JP2009209468A - 嵩高印刷用塗工紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】
高い白紙光沢、優れた表面平滑性、印刷適性、内部結合強度を有し、かつ原紙の両面に塗被層を有しても、0.95g/cm以下の低緊度(嵩高性)である印刷用塗工紙を提供することにある。
【解決手段】
二酸化ケイ素および/またはケイ酸塩から形成されたケイ素含有粒子と、該ケイ素含有粒子100質量部に対して0.1〜40質量部の耐アルカリ性微小粒子とを凝集させた多孔性填料を、紙中填料率として1〜30質量%含有する原紙の少なくとも一面に、顔料と接着剤を主成分とする塗被層を設けた塗工紙であり、かつ内部結合強度350J/m以上を有する嵩高印刷用塗工紙。
【選択図】なし

Description

本発明は、高い白紙光沢、優れた表面平滑性、印刷適性、内部結合強度を有し、低緊度(嵩高)である嵩高印刷用塗工紙を提供することにある。
一般に印刷用塗工紙は、原紙上に顔料と接着剤を主成分とする塗被液を塗布乾燥して製造され、塗被液の塗工量や、塗工紙の仕上げ方法によって、キャストコート紙、アート紙、コート紙、微塗工紙等に分類される。これら印刷用塗工紙は、これに多色印刷又は単色印刷を施して、チラシ、パンフレット、ポスター等の商業用印刷物として、あるいは書籍、雑誌等の出版物として広く使用されている。
近年、印刷物のビジュアル化、カラー化が進み、印刷用塗工紙の高品質化の要求が高まっており、白紙光沢度、平滑度、白色度等の白紙品質、および印刷光沢等の印刷仕上りにおける外観等の品質が重要視されている。
また、一方では、省資源、輸送コストなどの点から印刷用塗工紙の軽量化が求められており、軽量化を進めるために、原紙の低坪量化と、塗被層の低塗工量化が追求されている。
現在、原紙の低坪量化による嵩高手法として、機械パルプ、嵩高剤、および無定形シリカを含有させる方法(特許文献1、2、3、4)が紹介されている。しかし、上記の機械パルプや、嵩高剤を内添して嵩高効果を発現させる方法では、パルプ繊維間結合の阻害を伴うことから、内部結合強度の低下や、表面強度が悪化してしまうといった問題が生じる。また無定形シリカを含有させて嵩高効果を発現させる方法も可能であるが、無定形シリカには、微小粒子および粗大粒子が含まれているので、微小粒子に起因して、内部結合強度が低下したり、粗大粒子が原因となって、表面強度が低下し、印刷適性上の問題となることがある。
一方、塗被層の低塗工量化に関しては、低塗工量化を進めつつ、同時に印刷用塗工紙の白紙品質、および印刷仕上がり品質を向上させる手法として、塗被層に特定顔料、合成樹脂粒子を配合する方法(特許文献5、6、7、8)が紹介されている。また、その他の手法としては、熱ソフトカレンダ等により、塗工紙表面を軽度に処理による方法(特許文献9、10、11)も紹介されている。しかし、前記特許文献5〜11は全て、塗被層を主体とした内容であり、原紙については、なんら特別な工夫を加えるものでなく、さらに原紙上に塗被層を、直接設ける内容となっており、塗被層の表面平滑性を向上させて、塗工紙に平滑性、白紙光沢、および嵩高性を付与しようとするものである。しかしながら、原紙の表面平滑性は、塗被層を設けた直後の表面平滑性に影響を与え、さらには、塗工紙表面の平滑性、白紙光沢の発現性にまで、影響を及ぼすものである。したがって、印刷用塗工紙に対し、さらに高いレベルの優れた面質、表面平滑性などを付与するためには、塗被層と併せて、原紙の品質の追求が極めて重要な要素となる。
そこで、印刷用塗工紙の嵩高化に関しては、原紙の製造段階において、原紙自体の内部結合強度の低下を少なくし、また表面強度の低下を伴うことなく低緊度化(嵩高化)を進めることが重要であり、かつ原紙に起因する塗被層の表面平滑性の発現性を、高いレベルで原紙に付与しておくことが重要である。すなわち、印刷用塗工紙として必要とされる高い表面平滑性、優れた印刷適性を確保し、かつ嵩高性を付与するためには、塗工紙表面の最外層を構成する塗被層(以下、「最外塗被層」とも称す)を設けた直後の時点で、表面平滑性を最大限に発現させておいて、また必要であれば白紙光沢についても併せて最大限に発現させておいて、次いで必要最低限のカレンダ処理を行い、原紙の有するクッション性によって平滑性を発現させることが重要であり、また原紙が潰れることを抑制し、塗工紙の嵩高性の減少を極力防止することが極めて重要なポイントとなる。
以上述べた通り、高い白紙光沢、優れた表面平滑性、印刷適性、内部結合強度を有し、かつ低緊度(嵩高性)な特性を併せ持つ、現状よりもさらに高いレベルの品質を有する印刷用塗工紙とするためには、従来の手法では限界があり、目標とする高いレベルの品質を得ることが困難であった。
特開2001−214395号公報 特開2000−282392号公報 特開2004−285490号公報 特開2004−300595号公報 特開2003−221797号公報 特開2002−363889号公報 特開2002−194698号公報 特開平7−197400号公報 特開平6−192996号公報 特開平09−228298号公報 特開平06−294100号公報
本発明は、印刷用塗工紙において、高い白紙光沢と、優れた表面平滑性、印刷適性、内部結合強度を有しながら、かつ原紙の両面に塗被層を有しても、0.95g/cm以下、さらには0.90g/cm以下であるような低緊度(嵩高性)の嵩高印刷用塗工紙を提供することにある。
本発明に係る塗工紙は、二酸化ケイ素および/またはケイ酸塩から形成されたケイ素含有粒子と、該ケイ素含有粒子100質量部に対して0.1〜40質量部の耐アルカリ性微小粒子とを凝集させた多孔性填料を、紙中填料率として1〜30質量%含有する原紙の少なくとも一面に、顔料と接着剤を主成分とする一層以上の塗被層を設け、かつ内部結合強度(J.TAPPI No18−2)が350J/m以上であることわ特徴とする嵩高印刷用塗工紙である。
前記多孔性填料の比表面積が20〜250m/g、かつ細孔径が0.08〜0.80μmであることが好ましく、さらに多孔性填料の平均粒子径が40μm以下であることが好ましい。原紙の密度は0.65g/cm以下であることが好ましく、さらには0.63g/cm以下であることが好ましく、王研式平滑度が45秒以上であることが好ましい。50秒以上であればさらに好ましい。
前記塗被層が、二層以上積層して構成され、その原紙と接する下塗り塗被層において、各種顔料のX線透過式粒度分布測定による平均粒子径が、0.1〜1.3μmの範囲にあり、該全顔料100質量部中、サチンホワイト1〜30質量部を含み、かつ接着剤を、全顔料100質量部に対して10〜20質量部用いて、さらに該接着剤のうち水溶性接着剤を、全顔料100質量部に対して4質量部以下となるように含有させることが好ましい。
前記塗被層の最外塗被層中において、各種顔料のX線透過式粒度分布測定による平均粒子径が、0.1〜1.3μmの範囲にあり、かつ接着剤を、全顔料100質量部に対して10〜20質量部用いて、かつ該接着剤のうち水溶性接着剤を、全顔料100質量部に対して4質量部以下となるように含有させることが好ましい。また最外塗被層は、該全顔料100質量部中、サチンホワイト1〜30質量部を含むことが好ましい。
前記印刷用塗工紙の緊度が、0.95g/cm以下であることが好ましく、また二層以上積層して構成される前記塗被層の総塗工量が、片面あたり7〜20g/mであることが好ましい。
本発明に係る嵩高印刷用塗工紙は、高い白紙光沢、優れた表面平滑性、印刷適性、内部結合強度を有しながら、かつ原紙の両面に塗被層を有しても、塗工紙の緊度が0.95g/cm以下であるような優れたレベルの嵩高性を有する。
本発明では、二酸化ケイ素および/またはケイ酸塩から形成されたケイ素含有粒子と、該ケイ素含有粒子100質量部に対して0.1〜40質量部の耐アルカリ性微小粒子とを凝集させた多孔性填料を、紙中填料率として1〜30質量%含有させた原紙に、顔料と接着剤を主成分とする一層以上の塗被層を、少なくとも片面に設けた塗工紙とし、該塗工紙は、内部結合強度(JAPAN TAPPI No.18−2)350J/cm以上の特性を有する。塗工紙の内部結合強度が350J/m以上であれば、印刷作業性で問題を生じる懸念がなく好ましく使用でき、より好ましくは350〜900J/cmの範囲内である。すなわち内部結合強度が350J/cm未満であると、印刷時のブランケット汚れを生じることがあり、また900J/cmを超える場合には、原紙層での座屈に起因する印刷画像部の折れ割れが生じることがある。本発明においては、原紙自体が、優れた嵩高性、内部結合強度、かつクッション性を有するために、原紙上に設ける塗被層の平滑発現性を最大限に向上させることができる。すなわち原紙上に塗被層を設けた段階で既に、印刷用塗工紙として必要である優れた表面平滑性を発現させることができ、その後のカレンダ処理による塗工紙の潰れを極力抑えることができるものである。このことによって、塗工紙の表面平滑性、嵩高性、内部結合強度を高いレベルで達成させることが可能となる。さらには原紙上に塗被層を設ける際に、その塗工量を必要最小限度量に抑えることによって、塗工紙の嵩高性を、より好ましく向上させることが出来る。加えて塗被層に高光沢発現性の特性を付与すれば、高い白紙光沢度も付与することも出来るものである
顔料と接着剤を主成分とする塗被層が二層以上積層して構成される本発明においては、優れた表面平滑性、高いレベルの嵩高性(低緊度)、ならびに優れた内部結合強度を印刷用塗工紙に併せ持たせるため、最外表面層を構成する塗被層(以下、最外塗被層とも言う。)の表面平滑性および白紙光沢を最大限に発現させることはもちろん重要であるが、併せて最外塗被層の下に存在する原紙および下塗り塗被層においても、その平滑性を最大限に発現させておいて、カレンダ処理を施す前の最外塗被層を設けた直後の段階における塗被層表面の平滑性、白紙光沢を極限まで高めることが極めて重要かつ必要である。また、前述のとおり、原紙自体に内部結合強度を持たせ、またクッション性を付与し、カレンダ処理で平滑性を付与する際に、原紙自体が潰れ難いことが当然ながら必要である。この前提の上で、加えて最外塗被層に高光沢発現性の特性を付与することによって、所望とする高い白紙光沢度も付与することが出来る。以下にそれらの方法を説明すると共に、規定した数値の意義、効果などについて詳述する。
先ず、本発明の原紙について述べる。原紙の嵩高性を維持した上で、内部結合強度を持たせ、かつ平滑性を向上させるには、先述したように、二酸化ケイ素および/またはケイ酸塩から形成されたケイ素含有粒子と、該ケイ素含有粒子100質量部に対して0.1〜40質量部の耐アルカリ性微小粒子とを凝集させた多孔性填料を紙中填料率として1〜30質量%含有させることが必要である。ここで、ケイ素含有粒子を形成するケイ酸塩とは、一般式xMO・ySiO、xMO・ySiO、xM・ySiOで表される化合物であって、MがAl,Fe,Ca,Mg,Na,K,Ti,Znのいずれかのものである(x,yは任意の正の数値である。)。
耐アルカリ性微小粒子としては、例えば、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、タルク、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。これらの中でも、コスト的にも優位であることから、炭酸カルシウム、カオリン、タルクが好ましい。
多孔性填料に占める耐アルカリ性微小粒子の含有量は、ケイ素含有粒子100質量部に対して0.1〜40質量部であり、好ましくは0.5〜30質量部である。さらに好ましくは1.0〜20質量部である。耐アルカリ性微小粒子の含有量が前記範囲であることにより、紙の嵩高化およびパルプスラリー調製からシートになるまでのファンポンプ、攪拌によるせん断力、プレス、カレンダなどによる圧力での潰れ防止に適したものとなり、狭い粒度分布および適切な平均粒子径を有する多孔性填料が得られる。耐アルカリ性微小粒子の含有量が0.1質量部未満であると、狭い粒度分布が得られず、紙の表面強度および内部結合強度が不十分となる。また40質量部を超えると、狭い粒度分布が得られないほか、嵩高化効果が不充分になる、また多孔性填料の透明性が向上し、紙に内添した際に不透明度が低下する。なお、耐アルカリ性微小粒子の含有量は、多孔性填料の粉末サンプルを錠剤化した後、蛍光X線分析装置を用いて各元素の換算量として測定することにより求められる。
該多孔性填料は、粒度分布が良好であり、添加することでの内部結合強度低下および表面強度低下が小さく、さらには、塗被層を設け、カレンダで表面処理をする際に原紙層が潰れにくく、嵩高性を維持できるほか、粒度分布良好なため、粗大粒子に起因する原紙表面の荒れが小さく、良好な平滑性を付与できる。さらには、クッション性が向上し、塗被層の表面性向上作用も発揮する。ただし、紙中含有率1%未満では前述の効果は発揮せず、また30%を超える場合は原紙の内部結合強度が低下し好ましくない。かかる原紙を使い、塗被層を設けて嵩高印刷用塗工紙に仕上げても、本発明で必要とされる優れた内部結合強度350J/cm以上を得ることができないことがあり、印刷作業性で問題となることがある。
また、多孔性填料の比表面積が20〜250m/g、かつ細孔径が0.08〜0.80μmであることが好ましい。比表面積が20m/g未満の場合は、粒度分布が悪くなり、微細粒子と粗大粒子が多くなり、内部強度および表面強度が低下する。250m/gを超えると、凝集構造体の結合力が弱くなり、パルプスラリー調製時のせん断力およびプレス圧、キャレンダー処理圧力で潰れやすく、嵩高性が不十分となる。また、細孔径が0.08μm未満であれば、凝集構造体の結合力が弱くなり、パルプスラリー調製時のせん断力およびプレス圧、キャレンダー処理圧力で潰れやすく、嵩高性が不十分となる。0.80μmを超えると、粒度分布が悪くなり、微細粒子と粗大粒子が多くなり、内部強度および表面強度が低下する。ここで、比表面積は、ポアサイザ9230(島津製作所社製)を用いて、細孔形状が幾何学的な円筒であると仮定した全細孔の表面積で、測定範囲内における圧力と圧入された水銀量の関係から求めた値である。また細孔径も、ポアサイザ9230(島津製作所社製)を用いて、積分比表面積曲線から得られるメジアン細孔直径のことである。
本発明の多孔性填料は平均粒子径が40μm以下であることが好ましい。さらには5〜30μmであることが好ましい。多孔性填料の平均粒子径が40μmを超える場合には、粒度分布が悪くなり微小粒子および粗大粒子が多くなり内部結合強度および表面強度が低下することがある。さらには10〜30μmであることが好ましい。なお、本発明における平均粒子径とは、SALD2000J(島津製作所社製)を用いて、レーザー回折法により測定し、体積積算で50%となる値のことである。また、多孔性填料の粒度分布としては、標準偏差(σ)が0.350以下であることが好ましく、さらには0.300以下であることがより好ましい。このような粒度分布であれば、粗大粒子および微小粒子が共により少なくなり、より優れた内部強度および表面強度が得られる。
(多孔性填料の製造方法)
本発明の多孔性填料の製造方法について説明する。
本発明の多孔性填料の製造方法は、ケイ酸アルカリ水溶液中に耐アルカリ性微小粒子を添加した後、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液を添加し、ケイ酸アルカリ水溶液を中和してケイ素含有粒子を一定の電解質の存在下で析出させる方法である。ここで、ケイ酸アルカリ水溶液としては特に制限されないが、ケイ酸ナトリウム水溶液またはケイ酸カリウム水溶液が好ましい。ケイ酸アルカリ水溶液の濃度は、多孔性填料が効率的に製造できることから、3〜15%であることが好ましく、ケイ酸アルカリ水溶液がケイ酸ナトリウム水溶液の場合には、SiO/NaOモル比が2.0〜3.4であることが好ましい。
耐アルカリ性微小粒子の添加量は、生成するケイ素含有粒子100質量部に対して0.1〜40質量部、好ましくは0.5〜30質量部になる量である。さらに好ましくは1.0〜20質量部である。耐アルカリ性微小粒子の添加量が前記範囲であることにより、紙の嵩高化および不透明性付与に適したものであり、また適切な平均粒子径および狭い粒度分布を有する多孔性填料が得られる。ケイ素含有粒子を析出する際に耐アルカリ性微小粒子が存在することにより、耐アルカリ性微小粒子を包含しながらケイ素含有粒子の析出が進むものと思われる。そして、耐アルカリ性微小粒子を包含するケイ素含有粒子は粒子径が小さくなる上に、析出時の攪拌によって狭い粒度分布を形成するものと考えられる。なお、耐アルカリ性微小粒子の添加量が0.1質量部未満であると、析出時にケイ素含有粒子の核として充分に機能せず、40質量部を超えるとケイ素含有粒子の嵩高性が損なわれる。
耐アルカリ性微小粒子のケイ酸アルカリ水溶液への添加は、ケイ酸アルカリ水溶液を攪拌しながら、その中に耐アルカリ性微小粒子を添加することが好ましいが、耐アルカリ性微小粒子の水性スラリーに、ケイ酸アルカリ水溶液を添加しても差しつかえない。また、耐アルカリ性微小粒子は、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加前に全部を一括してケイ酸アルカリ水溶液中に添加してもよいし、複数に分けて添加してもよい。
本発明で用いる鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液において、鉱酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などが挙げられ、鉱酸の金属塩としては、前記鉱酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、価格、ハンドリングの点で、硫酸、硫酸アルミニウムが好ましく、また、水溶液であることが好ましい。
鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加量は、理論必要中和量の95〜150%の範囲であり、得られるスラリーのpHを2.5より高く、10以下の範囲に調整する量であることが好ましい。鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加量が理論必要中和量の95%未満あるいは得られるスラリーのpHが10を超える量である場合には、原料であるケイ酸アルカリ水溶液の無駄が多くなる。一方、理論必要中和量の150%より多い場合、得られるスラリーのpHが2.5以下になる量である場合には多孔性填料を濃縮する際に発生するろ液pHが低くなり過ぎ、取り扱いにくくなる。
ケイ素含有粒子の析出時には、攪拌装置により、周速として5〜15m/秒で攪拌することが好ましい。ここで、周速は剪断力の指標となり、周速が速ければ剪断力が大きくなる。周速が5m/秒未満である場合は、剪断力が小さすぎて、耐アルカリ性微小粒子を包含させても、適切な平均粒子径および狭い粒度分布を得ることが困難になることがある。一方、析出時の周速が15m/秒を超える場合には、剪断力が大きくなりすぎて、多孔性填料の粒子径が小さくなり、紙に配合した際に嵩高効果が低くなることがある上に、負荷電力の増加、設備費の高額化を招く。攪拌装置としては、アジテータ、ホモミキサ、パイプラインミキサなどの装置が好ましい。なお、ボールミルやサンドグラインダ等の粉砕機を用いることも可能ではあるが、微細粒子の増加やスラリーの増粘といった問題が生じる傾向があるため好ましくない。
鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液は1段で一括してケイ酸アルカリ水溶液中に添加してもよいが、より良好な粒径分布になることから、2段以上に分割して添加することが好ましい。鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液を2段以上で添加する場合には、特に良好な粒度分布になることから、1段目のケイ酸アルカリ水溶液の温度を20〜70℃にし、2段目以降では70℃以上にすることが好ましい。また、1段目では、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加量を理論必要中和量の10〜50%の範囲にすることが好ましい。
1段目および2段目以降共に、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加は、ケイ酸アルカリ水溶液に一括してまたは連続的に添加することができる。鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加が終了した後には、必要に応じて、添加時の温度を維持したまま攪拌する熟成工程を有してもよい。
鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液を1段で添加する場合には、ケイ酸アルカリ水溶液の温度を60℃〜沸点の温度下で添加することが好ましく、75℃〜沸点の温度下で添加することがより好ましい。鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加は、ケイ酸アルカリ水溶液に一括してまたは連続的に添加することができる。
本発明に係る嵩高印刷用塗工紙の原紙は、以下の如くして得られる。まず、原料パルプとして化学パルプ(NBKP、LBKPなど)、機械パルプ(GP、CGP、RGP、PGW、TMPなど)、古紙パルプ(DIPなど)の1種以上が適宜混合されて、紙料の調成が行なわれる。環境保護や資源保護の観点から、いわゆる森林認証された認証林、植林木または間伐材チップから得たパルプを使用することが好ましい。次いで、前述の製造方法で得た多孔性填料を紙中填料率が1〜30質量%となるよう紙料中に添加する。
原紙中には、必要に応じて、他の填料を配合できる。この場合の填料としては、特に限定するものではないが、一般に上質紙に用いられる各種の顔料、例えばカオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、タルク、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ホワイトカーボン、水和珪酸、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の鉱物質顔料や、ポリスチレン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂ならびにそれらの微小中空粒子等の有機顔料が挙げられる。
なお紙料中にはパルプ繊維や填料の他に、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、従来から使用されている各種アニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や、強化ロジンサイズ剤、エマルジョンサイズ剤などの内添サイズ剤、耐水化剤、紫外線防止剤などの一般に公知公用の抄紙用薬品が添加されて、従来から慣用されている抄紙機により抄紙して原紙が製造される。
本発明における原紙については、原紙の緊度が0.65g/cm以下であることが好ましい。さらには0.63g/cm以下であることが好ましい。なお、原紙緊度を低くするための方法としては、本発明の特定多孔性填料を内添する他に、細胞膜の厚いパルプを選択して使用する、パルプの叩解を粗くする、アラミド繊維等の硬質パルプの配合、嵩高い填料を使用する、嵩高剤と呼ばれる繊維間結合を阻害する界面活性剤系の薬品を使用する、プレスでの初期脱水を少なくする、抄紙機のカレンダ圧を軽減する等の手段があり、最終製品の品質仕様を勘定し、上記の1つ、あるいは2つ以上の手段を組合せてもよい。また、原紙の王研式平滑度は45秒以上であることが好ましく、50秒以上であればさらに好ましい。原紙の緊度、王研式平滑度以外には特に限定がなく、先述のとおり、酸性、中性〜アルカリ抄紙により製造された上質、中質、脱墨パルプ配合の原紙を適宜使用できる
近年、環境対応から用紙の軽量化が望まれてきているが、一般的に用紙の軽量化を進めることにより、抄紙方向(MD方向)と直交する方向、すなわちCD方向のこわさが低くなるので、単純に軽量化を進めると、印刷機の搬送系内で、ブランケットへの貼りつき、紙折れ等のトラブルの発生が観られることがある。そこでVoith社などからは、従来の抄紙機のワイヤー上で行うシェイキング条件を、強力に、かつ自在に調節可能なデュオシェイク技術を用いた装置が上市されている。この装置を用いると、MD方向、CD方向の2次元面内において、CD方向へパルプの配列が整然と進み、繊維配向比が小さくなるとともに、CDこわさを効率的に高くできる。また繊維配向比が小さくなることによりCD伸縮率が小さくなり、寸法安定性が向上する。さらにデュオシェイク技術によって、パルプ繊維の配列を均一化することから地合いも改善でき、且つ原紙の繊維配向表裏差も小さくでき、好ましく使用できる。
次に、原紙上に顔料と接着剤を主成分とする塗被層が二層以上積層して設けられる本発明の場合において、前述した原紙と直接的に接する下塗り塗被層において用いる全顔料について、X線透過式粒度分布測定による各種顔料の平均粒子径が、0.1〜1.3μmの範囲にあり、該全顔料100質量部中、サチンホワイト1〜30質量部を含有させ、また塗被層を構成する接着剤を、全顔料100質量部に対して10〜20質量部用い、かつ該接着剤のうち、水溶性接着剤を全顔料100質量部に対して4質量部以下となるように含有させることが好ましい。
一般的技術として、原紙上に二層以上の顔料塗被層を設けることにより、各顔料塗被層の平滑発現性を最大限に向上させることができる。このことから原紙上に二層以上の塗被層を積層して設け、最終的に最外表面層を構成する最外塗被層を設けた段階において、印刷用塗工紙として必要である優れた表面平滑性を発現させておいて、その後のカレンダ処理による塗工紙の潰れを極力抑えることによって、塗工紙の表面平滑性と嵩高性について共に高いレベルで両立させることができる。さらに各層塗工量を必要最小限度に抑えることによって、塗工紙の嵩高性を一層向上させることもできる。加えて最外塗被層に高光沢発現性の特性を付与することにより、併せて高い白紙光沢も付与することができる。
高平滑性を発現する顔料としてサチンホワイトを用いる方法が有効であるが、本発明では、下塗り塗被層の平滑発現性を最大限に向上させるために、X線透過式粒度分布測定による平均粒子径が0.1〜1.3μmの範囲にあるサチンホワイトを使用することが好ましく、特に平均粒子径が0.3〜1.0μmの範囲にあることが好ましい。
これは、顔料塗被層の平滑性発現において、塗被層に含有される顔料粒子径が大きく影響するものであり、塗被層の平滑発現性を向上させるためには、含有される顔料の粒子径が、必然的に微細であることが必要となることによる。
ちなみに、サチンホワイトの平均粒子径が1.3μmを越える場合には、塗被層に対して高い平滑発現性を付与する効果が小さくなり、他方、サチンホワイトの平均粒子径が0.1μmよりも小さい場合には、塗工紙の平滑発現性付与に対しては有効であるが、印刷用塗工紙として必要とされる強度発現させるための接着剤要求量が多くなってしまう。さらに本発明における下塗り塗被層のサチンホワイトは、下塗り塗被層に含有される全顔料100質量部中、1〜30質量部を含有させることが好ましく、3〜20質量部の範囲で含有させることが特に好ましい。
サチンホワイトを下塗り塗被層に含有させ、下塗り塗被層の平滑発現性を向上させておくことによって、前述のように、最外塗被層を設けた段階において、印刷用塗工紙として必要である優れた表面平滑性を最大限に発現させておくことができる。このことによって、その後のカレンダ処理による塗工紙の潰れを極力抑えて、塗工紙の表面平滑性と嵩高性について共に高いレベルで両立させることができるものである。サチンホワイトの含有量が全顔料中、1質量部未満である場合には平滑発現性の向上効果が小さくなり、他方、サチンホワイトの含有量が30質量部を超える場合には、下塗り塗被層の平滑発現性は向上に対しては有効であるが、印刷用塗工紙として必要とされる強度発現のための接着剤要求量が多くなり、不経済である。
本発明における下塗り塗被層にはサチンホワイト以外の顔料も含有されるが、これらの顔料についても、それぞれの平均粒子径が0.1〜1.3μmの範囲にあることが好ましく、平均粒子径が0.3〜1.0μmの範囲にあることが特に好ましい。
これに関しては、前記のサチンホワイトの場合と同じく、下塗り塗被層の平滑性発現に対して、塗被層中に含有させる顔料の粒子径が影響するためであり、各顔料の平均粒子径が1.3μmを越える場合には、塗被層に対して高い平滑発現性を付与することができないので好ましくない。また、各顔料の平均粒子径が0.1μmよりも小さい場合には、塗工紙の平滑発現性付与に対しては有効であるが、印刷用塗工紙として必要とされる強度を発現させるための接着剤要求量が多くなり、不経済であるため好ましくない。
本発明において、下塗り塗被層に用いる特定するサチンホワイト以外の顔料としては、前記のごとく特定した平均粒子径の範囲にあればよく、顔料種類については特に限定するものではないが、例えば炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、構造性カオリン、デラミカオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ニ酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、アルミノ珪酸マグネシウム、珪酸カルシウムベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の無機顔料や、密実型、中空型、貫通孔型のプラスチックピグメント、バインダーピグメント等の有機顔料等、通常の塗工紙分野で使用される顔料を使用することが可能であり、これらの中から1種あるいは2種以上を適宜選択して使用する。
また本発明においては、下塗り塗被層中の接着剤を全顔料100質量部に対して10〜20質量部とすることが好ましく、下塗り塗被層における接着剤含有量を全顔料に対して10〜18質量部となるように含有することが特に好ましく、かつ前記接着剤中の水溶性接着剤について、全顔料100質量部に対して4質量部以下となるように含有するものである。
これは、印刷用塗工紙として必要とされる印刷強度を発現させるために、下塗り塗被層に接着剤を含有させるが、接着剤の含有量が全顔料に対して10質量部未満である場合には、塗工紙に対して充分な印刷強度を付与することが困難となるため好ましくなく、他方、接着剤の含有量が多いと塗被層の平滑発現性が悪化するが、接着剤の含有量が全顔料に対して20質量部を越える場合には、下塗り塗被層の平滑発現性が悪くなるため好ましくない。
また塗被層の平滑発現性を悪化させる効果については、水分散系接着剤に比べて水溶性接着剤の影響が大きく、下塗り塗被層中の水溶性接着剤の含有量が全顔料に対して4質量部を超える場合には下塗り塗被層の平滑発現性が悪くなるため好ましくない。
このため下塗り塗被層において、水分散系接着剤を主たる接着剤として含有させ、充分な印刷強度を発現させることが求められるが、充分な印刷強度を効率的、かつ効果的に発現させるためには、水分散系接着剤について、レーザー散乱式の装置で測定した平均粒子径が50nm〜125nmであることが好ましく、50nm〜100nmである水分散系接着剤を用いることが特に好ましい。
これは塗被層の強度発現に関して、塗被層中の水分散系接着剤が同じ含有量である場合での比較において、水分散系接着剤の平均粒子径が小さく、粒子個数が多くなるほど塗被層の強度も向上するのは、塗被層に多くの接着剤粒子個数を供給できるためであり、接着の効率が向上し、効果的に塗被層の強度を発現させることができるためである。一方、水分散系接着剤の粒子径が大きくて、粒子個数が少ないと、塗被層に多くの接着剤粒子個数を供給できないので、塗被層の強度発現に結びつかないためである。すなわち粒径が125nmを超えた場合、粒子個数が少なくなり、塗工層の表面強度がオフセット印刷に耐えうるまで上昇させるために、過剰量の添加が必要となり、光沢低下などの問題点があるばかりか、コスト面でも不利となるため、好ましくない。一方、粒径が50nm未満になるとラテックスの機械安定性等が低下し、その結果、塗工時の操業性が低下することがあるため、好ましくない。したがって、下塗り塗被層に含有させる接着剤として、前述範囲内の接着剤含有量で、水分散系接着剤を主たる接着剤として使用し、印刷強度および表面平滑性を発現させるものである。
前記の下塗り塗被層に含有させる接着剤については、特に限定するものではなく、通常の塗工紙分野で使用される接着剤、例えば水溶性接着剤として、酸化澱粉、エステル化澱粉、冷水可溶性澱粉などの各種澱粉類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白などの蛋白質類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコールやその変性品などを、また水分散液系の接着剤として、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックスなどを使用することが可能であり、必要に応じてこれらの中から1種類あるいは2種類以上を適宜選択して使用する。
次に、本発明においる最外表面層を構成する最外塗被層について述べる。本発明においては、前記の下塗り塗被層の高平滑化の場合と同様に、最外塗被層においても、必然的に、最大限の平滑性を発現させることが重要である。このため最外塗被層に用いる全種類の顔料については、そのX線透過式粒度分布測定における平均粒子径が、それぞれ0.1〜1.3μmの範囲にあることが好ましく、顔料平均粒子径が0.3〜1.0μmの範囲にあることが特に好ましい。
これに関しても、前記の下塗り塗被層の場合と同じ理由で、塗被層の平滑性発現に対して、塗被層に含有させる顔料の粒子径が影響するためであり、各顔料の平均粒子径が1.3μmを越える場合には、塗被層に対して高い平滑発現性を付与することができないので好ましくなく、他方、各顔料の平均粒子径が0.1μmよりも小さい場合には、塗工紙の平滑発現性付与に対しては有効であるが、印刷用塗工紙として必要とされる強度発現のための接着剤要求量が多くなり、不経済であるため好ましくない。
さらに塗被層の平滑発現性を最大限に向上させるために、最外塗被層においても、全顔料100質量部中、1〜30質量部のサチンホワイトを含有させることが好ましく、3〜20質量部の範囲でサチンホワイトを含有させることが特に好ましい。
これについても、前記の下塗り塗被層における場合と同じ理由で、サチンホワイトを含有させるに従って、最外塗被層の平滑発現性が向上するが、サチンホワイトの含有量が全顔料100質量部中、1質量部未満である場合には平滑発現性の向上が不充分であり、他方、30質量部を超える場合には、最外塗被層の平滑発現性は向上に対しては有効であるが、印刷用塗工紙として必要とされる強度発現のための接着剤要求量が多くなり、不経済であるため好ましくない。
本発明において、最外塗被層に用いる特定するサチンホワイト以外の顔料としては、前記のごとく特定した平均粒子径の範囲にあればよく、顔料種類については特に限定するものではないが、例えば炭酸カルシウム、焼成カオリン、構造性カオリン、デラミカオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ニ酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、アルミノ珪酸マグネシウム、珪酸カルシウムベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の無機顔料や、密実型、中空型、貫通孔型のプラスチックピグメント、バインダーピグメント等の有機顔料等、通常の塗工紙分野で使用される顔料を使用することが可能であり、塗工紙に要求される白紙光沢のレベルに応じて、これらの中から1種あるいは2種以上を適宜選択して使用する。
また本発明においては、最外塗被層中の接着剤を全顔料100質量部に対して10〜20質量部とすることが重要であり、最外塗被層における接着剤含有量を全顔料に対して10〜18質量部となるように含有することが特に好ましく、かつ前記接着剤中の水溶性接着剤について、全顔料100質量部に対して4質量部以下となるように含有することが特に好ましい。水溶性接着剤は含有しないほうがより好ましいが、その場合は増粘、保水の目的でアクリル系樹脂等の合成系増粘保水剤を含有することが好ましい。
これについても、前記下塗り塗被層の場合と同じ理由であり、印刷用塗工紙として必要とされる印刷強度を発現させるために、塗被層に接着剤を含有させるが、接着剤の含有量が全顔料10質量部に対して10質量部未満である場合には、塗工紙に対して充分な印刷強度を付与することが困難となるため好ましくなく、他方、接着剤の含有量が多いと塗被層の平滑発現性が悪化するが、接着剤の含有量が全顔料10質量部に対して20質量部を越える場合には、最外塗被層の平滑発現性が悪くなるため好ましくない。
また下塗り塗被層のところでも述べたように、塗被層の平滑発現性を悪化させる効果については、水分散系接着剤に比べて水溶性接着剤の影響が大きいため、最外塗被層においても水溶性接着剤の含有量が全顔料に対して4質量部を超える場合には塗被層の平滑発現性が悪くなるため好ましくない。
したがって、最外塗被層に含有させる接着剤としても、下塗り塗被層のところでも述べたと同様に、前記範囲内の接着剤含有量で、各種接着剤を組合せて使用し、印刷強度および表面平滑性を発現させるものである。
最外塗被層に含有させる接着剤については、特に限定するものではなく、通常の塗工紙分野で使用される接着剤、例えば水溶性接着剤として、酸化澱粉、エステル化澱粉、冷水可溶性澱粉などの各種澱粉類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白などの蛋白質類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコールやその変性品などを、また水分散液系の接着剤として、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックスなどを使用することが可能であり、必要に応じてこれらの中から1種類あるいは2種類以上を適宜選択して使用する。
また本発明の各塗被層には、必要に応じて、青系統あるいは紫系統の染料や有色顔料、蛍光染料、増粘保水剤、酸化防止剤、老化防止剤、導電誘導剤、消泡剤、紫外線吸収剤、分散剤、pH調整剤、離型剤、耐水化剤、撥水剤等の各種助剤を適宜配合することができる。
さらに本発明における塗被層の塗工量としては、塗工紙の嵩高性(低緊度)を発現させるためには、原紙上に設けられる下塗り塗被層から最外塗被層までを併せた片面当たりの総塗工量を、7〜20g/cmの範囲となるように各塗被層を設けることが好ましく、総塗工量は前記範囲の中でも、できるだけ少ない方が特に好ましい。これは、原紙の密度よりも、塗被層の密度が高いため、塗工量を増やすと必然的に塗工紙の緊度(密度)も増加して、塗工紙の嵩高性が減少することになり、総塗工量が20g/mを越える場合には、塗工紙の緊度(密度)の増加が大きくなり、0.95g/cm以下の印刷用塗工紙が得られない可能性がある。
本発明における塗被層を設ける際の塗工方法については、通常の塗工紙製造分野で使用されている各種の塗工装置、例えばエアーナイフコーター、各種のブレードコーター等が適宜使用されるが、各種塗工方式の中でも、ブレードコーターによる塗工方式が、最も塗工紙の平滑性発現に対して有効であるため、特に好ましい。
さらに、塗被層を設ける前に、原紙上に各種サイズプレス機およびロールコーターなどで澱粉等の天然接着剤やポリビニルアルコール等の合成接着剤を用いてサイズ処理を行なうことも可能である。
かくして得られた塗工紙は、各種公知公用の仕上げ装置、例えばスーパーカレンダ、グロスカレンダ、ソフトカレンダ等に通紙して製品仕上げが施される。本発明の場合、嵩高化発現の目的から、平滑化しやすく、また必要に応じて光沢が発現しやすい加工仕上げを行なう必要があり、硬質樹脂ロール等を備えたカレンダに通紙して仕上る方法が好ましい。
また近年では固定情報をオフセット印刷し、その後、高速印字が可能で騒音の発生がない利点を有する熱・圧力定着方式、フラッシュ定着方式、オーブン定着方式等による電子写真印字装置で、可変情報の印字を出力することが主流になっている。熱・圧力定着方式の印字装置では、粉体トナ−を用紙へ転写した後、約200℃に加熱したヒートロールに紙を押し付けることにより、粉体トナー定着が行われ、機種によってはヒ−トロ−ルの前に、約100℃のプレヒーター部を設けているものもある。一方、フラッシュ定着方式は、感光体または中間転写部材から転写紙上に転写された粉体トナー像に、たとえば、キセノンランプ、ハロゲンフラッシュランプなどの閃光を照射し、その輻射熱によりトナー像を溶融して転写紙上に定着させる方法である。また、オーブン定着方式は、感光体または中間転写部材から転写紙上に転写された粉体トナー像に、たとえば、オーブン雰囲気下で赤外線を照射し、その輻射熱によりトナー像を溶融して転写紙上に定着させる方法である。
現状では、ヒートロールによる熱・圧力定着方式が主流である。しかしフラッシュ定着方式やオーブン定着方式のような非接触加熱定着方式も以下に述べるような優れた特徴をもつことから、注目され始めている。
(1)粉体トナー像がいかなる部材にも接触することなく溶融して定着する非接触定着方式であるので、部材による像つぶれがなく、現像時に解像度が劣化しない。
(2)定着時間が極めて短時間であるため、高速定着が可能である。
(3)印字装置の起動時にヒートアップ時間が不要なため、クイックスタートが可能である。
(4)厚さ、紙質の異なる転写紙に容易に対応可能である。
本発明の嵩高印刷用塗工紙は、上記方式の熱・圧力定着やフラッシュ定着,オーブン定着による電子写真方式の出力に対して、良好な画質と走行性が得られる用紙である。特に用紙の不透明度が高いため、両面印字品での画像の裏映りが小さくなるといった利点がある。
前記画像記録において、特に、5〜7μm程度のトナー粒子によって画像が形成される電子写真方式では、上述の塗工紙を用いることによって極めて高品位な画像を得ることができる。例えば、ISO−13660ドラフトスタンダード・QEA(Quality Engineering Assosiates,Inc.)に準拠した方法に基づいて、電子写真方式プリンターを用いて画像を形成、評価すると、タイルサイズ40μmにおけるモトルが、10GSV(Grey Scale Value)以下、ラインのラジェドネス(ギザギザ度)が10μm以下、ブラリネス(ぼやけ度)が11μm以下であり、極めて良好な画像を得ることが出来る。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、勿論、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、特に断らない限り、例中の部および%はそれぞれ質量部、および質量%を示す。また、実施例や比較例で使用した多孔性填料や顔料の平均粒子径等の諸特性は以下の方法で測定した。また実施例や比較例でのカレンダの加圧操作の調整は、白紙光沢度として、その値が73となるようにした。
(多孔性填料中の耐アルカリ性微小粒子の含有率)
蛍光X線分析装置(スペクトリス社製PW2404)を用いて測定した値である。
(多孔性填料の比表面積と細孔径)
水銀ポロシメーター(形式:ポアサイザ9320、マイクロメリティックス社製)を用いて測定した。なお、細孔直径105Å以下の細孔表面積、細孔容量については、細孔直径が12Å〜105Åの細孔について測定した。
(多孔性填料の平均粒径と粒度分布)
平均粒子径はSALD2000J(島津製作所社社製)を用いて、レーザー回折法により測定し、体積積算で50%となる値のことである。また、多孔性填料の粒度分布としては、標準偏差(σ)の値で示した。
(塗被層顔料の平均粒子径)
ピロリン酸ソーダの0.1%液中に顔料を超音波で5分間分散処理し、X線透過式粒度分布測定装置(機種名:セディグラフ5100、マイクロメリティクス社製)を用いて沈降法により測定した。平均粒子径は粗粒子分からの累積質量が50%に相当する点での粒子径で示した。
実施例1
(多孔性填料Aの製造)
水263質量部、硫酸ナトリウム水溶液754質量部(濃度;5%)、ケイ酸ソーダ330質量部(SiO濃度;28.8質量%、NaO濃度;9.5質量%)を撹拌しながら順次添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径が0.6μmになるように調整した炭酸カルシウムの分散液A100質量部(濃度;9.5%、形状は紡錘状)を温度50℃において撹拌しながら添加した。次に、硫酸74質量部(濃度;20質量%)を温度50℃のままで、撹拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で硫酸(濃度;20質量%)をpH6.5となるまで撹拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。またろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定、および、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
(原紙と接する下塗り塗被層用塗被液の調製)
顔料として、平均粒子径1.3μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ60、備北粉化工業社製)70%、および平均粒子径1.0μmのサチンホワイト(商品名:サチンホワイトB、白石工業社製)30%からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:王子エースB、王子コーンスターチ社製)4部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2182−2、粒子径:100nm、日本エイアンドエル社製)9部(いずれも固形分換算)、および消泡剤、染料などの助剤を添加し、最終的に固形分濃度59%の塗被液を調製した。
(最外塗被層用塗被液の調製)
顔料として、平均粒子径0.4μmの微細カオリン(商品名:カオグロス、ヒューバー社製:米国)80%、および平均粒子径0.8μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、備北粉化工業社製)10%、平均粒子径1.0μmのサチンホワイト(商品名:サチンホワイトB、前出)10%からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:王子エースB、前出)2部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2323、粒子径:89nm、日本エイアンドエル社製)12部(いずれも固形分換算)、および消泡剤、染料などの助剤を添加して、最終的には固形分濃度が59%の塗被液を調製した。
(印刷用塗工紙の作製)
DDR(ダブル・ディスク・リファイナー)で叩解しCSF(カナダスタンダードフリーネス)400mlに調製した広葉樹クラフトパルプA75質量部、DDRで叩解しCSF450mlに調製した針葉樹クラフトパルプB25質量部を混合調製したパルプスラリーに澱粉1.0部(商品名:エースK、王子コンスターチ社製)、硫酸バンドを0.5部、アルキルケテンダイマー0.03部(商品名:SKS296、荒川化学工業社製)、ポリアクリルアマイド0.1部(商品名:PS1250、荒川化学工業社製)、上記合成多孔性填料A10部、歩留向上剤0.03部(商品名:DR−1500、ハイモ社製)となるように添加してパルプスラリーを調製し、ワイヤーシェイキング装置(Voith社製 商品名:デュオ・シェイク)を稼動して抄紙し後に、圧搾、乾燥後、サイズプレスコーターで澱粉を両面での塗布量が5.0g/cmとなるように塗布し、抄紙機に設置された平滑化処理機(マシンカレンダー)で平滑化処理し、坪量70g/cmの原紙を製造した。原紙の王研式平滑度は52秒であった。上記原紙の上に、前記下塗り塗被層用塗被液を片面当たりの乾燥質量が8g/cmとなるようにブレードコーターを使用して両面塗被、乾燥を行なって、下塗り塗被層を設けた。次いで、上記最外塗被層用塗被液を片面当たりの乾燥質量が9g/cmとなるようにブレードコーターを使用して両面塗被、乾燥を行なって、最外塗被層を設けた。このようにして得られた塗工紙を、スーパーカレンダ条件を調整、通紙して、白紙光沢度が73%となる嵩高印刷用塗工紙を得た。
実施例2
以下の多孔性填料Bを使用した以外は実施例1と同様にして、嵩高印刷用塗工紙を得た。原紙の王研式平滑度は54秒であった。
(多孔質填料Bの製造)
水263質量部、硫酸ナトリウム水溶液754質量部(濃度;5%)、ケイ酸ソーダ330質量部(SiO濃度;28.8質量%、NaO濃度;9.5質量%)を撹拌しながら順次添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径が0.6μmになるように調整した炭酸カルシウムの分散液A1.5質量部(濃度;9.5%、炭酸カルシウム形状は紡錘状)を温度50℃において撹拌しながら添加した。次に、硫酸74質量部(濃度;20質量%)を温度50℃のままで、撹拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で硫酸(濃度;20質量%)をpH6.5となるまで撹拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。またろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定、および、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
実施例3
以下の多孔性填料Cを使用した以外は実施例1と同様にして、嵩高印刷用塗工紙を得た。原紙の王研式平滑度は56秒であった。
(多孔質填料Cの合成)
水124質量部、硫酸ナトリウム水溶液754質量部(濃度;5%)、ケイ酸ソーダ330質量部(SiO濃度;28.8質量%、NaO濃度;9.5質量%)を攪拌しながら添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径が0.6μmになるように調整した炭酸カルシウム分散液B280質量部(濃度;15%、炭酸カルシウム形状は紡錘状)を温度50℃において、攪拌しながら添加した。次に、硫酸74質量部(濃度;20質量%)を温度50℃のままで、攪拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で硫酸(濃度;20質量%)をpHが6.5となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを、200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定し、また、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
実施例4
DDR(ダブル・ディスク・リファイナー)で叩解しCSF(カナダスタンダードフリーネス)400mlに調製した広葉樹クラフトパルプA75質量部、DDRで叩解しCSF450mlに調製した針葉樹クラフトパルプB25質量部を混合調製したパルプスラリーに澱粉1.0部(商品名:エースK、王子コンスターチ社製)、硫酸バンドを0.5部、アルキルケテンダイマー0.03部(商品名:SKS296、荒川化学工業社製)、ポリアクリルアマイド0.1%(商品名:PS1250、荒川化学工業社製)、多孔性填料A5.0部、歩留向上剤0.03部(商品名:DR−1500、ハイモ社製)となるように添加してパルプスラリーを調製し、ワイヤーシェイキング装置(Voith社製 商品名:デュオ・シェイク)を稼動して抄紙し後に、圧搾、乾燥後、サイズプレスコーターで澱粉を両面での塗布量が5.0g/mとなるように塗布し、抄紙機に設置された平滑化処理機(マシンカレンダー)で平滑化処理し、坪量70g/m2の原紙を製造した以外は実施例1と同様にして、嵩高印刷用塗工紙を得た。原紙の王研式平滑度は42秒であった。
実施例5
DDR(ダブル・ディスク・リファイナー)で叩解しCSF(カナダスタンダードフリーネス)400mlに調製した広葉樹クラフトパルプA75質量部、DDRで叩解しCSF450mlに調製した針葉樹クラフトパルプB25質量部を混合調製したパルプスラリーに澱粉1.0部(商品名:エースK、王子コンスターチ社製)、硫酸バンドを0.5部、アルキルケテンダイマー0.03部(商品名:SKS296、荒川化学工業社製)、ポリアクリルアマイド0.1%(商品名:PS1250、荒川化学工業社製)、多孔性填料A20部、歩留向上剤0.03部(商品名:DR−1500、ハイモ社製)となるように添加してパルプスラリーを調製し、ワイヤーシェイキング装置(Voith社製 商品名:デュオ・シェイク)を稼動して抄紙し後に、圧搾、乾燥後、サイズプレスコーターで澱粉を両面での塗布量が5.0g/mとなるように塗布し、抄紙機に設置された平滑化処理機(マシンカレンダー)で平滑化処理し、坪量70g/mの原紙を製造した以外は実施例1と同様にして、嵩高印刷用塗工紙を得た。原紙の王研式平滑度は76秒であった。
実施例6
以下、下塗り塗被層用塗被液および最外塗被層用塗被液を使用した以外は実施例1と同様にして、嵩高印刷用塗工紙を得た。原紙の王研式平滑度は52秒であった。
(原紙と接する下塗り塗被層用塗被液の調製)
顔料として、平均粒子径0.8μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、備北粉化工業社製)100%からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:王子エースB、王子コーンスターチ社製)4部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2182−2、粒子径:100nm、日本エイアンドエル社製)9部(いずれも固形分換算)、および消泡剤、染料などの助剤を添加し、最終的に固形分濃度59%の塗被液を調製した。
(最外塗被層用塗被液の調製)
顔料として、平均粒子径0.4μmの微細カオリン(商品名:カオグロス、ヒューバー社製:米国)80%、および平均粒子径0.8μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、備北粉化工業社製)20%からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:王子エースB、前出)2部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2323、粒子径:89nm、日本エイアンドエル社製)12部(いずれも固形分換算)、および消泡剤、染料などの助剤を添加して、最終的には固形分濃度が59%の塗被液を調製した。
実施例7
以下の多孔性填料Dを使用した以外は実施例1と同様にして、嵩高印刷用塗工紙を得た。
原紙の王研式平滑度は39秒であった。
(多孔質填料Dの合成)
水197質量部、硫酸ナトリウム水溶液545質量部(濃度;5%)、ケイ酸ソーダ330質量部(SiO濃度;28.8質量%、NaO濃度;9.5質量%)を攪拌しながら添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径が0.6μmになるように調整した炭酸カルシウム分散液A5.0質量部(濃度;9.5%、)を温度50℃において、攪拌しながら添加した。次に、硫酸59質量部(濃度;20質量%)を温度50℃のままで、攪拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で硫酸(濃度;20質量%)をpHが6.5となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを、200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定し、また、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
実施例8
以下の多孔性填料Eを使用した以外は実施例1と同様にして、嵩高印刷用塗工紙を得た。
原紙の王研式平滑度は63秒であった。
(多孔質填料Eの合成)
水937質量部、硫酸ナトリウム水溶液33質量部(濃度;5%)、ケイ酸ソーダ330質量部(SiO濃度;28.8質量%、NaO濃度;9.5質量%)を攪拌しながら添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径が0.6μmになるように調整した炭酸カルシウム分散液A100質量部(濃度;9.5%、)を温度50℃において、攪拌しながら添加した。次に、硫酸94質量部を温度50℃のままで、攪拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で硫酸(濃度;20質量%)をpHが6.5となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを、200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定し、また、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
実施例9
以下の多孔性填料Fを使用した以外は実施例1と同様にして、嵩高印刷用塗工紙を得た。
原紙の王研式平滑度は63秒であった。
(多孔質填料Fの合成)
水980質量部、硫酸ナトリウム水溶液21質量部(濃度;5%)、ケイ酸ソーダ330質量部(SiO濃度;28.8質量%、NaO濃度;9.5質量%)を攪拌しながら添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径が0.6μmになるように調整した炭酸カルシウム分散液A100質量部(濃度;9.5%、)を温度50℃において、攪拌しながら添加した。次に、硫酸104質量部(濃度;20質量%)を温度50℃のままで、攪拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で硫酸(濃度;20質量%)をpHが5.5となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを、200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定し、また、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
実施例10
以下の多孔性填料Gを使用した以外は実施例1と同様にして、嵩高印刷用塗工紙を得た。原紙の王研式平滑度は55秒であった。
(多孔質填料Gの合成)
水20質量部、硫酸ナトリウム水溶液669質量部(濃度;5%)、ケイ酸ソーダ330質量部(SiO濃度;28.8質量%、NaO濃度;9.5質量%)を攪拌しながら添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径が0.6μmになるように調整した炭酸カルシウム分散液A100質量部(濃度;9.5%、)を温度65℃において、攪拌しながら添加した。次に、硫酸64質量部(濃度;20質量%)を温度65℃のままで、攪拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で硫酸(濃度;20質量%)をpHが5.2となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを、200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定し、また、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
実施例11
以下の多孔性填料Hを使用した以外は実施例1と同様にして、嵩高印刷用塗工紙を得た。原紙の王研式平滑度は54秒であった。
(多孔質填料Hの合成)
水83質量部、硫酸ナトリウム水溶液(濃度;5%)405質量部、ケイ酸ソーダ330質量部(SiO濃度;28.8質量%、NaO濃度;9.5質量%)を攪拌しながら添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径が0.6μmになるように調整した炭酸カルシウム分散液A300質量部(濃度;9.5%、)を温度65℃において、攪拌しながら添加した。次に、硫酸87質量部(濃度;20質量%)を温度65℃のままで、攪拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で硫酸(濃度;20質量%)をpHが6.0となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを、200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定し、また、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
実施例12
以下、最外塗被層用塗被液を使用した以外は実施例1と同様にして、嵩高印刷用塗工紙を得た。原紙の王研式平滑度は52秒であった。
(最外塗被層用塗被液の調製)
顔料として、平均粒子径0.4μmの微細カオリン(商品名:カオグロス、ヒューバー社製:米国)80%、および平均粒子径0.8μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、備北粉化工業社製)20%からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:王子エースB、前出)2部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2323、粒子径:89nm、日本エイアンドエル社製)12部(いずれも固形分換算)、および消泡剤、染料などの助剤を添加して、最終的には固形分濃度が59%の塗被液を調製した。
実施例13
以下、最外塗被層用塗被液を使用した以外は実施例1と同様にして、嵩高印刷用塗工紙を得た。原紙の王研式平滑度は52秒であった。
(最外塗被層用塗被液の調製)
顔料として、平均粒子径0.4μmの微細カオリン(商品名:カオグロス、ヒューバー社製:米国)80%、平均粒子径2.1μmの重質炭酸カルシウム(商品名:B21、王子製紙米子工場自製)10%および平均粒子径1.0μmのサチンホワイト(商品名:サチンホワイトB、前出)10%からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:王子エースB、前出)2部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2323、粒子径:89nm、日本エイアンドエル社製)12部(いずれも固形分換算)、および消泡剤、染料などの助剤を添加して、最終的には固形分濃度が59%の塗被液を調製した。
実施例14
以下、原紙と接する下塗り塗被層用塗被液を使用した以外は実施例1と同様にして、嵩高印刷用塗工紙を得た。原紙の王研式平滑度は52秒であった。
(原紙と接する下塗り塗被層用塗被液の調製)
顔料として、平均粒子径1.3μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ60、備北粉化工業社製)50%、平均粒子径2.1μmの重質炭酸カルシウム(商品名:B21、王子製紙米子工場自製)20%および平均粒子径1.0μmのサチンホワイト(商品名:サチンホワイトB、白石工業社製)30%からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:王子エースB、王子コーンスターチ社製)4部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2182−2、粒子径:100nm、日本エイアンドエル社製)9部(いずれも固形分換算)、および消泡剤、染料などの助剤を添加し、最終的に固形分濃度59%の塗被液を調製した。
実施例15
DDR(ダブル・ディスク・リファイナー)で叩解しCSF(カナダスタンダードフリーネス)400mlに調製した広葉樹クラフトパルプA75質量部、DDRで叩解しCSF450mlに調製した針葉樹クラフトパルプB25質量部を混合調製したパルプスラリーに澱粉1.0部(商品名:エースK、王子コンスターチ社製)、硫酸バンドを0.5部、アルキルケテンダイマー0.03部(商品名:SKS296、荒川化学工業社製)、ポリアクリルアマイド0.1%(商品名:PS1250、荒川化学工業社製)、多孔性填料A10部、歩留向上剤0.03部(商品名:DR−1500、ハイモ社製)となるように添加してパルプスラリーを調製し、ワイヤーシェイキング装置(Voith社製 商品名:デュオ・シェイク)を稼動して抄紙し後に、圧搾、乾燥後、、サイズプレスコーターで澱粉を両面での塗布量が5.0g/m2となるように塗布し、抄紙機に設置された平滑化処理機(マシンカレンダー)で平滑化処理し、坪量70g/mの原紙を製造した。原紙の王研式平滑度は52秒であった。上記原紙の上に、下記塗被層用塗被液を片面当たりの乾燥質量が8g/m2となるようにブレードコーターを使用して両面塗被、乾燥を行なって塗被層を設けた。このようにして得られた塗工紙を、スーパーカレンダ条件を調整、通紙して、白紙光沢度が73%となる嵩高印刷用塗工紙を得た。
(塗被層用塗被液)
顔料として、平均粒子径0.4μmの微細カオリン(商品名:カオグロス、ヒューバー社製:米国)40%、平均粒子径0.8μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、備北粉化工業社製)35%、および平均粒子径1.0μmのサチンホワイト(商品名:サチンホワイトB、前出)25%からなるからなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:王子エースB、前出)2部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2323、粒子径:89nm、日本エイアンドエル社製)12部(いずれも固形分換算)、および消泡剤、染料などの助剤を添加して、最終的には固形分濃度が59%の塗被液を調製した。
実施例16
以下の多孔性填料Kを使用した以外は実施例1と同様にして、嵩高印刷用塗工紙を得た。原紙の王研式平滑度は54秒であった。
(多孔性填料Kの製造)
水263質量部、硫酸ナトリウム水溶液754質量部(濃度;5%)、ケイ酸ソーダ330質量部(SiO濃度;28.8質量%、NaO濃度;9.5質量%)を撹拌しながら順次添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、平均粒子径が0.8μmである微粒カオリン(MGJ、エンゲルハード製)分散液C100質量部(濃度;9.5%、)を温度50℃において撹拌しながら添加した。次に、硫酸74質量部(濃度;20質量%)を温度50℃のままで、撹拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で硫酸(濃度;20質量%)をpH6.5となるまで撹拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュで篩で分離、ろ過し、12質量%の多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。またろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定、および、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
実施例17
以下の多孔性填料Lを使用した以外は実施例1と同様にして、嵩高印刷用塗工紙を得た。原紙の王研式平滑度は52秒であった。
(多孔性填料Lの製造)
水263質量部、硫酸ナトリウム水溶液754質量部(濃度;5%)、ケイ酸ソーダ330質量部(SiO濃度;28.8質量%、NaO濃度;9.5質量%)を撹拌しながら順次添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、平均粒子径が1.2μmである重質炭酸カルシウム(FMT−90、ファイマテック製)分散液D100質量部(濃度;9.5%、)を温度50℃において撹拌しながら添加した。次に、硫酸74質量部(濃度;20質量%)を温度50℃のままで、撹拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で硫酸(濃度;20質量%)をpH6.5となるまで撹拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュで篩で分離、ろ過し、12質量%の多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。またろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定、および、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
実施例18
以下の多孔性填料Mを使用した以外は実施例1と同様にして、嵩高印刷用塗工紙を得た。原紙の王研式平滑度は52秒であった。
(多孔性填料Mの製造)
水263質量部、硫酸ナトリウム水溶液(濃度;5%)754質量部、ケイ酸ソーダ(SiO濃度;28.8質量%、NaO濃度;9.5質量%)330質量部を撹拌しながら順次添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、平均粒子径が1.2μmであるタルク(タルクB、日本タルク製)分散液E(濃度;9.5%、)100質量部を温度50℃において撹拌しながら添加した。次に、硫酸(濃度;20質量%)74質量部を温度50℃のままで、撹拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で硫酸(濃度;20質量%)をpH6.5となるまで撹拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュで篩で分離、ろ過し、12質量%の多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。またろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定、および、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
比較例1
以下の多孔性填料Iを使用した以外は実施例1と同様にして、嵩高印刷用塗工紙を得た。原紙の王研式平滑度は55秒であった。
(多孔質填料Iの合成)
水328質量部、硫酸ナトリウム水溶液387質量部(濃度;5%)、ケイ酸ソーダ330質量部(SiO濃度;28.8質量%、NaO濃度;9.5質量%)を攪拌しながら添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径が0.6μmになるように調整した炭酸カルシウム分散液A0.8質量部(濃度;9.5%、)を温度50℃において、攪拌しながら添加した。次に、硫酸87質量部(濃度;20質量%)を温度50℃のままで、攪拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で硫酸(濃度;20質量%)をpHが6.5となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを、200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表2に示す。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定し、また、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表2に示す。
比較例2
以下の多孔性填料Jを使用した以外は実施例1と同様にして、嵩高印刷用塗工紙を得た。原紙の王研式平滑度は64秒であった。
(多孔質填料Jの合成)
水66質量部、硫酸ナトリウム水溶液754質量部(濃度;5%)、ケイ酸ソーダ330質量部を(SiO濃度;28.8質量%、NaO濃度;9.5質量%)攪拌しながら添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径が0.6μmになるように調整した炭酸カルシウム分散液B370質量部(濃度;15%)を温度50℃において、攪拌しながら添加した。次に、硫酸74質量部(濃度;20質量%)を温度50℃のままで、攪拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で硫酸(濃度;20質量%)をpHが6.5となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを、200メッシュ篩で分離、ろ過し、12質量%の多孔性填料スラリーを得た。多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表2に示す。また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定し、また、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表2に示す。
比較例3
DDR(ダブル・ディスク・リファイナー)で叩解しCSF(カナダスタンダード フリーネス)400mlに調製した広葉樹クラフトパルプA75質量部、DDRで叩解しCSF450mlに調製した針葉樹クラフトパルプB25質量部を混合調製したパルプスラリーに澱粉1.0部(商品名:エースK、王子コンスターチ社製)、硫酸バンドを0.5部、アルキルケテンダイマー0.03部(商品名:SKS296、荒川化学工業社製)、ポリアクリルアマイド0.1%(商品名:PS1250、荒川化学工業社製)、多孔性填料A0.8部、歩留向上剤0.03部(商品名:DR−1500、ハイモ社製)となるように添加してパルプスラリーを調製し、ワイヤーシェイキング装置(Voith社製 商品名:デュオ・シェイク)を稼動して抄紙し後に、圧搾、乾燥後、サイズプレスコーターで澱粉を両面での塗布量が5.0g/m2となるように塗布し、抄紙機に設置された平滑化処理機(マシンカレンダー)で平滑化処理し、坪量70g/m2の原紙を製造した以外は実施例1と同様にして、嵩高印刷用塗工紙を得た。原紙の王研式平滑度は34秒であった。
比較例4
DDR(ダブル・ディスク・リファイナー)で叩解しCSF(カナダスタンダードフリーネス)400mlに調製した広葉樹クラフトパルプA75質量部、DDRで叩解しCSF450mlに調製した針葉樹クラフトパルプB25質量部を混合調製したパルプスラリーに澱粉1.0部(商品名:エースK、王子コンスターチ社製)、硫酸バンドを0.5部、アルキルケテンダイマー0.03部(商品名:SKS296、荒川化学工業社製)、ポリアクリルアマイド0.1%(商品名:PS1250、荒川化学工業社製)、多孔性填料A40部、歩留向上剤0.03部(商品名:DR−1500、ハイモ社製)となるように添加してパルプスラリーを調製し、ワイヤーシェイキング装置(Voith社製 商品名:デュオ・シェイク)を稼動して抄紙し後に、圧搾、乾燥後、サイズプレスコーターで澱粉を両面での塗布量が5.0g/m2となるように塗布し、抄紙機に設置された平滑化処理機(マシンカレンダー)で平滑化処理し、坪量70g/mの原紙を製造した以外は実施例1と同様にして、嵩高印刷用塗工紙を得た。原紙の王研式平滑度は78秒であった。
かくして得られた嵩高印刷用塗工紙について、下記のごとき評価を行ない、得られた結果を表1、表2にまとめて示した。なお本発明における嵩高印刷用塗工紙の測定および評価については、特に記載ない限り、23℃、50RH%の環境下で行った。
(坪量)
JIS P 8124−1998に準拠した。
(緊度)
JIS P 8118−1998に準拠した。
(平滑度)
J.Tappiパルプ試験方法No.5の王研式平滑度試験器法に準じて測定を実施した。
(白紙光沢)
カレンダ処理後の塗工紙について、JIS−P8142に準じて両面を測定し、その平均を求めた。
(内部結合強度)
J.Tappiパルプ試験方法18−2のインターナルボンドテスト法に準じて測定を実施した。
(表面平滑性)
最終のカレンダ仕上げ後の表面平滑性については、目視でも観察して評価した。
5:平滑性が特に優れる。
4:平滑性が優れる。
3:平滑性がやや低いが、実用上問題ない。
2:平滑性が劣り、実用上問題がある。
1:平滑性が著しく劣る。
(印刷適性)
インキ着肉性、および印刷平滑性に関して、RI印刷機にて、印刷インキ(Values−Gタイプ、大日本インキ化学工業社製)を0.1cc使用して印刷を行い、転写したインキ濃度(インキ着肉性)、およびインキの転写均一性(印刷平滑性)を総合的に目視で観察して評価した。
5:印刷適性が特に優れる。
4:印刷適性が優れる。
3:印刷適性がやや劣るが、実用上使用できる。
2:印刷適性が劣り、実用上問題がある。
1:印刷適性が著しく劣る。
(ブランケット汚れ:ブランケットパイリングとも言う。)
各実施例および比較例で得た嵩高印刷用塗工紙について、オフセット印刷機(三菱リソピアLーBT3ー1100)を用いて、1000部印刷を行った後、用紙のブランケットへの貼りつき度合いを目視にて判定した。評価は次の5段階評価で行い、評価が1〜2のものは、実用上問題がある。
〈評価基準〉
5:塗工層の取られが全く発生しない。
4:ごくわずかに塗工層の取られが発生。
3:塗工層の取られは発生するが、実用上問題のないレベル。
2:塗工層の取られが発生し、実用上問題がある。
1:塗工層が全面で取られている。
電子写真方式での印字評価
(裏映り)
各実施例および比較例で得た嵩高印刷用塗工紙について、昭和情報機器社のSR3000、コニカミノルタの連続紙フルカラープリンタCP1275C(非接触フラッシュ定着方式)を用いて、両面印字を行い、裏映り度合い並びにブリスターの発生状況を目視にて判定した。
〈評価基準〉
5:表の画像が全く見えない。
4:表の画像がごくわずかに見られる。
3:表の画像が見えるが、実用上問題のないレベル。
2:表の画像が見えるが、実用上問題がある。
1:表の画像が良く見える。
なお、評価が×は、実用上問題がある。
(ペーパーブリスター)
〈評価基準〉
5:ペーパーブリスターが全く観られない。
4:ペーパーブリスターが僅かに観られる。
3:ペーパーブリスターが僅かに見られるが、実用上問題ない。
2:ペーパーブリスターの発生が観られ、実用上問題がある。
1:ペーパーブリスターが著しく観られる。
なお、評価が×は、実用上問題がある。
Figure 2009209468
Figure 2009209468

Claims (9)

  1. 二酸化ケイ素および/またはケイ酸塩から形成されたケイ素含有粒子と、該ケイ素含有粒子100質量部に対して0.1〜40質量部の耐アルカリ性微小粒子とを凝集させた多孔性填料を、紙中填料率として1〜30質量%含有する原紙の少なくとも一面に、顔料と接着剤を主成分とする一層以上の塗被層を設け、かつ内部結合強度(J.TAPPI No18−2)が350J/m以上であることを特徴とする嵩高印刷用塗工紙。
  2. 前記多孔性填料の、比表面積が20〜250m2/g、細孔径が0.08〜0.80μmであることを特徴とする請求項1に記載の嵩高印刷用塗工紙。
  3. 前記多孔性填料の平均粒子径が40μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の嵩高印刷用塗工紙。
  4. 前記原紙の密度が0.65g/cm以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の嵩高印刷用塗工紙。
  5. 前記塗被層が、二層以上積層して構成され、その原紙と接する下塗り塗被層中において、各種顔料の平均粒子径(X線透過式粒度分布測定)が、0.1〜1.3μmの範囲にあって、該全顔料100質量部中、サチンホワイト1〜30質量部を含み、かつ接着剤を、全顔料100質量部に対して10〜20質量部配合し、かつ該接着剤のうち、水溶性接着剤が、全顔料100質量部に対して4質量部以下となるように含有させたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の嵩高印刷用塗工紙。
  6. 前記塗被層の最外塗被層中において、各種顔料の平均粒子径(X線透過式粒度分布測定)が、0.1〜1.3μmの範囲にあって、かつ接着剤を、全顔料100質量部に対して10〜20質量部配合し、かつ該接着剤のうち、水溶性接着剤が、全顔料100質量部に対し、4質量部以下となるように含有させたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の嵩高印刷用塗工紙。
  7. 前記最外塗被層において、該全顔料100質量部中、サチンホワイト1〜30質量部を含有することを特徴とする請求項6に記載の嵩高印刷用塗工紙。
  8. 前記印刷用塗工紙の緊度が0.95g/cm以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載の嵩高印刷用塗工紙。
  9. 二層以上積層して構成される前記塗被層の総塗工量が、片面あたり7〜20g/mである請求項1〜8のいずれか一項に記載の嵩高印刷用塗工紙。
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JP2015074858A (ja) * 2013-10-11 2015-04-20 王子ホールディングス株式会社 塗工白板紙
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