JP5991177B2 - 塗工ファンシー紙 - Google Patents

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本発明は、非塗工紙の風合いを有しているマット調の塗工ファンシー紙に関し、特に、印刷品質の良好な塗工ファンシー紙に関する。
近年、印刷物に求められる品質への要求は高まっており、印刷用紙としても印刷時の品質・表現性が良好なことはもとより、印刷後の後加工適性等も良好であることが求められている。
印刷用紙は、セルロース繊維を主体とした原紙に対し、顔料塗工を行わない非塗工印刷用紙(以下、非塗工紙と記載する)と、顔料及び接着剤を主体とする顔料塗工層を設けた塗工印刷用紙(以下、塗工紙と記載する)に分類することができる。
非塗工紙は、その表面に原紙の主成分たるセルロース繊維を認識することができ、表面の光沢性が低くマット調であり、かつ、表面の凹凸に富むことから視覚的なイメージならびに触感において独特の風合いを有していることが特徴の一つである。しかしながら、非塗工紙は、表面の凹凸の影響ならびに表面のインキ受理性が低位であることに起因して、印刷した際の表現性が劣る、インキの乾燥性が劣る、等の問題がある。
一方、塗工紙は、原紙表面に塗工された顔料及び接着剤を主成分とする顔料塗工層の存在により、非塗工紙と比較して表面平滑性が高いという特徴がある。特に、顔料塗工層を設けた後に平滑化処理を行った、紙表面の光沢である白紙光沢が高いグロス調塗工紙は、表面平滑性が非常に高いため、印刷時の表現性が良好である。また、顔料塗工層中で顔料粒子間に形成される細孔は、セルロース繊維間に形成される原紙細孔よりも孔径が小さいため、インキ中のビヒクル成分の分離効果が高く、その結果、塗工紙は非塗工紙よりもインキの乾燥性にも優れるという特徴がある。しかしながら、塗工紙は原紙表面の凹凸を被覆して顔料塗工層を設けるため、非塗工紙とは異なる外観を呈し、また平滑性が異なるため触感においても非塗工紙とは異なっている。
高級印刷分野では、印刷物の差別化、高級化を図るため、印刷用紙に対しても特別な要求がされることがある。その中で、いわゆるファンシー紙と呼ばれる、紙に色・模様・柄などを付したり、原紙中に毛染繊維を混抄したりした、装飾性の高い印刷用紙があり、顔料塗工層を有する塗工ファンシー紙も存在する。
塗工ファンシー紙は、印刷を施した際の印刷部の光沢である印刷光沢が比較的高いグロス系と、印刷光沢が低いマット系に分類されることがあるが、いずれも、非塗工紙の持つ表面凹凸感や触感、低光沢な外観を模して非塗工紙風合いを有するように仕上げられている。塗工ファンシー紙は、原紙上に顔料塗工層を有するため、非塗工紙と比較して印刷品質が良好であることが特徴である。すなわち、非塗工紙の風合いを持ちつつ、塗工紙の印刷品質をも両立させた紙である。
前記の如く、塗工ファンシー紙は、非塗工紙と塗工紙の良い面を併せ持ってはいるが、これまでの塗工ファンシー紙に印刷を行った場合には幾つかの欠点があった。
塗工ファンシー紙は、非塗工紙風合いを保持するため、低光沢となるように仕上げられる。このため、一般印刷塗工紙に施される、顔料塗工層の塗工・乾燥後のカレンダー処理工程での平滑化行程を経ないか、軽度の平滑化が施されるに留まる。従って、紙同士の接触や、印刷・製本過程での機械部との接触により顔料塗工層が擦られた場合に、擦られた部分における凸部の顔料の配向性変化が誘発されることで平滑化が促進され、局所的に白紙光沢が上昇して擦られていない部分との光沢差が顕在化し、いわゆるコスレ傷を生ずるという問題があった。
また、塗工ファンシー紙製品の顔料塗工層表面は、平滑化工程を経ないか軽度の平滑化工程を経るのみであるため、用いられている顔料の大きさレベルでの微小な凹凸が残存している。さらに、原紙として凹凸の大きな原紙を使用した場合には、原紙の凹凸に対応するレベルでも顔料塗工層表面に凹凸が存在する。これらの微小な凹凸や原紙の凹凸による顔料塗工面の凹凸部は、印刷を施す際に印圧により平滑化される塗工面へのインキ転移を阻害せず、かつ良好な再現性を有する範囲に調節されている。 しかし、前記の顔料塗工層表面の凹凸が原因となって、用紙に対する印刷完了後に、非印刷部が印刷部表面に接触した場合、非印刷部にインキが転移して用紙の汚れを発生させる、いわゆるコスレ汚れが問題となることがあった。
非塗工紙風合いを有する顔料塗工紙としては、これまで以下のような幾つかの方法が提案されている。
特定の平滑度を有する基材上に有機填料を特定量配合した塗工層を形成し、塗工面の表面粗さを特定の範囲に調整した塗工印刷用紙(特許文献1参照)、バインダーと艶消し剤を含む塗工層を設けてなる印刷用艶消し塗工紙(特許文献2参照)、原紙上に、顔料と接着剤を主とする塗工層を設けた印刷用塗工紙において、最表層を特定の塗工量として設け、次いで該最表層を特定の凹凸を有するように凹凸加工を施す方法(特許文献3参照)、原紙上にカオリンと有機合成顔料等を含有し、さらにバインダーとしてスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスと特定澱粉を特定量含有する塗被層を設けた高級印刷用紙(特許文献4)が提案されている。
また、顔料塗工層に特定の平均粒子径以上のカオリン等の顔料を特定量以上配合して、顔料塗工層表面の光沢度、平滑度、表面粗さ、静摩擦係数等の表面物性を調整した艶消し塗工紙(特許文献5)、基紙上に少なくとも2層の顔料塗工層を設けた印刷用塗工紙であって、特定粒子を含有する下塗り層を設けた後に、顔料が特定粒子のみで構成される上塗り層を設けた印刷用塗工紙(特許文献6)、塗被層に特定のポリエチレンワックス等を特定量含有する顔料塗被紙(特許文献7)、ガラス転移温度が35〜80℃である密実有機顔料を全顔料中80質量%以上含有する塗工液で固形分塗工量3〜10g/mとなるように塗工した塗工層を形成した塗工シート(特許文献8)も提案されている。
しかし、非塗工紙風合いを有している低塗工量の塗工ファンシー紙であって、かつ、高級塗工ファンシー紙に求められる良好な印刷品質を有する塗工ファンシー紙の需要に十分に応えられる状態とはなっていない。
特開平7−166492号公報 特開2012−52255号公報 特開2011−184820号公報 特開平8−144193号公報 特開平9−31892号公報 特開2011−47082号公報 特開平10−280295号公報 特開2008−2−8474号公報
本発明は、非塗工紙風合いを有する低塗工量の塗工ファンシー紙であって、印刷品質の良好な高級塗工ファンシー紙を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、非塗工紙風合いを有する塗工ファンシー紙であって、原紙の表面性が失われることがなく、少ない塗工量で高級塗工ファンシー紙に求められる印刷適性をも備えた塗工層を形成するためには、原紙に対するサイズプレス塗布量によってステキヒトサイズ度を特定の数値範囲に調整した原紙を採用することが重要であることの知見を得て以下の各発明をなしたものである。
(1)坪量が30〜400g/mで、ステキヒトサイズ度が10〜800秒、好ましくは30〜600秒であり、かつ、原紙の坪量(g/m)の数値をBとし、原紙のステキヒトサイズ度(秒)の数値をSとして、B/S=0.2〜4.0、好ましくは0.3〜3.0、より好ましくは0.5〜2.8、最も好ましくは0.6〜2.5である原紙の少なくとも片面に顔料と接着剤を主成分とする顔料塗工層を設けてなる塗工ファンシー紙。
(2)前記顔料塗工層の片面塗工量が3〜15g/mであることを特徴とする、(1)項に記載の塗工ファンシー紙。
(3)前記顔料塗工層が、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スロットダイコーター、スプレーコーターから選ばれる非接触計量形式の塗工装置によって形成されている顔料塗工層であることを特徴とする、(1)項又は(2)項に記載の塗工ファンシー紙。
(4)前記顔料塗工層が、全顔料100質量部中に、平均粒子径2.0〜4.0μmのタルクを5質量部以上40質量部未満含有し、かつ、軽質炭酸カルシウム及び/又は重質炭酸カルシウムを30質量部以上含有するとともに、塗工面のISO 8254−1(1999)に準じて測定される入射・受光角75度の白紙光沢度が3以上20未満であることを特徴とする、(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載の塗工ファンシー紙。
(5)前記顔料塗工層が、顔料平均粒子径0.1〜1.0μmのデラミネーテッドカオリンを全顔料100質量部中に30質量部以下の量で含有する顔料塗工層である、(1)〜(4)項のいずれか1項に記載の塗工ファンシー紙。
(6)前記顔料塗工層が、平均粒子径が0.5〜1.0μmであり、かつ、粒子径0.2μm以下の粒子の割合が15質量%未満である重質炭酸カルシウムを全顔料100質量部中10〜30部含有する含有する顔料塗工層である、(4)項又は(5)項に記載の塗工ファンシー紙。
(7)前記顔料塗工層が、平均粒子径が0.2〜0.6μmである立方形状軽質炭酸カルシウムを全顔料100質量部中10〜30部含有する顔料塗工層である、(4)項〜(6)項のいずれか1項に記載の塗工ファンシー紙。
(8)前記顔料塗工層が形成されている原紙面及び顔料塗工層面が、いずれの面もカレンダー処理が施されていない面であるか、いずれかの面がカレンダー処理面である場合は各面へのカレンダー処理の合計回数を3回以下としかつニップ圧100kN/m以下でカレンダー処理が施されている面であることを特徴とする、(1)項〜(7)項のいずれか1項に記載の塗工ファンシー紙。
(9)マット調塗工ファンシー紙である、(1)項〜(8)項のいずれか1項に記載の塗工ファンシー紙。
本発明の塗工ファンシー紙は、塗工層形成用の塗工液の原紙への浸透が抑えられていることにより、少ない塗工量で十分な印刷適性を備えている塗工層が形成されているとともに、原紙の表面性が良好に維持されている非塗工紙風合いを有する高級感のある塗工ファンシー紙である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の塗工ファンシー紙は、高級印刷分野で印刷物の差別化、高級化を図るために使用されている、紙に色・模様・柄などを付したり、原紙中に毛染繊維を混抄したりした、装飾性の高い印刷用紙であって、一般に、ファンシー紙(ファンシーペーパー)やファインペーパーと呼ばれている印刷用紙のうち、非塗工紙の持つ表面凹凸感や触感、低光沢な外観を模して非塗工紙風合いを有するように仕上げられた顔料塗工層を有する塗工ファンシー紙である。
本発明の非塗工紙風合いを有する塗工ファンシー紙に使用される原紙の主体となるセルロース繊維としては、代表的には、木材を原料としたパルプが使用されるが、ケナフ・バガス・バンブー・コットンなど非木材系パルプも使用できる。木材パルプの原材料は、広葉樹材、針葉樹材のいずれでもよい。また、原材料からパルプを得るための方法としては、クラフト蒸解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解、アルカリサルファイト蒸解等の公知の蒸解法を用いることができる。
蒸解により得られた未漂白パルプは、洗浄、粗選及び精選工程を経て、公知のアルカリ酸素漂白法により脱リグニンされることが好ましい。本発明に使用できるアルカリ酸素漂白法は、公知の中濃度法或いは高濃度法がそのまま適用できるが、現在、汎用的に用いられているパルプ濃度が8〜15%で行われる中濃度法が好ましい。本発明では、アルカリ酸素漂白工程において、上記アルカリ酸素漂白を連続して複数回行い、できる限り脱リグニンを進めるのが好ましい実施態様である。
アルカリ酸素漂白が施されたパルプは次いで洗浄工程へ送られる。パルプは洗浄後、多段漂白工程へ送られる。
本発明で原紙用のパルプとして使用される漂白パルプを得るための多段漂白工程では、公知の漂白工程を適宜使用できるが、近年の環境問題に対する取り組みの見地から、オゾン漂白段を用いることが好ましい。また、必要であれば、二酸化塩素、他の漂白薬品を併用することも可能である。本発明の多段漂白工程で使用できる漂白段は、好ましく用いられるオゾン漂白段以外として、公知の漂白段を用いることができる。多段漂白後のパルプは、叩解工程、または抄紙工程へ送られる。
上記パルプに対して、砕木パルプ、加圧式砕木パルプ、リファイナ砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ等の機械パルプ、脱墨古紙パルプ、損紙なども、本発明の所望の効果を妨げない限り、適宜混合使用することができる。さらには、パルプスラリーを抄紙機で抄き上げ、湿潤状態あるいは乾燥状態でシート化したものを、再度離解してパルプスラリーとしたパルプも使用できる。
原紙を構成するパルプは叩解工程を経た後、スラリー状のパルプ水分散液である紙料として抄紙機に送られる。この紙料に対して、填料や、内添サイズ剤、アニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤等の抄紙用内添助剤を、必要に応じて添加することができる。原紙の抄紙条件については、酸性抄紙、中性抄紙、弱アルカリ抄紙等のいずれの方式でも良い。
本発明で、紙料中に添加し、原紙の形成に使用する填料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、石膏、タルク、クレー、焼成カオリン、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、デラミネーテッドカオリン、珪藻土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等の無機顔料や、尿素・ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機顔料等が例示でき、古紙や損紙等に含まれる填料も再使用できる。填料は2種類以上の混合使用も可能である。填料の配合量は、一般に紙(原紙)灰分が3〜30質量%の範囲となるように添加され、層間強度や不透明度を良好とするために好ましくは5〜25質量%となるように添加される。
本発明で紙料中に添加し、原紙の形成に使用する内添サイズ剤の具体例としては、例えば、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン−アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系、ロジン系などのサイズ剤が挙げられる。
また、歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤の具体例としては、例えば、アルミニウム等の多価金属化合物(具体的には硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、塩基性アルミニウム化合物等)、各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、ポリアミドポリアミン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド等が例示できる。
本発明の効果を妨げない範囲で、パルプ繊維間結合の阻害機能を有する嵩高剤、柔軟剤を使用することも可能である。嵩高剤、柔軟剤の具体例としては、例えば、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、多価アルコールと脂肪酸エステル化合物のポリオキシアルキレン化合物、脂肪酸ポリアミドアミン、多価アルコール系界面活性剤、油脂系非イオン界面活性剤等が例示できる。かかる嵩高剤、柔軟剤の添加量は、一般に、乾燥重量対比でパルプに対して0.05〜2.0質量%程度である。
スラリー状のパルプ水分散液に必要な填料・薬剤を添加した紙料からシート状の原紙を形成するための原紙の抄造(フォーマー)形式としては特に制限はなく、丸網・長網式フォーマー、オントップフォーマー、ギャップフォーマー等を例示することができる。ギャップフォーマー形式の抄紙機としては、ブレードフォーミング型、ロールフォーミング型、およびこれらの複合型があるが、いずれも使用できる。塗工紙に非塗工紙風合いを与えるために原紙表面性を制御するためには丸網・長網式フォーマーを用いることが好ましい。
抄紙される原紙の坪量は、30〜400g/mの範囲に設定される。抄紙される原紙の坪量は50g/m以上であることが好ましい。原紙の坪量が400g/mを超えて大きくなるとサイズプレス液の原紙への浸透性が強くなるので、サイズ度を高めたとしても低塗工量で非塗工紙風合いを保ちつつ要求される印刷適性を備えている塗工層を形成することが困難となる。また、原紙の米坪として30g/m未満では、安定して原紙を抄造できる条件では原紙の平滑性が高くなりすぎ、得られる塗工紙の非塗工紙風合いが得られない。
抄紙工程におけるプレス圧は、原紙の表面性を所望のレベルとするように適宜調節される。塗工後にも非塗工紙風合いを有する塗工ファンシー紙とするために、本発明においては抄紙工程におけるプレス圧は25〜80kN/mの範囲が好ましく、より好ましくは30〜55kN/mである。このプレス工程には、プレス圧が50kN/m以上でプレスする工程を1ニップ有していることが好ましい。
プレス工程における用具についても限定はないが、プレス工程における搾水効果を発現させるためには少なくともプレスニップ時に原紙をサポートする用具の片面が通気性を有することが必要である。原紙の平滑性を制御して、塗工ファンシー紙の非塗工紙風合いを良好なものとするためには、該用具としてフェルトを使用するよりも毛布を使用することが好ましく、少なくともプレスの1ニップにおいて原紙をサポートする用具として原紙両面に接する用具がともに毛布であることが好ましい。
プレスパートを経た原紙は、ドライヤーにより乾燥され、所望の水分量とした後に、サイズプレス工程に送られる。
サイズプレス工程における塗工装置としては、サイズプレス工程における塗工液が顔料を含まないクリアサイズプレスであるか、顔料を含むピグメントサイズプレスであるかにかかわらず、2ロールコーター、ゲートロールコーター等の公知のサイズプレスコーターが使用できる。断紙等のトラブルによる生産効率低下回避、塗工の均一性確保のため、フィルムトランスファー方式のロール塗工装置であることが好ましい。フィルムトランスファー方式のロール塗工装置としては、計量装置としてブレードまたはロッドを使用することにより、原紙に接する前のロール表面上にあらかじめ所望の塗工液量を計量し、この塗工液を原紙に接触、転移させることでサイズプレス、すなわち塗工が実施される。計量装置として、装置の耐久性を考慮すると、ロッドを使用したロッドメタリングサイズプレスであることがより好ましい。
サイズプレス工程においては、得られる塗工紙の表面強度向上、ならびに顔料塗工層を設ける効果を効率よく発揮させるために、原紙への塗工液浸透を抑制することを目的として、澱粉やポリビニルアルコール(以下、PVAと表記する場合がある)、ポリアクリルアミド等、天然もしくは合成の水溶性高分子を含有する水溶液あるいはエマルジョン型高分子が、原紙に塗工される。サイズ度を良好に発現させ、かつ、原紙表面強度を良好に維持して印刷適正を良好とするためには、サイズプレスに用いる水溶性高分子としてはポリビニルアルコールを用いることが好ましい。また、サイズプレスに用いる水溶性高分子の原子内への浸透を抑制するために、水性高分子からなる増粘剤を併用することも好ましい実施態様である。
サイズプレス工程において、顔料を含まない、いわゆるクリアサイズを行う際の塗工量としては、サイズプレスの効果発現、および乾燥負荷の増大による操業性低下回避を考慮すると、原紙片面当たりの固形分塗工量として0.5〜3.0g/mが好ましく、0.8〜2.5g/mがより好ましい。サイズプレス工程において顔料を含有した塗工液を塗工する、いわゆるピグメントサイズプレスを行うこともできる。
サイズプレス工程を経た原紙のステキヒトサイズ度は10〜800秒であることが必要である。本発明は、非塗工紙風合いを有する印刷品質の良好な塗工ファンシー紙を提供するものであるが、そのためには顔料および接着剤を主成分とする顔料塗工層の塗工量を低塗工量とすることが有効である。しかし、原紙のステキヒトサイズ度が低い場合、顔料塗工層を形成する水性塗工液が原紙に浸透しやすく、その場合、低塗工量では印刷品質を良好とすることができないため、原紙のステキヒトサイズ度として10秒以上であることが必要である。一方、ステキヒトサイズ度が高すぎる場合には、原紙上で塗工層の均一な形成が阻害されたり、所望の塗工量に制御することが困難となるため、原紙のステキヒトサイズ度として800秒以下であることが必要である。顔料塗工層の形成ならびに印刷品質向上の観点から、ステキヒトサイズ度としては、30〜600秒であることが好ましい。ここで、ステキヒトサイズ度とは、JIS P8112(2004)で測定されるステキヒトサイズ度をいう。
本発明で使用する原紙としては、原紙の坪量(g/m)の数値をBとし、原紙のサイズプレス後のステキヒトサイズ度(秒)の数値をSとして、B/S=0.2〜4.0の数値範囲となる関係とすることが必要である。原紙の坪量が大きくなるに従い、サイズプレス後の原紙へ顔料塗工層を形成する水溶液を塗工した際の該水溶液が原紙に浸透する傾向は強くなる。このため、原紙の坪量が大きくなるに従い、サイズプレス後のステキヒトサイズ度を高くすることにより、本発明所望の非塗工紙風合いを有する低塗工量の塗工ファンシー紙を得ることができる。B/Sの数値(「BS値」とも称することとする)が0.2より小さくなるに従って原紙に対するサイズプレス効果が高くなりすぎ、原紙上で塗工層の均一な形成を阻害し、所望の塗工量に制御することが困難となる。一方、BS値が4.0を超えて大きくなると、サイズプレス効果が小さくなり目的とする印刷適性を満足する低塗工量の塗工層を形成することが困難となる。BS値は、得られる塗工ファンシー紙の非塗工紙風合いと印刷品質のバランスから、0.5〜2.8の範囲であることがより好ましく、0.6〜2.5の範囲であることが更に好ましい。
サイズプレス工程を経た後、サイズプレス塗工層はドライヤーで乾燥され、顔料塗工工程に送られる。サイズプレス工程前、あるいはサイズプレス工程後の乾燥が完了した後から顔料塗工工程までの間において、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、金属ロール/金属ロールの組み合わせによるマシンカレンダー、あるいは金属ロール/弾性ロールの組み合わせであって金属ロールを加温したソフトカレンダー、金属ロール/弾性ロールの組み合わせであって金属ロールを加温しないスムーザー等による平滑化仕上げ処理を施すこともできる。しかし、得られる塗工紙の非塗工紙風合いを良好な状態とするためには、サイズプレス工程から顔料塗工層塗工工程までの間で平滑化処理を施さないことが好ましい。
顔料塗工層を形成する塗工装置としては、特に非接触計量形式による塗工装置を用いることが好ましい。非接触計量形式による塗工装置を用いることによって、接触計量形式による塗工装置を使用した場合と比較して顔料塗工層の塗工層厚みをより均一にする効果が得られ、これにより原紙表面の凹凸を過度に被覆して非塗工紙風合いを損なうことを回避することができる。ここで、非接触計量形式による塗工装置とは、塗工行程において原紙上に塗工液が供給された後、ブレードでの掻き落としやロールニップでの計量を行うなど、計量部が原紙上の塗料に物理的に接触して計量を行う接触計量形式の塗工装置でなく、原紙上の塗料へ物理的な接触をせずに計量を行うことができる塗工装置を言い、いわゆる前計量タイプの塗工装置や、後計量タイプの塗工装置であっても空気流により計量を行う塗工装置を言う。非接触計量形式による塗工装置の具体例としては、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スロットダイコーター、スプレーコーターが挙げられる。
本発明において、顔料塗工層に使用される顔料については、平均粒子径が2.0〜4.0μmであるタルクを該顔料100質量部中5質量部以上40質量未満含有させることにより、そうでない場合と比較してコスレ傷やコスレ汚れが発生しにくくなるため好ましい。
ここで、本発明でいう顔料の平均粒子径とは、顔料を固形分量が100gとなるように1Lのステンレスビーカー(胴径×高さ=110mm×108mm)に投入し、20%になるように水で薄めた後、市販のホモミキサーにて、2000rpm、30分の条件で分散処理を行い、続いて、得られる顔料スラリーをピロリン酸ナトリウム(商品名:ナンカリンS−1、燐化学工業株式会社製)の0.1%液中で顔料濃度が5%となるように調整し、さらに超音波で5分間分散処理し、セディグラフ5100(マイクロメリティクス社製)を用いて沈降法により測定した際の、粗粒子分側からの累積質量が50%に相当する点での質量平均粒子径を言う。
顔料塗工層中のタルクの含有量が5質量部未満の場合や平均粒子径が2.0μm未満である場合、コスレ傷やコスレ汚れの改善効果が乏しく、他方タルクの含有量が40質量部以上となると、塗工紙表面の非塗工紙風合いが損なわれる場合がある。また、平均粒子径が4.0μmを越えると、非接触計量方式による塗工装置で塗工する場合には、コスレ汚れが劣る、インキ乾燥性が低下する等の問題を生じる場合がある。
前記顔料塗工層に使用する顔料として、さらに平均粒子径が0.1〜1.0μmであるデラミネーテッドカオリンを、顔料100質量部中30質量部を越えない量で含有すると、コスレ汚れを更に良好とすることができるため好ましい。
デラミネーテッドカオリンの平均粒子径が0.1μm未満の場合、デラミネーテッドカオリン配合によるコスレ汚れ向上効果が発現されにくく、他方、平均粒子径が1.0μmを越えると、インキ乾燥性が低下しコスレ汚れ改善効果が発現しにくくなる場合がある。また、デラミネーテッドカオリンの配合量が30質量部を越えると、塗工紙表面の非塗工紙風合いが損なわる場合がある。
本発明において、顔料塗工層は、顔料として重質炭酸カルシウム及び軽質炭酸カルシウムから選ばれる炭酸カルシウムを含有することが好ましい。重質炭酸カルシウムとしては、平均粒子径が0.5〜1.0μmであり、かつ、粒子径0.2μm以下の粒子の割合が18質量%以下、好ましくは15質量%未満である重質炭酸カルシウムが好ましい。該重質炭酸カルシウムを含有させることで、そうでない場合と比較してインキ乾燥性を良好としつつ印刷光沢をより良好とすることができるため好ましい。
また、前記顔料塗工層の軽質炭酸カルシウムとして、平均粒子径が0.2〜0.6μmである立方形状軽質炭酸カルシウムを顔料100質量部中10〜30部含有させると、印刷光沢を更に良好とできるため好ましい。
本発明の塗工ファンシー紙において、顔料塗工層に使用されることが好ましい前記顔料以外の顔料の使用については、本発明の塗工ファンシー紙が奏する効果を妨げない限り特に制限されるものではなく、例えば、通常のカオリン、焼成カオリン、構造化カオリン、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドカオリン等の各種カオリン、重質炭酸カルシウム(粉砕炭酸カルシウム)などの精製した天然鉱物顔料、軽質炭酸カルシウム(合成炭酸カルシウム)、炭酸カルシウムと他の親水性有機化合物との複合合成顔料、サチンホワイト、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、二酸化チタン、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、中空もしくは密実である有機顔料のプラスチックピグメント、接着剤ピグメント、プラスチックビーズ、マイクロカプセルなどを本発明の効果を阻害しない範囲で適宜混合、使用することもできる。
塗工層に用いられる接着剤としては、天然植物から精製した澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉やそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉等の各種澱粉、およびカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の澱粉誘導体、デキストリン、マンナン、キトサン、アラビノガラクタン、グリコーゲン、イヌリン、ペクチン、ヒアルロン酸等の天然多糖類およびそのオリゴマーさらにはその変性体が挙げられる。さらに、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、コラーゲンなどの天然タンパク質およびその変性体、ポリ乳酸、ペプチドなどの合成高分子やオリゴマーが挙げられる。加えて、スチレンブタジエン系、アクリル系、ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニルなどの各共重合体ラテックス、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、変成ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ユリアまたはメラミン/ホルマリン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン/エピクロルヒドリンなどの水溶性合成物などが挙げられる。これらは一種以上で使用することができる。この他、公知の天然、合成有機化合物を使用することは特に限定されない。
接着剤として用いることができるスチレンブタジエン系共重合体ラテックス(以下、SBRラテックスと記す)としては、ラテックス粒子の平均粒子径が50〜120nmである場合、接着剤使用量を削減でき、インキ乾燥性改善にも寄与できることから好ましい。SBRラテックス使用量とインキ乾燥性のバランスの観点からは、SBRラテックス平均粒子径としては、60〜90nmであることがより好ましい。ラテックスの平均粒子径は、ラテックスをオスミウム酸で処理し、これを透過型電子顕微鏡で倍率5万倍の写真撮影し、得られた顕微鏡写真の重合体ラテックス粒子の約200個の粒子径を測定し数平均で求めるか、より簡便な方法として、サブミクロン粒子アナライザーモデルN4(ベックマンコールター社製)による測定でも求めることができる。
また、必要に応じて塗工液に用いられる増粘剤としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、キサンタンガム、グアーガム等のガム類、カゼイン、ポリアクリル酸ソーダなどの水溶性高分子、ポリアクリル酸塩、スチレンマレイン酸無水共重合体などの合成重合体、珪酸塩などの無機重合体などが挙げられる。
さらに、必要に応じて、分散剤、濡れ剤、流動性改質剤、消泡剤、耐水化剤、印刷適性向上剤、防腐剤、スライムコントロール剤、着色剤などの通常使用されている各種助剤、およびこれらの各種助剤をカチオン化したものが好適に用いられる。
塗工紙の白色度を調整するために蛍光染料を使用する場合、接着剤としてポリビニルアルコールを併用することで、ポリビニルアルコールが蛍光染料のキャリアーとして作用し、蛍光染料の原紙への過度な移動を抑止して良好な蛍光増白作用を示すために好ましい。
顔料塗工層を形成するための水性塗工液の塗工時の塗料固形分濃度についても、特に制限はないが、所望の塗工量とするためには塗料固形分濃度として20〜55質量%の範囲で調節され、より好ましくは25〜45質量%に調節される。
顔料塗工層の塗工量は、得られる塗工紙で非塗工紙風合いを維持した状態で、白紙品質、印刷品質、および塗工・加工適性等を考慮すると、片面当たり3〜16g/mの範囲に調整される。片面当たりの塗工量としては、好ましくは4〜15g/mで、より好ましくは片面当たり3〜12g/mに調整される。塗工量が3g/m未満では、顔料塗工層を設けたことによる印刷適性の向上が期待できないことがあり、他方、塗工量が16g/mを越える場合、非塗工紙風合いが損なわれる可能性がある。
原紙上に設ける顔料塗工層の層数としては、原紙の少なくとも片面に1層以上とすることが必要であるが、原紙の表面凹凸を過度に平滑させて非塗工紙風合いを損なわせることのないようにすることが必要であるため、原紙片面あたりの顔料塗工層の層数としては1層であることが好ましい。
顔料塗工層を設けた後、一般塗工紙製造の場合の様にスーパーカレンダー装置による平滑化処理を行うこともできる。使用可能なカレンダー装置としては、ハードニップカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー、グロスカレンダー等のグロス仕上げをするカレンダー装置が挙げられる。非塗工紙風合いを維持させる観点からは、線圧100kN/m以下で2ニップ以下のカレンダー処理とすることが好ましく、線圧が50kN/m以下であることがより好ましい。塗工ファンシー紙の非塗工紙風合いを保持する観点からは、平滑化処理は行わないことが最も好ましい。
塗工ファンシー紙の非塗工紙風合いを保持する観点からは、上記顔料塗工層形成後の平滑化処理、ならびに顔料塗工層形成前の原紙乾燥後の平滑化処理はいずれも行わないことが好ましい。また、平滑化処理を行う場合には、平滑化処理におけるニップ通過回数をカレンダー処理回数とし、原紙面および/または顔料塗工層面へのカレンダー処理の合計回数が3回以下、かつ、ニップ圧を100kN/m以下とすることが好ましい。
また、得られた塗工紙に対して、エンボスロールを使用して表面に凹凸パターンを付与するエンボス処理を行うこともできる。エンボス処理による塗工層厚密変化に起因して印刷均一性が変化することを防ぐ観点からは、エンボス処理は行わないことが好ましい。
塗工ファンシー紙の白紙光沢については特に限定はないが、非塗工紙風合いを保持する観点から白紙表面性としてはマット調であることが好ましい。このため、塗工ファンシー紙のISO 8254−1(1999)に準じて測定される入射・受光角75度の白紙光沢度として、30未満であることが好ましく、20未満であることがより好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されるものではない。なお、表1及び表2における実験例1〜17は参考例であり、本発明の実施例は実験例18〜26である。また、各実験例及び各比較実験例のそれぞれにおける「部」及び「%」は特に断らない限り、「質量部(固形分)」及び「質量%」を示す。
(紙基材の調製)
LBKP100部に、填料として軽質炭酸カルシウム(商品名:タマパールTP−121、奥多摩工業社製)を10部添加した後、パルプスラリーの全固形分に対して硫酸アルミニウム1.5%、カチオン澱粉(商品名:エースK100、王子コーンスターチ社製)0.5%、アルキルケテンダイマーサイズ剤(商品名:サイズパインK−287、荒川化学社製)0.4%、ポリアクリルアミド(商品名:ポリストロン851、荒川化学社製)1.5%を順次添加し、紙料を調製した。この紙料を長網式フォーマーにて抄紙し、安定した非塗工紙風合いを得るため、プレス形式としてトライニッププレス形式のプレスを用い、1P/2P/3Pのプレス圧として40/40/65kN/mの条件でプレスした後、乾燥を行い、坪量120.0g/mの原紙Aを得た。
原紙Aと同様の紙料から、原紙Aと同様にして表1〜表3に示す坪量とステキヒトサイズ度を有する原紙B〜I,M〜Qを得た。
(サイズプレス)
原紙Aを得る紙料で使用されているサイズ剤を含まない紙料を調製し、この紙料から原紙Aと同様にして抄紙し、プレスした後、乾燥を行って原紙を得た。この原紙に対して、サイズプレス工程で、PVA溶液(商品名:PVA117、株式会社クラレ製、固形分濃度8.5%)を両面に塗工・乾燥して、PVA塗工層を形成した坪量128g/m の実験例11の原紙を得た。また、原紙KにおいてPVAサイズプレス工程で使用したPVA溶液の代わりに、サイズプレス工程で、PVA溶液(商品名:PVA117、前出)にさらに増粘剤(商品名:SNシックナー929−S、サンノプコ株式会社製)をPVA/増粘剤=5/1(水溶液比として)となるよう両面に塗工・乾燥して形成した坪量128g/m の実験例12の原紙を得た。
(顔料塗工液の調製)
タルクに分散剤(商品名:アロンT−50、東亞合成社製)0.4部を添加し、濃度60%のスラリーを調製した。また、デラミネーテッドカオリンに分散剤(商品名:アロンT−50、前出)0.1部を添加し、濃度70%のスラリーを調製した。粉体で供給される軽質炭酸カルシウムは、分散剤(商品名:アロンT−50、前出)0.3部を添加し、濃度55%のスラリーを調製した。
粉体で供給される重質炭酸カルシウムは、分散剤(商品名:アロンT−50、前出)0.3部を添加し、濃度55%のスラリーを調製した。
タルクスラリー、デラミネーテッドカオリンスラリー、重質炭酸カルシウムスラリー、軽質炭酸カルシウムスラリーを表1に示す配合で攪拌した後、澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ株式会社製)3部とラテックス(商品名:OJ−3000H、JSR株式会社製、平均粒子径80nm)15部を加え、さらに助剤として消泡剤および染料を順次加え、更に水を加えて顔料塗工層用水性塗工液を得た。表1、表2及び表3に記載の各塗工ファンシー紙には以下の顔料を用いた。
(タルク)
商品名 PD―680、WMC Industrial Minerals社製、平均粒子径2.8μm
(カオリン)
デラミネーテッドカオリン、商品名 ハイドラシーン、KaMin社製、平均粒子径:0.14μm
(重質炭酸カルシウム)
G1:商品名 ハイドロカーブ90、備北粉化工業株式会社製、平均粒子径:0.72μm、0.2μm以下の粒子割合:16%
G2:商品名 FMT-OP、株式会社ファイマテック製、平均粒子径0.64μm、0.2μm以下の粒子割合:9%
(軽質炭酸カルシウム)
P1:商品名 TP−221GS、奥多摩工業株式会社製、平均粒径0.45μm、紡錘形状
P2:商品名 ブリリアント15、白石カルシウム工業株式会社製、平均粒径0.34μm
得られた顔料塗液を前記サイズプレス処理原紙の片面に塗布・乾燥して表1、表2及び表3に示す顔料塗工層を有する塗工紙を作製し、それぞれの白紙光沢、印刷光沢、コスレ傷、コスレ汚れ、インキ乾燥性及び非塗工紙風合いについて、以下に従って評価を行い、結果を表1、表2及び表3に示した。
<白紙光沢評価>
ISO 8254−1(1999)に準じて、入射・受光角75度の光沢値を光沢度計(型式:GM−26D、村上色彩技術研究所社製)を使用して測定した。
<印刷光沢評価>
ISO 2813(1994)に準じて、入射・受光角60度の光沢値を光沢度計(型式:GM−26D、村上色彩技術研究所社製)を使用して測定した。
<表面強度評価>
染色堅ろう度用摩擦試験機(東洋精機製作所製)を用い、印刷していない塗工紙2枚を対向させ、500gの荷重を負荷した条件で4往復させて表面強度の試験を行った。試験後、塗工紙の擦られた部分の擦られていない部分との光沢差を目視評価し、表面強度評価を行った。点数が高いほどコスレ傷が目立たずに表面強度が良好である。
<コスレ汚れ評価>
RI印刷試験機を用い、墨インキ(商品名:バリウスG墨Sタイプ、大日本インキ社製)を0.6g計量して展開し、各塗工紙に印刷を行った。印刷後、室温にて24時間放置してインキを乾燥させた後、染色堅ろう度用摩擦試験機(前出)を用い、印刷面と非印刷面を対向させ、500gの荷重を負荷した条件で4往復させてコスレ汚れ試験を行った。試験後、非印刷面の墨インキによる汚れ具合を目視評価し、コスレ汚れ評価を行った。点数が高いほどコスレ汚れが少なく良好である。
<インキ乾燥性評価>
RI印刷試験機を用い、墨インキ(商品名:バリウスG墨Sタイプ、大日本インキ社製)を0.6g計量して展開し、試験紙への印刷を施した後、印刷直後から時間間隔を変更してロールニップにおいて印刷面とカレンダー処理により平滑性を向上させた一般PPC用紙を対向させて圧着し、PPC用紙へのインキ転移性を比較した。PPC用紙へのインキ転移性が高いほどインキ乾燥性が劣るとして判断し、インキ転移性をインキ乾燥性として目視評価して、インキ乾燥性評価を行った。点数が高いほど、インキ乾燥性が良好である。
<非塗工紙風合い>
各実験例(参考例、実施例及び比較例)で得られた塗工紙の非塗工紙風合いを、表面性を目視で評価するとともに、触感において塗工紙・非塗工紙いずれの感触に近いかを含め、総合的に評価した。点数が高いほど、非塗工紙風合いが良好である。
上記塗工紙の評価において、評価点数が3点以下の場合、品質が劣るため実用性が低い塗工紙である。
Figure 0005991177
Figure 0005991177
Figure 0005991177
(カレンダー処理)
表1〜表3における「カレンダー処理」の項目における符号S1,S2,S3は以下のとおりである。非塗工紙風合いを維持させる観点からは、顔料塗工液乾燥後、線圧100kN/m以下で2ニップ以下のカレンダー処理が好ましい。
S1 : 線圧が60kN/m 1Nip
S2 : 線圧が30kN/m 2Nip
S3 : 線圧が60kN/m 4Nip
本発明の塗工ファンシー紙は、非塗工紙風合いを有するマット調の塗工紙であって、塗工面にコスレ傷やコスレ汚れが発生しにくく、インキ乾燥性に優れているという印刷品質の極めて良好な高級感のある塗工ファンシー紙であるので、ファンシー紙の利用分野の拡大に寄与することが期待されるとともに、生産性の高いファンシー紙でもあるので、印刷用の塗工ファンシー紙の増大する需要にも十分に応えられるものである。

Claims (4)

  1. 原紙の坪量が30〜400g/mで、原紙のステキヒトサイズ度が10〜800秒であり、かつ、原紙の坪量(g/m)の数値をBとし、原紙のステキヒトサイズ度(秒)の数値をSとして、B/S=0.2〜4.0である原紙の少なくとも片面に、全顔料100質量部中に、平均粒子径2.0〜4.0μmのタルクを5質量部以上40質量部未満の量で含有し、炭酸カルシウムを30質量部以上の量で含有し、かつ、平均粒子径0.1〜1.0μmのデラミネーテッドカオリンを30質量部を越えない量で含有する顔料と接着剤を主成分とする顔料塗工層を設けてなる塗工ファンシー紙。
  2. 前記顔料塗工層の片面の塗工量が3〜16g/mであることを特徴とする、請求項1に記載の塗工ファンシー紙。
  3. 前記顔料塗工層における全顔料100質量部中に30質量部以上の量で含まれる炭酸カルシウムが、平均粒子径が0.5〜1.0μmで、かつ、粒子径0.2μm以下の粒子の割合が15質量%未満である重質炭酸カルシウム及び平均粒子径が0.2〜0.6μmである立方形状軽質炭酸カルシウムから選ばれる炭酸カルシウムよりなり、塗工面のISO 8254−1(1999)に準じて測定される入射・受光角75度の白紙光沢度が3以上20未満であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の塗工ファンシー紙。
  4. マット調塗工ファンシー紙である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗工ファンシー紙。
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