JP4073531B2 - シードラテックスおよび共重合体ラテックスの製造方法および該共重合体ラテックスを含有する紙用塗被組成物。 - Google Patents

シードラテックスおよび共重合体ラテックスの製造方法および該共重合体ラテックスを含有する紙用塗被組成物。 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、シードラテックス及び、そのシードラテックスを用いたシード乳化重合によって得られる共重合体ラテックスの製造方法と該共重合体ラテックスを含有する紙用塗被組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする問題点】
ブタジエンを主要成分とする、いわゆるブタジエン系共重合体ラテックスが紙加工分野または、カーペットのバックサイジング等におけるバインダーとして広く用いられることはよく知られているところである。 近年、紙加工分野においては、省力化・合理化の点から紙塗工時及び印刷時の高速化が推しすすめられており、高速塗工に耐え得る紙用塗被組成物、高速印刷に耐え得、かつ品質的に優れた塗工紙が求められている。
すなわち、紙用塗被組成物には塗工時の性能として、良好な機械的安定性及び高剪断下での優れた流動性が要求され、さらに、塗工紙には高度な接着力や、耐水性等が求められている。
【0003】
紙用塗被組成物の機械的安定性を損なう原因の一つとして、共重合体ラテックスの製造時に発生する微細凝固物が挙げられる。この微細凝固物の割合が多いと塗工時にストリークやロール汚れを起こし、塗工紙においては、接着強度の低下を引き起こす。また、重合系内において発生した微細凝固物は反応器の内壁に付着し易く、重合温度のコントロールを妨げ、生産性の低下を招く。
【0004】
一般に,共重合体ラテックスの製造時における微細凝固物の発生を抑制するには、重合時あるいは重合後の乳化剤量を増やすといった方法等が用いられるが,共重合体ラテックスが泡立ち易くなるため操業上の問題を生じたり,塗工紙の耐水性低下を招くことが多く、十分な解決には至っていない。また、共重合体ラテックスの製造後にこれを濾過して微細凝固物を除去する方法があるが、生産性や操業面で好ましくない。
【0005】
【問題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の問題点を解決するために鋭意検討した結果、共重合体ラテックスの製造において、分散安定性の良好なシードラテックスを用いる事によって従来のシード重合法の重合安定性を大幅に向上させる事に成功した。更にこのような共重合体ラテックスを含有する紙用塗被組成物が、高剪断下での流動性にも優れているという事実を見い出し本発明に到達した。
【0006】
すなわち、本発明は、エチレン系不飽和カルボン酸単量体4〜20重量%および芳香族ビニル系単量体10〜96重量%からなる単量体を乳化重合して得られる数平均粒子径(LPA−3000/3100(大塚電子製)により、動的光散乱法で求めた)が20〜60nmであり、かつ、式1で規定されるカルボン酸の表面酸密度が1.15×10-21〜3.5×10-20(meq/nm2)の範囲であり、かつ、pHが5以上であるシードラテックス存在下に、乳化剤を使用して脂肪族共役ジエン系単量体10〜80重量%、芳香族ビニル系単量体10〜90重量%、エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜10重量%及びメチルメタクリレート0〜79.5重量%からなる単量体を乳化重合することを特徴とする共重合体ラテックスの製造方法を提供するものである。
【数2】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
先ず、シードラテックスについて説明する。本発明においてシードラテックスの重合に用いられるエチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などのモノまたはジカルボン酸(無水物)を挙げることができる。特にアクリル酸を用いることが好ましい。
【0008】
エチレン系不飽和カルボン酸単量体は、得られるラテックスの分散安定性を向上させる効果がある。式1で与えられるカルボン酸の表面酸密度が1.15×10-21(meq/nm2)よりも小さいときは、エチレン系不飽和カルボン酸単量体の量が少なすぎて、分散安定性が低下し、シードラテックスの貯蔵安定性が低下する。また、他方、カルボン酸の表面酸密度が3.5×10-20(meq/nm2)を超えるときは、エチレン系不飽和カルボン酸単量体の量が多く、シードラテックスの分散安定性は向上するが、次工程のシード重合における重合安定性が劣り、シードラテックスとして用いるのに適当でなくなる。従って、本発明においてはカルボン酸の表面酸密度を適正な範囲内に保つ事が重要である。
【0009】
ここで、式1中に示される粒子表面酸量および粒子表面積を次のように定義する。粒子表面酸量とは、シードラテックスの1重量%水溶液に0.1Nの塩酸を過剰量加え、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液で逆滴定する際に得られる電気伝導度曲線からカルボキシル基の量(meq/g)を定量した値である。また、粒子表面積とは、動的光散乱法で求めたシードラテックスの数基準の粒度分布に基づき、全表面積(nm2)÷(全体積(nm3)×密度(g/nm3))により求めた値である。ここで、密度=1g/cm3=10-12g/nm3とした。
【0010】
シードラテックスのカルボン酸の表面酸密度は、3×10-21 〜8×10-21 meq/nm2 であることが好ましい。この表面酸密度が3×10-21 meq/nm2 未満あるいは8×10-21 meq/nm2 を超えると、次工程である共重合体ラテックスを製造する際に微細凝固物の発生量が増加する傾向が見られる。
【0011】
エチレン系不飽和カルボン酸単量体の使用量は、シードラテックスの重合に用いられる単量体の合計100重量%のうち4〜20重量%、好ましくは4〜12重量%の範囲である。このエチレン系不飽和カルボン酸単量体の使用量が4重量%より少ない場合は、シードラテックスの貯蔵安定性が低下し、使用量が12重量%を超える場合は次工程におけるシード重合時に、微細凝固物が発生し易くなる。
【0012】
次に、本発明において、シードラテックスの重合に用いられる芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルα−メチルスチレン、ビニルトルエンおよびジビニルベンゼン等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。
特にスチレンが好ましく、使用量は、シードラテックスの重合に用いられる単量体の合計100重量%のうち10〜96重量%である。この時、芳香族ビニル系単量体の使用量が10重量%より少ない時は、シードラテックスの製造時における重合安定性が低下し、96重量%を超える場合は、シードラテックスの貯蔵安定性が低下する。
【0013】
上記エチレン系不飽和カルボン酸単量体および芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他の単量体としては、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体、シアン化ビニル単量体、不飽和カルボン酸アミド単量体等が挙げられる。本発明において、これら共重合可能な他の単量体の使用量は、上記エチレン系不飽和カルボン酸単量体、芳香族ビニル系単量体の使用量と併せて100重量%となるように決められる。
【0014】
本発明のシードラテックスは、数平均粒子径が20〜60nmである。20nm未満の微粒子では、シードラテックスの貯蔵安定性が低下する。他方、数平均粒子径が60nmを超えると、次工程である共重合体ラテックスの製造時に、粒子の凝集が起こり易く、重合安定性の低下を招く。
【0015】
本発明において、シードラテックスを得るための乳化重合には、乳化剤として高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルエーテル型スルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、非イオン性界面活性剤の硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤あるいはポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型、アルキルエーテル型等のノニオン性界面活性剤が1種又は2種以上で用いることができる。特に、ドデシルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。このような界面活性剤は、数平均粒子径が20〜60nmの単分散粒子を得るためと、シードラテックスの重合時に微細凝固物の発生を抑えるため、シードラテックスの重合に用いられる単量体の合計100重量部に対して、5〜30重量部の範囲で用いることが好ましい。
【0016】
開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の水溶性開始剤、あるいはレドックス系開始剤あるいは、過酸化ベンゾイル等の油溶性開始剤が使用できる。このような重合開始剤は、シードラテックスの重合に用いられる単量体の合計100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いることが好ましい。
【0017】
本発明における乳化重合では、メルカプタン類に代表される連鎖移動剤を1種または2種以上用いることができる。これら連鎖移動剤の使用量については特に制限はなく、目的に応じて適宜調整することが可能だが、単量体混合物100重量部に対して0.05〜10重量部の範囲で使用するのが好ましい。
【0018】
本発明のシードラテックスの重合においては、重合温度は特に限定されないが、共重合体ラテックスを製造するための好適なシードラテックスを得るためには、60〜90℃の範囲で重合するのが好ましい。上記単量体や重合助剤は、一括・分割・連続の何れの方法で反応容器に加えてもよい。
【0019】
こうして得られたシードラテックスは、重合が終了した後にアルカリによってpH5以上に調整されることが必要であり、pH5〜12の範囲に調整されることが好ましい。これは,カルボキシ変性されたシードラテックスの貯蔵安定性と分散安定性を高め、次工程における重合安定性を高める効果がある。pHが5より低いときは貯蔵安定性が劣り、保存中にシードラテックスが凝集し、次工程に使用することが不可能となる。また、pHが12より高くなると、次工程における微細凝固物の生成量が増加する傾向にあり好ましくない。
【0020】
次に、得られたシードラテックスを用いた共重合体ラテックスについて述べる。本発明の第2発明は、上記のシードラテックス存在下に、脂肪族共役ジエン系単量体10〜80重量%、芳香族ビニル系単量体10〜90重量%、エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜10重量%及びこれらと共重合可能な他の単量体0〜79.5重量%からなる単量体を乳化重合する共重合体ラテックスの製造方法である。そして、共重合体ラテックスの製造に用いられる単量体100重量%に対し上記シードラテックスを0.1〜10重量%(固形分換算)使用することが、共重合体ラテックス製造時の重合安定性を大幅に向上させ、さらに、塗料にした時の高剪断下での流動性に優れる共重合体ラテックスを得る上で好ましい。
【0021】
共重合体ラテックスを得る為の脂肪族共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特に1,3−ブタジエンが好ましい。またこの時、脂肪族共役ジエン系単量体の使用量が10重量%より少ない時は、得られる共重合体ラテックスを含有する紙用塗被組成物を用いた塗工紙のドライピック強度が低く、使用量が80重量%を超える時は、得られる共重合体ラテックスを含有する紙用塗被組成物を用いた塗工紙のウエットピック強度が悪くなる。
【0022】
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルα−メチルスチレン、ビニルトルエンおよびジビニルベンゼン等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にスチレンが好ましい。この時、芳香族ビニル系単量体の使用量が10重量%より少なければ、得られる共重合体ラテックスを含有する紙用塗被組成物を用いた塗工紙の接着力と耐水性が低くなり、90重量%を超える場合は、得られる共重合体ラテックスを含有する紙用塗被組成物を用いた塗工紙の接着力と耐水性が低下する。
【0023】
エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などのモノまたはジカルボン酸(無水物)を挙げることができる。エチレン系不飽和カルボン酸単量体の使用量が0.5重量%より少ない時は、得られる共重合体ラテックスの機械的安定性および貯蔵安定性が劣り、10重量%を超える時は得られる共重合体ラテックスの粘度が高くなりすぎる。
【0024】
上記脂肪族共役ジエン系単量体、芳香族ビニル系単量体およびエチレン系不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体としては、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体、シアン化ビニル単量体、不飽和カルボン酸アミド単量体等が挙げられる。
【0025】
不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、2−エチルヘキシルアクリレート、等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にメチルメタクリレートが好ましい。
【0026】
ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジ−(エチレングリコール)マレエート、ジ−(エチレングリコール)イタコネート、2−ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレエート、2−ヒドロキシエチルメチルフマレートなどが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特に2−ヒドロキシエチルアクリレートが好ましい。
【0027】
シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にアクリロニトリルが好ましい。
【0028】
不飽和カルボン酸アミド単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にアクリルアミドが好ましい。
【0029】
さらに、上記の単量体のほかに、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル類、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等の塩基性単量体、塩化ビニル、塩化ビニリデン等を使用することができる。
【0030】
本発明における共重合体ラテックスの乳化重合において、公知の乳化剤、連鎖移動剤、重合開始剤等を使用することができる。
【0031】
該シードラテックスを用いた共重合体ラテックスの重合において、成長するラテックス粒子を安定化する為の乳化剤として、高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルエーテル型スルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、脂肪族カルボン酸塩、非イオン性界面活性剤の硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤あるいはポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型、アルキルエーテル型等のノニオン性界面活性剤が1種又は2種以上で用いることができる。
【0032】
連鎖移動剤としては、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン、ジメチルキサントゲンサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイドなどのキサントゲン化合物や、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物、アリルアルコール等のアリル化合物、ジクロルメタン、ジブロモメタン、四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物、α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。
【0033】
これら連鎖移動剤の使用量については何ら制限はなく、共重合体ラテックスに求められる性能に応じて適宜調整することができるが、好ましくは単量体混合物100重量部に対して0.05〜5重量部の範囲である。
【0034】
開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の水溶性開始剤、あるいはレドックス系開始剤あるいは、過酸化ベンゾイル等の油溶性開始剤が使用できる。
【0035】
また、上記乳化重合においては、さらにシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、4−メチルシクロヘキセン、1−メチルシクロヘキセン等の環内に不飽和結合を1つ有する環状の不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン等を添加してもよい。このような、化合物の使用量は単量体100重量部に対して0.1〜30重量部であることが好ましい。
【0036】
本発明における各種成分の添加方法については特に制限するものではなく、一括添加方法、分割添加方法、連続添加方法の何れでも採用することができる。また、その乳化重合方法においても特に制限はなく、一段重合、二段重合又は多段階重合等何れでも採用することができる。更に、乳化重合において、常用の電解質、重合促進剤、キレート剤等を使用することができる。
【0037】
顔料と上述の製造方法で得られた共重合体ラテックスとから紙用塗被組成物を得ることが出来る。得られた紙塗被用組成物は、高剪断下での流動性に優れているという特徴がある。本発明の紙用塗被組成物とは、顔料100重量部に対し該共重合体ラテックスが固形分換算で2〜100重量部、好ましくは5〜30重量部使用される。さらに必要に応じてその他の結合剤0〜30重量部とともに水性分散液として調整される。
【0038】
ここで、顔料としては、カオリンクレー、タルク、硫酸バリウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、サチンホワイトなどの無機顔料、あるいはポリスチレンラテックスのような有機顔料が挙げられ、これらは単独または混合して使用される。
【0039】
また、必要に応じて澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉等の変性澱粉、大豆蛋白、カゼインなどの天然バインダー、あるいはポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルラテックス、アクリル系ラテックスなどの合成ラテックス等を使用してもよい。
【0040】
本発明の紙用塗被組成物を調整するには、さらにその他の助剤、例えば分散剤(ピロリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなど)、消泡剤(ポリグリコール、脂肪酸エステル、リン酸エステル、シリコーンオイルなど)、レベリング剤(ロート油、ジシアンジアミド、尿素など)、防腐剤、耐水化剤、離型剤(ステアリン酸カルシウム、パラフィンエマルジョンなど)、蛍光染料、カラー保水性向上剤(カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなど)が必要に応じて添加される。
【0041】
さらに、紙用塗被組成物を塗工用紙へ塗工する方法は、公知の技術、例えばエアナイフコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーターなどの塗工機によって行なわれる。また、塗工後は表面を乾燥し、カレンダーリングなどにより仕上げる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。なお実施例中、割合を示す部および%は重量基準によるものである。
【0043】
(実施例1)
(1)シードラテックスの製造
容量5リットルの反応容器にアクリル酸8部、スチレン92部、t−ドデシルメルカプタン0.5部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム12部、炭酸水素ナトリウム0.6部、および過硫酸カリウム1部を仕込み、窒素雰囲気下において、反応温度85℃で乳化重合させた。その結果、乳化重合の転化率が99%以上で、数平均粒子径24nm、カルボン酸の表面酸密度が4.22×10-21 meq/nm2 のシードラテックスを得た。さらにこのシードラテックスを水酸化ナトリウムを用いてpHを7に調整した。これをシードラテックス(A)とする。
【0044】
(実施例2〜4、比較例1〜3)
表1に示した単量体を乳化重合させた以外は、シードラテックス(A)と同様にして、本発明によるシードラテックス(B)、(C)を製造し、表1に記載したpHに調整した。また、シードラテックス(A)のpH違いのシードラテックス(D)を製造し、表1に示した。また、表1に示した単量体を乳化重合させた以外は、シードラテックス(A)と同様にして、比較例用シードラテックス(E)、(F)を製造し、表1に示した。さらに、シードラテックス(B)のpH違いのシードラテックス(G)を製造し、表1に示した。
【0045】
【表1】
【0046】
(実施例5)
(共重合体ラテックスの製造)
容量20リットルのオートクレーブに、シードラテックス(A)0.4部、水90部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部、炭酸水素ナトリウム0.25部、過硫酸ナトリウム1.0部及び、表2に示した単量体と連鎖移動剤等を仕込み反応温度81℃で乳化重合を行った。転化率が99%以上で重合を終了した。その後、得られた共重合体ラテックスを水酸化ナトリウムを用いてpH6.5に調整し,加熱減圧蒸留で未反応単量体を除去した。未反応単量体の回収が完了した後、共重合体ラテックス中に含まれる50μm以下の微細凝固物量を観察し、重合安定性の評価とした。
(紙用塗被組成物の作成)
(塗工紙の作製と評価)
市販の熱風塗工乾燥機MLC−100S型を用いて、塗工原紙(坪量55g/m2)に、得られた紙塗工用組成物を塗工し、塗工紙を作製した。
塗工条件:熱風塗工乾燥機MLC−100S型にて、上記組成物の塗工量が片面13g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗工した。塗工速度は46m/min.に設定した。
乾燥条件:塗工から約0.5秒後に、150℃の乾燥炉内で、温度210℃、風速33m/秒の熱風により3秒間乾燥した。
得られた各塗工紙を、相対湿度65%、温度20℃の条件下で一昼夜調湿した後、線圧60kg/cm、温度50℃、通紙速度7m/分、表裏2回ずつ合計4回の通紙条件でスーパーカレンダー処理し、得られた塗工紙を各試験に供して評価し、結果を表2に示した。
【0047】
(実施例6〜9)
表1に記載したシードラテックスを用いて、表2に示す単量体にてシード重合を行なった他は、実施例5と同様に乳化重合により共重合体ラテックスを製造し、さらに紙用塗被組成物を調整した後、塗工紙を得た。その物性を表2に示す。
【0048】
(比較例4〜7)
シードラテックス(E)、(F)を用いて、あるいはシードラテックスを用いずに表3に示す仕込み組成および反応温度にてシード重合を行なった以外は、実施例5と同様にして共重合体ラテックスを製造し、紙用塗被組成物とそれを用いた塗工紙を得た。その物性を表3に示す。尚、シードラテックス(G)は重合後pHを5以上に調整しなかった為、凝固してしまいシード重合には使用できなかった。
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
表1〜表3における物性は以下の方法によって測定し、評価した。
(数平均粒子径)
LPA−3000/3100(大塚電子製)により、動的光散乱法でシードラテックスの数基準の粒度分布およびシードラテックス、共重合体ラテックスの数平均粒子径を求めた。
【0052】
(カルボン酸の表面酸密度)
シードラテックスの粒子表面酸量は、シードラテックスの1重量%水溶液を、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液で逆滴定する際に得られる電気伝導度曲線から、カルボキシル基の量(meq/g)を求め、これを粒子表面酸量とした。次いで、先に述べた方法で得られた数基準の粒度分布からシードラテックスの粒子表面積(nm2 /g)を計算で求め、これらを前述の数式1に代入し、カルボン酸の表面酸密度とした。
【0053】
(貯蔵安定性)
試験管にシードラテックスを入れ、室温で静置しておき、一ヶ月後に試験管の底に凝固物が発生しているかどうかを目視で確認した。凝固物の発生がないものを○、凝固物の発生があるものを×、完全に凝固したものを××として評価した。
【0054】
(重合安定性)
顕微鏡により、共重合体ラテックス中の50μ以下の大きさの凝固物量を観察し、下記の3段階で評価を行う。微細凝固物が少ないほうが重合安定性が良好である。
○:非常に少ない
△:少ない
×:多い
【0055】
(紙用塗被組成物の流動性)
紙用塗被組成物のハイシェアー粘度をハーキュレス粘度計により、Bob F、40万、8800rpmの条件で測定した時の6000rpmの値を使用した。数値が低いほど、流動性は良好である。
【0056】
(塗工紙のドライピック強度)
各塗工紙試料をRI印刷機で数回重ね刷りし、印刷面のピッキングの程度を肉眼で判定し、相対的に5段階評価を行なった。数字の大きいものほど良好である。
【0057】
(塗工紙のウェットピック強度)
RI印刷機を用い、各塗工紙試料にモルトンロールによって湿し水を付与し、その直後に印刷をした際の印刷面のピッキングの程度を肉眼で判定し、相対的に5段階評価を行なった。数字の大きいものほど良好である。
【0058】
以上の結果から、シードラテックスにおいて式1で定義される表面カルボン酸の酸密度が1.15×10-21〜3.5×10-20(meq/nm2)の範囲外であるシードラテックスを用いた場合、シード重合によって得られる共重合体ラテックスの重合安定性は低下する。また、pHが5より低い場合は、シードラテックスの貯蔵安定性が劣り、pHを12以上にすると、次工程におけるシード重合の際に重合安定性の低下傾向が見られる。他方、シード重合以外の重合方法によって得られた共重合体ラテックスを用いた紙塗被用組成物においては、高剪断下での流動性が劣る。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、所定の方法で得られたシードラテックスの存在下にシード重合を行なうことによって、高剪断下での流動性に優れる紙塗被用組成物を調整しうる共重合体ラテックスを製造することができる。さらに、本発明によるシードラテックスを用いることで、上記共重合体ラテックスの製造時における重合安定性が向上する。

Claims (2)

  1. エチレン系不飽和カルボン酸単量体4〜20重量%および芳香族ビニル系単量体10〜96重量%からなる単量体を乳化重合して得られる数平均粒子径(LPA−3000/3100(大塚電子製)により、動的光散乱法で求めた)が20〜60nmであり、かつ、式1で規定されるカルボン酸の表面酸密度が1.15×10-21〜3.5×10-20(meq/nm2)の範囲であり、かつ、pHが5以上であるシードラテックス存在下に、乳化剤を使用して脂肪族共役ジエン系単量体10〜80重量%、芳香族ビニル系単量体10〜90重量%、エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜10重量%及びメチルメタクリレート0〜79.5重量%からなる単量体を乳化重合することを特徴とする共重合体ラテックスの製造方法。
  2. シードラテックス0.1〜10重量部の存在下に単量体100重量部を乳化重合することを特徴とする請求項1に記載の共重合体ラテックスの製造方法。
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