JP2004332171A - 印刷用塗工紙およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】メタードフィルムトランスファー方式のコーターの使用により優れた操業性を有するとともに、白紙面感、印刷面感、白色度、および不透明度に優れ、低密度であることを特徴とする印刷用塗工紙およびその製造方法を提供するものである。
【解決手段】原紙の片面または両面に少なくとも1層以上の塗工層を設けた印刷用塗工紙の製造方法において、該塗工層中の顔料として粒子径400nm以上の樹脂粒子を5〜30質量%含有する塗工液を、メタードフィルムトランスファー方式のコーターを用いて塗工速度900m/分以上にて該原紙上に塗工することを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法。好ましくは、原紙上に塗工液を塗工した後、ロール表面温度90〜210℃の条件でカレンダー処理することを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法、および印刷用塗工紙。
【選択図】 なし
【解決手段】原紙の片面または両面に少なくとも1層以上の塗工層を設けた印刷用塗工紙の製造方法において、該塗工層中の顔料として粒子径400nm以上の樹脂粒子を5〜30質量%含有する塗工液を、メタードフィルムトランスファー方式のコーターを用いて塗工速度900m/分以上にて該原紙上に塗工することを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法。好ましくは、原紙上に塗工液を塗工した後、ロール表面温度90〜210℃の条件でカレンダー処理することを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法、および印刷用塗工紙。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷用塗工紙およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくはメタードフィルムトランスファー方式のコーターの使用により優れた操業性を有するとともに白紙面感、印刷面感、白色度、不透明度に優れ、低密度であることを特徴とする印刷用塗工紙およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
枚葉および輪転式などの印刷機に使用する印刷用塗工紙は、優れた白紙面感と印刷品質を得るために塗工工程を経て製造される。近年、この塗工工程においては、製品のコストダウンおよびエネルギーの効率的な利用など理由のため、高速で安定した操業性が求められている。
【0003】
高速の塗工方式としては、一般に、ブレード方式が広く利用されてきたが、設置スペースがコンパクトで、抄紙機の抄造から連続しての塗工工程が容易に実現できるメタードフィルムトランスファー方式によるコーターを用いた印刷用塗工紙の製造および塗工原紙への下塗り塗工が注目されている。メタードフィルムトランスファー方式では、各種メタリング装置によりサイズ液や塗工液の均一な膜が、往来のサイズプレス方式におけるサイズプレスロールに当たるアプリケーションロールに供給されて、ロールニップ間において紙の片側または両側に転写される。メタードフィルムトランスファー方式はこれまでの液溜りを有する2ロールサイズプレス方式と比べて、操業速度の上限、塗工可能な液の種類、濃度、液性の幅広さ、得られる塗工量の上限、そして出来上がった紙の品質において優れている。
【0004】
メタードフィルムトランスファー方式によるコーターを用いた塗工においては、該コーターにおけるアプリケーションロールのニップ部における塗工液から原紙への脱水現象により濃度が上昇した塗工液、いわゆる不動化層と、不動化層と任意の吸着力を示した不動化層近傍の非不動化層とが、該アプリケーションロールから離れ、塗工層として乾燥部へと移動する。この時、非不動化層の開裂挙動が主な原因となり、ミストと呼ばれる塗工液の飛散、剥離パターンおよびしわの発生などの塗工欠陥が生じる。また、アプリケーションロールのニップ部における急激な脱水現象は、塗工液中固形分の原紙への浸透を促進して、原紙の塗工層による被覆性、すなわちカバリング性を低下させることが問題となっている。また、塗工液がロッドメタリング方式などにより前計量されてからニップ部に到達するまでの間、そしてニップ部通過後から乾燥部までの間においては、塗工液のレベリング性などが印刷用塗工紙の平滑性に影響を及ぼす場合がある。
【0005】
よって、メタードフィルムトランスファー方式によるコーターを用いた塗工において、高品位な印刷用塗工紙を製造しようとする場合、塗工液には、保水性、ハイシェアー粘度、ローシェアー粘度、弾性、固形分濃度、不動化点、および顔料の粒度分布といった種々の特性が複合的に要求され、また、装置の操業条件についても最適な条件が必要となる。
【0006】
従来では重質炭酸カルシウムを主体とし、高ゲル含有量のラテックスを配合し、さらに澱粉を比較的高配合した塗工液でメタードフィルムトランスファーの高速操業を試みているが、重質炭酸カルシウムを高配合すると顔料特有の性質としてカバリング性の低下、白紙光沢と印刷光沢の低下を招き、また澱粉が比較的高配合であると、例え保水性がある程度向上したとしても塗工液の低濃度化によって原紙への脱水量増加が顕著になり、カバリング性の低下、バインダーマイグレーションによる印刷むらの悪化を引き起こす傾向がある。よって、特に印刷用塗工紙の品質向上といった面について極めて不十分な内容である(例えば、特許文献1、2参照。)
【0007】
また、ラテックスのゲル量を高くし、ブタジエンのモノマー比を一定範囲とすることで高速操業を試みたものについては、コーターのロール同士またはロールとロッド間におけるラテックスの機械的安定性や被膜形成性に言及しただけのものであり、高品位な印刷用塗工紙を高速の操業条件で製造する方法としては特に印刷用塗工紙の品質面について不十分な内容である(例えば、特許文献1、3参照。)。
【0008】
その他には、平均粒子径の細かい微粒グレード、ファイングレード、もしくはハイグロスグレードなどと呼ばれるカオリンを用いて、塗工液の高せん断速度下の粘性の改良を試みているが、カオリンも過度に細かいグレードを用いると、アプリケーションロールのニップ部における脱水現象によって、原紙への浸透が促進されてしまい、原紙の塗工層によるカバリング性が低下してしまう。よって、この手法もメタードフィルムトランスファー方式によるコーターを用いて製造される印刷用塗工紙の品質向上についてはやはり不十分と言える(例えば、特許文献4参照。)。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−170195号公報
【特許文献2】
特開平10−46496号公報
【特許文献3】
特開平9−324395号公報
【特許文献4】
特開平9−302596号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、メタードフィルムトランスファー方式のコーターの使用により優れた操業性を有するとともに白紙面感、印刷面感、白色度、不透明度に優れ、低密度であることを特徴とする印刷用塗工紙およびその製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題について鋭意研究を重ねた結果、本発明の印刷用塗工紙の製造方法を発明するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の印刷用塗工紙の製造方法は、原紙の片面または両面に少なくとも1層以上の塗工層を設けた印刷用塗工紙の製造方法において、該塗工層中の顔料として平均粒子径400nm以上の樹脂粒子を5〜30質量%含有する塗工液を、メタードフィルムトランスファー方式のコーターを用いて塗工速度900m/分以上にて該原紙上に塗工することを特徴とするものである。
【0013】
上記発明において、原紙上に塗工液を塗工した後、ロール表面温度90〜210℃の条件でカレンダー処理することを特徴とする。
【0014】
また、上記発明において、樹脂粒子が、中空率30%以上の中空樹脂粒子であることを特徴とする。
【0015】
さらには、上記の製造方法により得られる印刷用塗工紙であることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における印刷用塗工紙の製造方法について、詳細に説明する。
【0017】
本発明の印刷用塗工紙の製造方法は、原紙の片面または両面に少なくとも1層以上の塗工層を設けた印刷用塗工紙の製造方法において、該塗工層中の顔料として平均粒子径400nm以上の樹脂粒子を5〜30質量%含有する塗工液を、メタードフィルムトランスファー方式のコーターを用いて塗工速度900m/分以上にて該原紙上に塗工することを特徴とするものである。
【0018】
本発明において、メタードフィルムトランスファー方式によるコーターは、トップおよびボトムの2つのアプリケーションロールで構成され、該ロール間に原紙を通過させて塗工液を該原紙に塗工するものであり、一定の塗工量を設けるために各アプリケーションロールの外側には、金属ロール、ゴム被覆ロール、ワイヤー巻付けロール、平滑なロッド、溝付きのロッド、ワイヤー巻き付けロッド、ブレードなどの内の1つまたは2つ以上の組み合わせによるメタリング装置が取り付けられており、所定量の塗工液をアプリケーションロールに供給できるようになっている。
【0019】
メタードフィルムトランスファー方式としては、そのメタリング装置の種類に応じて、ロッドメタードフィルムプレス方式、ゲートロールメタードフィルムプレス方式、ブレードメタードフィルムプレス方式などが挙げられる。
【0020】
コーターにおけるアプリケーションロールは、耐摩耗性や操業性などの観点からその表面にはロールカバーが取り付けられているが、ロールカバーの材質として、例えば、ポリウレタン、合成ゴム、セラミックなどが挙げられる。
【0021】
印刷用塗工紙の白紙面感、印刷面感、白色度、不透明度などの塗工紙品質および印刷品質を決める要因として、塗工層による原紙の被覆性、すなわち、カバリング性が重要なのは言うまでもない。メタードフィルムトランスファー方式のコーターにおいても、印刷用塗工紙の品質を向上させるためには、塗工量を増やすことでカバリング性の向上が図られる場合が多い。しかし、メタードフィルムトランスファー方式のコーターはその構造上の問題点として、塗工量の増加と共に、アプリケーションロールニップ部の通過後に、ロールミストと呼ばれる塗工液の飛散、剥離パターンおよびしわの発生などの塗工欠陥の発生が顕著になってしまう。このような塗工欠陥は、900m/分以上の操業速度で急激に顕著となる。
【0022】
これらの塗工欠陥を防ぐために、塗液濃度の低下、塗液粘度および保水性の制御、原紙サイズ性の制御、もしくは操業速度の低下といった対処法が取られる場合が多いが、この内、特に塗液濃度の低下はカバリング性の低下や乾燥負荷の増加、操業速度の低下は生産効率の低下を招いてしまう。
【0023】
また、炭酸カルシウムやカオリンなどの無機顔料の改質による塗工液の流動性とカバリング性の両立には限界があり、顔料を細かくするとカバリングが低下し、顔料を粗くすると塗工液の流動性が悪化するという現象が起こる。
【0024】
本発明では、平均粒子径が400nm以上の樹脂粒子を用いることで、炭酸カルシウムやカオリンなどの無機顔料では達成不可能な塗工液の流動性とカバリング性の高い次元での両立を可能とした。これは、樹脂粒子が無機顔料と比べて低密度であり、さらに球状の揃った粒子形態を有することに起因する。
【0025】
樹脂粒子を用いた場合、メタードフィルムトランスファー方式のコーターを用いた塗工工程で発生するトラブルが減少する理由は、従来のB型粘度、ハイシェアー粘度、保水性、固形分だけで説明することは難しい。しかし、樹脂粒子はカオリン、炭酸カルシウムなどの無機顔料と比較すると、合成物であるがゆえ平均粒子径が非常に揃っており、ニップ通過後のアプリケーションロールと原紙間での塗工液の開裂がスムーズになったり、塗工液を転写するアプリケーションロールへの原紙の貼り付きの軽減したりする効果があり、結果としてロールミストと呼ばれる塗工液の飛散や、剥離パターンおよびしわの発生などの塗工欠陥を抑制できるものと考えられる。
【0026】
しかし、樹脂粒子の平均粒子径が400nmを下回ると、カバリング性の向上といった面で塗工液の特性はだんだんと損なわれ、結果としてカバリング性と操業性の両立のレベルが低いものとなる場合がある。
【0027】
また、樹脂粒子は中空の構造を有することにより低密度、高屈折率といった特性がさらに高められ、特に中空率が30%以上になることで上記に示した本発明の特徴である印刷用塗工紙のカバリング性とその製造における操業性のバランスは著しく向上する。
【0028】
また、樹脂粒子および中空の樹脂粒子の含有量は、塗工層中に含有される全顔料中に5〜30質量%であることが重要である。ここで、5質量%を下回ると塗工液の流動性とカバリング性の高い次元での両立が損なわれる。また、樹脂粒子は、通常、水分散体で供給されるため、カオリン、炭酸カルシウムなどの無機顔料スラリーに比較すると固形分濃度が低い。さらに中空形状のものは、塗工液中においてはその中空部分に水が充満している。よって、塗工層中に含有される顔料に対して樹脂粒子および中空の樹脂粒子の配合量が30質量%を上回ると塗工液濃度の低下により乾燥負荷の増大のおそれが出てくる。よって、高品質の印刷用塗工紙を900m/分以上の操業速度で製造する本発明の意図が達成できなくなるおそれがある。
【0029】
樹脂粒子および中空の樹脂粒子の組成は、スチレンを主としたポリマーであり、アクリル、ブタジエンなどのモノマーを含む共重合体であっても良い。また、中空の樹脂粒子は、代表的にはアルカリ/酸二段階処理法などの製造方法により得られる。また、樹脂粒子および中空の樹脂粒子のガラス転移点(Tg)は、熱や圧力による変形が過度にならないために、好ましくは30℃以上、さらに好ましくは60℃以上である。
【0030】
さらに、上記発明において、メタードフィルムトランスファー方式のコーターを用いて塗工した後に、ロール表面温度90〜210℃のカレンダー装置で仕上げを行うことによって、白紙面感、印刷面感、白色度、不透明度、低密度などの塗工紙品質と印刷品質を高い次元で発現する印刷用塗工紙を得ることを可能とした。
【0031】
ここで、ロール表面温度が90℃を下回るカレンダー装置で印刷用塗工紙を仕上げて同様の平滑性を得ようとした場合、印刷用塗工紙は密度が高くなる傾向になり、不透明度、剛直度といった特性は損なわれる。例えば、スーパーカレンダーは、比較的広いニップ幅と多数のニップ数(8〜14ニップ)を通過することによって、紙の密度は急激に高くなり、白紙光沢も上昇するが、不透明度と剛直度が共に損なわれる場合が有る。
【0032】
本発明において、90〜210℃といったロール表面温度での仕上げが可能なカレンダー装置については、2〜8ニップとスーパーカレンダーに比較して少ないニップ数であり、剛性ロールはチルドロール、鍛造鋼鉄ロールなどからなり、加熱機構を持ち、210℃といった高温でも紙匹を処理できる装置である。また、弾性ロールは合成樹脂または合成ゴム(ショアーD硬度で60〜97度)の中でも高ニップ圧下で耐熱性、耐摩耗性に優れ、傷がつき難い特別な素材で硬質の鉄芯が薄く覆われている。このため、スーパーカレンダーに比較するとニップ幅は狭くなる場合が多い。
【0033】
本発明における基紙としては、非塗工紙でも塗工紙でも使用できる。内添填料は使用しても使用しなくてもよい。使用できる内添填料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムの他に、カオリン、クレー、タルク、二酸化チタン、有機顔料などが挙げられる。
【0034】
本発明において、印刷用塗工紙の塗工量は片面当たり4〜16g/m2が好ましい。4g/m2未満では、カバリングが不十分となり目的とする白紙品質、印刷品質が得られない。また、16g/m2を超える塗工量では、ロールミストと呼ばれる塗工液の飛散、剥離パターンおよびしわの発生などの塗工欠陥の発生が顕著になってしまう場合がある。
【0035】
本発明において、原紙を製造する際に使用する内添サイズ剤としては、例えば、酸性抄紙の場合には、ロジンサイズ剤、中性抄紙の場合には、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、中性ロジンサイズ剤、カチオン性スチレンアクリルなどが挙げられる。
【0036】
原紙を製造する際に使用する紙料中には、この他に、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、従来から使用されている歩留まり向上剤、各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の濾水向上剤、紙力向上剤などの抄紙用内添助剤が必要に応じて適宜選択して使用される。例えば、各種澱粉、およびポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリアミン、ポリアミド・ポリアミン、尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、ポリアミド樹脂の内の1種あるいは2種以上が適宜組み合わされて使用される。
【0037】
原紙表面には、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、カチオン澱粉、燐酸澱粉などの加工澱粉、変性澱粉、ポリビニルルアルコールなどのバインダー、スチレン/アクリル酸系共重合体、スチレン/メタアクリル酸系共重合体、アクリロニトリル/ビニルホルマール/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体などの表面サイズ剤、エチレン−尿素樹脂などの寸法安定化剤、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの無機導電剤、有機導電剤、界面活性剤、顔料、染料を塗工することは勿論可能である。
【0038】
上記のバインダーおよび表面サイズ剤などを塗工する装置としては、コンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、あるいはフィルムトランスファー方式のサイズプレス、ロッドコーター、ビルブレード、ショートドウェルコーターなどを用いることができる。
【0039】
原紙を製造する際に、使用できるパルプとしては、NBKP、LBKP、NBSP、LBSP、GP、TMPなどの他に、ケナフやバガスなどの非木材パルプや古紙パルプが挙げられ、必要に応じて単独あるいは併用して用いられる。
【0040】
なお、本発明で言う古紙パルプの原料としては、(財)古紙再生促進センターの古紙標準品質規格表に示されている、上白、罫白、クリーム白、カード、特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、別上切、新聞、雑誌などが挙げられる。さらに具体例としては、情報関連用紙である非塗工コンピュータ用紙、感熱紙、感圧紙などのプリンター用紙、およびPPC用紙などのOA古紙、アート紙、コート紙、微塗工紙、マット紙などの塗工紙、あるいは上質紙、色上質、ノート、便箋、包装紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞用紙、更紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカートンなどの非塗工紙などの紙や板紙の古紙で、化学パルプ紙、高歩留りパルプ含有紙などが使用されるが、印字、複写、印刷、非印刷を問わず特に限定されるものではない。
【0041】
その他の添加剤としては、pH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、および防錆剤などが挙げられる。
【0042】
本発明で使用する原紙の抄紙方法において、抄紙機は、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、コンビネーション抄紙機、丸網抄紙機、ヤンキー抄紙機など製紙業界で公知の抄紙機を適宜使用できる。
【0043】
原紙の厚さに特に制限はないが、坪量で40〜300g/m2程度の紙が通常使用される。
【0044】
本発明において、塗工層に用いる顔料として、本発明が示す樹脂粒子と併用できるものは、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、デラミネーティッドカオリン、焼成カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、カチオン修飾したコロイダルシリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、アルミナ水和物、リトポン、ゼオライト、加水ハロサイト、水酸化マグネシウムなどの白色無機顔料、スチレンもしくはその共重合体のプラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂などの有機顔料などが挙げられる。
【0045】
塗工層に用いる接着剤としては、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などの澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコールまたはその誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体または共重合体などのアクリル系重合体ラテックス;エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス;或いはこれら各種重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;或いはこれら各種重合体にカチオン性基を用いてカチオン化したもの、カチオン性界面活性剤にて重合体表面をカチオン化したもの、カチオン性ポリビニルアルコール下で重合し重合体表面に該ポリビニルアルコールを分布させたもの、カチオン性コロイド粒子の懸濁分散液中で重合を行い、重合体表面に該粒子が分布しているものなど;メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂などの水性接着剤;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体または共重合体樹脂;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂系接着剤などを挙げられ、単独でも複数を組み合せて使用しても良い。
【0046】
上記の接着剤は、顔料100質量部に対して、総量で5〜80質量部用いることができる。ここで、5質量部未満では、塗工層の塗層強度が不足するし、80質量部を超えると、印刷用塗工紙同士の密着性が過度になり、ブロッキング、貼り付きなどのトラブルを生じる場合がある。また、塗工層には、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、滑剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、染料定着剤などを適宜配合することもできる。
【0047】
その他助剤としては、カレンダーでのダスティングや汚れを防止する滑剤が重要であり、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸、オレイン酸カルシウム、オレイン酸アンモニウム、レシチン、ポリエチレン、ワックス、またはこれらの誘導体が好適に使用される。
【0048】
本発明における印刷用塗工紙は、代表的な使用例としてはオフセット印刷用紙であるが、これに留まらず、乾式および湿式トナーを用いた電子写真方式の複写機、ファクシミリ、プリンター、オンデマンド印刷などで使用する用紙、また熱転写受像紙として使用できる。さらには2層以上の塗工紙の下塗り原紙として好適に使用することが可能である。
【0049】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例において示す「部」および「%」は、特に明示しない限り固形での質量部および質量%を示す。
【0050】
<原紙の作製>
LBKP(濾水度440mlcsf) 70部
NBKP(濾水度490mlcsf) 30部
軽質炭酸カルシウム(*原紙中灰分で表示) *8部
市販カチオン化澱粉 0.8部
市販カチオン系ポリアクリルアミド歩留まり向上剤 0.03部
パルプ、内添薬品を上記の配合で調整し、坪量50g/m2の原紙を抄造した。
【0051】
<塗工液配合>
顔料(下記表1に記載) 100部
市販ポリアクリル酸系分散剤 0.1部
接着剤(SBR系ラテックス) 18部
りん酸エステル化澱粉 6部
滑剤(ステアリン酸カルシウム系) 2部
【0052】
【表1】
【0053】
実施例1
原紙に対して、配合Aの塗工液を、ロッドメタードフィルムプレス方式コーターを用いて塗工速度900m/分で片面当り9g/m2両面塗工し、乾燥して印刷用塗工紙を得た。仕上げはオンラインでソフトカレンダーを用い、ロール温度180℃で行なった。
【0054】
実施例2〜9および比較例1〜5
下記表2に掲げた塗工液配合とした以外は実施例1と同様にして実施例2〜9および比較例1〜5の印刷用塗工紙を製造した。
【0055】
実施例10および比較例6
下記表2に掲げた塗工液配合および塗工速度とした以外は実施例1と同様にして実施例10および比較例6の印刷用塗工紙を製造した。
【0056】
実施例11および比較例7〜8
下記表2に掲げた塗工液配合およびカレンダー装置とロール温度とした以外は実施例1と同様にして実施例11および比較例7〜8の印刷用塗工紙を製造した。
【0057】
【表2】
【0058】
実施例1〜11および比較例1〜8の印刷用塗工紙について、下記の評価方法により評価し、その結果を表3に示した。
【0059】
<評価方法>
(1)剥離むら
印刷用塗工紙を観察して、ニップ通過時のアプリケーションロールからの剥離むらによる塗工むらを、◎(全く発生せず非常に良好)、○(ほとんど発生せず良好)、△(発生した)、×(著しく発生した)の4段階で評価した。ただし、本発明においては、○以上を発明の対照とした。
【0060】
(2)皺より
印刷用塗工紙を観察して、ニップ通過時の紙の皺よりによる塗工むらを、◎(全く発生せず非常に良好)、○(ほとんど発生せず良好)、△(発生した)、×(著しく発生した)の4段階で評価した。ただし、本発明においては、○以上を発明の対照とした。
【0061】
(3)ミスティング
塗工時にニップ下に黒色の紙を一定時間さらして、塗工終了後塗工液の飛散状態を観察し、◎(全く飛散せず非常に良好)、○(ほとんど飛散せず良好)、△(飛散した)、×(著しく飛散した)の4段階で評価した。ただし、本発明においては、○以上を発明の対象とした。
【0062】
(4)カバリング性
電子顕微鏡(100、300、3000倍)によって原紙上の顔料の分布状態を観察し、塗工層のカバリング性を、◎(原紙が均一に非常に良く被履されている)、○(原紙が均一に良く被履されている)、△(原紙が良く被履されていない部分がある)、×(原紙が被履されていない部分が広く見られる)の4段階で評価した。ただし、本発明においては、○以上を発明の対象とした。
【0063】
(5)白紙面感
カレンダー処理後の印刷用塗工紙を、光沢の均一性とざらつき感の2項目について目視評価を行ない10段階評価で表した。評価基準を以下に示す。ただし、本発明においては、○以上を発明の対象とした。
◎(非常に良好):9〜10点
○(良好) :6〜8点
△(普通) :3〜5点
×(不良) :1〜2点
【0064】
(6)印刷面感
オフセット枚葉印刷機を用い、藍色のハーフトーン印刷を施した後、インキ着肉の均一性を目視評価した。また、藍色、紅色、黄色の重色ベタ印刷を施した後、印刷光沢の均一感とガサツキ感を目視評価した。これらの3つの目視評価の合計を10段階評価で表した。ただし、本発明においては、○以上を発明の対象とした。
◎(非常に良好):9〜10点
○(良好) :6〜8点
△(普通) :3〜5点
×(不良) :1〜2点
【0065】
(7)密度
JIS P8118(紙及び板紙−厚さ及び密度の試験法)に則り、印刷用塗工紙の密度を測定した。実施例1の密度を基準として評価した。評価基準を以下に示す。ただし、本発明においては、○以上を発明の対象とした。
◎(非常に良好):基準の密度より10%以上低密度
○(良好) :基準の密度とほぼ同等
△(普通) :基準の密度より10%以上、20%未満高密度
×(不良) :基準の密度より20%以上高密度
【0066】
【表3】
【0067】
表3に示したように、実施例1〜8については、請求項1〜3の製造方法をすべて満たすことにより、良好な操業条件の下に、優れた白紙面感と印刷面感を発現する印刷用塗工紙が得られた。また、実施例9は中空構造を有しない樹脂粒子を使用しているものの、発明の対象となり得る良好な結果を得ている。また、実施例10に示されるように、塗工速度を1200m/分と上昇した場合でも、本発明の製造方法によって優れた操業性のもとに、良好な白紙面感および印刷面感を有する印刷用塗工紙が得られた。
【0068】
一方、比較例1〜5については請求項1および2に示した規定の樹脂粒子を規定の配合量で含まないことによって、メタードフィルムトランスファー方式のコーターに特有の品質欠陥および塗工欠陥が生じてしまい、また白紙面感および印刷面感が通常以下である印刷用塗工紙しか得ることができなかった。さらに速度を1200m/分に上昇した比較例6の場合、品質欠陥と塗工欠陥は顕著に悪化した。
【0069】
また、ソフトニップカレンダーのロール温度を100℃まで低下させた実施例11については、ロール温度180℃で操業した実施例2と比較して白紙面感と印刷面感の評価がやや低下するものの、依然として良好な結果を得ている。しかし、70℃まで低下した比較例7については、白紙面感と印刷面感の評価が通常の印刷用塗工紙とほぼ同等のレベルとなっている。また、比較例8ではスーパーカレンダーにより実施例2〜8、また実施例10とほぼ同等の非常に良好な白紙面感と印刷面感を得ているが、発明の基準である実施例1の密度と比較すると、密度が著しく高くなってしまっている。
【0070】
【発明の効果】
本発明の印刷用塗工紙およびその製造方法により、メタードフィルムトランスファー方式のコーターを使用することで、優れた操業性を有するとともに、白紙面感、印刷面感、白色度、および不透明度に優れ、低密度であることを特徴とする印刷用塗工紙を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷用塗工紙およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくはメタードフィルムトランスファー方式のコーターの使用により優れた操業性を有するとともに白紙面感、印刷面感、白色度、不透明度に優れ、低密度であることを特徴とする印刷用塗工紙およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
枚葉および輪転式などの印刷機に使用する印刷用塗工紙は、優れた白紙面感と印刷品質を得るために塗工工程を経て製造される。近年、この塗工工程においては、製品のコストダウンおよびエネルギーの効率的な利用など理由のため、高速で安定した操業性が求められている。
【0003】
高速の塗工方式としては、一般に、ブレード方式が広く利用されてきたが、設置スペースがコンパクトで、抄紙機の抄造から連続しての塗工工程が容易に実現できるメタードフィルムトランスファー方式によるコーターを用いた印刷用塗工紙の製造および塗工原紙への下塗り塗工が注目されている。メタードフィルムトランスファー方式では、各種メタリング装置によりサイズ液や塗工液の均一な膜が、往来のサイズプレス方式におけるサイズプレスロールに当たるアプリケーションロールに供給されて、ロールニップ間において紙の片側または両側に転写される。メタードフィルムトランスファー方式はこれまでの液溜りを有する2ロールサイズプレス方式と比べて、操業速度の上限、塗工可能な液の種類、濃度、液性の幅広さ、得られる塗工量の上限、そして出来上がった紙の品質において優れている。
【0004】
メタードフィルムトランスファー方式によるコーターを用いた塗工においては、該コーターにおけるアプリケーションロールのニップ部における塗工液から原紙への脱水現象により濃度が上昇した塗工液、いわゆる不動化層と、不動化層と任意の吸着力を示した不動化層近傍の非不動化層とが、該アプリケーションロールから離れ、塗工層として乾燥部へと移動する。この時、非不動化層の開裂挙動が主な原因となり、ミストと呼ばれる塗工液の飛散、剥離パターンおよびしわの発生などの塗工欠陥が生じる。また、アプリケーションロールのニップ部における急激な脱水現象は、塗工液中固形分の原紙への浸透を促進して、原紙の塗工層による被覆性、すなわちカバリング性を低下させることが問題となっている。また、塗工液がロッドメタリング方式などにより前計量されてからニップ部に到達するまでの間、そしてニップ部通過後から乾燥部までの間においては、塗工液のレベリング性などが印刷用塗工紙の平滑性に影響を及ぼす場合がある。
【0005】
よって、メタードフィルムトランスファー方式によるコーターを用いた塗工において、高品位な印刷用塗工紙を製造しようとする場合、塗工液には、保水性、ハイシェアー粘度、ローシェアー粘度、弾性、固形分濃度、不動化点、および顔料の粒度分布といった種々の特性が複合的に要求され、また、装置の操業条件についても最適な条件が必要となる。
【0006】
従来では重質炭酸カルシウムを主体とし、高ゲル含有量のラテックスを配合し、さらに澱粉を比較的高配合した塗工液でメタードフィルムトランスファーの高速操業を試みているが、重質炭酸カルシウムを高配合すると顔料特有の性質としてカバリング性の低下、白紙光沢と印刷光沢の低下を招き、また澱粉が比較的高配合であると、例え保水性がある程度向上したとしても塗工液の低濃度化によって原紙への脱水量増加が顕著になり、カバリング性の低下、バインダーマイグレーションによる印刷むらの悪化を引き起こす傾向がある。よって、特に印刷用塗工紙の品質向上といった面について極めて不十分な内容である(例えば、特許文献1、2参照。)
【0007】
また、ラテックスのゲル量を高くし、ブタジエンのモノマー比を一定範囲とすることで高速操業を試みたものについては、コーターのロール同士またはロールとロッド間におけるラテックスの機械的安定性や被膜形成性に言及しただけのものであり、高品位な印刷用塗工紙を高速の操業条件で製造する方法としては特に印刷用塗工紙の品質面について不十分な内容である(例えば、特許文献1、3参照。)。
【0008】
その他には、平均粒子径の細かい微粒グレード、ファイングレード、もしくはハイグロスグレードなどと呼ばれるカオリンを用いて、塗工液の高せん断速度下の粘性の改良を試みているが、カオリンも過度に細かいグレードを用いると、アプリケーションロールのニップ部における脱水現象によって、原紙への浸透が促進されてしまい、原紙の塗工層によるカバリング性が低下してしまう。よって、この手法もメタードフィルムトランスファー方式によるコーターを用いて製造される印刷用塗工紙の品質向上についてはやはり不十分と言える(例えば、特許文献4参照。)。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−170195号公報
【特許文献2】
特開平10−46496号公報
【特許文献3】
特開平9−324395号公報
【特許文献4】
特開平9−302596号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、メタードフィルムトランスファー方式のコーターの使用により優れた操業性を有するとともに白紙面感、印刷面感、白色度、不透明度に優れ、低密度であることを特徴とする印刷用塗工紙およびその製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題について鋭意研究を重ねた結果、本発明の印刷用塗工紙の製造方法を発明するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の印刷用塗工紙の製造方法は、原紙の片面または両面に少なくとも1層以上の塗工層を設けた印刷用塗工紙の製造方法において、該塗工層中の顔料として平均粒子径400nm以上の樹脂粒子を5〜30質量%含有する塗工液を、メタードフィルムトランスファー方式のコーターを用いて塗工速度900m/分以上にて該原紙上に塗工することを特徴とするものである。
【0013】
上記発明において、原紙上に塗工液を塗工した後、ロール表面温度90〜210℃の条件でカレンダー処理することを特徴とする。
【0014】
また、上記発明において、樹脂粒子が、中空率30%以上の中空樹脂粒子であることを特徴とする。
【0015】
さらには、上記の製造方法により得られる印刷用塗工紙であることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における印刷用塗工紙の製造方法について、詳細に説明する。
【0017】
本発明の印刷用塗工紙の製造方法は、原紙の片面または両面に少なくとも1層以上の塗工層を設けた印刷用塗工紙の製造方法において、該塗工層中の顔料として平均粒子径400nm以上の樹脂粒子を5〜30質量%含有する塗工液を、メタードフィルムトランスファー方式のコーターを用いて塗工速度900m/分以上にて該原紙上に塗工することを特徴とするものである。
【0018】
本発明において、メタードフィルムトランスファー方式によるコーターは、トップおよびボトムの2つのアプリケーションロールで構成され、該ロール間に原紙を通過させて塗工液を該原紙に塗工するものであり、一定の塗工量を設けるために各アプリケーションロールの外側には、金属ロール、ゴム被覆ロール、ワイヤー巻付けロール、平滑なロッド、溝付きのロッド、ワイヤー巻き付けロッド、ブレードなどの内の1つまたは2つ以上の組み合わせによるメタリング装置が取り付けられており、所定量の塗工液をアプリケーションロールに供給できるようになっている。
【0019】
メタードフィルムトランスファー方式としては、そのメタリング装置の種類に応じて、ロッドメタードフィルムプレス方式、ゲートロールメタードフィルムプレス方式、ブレードメタードフィルムプレス方式などが挙げられる。
【0020】
コーターにおけるアプリケーションロールは、耐摩耗性や操業性などの観点からその表面にはロールカバーが取り付けられているが、ロールカバーの材質として、例えば、ポリウレタン、合成ゴム、セラミックなどが挙げられる。
【0021】
印刷用塗工紙の白紙面感、印刷面感、白色度、不透明度などの塗工紙品質および印刷品質を決める要因として、塗工層による原紙の被覆性、すなわち、カバリング性が重要なのは言うまでもない。メタードフィルムトランスファー方式のコーターにおいても、印刷用塗工紙の品質を向上させるためには、塗工量を増やすことでカバリング性の向上が図られる場合が多い。しかし、メタードフィルムトランスファー方式のコーターはその構造上の問題点として、塗工量の増加と共に、アプリケーションロールニップ部の通過後に、ロールミストと呼ばれる塗工液の飛散、剥離パターンおよびしわの発生などの塗工欠陥の発生が顕著になってしまう。このような塗工欠陥は、900m/分以上の操業速度で急激に顕著となる。
【0022】
これらの塗工欠陥を防ぐために、塗液濃度の低下、塗液粘度および保水性の制御、原紙サイズ性の制御、もしくは操業速度の低下といった対処法が取られる場合が多いが、この内、特に塗液濃度の低下はカバリング性の低下や乾燥負荷の増加、操業速度の低下は生産効率の低下を招いてしまう。
【0023】
また、炭酸カルシウムやカオリンなどの無機顔料の改質による塗工液の流動性とカバリング性の両立には限界があり、顔料を細かくするとカバリングが低下し、顔料を粗くすると塗工液の流動性が悪化するという現象が起こる。
【0024】
本発明では、平均粒子径が400nm以上の樹脂粒子を用いることで、炭酸カルシウムやカオリンなどの無機顔料では達成不可能な塗工液の流動性とカバリング性の高い次元での両立を可能とした。これは、樹脂粒子が無機顔料と比べて低密度であり、さらに球状の揃った粒子形態を有することに起因する。
【0025】
樹脂粒子を用いた場合、メタードフィルムトランスファー方式のコーターを用いた塗工工程で発生するトラブルが減少する理由は、従来のB型粘度、ハイシェアー粘度、保水性、固形分だけで説明することは難しい。しかし、樹脂粒子はカオリン、炭酸カルシウムなどの無機顔料と比較すると、合成物であるがゆえ平均粒子径が非常に揃っており、ニップ通過後のアプリケーションロールと原紙間での塗工液の開裂がスムーズになったり、塗工液を転写するアプリケーションロールへの原紙の貼り付きの軽減したりする効果があり、結果としてロールミストと呼ばれる塗工液の飛散や、剥離パターンおよびしわの発生などの塗工欠陥を抑制できるものと考えられる。
【0026】
しかし、樹脂粒子の平均粒子径が400nmを下回ると、カバリング性の向上といった面で塗工液の特性はだんだんと損なわれ、結果としてカバリング性と操業性の両立のレベルが低いものとなる場合がある。
【0027】
また、樹脂粒子は中空の構造を有することにより低密度、高屈折率といった特性がさらに高められ、特に中空率が30%以上になることで上記に示した本発明の特徴である印刷用塗工紙のカバリング性とその製造における操業性のバランスは著しく向上する。
【0028】
また、樹脂粒子および中空の樹脂粒子の含有量は、塗工層中に含有される全顔料中に5〜30質量%であることが重要である。ここで、5質量%を下回ると塗工液の流動性とカバリング性の高い次元での両立が損なわれる。また、樹脂粒子は、通常、水分散体で供給されるため、カオリン、炭酸カルシウムなどの無機顔料スラリーに比較すると固形分濃度が低い。さらに中空形状のものは、塗工液中においてはその中空部分に水が充満している。よって、塗工層中に含有される顔料に対して樹脂粒子および中空の樹脂粒子の配合量が30質量%を上回ると塗工液濃度の低下により乾燥負荷の増大のおそれが出てくる。よって、高品質の印刷用塗工紙を900m/分以上の操業速度で製造する本発明の意図が達成できなくなるおそれがある。
【0029】
樹脂粒子および中空の樹脂粒子の組成は、スチレンを主としたポリマーであり、アクリル、ブタジエンなどのモノマーを含む共重合体であっても良い。また、中空の樹脂粒子は、代表的にはアルカリ/酸二段階処理法などの製造方法により得られる。また、樹脂粒子および中空の樹脂粒子のガラス転移点(Tg)は、熱や圧力による変形が過度にならないために、好ましくは30℃以上、さらに好ましくは60℃以上である。
【0030】
さらに、上記発明において、メタードフィルムトランスファー方式のコーターを用いて塗工した後に、ロール表面温度90〜210℃のカレンダー装置で仕上げを行うことによって、白紙面感、印刷面感、白色度、不透明度、低密度などの塗工紙品質と印刷品質を高い次元で発現する印刷用塗工紙を得ることを可能とした。
【0031】
ここで、ロール表面温度が90℃を下回るカレンダー装置で印刷用塗工紙を仕上げて同様の平滑性を得ようとした場合、印刷用塗工紙は密度が高くなる傾向になり、不透明度、剛直度といった特性は損なわれる。例えば、スーパーカレンダーは、比較的広いニップ幅と多数のニップ数(8〜14ニップ)を通過することによって、紙の密度は急激に高くなり、白紙光沢も上昇するが、不透明度と剛直度が共に損なわれる場合が有る。
【0032】
本発明において、90〜210℃といったロール表面温度での仕上げが可能なカレンダー装置については、2〜8ニップとスーパーカレンダーに比較して少ないニップ数であり、剛性ロールはチルドロール、鍛造鋼鉄ロールなどからなり、加熱機構を持ち、210℃といった高温でも紙匹を処理できる装置である。また、弾性ロールは合成樹脂または合成ゴム(ショアーD硬度で60〜97度)の中でも高ニップ圧下で耐熱性、耐摩耗性に優れ、傷がつき難い特別な素材で硬質の鉄芯が薄く覆われている。このため、スーパーカレンダーに比較するとニップ幅は狭くなる場合が多い。
【0033】
本発明における基紙としては、非塗工紙でも塗工紙でも使用できる。内添填料は使用しても使用しなくてもよい。使用できる内添填料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムの他に、カオリン、クレー、タルク、二酸化チタン、有機顔料などが挙げられる。
【0034】
本発明において、印刷用塗工紙の塗工量は片面当たり4〜16g/m2が好ましい。4g/m2未満では、カバリングが不十分となり目的とする白紙品質、印刷品質が得られない。また、16g/m2を超える塗工量では、ロールミストと呼ばれる塗工液の飛散、剥離パターンおよびしわの発生などの塗工欠陥の発生が顕著になってしまう場合がある。
【0035】
本発明において、原紙を製造する際に使用する内添サイズ剤としては、例えば、酸性抄紙の場合には、ロジンサイズ剤、中性抄紙の場合には、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、中性ロジンサイズ剤、カチオン性スチレンアクリルなどが挙げられる。
【0036】
原紙を製造する際に使用する紙料中には、この他に、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、従来から使用されている歩留まり向上剤、各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の濾水向上剤、紙力向上剤などの抄紙用内添助剤が必要に応じて適宜選択して使用される。例えば、各種澱粉、およびポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリアミン、ポリアミド・ポリアミン、尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、ポリアミド樹脂の内の1種あるいは2種以上が適宜組み合わされて使用される。
【0037】
原紙表面には、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、カチオン澱粉、燐酸澱粉などの加工澱粉、変性澱粉、ポリビニルルアルコールなどのバインダー、スチレン/アクリル酸系共重合体、スチレン/メタアクリル酸系共重合体、アクリロニトリル/ビニルホルマール/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体などの表面サイズ剤、エチレン−尿素樹脂などの寸法安定化剤、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの無機導電剤、有機導電剤、界面活性剤、顔料、染料を塗工することは勿論可能である。
【0038】
上記のバインダーおよび表面サイズ剤などを塗工する装置としては、コンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、あるいはフィルムトランスファー方式のサイズプレス、ロッドコーター、ビルブレード、ショートドウェルコーターなどを用いることができる。
【0039】
原紙を製造する際に、使用できるパルプとしては、NBKP、LBKP、NBSP、LBSP、GP、TMPなどの他に、ケナフやバガスなどの非木材パルプや古紙パルプが挙げられ、必要に応じて単独あるいは併用して用いられる。
【0040】
なお、本発明で言う古紙パルプの原料としては、(財)古紙再生促進センターの古紙標準品質規格表に示されている、上白、罫白、クリーム白、カード、特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、別上切、新聞、雑誌などが挙げられる。さらに具体例としては、情報関連用紙である非塗工コンピュータ用紙、感熱紙、感圧紙などのプリンター用紙、およびPPC用紙などのOA古紙、アート紙、コート紙、微塗工紙、マット紙などの塗工紙、あるいは上質紙、色上質、ノート、便箋、包装紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞用紙、更紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカートンなどの非塗工紙などの紙や板紙の古紙で、化学パルプ紙、高歩留りパルプ含有紙などが使用されるが、印字、複写、印刷、非印刷を問わず特に限定されるものではない。
【0041】
その他の添加剤としては、pH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、および防錆剤などが挙げられる。
【0042】
本発明で使用する原紙の抄紙方法において、抄紙機は、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、コンビネーション抄紙機、丸網抄紙機、ヤンキー抄紙機など製紙業界で公知の抄紙機を適宜使用できる。
【0043】
原紙の厚さに特に制限はないが、坪量で40〜300g/m2程度の紙が通常使用される。
【0044】
本発明において、塗工層に用いる顔料として、本発明が示す樹脂粒子と併用できるものは、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、デラミネーティッドカオリン、焼成カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、カチオン修飾したコロイダルシリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、アルミナ水和物、リトポン、ゼオライト、加水ハロサイト、水酸化マグネシウムなどの白色無機顔料、スチレンもしくはその共重合体のプラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂などの有機顔料などが挙げられる。
【0045】
塗工層に用いる接着剤としては、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などの澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコールまたはその誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体または共重合体などのアクリル系重合体ラテックス;エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス;或いはこれら各種重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;或いはこれら各種重合体にカチオン性基を用いてカチオン化したもの、カチオン性界面活性剤にて重合体表面をカチオン化したもの、カチオン性ポリビニルアルコール下で重合し重合体表面に該ポリビニルアルコールを分布させたもの、カチオン性コロイド粒子の懸濁分散液中で重合を行い、重合体表面に該粒子が分布しているものなど;メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂などの水性接着剤;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体または共重合体樹脂;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂系接着剤などを挙げられ、単独でも複数を組み合せて使用しても良い。
【0046】
上記の接着剤は、顔料100質量部に対して、総量で5〜80質量部用いることができる。ここで、5質量部未満では、塗工層の塗層強度が不足するし、80質量部を超えると、印刷用塗工紙同士の密着性が過度になり、ブロッキング、貼り付きなどのトラブルを生じる場合がある。また、塗工層には、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、滑剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、染料定着剤などを適宜配合することもできる。
【0047】
その他助剤としては、カレンダーでのダスティングや汚れを防止する滑剤が重要であり、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸、オレイン酸カルシウム、オレイン酸アンモニウム、レシチン、ポリエチレン、ワックス、またはこれらの誘導体が好適に使用される。
【0048】
本発明における印刷用塗工紙は、代表的な使用例としてはオフセット印刷用紙であるが、これに留まらず、乾式および湿式トナーを用いた電子写真方式の複写機、ファクシミリ、プリンター、オンデマンド印刷などで使用する用紙、また熱転写受像紙として使用できる。さらには2層以上の塗工紙の下塗り原紙として好適に使用することが可能である。
【0049】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例において示す「部」および「%」は、特に明示しない限り固形での質量部および質量%を示す。
【0050】
<原紙の作製>
LBKP(濾水度440mlcsf) 70部
NBKP(濾水度490mlcsf) 30部
軽質炭酸カルシウム(*原紙中灰分で表示) *8部
市販カチオン化澱粉 0.8部
市販カチオン系ポリアクリルアミド歩留まり向上剤 0.03部
パルプ、内添薬品を上記の配合で調整し、坪量50g/m2の原紙を抄造した。
【0051】
<塗工液配合>
顔料(下記表1に記載) 100部
市販ポリアクリル酸系分散剤 0.1部
接着剤(SBR系ラテックス) 18部
りん酸エステル化澱粉 6部
滑剤(ステアリン酸カルシウム系) 2部
【0052】
【表1】
【0053】
実施例1
原紙に対して、配合Aの塗工液を、ロッドメタードフィルムプレス方式コーターを用いて塗工速度900m/分で片面当り9g/m2両面塗工し、乾燥して印刷用塗工紙を得た。仕上げはオンラインでソフトカレンダーを用い、ロール温度180℃で行なった。
【0054】
実施例2〜9および比較例1〜5
下記表2に掲げた塗工液配合とした以外は実施例1と同様にして実施例2〜9および比較例1〜5の印刷用塗工紙を製造した。
【0055】
実施例10および比較例6
下記表2に掲げた塗工液配合および塗工速度とした以外は実施例1と同様にして実施例10および比較例6の印刷用塗工紙を製造した。
【0056】
実施例11および比較例7〜8
下記表2に掲げた塗工液配合およびカレンダー装置とロール温度とした以外は実施例1と同様にして実施例11および比較例7〜8の印刷用塗工紙を製造した。
【0057】
【表2】
【0058】
実施例1〜11および比較例1〜8の印刷用塗工紙について、下記の評価方法により評価し、その結果を表3に示した。
【0059】
<評価方法>
(1)剥離むら
印刷用塗工紙を観察して、ニップ通過時のアプリケーションロールからの剥離むらによる塗工むらを、◎(全く発生せず非常に良好)、○(ほとんど発生せず良好)、△(発生した)、×(著しく発生した)の4段階で評価した。ただし、本発明においては、○以上を発明の対照とした。
【0060】
(2)皺より
印刷用塗工紙を観察して、ニップ通過時の紙の皺よりによる塗工むらを、◎(全く発生せず非常に良好)、○(ほとんど発生せず良好)、△(発生した)、×(著しく発生した)の4段階で評価した。ただし、本発明においては、○以上を発明の対照とした。
【0061】
(3)ミスティング
塗工時にニップ下に黒色の紙を一定時間さらして、塗工終了後塗工液の飛散状態を観察し、◎(全く飛散せず非常に良好)、○(ほとんど飛散せず良好)、△(飛散した)、×(著しく飛散した)の4段階で評価した。ただし、本発明においては、○以上を発明の対象とした。
【0062】
(4)カバリング性
電子顕微鏡(100、300、3000倍)によって原紙上の顔料の分布状態を観察し、塗工層のカバリング性を、◎(原紙が均一に非常に良く被履されている)、○(原紙が均一に良く被履されている)、△(原紙が良く被履されていない部分がある)、×(原紙が被履されていない部分が広く見られる)の4段階で評価した。ただし、本発明においては、○以上を発明の対象とした。
【0063】
(5)白紙面感
カレンダー処理後の印刷用塗工紙を、光沢の均一性とざらつき感の2項目について目視評価を行ない10段階評価で表した。評価基準を以下に示す。ただし、本発明においては、○以上を発明の対象とした。
◎(非常に良好):9〜10点
○(良好) :6〜8点
△(普通) :3〜5点
×(不良) :1〜2点
【0064】
(6)印刷面感
オフセット枚葉印刷機を用い、藍色のハーフトーン印刷を施した後、インキ着肉の均一性を目視評価した。また、藍色、紅色、黄色の重色ベタ印刷を施した後、印刷光沢の均一感とガサツキ感を目視評価した。これらの3つの目視評価の合計を10段階評価で表した。ただし、本発明においては、○以上を発明の対象とした。
◎(非常に良好):9〜10点
○(良好) :6〜8点
△(普通) :3〜5点
×(不良) :1〜2点
【0065】
(7)密度
JIS P8118(紙及び板紙−厚さ及び密度の試験法)に則り、印刷用塗工紙の密度を測定した。実施例1の密度を基準として評価した。評価基準を以下に示す。ただし、本発明においては、○以上を発明の対象とした。
◎(非常に良好):基準の密度より10%以上低密度
○(良好) :基準の密度とほぼ同等
△(普通) :基準の密度より10%以上、20%未満高密度
×(不良) :基準の密度より20%以上高密度
【0066】
【表3】
【0067】
表3に示したように、実施例1〜8については、請求項1〜3の製造方法をすべて満たすことにより、良好な操業条件の下に、優れた白紙面感と印刷面感を発現する印刷用塗工紙が得られた。また、実施例9は中空構造を有しない樹脂粒子を使用しているものの、発明の対象となり得る良好な結果を得ている。また、実施例10に示されるように、塗工速度を1200m/分と上昇した場合でも、本発明の製造方法によって優れた操業性のもとに、良好な白紙面感および印刷面感を有する印刷用塗工紙が得られた。
【0068】
一方、比較例1〜5については請求項1および2に示した規定の樹脂粒子を規定の配合量で含まないことによって、メタードフィルムトランスファー方式のコーターに特有の品質欠陥および塗工欠陥が生じてしまい、また白紙面感および印刷面感が通常以下である印刷用塗工紙しか得ることができなかった。さらに速度を1200m/分に上昇した比較例6の場合、品質欠陥と塗工欠陥は顕著に悪化した。
【0069】
また、ソフトニップカレンダーのロール温度を100℃まで低下させた実施例11については、ロール温度180℃で操業した実施例2と比較して白紙面感と印刷面感の評価がやや低下するものの、依然として良好な結果を得ている。しかし、70℃まで低下した比較例7については、白紙面感と印刷面感の評価が通常の印刷用塗工紙とほぼ同等のレベルとなっている。また、比較例8ではスーパーカレンダーにより実施例2〜8、また実施例10とほぼ同等の非常に良好な白紙面感と印刷面感を得ているが、発明の基準である実施例1の密度と比較すると、密度が著しく高くなってしまっている。
【0070】
【発明の効果】
本発明の印刷用塗工紙およびその製造方法により、メタードフィルムトランスファー方式のコーターを使用することで、優れた操業性を有するとともに、白紙面感、印刷面感、白色度、および不透明度に優れ、低密度であることを特徴とする印刷用塗工紙を得ることができる。
Claims (4)
- 原紙の片面または両面に少なくとも1層以上の塗工層を設けた印刷用塗工紙の製造方法において、該塗工層中の顔料として粒子径400nm以上の樹脂粒子を5〜30質量%含有する塗工液を、メタードフィルムトランスファー方式のコーターを用いて塗工速度900m/分以上にて該原紙上に塗工することを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法。
- 原紙上に塗工液を塗工した後、ロール表面温度90〜210℃の条件でカレンダー処理することを特徴とする請求項1記載の印刷用塗工紙の製造方法。
- 樹脂粒子が、中空率30%以上の中空樹脂粒子であることを特徴とする請求項1または2記載の印刷用塗工紙の製造方法。
- 前記請求項1〜3のいずれか1項記載の印刷用塗工紙の製造方法により得られる印刷用塗工紙。
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