JPH10245450A - 共重合体ラテックスおよび紙塗工用組成物 - Google Patents

共重合体ラテックスおよび紙塗工用組成物

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JPH10245450A
JPH10245450A JP6748197A JP6748197A JPH10245450A JP H10245450 A JPH10245450 A JP H10245450A JP 6748197 A JP6748197 A JP 6748197A JP 6748197 A JP6748197 A JP 6748197A JP H10245450 A JPH10245450 A JP H10245450A
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water
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浩司 志保
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隆徳 山下
Osamu Ishikawa
理 石川
Katsuhiko Tsuruoka
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に紙塗工用組成物に使用されたとき、高速
塗工適性および高速流動性が改善され、併せて機械的安
定性およびべとつき防止性に優れるとともに、接着強
度、印刷光沢、剛度等の塗工紙性能にも優れた共重合体
ラテックス、およびこれを用いた紙塗工用組成物を提供
する。 【解決手段】 共重合体ラテックスは、(a)脂肪族共
役ジエン系単量体20〜80重量%、(b)水溶性エチ
レン系単量体0.5〜8重量%並びに(c)他のビニル
系単量体20〜79.5重量%からなる単量体混合物
を、全単量体に対する前記(b)成分の使用割合(重量
%)と全単量体に対する前記(d)成分の使用割合(重
量%)との積を0.1〜8の範囲として乳化重合して得
られ、平均粒子径が50〜150nmであることを特徴
とする。紙塗工用組成物は、前記共重合体ラテックスを
含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紙塗工用組成物に好適
な共重合体ラテックスに関わり、さらに詳しくは、高濃
度・高速塗工時の流動性と機械的安定性に優れ、かつ塗
工紙性能および塗工操業性に優れた共重合体ラテック
ス、並びにこれを用いた紙塗工用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年における中性抄紙の実用化に伴い、
紙塗工用組成物として、安価な炭酸カルシウムの多量使
用により塗料が高濃度化しており、また塗工紙品質の向
上に加えて、生産性向上等の目的でコーターの高速化、
塗料コストや塗工時の乾燥エネルギーの低減化等が図ら
れている。そして、このような高濃度・高速塗工化の流
れを反映して、塗料に対する要求性能もますます厳しく
なってきており、今日では塗料の高流動性とともに、高
速塗工にあってはさらに塗工ブレードによる操作等の機
械的操作に対する安定性も必要とされている。ところ
で、塗料を高濃度化すると一般に流動性が悪くなり、ま
た高いせん段速度が作用する高速塗工下では、塗料の流
動性がさらに悪影響を受け、ブリーディング等の問題を
起こし易くなる。しかも機械的安定性の悪い塗料の場合
は、バッキングロールが汚れやすくなったり、塗工ブレ
ード刃先への粕付着が起こり、塗工時の作業性に大きく
影響を与えるばかりでなく、塗工紙の品質低下という問
題が生じる。かかる高濃度塗料の高せん断速度下での流
動性(以下、「高速流動性」という。)を改善する方法
として、従来から、塗料の構成成分に関して、例えば、
顔料については、粒子径の小さい重質炭酸カルシウムの
使用比率を上げる方法が提案され、またバインダーにつ
いては、増粘作用の大きいカゼイン、澱粉等の天然水溶
性バインダーの使用量を減らす方法のほか、合成バイン
ダーであるカルボキシ変性ラテックスの場合は、ラテッ
クスの小粒子化や、エチレン系不飽和カルボン酸の重合
方法を改良する方法等(例えば、特開平6−17319
8号公報、特開平7−166495号公報、特開平7−
70988号公報)が提案されている。しかしながら、
これらの方法のうち、重質炭酸カルシウムの使用比率を
増大させたり、天然水溶性バインダーの使用比率を減ら
す方法では、塗工紙の剛度低下につながり、塗料として
の保水力や接着強度も損なわれる。またカルボキシ変性
ラテックスの粒子径を小さくすると、塗料の高速流動性
は改善されるが、ラテックス粒子の機械的安定性が低下
して、高速塗工適性に問題を生じる。さらに、ラテック
スの機械的安定性を高めるために、ラテックス中のエチ
レン系不飽和カルボン酸等の使用比率を高める方法も考
えられるが、この場合は塗料の粘度が上がり、流動性が
低下するという問題を生じる。このように、高速流動性
と機械的安定性を同時に満足させることが極めて困難で
あるのが実状であり、その改善が望まれていた。さら
に、塗工紙製造における高速塗工化に伴い、塗工操業性
の改良、特に主な障害であるロール汚れ性の改良、即ち
共重合体ラテックスの粘着性の低減(べとつき防止性の
向上)も強く要求されており、このような要求に叶うも
のとして、本出願人は既に、共重合体が−100〜+5
0℃の範囲に少なくとも2つのガラス転移点を有し、か
つ最も高いガラス転移点と最も低いガラス転移点との差
を5℃以上とすることにより、耐水性、剛度、インキ乾
燥性、印刷光沢等の塗工紙性能に加えて、べとつき防止
性が改善され塗工操業性に優れたカルボキシ変性共重合
体ラテックスを提案している(特開平7−324112
号公報)。しかしながら、かかる共重合体ラテックスに
ついても、塗工紙性能をを損なうことなく、高速流動性
の点でさらなる改善が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、特に
紙塗工用組成物として、塗料の高速流動性が改善され、
併せて機械的安定性に優れ、しかもべとつき防止性が高
いため塗工操業性に優れるとともに、接着強度、印刷光
沢、剛度等の塗工紙性能にも優れた共重合体ラテック
ス、およびこれを用いた紙塗工用組成物を提供すること
にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、第一
に、(a)脂肪族共役ジエン系単量体20〜80重量
%、(b)水溶性エチレン系単量体0.5〜8重量%、
並びに(c)前記(a)成分および(b)成分と共重合
可能な他のビニル系単量体20〜79.5重量%(但
し、(a)+(b)+(c)=100重量%)からなる
単量体混合物を、(d)水溶性重合開始剤を用い、全単
量体に対する前記(b)成分の使用割合(重量%)と全
単量体に対する前記(d)成分の使用割合(重量%)と
の積を0.1〜8の範囲として乳化重合して得られる平
均粒子径が50〜150nmの共重合体ラテックス、か
らなる。
【0005】本発明の要旨は、第二に、前記共重合体ラ
テックスを含有することを特徴とする紙塗工用組成物、
からなる。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。共重合体ラテックス 本発明における共重合体ラテックスは、該ラテックスを
製造する際の単量体組成としては、(a)脂肪族共役ジ
エン系単量体20〜80重量%、(b)水溶性エチレン
系単量体0.1〜8重量%、並びに(c)前記(a)成
分および(b)成分と共重合可能な他のビニル系単量体
20〜79.5重量%(但し、(a)+(b)+(c)
=100重量%)からなる単量体混合物から得られるも
のである。本発明の共重合体ラテックスに使用される
(a)脂肪族共役ジエン系単量体としては、例えば、
1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,
3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、好ま
しくは1,3−ブタジエンである。これらの(a)脂肪
族共役ジエン系単量体は、単独でまたは2種以上を混合
して使用することができる。かかる(a)脂肪族共役ジ
エン系単量体は、得られる共重合体に適度の柔軟性と伸
びを与え、耐衝撃性を付与するために必須の成分であ
り、その使用割合は、全単量体に対して20〜80重量
%、好ましくは30〜70重量%である。(a)脂肪族
共役ジエン系単量体の使用割合が20重量%未満である
と、共重合体が硬くなり過ぎ、接着強度が改良されず、
一方80重量%を超えると、べとつき防止性が悪化す
る。
【0007】また、(b)水溶性エチレン系単量体とし
ては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマ
ル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸単量体;(メ
タ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリ
ルアミド、N−〔2−(ジメチルアミノ)プロピル〕
(メタ)アクリルアミド、N−〔3−(ジメチルアミ
ノ)プロピル〕(メタ)アクリルアミド、N−メチロー
ル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有ビニル系単
量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有ビ
ニル系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、アリ
ルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有ビニル系単量
体等が挙げられる。これらの(b)水溶性エチレン系単
量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用すること
ができる。本発明における(b)水溶性エチレン系単量
体の使用割合は、全単量体に対して0.5〜8重量%、
好ましくは0.8〜6重量%、さらに好ましくは1.5
〜4重量%である。(b)水溶性エチレン系単量体の使
用割合が0.5重量%未満では、重合時のラテックスの
安定性が悪く、多量の凝固物の発生を招き、一方8重量
%を超えると、得られるラテックスの粘度が大きく上昇
し、高速流動性が悪化する。
【0008】本発明においては、前記(b)水溶性エチ
レン系単量体として、不飽和カルボン酸単量体を、全単
量体に対して、好ましくは0.2〜4重量%、さらに好
ましくは0.5〜4重量%、特に好ましくは1〜3.5
重量%使用することが望ましい。この場合の不飽和カル
ボン酸単量体の使用割合が0.2重量%未満では、重合
時のラテックスの安定性が低下したり、得られるラテッ
クスの機械的安定性が不良となるおそれがあり、一方4
重量%を超えると、高速塗工する際にブリーディング等
の発生を招くおそれがある。
【0009】一方、本発明においては、共重合体ラテッ
クスの高速流動性を考慮すると、不飽和カルボン酸単量
体の使用量をできるだけ少なくすることが好ましいが、
極端に少なくすると、前述したような問題点のほかに、
ラテックスがアルカリに対して敏感となり、重合後のラ
テックスを中和する際にアルカリを添加すると、凝集す
る場合がある。これを防ぐためには、アミド基含有ビニ
ル系単量体を不飽和カルボン酸単量体と併用することが
効果的である。この場合のアミド基含有ビニル系単量体
の使用割合は、全単量体に対して、好ましくは0.1〜
4重量%、さらに好ましくは0.1〜2重量%である。
アミド基含有ビニル系単量体の使用割合が前記範囲にあ
ることにより、ラテックスの安定性に優れたものとな
る。また、不飽和カルボン酸単量体とアミド基含有ビニ
ル系単量体との合計の使用割合は、全単量体に対して、
好ましくは0.5〜4重量%、さらに好ましくは1〜
3.5重量%である。
【0010】さらに、(c)前記(a)成分および
(b)成分と共重合可能な他のビニル系単量体(以下、
「(c)他のビニル系単量体」という。)としては、例
えば、芳香族ビニル化合物、置換もしくは非置換のアル
キル(メタ)アクリレート類、シアン化ビニル化合物、
酢酸ビニル等が挙げられる。これらのうち、芳香族ビニ
ル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチ
レン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−
メチルスチレン、o−クロルスチレン、m−クロルスチ
レン、p−クロルスチレン等が挙げられ、特にスチレン
が好ましい。また、アルキル(メタ)アクリレート類と
しては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレ
ート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル
(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレー
ト、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル
(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレ
ート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−
オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ス
テアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アク
リレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−シ
アノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、特にメ
チルメタアクリレートが好ましい。また、シアン化ビニ
ル化合物としては、例えば、(メタ)アクリロニトリ
ル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン
等が挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。これ
らの(c)他のビニル系単量体は、単独でまたは2種以
上を混合して使用することができる。 (c)他のビニル系単量体は、共重合体に、主として目
的に応じた適度なガラス転移点を与えるために使用され
るものであり、その使用割合は、全単量体に対して20
〜79.5重量%、好ましくは25〜69重量%であ
る。(c)他のビニル系単量体の使用割合が20重量%
未満では、べとつき防止性が低下し、一方79.5重量
%を超えると、共重合体が硬くなり過ぎ、接着強度が劣
る。
【0011】本発明の共重合体ラテックスは、前記単量
体混合物を、(d)水溶性重合開始剤を用いる公知の乳
化重合法により実施することができる。 (d)水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸ナト
リウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶
性過硫酸塩や、過酸化水素、クメンヒドロパーオキサイ
ド等の他の水溶性過酸化物を挙げることができる。これ
らの(d)水溶性重合開始剤は、単独でまたは2種以上
を混合して使用することができる。また本発明において
は、(d)水溶性重合開始剤と共に、ベンゾイルパーオ
キサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2’−アゾ
ビスイソブチロニトリル等の油溶性重合開始剤を併用す
ることもできる。さらに、前記水溶性過酸化物やベンゾ
イルパーオキサイドのような油溶性過酸化物は、還元剤
と組み合わたレドックス系重合開始剤として使用するこ
ともできる。本発明における(d)水溶性重合開始剤の
使用割合は、全単量体に対して、好ましくは0.01〜
2重量%、さらに好ましくは0.05〜1.8重量%、
特に好ましくは0.1〜1.5重量%である。(d)水
溶性重合開始剤の使用割合が0.01重量%未満では、
重合時のラテックスの安定性が低下する傾向があり、一
方2重量%を超えると、高速流動性や接着強度が低下す
る傾向がある。本発明においては、共重合体ラテックス
を製造する乳化重合時の全単量体に対する(b)水溶性
エチレン系単量体の使用割合(重量%)と全単量体に対
する(d)水溶性重合開始剤の使用割合(重量%)との
積(以下、「b・d積」という。)は、0.1〜8の範
囲、好ましくは0.2〜7、さらに好ましくは0.3〜
5、特に好ましくは0.5〜4.5の範囲にある。b・
d積が0.1未満では、重合時のラテックスの安定性が
低下し、一方8を超えると、高速流動性が著しく低下す
る。本発明においては、b・d積を前記範囲とすること
により、得られる共重合体ラテックスの粒子表面に存在
する親水性官能基の量が相対的に少なく、電荷密度が小
さくなるため、高せん断速度下でのラテックス粒子と顔
料との相互作用がより小さくなり、高速流動性に優れた
ものとなる。しかも、b・d積を前記範囲とすることに
より、得られる共重合体の分子量が増大し、これにより
高い接着強度が発現されることとなる。
【0012】このような乳化重合は、乳化剤、分子量調
節剤等の常用の薬剤を使用し、水性媒体中で実施され
る。前記乳化剤としては、例えば、アニオン性界面活性
剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を、単独
でまたは2種以上を混合して使用することができる。ア
ニオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコール
の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂
肪族スルホン酸塩、ポリエチレングリコールアルキルエ
ーテルの硫酸エステル塩等が挙げられる。ノニオン性界
面活性剤としては、例えば、通常のポリエチレングリコ
ールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アル
キルフェニルエーテル型等が挙げられる。両性界面活性
剤としては、例えば、アニオン部分としてカルボン酸
塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、燐酸エステル塩等
を有し、カチオン部分としてアミン塩、第4級アンモニ
ュウム塩等を有するものが挙げられ、具体的には、ラウ
リルベタイン、ステアリルベタイン等のベタイン類や、
ラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン、
ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ(ア
ミノエチル)グリシン等のアミノ酸タイプ等が挙げられ
る。前記分子量調節剤としては、例えば、クロロホル
ム、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;n−ヘキシ
ルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデ
シルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオグ
リコール酸等のメルカプタン類;ジメチルキサントゲン
ジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルフ
ィド等のキサントゲン類や、ターピノーレン、α−メチ
ルスチレンダイマー等、通常の乳化重合で使用可能なも
のを全て、単独でまたは2種以上を混合して使用するこ
とができる。さらに、乳化重合に際しては、公知のpH
調整剤、キレート化剤、無機電解質等を添加することも
できる。
【0013】本発明の共重合体ラテックスの平均粒子径
は、50〜150nm、好ましくは50〜120nm、
さらに好ましくは50〜110nmである。共重合体ラ
テックスの平均粒子径が50nmより小さいと、紙塗工
用組成物としたとき、流動性、光沢発現性、インキ転移
性等が低下し、一方150nmより大きくても、紙塗工
用組成物としたときの高速流動性が低下する。共重合体
ラテックスの平均粒子径は、重合時の水、乳化剤、水溶
性重合開始剤等の使用量を調節することにより制御する
ことができる。
【0014】さらに、本発明の共重合体ラテックスとし
ては、ガラス転移点が−100〜+50℃の範囲に少な
くとも2つ存在し、最も高いガラス転移点と最も低いガ
ラス転移点との差が5℃以上、好ましくは10℃以上、
さらに好ましくは15℃以上であるものが望ましい。共
重合体ラテックスの低いガラス転移点が−100℃より
低いと、べとつき防止性が低下する傾向があり、一方高
いガラス転移点が+50℃より高いと、接着強度が低下
する傾向がある。本発明における好ましい共重合体ラテ
ックスのガラス転移点は、−100〜+50℃の範囲に
少なくとも2つ存在すればよく、3つ以上存在すること
もできるが、紙塗工用組成物としては、2つ存在するこ
とが特に好ましい。共重合体ラテックスの最も高いガラ
ス転移点と最も低いガラス転移点との差が前記のような
条件を満足するとき、性能バランスに優れた紙塗工用組
成物を得ることができる。
【0015】本発明において、さらに好ましい共重合体
ラテックスは、低いガラス転移点が−100〜0℃の範
囲に少なくとも1つ存在し、かつ高いガラス転移点が−
5〜+50℃の範囲に少なくとも1つ存在するものであ
り、特に好ましい共重合体ラテックスは、低いガラス転
移点が−90〜−5℃の範囲に少なくとも1つ存在し、
かつ高いガラス転移点が0〜+40℃の範囲に少なくと
も1つ存在するものである。このようなガラス転移点を
有する共重合体ラテックスは、紙塗工用組成物としたと
き、より優れた印刷適性と塗工操業性を発現することが
できる。本発明の共重合体ラテックスは、特定の温度範
囲内に異なるガラス転移点を有する重合体部分が同一粒
子内に共存する異相構造を有することにより、当該ラテ
ックスを含有する紙塗工用組成物が、高速塗工適性、塗
料特性、塗工紙性能、塗工操業性等のバランスに優れた
ものとなり、各種の印刷用紙、特にオフセット印刷用紙
に対して極めて好適に使用することができる。即ち、ガ
ラス転移点の低い重合体部分によって、例えば高速印刷
における変形速度の極めて大きい衝撃的な変形に対して
高い耐性を示し、それにより高い接着強度を発現するこ
とができる。またガラス転移点の高い重合体部分によっ
て、耐水強度、剛度等の塗工紙性能を高いレベルに維持
することができ、かつべとつき防止性が改善されること
から、より優れた塗工操業性を発現できることとなる。
【0016】本発明において、前記特定の温度範囲内に
少なくとも2つのガラス転移点を有する好ましい共重合
体ラテックスは、特に、下記する重合体部分Aと重合体
部分Bとからなることが望ましい。以下、重合体部分A
と重合体部分Bとからなる共重合体ラテックスを、「特
定共重合体ラテックス」という。重合体部分Aは、
(a)脂肪族共役ジエン系単量体25〜100重量%、
好ましくは35〜90重量%、(b)水溶性エチレン系
単量体0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%、さら
に好ましくは0〜3重量%、および(c)他のビニル系
単量体0〜75重量%、好ましくは7〜52重量%(但
し、(a)+(b)+(c)=100重量%)からな
り、かつガラス転移点が−100〜0℃、好ましくは−
90〜−3℃、さらに好ましくは−70〜−5℃の範囲
にある(共)重合体部分である。ここで、「(共)重合
体」とは、単独重合体および共重合体の少なくとも一方
から構成されることを意味する。重合体部分Aにおける
(a)脂肪族共役ジエン系単量体の使用割合が全単量体
に対して25重量%未満では、共重合体が硬くなり過
ぎ、接着強度が低下する傾向があり、(b)水溶性エチ
レン系単量体の使用割合が全単量体に対して10重量%
を超えると、ラテックスの粘度が大きくなって、塗工操
業性が低下する傾向があり、(c)他のビニル系単量体
の使用割合が全単量体に対して75重量%を超えると、
共重合体が硬くなり過ぎ、接着強度が低下する傾向があ
る。また、重合体部分Aのガラス転移点が0℃より高い
と、接着強度が低下する傾向がある。このような重合体
部分Aは、該部分を構成する単量体の合計量に対する
(d)水溶性重合開始剤の使用割合を、好ましくは0.
001〜1.5重量%、さらに好ましくは0.005〜
1.2重量%、特に好ましくは0.01〜1重量%とす
る乳化重合により製造することができる。この場合の
(d)水溶性重合開始剤の使用割合が0.001重量%
未満では、重合が失活するおそれがあり、一方1.5重
量%を超えると、高速流動性や接着強度が低下する傾向
がある。
【0017】また、重合体部分Bは、(a)脂肪族共役
ジエン系単量体10〜60重量%、好ましくは20〜5
0重量%、(b)水溶性エチレン系単量体0.5〜30
重量%、好ましくは0.8〜20重量%、さらに好まし
くは1〜10重量%、および(c)他のビニル系単量体
10〜89.5重量%、好ましくは40〜79重量%
(ただし、(a)+(b)+(c)=100重量%)か
らなり、かつガラス転移点が−5〜+50℃、好ましく
は0〜+45℃、さらに好ましくは+5〜+40℃の範
囲にある(共)重合体部分である。ここで、「(共)重
合体」とは、単独重合体および共重合体の少なくとも一
方から構成されることを意味する。重合体部分Bにおけ
る(a)脂肪族共役ジエン系単量体の使用割合が全単量
体に対して10重量%未満では、共重合体が硬くなり過
ぎ、接着強度が低下する傾向があり、一方60重量%を
超えると、べとつき防止性が低下する傾向がある。ま
た、(b)水溶性エチレン系単量体の使用割合が全単量
体に対して0.5重量%未満では、乳化重合時の安定性
が低下したり、得られるラテックスの機械的安定性が低
下する傾向があり、一方30重量%を超えると、ラテッ
クスの粘度が大きくなり、塗工操業性が低下する傾向が
ある。また、(c)他のビニル系単量体の使用割合が全
単量体に対して10重量%未満では、べとつき防止性が
低下する傾向があり、一方89.5重量%を超えると、
共重合体が硬くなり過ぎ、接着強度が低下する傾向があ
る。このような重合体部分Bは、該部分を構成する単量
体の合計量に対する(d)水溶性重合開始剤の使用割合
を、好ましくは0.001〜3重量%、さらに好ましく
は0.005〜2.5重量%、特に好ましくは0.01
〜2重量%とする乳化重合により製造することができ
る。この場合の(d)水溶性重合開始剤の使用割合が
0.001重量%未満では、重合が失活するおそれがあ
り、一方3重量%を超えると、高速流動性や接着強度が
低下する傾向がある。
【0018】本発明において、特定共重合体ラテックス
の場合のb・d積は、重合体部分Aおよび重合体部分B
を製造する際の(b)水溶性エチレン系単量体の合計量
の全単量体に対する割合と、重合体部分Aおよび重合体
部分Bを製造する際の(d)水溶性重合開始剤の合計量
の全単量体に対する割合との積を意味する。また、特定
共重合体ラテックスにおける重合体部分Aと重合体部分
Bとの割合(A/B)(重量比)は、重合体部分Aと重
合体部分Bとの合計を100として、好ましくは10/
90〜80/20、さらに好ましくは15/85〜75
/25、特に好ましくは20/80〜70/30であ
る。この割合が10/90未満であると、接着強度が不
足する場合があり、一方80/20を超えると、べとつ
き防止性が低下する傾向がある。
【0019】特定共重合体ラテックスを製造する際の重
合方法としては、 シード重合と同様にして、予め重合体部分Aを別の重
合容器を用いて乳化重合により製造したのち、所定量の
該重合体部分Aを添加して、重合体部分Bを乳化重合に
より製造する方法、 重合体部分Aと重合体部分Bとを、同一重合容器内で
少なくとも2段の多段階の乳化重合により製造する方法 等が挙げられる。前記各重合方法において、単量体混合
物の仕込み方法としては、例えば、単量体混合物を全量
一括で仕込む方法、単量体混合物の一部を重合したの
ち、残りを連続的あるいは断続的に添加する方法、単量
体混合物を重合当初から連続的あるいは断続的に添加す
る方法等が挙げられ、またこれらの仕込み方法を組み合
わせることもできる。重合温度は、通常、重合体部分A
を製造する場合は、好ましくは5〜80℃、さらに好ま
しくは5〜50℃であり、また重合体部分Bを製造する
場合は、好ましくは20〜80℃、さらに好ましくは2
0〜60℃である。重合時間は、通常10〜30時間で
ある。
【0020】本発明の共重合体ラテックスの最低造膜温
度は、好ましくは0〜60℃、さらに好ましくは5〜5
0℃、特に好ましくは10〜40℃である。最低造膜温
度が0℃より低いと、べとつき防止性が低下する傾向が
あり、一方60℃より高いと、接着強度が低下する傾向
がある。また、本発明の共重合体ラテックスを構成する
共重合体のテトラヒドロフラン(THF)可溶部分のゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によ
る重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、好ま
しくは50,000〜300,000、さらに好ましく
は70,000〜250,000、特に好ましくは8
0,000〜200,000である。Mwが50,00
0未満では、接着強度が低下する傾向があり、一方30
0,000を超えると、共重合体のゲル化がかなり進行
しており、この場合も接着強度が低下する傾向がある。
【0021】紙塗工用組成物 本発明の紙塗工用組成物は、通常、前記共重合体ラテッ
クスを、無機あるいは有機の顔料に、さらに必要に応じ
て他のバインダー、種々の助剤等と共に、配合して調製
される。紙塗工用組成物における前記共重合体ラテック
スの配合量は、顔料100重量部に対して、通常、共重
合体ラテックス1〜30重量部(固形分)、好ましくは
3〜25重量部である。共重合体ラテックスの配合量が
1重量部未満であると、接着強度が低下する傾向があ
り、一方30重量部を超えると、インク乾燥性が低下す
る傾向がある。また、本発明の紙塗工用組成物は、特に
オフセット印刷用に使用される場合、顔料バインダーと
して、前記共重合体ラテックスに加え、カゼイン、カゼ
イン変性物、澱粉、澱粉変性物、ポリビニルアルコー
ル、カルボキシメチルセルロース等の水溶性物質を必要
に応じて併用することもできる。紙塗工用組成物に使用
される無機顔料としては、例えば、クレー、硫酸バリウ
ム、酸化チタン、炭酸カルシウム、サチンホワイト、タ
ルク、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛等が挙げられ、ま
た有機顔料としては、例えば、ポリスチレン粒子、尿素
ホルマリン樹脂等が挙げられる。これらの顔料は、目的
に応じて、単独でまたは2種以上を混合して使用するこ
とができる。紙塗工用組成物に使用される助剤として
は、例えば、一般に使用されている耐水性改良剤、顔料
分散剤、粘度調節剤、蛍光染料、pH調節剤等が挙げら
れる。本発明の紙塗工用組成物は、オフセット枚葉印刷
用紙およびオフセット輪転印刷用紙に対して特に好適に
使用されるが、その他凸版印刷、グラビア印刷等の他の
各種印刷用紙にも有用であり、また紙用コーティング
剤、カーペットバッキング剤、接着剤、塗料等として使
用することもできる。
【0022】以下、実施例を挙げて本発明の実施の形態
をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えな
い限り、以下の実施例に制約されるものではない。実施
例および比較例における「部」および「%」はともに重
量基準である。
【実施例】
(共重合体ラテックスの製造と評価) 実施例1〜3 攪拌機および温度調節器を備えたオートクレーブに水2
00部を仕込んだのち、1段目成分として、ドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部および重亜硫酸ナ
トリウム0.5部と、表1に示す単量体、分子量調節剤
および水溶性重合開始剤とを一括して仕込み、45℃で
6時間反応させて、重合体部分Aを製造した。このとき
の重合転化率は70%以上であった。次いで、2段目成
分として、表1に示す単量体、分子量調節剤および水溶
性重合開始剤を、60℃で7時間にわたって連続的に添
加して重合を継続させ、連続添加終了後さらに6時間に
わたって70℃で反応させて、重合体部分Bを製造し
た。最終の重合転化率は98〜99%であった。その
後、水酸化ナトリウム水溶液でpHを7.8に調整した
のち、減圧下で所定の濃度に濃縮した。得られた各共重
合体ラテックスについて、平均粒子径、トルエン不溶
分、ガラス転移点およびTHF可溶部分のMwを、以下
の方法により求めた。その結果を、表2に示す。平均粒子径 コールター社製のサブミクロンアナライザー(モデルN
4)を用いて、常法により求めた。トルエン不溶分 各共重合体ラテックスをpH8.0に調整したのち、イ
ソプロパノールで凝固させ、凝固物を洗浄、乾燥した。
次いで、所定量(約0.03g)の乾燥試料をを所定量
(100ミリリットル)のトルエン中に20時間浸漬し
たのち、120メッシュの金網でろ過して、残存固形分
の仕込み全固形分に対する割合を求めた。ガラス転移点 各共重合体ラテックスを基材上に塗布したのち、100
℃で20時間真空乾燥させて、フィルムを作製した。こ
の乾燥フィルムについて、示差走査熱量計(DSC:デ
ュポン社製)を用いて、ASTM法に準じて測定した。Mw 各共重合体ラテックスをpH8.0に調整したのち、イ
ソプロパノールで凝固させ、凝固物を洗浄、乾燥した。
次いで、THF可溶部分のMwを、東ソー(株)製GP
C測定装置を用いて、常法により求めた。
【0023】(共重合体ラテックスの製造と評価) 実施例4〜6 実施例1〜3と同様のオートクレーブに水200部を仕
込んだのち、1段目成分として、ドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム0.5部、重亜硫酸ナトリウム0.5
部、t−ドデシルメルカプタン0.2部およびα−メチ
ルスチレンダイマー0.5部と、表1に示す単量体、分
子量調節剤および水溶性重合開始剤とを一括して仕込
み、45℃で6時間反応させて、重合体部分Aを製造し
た。このときの重合転化率は70%以上であった。次い
で、2段目成分として、表1に示す単量体、分子量調節
剤および水溶性重合開始剤を一括して添加したのち、6
0℃まで昇温し、一括添加後さらに10時間にわたって
60℃で反応させて、重合体部分Bを製造した。最終の
重合転化率は98%であった。その後、水酸化ナトリウ
ム水溶液でpHを7.8に調整したのち、減圧下で所定
の濃度に濃縮した。得られた各共重合体ラテックスにつ
いて、平均粒子径、トルエン不溶分、ガラス転移点およ
びMwを、実施例1〜3と同様にして求めた。その結果
を、表2に示す。
【0024】(紙塗工用組成物の調製と評価) 実施例7〜12 実施例1〜6で得た各共重合体ラテックスを用いて、下
記の処方によりオフセット印刷用の紙塗工用組成物を調
製した。処方 共重合体ラテックス(固形分) 10.0部 カオリンクレー 70.0部 炭酸カルシウム 30.0部 分散剤 0.2部 水酸化ナトリウム 0.1部 澱粉 4.0部 水 全固形分が60%となる量 得られた各紙塗工用組成物について、下記する高速塗工
適性試験、塗料特性試験、塗工紙性能試験および塗工操
業性試験を行った。 〈高速塗工適性試験〉各紙塗工用組成物を坪量64g/
2 の上質塗工原紙に、CLC(CYLINDRICAL LABORATO
RY COATE:ウェアハウザー社製)を用い、1500m/
分の塗工スピードで塗工したのち、乾燥し、得られた塗
工紙の表面におけるスピッツ等の発生程度を目視により
観察して、下記基準で評価した。 ◎;発生せず、○;極く僅かに発生、△;僅かに発生、
×;著しく発生(実用上不可)。 〈塗料特性試験〉 熱時の機械的安定性 各紙塗工用組成物を水で濃度50%に希釈し、#300
メッシュ金網でろ過したのち、50℃に加温した。次い
で、試料150gを容器(容器ジャケットは予め50℃
温水を循環させておく。)に採り、マロン試験機(理学
工学(株)製)により荷重15Kg×25分の負荷を掛
けたのち、#300メッシュ金網でろ過し、乾燥し、ろ
過残渣量を測定して、試料の全固形分に対する割合
(%)を算出した。 高速流動性 ハーキュレス粘度計(熊谷理機工業(株)製)を用い
て、試料温度25℃、6600rpmの条件における粘
度を測定した。
【0025】〈塗工紙性能試験〉各紙塗工用組成物を塗
被原紙上に、塗工量が片面18.0±0.5g/m2
なるように、電動式ブレードコーター(熊谷理機工業
(株)製)を用いて塗工したのち、150℃の電気式熱
風乾燥機にて15秒間乾燥した。次いで、得られた塗工
紙を、温度23℃、湿度50%の恒温恒湿槽内に1昼夜
放置したのち、線圧100kg/cm、ロール温度50
℃の条件によるスーパーカレンダー処理を4回行って、
塗工紙の性能を、以下の方法により評価した。 ドライピック強度 RI印刷機で印刷したときのピッキングの程度を目視に
より観察し、ピッキング現象の少ないものほど高得点と
して、5段階で評価した。数値は、測定回数6回の平均
値で示した。 ウェットピック強度 RI印刷機を用いて、塗工紙表面を吸水ロールで湿らし
てから、RI印刷機で印刷したときのピッキングの程度
を目視により観察し、ピッキング現象の少ないものほど
高得点として、5段階で評価した。数値は、測定回数6
回の平均値で示した。 印刷光沢 RI印刷機を用いて、オフセット用インキをベタ塗り
し、村上式光沢計を用いて、角度60度で測定した。 剛度 JIS P8143に準じて、自動クラーク剛度試験機
(熊谷理機工業(株)製)を用いて測定した。 〈塗工操業性試験〉 べとつき防止性 各共重合体ラテックスをポリエチレンテレフタレートフ
ィルム上に、No.18ロッドにより塗布したのち、1
20℃で30秒間乾燥して、皮膜を形成させた。次い
で、この皮膜と黒羅紗紙とを合わせて、ベンチスーパー
カレンダーにより、線圧200kg/m、温度70℃の
条件下で圧着させたのち、両者を引き剥がしたときの、
黒羅紗紙のラテックスへの転写の程度を目視により観察
し、転写の少ないものほど高得点として、5段階で評価
した。数値は、測定回数6回の平均値で示した。以上の
各紙塗工用組成物の評価結果を、表3に示す。その結
果、実施例7〜12の紙塗工用組成物は、実施例1〜6
で得た本発明の共重合体ラテックスを用いたものであ
り、接着強度(ドライピック強度、ウェットピック強
度)に優れ、かつ印刷光沢、剛度およびべとつき防止性
が何れも優れていた。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】(共重合体ラテックスの製造と評価) 比較例1 実施例1〜3と同様のオートクレーブに、水100部、
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3部および
重亜硫酸ナトリウム0.5部と、表4に示す単量体、分
子量調節剤および水溶性重合開始剤とを一括して仕込
み、45℃で7時間反応させたのち、60℃に昇温し、
さらに7時間にわたって反応させた。最終の重合転化率
は98%であった。その後、水酸化ナトリウム水溶液で
pHを7.8に調整したのち、減圧下で所定の濃度に濃
縮した。得られた共重合体ラテックスについて、平均粒
子径、トルエン不溶分、ガラス転移点およびMwを、実
施例1〜3と同様にして求めた。その結果を、表5に示
す。
【0030】(共重合体ラテックスの製造と評価) 比較例2〜3 実施例1〜3と同様のオートクレーブに水200部を仕
込んだのち、1段目成分として、ドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム0.8部および重亜硫酸ナトリウム
0.5部と、表4に示す単量体、分子量調節剤および水
溶性重合開始剤とを一括して仕込み、45℃で6時間反
応させた。このときの重合転化率は70%以上であっ
た。次いで、2段目成分として、表4に示す単量体、分
子量調節剤および水溶性重合開始剤を、60℃で7時間
にわたって連続的に添加して重合を継続させ、連続添加
終了後さらに6時間にわたって60℃で反応させた。最
終の重合転化率は98〜99%であった。その後、水酸
化ナトリウム水溶液でpH7.8に調整したのち、減圧
下で所定の濃度に濃縮した。得られた各共重合体ラテッ
クスについて、平均粒子径、トルエン不溶分、ガラス転
移点およびMwを、実施例1〜3と同様にして求めた。
その結果を、表5に示す。
【0031】(共重合体ラテックスの製造と評価) 比較例4〜5 実施例1〜3と同様のオートクレーブに水200部を仕
込んだのち、1段目成分として、ドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム0.5部、重亜硫酸ナトリウム0.5
部、t−ドデシルメルカプタン0.2部およびα−メチ
ルスチレンダイマー0.5部と、表4に示す単量体、分
子量調節剤および水溶性重合開始剤とを一括して仕込
み、45℃で6時間反応させた。このときの重合転化率
は70%以上であった。次いで、2段目成分として、表
4に示す単量体、分子量調節剤および水溶性重合開始剤
を一括して添加したのち、60℃まで昇温し、一括添加
後さらに10時間にわたって60℃で反応させた。最終
の重合転化率は98%であった。その後、水酸化ナトリ
ウム水溶液でpHを7.8に調整したのち、減圧下で所
定の濃度に濃縮した。得られた各共重合体ラテックスに
ついて、平均粒子径、トルエン不溶分、ガラス転移点お
よびMwを、実施例1〜3と同様にして求めた。その結
果を、表5に示す。
【0032】(紙塗工用組成物の調製と評価) 比較例6〜10 比較例1〜5で得た各共重合体ラテックスを用い、実施
例7〜12と同様にして、オフセット印刷用の紙塗工用
組成物を調製して、高速塗工適性試験、塗料特性試験、
塗工紙性能試験および塗工操業性試験を行った。各紙塗
工用組成物の評価結果を、表6に示す。その結果、b・
d積が8を超えると(比較例2、比較例4および比較例
5)、高速流動性が著しく低下し、高速塗工適性も不十
分となることが明らかである。また、共重合体ラテック
スの平均粒子径が50〜150nmの範囲外であると
(比較例1および比較例3)、高速塗工適性が低下す
る。
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】
【発明の効果】本発明の共重合体ラテックスは、単量体
組成、b・d積(全単量体に対する(b)水溶性エチレ
ン系単量体の使用割合(重量%)と全単量体に対する
(d)水溶性重合開始剤の使用割合(重量%)との
積)、および平均粒子径を特定することにより、優れた
高速塗工適性および高速流動性を有し、しかも機械的安
定性およびべとつき防止性が優れるとともに、接着強
度、印刷光沢、剛度等の塗工紙性能にも優れた紙塗工用
組成物をもたらすことができる。また、本発明の紙塗工
用組成物は、前記優れた諸特性を有し高速塗工に適して
おり、特にオフセット印刷用紙に対して極めて好適に使
用することができるほか、凸版印刷、グラビア印刷等の
他の各種印刷用紙にも有用であり、極めて工業的価値の
高いものである。
フロントページの続き (72)発明者 鶴岡 勝彦 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)脂肪族共役ジエン系単量体20〜
    80重量%、(b)水溶性エチレン系単量体0.5〜8
    重量%、並びに(c)前記(a)成分および(b)成分
    と共重合可能な他のビニル系単量体20〜79.5重量
    %(但し、(a)+(b)+(c)=100重量%)か
    らなる単量体混合物を、(d)水溶性重合開始剤を用
    い、全単量体に対する前記(b)成分の使用割合(重量
    %)と全単量体に対する前記(d)成分の使用割合(重
    量%)との積を0.1〜8の範囲として乳化重合して得
    られる平均粒子径が50〜150nmの共重合体ラテッ
    クス。
  2. 【請求項2】請求項1記載の共重合体ラテックスを含有
    することを特徴とする紙塗工用組成物。
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