JP3555258B2 - 非塗工紙風合いを有する艶消し塗工紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は顔料塗工層を設けた艶消し塗工紙に関し、特にその風合いが塗工前の原紙に近い非塗工紙風合いを有し、印刷するとインキ発色性に優れ、かつ印刷後、白紙面との摩擦によるインキ汚れの起こりにくい艶消し塗工紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、非塗工紙に近い手触り、凹凸感や嵩高さを維持しながら、印刷した場合にはインキ発色性や網点の再現性に優れる印刷用紙への要望が高まっている。
即ち、非塗工紙は風合いが良好であるものの、印刷した場合にインキ濃度が上がらない、あるいは細かな網点の再現性が劣り、明瞭な階調性を出し難い等の難点がある。これに対し、一般の塗工紙は原紙の凹凸を無くすように顔料塗工層を設け、さらに必要に応じてキャレンダー処理を行うため平滑性が高くインキ発色性や網点の再現性には優れるものの、凹凸感が乏しく手触りや目視感、あるいはキャレンダー処理により密度が高くなり、嵩や紙腰等が非塗工紙と比較して大きく異なったものとなっている。
【0003】
非塗工紙に近い手触り、凹凸感や嵩高さを維持しながら、印刷した場合にはインキ発色性や網点の再現性が優れるものとするため、原紙の凹凸を損なわない範囲で原紙上に顔料塗工層を設けることが行われている。ところが、凹凸感を重視すると印刷適性が不十分となり、印刷適性を重視すると原紙の凹凸感がなくなるという具合に、非塗工紙の風合いと印刷適性を両立させることは非常に困難であるのが現状である。
【0004】
さらに、非塗工紙の風合いを維持し、かつ塗工後の光沢が上がらないように塗工層中の顔料として比較的粗い顔料を用いるため、印刷工程、製本工程、あるいは搬送工程等において、印刷面と白紙面とが重ねられて作業が進められる場合に、印刷面のインキが白紙面の塗工層と擦れて削り取られる結果、白紙面がインキで汚れる、所謂インキ汚れが発生し易いという問題がある。
【0005】
このようなインキ汚れを解決するために、インキとしてはワックス等を主成分とする耐摩擦性のコンパウンド等を添加して印刷面と白紙面との摩擦を軽減する等の処置が取られている。一方、塗工紙としては、塗工紙を一定温度以上の高温ソフトキャレンダーで処理する方法(特開平5−117995号)、平均粒子径が0.4μm〜1.0μmのデラミネーテッドカオリンを特定量含有せしめた塗工層を設ける方法(特開平5−5297号)等が提案されている。しかしながら、いずれの方法も、本発明が所望するような非塗工紙風合いを有する塗工紙を得ることができないのが現状である。
【0006】
さらに、塗工層中に脂肪酸エマルジョン、脂肪酸塩エマルジョン、ワックスエマルジョン、ポリエチレンエマルジョン等の潤滑剤を特定量含有せしめて塗工層を形成する方法(特開平6−158594号)が提案されているが、本発明の塗工紙に用いた場合、塗工紙の平滑性が低く凹凸に富み、顔料としても比較的粒子径の大きなカオリン、デラミネーテッドカオリンあるいはタルクと組み合わせて用いるため、例示されている様な潤滑剤ではインキ汚れを有効に改善できないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように、本発明は顔料塗工層を設けた後も塗工前の原紙に近い非塗工紙風合いを有し、印刷した場合にはインキ発色性に優れ、かつ印刷後に印刷面と白紙面が擦れた場合にインキが削り取られて白紙面が汚れる、所謂インキ汚れの発生が殆どない艶消し塗工紙を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、原紙の少なくとも片面に顔料および接着剤を主成分とする顔料塗工層を設けてなる艶消し塗工紙において、該顔料として平均粒子径が1.5μm以上のカオリン、デラミネーテッドカオリン、タルクから選ばれる少なくとも1種の顔料が使用され、かつその配合量が全顔料に対し40重量%以上含有せしめられ、さらに該顔料塗工層の表面物性として、JIS P8142に準拠して測定した光沢度が10%以下、JIS P8119に準拠して測定した平滑度が25秒以下、JIS B0601に準拠して測定した表面粗さRaが2.0μm以上、および静摩擦係数が0.65以下であることを特徴とする非塗工紙風合いを有する艶消し塗工紙である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、非塗工紙と塗工紙の違いについて検討を進めた結果、人が感じる非塗工紙とは、単にその光沢が低いことや平滑性が低いということだけではなく、目視で認識できるような凹凸を持っていることが重要であり、かつ手で触れた場合の感触を左右する摩擦係数が重要な因子であることを見出し本発明を完成するに至った。
【0010】
ここに、塗工紙であって非塗工紙の風合いを有し、印刷するとインキ発色性が良好で、かつインキ汚れの起こりにくい艶消し塗工紙とは、塗工層面のJIS P8142に準拠して測定した光沢度が10%以下、さらに静摩擦係数が0.65以下となるように調整することが必要であるのみならず、加えて平滑性が低く凹凸に富むことが重要であり、具体的にはJIS P8119に準拠して測定した平滑度が25秒以下、かつJIS B0601に準拠して測定した表面粗さRa が2.0μm以上であることが本発明の所望の効果を得る上で必要な要件となることを見出したものである。したがって、上記のいずれか1つでもその要件を満たさない場合には本発明が所望とする効果を得ることができない。
【0011】
而して、塗工層表面の物性として、▲1▼光沢度が10%以下、▲2▼平滑度が25秒以下、▲3▼表面粗さRa が2.0μm以上、▲4▼静摩擦係数が0.65以下といった、▲1▼〜▲4▼の条件を全て満たす塗工層表面を得ることが重要である。
本発明において、塗工層表面の光沢度を10%以下に特定するのは、その外観を非塗工紙に近いものとするために必要であり、光沢値の下限を特に限定するものではないが、1%未満になるとインキ発色性が低下し、印刷適性が低下するおそれがあるため、光沢度は10%以下、1%以上が好ましい。
【0012】
また、塗工層表面の表面粗さRaとして2.0μm以上、平滑度としては25秒以下に特定するのは、その外観および手触り感触を非塗工紙に近いものとするために必要であり、表面粗さRaの上限および平滑度の下限を特に限定するものではないが、表面粗さRaが6.0μm越えるか、あるいは平滑度が1秒未満といった粗面状態にした場合にも、インキ発色性が低下し、印刷適性の低下が懸念されるために、表面粗さRaとしては2.0μm以上、6.0μm以下、平滑度は25秒以下、1秒以上であることが好ましい。
【0013】
さらに、塗工層表面の静摩擦係数としては、0.65以下、好ましくは0.35以上に特定するものであるが、このような条件は特にインキ汚れを防止する上から必要であり、静摩擦係数が低くければ低いほどインキ汚れ防止に対しては効果があるが、あまり低く過ぎると、多数枚の積み重ねを行なう時など紙が滑り易くなり、ハンドリング面で好ましくない。したがって、その静摩擦係数を0.65以下、好ましくは0.65以下、0.35以上とするものである。
【0014】
このような塗工紙を得る方策としては、例えば原紙の平滑性、塗工層に使用する顔料の種類や粒子径、塗工層用組成物を原紙へ塗工する場合の塗工方法、あるいは塗工後のキャレンダー処理条件等を適宜調整することにより、前記の要件を得ることができる。したがって、上記の各要件(1つの要件)を満足させることは比較的容易に達成できるものである。一方、前記したように、本発明では上記の4つの特定要件が同時に満足せしめられたときに、初めて所望とする優れた効果が得られるものである。
そのためには、以下に述べるように、塗工層用組成物の材料をはじめ、塗工および仕上げ方法あるいは原紙等について、注意深く調整、選択等をする必要がある。
【0015】
先ず、本発明において、顔料塗工層の主成分である顔料として平均粒子径が1.5μm以上のカオリン、デラミネーテッドカオリン、タルクから選ばれる少なくとも1種が使用され、かつその配合量が固形分対比で全顔料の40重量%以上含有せしめられていることが重要である。これら板状あるいは薄片状の比較的粒子径の大きな特定の顔料を40重量%以上用いることで、塗工量を少なくし原紙の風合いを維持しながら塗工層の均一性を向上させることができ、その上に良好なインキ発色性を得ることができるのみならず、さらに白紙光沢の上昇を抑制することができる。
【0016】
また、上記の如き特定の顔料は、塗工紙の製造分野で幅広く使用されている炭酸カルシウムに比較して、得られる塗工紙の摩擦係数が低く、全顔料の40重量%以上含有せしめることで原紙に近い低い静摩擦係数を得ることができるのみならず、印刷後に印刷面と白紙面が擦れた場合にインキが削り取られて白紙面が汚れる、所謂インキ汚れの発生を少なくすることができる。
【0017】
なお、インキ汚れについては、従来よりカオリン等の板状あるいは薄片状の顔料を多く用いることで改善されることは知られているが、本発明では、平均粒子径が1.5μm以上であるような従来塗工紙製造分野で考えられていたものより、はるかに大きな平均粒子径のものを特定量用いることで、本発明が所望とする非塗工紙風合いを維持し、かつ印刷時のインキ発色性およびインキ汚れ防止を極めて効果的にバランスさせることができるのである。
【0018】
本発明では、上記特定の顔料の平均粒子径として1.5μm以上、10μm以下のものが好ましく使用される。因みに、1.5μm未満の場合には塗工後の白紙光沢が高くなり過ぎ、他方10μmを越えると、印刷後のインキ発色性の低下やインキ汚れが懸念される。また、その添加量が全顔料に対し40重量%未満の場合には本発明の所望とする効果が得られない。
【0019】
また、顔料としては、上記に特定される顔料以外のカオリン、デラミネーテッドカオリン、タルク、さらに重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、サチンホワイト、亜硫酸カルシウム、石膏、硫酸バリウム、ホワイトカーボン、焼成カオリン、構造化カオリン、珪藻土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベントナイト、セリサイト等の無機顔料やポリスチレン樹脂微粒子、尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子、多孔質微粒子等の有機顔料等が例示され、これらの一種以上を適宜組合わせて使用することができる。
【0020】
塗工層中に顔料とともに使用される接着剤としては、例えばカゼイン、大豆蛋白等の蛋白質類、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレン−メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス等の共役ジエン系ラテックス、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルの重合体または共重合体ラテックス等のアクリル系ラテックス、エチレン−酢酸ビニル重合体ラテックス等のビニル系ラテックス、あるいはこれらの各種共重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単量体で変性したアルカリ部分溶解性あるいは非溶解性のラテックス、ポリビニルアルコール、オレフィン−無水マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂等の合成樹脂系接着剤、酸化澱粉、陽性化澱粉、エステル化澱粉、デキストリン等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体等の通常の塗工紙用接着剤を挙げることができ、これらの接着剤の一種以上を適宜使用することができる。
なお、接着剤の配合量は、特に限定されるものではなく、一般に顔料に対し、固形分対比で2〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲で調節される。
【0021】
さらに、塗工層中には静摩擦係数の一層の低下、およびインキ汚れの発生をより効果的に抑制するために、潤滑剤としてレーザー回折法により測定した平均粒子径が8〜30μmのポリオレフィン樹脂粒子を全顔料に対し0.2〜5重量%程度含有せしめるとより優れた効果が得られる。
一般に、ポリオレフィン樹脂は潤滑剤、離型剤等として塗工紙製造分野で用いられているが、その平均粒子径は5μm以下のものが主体である。本発明者等はこのポリオレフィン樹脂粒子に着目し、種々検討を重ねた結果、艶消し塗工紙に用いた時にインキ汚れ防止と摩擦係数低下に有効に作用する特定の粒子径の存在することを見出したのである。
【0022】
即ち、前述したようにインキ汚れは印刷面のインキが白紙面の凹凸により削り取られる現象であり、上述の如き特定の粒子径を持つポリオレフィン樹脂粒子を含有せしめることで、ポリオレフィン粒子が印刷面と白紙面の接触を防ぐスペーサーとして作用し、インキ汚れの発生を効果的に抑制するだけでなく、摩擦係数を低下せしめる作用があり、かつ非塗工紙に近い手触りを得るためにもより有効であることが分かった。
【0023】
因みに、ポリオレフィン樹脂粒子の平均粒子径が8μm未満では、スペーサーとしての作用が劣り、インキ汚れの解消効果が少なく、他方30μmを越えるような大粒子になると、粒子径が大きすぎて印刷時にインキ転移不良を引き起こすおそれがある。また、ポリオレフィン樹脂粒子の添加量が全顔料に対し、0.2重量%未満では、インキ汚れの改善効果が不十分であり、5重量%を越える場合には塗工層とインキの接着が不十分になり、逆にインキが取られ易くなるおそれがある。
【0024】
顔料塗工層を構成する水性塗料には、上述の顔料、接着剤、およびポリオレフィン樹脂粒子の他に、必要に応じて消泡剤、着色剤、流動変性剤、耐水化剤等の各種助剤を適宜添加することができる。
【0025】
本発明に係る艶消し塗工紙の支持体となる原紙としては、特に限定されるものではない。しかしながら、本発明が所望とする、より優れた効果を得る上から、使用する原紙としてJIS P8119に準拠して測定される平滑度が20秒以下、かつJIS B0601に準拠して測定される表面粗さRaが3.2μm以上である原紙を用いることによって、顔料塗工層を設けた後も良好な非塗工紙風合いを効果的に発現できるので、より好ましい態様である。
【0026】
即ち、原紙の平滑度が20秒を越える場合、あるいは表面粗さRaが3.2μm未満のときには塗工後の風合いが一般の艶消し塗工紙と大差がなくなるおそれがある。そのため、表面粗さRaの上限および平滑度の下限については特に限定するものではないが、原紙の平滑度が0.5秒未満、あるいは表面粗さRaが7.0μmを越える場合には、印刷後のインキ発色性が低下する傾向にあるため、平滑度が20秒以下、0.5秒以上、かつ表面粗さRaが3.2μm以上、7.0μm以下の原紙であることが好ましい。
【0027】
なお、原紙米坪としては特に限定されず、一般に30〜400g/m2 程度のものを用いることができる。原紙の抄紙方法や抄紙機等については特に限定されず、例えば、酸性抄紙、アルカリ抄紙により、長網マシン、丸網マシン、長網と丸網のコンビネーションマシンあるいはツインワイヤーマシン、オントップツインワイヤーマシン等の方法を適宜使用することができる。原紙の主材料であるパルプとしては、木材あるいは非木材を原料とした化学パルプ、機械パルプや古紙パルプを用いることができる。また、サイズプレス等で予備塗工したもの、マシンのプレス工程で毛布型等のパターン付けをしたものやマシンで抄紙後エンボスロールによる型付けをしたもの等が適宜使用される。
【0028】
原紙への顔料塗工層の塗工量としては、特に限定されるものではないが、非塗工紙の風合いおよび優れたインキ発色性(印刷適性)を維持するためには、片面当たり固形分として2〜20g/m2 、より好ましくは3〜15g/m2 程度の範囲で調節することが望ましい。因みに、2g/m2 未満の場合には、印刷後のインキ発色性が低く、かつ均一なインキ着肉が得られ難く、他方20g/m2 を越える場合には塗工後の風合いが一般の艶消し塗被紙と大差なくなるおそれがある。
【0029】
塗工層形成のための塗工装置についても、特に限定されるものではなく、一般に公知公用の塗工装置が適宜利用できる。具体例としては、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、ダイスロットコーター、グラビアコーター、チャンプレックスコーター、サイズプレスコーター、あるいはビルブレードコーター等を用いることができ、これらのコーターを1つ以上有するオンマシンコーターあるいはオフマシンコーターによって、原紙上に塗工層を一層あるいは多層に分けて設けることができる。そして、上記の装置の中でもエアナイフコーターが塗工前の原紙の有する凹凸を維持しながら、均一な顔料塗工層を形成できるため好ましく用いることができる。
【0030】
顔料塗工層を形成するための塗料の固形分濃度は、一般に20〜75重量%であるが、塗工適性や操業性を考慮すると25〜65重量%の範囲で調節される。なお、原紙上に塗工された塗料の乾燥方法としては、従来から利用されている蒸気加熱、熱風加熱、ガスヒーター加熱、高周波加熱、電気ヒーター加熱、赤外線ヒーター加熱、レーザー加熱、電子線加熱等の各種の乾燥方式が適宜採用できる。かくして得られた塗工紙は、必要に応じてキャレンダー等に通紙して仕上げることも可能である。
【0031】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断らない限り、例中の部および%は、それぞれ重量部、および重量%を示す。また、各測定方法および評価については以下の通りである。
【0032】
〔顔料の平均粒子径〕
沈降法(測定器:セディグラフ5000−01/島津製作所)により、粒度分布を測定し、累積重量が50%となるときの粒子径を平均粒子径とした。
【0033】
〔潤滑剤の平均粒子径〕
レーザー回折法(測定器:SALD−2000/島津製作所)により、粒度分布を測定し、累積重量が50%となるときの粒子径を平均粒子径とした。
【0034】
〔白紙光沢〕
JIS P8142に準じて、角度75°で測定した。
【0035】
〔平滑度〕
JIS P8119に準じて測定した。
【0036】
〔表面粗さRa〕
JIS B0601に準じ、サーフテスト 201シリーズ178(三豊製作所)を用い、カットオフ値0.8mm、測定長4mmの条件で測定した値である。
【0037】
〔コスレ汚れ〕
RI−1型印刷試験機(明製作所)を用い、オフセット印刷用インク(商品名:F−gloss/大日本インキ)を1ミリリットル使用し、市販片面塗工紙(商品名:金藤片面/新王子製紙社)の非塗工面に印刷を行った。これを3日間放置後、染色物摩擦堅牢度試験機(東洋精機製作所)を用い、実施例および比較例で得られた各塗工紙の白紙部(固定)と該印刷物(往復運動)の印刷面と接し荷重600gを掛けて、5往復の摩擦運動を行い、印刷面から白紙面へ転移したインクの転移状態を目視評価した。
◎ :インクの転移がほとんどない。
○ :インクが僅かに転移する。
× :インクが多く転移する。
【0038】
〔摩擦係数〕
Japan TAPPI No.30−79に準じ、白紙面同士の静摩擦係数を測定した。値が大きい程、摩擦抵抗が大きい。
【0039】
〔インキ濃度〕
枚葉印刷機で同時印刷した時の墨インキソリッド部の光学濃度を測定した。
値が大きい程、濃度が高く、インキ発色性が優れる。
【0040】
〔非塗工紙風合い〕
手触り(触感)および目視による外観評価をおこなった。
◎ :従来の艶消し塗工紙とは明かに異なる非塗工紙に近い風合いを持つ。
○ :従来の艶消し塗工紙と多少異なる非塗工紙に近いような風合いを持つ。
× :従来の艶消し塗工紙と区別できない。
【0041】
実施例1および比較例1
平均粒子径2.5μmの抄紙用カオリン(商品名:NKカオリン/中央カオリン社)100部に分散剤(商品名:アロンT−40/東亜合成社)0.2部(固形分として)を加え、コーレス分散機により濃度56%の分散液を得た。別に、平均粒子径0.55μmの塗工用カオリン(商品名:HT/エンゲルハード社)100部に分散剤(商品名:アロンT−40/東亜合成社)を0.1(固形分として)部を加え、コーレス分散機を用いて濃度70%の分散液を得た。
【0042】
上記抄紙用カオリン、塗工用カオリンの分散液および重質炭酸カルシウム分散液(商品名:FMT−70/ファイマティック社)が、抄紙用カオリン/塗工用カオリン/重質炭酸カルシウム=50/35/15(部/固形分)になるようにそれぞれの分散液を混合して顔料スラリーを得た。次いで、このスラリー中に、接着剤としてスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:SN−332/住友ダウ社)15部、酸化澱粉(商品名:エースA/王子コーンスターチ社)5部(各固形分として)をそれぞれ加え、さらに水を加えて固形分濃度45%の水性塗被液(以後、塗料と呼称する)を得た。
【0043】
かくして得た塗料を米坪150g/m2 、平滑度15秒、表面粗さRa が3.6μmの漂白コットンリンターパルプ5%、NBKP25%、LBKP70%を主配合としてなる原紙に、片面当たり乾燥重量が6g/m2 になるようにエアナイフコーターで両面塗工を行い、熱風乾燥後、水分5%の塗工紙を得た。
なお、比較例1として、前記塗工前の原紙をそのまま評価した。
【0044】
実施例2
実施例1において、塗料中に、潤滑剤(ポリオレフィン樹脂粒子)として平均粒子径が27.5μmの高密度ポリエチレン粒子粉末(商品名:ミペロンXM221−U/三井東圧社)をノニオン界面活性剤で水に分散した後顔料100部に対して0.4部(固形分として)添加した以外は実施例1と同様にして塗工紙を得た。
【0045】
実施例3
実施例1において、塗料中に、潤滑剤(ポリオレフィン樹脂粒子)として平均粒子径9.1μmのポリエチレンワックスエマルジョン(商品名:スリップエイドSL−300/サンノプコ社)を顔料100部に対して3部(固形分として)添加した以外は実施例1と同様にして塗工紙を得た。
【0046】
実施例4
平均粒子径3.8μmのタルク(商品名:NKタルクKC/中央カオリン社)100部に分散剤(商品名:アロンDSX−126/東亜合成社)を0.2部(固形分として)加え、コーレス分散機を用いて濃度50%の分散液を得た。別に、平均粒子径2.1μmのデラミネーテッドカオリン(商品名:NUSURF/エンゲルハード社製)100部に分散剤(商品名:アロンT−40/東亜合成社)を0.1部(固形分として)加え、コーレス分散機を用いて濃度60%の分散液を得た。
【0047】
上記タルクとデラミネーテッドカオリンの分散液に加え、重質炭酸カルシウムの分散液(商品名:FMT−90/ファイマティック社)を用い、タルク/デラミネーテッドカオリン/重質炭酸カルシウム=35/35/30(部/固形分)の比率となるようにそれぞれ顔料分散液を混合し、顔料スラリーを調成した。この顔料スラリーに、接着剤としてスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:SN−332/住友ダウ社)15部、酸化澱粉(商品名:エースA/王子コーンスターチ社)5部、および潤滑剤(ポリオレフィン樹脂粒子)として平均粒子径が9.1μmのポリエチレンワックスエマルジョン(商品名:スリップエイドSL−300/サンノプコ社)の3部を、それぞれ固形分として加え、さらに水を加えて固形分濃度45%の塗料を得た。
【0048】
かくして得た塗料を、米坪150g/m2 、平滑度23秒、表面粗さRa が2.9μmのキャレンダー掛けをしていない上質原紙に、片面当たり乾燥重量が6g/m2 になるようにエアナイフコーターで両面塗工を行い、熱風乾燥後、水分5%の塗工紙を得た。
【0049】
実施例5
実施例4において、原紙として米坪150g/m2 のマシンのプレス部で毛布の型付けをした平滑度3秒、表面粗さRaが4.5μmのNBKP5%、LBKP95%からなる原紙を用いた以外は、実施例4と同様にして塗工紙を得た。
【0050】
比較例2
実施例1において、顔料の混合比率が抄紙用カオリン/塗工用カオリン/重質炭酸カルシウム=30/55/15(部/固形分)となるように混合した以外は、実施例1と同様にして塗工紙を得た。
【0051】
比較例3
実施例1において、顔料の混合比率が抄紙用カオリン/塗工用カオリン/重質炭酸カルシウム=30/35/35(部/固形分)となるように混合した以外は、実施例1と同様にして塗工紙を得た。
【0052】
比較例4
実施例1において、顔料の混合比率として抄紙用カオリン/塗工用カオリン/重質炭酸カルシウムに加えて、中空プラスチックピグメント(商品名:ローペイクHP−91/ロームアンドハース社)の分散液を用いて、抄紙用カオリン/塗工用カオリン/重質炭酸カルシウム/中空プラスチックピグメント=47/35/15/3(部/固形分)となるように混合した以外は、実施例1と同様にして塗工紙を得た。
【0053】
比較例5
実施例4において、塗工方式としてエアナイフコーターの代わりにブレードコーターを用いて塗工を行なった以外は、実施例4と同様にして塗工紙を得た。
【0054】
なお、上記実施例1〜5および比較例1〜5により得られた塗工紙(比較例1は非塗工紙)の品質結果を表1にまとめて示した。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】
表1から明らかなように、本発明の塗工紙はインキ発色性が良好で、摩擦によるインキ汚れも少なく、かつ非塗工紙の風合いを有するものであった。
Claims (4)
- 原紙の少なくとも片面に顔料および接着剤を主成分とする顔料塗工層を設けてなる艶消し塗工紙において、該顔料として平均粒子径が1.5μm以上のカオリン、デラミネーテッドカオリン、タルクから選ばれる少なくとも1種の顔料が使用され、かつその配合量が全顔料に対し40重量%以上含有せしめられ、さらに該顔料塗工層の表面物性として、JIS P8142に準拠して測定した光沢度が10%以下、JIS P8119に準拠して測定した平滑度が25秒以下、JIS B0601に準拠して測定した表面粗さRaが2.0μm以上、および静摩擦係数が0.65以下であることを特徴とする非塗工紙風合いを有する艶消し塗工紙。
- 顔料塗工層の塗工量が片面あたり2〜20g/m2 である請求項1記載の非塗工紙風合いを有する艶消し塗工紙。
- 顔料塗工層の中に平均粒子径が8〜30μmのポリオレフィン樹脂粒子が顔料に対して0.2〜5重量%含有せしめられた請求項1または請求項2記載の非塗工紙風合いを有する艶消し塗工紙。
- 原紙として、JIS P8119に準拠して測定した平滑度が20秒以下、かつJIS B0601に準拠して測定した表面粗さRaが3.2μm以上である原紙を使用する請求項1、請求項2または請求項3のいずれか1項に記載の非塗工紙風合いを有する艶消し塗工紙。
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