JP2008248434A - 印刷用塗工紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】 塗工面に細かな凹凸を有する和紙風の印刷用塗工紙において、湿し水の付着を抑えてインキ着肉性を向上させ、優れたオフセット印刷適正を付与する。
【解決手段】 原紙の少なくとも一方の面に顔料と接着剤成分とを含む塗工層を有し、JIS P 8140に準じた塗工面のコッブ吸水度が25g/m2〜35g/m2の印刷用塗工紙であって、前記塗工層には、更に、顔料100重量部に対して2.0重量部〜5.0重量部のワックス成分が含有されていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、オフセット印刷に用いる印刷用塗工紙に係り、特に塗工面に細かな凹凸を有する和紙風の印刷用塗工紙に関する。
近年、印刷技術は、カラー化、高級化、高速化など、従前の技術から大きく発展している。これに伴って様々な種類の印刷用紙に対する印刷適性の改善要望も高まっており、オフセット印刷に用いる印刷用塗工紙への要望も、ますます強くなっている。
即ち、従前は高平滑、高光沢度を有する印刷用塗工紙が好まれる傾向であったのに対して、近年では芸術性や意匠性の高い写真や絵画などの図案を表現する際に、和紙風の風合いを有する用紙が求められる場合も多くなってきた。
印刷用塗工紙に和紙風の風合いを持たせる方法としては、用紙表面に細かな凹凸を形成するという方法が知られている。このような塗工面に細かな凹凸を有する印刷用塗工紙は、従前から用いられていた高平滑、高光沢度を特徴とする印刷用塗工紙では表現しきれない芸術性、意匠性の高い図案の印刷等に好適であり、高級な商品のカタログ、パンフレット、カレンダー、本の表紙などの印刷に用いられる。
この種の用紙は高級感を有する一方で、表面に微細な凹凸が存在することにより、1)オフセット印刷に供する際に湿し水が多量に付着しインキ着肉性が悪化する、2)光沢度が低下、という問題点もある。また、多色印刷や高級なインキ着肉性については、塗工層に多孔質な顔料を用いることが多いためにインキ着肉性がより悪化しやすい。
ところで、近年の印刷用塗工紙では、カラー化、高級化に対応するため、塗工層にインキ着肉の良い多孔質な顔料を用いることが多い。吸水性の高い多孔質な顔料を添加することでインキ着肉性を良くすることが出来るが、その反面でオフセット印刷時に用いる湿し水も多量に付着しやすくなり、インク着肉性が悪化する場合があった。特に、塗工面に細かな凹凸を有する和紙風の印刷用塗工紙は、和紙風の風合いを出すために塗工層に多孔質な構造の顔料を使用しているため、塗工面に湿し水が過度に付着しやすくなる。このため、付着した湿し水の上にインキが転移する状態となり、インキ着肉性が悪化し目的とする印刷画像が得られない場合があった。また、塗工面に細かな凹凸を有する和紙風の印刷用塗工紙に多色オフセット印刷を行う場合には、ブランケットを塗工面に密着させる工程を用いるインクの数だけ繰り返すため、塗工面に多量の湿し水が残存しインキの着肉不良が発生しやすい問題があった。
このようなインキ着肉性の問題について、特開平11−247097号公報(特許文献1)では、塗工紙の塗工層を水銀ポロシメーターで測定したときの0.03〜0.3μmにおける空隙容積が9.00cc/m2〜11.50cc/m2とすることで、インキ着肉性に優れた高品質の印刷用塗工紙が得られるとしている。また、特開2004−300594号公報(特許文献2)では、顔料100重量部に対して、体積基準で0.4〜1.5μmの範囲に60%以上含まれる粒径分布を有する重質炭酸カルシウム部を30重量部以上含有する塗工層を原紙上に設けることで、インキ着肉性が優れた印刷用塗工紙が得られるとしている。
表面に微細な凹凸を有する印刷用塗工紙は、用紙表面の光の吸収、散乱が抑えられることにより落ち着いた風合いを有するものである。しかしながら、印刷を施した後の画線部については、ある程度の光沢度を有した方が鮮明な印象を与えることができ、好ましい。
このような印刷用塗工紙の印刷光沢度の問題について、特開2002−194698号公報(特許文献3)では、顔料として体積分布平均粒径3.5〜20μmであるデラミネーテッドクレーを顔料100重量部当たり30〜90重量部含有させることで、印刷光沢度が高い画像を得ることが可能になるとしている。また、特開2003−213595号公報(特許文献4)では、内添填料を原紙坪量当たり13重量%以上25重量%以下含有し、パルプの繊維間結合を阻害する作用を持つ有機化合物を含有する原紙に、塗工量が片面当たり4g/m2以上10g/m2以下の範囲で塗工層を設け、層間強度を600kPa以上にすることにより、オフセット印刷時の白紙光沢度は低いままで、相対的に良好印刷光沢度が高いといった印刷適性を得ることができるとしている。
特開平11−247097号公報 特開2004−300594号公報 特開2002−194698号公報 特開2003−213595号公報
しかしながら、特許文献1,2に記載の方法では、表面に細かな凹凸を有する和紙風の印刷用塗工紙にオフセット印刷を行う際に多量の湿し水が付着累積しインキ着肉性が悪化する問題には十分に対処しきれなかった。また、特許文献3,4に記載の方法では、印刷光沢度を高くすることは可能であるが、過度に高くなり過ぎるために印刷画像を適切なバランスとすることが困難である。
本願はこのような問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、塗工面の吸水性が高く、オフセット印刷適正に優れた印刷用塗工紙を提供することにある。
また、本発明の他の目的とするところは、塗工面に細かな凹凸を有する和紙風の印刷用塗工紙において、湿し水の付着を抑えてインキ着肉性を向上させ、優れたオフセット印刷適正を付与することにある。
さらに、本発明の他の目的とするところは、塗工面に細かな凹凸を有する和紙風の印刷用塗工紙であって、オフセット印刷を行った際に非画線部の白紙光沢度が低く、且つ画線部の印刷光沢度が高く、印刷画像のバランスが良好な印刷用塗工紙を提供することにある。
本発明の他の目的並びに作用効果については、以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
上記の課題を達成するため本発明の印刷用塗工紙は、原紙の少なくとも一方の面に顔料と接着剤成分とを含む塗工層を有し、JIS P 8140に準じた塗工面のコッブ吸水度が25g/m2〜35g/m2である印刷用塗工紙であって、前記塗工層には、更に、顔料100重量部に対して2.0重量部〜5.0重量部のワックス成分が含有されていることを特徴とするものである。
このような構成によれば、塗工面が高い吸水性を有する印刷用塗工紙であっても、オフセット印刷時に塗工面に多量の湿し水が付着することが無く、良好なインキ着肉性が得られる。
また、本発明の印刷用塗工紙においては、JIS B 0601に準じた表面粗さ(Ra)が2.0μm〜3.0μmの範囲となるように調整することによって、和紙風の風合いが得られる。
そして、このような構成によれば、塗工面に細かな凹凸を有し和紙風の風合いを有しながらも、オフセット印刷時に塗工面に多量の湿し水が付着することが無く、インキの着肉性が良好な印刷用塗工紙が得られる。
また、本発明の印刷用塗工紙においては、塗工層に含まれる顔料100重量部のうち、1.0重量部〜5.0重量部をプラスチック顔料としてもよい。
このような構成によれば、和紙風の風合いを有する印刷用塗工紙において、オフセット印刷後に非画線部の白紙光沢度が低く、且つ画線部の印刷光沢度が適度に高い、印刷画像のバランスが良い印刷用塗工紙を得ることができる。
以上の説明で明らかなように、本発明の印刷用塗工紙は、塗工面の吸水性が高いにも拘わらず、オフセット印刷時に紙面に多量の湿し水が付着することが無く、インキ着肉性が良好で鮮明な印刷画像を得ることが出来るものである。
また、印刷用塗工紙の表面に細かな凹凸を設け和紙風の風合いを持たせた場合でも、多色オフセット印刷時に紙面に多量の湿し水が付着することが無く、インキ着肉性が良好で鮮明な印刷画像を得ることが出来る。このため、芸術性、意匠性の高い図案の印刷にも好適である。
更に、本発明の印刷用塗工紙によれば、和紙風の風合いを有しオフセット印刷後に非画線部の白紙光沢度が低く、且つ画線部の印刷光沢度が適度に高い、印刷画像のバランスが良い印刷画像を得ることができる。
以下において、本発明の好適な実施の形態について述べるが、本発明は以下の記述で限定されるものではない。
オフセット印刷に用いる印刷用塗工紙は、印刷適性の向上、光沢性、平滑性などの特性を付与することを目的として、原紙の表面に、カオリンクレー、炭酸カルシウム、サチンホワイト、タルク、酸化チタンなどの顔料と、それらのバインダーとしての水溶性高分子化合物とを主成分とする塗工液とを塗工したものである。
オフセット印刷では、印刷機に装着されたブランケットを介してインキが印刷用紙に転写されるが、この際に非画線部へのインキ着肉を防止するためにブランケットの非画線部に対応する部分には湿し水と呼ばれる水溶液が供給される。即ち、印刷用紙の画線部にインキが転写されるのと同時に、非画線部には湿し水が付着することとなる。この際に印刷用紙表面の吸水性が高いと付着した湿し水が印刷用紙に残存することとなり、用いる色数が多いほど同じ工程が繰り返され、より湿し水が残ることとなり、インキ着肉性の悪化に繋がる。
これを解決すべく、本発明の印刷用塗工紙は、原紙の少なくとも一方の面に、顔料と接着剤と顔料100重量部に対して2.0〜5.0重量部のワックスとを含む塗工層を設け、JIS P 8140に準じた塗工面のコッブ吸水度が25〜35g/m2であるものである。本願においては、塗工層に少量のワックスを配合したことにより、湿し水が過度に付着することを抑制し、インキ着肉性が改善されるものである。このインキ着肉性の改善法は、和紙風の風合いを有する印刷用塗工紙にも適用することができる。
先にも述べたように、和紙風の風合いを有する印刷用塗工紙は用紙表面に微細な凹凸を有するため、塗工面の吸収性が高く、用紙表面の凹凸内に湿し水が残りインク着肉不良となりやすい。特に多色オフセット印刷ではインクと湿し水の塗工面への転移が4回〜9回程度繰り返して行われるため、紙面に湿し水が付着累積してしまい、インキ着肉不良が発生する場合が多くあった。このようなインキ着肉性の問題についても、塗工層に少量のワックスを配合を配合することにより改善可能であることを本願発明者等は見出した。以下において、本願の印刷用塗工紙について詳細に説明する。
(原料パルプ)
先ず始めに、本発明に用いる原紙の構成について説明する。本発明の原紙の材料としては、パルプに木材チップを原料とするクラフトパルプ、サルファイトパルプ、ソーダパルプ等の化学パルプ、セミケミカルパルプ、ケミメカニカルパルプ等の半化学パルプ、砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ等の機械パルプ、ケナフ等を原料とする非木材繊維パルプ、あるいは古紙パルプなどを適宜選択して使用することができる。
(内添薬品)
本発明では、一般的な抄紙填料として使用されているものを適宜添加することができる。使用できる填料としては、例えばタルク、カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン等がある。また、本発明においては、必要に応じて、サイズ剤、定着剤、消泡剤、着色剤、嵩高剤など通常の抄紙工程で使用される薬品類を添加してもよい。
(原紙の抄造)
抄紙方法については特に限定されるものではなく、トップワイヤーなどを含む長網マシン、丸網マシン、この両者の併用マシン、ヤンキードライヤーマシンなどを用いて、酸性抄紙、もしくは中性抄紙方式で抄紙することができる。
次に、塗工層の構成について説明する。本願印刷用紙の塗工層は、少なくとも顔料と、接着剤成分と、ワックスとを含むものである。
一般に塗工紙の塗工層にワックス成分を含有させた場合には、塗工層が撥水性を有するようになるため、塗工紙に耐水性や防湿性を持たせることを目的としてワックスが用いられる。その一方で、塗工層にワックスによる撥水性を付与したことにより、オフセット印刷時には湿し水の紙への吸収を阻害してしまい、インキの乳化を発生させる原因ともなりうる。ここで、インキの乳化とは印刷インキと湿し水が混じり合ってしまう現象である。
先にも説明したように、オフセット印刷では、印刷画像を印刷版からブランケット表面に転写し、ブランケットを介して印刷画像を紙面に印刷する。ブランケット表面は、画線部分が親油性、非画線部分が親水性になっており、これに湿し水とインキが供給されると、親油性であるインキのみが画線部分に付着し、非画線部には湿し水のみが付着し、画線部のインキが非画線部に付着することがない。ブランケットと用紙が接触することでブランケット上ののインキと湿し水は紙へ転移するが、このとき紙面に撥水性があると湿し水が紙面に吸収されないため、紙面上でインキと湿し水とが混じりあい、インキの乳化現象が発生する。インキの乳化が発生すると、インキや湿し水はオフセット印刷における役目を果たさず版汚れなどの印刷トラブルを引き起こす元となるこのため、オフセット印刷用の印刷用塗工紙では塗工層が吸水性を有するものが一般的であり、塗工層に撥水性を有するものはオフセット印刷適正がないとされ、印刷適性の向上を目的にワックス成分を塗工層に含有させたものは、従前の印刷用塗工紙には無かった。
オフセット印刷用塗工紙の塗工層にワックスを含有させることについては、従前よりこれらの問題点が指摘されており、塗工層にワックスを用いるとオフセット印刷適性が悪化するというのが一般的な見方であった。しかしながら、本願発明者らは、ワックス成分を塗工層に適量含有させることで塗工層に撥水性を付与し湿し水の過度な付着を防ぐことができ、インキ着肉性を向上させられることを見出した。また、この発明によれば、吸水性が高い印刷用塗工紙や、塗工面に凹凸を有する和紙風の印刷用塗工紙についてもインキ着肉性の改善が可能となった。
(塗工液の構成:ワックス成分)
本発明の印刷用塗工紙の塗工層に使用可能なワックスエマルジョンとしては、パラフィンワックス、ポリエチレンンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、脂肪酸エステルワックス、脂肪酸ワックス、石油油脂ワックス、合成樹脂ワックス等のワックスを既知の方法で水性化して得られるエマルジョンであれば、何れでも使用できる。
また、本願においては、塗工層中のワックスエマルジョンの含有量は、顔料100重量部に対して2.0重量部〜5.0重量部の範囲であることが好ましい。塗工層中のワックスエマルジョン含有量が顔料100重量部に対して2.0重量部を下回った場合には、十分な撥水性が得られないためオフセット印刷時に湿し水が塗工面に多量に付着し、インキ着肉不良が発生する。また、塗工層中のワックスエマルジョン含有量が顔料100重量部に対して5.0重量部を上回った場合には、塗工層の撥水性が過度に強くなり湿し水が塗工層に吸水される量が少なくなりすぎるため、紙面上でインキの乳化が発生し版汚れなどの印刷トラブルの原因となる。
(塗工層の構成:顔料)
本発明の印刷用塗工紙の塗工層に使用する無機顔料としては、カオリン、デラミネーテッドカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ケイ酸、ケイ酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの従来から印刷用塗工紙に用いられている無機顔料を使用することができる。また、これらの顔料は単独、若しくは2種以上を併用するなどして使用することができる。
(塗工層の特性:表面粗さ)
本発明の印刷用塗工紙は、塗工面の表面粗さを規定の範囲にすることによって、塗工面に凹凸の多い和紙風の面感を得ることができる。具体的には、塗工面のJIS B 0651に準じた表面粗さ(Ra)が2.0μm〜3.0μmの範囲となるようにすることにより、塗工面に細かな凹凸を有する和紙風の風合いを持つ印刷用塗工紙を得ることができる。本願においては、カレンダーやサイズプレスなどを使用して塗工面に凹凸を設けることが出来る。また、エアーナイフコータやカーテンコータなどの非接触タイプの塗工装置を用いて塗工速度や乾燥温度を適宜制御するなどして平滑度を調整することより、塗工面の表面粗さを所定の範囲にすることが可能である。尚、表面粗さ(Ra)は、例えば、テーラーデブソン(株)製の表面粗さ測定器、サートロニックを使用して測定することが出来る。
この種の和紙風の風合いを持つ印刷用塗工紙は、塗工層表面に細かな凹凸を有することに加えて、多色刷りなどに対応するために吸水性の高い顔料を用いることが多い。このため一般の印刷用塗工紙よりもコッブ吸水度が高く、水を保持しやすくなる。本願においては、塗工層に適量のワックスを配合することにより、塗工層表面に細かな凹凸を有する印刷用塗工紙においても好ましいインキ着肉性が得られるようになった。
また、本願の印刷用塗工紙は、用紙表面の光沢度が低めであるために落ち着いた風合いを有するものである。ここで、紙の光沢度とは、紙表面に入射した光の吸収、散乱、及び反射角度を測定し数値化したものであり、JIS P 8142に準じて、市販の光沢度計を用いて測定することができる。一般的に、光の吸収、散乱が少なく反射量が多い紙は光沢度が高くなり、光の吸収、散乱が多く、反射量が少ない紙は光沢度が低くなる傾向にある。したがって、塗工面に細かな凹凸を有する和紙風の印刷用塗工紙は光沢度が低くなり印刷光沢度も低くなることが避けられず、非画線部は光沢度の低い落ち着いた風合いとし、その一方で画線部は鮮明な画像にしたいような場合には、和紙風の印刷用塗工紙は不向きであった。なお、ここでいう印刷光沢度とは、印刷後の画線部(印刷が施された箇所)の光沢度のことである。
そこで、本願発明者らは鋭意研究を行い、塗工面に細かな凹凸を有する印刷用塗工紙の塗工層にプラスチック顔料を適量配合することで、白紙光沢度が低く、しかも印刷光沢度が高い印刷画像が得られることを見出した。プラスチック顔料は、柔らかくクッション性があるため、印刷用塗工紙の塗工層にプラスチック顔料を含有させることで塗工層に適度なクッション性を持たせることができる。このため、塗工層にプラスチック顔料を含有させた印刷用塗工紙をオフセット印刷に供すると、ブランケットとの接触時に塗工面が沈み込むようにブランケットと密着してインキが塗工面に転移するため画線部の凹部もインキ皮膜で埋まり、これにより画線部は光の散乱が少なくなり反射量が増加し、印刷光沢度を増加させることができる。
本発明の印刷用塗工紙においてオフセット印刷後の光沢度は、JIS P 8142に準じて測定した非画線部の白紙光沢度が10%〜15%、画線部の印刷光沢度が25%〜40%であることが望ましい。印刷物の光沢度がこの範囲にあれば、非画線部と画線部のバランスが良くなり、芸術性、意匠性の高い図案を印刷した場合に、風合いがあり、且つ鮮明な印刷画像が得られる。本願においては、塗工面の表面粗さ(Ra)が2.0μm〜3.0μmの範囲となるように調整することにより、白紙光沢度を10〜15%の範囲に調整しやすくなる。
(塗工層の構成:プラスチック顔料)
本発明の印刷用塗工紙においては、塗工層に含まれる顔料100重量部中にプラスチック顔料を1.0重量%〜5.0重量%含有させることが望ましい。プラスチック顔料含有量が顔料100重量部中に1.0重量部を下回ると、塗工層のクッション性が不足し凹部分へのインキ転移量が少なくなり、画線部のJIS P 8142に準じて測定した光沢度が25%を下回ってしまい鮮明な印刷画像が得られにくくない。逆に、プラスチック顔料の含有量が顔料100重量部中に5.0重量部を上回ると、クッション性が増しすぎてブランケットロールと紙面が過度に着肉してしまい、転移したインキの塗工面の凹凸が埋まり過ぎてしまう。このため印刷光沢度が40%を上回り、白紙光沢度とのバランスが悪化して落ち着いた風合いのある印刷画像が得られにくくなる。
本発明の印刷用塗工紙に使用できるプラスチック顔料としては、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂等からなるプラスチック顔料を挙げることができる。形状としては、密実型、中空型、ドーナツ型、金平糖型等があり、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択して用いることができるが、本願においては、中空型のものがクッション性に優れており好適である。
(ワックスエマルジョンとプラスチック顔料の併用)
先にも述べたように、本発明に係る印刷用塗工紙の塗工面にはワックス成分が含有されており、このワックス成分もインキ着肉性に寄与する。一般に、インキ着肉性が向上すると印刷用塗工紙の凹部により多くのインクが転移するために、印刷光沢度も併せて向上するということが知られている。従って本発明においては、塗工層にプラスチック顔料を添加することによりワックス成分との相乗効果で印刷光沢度を極めて高くすることができ、白紙光沢度は低く、印刷光沢度は高いという風合いのある印刷画像を得ることができる。
(塗工層の構成:顔料と接着剤比)
本願の印刷用塗工紙においては、塗工層中のの顔料成分と接着剤成分との配合比は、顔料100重量部に対し、接着剤を10重量部〜50重量部配合することが望ましい。接着剤の配合量が顔料100重量部に対し10重量部を下回ると、塗工層の強度が十分に得られず、ブランケットからインキが転写される際に塗工層の表面剥けトラブルが発生しやすくなる。一方、接着剤の配合量が顔料100重量部に対し50重量部を上回ると、塗工層の強度が増すため離解性が悪化する虞がある。近年では、環境意識の高まりからリサイクルの要望が強く、印刷用塗工紙の水中離解性が重視される場合が多い。
(塗工層の接着剤成分)
本発明の印刷用塗工紙に用いる接着剤成分としては、エマルジョンタイプの接着剤、水溶性接着剤などを単独または2種以上を併用して用いることが出来る。エマルジョンタイプのものとしては、例えば、スチレン、メチルアクリレートなどの単独重合体、スチレン−メチルアクリレートなどの共重合体、さらには、これらと共重合可能なモノマーであるα−メチルスチレン等のオレフィン系芳香族モノマー、アクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等のオレフィン系不飽和カルボン酸モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリロニトリル等のアクリル系モノマー、アクリルアミド等のオレフィン系不飽和アミドモノマーなどとの共重合体からなる樹脂粒子などを使用することができる。また、水溶性接着剤としては、澱粉、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白などの蛋白質類、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロール誘導体、ポリビニルアルコールやその変性品などを使用することができる。
先にも述べたように、本件発明において原紙に塗工する塗工液は、無機顔料・プラスチック顔料などの顔料と、接着剤成分とを水媒体中で分散・混合して調製するものであり、この塗工液を原紙上に塗布・乾燥することにより塗工層を有する印刷用塗工紙が得られる。塗工液には、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤等の各種助剤を適宜使用することができる。
(塗工方法)
調製された塗工液は、ブレードコータ、バーコータ、ロールコータ、エアナイフコータ、リバースロールコータ、カーテンコータ、サイズプレスコータ、ゲートロールコータ等のコータを用いて、原紙の少なくとも一方の面に各々一層もしくは二層以上の多層で塗布・乾燥される。塗工液を乾燥させる方法としては、例えば加熱シリンダ、加熱熱風エアドライヤ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等の各種方式のドライヤを単独あるいは組み合わせて用いることができる。
(塗工面処理)
本件において、和紙風の風合いを得るために用紙表面に微細な凹凸を設けたい場合には、熱ソフトカレンダーやロッドメタリングサイズプレスなどを使用して塗工面に凹凸を設けることができる。また、エアーナイフコータやカーテンコータなどの非接触タイプの塗工装置を用いて塗工速度や乾燥温度を適宜制御することによっても目的とする塗工面を得ることができる。
以下に本発明の印刷用塗工紙の実施例及び比較例について具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。尚、実施例中の部及び%は、断らない限り乾燥質量部及び質量%を示す。
<実施例1>
叩解度450mlのL−BKP90重量部と叩解度450mlのN−BKP10重量部からなるパルプスラリに、顔料として炭酸カルシウム(TP−121:奥多摩工業株式会社製)5.0重量部、内添サイズ剤としてロジンエマルジョン(CC−167:日本PMC(株))0.2重量部、紙力増強剤として澱粉(T−1000:日本食品加工(株))0.5質量部を添加して撹拌し、抄紙機で抄造することにより米坪90.0g/m2の原紙が得られた。次いで、原紙に塗工する塗工液の調製を行う。無機顔料である炭酸カルシウム(ソフトン2000:白石カルシウム(株))80.0重量部、同じくカオリン(ハイドラスパース:米国ヒューバー社)17.0重量部、プラスチック顔料(ローペイクHP−91:ローム&ハース社)3.0重量部を混合し水中に分散し、これに接着剤スチレンブタジエンラテックス(ラックスターDS−266:大日本インキ工業(株))4.0重量部、澱粉(アミロファックス00:AVEBE社)15.0重量部、ワックスエマルジョン(MT−9000:新中村化学(株))3.0重量部を混合し、塗工液を得た。この塗工液を原紙上に10.0g/m2(乾燥重量)の塗工量となるようエアーナイフコータで塗工することにより印刷用塗工紙を得た。
<実施例2>
塗工液にプラスチック顔料を配合せず、更に、エアーナイフコータによる塗工条件を調整して塗工面を高光沢にした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
<実施例3>
塗工液に含まれるワックスエマルジョンの配合量を2.1重量部とし、プラスチック顔料を配合せず、更に、エアーナイフコータによる塗工条件を調整して塗工面を高光沢にした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
<実施例4>
塗工液に含まれるワックスエマルジョンの配合量を4.9重量部とし、プラスチック顔料を配合せず、更に、エアーナイフコータによる塗工条件を調整して塗工面を高光沢にした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
<実施例5>
塗工液にプラスチック顔料を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
<実施例6>
塗工液に含まれるワックスエマルジョンの配合量を2.0重量部とし、プラスチック顔料を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
<実施例7>
塗工液に含まれる含まれるワックスエマルジョンの配合量を4.9重量部とした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
<実施例8>
塗工液に含まれるワックスエマルジョンの配合量を2.9重量部とした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
<実施例9>
塗工液に含まれるプラスチック顔料を1.1重量部とした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
<実施例10>
塗工液に含まれるワックスエマルジョンの配合量を4.8重量部とし、プラスチック顔料の配合量を1.1重量部とした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
<実施例11>
塗工液に含まれるワックスエマルジョンの配合量を2.2重量部とした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
<実施例12>
塗工液に含まれるワックスエマルジョンの配合量を2.0重量部とし、プラスチック顔料の配合を4.9重量部とした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
<実施例13>
塗工液に含まれるワックスエマルジョンの配合量を4.9重量部とし、プラスチック顔料の配合を1.2重量部とした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
<実施例14>
塗工液に含まれるワックスエマルジョンの配合量を4.9重量部とし、プラスチック顔料の配合を4.8重量部とした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
<実施例15>
塗工液に含まれるスチレンブタジエンラテックスの配合を3.0重量部、澱粉の配合を5.0重量部とした以外は、実施例1と同様にして塗工印刷用紙を得た。
<実施例16>
塗工液に含まれるスチレンブタジエンラテックスの配合を20.0重量部とし、澱粉の配合を29.0重量部とした以外は、実施例1と同様にして塗工印刷用紙を得た。
<比較例1>
塗工液にワックスエマルジョンとプラスチック顔料を配合しない以外は、実施例1と同様とした。
<比較例2>
塗工液にワックスエマルジョンとプラスチック顔料を配合せず、更に、エアーナイフコータによる塗工条件を調整して塗工面を高光沢とした以外は、実施例1と同様とした。
<比較例3>
塗工液に含まれるワックスエマルジョンの配合量を1.8重量部とし、プラスチック顔料を配合せず、更に、エアーナイフコータによる塗工条件を調整して塗工面を高光沢とした以外は、実施例1と同様とした。
<比較例4>
塗工液に含まれるワックスエマルジョンの配合量を5.1重量部とし、プラスチック顔料を配合せず、更に、エアーナイフコータによる塗工条件を調整して塗工面を高光沢とした以外は、実施例1と同様とした。
<比較例5>
塗工液に含まれるワックスエマルジョンの配合量を1.9重量部としプラスチック顔料を配合しない以外は、実施例1と同様とした。
<比較例6>
塗工液に含まれるワックスエマルジョンの配合量を5.2重量部とし、プラスチック顔料を配合しない以外は、実施例1と同様とした。
<比較例7>
塗工液に含まれるワックスエマルジョンの配合量を1.8重量部とした以外は、実施例1と同様とした。
<比較例8>
塗工液に含まれるワックスエマルジョンの配合量を1.9重量部とし、プラスチック顔料の配合量を0.9重量部とした以外は、実施例1と同様とした。
<比較例9>
塗工液に含まれるワックスエマルジョンの配合量を1.8重量部、プラスチック顔料の配合量を5.2重量部とした以外は、実施例1と同様とした。
<比較例10>
塗工液に含まれるワックスエマルジョンの配合量を5.1重量部、プラスチック顔料の配合量を3.0重量部とした以外は、実施例1と同様とした。
<比較例11>
塗工液に含まれるワックスエマルジョンの配合量を5.2重量部、プラスチック顔料の配合量を0.7重量部とした以外は、実施例1と同様とした。
<比較例12>
塗工液に含まれるワックスエマルジョンの配合量を5.2重量部、プラスチック顔料の配合量を5.1重量部とした以外は、実施例1と同様とした。
<比較例13>
塗工液に含まれるスチレンブタジエンラテックスのの配合を32.0重量部とし、澱粉の配合を22.0重量部とし、ワックスエマルジョンの配合を1.8重量部とした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
<比較例14>
塗工液に含まれるスチレンブタジエンラテックスの配合を3.0重量部とし、澱粉の配合を6.0重量部とし、ワックスエマルジョンの配合を5.2重量部とした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
実施例及び比較例にて得られた印刷用塗工紙について、以下の方法で各種物性の評価を行った。評価結果は図1,2に示されている。
1)インキ着肉性(実機印刷評価):印刷用塗工紙にオフセット4色枚葉印刷機(ローランド−704 ディックマンローランド(株)製)にてオフセット印刷を行い、8000枚の印刷物の印刷状態を目視にて確認した。評価は下記の判定基準に従って行い、○以上をもって合格とした。
[印刷条件]
印刷速度:8000枚/時間
印刷枚数:8000枚
インキ:DIC VALUES−G Nタイプ(高級プロセスインキ)
印刷順:墨→藍→紅→黄
湿し水:FST−212(1.5%)+IPA(3%)
[評価基準]
◎:全ての印刷物において、鮮明な印刷画像が得られた。
○:インキ着肉不良により実用不可能な印刷物が見られたが、8000枚中100枚以内であり実用上問題ない程度であった。
△:インキ着肉不良により実用不可能な印刷物が、8000枚中1000枚以上あった。
×:インキ着肉不良により実用不可能印刷物が、8000枚中4000枚以上あった。
2)インキの乳化(実機印刷での版汚れ評価):印刷用塗工紙にオフセット4色枚葉印刷機(ローランド−704 ディックマンローランド(株)製)にてオフセット印刷を行い、インキの乳化による版汚れの状況を目視にて確認した。評価は下記の判定基準に従って行い、○以上をもって合格とした。尚、印刷条件は、インク着肉性の評価と同様の条件であった。
[評価基準]
◎:全ての印刷物において、鮮明な印刷画像が得られた。
○:印刷枚数7000枚以降からインキの乳化に起因する版汚れが見られたが、実用上問題ない程度であった。
△:印刷枚数4000枚以降からインキの乳化に起因する版汚れが見られた。
×:印刷枚数1000枚以降からインキの乳化に起因する版汚れが見られた。
3)紙剥け評価:印刷用塗工紙にRI印刷適性試験機を用いてタックインキ(タック値20)で印刷を行い、紙剥け状態を目視で確認した。評価は下記の評価基準に従って行い、○以上をもって合格とした。
[使用機器]
RI印刷適性試験機:石川島産業機械(株)製
[評価基準]
◎:紙剥けが全く見られなかった。
○:数箇所に毛羽立ち程度の紙剥けが見られたが、実用上問題ない程度であった。
△:印刷した一部分に紙剥けが見られた。
×:印刷した全部分に紙剥けが見られた。
4)水中離解性:水道水約1リットルに、印刷用塗工紙を約5cm角に手裂きした試料20g(乾燥量)を離解機(目盛り8で運転)で10分間離解し、離解パルプ液を目視にて確認した。評価は下記の判定基準に従って行い、○以上をもって合格とした。
[使用機器]
離解機:ナショナルMX−V−100(松下電器産業(株)製)
変圧器:スライダック(特殊機化工業(株)製)
[評価基準]
◎:結束繊維やインキ受理層の未離解片が見られない。
○:結束繊維や未離解片、及び塗工層片が少量見られたが、実用上問題の無いレベルであった。
△:結束繊維や未離解片、及び塗工層片が多く見られた。
×:結束繊維や未離解片、及び塗工層片が非常に多く見られた。
5)白紙光沢度:JIS P 8142に従い、印刷用塗工紙の白紙光沢度を測定した。
6)印刷光沢度:印刷用塗工紙にRI印刷適性試験機を用いインキ0.30ccを使用して印刷を行った。印刷後一昼夜放置し、その後にJIS P 8142に従い印刷光沢度の測定を行った。
[使用機器等]
RI印刷適性試験機:RI印刷適性試験機(石川島産業機械(株)製)
使用インキ:DIC VALUES−G(大日本インキ工業(株)製)
実施例1〜実施例16、比較例1〜比較例14の印刷用塗工紙は、JIS P 8140に準じた塗工面のコッブ吸水度が25g/m2以上となった。
実施例1、実施例5〜実施例16、比較例1、比較例5〜比較例14により得られた印刷用塗工紙は表面粗さが2.0μm〜3.0μmの範囲となり、塗工面に細かな凹凸を有し、和紙風の風合いが得られた。
実施例1〜実施例16により得られた印刷用塗工紙は、塗工層に顔料100重量部に対して2.0〜5.0重量部のワックスが含まれているためにインキ着肉性が良好で、オフセット印刷においてインキの乳化による版汚れが見られなかった。これに対して、比較例1〜比較例3、比較例5、比較例7、比較例8、比較例9、比較例13により得られた印刷用塗工紙は、塗工層に含まれるワックスエマルジョンの配合が顔料100重量部に対して2.0重量部を下回っていたためにインキの着肉性不良が発生してしまい、鮮明な画像が得られなかった。また、比較例4、比較例6、比較例10、比較例11、比較例12により得られた印刷用塗工紙は、塗工層中に含まれるワックスエマルジョンの配合が顔料100重量部に対して5.0重量部を上回っていたため、インキ乳化による版汚れが発生した。
実施例1、実施例7〜実施例16により得られた印刷用塗工紙は、塗工層中にプラスチック顔料が1.0〜5.0重量部の範囲で含まれているため、JIS P 8142に準じて測定した白紙光沢度が10%〜15%、且つ印刷光沢度が25%〜40%となり、印刷画像が鮮明で非画線部と画線部(印刷部分)とのバランスが良好となった。これに対して、比較例1〜比較例6、比較例8、比較例11により得られた印刷用塗工紙は、塗工層に含まれるプラスチック顔料の配合が1.0重量部を下回ったためJIS P 8142に従い測定した印刷光沢度が25%を下回り、鮮明な印刷画像が得られなかった。また、比較例9、比較例12により得られた印刷用塗工紙は、塗工層に含有されるプラスチック顔料の配合が5.0重量部を上回ったため印刷光沢度が40.0%を超えてしまい、白紙光沢度とのバランスが悪化した。
実施例1〜実施例16により得られた印刷用塗工紙は、接着剤の配合量が顔料100重量部に対して10〜50重量部の範囲であったため、紙剥けがなく鮮明な印刷画像が得られ、しかも、水中離解性が良好でリサイクル可能なものとなった。これに対して、比較例13により得られた印刷用塗工紙は、塗工層に含有される接着剤の配合が顔料100重量部に対し50重量部を上回ったため、水中離解性が悪化してリサイクルが不可能となった。また、比較例14により得られた印刷用塗工紙は、塗工層に含有される接着剤の配合が顔料100重量部に対し10重量部を下回り、紙剥けが発生した。
以上述べたように、本発明の印刷用塗工紙によれば、芸術性、意匠性の高い印刷物が得ることができ、高価な商品の包装紙やカタログ、パンフレットの印刷用紙に好適に使用できることができる。
実施例の評価結果を示す図表である。 比較例の評価結果を示す図表である。

Claims (3)

  1. 原紙の少なくとも一方の面に顔料と接着剤成分とを含む塗工層を有し、JIS P 8140に準じた塗工面のコッブ吸水度が25g/m2〜35g/m2の印刷用塗工紙であって、
    前記塗工層には、更に、顔料100重量部に対して2.0重量部〜5.0重量部のワックス成分が含有されていることを特徴とする印刷用塗工紙。
  2. 塗工層表面のJIS B 0651に準じた表面粗さ(Ra)が2.0μm〜3.0μmであることを特徴とする請求項1に記載の印刷用塗工紙。
  3. 塗工層に含まれる顔料100重量部のうち、1.0重量部〜5.0重量部がプラスチック顔料であることを特徴とする請求項2に記載の印刷用塗工紙。
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