JP2001031727A - 共重合体ラテックス - Google Patents

共重合体ラテックス

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JP2001031727A
JP2001031727A JP11206679A JP20667999A JP2001031727A JP 2001031727 A JP2001031727 A JP 2001031727A JP 11206679 A JP11206679 A JP 11206679A JP 20667999 A JP20667999 A JP 20667999A JP 2001031727 A JP2001031727 A JP 2001031727A
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裕之 吉野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 接着強度、白紙光沢、印刷光沢、インク乾燥
性、印刷速度の変化への許容性に優れた塗工紙を得るこ
とができ、しかもべとつき防止性が改善されて塗工操業
性に優れた、紙塗工用組成物用に好適な共重合体ラテッ
クスを提供する。 【解決手段】 (a)脂肪族共役ジエン系単量体10〜
60重量%、(b)アミド基含有エチレン系不飽和単量
体0.1〜10重量%、(c)不飽和ジカルボン酸単量
体0.1〜10重量%、(d)不飽和モノカルボン酸単
量体0〜0.5重量%、および、(e)単量体(a)〜
単量体(d)と共重合可能な他の単量体19.5〜8
9.8重量%からなる単量体を乳化重合して得られる共
重合体ラテックス。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、共重合体ラテック
スに関し、更に詳しくは、塗工操業性に優れ、かつ、白
紙光沢、印刷光沢、表面平滑性、表面強度などの印刷適
性に優れ、更に広い印刷速度範囲にわたって上記の優れ
た印刷適性を有する塗工紙を得ることができる紙塗工用
組成物のバインダーとして有用な共重合体ラテックスに
関する。
【0002】
【背景技術】従来より、顔料と水性バインダーとを主体
とした紙塗工用組成物を紙に塗工し、印刷適性に優れた
塗工紙が製造されている。共重合体ラテックスは、その
優れた接着強度から、紙塗工用組成物の主バインダーと
して使用されている。
【0003】近年、印刷の高級化、高速化にともない、
塗工紙に要求される性能も厳しくなってきており、白紙
光沢、表面強度、耐水性、インキ転移性および印刷光沢
などの改良が要求されるようになった。これと同時に、
近年はコスト低減の目的からバインダー量を低減する要
求が高まっており、このためより少量の添加量でも十分
な表面強度を示すバインダーが求められている。
【0004】また、印刷速度の高速化技術の進展に伴
い、要求される印刷速度の範囲が広がってきている。従
来の共重合体ラテックスでは適用可能な印刷速度範囲が
狭いので、印刷速度に対応してその速度に適した共重合
体ラテックスを個別的に選択する必要があり、製造コス
トの面と操業性の面で大きな負担となっている。このこ
とから広い印刷速度範囲にわたって適用できる共重合体
ラッテクスの登場が望まれている。
【0005】更に、塗工紙の製造そのものも高速化して
おり、塗工操業性の改良、特に主な障害であるバッキン
グロール汚れ性の改良、すなわち共重合体ラテックスの
粘着性の低減(べとつき防止性)も要求されている。共
重合体ラテックスに対しては、前記の性質、特に表面強
度の改良が求められ、そのために、例えば共重合体のゲ
ル含量を調製する方法や共重合体組成を調整するなどの
改良方法が提案されている。しかし、表面強度と他の特
性とは互いに背反することが多く、全ての特性をバラン
スよく高いレベルにすることは非常に困難である。
【0006】例えば、接着強度を改良する目的で共役ジ
エン系単量体の量を増やして共重合体のガラス転移温度
を低くする方法が試みられていたが、この方法では耐水
性およびべとつき防止性の特性低下が著しい。逆に、ガ
ラス転移温度を高くすると、耐水性の点は良好である
が、接着強度及び印刷光沢の低下が著しい。また、官能
基を有する単量体を多量に用いる方法では、接着強度は
改良されるが、ラテックスの粘度が異常に高くなるので
作業性が著しく低下し、かつ共重合体ラテックスの製造
コストが高くなる。このように、これらの何れの方法
も、いずれかの特性の改良が達成されたとしても、全て
の特性に対する要求を満たすことはできず、ますます厳
しくなる印刷における諸要求を満たすことはできないの
が現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述の技術
的背景のもとになされたものであり、その目的は、塗工
紙の表面強度が大幅に改良され、かつ白紙光沢、印刷光
沢、耐水性に優れ、しかもべとつき防止性が改善されて
塗工操業性に優れ、さらに、広い印刷速度範囲にわたっ
て上記の優れた印刷適性を有する塗工紙を得ることがで
きる、紙塗工用組成物のバインダーとして有用な共重合
体ラテックスを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の共重合体ラテッ
クスは、(a)脂肪族共役ジエン系単量体10〜60重
量%、(b)アミド基含有エチレン系不飽和単量体0.
1〜10重量%、(c)不飽和ジカルボン酸単量体0.
1〜10重量%、(d)不飽和モノカルボン酸単量体0
〜0.5重量%、および(e)単量体(a)〜単量体
(d)と共重合可能な他の単量体19.5〜89.8重
量%からなる単量体を乳化重合して得られる。
【0009】本発明の共重合体ラテックスを、例えば、
紙塗工用組成物のバインダーに用いた場合には、広範な
印刷速度範囲において前述した印刷適性を高レベルに維
持することができ、その結果、広い印刷速度範囲に適用
が可能な塗工紙を得ることができる。そして、この塗工
紙は、高速印刷における変形速度の極めて大きい衝撃的
な変形に対して高い耐性を有する。
【0010】さらに、本発明の共重合体ラテックスの共
重合体は、中でも、ガラス転移温度は、−100〜60
℃の範囲に少なくとも1点存在し、かつ、共重合体は、
示差走査熱量計によって得られる示差熱量曲線におい
て、転移領域の最低温度T1と最高温度T2との差ΔT
が30℃以上であるものが好ましい。本発明の共重合体
ラテックスの共重合体は、示差熱量曲線の転移領域内に
ガラス転移温度が1点のみ存在するもの、あるいは複数
存在するもののいずれであってもよい。好ましくは、1
点のみ存在するものであり、本発明の目的の効果が一段
と優れる。なお、転移領域が複数存在している場合は、
前記T1は、最も低温側の転移領域における最低温度
を、前記T2は、最も高温側の転移領域における最高温
度を示す。
【0011】本発明の共重合体ラテックスは、紙塗工用
組成物のバインダーとして用いた場合には、広い印刷速
度範囲にわたって上記の優れた印刷適性を発現させ、紙
塗工用、特に、オフセット印刷用さらに好ましくはシー
トオフセット印刷用およびウエッブオフセット印刷に好
適に使用され得る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳細
に説明する。本発明の共重合体ラテックスの製造に使用
される(a)脂肪族共役ジエン系単量体としては、1,
3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブ
タジエン、クロロプレンなどが挙げられるが、好ましく
は1,3−ブタジエンである。これらの(a)脂肪族共
役ジエン系単量体は、1種単独で、あるいは2種以上を
併用することができる。
【0013】かかる(a)脂肪族共役ジエン系単量体
は、得られる重合体に適度な柔軟性と伸びを与え、耐衝
撃性を付与するために必須の成分であり、その使用割合
は全単量体に対して10〜60重量%、好ましくは30
〜55重量%である。この(a)成分が10重量%未満
であると、共重合体が硬くなり過ぎ、接着強度が改良さ
れない。一方、(a)成分が60重量%を超えると、べ
とつき防止性が悪化する。単量体は、1種単独で、ある
いは2種以上を併用することができる。単量体は、1種
単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
【0014】前記(b)アミド基含有エチレン系不飽和
単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、
N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリ
ルアミド、N,N-ジメチルアミンプロピル(メタ)ア
クリルアミド、などが挙げられるが、特にメタクリルア
ミドが好ましい。これらの単量体は、1種単独で、ある
いは2種以上を併用することができる。
【0015】かかる(b)アミド基含有エチレン系不飽
和単量体の使用量は、全単量体に対して0.1〜10重
量%、好ましくは0.3〜8重量%であり、更に好まし
くは0.5〜5重量%である。(b)成分が0.1重量
%未満では、印刷光沢および白紙光沢が劣り、一方
(b)成分が10重量%を超えると、ラテックス粘度が
大きく上昇し、作業性が悪化する。
【0016】前記(c)不飽和ジカルボン酸単量体とし
ては、例えばイタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが
挙げられる。これらの(c)不飽和ジカルボン酸単量体
は、1種単独で、あるいは2種以上を併用することもで
きる。かかる(c)エチレン系不飽和ジカルボン酸単量
体の使用量は、全単量体に対して0.1〜10重量%、
好ましくは0.3〜8重量%であり、更に好ましくは
0.5〜5重量%である。(c)成分が0.1重量%未
満では、印刷光沢および白紙光沢が劣り、一方(c)成
分が10重量%を超えると、ラテックス粘度が大きく上
昇し、作業性が悪化する。
【0017】前記(d)不飽和モノカルボン酸単量体と
しては、例えばアクリル酸、メタクリル酸などが挙げら
れる。これらの(d)不飽和モノカルボン酸単量体は、
1種単独で、あるいは2種以上を併用することもでき
る。かかる(d)不飽和モノカルボン酸単量体の使用量
は、全単量体に対して0〜0.5重量%、好ましくは0
〜0.45重量%である。(d)成分が0.5重量%を
超えると、白紙光沢、印刷光沢が著しく悪くなる。
【0018】また、前記(e)単量体(a)〜単量体
(d)と共重合可能な他のビニル系単量体としては芳香
族ビニル化合物、アルキル(メタ)アクリレート、シア
ン化ビニル化合物、酢酸ビニルなどが挙げられる。これ
らのうち、芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレ
ン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニル
トルエン、クロルスチレンなどが挙げられ、特にスチレ
ンが好ましい。
【0019】アルキル(メタ)アクリレートとしては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレ
ート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)
アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、オクチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)
アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステア
リル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アク
リレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレートなど
が挙げられ、特にメチルメタアクリレートが好ましい。
シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリルなどが挙げられ、特にアクリロニトリ
ルが好ましい。これら(e)成分は単独で用いてもよい
し、2種以上を併用してもかまわない。
【0020】(e)成分は、共重合体に、主として目的
に応じた適度なガラス転移温度を与えるために使用する
ものであり、その使用割合は19.5〜89.8重量
%、好ましくは25〜70重量%である。(e)成分
は、好ましくは、スチレン、アクリロニトリル、その他
の単量体を、10〜40/8〜30/1〜20(重量
%)、さらに好ましくは、15〜35/15〜28/1〜
15(重量%)(ただし、合計は19.5〜89.8重
量%)である。ここでその他の単量体は、メチルメタク
リレートであることが特に好ましい。これらの単量体を
用いた共重合体ラテックスは、本発明が目的とする紙塗
工要組成物のバインダーに用いたとき、白紙光沢、印刷
光沢、表面強度において優れ、その他の特性もバランス
して優れたものとなる。
【0021】本発明の共重合体ラテックスは、前述した
単量体成分(a)〜(e)を乳化重合して得られる。こ
の共重合体ラテックスの共重合体のガラス転移温度(T
g)は、好ましくは−100〜60℃、さらに好ましく
は−80〜50℃、特に好ましくは−70〜50℃の範
囲に少なくとも1点存在し、かつ、共重合体は、示差熱
量曲線の転移領域におけるT1とT2との差ΔTは、3
0℃以上、好ましくは35℃以上、さらに好ましくは4
0℃以上、特に好ましくは45℃〜120℃である。
【0022】前記ガラス転移温度(Tg)が、−100
℃〜60℃の範囲にあると接着強度と、べとつき防止性
が一段と優れる。前記差ΔTが30℃未満であると、広
範な印刷速度範囲において印刷適性を高レベルに維持す
ることができないため、十分な印刷速度範囲を確保でき
ない。それと同時に、塗工紙の表面強度および耐衝撃性
が低下し、高速印刷における変形速度の極めて大きい衝
撃的な変形に対して耐えられない。
【0023】本発明で使用される単量体を乳化重合する
に際しては、水性媒体中で乳化剤、重合開始剤などを用
いて製造することができる。ここで、乳化剤としては、
アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界
面活性剤などが単独で、あるいは2種以上を併用して使
用できる。
【0024】ここで、アニオン性界面活性剤としては、
例えば高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼ
ンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ポリエチレング
リコールアルキルエーテルの硫酸エステルなどが挙げら
れる。ノニオン性界面活性剤としては、通常のポリエチ
レングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテ
ル型、アルキルフェニルエーテル型などが用いられる。
【0025】両性界面活性剤としては、アニオン部分と
してカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、燐
酸エステル塩を、カチオン部分としてはアミン塩、第4
級アンモニウム塩を持つものが挙げられ、具体的にはラ
ウリルベタイン、ステアリルベタインなどのベタイン
類、ラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニ
ン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ
(アミノエチル)グリシン、などのアミノ酸タイプのも
のなどが用いられる。
【0026】重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性重合
開始剤、過酸化ベンゾイル、ラウリルパーオキサイド、
2,2’−アゾビスイソブチルニトリルなどの油溶性重
合開始剤、還元剤との組み合わせによるレドックス系重
合開始剤などが、それぞれ単独であるいは組み合わせで
使用できる。連鎖移動剤、キレート化剤、無機電解質な
ども公知のものが使用できる。
【0027】連鎖移動剤としては、具体的には、例え
ば、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタ
ン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメル
カプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラ
デシルメルカプタンなどのメルカプタン類;ジメチルキ
サントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスル
フィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドなど
のキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラム
ジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テ
トラブチルチウラムジスルフィドなどのチウラムジスル
フィド類;四塩化炭素、臭化エチレンなどのハロゲン化
炭化水素類;ペンタフェニルエタン、1,1−ジフェニ
ルエチレン、α−メチルスチレンダイマーなどの炭化水
素類;およびアクロレイン、メタクロレイン、アリルア
ルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ター
ピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペン
テンなどを挙げることができる。これらは単独でも、あ
るいは2種以上組み合わせて使用することもできる。こ
れらのうち、メルカプタン類、キサントゲンジスルフィ
ド類、チウラムジスルフィド類、四塩化炭素、1,1−
ジフェニルエチレン、α−メチルスチレンダイマーなど
が好適に使用される。
【0028】連鎖移動剤の使用量は、単量体100重量
部当り、0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜15
重量部、さらに好ましくは0.2〜10重量部、特に好
ましくは0.3〜8重量部である。この連鎖移動剤の使
用量が0.1重量部未満では耐ブリスター性が劣り、一
方20重量部を超えると接着強度が低下して好ましくな
い。
【0029】重合方法としては、単量体の一部を重合し
た後、その残りを連続的にあるいは断続的に添加する方
法、あるいは単量体を重合のはじめから連続的に添加す
る方法(重合タイプ)が挙げられる。また、他の方法と
して、共重合体のガラス転移温度が異なる複数の共重合
体ラテックスを予め製造し、それらを混合して、本発明
の共重合体ラテックスを得る方法(混合タイプ)が挙げ
られる。好ましくは、前者の重合タイプである。
【0030】重合温度は、通常、好ましくは20〜85
℃、より好ましくは25〜80℃である。重合時間は、
通常10〜30時間である。本発明の共重合体ラテック
スの重合転化率は、95重量%以上、通常97〜99重
量%であるから、重合に用いた単量体の重量%はそのま
ま共重合体中の単量体成分の重量%とみなすことができ
る。
【0031】(紙塗工用組成物)本発明の共重合体ラテ
ックスが用いられる紙塗工用組成物は、無機あるいは有
機顔料に、前記共重合体ラテックス、さらに必要に応じ
て他のバインダー、種々の助剤を配合して使用される。
前記共重合体ラテックスの配合量は、通常、顔料100
重量部に対して共重合体ラテックス1〜30重量部(固
形分として)、好ましくは3〜25重量部である。共重
合体ラテックスが1重量部未満であると、接着強度が著
しく低下し、一方30重量部を超えるとインク乾燥性の
低下が著しい。
【0032】前記無機顔料としてはクレー、硫酸バリウ
ム、酸化チタン、炭酸カルシウム、サチンホワイト、タ
ルク、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛等が、また有機顔
料としてはポリスチレンラテックス、尿素ホルマリン樹
脂などを挙げることができる。これらは目的に応じて、
単独でも、あるいは2種以上組み合わせても使用するこ
とができる。
【0033】本発明の共重合体ラテックスからなる紙塗
工用組成物、特にオフセット印刷用の紙塗工用組成物に
おいては、顔料接着剤として好適に使用される。また、
この紙塗工用組成物は、前記共重合体ラテックスに加え
て、カゼイン、カゼイン変性物、澱粉、澱粉変性物、ポ
リビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなど
の水溶性物質を必要に応じて組み合わせて使用できる。
【0034】また、その紙塗工用組成物においては、一
般に使用されている種々の配合剤、例えば、耐水性改良
剤、顔料分散剤、粘度調節剤、着色顔料、蛍光染料およ
びpH調節剤を任意に配合することができる。さらに、
その紙塗工用組成物は、シートオフセット印刷用紙およ
びウエッブオフセット印刷用紙に好適に使用され、その
他、凸版印刷、グラビア印刷などの各種印刷用紙および
紙のコーティング剤にも使用することができる。
【0035】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の
実施例に制約されるものではない。なお、実施例におい
て割合を示す「部」および「%」はそれぞれ重量部およ
び重量%を意味する。実施例、比較例における共重合体
ラテックスの分析、測定、評価の方法および紙塗工用組
成物の調製、塗工紙の製造、紙塗工用組成物や塗工紙の
測定、評価の方法等は次に記載の方法により行った。
【0036】[分析、測定、評価等の方法] [共重合体ラテックスの分析・測定] (ガラス転移温度(Tg))共重合体ラテックスを10
0℃で20時間真空乾燥を行い、フィルムを作製する。
この乾燥フィルムを示差走査熱量計(DSC:デュポン
社製)を用いてASTM法に準じて測定する。
【0037】(ラテックス平均粒子径)共重合体ラテッ
クスの平均粒子径は、コールター社製のサブミクロンア
ナライザー(モデルN4)で、常法により求める。
【0038】(トルエン不溶分)共重合体ラテックスを
pH8.0に調製した後、イソプロパノールで凝固し、
この凝固物を洗浄、乾燥した後、所定量(約0.03
g)の試料を所定量(100ml)のトルエンに20時
間浸漬する。その後、120メッシュの金網でろ過し、
得られる残存固形分の仕込の全固形分に対する重量%を
求める。
【0039】(示差熱量曲線)示差走査熱量計(DS
C:デュポン社製)を用いて、ASTM法に準じて測定
し、示差熱量曲線を求める。これにより、各共重合体ラ
テックスの共重合体の転移領域の最低温度T1と最高温
度T2との差ΔT(℃)を求める。
【0040】[紙塗工用組成物の調製]配合処方のとおり
原料をミキサーを用いて均一に混合して紙塗工用組成物
を調製する。 配合(処方1) カオリンクレー 70.0部 炭酸カルシウム 30.0部 分散剤 0.2部 水酸化ナトリウム 0.1部 澱粉 4.0部 共重合体ラテックス(固形分として)10.0部 水 全固形分が60%となるように適当量添加
【0041】[塗工紙の製造]紙塗工用組成物を塗被原紙
上に、塗工量が片面18.0±0.5g/m2となるよ
うに、電動式ブレードコーター(熊谷理機工業製)で塗
工し、150℃の電気式熱風乾燥機にて15秒間乾燥す
る。得られた塗工紙を温度23℃、湿度50%の恒温恒
湿槽に1昼夜放置し、その後、線圧100kg/cm,
ロール温度50℃の条件でスーパーカレンダー処理を4
回行い、塗工紙を製造する。
【0042】[塗工紙の評価] (ドライピック強度)RI印刷機で印刷したときのピッ
キングの程度を肉眼で判定し、5段階で評価する。ピッ
キング現象の少ないものほど高得点とした。数値は測定
回数6回の平均値で示す。なお、この測定において、1
000m/分の印刷速度の測定法を(A)法、100m
/分の印刷速度の測定法を(B)法と表す。
【0043】(ウェットピック強度)RI印刷機を用い
て、塗工紙表面を吸水ロールで湿してから、RI印刷機
で印刷したときのピッキングの程度を肉眼で判定し、5
段階で評価する。ピッキング現象の少ないものほど高得
点とする。数値は測定回数6回の平均値で示す。なお、
この測定において、1000m/分の印刷速度の測定法
を(A)法、100m/分の印刷速度の測定法を(B)
法と表す。
【0044】(白紙光沢)塗工紙を村上式光沢計を使用
して、75度の角度で測定する。 (印刷光沢)RI印刷機を用いてオフセット用インキを
ベタ塗りし、村上式光沢計を使用して60度の角度で測
定する。
【0045】(べとつき防止性)ラテックスをポリエチ
レンテレフタレートフィルム上にNo.18ロッドによ
り塗布し、120℃で30秒間、乾燥し、皮膜を形成さ
せる。この皮膜と黒羅紗紙を合わせて、ベンチスーパー
カレンダーにより線圧200kg/m,温度70℃の条
件下で圧着させる。両者をひきはがして、黒羅紗紙のラ
テックスへの転写の程度を目視で5段階で評価する。転
写の少ないものほど高得点とする。数値は測定回数6回
の平均値で示す。
【0046】(インク乾燥性)RI印刷機を用いて、シ
ートオフセット用インクを塗工紙表面に印刷し、その後
白紙を重ね合わせて一定の圧力で加圧し、白紙へのイン
ク転移の程度を肉眼で判定し、5段階で評価する。転移
が少ないものほど高得点とする。数値は測定回数6回の
平均値で示す。
【0047】[共重合体ラテックスの製造] (実施例1〜4)撹拌機を備え、温度調節の可能なオー
トクレーブ中に、水200部、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム0.5部、過硫酸ナトリウム1部を仕込
み、次いで表1に示す単量体および連鎖移動剤の1段目
成分を一括で仕込み、60℃で1時間反応させた。その
後、2段目成分を10部/時間の速度で連続的に添加し
重合を継続させ、さらに連続添加終了後6時間にわたっ
て70℃で反応させた。最終的な重合転化率は97〜9
9%であった。
【0048】得られた共重合体ラテックスについて、ガ
ラス転移温度、ラテックス平均粒子径、トルエン不溶分
および示差熱量曲線における転移領域の最低温度T1と
最高温度T2との差ΔTを求めた。さらに得られた共重
合体ラテックスを用いて、前記の配合処方により紙塗工
用組成物を調製し、さらにこれを紙に塗布して塗工紙を
製造した。塗工紙について、前記の方法に従って性能評
価を行った。これらの結果を表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】(比較例1〜4)撹拌機を備え、温度調節
の可能なオートクレーブ中に、水200部、ドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、過硫酸ナトリウ
ム1部を仕込み、次いで表2に示す単量体および連鎖移
動剤の1段目成分を一括で仕込み、60℃で1時間反応
させた。その後、2段目成分を10部/時間の速度で連
続的に添加し重合を継続させ、さらに連続添加終了後6
時間にわたって70℃で反応させた。最終的な重合転化
率は97〜99%であった。
【0051】得られた共重合体ラテックスについて、実
施例の場合と同様にして、ガラス転移温度、ラテックス
平均粒子径、トルエン不溶分および示差熱量曲線におけ
る転移領域の最低温度T1と最高温度T2との差ΔTを
求めた。さらに得られた共重合体ラテックスを用いて、
前記の配合処方により紙塗工用組成物を調製し、さらに
これを紙に塗布して塗工紙を製造した。塗工紙につい
て、前記の方法に従って性能評価を行った。これらの結
果を表2に示した。
【0052】
【表2】
【0053】実施例1〜4は、本発明の範囲の共重合体
ラテックスの例であり、本発明の目的とする塗工紙の特
性を得ている。一方、比較例1は、アクリル酸量が本発
明の範囲を超えた例であり、ドライピック強度、ウエッ
トピック強度、白紙光沢、印刷光沢、インク乾燥性が劣
る。比較例2は、アミド基含有エチレン系不飽和単量体
を使用しなかった本発明の範囲外の例であり、ドライピ
ック強度、ウエットピック強度、白紙光沢、印刷光沢、
インク乾燥性が劣る。
【0054】比較例3は、不飽和ジカルボン酸を使用し
ない本発明の範囲外の例であり、白紙光沢、印刷光沢、
べとつき防止性、インク乾燥性が劣る。比較例4は、ア
ミド基含有エチレン系不飽和単量体を使用しない本発明
の範囲未満、かつ、△Tが本発明の好ましい範囲未満の
例であり、塗工紙の特性全般にわたって劣っている。
【0055】
【発明の効果】本発明は、特定の単量体を乳化重合する
ことにより得られる、ガラス転移温度の最低温度と最高
温度との差が大きい共重合体のラテックスであって、優
れた接着強度、白紙光沢、印刷光沢、べとつき防止性な
どを有する、紙塗工用共重合体ラテックスを提供するこ
とができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 222:02 220:06 212:08 220:42 220:10) Fターム(参考) 4J011 KA04 KA10 KB02 KB07 4J100 AB02T AB03T AB04T AB08T AJ02S AJ08R AJ09R AL03T AL04T AL08T AM02T AM15Q AM19Q AM21Q AS02P AS03P AS06P AS07P BA05Q BA29Q BA40T BB01P CA03 CA06 DA22 DA25 EA07 FA20 JA13 4L055 AG11 AG12 AG27 AG47 AG63 AG70 AG71 AG72 AG74 AG76 AG97 AH02 AH37 AJ04 EA20 EA32 FA12 FA13 FA14 FA30 GA19

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)脂肪族共役ジエン系単量体10〜
    60重量%、(b)アミド基含有エチレン系不飽和単量
    体0.1〜10重量%、(c)不飽和ジカルボン酸単量
    体0.1〜10重量%、(d)不飽和モノカルボン酸単
    量体0〜0.5重量%、および(e)単量体(a)〜単
    量体(d)と共重合可能な他の単量体19.5〜89.
    8重量%からなる単量体を乳化重合して得られる共重合
    体ラテックス。
  2. 【請求項2】 請求項1において、乳化重合して得られ
    る共重合体のガラス転移温度は、−100〜60℃の範
    囲に少なくとも1点存在し、かつ、共重合体は、示差走
    査熱量計によって得られる示差熱量曲線において、転移
    領域の最低温度T1と最高温度T2との差ΔTが30℃
    以上であることを特徴とする共重合体ラテックス。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、前記共重合
    体ラテックスは、紙塗工用組成物のバインダーとして用
    いられる共重合体ラテックス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003003393A (ja) * 2001-06-21 2003-01-08 Nippon A & L Kk グラビア印刷用紙塗工用共重合体ラテックス

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