ja) * 2013-07-24 2014-11-26 日本エイアンドエル株式会社 共重合体ラテックス
JP5632953B1 (ja) * 2013-07-24 2014-11-26 日本エイアンドエル株式会社 共重合体ラテックスの製造方法
JP2015042728A (ja) * 2013-07-24 2015-03-05 日本エイアンドエル株式会社 共重合体ラテックス
JP2015042725A (ja) * 2013-07-24 2015-03-05 日本エイアンドエル株式会社 共重合体ラテックス
JP2015042724A (ja) * 2013-07-24 2015-03-05 日本エイアンドエル株式会社 共重合体ラテックス
JP2015042723A (ja) * 2013-07-24 2015-03-05 日本エイアンドエル株式会社 共重合体ラテックスの製造方法
JP2015042727A (ja) * 2013-07-24 2015-03-05 日本エイアンドエル株式会社 共重合体ラテックス
JP2015042726A (ja) * 2013-07-24 2015-03-05 日本エイアンドエル株式会社 共重合体ラテックス
CN109293814A (zh) * 2017-07-25 2019-02-01 济宁明升新材料有限公司 一种用于造纸涂料的丁苯胶乳的制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4606536B2 (ja) 2011-01-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2000351803A (ja) ジエン系共重合体ラテックス
JP3975097B2 (ja) 共重合体ラテックスおよびその紙塗工用組成物
JP3242855B2 (ja) ジエン系共重合体ラテックス
JP3975096B2 (ja) 共重合体ラテックスおよび紙塗工用組成物
JP2001049038A (ja) 共重合体ラテックスおよび紙塗工用組成物
JP3029298B2 (ja) 紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法
JP3144874B2 (ja) 共重合体ラテックス
JP2933984B2 (ja) ジエン系共重合体ラテックスの製造方法
JP2933985B2 (ja) ジエン系共重合体ラテックスの製造法
JP3975098B2 (ja) 共重合体ラテックス、その製造方法および紙塗工用組成物
JPH07316212A (ja) 紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法及び紙塗工用組成物
JPH08259611A (ja) 樹脂ラテックスの製造方法
JP2849450B2 (ja) 新規共重合体ラテックスの製法
JP3046039B2 (ja) ジエン系共重合体ラテックスの製造法
JP2849451B2 (ja) 新規共重合体ラテックスの製造方法
JP3693423B2 (ja) 共重合体ラテックス
JP5601722B2 (ja) 共重合体ラテックスおよび紙塗工用組成物
JP2004238562A (ja) 共重合体ラテックスおよびその紙塗工用組成物
JPH1180278A (ja) 共重合体ラテックス
JP2846409B2 (ja) 新規共重合体ラテックスの製造法
JP4033531B2 (ja) 紙塗工用ラテックス組成物及びその製造方法
JP2925659B2 (ja) 新規共重合体ラテックスの製造法
JP2849452B2 (ja) 新規共重合体ラテックスの製造方法
JP2002194010A (ja) 共重合体ラテックスの製造方法および該製造方法で得られた共重合体ラテックス
JP2846410B2 (ja) 新規共重合体ラテックスの製法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061215

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100706

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100824

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20100824

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101005

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101006

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4606536

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131015

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term