JPH07238495A - 嵩高艶消し塗被紙の製造方法 - Google Patents

嵩高艶消し塗被紙の製造方法

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JPH07238495A
JPH07238495A JP3056994A JP3056994A JPH07238495A JP H07238495 A JPH07238495 A JP H07238495A JP 3056994 A JP3056994 A JP 3056994A JP 3056994 A JP3056994 A JP 3056994A JP H07238495 A JPH07238495 A JP H07238495A
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JP
Japan
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pigment
paper
matte
layer
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JP3056994A
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English (en)
Inventor
Masahiro Higuchi
昌宏 樋口
Seiji Fujiwara
誠二 藤原
Takio Kuroda
多喜男 黒田
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New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
New Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】特に紙腰が強く、印刷適性に優れ、かつブラン
ケットパイリングおよび印刷インクの定着不良(印刷イ
ンクの裏移り現象)が解消された嵩高艶消し塗被紙の製
造方法を提供する。 【構成】原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする下塗り
層および上塗り層を設けてなる嵩高艶消し塗被紙の製造
方法であり、特に緊度が0.7g/cm3 以下である原
紙上に下塗り層を設け、下塗り層を設けた後の塗被層面
のASTM−D−726に準拠した透気度が8〜80秒
である下塗り層上に、顔料として平均粒子径が0.7〜
10μmである沈降性炭酸カルシウムが全顔料の20重
量%以上、さらに平均粒子径が5〜15μmである重質
炭酸カルシウムが全顔料の30重量%以上含有される上
塗り層を設けてなる嵩高艶消し塗被紙の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、艶消し塗被紙の製造方
法に関し、特に腰が強く、印刷適性に優れ、かつブラン
ケットパイリングおよび印刷インクの定着不良(所謂、
印刷インクの裏移り)が解消された嵩高艶消し塗被紙の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、塗被紙は各種印刷用紙や産業用紙
として巾広い分野で多量に利用されている。このような
塗被紙は塗被される塗料の組成分(顔料や接着剤の種
類)や塗工方式、あるいは仕上げ方法等によって、いろ
いろな特徴を有する塗被紙として仕上げられる。例え
ば、キャスト方式で仕上げられる塗被紙は高光沢と高平
滑性を有し、高級感を必要とする印刷物やファッション
バッグ等に利用されている。また、汎用性のある光沢を
付与した塗被紙も巾広く各種の印刷物や産業用紙等に利
用されている。一方、塗被紙の中にあって、その表面の
光沢が殆ど要求されない、所謂艶消し塗被紙といわれる
塗被紙がある。このような艶消し塗被紙は意図的にその
表面光沢を押さえているために、白紙光沢を有する通常
の塗被紙と比較し視覚に上品なイメージを訴える力があ
り、さらに印刷物にすると疲労なく見ることができる等
の理由から、その利用範囲も高級な美術印刷、カタロ
グ、パンフレット、カレンダーや商業出版用本文用紙等
に巾広く伸びている。
【0003】ところで、艶消し塗被紙とは、一般にその
表面の光沢度がJIS−P−8142法に準拠した光沢
度計で測定した場合、75°光沢値で40%以下のもの
を艶消しと称している。一般に、艶消し塗被紙には2種
類があり、その1つはマット−グロス型と呼ばれ、白紙
光沢は低いが、高いインク光沢を呈するダル調の艶消し
塗被紙であり、他の1つは、マット−マット型と呼ば
れ、白紙光沢、インクグロスともに低調なマット調艶消
し塗被紙である。
【0004】即ち、前者のダル調艶消し塗被紙の製造方
法は、印刷インクの吸収を抑制して、インクグロスを発
現させる必要性があることから、緻密な塗被層表面を設
けることが重要である。そのために、サチンホワイト、
カオリン、水酸化アルミニウム等の針状、平板状の形状
でその平均粒子径が約0.5〜1.5μmの比較的微粒
子の顔料を使用した塗被組成物を塗被し、例えば特開平
4−108199号公報に記載されているような塗被層
表面を、粗面化金属ロールを有するキャレンダーで艶消
し仕上げする低白紙光沢−高インクグロスの艶消し塗被
紙である。従って、白紙光沢(JIS−P−8142
法)も25〜40%程度で比較的高い光沢値を示す。
【0005】一方、後者のマット調の艶消し塗被紙の製
造方法は、通常の印刷塗被紙の製造で使用される塗被紙
用顔料のうち、2〜10μm程度の比較的粗い顔料を主
成分とする塗被組成物を原紙に塗被乾燥後、そのまま仕
上げるか、あるいは非常に軽くキャレンダー処理をして
仕上げるものであり、白紙光沢は3〜30%程度で低
く、所謂、低白紙光沢−低インクグロスの艶消し塗被紙
である。
【0006】上記より、特に後者の場合は、通常の光沢
を呈する塗被紙や、前者のダル調艶消し塗被紙に比較し
て、粗い重質炭酸カルシウムを顔料の主成分とし、キャ
レンダー処理を非常に軽く仕上げるために、平滑性にも
限度があり、かつ印刷適性も悪いのが実状である。さら
に、このようなマット調艶消し塗被紙を印刷工程に掛け
た場合、平版印刷された紙は印刷後棒積みにしたとき
に、印刷インクが白紙部に転移して、所謂インクの裏移
りが発生し、印刷物の品質が著しく低下する。
【0007】また、印刷を終えた後、製本工程を経て製
本化される。その場合の印刷物は、折り機や丁合機で印
刷部と白紙部とが接触することになり、印刷インクが白
紙部に転移したり、製本後の積み重ねで表紙と裏表紙と
が接触することになり、印刷インクが白紙面に転移し
て、印刷物の品質低下を招くといった難点を抱えている
のが実状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、白紙光沢お
よび印刷インク光沢がともに低く抑えられ、印刷工程
上、インクの裏移りやブランケットパイリングが発生せ
ず、良好な印刷適性と印刷作業性を有し、さらに嵩高
で、紙腰のあるマット調の艶消し塗被紙を得る方法を提
供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、原紙上に、顔
料と接着剤を主成分とする下塗り層および上塗り層を設
けてなる嵩高艶消し塗被紙の製造方法において、緊度が
0.7g/cm3 以下である原紙上に下塗り層を設け、
下塗り層を設けた後の塗被層面のASTM−D−726
に準拠した透気度が8〜80秒である下塗り層上に、顔
料として平均粒子径が0.7〜10μmである沈降性炭
酸カルシウムが全顔料の20重量%以上、さらに平均粒
子径が5〜15μmである重質炭酸カルシウムが全顔料
の30重量%以上含有される上塗り層を設けたことを特
徴とする嵩高艶消し塗被紙の製造方法である。
【0010】
【作用】本発明者等は、前述したように、白紙光沢およ
び印刷インク光沢がともに低く抑えられ、また、印刷工
程上でのブランケットパイリングや印刷インクの裏移り
現象がなく、印刷適性に優れ、嵩高で紙腰のあるマット
調の艶消し塗被紙を得るべく、鋭意検討、研究を重ね
た。その結果、特定の緊度を有する原紙上に、特定の表
面物性を有する下塗り層を設け、その下塗り層上に、特
定の沈降性炭酸カルシウムおよび重質炭酸カルシウムを
主成分とする、水性塗被組成物を塗被してなる上塗り塗
被層を設けて得られる艶消し塗被紙は、白紙光沢および
印刷光沢がともに低く抑えられ、かつ紙腰が強く、印刷
適性に優れ、ブランケットパイリングやインク定着不良
が発生せず、従来にない、極めて優れた嵩高艶消し塗被
紙が得られることが判り、本発明を完成するに至ったも
のである。
【0011】先ず、本発明で特徴となる原紙について述
べる。高光沢を呈する通常の原紙の緊度は特に限定され
るものではないが、一般的には0.7〜0.95g/c
3 程度のものが使用されている。本発明においては、
その原紙の緊度が0.7g/cm3 以下のものを使用す
ることにより、所望の効果を得るものである。因みに、
緊度が0.7g/cm3 を越える原紙を使用すると、最
終製品に仕上げた場合に、嵩高さ、および紙腰が低下し
好ましくない。
【0012】なお、原紙緊度を低くするための方策とし
ては、細胞膜の厚いパルプを選択して使用する、パルプ
の叩解を粗くする、アラミド繊維等の硬質パルプの配
合、嵩高い填料を使用する、プレスでの初期脱水を少な
くする、抄紙機のキャレンダー圧の軽減等による手段が
あり、最終製品の品質仕様を勘案し、上記の手段の1
つ、または2つ以上の手段を適宜組み合わせることによ
り、所望の緊度に調整することができる。
【0013】次に、本発明の第2番目の特徴となる下塗
り層の条件について述べる。即ち、ここでいう下塗り層
の表面条件として、下塗り層を設けた塗被層面のAST
M−D−726法に準拠した透気度が8〜80秒になる
ように下塗り層を設けることが重要である。因みに、8
秒未満の場合には、その上に上塗り塗被層用の塗被液を
塗被した場合に、その塗被液が下塗り層に浸透し過ぎ
て、嵩高な塗被紙が得られ難くなると同時に上塗り層面
の表面形状も不均一となり易く、ブランケットパイリン
グの発生や、印刷表面強度の低下等が有り、本発明で所
望とする効果を得ることができない。他方、80秒を越
えると、塗被紙表面の多孔性が乏しくなり、上塗り層を
設け、製品に仕上げた場合、印刷インクの乾燥性が低下
し、印刷インクの裏移りが発生し易くなり、この場合も
本発明で所望とする効果が得られない。
【0014】下塗り層を設けた後の透気度が上記の範囲
となるための処方としては、特段限定するものではない
が、例えば下塗り塗被層用顔料として、炭酸カルシウ
ム、カオリン、サチンホワイト、タルク、水酸化アルミ
ニウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛等の無
機顔料、プラスチックピグメント、中空ピグメント、バ
インダーピグメント等の有機顔料等、通常の塗被紙分野
で使用される顔料が適宜使用される。これらの中でも、
特に好ましい顔料としては、炭酸カルシウム、カオリ
ン、サチンホワイトであるが、経済性等を考慮すると、
炭酸カルシウムが最も好ましく、炭酸カルシウムの中で
も平均粒子径の比較的細かいものが望ましい。
【0015】また、塗被量も塗被層面の透気度に大きく
影響を与えるものであり、その量が少ないと、当然透気
度は低くなり、多くなるに従い透気度も高くなる。本発
明においては、最終製品の目的、品質仕様より、3〜1
5g/m2 、より好ましくは4〜10g/m2 程度の範
囲で調節される。
【0016】なお、下塗り層中にジルコニウム化合物を
添加すると、透気度が低くなり、印刷インクのマット性
(低光沢)が発現され、かつインクの裏移り現象の解消
に対し、著しい改良効果が認められるためにより好まし
いことが分かった。このときのジルコニウム化合物の添
加量は下塗り層中の顔料に対し、0.05〜5重量%の
範囲で調節される。上記のジルコニウム化合物として
は、水溶性のジルコニウム化合物が好ましく用いられ、
例えば炭酸ジルコニウムアンモニウム、酢酸ジルコニウ
ム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、沃化ジルコ
ニウム、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ沃化ジルコニ
ウム等が例示される。さらに、これらの中でも炭酸ジル
コニウムアンモニウムが特に好ましく用いられる。
【0017】本発明で得られる製品は、前記したように
艶消し塗被紙であり、特に白紙光沢、および印刷光沢と
もに低光沢を有する、所謂マット−マット型の艶消し塗
被紙であり、特に従来のマット調の塗被紙が難点として
抱えているインク裏移りやブランケットパイリング(ブ
ランケット上にインクおよび/または塗被組成物等が累
積する現象:その結果として満足な印刷ができなくな
る)等を解消することを主目的としたものであり、さら
に嵩高な製品に仕上げることにより、上品で、より高級
感を醸成できるようにしたものである。
【0018】従って、最上層の塗被層は直接印刷インク
を受理する部分であり、製品の外観を受けもつ点でも極
めて重要な部位となる。本発明では、この上塗り層用塗
被組成物に使用する顔料について十分に検討を加えた。
その結果、特に沈降性炭酸カルシウムがその特性として
有する、嵩高い塗被層の形成能、および高い吸油性能に
着目して種々実験を重ねたところ、極めて優れた作用効
果を示すことが分かった。
【0019】即ち、上塗り塗被層に使用する沈降性炭酸
カルシウムとしては、その平均粒子径がセディグラフ5
000−1(島津製作所製)で測定した値で0.5〜1
0μmのものを使用することにより、好ましい結果が得
られることが分かった。因みに、0.5μm未満では、
他の低光沢顔料と併用しても白紙光沢の低光沢化が十分
でなく、所望の艶消し塗被紙を得られない。他方、10
μmを越えると、得られる塗被紙として、満足すべき嵩
高い製品を得ることが難しく、さらに印刷インクの裏移
り現象の軽減〜解消効果が十分に得られない。そして、
上記特定の沈降性炭酸カルシウムの配合量としては、上
塗り層の全顔料に対し20重量%以上配合されることが
重要である。因みに、20重量%未満の場合には、所望
の嵩高い製品を得ることが難しく、さらにインクの裏移
り現象の解消効果も少ない。
【0020】なお、この場合の沈降性炭酸カルシウムの
種類としては、カルサイト、アラゴナイト等の結晶構造
や針状、紡錘状、立方形状等の形状によって限定される
ものではなく、種々の実験結果より、0.05〜0.5
μmからなる単一の微粒子が凝集して強固な結束二次粒
子形(このような粒子形態での平均の粒子径を、平均粒
子径と称する)を形成するものが比較的高い吸油性を呈
し、本発明の所望の目的、効果を得る上で、極めて好ま
しいことが分かった。
【0021】上記の如き特定の沈降性炭酸カルシウムを
所定量使用することにより、嵩高さやインクの裏移りの
解消効果に関しては、十分な効果を得ることができるも
のの、比較的細かい粒子のために、光沢が発現されやす
く、マット−マット型の艶消し塗被紙を得る上では、な
お、不十分なものであることが分かった。そこで、さら
に鋭意、検討を重ねた結果、顔料として重質炭酸カルシ
ウムを併用し、両者の組み合わせによる相乗効果によ
り、本発明が所望とする、優れたマット−マット型の艶
消し塗被紙が得られることを見出した。
【0022】この場合の、重質炭酸カルシウムとして
は、その平均粒子径がセディグラフ5000−1(島津
製作所製)で測定した値で5〜15μmのものを使用す
ることが重要である。因みに、5μm未満の場合、低調
な光沢を得ることが難しい。他方15μmを越えると、
塗被層のミクロな平滑性が損なわれ、印刷適性が悪化
し、さらにはブランケットパイリングや塗被層面に擦れ
傷等が発現されるようになり、好ましくない。また、前
記の重質炭酸カルシウムの配合量としては、上塗り層の
全顔料に対し30重量%以上配合されることが重要であ
る。因みに、30重量%未満では、十分なマット調の製
品を得ることが難しい。
【0023】このように、上塗り層の顔料として、比較
的光沢が出やすい特定の平均粒子径を有する沈降性炭酸
カルシウムと相対的に光沢の低い特定の平均粒子径を有
する重質炭酸カルシウムを特定量配合することにより、
そのバランス効果によって、初めて、嵩高で、優れた印
刷適性を有するマット−マット調の艶消し塗被紙を得る
ことができるものである。
【0024】なお、上塗り層の顔料としては、上記の沈
降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムの他に、本発
明の目的、効果を損なわない範囲で、例えばサチンホワ
イト、タルク、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、硫
酸バリウム、酸化亜鉛等の一般塗被紙用として使用され
ている無機顔料、プラスチックピグメント、合成樹脂性
中空ピグメント、バインダーピグメント等の有機顔料の
1種以上を適宜使用することができる。とりわけ、サチ
ンホワイトを上塗り層用顔料として2〜25重量%程度
配合すると、塗被層が多孔化(ポーラスになる)するこ
とにより、特にインクの裏移りが解消でき、優れた嵩高
艶消し塗被紙が得られることがわかった。因みに、2重
量%未満の場合には得られる効果が少なく、他方25重
量%を越えるとインクグロスが発現されやすく、所望の
艶消し塗被紙を得ることが難しくなる。
【0025】下塗り、および上塗り層用塗被液に使用さ
れる接着剤としては、特に限定されるものではなく、通
常の塗被紙製造分野で使用される接着剤、例えば各種の
澱粉類、カゼイン、あるいは大豆蛋白等の蛋白類、スチ
レン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリル系ラテ
ックスやポリビニルアルコール等の合成高分子類を適宜
使用することができるが、中でもスチレン−ブタジエン
共重合体ラテックスおよびアクリル系ラテックスが特に
望ましい。さらに、上記以外に、下塗り、および上塗り
層用塗被液中には各種の助剤、例えば分散剤、防腐剤、
染料、保水剤、硬化剤、耐水化剤等を必要に応じて添加
することもできる。
【0026】本発明では、上記の如くして得られた下塗
り層用塗被液および上塗り層用塗被液を先に特定した原
紙上に塗被することで所望の艶消し塗被紙を得るもので
ある。なお、この場合の下塗り層上に塗被する上塗り層
用塗被液の塗被量は、得られる製品品質を考慮すると、
片面当たり固形分で5〜30g/m2 、より好ましくは
8〜20g/m2 の範囲で調節するのが好ましい。ま
た、上塗り層用塗被液および下塗り層用塗被液を塗被す
る方法は、通常の塗工紙製造分野で使用されている、各
種の塗工装置、例えばエアーナイフコーター、各種のブ
レードコーター、チャンプレックスコーター等が適宜使
用でき、特に限定されるものではない。
【0027】かくして得られた塗被紙は、各種公知公用
の仕上げ装置(スーパーキャレンダー、グロスキャレン
ダー等)に通紙して製品仕上げが施される。本発明の場
合、その目的より、平滑化し易く、光沢が発現されにく
いような加圧仕上げを行う必要があり、硬質樹脂ロール
等を装備したキャレンダーに通紙して仕上げる方法が望
ましい。そして、最終製品の緊度としては、その値が
1.10g/cm3 を越えないように加圧操作をするこ
とがより望ましい。因みに、1.10g/cm3を越え
ると、紙腰が顕著に低下し、所望の嵩高い塗被紙が得ら
れ難くなる恐れがある。
【0028】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明するが、勿論それらに限定されるものではない。
なお、特に断らない限り、例中の部および%はそれぞ
れ、固形分としての「重量部」および「重量%」で示し
た。
【0029】 実施例1、実施例12〜15、比較例4〜7 顔料として、カオリン50部と沈降性炭酸カルシウム5
0部、接着剤として、顔料100部に対し、酸化澱粉5
部(固形分として)とスチレン−ブタジエン共重合体ラ
テックス10部、炭酸ジルコニウムアンモニウム2部か
らなる濃度50%の下塗り層用塗被液を調製した。かく
して得られた下塗り層用塗被液を緊度が0.63g/c
3 である上質原紙(米坪130g/m2 )の上に乾燥
重量が片面で5g/m2 となるようにブレードコーター
で両面塗被後、乾燥して塗被層面のASTM−D−72
6に準拠した透気度が14秒である両面下塗り塗被層を
設けた。
【0030】次いで、顔料としてサチンホワイト10部
と表2に示すような平均粒子径を持つ、重質炭酸カルシ
ウム65部と沈降炭酸カルシウム25部、接着剤として
顔料100部に対し、酸化澱粉5部、スチレン−ブタジ
エン共重合体ラテックス10部からなる濃度55%の上
塗り層用塗被液を調製した。かくして得られた上塗り層
用塗被液を上記の下塗り層の上に、片面が15g/m2
となるように両面塗被後、乾燥して、片面2度塗りの塗
被紙を得た。さらに、この塗被紙を仕上緊度が0.90
g/cm3 となるようにスーパーキャレンダーがけして
艶消し塗被紙を得た。かくして得られた艶消し塗被紙に
ついて、下記に示すような評価方法により品質評価を行
い、その結果を表3にまとめて示した。
【0031】実施例2 実施例1において、下塗り層用塗被液の塗被量を片面5
g/m2 から7g/m 2 に変更し、下塗り層面のAST
M−D−726に準拠した透気度が30秒である下塗り
塗被層を設けた以外は実施例1と同様にして艶消し塗被
紙を得た。得られた塗被紙について、実施例1と同様に
して品質評価を行い、その結果を表3にまとめて示し
た。
【0032】比較例1 実施例2において、下塗り層用塗被液の酸化澱粉を10
部に変更した以外は、実施例2と同様にブレードコータ
ーで塗被、乾燥し、下塗り層表面のASTM−D−72
6に準拠した透気度が110秒である下塗り塗被層を得
た以外は、実施例2と同様にして艶消し塗被紙を得た。
得られた塗被紙について、実施例1と同様にして品質評
価を行い、その結果を表3にまとめて示した。
【0033】比較例2 実施例1において、下塗り層用塗被液の塗被量を2g/
2 とし、下塗り層を設けた後の塗被面のASTM−D
−726に準拠した透気度が3秒である下塗り塗被層を
得た以外は、実施例1と同様にして嵩高艶消し塗被紙を
得た。得られた塗被紙について、実施例1と同様にして
品質評価を行い、その結果を表3にまとめて示した。
【0034】実施例3 実施例2において、下塗り層用塗被液の酸化澱粉の量を
7部とし、下塗り層表面のASTM−D−726に準拠
した透気度が50秒である下塗り塗被層を得た以外は、
実施例1と同様にして嵩高艶消し塗被紙を得た。得られ
た塗被紙について、実施例1と同様にして品質評価を行
い、その結果を表3にまとめて示した。
【0035】実施例4〜5 実施例1において、用いる原紙について、抄紙機のキャ
レンダーの加圧条件をそれぞれ調節して、表1に示すよ
うな緊度(実施例4:0.60g/cm3 、実施例5:
0.69g/cm3 )を持つ原紙を使用し、両面下塗り
塗被層のASTM−D−726に準拠した透気度がそれ
ぞれ、表1に示すような数値(実施例4:12秒/10
cc、実施例5:20秒/10cc)を得た以外は、実
施例1と同様にして嵩高艶消し塗被紙を得た。得られた
塗被紙について、実施例1と同様にして品質評価を行
い、その結果を表3にまとめて示した。
【0036】比較例3 実施例1において、用いる原紙について、抄紙機のキャ
レンダーの加圧条件を調節して、表1に示すような緊度
0.85g/cm3 を持つ原紙を使用し、両面下塗り塗
被層のASTM−D−726に準拠した透気度が表1に
示す数値35秒/10ccを得たこと、および最終の仕
上げスーパーキャレンダーの条件を変更して、製品緊度
を0.98g/cm3 とした以外は、実施例1と同様に
して嵩高艶消し塗被紙を得た。得られた塗被紙につい
て、実施例1と同様にして品質評価を行い、その結果を
表3にまとめて示した。
【0037】実施例6〜8 実施例1において、下塗り層用塗被液へ添加する炭酸ジ
ルコニウムアンモニウムをそれぞれ、表1(実施例6:
0部、実施例7:0.3部、実施例8:3部)に示すよ
うに添加量を変化させた以外は、実施例1と同様にして
嵩高艶消し塗被紙を得た。得られた塗被紙について、実
施例1と同様にして品質評価を行い、その結果を表3に
まとめて示した。
【0038】実施例9 上塗り層用塗被液の顔料として、表2に示すような平均
粒子径を持つ重質炭酸カルシウム35部と沈降性炭酸カ
ルシウム65部とを配合し、さらに接着剤として、顔料
100部に対し酸化澱粉20部とスチレン−ブタジエン
共重合体ラテックス10部からなる濃度50%の上塗り
層用塗被液を調製した以外は、実施例1と同様にして嵩
高艶消し塗被紙を得た。得られた塗被紙について、実施
例1と同様にして品質評価を行い、その結果を表3にま
とめて示した。
【0039】実施例10 上塗り層用塗被液の顔料配合として、サチンホワイト5
部、表2に示すような平均粒子径を持つ重質炭酸カルシ
ウム65部、および沈降性炭酸カルシウム30部、さら
に接着剤として、顔料100部に対し酸化澱粉5部とス
チレン−ブタジエン共重合体ラテックス10部からなる
濃度57%の上塗り層用塗被液を調製した以外は、実施
例1と同様にして嵩高艶消し塗被紙を得た。得られた塗
被紙について、実施例1と同様にして品質評価を行い、
その結果を表3にまとめて示した。
【0040】比較例8 上塗り層用塗被液の顔料配合として、サチンホワイト3
0部、表2に示すような平均粒子径を持つ重質炭酸カル
シウム50部、および沈降性炭酸カルシウム20部、さ
らに接着剤として、顔料100部に対し酸化澱粉5部と
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス10部からな
る濃度50%の上塗り層用塗被液を調製した以外は、実
施例1と同様にして嵩高艶消し塗被紙を得た。得られた
塗被紙について、実施例1と同様にして品質評価を行
い、その結果を表3にまとめて示した。
【0041】実施例11 上塗り層用塗被液の顔料配合として、サチンホワイト2
0部、表2に示すような平均粒子径を持つ重質炭酸カル
シウム60部、および沈降性炭酸カルシウム20部、さ
らに接着剤として、顔料100部に対し酸化澱粉5部と
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス10部からな
る濃度50%の上塗り層用塗被液を調製した以外は、実
施例1と同様にして嵩高艶消し塗被紙を得た。得られた
塗被紙について、実施例1と同様にして品質評価を行
い、その結果を表3にまとめて示した。
【0042】実施例16〜18 実施例1において、最終の仕上げスーパーキャレンダー
の条件を変更して、その製品緊度をそれぞれ、実施例1
6(0.85g/cm3 )、実施例17(0.98g/
cm3 )、なお、実施例18については、上塗りの顔料
配合として、表2に示した平均粒子径を持つ沈降性炭酸
カルシウム20部、および重質炭酸カルシウム80部と
変更した以外は、実施例1と同様にして嵩高艶消し塗被
紙を得た(製品緊度を1.20g/cm3 に仕上げ
た)。
【0043】かくして得られた26種類の艶消し塗被紙
について下記する評価方法に基づいて品質評価を行い、
その結果を表3に示した。
【0044】〔評価項目および評価方法〕 (原紙緊度)JIS−P−8124法に準拠して米坪測
定を行い、ついでJIS−P−8118法に準拠して紙
厚測定を行い、得られた米坪を紙厚で割った値を緊度
(単位:g/cm3 )とした。
【0045】(下塗り層を設けた塗被層面の透気度)A
STM−D−726法に準拠した方法で透気度測定(高
圧式透気度計を使用)を行った。
【0046】(顔料の平均粒子径)重力沈降法により粒
度分布測定を行い、累積重量50%時の値を平均粒子径
とした(測定器/SEDI−GRAPH 5000−1
/島津製作所製)。
【0047】(白紙光沢度)JIS−P−8142法に
準拠して、角度75度条件で測定した。
【0048】(白紙平滑度)スムースター平滑度計(東
英電子(株)製)を用いて測定した。値が小さい程、平
滑性が高い。
【0049】(紙腰/剛度)J.TAPPI No.40
法に準拠して測定し、縦目および横目での測定を行い、
得られて結果を平均して、剛度とした(単位:mg
f)。
【0050】(印刷インクグロス)ダイヤオフセット印
刷機(三菱重工製)を用いて、8000枚/時間の印刷
スピード下で4色印刷を行い、印刷物の墨単色、および
墨、藍、赤、黄の4色重ね部のインクグロスを目視で判
定した。 ◎ : インクが沈み、インクグロスがなく、非常にし
っとりしたマット調の印刷仕上がりであった。 ○ : インクが程よく沈み、インクグロスがなく、マ
ット調の印刷仕上がりであった。 △ : インクの沈みが中途半端であり、インクグロス
が一部認められ、満足すべきマット調の塗被紙ではな
い。 × : インクグロスが発現され、マット調ではない。
【0051】(印刷インクの裏移り)ダイヤオフセット
印刷機(三菱重工製)を用いて、8000枚/時間の印
刷スピード下で4色印刷(墨、藍、赤、黄の4色)を行
い、印刷後、その印刷面上に約2000枚程度の印刷物
を棒積みにして、その状態で約24時間室温放置した。
その後、棒積みにしている印刷物を一枚ずつめくり、4
色重ね刷りとなっている印刷部とその部分に接している
他の印刷物の裏面(白紙部)の印刷インクによる汚れ状
態(裏移り)を目視判定した。
【0052】◎ : インクの定着が速く、白紙部への
インク移り(汚れ)が全く認められない。 ○ : インクの定着が良く、殆ど白紙部へのインク移
り(汚れ)が認められない。 △ : インクの定着が悪く、白紙部へのインク移り
(汚れ)が認められる。 × : インクの定着が非常に悪く、白紙部へのインク
移り(汚れ)がかなり認められる。
【0053】(印刷時のブランケットパイリング)ダイ
ヤオフセット印刷機(三菱重工製)を用いて、8000
枚/時間の印刷スピード下で3000枚の単色印刷を行
い、印刷完了後にブランケットおよび印刷物を目視判定
した。 ◎ : 印刷終了時ブランケット上には、塗被組成物の
累積が認められない。また、印刷物にも全く異常が認め
られない。 ○ : 塗被層がブランケット上に少量づつ取られてい
るものの、自動洗浄装置で対応できる程度であり、印刷
および印刷物には影響は出ていない。 △ : 塗被層がブランケットに取られているが、印刷
物への影響は殆ど認められない。 × : 塗被層がブランケットに取られており、印刷の
途中から印刷面への影響がでてきれいな印刷ができな
い。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【発明の効果】表3の結果から明らかなように、実施例
で得られた艶消し塗被紙は、白紙光沢、および印刷光沢
がともに低く、特に紙腰(剛度)が強く、印刷適性に優
れ、ブランケットパイリングやインクの裏移りの極めて
少ない嵩高艶消し塗被紙であった。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする下
    塗り層および上塗り層を設けてなる嵩高艶消し塗被紙の
    製造方法において、緊度が0.7g/cm3 以下である
    原紙上に下塗り層を設け、下塗り層を設けた後の塗被層
    面のASTM−D−726に準拠した透気度が8〜80
    秒である下塗り層上に、顔料として平均粒子径が0.7
    〜10μmである沈降性炭酸カルシウムが全顔料の20
    重量%以上、さらに平均粒子径が5〜15μmである重
    質炭酸カルシウムが全顔料の30重量%以上含有される
    上塗り層を設けたことを特徴とする嵩高艶消し塗被紙の
    製造方法。
  2. 【請求項2】上塗り塗被層用顔料として、サチンホワイ
    トが全顔料中に2〜25重量%含有される請求項1記載
    の嵩高艶消し塗被紙の製造方法。
  3. 【請求項3】下塗り層中に顔料に対し、固形分で0.0
    5〜5.0重量%のジルコニウム化合物が含有される請
    求項1、2または3記載の嵩高艶消し塗被紙の製造方
    法。
  4. 【請求項4】嵩高艶消し塗被紙の仕上げ緊度が1.10
    g/cm3 以下になるようにキャレンダー仕上げする請
    求項1、2、または3記載の嵩高艶消し塗被紙の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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