JP2006052365A - 共重合体ラテックス、共重合体ラテックスの製造方法、紙塗工用組成物及び塗工紙 - Google Patents

共重合体ラテックス、共重合体ラテックスの製造方法、紙塗工用組成物及び塗工紙 Download PDF

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恵介 突廻
Masabumi Wakamori
正文 若森
Osamu Ishikawa
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Abstract

【課題】塗工操業性、表面強度、印刷光沢、インク乾燥性等の印刷適性に優れた印刷適性を有する塗工紙を得ることができる共重合体ラテックスを提供する。
【解決手段】下記構造単位を有する共重合体からなるコア部70〜95質量部と、コア部の周囲に配設される下記構造単位を有する共重合体からなるシェル部30〜5質量部とを備え平均粒子径70〜150nmのコア−シェル型共重合体を含有する共重合体ラテックス。コア部:脂肪族共役ジエン単量体由来の構造単位45〜70%、シアン化ビニル単量体由来の構造単位30〜55%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体由来の構造単位0〜2%、他の単量体由来の構造単位0〜25%。シェル部:芳香族ビニル単量体由来の構造単位50〜95%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体由来の構造単位5〜20%、他の単量体由来の構造単位0〜45%。
【選択図】なし

Description

本発明は、共重合体ラテックス、共重合体ラテックスの製造方法、紙塗工用組成物及び塗工紙に関し、さらに詳しくは、塗工操業性に優れ、かつ、表面強度、印刷光沢、インク乾燥性等の印刷適性に優れ、更に広い印刷速度範囲にわたって上記の優れた印刷適性を有する塗工紙を得ることができる共重合体ラテックス、共重合体ラテックスの製造方法、紙塗工用組成物及びその塗工紙に関する。
紙の外観や印刷適性を改良するために、紙(塗工原紙)に、顔料とバインダーとを含有する紙塗工用組成物が塗工される。そして、紙塗工用組成物に含有されるバインダーとしては、澱粉やラテックスが用いられている。この中でラテックスは、塗工操業性に優れ、印刷光沢、インク乾燥性、表面強度等の印刷適性に優れた塗工紙を得るために有用なバインダーである。このように諸特性に優れたラテックスは高価であるため、塗工紙の製造においては、その使用量を低減する要求があり、種々の改良が加えられてきた(例えば、特許文献1,2参照)。このような改良によりラテックスの性能は一定の向上を示しているが、更なる塗工操業性及び印刷適性の向上が求められている。
特開2001−031727号公報 特開2001−172894号公報
本発明は、上述の従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、塗工操業性に優れ、かつ、表面強度、印刷光沢、インク乾燥性等の印刷適性に優れ、更に広い印刷速度範囲にわたって上記の優れた印刷適性を有する塗工紙を得ることができる共重合体ラテックス、共重合体ラテックスの製造方法、紙塗工用組成物及びその塗工紙を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明によって以下の共重合体ラテックス、共重合体ラテックスの製造方法、紙塗工用組成物及び塗工紙が提供される。
[1] 下記構造単位を有する共重合体からなるコア部70〜95質量部と、下記構造単位を有する共重合体からなるシェル部30〜5質量部(コア部+シェル部=100質量部)とを備え平均粒子径70〜150nmのコア−シェル型共重合体を含有する共重合体ラテックス。
コア部:脂肪族共役ジエン単量体由来の構造単位45〜70質量%、シアン化ビニル単量体由来の構造単位30〜55質量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体由来の構造単位0〜2質量%、及びこれらの単量体と共重合可能な他の単量体由来の構造単位0〜25質量%(コア部全体を100質量%とする。)。
シェル部:芳香族ビニル単量体由来の構造単位50〜95質量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体由来の構造単位5〜20質量%、及びこれらの単量体と共重合可能な他の単量体由来の構造単位0〜45質量%(シェル部全体を100質量%とする。)。
但し、コア部とシェル部の合計は、以下の条件を満たす。
(a)脂肪族共役ジエン単量体((a’)単量体)由来の構造単位35〜76質量%
(b)芳香族ビニル単量体((b’)単量体)由来の構造単位3〜40質量%
(c)シアン化ビニル単量体((c’)単量体)由来の構造単位20〜55質量%
(d)エチレン性不飽和カルボン酸単量体((d’)単量体)由来の構造単位0.2〜10質量%
(e)(a’)〜(d’)成分と共重合可能な他の単量体((e’)単量体)由来の構造単位0〜41.8質量%
((a)構造単位+(b)構造単位+(c)構造単位+(d)構造単位+(e)構造単位=100質量%)
[2] 前記コア−シェル型共重合体のシェル部の厚さが0.5〜10nmである[1]に記載の共重合体ラテックス。
[3] 前記コア部のガラス転移温度が−30〜−10℃の範囲にあり、前記シェル部のガラス転移温度が20℃以上である[1]又は[2]に記載の共重合体ラテックス。
[4] 前記シェル部が、前記コア部の周囲に、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、及びこれらの単量体と共重合可能な他の単量体がグラフト重合して形成されたものである[1]〜[3]のいずれかに記載の共重合体ラテックス。
[5] 前記コア部の存在下、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、及びこれらの単量体と共重合可能な他の単量体を乳化重合して得られる[1]〜[4]のいずれかに記載の共重合体ラテックス。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の共重合体ラテックスを含むバインダーと、顔料とを含有する紙塗工用組成物。
[7] 塗工原紙と、前記塗工原紙に塗工液が塗工されてなる塗工層とを備える塗工紙であって、前記塗工液が[6]に記載の紙塗工用組成物である塗工紙。
[8] 前記塗工層が上塗り塗工層と下塗り塗工層とからなり、前記上塗り塗工層を形成する塗工液が[6]に記載の紙塗工用組成物である[7]に記載の塗工紙。
[9] 下記単量体組成(A)70〜95質量部を共重合して得られる粒子状のコア部の存在下で、下記単量体組成(B)30〜5質量部(単量体組成(A)+単量体組成(B)=100質量部)を乳化重合する共重合体ラテックスの製造方法。
単量体組成(A):脂肪族共役ジエン単量体45〜70質量%、シアン化ビニル単量体30〜55質量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体0〜2質量%、及びこれらの単量体と共重合可能な他の単量体0〜25質量%。
単量体組成(B):芳香族ビニル単量体50〜95質量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体5〜20質量%、及びこれらの単量体と共重合可能な他の単量体0〜45質量%。
但し、単量体組成(A)と単量体組成(B)の合計は、以下の条件を満たす。
(a’)脂肪族共役ジエン単量体35〜76質量%
(b’)芳香族ビニル単量体3〜40質量%
(c’)シアン化ビニル単量体20〜55質量%
(d’)エチレン性不飽和カルボン酸単量体0.2〜10質量%
(e’)(a’)〜(d’)成分と共重合可能な他の単量体0〜41.8質量%
((a’)+(b’)+(c’)+(d’)+(e’)=100質量%)
本発明の共重合体ラテックスによれば、含有されるコア−シェル型共重合体のコア部には、脂肪族共役ジエン系単量体由来の構造単位が45〜70質量部含有されるため、得られる塗工紙の強度が向上する。また、コア部には、シアン化ビニル単量体由来の構造単位が30〜55質量部含有されるため、コア部はインクを過度に吸収せず、得られる塗工紙の印刷光沢が向上する。コア−シェル型共重合体のシェル部には、芳香族ビニル単量体由来の構造単位が50〜95質量%含有されるため、シェル部はインクを良好に吸収し、得られる塗工紙のべとつき防止性(塗工操業性)と印刷光沢とのバランスを良好に維持することができる。また、コア−シェル型共重合体の平均粒子径が70〜150nmであるため、得られる塗工紙の表面強度が強くなる。
本発明の紙塗工用組成物は、本発明の共重合体ラテックスを含むバインダーと、顔料とを含有する紙塗工用組成物であるため、得られる塗工紙は、印刷適性に優れたものとなり、特に印刷光沢及び表面強度に優れたものとなる。
本発明の塗工紙は、塗工原紙と、その塗工原紙に塗工液が塗工されてなる塗工層とを備える塗工紙であって、塗工液が本発明の紙塗工用組成物であるため、印刷適性に優れ、特に印刷光沢及び表面強度に優れたものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」という。)を具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
本発明の共重合体ラテックスの一の実施の形態は、下記構造単位を有する共重合体からなるコア部70〜95質量部と、下記構造単位を有する共重合体からなるシェル部30〜5質量部(コア部+シェル部=100質量部)とを備えるコア−シェル型共重合体を含有し、そのコアシェル型共重合体の平均粒子径が70〜150nmの共重合体ラテックスである。コア部を構成する構造単位:脂肪族共役ジエン単量体由来の構造単位45〜70質量%、シアン化ビニル単量体由来の構造単位30〜55質量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体由来の構造単位0〜2質量%、及びこれらの単量体と共重合可能な他の単量体由来の構造単位0〜25質量%(コア部全体を100質量%とする。)。シェル部を構成する構造単位:芳香族ビニル単量体由来の構造単位50〜95質量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体由来の構造単位5〜20質量%、及びこれらの単量体と共重合可能な他の単量体由来の構造単位0〜45質量%(シェル部全体を100質量%とする。)。但し、コア部とシェル部の合計は、以下の条件を満たす。
(a)脂肪族共役ジエン単量体((a’)単量体)由来の構造単位35〜76質量%
(b)芳香族ビニル単量体((b’)単量体)由来の構造単位3〜40質量%
(c)シアン化ビニル単量体((c’)単量体)由来の構造単位20〜55質量%
(d)エチレン性不飽和カルボン酸単量体((d’)単量体)由来の構造単位0.2〜10質量%
(e)(a’)〜(d’)単量体と共重合可能な他の単量体((e’)単量体)由来の構造単位0〜41.8質量%
((a)構造単位+(b)構造単位+(c)構造単位+(d)構造単位+(e)構造単位=100質量%)
本実施の形態の共重合体ラテックスは、粒子状のコア−シェル型共重合体が水中に分散してなるものである。ここで、平均粒子径とは、動的光散乱法を利用して測定したものであり、キュムラント法による平均粒子径である。この測定は例えば、大塚電子社製の「レーザー粒径解析システムLP−510、モデルPAR−III」によって測定することができる。
(コア部)
コア部の中で、脂肪族共役ジエン単量体((a’)単量体)由来の構造単位としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、クロロプレン等に由来する構造単位が挙げられるが、好ましくは1,3−ブタジエン由来の構造単位である。これらの脂肪族共役ジエン単量体由来の構造単位は、1種単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。脂肪族共役ジエン単量体由来の構造単位は、コア部に適度な柔軟性と伸びを与え、耐衝撃性を付与するために有用な成分であり、その使用割合はコア部全体に対して45〜70質量%であり、45〜67質量%であることが好ましく、47〜65質量%であることが更に好ましい。45質量%未満であると、コア部が硬くなり過ぎ、接着強度が悪化する。70質量%を超えると、軟らかくなり過ぎ、べとつき防止性(塗工操業性)が悪化する。
コア部の中で、シアン化ビニル単量体((c’)単量体)由来の構造単位としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等に由来する構造単位が挙げられ、特にアクリロニトリル由来の構造単位が好ましい。その使用量は、コア部全体に対して30〜55質量%であり、30〜52質量%であることが好ましく、32〜50質量%であることが更に好ましい。30質量%未満であると、インク溶剤の吸収が高くなり過ぎ印刷光沢が低下する。55質量%を超えると、コア部が硬くなり過ぎ接着強度が低下する。
コア部の中で、エチレン性不飽和カルボン酸単量体((d’)単量体)由来の構造単位としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等に由来する構造単位が挙げられる。これらのエチレン性不飽和カルボン酸単量体由来の構造単位は、1種単独で、あるいは2種以上を使用することもできる。エチレン性不飽和カルボン酸単量体由来の構造単位の使用割合は、コア部全体に対して0〜2質量%である。2質量%を超えると、コア−シェル型共重合体としたときのコア−シェル構造の安定性が低くなる。
コア部の中で、上記単量体(脂肪族共役ジエン単量体、シアン化ビニル単量体及びエチレン性不飽和カルボン酸単量体)と共重合可能な他の単量体((e’)単量体)由来の構造単位としては、以下のものが挙げられ、その使用割合は、コア部全体に対して0〜25質量%である。上記他の単量体由来の構造単位としては芳香族ビニル単量体、アルキル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、アクリルアミド系化合物、N−メチロールアクリルアミド、水酸基を有する単量体等に由来する構造単位が挙げられる。これらのうち、芳香族ビニル単量体由来の構造単位としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン等に由来する構造単位が挙げられ、特にスチレン由来の構造単位が好ましい。アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート等に由来する構造単位が挙げられ、特にメチルメタクリレート由来の構造単位が好ましい。更にアクリルアミド系化合物由来の構造単位としては、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等に由来する構造単位が挙げられる。また、水酸基を有する単量体由来の構造単位としては、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート等に由来する構造単位が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもかまわない。
共重合体ラテックスに含有されるコア部を構成する各単量体由来の構造単位の分析は、熱分解ガスクロマトグラフによる組成分析であり、例えば、日本分析工業社製の熱分解装置「JHP3型キュリーポイントパイロライザー」および島津製作所社製「GC2010ガスクロマトグラフ」によって測定することができる。
(シェル部)
シェル部の中で、芳香族ビニル単量体((b’)単量体)由来の構造単位としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン等に由来する単量体が挙げられ、特にスチレン由来の単量体が好ましい。その使用量は、シェル部全体に対して50〜95質量%であり、55〜92質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることが更に好ましい。50質量%未満であると、ガラス転移点の制御とインク溶剤との親和性のバランスがくずれ、べとつき防止性(塗工操業性)と印刷光沢のバランスが低下する。95質量%を超えると、エチレン性不飽和カルボン酸単量体由来の構造単位の量が減少することになり、結果として本実施の形態の共重合体ラテックスの機械的安定性及び化学的安定性が低下する。
シェル部の中で、エチレン性不飽和カルボン酸単量体((d’)単量体)由来の構造単位としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等に由来する構造単位が挙げられる。これらのエチレン性不飽和カルボン酸単量体由来の構造単位は、1種単独で、あるいは2種以上を使用することもできる。エチレン性不飽和カルボン酸単量体由来の構造単位の使用割合は、シェル部全体に対して5〜20質量%であり、8〜17質量%であることが好ましく、10〜15質量%であることが更に好ましい。5質量%未満であると、本実施の形態の共重合体ラテックスの機械的安定性及び化学的安定性が低下する。20質量%を超えると、本実施の形態の共重合体ラテックスの粘度が高くなり過ぎ、作業性が低下する。
シェル部の中で、上記単量体(芳香族ビニル単量体及びエチレン性不飽和カルボン酸単量体)と共重合可能な他の単量体((e’)単量体)由来の構造単位としては、以下のものが挙げられ、その使用割合は、シェル部全体に対して0〜45質量%である。上記他の単量体由来の構造単位としては脂肪族共役ジエン系単量体、シアン化ビニル単量体、アルキル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、アクリルアミド系化合物、N−メチロールアクリルアミド、水酸基を有する単量体等に由来する構造単位が挙げられる。これらのうち、脂肪族共役ジエン系単量体由来の構造単位としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、クロロプレン等に由来する構造単位が挙げられるが、好ましくは1,3−ブタジエン由来の構造単位である。シアン化ビニル単量体由来の構造単位としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等に由来する構造単位が挙げられ、好ましくはアクリロニトリル由来の構造単位である。アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート等に由来する構造単位が挙げられ、好ましくはメチルメタクリレート由来の構造単位である。更にアクリルアミド系化合物由来の構造単位としては、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等に由来する構造単位が挙げられる。また、水酸基を有する単量体由来の構造単位としては、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート等に由来する構造単位が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもかまわない。
シェル部の厚さは、0.5〜10nmであることが好ましく、1〜8nmであることが更に好ましく、2〜5nmであることが特に好ましい。0.5nmより薄いと、インク溶剤との親和性が低下し、印刷光沢が低下することがある。また、べとつき防止性(塗工操業性)が悪化することがある。10nmより厚いと、インク溶剤の吸収が高くなり過ぎ印刷光沢が低下することがある。
(コア−シェル型共重合体)
本実施の形態の共重合体ラテックスに含有されるコア−シェル型共重合体は、上述したコア部と、その周囲を覆うように配設(形成)されたシェル部とを備えるものである。本実施の形態の共重合体ラテックスにおいて、コア−シェル型共重合体は水中に分散する微粒子でありその平均粒子径は、70〜150nmである。70nm未満であると、ラテックス粘度が高くなり過ぎる。また、得られる塗工紙の白紙光沢が低下する。150nmを超えると、得られる塗工紙の表面強度が低下する。
コア−シェル型共重合体を構成するコア部とシェル部の質量比は、[コア部/シェル部]が[70/30]〜[95/5]である。コア部が70質量%未満であると、インク溶剤の吸収が高くなり過ぎ、印刷光沢が低下する。コア部が95質量%を超えると、インク溶剤との親和性が低下し印刷光沢が低下する。
上述したコア部を形成する各単量体由来の構造単位とシェル部を形成する各単量体由来の構造単位は、その合計が以下の条件を満たす必要がある。
(a)脂肪族共役ジエン単量体((a’)単量体)由来の構造単位35〜76質量%
(b)芳香族ビニル単量体((b’)単量体)由来の構造単位3〜40質量%
(c)シアン化ビニル単量体((c’)単量体)由来の構造単位20〜55質量%
(d)エチレン性不飽和カルボン酸単量体((d’)単量体)由来の構造単位0.2〜10質量%
(e)(a)〜(d)単量体と共重合可能な他の単量体((e’)単量体)由来の構造単位0〜41.8質量%
((a)構造単位+(b)構造単位+(c)構造単位+(d)構造単位+(e)構造単位=100質量%)
そして、上述した、コア部を形成する各単量体由来の構造単位とシェル部を形成する各単量体由来の構造単位は、その合計が以下の条件を満たすことが好ましい。
(a)脂肪族共役ジエン単量体((a’)単量体)由来の構造単位40〜69質量%
(b)芳香族ビニル単量体((b’)単量体)由来の構造単位5〜30質量%
(c)シアン化ビニル単量体((c’)単量体)由来の構造単位25〜50質量%
(d)エチレン性不飽和カルボン酸単量体((d’)単量体)由来の構造単位1〜8質量%
(e)(a)〜(d)単量体と共重合可能な他の単量体((e’)単量体)由来の構造単位0〜29質量%
((a)構造単位+(b)構造単位+(c)構造単位+(d)構造単位+(e)構造単位=100質量%)
共重合体ラテックスの中で、脂肪族共役ジエン単量体由来の構造単位が、35質量%未満であると、共重合体が硬くなり過ぎ、接着強度が悪化する。76質量%を超えると、軟らかくなり過ぎ、べとつき防止性が悪化する。芳香族ビニル単量体由来の構造単位が、3質量%未満であると、ガラス転移点が低くなり、べとつき防止性が低下する。40質量%を超えると、共重合体が硬くなり過ぎ接着強度が悪化する。シアン化ビニル単量体が、20質量%未満であると、インク溶剤の吸収が高くなり過ぎ印刷光沢が低下する。55質量%を超えると、共重合体が硬くなり過ぎ接着強度が低下する。エチレン性不飽和カルボン酸単量体が、0.2質量%未満であると、共重合体の機械的安定性及び化学的安定性が低下し多量の凝集物の発生を招く。10質量%を超えると、共重合体の粘度が高くなり過ぎ、作業性が低下する。
本実施の形態の共重合体ラテックスにおいては、コア部のガラス転移温度が−30〜−10℃の範囲にあり、シェル部のガラス転移温度が20℃以上であることが好ましい。また、シェル部のガラス転移温度は、100℃以下であることが好ましい。コア部のガラス転移温度が−30℃未満であると、共重合体が軟らかくなり過ぎ、べとつき防止性が悪化することがあり、−10℃を超えると共重合体が硬くなり過ぎ、接着強度が悪化することがある。また、シェル部のガラス転移温度が20℃未満であると、共重合体が軟らかくなり過ぎ、べとつき防止性が悪化することがある。
(共重合体ラテックスの製造方法)
本実施の形態の共重合体ラテックスは、以下に示す本発明の共重合体の製造方法の一の実施の形態により製造することができる。
本実施の形態の共重合体の製造方法は、下記単量体組成(A)70〜95質量部を共重合して得られる粒子状のコア部の存在下で、下記単量体組成(B)30〜5質量部(単量体組成(A)+単量体組成(B)=100質量部)を乳化重合するものである。単量体組成(A):脂肪族共役ジエン単量体45〜70質量%、シアン化ビニル単量体30〜55質量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体0〜2質量%、及びこれらの単量体と共重合可能な他の単量体0〜25質量%。単量体組成(B):芳香族ビニル単量体50〜95質量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体5〜20質量%、及びこれらの単量体と共重合可能な他の単量体0〜45質量%。
但し、単量体組成(A)と単量体組成(B)の合計は、以下の条件を満たす。
(a’)脂肪族共役ジエン単量体35〜76質量%
(b’)芳香族ビニル単量体3〜40質量%
(c’)シアン化ビニル単量体20〜55質量%
(d’)エチレン性不飽和カルボン酸単量体0.2〜10質量%
(e’)(a’)〜(d’)成分と共重合可能な他の単量体0〜41.8質量%
((a’)+(b’)+(c’)+(d’)+(e’)=100質量%)
本実施の形態において使用する、単量体組成(A)及び単量体組成(B)は、上述した本発明の共重合体ラテックスにおける、コア−シェル型共重合体のコア部及びシェル部を構成する各「単量体由来の構造単位」に対応する各「単量体」と同様のものを使用することが好ましく、それにより同様の効果を得ることができる。例えば、本実施の形態における「(a’)脂肪族共役ジエン単量体」は、上述した本発明の共重合体ラテックスにおける「(a)脂肪族共役ジエン単量体((a’)単量体)由来の構造単位」に対応する「脂肪族共役ジエン単量体((a’)単量体)」と同様とすることが好ましい。
本実施の形態の共重合体ラテックスの製造方法は、単量体組成(A)を乳化重合してコア部を形成し、その重合液に単量体組成(B)等を添加して更に乳化重合することにより、粒子状のコア−シェル型共重合体が水中に分散する共重合体ラテックスを製造するものであることが好ましい。
単量体組成(A)及び単量体組成(B)を乳化重合するに際しては、水性媒体中で乳化剤、重合開始剤、分子量調節剤などを用いて重合することができる。ここで、乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを単独で、あるいは2種以上を併用して使用できる。ここで、アニオン性界面活性剤としては、例えば高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ポリエチレングリコールアルキルエーテルの硫酸エステルなどが挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型などが用いられる。両性界面活性剤としては、アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、燐酸エステル塩を、カチオン部分としてはアミン塩、第4級アンモニウム塩を持つものが挙げられ、具体的にはラウリルベタイン、ステアリルベタインなどのベタイン類、ラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ(アミノエチル)グリシン、などのアミノ酸タイプのものなどが用いられる。
重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性重合開始剤、過酸化ベンゾイル、ラウリルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性重合開始剤、還元剤との組み合わせによるレドックス系重合開始剤などが、それぞれ単独であるいは組み合わせで使用できる。
分子量調節剤、キレート化剤、無機電解質なども公知のものが使用できる。分子量調節剤としては、クロロホルム、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素類、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸などのメルカプタン類、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイドなどのキサントゲン類、ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー、1,1−ジフェニルエチレンなど通常の乳化重合で使用可能なものを全て使用できる。
重合方法としては、単量体組成(A)をまず乳化重合してコア部を生成させる。単量体組成(A)の重合方法としては、単量体組成(A)の一部を重合した後、その残りを連続的にあるいは断続的に添加する方法、あるいは単量体組成(A)を重合のはじめから連続的に添加する方法が好ましい。このような単量体組成(A)の乳化重合により、粒子状のコア部が水中に分散した重合液が得られる。このときの重合転化率は、90%以上であることが好ましい。次に、この重合液に単量体組成(B)を連続的に添加しながら乳化重合を行うことが好ましい。これにより、コア部の周囲に単量体組成(B)がグラフト重合して、コア部からなるコア部とその周囲に形成されたシェル部とを備える粒子状のコア−シェル型共重合体が形成される。そして、本実施の形態の共重合体ラテックスを得ることができる。
重合温度は、単量体組成(A)及び単量体組成(B)のいずれの重合においても、通常20〜85℃、好ましくは25〜80℃である。重合時間は、単量体組成(A)及び単量体組成(B)の重合時間を合計したときに、通常5〜30時間、好ましくは8〜25時間である。
本実施の形態の共重合体ラテックスの製造方法により製造された共重合体ラテックスに含有されるコア−シェル型共重合体のコア部とシェル部の質量比は、上述した本発明の共重合体ラテックスに含有されるコア−シェル型共重合体の場合と同様であり、それにより、同様の効果を得ることができる。
本実施の形態により得られた共重合ラテックスに含有されるコア−シェル型共重合体の平均粒子径は上述した本発明の共重合体ラテックスに含有されるコア−シェル型共重合体の場合と同様であることが好ましく、それにより、同様の効果を得ることができる。
(紙塗工用組成物)
本発明の紙塗工用組成物の一の実施の形態は、上記本発明の共重合体ラテックスを含むバインダーと、顔料とを含有する紙塗工用組成物である。
(紙塗工用組成物−バインダー)
本実施の形態の紙塗工用組成物に含有されるバインダーは、本発明の共重合体ラテックスを含有するが、その他にも、澱粉、カゼイン、大豆蛋白等を含有してもよい。これらの中では、澱粉が好ましい。澱粉としては、燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉等の加工澱粉を使用することができる。これらは、1種単独で又は2種以上を併用することができる。
(紙塗工用組成物−顔料)
本実施の形態の紙塗工用組成物に含有される顔料としては、カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワイト等を使用することができる。これらの中でも、重質炭酸カルシウムが好ましく、カオリンと重質炭酸カルシウムとを使用することも好ましい。これらは、1種を単独で使用することもでき、また2種以上を併用することもできる。
本実施の形態の紙塗工用組成物に含有される顔料とバインダーとの質量比は、特に限定されるものではないが、顔料100質量部に対して、バインダー1〜35質量部(固形分として)であることが好ましい。バインダーが、顔料100質量部に対して1質量部より少ないと、バインダーとしての充分な接着機能を発現し難くなり、35質量部より多いと、塗工紙の白色度を損ねたり、過度な粘着性に起因する塗工紙製造プロセスや塗工紙印刷プロセスでの操業トラブルの原因となることがある。ここで、バインダーの固形分とは、バインダーから、分散媒あるいは溶媒である水を除いた成分をいう。
紙塗工用組成物に含有される顔料とバインダーとの合計量は、紙塗工用組成物全体に対して90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。
本実施の形態の紙塗工用組成物には、上記顔料及びバインダーに加えて、耐水性改良剤、顔料分散剤、粘度調節剤、着色顔料、蛍光染料及びpH調節剤等一般に使用されている種々の添加剤を任意に配合することができる。顔料、バインダー、その他添加剤を含む紙塗工用組成物の固形分濃度は、30〜70質量%が好ましい。
(塗工紙)
本発明の塗工紙の一の実施の形態は、塗工原紙と、塗工原紙に塗工液が塗工されてなる塗工層とを備える塗工紙であって、上述した本発明の紙塗工用組成物を塗工液として使用するものである。
(塗工紙−塗工原紙)
本実施の形態の塗工紙を構成する塗工原紙は特に限定されず、本発明の紙塗工用組成物を塗工することにより本実施の形態の塗工紙として使用可能であればよい。塗工原紙の原料パルプの種類は特に限定されず、例えば、機械パルプ、化学パルプ、古紙パルプ(DIP)等が挙げられる。また、塗工原紙には、内添剤として炭酸カルシウム、クレー及びタルク等の顔料、アルキルケテンダイマー、ロジン酸石鹸及び硫酸バンド等のサイズ剤、カチオン澱粉及びポリアクリルアミド等の紙力増強剤、並びに嵩高剤等を使用することもできる。更に、上記塗工原紙の表面には、サイズプレス、ゲートロールコーター、メータードサイズプレス等を使用して、アクリルアミド又はアクリル−スチレンポリマー等の表面サイズ剤を塗布することもできる。
(塗工紙−塗工層)
本実施の形態の塗工紙を構成する塗工層は、紙塗工用組成物の塗工量が、1〜50g/m2であることが好ましい。1g/m2より少ないと白紙光沢や印刷光沢が低下することがあり、50g/m2より多いとコストの割りに品質の向上が小さくなることがある。
本発明の塗工紙において、塗工層が上塗り塗工層と下塗り塗工層とからなり、上塗り塗工層を形成する塗工液が上述した本発明の紙塗工用組成物であってもよい。下塗り塗工層を形成する塗工液は、特に限定されるものではなく、製造する塗工紙に合わせて適宜決定することができる。
(塗工紙の製造)
本実施の形態の塗工紙の製造方法は、上述した紙塗工用組成物(塗工液)を塗工原紙に、下記塗工方法により塗工するものである。紙塗工用組成物(塗工液)を塗工原紙に塗工する塗工方法としては、一般の塗工紙の製造方法において用いられている方法を採用することができる。例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ゲートロールコーター、チャンプレックスコーター、サイズプレスコーター、グラビアコーター、カーテンコーター等を使用して塗工することができる。
また、塗工層が上塗り塗工層と下塗り塗工層の2層であって、上塗り塗工層を本発明の塗工用組成物を塗工したものとする場合には、まず、塗工原紙に下塗り塗工層用の塗工液を塗工する。そして、塗工した下塗り塗工層用の塗工液を乾燥させた後に、本発明の紙塗工用組成物(塗工液)を下塗り塗工層の表面に塗工する。
本実施の形態の塗工紙を製造する方法としては、塗工原紙に塗工液を塗工する塗工工程以外に、紙塗工用組成物を塗工して未乾燥塗工紙を作製した後に、その未乾燥塗工紙を乾燥させる乾燥工程を有することが好ましい。また、上記乾燥工程の後に更に、カレンダー工程を設けてもよい。カレンダー処理を行うことで、得られた塗工紙の白紙光沢及び印刷光沢を充分に引き出すことができる。更に、上述の工程以外に適宜所望の工程を有してもよい。
本実施の形態の塗工紙は、枚葉オフセット印刷用及び輪転オフセット印刷用として特に好適に使用することができる。また、その他の平版印刷用、グラビア印刷等の凹版印刷用、及び凸版印刷用としても使用することができる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。尚、実施例において割合を示す「部」及び「%」はそれぞれ質量部及び質量%を意味する。
(共重合体ラテックスの製造)
攪拌装置および温度調節機を備えた耐圧反応容器に、表1及び表2に示す1段目成分を仕込み、窒素で重合系内を置換した。その後、重合系内の温度を40℃に昇温し、この温度で1.5時間重合を行った。次いで、表1に示される2段目成分と、還元剤水溶液の2/5量(20.545部×(2/5))とを8時間かけて連続的に重合系内に添加し、重合を進めコア部を形成した。ここで、重合転化率が90%以上に到達したのを確認した後、重合系内の温度を55℃に昇温し、シェル部成分及び還元剤水溶液の2/5量を1.5時間かけて連続的に重合系内に添加した。重合を完結させるために、残り1/5量の還元剤水溶液を2時間かけて連続的に添加した。最終的な重合転化率は98%であった。得られたコア−シェル型共重合体を含有する共重合体ラテックスを、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを用いてpH7.5に調整した後、水蒸気を吹き込んで未反応単量体を除去し、さらに加熱水蒸気蒸留によって固形分濃度50%の共重合体ラテックスを得た(実施例1〜7、比較例1〜7)。
Figure 2006052365
Figure 2006052365
得られた共重合体ラテックスについて、以下に示す方法で、平均粒子径、シェル部の厚み、トルエン不溶分、及びガラス転移温度を求めた。結果を表3及び表4に示す。
(平均粒子径)
共重合体ラテックスのコア−シェル型共重合体の平均粒子径は、粒子径測定装置(レーザー粒径解析システムLP−510、モデルPAR−III:大塚電子社製)を用いて動的光散乱法を利用して求めた。
(シェル部の厚み)
共重合体ラテックスの上記平均粒子径、単量体組成(A)の質量、およびコア部の重合転化率から計算により求めた。
(トルエン不溶分)
共重合体ラテックスをpH8.0に調整した後、イソプロパノールで凝固し、この凝固物を洗浄、乾燥した後、所定量(約0.03g)の試料を所定量(100ml)のトルエンに20時間浸漬した。その後、120メッシュの金網でろ過し、得られる残存固形分の仕込の全固形分に対する質量%を求め、トルエン不溶分とした。
(ガラス転移温度(Tg))
共重合体ラテックスを100℃で20時間真空乾燥し、フィルムを作製した。この乾燥フィルムを示差走査熱量計(DSC6100:セイコーインスツルメンツ社製)を用いてASTM法に準じて測定した。
Figure 2006052365
Figure 2006052365
(紙塗工用組成物の調製)
得られた共重合体ラテックスを用いて表5に示す配合処方で紙塗工用組成物を調製した。調製に際しては、表1に示す配合処方の原料に、全固形分が66%となるように水を加え、ミキサーを用いて均一に混合して紙塗工用組成物とした。
Figure 2006052365
(塗工紙の製造)
得られた紙塗工用組成物を塗工原紙上に、塗工量が片面11.0±0.5g/m2となるように、電動式ブレードコーター(熊谷理機工業社製)で塗工し、150℃の電気式熱風乾燥機にて4秒間乾燥した。得られた塗工紙を温度23℃、湿度60%の恒温恒湿槽に1昼夜放置し、その後、線圧140kg/cm、ロール温度40℃の条件でスーパーカレンダー処理を2回行い、塗工紙を製造した。得られた塗工紙について、以下に示す方法で、性能評価を行った。結果を表3及び表4に示す。
(べとつき防止性)
共重合体ラテックスをポリエチレンテレフタレートフィルム上にNo.18ロッドにより塗布し、120℃で30秒間、乾燥し、皮膜を形成させた。この皮膜と黒羅紗紙を合わせて、グロスカレンダーにより線圧15kg/cm−19rpm、温度105℃の条件下で圧着させた。両者をひきはがして、黒羅紗紙のラテックスへの転写の程度を目視で1.0〜5.0の得点範囲で評価を行った。転写の少ないものほど高得点とした。数値は測定回数6回の平均値で示した。
(ドライピック強度)
RI印刷機で印刷したときのピッキングの程度を肉眼で判定し、1.0〜5.0の得点範囲で評価を行った。ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。数値は測定回数6回の平均値で示した。
(白紙光沢)
塗工紙を村上式光沢計を使用して、75度の角度で測定した。数字が大きい程、光沢が高いことを示す。
(印刷光沢−1回刷)
RI印刷機を用いて市販のオフセット印刷用墨インクを1回ベタ塗りし、村上式光沢計を使用して60度の角度で測定した。数字が大きい程、光沢が高いことを示す。
(印刷光沢−2回刷)
RI印刷機を用いて市販のオフセット印刷用墨インクを2回連続(インターバル30秒)してベタ塗りし、村上式光沢計を使用して60度の角度で測定した。数字が大きい程、光沢が高いことを示す。
(インク乾燥性)
RI印刷機を用いて、市販のオフセット印刷用墨インクを塗工紙表面に印刷し、その後白紙を重ね合わせて一定の圧力で加圧し、白紙へのインク転移の程度をマクベス濃度計にて測定した。転移が少ないものほど数字が小さく、インクの乾燥性が速いことを示す。
実施例1〜7の塗工紙及びこれらに使用した共重合体ラテックスは、いずれも、各評価結果が良好であった。比較例1〜3においては、コア部のシアン化ビニル単量体由来の構造単位の含有量が少ないため、印刷光沢が低い値であった。比較例4においては、シェル部の芳香族ビニル単量体由来の構造単位の含有量が少ないため、べとつき防止性が低い値であった。比較例5においては、コア−シェル型共重合体におけるコア部の割合が低いため、印刷光沢及びべとつき防止性が低い値であった。比較例7においては、コア部のエチレン性不飽和カルボン酸単量体由来の構造単位の含有量が多いため、べとつき防止性が非常に低い値であった。
本発明の共重合体ラテックス及び紙塗工用組成物は、塗工操業性に優れ、かつ、表面強度、印刷光沢、インク乾燥性等の印刷適性に優れ、更に広い印刷速度範囲にわたって上記の優れた印刷適性を有する塗工紙を得るために有効に利用することができる。そして、本発明の塗工紙は、安価で、べとつき防止性、ドライピック強度、白紙光沢及び印刷光沢が良好であり、特に枚葉オフセット印刷用あるいは輪転オフセット印刷用の用紙として有用である。

Claims (9)

  1. 下記構造単位を有する共重合体からなるコア部70〜95質量部と、下記構造単位を有する共重合体からなるシェル部30〜5質量部(コア部+シェル部=100質量部)とを備え平均粒子径70〜150nmのコア−シェル型共重合体を含有する共重合体ラテックス。
    コア部:
    脂肪族共役ジエン単量体由来の構造単位45〜70質量%、
    シアン化ビニル単量体由来の構造単位30〜55質量%、
    エチレン性不飽和カルボン酸単量体由来の構造単位0〜2質量%、
    及びこれらの単量体と共重合可能な他の単量体由来の構造単位0〜25質量%(コア部全体を100質量%とする)。
    シェル部:
    芳香族ビニル単量体由来の構造単位50〜95質量%、
    エチレン性不飽和カルボン酸単量体由来の構造単位5〜20質量%、
    及びこれらの単量体と共重合可能な他の単量体由来の構造単位0〜45質量%(シェル部全体を100質量%とする)。
    但し、コア部とシェル部の合計は、以下の条件を満たす。
    (a)脂肪族共役ジエン単量体((a’)単量体)由来の構造単位35〜76質量%
    (b)芳香族ビニル単量体((b’)単量体)由来の構造単位3〜40質量%
    (c)シアン化ビニル単量体((c’)単量体)由来の構造単位20〜55質量%
    (d)エチレン性不飽和カルボン酸単量体((d’)単量体)由来の構造単位0.2〜10質量%
    (e)(a’)〜(d’)単量体と共重合可能な他の単量体((e’)単量体)由来の構造単位0〜41.8質量%
    ((a)構造単位+(b)構造単位+(c)構造単位+(d)構造単位+(e)構造単位=100質量%)
  2. 前記コア−シェル型共重合体のシェル部の厚さが0.5〜10nmである請求項1に記載の共重合体ラテックス。
  3. 前記コア部のガラス転移温度が−30〜−10℃の範囲にあり、前記シェル部のガラス転移温度が20℃以上である請求項1又は2に記載の共重合体ラテックス。
  4. 前記シェル部が、前記コア部の周囲に、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、及びこれらの単量体と共重合可能な他の単量体がグラフト重合して形成されたものである請求項1〜3のいずれかに記載の共重合体ラテックス。
  5. 前記コア部の存在下、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、及びこれらの単量体と共重合可能な他の単量体を乳化重合して得られる請求項1〜4のいずれかに記載の共重合体ラテックス。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の共重合体ラテックスを含むバインダーと、顔料とを含有する紙塗工用組成物。
  7. 塗工原紙と、前記塗工原紙に塗工液が塗工されてなる塗工層とを備える塗工紙であって、前記塗工液が請求項6に記載の紙塗工用組成物である塗工紙。
  8. 前記塗工層が上塗り塗工層と下塗り塗工層とからなり、前記上塗り塗工層を形成する塗工液が請求項6に記載の紙塗工用組成物である請求項7に記載の塗工紙。
  9. 下記単量体組成(A)70〜95質量部を共重合して得られる粒子状のコア部の存在下で、下記単量体組成(B)30〜5質量部(単量体組成(A)+単量体組成(B)=100質量部)を乳化重合する共重合体ラテックスの製造方法。
    単量体組成(A):
    脂肪族共役ジエン単量体45〜70質量%、
    シアン化ビニル単量体30〜55質量%、
    エチレン性不飽和カルボン酸単量体0〜2質量%、
    及びこれらの単量体と共重合可能な他の単量体0〜25質量%。
    単量体組成(B):
    芳香族ビニル単量体50〜95質量%、
    エチレン性不飽和カルボン酸単量体5〜20質量%、
    及びこれらの単量体と共重合可能な他の単量体0〜45質量%。
    但し、単量体組成(A)と単量体組成(B)の合計は、以下の条件を満たす。
    (a’)脂肪族共役ジエン単量体35〜76質量%
    (b’)芳香族ビニル単量体3〜40質量%
    (c’)シアン化ビニル単量体20〜55質量%
    (d’)エチレン性不飽和カルボン酸単量体0.2〜10質量%
    (e’)(a’)〜(d’)成分と共重合可能な他の単量体0〜41.8質量%
    ((a’)+(b’)+(c’)+(d’)+(e’)=100質量%)
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