JP5313545B2 - 多層塗り嵩高塗工紙 - Google Patents

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Description

本発明は、塗工紙に関するものである。より詳しくは、低塗工量でありながら印刷適性に優れた、多層塗り嵩高塗工紙に関するものである。
近年、ビジュアル化の進展により、オフセット印刷やグラビア印刷などのフルカラーによる高精細な印刷が可能な印刷用紙の要求が高くなり、高精細な印刷物を得るために、原紙の表面及び/又は裏面に塗工液を塗工して、塗工層を形成した塗工紙のニーズが高まっている。
塗工紙は、塗工液の塗工量や塗工層表面の平坦化処理の度合い、要求品質に応じて、アート紙(A1グレード)、塗工紙(A2グレード)、軽量塗工紙(A3グレード)、微塗工紙に分類される。A1グレードの塗工紙は、高級美術書や、雑誌の表紙、口絵、カレンダー、ポスター、カタログ、パンフレット、ラベル、煙草包装用等、特に高精細な印刷を要求されるものに使用され、A2、A3グレードの塗工紙や微塗工紙は、チラシ等の商業印刷等に利用されている。また、近年の環境保全の取り組みから、用紙には軽量化も求められており、商業印刷物は、より嵩高なA3グレードの軽量塗工紙や微塗工紙が好適に使用されている。
特許文献1には、2層の塗工層が形成された塗工紙であって、前記塗工層のうち、原紙に近い側の塗工層(下塗り塗工層)が、水溶性高分子であり、最表層の塗工層(上塗り塗工層)が顔料を主体とする塗工層である塗工紙の製造方法が開示されている。しかし上記場合には、上塗り後の平坦性が低いため、平坦性を向上させるためにカレンダー処理を高ニップ圧で行うと、塗工紙が潰れて嵩が低くなる問題があり、逆に嵩を出すために低ニップ条件で仕上げると、十分な平坦性が得られない問題があった。
また、特許文献2には、顔料および接着剤を主成分とする塗工層を2層設けた塗工紙が開示されているが、顔料塗工層を2層塗工すると、下塗り塗工層と上塗り塗工層の塗工量の合計が多くなり、平坦性は向上するが、嵩高な塗工紙は得られない問題がある。
このため上記のような製法では、上塗り塗工層及び下塗り塗工層のいずれにおいても、塗工量を低減すると印刷適性が低下するため、印刷適性を維持しつつ嵩高で平坦性が高い塗工紙は得られなかった。
また、特許文献3や特許文献4には、塗工顔料として有機顔料を使用した電子写真用転写紙が開示されており、一般の無機顔料を使用した塗工紙よりも軽量で、かつ印刷適性に優れた塗工紙が得られるとしているが、有機顔料は高価であること及び塗料の高濃度化が難しく、均一な塗工性を得られず、また、カレンダーとの粘着性が向上し、カレンダーロール汚れのトラブルが起こりやすくなることから、充分に印刷適性が高い塗工紙とはなっていない。
このように、上記一般の塗工紙の製造方法では、例えば下塗り塗工量が片面あたり5g/m2以下と軽量でありながら、嵩高であり、充分なオフセット印刷適性やグラビア印刷などのフルカラー印刷適性を有する塗工紙は得られていなかった。
尚、本発明でいう嵩高とは、塗工紙の密度が1.2g/cm3以下、好ましくは1.1g/cm3以下、更に好ましくは1.0g/cm3以下の塗工紙を指す。
特開2007−031925号公報 特許3257720号公報 特開2007−009361号公報 特開平05−241366号公報
本発明が解決しようとする主たる課題は、下塗り塗工量が片面あたり5g/m2以下でありながら、オフセット印刷適性やグラビア印刷適性などのフルカラー印刷適性に優れた嵩高塗工紙を提供することにある。
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
原紙の少なくとも片面に、少なくとも2層の塗工層が形成された塗工紙であって、
前記塗工層のうち、原紙に接する塗工層は水溶性高分子及びコールターカウンター法による粒子径10〜30μmの顔料(大粒径顔料)を20〜60質量%、コールターカウンター法による粒子径0.1〜2.0μmの顔料(小粒径顔料)を40〜80質量%含む無機顔料を含み、
前記水溶性高分子100質量部に対する前記無機顔料の割合が乾燥質量で1質量部以上100質量部以下であり、
前記大粒径顔料はアスペクト比3〜10の高扁平顔料であり
かつ前記原紙に接する塗工層の片面当たりの塗工量が5g/m2以下である、
ことを特徴とする多層塗り嵩高塗工紙。
〔請求項2記載の発明〕
前記顔料が、製紙スラッジ由来の再生粒子である、
請求項1に記載の多層塗り嵩高塗工紙。
〔請求項記載の発明〕
前記水溶性高分子が、澱粉及び澱粉誘導体の少なくとも一方である、
請求項1又は請求項2記載の多層塗り嵩高塗工紙。
〔請求項記載の発明〕
前記原紙に接する塗工層が、保水性を有する高分子化合物を含む、
請求項1〜のいずれか1項に記載の多層塗り嵩高塗工紙。
〔請求項記載の発明〕
前記保水性を有する高分子化合物が、メタクリル酸−アクリル酸共重合体を主成分とする樹脂である、
請求項記載の多層塗り嵩高塗工紙。
〔請求項記載の発明〕
前記顔料が、脱墨フロス由来の再生粒子凝集体である、
請求項1〜のいずれか1項に記載の多層塗り嵩高塗工紙。
〔請求項記載の発明〕
JIS P 8142:2005に記載の「紙及び板紙−75度鏡面光沢度の測定方法」に準拠して測定した白紙光沢度が、20〜40%である、
請求項1〜のいずれか1項に記載の多層塗り嵩高塗工紙。
本発明によると、下塗り塗工量が片面あたり5g/m2以下でありながら、オフセット印刷適性やグラビア印刷適性などのフルカラー印刷適性に優れた嵩高塗工紙となる。
次に、本発明の実施の形態を説明する。
本形態の塗工紙は、少なくとも2層の塗工層を有する塗工紙において、前記塗工層のうち、原紙に接する塗工層(下塗り塗工層)に、水溶性高分子及び無機顔料を含み、かつ下塗り塗工層の片面当たりの塗工量を5g/m2以下とされた塗工層が形成されたものであるため、印刷適性と嵩高性に優れた塗工紙となる。
〔原紙〕
本形態の原紙は、パルプ繊維を主成分とする。このパルプ繊維の原料である原料パルプの種類は特に限定されず、一般に製紙用途で使用されているものを例示することができる。具体的には、例えば、化学パルプ、機械パルプ、古紙パルプ等が好適に例示される。
化学パルプとしては、例えば、未晒針葉樹パルプ(NUKP)、未晒広葉樹パルプ(LUKP)、晒針葉樹パルプ(NBKP)、晒広葉樹パルプ(LBKP)等が例示され、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
機械パルプとしては、例えば、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)等が例示され、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
古紙パルプとしては、例えば、茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ、離解・脱墨・漂白古紙パルプ等が例示され、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
また、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプなどを使用しても良い。
本形態においては、前記原料パルプを混合して抄紙原料(紙料スラリー)を調製するが、当該原料パルプには、例えば、内添填料、内添サイズ剤、紙力増強剤、紙厚向上剤、歩留向上剤等の、通常塗工紙に配合される種々の添加剤を、その種類及び配合量を適宜調整して内添することができる。
前記抄紙原料(原料パルプ)を抄造して原紙を製造する際に使用することができる抄紙設備は特に限定がないが、より軽量な軽量塗工紙を得るには、以下の装置を組み合わせた設備を用いることが好ましい。
まず、ワイヤーパートとしては、長網フォーマや、長網フォーマにオントップフォーマを組み合わせたもの、あるいはツインワイヤーフォーマ等、特に限定されないが、ヘッドボックスから噴出された紙料ジェットを2枚のワイヤーで直ちに挟み込むギャップタイプのギャップフォーマが、地合を崩さずに脱水するので、湿紙の密度ムラが生じ難く、均一な嵩高性を有する塗工紙が得られるため、断紙が発生し難い点から好ましい。
このワイヤーパートでの紙層はプレスパートに移行され、さらに脱水が行われる。プレス機としては、ストレートスルー型、インバー型、リバース型のいずれであってもよく、またこれらの組み合わせも使用することができるが、オープンドローをなくしたストレートスルー型が、紙を保持しやすく、断紙等の操業トラブルが少ない点で好ましい。脱水方式としては、通常行われているサクションロール方式やグルーブドプレス方式等を採用することができるが、シュープレスは脱水性のみならず、平滑性を向上させることが可能な点で、必要以上に線圧を高めることなく脱水でき、より嵩高であり、紙の引張強度および引裂強度の低下、断紙の発生を防止できるため、より好ましい。
プレスパートを通った湿紙は、シングルデッキ方式のプレドライヤーパートに移行し、乾燥される。プレドライヤーパートは、紙の引張強度および引裂強度の低下なしで高効率に乾燥を行うことが可能なノーオープンドロー形式のシングルデッキドライヤーが、より嵩高な塗工紙が得られるため好ましい。ダブルデッキ方式にて乾燥することも可能であるが、キャンバスマーク、断紙、シワ、嵩、紙継ぎ等の操業性の面で、シングルデッキ方式と比較して劣るため、シングルデッキ方式を採用することが好ましい。
前記のごとく、ギャップフォーマからなるワイヤーパート、オープンドローをなくしたストレートスルー型のプレスパート及びシングルデッキドライヤーからなるプレドライヤーパートを組み合わせると、より軽量な軽量塗工紙においても、嵩高性に由来する紙の引張強度および引裂強度低下が少なく、断紙が発生し難い点から、特に好ましい。
このように、ワイヤーパート及びプレスパートにおいて前記システムを採用した場合には、原料パルプの種類及び配合割合、嵩高に起因する紙の引張強度および引裂強度の低下が発生しても、断紙する恐れがなく、生産性の低下を極力抑えた塗工紙が得られるという利点がある。
原紙の坪量には特に限定がないが、目的とする塗工紙の、JIS P 8124:1998に記載の「紙及び板紙−坪量測定方法」に準拠して測定した坪量が、30〜80g/m2であるのが好ましいことを考慮して、原紙の坪量は、15〜79g/m2となるように調整することが好ましい。なお、目的とする塗工紙の坪量が30g/m2未満では、紙の引張強度および引裂強度が低く、例えば商業印刷用途に使用することが困難になる恐れがあり、逆に、塗工紙の坪量が80g/m2よりも大きい場合は、軽量塗工紙とは言えないものとなる。
〔下塗り塗工層〕
本形態では、かくして得られる原紙の少なくとも片面(片面又は両面)に塗工層が少なくとも2層形成され、原紙に接する塗工層(下塗り塗工層)は、前記水溶性高分子に対する無機顔料の割合が乾燥質量で1質量%以上100質量%以下に抑えられている(つまり、顔料の配合量が、水溶性高分子の配合量と同量か、少量とされている。)。
この点、従来の顔料塗工紙においては、下塗り塗工層に顔料を配合していないため、印刷適性に劣っていたり、(前述特許文献1参照)、下塗り塗工層として顔料100質量部に対して、接着剤がおおよそ70質量部以下とされており(前述特許文献2参照)、嵩高な塗工紙ではなかった。また、電子写真用転写紙では、オフセット印刷適性やグラビア印刷適性などのフルカラー印刷適性が得られなかった。
本形態においては、水溶性高分子対して、顔料を1〜100質量%(水溶性高分子100質量部に対して顔料1〜100質量部)、好ましくは10〜80質量%の割合で混合することにより、顔料由来の塗工層密度の上昇を抑制できるため、塗工紙の軽量化が図れ、また、水溶性高分子のみならず顔料を塗工層に一部含んでいるため、印刷適性をも向上することができる。顔料の割合が1質量%を下回ると、塗工層の平坦性に劣り印刷適性が低下する。顔料の割合が100質量%を超過すると、水溶性高分子由来の手肉感が低下する。
水溶性高分子化合物としては、例えば、酸化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉(HES)、アセチル化酸化澱粉(AOS)、酵素変性澱粉等の澱粉、ポリアクリルアミド(PAM)等の、下塗り塗工剤として通常使用されるものを、それぞれ単独で又は2種以上を混合して使用することができる。なお、下塗り塗工剤とは、上記水溶性高分子および顔料を主成分とする塗工液をいう。
顔料および接着剤を主成分とする従来の顔料塗料は、濃度が約60質量%であるのに対して、本形態の塗料は、濃度が10〜30質量%と低く、原紙に塗料が沈み込みやすい傾向があり、塗工層表面の平坦化が得られにくく、印刷適性が低下しやすい問題があった。
このことから、水溶性高分子においては、原紙に沈み込まず、表面に留まり易い澱粉及び澱粉誘導体の少なくとも一方を使用することが好ましい。特に本形態においては、水溶性高分子に対して顔料が少ないため、水溶性高分子の沈み込みに比例して顔料も沈み込みやすくなり、印刷適性が更に低下する問題がある。水溶性高分子としてPAMを使用すると、得られる塗工紙の手肉感が高く、紙の腰が向上する利点があるが、PAMは澱粉と比べて原紙に沈み込みやすいため、用紙の平坦化効果が低い。
本形態の下塗り塗工層に用いる顔料は、製紙用途で一般に使用しているものであれば特に限定がなく、例えば、カオリンクレー、重質炭酸カルシウム、タルク、サチンホワイト、亜硫酸カルシウム、石膏、硫酸バリウム、ホワイトカーボン、焼成カオリン、構造化カオリン、珪藻土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベントナイト、セリサイト等の無機顔料を使用することができ、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
本形態においては、ポリスチレン樹脂微粒子、尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子、多孔質微粒子等の有機顔料も併用することができるが、高価であること、下塗り塗工剤の濃度が低下し、均一な塗工が得られないなどの問題があることから、含有しないことが好ましく、含有しても水溶性高分子に対して、5質量%以下とすることが好ましい。
顔料は、大粒径顔料を用いると、水溶性高分子の原紙への沈み込みに対する抵抗が大きく、原紙表面に留まりやすいとの利点がある。この点から、本形態の顔料は、粒子径10〜30μm、好ましくは10〜20μmの顔料(大粒径顔料)が、顔料全体の20〜60質量%、好ましくは40〜60質量%であると、好適なものとなる。粒子径が10μm未満の顔料は、原紙に沈み込みやすいため、他方、粒子径が30μmを上回る顔料は、塗工層表面の平坦性を低下させるため、いずれも印刷適性が低下するおそれがある。また、大粒径顔料の配合量が20質量%未満であると沈み込みが発生しやすく他方、大粒径顔料の配合量が60質量%を超えると塗工層表面の平坦化効果が低くなり、いずれも印刷適性が低下するため好ましくない。
また、上記大粒径顔料としては、アスペクト比が3〜10と高扁平顔料が、特に原紙への沈み込み防止効果が高く、かつ、原紙の被覆性が良好であるため印刷適性の向上効果も高くなることから、好ましい。
一方、上記のごとく大粒径顔料の配合量を20〜60質量%とした場合においては、塗工層表面の平坦化効果が高く、印刷適性は向上するものの、完全ではなく印刷物に若干の印刷ムラがあり、改善の余地があることが判った。そこで発明者等は鋭意検討を重ねた結果、大粒径顔料の配合量を上記範囲とするほか、粒子径0.1〜2.0μm、好ましくは0.5〜1.5μmの顔料(小粒径顔料)を、顔料全体の40〜80質量%、好ましくは40〜60質量%となるように配合すると、若干の印刷ムラをも解消することができることを見出した。この点、大粒径顔料の配合量が上記範囲であると、原紙への沈み込みが少なく被覆性が良好であるため原紙の平坦化効果が高いが、塗工層表面が大粒径顔料のみで覆われると、大粒径顔料由来の粗さを改善することができない。そこで、大粒径顔料由来の粗さを改善するために、より粒子径の小さい小粒径顔料を上記範囲内の配合量で併用することで、大粒径顔料由来の被覆性と、小粒子径顔料由来の更なる平坦性の向上効果が得られるのである。
ここで、粒子径が0.1μm未満の顔料は、原紙に沈み込みやすいため、他方、粒子径が2.0μmを上回る顔料は、塗工層表面の平坦化効果が低いため、いずれも印刷適性を十分に向上させることができないおそれがある。また、小粒径顔料の配合量が40質量%未満であると平滑性の改善ができず、印刷適性が低下し、他方、小粒径顔料の配合量が80質量%を超えると、顔料の沈み込みが発生しやすく、印刷適性が低下する。
なお、大粒径顔料及び小粒径顔料の配合割合は、乾燥質量比で2:8〜6:4が好ましく、4:6〜6:4が特に好ましい。小粒径顔料の割合が2:8を超えても、原紙に沈み込む小粒径顔料が多くなるだけで、印刷適性の向上には繋がらないおそれがある。他方、小粒径顔料の割合が6:4を下回ると、小粒径顔料由来の印刷適性改善効果が得られにくくなる。
また、顔料として、製紙スラッジから再生して得られた再生粒子、脱墨フロスから再生した再生粒子凝集体、シリカ被覆再生粒子凝集体を用いると、顔料由来の嵩高効果が高く、得られる塗工紙の嵩が向上する(密度が低下する)だけでなく、原紙への沈み込み防止効果も得られるため好ましい。再生粒子は、一般の顔料と異なり、粒子の形状が不定形であり、嵩高な顔料となっており、その不定形ゆえに水溶性高分子の原紙への沈み込みに対する抵抗が大きく、原紙表面に留まりやすい。再生粒子、再生粒子凝集体、シリカ被覆再生粒子凝集体は、大粒径顔料及び小粒径顔料のいずれとして使用しても良いが、その両方に使用することが好ましい。
ここで、再生粒子、再生粒子凝集体、及び、シリカ被覆再生粒子凝集体の製造方法について説明する。
a)製紙スラッジ由来の再生粒子
製紙スラッジ由来の再生粒子(製紙スラッジを焼却して得られた焼却灰を粉砕した白色顔料)としては、例えば、特開2002−167523号公報に記載のものを使用することができる。具体的には、例えば、製紙スラッジを直径3〜10mmの紐状に押出成形し、長さ8〜10cmにカットし、次いでロータリーキルンで500〜1000℃で焼却し、この焼却により得た焼却灰を乾式粉砕、湿式粉砕の順で粉砕して得た、平均粒径0.1〜40μmの白色顔料を使用することができる。製紙スラッジ由来の再生粒子の品質としては、例えば、白色度(粉体白色度計((株)ケット科学研究所製、形式C−100))が60%以上であり、硬度(プラスチックワイヤー摩耗度(日本フィルコン製、3時間))が100mg未満のものを使用することができる。
b)脱墨フロス由来の再生粒子凝集体
脱墨フロス由来の再生粒子(古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とする製紙スラッジを脱水、乾燥、焼成及び粉砕工程を経ることにより得られ、焼成工程で凝集させ、粒子中にカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの3成分を含有する再生粒子)としては、例えば、特開2007−99613号公報や、特開2007−100262号公報に記載のものを使用することができる。具体的には、例えば、水分率95〜98質量%程度の脱墨フロスに凝集剤を加え、50〜60質量%程度まで脱水して、脱水物を熱風乾燥・分級した後、450〜650℃の範囲で、未燃率が10質量%以上、15質量%未満となるよう焼成して凝集させる。焼成した無機粒子凝集体を、一次粒子が平均粒子径0.01〜0.1μm、この一次粒子が凝集した二次粒子が平均粒子径0.1〜40μmとなるよう粉砕して得られた白色顔料を使用することができる。脱墨フロス由来の再生粒子の品質としては、例えば、吸油量が30〜100ml/100gである。また、コールターカウンター法による粒度分布の微分曲線における平均粒子径のピーク高さを30%以上に調整し、さらには原料スラッジ中のカルシウム、シリカ及びアルミニウムを、酸化物換算で30〜82:9〜35:9〜35の質量割合に調整することで、無機粒子凝集体の細孔容積を0.15〜0.60cc/g、細孔表面積を10〜25m2/g、細孔半径を300〜1000オングストロームに調整した白色顔料を使用することもできる。
填料の品質においては、製紙スラッジ由来の再生粒子よりも脱墨フロス由来の再生粒子の方が好ましい。製紙スラッジには脱墨フロス以外に、製紙排液を処理した汚泥や重量異物が含まれるため、焼成ムラが発生し易く、均一に焼成できず、未焼成や過焼成による異物が発生して、得られる塗工紙の夾雑物の増加や、不透明度の低下が発生し易くなる。
再生粒子は、製紙スラッジ又は脱墨フロスを焼成して得られる循環使用が可能なものであるので、廃棄物としての埋立等の処分が不要であり、環境負荷の低減と、省資源化に大きく貢献するものである。また、原料が古紙処理工程で生じる製紙スラッジ又は脱墨フロスであるので、安価であり、新たな天然無機鉱物の使用量を抑えることができ、製造コストが充分に削減されるという利点がある。
c)シリカ被覆再生粒子
シリカ被覆再生粒子としては、例えば、特開2007−146354号公報や、特開2007−186800号公報に記載のものを使用することができる。具体的には、例えば、水分率95〜98%に脱水した脱墨フロスを、更に40%〜70%に脱水した後、100〜200℃の熱風で、水分率が2〜20質量%となるように乾燥する。乾燥物は、粒子径355〜2000μmのものが70質量%以上となるように調整する。乾燥物は510〜750℃の範囲で焼成して凝集させ、未燃分を調整した後、微細粒化し、一次粒子が平均粒子径0.01〜0.1μm、この一次粒子が凝集した二次粒子が平均粒子径0.1〜40μmとなるよう調整し、再生粒子凝集体を得る。この再生粒子凝集体は、コールターカウンター法による粒度分布の微分曲線における平均粒子径のピーク高さを30%以上に調整し、さらには脱墨フロス中のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、酸化物換算で30〜82:9〜35:9〜35の質量割合に調整することで、無機粒子凝集体の細孔容積を0.15〜0.60cc/g、細孔表面積を10〜25m2/g、細孔半径を300〜1000オングストロームに調整した白色顔料とすることが好ましい。この再生粒子凝集体を珪酸アルカリ水溶液に添加・分散しスラリーを調製した後に加熱攪拌しながら、液温70〜100℃で硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸の希釈液を添加し、シリカゾルを生成させ、最終反応液のPHを8.0〜11.0の範囲に調整することにより、再生粒子凝集体表面に粒子径10〜20nmのシリカゾル粒子を生成させて得られた白色顔料を使用できる。このシリカ被覆再生粒子は、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、酸化物換算で30〜62:29〜55:9〜35の質量割合とすることで、シリカ析出効果による吸油性、不透明性を向上させることができる。シリカ被覆再生粒子の品質としては、例えば、吸油量が30〜100ml/100gである。
シリカ被覆再生粒子は、湿式粉砕機等公知の粉砕機で、平均粒子径を0.1〜40μmに調整することが好ましく、粒子径が0.1〜40μmの割合を少なくとも80%以上にすることがより好ましい。平均粒子径が0.1μmを下回ると、顔料が原紙に沈み込み易く、印刷適性が低下するため好ましくない。
シリカ被覆再生粒子は、循環使用における古紙処理工程において、水酸化ナトリウムと反応させて緩衝剤や漂白助剤として製紙用原料、再生粒子の循環使用にも寄与させることができる。また、かかるシリカ被覆再生粒子を顔料として使用した場合には、シリカで被覆していない再生粒子を用いた場合よりもさらに、印刷適性、手肉感、インク乾燥性、インク吸収ムラ、嵩高性といった効果をより向上させることができる。
以上のように、顔料の配合量が、水溶性高分子の配合量と同量か、少量とされた塗料を下塗り塗工層に用いることで、塗工量が少なくても印刷適性に優れる塗工紙が得られる。特に、水溶性高分子として澱粉及び澱粉誘導体の少なくとも一方を使用し、大粒径顔料の配合量を上記範囲とするのが好ましく、小粒径顔料の配合量を上記範囲とするのがより好ましく、顔料として製紙スラッジから再生した再生粒子、脱墨フロスから再生した再生粒子凝集体、シリカ被覆再生粒子凝集体を使用することが、特に好ましい。
本形態においては、上記構成以外にも、塗料の沈み込みを更に防止するために、塗料に増粘効果を付与できる保水剤(保水性を有する高分子化合物)を併用することが好ましい。
保水剤としては、従来一般に製紙用途で使用されているものを使用することができる。例えば、澱粉系、セルロース系、ヒアルロン酸系、ポリビニルアルコール系、アクリル系、アクリルアミド系のいずれをも使用することができる。この中でも、粘度を向上させ塗料の原紙への沈み込みを防止する効果が高い、セルロース系、アクリル系を用いることが好ましい。さらには、カルボキシメチルセルロースまたはアクリル酸共重合体を用いることがより好ましく、特にアクリル酸とメタクリル酸の共重合体が、後述するフィルム転写型ロールコーターにおいて、塗料の沈み込みを防止する効果が高く、低塗工量においても印刷適性の向上効果が高いため好ましい。
保水剤の含有量は、水溶性高分子に対して0.1〜1.0質量%が好ましく、0.3〜0.7質量%がより好ましい。0.1質量%を下回ると、塗料の沈み込みが多くなるため、他方、1.0質量%を上回ると、増粘しすぎて塗工層が均一にならないため、いずれも印刷適性が低下するおそれがある。
上記の如く、水溶性高分子を主体とする塗工層に、前記の粒径特性を有する顔料を組み合わせて使用することで、印刷適性の向上効果が高くなるが、さらに、前記の保水剤を併用することで、原紙への塗料の沈み込みをさらに防止でき、印刷適性の向上効果が特に高くなる。
なお、前記水溶性高分子化合物、顔料、保水剤の他にも、例えば、耐水化や表面強度向上を目的とした紙力増強剤、サイズ性付与を目的とした外添サイズ剤等を適宜配合することができる。
塗料を調製する方法には特に限定がなく、水溶性高分子化合物、顔料、保水剤や、必要に応じて紙力増強剤、外添サイズ剤等の各種助剤の配合割合を適宜調整し、適切な温度にて均一な組成となるように撹拌混合すればよい。また、塗料の固形分濃度は特に限定されるものではなく、塗工量や塗工速度といった塗工条件に応じて適宜調整することが好ましい。
前記水溶性高分子化合物を主成分とする塗料は、例えば、2ロールサイズプレスコーターやゲートロールコーター(GR)、ブレードメタリングサイズプレスコーター、ロッドメタリングサイズプレスコーター(RMSP)、シムサイザー、JFサイザー等のフィルム転写型ロールコーター等の塗工機によって、原紙の少なくとも片面に下塗り塗工することができる。特に、より被覆性が良好なフィルム転写型ロールコーター(ロッドメタリングサイズプレスコーター、シムサイザー、JFサイザー)を用いると、より低塗工量で被覆性が高いため印刷適性が高く、より軽量な塗工紙を得られるため好ましい。
前記下塗り塗工層は、塗料を、片面あたり0.1g/m2以上、さらには0.3g/m2以上、特に0.5g/m2以上の塗工量で塗工して形成されることが好ましく、また片面あたり5.0g/m2以下、さらには3.0g/m2以下、特に1.0g/m2以下の塗工量で塗工して形成されることが好ましい。塗工量が0.1g/m2未満では、原紙表面の被覆性が悪く、白紙光沢度や印刷適性が低下する恐れがあり、逆に塗工量が5.0g/m2を超えると、塗工液の高濃度化が必要となり、粘度上昇により均一な塗工が困難となる恐れがあり、印刷品質が低下するため好ましくない。また、塗工量が5.0g/m2を超えると、緊度が低下して手肉感を損なう。
こうして得られた下塗り塗工紙は、必要に応じてカレンダー処理等の平坦化を施すことができる。カレンダーの線圧は、得られる塗工紙の手肉感の低下を防止することを考慮して、10〜50kN/m、さらには20〜30kN/mであることが好ましい。プレカレンダーでの線圧が10kN/mを下回ると平坦化効果が低く、印刷適性が低下する恐れがあり、逆に50kN/mを超えると、平坦化効果が頭打ちになるだけでなく、引張強度や引裂強度、嵩高性が低下する可能性がある。
また、平坦化処理の処理温度(ロール温度)は、50〜90℃、さらには60〜90℃であることが好ましい。処理温度が50℃を下回ると平坦化効果が低くなり、逆に90℃を超えると、繊維焼けが発生し、白色度が低下するだけでなく、繊維が傷みやすく、引張強度や引裂強度が低下するため好ましくない。
上記の如く、塗工液の組成に加えて、フィルム転写型ロールコーターを用い、適切な塗工量を塗布し、適切なカレンダー条件で平坦化することで、後述する上塗り層の塗工量が少なくても、印刷適性が高い塗工紙が得られる。
前記のようにして得られた下塗り塗工紙には、更に上塗り塗工層として、顔料および接着剤からなる塗工層を設ける。
上塗り塗工を行う前に、前述のカレンダー処理(プレカレンダー処理)が施されることが好ましい。プレカレンダー処理により、下塗り塗工層の表面を平坦化できるだけでなく、上塗り塗工層表面の平坦性を向上できる利点があり、より低塗工量であっても印刷適性が良好となり、カレンダーのニップ圧を低減できるため、嵩高な塗工紙が得られる。
次に、前記下塗り塗工層が形成され、好ましくはプレカレンダーにて平坦化処理が施された原紙の片面又は両面に、顔料と接着剤とを主成分とする上塗り塗工剤を塗工し、顔料塗工層を形成する。
本形態においては、上塗り塗工層の顔料として、カオリンクレーと重質炭酸カルシウムとが、10:90以上、さらには20:80以上(カオリンクレー:重質炭酸カルシウム(質量比))の割合で含まれることが好ましく、また60:40以下、さらには50:50以下(カオリンクレー:重質炭酸カルシウム(質量比))の割合で含まれることが好ましい。カオリンクレーの割合が前記下限値を下回ると、塗工層の平坦性が出難く、逆にカオリンクレーの割合が前記上限値を上回ると、塗料粘度が上がり、固形分を下げる必要があるため、印刷品質を損なう。
なお、例えば前記のごとき割合でカオリンクレーと重質炭酸カルシウムとを顔料として配合した場合、後述する平坦化処理の条件により、グロス調、ダル調及びマット調の塗工紙のいずれをも得ることができる。しかしながら、グロス調の塗工紙であれば、充分に平坦化することで目標の光沢度および印刷適性を得ることができるが、マット調およびダル調塗工紙においては、平坦化しすぎると光沢が出すぎて、マット調およびダル調塗工紙の光沢の範囲から外れる問題がある。そのためマット調およびダル調、特にダル調塗工紙においては、必要以上の平坦化を行わずに印刷品質を向上させるために高塗工量にしており、嵩高塗工紙が得られにくい傾向にある。本発明は、これら従来のマット調およびダル調塗工紙と比べて、低塗工量でも高い印刷品質が得られるため、特に好ましい。
グロス調塗工紙においては、白紙光沢度を高くする必要があるため高ニップ圧で平坦化する必要があり、手肉感の低下が大きくなり易い。これに対してダル調塗工紙においては、グロス調塗工紙と比べて低ニップ圧で平坦化処理するため手肉感があり、かつ、白紙光沢度が低いため印刷情報の視認性に優れている。
また、マット調塗工紙においては、低ニップ圧で平坦化するため、紙表面の平滑性が低く、印刷適性が低くなり、見栄えのよい紙となり難い。これに対してダル調塗工紙の場合、適度なニップ圧で平坦化することで、嵩高性を維持したまま塗工層表面の平滑性を高くできるため、マット調のような印刷適性の低下や印刷ムラが起こらず、高級印刷物に好適な塗工紙となるという利点がある。したがって、ダル調塗工紙は、グロス調塗工紙及びマット調塗工紙の弱点を補完した、高級感のある塗工紙である。
なお、本明細書においてダル調塗工紙とは、JIS P 8142:2005に記載の「紙及び板紙−75度鏡面光沢度の測定方法」に準拠して測定した白紙光沢度が20〜40%の塗工紙をいう。
顔料と共に上塗り塗工剤に配合される接着剤の種類には特に限定がないが、例えば、カゼイン、大豆蛋白等の蛋白質類;スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレン−メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス等の共役ジエン系ラテックス、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの重合体ラテックス若しくは共重合体ラテックス等のアクリル系ラテックス、エチレン−酢酸ビニル重合体ラテックス等のビニル系ラテックス、あるいはこれらの各種共重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単量体で変性したアルカリ部分溶解性又は非溶解性のラテックス等のラテックス類;ポリビニルアルコール、オレフィン−無水マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂等の合成樹脂系接着剤;酸化澱粉、陽性化澱粉、エステル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体等の、通常の塗工紙に用いられる接着剤が例示され、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
これらの接着剤の中でも、ラテックス類と澱粉類とを併用すると、カラーの粘度が向上するため、後述するフィルム転写型ロールコーターを用いた場合、上塗り塗料の転写性が高くなるため好ましい。また、澱粉を加えることで、紙の腰を向上させる効果があり、手肉感の低下を最小限に抑えることができる。特に、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスと酸化澱粉とを併用すると、ラテックスの成膜性由来の印刷適性の向上効果と、酸化澱粉由来の手肉感の向上効果の相乗効果が得られ、特に手肉感と印刷品質に優れた塗工紙が得られる。
ラテックス類と澱粉類とを併用する場合、両者の割合(ラテックス類:澱粉類(質量比))が、4:1以上、さらには3:1以上となるように調整することが好ましく、また2:1以下となるように調整することが好ましい。澱粉類の割合が前記下限値を下回ると、後述するフィルム転写型ロールコーターでの上塗り塗料の転写性が悪化し、逆に澱粉類の割合が前記上限値を上回ると、塗工層の平坦性が低下し、印刷品質が悪化するため好ましくない。
またラテックス類と澱粉類とを併用する場合、これらラテックス類及び澱粉類が、全顔料100質量部に対して合計で5質量部以上、さらには8質量部以上含まれていることが好ましく、また15質量部以下、さらには12質量部以下含まれていることが好ましい。ラテックス類と澱粉類との合計量が前記下限値を下回ると、表面強度や湿潤紙力が低く、印刷時に紙ムケが発生し、印刷品質が低下する。逆にラテックス類と澱粉類との合計量が前記上限値を上回ると、塗料粘度が上がり印刷品質が低下する。
なお、ラテックス類としては、平均粒子径が90〜130μm、さらには90〜110μmのものを使用することが好ましい。ラテックス類の平均粒子径が90μm未満の場合、原紙層へのバインダー成分の沈み込みが発生し、印刷品質が低下する。逆にラテックス類の平均粒子径が130μmを超えると、塗工層強度の低下が発生し、印刷品質が低下する。
また、上塗り塗工剤には、前記顔料及び接着剤の他にも、例えば、蛍光増白剤や蛍光増白剤の定着剤、消泡剤、離型剤、着色剤、保水剤等の、通常使用される各種助剤を適宜配合することができる。
上塗り塗工剤を調製する方法には特に限定がなく、顔料及び接着剤や、必要に応じて各種助剤の配合割合を適宜調整し、適切な温度にて均一な組成となるように撹拌混合すればよい。また上塗り塗工剤の固形分濃度は特に限定されるものではなく、塗工量や塗工速度といった塗工条件に応じて適宜調整することが好ましい。
原紙の少なくとも片面への上塗り塗工剤の塗工は、例えば、複数段階、通常はプレドライヤーパートとアフタードライヤーパートとの2段階で行われるドライヤーパートの間のコーターパートにおいて行われることが好ましい。このコーターパートにおいて、フィルム転写ロール塗工、特にロッドメタリングサイズプレスを設けたオンマシンコーター又はオフマシンコーターによって、好ましくは前記下塗り塗工層上に、上塗り塗工剤が塗工される。塗工方法は特に限定されないが、より低塗工量で均一な被覆性が得られる、フィルム転写型ロールコーターが好ましい。
また、本形態においては、オンマシンコーターを用いると、前記下塗り塗工層用の下塗り塗工剤を塗工した後、すぐに上塗り塗工剤の塗工を行うことができ、紙面温度が高い状態で上塗り塗工できるため、原紙の吸液性が高く、塗料の転写性が向上するため、塗料の飛散(ミスト)に起因する印刷品質の低下を防止できるという利点がある。原紙の吸液性が高いと、塗料の沈み込みにより、塗工層の平坦性が低下し、印刷品質が低下する傾向にあるが、本形態の如く前記下塗り塗工層にプレカレンダーを組み合わせた場合、下塗り塗工が低塗工量であっても、下塗り塗工後の平坦性が向上しているため、上塗り塗工後の印刷品質の低下は軽微となる。
なお、ドライヤーパートでの乾燥方法としては、例えば、熱風加熱、ガスヒーター加熱、赤外線ヒーター加熱等の各種加熱乾燥方式を適宜採用することができる。
前記上塗り塗工層は、前記下塗り塗工層を設けているため、上塗り塗工量を低減することができ、例えば片面あたり6g/m2以上、さらには7g/m2以上の塗工量で塗工して形成することができ、また片面あたり10g/m2以下、さらには9g/m2以下の塗工量で塗工して形成されることが好ましい。塗工量が6g/m2未満では、目標とする印刷品質が得られないだけでなく、白紙光沢度低下し、マット調塗工紙となる可能性がある。逆に10g/m2を超えると、パルプや下塗り塗工の水溶性高分子に比べて、上塗り塗工の顔料成分が増加するため、手肉感が低下するだけでなく、軽量塗工紙に該当しなくなる。本発明を用いることにより、特に軽量塗工紙において、高強度かつ高印刷品質を有する塗工紙を得ることができるのである。
上塗り塗工層の顔料として、カオリンクレーと重質炭酸カルシウムとが10:90〜60:40(カオリンクレー:重質炭酸カルシウム(質量比))の割合で含まれ、かつ接着剤として、平均粒子径が60〜120μmのラテックス類と澱粉類とが、全顔料100質量部に対して合計で5〜15質量部含まれている場合には、上塗り塗工層を、片面あたり7〜9g/m2の低塗工量で原紙の両面に形成しても、上塗り塗工層を均一に塗工できるため、印刷品質に優れる軽量塗工紙とすることができるため好ましい。
特に以上の形態においては、前記下塗り塗工層に、前記上塗り塗工層を組み合わせているため、下塗り塗工層および上塗り塗工層のいずれもが、より低塗工量でありながら、オフセット印刷適性やグラビア印刷適性などのフルカラー印刷適性を有する塗工紙とすることができる。更に、下塗り塗工後に、プレカレンダー処理することで、塗工原紙の平坦性を向上させる相乗効果が発現され、上塗り塗工量を更に低減できる。さらには、オンマシンで、フィルム転写型ロールコーターを用いて上塗り塗工することで、更なる印刷適性の向上効果が得られる。これにより、特に、上塗り塗工の塗工量が片面あたり7〜9g/m2と少なくても、充分な印刷品質が得られ、特にダル調塗工紙においては、従来よりも著しく高い印刷品質が得られる。
以上のように、原紙の少なくとも片面に、少なくとも2層の塗工層が形成されるが、これら塗工層のうち、互いに接した少なくとも2層の塗工層はいずれも、ロール塗工にて形成されることが好ましい。本形態の塗工紙は、前記下塗り塗工層と前記上塗り塗工層を有しているため、塗工後の平坦性と印刷適性がブレード塗工やエアーナイフ塗工より劣るフィルム転写型ロールコーターを用いても、充分な印刷品質を得られる。
また、前記少なくとも2層の塗工層のうち、その最表層は、前記顔料と接着剤とを主成分とする顔料塗工層であり、当該最表層に接する下塗り塗工層は、水溶性高分子化合物を主成分とするクリア塗工層であることが好ましいが、本形態の塗工紙における塗工層の構成はこれに限定されるものではなく、得られる塗工紙の用途等に応じて適宜変更することができる。
さらに本形態においては、塗工層に光沢や平滑性、印刷適性を付与する目的で、例えば熱ロールを用いて平坦化処理を施すことが好ましい。一般に平坦化処理は、弾性ロールと金属ロールとの間に塗工紙を通し、塗工紙に高ニップ圧をかけて摩擦力により塗工紙表面を磨き、光沢を付与するものであり、ニップ圧で紙を潰すため、過度な平坦化は紙の手肉感が損なわれると共に、塗工紙の微細な凸部にニップ圧と摩擦力が集中し、繊維焼けが発生するとの問題や、熱と圧力により、塗工紙自体が黄変化する退色の問題がある。また、従来のダル調塗工紙では、光沢度を20〜40%に抑えながら平坦化を行うため、中ニップ圧(50〜200kN/m)で平坦化処理を行っているが、この条件では、高い印刷品質が得られないばかりか、塗工紙が押し潰され、手肉感が低下する。
したがって、本形態において塗工層に平坦化処理を施す場合には、カレンダー設備として、より低ニップ圧で平坦化処理が可能なソフトカレンダーを用いることが好ましい。中でも、マルチニップカレンダー、より望ましくは6段、8段、10段のマルチニップカレンダーが、ニップ圧を調整し易く、塗工紙の白色度を低下させることなく白紙光沢度を向上させる効果が高い点で好ましい。
また、カレンダーの設置場所としては、抄紙機及び塗工機と一体になったオンマシンタイプが好ましい。オンマシンタイプでは、塗工後すぐに、紙面温度が高い状態で平坦化処理を行うことができるので、白紙光沢度が向上し易く、目的とする塗工紙を得るために必要な線圧が低く、従って、より低塗工量であっても十分な印刷適性が得られる。
このようなカレンダーにおいては、ニップ圧が15〜150kN/m、さらには110〜150kN/mであることが好ましい。カレンダーでのニップ圧が15kN/mを下回ると、塗工層の平坦性が低く、逆に150kN/mを超えると、手肉感が損なわれるため好ましくない。
また、平坦化処理の処理温度(ロール温度)は、100〜180℃、さらには130〜150℃であることが好ましい。処理温度が100℃を下回ると、平坦性に劣り、逆に180℃を超えると、白色度が低下する恐れがある。
以上のようにして得られる本形態の塗工紙は、下塗り塗工層として、水溶性高分子を主体とし、水溶性高分子と同程度または少ない量の顔料を併用しており、顔料として、前記のとおりの割合と形状を有する顔料を用いているため、より低塗工量であっても平坦性と印刷適性が良好な塗工紙が得られる。
また、下塗り塗工層は、プレカレンダー処理した後に、上塗り塗工して、顔料及び接着剤の種類、量、配合比等を適宜調整した顔料塗工層を設けることで、印刷適性を向上することができ、かつ、下塗り塗工層の平坦性が高いため、印刷適性を保ったまま、通常よりも上塗り塗工量を低減することができ、従来よりも軽量な軽量塗工紙、特にダル調の軽量塗工紙が得られる。
また例えば、抄紙設備(ワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、プレカレンダーパート)、塗工設備(オンマシンコーター、オンマシンカレンダー)等においても、前記構成と前記条件を組み合わせることで、塗工層の平坦性を向上させ、かつ、断紙が発生しにくく、操業性、生産性も良好であり、前記上塗り塗工層、下塗り塗工層と組み合わせることで、目的とする軽量塗工紙、特に優れた印刷適性を有し、高級印刷物に好適なダル調の軽量塗工紙を得ることができる。
本形態の塗工紙の白紙光沢度は、その用途に応じて異なるが、前記したように、例えばダル調塗工紙とする場合には、JIS P 8142:2005に記載の「紙及び板紙−75度鏡面光沢度の測定方法」に準拠して測定して20〜40%、好ましくは30〜40%である。
次に本発明の塗工紙を、以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
まず、原料パルプとしてLBKP及びNBKPを、80:20の割合で混合した。このパルプ100質量部(絶乾量)に対して、各々固形分で、内添サイズ剤(品番:AK−720H、ハリマ化成社製)0.02質量部、カチオン化澱粉(品番:アミロファックスT−2600、アベベジャパン社製)1.0質量部及び歩留向上剤(品番:NP442、日産エカケミカルス社製)0.02質量%を添加してパルプスラリーを得た。
次に、前記パルプスラリーをワイヤーパート、プレスパート及びプレドライヤーパートに順に供し、坪量が約39〜41g/m2の原紙を製造した後、この原紙の両面に、表1及び表2に示す組成の下塗り塗工剤を表1及び表2に示す塗工量(片面あたり)にてゲートロールコーター(GR)又はロッドメタリングサイズプレスコーター(RMSP)で塗工し、下塗り塗工層を形成した。
次に、両面に下塗り塗工層が形成された原紙をアフタードライヤーパートに供し、この下塗り塗工層を乾燥させた後、ニップ圧25KN/m及びロール温度70℃の条件で平坦化処理(プレカレンダー)を施した。次いでコーターパートにて、平坦化処理を施した下塗り塗工層の表面に、カオリンクレー40質量部および炭酸カルシウム60質量部、および表1及び表2に示す接着剤10質量部からなる上塗り塗工剤を表1及び表2に示す塗工量(片面あたり)をフィルム転写型ロールコーターで塗工し、上塗り塗工層を形成した。この後、実施例58以外はニップ圧120KN/m、ロール温度140℃の条件で2ニップの平坦化処理を施し、実施例58はニップ圧250KN/m、ロール温度140℃の条件で7ニップの平坦化処理を施し、JIS P 8142:2005に記載の「紙及び板紙−75度鏡面光沢度の測定方法」に準拠して測定した白紙光沢度を表1及び表2のとおりに調整し、次いでリールパート及びワインダーパートに順に供して坪量が約52〜64g/m2の塗工紙を得た。
表1及び表2に示す水溶性高分子化合物、顔料及び接着剤は、次のとおりである。
<下塗り塗工剤>
(水溶性高分子化合物)
・酸化澱粉(品番:酸化澱粉 エリエール商工製)
・ポリアクリルアミド(PAM、品番:ハリコートG−51、ハリマ化成社製)
・ヒドロキシエチルエーテル化澱粉(HES、品番:コートマスター K49F、三晶社製)
(顔料)
a)製紙スラッジ由来の再生粒子(再生粒子)
特開2002−167523号公報、試験例8の製法で粒径を調整して製造した。具体的には、DIPフローテーターのフロス又は脱水設備にて55〜65%に脱水して得られた製紙スラッジを、直径4.5mm、長さ8〜10cmの紐状にカットしてから、焼却炉において1000℃で焼却して再生粒子を生成した。
b)脱墨フロス由来の再生粒子凝集体(再生粒子凝集体)
特開2007−146354号公報、実施例3の製法で粒径を調整して製造した。具体的には、古紙の処理工程から排出される脱墨フロスを水分率60%まで脱水し(脱水工程)、120℃で乾燥して(乾燥工程)焼成工程入口での水分率が3%になるようにし、第1焼成工程で未燃分が7%となるように、第2焼成工程で未燃分が12質量%となるように焼成し(焼成工程)、粉砕して(粉砕工程)、再生粒子凝集体を生成した。
c)シリカ被覆再生粒子凝集体(シリカ被覆)
特開2007−146354号公報、実施例15の製法で粒径を調整して製造した。具体的には、古紙の処理工程から排出される脱墨フロスを水分率50%まで脱水し(脱水工程)、130℃で乾燥して(乾燥工程)焼成工程入口での水分率が3%になるようにし、第1焼成工程で未燃分が7%となるように、第2焼成工程で未燃分が12質量%となるように焼成し(焼成工程)、粉砕して(粉砕工程)、再生粒子凝集体の表面に、シリカを析出させたシリカ被覆再生粒子凝集体を生成した。
d)カオリンクレー
・カオリンクレー(品番:カオファイン、イメリス社製)
e)炭酸カルシウム
・湿式重質炭酸カルシウム(品番:ハイドロカーブ90K、オミヤコーリア社製)
(保水剤)
・澱粉(品番:コートマスターK49F、GPC社製)
・アクリル樹脂(品番:SNシックナー929−S、サンノプコ社製)
・メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体(品番:ソマレックス270K、ソマール社製)
<上塗り塗工剤>
(顔料)
・カオリンクレー(品番:カオファイン、イメリス社製)
・湿式重質炭酸カルシウム(品番:ハイドロカーブ90K、オミヤコーリア社製)
(接着剤)
・酸化澱粉(品番:コートマスター K96F、三晶社製)
・ヒドロキシエチルエーテル化澱粉(HES、品番:コートマスター K49F、三晶社製)
・アセチル化酸化タピオカ澱粉(AOS、品番:マーメイドMC−3000、三晶社製)
・スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(SBR、平均粒子径:100μm、品番:PA−1071、日本エイアンドエル社製)
・アクリロニトリル−ブタジエン系ラテックス(NBR、平均粒子径:100μm、品番:Nipol 1571CL、日本ゼオン社製)
なお、ワイヤーパートではギャップフォーマを、プレスパートではオープンドローのないストレートスルー型を、ドライヤーパートではシングルデッキドライヤーを用いて抄紙した。コーターパートでは、ゲートロールコーター(GR)又はロッドメタリングサイズプレスコーター(RMSP)で下塗り塗工剤を塗工した後、プレカレンダーで平坦化処理し、ロッドメタリングサイズプレスで上塗り塗工剤を塗工した。カレンダーパートでは、マルチニップカレンダーを用いて平坦化処理を行った。コーターパート、カレンダーパートは、それぞれ抄紙機に組み込んだ、オンマシンコーター、オンマシンカレンダーを使用した。
Figure 0005313545
Figure 0005313545
得られた塗工紙について、各物性を以下の方法にて調べた。これらの結果を表1及び表2に示す。
(a)白紙光沢度
塗工紙をJIS P 8142:2005に記載の「紙及び板紙−75度鏡面光沢度の測定方法」に準拠して測定した。
(b)密度(嵩)
塗工紙をJIS P 8118:1998に記載の「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
(c)手肉感
A4サイズ(210mm×297mm)の塗工紙サンプル20枚を重ね、長辺の一方をホチキスで3箇所(上端、中央、下端)綴じて水平に置き、1枚ずつ合計10枚捲って、手肉感について以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:めくった後の紙がへたれず、手肉感に特に優れる。
○:めくった後の紙のへたれが僅かであり、手肉感に優れる。
△:めくった後の紙のへたれが少なく、手肉感が良好である。
×:めくった後の紙がへたれ、手肉感に劣る。
なお、前記評価基準のうち、◎、○、△を実使用可能と判断する。
(d)印刷品質
次の条件で塗工紙に印刷を行って印刷試験体を作製した。
・印刷機:RI‐3型、(株)明製作所製
・インキ:WebRexNouverHIMARKプロセス(藍)、大日精化社製
・インキ量:上段ロールに0.3ml、下段ロールに0.2ml
・試験方法:上段、下段ロールでそれぞれインキを各3分間練り(2分間練った後、ロールを反転させてさらに1分間練る)、回転速度30rpmで2色同時印刷を行った。
前記印刷試験体について、白抜けおよび印刷ムラの発生度合いを目視及びルーペ(10倍)にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:白抜けや印刷ムラがなく、印刷品質に特に優れる。
○:白抜けや印刷ムラの発生が僅かであり、印刷品質に優れる。
△:白抜けや印刷ムラの発生が少なく、印刷品質が良好である。
×:白抜けや印刷ムラが発生し、印刷品質に劣る。
なお、前記評価基準のうち、◎、○、△を実使用可能と判断する。
表1及び表2に示された結果から、実施例の塗工紙は、水溶性高分子に対して、顔料が1〜100質量%含まれているため、塗工量が少なくても印刷品質に優れていることがわかる。これに対して比較例の塗工紙は、水溶性高分子に対して、顔料が1〜100質量%含まれていないため、印刷品質に劣ることがわかる。
本発明の塗工紙は、例えば印刷用紙、出版用紙、書籍用紙等として好適に使用し得るものである。

Claims (7)

  1. 原紙の少なくとも片面に、少なくとも2層の塗工層が形成された塗工紙であって、
    前記塗工層のうち、原紙に接する塗工層は水溶性高分子及びコールターカウンター法による粒子径10〜30μmの顔料(大粒径顔料)を20〜60質量%、コールターカウンター法による粒子径0.1〜2.0μmの顔料(小粒径顔料)を40〜80質量%含む無機顔料を含み、
    前記水溶性高分子100質量部に対する前記無機顔料の割合が乾燥質量で1質量部以上100質量部以下であり、
    前記大粒径顔料はアスペクト比3〜10の高扁平顔料であり
    かつ前記原紙に接する塗工層の片面当たりの塗工量が5g/m2以下である、
    ことを特徴とする多層塗り嵩高塗工紙。
  2. 前記顔料が、製紙スラッジ由来の再生粒子である、
    請求項1に記載の多層塗り嵩高塗工紙。
  3. 前記水溶性高分子が、澱粉及び澱粉誘導体の少なくとも一方である、
    請求項1又は請求項2記載の多層塗り嵩高塗工紙。
  4. 前記原紙に接する塗工層が、保水性を有する高分子化合物を含む、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の多層塗り嵩高塗工紙。
  5. 前記保水性を有する高分子化合物が、メタクリル酸−アクリル酸共重合体を主成分とする樹脂である、
    請求項記載の多層塗り嵩高塗工紙。
  6. 前記顔料が、脱墨フロス由来の再生粒子凝集体である、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の多層塗り嵩高塗工紙。
  7. JIS P 8142:2005に記載の「紙及び板紙−75度鏡面光沢度の測定方法」に準拠して測定した白紙光沢度が、20〜40%である、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の多層塗り嵩高塗工紙。
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