JP2005264398A - 塗工紙の製造方法及び塗工紙 - Google Patents
塗工紙の製造方法及び塗工紙 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005264398A JP2005264398A JP2004081093A JP2004081093A JP2005264398A JP 2005264398 A JP2005264398 A JP 2005264398A JP 2004081093 A JP2004081093 A JP 2004081093A JP 2004081093 A JP2004081093 A JP 2004081093A JP 2005264398 A JP2005264398 A JP 2005264398A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- coating
- coated paper
- mass
- monomer
- paper
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Paper (AREA)
Abstract
【課題】塗工量が少なくても、被覆性の良好な製品を得ることができ、また、得られた塗工紙は強度的に問題なく印刷光沢等も良好な塗工紙の製造方法、及び塗工紙を提供する。
【解決手段】塗工原紙の表面に、顔料とバインダーを含有する塗工液で下塗りと上塗り塗工する2層の塗工層を有する塗工紙の製造方法であって、下塗り塗工をフィルムトランスファー塗工方式で塗工し、上塗り塗工を非接触塗工方式で塗工することを特徴とする塗工紙の製造方法、及びその製法で得られた枚葉オフセット用あるいは輪転オフセット用塗工紙を用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】塗工原紙の表面に、顔料とバインダーを含有する塗工液で下塗りと上塗り塗工する2層の塗工層を有する塗工紙の製造方法であって、下塗り塗工をフィルムトランスファー塗工方式で塗工し、上塗り塗工を非接触塗工方式で塗工することを特徴とする塗工紙の製造方法、及びその製法で得られた枚葉オフセット用あるいは輪転オフセット用塗工紙を用いる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、塗工紙の製造方法及び塗工紙に関する。更に詳しくは、低塗工量でも被覆性が良く印刷光沢等に優れた塗工紙を低コストで生産性良く製造する方法、また、その方法で得られた塗工紙に関する。本発明の塗工紙は、枚葉オフセット印刷用あるいは輪転オフセット印刷用の用紙として用いられる。
紙の外観や印刷適性を改良するために、カオリンや炭酸カルシウム等の白色顔料と水性バインダーを主成分とする組成物が塗工される。この塗工された紙、即ち塗工紙は、今日広く使用されている。近年、雑誌のビジュアル化や新聞の折り込み広告、チラシ等の増加により、その生産量は大きく増加してきた。これらの塗工紙には、今日、多くの種類があり、原紙の種類による違いの他、塗工量の違いによるもの、塗工方法の違いによるもの、塗工回数の違いによるものなど様々である。
塗工紙は非塗工紙に比べて一般的に、密度が高く、特に本にした場合など重く感じられる。塗工量を少なくすれば、コストは低下し軽くなるが、被覆性が悪くなり、インキ転移性や印刷光沢を始めとする印刷適性が低下する。ここで望まれるのは、塗工量が少なくても嵩高で被覆性が良くインキ転移性の良いこと、そして、塗工層の強度は充分あり、インキ保持性も良好で印刷光沢が良好なことである。しかも、こうした塗工紙が、生産性よく低コストで製造できることである。
塗工紙は非塗工紙に比べて一般的に、密度が高く、特に本にした場合など重く感じられる。塗工量を少なくすれば、コストは低下し軽くなるが、被覆性が悪くなり、インキ転移性や印刷光沢を始めとする印刷適性が低下する。ここで望まれるのは、塗工量が少なくても嵩高で被覆性が良くインキ転移性の良いこと、そして、塗工層の強度は充分あり、インキ保持性も良好で印刷光沢が良好なことである。しかも、こうした塗工紙が、生産性よく低コストで製造できることである。
塗工紙は、今日、ブレード塗工方式やゲートロールコーター、メータリングサイズプレス等のフィルムトランスファー塗工方式で製造されている。ブレード塗工方式の場合、高速塗工が可能で、塗工層は平滑になり易く印刷光沢は良好である。しかしながら、ブレード塗工の場合、設備が大掛かりでコストが高くなり、また、フィルムトランスファー方式に比べて、塗工中の紙切れ等のトラブルが発生しやすく、更にはその機構上、塗工層は嵩高くはならず緻密になる。またフィルムトランスファー塗工方式でも、ブレード塗工ほど緻密にはならないが、嵩高にはなりにくい。
塗工量が少なくても、嵩高な塗工層になり易い塗工方式としては、カーテン塗工方式等の非接触塗工方式がある。しかし、この方式は感圧紙や感熱紙などの特殊紙に限られ、一般的な塗工紙の製造には用いられていない。その理由は、塗工欠陥が生じ易いためである。非接触塗工方式では、塗工液の原紙への押し込みが少ないため、塗工液の表面張力が低く流動性が良好でないと、原紙の表面を迅速かつ充分に濡らすことができない。そして、原紙の表面が充分濡れていないと表面形状の影響を受けて、塗工紙表面に途工欠陥、すなわち、塗工紙表面において、顔料が塗工されていない微小な空孔を生じ易い。こうした塗工欠陥が生じると著しく商品価値を低下させる。また、塗工層は嵩高にはなるが、インキの浸透性が大きく印刷光沢が低下し易く、また、塗工層の強度も低下する傾向にあるため、一般的にバインダーを多く使用せざるを得ず、コスト高になる。
塗工層を嵩高くするためには、配合処方からの対策も採られるが、コスト高となる場合が多い。例えば、プラスチックピグメントを使用するとその比重が小さいこともあり、嵩高になるがコストは高くなる。バインダーに大きな平均粒子径のラテックスを用いることも考えられるが、接着強度が弱くなるため、やはりその所用量が増加しコスト高になる。
ところで、被覆性を良好にし、インキ転移性を良くするためには、あるいは印刷光沢を向上させる手段としては、例えば特許文献1及び特許文献2に記載のダブル塗工する方法がある。しかし、これらの塗工方法では下塗りをブレード塗工しているため、充分な塗工層の嵩高さを得ることは難しい。
塗工量が少なくても、嵩高な塗工層になり易い塗工方式としては、カーテン塗工方式等の非接触塗工方式がある。しかし、この方式は感圧紙や感熱紙などの特殊紙に限られ、一般的な塗工紙の製造には用いられていない。その理由は、塗工欠陥が生じ易いためである。非接触塗工方式では、塗工液の原紙への押し込みが少ないため、塗工液の表面張力が低く流動性が良好でないと、原紙の表面を迅速かつ充分に濡らすことができない。そして、原紙の表面が充分濡れていないと表面形状の影響を受けて、塗工紙表面に途工欠陥、すなわち、塗工紙表面において、顔料が塗工されていない微小な空孔を生じ易い。こうした塗工欠陥が生じると著しく商品価値を低下させる。また、塗工層は嵩高にはなるが、インキの浸透性が大きく印刷光沢が低下し易く、また、塗工層の強度も低下する傾向にあるため、一般的にバインダーを多く使用せざるを得ず、コスト高になる。
塗工層を嵩高くするためには、配合処方からの対策も採られるが、コスト高となる場合が多い。例えば、プラスチックピグメントを使用するとその比重が小さいこともあり、嵩高になるがコストは高くなる。バインダーに大きな平均粒子径のラテックスを用いることも考えられるが、接着強度が弱くなるため、やはりその所用量が増加しコスト高になる。
ところで、被覆性を良好にし、インキ転移性を良くするためには、あるいは印刷光沢を向上させる手段としては、例えば特許文献1及び特許文献2に記載のダブル塗工する方法がある。しかし、これらの塗工方法では下塗りをブレード塗工しているため、充分な塗工層の嵩高さを得ることは難しい。
本発明者らが解決しようとする課題は、塗工紙を製造するに当たり、少ない塗工量でも、塗工層の被覆性も良くインキ転移性が良い、また、印刷光沢等も良好な塗工紙を、操業性良く低コストで製造できる方法を開発することである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、塗工原紙の表面に、先ず、下塗り塗工をフィルムトランスファー塗工方式で塗工し、次いで、上塗り塗工を非接触塗工方式で塗工することにより、上記課題が達成できることが判り本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の塗工紙の製造方法及び塗工紙が提供される。
[1]塗工原紙の表面に、顔料とバインダーを含有する塗工液で下塗りと上塗り塗工する2層の塗工層を有する塗工紙の製造方法であって、下塗り塗工をフィルムトランスファー塗工方式で塗工し、上塗り塗工を非接触塗工方式で塗工することを特徴とする塗工紙の製造方法。
[2]下塗り塗工層の空間周波数25mm−1未満の周波数領域の中心線平均粗さが3μm以下であり、かつ空間周波数25mm−1以上の周波数領域の中心線平均粗さが0.2μm以上であることを特徴とする[1]記載の塗工紙の製造方法。
[3]下塗り塗工と上塗り塗工の塗布量は、坪量で下塗り層は3〜6g/m2、上塗り層は4〜10g/m2の範囲で、かつ下塗り塗工と上塗り塗工の塗布量比(下塗/上塗)は、1以下であることを特徴とする[1]または[2]記載の塗工紙の製造方法。
[4]下塗り塗工液のバインダーには、(A)(a)脂肪族共役ジエン単量体35〜60質量%、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜7質量%、並びに、(d)これらの単量体と共重合可能な他の単量体33〜64.5質量%からなる単量体(但し、(a)+(b)+(d)=100質量%)を乳化重合して得られ、ゲル含有量が75〜98%、平均粒子径70〜140nmの共重合体ラテックスを含有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の塗工紙の製造方法。
[5]上塗り塗工液のバインダーには、(B)(a)脂肪族共役ジエン単量体35〜60質量%、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜7質量%、(c)シアン化ビニル単量体5〜33質量%、並びに、(e)これらの単量体と共重合可能な他の単量体0〜59.5質量%からなる単量体(但し、(a)+(b)+(c)+(e)=100質量%)を乳化重合して得られ、ゲル含有量が80〜98%、平均粒子径50〜110nmの共重合体ラテックスを含有することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の塗工紙の製造方法。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法で得られた枚葉オフセット用あるいは輪転オフセット用塗工紙。
すなわち、本発明は、下記の塗工紙の製造方法及び塗工紙が提供される。
[1]塗工原紙の表面に、顔料とバインダーを含有する塗工液で下塗りと上塗り塗工する2層の塗工層を有する塗工紙の製造方法であって、下塗り塗工をフィルムトランスファー塗工方式で塗工し、上塗り塗工を非接触塗工方式で塗工することを特徴とする塗工紙の製造方法。
[2]下塗り塗工層の空間周波数25mm−1未満の周波数領域の中心線平均粗さが3μm以下であり、かつ空間周波数25mm−1以上の周波数領域の中心線平均粗さが0.2μm以上であることを特徴とする[1]記載の塗工紙の製造方法。
[3]下塗り塗工と上塗り塗工の塗布量は、坪量で下塗り層は3〜6g/m2、上塗り層は4〜10g/m2の範囲で、かつ下塗り塗工と上塗り塗工の塗布量比(下塗/上塗)は、1以下であることを特徴とする[1]または[2]記載の塗工紙の製造方法。
[4]下塗り塗工液のバインダーには、(A)(a)脂肪族共役ジエン単量体35〜60質量%、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜7質量%、並びに、(d)これらの単量体と共重合可能な他の単量体33〜64.5質量%からなる単量体(但し、(a)+(b)+(d)=100質量%)を乳化重合して得られ、ゲル含有量が75〜98%、平均粒子径70〜140nmの共重合体ラテックスを含有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の塗工紙の製造方法。
[5]上塗り塗工液のバインダーには、(B)(a)脂肪族共役ジエン単量体35〜60質量%、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜7質量%、(c)シアン化ビニル単量体5〜33質量%、並びに、(e)これらの単量体と共重合可能な他の単量体0〜59.5質量%からなる単量体(但し、(a)+(b)+(c)+(e)=100質量%)を乳化重合して得られ、ゲル含有量が80〜98%、平均粒子径50〜110nmの共重合体ラテックスを含有することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の塗工紙の製造方法。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法で得られた枚葉オフセット用あるいは輪転オフセット用塗工紙。
フィルムトランスファー塗工方式で塗工を施した後に非接触塗工方式で塗工を行うことにより、ほとんど塗工欠陥なく塗工することが可能である。
そして、上記の塗工方式により、塗工量が少なくても、塗工層の被覆性の良好な製品を得ることができ、また、得られた塗工紙は強度的に問題なく印刷光沢等も良好である。
また、この方式によればプラスチックピグメントのような高価格の顔料は使用せず、また、ブレード塗工に比べると塗工原紙に掛かる応力は小さいことから、塗工原紙のコストも低下させることが可能で、低コストで製造することが可能である。
そして、上記の塗工方式により、塗工量が少なくても、塗工層の被覆性の良好な製品を得ることができ、また、得られた塗工紙は強度的に問題なく印刷光沢等も良好である。
また、この方式によればプラスチックピグメントのような高価格の顔料は使用せず、また、ブレード塗工に比べると塗工原紙に掛かる応力は小さいことから、塗工原紙のコストも低下させることが可能で、低コストで製造することが可能である。
以下、本発明を詳しく説明する。
1、塗工原紙
本発明で使用する塗工原紙の原料パルプの種類は特に限定されない。例えば、機械パルプ、化学パルプ、古紙パルプ(DIP)等が挙げられる。また、塗工原紙には、内添剤として炭酸カルシウム、クレー及びタルク等の顔料、アルキルケテンダイマー、ロジン酸石鹸及び硫酸バンド等のサイズ剤、カチオン澱粉及びポリアクリルアミド等の紙力増強剤、並びに嵩高剤等を使用することもできる。更に、上記塗工原紙の表面には、サイズプレス、ゲートロールコーター、メータードサイズプレス等を使用して、アクリルアミド又はアクリル−スチレンポリマー等の表面サイズ剤を塗布することもできる。
1、塗工原紙
本発明で使用する塗工原紙の原料パルプの種類は特に限定されない。例えば、機械パルプ、化学パルプ、古紙パルプ(DIP)等が挙げられる。また、塗工原紙には、内添剤として炭酸カルシウム、クレー及びタルク等の顔料、アルキルケテンダイマー、ロジン酸石鹸及び硫酸バンド等のサイズ剤、カチオン澱粉及びポリアクリルアミド等の紙力増強剤、並びに嵩高剤等を使用することもできる。更に、上記塗工原紙の表面には、サイズプレス、ゲートロールコーター、メータードサイズプレス等を使用して、アクリルアミド又はアクリル−スチレンポリマー等の表面サイズ剤を塗布することもできる。
2.顔料
本発明で使用する顔料は、コストの面から重質炭酸カルシウムあるいは軽質炭酸カルシウムが主に使用されるが、その他カオリン、クレー、タルク、サチンホワイト、プラスチックピグメント、二酸化チタン、シリカ等が1種以上使用される。このうち上塗り塗工の顔料については、高速操業性と品質の面から、重質炭酸カルシウムを全顔料中50〜70質量%配合し、その平均粒子径は0.3〜0.9μmのものが好ましい。
本発明で使用する顔料は、コストの面から重質炭酸カルシウムあるいは軽質炭酸カルシウムが主に使用されるが、その他カオリン、クレー、タルク、サチンホワイト、プラスチックピグメント、二酸化チタン、シリカ等が1種以上使用される。このうち上塗り塗工の顔料については、高速操業性と品質の面から、重質炭酸カルシウムを全顔料中50〜70質量%配合し、その平均粒子径は0.3〜0.9μmのものが好ましい。
3.バインダー
本発明で使用するバインダーは、スチレン・ブタジエン系共重合体ラテックス、スチレン・アクリル系共重合体ラテックス、アクリル系共重合体ラテックス、酢酸ビニル・アクリル系共重合体ラテックス、ブタジエン・メチルメタクリル系等の各種共重合体ラテックス、あるいはこれらの各種共重合体ラテックスの化学反応による変成物、ポリビニルアルコール等の合成系バインダー、酸化デンプン、エステル化デンプン、酵素変性デンプン、エーテル化デンプンやそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性デンプン、カゼインなどの天然系バインダー等が使用できるが、好ましくは以下に記載の共重合体ラテックスを用い、このラテックスが全バインダー量の固形分換算で50〜90質量%含有するバインダーである。
本発明で使用するバインダーは、スチレン・ブタジエン系共重合体ラテックス、スチレン・アクリル系共重合体ラテックス、アクリル系共重合体ラテックス、酢酸ビニル・アクリル系共重合体ラテックス、ブタジエン・メチルメタクリル系等の各種共重合体ラテックス、あるいはこれらの各種共重合体ラテックスの化学反応による変成物、ポリビニルアルコール等の合成系バインダー、酸化デンプン、エステル化デンプン、酵素変性デンプン、エーテル化デンプンやそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性デンプン、カゼインなどの天然系バインダー等が使用できるが、好ましくは以下に記載の共重合体ラテックスを用い、このラテックスが全バインダー量の固形分換算で50〜90質量%含有するバインダーである。
3−1.フィルムトランスファー塗工で用いる共重合体ラテックス
下塗りのフィルムトランスファー塗工で塗工する塗工液に用いるバインダーとして、好ましい共重合体ラテックス(以下「共重合体ラテックス(A)と記載する」)は次のラテックスである。
共重合体ラテックス(A)に使用される(a)脂肪族共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、クロロプレンなどが挙げられるが、好ましくは1,3−ブタジエンである。これらの(a)脂肪族共役ジエン単量体は、1種単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。かかる(a)脂肪族共役ジエン単量体は、得られる重合体に適度な柔軟性と伸びを与え、耐衝撃性を付与するために必須の成分であり、その使用割合は全単量体に対して35〜60質量%、好ましくは40〜55質量%である。この(a)成分が35質量%未満であると、共重合体が硬くなり過ぎ、充分な接着強度が得られない。一方、(a)成分が60質量%を越えると粘着性が大となり、操業性が悪化する。
下塗りのフィルムトランスファー塗工で塗工する塗工液に用いるバインダーとして、好ましい共重合体ラテックス(以下「共重合体ラテックス(A)と記載する」)は次のラテックスである。
共重合体ラテックス(A)に使用される(a)脂肪族共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、クロロプレンなどが挙げられるが、好ましくは1,3−ブタジエンである。これらの(a)脂肪族共役ジエン単量体は、1種単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。かかる(a)脂肪族共役ジエン単量体は、得られる重合体に適度な柔軟性と伸びを与え、耐衝撃性を付与するために必須の成分であり、その使用割合は全単量体に対して35〜60質量%、好ましくは40〜55質量%である。この(a)成分が35質量%未満であると、共重合体が硬くなり過ぎ、充分な接着強度が得られない。一方、(a)成分が60質量%を越えると粘着性が大となり、操業性が悪化する。
(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などが挙げられる。これらの(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体は、1種単独で、あるいは2種以上を使用することもできる。かかる(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体の使用量は、全単量体に対して0.5〜7質量%、好ましくは1〜5質量%である。(b)成分が0.5質量%未満では、重合時の共重合体ラテックス(A)の安定性が悪く、また、塗工液の機械的安定性も低下し、塗工時の操業性が低下する。一方(b)成分が7質量%を超えると、塗工液粘度が高くなり過ぎ塗工に支障をきたす。
また、上記の単量体(a)および単量体(b)と共重合可能な他のビニル系単量体(d)としては芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、その他、アルキル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、アクリルアミド系化合物、N−メチロールアクリルアミドなどが挙げられる。これらのうち、芳香族ビニル単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレンなどが挙げられ、特にスチレンが好ましい。シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特にメチルメタアクリレートが好ましい。さらにアクリルアミド系化合物としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これら(d)成分は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもかまわない。(d)成分は、共重合体に、主として目的に応じた適度なガラス転移温度を与えるために使用するものであり、その使用割合は33〜64.5質量%である。
下塗りのフィルムトランスファー塗工で用いる共重合体ラテックス(A)は、前述した単量体成分(a)、(b)および(d)を乳化重合して得られ、共重合体ラテックス(A)のゲル含有量は75〜98%、好ましくは80〜95%である。ゲル含有量が75%未満であると充分な接着強度が得られない。また、98%を超えてもやはり充分な接着強度が得られなくなる。
また、この共重合体ラテックス(A)の平均粒子径は、70〜140nm、好ましくは90〜130nmである。70nm未満であると、塗工層が緻密になり過ぎる。また、平滑性が低下し、上塗り後の平滑性も低下し、インキ転移性、印刷光沢等の印刷適性を低下させ易い。また、140nmを超えると充分な接着強度が得られなくなる。
3−2.非接触塗工で用いる共重合体ラテックス
上塗りの非接触塗工で塗工する塗工液に用いるバインダーとして、好ましい共重合体ラテックス(以下「共重合体ラテックス(B)と記載する」)は次のラテックスである。
共重合体ラテックス(B)に使用される(a)脂肪族共役ジエン単量体は、上記と同じであり、その使用割合は全単量体に対して35〜60質量%、好ましくは40〜55質量%である。この(a)成分が35質量%未満であると、共重合体が硬くなり過ぎ、充分な接着強度が得られない。一方、(a)成分が60質量%を越えると粘着性が大となり、各種ロールを汚し易い、非接触塗工でのリップを閉塞し易い、など操業性を悪化させる。また、耐水強度や印刷光沢も低下する。
上塗りの非接触塗工で塗工する塗工液に用いるバインダーとして、好ましい共重合体ラテックス(以下「共重合体ラテックス(B)と記載する」)は次のラテックスである。
共重合体ラテックス(B)に使用される(a)脂肪族共役ジエン単量体は、上記と同じであり、その使用割合は全単量体に対して35〜60質量%、好ましくは40〜55質量%である。この(a)成分が35質量%未満であると、共重合体が硬くなり過ぎ、充分な接着強度が得られない。一方、(a)成分が60質量%を越えると粘着性が大となり、各種ロールを汚し易い、非接触塗工でのリップを閉塞し易い、など操業性を悪化させる。また、耐水強度や印刷光沢も低下する。
(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体も、上記と同様であり、その使用量は、全単量体に対して0.5〜7質量%、好ましくは1〜5質量%である。(b)成分が0.5質量%未満では、重合時の共重合体ラテックス(B)の安定性が悪く凝集物が発生し易い。一方(b)成分が7質量%を超えると、塗工液粘度が高くなりすぎ塗工に支障をきたす。
シアン化ビニル単量体(c)としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。その使用量は、5〜33質量%であり、好ましくは、10〜30質量%である。5質量%未満であると、インキ浸透の抑制効果が小さく、印刷光沢が劣る。33質量%を越すと、インキ転移性が悪化する。
また、単量体(a)、(b)、(c)と共重合可能な他のビニル系単量体(e)は、上記の共重合可能な他のビニル系単量体(d)からシアン化ビニル単量体を除いたものであり、使用量は、0〜59.5質量%である。
また、単量体(a)、(b)、(c)と共重合可能な他のビニル系単量体(e)は、上記の共重合可能な他のビニル系単量体(d)からシアン化ビニル単量体を除いたものであり、使用量は、0〜59.5質量%である。
非接触塗工で用いる共重合体ラテックス(B)は、前述した単量体成分(a)、(b)、(c)および(e)を乳化重合して得られ、共重合体ラテックス(B)のゲル含有量は80〜98%、好ましくは85〜95%である。ゲル含有量が80%未満であると充分な接着強度が得られない。また、98%を超えてもやはり充分な接着強度が得られなくなる。
また、この共重合体ラテックス(B)の平均粒子径は、50〜110nm、好ましくは70〜90nmである。50nm未満であると、塗工層が緻密になり過ぎる。また、平滑性が低下し、インキ転移性、印刷光沢等の印刷適性が低下する。また、110nmを超えると充分な接着強度が得られなくなり、また、印刷光沢が低下する。
また、この共重合体ラテックス(B)の平均粒子径は、50〜110nm、好ましくは70〜90nmである。50nm未満であると、塗工層が緻密になり過ぎる。また、平滑性が低下し、インキ転移性、印刷光沢等の印刷適性が低下する。また、110nmを超えると充分な接着強度が得られなくなり、また、印刷光沢が低下する。
上記共重合体ラテックス(A)、及び、共重合体ラテックス(B)を乳化重合するに際しては、水性媒体中で乳化剤、重合開始剤、分子量調節剤などを用いて製造することができる。ここで、乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを単独で、あるいは2種以上を併用して使用できる。ここで、アニオン性界面活性剤としては、例えば高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ポリエチレングリコールアルキルエーテルの硫酸エステルなどが挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型などが用いられる。
両性界面活性剤としては、アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、燐酸エステル塩を、カチオン部分としてはアミン塩、第4級アンモニウム塩を持つものが挙げられ、具体的にはラウリルベタイン、ステアリルベタインなどのベタイン類、ラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ(アミノエチル)グリシン、などのアミノ酸タイプのものなどが用いられる。
重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性重合開始剤、過酸化ベンゾイル、ラウリルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチルニトリルなどの油溶性重合開始剤、還元剤との組み合わせによるレドックス系重合開始剤などが、それぞれ単独であるいは組み合わせで使用できる。
重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性重合開始剤、過酸化ベンゾイル、ラウリルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチルニトリルなどの油溶性重合開始剤、還元剤との組み合わせによるレドックス系重合開始剤などが、それぞれ単独であるいは組み合わせで使用できる。
分子量調節剤、キレート化剤、無機電解質なども公知のものが使用できる。分子量調節剤としては、クロロホルム、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素類、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸などのメルカプタン類、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイドなどのキサントゲン類、ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー、1,1−ジフェニルエチレンなど通常の乳化重合で使用可能なものを全て使用できる。
重合方法としては、単量体の一部を重合した後、その残りを連続的にあるいは断続的に添加する方法、あるいは単量体を重合のはじめから連続的に添加する方法が採られる。
重合温度は、通常、好ましくは20〜85℃、より好ましくは25〜80℃である。重合時間は、通常10〜30時間である。
重合方法としては、単量体の一部を重合した後、その残りを連続的にあるいは断続的に添加する方法、あるいは単量体を重合のはじめから連続的に添加する方法が採られる。
重合温度は、通常、好ましくは20〜85℃、より好ましくは25〜80℃である。重合時間は、通常10〜30時間である。
4.塗工液
本発明のフィルムトランスファー塗工方式での下塗り塗工、非接触塗工方式での上塗り塗工に用いる塗工液には、上記顔料、及び、バインダーに加えて、耐水性改良剤、顔料分散剤、粘度調節剤、着色顔料、蛍光染料およびpH調節剤等一般に使用されている種々の添加剤を任意に配合することができる。顔料、バインダー、その他添加剤を含む塗工液の固形分濃度は、10〜70質量%が好ましい。
塗工液に含まれるバインダー量は、下塗り塗工、上塗り塗工共に、通常、顔料100質量部に対して5〜20質量部(固形分として)、好ましくは7〜15質量部である。
本発明のフィルムトランスファー塗工方式での下塗り塗工、非接触塗工方式での上塗り塗工に用いる塗工液には、上記顔料、及び、バインダーに加えて、耐水性改良剤、顔料分散剤、粘度調節剤、着色顔料、蛍光染料およびpH調節剤等一般に使用されている種々の添加剤を任意に配合することができる。顔料、バインダー、その他添加剤を含む塗工液の固形分濃度は、10〜70質量%が好ましい。
塗工液に含まれるバインダー量は、下塗り塗工、上塗り塗工共に、通常、顔料100質量部に対して5〜20質量部(固形分として)、好ましくは7〜15質量部である。
5.塗工紙の製造方法
本発明で使用する下塗り工程のフィルムトランスファー塗工方式としては、特に1100m/分以上の高速でも操業可能な、ゲートロールコーターあるいは直径が30〜50mmの表面が平滑なロッドを有するロッドメタリングサイズプレスコータを使用することが望ましい。下塗り塗工する際の塗工液の粘度は400〜3,000mPa・sであるものを使用することが望ましい。
このような塗工液を塗工原紙の表面に、好ましくは塗工速度500m/分以上、特に好ましくは500〜1,500m/分以上でフィルムトランスファー方式で塗工した後、塗工紙を乾燥させる。乾燥させた塗工紙の表面粗さ(Ra値)は、好ましくは空間周波数25mm−1未満の周波数領域の中心線平均粗さで3μm以下、更に好ましくは2.5μm、最も好ましくは2.0μm以下であり、かつ空間周波数25mm−1以上の周波数領域の中心線平均粗さで0.2μm以上、更に好ましくは0.3μm以上、最も好ましくは0.4μm以上にすれば、次の上塗り工程を非接触塗工方式で塗布しても、塗布層の厚み及び密度が均一で塗布ムラ及び塗布欠陥の発生がない塗工紙を得ることができる。
上塗り塗工は下塗り後、連続して次の非接触塗をするオン方式でも、一旦巻き取った後、次の非接触塗を行うオフ方式でも行うことができる。
尚、上記のそれぞれの空間周波数領域の中心線平均粗さは、以下に記載する方法で求めることができる。
本発明で使用する下塗り工程のフィルムトランスファー塗工方式としては、特に1100m/分以上の高速でも操業可能な、ゲートロールコーターあるいは直径が30〜50mmの表面が平滑なロッドを有するロッドメタリングサイズプレスコータを使用することが望ましい。下塗り塗工する際の塗工液の粘度は400〜3,000mPa・sであるものを使用することが望ましい。
このような塗工液を塗工原紙の表面に、好ましくは塗工速度500m/分以上、特に好ましくは500〜1,500m/分以上でフィルムトランスファー方式で塗工した後、塗工紙を乾燥させる。乾燥させた塗工紙の表面粗さ(Ra値)は、好ましくは空間周波数25mm−1未満の周波数領域の中心線平均粗さで3μm以下、更に好ましくは2.5μm、最も好ましくは2.0μm以下であり、かつ空間周波数25mm−1以上の周波数領域の中心線平均粗さで0.2μm以上、更に好ましくは0.3μm以上、最も好ましくは0.4μm以上にすれば、次の上塗り工程を非接触塗工方式で塗布しても、塗布層の厚み及び密度が均一で塗布ムラ及び塗布欠陥の発生がない塗工紙を得ることができる。
上塗り塗工は下塗り後、連続して次の非接触塗をするオン方式でも、一旦巻き取った後、次の非接触塗を行うオフ方式でも行うことができる。
尚、上記のそれぞれの空間周波数領域の中心線平均粗さは、以下に記載する方法で求めることができる。
ここで上記「空間周波数」とは、塗工紙の概略断面拡大図1に示した塗工紙1を断面方向に切断し、その断面方向から塗工紙を見た場合に、単位長さ(1mm)中、塗工紙1の表面を構成する曲線f(以下、これを「表面粗さ曲線f」という。)の周期的パターンの繰り返し回数をいう。これは、Zygo社製「NewView200光干渉型非接触3次元表面粗さ計」等を用いて測定することができる。
また、表面粗さ曲線fは、任意の空間周波数の曲線が重なり合って構成されるものである。その概略を図1に基づいて説明すると、任意の空間周波数の曲線として、塗工紙1の表面粗さ曲線fの曲線を構成する更に細かい曲線(例えば、図1のf1)が存在し、このような複数の曲線が重なり合うことにより、塗工紙1の表面粗さ曲線fを構成している。そして、上記「空間周波数が25mm−1未満の周波数領域」とは、表面粗さ曲線fを空間周波数毎に分解したときに、空間周波数が25mm−1未満となる周波数領域のことを意味し、上記「空間周波数が25mm−1以上の周波数領域」とは、この表面粗さ曲線を空間周波数毎に分解したときに、空間周波数が25mm−1以上となる周波数領域のことを意味する。この表面粗さ曲線の分解は、Zygo社製「NewView200光干渉型非接触3次元表面粗さ計」に付属した解析ソフト(MetroPro Ver.7.6.1)等を用いて高速フーリエ変換することにより行うことができる。
また、表面粗さ曲線fは、任意の空間周波数の曲線が重なり合って構成されるものである。その概略を図1に基づいて説明すると、任意の空間周波数の曲線として、塗工紙1の表面粗さ曲線fの曲線を構成する更に細かい曲線(例えば、図1のf1)が存在し、このような複数の曲線が重なり合うことにより、塗工紙1の表面粗さ曲線fを構成している。そして、上記「空間周波数が25mm−1未満の周波数領域」とは、表面粗さ曲線fを空間周波数毎に分解したときに、空間周波数が25mm−1未満となる周波数領域のことを意味し、上記「空間周波数が25mm−1以上の周波数領域」とは、この表面粗さ曲線を空間周波数毎に分解したときに、空間周波数が25mm−1以上となる周波数領域のことを意味する。この表面粗さ曲線の分解は、Zygo社製「NewView200光干渉型非接触3次元表面粗さ計」に付属した解析ソフト(MetroPro Ver.7.6.1)等を用いて高速フーリエ変換することにより行うことができる。
更に、上記「中心線平均粗さ」とは、上記表面粗さ曲線fを中心線cから折り返し、その粗さ曲線fと中心線cによって得られた面積を長さLで割った値をμmで表わしたものである。これは、Zygo社製「NewView200光干渉型非接触3次元表面粗さ計」等を用いて測定することができる。上記「中心線平均粗さ」を図に基づいて詳細に説明すると、図2に示すように、上記中心線cと上記表面粗さ曲線fで囲まれる面(A,B,C及びD)の面積と、上記中心線cと上記中心線cで折り返した上記表面粗さ曲線f(点線で表現)で囲まれる面(E,F,G及びH)の面積との合計を、長さLで割った値をμmで表わしたものである。
塗工紙の表面における空間周波数25mm−1未満の周波数領域の中心線平均粗さは、図1に示すように、塗工紙1の表面粗さ曲線fの粗さの程度、即ち、塗工紙表面の大きい粗さの指標となる数値である。そして、本発明の下塗り塗工後乾燥させた塗工紙の上記空間周波数25mm−1未満の周波数領域の中心線平均粗さは、3μm以下、更に好ましくは2.5μm、最も好ましくは2.0μm以下である。尚、該中心線平均粗さの下限については特に限定はないが、通常は0.1μm以上、好ましくは0.3μm以上、更に好ましくは0.5μm以上である。
また、上記塗工紙の表面における空間周波数25mm−1以上の周波数領域の中心線平均粗さは、図1に示すように、塗工紙1の表面粗さ曲線fの曲線を構成する更に細かい曲線(図1のf1)の粗さの程度、即ち、塗工紙表面の細かい粗さの指標となる数値である。そして、本発明の下塗り塗工後乾燥させた塗工紙の上記空間周波数25mm−1以上の周波数領域の中心線平均粗さは、0.2μm以上、更に好ましくは0.3μm以上、最も好ましくは0.4μm以上である。
尚、該中心線平均粗さの上限については特に限定はないが、通常は4.0μm以下、好ましくは3.0μm以下、更に好ましくは2.5μm以下、より好ましくは2.0μm以下である。
尚、該中心線平均粗さの上限については特に限定はないが、通常は4.0μm以下、好ましくは3.0μm以下、更に好ましくは2.5μm以下、より好ましくは2.0μm以下である。
次に、本発明で使用する上塗り工程の非接触塗工方式としては、カーテン塗工、スプレー塗工等が挙げられるが、カーテン塗工が好ましい。カーテン塗工は、塗工液をノズルからカーテン状に流下して、基材に直接塗工する方式であり、その機構は、前述の特許文献1、あるいは、特許文献2の図に示されたものと同様である。
カーテン塗工のスリット巾は、0.2〜1.2mmが望ましく、上塗り塗工する際の塗工液の粘度は50〜1500mPa・sであり、且つ、表面寿命10msにおける動的表面張力値が25〜65mN/mであるのものを使用することが望ましい。
このような塗工液を上記下塗り塗工工程で得た塗工紙の表面に、好ましくは塗工速度600〜2800m/分で非接触塗工方式で塗工した後、再び塗工紙を乾燥させる。
尚、下塗り及び上塗りの各塗工の塗布量は、好ましくは坪量で、下塗り層は3〜6g/m2、上塗り層は4〜10g/m2の範囲で、かつ下塗り塗工と上塗り塗工の塗布量比(下塗/上塗)は、塗工紙表面を嵩高にしてインキ転移性を良くするために1以下が好ましい。そして塗工原紙の表面に塗工された乾燥後の塗工層(下塗層と上塗層)の厚さは特に限定されないが、通常、2〜30μmである。
このようにして得られた塗工紙は、必要に応じて塗工層の特性が十分に活かされるように、カレンダー処理を行うことができる。カレンダー処理を行うことで、平滑性及び光沢度を十分に引き出すことができる。カレンダー処理としては、スーパーカレンダー、マシンカレンダー及びソフトニップカレンダー等が挙げられる。これらは1種のみを施してもよく、2種以上を施してもよい。
カーテン塗工のスリット巾は、0.2〜1.2mmが望ましく、上塗り塗工する際の塗工液の粘度は50〜1500mPa・sであり、且つ、表面寿命10msにおける動的表面張力値が25〜65mN/mであるのものを使用することが望ましい。
このような塗工液を上記下塗り塗工工程で得た塗工紙の表面に、好ましくは塗工速度600〜2800m/分で非接触塗工方式で塗工した後、再び塗工紙を乾燥させる。
尚、下塗り及び上塗りの各塗工の塗布量は、好ましくは坪量で、下塗り層は3〜6g/m2、上塗り層は4〜10g/m2の範囲で、かつ下塗り塗工と上塗り塗工の塗布量比(下塗/上塗)は、塗工紙表面を嵩高にしてインキ転移性を良くするために1以下が好ましい。そして塗工原紙の表面に塗工された乾燥後の塗工層(下塗層と上塗層)の厚さは特に限定されないが、通常、2〜30μmである。
このようにして得られた塗工紙は、必要に応じて塗工層の特性が十分に活かされるように、カレンダー処理を行うことができる。カレンダー処理を行うことで、平滑性及び光沢度を十分に引き出すことができる。カレンダー処理としては、スーパーカレンダー、マシンカレンダー及びソフトニップカレンダー等が挙げられる。これらは1種のみを施してもよく、2種以上を施してもよい。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。なお、実施例において割合を示す「部」および「%」はそれぞれ質量部および質量%を意味する。
1.共重合体ラテックスの製造
(共重合体ラテックスL1の製造)
攪拌機を備え、温度調節の可能なオートクレーブ中に、水200部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.7部、過硫酸カリウム1.0部、重亜硫酸ナトリウム0.5部、及び1段目単量体成分として、1,3−ブタジエン25部、スチレン5部及びt−ドデシルメルカプタン0.2部を一括して仕込み、45℃で6時間反応させ、重合転化率が70%以上であることを確認した(1段目の重合)。その後、2段目単量体成分として、1,3―ブタジエン15部、スチレン27部、アクリロニトリル15部、メチルメタアクリレート10部、イタコン酸1部、アクリル酸2部を7時間にわたって連続的に添加しながら60℃で重合を継続した。連続添加終了後も更に70℃で6時間反応させ(2段目の重合)、共重合体からなる粒子を含むラテックスL1を得た。最終的な重合転化率は99%であった。得られたラテックスL1について、重合体粒子の平均粒子径、ゲル含有量を以下の方法で求めた。その結果を表1に示す。
(共重合体ラテックスL1の製造)
攪拌機を備え、温度調節の可能なオートクレーブ中に、水200部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.7部、過硫酸カリウム1.0部、重亜硫酸ナトリウム0.5部、及び1段目単量体成分として、1,3−ブタジエン25部、スチレン5部及びt−ドデシルメルカプタン0.2部を一括して仕込み、45℃で6時間反応させ、重合転化率が70%以上であることを確認した(1段目の重合)。その後、2段目単量体成分として、1,3―ブタジエン15部、スチレン27部、アクリロニトリル15部、メチルメタアクリレート10部、イタコン酸1部、アクリル酸2部を7時間にわたって連続的に添加しながら60℃で重合を継続した。連続添加終了後も更に70℃で6時間反応させ(2段目の重合)、共重合体からなる粒子を含むラテックスL1を得た。最終的な重合転化率は99%であった。得られたラテックスL1について、重合体粒子の平均粒子径、ゲル含有量を以下の方法で求めた。その結果を表1に示す。
(共重合体ラテックスL2〜L6の製造)
共重合体L1と同様にして共重合体ラテックスL2〜L6を製造した。最終的な重合転化率は98〜99%であった。得られたラテックスについて、上記と同様にして重合体粒子の平均粒子径とゲル含有量を求めた。その結果を単量体組成と共に表1に示した。
共重合体L1と同様にして共重合体ラテックスL2〜L6を製造した。最終的な重合転化率は98〜99%であった。得られたラテックスについて、上記と同様にして重合体粒子の平均粒子径とゲル含有量を求めた。その結果を単量体組成と共に表1に示した。
2.共重合体ラテックスの特性測定
(1)平均粒子径
重合体粒子の平均粒子径は、コールター社製のサブミクロンアナライザー「モデルN4」を用い、常法により求めた。
(2)ゲル含有量
共重合体ラテックスを水酸化ナトリウムによりpH8.0に調整した後、イソプロパノールで凝固し、この凝固物を蒸留水により洗浄、乾燥した。その後、所定量(約0.03g)の試料を所定量(100ml)のトルエンに、25℃で、20時間浸漬した。次いで、この溶液を120メッシュの金網で濾過し、得られる残存固形分の質量を測定し、処理前の全固形分に対する割合を求めた。
(1)平均粒子径
重合体粒子の平均粒子径は、コールター社製のサブミクロンアナライザー「モデルN4」を用い、常法により求めた。
(2)ゲル含有量
共重合体ラテックスを水酸化ナトリウムによりpH8.0に調整した後、イソプロパノールで凝固し、この凝固物を蒸留水により洗浄、乾燥した。その後、所定量(約0.03g)の試料を所定量(100ml)のトルエンに、25℃で、20時間浸漬した。次いで、この溶液を120メッシュの金網で濾過し、得られる残存固形分の質量を測定し、処理前の全固形分に対する割合を求めた。
3.塗工液の調製
上記で製造した共重合体ラテックスL1〜L6と、下記成分(1)〜(5)とを用いて、表2の処方により、下塗り用および上塗り用の塗工液を調製した。
(1)カオリンクレー;商品名「ウルトラホワイト90」、エンケルハード社製
(2)炭酸カルシウム;商品名「ファイマテック90」、ファイマテック社製。
(3)分散剤;ポリアクリル酸系分散剤、商品名「アロンT−40」、東亜合成社製。
(4)水酸化ナトリウム;商品名「水酸化ナトリウム1級」、和光純薬社製。
(5)澱粉;商品名「MS4600」、日本食品工業社製。
上記で製造した共重合体ラテックスL1〜L6と、下記成分(1)〜(5)とを用いて、表2の処方により、下塗り用および上塗り用の塗工液を調製した。
(1)カオリンクレー;商品名「ウルトラホワイト90」、エンケルハード社製
(2)炭酸カルシウム;商品名「ファイマテック90」、ファイマテック社製。
(3)分散剤;ポリアクリル酸系分散剤、商品名「アロンT−40」、東亜合成社製。
(4)水酸化ナトリウム;商品名「水酸化ナトリウム1級」、和光純薬社製。
(5)澱粉;商品名「MS4600」、日本食品工業社製。
4.塗工液の特性測定
(1)粘度
表2の処方で調製した塗工液を、25℃に調整した水槽で2時間調温し、温度が十分に一定となったことを確認した後、粘度計(TOKIMEC社製 品名「デジタルビスコメーター DV M−BII型」)を用い、60回転における見かけ粘度を、測定開始から1分に測定した。
(2)動的表面張力
動的表面張力計(クルス社製、形式「BP−2」)を用い、表面寿命30ms〜1000msまでの間を、30ms〜99ms領域は略等間隔で5〜10点、100ms〜1000ms領域は略等間隔で10点、計15〜20点測定し、得られた15〜20点のデータをグラフ化し、このグラフに基づき最小二乗法で外捜して表面寿命10msにおける動的表面張力値を求めた。
(1)粘度
表2の処方で調製した塗工液を、25℃に調整した水槽で2時間調温し、温度が十分に一定となったことを確認した後、粘度計(TOKIMEC社製 品名「デジタルビスコメーター DV M−BII型」)を用い、60回転における見かけ粘度を、測定開始から1分に測定した。
(2)動的表面張力
動的表面張力計(クルス社製、形式「BP−2」)を用い、表面寿命30ms〜1000msまでの間を、30ms〜99ms領域は略等間隔で5〜10点、100ms〜1000ms領域は略等間隔で10点、計15〜20点測定し、得られた15〜20点のデータをグラフ化し、このグラフに基づき最小二乗法で外捜して表面寿命10msにおける動的表面張力値を求めた。
5.塗工紙の製造
実施例1〜6
表3に示すラテックスを用いて上記で得た塗工液を用い、ゲートロールコーターおよびカーテンコーターによる塗工を実施し、各種評価を行った。
上記塗工液を、塗工原紙(64g/m2)上に、塗工速度400m/分、塗工量が片面4±0.5g/m2となるように、自製のラボゲートロールコーターで塗工し200℃の熱風で20秒間乾燥した。この塗工面の表面粗さ(Ra値)は、いずれの塗工面も、空間周波数25mm−1未満の周波数領域の中心線平均粗さは1.1〜1.3μmの範囲にあり、かつ空間周波数25mm−1以上の周波数領域の中心線平均粗さは1.0〜1.1μmの範囲であった。その後、SMT社製のラボカーテンコーターにより、塗工速度30m/分、塗工量が6g/m2になるように塗工し、150℃の熱風乾燥機にて20秒間乾燥して塗工紙を得た。その後、この塗工紙を温度23℃、湿度50%の恒温恒湿槽に1昼夜放置した。次いで、線圧100kg/cm,ロール温度50℃の条件でスーパーカレンダー処理を4回行い、オフセット印刷用塗工紙を得た。カーテン塗工時の操業性(塗工欠陥の有無)および得られたオフセット印刷用塗工紙について、被覆性、ドライピック強度、ウェットピック強度、湿し水存在下のインキ転移性、印刷光沢の評価を以下の方法で行った。その結果を表3に示す。
実施例1〜6
表3に示すラテックスを用いて上記で得た塗工液を用い、ゲートロールコーターおよびカーテンコーターによる塗工を実施し、各種評価を行った。
上記塗工液を、塗工原紙(64g/m2)上に、塗工速度400m/分、塗工量が片面4±0.5g/m2となるように、自製のラボゲートロールコーターで塗工し200℃の熱風で20秒間乾燥した。この塗工面の表面粗さ(Ra値)は、いずれの塗工面も、空間周波数25mm−1未満の周波数領域の中心線平均粗さは1.1〜1.3μmの範囲にあり、かつ空間周波数25mm−1以上の周波数領域の中心線平均粗さは1.0〜1.1μmの範囲であった。その後、SMT社製のラボカーテンコーターにより、塗工速度30m/分、塗工量が6g/m2になるように塗工し、150℃の熱風乾燥機にて20秒間乾燥して塗工紙を得た。その後、この塗工紙を温度23℃、湿度50%の恒温恒湿槽に1昼夜放置した。次いで、線圧100kg/cm,ロール温度50℃の条件でスーパーカレンダー処理を4回行い、オフセット印刷用塗工紙を得た。カーテン塗工時の操業性(塗工欠陥の有無)および得られたオフセット印刷用塗工紙について、被覆性、ドライピック強度、ウェットピック強度、湿し水存在下のインキ転移性、印刷光沢の評価を以下の方法で行った。その結果を表3に示す。
6.塗工紙の評価
(1)表面粗さ(Ra)
Zygo社製「NewView200光干渉型非接触3次元表面粗さ計」を用いて表面平滑性を測定し、Raを求めた。測定条件は対物レンズ:2.5倍、照射レンズ:2倍、測定エリア:1.45mm×1.08mm、積算回数:3回である。また、解析は、上記「NewView200光干渉型非接触3次元表面粗さ計」に付属している解析ソフト(MetroPro Ver.7.6.1)により高速フーリエ変換を行い、Raを求めた。
(2)カーテン塗工の操業性(塗工欠陥の有無)
塗工欠陥がほとんどなく、良好に塗工できた場合を「○」、塗工欠陥が多く発生し、以後の評価に値しない場合を「×」その中間にあたる場合を「△」にした。
(3)被覆性
バーンアウト法による被覆性の評価を行った。即ち、イソプロピルアルコール及び水を1:1に混合した媒体に、塩化アンモニウムを溶解させ、濃度が2.5%である水溶液を調製した。この水溶液を、塗工紙の表面に噴霧し、ギヤーオーブンに入れ、200℃で10分間放置し、白色度を測定した。白色度が高く、被覆性が良好なものを「○」、白色度が低く被覆性が良くないものを「×」、その中間のものを「△」をとした。
(4)ドライピック強度
RI印刷機(明製作所製)で印刷したときのピッキングの程度を肉眼で判定し、ピッキングの少ないものを「5」とし、5段階評価した。
(5)ウエットピック強度
上記RI印刷機を用いて、塗工紙表面を吸水ロールで湿してから、RI印刷機で印刷したときのピッキングの程度を肉眼で判定し、ピッキングの少ないものを「5」とし、5段階評価した。
(6)インキ転移性
オフセット印刷時の湿し水がついた後のインキ転移性を評価するために、以下のテストを実施した。RI印刷機を用いて、塗工紙表面を吸水ロールで湿してから、RI印刷機でピッキングを起こさない条件で印刷し、印刷後のインキ濃度を測定した。そして、このインキ濃度を参考に、目視判定でのムラ(均一性)も加味して、最良のものを「5」として、5段階評価した。
(7)印刷光沢
上記RI印刷機を用いて、オフセット用インキを塗工紙にベタ刷りした後、村上式光沢計により入射角、反射角60度で光沢度を測定した。
(1)表面粗さ(Ra)
Zygo社製「NewView200光干渉型非接触3次元表面粗さ計」を用いて表面平滑性を測定し、Raを求めた。測定条件は対物レンズ:2.5倍、照射レンズ:2倍、測定エリア:1.45mm×1.08mm、積算回数:3回である。また、解析は、上記「NewView200光干渉型非接触3次元表面粗さ計」に付属している解析ソフト(MetroPro Ver.7.6.1)により高速フーリエ変換を行い、Raを求めた。
(2)カーテン塗工の操業性(塗工欠陥の有無)
塗工欠陥がほとんどなく、良好に塗工できた場合を「○」、塗工欠陥が多く発生し、以後の評価に値しない場合を「×」その中間にあたる場合を「△」にした。
(3)被覆性
バーンアウト法による被覆性の評価を行った。即ち、イソプロピルアルコール及び水を1:1に混合した媒体に、塩化アンモニウムを溶解させ、濃度が2.5%である水溶液を調製した。この水溶液を、塗工紙の表面に噴霧し、ギヤーオーブンに入れ、200℃で10分間放置し、白色度を測定した。白色度が高く、被覆性が良好なものを「○」、白色度が低く被覆性が良くないものを「×」、その中間のものを「△」をとした。
(4)ドライピック強度
RI印刷機(明製作所製)で印刷したときのピッキングの程度を肉眼で判定し、ピッキングの少ないものを「5」とし、5段階評価した。
(5)ウエットピック強度
上記RI印刷機を用いて、塗工紙表面を吸水ロールで湿してから、RI印刷機で印刷したときのピッキングの程度を肉眼で判定し、ピッキングの少ないものを「5」とし、5段階評価した。
(6)インキ転移性
オフセット印刷時の湿し水がついた後のインキ転移性を評価するために、以下のテストを実施した。RI印刷機を用いて、塗工紙表面を吸水ロールで湿してから、RI印刷機でピッキングを起こさない条件で印刷し、印刷後のインキ濃度を測定した。そして、このインキ濃度を参考に、目視判定でのムラ(均一性)も加味して、最良のものを「5」として、5段階評価した。
(7)印刷光沢
上記RI印刷機を用いて、オフセット用インキを塗工紙にベタ刷りした後、村上式光沢計により入射角、反射角60度で光沢度を測定した。
比較例1〜4
表3に示すラテックスを用いて上記で得た塗工液を用い、塗工方式を変えて塗工を実施し、各種評価を行った。その結果を表3に示す。
表3に示すラテックスを用いて上記で得た塗工液を用い、塗工方式を変えて塗工を実施し、各種評価を行った。その結果を表3に示す。
実施例1〜6は、下塗りをフィルムトランスファー塗工方式で塗工したため、カーテン塗工を塗工欠陥することなく行うことができ、低塗工量でも被覆性が良好で、強度的に問題なく、インキ転移性、印刷光沢に優れた塗工紙を、高価な顔料を使用することなく製造することができた。
比較例1は、下塗りをしていないため、塗工欠陥が発生した。比較例2及び比較例3はカーテン塗工方式を採用していないため、被覆性が良くなく、インキ転移性も劣る。比較例4は、下塗りがブレード塗工のため、被覆性及びインキ転移性が少し劣る。
本発明の製造方法は、特に枚葉オフセット印刷用あるいは輪転オフセット印刷用の用紙の製法として有用であるが、その他グラビア印刷用紙、凸版印刷用紙、ノンカーボン紙、インクジェット紙、感熱紙、電子写真用紙、感熱プリンター用紙及び熱転写プリンター用紙、美術書用紙、雑誌表紙用紙、書籍の口絵用紙、ポスター用紙、カタログ用紙、カレンダー用紙、パンフレット用紙、雑誌本文用紙、雑誌カラーページ用紙、チラシ用紙、絵葉書用紙及びカード用紙の製法にも有用である。
1;塗工原紙、c;中心線、f;表面粗さ曲線、f1;表面粗さ曲線fを構成する更に細かい曲線、Ra;中心線平均粗さ。
Claims (6)
- 塗工原紙の表面に、顔料とバインダーを含有する塗工液で下塗りと上塗り塗工する2層の塗工層を有する塗工紙の製造方法であって、下塗り塗工をフィルムトランスファー塗工方式で塗工し、上塗り塗工を非接触塗工方式で塗工することを特徴とする塗工紙の製造方法。
- 下塗り塗工層の空間周波数25mm−1未満の周波数領域の中心線平均粗さが3μm以下であり、かつ空間周波数25mm−1以上の周波数領域の中心線平均粗さが0.2μm以上であることを特徴とする請求項1記載の塗工紙の製造方法。
- 下塗り塗工と上塗り塗工の塗布量は、坪量で下塗り層は3〜6g/m2の範囲、上塗り層は4〜10g/m2の範囲で、かつ下塗り塗工と上塗り塗工の塗布量比(下塗/上塗)は、1以下であることを特徴とする請求項1または2記載の塗工紙の製造方法。
- 下塗り塗工液のバインダーには、(A)(a)脂肪族共役ジエン単量体35〜60質量%、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜7質量%、並びに、(d)これらの単量体と共重合可能な他の単量体33〜64.5質量%からなる単量体(但し、(a)+(b)+(d)=100質量%)を乳化重合して得られ、ゲル含有量が75〜98%、平均粒子径70〜140nmの共重合体ラテックスを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塗工紙の製造方法。
- 上塗り塗工液のバインダーには、(B)(a)脂肪族共役ジエン単量体35〜60質量%、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜7質量%、(c)シアン化ビニル単量体5〜33質量%、並びに、(e)これらの単量体と共重合可能な他の単量体0〜59.5質量%からなる単量体(但し、(a)+(b)+(c)+(e)=100質量%)を乳化重合して得られ、ゲル含有量が80〜98%、平均粒子径50〜110nmの共重合体ラテックスを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の塗工紙の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法で得られた枚葉オフセット用あるいは輪転オフセット用塗工紙。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004081093A JP2005264398A (ja) | 2004-03-19 | 2004-03-19 | 塗工紙の製造方法及び塗工紙 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004081093A JP2005264398A (ja) | 2004-03-19 | 2004-03-19 | 塗工紙の製造方法及び塗工紙 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005264398A true JP2005264398A (ja) | 2005-09-29 |
Family
ID=35089239
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004081093A Pending JP2005264398A (ja) | 2004-03-19 | 2004-03-19 | 塗工紙の製造方法及び塗工紙 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005264398A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005314834A (ja) * | 2004-04-28 | 2005-11-10 | Jsr Corp | 塗工紙の製造方法及び塗工用組成物 |
JP2008254406A (ja) * | 2007-04-12 | 2008-10-23 | Shinko Buriki Insatsu Kojo:Kk | 三次元装飾物および三次元装飾物の製造方法 |
JP2009532249A (ja) * | 2006-04-06 | 2009-09-10 | ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. | 光沢媒体シート |
JP2010053474A (ja) * | 2008-08-27 | 2010-03-11 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 多層塗工紙 |
JP2010150683A (ja) * | 2008-12-24 | 2010-07-08 | Daio Paper Corp | オフセット輪転印刷用塗工紙 |
JP2018155864A (ja) * | 2017-03-16 | 2018-10-04 | 北越コーポレーション株式会社 | 湿式電子写真印刷用紙 |
-
2004
- 2004-03-19 JP JP2004081093A patent/JP2005264398A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005314834A (ja) * | 2004-04-28 | 2005-11-10 | Jsr Corp | 塗工紙の製造方法及び塗工用組成物 |
JP2009532249A (ja) * | 2006-04-06 | 2009-09-10 | ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. | 光沢媒体シート |
US10369828B2 (en) | 2006-04-06 | 2019-08-06 | Hewlett-Packard Development Company, L.P. | Glossy media sheet |
JP2008254406A (ja) * | 2007-04-12 | 2008-10-23 | Shinko Buriki Insatsu Kojo:Kk | 三次元装飾物および三次元装飾物の製造方法 |
JP2010053474A (ja) * | 2008-08-27 | 2010-03-11 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 多層塗工紙 |
JP2010150683A (ja) * | 2008-12-24 | 2010-07-08 | Daio Paper Corp | オフセット輪転印刷用塗工紙 |
JP2018155864A (ja) * | 2017-03-16 | 2018-10-04 | 北越コーポレーション株式会社 | 湿式電子写真印刷用紙 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3791494B2 (ja) | 顔料塗工紙の製造方法及び顔料塗工紙 | |
WO2004061229A1 (ja) | 非接触型塗工用共重合体ラテックス及びそれを含む組成物並びに塗工紙及びその製造方法 | |
JP2007162166A (ja) | 塗工板紙用組成物および塗工板紙 | |
JP4719490B2 (ja) | 印刷用塗被紙の製造方法 | |
JP2005264398A (ja) | 塗工紙の製造方法及び塗工紙 | |
JP2008274464A (ja) | 印刷用塗工紙およびその製造方法 | |
JP2006152484A (ja) | 艶消し塗工紙用組成物及び艶消し塗工紙 | |
JP4120448B2 (ja) | 塗工紙の製造方法 | |
JP2005314834A (ja) | 塗工紙の製造方法及び塗工用組成物 | |
JP2008075200A (ja) | 印刷用塗工紙およびその製造方法 | |
JP5034284B2 (ja) | 顔料分散液及び該顔料分散液を含有する塗被紙用組成物 | |
JPH09296394A (ja) | グラビア印刷用塗工紙 | |
JP2008248431A (ja) | 塗工板紙及び塗工板紙の製造方法 | |
JP2006206757A (ja) | 共重合体ラテックス及びその製造方法並びに紙塗工用組成物 | |
JP2009243004A (ja) | 紙塗工用共重合体ラテックス | |
JP5347216B2 (ja) | 共重合体ラテックス及びその製造方法 | |
JP2006264229A (ja) | インクジェット記録材料 | |
JP4806931B2 (ja) | 共重合体ラテックス及びその製造方法並びに紙塗工用組成物 | |
JP3752104B2 (ja) | 水性重合体分散液およびその製造方法、ならびにそれを用いた電子写真用転写紙 | |
JP2006052365A (ja) | 共重合体ラテックス、共重合体ラテックスの製造方法、紙塗工用組成物及び塗工紙 | |
JP2006037312A (ja) | 塗工紙の製造方法及び塗工紙 | |
JP2006002280A (ja) | 塗工紙の製造方法及び塗工紙 | |
JP4089064B2 (ja) | 塗工紙 | |
JP2007186812A (ja) | 塗工紙及びその製造方法 | |
JP2006028681A (ja) | グラビア印刷用塗工紙及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060825 |
|
A977 | Report on retrieval |
Effective date: 20090204 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090210 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090623 |