JP3969596B1 - 塗工紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】フィルム転写方式で塗工した際に、ミストやボイリングが発生せず塗工適性に優れ、軽量化、微塗工化が図られると同時に、嵩高で高不透明度及び高剛度を有し、オフセット印刷やグラビア印刷等における優れた印刷適性を備えた塗工紙を提供すること。
【解決手段】基紙に、顔料及び接着剤を主成分とする塗工層が設けられた塗工紙であって、前記基紙表面に、顔料と、接着剤として澱粉及びポリビニルアルコールとを含むアンダーコート層が設けられ、該アンダーコート層上に前記塗工層が設けられており、前記アンダーコート層に含まれる澱粉とポリビニルアルコールとの質量割合(澱粉:ポリビニルアルコール)が、10:0.8〜10:2.0であることを特徴とする、塗工紙。
【選択図】なし

Description

本発明は、塗工紙に関する。特に本発明は、軽量化、微塗工化が図られると同時に、高不透明度及び高剛度を有する塗工紙に関する。
現在、低コストで効率的に塗工紙を製造するために、抄紙機と塗工機とが一体化したオンマシンコーターが幅広く用いられている。オンマシンコーターによる塗工方式としては、主にフィルム転写方式とブレード塗工方式とがある。この内、ゲートロールコーターやロッドメタリングコーター等のフィルム転写コーターは、コンパクトで、操業性がよく、また、種々の製品要求品質に対応が容易であることから、オンマシンでのサイズ剤塗工設備や顔料塗工設備として多用されている。
フィルム転写方式は、アプリケーターロール上の計量された塗工液を原紙(基紙)に転写する方式であり、塗工時に原紙にかかる負荷がブレード塗工方式と比較して相対的に小さいので、操業時の断紙トラブル等が少ないという利点があり、極めて高い生産効率を得ることができる。また、フィルム転写コーターは、原紙表面の輪郭に沿った塗工、いわゆる輪郭塗工を行うことができるので、原紙表面の被覆性が高く、軽量、微塗工紙を製造するに適しているといえる。
しかしながら、フィルム転写方式は、アプリケーターロール上の塗工液が原紙に転写される際の転写性に限界があるため、ブレード塗工方式と比較して高塗工量とするのが困難であることや、原紙に転写されずにアプリケーターロール上に残った塗工液の一部が飛散すること(以下、この飛散した塗工液を、単に「ミスト」又は「塗工液ミスト」ともいう)が問題となっている。特に、高速塗工になるほどミストの絶対量が増え、また、塗工液ミストの紙面への付着を原因とする紙剥け等のトラブルが発生する。
アプリケーターロール上の塗工液の原紙への転写性を改善する方法としては、塗工液の保水性を低くして、アプリケーターロールが原紙に接触する際に塗工液が原紙にしみ込み易くなるようにし、もって転写し易くなるようにする手法がある。
しかしながら、前記手法によると、相対的に塗工液の原紙への転写性は良好になるものの、塗工量の変動が大きくなってしまい、被覆性に優れた塗工層を得ることが困難である。また、フィルム転写方式であるゲートロールコーターは、アプリケーターロールの外側に配置されているインナーロールとさらに外側のアウターロールとの間のニップ上に塗工液が供給されるコーターである。そして、このインナーロール及びアウターロールは、ともに常時回転している。したがって、塗工液粘度が高いと、塗工液が跳ね上がり(以下、この塗工液の跳ね上がりを「ボイリング」ともいう)、操業上大きなトラブルとなるおそれがある。特に、この問題は、高速塗工になるほど大きなものとなる。
一方、ダイレクトメールやチラシ等のカラー印刷化の普及により、印刷後の光沢発現性が高く、微塗工紙における基紙被覆性が良好な、2.5μm程度の大粒径クレーが顔料として使用され、表裏面塗工量が20g/m2未満の微塗工紙の需要が伸びている。また、省資源化、輸送コストの低減等の面から、用紙の軽量化や、高速抄紙化に対応した高濃度塗工液による微塗工化も進んでいる。
しかしながら、塗工紙の軽量化は、原紙紙厚が薄くなることによる不透明度、剛度の低下を招き、他方、塗工液の高濃度化により、用紙表面で被覆ムラが生じたり、高濃度で使用可能な溶解度の低い水溶性天然バインダーであるカゼインや、低分子の澱粉を選択する必要が生じ、高速印刷や自動制御、紙の搬送に不具合が発生する問題が顕在化している。また、原紙紙厚が薄くなることは、昨今の印刷物に対するフルカラー化において、高精細で写真調の印刷不透明度が要求されているという点で相反する面も有し、軽量化を図りながら高速抄紙を可能にし、かつ不透明度、剛度を維持した微塗工紙の開発が要望されている。
前記のごとき従来の塗工紙として、具体的には、例えば特許文献1に、原紙上に顔料及び接着剤を含有する塗工液が塗工された塗工紙であり、該顔料100重量部に対してポリビニルアルコール(以下、「PVA」ともいう)を0.1重量部以上、12.0重量部未満含有した塗工液を、フィルム転写方式で塗工した印刷用塗工紙が開示されている。該特許文献1に開示の印刷用塗工紙は、塗工液中にPVAを助剤として含有しているので、ボイリングやミストの発生が抑制され、塗工適性が良好で、オフセット印刷適性、グラビア印刷適性を備えたものである。
また例えば特許文献2には、原紙の片面あたり2層以上の塗層が設けられ、下塗り層の塗被組成物が、顔料スラリー及びカチオン性バインダーからなり、該顔料スラリーが、顔料中に、3級アミン又は4級アンモニウム塩基を20%以上含むカチオン性水溶性高分子及びノニオン性水溶性高分子を添加したものであるオフセット印刷用塗工紙が開示されている。該特許文献2に開示のオフセット印刷用塗工紙は、塗被組成物中にカチオン性水溶性高分子及びノニオン性水溶性高分子を助剤として含有しているので、良好なオフセット印刷適性、高い耐ピック抵抗を有するものである。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示の印刷用塗工紙では、いずれも、アンダー塗工層が顔料を内在する塗工液で設けられているため、接着剤が原紙中に浸透しつつ原紙上に顔料リッチな塗工層が形成されることになり、該塗工層面に微細な凹凸が生じ、上層を設けた後の平坦化が図り難くなるとともに、カレンダー等による平坦化処理にて密度が上昇し、嵩高性や剛度が低下するといった問題が生じる。
さらに、例えば特許文献3には、原紙に、顔料及び接着剤を含有する塗被液が少なくとも2度塗被されており、下塗り層がフィルム転写方式の塗被装置にて形成され、赤外線乾燥装置で乾燥された直後に、金属ロール及び弾性ロールで構成されるソフトカレンダーにてカレンダー処理され、このカレンダー処理された下塗り層上に上塗り層が形成されたオフセット印刷用塗被紙が開示されている。該特許文献3に開示のオフセット印刷用塗被紙は、原紙上に設けられた下塗り層を、ソフトカレンダーにて平坦化処理した後、さらに上塗り層が設けられているので、高速操業が可能であり、かつ表面性、印刷適性が良好である。該オフセット印刷用塗被紙も、下塗り層に顔料が含まれており、その表面をソフトカレンダーにて平坦化処理することで、上層に下塗り層面の平坦化を反映させ、上層においても良好な平滑性を付与したものである。
しかしながら、特許文献3に開示のオフセット印刷用塗被紙は、塗被液中の接着剤が基紙の被覆性を考慮したものではなく、該接着剤が原紙中に含浸された状態で平坦化処理が施されるため、原紙の密度が高くなり易く、剛度の低下を招くとともに、基紙中に顔料及び接着剤が部分的に含浸された下塗り層上に上塗り層が設けられることになり、不透明度や剛度が低下してしまう。また、例えば1300m/分以上の高速オンマシン塗工にて該オフセット印刷用塗被紙を製造しようとする場合には、塗被液の基紙への含浸により紙質強度低下を来たし易く、物理的圧力がかかるブレード塗工部分での断紙問題が発現する。また、上塗り層又は下塗り層に、所定のカオリンやラテックスを必要とするため、製造コストが高いだけでなく、塗工液中に接着剤として澱粉が含有される場合、該澱粉の影響で白紙光沢が低下するといった問題を有する。
国際公開第2003/060232号パンフレット 特開平06−033397号公報 特開平09−296393号公報
本発明は、前記背景技術に鑑みてなされたものであり、フィルム転写方式で塗工した際に、ミストやボイリングが発生せず塗工適性に優れ、軽量化、微塗工化が図られると同時に、嵩高で高不透明度及び高剛度を有し、オフセット印刷やグラビア印刷等における優れた印刷適性を備えた塗工紙を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、
基紙に、顔料及び接着剤を主成分とする塗工層が設けられた塗工紙であって、
前記基紙表面に、顔料と、接着剤として澱粉及びポリビニルアルコールとを含むアンダーコート層が設けられ、該アンダーコート層上に前記塗工層が設けられており、
前記アンダーコート層に含まれる澱粉とポリビニルアルコールとの質量割合(澱粉:ポリビニルアルコール)が、10:0.8〜10:2.0であることを特徴とする、塗工紙
に関する。
本発明によれば、フィルム転写方式でアンダーコート層を設けた際に、ミストやボイリングが発生せず塗工適性に優れ、軽量化、微塗工化が図られると同時に、嵩高で高不透明度及び高剛度を有し、オフセット印刷やグラビア印刷等における優れた印刷適性を備えた塗工紙が実現される。
次に、本発明の一実施形態に係る塗工紙について詳細に説明する。
本実施形態に係る塗工紙は、基紙にアンダーコート層が設けられ、該アンダーコート層上に塗工層が設けられている。これにより、基紙に吸収されて印刷適性の向上に作用しない塗工液の量が減少するとともに、基紙表面が充分に被覆され、オフセット印刷やグラビア印刷等における優れた印刷適性を備えた塗工紙となる。
また、アンダーコート層は好ましくは平坦化処理されているので、塗工層の低塗工量化を図ることができ、省資源化や製造コスト削減を期待することができる。加えて、アンダーコート層は、好ましくはフィルム転写方式にて形成されているので、塗工紙表面の輪郭に沿った輪郭塗工による塗工紙表面の被覆性が確保され、塗工層の微塗工化を図ることができる。
(基紙)
本実施形態に係る塗工紙に用いられる基紙について、その原料パルプの種類は特に限定されるものではない。該原料パルプとしては、例えば木材パルプ、非木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプ等から選択することができ、より具体的には、例えば砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ブリーチケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ(MP)、化学的機械パルプ(CGP)、半化学的パルプ(SCP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP)、ソーダパルプ(AP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)等の化学的パルプ(CP)、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)等を原料とする合成パルプ、脱墨パルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)等の古紙パルプ、かすパルプ(TP)、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプ等のなかから、1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。本発明が主たる対象とする軽量で微塗工紙においては、好ましくは、オンマシン生産における紙質強度確保のために針葉樹材(以下、「N材」ともいう)を、優れた印刷適正を得るために広葉樹材(以下、「L材」ともいう)を、不透明性、嵩高性、剛度を得るために機械パルプを、好適に組み合わせることが必要である。
本実施形態において、前記基紙の原料パルプは、N材:L材:機械パルプ(質量割合)が、10〜30:30〜90:0〜40に調整されていることが好ましく、15〜20:60〜70:10〜20に調整されていることがより好ましい。
前記N材の割合が10質量%未満では、本発明の塗工紙をより好適に使用することができる坪量の範囲約35.0〜64.0g/m2において、紙質強度不足が生じるおそれがある。他方、該N材の割合が30質量%を超えると、針葉樹材特有の長繊維のために、均一な基紙地合を得難たく、基紙の厚薄ムラが生じるおそれがある。
前記L材の割合が30質量%未満において機械パルプの割合が多いと、機械パルプ特有の剛直な短繊維のために、基紙表面の緻密性が低下し、塗工層を設けた場合に、塗工液の浸透ムラ、皮膜成型性の低下が生じるおそれがある。また、L材の割合が30質量%未満においてN材の割合が多いと、用紙の地合いが極端に悪くなり、不透明性が低下する問題が生じる。他方、L材の割合が90質量%を超えると、基紙の密度が高くなり易く、厚み方向(Z軸方向)のクッション性や嵩高性が低下するおそれがある。
前記機械パルプは、木材を摩砕してパルプ化したものであり、短繊維かつ剛直であり、繊維表面にフィブリルと呼ばれる微細なヒゲ状の繊維枝葉を有する。したがって、機械パルプは極力配合しないことが好ましいが、不透明性、嵩、剛度を得るには効果的な原料パルプであり、好適には10〜20質量%程度である。他方、機械パルプの割合が40質量%を超えると、剛直な機械パルプの影響が顕著に表れ易く、塗工層を設けた際に、塗工層表面に凹凸が生じ易くなるほか、微細なヒゲ状の繊維枝葉によって塗工液の吸収が早く、かつ多くなるため、塗工面の平滑性が低下するおそれがある。
本発明においては、原料パルプに古紙パルプも使用することができる。古紙パルプは、一度抄紙され、再び紙原料として再生されたパルプである。したがって、再生時の熱や化学的又は物理的再生手段によって、内在する原料パルプ種であるNBKPやLBKP、機械パルプ等が、いずれも平坦で柔軟な性状の繊維になっており、パルプ自体の強度は低いものの、用紙表面の平滑性や光沢性の向上に寄与することができる。
なお本発明において、例えば、全原料パルプ中のN材の割合を10〜30質量%とし、濃度調整機能付きインレットにより紙層を形成するとともに、あらかじめアンダーコート層を設けた後、塗工層を設けることで、更に好適な嵩高、軽量、高剛度の微塗工紙を得ることができる。
本実施形態に用いる基紙は、JIS P 8220:1998「パルプ−離解方法」に記載の方法に準拠して離解したときの、JIS P 8121:1995「パルプのろ水度試験方法」に記載の方法に準拠したカナダ標準ろ水度が、160〜400cc(CSF)に調整されていることが好ましく、260〜360cc(CSF)に調整されていることがより好ましい。該カナダ標準ろ水度が160cc(CSF)を下回ると、例えば基紙の坪量が約35.0〜50.0g/m2の抄紙におけるウエットエンド工程(湿紙形成工程)において、脱水力が低下するため、基紙を構成するパルプがZ軸方向に配向し難く、紙質強度が低下し易くなるおそれや、例えば1300m/分を超える高速抄紙において、さらなる増速が困難で生産性が低下するおそれがある。また、カナダ標準ろ水度が160cc(CSF)を下回ると、基紙の密度が高くなりやすく、軽量で印刷適性の優れた塗工紙が得られないおそれがある。他方、カナダ標準ろ水度が400cc(CSF)を上回ると、基紙の地合が乱れ易く、均一な地合を得ることが困難なだけでなく、パルプ繊維間の間隙が不揃いとなり易く、塗工層を設けた際に、塗工液の浸透ムラが生じ、印刷適性が低下するおそれがある。
また本実施形態に用いる基紙は、JIS P 8220:1998「パルプ−離解方法」に記載の方法に準拠して離解したときの、カヤニ平均繊維長測定器(FS−100)で測定したカヤニ平均繊維長が、0.85〜1.20mmに調整されていることが好ましく、0.90〜1.10mmに調整されていることがより好ましい。該カヤニ平均繊維長が0.85mmを下回ると、基紙の密度が高くなり、剛度の低下を招くおそれがあり、また、微細な繊維の割合が多くなるため、断裁時に紙粉が発生し易くなる。他方、カヤニ平均繊維長が1.20mmを上回ると、密度が下がり嵩が出やすい傾向が生じるものの、地合いが悪くなると共に、基紙表面が粗くなって凹凸が生じやすくなり、例えばフィルム転写方式でアンダーコート層を設けた場合においても、基紙表面の凸部分にアンダーコート層が形成し難くなる(欠落する)現象が生じ、不透明度、印刷適正が低下するおそれがある。
次に、前記基紙表面に設けられるアンダーコート層について説明する。
アンダーコート層には、前記したように、顔料と、接着剤として澱粉及びPVAとが含まれる。
(A)顔料
(合成シリカ)
前記顔料として、例えば湿式分級処理及び/又は粉砕処理され、粒子径が1〜30μmである粒子の割合が80質量%以上であり、かつ粒子径が40μm以上である粒子の割合が0.4質量%以下の合成シリカを主成分として用いることが好ましい。
本実施形態においては、被膜性の高い澱粉とPVAとが接着剤として用いられるので、合成シリカの沈み込みが充分に抑制され、不透明度や剛度をより向上させることができる。さらに、塗工液の転写性も向上し、ミストやボイリングの発生も充分に抑制される。
前記合成シリカは、例えば現在公知の方法で製造される合成シリカをそのまま原料として使用することができる。該合成シリカは、市販粉末品に水を加えてスラリー状としたものであっても、スラリー状で製造された合成シリカであってもよいが、低コストで、得られた製品の品質が良好であるという点から、スラリー状で製造されたものをそのまま用いることが好ましく、なかでも、ケイ酸ソーダを硫酸で中和して得た合成シリカは、最も低コストで使用することができる。
前記合成シリカを、例えば湿式分級処理及び/又は湿式粉砕処理して、粒子径が1〜30μmである粒子の割合を80質量%以上とし、かつ粒子径が40μm以上である粒子の割合を0.4質量%以下とし、これを主成分として用いることが好ましい。
粒子径が40μm以上の粗粒子を多量に含有する合成シリカを用いると、塗工時に粗粒子が塗工面を傷付けたり、塗工面に不用意な凹凸を形成する原因となり、あるいは塗工紙にて印刷する際に、塗工層表面に突出した粒子が印刷機の版に付着堆積し、版の寿命を低下させるおそれがあるので、このような粒子径が40μm以上の粗粒子を極力低減させることが好ましい。このような粗粒子は、たとえ少量であっても、塗工液のリターン等により蓄積され、悪影響が増大するおそれがあるので、例えば分級及び/又は粉砕により、顔料全体の0.4質量%以下、さらには実質的に含まれないようにすることが好ましい。
なお、粒子径が40μm以上の粗粒子を除去する目的で湿式粉砕処理を行う場合、1μm以下の粒子にまで粉砕されることがある。この粒子径が1μm以下の微小粒子は、基紙内に含浸し易く、結果的に不透明度及び剛度の向上効果が低いので、このような微小粒子を増加させないように、粉砕機及び粉砕条件を選定することが好ましい。
アンダーコート層に合成シリカを持いることによる、不透明度及び剛度の向上効果の機構は、現在、まだ不明の点が多いが、一般的に基紙表面における透過光屈折率に不透明度が影響され、被覆性の高い澱粉とPVAとの併用により、基紙表面の剛性を高めるためと考えられる。
合成シリカを、例えば湿式粉砕機で粉砕し、粉砕物を湿式分級機で分級して、例えば粒子径が30μm以下の粒子を完成品として得た後、湿式分級機から得られるもう一方の粗い粒子を多く含むスラリーを再度湿式粉砕することによって、粒子径が1〜30μmである粒子の割合が80質量%以上であり、かつ粒子径が40μm以上である粒子の割合が0.4質量%以下の合成シリカを効率的に得ることができる。
元来合成シリカは、微細な1次粒子の2次凝集体であり、各粒子間の細孔(BET比表面積に依存)と凝集粒子間の細孔(平均粒径と粒度分布に依存)を有し、極めて水分散性の悪いものであるが、粒子径が1〜30μmである粒子の割合を80質量%以上とし、かつ粒子径が40μm以上である粒子の割合を0.4質量%以下とすることで、微紛量や過大量が少ないシャープな粒度分布を有し、さらに好適には公知の粉砕機、好適には湿式粉砕機でシリカの前記細孔を潰す(細孔容積や吸油量を低下させる)こと、合成シリカに予め水を含ませたうえで前記分散を行うことで、最大分散濃度を7〜25%濃度に調整した合成シリカの中でも、沈澱法のホワイトカーボンを好適に使用することができる。
また前記とは別の方法として、合成シリカをまず湿式分級機で分級し、粒子径が40μm以上の粗粒子を多く含むものと、少ないものとに分け、前者は前記方法により湿式粉砕−湿式分級によってさらに処理し、後者はそのまま完成品とするか、又は必要に応じさらに湿式分級機で処理して完成品とする方法も採用することができる。
ここで用いられる湿式分級機には特に限定がなく、例えば沈降分級機、液体サイクロン、振動スクリーン、傾斜型スクリーン等の一般に使用されているものを、1種で又は複数種組み合せて使用することができる。
湿式粉砕機にも特に限定がなく、例えば連続式ホモミキサー、コロイドミル、デイスクリフアイナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロツドミル等の一般に使用されているものを用いることができる。
(再生粒子凝集体)
本実施形態においては、アンダーコート層に含まれる顔料として、前記合成シリカのほかにも、古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、該主原料に脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を施して得られた再生粒子凝集体であり、その粒子構成成分としてカルシウム、ケイ素及びアルミニウムを含有し、これらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの質量割合(カルシウム:ケイ素:アルミニウム)が、X線マイクロアナライザーを用いた元素分析にて、酸化物換算で30〜82:9〜35:9〜35であり、かつ該粒子構成成分中のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの合計含有割合が、酸化物換算で90質量%以上である再生粒子凝集体を好適に用いることができる。
前記したように、本発明に用いられる再生粒子凝集体は、古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、該主原料に脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を施して得られるものである。なおこれら4工程の他にも、後述するように、凝集工程、造粒工程、各工程間に設けられる分級工程等が設けられていてもよい。また該再生粒子凝集体の製造設備には、各種センサーを設け、被処理物や設備の状態、処理速度のコントロール等を行うことが望ましい。以下の具体的説明で示す移送流路、給送流路、排送流路、循環流路、返送流路等の各種流路は、例えば管、ダクト等で構成することができる。
以下に、古紙処理工程(古紙パルプの製造工程)から排出される脱墨フロスを原料とした、本発明に用いられる再生粒子凝集体の製造方法を例示する。該脱墨フロスは再生粒子凝集体の原料として最適な例であるが、該脱墨フロスを主原料に、抄紙工程における製紙スラッジ等の他製紙スラッジを適宜併用することもできる。また、以下の方法は再生粒子凝集体の製造方法の一例であり、該方法のみに限定されるものではなく、本発明の目的を阻害しない範囲で適宜変更することが可能である。
(1)原料
古紙パルプの製造工程では、安定した品質の古紙パルプを連続的に生産するために、使用する古紙の選定、選別が行われ、一定品質の古紙が使用されるので、存在する無機物の種類やその比率、量が基本的に一定になる。しかも、再生粒子凝集体の製造過程において未燃物の変動要因となるフィルム、シート等のプラスチック類が異物として古紙中に含まれていた場合でも、これらの異物は脱墨フロスを得る脱墨工程に至る前段階で除去することができる。したがって、古紙パルプの製造工程から排出される脱墨フロスを原料とした場合、工場排水工程や製紙原料調整工程等、他の工程で発生するスラッジを原料とした場合と比べ、極めて安定した品質の再生粒子凝集体を製造することができる。
なお本明細書でいう脱墨フロスとは、古紙パルプを製造する古紙処理工程において、主に、古紙に付着したインクを取り除く脱墨工程でパルプ繊維から分離されるものをいう。
(2)脱水工程
前記脱墨フロスの脱水は、例えばロータリースクリーン等の公知の脱水手段を適宜使用して行うことができる。該ロータリースクリーンにおいて、例えば水分率95〜98質量%に脱水した脱墨フロスは、例えばスクリュープレスにて、さらに水分率40〜70質量%に脱水することが好ましい。このように、脱墨フロスの脱水を多段工程で行って急激な脱水を避けると、無機物の流出を抑制することができ、脱墨フロスのフロックが硬くなりすぎる恐れがない。
脱水処理の際には、脱墨フロスを凝集させる凝集剤等の、脱水効率を向上させる助剤を添加してもよいが、この場合、凝集剤としては鉄分を含まないものを使用することが好ましい。鉄分が含有されると、鉄分の酸化により再生粒子凝集体の白色度が低下する恐れがある。
脱墨フロスの脱水工程設備は、再生粒子凝集体の製造工程設備の一部として設けられることが、生産効率の面で好ましいが、あらかじめ古紙パルプの製造工程設備に隣接して設け、脱水処理を行った脱墨フロスを搬送することも可能である。
(3)乾燥工程
脱墨フロスを脱水して得た脱水物は、例えばトラックやベルトコンベア等の搬送手段によって定量供給機まで搬送され、該定量供給機から乾燥手段に供給される。
前記乾燥手段は、例えば主に、脱水物が供給される乾燥容器と、該乾燥容器の底部に備えられ、供給された脱水物をかきあげる一対のロールと、該一対のロール相互間から上方に熱風を吹き上げる熱風吹上手段とからなる。また、熱風吹上手段は、乾燥容器の底部に給送流路が接続され、該給送流路を通して乾燥容器内に熱風が吹き込まれる構成となっている。
このように、本乾燥手段は、脱水物を、一対のロールという有形的な手段によって、強くかつ大まかにほぐし、これに加えて熱風という無形的な手段によって、弱くかつ精細にほぐすことにより、大きい・小さい、硬い・柔らかい等の様々な性質を有する脱水物の水分率の制御と粒揃えを安定的に行うことができる。
特に、乾燥容器内に供給する脱水物を、水分率40〜70質量%に脱水している場合は、熱風の温度を100〜200℃とすることが好ましく、120〜180℃とすることがより好ましく、130〜170℃とすることが特に好ましい。このように脱水物の水分率が40〜70質量%の場合には、100℃の熱風でも充分に乾燥することができる。他方、大きい・小さい、硬い・柔らかい等の様々な性質を有する脱水物の粒揃えが進行するよりも早く乾燥が進み、粒子表面の水分率と内部の水分率との差を小さく均一にすることが困難になるので、熱風の温度は200℃以下とすることが好ましい。
脱水物の乾燥は、焼成工程前(焼成工程入口)の乾燥物の水分率が2〜20質量%となるようにすることが好ましく、3〜15質量%となるようにすることがより好ましく、3〜10質量%となるようにすることが特に好ましい。脱水物を水分率が2質量%を下回る範囲まで乾燥すると、後の焼成工程において、過焼する恐れがある。他方、脱水物を水分率が20質量%を上回る範囲までしか乾燥しなければ、焼成を確実に行うことが困難になる恐れがある。
前記乾燥物の平均粒子径は400〜2000μmであることが好ましく、450〜1900μmであることがより好ましい。焼成工程前(焼成工程入口)の乾燥物の平均粒子径があまりにも小さい場合には、焼成時に焼成が進みすぎるため、焼成物が極めて硬くなる恐れがあり、逆にあまりにも大きい場合には、焼成物の芯の部分まで焼成が行き届きにくくなり、焼成物中に炭化物が残存しやすく、焼成物の白色度が高くならない恐れがある。
また前記乾燥物の粒揃えは、粒子径が355〜2000μmのものが70質量%以上となるように調整することが好ましく、75質量%以上となるように調整することがより好ましく、80質量%以上となるように調整することが特に好ましい。乾燥物を、粒子径が355〜2000μmのものが70質量%以上となるように製造すると、すなわち小径な粒子の乾燥物を除去すると、部分的な過焼が防止され、焼成がより均一になる。したがって、得られる再生粒子凝集体の品質を均一にするという観点における実用化の可能性高めることができる。さらに、このように乾燥後に分級すると、小径な粒子の乾燥物を確実に除去することができ、処理効率も向上する。
(4)焼成工程
サイクロン内を底部まで落下した乾燥物は、移送流路を通して、かつこの移送流路の途中に備わる排風ファンで勢いを増して、サイクロン式の第1焼成段階を構成する第1燃焼焼成炉に送られる。該第1燃焼焼成炉では、乾燥物を旋回落下させることで粒子の微細化を抑制し、また、この過程で焼成して未燃率を調整する(第1焼成工程)。
第1焼成工程での焼成は、未燃率が5〜30質量%となるように行うことが好ましく、8〜25質量%となるように行うことがより好ましく、10〜20質量%となるように行うことが特に好ましい。第1焼成工程での未燃率が5質量%未満では、焼成における粒子表面の過焼が生じて表面が硬くなると共に、内部の酸素不足が生じ、再生粒子凝集体の白色度が低下する恐れがある。他方、第1焼成工程での未燃率が30質量%を超えると、後の第2焼成工程での焼成後も未燃物が残る場合があり、さらには該未燃物が残るのを防止するために粒子表面が過焼するまで燃焼焼成してしまい、再生粒子凝集体の表面が硬くなる恐れがある。
第1燃焼焼成炉の形態には特に限定がないが、例えばサイクロン式であることが好ましい。該サイクロン式によると、前記のとおり、粒子の微細化を抑制することで未燃率をより均一かつ確実に調節することができる。
第1焼成工程で得た焼成物は、第2燃焼焼成炉に送られ、燃焼焼成される(第2焼成工程)。第2燃焼焼成炉としては、例えばロータリーキルン炉、流動床炉、ストーカー炉、サイクロン炉、半乾留・負圧燃焼式炉等、公知の装置を用いることができるが、本発明においては、温度変化が少ない環境下で、過大な物理的圧力を掛けることなく攪拌しながら満遍なく燃焼させることができるロータリーキルン炉が好ましい。
焼成温度は、510〜750℃の範囲であることが好ましい。第1焼成工程及び第2焼成工程での焼成は、第1燃焼焼成炉上端部の温度を510〜750℃とし、第2燃焼焼成炉内の温度を第1燃焼焼成炉上端部の温度よりも低い500〜700℃とすることが好ましく、第1燃焼焼成炉上端部の温度を550〜730℃とし、第2燃焼焼成炉内の温度を第1燃焼焼成炉上端部の温度よりも低い510〜680℃とすることがより好ましく、第1燃焼焼成炉上端部の温度を580〜700℃とし、第2燃焼焼成炉内の温度を第1燃焼焼成炉上端部の温度よりも低い550〜660℃とすることが特に好ましい。なお、第1燃焼焼成炉上端部の温度を600〜680℃とし、第2燃焼焼成炉内の温度を第1燃焼焼成炉上端部の温度よりも低い580〜650℃とすると、得られる再生粒子凝集体が顔料としてより好適なものとなる。このように、第2燃焼焼成炉内の温度を第1燃焼焼成炉上端部の温度よりも10〜50℃低くすることで、粒子表面の過焼を防止しながら、未燃物を燃焼させることができる。
(5)粉砕工程
前記焼成後の粒子は、粉砕工程にて適宜必要な粒径に微細粒化することで、顔料として使用可能な再生粒子凝集体とすることができる。
例えば、焼成して得られた粒子を、ジェットミルや高速回転式ミル等の乾式粉砕機、又はアトライター、サンドグラインダー、ボールミル等の湿式粉砕機を用いて粉砕し、目的とする再生粒子凝集体とすることができる。顔料としては、粒径が均一化、微細化されていることが好ましく、粒子径が1〜30μmである粒子割合が、80質量%以上であること、粒子径が40μm以上である粒子の割合が0.4質量%以下であることが好ましい。
(6)付帯工程
再生粒子凝集体について、さらなる品質の安定化を求める場合には、再生粒子凝集体の粒度を各工程で均一に揃えるための分級を行うことが好ましく、粗大粒子や微小粒子を前工程にフィードバックすることが望ましい。
また、乾燥工程の前段階において、脱水処理を行った脱墨フロスを造粒することが好ましく、さらには造粒物の粒度を均一に揃えるための分級を行うことがより好ましく、粗大造粒粒子や微小造粒粒子を前工程にフィードバックすることで、より品質の安定化を図ることができる。なお造粒には、公知の造粒設備を使用することができ、例えば回転式、攪拌式、押出式等の設備が好適である。
さらに、再生粒子凝集体以外の異物を除去することが好ましく、例えば古紙パルプの製造工程において、脱墨工程の前段階のパルパーやスクリーン、クリーナー等で、砂、プラスチック異物、金属等を除去することが、除去効率の面で好ましい。特に鉄分は、酸化することによって再生粒子凝集体の白色度を低下させる恐れがあるので、鉄分の混入を避け、選択的に取り除くことが好ましい。各工程における設備を鉄以外の素材で設計又はライニングし、磨滅等により鉄分が系内に混入することを防止すると共に、乾燥・分級設備内等に磁石等の高磁性体を設置し選択的に鉄分を除去することが好ましい。
なお、前記乾燥工程や焼成工程、及び必要に応じて分級工程において、粉砕工程前にあらかじめ、粒子径が40μm以下の粒子が90質量%以上となるように処理しておくことが好ましい。これにより、通常行われている乾式粉砕による粗大粒子の粉砕及び湿式粉砕による微粒子化といった複数段の粉砕処理を行うことなく、湿式粉砕による一段粉砕処理も可能となる。またこれにより、コールターカウンター法による粒度分布の微分曲線における平均粒子径のピーク高さを30%以上とすることができる。さらには主原料である脱墨フロス中のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、あらかじめ、例えば後述する質量割合に調整することで、再生粒子凝集体の細孔容積を0.15〜0.60mL/g、細孔表面積を10〜25m2/g、細孔半径を30〜100nmとすることもでき、再生粒子凝集体の分散性や用紙表面の被覆性を向上させることができる。
このように、古紙パルプの製造工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、該主原料を脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程に供することにより再生粒子凝集体が得られるが、本発明においては、該再生粒子凝集体として、前記のごとき工程を経て得られた粒子の表面をさらにシリカで被覆した、シリカ被覆再生粒子凝集体を特に好適に用いることができる。
前記再生粒子凝集体の表面にさらにシリカを析出させ、シリカ被覆再生粒子凝集体とすることで、循環使用における古紙処理工程において、水酸化ナトリウムと反応させて、緩衝剤や漂白助剤として製紙用原料、無機粒子の循環使用に寄与させることができる。またかかるシリカ被覆再生粒子凝集体を顔料として用いた場合には、シリカで被覆していない再生粒子凝集体を用いた場合よりもさらに、塗工紙の表面強度、インク乾燥性、トナー定着性といった各効果を向上させることができる。
なお、本発明に用いられる、古紙処理工程から排出される脱墨フロスは、近年の中性抄紙化に伴い、炭酸カルシウムの含有量が増加傾向にあり、得られる再生粒子凝集体中のカルシウムの割合も高くなる傾向がある。このようにカルシウムの割合が高い再生粒子凝集体をパルプに内添すると、紙の不透明度がやや低下する場合があるが、表面にシリカを析出させたシリカ被覆再生粒子凝集体は、製紙用途の再生粒子凝集体としての機能が非常に高く、該シリカ被覆再生粒子凝集体をパルプに内添して得られる塗工紙の不透明度は向上する。
再生粒子凝集体の表面を被覆するシリカについては、天然に産出するシリカではなく、何らかの化学反応による合成シリカであれば特に制限なく使用することが可能である。具体的には、例えばコロイダルシリカ、シリカゲル、無水シリカ等があげられる。これらの合成シリカは、高比表面積、ガス吸着能の高さ、微細性、細孔への浸透力や吸着力の大きさ、付着性の高さ、高吸油性等の優れた特性を活かして、幅広い分野で利用されているものである。これらのうち、コロイダルシリカは、ケイ酸化合物から不純分を除去して無水ケイ酸ゾルとし、pH及び濃度を調整してゾルを安定化させた、球状、連鎖状、不定形等の形状を有する非晶質シリカである。シリカゲルは、ケイ酸ナトリウムを無機酸で分解することによって得られる含水ケイ酸である。また無水シリカは、四塩化ケイ素の加水分解によって得られるものである。
再生粒子凝集体の表面にシリカを析出させ、シリカ被覆再生粒子凝集体を得る方法には特に限定がないが、例えば以下の方法を好適に採用することができる。まず、再生粒子凝集体をケイ酸アルカリ溶液に添加、分散させ、スラリーを調製した後に加熱攪拌しながら、液温を70〜100℃程度に保持して酸を添加し、シリカゾルを生成させる。次いで最終反応液のpHを8〜11の範囲に調整することにより、再生粒子凝集体の表面にシリカを析出させることができる。このようにして再生粒子凝集体の表面に析出されるシリカは、ケイ酸アルカリ(例えばケイ酸ナトリウム:水ガラス)を原料として、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸の希釈液と高温下で反応し、加水分解反応とケイ酸の重合化により得られる、粒子径が10〜20nm程度のシリカゾル粒子である。
また、ケイ酸ナトリウム溶液等のケイ酸アルカリ溶液に希硫酸等の酸を添加することによって生成する、粒子径が数nm程度のシリカゾル微粒子を、再生粒子凝集体の多孔性を有する表面全体を被覆するように付着させ、このシリカゾル微粒子の結晶成長に伴う、無機微粒子表面上のシリカゾル微粒子と再生粒子凝集体に包含されるケイ素やカルシウム、アルミニウムとの間で生じる結合により、再生粒子凝集体の表面にシリカを析出させることもできる。この場合、ケイ酸アルカリ溶液に酸を添加する際のpHは、中性〜弱アルカリ性の範囲とし、好ましくはpHを8〜11の範囲に調整する。これは、pHが7未満の酸性条件になるまで酸を添加してしまうと、シリカゾル粒子ではなくホワイトカーボンが生成する恐れが生じるからである。
なお、前記ケイ酸アルカリ溶液の種類には特に限定がないが、入手が容易である点からケイ酸ナトリウム溶液(3号水ガラス)が特に望ましい。このケイ酸アルカリ溶液の濃度としては、再生粒子凝集体中のシリカ成分が低下し、再生粒子凝集体の表面にシリカが析出し難くならないようにするには、溶液中のケイ酸分(SiO2換算)が3質量%以上であることが好ましく、再生粒子凝集体の表面に析出されるシリカが、シリカゾルの形態からホワイトカーボンになり、再生粒子凝集体の多孔性が阻害され、不透明度やトナー定着性の向上効果が不充分になる恐れをなくすには、該ケイ酸分(SiO2換算)が10質量%以下であることが好ましい。
シリカ被覆処理して得られたシリカ被覆再生粒子を、ジェットミルや高速回転式ミル等の乾式粉砕機、又はアトライター、サンドグラインダー、ボールミル等の湿式粉砕機を用いて粉砕し、目的とするシリカ被覆再生粒子凝集体とすることができる。顔料は、一般にその粒径が均一化、微細化されていることが好ましく、シリカ被覆再生粒子凝集体においてもやはり、粒径が均一化、微細化されていることが好ましく、粒子径が1〜30μmである粒子の割合が80質量%以上に調整されていること、粒子径が40μm以上である粒子の割合が0.4質量%以下に調整されていることが好ましい。
かくして得られる再生粒子凝集体は、その粒子構成成分として、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを含有しており、粒子中でこれらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムが複合体を形成している。再生粒子凝集体中のこれらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの質量割合(カルシウム:ケイ素:アルミニウム)は、X線マイクロアナライザー(型番:E−MAX・S−2150、(株)日立製作所/(株)堀場製作所製)を用いた元素分析にて、酸化物換算で、30〜82:9〜35:9〜35、好ましくは40〜82:9〜30:9〜30、特に好ましくは60〜82:9〜20:9〜20である。なお、特に再生粒子凝集体がシリカ被覆再生粒子凝集体である場合には、これらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの質量割合(カルシウム:ケイ素:アルミニウム)は、前記X線マイクロアナライザーを用いた元素分析にて、酸化物換算で、30〜62:29〜55:9〜35、好ましくは30〜50:35〜55:15〜30である。また同時に、前記粒子構成成分中の、これらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの合計含有割合は、前記と同様の元素分析にて、酸化物換算で、90質量%以上、好ましくは94質量%以上である。
このように、再生粒子凝集体がその粒子構成成分として、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、酸化物換算で、前記質量割合で含有しているので、その比重が軽く、過度の水溶液吸収が抑制され、脱水工程における脱水性が良好であり、乾燥工程における水分調整が容易であるだけでなく、焼成工程における未燃物の割合が減少し、焼結による過度の硬さを生じる恐れを低減することができる。
また、カルシウムが酸化物換算で30質量割合以上含有された再生粒子凝集体を顔料として用いる場合には、特に得られる塗工紙の白色度を向上させることができる。
再生粒子凝集体中のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの質量割合を、酸化物換算で例えば前記範囲内に調整するには、本来、脱墨フロスにおける原料構成を調整することが好ましいが、乾燥工程や焼成工程、さらには必要に応じて分級工程において、由来が明確な塗工フロスや調整工程フロスをスプレー等で含有させる方法や、焼却炉スクラバー石灰を含有させる方法を採用することも可能である。
例えば、再生粒子凝集体中のカルシウムの含有割合を調整するには、中性抄紙系の排水スラッジや、塗工紙製造工程の排水スラッジを、ケイ素の含有割合を調整するには、不透明度向上剤として多量添加されている新聞用紙製造系の排水スラッジを、アルミニウムの含有割合を調整するには、酸性抄紙系等の硫酸バンドが使用された抄紙系の排水スラッジや、クレーの使用量が多い上質紙抄造工程の排水スラッジを、各々適宜用いることができる。
またカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの合計含有割合を、酸化物換算で90質量%以上に調整するには、例えば排水スラッジの凝集処理に鉄分を含有しない凝集剤を使用する手段や、前記したように、製造設備工程を鉄以外の素材で設計又はライニングし、摩滅等により鉄分が系内に混入するのを防止したり、さらには乾燥・分級設備内に磁石等の高い磁性体を設置して鉄分を除去する手段等を採用することが可能である。特に鉄分は、酸化により白色度を低下させる起因物質になるため、選択的に除去することが好ましい。
ところで、炭酸カルシウムには、六方結晶系のカルサイト結晶(方解石)や、斜方結晶系のアラゴナイト結晶(あられ石)などの同質異像が存在する。天然に産する石灰石はそのほとんどがカルサイト結晶であり、貝殻類にはカルサイト結晶のほか、アラゴナイト結晶も存在する。さらに炭酸カルシウムには、天然ではないが、バテライト結晶も存在する。前記脱墨フロスから得られるカルシウムは多種多様であるが、焼成凝集化することでほぼ均一の炭酸カルシウム性状となる。したがって、該カルシウムは再生粒子凝集体そのものの品質安定性に寄与し、該再生粒子凝集体は、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムといった異なる成分が複合体となった粒子で構成される凝集体でありながら、安定した性状を示す。
また再生粒子凝集体は、その粒子構成成分としてケイ素を含むが、該ケイ素からなるシリカの一次粒子は微細であるので、光学的屈折率が高い。このようなケイ素が酸化物換算で9質量割合以上含有された再生粒子凝集体を顔料として用いる場合には、得られる塗工紙の不透明度がさらに向上する。特にシリカ被覆再生粒子凝集体を顔料として用いることで、不透明度をさらに向上させることができる。
さらに再生粒子凝集体は、微細な粒子が二次凝集した柔軟かつポーラスな性状を有するので、嵩高な紙層形成に寄与し、該再生粒子凝集体をアンダーコート層の顔料として用いた塗工紙は、密度が低く、取りまわしが良好な剛度を有する。
本発明に用いられる再生粒子凝集体の粒子径は、例えば一次粒子が凝集した二次粒子として、アンダーコート層の形成性が低下し、コスト高とならないようにするには、そのメタノール分散溶液をコールターカウンター粒度分布測定装置(TA−II型、COULTER ELECTRONICS社製)にて測定して、粒子径が1〜30μmである粒子の割合を80質量%以上に調整すること、粒子径が40μm以上である粒子の割合を0.4質量%以下に調整することが好ましい。
(B)接着剤
(澱粉)
アンダーコート層に含まれる接着剤として用いられる澱粉は、例えばカルボキシメチル澱粉(アニオン性)、ヒドロキシアルキル澱粉(ノニオン性)、リン酸澱粉(アニオン性)等の変性澱粉は、紙中に浸透しながら、引張り強度や表面強度を向上させる効果を有するものの、ノニオン性又はアニオン性を示すため、アニオン性を呈するパルプ繊維表面への定着性がわるく、被膜性が低い。したがって、アニオン性を呈するパルプ繊維表面への定着性が高いカチオン性澱粉が多用されている。カチオン性澱粉の場合には、パルプ繊維に対する定着性良く、被膜性に優れ、また表面強度も向上する。
さらに、本実施形態では、印刷時のインク濃度及びインクセット性が飛躍的に向上し、さらには基紙表面の被覆性に優れるという点から、チキソトロピック性を有するエステル化澱粉を用いることがより好ましい。
チキソトロピック性を有する澱粉は、例えばフィルム転写方式による塗工において、剪断力が加わっている時点では、粘性が低く流動性が高い状態で基紙表面に塗工され、塗工後の剪断力がなくなった状態では粘性を示し流動性が低くなるので、基紙内への塗工液の浸透が抑制され、高い被覆性を有するアンダーコート層を形成することができる。
エステル化澱粉は原料澱粉をエステル変性して得られるが、該原料澱粉としては、例えば未処理澱粉、処理澱粉のほか、各種澱粉含有物が用いられる。かかる原料澱粉としては、例えば小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、甘薯澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、モチトウモロコシ粉、高アミロース含量トウモロコシ澱粉等の未処理澱粉、小麦粉、タピオカ澱粉、コーンフラワー、米粉等の澱粉含有物や、これらの未処理澱粉及び澱粉含有物の酸化、酸処理化等を行ったもの等があげられる。なかでもタピオカ澱粉は、エステル変性物が、粘性、被膜性、弾力性、伸展性の面で他の穀物澱粉類よりも優れる点から特に好ましい。
エステル化澱粉について、そのエステル化度には特に限定がないが、導入されるエステル結合の平均数で、グルコース単位当り1〜3、さらには1〜2であることが好ましい。エステル化澱粉の中でも、ヒドロキシエステル化澱粉が特に好ましい、該ヒドロキシエステル化澱粉は、原料澱粉に酸化処理を施し、カルボキシメチル基をヒドロキシエチル基へ還元反応させることにより、容易にかつ安価に得ることができる。
最適なのは、エステル変性された澱粉の末端基に疎水性基を導入した、疎水性基含有エステル変性タピオカ澱粉である。
さらに、前記のほかに好適に使用することができるエステル化澱粉としては、末端基にカルボン酸(−COOH)構造を有し、中性領域において、−COO−のようにイオン化することで水素結合による繋がりを確保することができず、反発性を示すことによるチキソトロピカルな挙動を示すエステル化澱粉があげられる。このようなエステル化澱粉は、塗工時において流動性を示しながら、基紙表面に塗布後は基紙中に浸透し難く、基紙表面に高い被膜性を呈することから好ましく、加えて被膜性の高いPVAのようなバインダー樹脂を含有させることによって、本発明の目的がより充分に達成される。
前記エステル化澱粉としては、特に、タピオカ澱粉を主原料にエステル変性させた1−オクテニルコハク酸エステル化澱粉が好ましい。該1−オクテニルコハク酸エステル化澱粉は、粘性、被膜弾力性、被覆性の点で特に優れており、PVAと組み合わせることにより、さらに顕著な被覆性と、印刷時のインク濃度やインクセット性との向上を図ることができる。
(PVA)
一般に、PVAを単独で基紙表面に塗工した場合には、澱粉を単独で塗工した場合に比べて、ほぼ3倍の表面強度を示し、被膜性に優れる反面、被膜性が高いために、コールドセット型インクのように、用紙中に溶媒が浸透して乾燥する印刷インクの場合、該印刷インクの溶媒の吸収性が悪く、インクのインクセット性が劣る。また、PVAを単独で一定量塗工する場合には、塗工液の粘性が高く、フィルム転写方式では、断紙、抄紙設備の汚れ、粕、紙面の汚れ等の問題が生じるため使用することができない。したがって、本発明では、PVAと前記澱粉とを併用し、印刷時に、インク溶媒の塗工紙中への浸透を適度に促しながら、インク顔料成分を塗工紙表面に留め、被膜性が向上させるとともに、インクセット性の低下も抑制する。
本実施形態にて用いるPVAの種類には特に限定がない。本実施形態にて使用し得るPVAとしては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のPVAの他に、例えば末端をカチオン変性したPVAやアニオン性基を有するアニオン変性PVA等の変性PVAもあげられる。
PVAの平均重合度は300〜3000であることが好ましく、特に1500〜2000、さらには1700〜2000であることが、澱粉との相溶性に優れ、均質な被膜性を得易くなるので、より好ましい。
また、PVAのケン化度は80以上、さらには90以上であることが好ましく、特にケン化度が100に近い高ケン化PVAが好ましい。このような高ケン化PVAを用いた場合には、低ケン化PVAよりも、塗工紙表面に耐水性・耐熱性を有する被膜がさらに形成され易くなる。
また高ケン化PVAは、澱粉との親和性がよく、短時間で澱粉とPVAとのブレンドが可能であり、操業性を向上させることができるとともに、塗工設備においてミストの発生をより低減させることができる。
さらに、ケン化度がより高く、重合度も大きいPVAを用いた場合には、高いインク濃度を得ながら、オフセットインクの優れたインクセット性を実現することができる。また、塗工紙に印刷した後に積層しても、裏面へのインク転写を充分に防止することができる。
(澱粉とPVAとの割合)
アンダーコート層における前記澱粉と前記PVAとの質量割合(澱粉:PVA)は、固形分比で、10:0.8〜10:2.0、好ましくは10:0.9〜10:1.2である。澱粉に対するPVAの割合が10:2.0を超えると、急激に塗工液粘度が上昇するため、塗工ムラやミストが発生し易く、塗工品質の低下や設備周辺の汚損が生じる。他方、澱粉に対するPVAの割合が10:0.8を下回ると、澱粉とPVAとの相溶性には問題がないものの、基紙表面に塗工した際に、澱粉とPVAとの相乗効果を得難く、用紙中への浸透やムラが生じる。澱粉とPVAとの割合を前記範囲に設定することで、これら澱粉とPVAとの相乗効果が充分に確保され、印刷時に、インクの顔料成分を塗工紙表面に留めることによって高いインク濃度を発現させ、またインク中の溶媒をより早く塗工紙内部に吸収させることによって迅速にインクセット性を発現させることができる。
さらに、アンダーコート層を形成するためのアンダー塗工液には、前記顔料と、澱粉及びPVAを含む接着剤との他にも、必要に応じて、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類、ポリアクリルアミド類、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子、大豆蛋白、酵母蛋白、セルロース誘導体等の天然接着剤や、表面サイズ剤、防滑剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、流動変性剤、染料、耐水化剤、保水剤等の各種助剤を、本発明の目的を阻害しない範囲で配合することもできる。
このように、本発明では基紙表面に、前記のごとき特定組成のアンダーコート層が設けられるので、フィルム転写設備において、塗工層を形成するための塗工液の基紙へ浸透(沈み込み)が充分に防止され、例えば、粒子径が1〜30μmである粒子の割合が80質量%以上であり、かつ粒子径が40μm以上である粒子の割合が0.4質量%以下の合成シリカを顔料として使用した場合であっても、極めて高い被覆性が得られる。したがって、塗工紙において高い不透明度、白紙光沢及び印刷光沢が発現され、またアンダーコート層にてあらかじめ平坦化処理が施されているので、上層の塗工層に対する平坦化処理が略不要となり、塗工紙の嵩高性や剛度が向上する。
本発明の塗工紙は、基紙表面に前記アンダーコート層が設けられ、該アンダーコート層が、好ましくは後述するように平坦化処理され、平坦化処理されたアンダーコート層上に塗工層が設けられるものである。
次に、アンダーコート層上に設けられる塗工層について説明する。該塗工層は、前記したように、顔料及び接着剤を主成分とするものである。
前記塗工層に含まれる顔料及び接着剤の種類には特に限定がないが、例えば、顔料及び接着剤いずれも、前記アンダーコート層に含まれる顔料及び接着剤と同様の成分を、各々好ましく例示することができる。
また塗工層中の顔料と接着剤との割合は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定がないが、顔料100質量部に対して接着剤が固形分で40〜60質量部程度であることが好ましい。
さらに、塗工層を形成するための塗工液(上層塗工液)には、前記顔料及び接着剤の他にも、必要に応じて、クレー、タルク等の顔料、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類、ポリアクリルアミド類、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子、大豆蛋白、酵母蛋白、セルロース誘導体、スチレンブタジエンラテックス等のラテックス類等の接着剤や、表面サイズ剤、防滑剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、流動変性剤、染料、耐水化剤、保水剤等の各種助剤を、本発明の目的を阻害しない範囲で配合することもできる。
(製造方法)
次に、本実施形態に係る塗工紙の製造方法について、例をあげて以下に説明する。
本実施形態は、運転速度1300m/分以上(例えば、平均運転速度で1600m/分、設計運転速度で1800m/分)の高速で抄紙し、アンダーコート層及び塗工層の塗工、表面仕上げを行うことにより、例えば、基紙坪量が35〜50g/m2、好ましくは35.2〜45.8g/m2であり、製品坪量が40〜64g/m2、好ましくは51.2〜62.8g/m2である塗工紙を製造する方法の一例である。
以下、本実施形態を、図1〜5の塗工紙製造設備の構成フロー図及び図6〜9の設備・装置構成図に基づいて説明する。
(ワイヤーパート(ヘッドボックス))
図1は、本実施形態に用いる塗工紙製造設備の構成例の第1ゾーンを示す概略説明図である。本実施形態においては、それぞれループをなす2枚のワイヤー(第1ワイヤー1及び第2ワイヤー2)間にヘッドボックス3から紙料(ジェット)J(図6参照)を噴出して紙層を形成するギャップフォーマー10で抄紙する抄紙機が設置されている。紙料Jは、ワイヤーパートにおいて、サクション(フォーミング)ロール4Aと対向するロール4Bとの間のワイヤー1、2間に吐出されて紙層が形成され、その紙層はサクションロール4A、ブレード5、サクションクーチロール6、サクションボックス7等を通りながら、例えば原料濃度20質量%程度まで脱水される。
ここで、脱水機構として、図面ではロール脱水手段及びブレード脱水手段の併用形態を示した。該脱水機構は、好ましくは両方(併用)であるが、一方のみとすることもできる。ワイヤーパートでの脱水を、ヘッドボックス3から吐出させた紙料Jをサクションロール4Aにて緩やかに行うことで微細繊維を湿紙中に留め、さらにブレード5による脱水手段にて脱水を進めることでインターナルボンドの低下を防ぐことができる。
ヘッドボックス3は、鉛直又は下流側に傾斜した状態で上向き設置され、図6の概略説明図に拡大して示すように、紙料吐出方向線が水平線となす吐出角度θが、50〜90°であることが望ましい。本実施形態にて意図する高速抄紙のもとでは、地合、Z軸強度、表裏差、繊維配向角などの点から、繊維重量の影響が小さくなる上向きヘッドボックスであることが望ましい。ギャップフォーマー10において、ヘッドボックス3が水平等であると、高速抄紙のもとで求める特性が得難い。
(プレスパート)
ワイヤーパートでの紙層は、プレスパートに移行され、更に脱水が行われる。
本実施形態におけるプレスパートは、第1プレス21及び第2プレス22のそれぞれがシュープレス21a又はシュープレス22aを有し、オープンドローをなくして断紙を防止するために、紙層をストレートにニップする形態(ストレートスルー型プレス)となっている。また、ダブルフェルトの第1プレス21に対して第2プレス22はボトム側にベルトを採用し、再湿防止による脱水の向上を図っている。紙層坪量が64g/m2以上と高くなり、脱水量が多くなる場合には、ダブルフェルトが望ましい。
(プレドライヤーパート)
図2は、本実施形態に用いる塗工紙製造設備の構成例の第2ゾーンを示す概略説明図である。プレスパートを通った水分率50%程度の湿紙(湿紙層)は、シングルデッキ方式のプレドライヤーパートに移行し、乾燥が図られる。図1及び図2に示すプレドライヤーパートは、ノーオープンドロー形式のシングルデッキドライヤーで、上側が加熱ロール31、下側が真空ロール32とされた、適宜の本数のロール構成である。
シングルデッキ方式のドライヤーは、本実施形態にて意図する1300m/分以上の高速運転(抄紙)においても断紙が少なく、また、嵩を落とすことなく高効率に乾燥を行うことができ、品質・操業面において優れている。この点、ダブルデッキ方式のドライヤーでの乾燥も考えられるが、高速抄紙におけるキャンバスマーク、高速乾燥における断紙、シワ、紙継ぎ等の操業性の面で、シングルデッキ方式よりも劣る。
プレドライヤーパート初期では、ドロー調整のために群分けを細かくし、また通紙性及びシート走行性向上のために、サクションボックス33を設置することが望ましい。
(アンダーコートパート)
図3は、本実施形態に用いる塗工紙製造設備の構成例の第3ゾーンを示す概略説明図である。図3(a)に示すように、プレドライヤーパートにて乾燥された紙匹(乾燥紙層)は、アフタードライヤーパートとの間のフィルム転写(方式)によるアンダーコーター40において、アンダー塗工液が両面に塗工される。
アンダーコーター40としては、本発明においては、好ましくはフィルム転写装置が使用され、例えば、図3(a)に示したロッドメタリングサイズプレスコーター(符号40)のほか、図3(b)に別途示したゲートロールコーター(符号40A)等を使用することができる。抄速1300m/分以上のオンマシン高速抄紙において、断紙は生産効率ダウン、塗工品質ムラが生じる最も大きな問題である。そこで、原紙(基紙)に物理的外力を比較的かけずに塗工を行うことが可能な塗工手段として、フィルム転写方式を用い、原紙表面の被覆性が高くなる塗工液転写による輪郭塗工を行うことで、塗工品質が安定したアンダーコート層を設けることができる。
本実施形態におけるアンダー塗工液は、前記したように、顔料と、接着剤として澱粉及びPVAとを少なくとも含むが、該アンダー塗工液の塗工量は、含有成分の固形分換算で片面当り0.5〜4g/m2、さらには1〜3g/m2であることが好ましい。該塗工量が0.5g/m2未満であると、基紙の被覆性が充分ではなく、高い不透明度や剛度を得ることができないおそれがある。他方、塗工量が4g/m2を超えると、不透明度の低下によって紙の密度が増大して透気度が低下し、ブリスターの発生や剛度の低下が起こり、オンマシン抄造における走行性が悪くなり、断紙等のトラブルが発生し易くなるおそれがある。
前記フィルム転写方式の塗工手段としては、例えばゲートロールコーター、ツーロールサイズプレス、オプチサイザー、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス等を使用することができる。ただし、ロッドメタリングサイズプレスを使用する場合は、操業上、ストリークの発生を避けるために、表面が平滑なロッドを用いることが望ましい。このロッドの直径を15〜50mmとすることにより、より好ましい操業性と品質を得ることができる。直径が15mmよりも小さいロッドでは、フィルム形成性能が低く、面状が劣る傾向がある。他方、直径が50mmよりも大きいロッドを用いたとしても、相当の効果は得られない。ロッドとしては、溝付きロッド、ワイヤー線巻き付けロッド等を使用することもできる。
アンダー塗工液の塗工後、アフタードライヤーパートにおいて表面汚れが生じないように、あらかじめエアーターンバー41及び赤外線を使用した補助乾燥装置42を設置することが望ましい。
(アフタードライヤーパート)
図3(a)に示すシングルデッキ方式のアフタードライヤーパートでは、アンダー塗工液の乾燥が行われる。
(プレカレンダーパート)
その後、コーターパートにて、顔料及び接着剤を主成分とする水性塗工液(上層塗工液)を塗工し、インク受容層を形成する。この場合、1300m/分以上の抄紙速度条件下で、坪量40〜64g/m2において、低塗工量で、しかも高い平滑性及び光沢性を示す高品質の塗工紙が求められるので、後述するように、水性塗工液を輪郭塗工することができるフィルム転写塗工とすることが好ましい。
しかるに、水性塗工液のフィルム転写塗工に先立って、より高い平滑性を確保するために、アンダー塗工液を塗工して形成されたアンダーコート層の表面を平坦化処理(平滑化処理)する。該平坦化処理には、図3(a)に示すように、プレカレンダー50を用いることが望ましい。本実施形態におけるプレカレンダー50は、上側が金属ロール51、下側が弾性ロール52のソフトカレンダーである。プレカレンダー50は、1段又は必用に応じ2段以上の組み合わせとすることもできる。
プレカレンダー50での処理により、基紙のアンダーコート層の表面を平坦化処理することができるとともに、後の熱ソフトカレンダーで過度の平坦化処理を必要とせず、紙の緊度を高くすることなく基紙表面の平滑性を向上させることが可能になり、嵩高な塗工紙を得ることができる。また、基紙表面の平坦化処理により塗工液の転写性を向上させ、ミストやボイリングの発生を抑制し、塗工液の塗工ムラの発現を抑制することができる。
プレカレンダー50における金属ロール51の、JIS B 0601「表面粗さの定義と表示」にて規定の表面粗さは0.02〜0.2μmであることが好ましく、弾性ロール52のショアーD硬度は90以上であることが好ましい。
また、プレカレンダー50でのニップ圧は5〜50kN/m、さらには10〜40kN/mであることが好ましい。該ニップ圧が5kN/m未満であると、処理後のアンダーコート層の平滑性が充分に向上しないおそれがある。他方、ニップ圧が50kN/mを超えると、最終的に得られる塗工紙の緊度が過度となるおそれがある。
プレカレンダー50の金属ロール51としては、必要に応じて、後述する熱ソフトカレンダーと同様にオイル等の熱媒体を流通させて加熱するもの、ロール幅方向に分割温度制御可能な電磁誘導作用による内部加熱装置を備えるもの、ロール幅方向に分割温度制御可能な電磁誘導作用による外部加熱装置を備えるもの、ロール幅方向に冷却温度制御可能なクーリング設備を備えるもの、等を採用することができる。
(コーター(塗工)パート)
本実施形態におけるコーターパートにおいては、基紙両面(平坦化処理されたアンダーコート層上)への塗工液(上層塗工液)の塗工を担う工程を有する。すなわち、基紙表面への塗工機61A、ガス式エアードライヤー62、62、カンバスドライヤー63が順に設置されている。望ましくは、塗工機61Aの後段に、幅方向の乾燥ムラを防止するために、幅方向に温度制御可能な赤外線乾燥装置68を設ける。また塗工機61Aの後段に、主に水分率調整のために、幅方向に温度制御可能な赤外線乾燥装置を設けることが望ましい。必要に応じて、ガス式エアードライヤー62、62の後段に赤外線乾燥装置を設けることも可能である。
塗工機61Aでは、フィルム転写方式の塗工機を使用することが好ましく、特にゲートロールコーター、ロッドメタリングサイズプレスを使用することが好ましい。フィルム転写方式の塗工機を使用すると、抄速1300m/分以上の高速オンマシン塗工において、断紙を生じさせずに、平滑性がさらに高いより均一な塗工層を得ることができる。
一方、塗工機61Aがフィルム転写方式の塗工機である場合、塗工液(上層塗工液)の塗工量は片面当り3.5〜8g/m2、さらには4〜7g/m2に調整されていることが好ましい。塗工液の塗工量が3.5g/m2未満であると、塗工液の白紙光沢や印刷光沢が充分に得られないおそれがある。他方、塗工液の塗工量が8g/m2を超えると、塗工液コストが嵩むだけでなく、高速塗工においての塗工量制御が不安定になり、ミストやボイリングの発生が危惧され、均一な塗工層を設けることが困難となるおそれがある。また、時流である塗工紙の軽量化の流れに反するものとなる。
なお、上記塗工液の塗工工程が、フィルム転写方式による両面同時塗工である場合を例示したが、ブレード塗工等を採用することもできる。
このように、本発明の塗工紙を製造する際に、平坦化処理されたアンダーコート層上に塗工層を設けた場合には、従来問題であった手肉感(剛度)がより向上し、さらに優れた印刷適性及び高い剛度の両立が可能になる。
(カレンダーパート及びリールパート)
図4は、本実施形態に用いる塗工紙製造設備の構成例の第4ゾーンを示す概略説明図である。本設備の最後には、熱ソフトカレンダーからなるオンマシンカレンダー70が設置されており、カレンダー処理が行われる。図4(a)に示すオンマシンカレンダー70は、7ニップの1スタック型であり、ロール自重の影響を少なくしたヤヌスタイプの傾斜配置となっている。オンマシンカレンダーは、勿論、オプチロードタイプの垂直配置でもよい。
オンマシンカレンダー70は、塗工紙の最終的な平滑性及び光沢性を左右する。したがって、この観点及び高速運転の観点から種々配慮することが好ましい。
オンマシンカレンダー70の段数は、少なくとも2ニップを有することが好ましく、複数段に構成された金属ロールMと弾性ロールDとの組み合わせからなる熱ソフトカレンダーにてカレンダー処理することがより好ましい。特に、マルチニップカレンダー、中でも6段、8段、10段のマルチニップカレンダーが最適である。図4(b)に10段のマルチニップカレンダーの一例を別途示す。さらに、全段独立してニップ圧の調整が可能なマルチニップカレンダーが最適である。
他方、熱ソフトカレンダーは、オイル等の熱媒体を流通させて加熱するものでもよいが、これでは表面温度180℃程度が限界である。高速での運転を図るためには、例えば図7〜図9の概略説明図に示すように、金属ロールMは、その幅方向に分割温度制御可能な電磁誘導作用による内部加熱装置が装備され、金属ロールMの表面温度を230℃以上、特に230〜500℃として処理するものが望ましい。図7〜図9に示したのは、シェル74内の鉄芯72の周囲に誘導コイル71が巻回され、ジャケット室73を通る熱媒体を加熱するものの一例である。
金属ロールMの表面温度を230〜500℃、特に300℃を超えて380℃以下として表面処理を施し、できる限り低いニップ圧で基紙(塗工紙)が全層に渡って潰れないようにすることにより、嵩の低下を防ぎ、不透明度の低下も抑制することが可能となる。要すれば、いわば極高温のアイロンを短時間で当てる形態である。
金属ロールMの表面温度のコントロール方法としては、前述のように、金属ロールMの内部に温水や油を循環させる方法のほか、非回転部としての内側に設けた鉄芯72の周囲に誘導コイル71を設け、この誘導コイル71に交流電流を流すことで、誘導コイル71に磁束を発生させ、回転部としての外側のシェル(外筒)74の内側に誘導電流を誘起させ、その抵抗熱によって外側のシェル(外筒)74自身を自己発熱(誘導発熱)させる、「電磁誘導作用による内部加熱装置」による方法が、高温処理のため特に優れる。また、この電磁誘導作用による内部加熱装置によれば、誘導コイル71をロールの幅方向(ロール自体の長手方向)に分割(例えば3〜6分割)し、シェル74に設けた温度センサ75による温度信号に基づき、対応する誘導コイル71に流す交流電流量を制御することで、ロールの幅方向の特に表面の温度制御が高精度で可能となる。
この場合、特にシェル74の内部に長手方向に延びるジャケット室(路)73を、周方向に間隔を置いて多数、例えば10〜90本程度設け、これらを相互に連通させ、内部に熱媒体を封入しておく構造のものが、シェル74の自己発熱による熱を吸収し、熱を金属ロールMの表面全体において均一化することができる点で優れる。
基紙(塗工紙)を高温で表面処理すると、基紙(塗工紙)の表層部だけでなく、内層部の温度も高くなり、その結果、基紙(塗工紙)が表層部だけでなく、全層に渡って潰れ易くなるため、嵩が低下する。しかるに、極めて高い温度で短時間の通紙を図る場合には、内層部への熱移動は極力防止することができ、嵩の低下を防止することができる。
他方、金属ロールMの表面温度の高温化に伴って、金属ロールMのシェル74に厚み方向の応力が発生し、ロールプロフィールが崩れがちとなり、紙厚プロフィールの制御性が低下する。また、電磁誘導作用による内部加熱装置に依存する場合には、金属ロールMの表面温度の、時間当たりの温度応答性が良好とはいえない。さらに、これに起因して幅方向の温度応答性が低いため、温度制御性が悪いことによる歩留まり低下の原因となる。そこで、金属ロールMの近傍には、ロール幅方向に分割温度制御可能な電磁誘導作用による外部加熱装置及びロール幅方向に冷却温度制御可能なクーリング設備の少なくとも一方が装備されていることが望ましい。
この例を図8に基づいて説明すると、金属ロールMは、シェル74、誘導コイル71、鉄芯72、温度センサ75、交流電源76及びジャケット室(路)73を有する。この金属ロールMに対して、幅方向に分割制御可能な外部電磁誘導作用による外部加熱装置77を金属ロールM近傍に設け、各段において、基紙の高温ニップ域を構成する。
外部加熱装置77は、電磁誘導加熱の原理を応用したもので、図に示すように、ワークコイル77Aに交流電源(インバータ)77Bからの交流電流(例えば3〜20kHzの高周波)を流し、磁界を発生させて、シェル74の表面部に渦電流を生成させ、自己発熱させるものである。ワークコイル77Aとシェル74の表面との離間距離は、2〜20mm、特に2〜5mm程度が望ましい。また、単位ワークコイル77Aは、金属ロールMの軸心に対して交差する斜め配置とすることが、加熱用プロフィールの均一化のために望ましい。ロール幅方向のゾーン制御ピッチは、75〜150mm程度であり、ゾーン当りの定格電力は4〜20kWとすることができる。
ロール幅方向に冷却温度制御可能なクーリング設備78の例としては、図9に示すように、ファン78aからのエアーをヘッダ78bに送り、連通孔が形成された調整板78cを通して温度調節室78d内に送入し、この温度調節室78d内に設けたコイル78eを温度調節手段78fにより冷却することにより、小孔を有する分散板78gを通る送風の温度を制御するものである。
カレンダー70でのニップ圧は、200〜450kN/m、特に300〜450kN/mが望ましい。カレンダー70にて平滑化処理(平坦化処理)された基紙(塗工紙)は、最終的にリール80にて巻き取りが行われ、小分け用の巻き取りを仕上げるワインダー(図示せず)がマシンの最終部分に設置される。
なお、本実施形態にて用いられるマルチニップカレンダーは、図4に示すマルチニップカレンダー70に限定されるものではない。図5は、本実施形態に用いる塗工紙製造設備の構成例の第4ゾーンの変形例を示す概略説明図であり、該図5に示すように、例えば1ニップで4スタックからなる金属ロールMと弾性ロールDとからなるソフトカレンダー70Aをマルチニップカレンダー70の替わりに用いてもよい。
(その他)
(1)高速ロール塗工におけるミストの発生原因は、主に次のとおりである。
(a)ロール出口の剥離安定性(紙のバタツキ)によりミストが発生する。
(b)塗工速度が速いほど、ミストが多くなる。
(c)基紙の平滑性が低いほど、ミストの発生が多くなる。
(d)澱粉塗工のない基紙の方が、ミストが多くなる。
(c)及び(d)は、ロール上のカラー塗膜の転写率が低下することにより、(a)の剥離安定性が、ミスト改善に大きな影響を及ぼす。アプリケーターロール出口に、通紙ラインを制御するエアーターンバーを設け、ボトムロールに沿った剥離からトップロールに沿った剥離に変更することで、この剥離安定性(紙のバタツキ)を改善することができる。
(2)アンダーコート層が設けられた基紙の平坦化処理により、基紙の吸油性ダウンと表面粗さが減少し、ロールコーターからの塗工液(上層塗工液)を平坦な表面に塗付することができるので、該塗工液の塗工量を、例えば従来の片面当り12g/m2程度から8g/m2程度へと低減させることができる。
(3)塗工層用の塗工液(上層塗工液)を塗工する前に、接着剤として澱粉を含んだアンダー塗工液を基紙表面に塗工することで、表面紙力及び剛度を向上させることができ、塗工層用の塗工液中の、バインダー(例えば澱粉等の接着剤)の配合を少なくすることができる。また、塗工液中の澱粉配合を少なくすることで、スーパーカレンダーの光沢発現性を向上させることができる。
かくして得られる本発明の塗工紙は、JIS P 8143:1996「紙の自重曲げ法によるこわさ試験方法(クラーク法)」に規定の方法に準拠して測定した、縦方向のこわさ(クラーク剛度)が20以上、横方向のこわさ(クラーク剛度)が11以上であることが好ましく、縦方向のこわさが22以上、横方向のこわさが12以上であることがより好ましい。縦方向のこわさが20を下回ると、塗工紙を手にした際に容易に倒れてしまい、塗工紙上の印刷情報の判読や取り扱いが困難になるおそれがある。また横方向のこわさが11を下回ると、塗工紙を書籍や冊子に加工した際に、ページが捲りにくくなり、書籍の成形性が低下するおそれがある。
本発明の塗工紙は、JIS P 8124:1998「紙及び板紙−坪量測定方法」に記載の方法に準拠して測定した坪量(製品坪量)が、40〜64g/m2であることが好ましく、51.2〜62.8g/m2であることがより好ましい。製品坪量が40g/m2を下回ると、印刷作業や加工に必用な紙力が得られにくく、こわさ(クラーク剛度)が低い塗工紙となるおそれがある。他方、製品坪量が64g/m2を上回ると、近年の省資源化、軽量化に反し、製造コスト、流通・搬送費用が高くなるおそれがある。
また本発明の塗工紙は、前記縦方向のこわさ(クラーク剛度)と製品坪量との比(縦方向のこわさ/製品坪量)が、0.38〜0.51に調整されていることが好ましく、0.40〜0.50に調整されていることがより好ましい。かかる比が0.38を下回ると、腰がない塗工紙となり、加工や印刷作業性が低下するほか、手肉感に劣る傾向がある。他方、かかる比が0.51を上回ると、例えば塗工紙の印刷物を新聞への折り込みチラシ等に用いる際に、取り扱い難くなり、新聞の嵩張りや重量感の原因になる傾向がある。
さらに本発明の塗工紙は、JIS P 8142:2005「紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法」に記載の方法に準拠して測定した白紙光沢度が、42%以上であることが好ましく、43〜46%であることがより好ましい。白紙光沢度が42%を下回ると、塗工紙の印刷物において、鮮明でコントラストがよい印刷情報を表現することができず、精細さに欠けるおそれがある。他方、白紙光沢度を46%以下とすることで、近年の高齢化の流れのなか、いわゆるギラギラとした視認を覚えない、眼精疲労を来さない目に優しい塗工紙となる。
次に、本発明の塗工紙を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
本発明にて用いた合成シリカは、エリエール商工(株)の製造プラントを用い、湿式粉砕処理の度合い、分級割合を適宜変更して得られた製品を使用した。
製造例1(再生粒子凝集体の製造)
原料として脱墨フロス(古紙パルプを製造する古紙処理工程より得られた脱墨フロス)を用い、以下に示す条件にて脱水工程、乾燥工程及び焼成工程を経て、湿式粉砕処理を施して再生粒子凝集体を得た。
(a)脱水工程出口
水分率:40質量%
(b)乾燥工程
温度:100℃
(c)焼成工程入口
水分率:2質量%
平均粒子径:400μm
粒子径355〜2000μmの粒子の割合:70質量%
(d)第1焼成工程
未燃率:5質量%
温度:640℃
(e)第2焼成工程
温度:600℃
得られた再生粒子凝集体について、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムの含有量をそれぞれ酸化物換算で求め、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムの合計含有割合を算出した。また平均粒子径も併せて測定した。これらの結果は以下のとおりである。
カルシウム:ケイ素:アルミニウム(質量割合)=59:21:20
カルシウム、ケイ素及びアルミニウムの合計含有量:96質量%
平均粒子径:6.0μm
また、前記再生粒子凝集体を粉砕して5質量%濃度のケイ酸アルカリ水溶液中に混合し、さらに鉱酸として2モル濃度の希硫酸を混合した。この混合液の液温を70℃に保持してpHを9に調整し、再生粒子凝集体の表面にシリカを析出させ、湿式粉砕処理を施してシリカ被覆再生粒子凝集体を製造した。
得られたシリカ被覆再生粒子凝集体について、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムの含有量をそれぞれ酸化物換算で求め、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムの合計含有割合を算出した。また平均粒子径も併せて測定した。これらの結果は以下のとおりである。
カルシウム:ケイ素:アルミニウム(質量割合)=40:45:15
カルシウム、ケイ素及びアルミニウムの合計含有量:96質量%
平均粒子径:4.0μm
なお、前記再生粒子凝集体及びシリカ被覆再生粒子凝集体に関する各種測定値は、以下の方法にて測定した。
(ア)乾燥工程後(焼成工程入口)の乾燥物の平均粒子径
X線マイクロアナライザー(型番:EMAX2770、(株)日立製作所/(株)堀場製作所製)を加速電圧15kVで用い、白黒ポラロイドフィルム(ポラロイド社製、8.5cm×10.8cm)にて、X線マイクロアナライザーディスプレーのX線像を20枚撮影して実測した。
(イ)乾燥工程後(焼成工程入口)の粒子径355〜2000μmの粒子の割合
4.7メッシュの篩にて、粒子径が2000μmを超える乾燥物粒子の質量割合を、42メッシュの篩にて、粒子径が355μm未満の乾燥物粒子の質量割合を想定し、質量割合を測定した。
(ウ)再生粒子凝集体中及びシリカ被覆再生粒子凝集体中のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの含有量(酸化物換算)
X線マイクロアナライザー(型番:E−MAX・S−2150、(株)日立製作所/(株)堀場製作所製)にて元素分析を行った。
(エ)合成シリカ、再生粒子凝集体、シリカ被覆再生粒子凝集体の粒子割合
各粒子サンプル10mgをメタノール溶液8mLに添加し、超音波分散機(出力:80W)で3分間分散させた。この溶液をコールターカウンター粒度分布測定装置(TA−II型、COULTER ELECTRONICS社製)にて、50μmのアパチャーを用いて測定した。ただし、50μmのアパチャーで測定不可能なものについては、200μmのアパチャーを使用した。また電解液として、ISOTON II(商品名、COULTER ELECTRONICS社製、0.7%の高純度NaCl水溶液)を用いた。
実施例1〜13及び比較例1〜5(塗工紙の製造)
まず、表1に示す割合の原料パルプをダブルディスクリファイナーで叩解処理して混合し、紙料を調製した。パルプ種について、針葉樹材(N材)と広葉樹材(L材)と機械パルプとの割合を表1に示す。
次に、表2に示す顔料、澱粉及びPVAをそれぞれ準備した。この顔料100質量部に対して、分散剤としてポリアクリル酸ソーダ0.2質量部を添加し、セリエミキサーで分散させて固形分濃度が20質量%の顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーに、接着剤として澱粉及びPVAを表3に示す割合で加え、さらに水を加えて固形分濃度が10質量%のアンダー塗工液を得た。
次に、実施例1で用いた合成シリカ(エリエール商工(株)製)10質量部及び製造例1で得られた再生粒子凝集体20質量部からなる顔料に、さらにカオリンクレー70質量部を加え、分散剤としてポリアクリル酸ソーダ0.2質量部を添加し、セリエミキサーで分散させた顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーに、接着剤としてスチレンブタジエンラテックス(ガラス転移温度:20℃)16質量部を加え、さらに水を加えて固形分濃度が40〜48質量%の塗工液(上層塗工液)を得た。
次に、前記紙料、アンダー塗工液及び塗工液を用い、図1〜図4に示す塗工紙製造設備にて、運転速度(抄紙速度)1300m/分で塗工紙を製造した。
なお、アンダーコートパートにおいて、アンダーコーターとしては、図3(a)に示すロッドメタリングサイズプレスコーター40を用い、塗工速度1300m/分でアンダー塗工液を塗工した。このアンダー塗工液の片面当りの塗工量を表3に示す。
また、コーターパートにおいて、図3(a)に示す塗工機61Aとしてフィルム転写ロールコーターを用い、塗工速度1300m/分で塗工液を両面塗工した。フィルム転写ロールコーターの各ロール間の圧力を一定にして、塗工量は塗工液の固形分濃度を変更することにより調整した。この塗工液の片面当りの塗工量を表3に示す。
Figure 0003969596
Figure 0003969596
Figure 0003969596
得られた塗工紙について、各種物性及び特性を以下の方法にしたがって調べた。これらの結果を表4、表5に示す。なお、基紙のカナダ標準ろ水度(CSF)、カヤニ平均繊維長及び坪量の測定結果は表1に、アンダーコートの操業性(ミスト発生量、塗工液転写性及びボイリング)の評価結果は表6に示す。
(1)坪量
JIS P 8124:1998「紙及び板紙−坪量測定方法」に記載の方法に準拠して測定した。
(2)カナダ標準ろ水度
JIS P 8220:1998「パルプ−離解方法」に記載の方法に準拠して離解した基紙について、JIS P 8121:1995「パルプのろ水度試験方法」に記載の方法に準拠して測定した。
(3)カヤニ平均繊維長
JIS P 8220:1998「パルプ−離解方法」に記載の方法に準拠して離解した基紙について、カヤニ平均繊維長測定器(FS−100)で測定した。
(4)紙厚
JIS P 8118:1998「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に記載の方法に準拠して測定した。
(5)緊度(バルク密度)
前記JIS P 8118:1998に記載の方法に準拠して測定した。
(6)不透明度
JIS P 8149:2000「紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照明法」に記載の方法に準拠して測定した。
(7)白紙光沢度
JIS P 8142:2005「紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法」に記載の方法に準拠して測定した。
(8)ベック平滑度
JIS P 8119:1998「紙及び板紙−ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」に記載の方法に準拠して測定した。
(9)こわさ(クラーク剛度)
JIS P 8143:1996「紙の自重曲げ法によるこわさ試験方法(クラーク法)」に規定の方法に準拠して測定した。
(10)印刷光沢度
(ア)オフセット印刷用塗工紙としての印刷光沢度
オフセット輪転機(東芝オフセット輪転機、4色、(株)東芝製)にて、B縦サイズの版とオフセット印刷用インキ(商品名:レオエコーM、東洋インキ製造(株)製)とを用い、印刷速度500rpmで塗工紙の表裏面に印刷し、印刷物を得た。得られた印刷物(4色ベタ重ね印刷部)の表裏面の光沢度を、JIS P 8142に記載の方法に準拠して測定した。
(イ)グラビア印刷用塗工紙としての印刷光沢度
大蔵省式グラビア単色印刷機を用い、印刷速度40m/min、印圧10kgf/cmで塗工紙の表裏面に印刷し、印刷物を得た。得られた印刷物(単色ベタ印刷部)の表裏面の光沢度を、前記JIS P 8142に記載の方法に準拠して測定した。
(11)インク着肉性
オフセット輪転機(東芝オフセット輪転機、4色、(株)東芝製)にて、B縦サイズの版とオフセット印刷用インキ(商品名:レオエコーM、東洋インキ製造(株)製)とを用い、印刷速度500rpmで塗工紙の表裏面に印刷し、印刷物を得た。得られた印刷物(4色ベタ重ね印刷部)の表裏面のインク着肉性を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:インク着肉性に非常に優れる。
○:インク着肉性に優れる。
△:インク着肉性にやや問題がある。
×:インク着肉性に問題があり、印刷物として使用に耐えない。
(12)網点欠落(ミスドット)度
前記(10)(イ)でグラビア単色印刷方式にて得られた印刷物の網点欠落状態について、印刷物の1cm四方を切り抜き、20倍の拡大鏡にて網点の欠落を目視にて観察し、欠落数をカウントした。
(13)ミスト発生量
アンダーコートパートにおけるフィルム転写塗工時のミスト発生量を、特開平11−333353号公報に記載の実施例1の方法にしたがって測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:ミスト発生量が非常に少なく、極めて良好である。
○:ミスト発生量が少なく、良好である。
△:ミスト発生量が多く、やや劣る。
×:ミスト発生量が非常に多く、劣る。
(14)塗工液転写性
アンダーコートパートにおけるフィルム転写塗工時の塗工液の転写性を、塗工アプリケーションへの塗工液供給量と塗工量との関係から測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:転写性が非常に高く、極めて良好である。
○:転写性が高く、良好である。
△:転写性が低く、やや劣る。
×:転写性が非常に低く、劣る。
(15)ボイリング
アンダーコートパートにおいて、フィルム転写ロールコーターのインナーロールとアウターロールとの間でのボイリングの程度を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:ボイリングの発生が非常に少なく、極めて良好である。
○:ボイリングの発生が少なく、良好である。
△:ボイリングの発生が多く、やや劣る。
×:ボイリングの発生が非常に多く、劣る。
Figure 0003969596
Figure 0003969596
Figure 0003969596
表4〜表6に示された結果から、実施例1〜13の塗工紙は、アンダーコートパートでのミストやボイリングの発生が少なく塗工適性に優れ、嵩高で高不透明度及び高剛度を有し、白紙光沢度だけでなく、印刷光沢度も好適な範囲であり、インク着肉性が高く、オフセット印刷及びグラビア印刷での印刷適性にも優れ、各種特性を具備したものであることがわかる。
これに対して、比較例1〜5の塗工紙は、アンダーコートパートでのミストやボイリングの発生が多く塗工適性に劣り、不透明度や剛度が低かったり、印刷光沢度が低く、インク着肉性やオフセット印刷及びグラビア印刷での印刷適性にも劣り、各種特性を満足するものではないことがわかる。
本発明の塗工紙は、軽量化、微塗工化が図られたものであり、例えばオフセット印刷やグラビア印刷等に好適に使用することができる。
本実施形態に用いる塗工紙製造設備の構成例の第1ゾーンを示す概略説明図 本実施形態に用いる塗工紙製造設備の構成例の第2ゾーンを示す概略説明図 本実施形態に用いる塗工紙製造設備の構成例の第3ゾーンを示す概略説明図 本実施形態に用いる塗工紙製造設備の構成例の第4ゾーンを示す概略説明図 本実施形態に用いる塗工紙製造設備の構成例の第4ゾーンの変形例を示す概略説明図 ヘッドボックスからの紙料の噴出を示す概略説明図 金属ロールの一例を示す概略説明図 電磁誘導作用による外部加熱装置の一例を示す概略説明図 クーリング設備の一例を示す概略説明図
符号の説明
1 第1ワイヤー
2 第2ワイヤー
3 ヘッドボックス
5 ブレード
10 ギャップフォーマー
21 第1プレス
22 第2プレス
40 アンダーコーター
50 プレカレンダー
51 金属ロール
52 弾性ロール
61A 塗工機
70 オンマシンカレンダー
80 リール
M 金属ロール
D 弾性ロール

Claims (4)

  1. 基紙に、顔料及び接着剤を主成分とする塗工層が設けられた塗工紙であって、
    前記基紙表面に、顔料と、接着剤として澱粉及びポリビニルアルコールとを含むアンダーコート層が設けられ、該アンダーコート層上に前記塗工層が設けられており、
    前記アンダーコート層に含まれる澱粉とポリビニルアルコールとの質量割合(澱粉:ポリビニルアルコール)が、10:0.8〜10:2.0であることを特徴とする、塗工紙。
  2. 少なくとも前記アンダーコート層に含まれる顔料が、合成シリカを主成分とする、請求項1に記載の塗工紙。
  3. 少なくとも前記アンダーコート層に含まれる顔料として、
    古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、該主原料に脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を施して得られた再生粒子凝集体であり、
    その粒子構成成分としてカルシウム、ケイ素及びアルミニウムを含有し、これらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの質量割合(カルシウム:ケイ素:アルミニウム)が、X線マイクロアナライザーを用いた元素分析にて、酸化物換算で30〜82:9〜35:9〜35であり、
    かつ該粒子構成成分中のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの合計含有割合が、酸化物換算で90質量%以上である再生粒子凝集体
    を含有する、請求項1又は2に記載の塗工紙。
  4. 少なくとも前記アンダーコート層に含まれる顔料として、
    古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、該主原料に脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を施して得られた再生粒子凝集体の表面に、さらにシリカを析出させたシリカ被覆再生粒子凝集体であり、
    その粒子構成成分としてカルシウム、ケイ素及びアルミニウムを含有し、これらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの質量割合(カルシウム:ケイ素:アルミニウム)が、X線マイクロアナライザーを用いた元素分析にて、酸化物換算で30〜62:29〜55:9〜35であり、
    かつ該粒子構成成分中のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの合計含有割合が、酸化物換算で90質量%以上であるシリカ被覆再生粒子凝集体
    を含有する、請求項1又は2に記載の塗工紙。
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