JP2008274464A - 印刷用塗工紙およびその製造方法 - Google Patents

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康宏 荒井
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健司 柳沢
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Abstract

【課題】
優れた表面平滑性を有し、かつ印刷平滑性やインキ着肉性等の印刷適性に優れた印刷用塗工紙およびその製造方法を提供する。
【解決手段】
原紙の両面に顔料と接着剤を主成分とする顔料塗工層を片面あたり2層有する印刷用塗工紙において、該原紙がギャップタイプのツインワイヤーフォーマー、次いで2基以上のシュープレスで脱水後、乾燥して抄紙され、該原紙に隣接する下塗り塗工層が水溶性接着剤を顔料100質量部あたり15〜50質量部含有し、かつ上塗り塗工層が、2〜30質量部のトリスルホアルミン酸カルシウムを含有していることを特徴とする印刷用塗工紙であり、下塗り塗工層および上塗り塗工層が、フィルムトランスファー方式で塗工された後、熱ソフトカレンダーに通紙して平滑化仕上げ処理を行うことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、印刷用塗工紙およびその製造方法に関するものである。
一般に印刷用塗工紙は、原紙上に顔料と接着剤を主成分とする塗工液を塗工、乾燥して製造され、塗工液の塗工量や塗工紙の仕上げ方法によって、キャストコート紙、アート紙、コート紙、微塗工紙等に分類される。これらの塗工紙は、これに多色印刷又は単色印刷を施して、チラシ、パンフレット、ポスター等の商業用印刷物として、あるいは書籍、雑誌等の出版物として広く使用されている。近年、印刷物のビジュアル化、カラー化の進展と共に、印刷用塗工紙の高品質化の要求が高まっており、白紙光沢度、平滑度、白色度等の白紙品質、および印刷平滑性等の印刷品質が重要視されている。また、特に商業用印刷物のうちでもチラシやパンフレット等は、宣伝媒体としての目的から、低コストで印刷仕上がりのよいものが求められてきている。そして、使用される紙も薄物、軽量化に向かっている。
印刷用塗工紙の製造方法としては、抄紙と塗工を別々の工程で行うオフマシン方式と、一台のマシンで抄紙と塗工を同時に行うオンマシン方式があり、オンマシン方式の方がより効率的な生産が可能である。このため、軽量塗工紙を生産する設備としては、一般にオンマシン方式が採用されており、抄紙後に顔料塗工液を塗工する方式として、フィルムトランスファー方式であるゲートロールコータやロッドあるいはブレードメタリングサイズプレスコータ、ファウンテン方式であるショートドウェルブレードコータなどが使用されている。
一方、より高品質の塗工紙を得る目的で、安価な顔料を含む下塗り塗工液を塗工し、白紙品質や印刷品質を考慮した上塗り塗工液を塗工する多層塗工が従来から行われている。従来、顔料塗工液を塗工する面には、澱粉を主体とする表面サイズが行われ、原紙中に顔料塗工液が染み込まないようにされている。しかし、オンマシン方式で多層塗工を行う場合は、下塗り顔料塗工液の塗工が澱粉表面サイズを兼ねることになるため、下塗り顔料塗工液が原紙内に浸透してしまい、下塗り塗工後の表面に十分な平滑性を得ようとすると下塗り顔料塗工液の塗工量を多くする必要があった。
また、下塗り塗工層と上塗り塗工層を共にブレード塗工方式にすると、高い表面平滑性と品質を有する塗工紙を得ることができるが、軽量塗工紙を製造する場合、塗工時の操業性を考慮すると、原紙米坪を減らすことに限度があり、ある程度の原紙米坪が必要なため、その分塗工量が制限される。このため、ブレード塗工方式の場合、6g/m2未満の塗工量では十分な表面平滑性を維持することが難しい。
そこで、従来から顔料塗工層をフィルムトランスファー方式により塗工する手法が種々提案され、主に、塗工速度1100m/分以上で発生するミストや塗料のガムアップを解決するための手段が開示されている(特許文献1、2、3、4、5参照)。また、ブレード塗工に匹敵する優れた光沢性、平滑性を発揮するフィルムトランスファー塗工用塗料も紹介されている(特許文献6参照)。ここには、低粘度の澱粉系接着剤を使用して、顔料塗工液の濃度を58%以上という高濃度にすることで特徴を持たせているが、使用している澱粉系接着剤が低粘度のため、フィルムトランスファー方式で塗工後、塗工層中で澱粉系接着剤がマイグレーションを起こし、印刷ムラを発生させる恐れがある。
また、印刷用塗工紙の顔料としてトリスルホアルミン酸カルシウム(以下、「サチンホワイト」と称する)を使用することは従来から知られている。例えば、上塗り塗工層にサチンホワイトを配合し、塗工層に一定の空隙容積を保持することで、吸収着肉性やインキ乾燥性などを改善する方法が提案されている(特許文献7参照)。また、サチンホワイトにカオリンやプラスチックピグメント等の顔料を組み合わせて使用し、塗工紙に高い表面平滑性や高い白紙光沢を付与する方法も紹介されている(特許文献8、9、10参照)。しかしながら、これらは全て、最外塗工層をブレード塗工により設けることを想定したものである。
特許第3143892号公報 特許第2967723号公報 特許第2910030号公報 特許第3328554号公報 特許第3328922号公報 特許第2737897号公報 特開平11−247097号公報 特開平09−256295号公報 特開平09−67794号公報 特開平02−14098号公報
本発明は、優れた表面平滑性を有し、かつ印刷平滑性やインキ着肉性等の印刷適性に優れた印刷用塗工紙およびその製造方法を提供するものである。
本発明者等は、上記の課題について鋭意研究を重ねた結果、原紙の両面に顔料と接着剤を主成分とする顔料塗工層を片面あたり2層有する印刷用塗工紙において、該原紙がギャップタイプのツインワイヤーフォーマー、次いで2基以上のシュープレスで脱水後、乾燥して抄紙され、該原紙に隣接する下塗り塗工層が、水溶性接着剤を顔料100質量部あたり15〜50質量部含有し、かつ上塗り塗工層が、2〜30質量部のトリスルホアルミン酸カルシウムを含有することで、優れた表面平滑性を有し、かつ印刷平滑性やインキ着肉性等の印刷適性に優れた印刷用塗工紙を得ることができ、また、原紙がギャップタイプのツインワイヤーフォーマー、次いで2基以上のシュープレスで脱水後、乾燥して抄紙されており、該原紙に隣接する下塗り塗工層が、水溶性接着剤を顔料100質量部あたり15〜50質量部含有する顔料塗工液を用いてフィルムトランスファー方式で塗工され、かつ上塗り塗工層が、2〜30質量部のトリスルホアルミン酸カルシウムを含有する顔料塗工液を用いてフィルムトランスファー方式で塗工された後、熱ソフトカレンダーに通紙して平滑化仕上げ処理を行うことにより優れた表面平滑性を有し、かつ印刷平滑性やインキ着肉性等の印刷適性に優れた印刷用塗工紙を製造できることから本発明を完成するに至った。
特に、下塗り塗工層の水溶性接着剤が澱粉誘導体であることが好ましい。
また下塗り塗工層が表面サイズ剤を顔料100質量部あたり0.1〜8質量部含有し、その表面サイズ剤が、スチレン・アクリル系、オレフィン系、またはスチレン・マレイン酸系の共重合体の少なくとも一つから選択されたものであることが好ましい。
また、下塗り塗工層および上塗り塗工層を形成するフィルムトランスファー方式の塗工装置が、ロッドメタリングサイズプレスであり、かつ下塗り塗工層上に上塗り塗工層を形成する際、一方の面に上塗り塗工層用顔料塗工液を塗工、乾燥した後、他方の面に上塗り塗工層用顔料塗工液を塗工、乾燥すること、さらにフィルムトランスファー方式の塗工装置が、抄紙から塗工工程までを連続して行うオンマシンコーターであり、塗工速度が1400m/分以上で効率のよい生産を行うことができる。
本発明に係わる印刷用塗工紙は、優れた表面平滑性を有し、かつ印刷平滑性やインキ着肉性等の印刷適性に優れたものが得られるのである。
以下に、本発明の詳細について述べる。
本発明において、原紙に使用するパルプとしては、特に限定されるものではなく、例えば、一般に使用されている晒広葉樹パルプ(LBKP)や晒針葉樹パルプ(NBKP)等の漂白化学パルプ、砕木パルプ(GP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、リファイナ砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ、脱墨古紙パルプ(DIP)、損紙などが適宜混合使用される。近年、環境問題の観点から、DIPの配合が要望されるが、本発明においては、DIPを配合した場合も、効率良く、高品質な印刷塗工紙を得ることができる。また、ケナフ等の非木材繊維原料から得られるパルプ繊維、合成パルプ、無機繊維等の1種又は2種以上を原紙に配合することもできる。機械パルプや脱墨古紙パルプは、必要に応じて漂白して使用することもでき、漂白の程度も任意に行うことができる。なお、パルプの漂白には、塩素ガスのような分子状塩素や二酸化塩素のような塩素化合物を使用しない漂白工程を採用することが、環境保全の観点から好ましく、このような漂白工程を経たパルプとしては、ECFパルプやTCFパルプを挙げることができる。
さらに原紙に内添される填料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、石膏、タルク、クレー、焼成カオリン、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、デラミネーテッドカオリン、珪藻土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等の無機顔料や尿素・ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機顔料等が例示でき、古紙や損紙等に含まれる填料も再使用できる。填料は2種以上の混合使用も可能である。填料の配合量は、一般に紙(原紙)灰分が3〜20質量%の範囲になるように添加される。
また、原紙中にはパルプや填料の他に、内添サイズ剤、アニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留り向上剤、濾顔料向上剤、紙力増強剤等の抄紙用内添助剤を、必要に応じて添加することができる。内添サイズ剤の具体例としては、例えば、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン−アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系、ロジン系などのサイズ剤が挙げられる。また、歩留り向上剤、濾顔料向上剤、紙力増強剤の具体例としては、例えば、アルミニウム等の多価金属化合物(具体的には、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、塩基性アルミニウム化合物等)、各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、ポリアミド・ポリアミン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミイン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド等が例示できる。また、本発明の所望する効果を妨げない範囲で、パルプ繊維間結合の阻害機能を有する嵩高剤、柔軟剤を使用することも可能である。嵩高剤、柔軟剤の具体例としては、例えば、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、多価アルコールと脂肪酸エステル化合物のポリオキシアルキレン化合物、脂肪酸ポリアミドアミン、多価アルコール系界面活性剤、油脂系非イオン界面活性剤等が例示できる。かかる嵩高剤、柔軟剤の添加量は、一般に、パルプに対して0.05〜2.0質量%程度である。
本発明は、上記の原材料で調成した紙料を、ギャップタイプのツインワイヤーを用いて、ヘッドボックスから2つのワイヤー間に吐出して紙層を形成させた後、2基以上のシュープレスで脱水後、乾燥して、原紙を抄造する。このギャップタイプのツインワイヤーフォーマーは、2枚のワイヤーで形成されるギャップにヘッドボックスから紙料を吐出することにより、当初より紙料が2枚のワイヤーに挟まれた状態で脱水、紙層が形成されていくので、長網抄紙機やオントップ型のハイブリッドフォーマーと比べて、ワイヤーパートにおける紙料の乱れが小さく、均一な紙層を高速で形成することができる。抄速については、特に限定されるものではないが、一般的に1400m/分以上であり、塗工紙の生産性を考えると、1500m/分以上であることが好ましい。
ギャップフォーマーを有する抄紙機に付設されて使用されるウェットプレス装置としては、高速抄紙条件に適合するような装置であることが好ましい。即ち、従来のロール/ロール間に形成される狭いニップ部にフェルトと共に湿紙を通過させて脱水するウェットプレス装置では、湿紙の固形分濃度を高めるためには線圧を高くすることから、ニップ内ではロール表面付近の水圧が急速に増加し、紙層間での砕けが発生する。このため、高速抄紙条件に適合したシュータイプの幅広ニップを有するウェットプレス装置が好ましい。1基のシュープレスで脱水する場合、例えば1400m/分以上の高速抄紙では脱水能力が不十分であり、フェルトの型付き、所謂フェルトマークが問題となることから、2基以上のシュープレスで脱水することが好ましい。なお、脱水能力的には、2基のシュープレスで十分であり、抄紙機のスペースやコストの問題から、2基のシュープレスとすることが好ましい。
原紙の抄紙条件については、ギャップタイプのツインワイヤーフォーマーで抄紙して、次いで2基のシュープレスで脱水することを除いて特に限定は無く、例えば、酸性抄紙、中性抄紙、弱アルカリ抄紙等のいずれの方式でも良い。ただ近年、紙の保存性が要求されることから、中性抄紙により抄紙された原紙が好ましい。原紙には、澱粉誘導体、ポリビニルアルコールあるいはポリアクリルアミド等の接着剤を用いて、通常のサイズプレス処理を施すこともでき、また、ソフトカレンダー等による平滑化仕上げ処理を施すこともできるが、工程が増えることから、サイズプレス処理は行わずに下塗り塗工層を形成させることが好ましい。これらの抄紙条件で抄紙された原紙の米坪としては、30〜70g/m2が好ましい。
上記で抄紙した原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする下塗り塗工層をフィルムトランスファー方式により形成するが、原紙上に顔料を接着し、塗工紙の表面強度を発現させるため、下塗り塗工層に水溶性接着剤や水分散性接着剤が使用される。本発明においては、水溶性接着剤として、水溶性接着剤を顔料100質量部あたり15〜50質量部含有することが必要であり、より好ましくは18〜40質量部である。これは水溶性接着剤を比較的多く配合することにより、下塗り塗工層中への上塗り塗工液の浸透を抑制することができる。因みに、水溶性接着剤が15質量部未満の場合は、上塗り塗工液の浸透性を抑制することが難しい。また、50質量部を超える場合は、下塗り用顔料塗工液の流動性が悪化して塗工ムラが発生し易く、下塗り塗工後および上塗り塗工後の平滑性が低下する傾向にある。
本発明の下塗り塗工層の水溶性接着剤としては、例えば、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、デキストリン、冷水可溶性澱粉などの澱粉誘導体、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白などの蛋白質類、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコールやその変性品などが使用できるが、その中でも、下塗り用顔料塗工液の流動性が良好であり、かつ原材料が安価であることから、澱粉誘導体であることが好ましい。
また、顔料塗工層の接着剤として、水溶性接着剤の他に、水分散性接着剤を併用することが一般的であり、本発明の効果を妨げない範囲において、水分散性接着剤を使用することができる。水分散性接着剤としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレンーメチルメタクリレートーブタジエン共重合体ラテックス等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルの重合体または共重合体ラテックス等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル重合体ラテックス等のビニル系重合体ラテックス、あるいはこれらの各種重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単量体で変性した重合体または共重合体ラテックス等が挙げられ、顔料100質量部あたり1〜15質量部、好ましくは3〜10質量部配合する。
また、本発明の下塗り塗工層に、表面サイズ剤を顔料100質量部あたり0.1〜8質量部含有させることにより、下塗り塗工層中への上塗り塗工液の浸透をさらに抑制することができ、より好ましい。ここで、表面サイズ剤の配合量が0.1質量部未満の場合、表面サイズ剤の効果が発現され難く、8質量部を超える場合は、下塗り塗工層と上塗り塗工層の接着性が低下して、表面強度の低下の原因となる。
本発明の表面サイズ剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、スチレン・アクリル系、オレフィン系、スチレン・マレイン酸系、スチレン・アクリル酸エステル系、スチレン・マレイン酸エステル系の共重合体等、公知公用のものを使用することができ、単独あるいは併用して使用することができる。中でも、スチレン・アクリル系、オレフィン系、スチレン・マレイン酸系の共重合体が好ましく使用される。なお、使用される表面サイズ剤は、エマルジョンタイプ、溶液タイプのいずれも使用することができる。
本発明の下塗り塗工層に使用する顔料は、特に限定されるものではなく、例えば、カオリン、タルク、クレー、焼成カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、サチンホワイト、亜硫酸カルシウム、石膏、硫酸バリウム、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、ケイソウ土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベントナイト、セリサイト等の無機顔料のほか、尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機顔料等、一般の塗被紙用として知られている顔料を単独あるいは併用で使用することができる。
また、下塗り塗工層用の顔料塗工液には、必要に応じて、増粘剤や保水剤、青系統あるいは紫系統の染料や有色顔料、蛍光染料、酸化防止剤、老化防止剤、導電剤、消泡剤、紫外線吸収剤、分散剤、pH調整剤、離型剤、耐水化剤、撥水剤等の各種助剤を適宜配合することができる。
本発明において、下塗り塗工層用の顔料塗工液の顔料、水溶性接着剤等の接着剤、さらには必要に応じて使用される各種助剤を含む塗工液の固形分濃度は、25〜65質量%の範囲で選択できる。塗工量の調整や操業性を考慮すると、30〜60質量%の範囲であることが好ましい。
本発明の下塗り塗工層の乾燥塗工量としては、片面当たり2〜10g/m2であり、好ましくは3〜6g/m2である。因みに塗工量が2g/m2未満の場合、塗料の表面被覆性が劣り、所望する品質が得がたい。また、10g/m2を超えると、ミスティング等塗工操業上の問題が発生する場合があるとともに、塗工ムラが発生し易い。
本発明の上塗り塗工層に使用するサチンホワイト(正式名:トリスルホアルミン酸カルシウム)は、水酸化カルシウムと硫酸アルミニウムとの反応によって得られる無機錯体化合物であり、針状の粒子形状を有する顔料である。本発明では、下塗り塗工層上に形成する上塗り塗工層を構成する顔料成分として、2〜30質量部のサチンホワイトと98〜70質量部の他の顔料を含有する顔料塗工液をフィルムトランスファー方式で塗工し、高い平滑を発現して品質の良好な塗工紙を得るところに特徴がある。上塗り塗工層用の顔料塗工液を塗工する前に、ソフトカレンダー等による平滑化仕上げ処理を施すと、上塗り塗工層形成後も高い平滑性を得られので好ましい。ちなみに、サチンホワイトの配合割合が2質量部未満である場合には平滑発現性の向上が不充分であり、他方、30質量部を超える場合には、平滑発現性は向上するものの、印刷用塗工紙として必要とされる強度発現のための接着剤要求量が多くなり、不経済であることや、塗工適性が低下する傾向にあるため好ましくない。
サチンホワイトの粒子径については、特に限定するものではないが、沈降方式により測定した平均粒子径が0.1〜1.3μmの範囲にあると、平滑性がより向上し、しかも印刷強度を維持するために必要な接着剤量が過大にならないため好ましい。なお、ここで規定する平均粒子径は、沈降方式によるセディグラフ5100(マイクロメリティクス社製)で測定した値である。
また、サチンホワイトの分散液のpHは、通常12.5前後であり、本発明では、このような分散液pHを有するサチンホワイトを使用することもできる。しかし分散液pHの高いサチンホワイトを使用すると、ドライヤーによる乾燥或いは熱スーパーカレンダ等の熱処理による色戻り現象を助長したり、塗被紙を長期間保存した際に白色度の低下を来たしたりする虞があるので、分散液のpHが12.0以下、より好ましくは8.5〜11.0であるサチンホワイトを使用するのが望ましい。
ここで、サチンホワイトは、特願2005−123689号公報に記載の製造方法によっても調製することができる。
本発明では、下塗り塗工層上に形成する上塗り塗工層を構成する顔料成分のうち、98〜70質量部を占める他の顔料として、具体的には、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、苛性化炭酸カルシウム、カオリン、デラミネーテッドカオリン、焼成カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ニ酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、アルミノ珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の無機顔料や、密実型、中空型、貫通孔型などのプラスチックピグメント、バインダーピグメント等の有機顔料から選ばれる1種あるいは2種以上の顔料を使用することができる。
本発明の上塗り塗工層には、塗工紙に表面強度を発現させるため、前記下塗り塗工層と同様、水溶性接着剤や水分散性接着剤が使用される。水溶性接着剤としては、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、デキストリン、冷水可溶性澱粉などの澱粉類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白などの蛋白質類、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコールやその変性品などが使用できる。本発明の上塗り塗工層に含有する水溶性接着剤は、特に限定されるものではないが、顔料100質量部あたり1〜15質量部、好ましくは3〜12質量部配合する。上塗り塗工層においては、水溶性接着剤を下塗り塗工層と同様に比較的多く配合すると、塗工紙の光沢および平滑発現性が低下する傾向にあるため注意が必要である。
また、本発明の上塗り塗工層に使用される水分散性接着剤としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレンーメチルメタクリレートーブタジエン共重合体ラテックス等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルの重合体または共重合体ラテックス等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル重合体ラテックス等のビニル系重合体ラテックス、あるいはこれらの各種重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単量体で変性した重合体または共重合体ラテックス等が挙げられ、これらの中から、最終塗工紙品質に応じて、1種、あるいは2種以上を適宜選択して使用する。配合量については、特に限定されるものではないが、顔料100質量部あたり5〜20質量部、好ましくは8〜12質量部配合する。
本発明に使用されるサチンホワイトは塗工液の保水性を低くする傾向にあり、保水性が低いと、塗工時に塗工液の水分が速やかに下塗り塗工層に吸収され、ロール上の塗工液が固形化してロールから剥がれにくくなり、ロール汚れが発生する恐れがある。これを防止するために、上塗り塗工層用の顔料塗工液中には、増粘剤または保水剤の少なくとも1種を含有させることが好ましい。
かかる増粘剤または保水剤としては、ポリカルボン酸、アクリル系共重合体などのアルカリ増粘タイプ、アクリル系高分子、ポリエチレンオキサイドなどの親顔料ベースポリマーの両末端に親油基を配した会合タイプ、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどの天然由来タイプが挙げられ、特に作業性、コストの面からアクリル系共重合体エマルジョンが好ましく用いられる。増粘剤または保水剤の配合量としては顔料100質量部に対して、0.01〜1.0質量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.05〜0.8質量部の範囲である。
また、上塗り塗工層用の顔料塗工液には、増粘剤や保水剤のほかに、必要に応じて、青系統あるいは紫系統の染料や有色顔料、蛍光染料、酸化防止剤、老化防止剤、導電剤、消泡剤、紫外線吸収剤、分散剤、pH調整剤、離型剤、耐水化剤、撥水剤等の各種助剤を適宜配合することができる。
本発明における上塗り塗工層用の顔料塗工液のサチンホワイト、他の顔料、接着剤、さらには必要に応じて使用される各種助剤を含む塗工液の固形分濃度は、25〜65質量%の範囲で選択できる。塗工量の調整や操業性を考慮すると、30〜60質量%の範囲であることが望ましい。
本発明の上塗り塗工層の乾燥塗工量としては、片面当たり2〜12g/m2であり、好ましくは4〜8g/m2である。因みに塗工量が2g/m2未満の場合、光沢や平滑等、所望する品質が得がたい。また、10g/m2を超えると、ミスティング等、塗工操業上の問題が発生する場合があるとともに、塗工ムラが発生し易い。
本発明の製造方法において、前述の下塗り塗工層および上塗り塗工層を形成するための顔料塗工液は、フィルムトランスファー方式の塗工装置で塗工する。フィルムトランスファー方式の塗工装置としては、ゲートロール、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレスなどが使用できる。これらの塗工装置のうち、塗工量の調整や高速塗工適性に優れることから、ロッドメタリングサイズプレスを使用することが好ましい。また、前記フィルムトランスファー方式の塗工装置で塗工する場合は、一般的に両面同時に塗工されるが、アプリケーターロール出口において、紙離れが安定せず、片面あるいは両面とも紙表面に塗工ムラが発生し易い。この塗工ムラが発生した場合は、塗工紙品質を低下させるが、特に上塗り塗工層については、塗工紙を著しく低下させる。そこで、両面とも安定した紙離れをさせるように、上塗り塗工層を形成させる塗工装置としては、上塗り塗工層用顔料塗工液を、一方の面に塗工、乾燥後、他方の面に塗工、乾燥することが好ましい。なお、本発明において、抄紙から塗工工程までをオンラインで行う所謂オンマシンコーターであることが、生産性に優れるため好ましい。
本発明は、上記の下塗り塗工層および上塗り塗工層をフィルムトランスファー方式により形成した後、加熱した金属ロールと弾性ロールの組み合わせからなる熱ソフトカレンダーに通紙して平滑化仕上げ処理を必須とする。金属ロールの温度については、特に限定されるものではなく、所望の品質に合わせるため、100〜380℃の範囲で適宜調整される。カレンダーのニップ圧、ニップ数等についても、特に限定されるのではなく、ニップ圧としては200〜450kN/m、ニップ数としては1〜10ニップの範囲で、所望とする品質に合わせて適宜調整する。また、金属ロールについては、特に表面を硬質クロムメッキ等で鏡面仕上げされたものを使用すると、より一層効果的である。また、熱ソフトカレンダーの金属ロールと対をなして使用される弾性ロールの材質については特に限定されるものではないが、一般にウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリレート樹脂等の高温高圧で耐久性を示す樹脂ロールが好ましく利用される。また、樹脂ロールの硬度としては、ショアD硬度で85度以上のものを使用すると優れた表面平滑性が得られえる。
なお、本発明においては、抄紙から塗工工程までをオンラインで行う所謂オンマシンコーターであることが、生産性に優れるため好ましいが、抄紙から熱カレンダーまでをオンラインで行うことが、より好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、勿論、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、特に断らない限り、例中の部および%はそれぞれ質量部、および質量%を示す。また、使用した薬剤の添加量は、固形分換算の質量部を示す。
実施例1
(下塗り塗工層用顔料塗工液の調製)
重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、備北粉化工業社製)100部からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、接着剤として澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)25部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ−1000、JSR社製)5部を添加し、さらに助剤として消泡剤および染料を順次加えて、更に水を加えて固形分濃度30%の下塗り塗工層用の顔料塗工液を得た。
(サチンホワイトの調製)
(1)水酸化カルシウム懸濁液に対する第1段目の硫酸アルミニウム水溶液の添加
9000rpmで回転させたインラインミキサー(パイプラインホモミクサー、混合手段)に対して、前記の6%水酸化カルシウム懸濁液を300g/分、および6%硫酸アルミニウム水溶液を104g/分(基準モル数の45%。なお、基準モル数等の計算方法は後述する。)で同時、かつ連続的に注入し、該注入を14分間連続して行なった。その際に得られた混合組成物(インラインミキサーから吐出される組成物)をpH復元タンク(中間槽)に連続的に受け入れ30分間静置して、pH回復を行なった。pH回復後の該混合組成物(以下、「第1組成物」という。)のpHは12.7であった。
ここに基準モル数等の計算方法を簡単に説明しておく。
水酸化カルシウム、硫酸アルミニウムの分子量は、それぞれ74.1、および342.16であり、6%水酸化カルシウム懸濁液300g/分は、固形分として18g/分で、そのモル数(単位時間に装入されるモル数)は18/74.1=0.243である。従って、水酸化カルシウム懸濁液のモル数の1/6のモル数である基準モル数は、0.243×1/6=0.0405モル/分となる。
一方、6%硫酸アルミニウム水溶液104g/分には、104g×6%=6.24g/分の硫酸アルミニウムが含まれており、これをモル数に換算すると6.24g/分×1/342.16=0.0182モル/分となる。
従って、第1段目に添加する硫酸アルミニウム水溶液の、基準モル数に対する割合の計算は、(0.0182モル/分)/(0.0405モル/分)=45%と計算される。
(2)第2段目の硫酸アルミニウム水溶液の添加
前記(1)と同様にして、9000rpmで回転させたインラインミキサーに対して、前記混合組成物(第1組成物)を404g/分、および6%硫酸アルミニウム水溶液を81g/分(基準モル数の35%)で同時、かつ連続的に注入し、該注入を12分間連続して行なった。その際に得られた混合組成物(インラインミキサーから吐出される組成物)をpH復元タンクに連続的に受け入れ30分間静置して、pH回復を行なった。pH回復後の混合組成物(以下、「第2組成物」という。)のpHは12.5であった。
(3)第3段目の硫酸アルミニウム水溶液の添加(反応終了)
前記(2)と同様にして、9000rpmで回転させたインラインミキサーに対して、前記混合組成物(第2組成物)を485g/分、および6%硫酸アルミニウム水溶液を34g/分(基準モル数の15%)で同時、かつ連続的に注入し、該注入を10分間連続して行なった(反応終了)。その際に得られた混合組成物(インラインミキサーから吐出される組成物)をクッションタンクに連続的に受け入れ、反応終了後の組成物(以下、「反応終了組成物」という。)を得た。反応終了組成物のpHは11.5であった。
(A)水酸化カルシウム懸濁液のモル数aの、複数段添加された(B)硫酸アルミニウム水溶液の合計添加量のモル数bに対する割合(a/b)の計算方法について簡単に説明する。まず、最終的に用いた6%水酸化カルシウムは300g/分×10分間=3000gであり、それに含まれる固形分としては180gであり、Ca(OH)2モル数aとしては2.43モルである。そして、複数段に分割添加した6%硫酸アルミニウムの総量は219g/分×10分間=2190gであり、それに含まれる固形分としては131.4gであり、Al2(SO4)3モル数bとしては0.38モルである。
従って、モル比(Ca(OH)2/Al2(SO4)3=a/b)としては6.4となる。 また、硫酸アルミニウムの総添加率としては、基準モル数の95%(=45%+35%+15%)であった。
反応終了後の組成物(反応終了組成物)をフィルタープレスで脱水することで固形分が約32〜34%の組成物とし、続いて固形分27%となるように該脱水組成物を水に再分散させた。その再分散の際、あらかじめ水にポリアクリル酸系分散剤(商品名:アロンT−50、東亜合成化学社製)を組成物(該脱水組成物)の固形分対比で0.5部の量を添加しておき、さらに該分散剤の添加量を調整して、再分散した該組成物分散液が約10mPa・s程度の低粘度になるように調整した。平均粒子径は0.44μmであった。
(上塗り塗工層用顔料塗工液の調製)
分散剤としてポリアクリル酸ナトリウムを分散するカオリンに対して0.1部添加した水溶液に、カオリン(商品名:ハイドログロス90、ヒューバー社製)75部、重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、備北粉化工業社製)15部、上記に調製したサチンホワイト10部を添加し、コーレス分散機で分散して顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:王子エースA、前出)5部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ1000、JSR社製)10部、および消泡剤、染料などの助剤を添加して、最終的に固形分濃度が58%の上塗り塗工層用の顔料塗工液を調製した。
(印刷用塗工紙の作製)
酸素−オゾン−水酸化ナトリウム−過酸化水素−二酸化塩素からなる工程で多段漂白されたLBKP50%(CSF500ml)と、酸素−オゾン−水酸化ナトリウム−過酸化水素−二酸化塩素からなる工程で多段漂白されたNBKP35%(CSF500ml)と、新聞古紙から製造したDIP(CSF180ml)15%からなるパルプスラリー100%に、填料として軽質炭酸カルシウム(商品名:タマパールTP−121、奥多摩工業社製)を原紙灰分が10%となるように添加した後、パルプスラリーの全固形分に対して硫酸アルミニウム0.5%、カチオン澱粉(商品名:エースK−100、王子コーンスターチ社製)0.5%、アルキルケテンダイマーサイズ剤(商品名:サイズパインK−287、荒川化学社製)0.1%、ポリアクリルアミド(商品名:ポリストロン851、荒川化学社製)0.02%を順次添加し、紙料を調製した。この紙料を運転抄速1500m/分でギャップフォーマー、次いで2基のシュープレスで脱水、乾燥し、40g/mの原紙を抄紙した。この原紙上に、下塗り塗工層用顔料塗工液を、ロッドメタリングサイズプレスを用いて、片面塗工量が4g/m(固形分)となるように両面同時に塗工後、ソフトカレンダーで平滑化処理を施した。このようにして得られた下塗り塗工層上に、上塗り塗工層用顔料塗工液を、ロッドメタリングサイズプレスを用いて、片面塗工量が6g/m(固形分)となるように、一方の面に塗工、乾燥した後、他方の面に塗工、乾燥を行った。このようにして得られた両面塗工紙を、180℃に加熱した金属ロールと樹脂ロールよりなる熱ソフトカレンダーに、線圧200kN/cmの加圧条件で、片面が金属ロールと樹脂ロールにそれぞれ4回ずつ接触するように合計8ニップの通紙を行い、米坪60g/mの印刷用塗工紙を得た。
実施例2
実施例1の下塗り塗工層用顔料塗工液の調製において、重質炭酸カルシウムをハイドロカーブ90からハイドロカーブ60(備北粉化工業社製)を使用し、澱粉の配合部数を25部から20部に変更し固形分濃度を35%とした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
実施例3
実施例1の上塗り塗工層用顔料塗工液の調製において、重質炭酸カルシウムの配合部数を15部から5部に変更し、サチンホワイトの配合部数を10部から20部に変更した以外は、実施例2と同様にして印刷用塗工紙を得た。なお、上塗り塗工層用の顔料塗工液の固形分濃度は52%であった。
実施例4
実施例2の下塗り塗工層用顔料塗工液の調製において、澱粉の配合部数を20部から16部に変更し、表面サイズ剤(スチレン・アクリル系、商品名:ポリマロン1308S、荒川化学社製)0.5部を添加した以外は、実施例2と同様にして印刷用塗工紙を得た。
実施例5
(下塗り塗工層用顔料塗工液の調製)
分散剤としてポリアクリル酸ナトリウムを分散するカオリンに対して0.1部添加した水溶液に、カオリン(商品名:HT−GAS、BASF社製)20部、重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ60、前出)80部を添加し、コーレス分散機で分散して顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーに、顔料100部に対して、接着剤として澱粉(商品名:エースA、前出)20部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ−1000、前出)5部を添加し、さらに助剤として消泡剤および染料を順次加え、更に水を加えて固形分濃度45%の下塗り塗工層用顔料塗工液を得た。
(上塗り塗工層用顔料塗工液の調製)
分散剤としてポリアクリル酸ナトリウムを分散するカオリンに対して0.1部添加した水溶液に、変更したカオリン(商品名:コンツアーエクストリーム、イメリス社製)75部、重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、前出)15部、サチンホワイト(前出)10部を添加し、コーレス分散機で分散して顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:王子エースA、前出)5部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ1000、前出)10部、および消泡剤、染料などの助剤を添加して、最終的に固形分濃度が55%の上塗り塗工層用の顔料塗工液を調製した。
(印刷用塗工紙の作製)
酸素−オゾン−水酸化ナトリウム−過酸化水素−二酸化塩素からなる工程で多段漂白されたLBKP35%(CSF500ml)と、酸素−オゾン−水酸化ナトリウム−過酸化水素−二酸化塩素からなる工程で多段漂白されたNBKP35%(CSF500ml)と、新聞古紙から製造したDIP(CSF180ml)30%からなるパルプスラリー100%に、填料として軽質炭酸カルシウム(商品名:タマパールTP−121、前出)を原紙灰分が10%となるように添加した後、パルプスラリーの全固形分に対して硫酸アルミニウム0.5%、カチオン澱粉(商品名:エースK−100、前出)0.5%、アルキルケテンダイマーサイズ剤(商品名:サイズパインK−287、前出)0.1%、ポリアクリルアミド(商品名:ポリストロン851、前出)0.02%を順次添加し、紙料を調製した。この紙料を運転抄速1500m/分でギャップフォーマーによる抄紙を行った後、2基のシュープレスで脱水、乾燥し、40g/mの原紙を得た。この原紙上に、下塗り塗工層用顔料塗工液を、ロッドメタリングサイズプレスを用いて、片面塗工量が4g/m(固形分)となるように両面同時に塗工後、ソフトカレンダーで平滑化処理を施した。このようにして得られた下塗り塗工層上に、上塗り塗工層用顔料塗工液を、ロッドメタリングサイズプレスを用いて、片面塗工量が6g/m(固形分)となるように、一方の面に塗工、乾燥後、他方の面に塗工、乾燥を行った。このようにして得られた両面塗工紙を、180℃に加熱した金属ロールと樹脂ロールよりなる熱ソフトカレンダーに、線圧200kN/cmの加圧条件で、片面が金属ロールと樹脂ロールにそれぞれ4回ずつ接触するように合計8ニップの通紙を行い、米坪60g/mの印刷用塗工紙を得た。
実施例6
実施例1の印刷用塗工紙の作製において、下塗り塗工層用顔料塗工液の塗工方法をロッドメタリングサイズプレスからゲートロールに変更し、上塗り塗工層用顔料塗工液の塗工方法をロッドメタリングサイズプレスからゲートロールに変更して、両面同時に塗工した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
実施例7
実施例1の印刷用塗工紙の作製において、上塗り塗工層用顔料塗工液の塗工量を、片面あたり6g/mから4g/m(固形分)に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。なお、上塗り塗工層用顔料塗工液の固形分濃度は50%、印刷用塗工紙の米坪は56g/mであった。
比較例1
実施例1の下塗り塗工層用顔料塗工液の調製において、澱粉の配合部数を25部から10部に変更し、ラテックスの配合部数を5部から10部に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
比較例2
実施例1の上塗り塗工層用顔料塗工液の調製において、カオリンを75部から80部、重質炭酸カルシウムを15部から20部に変更し、サチンホワイトを10部から無配合に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
比較例3
実施例1の下塗り塗工層用顔料塗工液の調製において、澱粉の配合部数を25部から60部に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。なお、下塗り塗工層用顔料塗工液の固形分濃度は25%であった。
比較例4
実施例1において、下塗り塗工層用顔料塗工液を、顔料は使用せず澱粉のみとし、印刷用塗工紙の作製において、下塗り塗工層用顔料塗工液の塗工量を、片面あたり4g/mから1g/mに変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
比較例5
実施例1の印刷用塗工紙の作製において、上塗り塗工層用コーターを、ロッドメタリングサイズプレスからジェットファウンテンタイプのブレードコーターに変更し、上塗り塗工層用顔料塗工液の塗工量を、片面あたり6g/mから4g/m(固形分)に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。なお、上塗り塗工層用顔料塗工液の固形分濃度は45%、印刷用塗工紙の米坪は56g/mであった。
実施例および比較例で得た印刷用塗工紙は、以下の方法で評価し、その結果を表1に示した。なお、以下の評価試験は、23℃,相対湿度50%の環境下で行った。
(白紙光沢)
ISO 8254−1(1999)に準じた75度光沢度計を用いて測定し、その平均を求めた。
(塗工紙のPPS平滑度)
パーカープリントサーフ(PPS)表面平滑度試験機(機種名:MODEL M−569型、MESSMER BUCHEL社製、英国)を用い、バッキングディスク:ソフトラバー、クランプ圧力:0.98MPaで5回平滑度測定を行ない、その平均を求めた。
(印刷光沢)
RI印刷試験機(明製作所製)で、印刷インキ(商品名:FUSION−G墨Sタイプ、大日本インキ社製)を0.6cc使用して印刷を行い、23℃、50%RHの雰囲気で48時間放置してインキを乾燥させ、光沢度計(型式:GM−26D、村上色彩技術研究所製)を用いて60°光沢度を測定した。
(印刷平滑性)
印刷光沢測定用サンプルを用いて、印刷平滑性を目視評価した。評価は次の5段階評価で行った。
5(優)−1(劣)であり、評価が2以下のものは、実用上問題がある。
(インキ着肉性)
RI印刷試験機で、1色目に印刷インキ(商品名:TOYOKING TKU CC藍、東洋インキ社製)を0.5cc使用して印刷を行い、2色目に印刷インキ(紙試験用インキ紅、東洋インキ社製)を0.3cc使用し、1色目印刷後の時間を15秒、30秒、60秒、90秒、120秒、180秒と変えて重ね刷りした時の2色目紅インキの着肉ムラを目視評価した。なお、インキ着肉ムラの最も劣るところを評価し、評価は5段階評価で行った。
5(優)−1(劣)であり、評価が2以下のものは、実用上問題がある。
(表面強度)
RI印刷試験機で、印刷インキ(紙試験用インキ紅、東洋インキ社製)を0.4cc使用して印刷を行い、印刷面のピッキングの程度を目視評価した。評価は次の5段階評価で行った。
5(優)−1(劣)であり、評価が2以下のものは、実用上問題がある。
Figure 2008274464
表1で明らかなように、本発明による実施例1〜7はいずれも光沢、平滑性および印刷適性に優れた品質が得られている。これに対して、比較例1は下塗り層の澱粉量が少ないために印刷平滑等印刷品質が劣っている。また比較例2は上塗り層にサチンホワイトがないため光沢が劣り、比較例3は澱粉量が多いため表面強度は強くなるが光沢、平滑が劣り、さらに比較例4では下塗り層に顔料量がないため光沢、印刷平滑性が一層劣る。また比較例5は、塗工方式をブレード塗工に変えると少ない塗工量のためインキ着肉性が劣っている。
以上、本発明により、優れた表面平滑性を有し、かつ印刷平滑性やインキ着肉性等の印刷適性に優れた印刷用塗工紙が得られている。

Claims (7)

  1. 原紙の両面に顔料と接着剤を主成分とする顔料塗工層を片面あたり2層有する印刷用塗工紙において、該原紙がギャップタイプのツインワイヤーフォーマー、次いで2基以上のシュープレスで脱水後、乾燥して抄紙され、該原紙に隣接する下塗り塗工層が水溶性接着剤を顔料100質量部あたり15〜50質量部含有し、かつ上塗り塗工層が、2〜30質量部のトリスルホアルミン酸カルシウムを含有していることを特徴とする印刷用塗工紙。
  2. 前記下塗り塗工層の水溶性接着剤が澱粉誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の印刷用塗工紙。
  3. 前記下塗り塗工層が、表面サイズ剤を顔料100質量部あたり0.1〜8質量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載の印刷用塗工紙。
  4. 前記下塗り塗工層に含有する表面サイズ剤が、スチレン・アクリル系、オレフィン系、またはスチレン・マレイン酸系の共重合体の少なくとも一つから選択されたものであることを特徴とする請求項3に記載の印刷用塗工紙。
  5. 原紙の両面に顔料と接着剤を主成分とする顔料塗工液を片面あたり2層塗工する印刷用塗工紙の製造方法において、該原紙がギャップタイプのツインワイヤーフォーマー、次いで2基以上のシュープレスで脱水後、乾燥して抄紙され、該原紙に隣接する下塗り塗工層が、水溶性接着剤を顔料100質量部あたり15〜50質量部含有する顔料塗工液を用いてフィルムトランスファー方式で塗工され、かつ上塗り塗工層が、2〜30質量部のトリスルホアルミン酸カルシウムを含有する顔料塗工液を用いてフィルムトランスファー方式で塗工された後、熱ソフトカレンダーに通紙して平滑化仕上げ処理を行うことを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法。
  6. 前記下塗り塗工層および上塗り塗工層を形成するフィルムトランスファー方式の塗工装置が、ロッドメタリングサイズプレスであり、かつ下塗り塗工層上に上塗り塗工層を形成する際、一方の面に上塗り塗工層用顔料塗工液を塗工、乾燥した後、他方の面に上塗り塗工層用顔料塗工液を塗工、乾燥することを特徴とする請求項5に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
  7. 前記フィルムトランスファー方式の塗工装置が、抄紙から塗工工程までを連続して行うオンマシンコーターであり、塗工速度が1400m/分以上であることを特徴とする請求項5または6に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
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