JP4856535B2 - 再生粒子凝集体内添紙及びその製造方法 - Google Patents

再生粒子凝集体内添紙及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、再生粒子凝集体内添紙に関するものである。さらに詳しくは、古紙から、再生粒子凝集体内添紙の主要構成要素である原料パルプ、填料を回収して再生、再利用する資源循環型の再生粒子凝集体内添紙に関するものである。内添紙としては、印刷用紙、新聞用紙などを包含する。
古紙リサイクル工程を含む各種パルプ製造工程や製紙工程において発生する排水中には、カオリン、クレー、タルク、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、チタンなどの無機粒子をかなりの比率で含んでいる。これら排水中の固形分処理方法として、従来は、沈殿又は浮上などを利用した固液分離法により固形分が分取され、これを脱水処理して製紙スラッジとし、さらに焼却処理して減容化するとともに、残った焼却灰をセメント原料や炉の保温材として利用するか埋立て処理していた。
近年、環境保全、リサイクルの観点から、古紙の利用が飛躍的に増加し、古紙パルプ製造工程から排出されるCODやSS原因物質が他の製紙スラッジと比較して多いため、古紙パルプ製造工程で排出される製紙スラッジを再利用することが提案されている。
その1つとして特許文献1には、製紙プラント又は紙若しくは古紙を処理するプラントの排出物から得られた製紙スラッジを焼成することで、有機物を含まない粒状炭酸カルシウム含有無機材料を製造する方法が提案されている。この方法では、製紙スラッジを比較的低い温度(600〜800℃)で焼成し、得られた生成物を水性溶媒中に再懸濁し、酸を添加することにより、又は二酸化炭素含有ガスを通すことにより、溶出したカルシウム分の炭酸化を行う。この再生炭酸カルシウムは内添用の填料として再利用できることが記載されている。しかしながら、このように製紙スラッジを焼成して得られた生成物を内添用の填料として再利用する場合における最も大きな問題点は、原料とする製紙スラッジが、抄紙工程でワイヤーを通過して流出したもの、パルプ化工程での洗浄過程で発生した固形分を含む排水から回収したもの、排水処理工程において、沈殿又は浮上などを利用した固形分分離装置によりその固形分を分離、回収したもの、古紙処理工程での混入異物除去したもの等の各種スラッジが混在している点である。また、得られる再生粒子凝集体は、炭酸カルシウムで被覆しても性状が安定せず、填料や塗工用の顔料として使用するには品質が適さず、品質安定性に欠けるものである。
特許文献2には、有機物と無機粒子の混合物(所謂製紙スラッジ)を、酸素含有ガスの存在を制限した貧酸素条件下で炭化処理し、次いで酸素含有ガスの存在条件下で脱炭素し、得たメジアン径0.5〜5μmの再生粒子を1〜30重量%含有し、かつ、カチオン化高分子を内添したことを特徴とする填料内添紙が紹介されている。
この方法において注目すべきは、カチオン化高分子を再生粒子に含有させ、紙料に内添することによりカチオン化高分子の架橋反応による凝集能により填料歩留りの一層の改善と再生粒子凝集体の添加量削減が図れることを示唆している点である。
しかしながら、カチオン化高分子は、再生粒子だけでなく、パルプ原料特に古紙パルプを配合する場合には古紙パルプ中に含まれる灰分とも凝集を来たし、機械パルプを配合する場合には、機械パルプ中の樹脂分とも反応してしまうために、再生粒子内添紙の白色度の低下やバラツキを招きやすく、特筆すべき問題として、密度が高くなり嵩が出難い問題が生じるため、不透明度が低下し、過剰に凝集した場合には、例えば印刷ムラ等の原因となる。
特許文献3には、再生粒子の製造工程において生じる非常に微細な再生粒子を、カチオン化高分子を用いて微細な再生粒子と原料パルプを凝集させ、再生粒子の歩留り向上と紙力低下を改善しようとする技術が記載されている。
しかしながら、この方法は、カチオン化高分子凝集剤により架橋吸着させた、所謂「フロック」と呼称される凝集物であり、流送ポンプや攪拌装置などによる物理的な力により容易に微粒子化や形状変化を生じるため、安定した、所望の不透明性、紙力維持を担保することは困難である。
一方、特許文献4には、原料パルプとして漂白クラフトパルプのみを使用し、填料として紡錘凝集型の軽質炭酸カルシウムを使用し、AKD系の内添サイズ剤と、飽和脂肪酸の多価アルコールエステルを成分とする嵩高剤を含有する紙料、あるいは、原料パルプとして漂白クラフトパルプのみを使用し、填料として紡錘凝集型の軽質炭酸カルシウムを使用し、AKD系またはASA系の内添サイズ剤と、飽和脂肪酸ポリアミドアミンを成分とする嵩高剤を含有する紙料を、抄紙速度500m/分以上、プレス線圧60kgf/cm以下の条件下で抄紙した原紙に、置換度0.4〜0.7の低置換度のカルボキシメチルセルロースを塗布、乾燥し、灰分を20%以上とすることにより、低密度、高不透明度、内部強度を有する印刷用紙が得られることが記載されている。
しかしながら、天然資源の炭酸カルシウム、高価な嵩高剤の使用による資源浪費型の発明であり、用紙表面に高分子量のカルボキシメチルセルロースを塗布、乾燥するため設備の汚損が多く、操業安定性に掛ける問題が生じる。
特許文献4の発明が参照されるように、従来の嵩高紙は、嵩高剤と称される界面活性剤をパルプ原料に配合し、繊維表面と界面活性剤の親水基を結合させ、繊維表面を界面活性剤の疎水基で覆い、水素結合による繊維間結合を弱めることで嵩高とさせる方法であった。この場合、繊維表面が疎水性となり、界面が非イオン性となるため、イオン的な結合で定着させていたサイズ剤や紙力剤がパルプ繊維表面に定着せず、紙力の低下、サイズ性の低下により、作業性や印刷適性の低下に繋がっていた。また、古紙パルプを配合する場合には、古紙パルプには既に古紙パルプ製造工程において脱墨剤と称される界面活性剤が用いられ、古紙パルプ表面が脱墨剤に覆われ、嵩高剤がパルプ繊維に結合せず、嵩が出ないため古紙パルプを高配合できない。更に高価な嵩高剤を多量に添加するために、紙が高価になる問題も有していた。
界面活性剤を使用しない嵩高システムとしては、シリカや軽量の中空有機顔料(填料)を使用することが提案されているが、シリカを使用した場合は、シリカの歩留が上昇しないこととシリカが高価であること、有機顔料の場合は、粒径を大きくすると製造工程においてウエットエンド制御が困難になる上に高価であること、また、歩留が低く、紙への含有量が簡易に測定することができない等の問題を有し、いずれの場合も経済性と品質の両立が難しいものであった。
特開平10−29818号公報 特開2002−233851号公報 特開2003−119692号公報 特開2006−265753号公報
本発明は前記背景技術に鑑みてなされたものであり、古紙から、古紙(紙)の主要構成要素であるパルプ繊維、填料を共に回収して使用する、資源循環型の再生粒子凝集体内添紙を提供することを第1の課題とする。
他の課題は、従来廃棄物として処理されていた脱墨フロスを有効活用できるとともに、高価な嵩高剤を添加することなく、紙質強度を維持したまま、高い嵩高性を得ることができる再生粒子凝集体内添紙を提供することにある。
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
パルプに填料を内添した内添紙であって、
古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、前記主原料を脱水、乾燥、焼成及び粉砕工程を経ることにより得られ、前記焼成工程で凝集させ、粒子中にカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの3成分を含有し、X線マイクロアナライザーにて元素分析を行い、酸化物換算で、カルシウム:ケイ素:アルミニウムが30〜82:9〜35:9〜35である再生粒子凝集体が、前記内添用填料とされ、
単独で添加したアニオン性凝集剤の存在下で抄紙され、
前記アニオン性凝集剤のアニオン量が0.5〜5meq/gであることを特徴とする再生粒子凝集体内添紙。
〔請求項2記載の発明〕
ファンポンプにてパルプスラリー中に再生粒子凝集体を添加した後、スクリーン通過後にアニオン性凝集剤を添加して抄紙される請求項1記載の再生粒子凝集体内添紙。
〔請求項3記載の発明〕
再生粒子凝集体の平均粒子径が0.1〜10μmである請求項1または2記載の再生粒子凝集体内添紙。
〔請求項4記載の発明〕
パルプに填料を内添した内添紙を製造するに際し、
古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、前記主原料を脱水、乾燥、焼成及び粉砕工程を経ることにより得られ、前記焼成工程で凝集させ、粒子中にカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの3成分を含有し、X線マイクロアナライザーにて元素分析を行い、酸化物換算で、カルシウム:ケイ素:アルミニウムが30〜82:9〜35:9〜35である再生粒子凝集体を、前記内添用填料とし、
ファンポンプにてパルプスラリー中に再生粒子凝集体を添加した後、スクリーン通過後にアニオン性凝集剤のみを添加し、
単独で添加したアニオン性凝集剤の存在下で抄紙し、
前記アニオン性凝集剤のアニオン量を0.5〜5meq/gとすることを特徴とする再生粒子凝集体内添紙の製造方法。
本発明の印刷用紙は、産業廃棄物として焼却や埋立て処分されていた脱墨フロスを製紙用填料資源として活用することで、資源を循環使用して低コストで製造できる。
本発明の再生粒子凝集体とアニオン性凝集剤との相関が嵩高性向上に寄与する理由として、次のように考えられる。
再生粒子凝集体は、その構成にカルシウム、ケイ素及びアルミニウム成分を有し、再生粒子凝集体そのものはアニオン性とカチオン性の両イオン性を有していると考えられる。
従来から一般に填料として使用されるクレーは、板状結晶構造であり、平面部分がアニオン性、薄い断面がカチオン性のため、繊維と接触する部分はアニオン性の部分であり、実質的にアニオン性の填料と見なすことができる。それに対して、本発明の再生粒子凝集体の場合は、カルシウム、ケイ素及びアルミニウム成分が不定形に凝集した形態であり、填料表面にカチオン性の部分が多く露出しているため、見掛け上、カチオン性を呈し、カチオン性の部分がアニオン性のパルプ繊維や助剤薬品類と反応し、再生粒子凝集体が、凝結剤などの薬品を特に必要とせずに、パルプ繊維へ定着し、また、各種助剤の効果を発現すると考えられる。
つまり、再生粒子凝集体は、前述のように見掛け上、カチオン性を示し、再生粒子凝集体表面の微視的なイオン性においては、カチオン性を呈する部分と、アニオン性を呈する部分とに分かれ、カチオン性部分がパルプ繊維に定着し、定着していない個所はアニオン性が強い状態となっていると考えられる。
実際に、再生粒子凝集体をパルプスラリー中に添加し、抄造すると、用紙断面の電顕写真観察によれば、再生粒子凝集体がシート中に均一に分布され、あたかもパルプ繊維表面に均一に定着しているかのように観察される。
しかるに、パルプスラリーと従来から一般的に填料として使用されてきた無機粒子を配合した原料に、凝集剤としてカチオン性凝集剤を添加した場合は、無機粒子が架橋結合により凝集し、更にパルプ繊維に定着するため、紙層を形成した際に紙層全体をあたかも凝集させたような性状を呈するため、密度が高くなり嵩の低い紙が生じる。この現象は、従来例による再生無機粒子を填料として使用した場合においても同様である。
しかしながら、パルプスラリーと、本発明に係る再生粒子凝集体が配合された製紙用原料中に、アニオン性の凝集剤を添加すると、再生粒子凝集体が有するカチオン性にて、再生粒子の凝集体を形成するものの、再生粒子の凝集体はアニオン性同士の反発により分散が進むと共に、パルプ繊維とも離間した状態となるため、その状態で紙層を形成すると、結果として嵩高な紙を得ることが出来るものである。
一方、本発明者等は、より好適なアニオン性の凝集剤の選択について鋭意検討を重ねた結果、アニオン強度(meq/g)が、0.5〜5meq/gの範囲の、例えばポリアクリルアミド、コロイダルシリカ等の凝集剤を用いることが、再生粒子凝集体に対し過度のアニオン性を付与することなく、高い嵩高性を示すことを見出している。
アニオン強度が、0.5未満であれば、十分な再生粒子凝集体の凝集やパルプ繊維との離間が得られず、嵩高性が劣ると共に、アニオン強度が5meq/gを超える場合は、再生粒子の不要な凝集が生じる問題と、パルプ繊維と再生粒子凝集体との定着が低下しすぎ、紙質強度が低下する問題が生じることを見出している。
次に、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の再生粒子凝集体内添紙は、前記填料として古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、前記主原料を脱水、乾燥、焼成及び粉砕工程を経ることにより得られ、前記焼成工程で凝集させ、粒子中にカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの3成分を含有する(少なくとも3成分を含有する)再生粒子凝集体が、内添用填料とされ、アニオン性凝集剤の存在下で抄紙されたものである。
そして、JIS P 8251に準拠した灰分が、3〜20%であり、JIS P 8118に準拠した密度が0.8g/cm3以下である再生粒子凝集体内添紙を好適に得ることができる。本発明における内添紙の灰分は、3〜20%が望ましく、灰分が3%未満では、十分な不透明度が得られず、20%を超える灰分では、密度が高くなると共に、紙質強度が低下する。
密度は、0.8以下に調整するのが望ましい。密度が0.8を超えると、不透明度の低下、手肉感が損なわれ、印刷作業性や印刷見栄えが低下する問題が生じる。
再生粒子凝集体の平均粒子径が0.1〜10μmであるものが望ましい。
また、先にも触れたように、アニオン性凝集剤のアニオン量が0.5〜5meq/gであるのが望ましい。アニオン又はカチオン量の測定の代表的なものとして、PCT15又はPCT20(商品名。ムテック(mutek)社製カチオンデマンド測定装置)が挙げられ、本発明においてはPCT15を用いた。この測定装置は、紙料を試験機のセルの中に導き入れ、上下ピストンの稼動にてセルシリンダーとピストンとの間にサンプル液の流れが生じさせ、コロイド粒子の表面電荷のひずみによって電気を生じさせるように構成されており、パルプ懸濁液中のコロイド状溶解物質粒子はイオンにより電気を帯びていることを利用することで、チャージ要求量を高分子電解質測定によって測定するようにしたものである。
使用するパルプとしては、純パルプおよび/または古紙パルプを紙に要求される品質に応じて適宜配合できる。
本発明に係る焼成工程で凝集させた再生粒子凝集体は、構成成分がカルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、酸化物換算で30〜82:9〜35:9〜35の質量割合で含有し、かつ、前記再生粒子凝集体の構成成分の内、前記カルシウム、前記ケイ素及び前記アルミニウムの合計含有割合が再生粒子凝集体構成成分中の90質量%以上である再生粒子凝集体であるのがより望ましい。
製造に際しては、バージンパルプ又は古紙パルプ等が配合され、中性域で抄紙されるパルプスラリーにおいて、パルプスラリー中にサイズ剤や紙力剤を配合することが望ましく、パルプ繊維表面に均一に定着させることでサイズ剤や紙力剤の効果が発現する。中性抄紙においては、電荷調整やサイズ剤の定着を目的にカチオン澱粉やカチオン性高分子凝結剤を添加することが好ましい。
製造の順序例について説明すれば、パルプスラリー中にサイズ剤や紙力剤などの添加剤を配合した後に、本発明に係る再生粒子凝集体を添加し、パルプ繊維表面に均一に分散・定着させる。本発明に係る再生粒子凝集体の添加する場所は特に限定はしないが、できるだけマシンに近い側で均一に配合させることが好ましく、たとえばファンポンプでの添加が最適である。
さらに後に、スクリーン等を通過するときのせん断力で再生粒子凝集体が凝集したフロックが壊れる場合があるが、スクリーン通過後に、アニオン性の凝集剤を添加することで、アニオン性同士の反発による繊維間の空隙を持ったままフロック(嵩高な(繊維間の絡み合いが阻害された状態)のフロック)が形成され、抄紙工程に進むことで嵩高な紙を得ることができる。
かかる本発明の嵩高機能により、界面活性剤(嵩高剤)を使用することによる弊害となっていたサイズ剤や紙力剤の無効化の防止、非発泡性による抄紙性の向上、泡の抄き込みによる欠陥を防止できる。また、シリカや中空有機顔料と異なり、歩留が高く、強度が得易いため、紙粉が発生し難い特長を持つと同時に高価な薬品を使用しないため、安価に嵩高紙を供給できる等の利点を持つ。
まず、原料パルプについて説明する。原料パルプは、公知のパルプが問題無く使用できる。古紙パルプの種類には特に限定がなく、例えばディインキングパルプ(DIP)、ウェストパルプ(WP)などがあげられ、これらは単独で又は同時に用いることができる。
古紙パルプ以外のほかの原料パルプとしては、例えばストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)などの機械パルプ;針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)などの化学パルプや、これらを漂白したパルプなどがあげられ、これらの中から1種又は2種以上を選択して用いることができる。
特に機械パルプ、DIPを配合する場合には、パルプ自体が高いアニオン性を示すため、カチオン性凝結剤で電荷調整しておくのが好ましい。
次に填料について説明する。本発明の填料としては、脱墨フロスを主原料とし、脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経て得られものである。さらに、後述するように、脱墨フロスの凝集工程、造粒工程、各工程間に設けられる分級工程等を経てもよい。また再生粒子凝集体の製造設備には、各種センサーを設け、被処理物や設備の状態、処理速度のコントロール等を行うことが望ましい。
前記焼成工程で焼成して得られた、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを含有する再生粒子凝集体が填料として用いられる。
脱墨フロスを主原料とする再生粒子凝集体は、古紙から古紙パルプを製造する脱墨処理工程で発生する脱墨フロスを主原料とする。特に古紙のリサイクル工程で排出される脱墨フロスが、製紙原料由来の材料からなり、鉄分やその他重金属等の不純物の混入が少ないため好適である。そして、古紙再生工程では、予め古紙自体の選別を行うので、脱墨フロスは、その無機物の組成が経時的に安定したものであり、よって、得られる再生粒子凝集体の組成も安定したものとなる。これら脱墨フロスには、無機物として炭酸カルシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン、シリカ、アルミナ等が含有される。
脱墨フロスの更なる脱水は、公知の脱水手段を適宜使用できる。本形態における一例では、脱墨フロスは、脱水手段たる例えばスクリーンによって、脱墨フロスから水を分離して脱水する。スクリーンにおいて、水分を90%〜97%に脱水した脱墨フロスは、例えばスクリュープレスに送り、更に水分を50%以下に脱水することが好適である。
水分率が50%を超えると、第1燃焼炉における乾燥・燃焼処理温度の低下を招き、加熱のためのエネルギーロスが多大になるとともに、原料の燃焼ムラが生じやすくなり均一な燃焼を進めがたくなる。さらに、排出される排ガス中の水分が多くなり、ダイオキシン対策における再燃焼処理効率の低下と、排ガス処理設備の負荷が大きくなる問題を有する。また、原料の水分率を低くすることで、均一な燃焼を進め易くなるものの、原料の水分率を25%未満まで脱水を行うことは、脱水設備が大型化すると共に、脱水処理エネルギーが多大になる問題を有する。
脱水物は、予め乾燥される。乾燥手段は、熱風乾燥等公知の乾燥手段を使用可能であるが、脱墨フロスを乾燥させながらほぐすことが可能であり、更に比重分級をも可能な熱風乾燥手段が最も好適に使用できる。
好適に使用できる熱風乾燥手段を具体的に例示すると、脱水脱墨フロスをインペラ等のほぐし設備にて、250〜3000μm、好適には355〜2000μm程度の体積平均粒子径になるようにほぐしながら、インペラ設備下方に設けた熱風吹きだし手段にて熱風を吹き込み熱風乾燥を行う。ほぐされ、乾燥された脱墨フロスのうち、比重の軽い脱墨フロスを熱風乾燥手段の上部に設けた取出し口から排出させることで、乾燥と分級とを行うことができる。
乾燥させた脱墨フロスの分級には、好適な手段として、サイクロンによる分級を採用することもできる。
乾燥・分級された脱墨フロスは、焼成工程に送られる。
焼成は、例えば、ロータリーキルン、流動床炉、浮遊炉、ストーカ炉等通常用いられている焼成炉を用いることができ、特に好適には、熱風炉や電気炉による間接加熱による燃焼・焼成方法が焼成温度コントロール、焼成度合いの微調整が容易である。例えば、ロータリーキルンを用いた焼成においては、直接加熱による焼成や間接過熱による燃焼方法の単独または組み合わせて燃焼処理を行うことができ、一次焼成を直接加熱キルン炉、二次焼成を間接加熱キルン炉、特に焼成温度を容易に調整可能な外熱電気炉により焼成する方法を採用することができる。
焼成温度は、スラッジ中のカーボンブラック等のインク顔料や繊維及びポリマー等の有機系化合物を燃焼し、再生粒子凝集体中にカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの3成分を含有するように焼成工程で凝集させた再生粒子の凝集体を形成するのに十分また安定した温度であれば、特に限定されない。
脱墨フロス中にシリカが含まれる場合には、シリカがカルシウム及びアルミニウムと反応し、硬度の高いケイ酸アルミニウムカルシウム等が生成する恐れがある。硬度の高い物質の生成を防止するため、例えば、500℃以下の温度で焼成することが検討されるが、このような条件では、有機化合物を完全燃焼させることが難しく、製紙用として有用に利用できるレベルの白色度を有する再生粒子凝集体を得ることが困難である。
一方、焼成温度が1000℃を超えると脱墨フロス中に含まれる炭酸カルシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン、シリカ、アルミナ等無機物の分解および焼結が進み高硬度化するため、焼成して得られた脱墨フロスを主原料とする再生粒子凝集体を本発明において所望される粒子径まで粉砕するのに多大のエネルギーや時間を要するおそれがあるため好ましくない。したがって、焼成条件としては、一次焼成が510〜750℃で、二次焼成が500〜700℃で行われるのが好ましく、一次焼成が520〜650℃で、二次焼成が500〜600℃で行われるのがより好ましい。
焼成工程は、一段階とすることもできるが、少なくとも二段階とするのが好ましく、連続する設備により少なくとも二段階焼成とするのがより好ましい。焼成工程が、少なくとも二段階の焼成工程からなると、有機物の燃焼による焼成において焼成ムラが生じにくく、満遍なく焼成を進めることが可能になる。特に焼成工程における物理的手段を異ならせることで、偏った焼成を避け焼成速度の向上を図ることが可能である。
焼成温度は、製造される再生粒子凝集体の白色度、硬度に大きな影響力を有し、一次焼成温度が510℃未満では、未燃物の残量が多く再生粒子の凝集体形成が不十分であり、得られる再生粒子凝集体の白色度が70%以上に達しない。他方、一次焼成温度が750℃を超えると、脱墨フロスに含まれる炭酸カルシウムの多くが熱分解し、再資源としての使用が難しい、酸化カルシウム、珪酸カルシウム等の高pH化要因物質が多く生じるおそれがあり、また、得られる再生粒子凝集体に熱溶融が生じて、極めて硬くワイヤー摩耗性が悪くなるおそれがある。一方、二次焼成温度が500℃未満であると、有機物の燃焼が不十分になったり、燃焼にムラが生じ、製造された再生粒子凝集体の白色度が高くならなくなったりする。他方、二次焼成が700℃を超えると、炭化され焼成された再生粒子凝集体の表面が高温に晒されることによる溶融が生じ極めて硬い溶融物を形成する問題や、再生粒子凝集体表面の高温化による燃焼のため酸素が再生粒子凝集体芯部まで行き届きにくく、燃焼ムラ・未燃焼部位の発生が懸念される。また、二次焼成の温度を一次焼成の温度より10〜50℃低くすることで、再生粒子凝集体表面の過焼を防止しながら、未燃物を燃焼させることができる。
もちろん、二次焼成の温度を一次焼成の温度と同温度とすることもでき、同温度とする場合は、520〜600℃とすると、緩慢に焼成し未燃物を減少させることができ、白色度が少なくとも70%以上、好適には80%を超える再生粒子凝集体を得ることができる。なお、本形態において、一次焼成温度と二次焼成温度との温度差は、焼成炉内上端部の温度を基準とする。
焼成工程は、この工程内に空気を送風する手段及びこの工程内から空気を排気する手段の少なくともいずれか一方によって、工程内酸素濃度が、0.05%以上に、好ましくは、0.05〜20%に、更に好ましくは一次焼成炉内上端部で0.2〜15%、より好ましくは5〜13%、二次焼成炉のバーナー近傍で10〜20%より好ましくは12〜18%に調節される。一次焼成炉内酸素濃度が0.05%未満であると、焼成が進まず、ムラのある焼成が進むだけでなく、焼成に膨大な時間とエネルギーコストとが必要になる。他方、二次焼成炉酸素濃度が20%を超えると、過焼しやすく、過焼ムラにより再生粒子凝集体が黄変化するととともに、再生粒子凝集体の溶融が多発し、再生粒子凝集体の分解や酸化が進み、製紙用填料としての活用が困難になる場合がある。また、本形態においては、焼成工程に供給される、乾燥・分級された脱墨フロス(乾燥物)の水分率が少なくとも2〜20%以下、より好ましくは5〜15質量%に調節されているため、焼成工程内酸素濃度を0.05〜20%とすると、極めて効率よく焼成を進ませることができ、焼成を90分以内で行うことが可能になり、極めて高い生産性を得ることができる。例えば、乾燥物の水分率を10質量%とすることで、焼成を約60分で行うことができる。
なお、一次焼成工程内に吹き込む熱風は、酸素濃度が0.2〜20%(より好ましくは1〜15%、最も好ましくは5〜12%)となるようにするのが望ましい。焼成工程内の酸素は、焼成させるためのバーナー等によって消費され酸素濃度が低下するが、空気などの酸素含有ガスを送風し、あるいは排気することで、酸素濃度を維持、調節可能であり、さらに酸素含有ガスを送風し、あるいは排気することで、焼成工程内の温度を細かく調節可能になり、再生粒子凝集体をムラなく万遍に焼成することができる。
一次焼成炉での焼成は、未燃率が5〜30質量%となるように行うことが望ましい。8〜25質量%となるように行うのがより好ましく、10〜20質量%となるように行うのが特に好ましい。一次焼成での、未燃率が5質量パーセント未満では、焼成における粒子表面の過焼が生じ表面が硬くなるとともに、内部の酸素不足が生じ、再生粒子凝集体の白色度が低下する問題が生じる。他方、一次焼成での未燃率が30質量%を超えると、二次焼成後においても未燃分が残る問題、未燃分が自燃による過焼成により粒子が硬化する問題、未燃分が残るのを防止するためとして粒子表面が過焼するまで燃焼焼成してしまい、再生粒子凝集体表面が硬くなる問題が生じる。
再生粒子凝集体製造設備において、再生粒子の原料と成り得る以外の異物は、予め除去しておくことが好ましく、例えば古紙パルプ製造工程の脱墨工程に至る前段階のパルパーやスクリーン、クリーナー等で砂、プラスチック、金属等の異物を除去することが、除去効率の点で好ましい。特に鉄分は、酸化により再生粒子の白色度低下の起因物質を生成するため、鉄分の混入を避け、選択的に除去することが好ましい。したがって、各工程を鉄以外の素材で設計又はライニングし、摩滅等により鉄分が系内に混入することを防止すると共に、さらに乾燥・分級設備内等に磁石等の高磁性体を設置し、選択的に鉄分を除去することが好ましい。
なお、前記乾燥工程や焼成工程、及び必要に応じて分級工程において、粉砕工程前にあらかじめ、粒子径が40μm以下の粒子が80質量%以上、より好ましくは90%以上となるように処理しておくことが好ましい。これにより、通常行われている乾式粉砕による粗大粒子の粉砕及び湿式粉砕による微粒子化といった複数段の粉砕処理を行うことなく、湿式粉砕による一段粉砕処理も可能となる。
本発明に係る再生粒子凝集体の粒子径は、原料パルプ中への歩留まりや再生粒子凝集体の白水中への流失防止という点から、平均粒子径が0.1μm以上、さらには0.3μm以上であることが好ましく、また印刷適性の維持と剣先詰まりの防止という点から、平均粒子径が10μm以下、さらには8μm以下であることが好ましい。
さらには原料である脱墨フロス中のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、あらかじめ、例えば後述する質量割合に調整することで、再生粒子凝集体の細孔容積を0.15〜0.60cc/g、細孔表面積を10〜25m2/g、細孔半径を30〜100nmとすることもでき、吸油性、不透明性に優れる再生粒子凝集体とすることができる。
再生粒子凝集体の粒度を各工程で均一に揃えるためには、分級を行うことが好ましく、粗大粒子や微小粒子を前工程にフィードバックすることでより品質の安定化を図ることができる。
また乾燥工程の前段階において、脱水処理を行った脱墨フロスを造粒することが好ましく、さらには造粒物の粒度を均一に揃えるための分級を行うことがより好ましく、粗大や微小の造粒粒子を前工程にフィードバックすることでより品質の安定化を図ることができる。なお造粒においては、通常の造粒設備を使用することができ、回転式、攪拌式、押出式等の設備が好適である。
本発明の再生粒子凝集体内添紙は、前記再生粒子凝集体を少なくとも内添填料として用いる。
この再生粒子凝集体は、脱墨フロスを焼成して得られる循環使用が可能なものであるので、廃棄物としての埋立等の処分が不要であり、環境負荷の低減と、省資源化に大きく貢献するものである。また、原料が古紙処理工程で生じる脱墨フロスであるので、安価であり、新たな天然無機鉱物の使用量を抑えることができ、製造コストが充分に削減されるという利点がある。さらに係る再生粒子凝集体を用いることで、抄造時の灰分歩留まりが高く、例えば炭酸カルシウムと異なり、ワイヤー摩耗等の抄紙設備の摩耗劣化を来たすことが無く、更に樹脂成分が微細な状態下で再生粒子凝集体に吸着することで、樹脂分の凝集によるピッチトラブルを防ぎ抄紙設備汚れを殆ど起こすことがなく、低コストで高い操業性で紙を製造することができ、しかも従来と同等以上の優れた不透明度や紙力が紙に付与され、裏抜け、断紙も少なくなる。
かくして得られる再生粒子凝集体は、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを含有している。再生粒子凝集体中のこれらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの割合は、X線マイクロアナライザー(型番:E−MAX・S−2150、(株)日立製作所/(株)堀場製作所製)にて元素分析を行い、酸化物換算で、カルシウム:ケイ素:アルミニウムが30〜82:9〜35:9〜35、さらには40〜82:9〜30:9〜30、特に60〜82:9〜20:9〜20の質量割合であることが好ましい。また同時に、これらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの元素分析における酸化物換算の合計含有割合は、85質量%以上、好ましくは90質量%以上である。
さらに本実施形態における、原料パルプに内添する好適な再生粒子凝集体として、前記のごとき工程を経て得られた粒子の表面をシリカで被覆した、シリカ被覆再生粒子凝集体が特に好適に用いることができる。
再生粒子凝集体の表面を被覆するシリカについては、天然に産出するシリカではなく、何らかの化学反応による合成シリカであれば特に制限なく使用することが可能である。具体的には、例えばコロイダルシリカ、シリカゲル、無水シリカなどがあげられる。これらの合成シリカは、高比表面積、ガス吸着能の高さ、微細性、細孔への浸透力や吸着力の大きさ、付着性の高さ、高吸油性などの優れた特性を活かして、幅広い分野で利用されているものである。これらのうち、コロイダルシリカは、ケイ酸化合物から不純分を除去して無水ケイ酸ゾルとし、pH及び濃度を調整してゾルを安定化させた、球状、連鎖状、不定形等の形状を有する非晶質シリカである。シリカゲルは、ケイ酸ナトリウムを無機酸で分解することによって得られる含水ケイ酸である。また無水シリカは、四塩化ケイ素の加水分解によって得られるものである。
再生粒子凝集体の表面にシリカを析出させ、シリカ被覆再生粒子凝集体を得る方法には特に限定がないが、例えば以下の方法を好適に採用することができる。
まず、再生粒子凝集体をケイ酸アルカリ溶液に添加、分散させ、スラリーを調製した後に加熱攪拌しながら、液温を70〜100℃程度に保持して酸を添加し、シリカゾルを生成させる。次いで最終反応液のpHを8〜13の範囲に調整することにより、再生粒子凝集体の表面にシリカを析出させることができる。このようにして再生粒子凝集体の表面に析出されるシリカは、ケイ酸アルカリ(例えばケイ酸ナトリウム:水ガラス)を原料として、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸の希釈液と高温下で反応し、加水分解反応とケイ酸の重合化により得られる、粒子径が10〜20nm程度のシリカゾル粒子である。
また、ケイ酸ナトリウム溶液等のケイ酸アルカリ溶液に希硫酸等の酸を添加することによって生成する、粒子径が数nm程度のシリカゾル微粒子を、再生粒子凝集体の多孔性を有する表面全体を被覆するように付着させ、このシリカゾル微粒子の結晶成長に伴う、無機微粒子表面上のシリカゾル微粒子と再生粒子凝集体に包含されるケイ素やカルシウム、アルミニウムとの間で生じる結合により、再生粒子凝集体の表面にシリカを析出させることもできる。この場合、ケイ酸アルカリ溶液に酸を添加する際のpHは、中性〜弱アルカリ性の範囲とし、好ましくはpHを8〜13の範囲に調整する。これは、pHが7未満の酸性条件になるまで酸を添加してしまうと、シリカゾル粒子ではなくホワイトカーボンが生成する恐れが生じるからである。
なお、前記ケイ酸アルカリ溶液の種類には特に限定がないが、入手が容易である点からケイ酸ナトリウム溶液(3号水ガラス)が特に望ましい。このケイ酸アルカリ溶液の濃度としては、再生粒子凝集体中のシリカ成分が低下し、再生粒子凝集体の表面にシリカが析出し難くならないようにするには、溶液中のケイ酸分(SiO2換算)が3質量%以上であることが好ましく、再生粒子凝集体の表面に析出されるシリカが、シリカゾルの形態からホワイトカーボンになり、再生粒子凝集体の多孔性が阻害され、不透明度や印刷適性の向上効果が不充分になる恐れをなくすには、係るケイ酸分(SiO2換算)が10質量%以下であることが好ましい。
再生粒子凝集体表面にシリカを被覆させたシリカ被覆の再生粒子凝集体は、レーザー粒径分布測定装置(レーザー回折式粒度分布測定装置 SALD−2200型、標準屈折率(1)、(株)島津製作所製)にて測定して得られる体積分布平均粒子径を、湿式粉砕機等公知の粉砕機で0.1〜10μmに調整することが好ましく、粒子径が0.1〜10μmの割合を少なくとも80%以上、かつ20μm以上の割合を0.5%以下にすることがより好ましい。また、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、酸化物換算で10〜80:10〜80:5〜29の質量割合とすることで、シリカ被覆効果による吸油性、不透明性を向上させることができる。
シリカ被覆の再生粒子凝集体とすることで、循環使用における古紙処理工程において、水酸化ナトリウムと反応させて緩衝剤や漂白助剤として製紙用原料、再生粒子凝集体の循環使用にも寄与させることができる。またかかるシリカ被覆再生粒子凝集体を填料として原料パルプに内添した場合には、シリカで被覆していない再生粒子凝集体を用いた場合よりもさらに、紙の白色度、不透明度、表面強度、インク乾燥性、インク吸収ムラ、嵩高といった効果をより向上させることができる。
なお、本発明に用いられる古紙処理工程にて生じる脱墨フロスは、近年の中性抄紙化に伴い、炭酸カルシウムの含有量が増加傾向にあり、得られる再生粒子凝集体中のカルシウムの割合も高くなる傾向がある。このようにカルシウムの割合が高い再生粒子凝集体を原料パルプに内添すると、紙の不透明度がやや低下する場合があるが、表面にシリカを析出させたシリカ被覆再生粒子凝集体は、製紙用途の再生粒子凝集体としての機能が非常に高く、該シリカ被覆再生粒子凝集体を原料パルプに内添して得られる紙の不透明度は、著しく向上する。
特に再生粒子凝集体がシリカ被覆再生粒子凝集体である場合には、これらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの割合は、酸化物換算で、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、酸化物換算で10〜80:10〜80:5〜29の質量割合であることが好ましい。また同時に、これらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの元素分析における酸化物換算の合計含有割合は、85質量%以上、好ましくは90質量%以上である。
このように、例えば再生粒子凝集体においてカルシウムが酸化物換算で30質量割合以上含有、シリカ被覆の再生粒子凝集体においては、酸化物換算で10質量割合以上された再生粒子凝集体を填料として原料パルプに内添した場合には、特に得られる紙の白色度を向上させることができる。
再生粒子凝集体中のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの割合を、例えば酸化物換算で前記範囲内に調整するには、本来、脱墨フロスにおける原料構成を調整することが好ましいが、乾燥工程や焼成工程、さらには必要に応じて分級工程において、由来が明確な塗工フロスや調成工程フロスをスプレー等で含有させる方法や、クラフトパルプ製薬工程より排出されるスクラバー石灰を含有させる方法を採用することも可能である。
例えば、再生粒子凝集体中のカルシウムの調整には中性抄紙系の排水スラッジや、塗工紙製造工程の排水スラッジを、ケイ素の調整には不透明度向上剤として多量添加されている新聞用紙製造系の排水スラッジを、アルミニウムの調整には酸性抄紙系等の硫酸バンドが使用された抄紙系の排水スラッジや、クレーの使用量が多い上質紙抄造工程の排水スラッジを適宜用いることができる。
さらに、本発明に係る再生粒子凝集体は、微細な粒子が凝集した柔軟かつポーラスな性状を有するので、嵩高な紙層形成に寄与し、該再生粒子凝集体を填料として原料パルプに内添して得られる内添紙は、填料歩留りが高く、密度が低く、取りまわしが良好な剛度を有する。
前記再生粒子凝集体の含有量があまりにも少ない場合には、例えば抄紙機でのカレンダー処理において、平滑化の効果が発現されにくくなり、紙の不透明性が低下して印刷後の不透明度が低下したり、内添紙の剛直度が高くなり、輪転機上での走行性が低下したりする恐れがあるので、原料パルプに対して2質量%以上、さらには5質量%以上であることが好ましい。逆に再生粒子凝集体の含有量があまりにも多い場合には、表面性や剛度の点では望ましいものの、印刷機内での搬送に伴って灰分が脱落し易くなり、表面強度の低下や、剥け・ケバ立ち、印刷白抜け、紙粉が発生する恐れがあるので、原料パルプに対して20質量%以下、さらには15質量%以下であることが好ましい。
本実施形態において、填料として前記再生粒子凝集体を単独で用いることもできるが、このほかに、内添用填料として通常使用される、例えば重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム、タルク、カオリンクレー、デラミネーテッドクレー等のクレー、二酸化チタン、合成シリカ、水酸化アルミニウム等の無機填料、ポリスチレン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等の合成高分子微粒子等から選ばれた少なくとも1種の填料を併用することもできる。
また原料パルプ及び填料から得られた紙料スラリーに添加する添加剤としては、通常の紙に配合されるものを用いることができ、例えば澱粉類、植物性ガム、水性セルロース誘導体、ケイ酸ソーダ等の紙力増強剤;ロジン、澱粉、CMC(カルボキシルメチルセルロース)、ポリビニルアルコール、アルキルケテンダイマー、ASA(アルケニル無水コハク酸)、中性ロジン等の内添サイズ剤;ポリアクリルアミドやその共重合体、ケイ酸ナトリウム等の歩留向上剤などがあげられる。
さらに、原料パルプから紙料スラリーを調製して抄紙した後、表面に少なくとも澱粉を主成分とする表面処理剤が設けることができる。澱粉の例としては変性澱粉が使用でき、その他にPVA(ポリビニルアルコール)、ポリアクリルアミド等の高分子材料を成分とする表面処理剤を併用塗布することができる。
前記表面処理剤において好適使用できる澱粉としては、特に限定されないが、カルボキシメチルデンプン(アニオン性)、ヒドロキシアルキルデンプン(ノニオン性)、リン酸デンプン(アニオン性)等の変性澱粉は、紙中に浸透しながら、引張り強度や表面強度を向上させる効果を有するものの、中性又はアニオン性を示すため、アニオン性を呈するパルプ繊維表面への定着性に劣り、被膜性が低い。したがって、アニオン性を呈するパルプ繊維表面への定着性が高いカチオン性の澱粉であることが好ましい。すなわち、カチオン澱粉等のカチオン性の紙力剤は電荷調整機能を併せ持つため、特に好適である。
カチオン性の澱粉は、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4アンモニウム塩基、及び第3級アミノ基とハロゲン化アルキル基等のカチオン基が付加された澱粉で、カチオン基以外にアニオン基も導入された両性澱粉であっても良い。カチオン基の置換度は、0.005〜0.05程度が望ましい。置換度が0.005未満の場合には吸水抵抗性が低下し、0.05を超えるような多量のカチオン基の導入は非常に困難である。原料澱粉の種類は特に限定するものではないが、タピオカ、コーン、ポテト、ワキシーメイズなどの一般的な工業用澱粉を使用することができ、特にタピオカが好ましい。カチオン性の澱粉であると、パルプ繊維に対する定着性が向上し、被膜性に優れ、また、表面強度も向上する。
さらに、前記澱粉は、エステル化澱粉であるのがより好ましい。エステル化澱粉であると、インキ濃度及びインキセット性が飛躍的に向上する。エステル化用の原料澱粉としては、未処理澱粉、処理澱粉の他、各種の澱粉含有物が包含される。このようなものとしては、例えば、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、甘薯澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、モチトウモロコシ粉、高アミロース含量トウモロコシ澱粉などの未処理澱粉、小麦粉、タピオカ澱粉、コーンフラワー、米粉等の澱粉含有物及びこれらの澱粉及び澱粉含有物の酸化、酸処理化等を行ったもの等が挙げられる。中でもタピオカ澱粉のエステル変性物は、粘性、被膜性、弾力性、伸展性の面で他の穀物澱粉類より秀でており好ましい。エステル化澱粉において、そのエステル化の度合は特に制約されないが、導入されるエステル結合の平均数で、グルコース単位当り、1〜3、好ましくは1〜2である。エステル化澱粉の中でも、ヒドロキシエステル化澱粉が好ましい。このものは原料澱粉に酸化処理を施し、カルボキシメチル基をヒドロキシエチル基へ還元反応させることにより容易にかつ安価に得ることができる。最も好適には、エステル変性された澱粉の末端基に疎水性基を導入した、疎水性基含有エステル変性タピオカ澱粉を使用することできる。
更に好適に使用するエステル化澱粉としては、末端基にカルボン酸(−COOH)構造を有し、中性領域において、−COO-のようにイオン化することで水素結合による繋がりを確保できず、反発性を示すことによるチキソトロピカルな挙動を示すエステル変性澱粉が、塗工において流動性を示しながら、基紙表面に塗布後は基紙中に浸透しにくく、基紙表面に高い被膜性を呈するため好ましく、加えて被膜性の高いポリビニルアルコールの用なバインダ樹脂を含有させることが好ましい。このエステル化澱粉の種類は、特には、タピオカ澱粉を主原料にエステル化変性させた1−オクテニルコハク酸エステル化澱粉が好ましい。1−オクテニルコハク酸エステル化澱粉は、粘性、被膜弾力性、被覆性の点で特に優れており、ポリビニルアルコールとの組合せで、更に顕著な被覆性と、インキ濃度、インキセット性向上とを図ることができる。
表面処理剤には、適宜他の接着剤、例えばスチレン−ブタジエン共重合体等のラテックス類、ポリビニルアルコールやポリアクリルアミド、さらにはカオリンや炭酸カルシウム等の顔料、消泡剤、耐水化剤、表面サイズ剤、防腐剤等の各種助剤を添加することもできる。また表面処理剤の固形分濃度は特に限定されるものではなく、塗布装置や塗布量に応じて、例えば2〜25質量%程度に調整することが好ましい。
澱粉と併用使用される特に好適な表面処理剤としては、ポリビニルアルコールが挙げられる。
表面処理剤としてポリビニルアルコール単独で塗工した場合には、澱粉単独で塗工した場合に比べて、ほぼ3倍の表面強度を示し、被膜性に優れる反面、被膜性が高いために、コールドセット型インキのように、用紙中に溶媒が浸透して乾燥する印刷インキの場合、印刷インキの溶媒の吸収性が悪く、インキのインキセット性速度が劣る。また、ポリビニルアルコールを単独で一定量塗工する場合には、塗工液の粘性が高く、フィルム転写方式では、断紙、抄紙設備の汚れ、粕、紙面の汚れなどの問題が生じるため使用できない。したがって、澱粉と併用することで、適度なインキ溶媒の用紙中への浸透を促しながら、インキ顔料成分を用紙表面に留め被膜性が向上するとともに、インキセット性の低下も抑えられる。ポリビニルアルコールの種類は、特に限定されない。ポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
ポリビニルアルコールとしては、平均重合度が500〜3500のものが好ましく用いられ、特に、平均重合度が1000〜2400、更には、1700〜2400の範囲のものが澱粉との相溶性に優れるため、均質な被膜性を得やすくなるため、好ましく用いられる。また、ケン化度が80以上、100に近いポリビニルアルコールであるのが好ましく、ケン化度が90以上、100の完全ケン化ポリビニルアルコールであることが好ましい。完全ケン化ポリビニルアルコールであると、部分ケン化ポリビニルアルコールである場合よりも用紙表面に耐水性・耐熱性を有する被膜性を得やすくなる。
また、このようなポリビニルアルコールを用いることで、澱粉との親和性が良く短時間で澱粉とポリビニルアルコールとがブレンド可能であり、操業性を向上させることができるとともに、塗工設備においてミストの発生を低減させることができる。ケン化度が高く、重合度も高い性質を有するポリビニルアルコールを用いることにより、高いインキ濃度を得ながら、高いオフセットインキのインキセット性を実現することができる。また、用紙に印刷した後、用紙を積層しても、裏面へのインキ転写を防止することができ好ましい。
なお、表面処理剤をあまりにも多量に使用すると、コスト高となるだけでなく、紙表面が湿った状態でネッパリ性と呼ばれる紙表面の粘着性が発現される傾向がある。このネッパリ性が大きくなると、特に非画線部におけるブランケットパイリングを逆に増大させたり、また印刷時に紙面がブランケットに貼り付き、結果的にシワや断紙といった走行性トラブルを誘発したりする恐れがあるので、好ましくない。また、表面処理剤の使用量が増加すると、目的とする紙の透明性が上昇、すなわち不透明度が低下したり、インクの乾燥性が悪化したりする場合もある。これらの表面処理剤のうち、澱粉やポリアクリルアミドは比較的ネッパリ性が低いので広く使用されているが、いずれも水への溶解性が高いため、印刷時に湿し水中に容易に溶出して填料と共にブランケットに堆積し、ブランケットパイリングが発生し易い。また溶出した表面処理剤がブランケットを介して刷版に転移、蓄積することで刷版の非画線部が感脂化し、非画線部のインク汚れ、すなわち地汚れと呼ばれる紙面の汚れを誘発し易くなることから、多量に用いることは好ましくない。
再生粒子凝集体を内添した内添紙に前記表面処理剤を設けることによる相乗効果によって、古紙パルプを原料パルプとする事による紙粉の発生やインキ吸収ムラの抑制を図ることができるとともに、インキセット性の改善、網点再現性等の印刷適性をより向上させることができる。
最も好適な表面処理剤の使用態様としては、澱粉及びポリビニルアルコールは、10:0.8〜2.0の固形分質量割合であるのが好ましい。澱粉に対するポリビニルアルコールの割合が10:2.0を超えると、急激に処理液粘度が上昇するため、塗工ムラやミストが発生し、塗工品質の低下と、設備周辺の汚損が生じる。他方、10:0.8を下回ると、澱粉とポリビニルアルコールとの相溶性には問題ないものの、基紙表面に塗付した際に、澱粉及びポリビニルアルコールの相乗効果が得られず、用紙中への浸透や塗工ムラが生じやすくなる。
前記表面処理剤は、製紙分野で一般に使用されている塗布装置、例えばサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ゲートロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、ロッドコーター、エアナイフコーター等を用いて塗布すればよい。
表面処理剤の塗布量は、紙の表面強度を充分に向上させるには、片面乾燥重量で0.4g/m2以上となるように調整することが好ましく、またコスト高となったり、不透明度やインク乾燥性の低下を招いたりしないようにするには、片面乾燥重質量で3.0g/m2以下となるように、より好ましくは、0.7〜2.5g/m2以下に調整することが好ましい。
かくして紙料スラリー及び必要に応じて添加剤から調製された紙料は、公知の抄紙機によって抄造することができ、さらに必要に応じてカレンダー装置に通紙し、加圧、平滑化処理を施して印刷用紙に仕上げることができる。
該カレンダー装置としては、金属ロール同士の組合せによるマシンカレンダーや、金属ロールと、ウールーンペーパーロールやポリアミド系樹脂等の耐久性の高い樹脂素材でカバーしたロールのように弾性を付与したロールとから構成されるいわゆるソフトカレンダーなどが知られ、金属ロールと金属ロールとの組み合わせによるマシンカレンダーの使用が一般的である。
然しながら、カレンダー処理のニップ圧力を高くしたり、ニップ数を増やすことで平滑化すれば、インキ着肉性は高まるが紙の嵩高さが損なわれるために印刷時の皺発生など走行性不良トラブルの原因となる恐れがあるとともに、印刷後の不透明度が低下や剛度が低くなる。
一方で、カレンダー処理を軽減すれば嵩高な紙を得ることはできるが、紙面の着肉性の表裏差が増大し、特に平滑度が低い側の紙面で着肉性が悪くなるため、表と裏とで画像の濃度が著しく異なるという問題が発生する。これは、抄紙工程中、ワイヤーパート、プレスパートでの脱水条件が表面と裏面とで微妙に異なるため、用紙の平滑性に表裏差ができたり、厚さ方向での填料、微細繊維の分布状態が異なったりするために、インキの転移性に表裏差がでるためと考えられている。
特に近年では、印刷用紙のカラー化や軽量化に伴い、良好なインキの着肉性や印刷後の高い不透明性が一層求められており、本発明においては、ソフトカレンダーを好適に使用する。
再生粒子凝集体を填料として内添した印刷用紙との好適な組合せにおいて、マシンカレンダーを使用すると、表面処理剤塗布前の乾燥までの工程で生じた平滑性の表裏差を助長してしまう傾向がある一方、ソフトカレンダーとの組合せにおいては、紙層の地合ムラに起因するカレンダー処理後の密度ムラが軽減でき、その結果オフセット印刷時にカラー刷りした場合にインキ吸収ムラのない均一な濃度の印刷面を得ることができ、特に再生粒子凝集体との併用においては、元来クッション性を有する再生粒子凝集体と密度を上げずに用紙表面を高温のアイロンで平坦化するように凹凸を軽減するソフトカレンダーにより、再生粒子凝集体が原料パルプのフィブリル繊維と絡み易く、密度を上げず用紙表面の平坦性と緻密性を向上させるともに、紙力低下を来たしにくい。また、インキ着肉性を高める手段としては、先に述べたソフトカレンダー等による平坦化処理により印刷用紙を平滑化することが、紙層を強く加圧せずに平滑化することができ、さらに紙層強度の低下を充分に抑制することができるのでソフトカレンダーを使用することがより好ましい。
他方、ソフトカレンダーの弾性ロールの硬度は、JIS Z 2246によるショア硬さが87〜95°であることが望ましい。87°未満であると弾性ロールの耐久性が悪く、十分な平滑性が得られない一方、95°を超えると均一なプロファイルが得にくい問題がある。前記弾性ロールの粗さは、JIS B 6001による表面粗さの最大値が0.5μm未満であることが紙面のインキ着肉ムラを少なくするために特に望ましい。
また、前記ソフトカレンダーの金属ロールに接する面を平滑化するために、前記金属ロールの表面温度は、40〜150℃、好ましくは80〜140℃、さらに好ましくは90〜120℃とする。表面温度をこの範囲内とすることにより、僅かな密度ムラが影響するような多色刷りにおいても、均一な濃度の印刷面を表裏差なくことができる。
さらに好ましくは、表裏面に設ける表面処理剤の塗布量を表面側より裏面側を多くすることにより、より良好な平坦性と嵩高性とが得られ、腰のある印刷用紙を得ることができる。
また再生粒子凝集体の添加は、従来のいずれの段階でも行うことが可能であるが、原料配合チェストからインレットの間で行うことが好ましい。この間に添加することにより、再生粒子凝集体が分散し易くなり、パルプ繊維への定着性が向上し、その結果、填料の歩留まりが向上する。また再生粒子凝集体がパルプ繊維間の結合を阻害しないので、紙の剛度が低下することもない。再生粒子凝集体をより均一に分散させ、パルプ繊維への定着性を向上させるためには、できる限りインレットの近傍工程で該再生粒子凝集体を添加することが特に好ましい。
印刷用紙の白紙不透明度は、印刷時の裏抜けが発生し難いという点から不透明度は高いものが求められるが、紙の坪量や白色度の影響を受けるため、最適値は無く、同一坪量での相対的な比較判断となる。
また密度は、近年の軽量化や軽量化に伴う強度維持の点から、JIS P 8118に記載の「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定して、0.50〜0.80g/cm3、さらには0.55〜0.75g/cm3であることが好ましい。
本発明者らは、本発明に基づく木材パルプ、古紙パルプからなり、少なくとも前記填料として、脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経て得られた、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、酸化物換算で30〜82:9〜35:9〜35の質量割合で含有し、かつ、前記カルシウム、前記ケイ素及び前記アルミニウムの合計含有割合が90質量%以上である再生粒子凝集体が少なくとも用いられ、JIS P 8124に準拠した坪量が、64g/m2近傍である印刷用紙における湿し水と印刷インキの転写において、該印刷用紙のJIS P 8122に基づくステキヒトサイズ度が20±5秒が好適である。ステキヒトサイズ度は、紙の断面(Z軸方向)への水の浸透速度を時間で表したものであるから、白紙不透明度と同様に紙の坪量の影響を強く受けるため、最適値は無く、相対的な比較判断となるが、特にステキヒトサイズ度が小さい値を示す場合は、水の浸透性が早く、湿し水が紙表面に保持できず、印刷インクが本来転写されない箇所にも転写されてしまう紙面の汚れを発生させる可能性を有する。
本発明で得られた内添紙を原紙として使用し、その表面に、また表面に設ける表面処理剤の上層に無機顔料を主成分とした塗工層を設けて嵩高な塗工紙を得ることもできる。本発明に基づく内添紙を塗工用の原紙として用いた場合は、再生粒子由来の不透明性と嵩高かつクッション性により、片面で0.5〜8g/m2の塗工紙であっても高い印刷不透明性と印刷適性が得られ、微塗工紙から高塗工量の高精細な印刷用紙を得ることができる。
次に本発明の印刷用紙を、以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
テスト用長網多筒式抄紙機により、原料パルプを選択し、そのスラリー中に、常用のサイズ剤や紙力剤などの添加剤した後、表2に示した前記の再生粒子凝集体又は市販の炭酸カルシウムを表3に記載の紙中灰分になるように添加し、その後に、表1に示す各種凝集剤を添加し、抄紙し、サイズプレスにて表面処理剤を塗布した。塗布量は、一定(片側0.5g/m2)とした。その後に、ラボスーパーカレンダーを用いて60kg/cmで2回通紙し、内添紙を得た。
表3における再生粒子凝集体は、以下の方法により調整した。
<再生粒子凝集体>
(1)原料として脱墨フロスを使用し、脱水水工程後水分40%、乾燥物水分が5%に成るように乾燥することで、平均粒子径1000μmの原料を得た。
(2)焼成工程において、1次焼成温度520℃、酸素濃度を一次焼成炉上部にて7.00%、一次焼成炉後未燃率が25.9%、2次焼成温度510℃、二次焼成炉内の酸素濃度が20.0%の条件で焼成した結果、得られた再生粒子は、白色度が80.7%であり、カルシウム、シリカ、アルミニウムそれぞれの酸化物換算による割合が、カルシウム30%、シリカ35%、アルミニウム35%であり、カルシウム、シリカ、アルミニウムの構成成分中の割合が、再生粒子全構成の87%であった。
(3)得られた再生粒子凝集体は、粉砕工程において表2に示す体積平均粒子径に、湿式粉砕機にて粉砕を施し、本発明の実施例に供した。
<シリカ被覆再生粒子凝集体>
(4)更に、(3)にて得た再生粒子凝集体を、シリカ処理工程において、液温100℃、最終反応におけるpHを8.0でシリカ被覆処理を行い、シリカ被覆後の体積平均粒子径が7.0μmの表2に記載のシリカ被覆処理再生粒子を得て、本発明の実施例に供した。
(5)(4)に記載のシリカ被覆処理再生粒子は、カルシウム、シリカ、アルミニウムの酸化物換算割合がカルシウム10%、シリカ80%、アルミニウム10%であり、構成成分中の割合が95%であり、粒子径が0.1〜10μmの割合が80%以上であることを確認した。
得られた内添紙について、特性を調べたところ、表3に示すとおりであった。
Figure 0004856535
Figure 0004856535
Figure 0004856535
表中の測定方法は次記のとおりである。
(ア)再生粒子凝集体の体積平均粒子径
再生粒子凝集体サンプル10mgを超音波分散機(出力:80W)で3分間分散させた。この溶液をレーザー粒径分布測定装置(レーザー回折式粒度分布測定装置 SALD−2200型、標準屈折率(1)にて測定、(株)島津製作所製)により、平均粒子径を測定した。
(イ)灰分
JIS P 8251に記載の「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法」に準拠して測定した。
(ウ)坪量
JIS P 8124に記載の「坪量測定方法」に準拠して測定した。
(エ)紙厚、密度
JIS P 8118に記載の「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
(オ)平滑度
JIS P 8119による。
(カ)ステキヒトサイズ度
JIS P 8122による。
(キ)インターナルボンド
JAPAN TAPPI No.18−2に規定される方法に従い測定される値。熊谷理機工業社製インターナルボンドテスターにて測定した。
(ク)白紙不透明度
JAPAN TAPPI No.80によって測定した値である。
(ケ)白色度
JAPAN TAPPI No.79によって測定した値である。
表3に結果から、本発明例によれば、内添紙として、特に嵩高性に優れたものを得ることができる。
なお、原料パルプの割合は、使用用途に応じて適宜変更可能である。

Claims (4)

  1. パルプに填料を内添した内添紙であって、
    古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、前記主原料を脱水、乾燥、焼成及び粉砕工程を経ることにより得られ、前記焼成工程で凝集させ、粒子中にカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの3成分を含有し、X線マイクロアナライザーにて元素分析を行い、酸化物換算で、カルシウム:ケイ素:アルミニウムが30〜82:9〜35:9〜35である再生粒子凝集体が、前記内添用填料とされ、
    単独で添加したアニオン性凝集剤の存在下で抄紙され、
    前記アニオン性凝集剤のアニオン量が0.5〜5meq/gであることを特徴とする再生粒子凝集体内添紙。
  2. ファンポンプにてパルプスラリー中に再生粒子凝集体を添加した後、スクリーン通過後にアニオン性凝集剤を添加して抄紙される請求項1記載の再生粒子凝集体内添紙。
  3. 再生粒子凝集体の平均粒子径が0.1〜10μmである請求項1または2記載の再生粒子凝集体内添紙。
  4. パルプに填料を内添した内添紙を製造するに際し、
    古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、前記主原料を脱水、乾燥、焼成及び粉砕工程を経ることにより得られ、前記焼成工程で凝集させ、粒子中にカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの3成分を含有し、X線マイクロアナライザーにて元素分析を行い、酸化物換算で、カルシウム:ケイ素:アルミニウムが30〜82:9〜35:9〜35である再生粒子凝集体を、前記内添用填料とし、
    ファンポンプにてパルプスラリー中に再生粒子凝集体を添加した後、スクリーン通過後にアニオン性凝集剤のみを添加し、
    単独で添加したアニオン性凝集剤の存在下で抄紙し、
    前記アニオン性凝集剤のアニオン量を0.5〜5meq/gとすることを特徴とする再生粒子凝集体内添紙の製造方法。
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