JP2008297421A - 非球状型共重合体ラテックスおよびそれからなる紙塗工用共重合体ラテックス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (a)脂肪族共役ジエン系単量体20〜69.5重量部、(b)水溶性エチレン系単量体0.5〜10重量部、並びに(c)前記(a)成分および(b)成分と共重合可能な他のビニル系単量体30〜79.5重量部(但し、(a)+(b)+(c)=100重量部)を乳化重合してなる非球状型共重合体ラテックスであり、下記関係式(1)に示すその円形度(ε)が0.80〜0.94の範囲にあることを特徴とする非球状型共重合体ラテックス。
円形度(ε)=4*π*面積/(周囲長)2 (1)
【選択図】 なし
Description
近年、紙加工分野において高速塗工化、高生産化が進められている中、塗工紙に対しても従来より高い品質が求められている。すなわち、紙用塗被組成物には塗工時の性能として、高せん断下での優れた流動性および良好な機械的安定性、さらにはたとえバッキングロールを汚したとしてもすぐに取り除ける高再分散性(ロール洗浄性)が要求され、塗工紙には高いレベルのドライピック強度、印刷光沢などの高品質化が求められている。
そのため、紙塗工用に使用されているスチレンーブタジエン系共重合体ラテックスの品質設計や製造方法に関してはさまざまな検討がされ、技術改良が紹介されている。
一般的にはラテックス中のエチレン系不飽和カルボン酸などの使用量を多くすることで機械的安定性は向上するが、塗料粘度が著しく悪化し、単に使用量を多くすることは高速塗工化には適さないことが知られている。
また、例えば、特開平2003−268019号公報(特許文献1)によると、特定組成の単量体を二段階以上に分割して乳化重合するにおいて、特定の種類の単量体組成を重合する第一工程(A)と残りの単量体組成を重合する工程(B)からなり、該工程中特定の期間の重合転化率を制御することで、塗工紙のピック強度、湿潤ピック強度および耐ブリスター性との高度なバランスを有し、さらに耐ベタツキ性、ロール汚れ洗浄性、ウエットラブ特性といった塗工紙の製造工程における耐ロール汚れ適性にも優れた性能を付与するとの技術開示がある。
また、特開平10−245450号公報(特許文献2)によると、水溶性エチレン系単量体と水溶性重合開始剤の使用割合を調整することで、高濃度・高速塗工時の流動性と機械的安定性に優れ、かつ塗工紙性能および塗工操業性に優れた共重合体ラテックス、およびこれを用いた紙塗工用組成物を提供するとの技術開示がある。
しかし、これらのさまざまな改良技術は、紙塗工用共重合体ラテックスに要求される高レベルの品質を満足するに至っておらず、更なる改良が強く求められていた。
すなわち、本発明は、(a)脂肪族共役ジエン系単量体20〜69.5重量部、(b)水溶性エチレン系単量体0.5〜10重量部、並びに(c)前記(a)成分および(b)成分と共重合可能な他のビニル系単量体30〜79.5重量部(但し、(a)+(b)+(c)=100重量部)を乳化重合してなる非球状型共重合体ラテックスであり、下記関係式(1)に示すその円形度(ε)が0.80〜0.94の範囲にあることを特徴とする非球状型共重合体ラテックスを提供するものである。
円形度(ε)=4*π*面積/(周囲長)2 (1)
本発明における非球状型共重合体ラテックスを構成する脂肪族共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特に1,3−ブタジエンの使用が好ましい。脂肪族共役ジエン系単量体は使用する単量体合計100重量部に対して20〜69.5重量部の範囲で使用することができる。脂肪族共役ジエン系単量体の使用量が20重量部より少ない場合は、ドライピック強度が低くなり、使用量が69.5重量部を超える場合は、再分散性が悪くなる。
円形度(ε)=4*π*面積/(周囲長)2 (1)
通常、顔料と上述の共重合体ラテックスとから紙塗工用組成物を得ることが出来る。紙塗工用組成物を調整する際は、顔料100重量部に対し該共重合体ラテックスが固形物換算で2〜100重量部、好ましくは5〜30重量部使用され、さらに必要に応じてその他の結合剤0〜30重量部とともに水性分散液として調整される。
(実施例1)
容量20リットルのオートクレーブに、水150部、炭酸水素ナトリウム0.25部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.20部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム0.2部と表1に示した単量体と開始剤と連鎖移動剤等を仕込み、反応温度70℃、反応時間5時間で1段目を重合した。この時重合転化率は90%であった。さらに2段目として表1に示した単量体を反応温度72℃、反応時間4.5時間で連続的に添加し重合を継続した。重合転化率が98%以上になった時点で重合を終了した。その後、得られた共重合体ラテックスを水酸化ナトリウムを用いてpH7.1に調整し、加熱減圧蒸留で未反応単量体を除去した。未反応単量体の回収が完了した後、共重合体ラテックス中に含まれる50μm以下の微細凝集物量を除去しラテックス(a)を得た。
容量20リットルのオートクレーブに、水135部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.15部と表1に示した単量体と開始剤と連鎖移動剤等を仕込み、反応温度68℃、反応時間6.5時間で1段目を重合した。この時重合転化率は94%であった。さらに2段目として表1に示した単量体を反応温度80℃、反応時間3.5時間で連続的に添加し重合を継続した。重合転化率が98.5%以上になった時点で重合を終了した。その後、得られた共重合体ラテックスを水酸化ナトリウムを用いてpH7.1に調整し、加熱減圧蒸留で未反応単量体を除去した。未反応単量体の回収が完了した後、共重合体ラテックス中に含まれる50μm以下の微細凝集物量を除去しラテックス(b)を得た。
容量20リットルのオートクレーブに、水165部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.45部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム0.5部と表1に示した単量体と開始剤と連鎖移動剤等を仕込み、反応温度75℃、反応時間4時間で1段目を重合した。この時重合転化率は93%であった。さらに2段目として表1に示した単量体を反応温度80℃、反応時間3.5時間で連続的に添加し重合を継続した。重合転化率が98.5%以上になった時点で重合を終了した。その後、得られた共重合体ラテックスを水酸化ナトリウムを用いてpH7.1に調整し、加熱減圧蒸留で未反応単量体を除去した。未反応単量体の回収が完了した後、共重合体ラテックス中に含まれる50μm以下の微細凝集物量を除去しラテックス(c)を得た。
容量20リットルのオートクレーブに、水144部、炭酸水素ナトリウム0.15部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.9部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム0.9部と表2に示した単量体と開始剤と連鎖移動剤等を仕込み、反応温度72℃で乳化重合を行った。重合転化率が98.5%以上になった時点で重合を終了した。その後、得られた共重合体ラテックスを水酸化ナトリウムを用いてpH7.1に調整し、加熱減圧蒸留で未反応単量体を除去した。未反応単量体の回収が完了した後、共重合体ラテックス中に含まれる50μm以下の微細凝集物量を除去しラテックス(d)を得た。
容量20リットルのオートクレーブに、水150部、炭酸水素ナトリウム0.15部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.15部、と表2に示した単量体と開始剤と連鎖移動剤等を仕込み、反応温度65℃、反応時間4時間で1段目を重合した。この時重合転化率は82%であった。さらに2段目として表2に示した単量体を反応温度65℃、反応時間5時間で連続的に添加し重合を継続した。重合転化率が98.5%以上になった時点で重合を終了した。その後、得られた共重合体ラテックスを水酸化ナトリウムを用いてpH7.1に調整し、加熱減圧蒸留で未反応単量体を除去した。未反応単量体の回収が完了した後、共重合体ラテックス中に含まれる50μm以下の微細凝集物量を除去しラテックス(e)を得た。
容量20リットルのオートクレーブに、水150部、炭酸水素ナトリウム0.05部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.15部、と表2に示した単量体と開始剤と連鎖移動剤等を仕込み反応温度72℃で乳化重合を行った。重合転化率が98.5%以上になった時点で重合を終了した。その後、得られた共重合体ラテックスを水酸化ナトリウムを用いてpH7.1に調整し、加熱減圧蒸留で未反応単量体を除去した。未反応単量体の回収が完了した後、共重合体ラテックス中に含まれる50μm以下の微細凝集物量を除去しラテックス(f)を得た。
容量20リットルのオートクレーブに、水129部、炭酸水素ナトリウム0.05部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.56部、と表2に示した単量体と開始剤と連鎖移動剤等を仕込み、反応温度67℃、反応時間4時間で1段目重合した。この時重合転化率は84%であった。さらに2段目として表2に示した単量体を反応温度65℃、反応時間5時間で連続的に添加し重合を継続した。反応温度68℃で乳化重合を行った。重合転化率が98.5%以上になった時点で重合を終了した。その後、得られた共重合体ラテックスを水酸化ナトリウムを用いてpH7.1に調整し、加熱減圧蒸留で未反応単量体を除去した。未反応単量体の回収が完了した後、共重合体ラテックス中に含まれる50μm以下の微細凝集物量を除去しラテックス(g)を得た。
共重合体ラテックス(a)〜(c)および共重合体ラテックス(d)〜(g)を用いて下記の示す方法に従って測定した結果を表1および表2に示す。
共重合ラテックスの円形度測定
得られた共重合体ラテックスを走査型電子顕微鏡(日本電子製:JSM−6360LA型)を用いて写真を撮影し、画像解析装置(旭化成製:IP−1000C型)を用いて、下記関係式(1)にて円形度を測定した。
共重合体ラテックスの数平均粒子径を動的光散乱法により測定した。尚、測定に際しては、LPA−3000/3100(大塚電子製)を使用した。
共重合体ラテックスをガラス板上に流延し70℃で4時間乾燥してフィルムを作製し、このフィルムをアルミパンに詰め、示差走査熱量計(DSC6200:セイコーインスツルメンツ社製)を用いてガラス転移温度を測定し、ガラス転移点の数ならびに−5〜45℃の範囲の有無を確認した。
次に、得られた共重合体ラテックスを用いて、下記の処方により紙塗工用組成物を調整した。
顔料: カオリンクレー 60部
重質炭酸カルシウム 40部
添加剤: 水酸化ナトリウム 0.18部
バインダー:共重合体ラテックス 10部
燐酸エステル化澱粉 4部
純水: 全固形分が64%になる量
市販の熱風塗工乾燥機MLC−100S型を用いて、塗工原紙(坪量67g/m2)に、得られた紙塗工用組成物を塗工し、塗工紙を作製した。
塗工条件:熱風塗工乾燥機MLC−100S型にて、上記組成物の塗工量が片面13g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗工した。塗工速度は46m/minに設定した。
乾燥条件:塗工から約0.5秒後に、150℃の乾燥炉内で、温度210℃、風速33m/秒の熱風により3秒間乾燥した。
得られた各塗工紙を、相対湿度65%、温度20℃の条件下で一昼夜調湿した後、線圧60kg/cm、温度50℃、通紙速度7m/分、表裏2回ずつ合計4回の通紙条件でスーパーカレンダー処理し、得られた塗工紙を下記に示す各試験に供して評価し、結果を表1および表2に示した。
RI印刷機で各塗工紙試料を同時に印刷した際のピッキングの程度を肉眼で判定し、5級(最も良い)から1級(最も悪い)まで相対的に評価した。
NBRゴムシート上に各塗料を並べてワイヤーバーで塗布後乾燥した後、水洗して、塗工層の洗浄しやすさを比較した。最も洗浄しやすかったものを○、少し洗浄しにくかったものを△、洗浄できなかったものを×として評価した。
二重円筒型のハーキュレスハイシェアー粘度計(熊谷理機工業社製)を使用した。内筒ボブFを用いて、高せん断速度を与える4000rpmにおける各紙塗工用組成物の見掛け粘度(mPa・s)を測定した。数値の低い方が見掛け粘度は低く、流動性が良い。
Claims (4)
- (a)脂肪族共役ジエン系単量体20〜69.5重量部、(b)水溶性エチレン系単量体0.5〜10重量部、並びに(c)前記(a)成分および(b)成分と共重合可能な他のビニル系単量体30〜79.5重量部(但し、(a)+(b)+(c)=100重量部)を乳化重合してなる非球状型共重合体ラテックスであり、下記関係式(1)に示すその円形度(ε)が0.80〜0.94の範囲にあることを特徴とする非球状型共重合体ラテックス。
円形度(ε)=4*π*面積/(周囲長)2 (1) - 数平均粒子径が50〜150nmであり、かつ、ガラス転移点が2つ以上存在し、1つのガラス転移点は(Tg1)はかならず−5〜45℃の範囲にある請求項1に記載の非球状型共重合体ラテックス。
- 環内に1個の不飽和結合を有する不飽和環状炭化水素を使用して乳化重合してなる請求項1又は2何れかに記載の非球状型共重合体ラテックス。
- 請求項1〜3何れかに記載の非球状型共重合体ラテックスからなる紙塗工用共重合体ラテックス。
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