JP3235419B2 - 紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法 - Google Patents

紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法

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JP3235419B2
JP3235419B2 JP20139695A JP20139695A JP3235419B2 JP 3235419 B2 JP3235419 B2 JP 3235419B2 JP 20139695 A JP20139695 A JP 20139695A JP 20139695 A JP20139695 A JP 20139695A JP 3235419 B2 JP3235419 B2 JP 3235419B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紙塗工用に好適な
共重合体ラテックスの製造方法に関し、詳しくは、塗工
操業性に優れ、かつ、印刷光沢、表面強度、耐水性等の
印刷適性に優れた紙塗工用のバインダーとして好適な共
重合体ラテックスの製造方法に関する。
【0002】
【技術の背景】従来より、顔料と水性バインダーとを主
体とした紙塗工用組成物を紙に塗工し、印刷適性に優れ
た塗工紙が製造されており、共重合体ラテックスはその
優れた接着強度から、紙塗工用組成物の主バインダーと
して使用されている。
【0003】近年、印刷の高級化、高速化にともない、
塗工紙に要求される性能も厳しくなってきており、表面
強度、耐水性、剛度、インキ転移性、印刷光沢や耐ブリ
スター性などの改良が要求されるようになった。更に、
近年はコスト低減の目的からバインダー量を低減する要
求が高まっており、このため、より少量の添加量でも十
分な接着強度を示すバインダーが求められている。
【0004】また、塗工紙の製造そのものも高速化して
おり、塗工操業性の改良、すなわちその主な障害である
ロール汚れ性の改良、すなわち共重合体ラテックスの粘
着性の低減(べとつき防止性)も強く要求されている。
また、更に、紙塗工組成物の機械的安定性、すなわち、
共重合体ラテックスの機械的安定性も要求されている。
【0005】しかしながら、これらの要求特性は、互い
に背反する性質がほとんどであり、全ての特性バランス
よく高いレベルにすることは非常に困難である。
【0006】例えば、接着強度を改良する目的で共役ジ
エン系単量体の量を増やして得られる共重合体のガラス
転移点を低くする方法が試みられていたが、この方法で
は耐水性ならびにべとつき防止性の特性低下が著しい。
逆に、ガラス転移点を高くすると、耐水性ならびにべと
つき防止性の点は良好であるが、接着強度および印刷光
沢の特性低下が著しい。
【0007】このように、これらの何れの方法も、いず
れかの特性の改良が達成されたとしても、全ての特性に
対する要求を満たすことはできず、ますます厳しくなる
印刷における諸要求を満たすことはできないのが現状で
ある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の技術
的背景のもとになされたものであり、機械的安定性等を
有し塗工操業性に優れ、かつ表面強度が改良され、耐水
性、印刷光沢等の印刷適性に優れた塗工紙を与える、紙
塗工用、特に高速オフセット印刷用紙の塗工用に好適な
紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法を提供すること
を課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の実施の形態】
本発明に係る紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法
は、(a)脂肪族共役ジエン系単量体20〜70重量%、
(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜10重
量%、(c)アミド基含有エチレン系不飽和単量体0.5
〜10重量%、(d)これらと共重合可能な他の単量体1
0〜79重量%(ただし、(a)+(b)+(c)+(d)=100
重量%)からなる単量体を乳化重合するにあたり、(c)
アミド基含有エチレン系不飽和単量体を除く全単量体の
重合転化率が20%から90%までの間において、(c)
アミド基含有エチレン不飽和単量体を連続的に添加する
ことを特徴としている。
【0010】すなわち、水性媒体中で(a)脂肪族共役ジ
エン系単量体、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量
体、(c)アミド基含有エチレン系不飽和単量体および(d)
これらと共重合可能な他の単量体を乳化重合するにあた
り、(c)アミド基含有エチレン系不飽和単量体を除く全
単量体の重合転化率が20%から90%までの間におい
て、好ましくは重合転化率が30%から80%の間に、
前記(c)成分が連続的に添加される。
【0011】重合転化率が20%未満で、(c)成分が添
加された場合は、べとつき防止性、機械的安定性の改良
効果が十分に発現されず、一方、90%を越えて、(c)
成分が添加された場合では、ラテックスの粘度や紙塗工
用組成物の粘度が高くなり過ぎて作業性が低下する。
【0012】また、重合転化率が20%から90%の間
において、(c)成分を一括添加した場合は、連続添加に
比べて、べとつき防止性、機械的安定性の改良効果が十
分に発現しない。
【0013】本発明の紙塗工用共重合体ラテックスの製
造方法は、所定の重合添加率の範囲において、(c)成分
であるアミド基含有エチレン不飽和単量体を連続的に添
加することにより、他の単量体との共重合が進行しやす
くなる。そして、粒子表面に結合したアミド基含有ポリ
マーが存在するために、目的とする性能、特に、塗工操
業性、表面強度に優れる。
【0014】また、本発明において用いられる、(a)成
分および(b)成分の合計量の10〜70重量%を(c)成分
と並行して連続的に添加してもよい。
【0015】本発明の共重合体ラテックスの製造方法に
使用される(a)脂肪族共役ジエン系単量体としては、
1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3
−ブタジエン、クロロプレンなどが挙げられるが、好ま
しくは1,3−ブタジエンである。これらの(a)脂肪族
共役ジエン系単量体は、1種単独で、あるいは2種以上
を併用することができる。
【0016】かかる(a)脂肪族共役ジエン系単量体は、
得られる共重合体ラテックスに適度な柔軟性と伸びを与
えるために必須の成分であり、その使用割合は20〜7
0重量%、好ましくは25〜65重量%である。(a)成
分が20重量%未満であると塗被膜の柔軟性と伸びに劣
り、一方、(a)成分が70重量%を越えると耐水強度に
劣るものとなる。
【0017】また、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単
量体としては、例えばイタコン酸、アクリル酸、メタク
リル酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられ、これら
の単量体は1種単独で、あるいは2種以上を併用するこ
ともできる。
【0018】かかる(b)エチレン系不飽和カルボン酸単
量体の使用割合は0.5〜10重量%、好ましくは1〜
7重量%である。(b)成分が0.5重量%未満では重合
時のラテックスの安定性が悪く、凝固物が生成し易く、
また得られるラテックスの機械的、化学的安定性に劣
る。一方、(b)成分が10重量%を越えると得られるラ
テックスの粘度が高くなり過ぎ、その取扱いが難しくな
り、作業性が低下し、実用性に欠けるものとなる。
【0019】さらに、(c)アミド基含有エチレン不飽和
単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、
N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアク
リルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)
アクリルアミドなどが挙げられるが、特にメタクリルア
ミドが好ましい。これらの単量体は1種単独で、あるい
は2種以上を併用することができる。
【0020】かかる(c)アミド基含有エチレン不飽和単
量体の使用割合は、0.5〜10重量%、好ましくは1
〜7重量%である。(c)成分が、0.5重量%未満では
ラテックスのべとつき防止性、機械的安定性の改良効果
が見られず、一方10重量%を越えるとラテックスの粘
度が高くなりすぎ、その取り扱いが難しくなる。
【0021】(d)(a)〜(c)成分と共重合可能な他の単量
体としては、芳香族ビニル化合物、アルキル(メタ)ア
クリレート、シアン化ビニル化合物、酢酸ビニルなどが
挙げられる。
【0022】このうち、芳香族ビニル化合物としては、
例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチ
レン、ビニルトルエン、クロルスチレンなどが挙げら
れ、特にスチレンが好ましい。
【0023】また、アルキル(メタ)アクリレートとし
ては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)ア
クリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル
(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)ア
クリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ベンジル
(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレー
ト、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソ
ボルニル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メ
タ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アク
リレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート
などが挙げられ、このうち特にメチルメタアクリレート
が好ましい。
【0024】さらに、ビニルシアン化合物としては、ア
クリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、
このうち特にアクリロニトリルが好ましい。
【0025】これらの(d)(a)〜(c)成分と共重合可能な
他の単量体は、共重合体に適度な硬さ、接着性を付与す
るためのものであり、その使用割合は、10〜79重量
%、好ましくは20〜75重量%である。(c)成分が1
0重量%未満では、共重合体が柔らかくなり過ぎべとつ
き防止性が劣り、一方、(c)成分が79重量%を超える
と逆に硬くなり過ぎ、接着強度が劣る。
【0026】本発明の共重合体ラテックスの粒子径は、
通常70〜350nm、好ましくは80〜250nmで
ある。
【0027】本発明で使用される単量体を乳化重合する
に際しては、公知の方法で水性媒体中で乳化剤、重合開
始剤、分子量調節剤などを用いて製造することができ
る。
【0028】ここで、乳化剤としては、アニオン性界面
活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが
単独で、あるいは2種以上を併用して使用できる。
【0029】ここで、アニオン性界面活性剤としては、
例えば高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼ
ンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ポリエチレング
リコールアルキルエーテルの硫酸エステルなどが挙げら
れる。
【0030】ノニオン界面活性剤としては、通常のポリ
エチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエ
ーテル型、アルキルフェニルエーテル型などが用いられ
る。両性界面活性剤としては、アニオン部分としてカル
ボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、燐酸エステ
ル塩を、カチオン部分としてはアミン塩、第4級アンモ
ニュウム塩を持つものが挙げられ、具体的にはラウリル
ベタイン、ステアリルベタインなどのベタイン類、ラウ
リル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン、ラウ
リルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ(アミノ
エチル)グリシン、などのアミノ酸タイプのものなどが
用いられる。
【0031】重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性重合
開始剤、過酸化ベンゾイル、ラウリルパーオキサイド、
2,2’−アゾビスイソブチルニトリルなどの油溶性重
合開始剤、還元剤との組み合わせによるレドックス系重
合開始剤などが、それぞれ単独であるいは組み合わせで
使用できる。
【0032】分子量調節剤、キレート化剤、無機電解質
なども公知のものが使用できる。
【0033】分子量調節剤としては、クロロホルム、四
臭化炭素などのハロゲン化炭化水素類、n−ヘキシルメ
ルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシル
メルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオグリコ
ール酸などのメルカプタン類、ジメチルキサントゲンジ
サルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルフィ
ドなどのキサントゲン類、α−メチルスチレンダイマー
など通常の乳化重合で使用可能なものを全て使用でき
る。
【0034】本発明における重合方法としては、(c)ア
ミド基含有エチレン系不飽和単量体を除く全単量体の重
合転化率が20%から90%までの間において、(c)ア
ミド基含有エチレン不飽和単量体を連続的に添加するこ
とを特徴とする。
【0035】なお、本発明において重合添加率20%か
ら90%とは、(c)成分を除く全単量体の20%から9
0%が重合した時点を示し、(c)成分を除く全単量体と
は、得ようとする共重合体ラテックスを構成するために
必要な全単量体を示す。
【0036】乳化重合については、(c)アミド基含有エ
チレン系不飽和単量体以外の他の単量体混合物を全量一
括で仕込み重合する方法、単量体混合物の一部を重合し
た後、その残りを連続的にあるいは断続的に添加する方
法、あるいは単量体混合物を重合の始めから連続的に添
加する方法などを採ることができる。重合温度は、通常
60〜80℃、好ましくは60〜70℃であり、重合時
間は、通常10〜30時間である。
【0037】本発明の共重合体ラテックスが用いられる
紙塗工用組成物は、無機あるいは有機顔料に、上記共重
合体ラテックス、さらに必要に応じて他のバインダー、
種々の助剤を配合して使用される。上記共重合体ラテッ
クスの配合量は、顔料100重量部に対して共重合体ラ
テックス1〜30重量部(固形分として)、好ましくは
3〜25重量部である。共重合体ラテックスが1重量部
未満であると、接着強度が著しく低下し、一方30重量
部を超えるとインク乾燥性の低下が著しい。
【0038】前記無機顔料としてはクレー、硫酸バリウ
ム、酸化チタン、炭酸カルシウム、サチンホワイト、タ
ルク、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛等が、また有機顔
料としてはポリスチレンラテックス、尿素ホルマリン樹
脂などを挙げることができる。これらは目的に応じて、
単独でも、あるいは2種以上組み合わせても使用するこ
とができる。
【0039】紙塗工用組成物においては、顔料接着剤と
して、上記共重合体ラテックスに加えて、カゼイン、カ
ゼイン変性物、澱粉、澱粉変性物、ポリビニルアルコー
ル、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性物質を必
要に応じて組み合わせて使用できる。
【0040】さらに、紙塗工用組成物においては、一般
に使用されている種々の配合剤、例えば、耐水性改良
剤、顔料分散剤、粘度調節剤、着色顔料、粘度調節剤、
蛍光染料およびpH調節剤を任意に配合することができ
る。
【0041】本発明の紙塗工用共重合体ラテックスは、
例えばオフセット印刷機用に好適に使用される。
【0042】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例
に制約されるものではない。なお、実施例において割合
を示す「部」および「%」はそれぞれ重量部及び重量%
を意味するものである。
【0043】(実施例1〜5) (1)共重合体ラテックスの製造 攪拌機を備え、温度調節の可能なオートクレーブ中に水
200部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.
5部、過硫酸カリウム1.0部、および表1に示した第
1段目の成分を一括して仕込み、60℃で3時間反応さ
せ、続いて第2段目の成分を65℃で7時間にわたって
連続的に添加して重合を継続させ、メタクリルアミドを
除く全単量体の重合転化率が20%の時点から90%の
時点の間にわたりメタクリルアミドの水溶液を連続的に
添加し、更に連続添加終了後6時間にわたって70℃で
反応させた。最終的な重合転化率は97〜99%であっ
た。
【0044】得られた共重合体ラテックスについて、ラ
テックス粒子径、トルエン不溶分およびラテックス粘度
を以下の方法で求めた。その結果を表1に示す。
【0045】a.ラテックス粒子径 得られた共重合体ラテックスの平均粒子径は、コールタ
ー社製のサブミクロンアナライザー(モデルN4)で、
常法により求めた。
【0046】b.トルエン不溶分 共重合体ラテックスのトルエン不溶分は以下のようにし
て測定した。共重合体ラテックスをpH8.0に調整し
た後、イソプロパノールで凝固し、この凝固物を洗浄、
乾燥した後、所定量(約0.03g)の試料を所定量
(100ml)のトルエンに20時間浸漬する。その
後、120メッシュの金網で濾過し、得られる残存固形
分の仕込の全固形分に対する重量%を求める。
【0047】c.ラテックス粘度 共重合体ラテックスをpH8.0、25℃、固形分濃度
50%に調整し、B型粘度計(東京計器社製)でラテッ
クス粘度を測定した。
【0048】
【表1】
【0049】(2)紙塗工用組成物の調製 実施例1〜5で製造した共重合体ラテックスを用いて、
下記の処方によりオフセット印刷用紙塗工組成物を調製
した。
【0050】配合 カオリンクレー 70.0部 炭酸カルシウム 30.0部 分散剤 0.2部 水酸化ナトリウム 0.1部 澱粉 4.0部 ラテックス(固形分として) 10.0部 水 全固形分が60%と
なるように適当量添加 このオフセット印刷用紙塗工組成物を塗被原紙上に、塗
工量が片面18.0±0.5g/m2となるように、電
動式ブレードコーター(熊谷理器社製)で塗工し、15
0℃の電気式熱風乾燥機にて15秒間乾燥した。得られ
た塗工紙を温度23℃、湿度50%の恒温恒湿槽に1昼
夜放置し、その後、線圧100kg/cm,ロール温度
50℃の条件でスーパーカレンダー処理を4回行った。
得られた塗工紙の性能評価は以下の方法により行った。
【0051】1)ドライピック強度 RI印刷機で印刷したときのピッキングの程度を肉眼で
判定し、5段階で評価した。ピッキング現象の少ないも
のほど高得点とした。数値は測定回数6回の平均値で示
した。
【0052】2)ウェットピック強度 RI印刷機を用いて、塗工紙表面を吸水ロールで湿して
から、RI印刷機で印刷したときのピッキングの程度を
肉眼で判定し、5段階で評価した。ピッキング現象の少
ないものほど高得点とした。数値は測定回数6回の平均
値で示した。
【0053】3)印刷光沢 RI印刷機を用いてオフセット用インキをベタ塗りし、
村上式光沢計を使用して60度の角度で測定した。
【0054】4)べとつき防止性 ラテックスをマイラーフィルムにワイヤーバーにより塗
布した後、140℃で30秒間、乾燥し、皮膜を形成さ
せる。この皮膜と黒羅紗紙を合わせて、線圧200kg
/m,温度35℃の条件下でカレンダーを通し圧着させ
る。黒羅紗紙をマイラーフィルムより剥離し、黒羅紗紙
繊維のラテックスフィルム上への転移の程度を肉眼で判
定し5段階で評価した。転写の少ないものほど高得点と
した。数値は測定回数6回の平均値で示した。
【0055】5)機械的安定性 マロン式安定性試験を用いて機械的安定性を測定した。
すなわち、120メッシュの金網でろ過した紙塗工液5
0g(固形分25%)を、回転数1000rpm、荷重
20Kg/cm2、温度70℃、10分間回転させ、1
20メッシュ金網にてコアギュ量を測定した。コアギュ
量は、固形分に対する重量%で示した。
【0056】上記の評価方法で評価した結果を表2に示
した。
【0057】
【表2】
【0058】実施例1〜5は、本発明の範囲の共重合体
ラテックスを用いたオフセット印刷用紙塗工組成物であ
り、本発明の目的のもの、すなわち表面強度に優れ、か
つ耐水強度、印刷光沢、べとつき防止性、機械的安定性
に優れたものが得られた。
【0059】(比較例1〜4) (1)共重合体ラテックスの製造 メタクリルアミドの水溶液の添加を除き、実施例1〜5
と同様にして、表1に示した第1段目の成分および第2
段目の成分を添加して重合を行い、共重合体ラテックス
を製造した。最終的な重合転化率は97〜99%であっ
た。
【0060】比較例1および3は、アミド基含有エチレ
ン不飽和単量体を使用せずに共重合体ラテックスを製造
した。
【0061】比較例2は、第1段目の成分の仕込み時に
アミド基含有エチレン不飽和単量体であるメタクリルア
ミドを一括添加した。
【0062】比較例4は、メタクリルアミドを除く他の
単量体の重合転化率が92%の時点でメタクリルアミド
の水溶液の添加を開始し、97%の時に重合終了した。
【0063】得られた共重合体ラテックスについて、ラ
テックス粒子径、トルエン不溶分およびラテックス粘度
を実施例1〜5と同様の方法で求めた。その結果を表1
に示す。
【0064】(2)紙塗工用組成物の調製 比較例1〜4で製造した共重合体ラテックスを用いて、
実施例1〜5と同様にしてオフセット印刷用紙塗工組成
物を調製し、その物性を評価した。結果を表2に示す。
【0065】比較例1および3は、アミド基含有エチレ
ン不飽和単量体を使用せずに共重合体ラテックスを製造
した場合であり、得られた紙塗工組成物は表面強度、べ
とつき防止性および機械的安定性に劣る。
【0066】比較例2は、共重合体ラテックスの製造の
際に、第1段目の成分の仕込み時のメタクリルアミドを
一括添加した場合、すなわち、メタクリルアミドを除く
全単量体の重合転化率が20%未満の時点でアミド基含
有エチレン不飽和単量体であるメタクリルアミドを添加
したものである。得られた紙塗工組成物は表面強度、べ
とつき防止性および機械的安定性に劣る。
【0067】また、比較例4は、共重合体ラテックスの
製造の際に、メタクリルアミドを除く全単量体の重合転
化率が90%を越えている時点で、アミド基含有エチレ
ン不飽和単量体であるメタクリルアミドを連続的に添加
したものであり、得られた紙塗工組成物は比較例2と同
様に、表面強度、べとつき防止性および機械的安定性に
劣る。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、共重合体ラテックスを
構成するために必要な所定の単量体のうち、アミド基含
有エチレン系不飽和単量体を除く全単量体の重合添加率
が20%から90%の間において、アミド基含有エチレ
ン不飽和単量体を連続的に添加することにより、機械的
安定性等を有し塗工操業性に優れ、かつ表面強度が改良
され、耐水性、印刷光沢等の印刷適性に優れた塗工紙を
与える、紙塗工用、特に高速オフセット印刷用紙の塗工
用に好適な紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法を提
供することができる。
フロントページの続き (72)発明者 新ヶ江 滋 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本 合成ゴム株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−70988(JP,A) 特開 平7−258308(JP,A) 特開 平4−359001(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 19/58 C08F 2/22

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)脂肪族共役ジエン系単量体20〜7
    0重量%、(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.
    5〜10重量%、(c)アミド基含有エチレン系不飽和単
    量体0.5〜10重量%、(d)これらと共重合可能な他
    の単量体10〜79重量%(ただし、(a)+(b)+(c)+
    (d)=100重量%)からなる単量体を乳化重合するに
    あたり、(c)アミド基含有エチレン系不飽和単量体を除
    く全単量体の重合転化率が20%から90%までの間に
    おいて、(c)アミド基含有エチレン不飽和単量体を連続
    的に添加することを特徴とする紙塗工用共重合体ラテッ
    クスの製造方法。
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