JP2004124312A - 紙塗工用共重合体ラテックスおよび紙塗工用組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)脂肪族共役ジエン系単量体 23〜70重量%、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体 0.1〜7重量%、および(c)単量体(a)および単量体(b)と共重合可能な他の単量体 23〜76.9重量%からなる単量体を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであって、共重合体のガラス転移温度は−80〜50℃の範囲に少なくとも1点存在し、かつ、共重合体は、示差走査熱量計によって得られる示差熱量曲線において、転移領域の最低温度T1と最高温度T2との差ΔTが30℃以上であることを特徴とする共重合体ラテックス。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は紙塗工用組成物および紙塗工用ラテックスに関し、詳しくはカーテン塗工またはスプレー塗工で塗工紙を製造する場合に、操業性が良好で、良好な塗工紙の表面強度、耐水強度、印刷光沢を与える紙塗工用共重合体ラテックスおよび該共重合体ラテックスを含有する紙塗工組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
紙の外観や印刷適性を改良するために、カオリンや炭酸カルシウム等の白色顔料と水性バインダーを主成分とする組成物を塗工した「塗工紙」が製造されている。近年、雑誌のビジュアル化や新聞の折り込み広告、チラシ等の増加により、塗工紙の生産量は大きく増加してきた。これらの塗工紙は、今日主にブレードコーター、ゲートロールコーター、メータリングサイズプレスで塗工され製造されている。
塗工紙を製造するに当たっては、特にコスト面から少ない塗工量でいかに原紙を良好に被覆するかが大きな課題となる。被覆性を良好にするためには、原紙への押し込みが少なく、塗工層を嵩高くすることが肝要である。しかし、上記のようなコーターを使用した場合、その機構上、塗工液はかなり原紙に押し込まれ、塗工層は嵩高くはなりにくい。
ところで、カーテンコーターでの塗工やスプレーコーターでの塗工のような、いわゆる非接触型の塗工方式の場合、塗工液は原紙に押し込まれることはなく、また、塗工層は嵩高になることが知られている。しかし、カーテン塗工やスプレー塗工は、一般的には塗工紙の製造に用いられていない。カーテン塗工やスプレー塗工が一般的に用いられない主な理由は次のようなものである。
上記のような非接触型塗工の場合、確かに、塗工層は嵩高になるが、例えばブレード塗工の場合に比べると塗工層の強度が弱くなるため、バインダーを多く使用しなければならない。したがって、バインダー使用量が多くなりコスト高となる。そのために、Tgの低いSBRラテックスを用いることが先ず考えられるが、その場合下記の問題が発生する。すなわち、こうしたラテックスを使用すると、オフセット印刷に不可欠な耐水強度が低下すること、印刷光沢が低下すること、そして、塗工時の操業性が悪化することである。
また、カーテンコーターで塗工する場合の基本としてはリップを閉塞してはならない。リップが閉塞してしまうとその部分だけ塗布量が少なくなってしまい塗工欠陥を生じる。ひどい場合にはカーテン割れを生じ未塗工部分を発生させてしまう。Tgの低い粘着性の強いラテックスを使用した場合はこのようなトラブルを起こす危険性が高く、これを防ぐために、特開平7−119088では、Tgが−10℃以上のラテックスを使用することを提唱している。また、スプレー塗工における作業性も、ノズルを閉塞させるという点で同様である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、カーテン塗工あるいはスプレー塗工で塗工紙を製造するに際し、上に述べたバインダー使用量、耐水強度、印刷光沢発現性の問題を解決し、しかも、操業性が良好な紙塗工用組成物とそれに使用する共重合体ラテックスを得ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、カーテン塗工あるいはスプレー塗工用に、下記の共重合体ラテックスを含む紙塗工用組成物を用いることにより、上記の課題を解決することができることが分かり、本発明を完成するに至った。すなわち、
(a)脂肪族共役ジエン系単量体 23〜70重量%、
(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体 0.1〜7重量%、および
(c)単量体(a)および単量体(b)と共重合可能な他の単量体 23〜76.9重量%からなる単量体を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであって、共重合体のガラス転移温度は−80〜50℃の範囲に少なくとも1点存在し、かつ、共重合体は、示差走査熱量計によって得られる示差熱量曲線において、転移領域の最低温度T1と最高温度T2との差ΔTが30℃以上であることを特徴とする共重合体ラテックスである。なお、転移領域が複数存在している場合は、前記T1は、最も低温側の転移領域における最低温度を、前記T2は、最も高温側の転移領域における最高温度を示す。本発明では、共重合体は、示差熱量曲線において、前記差ΔTが30℃以上であることを特徴とする。本発明の共重合体ラテックスを含有する紙塗工組成物をカーテン塗工やスプレー塗工等の非接触型塗工に用いた場合、広範な印刷速度範囲においてピッキング等を発生させることなく印刷適性を高レベルに維持することができる。
本発明のラテックスの共重合体は、示差熱量曲線の転移領域内にガラス転移温度が1点のみ存在するものであっても、あるいは複数存在するものであってもよい。好ましくは、1点のみ存在するものであり、その場合は、本発明の効果が一段と優れたものとなる。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の共重合体ラテックスの製造に使用される(a)脂肪族共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、クロロプレンなどが挙げられるが、好ましくは1,3−ブタジエンである。これらの(a)脂肪族共役ジエン系単量体は、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。かかる(a)脂肪族共役ジエン系単量体は、得られる重合体に適度な柔軟性と伸びを与え、耐衝撃性を付与するために必須の成分であり、その使用割合は全単量体に対して230〜70重量%、好ましくは30〜60重量%である。この(a)成分が23重量%未満であると、共重合体が硬くなり過ぎ、接着強度が改良されない。一方、(a)成分が70重量%を越えると粘着性が高くなり、操業性が悪化する。また、耐水強度や印刷光沢も悪化する。
【0006】
前記(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などが挙げられる。これらの(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体は、1種単独で、あるいは2種以上を併用することもできる。かかる(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体の使用量は、全単量体に対して0.1〜7重量%、好ましくは0.3〜5重量%であり、更に好ましくは0.5〜3.5重量%である。(b)成分が0.1重量%未満では、重合時のラテックスの安定性が悪く、多量の凝固物の発生を招く。一方(b)成分が7重量%を超えると、塗工液粘度が高くなりすぎ塗工に支障をきたす。
【0007】
また、前記(c)単量体(a)および単量体(b)と共重合可能な他のビニル系単量体としては芳香族ビニル化合物、アルキル(メタ)アクリレート、シアン化ビニル化合物、酢酸ビニル、アクリルアミド系化合物、N−メチロールアクリルアミドなどが挙げられる。これらのうち、芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレンなどが挙げられ、特にスチレンが好ましい。アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特にメチルメタアクリレートが好ましい。シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。さらにアクリルアミド系化合物としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これら(c)成分は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもかまわない。(c)成分は、共重合体に、主として目的に応じた適度なガラス転移温度を与えるために使用するものであり、その使用割合は23〜76.9重量%である。
【0008】
本発明の共重合体ラテックスは、前述した単量体成分(a)、(b)および(c)を乳化重合して得られ、共重合体のガラス転移温度は−80〜50℃、好ましくは−80〜40℃、さらに好ましくは−70〜30℃の範囲に少なくとも1点存在し、かつ、共重合体は、示差熱量曲線の転移領域におけるT1とT2との差ΔTは、30℃以上、好ましくは35℃以上、さらに好ましくは40℃以上、特に好ましくは45℃〜120℃である。
前記ガラス転移温度が60℃を越えると接着強度が劣り、−90℃未満であると粘着性が増し操業性が悪化する。また、耐水強度や印刷光沢も大幅に悪化する。前記差ΔTが30℃未満であると、広範な印刷速度範囲において印刷適性を高レベルに維持することができないため、十分な印刷速度範囲を確保できない。それと同時に、塗工紙の表面強度および耐衝撃性が低下し、高速印刷における変形速度の極めて大きい衝撃的な変形に対して耐えられない。
【0009】
本発明で使用される単量体を乳化重合するに際しては、水性媒体中で乳化剤、重合開始剤、分子量調節剤などを用いて製造することができる。
ここで、乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが単独で、あるいは2種以上を併用して使用できる。
ここで、アニオン性界面活性剤としては、例えば高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ポリエチレングリコールアルキルエーテルの硫酸エステルなどが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型などが用いられる。両性界面活性剤としては、アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、燐酸エステル塩を、カチオン部分としてはアミン塩、第4級アンモニウム塩を持つものが挙げられ、具体的にはラウリルベタイン、ステアリルベタインなどのベタイン類、ラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ(アミノエチル)グリシン、などのアミノ酸タイプのものなどが用いられる。
【0010】
重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性重合開始剤、過酸化ベンゾイル、ラウリルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチルニトリルなどの油溶性重合開始剤、還元剤との組み合わせによるレドックス系重合開始剤などが、それぞれ単独であるいは組み合わせで使用できる。
【0011】
分子量調節剤、キレート化剤、無機電解質なども公知のものが使用できる。分子量調節剤としては、クロロホルム、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素類、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸などのメルカプタン類、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルフィドなどのキサントゲン類、ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー、1,1−ジフェニルエチレンなど通常の乳化重合で使用可能なものを全て使用できる。
【0012】
重合方法としては、単量体の一部を重合した後、その残りを連続的にあるいは断続的に添加する方法、あるいは単量体を重合のはじめから連続的に添加する方法が挙げられる。。
重合温度は、通常、好ましくは20〜85℃、より好ましくは25〜80℃である。重合時間は、通常10〜30時間である。
【0013】
本発明の共重合体ラテックスが用いられる紙塗工用組成物は、無機あるいは有機顔料に、前記共重合体ラテックス、さらに必要に応じて他のバインダー、種々の助剤を配合して使用される。前記共重合体ラテックスの配合量は、通常、顔料100重量部に対して共重合体ラテックス5〜30重量部(固形分として)、好ましくは3〜25重量部である。共重合体ラテックスが5重量部未満であると、接着強度が著しく低下し、一方30重量部を超えるとインク乾燥性の低下が著しい。
【0014】
前記無機顔料としてはカオリン、硫酸バリウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、サチンホワイト、タルク、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛等が、また有機顔料としてはポリスチレンラテックス、尿素ホルマリン樹脂などを挙げることができる。これらは目的に応じて、単独でも、あるいは2種以上組み合わせても使用することができる。
【0015】
本発明の共重合体ラテックスは、カーテン用あるいはスプレー塗工用の紙塗工用組成物、特にオフセット印刷用の紙塗工用組成物において、接着剤として好適に使用される。また、この紙塗工用組成物は、前記共重合体ラテックスに加えて、カゼイン、カゼイン変性物、澱粉、澱粉変性物、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性物質を必要に応じて組み合わせて使用できる。
【0016】
また、その紙塗工用組成物においては、一般に使用されている種々の配合剤、例えば、耐水性改良剤、顔料分散剤、粘度調節剤、着色顔料、蛍光染料およびpH調節剤を任意に配合することができる。
さらに、その紙塗工用組成物は、シートオフセット印刷用紙およびウエッブオフセット印刷用紙に好適に使用され、その他、凸版印刷、グラビア印刷などの各種印刷用紙および紙のコーティング剤にも使用することができる。
【0017】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。なお、実施例において割合を示す「部」および「%」はそれぞれ重量部および重量%を意味する。
【0018】
共重合体ラテックスの製造
(実施例1〜5)
攪拌機を備え、温度調節の可能なオートクレーブ中に、水200部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、過硫酸ナトリウム1部を仕込み、次いで表1に示す初期成分を一括で仕込み、60℃で1時間反応させた。その後、表1に示す1段目ならびに2段目成分を10部/時間の速度で連続的に添加し重合を継続させ、さらに連続添加終了後6時間にわたって70℃で反応させた。最終的な重合転化率は98%であった。
得られた共重合体ラテックスについて、ガラス転移温度、ラテックス平均粒子径、トルエン不溶分および差ΔTを以下の方法で求めた。
【0019】
【表1】
【0020】
(比較例1〜4)
攪拌機を備え、温度調節の可能なオートクレーブ中に、水200部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、過硫酸ナトリウム1部を仕込み、次いで表2に示す1段目成分を一括で仕込み、60℃で1時間反応させた。その後、表2に示す2段目成分を10部/時間の速度で連続的に添加し重合を継続させ、さらに連続添加終了後6時間にわたって70℃で反応させた。最終的な重合転化率は、98%であった。
得られた共重合体ラテックスについて、ガラス転移温度、ラテックス平均粒子径、トルエン不溶分および差ΔTを以下の方法で求めた。その結果を表1,2の下に示す。
【0021】
【表2】
【0022】
また、各物性値の測定方法、評価の方法を以下に示す。
a.ガラス転移温度
得られた共重合体ラテックスを100℃で20時間真空乾燥を行い、フィルムを作製した。この乾燥フィルムを示差走査熱量計(DSC:デュポン社製)を用いてASTM法に準じて測定した。
b.ラテックス平均粒子径
得られた共重合体ラテックスの平均粒子径は、コールター社製のサブミクロンアナライザー(モデルN4)で、常法により求めた。
c.トルエン不溶分
得られた共重合体ラテックスのトルエン不溶分は以下のようにして測定した。共重合体ラテックスをpH8.0に調製した後、イソプロパノールで凝固し、この凝固物を洗浄、乾燥した後、所定量(約0.03g)の試料を所定量(100ml)のトルエンに20時間浸漬する。その後、120メッシュの金網で濾過し、得られる残存固形分の仕込の全固形分に対する重量%を求めた。
d.示差熱量曲線
示差走査熱量計(DSC:デュポン社製)を用いて、ASTM法に準じて測定し、示差熱量曲線を求めた。これにより、各共重合体ラテックスの共重合体の転移領域の最低温度T1と最高温度T2との差ΔT(℃)を求めた。なお、示差走査熱量曲線の1例を図1に示す
e.粘着性の評価
ラテックスをポリエチレンテレフタレートフィルム上にNo.18ロッドにより塗布し、120℃で30秒間、乾燥し、皮膜を形成させる。この皮膜と黒羅紗紙を合わせて、ベンチスーパーカレンダーにより線圧200kg/m,温度70℃の条件下で圧着させる。両者をひきはがして、黒羅紗紙のラテックスへの転写の程度を目視で5段階で評価する。転写の少ないものほど高得点とした。数値は測定回数6回の平均値で示した。
【0023】
カーテンコーターでの評価
(紙塗工用組成物の調製)
実施例1〜5および比較例1〜4で製造した共重合体ラテックスを用いて、下記の処方によりカーテン塗工用でオフセット印刷用紙向けの紙塗工用組成物を調製した。
配合;
カオリンクレー 70.0部
炭酸カルシウム 30.0部
分散剤 0.2部
水酸化ナトリウム 0.1部
澱粉 4.0部
ラテックス(固形分として) 13.0部
水 全固形分が45%となるように適当量添加
【0024】
(塗工紙の作成と評価)
この紙塗工用組成物を塗被原紙上に、塗工量が片面10.0±0.5g/m2となるように、ラボカーテンコーターで塗工し、150℃の熱風乾燥機にて20秒間乾燥した。得られた塗工紙を温度23℃、湿度50%の恒温恒湿槽に1昼夜放置し、その後、線圧100kg/cm,ロール温度50℃の条件でスーパーカレンダー処理を4回行った。得られた塗工紙の性能評価は以下の方法により行った。
1)ドライピック強度
RI印刷機で印刷したときのピッキングの程度を肉眼で判定し、5段階で評価した。ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。数値は測定回数6回の平均値で示した。
2)ウェットピック強度
RI印刷機を用いて、塗工紙表面を吸水ロールで湿してから、RI印刷機で印刷したときのピッキングの程度を肉眼で判定し、5段階で評価した。ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。数値は測定回数6回の平均値で示した。
3)印刷光沢
RI印刷機を用いてオフセット用インキをベタ塗りし、村上式光沢計を使用して60度の角度で測定した。
4)操業性
塗工液をラボカーテンコーターのヘッドを通して1時間循環させた。循環中スリットを閉塞させたものは×、閉塞させなくても、スリットからの流れ、すなわち、塗工液のカーテンが乱れたものは△に、全く異常のないものを○とした。
【0025】
スプレー塗工での評価
上記カーテンコーター用に調製した塗工用組成物を粘度が100mPa.sになるように希釈した。この紙塗工用組成物をスプレーで塗被原紙上に、塗工量が片面10.0±0.5g/m2となるように塗工した。その後はカーテンコーターの場合と同様に、150℃の熱風乾燥機にて20秒間乾燥した。得られた塗工紙を温度23℃、湿度50%の恒温恒湿槽に1昼夜放置し、その後、線圧100kg/cm,ロール温度50℃の条件でスーパーカレンダー処理を4回行った。
得られた塗工紙の性能評価はカーテン塗工の場合と同様におこなった。ただし、操業性の関しては、スプレー時に詰まりが生じないか、正常にスプレーできるかを観察した。
上記の評価方法で評価した結果を表1および表2の下の部分に示した。これらから明らかな通り、実施例の共重合体ラテックスは、本発明の目的を達成している。すなわち、強度、ウエットピック強度が強く、印刷光沢が良好で、ラテックスの粘着性が低く、操業性が良好である。
一方、比較例の共重合体ラテックスは、強度、ウエットピック強度、印刷光沢、操業性のいずれか、あるいは複数の項目が悪い結果となっている。
【0026】
【発明の効果】
本発明のカーテン塗工用またはスプレー塗工用共重合体ラテックスを使用すると、ラテックスの粘着性が低く、操業性が良好であり、これを含有するカーテン塗工用またはスプレー塗工用組成物を使用すると、ドライピック強度、ウエットピック強度が強く、印刷光沢が良好な塗工紙が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】示差走査熱量曲線の1例を示す図。
転移領域の最低温度T1(−25℃)と最高温度T2(50℃)との差ΔTが75℃の例。
Claims (2)
- (a)脂肪族共役ジエン系単量体 23〜70重量%、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体 0.1〜7重量%、および(c)単量体(a)および単量体(b)と共重合可能な他の単量体 23〜76.9重量%からなる単量体を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであって、共重合体のガラス転移温度が−80〜50℃の範囲に少なくとも1点存在し、かつ、共重合体の示差走査熱量計によって得られる示差熱量曲線において、転移領域の最低温度T1と最高温度T2との差ΔTが30℃以上であることを特徴とするカーテン塗工用またはスプレー塗工用共重合体ラテックス。
- 請求項1記載の共重合体ラテックスを含有するカーテン塗工用またはスプレー塗工用紙塗工組成物。
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