JP3761880B2 - グラビア印刷用塗工紙 - Google Patents
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Description
グラビア印刷に用いられるグラビア用紙は、雑誌等の印刷物、通信販売カタログ等の商業印刷に多く使用されており、このような分野においては、高速印刷に適することの他に、印刷物については、色彩効果、鮮明性、階調再現性等の品質性能が要求されている。
この網点ぬけを防止するために、インキ受容性を向上させる蛍光増白剤を紙材に含有させたグラビア用紙が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、このグラビア用紙の白色度は70%以下であり、十分な白色度は得られていなかった。
即ち、請求項1記載の発明は、紙基材上に、塗工層を備えるグラビア印刷用塗工紙において、
前記塗工層は、顔料100重量部に対し、配合量が50〜100重量部である珪酸アルミニウムと、配合量が0.1〜3.0重量部であるカルボン酸基を有するポリビニルアルコール変性物と、スルホン酸基を6個有するスチルベン誘導体と、を含有する塗工剤が塗工されて成り、当該グラビア印刷用塗工紙のISO白色度が85%以上であることを特徴とする。
前記塗工剤中の前記ポリビニルアルコール変性物の重合度は、300以上2000以下であることを特徴とする。
そして、その珪酸アルミニウムの配合量は顔料100重量部に対し50〜100重量部であり、グラビア印刷用塗工紙の塗工層における好適な配合量であるので、より高平滑な塗工層を有するグラビア印刷用塗工紙を形成することができるとともに、グラビア印刷用塗工紙におけるインキ着肉性をより一層向上させることができる。それにより、網点ぬけを防止し、より高精細な印刷上がりが得られるグラビア印刷用塗工紙とすることができる。
さらにその配合量は顔料100重量部に対し0.1〜3.0重量部である。ポリビニルアルコール変性物は、前述のとおり塗工紙を増白する効果を有しており、0.1重量部以上であれば、増白効果が期待でき、増白の観点からは配合量に制限はないが、塗工液の粘性、流動性を考慮すると、ポリビニルアルコール変性物の配合量は、最大3.0重量部であることが好ましい。
よって、ポリビニルアルコール変性物の配合量が0.1〜3.0重量部である塗工剤が塗工されて成る塗工層を有するグラビア印刷用塗工紙は、より高白色のグラビア印刷用塗工紙とすることができる。
よって、このような塗工層を備えるグラビア印刷用塗工紙は、網点ぬけの防止性能に優れ、高白色のグラビア印刷用塗工紙であるといえる。
紙基材の原紙としては、一般の印刷用紙に用いられる坪量30〜100g/m2程度の中質紙、上質紙が用いられ、そのパルプ原料としては、例えば、古紙パルプ(DIP)、化学パルプ(例えば、広葉樹クラフトパルプ:LBKP、針葉樹クラフトパルプ:NBKPなど)、機械パルプ(例えば、サーモメカニカルパルプ:TMP、プレッシャライズドグランドパルプ:PGW、リファイナーグランドパルプ:RGP、グランドパルプ:GP等)などであるが、あらゆるパルプ原料を用いることができる。また、塗工後の最終製品の白色度をより高くするためには、原紙の白色度は75%以上が望ましく、より好ましくは78%以上であり、パルプ配合および抄紙条件の調整により達成することができる。
塗工層は、顔料、蛍光増白剤、蛍光増白剤の被染着物質及び接着剤を含んで構成される。
また、塗工剤には、適宜、消泡剤、離型剤、着色剤、保水剤等の助剤が添加される。
顔料としては、本願発明においては、珪酸アルミニウムを用いる。珪酸アルミニウムとしては、クレー(カオリン)、デラミネーテッドクレー、焼成クレー等がある。
珪酸アルミニウムは、その形状が扁平で、かつ塗工時の配向性が強いので、珪酸アルミニウムを塗工剤に含有させてその塗工剤を紙基材上に塗工することによって、表面被覆性が良好で、高平滑な塗工層表面を形成することができる。また、珪酸アルミニウムは、グラビアインキに使用されるトルエンとの親和性が高いので、その塗工層のインキ着肉性を高めることができる。
また、塗工剤中、珪酸アルミニウムの配合量が、顔料100重量部に対し50重量部より少なくては、十分なインキ着肉性および光沢度が得られない。そして、珪酸アルミニウムのより好ましい配合量は60重量部以上である。
また、珪酸アルミニウムは、光沢発現性を考慮すると、粒子径が2μm以下の珪酸アルミニウムの割合が90重量%以上の珪酸アルミニウムが、珪酸アルミニウム全量の50重量%以上を占めていることが望ましい。
蛍光増白剤としては、本願発明においては、紙の増白効果を有するのみならず、インキ受容性を向上させる効果を有するスチルベン誘導体であり、なかでもスルホン酸基を6個有するスチルベン誘導体を用いる。
スチルベン誘導体は一般的に紙の増白剤として用いられ、被染着物質であるポリビニルアルコールと併用されることにより、その増白効果が向上する物質である。特に、スチルベン誘導体の中でも、スルホン酸基を6個有するタイプのものは、より一層増白効果があることが認められたので、スルホン酸基を6個有するスチルベン誘導体を含有するグラビア印刷用塗工紙は、より白色度が向上することとなる。
スルホン酸基を6個有するスチルベン誘導体の配合量に関し、特に制限はないが、経済的、製造コストの観点からは、5重量部以下であることが望ましい。
接着剤としては、例えば、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート・ブタジエン共重合体ラテックス等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル系ラテックス、エチレン・酢酸ビニル重合体ラテックス等のビニル系重合体ラテックス、酸化澱粉、陽性化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉類など、公知の種々の接着剤を使用することができる。また、これらの接着剤は単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。
被染着物質としては、本願発明においては、増白効果と塗工液の流動性改良を兼ね備えたカルボン酸基を有するポリビニルアルコール変性物を用いる。
塗工剤中のカルボン酸基を有するポリビニルアルコール変性物の配合量が、0.1重量部より少ない場合では、増白効果および塗工剤の粘性、流動性を改善し向上させる効果がなく、配合量が3.0重量部より多い場合では、増白効果は向上するものの、塗工剤の粘性、流動性は悪化してしまう。また、カルボン酸基を有するポリビニルアルコール変性物の重合度は300以上2000以下の範囲が好適で、重合度が300より低い値では、塗工剤の粘性、流動性を改善し向上させる効果がなく、重合度が2000より高い値では、塗工剤の粘性が上昇し、流動性は悪化してしまう。
本発明に係るグラビア印刷用塗工紙は、ISO 2470(JIS P 8148)に準じた白色度が85%以上であることを要する。
白色度が85%を下回ると、より高精彩で、コントラストの高いグラビア印刷特有の写真調の仕上りとならないからである。
塗工液が塗工・乾燥された塗工紙は、より高い白紙光沢度や平滑度、印刷適性を得るために、ソフトカレンダー又はスーパーカレンダーで処理される。
また、顔料として、粒子径が2μm以下の割合が90重量%のクレー70部、平均粒子径が1.1μmの重質炭酸カルシウム30部、被染着物質として、重合度1000のカルボン酸基を有するポリビニルアルコール変性物1.0部、蛍光増白剤として、スルホン酸基を6個有するスチルベン誘導体1.0部、接着剤として、スチレン・ブタジエン系共重合体ラテックス8.0部、リン酸エステル化澱粉1.0部、助剤として、ステアリン酸カルシウム0.5部とを配合し、さらに水を加えて、固形分濃度60%の塗工液を調整した。
この塗工液をブレードコーターにより片面塗工量10g/m2となるように両面塗工し、熱風乾燥後、12段のスーパーカレンダーを用いて、金属ロール温度70℃、スピード450m/分、線圧300kg/cmで処理を行い、グラビア印刷用塗工紙を得た。
このグラビア印刷用塗工紙の品質評価結果を表1に示す。
実施例1において、顔料として、粒子径が2μm以下の割合が90%のカオリン40部、平均粒子径が1.1μmの重質炭酸カルシウム60部に代えた以外は実施例1と同様にしてグラビア印刷用塗工紙を得た。このグラビア印刷用塗工紙の品質評価結果を表1に示す。
実施例1において、ポリビニルアルコール変性物を、重合度1000のカルボン酸基を有するポリビニルアルコール変性物0.05部に代えた以外は実施例1と同様にしてグラビア印刷用塗工紙を得た。このグラビア印刷用塗工紙の品質評価結果を表1に示す。
実施例1において、ポリビニルアルコール変性物を、重合度1000のカルボン酸基を有するポリビニルアルコール変性物4.0部に代えた以外は実施例1と同様にしてグラビア印刷用塗工紙を得た。このグラビア印刷用塗工紙の品質評価結果を表1に示す。
実施例1において、ポリビニルアルコール変性物を、重合度200のカルボン酸基を有するポリビニルアルコール変性物1.0部に代えた以外は実施例1と同様にしてグラビア印刷用塗工紙を得た。このグラビア印刷用塗工紙の品質評価結果を表1に示す。
実施例1において、ポリビニルアルコール変性物を、重合度2500のカルボン酸基を有するポリビニルアルコール変性物1.0部に代えた以外は実施例1と同様にしてグラビア印刷用塗工紙を得た。このグラビア印刷用塗工紙の品質評価結果を表1に示す。
実施例1において、ポリビニルアルコール変性物を、カルボン酸変性していない重合度1000のポリビニルアルコール1.0部に代えた以外は実施例1と同様にしてグラビア印刷用塗工紙を得た。このグラビア印刷用塗工紙の品質評価結果を表1に示す。
蛍光増白剤として、スルホン酸基を4個有するスチルベン誘導体1.0部に代えた以外は実施例1と同様にしてグラビア印刷用塗工紙を得た。このグラビア印刷用塗工紙の品質評価結果を表1に示す。
(注2)ミッシングドットは、印刷局式グラビア印刷試験機で単色印刷(インキ;東洋インキ社製OG16NA)を行い、175線、20%網点面積部1cm2のミッシングドットの個数を数え、その評価基準は、Aの「非常に良い」、Bの「良い」、Cの「普通」、Dの「悪い」の4段階で評価した。
(注3)塗工操業性は、塗工パートでの塗工欠陥の発生の有無、塗工量のプロファイル制御のし易さ等を評価したものであり、Aの「良い」、Bの「普通」、Dの「悪い」の3段階で評価した。
Claims (2)
- 紙基材上に、塗工層を備えるグラビア印刷用塗工紙において、
前記塗工層は、顔料100重量部に対し、配合量が50〜100重量部である珪酸アルミニウムと、配合量が0.1〜3.0重量部であるカルボン酸基を有するポリビニルアルコール変性物と、スルホン酸基を6個有するスチルベン誘導体と、を含有する塗工剤が塗工されて成り、当該グラビア印刷用塗工紙のISO白色度が85%以上であることを特徴とするグラビア印刷用塗工紙。 - 前記塗工剤中の前記ポリビニルアルコール変性物の重合度は、300以上2000以下であることを特徴とする請求項1に記載のグラビア印刷用塗工紙。
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