JP4548611B2 - 印刷用塗被紙 - Google Patents
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Description
3CaO・Al2O3・3CaSO4・31〜32H2O (1)
ちなみに、下塗り塗被層を備えた従来の印刷用塗被紙では、その下塗り塗被層の顔料にサチンホワイトを配合した僅かな例もあるが(特許文献5参照)、多くは比較的安価な顔料が使用され、接着剤にも比較的安価な澱粉などが使用されていた。
下塗り塗被層の接着剤成分には、分散粒子の粒子径が120nm以下、特に100nm以下の分散型の接着剤を使用することが好ましく、水溶性接着剤を併用する場合には、その量を顔料成分100質量部当たり7質量部以下とすることが好ましい。
最外塗被層の顔料成分は、その1〜30質量%がサチンホワイトであることが好ましい。
最外塗被層の接着剤成分には、分散粒子の粒子径が120nm以下、特に100nm以下の分散型の接着剤を使用することが好ましく、水溶性接着剤を併用する場合には、その量を顔料成分100質量部当たり4質量部以下とすることが好ましい。
本発明の印刷用塗被紙において、下塗り塗被層を構成する顔料成分は、それが如何なる種類のものであっても、平均粒子径が0.1〜1.3μmの範囲、好ましくは0.3〜1,0μmの範囲にある。下塗り塗被層を構成する顔料成分の平均粒子径が1.3μmを超える場合は、下塗り塗被層自体に優れた平滑性を付与することが難しく、0.1μm未満である場合は、平滑性を付与する上では好ましいが、下塗り塗被層の形成に比較的多量の接着剤を必要とするため、経済性で不利がある。
上記した分散型接着剤と共に少量の水溶性接着剤を併用することができる。水溶性接着剤としては、酸化澱粉、エステル化澱粉、冷水可溶性澱粉などの各種澱粉類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白などの蛋白質類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコールやその変性品などが例示できる。
水溶性接着剤を併用する場合は、その含有量を顔料成分100質量部当たり、7質量部以下、特に4質量部以下とすることが好ましい。7質量部を超えると下塗り塗被層の平滑性が劣るため好ましくない。少量の水溶性接着剤を分散型接着剤と併用することは、下塗り塗被層を形成する塗被液(coating mixture)の増粘、保水に有効である。
本発明に係る印刷用塗被紙の最外塗被層は、平均粒子径が0.1〜1.3μmの範囲、好ましくは0.3〜1.0μmの範囲にある白色顔料と、白色顔料100質量部当たり10〜20質量部の接着剤を含有する第2の塗被液(coating mixture)を、原紙上に形成されている下塗り塗被層の表面に塗工して乾燥することによって形成される。塗工にはロール塗工、エアナイフ塗工、バー塗工、ブレード塗工等が採用可能であるが、ブレード塗工の採用が好ましい。第2塗被液の塗工量は、前述した下塗り塗被層の形成に用いる第1塗被液の塗工量との合計で、原紙の片面当たり、10〜20g/m2の範囲で選ばれる。
最外塗被層に使用できるサチンホワイト以外の顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、焼成カオリン、構造性カオリン、デラミカオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ニ酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、アルミノ珪酸マグネシウム、珪酸カルシウムベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の無機顔料や、密実型、中空型、貫通孔型のプラスチックピグメント等を挙げることができる。これらの白色顔料は、1種又は2種以上が本発明では使用可能である。
最外塗被層の接着剤成分が、何れの分散型接着剤を使用する場合でも、分散した接着剤粒子の粒子径は、50〜120nm、特に50〜90nmの範囲であることが好ましい。
水溶性接着剤を併用する場合は、その含有量を顔料成分100質量部当たり、特に4質量部以下とすることが好ましい。4質量部を超えると最外塗被層の平滑性が劣るため好ましくない。少量の水溶性接着剤を分散型接着剤と併用することは、最外塗被層を形成する塗被液(coating mixture)の増粘、保水に有効である。
本発明では、下塗り塗被層及び最外塗被層にそれぞれ含まれる顔料成分の平均粒子径を特定するとともに、その下塗り塗被層及び最外塗被層を、比較的緊度の低い原紙の片面又は両面に設けているため、カレンダに格別高い押圧力を採用しない限り、当業界で常用されているカレンダ仕上げによって、緊度が1.05g/cm3以下である印刷用塗被紙を得ることができる。
ピロリン酸ソーダの0.1%液中に顔料を超音波で5分間分散処理し、X線透過式粒度分布測定装置(機種名:セディグラフ5100、マイクロメリティクス社製)を用いて沈降法により測定した。平均粒子径は粗粒子分からの累積質量が50%に相当する点での粒子径で示した。
共重合体ラテックスを含む試料を、透過型電子顕微鏡にて倍率5万倍で写真撮影し、得られた顕微鏡写真から共重合体ラテックス粒子約200個の粒子径を測定し、数平均で求めた。
・第1塗被液の調製
平均粒子径1.3μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ60、備北粉化工業社製)90%と、平均粒子径1.0μmのサチンホワイト(商品名:サチンホワイトB、白石工業社製)10%からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:王子エースB、王子コーンスターチ社製)を2部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2182−2、平均粒子径:100nm、日本エイアンドエル社製)を10部(いずれも固形分換算)添加し、さらに、助剤として消泡剤及び染料を添加し、最終的に固形分濃度59%の第1塗被液を調製した。
平均粒子径0.4μmの微細カオリン(商品名:カオグロス、ヒューバー社製:米国)80%と、平均粒子径0.8μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、備北粉化工業社製)20%からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:王子エースB、前出)を2部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2323、アクリロニトリルモノマー含有量:21質量%、平均粒子径:89nm、日本エイアンドエル社製)を12部(いずれも固形分換算)、添加し、助剤として消泡剤及び染料を添加して、最終的には固形分濃度が59%の第2塗被液を調製した。
緊度が0.73g/cm3である上質原紙(米坪72.5g/m2)の両面に、前記第1塗被液を片面当たりの乾燥重量が8g/m2となるようにブレードコーターを使用して塗工し、これを乾燥して下塗り塗被層を設けた。次いで、各下塗り塗被層上に前記第2塗被液を片面当たりの乾燥重量が9g/m2となるようにブレードコーターを使用して塗工し、これを乾燥して最外塗被層を設けた。このようにして得られた塗被紙を、温度35℃、線圧80KN/mの条件でスーパーカレンダに通紙し、緊度1.04g/cm3の印刷用塗被紙を得た。
実施例1で使用した第2塗被液の顔料成分を、平均粒子径0.4μmの微細カオリン(商品名:カオグロス、前出)80%と、平均粒子径0.8μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、前出)10%と、平均粒子径1.0μmのサチンホワイト(商品名:サチンホワイトB、前出)10%とからなる顔料成分に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。
実施例2で使用した第1塗被液の接着剤成分を、酸化澱粉(商品名:王子エースB、前出)6部、およびスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2182−2、前出)8部(いずれも固形分換算)に変更し、この塗被液の固形分濃度を56%に変更した以外は、実施例2と同様にして印刷用塗被紙を得た。
実施例2で使用した第1塗被液の接着剤成分を、酸化澱粉0.1部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス11部(いずれも固形分換算)に変更した以外は、実施例2と同様にして印刷用塗被紙を得た。
実施例2で使用した第1塗被液の顔料成分を、平均粒子径1.3μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ60、前出)70%と、平均粒子径1.0μmのサチンホワイト(商品名:サチンホワイトB、前出)30%とからなる顔料成分に変更し、この塗被液の固形分濃度を48%に変更した以外は、実施例2と同様にして印刷用塗被紙を得た。
実施例2で使用した第1塗被液の顔料成分を、平均粒子径0.8μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、前出)90%と、平均粒子径1.0μmのサチンホワイト(商品名:サチンホワイトB、前出)10%とからなる顔料成分に変更し、この塗被液の固形分濃度を48%に変更した以外は、実施例2と同様にして印刷用塗被紙を得た。
実施例6で使用した第2塗被液の接着剤成分を、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:T−2629M、アクリロニトリルモノマー含有量:17質量%、平均粒子径:125nm、ジェイエスアール社製)に変更した以外は、実施例6と同様にして印刷用塗被紙を得た。
実施例6の印刷用塗被紙の作製において、下塗り塗被層の塗被量(片面当たりの乾燥重量)を10g/m2とした以外は、実施例6と同様にして印刷用塗被紙を得た。
実施例6の印刷用塗被紙の作製において、原紙として、緊度が0.67g/cm3である上質原紙(米坪70.0g/m2)を使用した以外は、実施例6と同様にして印刷用塗被紙を得た。
実施例2で使用した第1塗被液の顔料成分の全てを、平均粒子径1.3μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ60、前出)に変更した以外は、実施例2と同様にして印刷用塗被紙を得た。
実施例1で使用した第1塗被液の顔料成分の全てを、平均粒子径1.3μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ60、前出)に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。
実施例2で使用した第1塗被液の顔料成分を、平均粒子径2.1μmの重質炭酸カルシウム(商品名:B21、王子製紙米子工場自製)90%と、平均粒子径1.0μmのサチンホワイト(商品名:サチンホワイトB、前出)10%とからなる顔料成分に変更した以外は、実施例2と同様にして印刷用塗被紙を得た。
・粗粒サチンホワイト顔料スラリーの調製
容積が250リットルの反応槽(コーレス攪拌槽)に90kg(90リットル)の水を入れ、これに撹拌しながら、分級処理を行っていない(粒径が直径1〜4cmの大きさのものが混在している)塊状の生石灰(CaO、足立石灰工業社製)10.0kgを投入した。次いで、攪拌を続けながら溶解し液の温度を上昇させ、85〜95℃の範囲に1時間保持した後、30℃に冷却した。次に、撹拌を更に激しくしながら硫酸バンドの水溶液(水50kg(50リットル)に対してAl2(SO4)3・18H2O 25kgを溶解したもの)58.3kgを約1kg/分の送液量で徐々に添加し、サチンホワイトの懸濁液を得た。
この懸濁液をフィルタープレスで搾水し、固形分濃度32%のケーキ状のサチンホワイトを得、次にこのサチンホワイトの固形分100部当りポリカルボン酸ナトリウム(商品名:アロンT−40、東亜合成社製)3部及び水を加えて固形分濃度20%とした後、サンドグラインダーに通してサチンホワイトの分散液を得、更にこの分散液を150メッシュのスクリーンメッシュ処理を行い、固形分濃度20%のサチンホワイト顔料スラリーを得た。この顔料スラリーから得たサチンホワイトのX線透過式粒度分布測定による平均粒子径は、3.0μmであった。
実施例2で使用した第2塗被液の顔料成分を、平均粒子径0.4μmの微細カオリン(商品名:カオグロス、前出)10%と、平均粒子径0.8μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、前出)80%と、平均粒子径1.0μmのサチンホワイト(商品名:サチンホワイトB、前出)10%とからなる顔料成分に変更した以外は、実施例2と同様にして印刷用塗被紙を得た。
実施例10で使用した第2塗被液の接着剤成分を、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:T−2629M、アクリロニトリルモノマー含有量:17質量%、平均粒子径:125nm、ジェイエスアール社製)に変更した以外は、実施例10と同様にして印刷用塗被紙を得た。
実施例10で使用した第1塗被液の顔料成分全てを、平均粒子径1.3μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ60、前出)に変更した以外は、実施例10と同様にして印刷用塗被紙を得た。
実施例1〜11及び比較例1〜5で得た各印刷用塗被紙の品質を、下記の項目で評価した。評価は、特に記載ない限り、23℃、50RH%の環境下で行った。結果を表1a〜表1cに示す。
パーカープリントサーフ(PPS)表面平滑度試験機(機種名:MODEL M−569型、MESSMER BUCHEL社製、英国)を用い、バッキングディスク:ソフトラバー、クランプ圧力:0.98MPaで5回平滑度測定を行ない、その平均を求めた。平滑度の測定は、下塗り塗被層を設けた後、最外塗被層を設けた後、及びカレンダ仕上げ後の3点で、それぞれ実施した。
最終のカレンダ仕上げ後の塗被層表面を肉眼で観察し、平滑性を4段階評価した。
◎:平滑性が特に優れる。
○:平滑性が優れる。
△:平滑性がやや劣る。
×:平滑性が劣る。
カレンダ処理した各塗被紙の最外塗被層表面を肉眼で観察し、ストリークの有無を調べた。
○:ストリークなし。
△:ストリークあり。
カレンダー処理前後の各塗被紙の光沢を、TAPPI試験法:T 480 om−92(TAPPI Test Method T 480 om−92)に準じて、光沢度計(型式:GM−26D、村上色彩技術研究所社製)にて測定した。
RI印刷機にて、印刷インキ(商品名:Values−G 墨 Sタイプ、大日本インキ化学工業社製)を0.1cc使用してRI印刷機にて、各塗被紙に印刷を行い、塗被紙のインキ転写面を肉眼で観察し、転写したインキ濃度(インキ着肉性)と、濃度の均一性(印刷平滑性)とから、塗被紙の印刷適性を4段階評価した。
◎:印刷適性が特に優れる。
○:印刷適性が優れる。
△:印刷適性がやや劣る。
×:印刷適性が劣る。
印刷インキ(商品名:Values−G 墨 Sタイプ、大日本インキ化学社製)を0.7ccを使用して各塗被紙に印刷を施し、印刷物を24時間静置乾燥した。その後、各塗被紙の印刷面の60°光沢を、JIS Z8741−1997に準拠して測定した。
カレンダー処理後の印刷用塗被紙および原紙の緊度は、ISO 534:1988の規定に従って測定した。
Claims (8)
- 緊度0.75g/cm3以下の原紙の少なくとも片面に、顔料と接着剤を主成分とする塗被層を2層以上設けた緊度1.05g/cm3以下の印刷用塗被紙において、最外塗被層に接する下塗り塗被層の顔料成分を、X線透過式粒度分布測定における平均粒子径がそれぞれ0.1〜1.3μmの範囲にあるサチンホワイト1〜30質量%と、その他の白色顔料70〜99質量%との混合物で構成させ、前記下塗り塗被層の接着剤成分の量が、顔料成分100質量部当たり10〜20質量部の範囲であることを特徴とする前記の印刷用塗被紙。
- 前記下塗り塗被層の接着剤成分が、粒子径120nm以下の分散型接着剤を含有する請求項1記載の印刷用塗被紙。
- 前記下塗り塗被層の接着剤成分が、水溶性接着剤と分散型接着剤からなり、水溶性接着剤の量が、下塗り塗被層に含まれる顔料成分100質量部当たり7質量部以下である請求項2記載の印刷用塗被紙。
- 前記最外塗被層の顔料成分が、X線透過式粒度分布測定における平均粒子径が0.1〜1.3μmの範囲にある白色顔料であり、前記最外塗被層の接着剤成分の量が白色顔料100質量部当たり10〜20質量部の範囲である請求項1記載の印刷用塗被紙。
- 前記最外塗被層に含まれる白色顔料の1〜30質量%が、サチンホワイトである請求項4記載の印刷用塗被紙。
- 前記最外塗被層の接着剤成分が、水溶性接着剤と分散型接着剤からなり、水溶性接着剤の量が、最外塗被層に含まれる顔料成分100質量部当たり4質量部以下である請求項1記載の印刷用塗被紙。
- X線透過式粒度分布測定における平均粒子径が、それぞれ0.1〜1.3μmの範囲にあるサチンホワイト1〜30質量%と、その他の白色顔料70〜99質量%とで構成させた顔料成分と、この顔料成分100質量部当たり10〜20質量部の接着剤を含有する第1の塗被液(coating mixture)を、緊度が0.75g/cm3以下である原紙の少なくとも片面に塗布、乾燥して下塗り塗被層を形成する工程と、
X線透過式粒度分布測定における平均粒子径が0.1〜1.3μmの範囲にある顔料成分と、顔料成分100質量部当たり10〜20質量部の接着剤を含有する第2の塗被液(coating mixture)を、前記の下塗り塗被層の表面に塗布、乾燥して最外塗被層を形成させる工程と、
得られた塗被紙をマイルドな条件下でカレンダ仕上げする工程を
包含する印刷用塗被紙の製造法。 - 前記第1塗被液を、原紙にブレード塗工し、下塗り塗被層のPPS平滑度を2.0〜3.5μmの範囲に保持する請求項7記載の印刷用塗被紙の製造法。
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