JP4856535B2 - 再生粒子凝集体内添紙及びその製造方法 - Google Patents
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Description
近年、環境保全、リサイクルの観点から、古紙の利用が飛躍的に増加し、古紙パルプ製造工程から排出されるCODやSS原因物質が他の製紙スラッジと比較して多いため、古紙パルプ製造工程で排出される製紙スラッジを再利用することが提案されている。
その1つとして特許文献1には、製紙プラント又は紙若しくは古紙を処理するプラントの排出物から得られた製紙スラッジを焼成することで、有機物を含まない粒状炭酸カルシウム含有無機材料を製造する方法が提案されている。この方法では、製紙スラッジを比較的低い温度(600〜800℃)で焼成し、得られた生成物を水性溶媒中に再懸濁し、酸を添加することにより、又は二酸化炭素含有ガスを通すことにより、溶出したカルシウム分の炭酸化を行う。この再生炭酸カルシウムは内添用の填料として再利用できることが記載されている。しかしながら、このように製紙スラッジを焼成して得られた生成物を内添用の填料として再利用する場合における最も大きな問題点は、原料とする製紙スラッジが、抄紙工程でワイヤーを通過して流出したもの、パルプ化工程での洗浄過程で発生した固形分を含む排水から回収したもの、排水処理工程において、沈殿又は浮上などを利用した固形分分離装置によりその固形分を分離、回収したもの、古紙処理工程での混入異物除去したもの等の各種スラッジが混在している点である。また、得られる再生粒子凝集体は、炭酸カルシウムで被覆しても性状が安定せず、填料や塗工用の顔料として使用するには品質が適さず、品質安定性に欠けるものである。
この方法において注目すべきは、カチオン化高分子を再生粒子に含有させ、紙料に内添することによりカチオン化高分子の架橋反応による凝集能により填料歩留りの一層の改善と再生粒子凝集体の添加量削減が図れることを示唆している点である。
しかしながら、カチオン化高分子は、再生粒子だけでなく、パルプ原料特に古紙パルプを配合する場合には古紙パルプ中に含まれる灰分とも凝集を来たし、機械パルプを配合する場合には、機械パルプ中の樹脂分とも反応してしまうために、再生粒子内添紙の白色度の低下やバラツキを招きやすく、特筆すべき問題として、密度が高くなり嵩が出難い問題が生じるため、不透明度が低下し、過剰に凝集した場合には、例えば印刷ムラ等の原因となる。
しかしながら、この方法は、カチオン化高分子凝集剤により架橋吸着させた、所謂「フロック」と呼称される凝集物であり、流送ポンプや攪拌装置などによる物理的な力により容易に微粒子化や形状変化を生じるため、安定した、所望の不透明性、紙力維持を担保することは困難である。
しかしながら、天然資源の炭酸カルシウム、高価な嵩高剤の使用による資源浪費型の発明であり、用紙表面に高分子量のカルボキシメチルセルロースを塗布、乾燥するため設備の汚損が多く、操業安定性に掛ける問題が生じる。
界面活性剤を使用しない嵩高システムとしては、シリカや軽量の中空有機顔料(填料)を使用することが提案されているが、シリカを使用した場合は、シリカの歩留が上昇しないこととシリカが高価であること、有機顔料の場合は、粒径を大きくすると製造工程においてウエットエンド制御が困難になる上に高価であること、また、歩留が低く、紙への含有量が簡易に測定することができない等の問題を有し、いずれの場合も経済性と品質の両立が難しいものであった。
他の課題は、従来廃棄物として処理されていた脱墨フロスを有効活用できるとともに、高価な嵩高剤を添加することなく、紙質強度を維持したまま、高い嵩高性を得ることができる再生粒子凝集体内添紙を提供することにある。
〔請求項1記載の発明〕
パルプに填料を内添した内添紙であって、
古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、前記主原料を脱水、乾燥、焼成及び粉砕工程を経ることにより得られ、前記焼成工程で凝集させ、粒子中にカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの3成分を含有し、X線マイクロアナライザーにて元素分析を行い、酸化物換算で、カルシウム:ケイ素:アルミニウムが30〜82:9〜35:9〜35である再生粒子凝集体が、前記内添用填料とされ、
単独で添加したアニオン性凝集剤の存在下で抄紙され、
前記アニオン性凝集剤のアニオン量が0.5〜5meq/gであることを特徴とする再生粒子凝集体内添紙。
ファンポンプにてパルプスラリー中に再生粒子凝集体を添加した後、スクリーン通過後にアニオン性凝集剤を添加して抄紙される請求項1記載の再生粒子凝集体内添紙。
再生粒子凝集体の平均粒子径が0.1〜10μmである請求項1または2記載の再生粒子凝集体内添紙。
パルプに填料を内添した内添紙を製造するに際し、
古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、前記主原料を脱水、乾燥、焼成及び粉砕工程を経ることにより得られ、前記焼成工程で凝集させ、粒子中にカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの3成分を含有し、X線マイクロアナライザーにて元素分析を行い、酸化物換算で、カルシウム:ケイ素:アルミニウムが30〜82:9〜35:9〜35である再生粒子凝集体を、前記内添用填料とし、
ファンポンプにてパルプスラリー中に再生粒子凝集体を添加した後、スクリーン通過後にアニオン性凝集剤のみを添加し、
単独で添加したアニオン性凝集剤の存在下で抄紙し、
前記アニオン性凝集剤のアニオン量を0.5〜5meq/gとすることを特徴とする再生粒子凝集体内添紙の製造方法。
本発明の再生粒子凝集体とアニオン性凝集剤との相関が嵩高性向上に寄与する理由として、次のように考えられる。
再生粒子凝集体は、その構成にカルシウム、ケイ素及びアルミニウム成分を有し、再生粒子凝集体そのものはアニオン性とカチオン性の両イオン性を有していると考えられる。
つまり、再生粒子凝集体は、前述のように見掛け上、カチオン性を示し、再生粒子凝集体表面の微視的なイオン性においては、カチオン性を呈する部分と、アニオン性を呈する部分とに分かれ、カチオン性部分がパルプ繊維に定着し、定着していない個所はアニオン性が強い状態となっていると考えられる。
しかるに、パルプスラリーと従来から一般的に填料として使用されてきた無機粒子を配合した原料に、凝集剤としてカチオン性凝集剤を添加した場合は、無機粒子が架橋結合により凝集し、更にパルプ繊維に定着するため、紙層を形成した際に紙層全体をあたかも凝集させたような性状を呈するため、密度が高くなり嵩の低い紙が生じる。この現象は、従来例による再生無機粒子を填料として使用した場合においても同様である。
一方、本発明者等は、より好適なアニオン性の凝集剤の選択について鋭意検討を重ねた結果、アニオン強度(meq/g)が、0.5〜5meq/gの範囲の、例えばポリアクリルアミド、コロイダルシリカ等の凝集剤を用いることが、再生粒子凝集体に対し過度のアニオン性を付与することなく、高い嵩高性を示すことを見出している。
アニオン強度が、0.5未満であれば、十分な再生粒子凝集体の凝集やパルプ繊維との離間が得られず、嵩高性が劣ると共に、アニオン強度が5meq/gを超える場合は、再生粒子の不要な凝集が生じる問題と、パルプ繊維と再生粒子凝集体との定着が低下しすぎ、紙質強度が低下する問題が生じることを見出している。
本発明の再生粒子凝集体内添紙は、前記填料として古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、前記主原料を脱水、乾燥、焼成及び粉砕工程を経ることにより得られ、前記焼成工程で凝集させ、粒子中にカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの3成分を含有する(少なくとも3成分を含有する)再生粒子凝集体が、内添用填料とされ、アニオン性凝集剤の存在下で抄紙されたものである。
そして、JIS P 8251に準拠した灰分が、3〜20%であり、JIS P 8118に準拠した密度が0.8g/cm3以下である再生粒子凝集体内添紙を好適に得ることができる。本発明における内添紙の灰分は、3〜20%が望ましく、灰分が3%未満では、十分な不透明度が得られず、20%を超える灰分では、密度が高くなると共に、紙質強度が低下する。
密度は、0.8以下に調整するのが望ましい。密度が0.8を超えると、不透明度の低下、手肉感が損なわれ、印刷作業性や印刷見栄えが低下する問題が生じる。
再生粒子凝集体の平均粒子径が0.1〜10μmであるものが望ましい。
また、先にも触れたように、アニオン性凝集剤のアニオン量が0.5〜5meq/gであるのが望ましい。アニオン又はカチオン量の測定の代表的なものとして、PCT15又はPCT20(商品名。ムテック(mutek)社製カチオンデマンド測定装置)が挙げられ、本発明においてはPCT15を用いた。この測定装置は、紙料を試験機のセルの中に導き入れ、上下ピストンの稼動にてセルシリンダーとピストンとの間にサンプル液の流れが生じさせ、コロイド粒子の表面電荷のひずみによって電気を生じさせるように構成されており、パルプ懸濁液中のコロイド状溶解物質粒子はイオンにより電気を帯びていることを利用することで、チャージ要求量を高分子電解質測定によって測定するようにしたものである。
使用するパルプとしては、純パルプおよび/または古紙パルプを紙に要求される品質に応じて適宜配合できる。
本発明に係る焼成工程で凝集させた再生粒子凝集体は、構成成分がカルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、酸化物換算で30〜82:9〜35:9〜35の質量割合で含有し、かつ、前記再生粒子凝集体の構成成分の内、前記カルシウム、前記ケイ素及び前記アルミニウムの合計含有割合が再生粒子凝集体構成成分中の90質量%以上である再生粒子凝集体であるのがより望ましい。
製造の順序例について説明すれば、パルプスラリー中にサイズ剤や紙力剤などの添加剤を配合した後に、本発明に係る再生粒子凝集体を添加し、パルプ繊維表面に均一に分散・定着させる。本発明に係る再生粒子凝集体の添加する場所は特に限定はしないが、できるだけマシンに近い側で均一に配合させることが好ましく、たとえばファンポンプでの添加が最適である。
さらに後に、スクリーン等を通過するときのせん断力で再生粒子凝集体が凝集したフロックが壊れる場合があるが、スクリーン通過後に、アニオン性の凝集剤を添加することで、アニオン性同士の反発による繊維間の空隙を持ったままフロック(嵩高な(繊維間の絡み合いが阻害された状態)のフロック)が形成され、抄紙工程に進むことで嵩高な紙を得ることができる。
かかる本発明の嵩高機能により、界面活性剤(嵩高剤)を使用することによる弊害となっていたサイズ剤や紙力剤の無効化の防止、非発泡性による抄紙性の向上、泡の抄き込みによる欠陥を防止できる。また、シリカや中空有機顔料と異なり、歩留が高く、強度が得易いため、紙粉が発生し難い特長を持つと同時に高価な薬品を使用しないため、安価に嵩高紙を供給できる等の利点を持つ。
古紙パルプ以外のほかの原料パルプとしては、例えばストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)などの機械パルプ;針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)などの化学パルプや、これらを漂白したパルプなどがあげられ、これらの中から1種又は2種以上を選択して用いることができる。
特に機械パルプ、DIPを配合する場合には、パルプ自体が高いアニオン性を示すため、カチオン性凝結剤で電荷調整しておくのが好ましい。
前記焼成工程で焼成して得られた、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを含有する再生粒子凝集体が填料として用いられる。
脱墨フロスを主原料とする再生粒子凝集体は、古紙から古紙パルプを製造する脱墨処理工程で発生する脱墨フロスを主原料とする。特に古紙のリサイクル工程で排出される脱墨フロスが、製紙原料由来の材料からなり、鉄分やその他重金属等の不純物の混入が少ないため好適である。そして、古紙再生工程では、予め古紙自体の選別を行うので、脱墨フロスは、その無機物の組成が経時的に安定したものであり、よって、得られる再生粒子凝集体の組成も安定したものとなる。これら脱墨フロスには、無機物として炭酸カルシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン、シリカ、アルミナ等が含有される。
水分率が50%を超えると、第1燃焼炉における乾燥・燃焼処理温度の低下を招き、加熱のためのエネルギーロスが多大になるとともに、原料の燃焼ムラが生じやすくなり均一な燃焼を進めがたくなる。さらに、排出される排ガス中の水分が多くなり、ダイオキシン対策における再燃焼処理効率の低下と、排ガス処理設備の負荷が大きくなる問題を有する。また、原料の水分率を低くすることで、均一な燃焼を進め易くなるものの、原料の水分率を25%未満まで脱水を行うことは、脱水設備が大型化すると共に、脱水処理エネルギーが多大になる問題を有する。
好適に使用できる熱風乾燥手段を具体的に例示すると、脱水脱墨フロスをインペラ等のほぐし設備にて、250〜3000μm、好適には355〜2000μm程度の体積平均粒子径になるようにほぐしながら、インペラ設備下方に設けた熱風吹きだし手段にて熱風を吹き込み熱風乾燥を行う。ほぐされ、乾燥された脱墨フロスのうち、比重の軽い脱墨フロスを熱風乾燥手段の上部に設けた取出し口から排出させることで、乾燥と分級とを行うことができる。
乾燥させた脱墨フロスの分級には、好適な手段として、サイクロンによる分級を採用することもできる。
焼成は、例えば、ロータリーキルン、流動床炉、浮遊炉、ストーカ炉等通常用いられている焼成炉を用いることができ、特に好適には、熱風炉や電気炉による間接加熱による燃焼・焼成方法が焼成温度コントロール、焼成度合いの微調整が容易である。例えば、ロータリーキルンを用いた焼成においては、直接加熱による焼成や間接過熱による燃焼方法の単独または組み合わせて燃焼処理を行うことができ、一次焼成を直接加熱キルン炉、二次焼成を間接加熱キルン炉、特に焼成温度を容易に調整可能な外熱電気炉により焼成する方法を採用することができる。
焼成温度は、スラッジ中のカーボンブラック等のインク顔料や繊維及びポリマー等の有機系化合物を燃焼し、再生粒子凝集体中にカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの3成分を含有するように焼成工程で凝集させた再生粒子の凝集体を形成するのに十分また安定した温度であれば、特に限定されない。
脱墨フロス中にシリカが含まれる場合には、シリカがカルシウム及びアルミニウムと反応し、硬度の高いケイ酸アルミニウムカルシウム等が生成する恐れがある。硬度の高い物質の生成を防止するため、例えば、500℃以下の温度で焼成することが検討されるが、このような条件では、有機化合物を完全燃焼させることが難しく、製紙用として有用に利用できるレベルの白色度を有する再生粒子凝集体を得ることが困難である。
一方、焼成温度が1000℃を超えると脱墨フロス中に含まれる炭酸カルシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン、シリカ、アルミナ等無機物の分解および焼結が進み高硬度化するため、焼成して得られた脱墨フロスを主原料とする再生粒子凝集体を本発明において所望される粒子径まで粉砕するのに多大のエネルギーや時間を要するおそれがあるため好ましくない。したがって、焼成条件としては、一次焼成が510〜750℃で、二次焼成が500〜700℃で行われるのが好ましく、一次焼成が520〜650℃で、二次焼成が500〜600℃で行われるのがより好ましい。
焼成工程は、一段階とすることもできるが、少なくとも二段階とするのが好ましく、連続する設備により少なくとも二段階焼成とするのがより好ましい。焼成工程が、少なくとも二段階の焼成工程からなると、有機物の燃焼による焼成において焼成ムラが生じにくく、満遍なく焼成を進めることが可能になる。特に焼成工程における物理的手段を異ならせることで、偏った焼成を避け焼成速度の向上を図ることが可能である。
もちろん、二次焼成の温度を一次焼成の温度と同温度とすることもでき、同温度とする場合は、520〜600℃とすると、緩慢に焼成し未燃物を減少させることができ、白色度が少なくとも70%以上、好適には80%を超える再生粒子凝集体を得ることができる。なお、本形態において、一次焼成温度と二次焼成温度との温度差は、焼成炉内上端部の温度を基準とする。
一次焼成炉での焼成は、未燃率が5〜30質量%となるように行うことが望ましい。8〜25質量%となるように行うのがより好ましく、10〜20質量%となるように行うのが特に好ましい。一次焼成での、未燃率が5質量パーセント未満では、焼成における粒子表面の過焼が生じ表面が硬くなるとともに、内部の酸素不足が生じ、再生粒子凝集体の白色度が低下する問題が生じる。他方、一次焼成での未燃率が30質量%を超えると、二次焼成後においても未燃分が残る問題、未燃分が自燃による過焼成により粒子が硬化する問題、未燃分が残るのを防止するためとして粒子表面が過焼するまで燃焼焼成してしまい、再生粒子凝集体表面が硬くなる問題が生じる。
なお、前記乾燥工程や焼成工程、及び必要に応じて分級工程において、粉砕工程前にあらかじめ、粒子径が40μm以下の粒子が80質量%以上、より好ましくは90%以上となるように処理しておくことが好ましい。これにより、通常行われている乾式粉砕による粗大粒子の粉砕及び湿式粉砕による微粒子化といった複数段の粉砕処理を行うことなく、湿式粉砕による一段粉砕処理も可能となる。
さらには原料である脱墨フロス中のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、あらかじめ、例えば後述する質量割合に調整することで、再生粒子凝集体の細孔容積を0.15〜0.60cc/g、細孔表面積を10〜25m2/g、細孔半径を30〜100nmとすることもでき、吸油性、不透明性に優れる再生粒子凝集体とすることができる。
再生粒子凝集体の粒度を各工程で均一に揃えるためには、分級を行うことが好ましく、粗大粒子や微小粒子を前工程にフィードバックすることでより品質の安定化を図ることができる。
また乾燥工程の前段階において、脱水処理を行った脱墨フロスを造粒することが好ましく、さらには造粒物の粒度を均一に揃えるための分級を行うことがより好ましく、粗大や微小の造粒粒子を前工程にフィードバックすることでより品質の安定化を図ることができる。なお造粒においては、通常の造粒設備を使用することができ、回転式、攪拌式、押出式等の設備が好適である。
この再生粒子凝集体は、脱墨フロスを焼成して得られる循環使用が可能なものであるので、廃棄物としての埋立等の処分が不要であり、環境負荷の低減と、省資源化に大きく貢献するものである。また、原料が古紙処理工程で生じる脱墨フロスであるので、安価であり、新たな天然無機鉱物の使用量を抑えることができ、製造コストが充分に削減されるという利点がある。さらに係る再生粒子凝集体を用いることで、抄造時の灰分歩留まりが高く、例えば炭酸カルシウムと異なり、ワイヤー摩耗等の抄紙設備の摩耗劣化を来たすことが無く、更に樹脂成分が微細な状態下で再生粒子凝集体に吸着することで、樹脂分の凝集によるピッチトラブルを防ぎ抄紙設備汚れを殆ど起こすことがなく、低コストで高い操業性で紙を製造することができ、しかも従来と同等以上の優れた不透明度や紙力が紙に付与され、裏抜け、断紙も少なくなる。
かくして得られる再生粒子凝集体は、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを含有している。再生粒子凝集体中のこれらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの割合は、X線マイクロアナライザー(型番:E−MAX・S−2150、(株)日立製作所/(株)堀場製作所製)にて元素分析を行い、酸化物換算で、カルシウム:ケイ素:アルミニウムが30〜82:9〜35:9〜35、さらには40〜82:9〜30:9〜30、特に60〜82:9〜20:9〜20の質量割合であることが好ましい。また同時に、これらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの元素分析における酸化物換算の合計含有割合は、85質量%以上、好ましくは90質量%以上である。
再生粒子凝集体の表面を被覆するシリカについては、天然に産出するシリカではなく、何らかの化学反応による合成シリカであれば特に制限なく使用することが可能である。具体的には、例えばコロイダルシリカ、シリカゲル、無水シリカなどがあげられる。これらの合成シリカは、高比表面積、ガス吸着能の高さ、微細性、細孔への浸透力や吸着力の大きさ、付着性の高さ、高吸油性などの優れた特性を活かして、幅広い分野で利用されているものである。これらのうち、コロイダルシリカは、ケイ酸化合物から不純分を除去して無水ケイ酸ゾルとし、pH及び濃度を調整してゾルを安定化させた、球状、連鎖状、不定形等の形状を有する非晶質シリカである。シリカゲルは、ケイ酸ナトリウムを無機酸で分解することによって得られる含水ケイ酸である。また無水シリカは、四塩化ケイ素の加水分解によって得られるものである。
まず、再生粒子凝集体をケイ酸アルカリ溶液に添加、分散させ、スラリーを調製した後に加熱攪拌しながら、液温を70〜100℃程度に保持して酸を添加し、シリカゾルを生成させる。次いで最終反応液のpHを8〜13の範囲に調整することにより、再生粒子凝集体の表面にシリカを析出させることができる。このようにして再生粒子凝集体の表面に析出されるシリカは、ケイ酸アルカリ(例えばケイ酸ナトリウム:水ガラス)を原料として、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸の希釈液と高温下で反応し、加水分解反応とケイ酸の重合化により得られる、粒子径が10〜20nm程度のシリカゾル粒子である。
また、ケイ酸ナトリウム溶液等のケイ酸アルカリ溶液に希硫酸等の酸を添加することによって生成する、粒子径が数nm程度のシリカゾル微粒子を、再生粒子凝集体の多孔性を有する表面全体を被覆するように付着させ、このシリカゾル微粒子の結晶成長に伴う、無機微粒子表面上のシリカゾル微粒子と再生粒子凝集体に包含されるケイ素やカルシウム、アルミニウムとの間で生じる結合により、再生粒子凝集体の表面にシリカを析出させることもできる。この場合、ケイ酸アルカリ溶液に酸を添加する際のpHは、中性〜弱アルカリ性の範囲とし、好ましくはpHを8〜13の範囲に調整する。これは、pHが7未満の酸性条件になるまで酸を添加してしまうと、シリカゾル粒子ではなくホワイトカーボンが生成する恐れが生じるからである。
なお、前記ケイ酸アルカリ溶液の種類には特に限定がないが、入手が容易である点からケイ酸ナトリウム溶液(3号水ガラス)が特に望ましい。このケイ酸アルカリ溶液の濃度としては、再生粒子凝集体中のシリカ成分が低下し、再生粒子凝集体の表面にシリカが析出し難くならないようにするには、溶液中のケイ酸分(SiO2換算)が3質量%以上であることが好ましく、再生粒子凝集体の表面に析出されるシリカが、シリカゾルの形態からホワイトカーボンになり、再生粒子凝集体の多孔性が阻害され、不透明度や印刷適性の向上効果が不充分になる恐れをなくすには、係るケイ酸分(SiO2換算)が10質量%以下であることが好ましい。
シリカ被覆の再生粒子凝集体とすることで、循環使用における古紙処理工程において、水酸化ナトリウムと反応させて緩衝剤や漂白助剤として製紙用原料、再生粒子凝集体の循環使用にも寄与させることができる。またかかるシリカ被覆再生粒子凝集体を填料として原料パルプに内添した場合には、シリカで被覆していない再生粒子凝集体を用いた場合よりもさらに、紙の白色度、不透明度、表面強度、インク乾燥性、インク吸収ムラ、嵩高といった効果をより向上させることができる。
特に再生粒子凝集体がシリカ被覆再生粒子凝集体である場合には、これらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの割合は、酸化物換算で、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、酸化物換算で10〜80:10〜80:5〜29の質量割合であることが好ましい。また同時に、これらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの元素分析における酸化物換算の合計含有割合は、85質量%以上、好ましくは90質量%以上である。
このように、例えば再生粒子凝集体においてカルシウムが酸化物換算で30質量割合以上含有、シリカ被覆の再生粒子凝集体においては、酸化物換算で10質量割合以上された再生粒子凝集体を填料として原料パルプに内添した場合には、特に得られる紙の白色度を向上させることができる。
例えば、再生粒子凝集体中のカルシウムの調整には中性抄紙系の排水スラッジや、塗工紙製造工程の排水スラッジを、ケイ素の調整には不透明度向上剤として多量添加されている新聞用紙製造系の排水スラッジを、アルミニウムの調整には酸性抄紙系等の硫酸バンドが使用された抄紙系の排水スラッジや、クレーの使用量が多い上質紙抄造工程の排水スラッジを適宜用いることができる。
前記再生粒子凝集体の含有量があまりにも少ない場合には、例えば抄紙機でのカレンダー処理において、平滑化の効果が発現されにくくなり、紙の不透明性が低下して印刷後の不透明度が低下したり、内添紙の剛直度が高くなり、輪転機上での走行性が低下したりする恐れがあるので、原料パルプに対して2質量%以上、さらには5質量%以上であることが好ましい。逆に再生粒子凝集体の含有量があまりにも多い場合には、表面性や剛度の点では望ましいものの、印刷機内での搬送に伴って灰分が脱落し易くなり、表面強度の低下や、剥け・ケバ立ち、印刷白抜け、紙粉が発生する恐れがあるので、原料パルプに対して20質量%以下、さらには15質量%以下であることが好ましい。
また原料パルプ及び填料から得られた紙料スラリーに添加する添加剤としては、通常の紙に配合されるものを用いることができ、例えば澱粉類、植物性ガム、水性セルロース誘導体、ケイ酸ソーダ等の紙力増強剤;ロジン、澱粉、CMC(カルボキシルメチルセルロース)、ポリビニルアルコール、アルキルケテンダイマー、ASA(アルケニル無水コハク酸)、中性ロジン等の内添サイズ剤;ポリアクリルアミドやその共重合体、ケイ酸ナトリウム等の歩留向上剤などがあげられる。
前記表面処理剤において好適使用できる澱粉としては、特に限定されないが、カルボキシメチルデンプン(アニオン性)、ヒドロキシアルキルデンプン(ノニオン性)、リン酸デンプン(アニオン性)等の変性澱粉は、紙中に浸透しながら、引張り強度や表面強度を向上させる効果を有するものの、中性又はアニオン性を示すため、アニオン性を呈するパルプ繊維表面への定着性に劣り、被膜性が低い。したがって、アニオン性を呈するパルプ繊維表面への定着性が高いカチオン性の澱粉であることが好ましい。すなわち、カチオン澱粉等のカチオン性の紙力剤は電荷調整機能を併せ持つため、特に好適である。
カチオン性の澱粉は、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4アンモニウム塩基、及び第3級アミノ基とハロゲン化アルキル基等のカチオン基が付加された澱粉で、カチオン基以外にアニオン基も導入された両性澱粉であっても良い。カチオン基の置換度は、0.005〜0.05程度が望ましい。置換度が0.005未満の場合には吸水抵抗性が低下し、0.05を超えるような多量のカチオン基の導入は非常に困難である。原料澱粉の種類は特に限定するものではないが、タピオカ、コーン、ポテト、ワキシーメイズなどの一般的な工業用澱粉を使用することができ、特にタピオカが好ましい。カチオン性の澱粉であると、パルプ繊維に対する定着性が向上し、被膜性に優れ、また、表面強度も向上する。
澱粉と併用使用される特に好適な表面処理剤としては、ポリビニルアルコールが挙げられる。
表面処理剤としてポリビニルアルコール単独で塗工した場合には、澱粉単独で塗工した場合に比べて、ほぼ3倍の表面強度を示し、被膜性に優れる反面、被膜性が高いために、コールドセット型インキのように、用紙中に溶媒が浸透して乾燥する印刷インキの場合、印刷インキの溶媒の吸収性が悪く、インキのインキセット性速度が劣る。また、ポリビニルアルコールを単独で一定量塗工する場合には、塗工液の粘性が高く、フィルム転写方式では、断紙、抄紙設備の汚れ、粕、紙面の汚れなどの問題が生じるため使用できない。したがって、澱粉と併用することで、適度なインキ溶媒の用紙中への浸透を促しながら、インキ顔料成分を用紙表面に留め被膜性が向上するとともに、インキセット性の低下も抑えられる。ポリビニルアルコールの種類は、特に限定されない。ポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
ポリビニルアルコールとしては、平均重合度が500〜3500のものが好ましく用いられ、特に、平均重合度が1000〜2400、更には、1700〜2400の範囲のものが澱粉との相溶性に優れるため、均質な被膜性を得やすくなるため、好ましく用いられる。また、ケン化度が80以上、100に近いポリビニルアルコールであるのが好ましく、ケン化度が90以上、100の完全ケン化ポリビニルアルコールであることが好ましい。完全ケン化ポリビニルアルコールであると、部分ケン化ポリビニルアルコールである場合よりも用紙表面に耐水性・耐熱性を有する被膜性を得やすくなる。
また、このようなポリビニルアルコールを用いることで、澱粉との親和性が良く短時間で澱粉とポリビニルアルコールとがブレンド可能であり、操業性を向上させることができるとともに、塗工設備においてミストの発生を低減させることができる。ケン化度が高く、重合度も高い性質を有するポリビニルアルコールを用いることにより、高いインキ濃度を得ながら、高いオフセットインキのインキセット性を実現することができる。また、用紙に印刷した後、用紙を積層しても、裏面へのインキ転写を防止することができ好ましい。
再生粒子凝集体を内添した内添紙に前記表面処理剤を設けることによる相乗効果によって、古紙パルプを原料パルプとする事による紙粉の発生やインキ吸収ムラの抑制を図ることができるとともに、インキセット性の改善、網点再現性等の印刷適性をより向上させることができる。
前記表面処理剤は、製紙分野で一般に使用されている塗布装置、例えばサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ゲートロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、ロッドコーター、エアナイフコーター等を用いて塗布すればよい。
表面処理剤の塗布量は、紙の表面強度を充分に向上させるには、片面乾燥重量で0.4g/m2以上となるように調整することが好ましく、またコスト高となったり、不透明度やインク乾燥性の低下を招いたりしないようにするには、片面乾燥重質量で3.0g/m2以下となるように、より好ましくは、0.7〜2.5g/m2以下に調整することが好ましい。
該カレンダー装置としては、金属ロール同士の組合せによるマシンカレンダーや、金属ロールと、ウールーンペーパーロールやポリアミド系樹脂等の耐久性の高い樹脂素材でカバーしたロールのように弾性を付与したロールとから構成されるいわゆるソフトカレンダーなどが知られ、金属ロールと金属ロールとの組み合わせによるマシンカレンダーの使用が一般的である。
然しながら、カレンダー処理のニップ圧力を高くしたり、ニップ数を増やすことで平滑化すれば、インキ着肉性は高まるが紙の嵩高さが損なわれるために印刷時の皺発生など走行性不良トラブルの原因となる恐れがあるとともに、印刷後の不透明度が低下や剛度が低くなる。
一方で、カレンダー処理を軽減すれば嵩高な紙を得ることはできるが、紙面の着肉性の表裏差が増大し、特に平滑度が低い側の紙面で着肉性が悪くなるため、表と裏とで画像の濃度が著しく異なるという問題が発生する。これは、抄紙工程中、ワイヤーパート、プレスパートでの脱水条件が表面と裏面とで微妙に異なるため、用紙の平滑性に表裏差ができたり、厚さ方向での填料、微細繊維の分布状態が異なったりするために、インキの転移性に表裏差がでるためと考えられている。
再生粒子凝集体を填料として内添した印刷用紙との好適な組合せにおいて、マシンカレンダーを使用すると、表面処理剤塗布前の乾燥までの工程で生じた平滑性の表裏差を助長してしまう傾向がある一方、ソフトカレンダーとの組合せにおいては、紙層の地合ムラに起因するカレンダー処理後の密度ムラが軽減でき、その結果オフセット印刷時にカラー刷りした場合にインキ吸収ムラのない均一な濃度の印刷面を得ることができ、特に再生粒子凝集体との併用においては、元来クッション性を有する再生粒子凝集体と密度を上げずに用紙表面を高温のアイロンで平坦化するように凹凸を軽減するソフトカレンダーにより、再生粒子凝集体が原料パルプのフィブリル繊維と絡み易く、密度を上げず用紙表面の平坦性と緻密性を向上させるともに、紙力低下を来たしにくい。また、インキ着肉性を高める手段としては、先に述べたソフトカレンダー等による平坦化処理により印刷用紙を平滑化することが、紙層を強く加圧せずに平滑化することができ、さらに紙層強度の低下を充分に抑制することができるのでソフトカレンダーを使用することがより好ましい。
他方、ソフトカレンダーの弾性ロールの硬度は、JIS Z 2246によるショア硬さが87〜95°であることが望ましい。87°未満であると弾性ロールの耐久性が悪く、十分な平滑性が得られない一方、95°を超えると均一なプロファイルが得にくい問題がある。前記弾性ロールの粗さは、JIS B 6001による表面粗さの最大値が0.5μm未満であることが紙面のインキ着肉ムラを少なくするために特に望ましい。
また、前記ソフトカレンダーの金属ロールに接する面を平滑化するために、前記金属ロールの表面温度は、40〜150℃、好ましくは80〜140℃、さらに好ましくは90〜120℃とする。表面温度をこの範囲内とすることにより、僅かな密度ムラが影響するような多色刷りにおいても、均一な濃度の印刷面を表裏差なくことができる。
さらに好ましくは、表裏面に設ける表面処理剤の塗布量を表面側より裏面側を多くすることにより、より良好な平坦性と嵩高性とが得られ、腰のある印刷用紙を得ることができる。
印刷用紙の白紙不透明度は、印刷時の裏抜けが発生し難いという点から不透明度は高いものが求められるが、紙の坪量や白色度の影響を受けるため、最適値は無く、同一坪量での相対的な比較判断となる。
また密度は、近年の軽量化や軽量化に伴う強度維持の点から、JIS P 8118に記載の「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定して、0.50〜0.80g/cm3、さらには0.55〜0.75g/cm3であることが好ましい。
本発明で得られた内添紙を原紙として使用し、その表面に、また表面に設ける表面処理剤の上層に無機顔料を主成分とした塗工層を設けて嵩高な塗工紙を得ることもできる。本発明に基づく内添紙を塗工用の原紙として用いた場合は、再生粒子由来の不透明性と嵩高かつクッション性により、片面で0.5〜8g/m2の塗工紙であっても高い印刷不透明性と印刷適性が得られ、微塗工紙から高塗工量の高精細な印刷用紙を得ることができる。
テスト用長網多筒式抄紙機により、原料パルプを選択し、そのスラリー中に、常用のサイズ剤や紙力剤などの添加剤した後、表2に示した前記の再生粒子凝集体又は市販の炭酸カルシウムを表3に記載の紙中灰分になるように添加し、その後に、表1に示す各種凝集剤を添加し、抄紙し、サイズプレスにて表面処理剤を塗布した。塗布量は、一定(片側0.5g/m2)とした。その後に、ラボスーパーカレンダーを用いて60kg/cmで2回通紙し、内添紙を得た。
表3における再生粒子凝集体は、以下の方法により調整した。
<再生粒子凝集体>
(1)原料として脱墨フロスを使用し、脱水水工程後水分40%、乾燥物水分が5%に成るように乾燥することで、平均粒子径1000μmの原料を得た。
(2)焼成工程において、1次焼成温度520℃、酸素濃度を一次焼成炉上部にて7.00%、一次焼成炉後未燃率が25.9%、2次焼成温度510℃、二次焼成炉内の酸素濃度が20.0%の条件で焼成した結果、得られた再生粒子は、白色度が80.7%であり、カルシウム、シリカ、アルミニウムそれぞれの酸化物換算による割合が、カルシウム30%、シリカ35%、アルミニウム35%であり、カルシウム、シリカ、アルミニウムの構成成分中の割合が、再生粒子全構成の87%であった。
(3)得られた再生粒子凝集体は、粉砕工程において表2に示す体積平均粒子径に、湿式粉砕機にて粉砕を施し、本発明の実施例に供した。
<シリカ被覆再生粒子凝集体>
(4)更に、(3)にて得た再生粒子凝集体を、シリカ処理工程において、液温100℃、最終反応におけるpHを8.0でシリカ被覆処理を行い、シリカ被覆後の体積平均粒子径が7.0μmの表2に記載のシリカ被覆処理再生粒子を得て、本発明の実施例に供した。
(5)(4)に記載のシリカ被覆処理再生粒子は、カルシウム、シリカ、アルミニウムの酸化物換算割合がカルシウム10%、シリカ80%、アルミニウム10%であり、構成成分中の割合が95%であり、粒子径が0.1〜10μmの割合が80%以上であることを確認した。
得られた内添紙について、特性を調べたところ、表3に示すとおりであった。
(ア)再生粒子凝集体の体積平均粒子径
再生粒子凝集体サンプル10mgを超音波分散機(出力:80W)で3分間分散させた。この溶液をレーザー粒径分布測定装置(レーザー回折式粒度分布測定装置 SALD−2200型、標準屈折率(1)にて測定、(株)島津製作所製)により、平均粒子径を測定した。
(イ)灰分
JIS P 8251に記載の「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法」に準拠して測定した。
(ウ)坪量
JIS P 8124に記載の「坪量測定方法」に準拠して測定した。
(エ)紙厚、密度
JIS P 8118に記載の「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
(オ)平滑度
JIS P 8119による。
(カ)ステキヒトサイズ度
JIS P 8122による。
(キ)インターナルボンド
JAPAN TAPPI No.18−2に規定される方法に従い測定される値。熊谷理機工業社製インターナルボンドテスターにて測定した。
(ク)白紙不透明度
JAPAN TAPPI No.80によって測定した値である。
(ケ)白色度
JAPAN TAPPI No.79によって測定した値である。
表3に結果から、本発明例によれば、内添紙として、特に嵩高性に優れたものを得ることができる。
なお、原料パルプの割合は、使用用途に応じて適宜変更可能である。
Claims (4)
- パルプに填料を内添した内添紙であって、
古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、前記主原料を脱水、乾燥、焼成及び粉砕工程を経ることにより得られ、前記焼成工程で凝集させ、粒子中にカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの3成分を含有し、X線マイクロアナライザーにて元素分析を行い、酸化物換算で、カルシウム:ケイ素:アルミニウムが30〜82:9〜35:9〜35である再生粒子凝集体が、前記内添用填料とされ、
単独で添加したアニオン性凝集剤の存在下で抄紙され、
前記アニオン性凝集剤のアニオン量が0.5〜5meq/gであることを特徴とする再生粒子凝集体内添紙。 - ファンポンプにてパルプスラリー中に再生粒子凝集体を添加した後、スクリーン通過後にアニオン性凝集剤を添加して抄紙される請求項1記載の再生粒子凝集体内添紙。
- 再生粒子凝集体の平均粒子径が0.1〜10μmである請求項1または2記載の再生粒子凝集体内添紙。
- パルプに填料を内添した内添紙を製造するに際し、
古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、前記主原料を脱水、乾燥、焼成及び粉砕工程を経ることにより得られ、前記焼成工程で凝集させ、粒子中にカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの3成分を含有し、X線マイクロアナライザーにて元素分析を行い、酸化物換算で、カルシウム:ケイ素:アルミニウムが30〜82:9〜35:9〜35である再生粒子凝集体を、前記内添用填料とし、
ファンポンプにてパルプスラリー中に再生粒子凝集体を添加した後、スクリーン通過後にアニオン性凝集剤のみを添加し、
単独で添加したアニオン性凝集剤の存在下で抄紙し、
前記アニオン性凝集剤のアニオン量を0.5〜5meq/gとすることを特徴とする再生粒子凝集体内添紙の製造方法。
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