JP5610723B2 - 新聞用紙 - Google Patents

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本発明は、高い不透明度を備える新聞用紙に関し、詳細には、オフセットインキ輪転印刷に好適に用いられる新聞用紙に関する。
新聞用紙を始めとする紙は、物流コスト、省資源化等の観点から軽量化の需要が非常に高い。しかしながら、紙を軽量化すると紙の厚みが小さくなり、不透明度、特に印刷後の不透明度が大きく低下する。印刷後の不透明度の低下は、反対面から透けて見える現象、いわゆる裏抜けを引き起こし、印刷裏面の印面品質を低下させる。
従来、新聞用紙の不透明度を向上させるために、原料パルプとして太い繊維を有する機械パルプが多用されてきた。しかし、古紙パルプの高配合が望まれる近年にあっては、新聞用紙において前記機械パルプを主原料とすることは難しい。また、再生紙の普及に伴って、近年では再生紙である古紙をさらに再利用することになり、パルプ繊維を繰り返し再利用している状況にあることから、得られる古紙パルプは微細繊維が多く、強度も低下している。この古紙を高配合させることは、新聞用紙の強度、不透明度の低下を招き、印刷時の裏抜けや隠蔽性を低下させるとともに、印面のかすれや網点の欠落等、見栄えが低下するなどの不都合が生じる。
新聞用紙等の隠蔽性を高め、裏抜けを少なくするためには、ホワイトカーボンや炭酸カルシウムなどの填料を利用して、紙の不透明度及び吸油度を向上させることが一般的に行われている。填料の添加方法には、バインダ等と共に填料を表面塗工する外添と、填料をパルプ原料と混合して抄紙する内添とがある。填料の中でも微細な填料粒子は、光の散乱係数と吸収係数とが良好であり、不透明度向上効果が高いが、内添填料として利用する場合は歩留まりが低く、主に外添により塗工される。しかし、填料を外添塗工して利用する場合は一定以上の塗工層を形成する必要があるため、新聞用紙に要求される軽量化を達成することができない。また、新聞用紙のオフセット輪転印刷機は高速で乾燥設備を持たないため、填料を外添塗工する場合は、インキの乾燥性、表面強度、版汚れなどにおいて、新聞用紙に要求される品質を満足することが困難である。
従って、この不透明度を向上させるための内添填料を用いた紙として、例えばタルク、クレー又はカオリンにホワイトカーボンを併用して新聞用紙を製造する技術が提案されている(特許2960001号公報参照)。この新聞用紙に用いられるホワイトカーボンは珪酸ソーダを硫酸で中和して得られる微細なものであり、従来のホワイトカーボン粒子より粒径が小さいため、光の散乱性が良好で、白紙の不透明性を向上させることができるものである。しかしながら、この技術に係るホワイトカーボンは微細な形状をしており、使用に際しては硫酸バンド等で凝集させる必要があり、そのため操業時の品質管理が困難であるという不都合がある。
また、別の技術として、ホワイトカーボンと炭酸カルシウムとを主体とし、これらを灰分の原子吸光分析における割合が9:1〜5:5になるように含有している新聞用紙も提案されている(特開2002−201590号公報参照)。この新聞用紙は、安価な炭酸カルシウムを使用し、ホワイトカーボンの歩留まりが良好なpH6〜8で処理することで低いコストで製造することが可能となっている。しかしながら、この新聞用紙では製造コストは低くできるものの、二次凝集により巨大化したホワイトカーボン粒子相互間およびホワイトカーボン粒子とパルプ繊維との間には空隙が多く存在し、この空隙を光が透過するため、不透明度や白色度の向上効果は十分とは言えない。
これらに加えて、従来技術においては、填料のパルプ繊維間への固着性が高くないことが原因で、満足される不透明度が得られない及び填料の歩留まりが悪いという不都合が存在する。更には、このように従来の固着性が高くない填料は、抄紙後にも、抄紙からこぼれ落ちやすいために、マシン系内を汚し、更には、このこぼれ落ちた粒子によってマシンの操業性が低下するという不都合がある。
特許2960001号公報 特開2002−201590号公報
本発明は、これらの不都合に鑑みてなされたものであり、内添填料を用いることによってもパルプ繊維間への填料固着性が高く、高い不透明度及び吸油性を備え、印刷時の紙紛発生が少なく印刷作業性に優れ、加えて紙粉落ちが少ないため製造工程におけるマシン系内の汚れを低減するとともに、マシン操業性を向上させることができる新聞用紙の提供を目的とするものである。
パルプに少なくとも2種類の填料を内添した新聞用紙であって、
この2種類の填料として、ホワイトカーボン及びシリカ含有粒子が用いられ、
この2種類の填料の合計が、0.5μmごとに集計した面積粒子径の分布において、次の(A)及び(B)それぞれの範囲に極大値を有する面積粒子径分布を持つことを特徴とする新聞用紙である。
(A)15μm以上25μm以下
(B)1μm以上15μm以下
当該新聞用紙は、内添する填料として、ホワイトカーボン及びシリカ含有粒子が用いられ、この2種類の填料が、面積粒子径の分布において、15μm以上25μm以下と、1μm以上15μm以下とに極大値を持つものである。このようにシリカを含む2種類の填料(ホワイトカーボンとシリカ含有粒子)の面積粒子径の分布において15μm以上25μm以下及び1μm以上15μm以下のそれぞれの範囲に極大値を有する填料を併用すると、粒径の大きい填料の隙間に粒径の小さな填料が組み合わされる。この組み合わせにより不透明度の高い新聞用紙が得られる。すなわち、粒径の小さい粒子は、粒径の大きい粒子が固着することができない細かいパルプ繊維間及びパルプ繊維と粒径の大きい粒子とによって形成された網目間を埋めるように固着されるため極めて高い不透明度を有することとなる。更には、このように固着性が高くなるような填料を用いていることで、紙粉落ちが減少するため、製造工程におけるマシン系内の汚れを低減するとともに、マシン操業性を向上させることができる。加えて、当該新聞用紙は、内添される填料としてホワイトカーボンに加え、シリカ含有粒子を備えていることで、極めて高いインクの吸油性を発揮させることができる。
上記シリカ含有粒子が、脱墨フロスを主原料とする再生粒子の表面にシリカを被覆したシリカ被覆再生粒子であるとよい。シリカ被覆再生粒子は表面が多孔質形状を有するため当該新聞用紙は、極めて高い吸油機能を発揮することができ、加えて、高い光散乱性から不透明度を更に高めることができる。また、シリカ含有粒子が、脱墨フロスを主原料とする再生粒子を核として使用することで、製造コストを削減することができる。
上記シリカ被覆再生粒子の含有量が、0.5質量%以上4質量%以下であることが好ましい。当該新聞用紙によれば、シリカ含有粒子の含有量が上記範囲であることで、ホワイトカーボンが埋めきれなかった空隙間に効果的に固着され、極めて高い不透明度を有することができ、紙粉落ちを減少させることができる。
灰分が、8質量%以上13質量%以下であることが好ましい。灰分が、上記範囲であることにより、当該新聞用紙の不透明度及び吸油性を更に高めることができる。
当該新聞用紙は、上記のように高い不透明度を有し、吸油性に優れ、製紙作業性も高いものであるため、坪量が38g/m以上48g/m以下、白色度が52%以上57%以下、不透明度が90%以上95%以下とすることにより、オフセット輪転印刷用の新聞用紙として高い不透明度及び印刷適性等作業性を発揮することができる。
ここで、「灰分」は、JIS−P8251に記載の「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に準拠した測定値である。「坪量」は、JIS−P8124に記載の「坪量測定方法」に準拠した測定値である。「白色度」は、JIS−P8148に記載の「紙、板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法」に準拠した測定値である。「不透明度」はJIS−P8149に記載の「紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照明法」に準拠した測定値である。また、本発明で言う「面積粒子径」は、エネルギー分散型X線分析装置を備えた走査電子顕微鏡(型番S−4800、(株)日立ハイテクノロジーズ製、型番ENERGY EX−250、(株)堀場製作所)で新聞用紙表面を倍率3000倍で撮影し観察された填料粒子について、粒子を内包できる最小の円(粒子の外接円)の直径である。また、粒子が凝集された二次粒子の場合はその凝集された二次粒子の径を粒子径とする。平均面積粒子径は、前記、走査電子顕微鏡で観測される粒子から無作為に抽出された100個の面積粒子径を平均したものを言う。シリカを含む2種類の填料粒子(ホワイトカーボン及びシリカ含有粒子)の合計、すなわちエネルギー分散型X線分析装置でシリカが検出される填料粒子の面積粒子径分布の極大値は、エネルギー分散型X線分析装置を備えた走査電子顕微鏡(型番S−4800、(株)日立ハイテクノロジーズ製、型番ENERGY EX−250、(株)堀場製作所)で倍率3000倍で撮影して観察されたシリカを含む粒子について、無作為に100個の粒子を抽出し、面積粒子径0.5μmごとに填料粒子の数を集計して面積粒子径の分布を求め、極大値の有無を判断する。
以上説明したように、本発明の新聞用紙によれば、内添填料を用いることによってもパルプ繊維間への填料固着性が高く、高い不透明度及び吸油性を備え、加えて紙粉落ちが少ないため製造工程におけるマシン系内の汚れを低減するとともに、マシン操業性を向上させることができる。従って、本発明の新聞用紙は、高速のオフセット輪転印刷用の新聞用紙として好適に用いることができる。
以下、本発明の新聞用紙について好ましい実施の形態を説明する。
本発明の新聞用紙は、パルプと、少なくとも2種類の填料としてホワイトカーボン及びシリカ含有粒子とを含有している。
当該新聞用紙の原料となるパルプとしては、公知のものでよく、その種類及び組み合わせは適宜設定できる。例えば、主成分として古紙パルプと、古紙パルプに加え、バージンパルプを用いることができる。このように主成分として古紙パルプを用いることが、省資源化の観点からも好ましい。
古紙パルプとしては、例えば、茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ(DIP)又は離解・脱墨・漂白古紙パルプ等が挙げられる。
これらの古紙パルプの中でも、新聞古紙由来の新聞古紙パルプ、雑誌古紙由来の雑誌古紙パルプ等が好ましく、新聞古紙パルプ及び雑誌古紙パルプを混合して用いることが特に好ましい。かかる新聞古紙パルプ及び雑誌古紙パルプは、古紙の回収率が高く、各製紙メーカーで新聞用紙、雑誌用紙を構成する原料パルプ種や填料類が近似していることから、原料構成の変動を抑えることができる点で好適である。特に、新聞古紙パルプは、新聞用紙には一般的に古紙パルプが既に50%以上配合され、バージンの機械パルプやクラフトパルプの含有量が少ないため、また、バージンの各種パルプが用いられていても、一度抄紙され、古紙処理により古紙パルプ化されているため、その性状は均質化し、ほぼ一定の性状を有している点で特に好ましい。
バージンパルプとしては、例えば、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプ;ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ;ケナフ、麻、葦等の非木材繊維から化学的又は機械的に製造されたパルプ等の公知の種々のパルプを使用することができる。
これらのバージンパルプの中でも、新聞用紙の製造において、古紙パルプを用いることによる嵩の低下を補完する効果を有する機械パルプ(MP)が好ましく、古紙から得る古紙パルプの調整に好適なサーモメカニカルパルプ(TMP)が特に好ましい。
原料パルプにおける古紙パルプの含有量としては、50質量%以上が好ましく、70質量%以上が特に好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。原料パルプ中の古紙パルプの含有量を上記範囲とすることで、資源の有効利用等の環境性が向上し、さらにインキ着肉性等の印刷適性も向上する。逆に、原料パルプにおけるバージンパルプの含有量としては、20質量%以上が好ましく、30質量%以上が特に好ましい。バージンパルプの含有量が上記範囲未満では、古紙から得る古紙パルプの調整が困難で、また、嵩が出ず腰のない新聞用紙になり、搬送性や作業性が低下するおそれがある。
当該新聞用紙は、填料としてホワイトカーボン、及びこのホワイトカーボンの平均面積粒子径より小さい平均面積粒子径を有するシリカ含有粒子を含有している。シリカを含むこの2種類の填料の合計の面積粒子径の分布は、(A)15μm以上25μm以下、好ましくは18μm以上22μm以下、及び(B)1μm以上15μm以下、好ましくは2μm以上12μm以下、さらに好ましくは5μm以上10μm以下のそれぞれの範囲に極大値を有する。本実施例においては、ホワイトカーボンの平均面積粒子径が(A)の極大値を、シリカ含有粒子の平均面積粒子径が(B)の極大値を有することとなる。このようにホワイトカーボンの平均粒径より小さい平均粒径を有するシリカ含有粒子は、ホワイトカーボンやパルプ繊維が作る空隙に配在されることになる。すなわち、上記パルプ繊維同士が相互に作り出す網目構造の目の部分、ホワイトカーボンとパルプ繊維との隙間、及びホワイトカーボン同士が相互に作り出す隙間が前記空隙と定義でき、この空隙を通って光が紙を通過し、不透明度を低下させていると考えられる。従って、このような空隙にシリカ含有粒子が引っかかり、この空隙をシリカ含有粒子が充填することで不透明度が向上することとなる。
これらの填料の含有量を調整することで、当該新聞用紙における灰分が調整される。当該新聞紙における、JIS−P8251に準拠した灰分の下限としては8質量%が好ましく、10質量%が特に好ましい。また、灰分の上限は13質量%が好ましく、12質量%が特に好ましい。灰分が上記範囲であることで、当該新聞紙は高い高不透明度を備えることができる。灰分が上記下限より小さいと不透明度が低くなる。逆に、灰分が上記上限を超えると、不透明度は高くなるものの、パルプ繊維間の密着性が低下し、紙力の低下に繋
がる。
また、この灰分が、ケイ素を40%質量以上60質量%以下(酸化物換算)、カルシウムを20質量%以上40質量%(酸化物換算)以下含有することが好ましい。当該新聞紙において、灰分は填料であるホワイトカーボンとシリカ含有粒子の含有量にて主に調整される。灰分中にケイ素及びカルシウムが上記範囲含有することで、輪転印刷において好適なインク吸着性が発揮され、高い不透明度が実現できる。ケイ素及びカルシウムの含有量が上記範囲未満であると、インク吸着性及び不透明度が低下する。なお、この灰分の含有元素は、灰分0.2gをエネルギー分散型X線分析装置(型番ENERGY EX−250、(株)堀場製作所)(50倍)にて分析することで、測定される値である。
本発明に用いられるホワイトカーボンとしては、高吸油性填料として製紙用に一般に使用される、例えば湿式シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等があげられる。
ホワイトカーボンは、形成されたポーラスな凝集構造によって不透明度を向上させるものであるが、中でも特に、見かけ比重が0.10〜0.25g/ml、BET比表面積が100〜250m/gであり、JIS−K5101−13−1に準拠した吸油量が190〜230ml/100gであることが好ましい。
このホワイトカーボンの平均面積粒子径の下限としては、15μmとされており、18μmが好ましい。また、このホワイトカーボンの平均面積粒子径の上限としては、25μmとされており、22μmが好ましい。なお、ホワイトカーボンの一次粒子径は上記平均粒子径よりも小さい(例えば0.01μm以上0.05μm以下程度)ものであるが、通常高次に凝集して二次粒子を形成している。本発明におけるホワイトカーボンの平均面積粒子径も、この凝集した二次粒子の平均面積粒子径を指す。
ホワイトカーボンの平均面積粒子径が上記下限より小さいと、パルプ繊維同士が相互に作り出す網目構造の目のサイズと比して小さくなるため、この部分を通過する粒子の割合が増え、固着率が低下する。逆に、ホワイトカーボンの平均面積粒子径が上記上限を超えると、パルプ繊維同士が相互に作り出す網目構造の目のサイズと比して大きくなるため、この部分に入り込んで固着することが困難となる。
ホワイトカーボンの含有量の下限としては、原料パルプに対して1質量%が好ましく、1.5質量%が特に好ましい。一方、ホワイトカーボンの含有量の上限としては、4質量%が好ましく、3質量%が特に好ましい。ホワイトカーボンの含有量の下限としては、0.5質量%が好ましく、1質量%が特に好ましい。一方、ホワイトカーボンの含有量の上限としては、3質量%が好ましく、2質量%が特に好ましい。ホワイトカーボンの含有量が上記下限より小さいと、発生する空隙が大きすぎ、かつ多すぎるため、シリカ含有粒子によってもその空隙を埋めきることができず、不透明度の向上機能が低い。逆に、ホワイトカーボンの含有量が上記上限を超えると、パルプ繊維同士で形成される空隙のサイズに対して、ホワイトカーボンの量が多すぎるために、空隙間に確実に埋め込まれることができず、製造及び使用中に脱落する填料が多くなるおそれがある。また、ホワイトカーボンの含有量が多すぎることによって、パルプ繊維間強度が低下し、紙力強度が低下することとなる。
本発明に用いられるシリカ含有粒子は、上述のホワイトカーボンよりも小さい平均面積粒子径を有するものである。シリカは多孔質形状を有しており、吸油性が高いため、ホワイトカーボンと同時に使用することで、当該新聞紙の不透明度を高めると共に吸油性を高め優れた印刷適性を発揮することができる。
このシリカ含有粒子の平均面積粒子径の上限としては15μmとされており、12μmが好ましく、10μmが特に好ましい。また、このシリカ含有粒子の平均面積粒子径の下限としては1μmとされており、2μmが好ましく、5μmが特に好ましい。シリカ含有粒子が上記範囲の平均面積粒子径を有することで、パルプ繊維やホワイトカーボン粒子が作る空隙に入り込み、固着することができる。従って、当該新聞用紙によれば、高い不透明度を備えることができる。また、このような粒子径を有するシリカ含有粒子を用いることで空隙への固着性が高まるため、製造工程において一度固着した粒子がこぼれ落ちる、すなわち紙粉の量を減少させることができ、そのため製造工程におけるマシン系内の汚れを低減するとともに、マシン操業性を向上させることができる。
シリカ含有粒子の平均面積粒子径が上記上限を超えると、この空隙に対して粒子径が大きすぎるために、空隙の中に入り込むことができず、固着性が低下し、ひいては不透明度の向上に寄与しない。逆に、シリカ含有粒子の平均面積粒子径が上記下限より小さいと、この空隙に対して粒子径が小さすぎるために、空隙を通り抜けやすくなり、固着性が低下する。また、このように粒子径が小さいと、固着しても光散乱作用が小さいため、不透明度の向上への寄与は小さい。更には、固着しても強度が弱く落ちやすいため、製造工程において脱落する割合が高まり、製造工程におけるマシン系内の汚れを発生させ、このことによりマシン操業性を低下させることとなる。
シリカ含有粒子の含有量の下限としては、原料パルプに対して、0.5質量%が好ましく、1.5質量%が特に好ましく、2質量%がさらに好ましい。また、シリカ含有粒子の含有量の上限としては、5質量%が好ましく、4質量%が特に好ましく、3質量%がさらに好ましい。シリカ含有粒子の含有量の下限としては0.5質量%が好ましく、1質量%が特に好ましく、1.5質量%がさらに好ましい。また、シリカ含有粒子の含有量の上限としては4質量%が好ましく、3質量%が特に好ましく、2.5質量%が更に好ましい。シリカ含有粒子の含有量が上記下限より小さいと、生じる空隙を埋めきることができず、不透明度の向上機能が充分に発揮されない。逆に、シリカ含有粒子の含有量が上記上限を超えると、生じる空隙の容積に対して、含有量が多すぎるため、強固な固着ができず、填料の脱落が生じてしまう。更には、填料の増大によりパルプ繊維間の密着性を弱め、その結果、当該新聞用紙の強度が低下することとなる。
このシリカ含有粒子としては、シリカ粒子、シリカ粒子と他の粒子が凝集した粒子、又は他の粒子をシリカが被覆したもの等が用いられ、ホワイトカーボンであってもよいが、吸油性、ホワイトカーボンとの相互吸着性、光散乱性及び製造コストの低減等の面から、他の粒子をシリカが被覆した粒子が好ましく、シリカ被覆炭酸カルシウム粒子や、脱墨フロスを主原料とする再生粒子の表面をシリカで被覆したシリカ被覆再生粒子であることが特に好ましい。
シリカ被覆炭酸カルシウム粒子を用いる場合、ベースとなる炭酸カルシウム粒子は、例えば石灰岩を粉砕して得られる重質炭酸カルシウム(GCC)、あるいは炭酸ガス法や炭酸塩溶液法等の化学的方法によって製造された軽質炭酸カルシウム(PCC)を好適に用いることができる。
また、炭酸カルシウム粒子の被覆に使用されるシリカ粒子はコロイダルシリカから生成したものやケイ酸ソーダの中和により生成した含水ケイ酸等があるが、平均粒子径が20nm以上500nm以下であるものが好適に用いられる。シリカ粒子を炭酸カルシウム粒子の表面に、シリカ粒子の質量を1として炭酸カルシウム質量が2.5〜4.0となるように被覆させたものが好適に用いられる。このシリカにより被覆された炭酸カルシウム粒子の製造方法としては、例えば、炭酸カルシウム粒子を懸濁させたケイ酸ソーダ水溶液中に鉱酸を滴下して含水ケイ酸を炭酸カルシウム粒子表面に析出させる方法などがある。
次にシリカ含有粒子として好適に用いられるシリカにより被覆された再生粒子について説明する。係る再生粒子は、脱墨フロスを主原料とし、脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経て得られたものである。なおさらに、後述するように、脱墨フロスの凝集工程、造粒工程、各工程間に設けられる分級工程等を経てもよい。また再生粒子の製造設備には、各種センサーを設け、被処理物や設備の状態、処理速度のコントロール等を行うことが望ましい。前記工程を経て得られた、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを特定量含有する再生粒子が少なくとも用いられる。
この脱墨フロスを主原料とする再生粒子は、古紙から古紙パルプを製造する脱墨処理工程で発生する脱墨フロスを主原料とする。特に古紙のリサイクル工程で排出される脱墨フロスが、製紙原料由来の材料からなり、鉄分やその他重金属等の不純物の混入が少ないため好適である。そして、古紙再生工程では、予め古紙自体の選別を行うので、脱墨フロスは、その無機物の組成が経時的に安定したものであり、もって、得られる再生粒子凝集体の組成も安定したものとなる。これら脱墨フロスには、無機物として炭酸カルシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン、シリカ、アルミナ等が含有される。
通常脱墨フロスは、水分率95〜98質量%程度であり、凝集剤を加えてフロックを形成させ、脱水処理を行う。脱水処理は、1段でも複数段でも実施可能ではあるが、フロックを固化させると、後工程の炭化工程において炭化ムラが生じる原因になるため、複数段で水分率を25〜45質量%、好適には30〜40質量%程度まで脱水することが好ましい。水分率が上記下限未満では脱水エネルギーコストが大きくなり、逆に上記上限を超える水分率では、次工程の乾燥手段での乾燥エネルギーコストが大きくなるし、乾燥後の粒度がバラツク原因になり、結果として均一な焼成が困難になる。
脱水物は、予め乾燥される。乾燥手段は、熱風乾燥等公知の乾燥手段を使用可能であるが、脱墨フロスを乾燥させながらほぐすことが可能であり、更に比重分級をも可能な熱風乾燥手段が最も好適に使用できる。
好適に使用できる熱風乾燥手段を具体的に例示すると、脱水脱墨フロスをインペラ等のほぐし設備にて、355〜2000μm程度の体積平均粒子径になるようにほぐしながらインペラ設備下方に設けた熱風吹きだし手段にて熱風を吹き込み熱風乾燥を行う。ほぐされ、乾燥された脱墨フロスのうち、比重の軽い脱墨フロスを熱風乾燥手段の上部に設けた取出し口から排出させることで、乾燥と分級とを行うことができる。
乾燥させた脱墨フロスの分級には、好適な手段として、サイクロンによる分級を採用することもできる。乾燥・分級された脱墨フロスは、既に最終的に得られる再生粒子凝集体の類似形状を呈している。
乾燥・分級された脱墨フロスは、焼成工程に送られる。焼成は、例えば、ロータリーキルン、流動床炉、浮遊炉、ストーカ炉等通常用いられている焼却炉を用いることができ、特に好適には、熱風炉や電気炉による間接加熱による燃焼方法が焼成温度コントロール、焼成度合いの微調整が容易である。焼成温度は、スラッジ中のカーボンブラック等のインク顔料や繊維及びポリマー等の有機系化合物を燃焼するのに十分また安定した温度であれば、特に限定されない。
脱墨フロス中にシリカが含まれる場合には、シリカがカルシウム及びアルミニウムと反応し、硬度の高いケイ酸アルミニウムカルシウム等が生成する恐れがある。硬度の高い物質の生成を防止するため、例えば、500℃以下の温度で焼成することが検討されるが、このような条件では、有機化合物を完全燃焼させることが難しく、製紙用として有用に利用できるレベルの白色度を有するシリカ被覆の再生粒子を得ることができない。
一方、焼成温度が1000℃を超えると脱墨フロス中に含まれる炭酸カルシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン、シリカ、アルミナ等無機物の分解および焼結が進み高硬度化するため、焼成して得られた脱墨フロスを主原料とする再生粒子を本発明において所望される粒子径まで粉砕するのに多大のエネルギーや時間を要するおそれがあるため好ましくない。したがって、焼成条件としては、一次焼成が510〜750℃で、二次焼成が500〜700℃で行われるのが好ましく、一次焼成が520〜650℃で、二次焼成が500〜600℃で行われるのがより好ましい。
焼成工程は、一段階とすることもできるが、少なくとも二段階とするのが好ましく、連続する設備により少なくとも二段階焼成とするのがより好ましい。焼成工程が少なくとも二段階の焼成工程からなると、有機物の燃焼による焼成において焼成ムラが生じにくく、満遍なく焼成を進めることが可能になる。特に焼成工程における物理的手段を異ならせることで、偏った焼成を避け焼成速度の向上を図ることが可能である。
焼成温度は、製造される再生粒子の白色度、硬度に大きな影響力を有し、一次焼成温度が510℃未満では、未燃物の残量が多く、得られる再生粒子の白色度が70%以上に達しない。他方、一次焼成温度が750℃を超えると、脱墨フロスに含まれる炭酸カルシウムの多くが熱分解し、再資源としての使用が難しい、酸化カルシウム、珪酸カルシウム等の高pH化要因物質が多く生じるおそれがあり、また、得られる再生粒子に熱溶融が生じて、極めて硬くワイヤー摩耗性が悪くなるおそれがある。一方、二次焼成温度が500℃未満であると、有機物の燃焼が不十分になったり、燃焼にムラが生じ、製造された再生粒子の白色度が高くならなくなったりする。他方、二次焼成が700℃を超えると、炭化され焼成された再生粒子の表面が高温に晒されることによる溶融が生じ極めて硬い溶融物を形成する問題や、再生粒子表面の高温化による燃焼のため酸素が再生粒子芯部まで行き届きにくく、燃焼ムラ・未燃焼部位の発生が懸念される。また、二次焼成の温度を一次焼成の温度より10〜50℃低くすることで、再生粒子表面の過焼を防止しながら、未燃物を燃焼させることができる。もちろん、二次焼成の温度を一次焼成の温度と同温度とすることもでき、同温度とする場合は、520〜600℃とすると、緩慢に焼成し未燃物を減少させることができ、白色度が少なくとも70%以上、好適には80%を超える再生粒子を得ることができる。なお、本形態において、一次焼成温度と二次焼成温度との温度差は、焼成炉内上端部の温度を基準とする。
焼成工程は、この工程内に空気を送風する手段及びこの工程内から空気を排気する手段の少なくともいずれか一方によって、工程内酸素濃度が、0.05%以上に、好ましくは0.05〜20%に、更に好ましくは一次焼成炉内上端部で5〜15%、より好ましくは7〜13%、二次焼成炉のバーナー近傍で10〜20%より好ましくは12〜18%に調節される。一次焼成炉内酸素濃度が0.05%未満であると、焼成が進まず、ムラのある焼成が進むだけでなく、焼成に膨大な時間とエネルギーコストとが必要になる。他方、二次焼成炉酸素濃度が20%を超えると、過焼しやすく、過焼ムラにより再生粒子が黄変化するととともに、再生粒子の溶融が多発し、再生粒子の分解や酸化が進み、製紙用填料としての活用が困難になる場合がある。また、本形態においては、焼成工程に供給される、乾燥・分級された脱墨フロス(乾燥物)の水分率が少なくとも2〜20質量%、より好ましくは5〜15質量%に調節されているため、焼成工程内酸素濃度を0.05〜20%とすると、極めて効率よく焼成を進ませることができ、焼成を90分以内で行うことが可能になり、極めて高い生産性を得ることができる。例えば、乾燥物の水分率を10質量%とすることで、焼成を約60分で行うことができる。
この点、焼成工程内の酸素は、焼成させるためのバーナー等によって消費され酸素濃度が低下するが、空気などの酸素含有ガスを送風し、あるいは排気することで、酸素濃度を維持、調節可能であり、さらに酸素含有ガスを送風し、あるいは排気することで、焼成工程内の温度を細かく調節可能になり、再生粒子をムラなく万遍に焼成することができる。
一次焼成炉での焼成は、未燃率が5〜30質量%となるように行なっている。8〜25質量%となるように行うのがより好ましく、10〜20質量%となるように行うのが特に好ましい。一次焼成での、未燃率が5質量パーセント未満では、焼成における粒子表面の過焼が生じ表面が硬くなるとともに、内部の酸素不足が生じ、再生粒子の白色度が低下する問題が生じる。他方、一次焼成での未燃率が30質量%を超えると、後行する燃焼焼成後においても未燃分が残る問題、未燃分が自燃による過焼成により粒子が硬化する問題、未燃分が残るのを防止するためとして粒子表面が過焼するまで燃焼焼成してしまい、再生粒子表面が硬くなる問題が生じる。
再生粒子製造設備において、再生粒子の原料と成り得る以外の異物は、予め除去しておくことが好ましく、例えば古紙パルプ製造工程の脱墨工程に至る前段階のパルパーやスクリーン、クリーナー等で砂、プラスチック、金属等の異物を除去することが、除去効率の点で好ましい。特に鉄分は、酸化により再生粒子の白色度低下の起因物質を生成するため鉄分の混入を避け、選択的に除去することが好ましい。したがって、各工程を鉄以外の素材で設計又はライニングし、摩滅等により鉄分が系内に混入することを防止すると共に、さらに乾燥・分級設備内等に磁石等の高磁性体を設置し、選択的に鉄分を除去することが好ましい。
なお本実施形態においては、前記乾燥工程や焼成工程、及び必要に応じて分級工程において、粉砕工程前にあらかじめ、粒子径が40μm以下の粒子が80質量%以上、より好ましくは90%以上となるように処理しておくことが好ましい。これにより、通常行われている乾式粉砕による粗大粒子の粉砕及び湿式粉砕による微粒子化といった複数段の粉砕処理を行うことなく、湿式粉砕による一段粉砕処理も可能となる。
また、原料である脱墨フロス中のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、あらかじめ例えば後述する質量割合に調整することで、再生粒子の細孔容積を0.15〜0.60cc/g、細孔表面積を10〜25m/g、細孔半径を30〜100nmとすることもでき、吸油性、不透明性に優れる再生粒子とすることができる。
再生粒子の粒度を各工程で均一に揃えるためには、分級を行うことが好ましく、粗大粒子や微小粒子を前工程にフィードバックすることで、より品質の安定化を図ることができる。また乾燥工程の前段階において、脱水処理を行った脱墨フロスを造粒することが好ましく、さらには造粒物の粒度を均一に揃えるための分級を行うことがより好ましく、粗大や微小の造粒粒子を前工程にフィードバックすることでより品質の安定化を図ることができる。なお造粒においては、通常の造粒設備を使用することができ、回転式、攪拌式、押出式等の設備が好適である。
この再生粒子は、脱墨フロスを焼成して得られる循環使用が可能なものであるので、廃棄物としての埋立等の処分が不要であり、環境負荷の低減と、省資源化に大きく貢献するものである。また、原料が古紙処理工程で生じる脱墨フロスであるので、安価であり、新たな再生粒子の使用量を抑えることができ、製造コストが充分に削減されるという利点がある。さらに係る再生粒子を用いることで、抄造時の灰分歩留まりが高く、例えば炭酸カルシウムと異なり、ワイヤー摩耗等の抄紙設備の摩耗劣化を来たすことが無く、更に樹脂成分が微細な状態下で再生粒子に吸着することで、樹脂分の凝集によるピッチトラブルを防ぎ印刷設備汚れを殆ど起こすことがなく、低コストで高い操業性で紙を製造することができ、しかも従来と同等以上の優れた不透明度や紙力が紙に付与され、裏抜け、断紙も少なくなる。
再生粒子の表面を被覆するシリカについては、天然に産出するシリカではなく、何らかの化学反応による合成シリカであれば特に制限なく使用することが可能である。具体的には、例えばコロイダルシリカ、シリカゲル、無水シリカなどがあげられる。これらの合成シリカは、高比表面積、ガス吸着能の高さ、微細性、細孔への浸透力や吸着力の大きさ、付着性の高さ、高吸油性などの優れた特性を活かして、幅広い分野で利用されているものである。これらのうち、コロイダルシリカは、ケイ酸化合物から不純分を除去して無水ケイ酸ゾルとし、pH及び濃度を調整してゾルを安定化させた、球状、連鎖状、不定形等の形状を有する非晶質シリカである。シリカゲルは、ケイ酸ナトリウムを無機酸で分解することによって得られる含水ケイ酸である。また無水シリカは、四塩化ケイ素の加水分解によって得られるものである。
再生粒子の表面にシリカを析出させ、シリカ被覆再生粒子を得る方法には特に限定がないが、例えば、以下の方法を好適に採用することができる。まず、再生粒子をケイ酸アルカリ溶液に添加、分散させ、スラリーを調製した後に加熱攪拌しながら、液温を70〜100℃程度に保持して酸を添加し、シリカゾルを生成させる。次いで最終反応液のpHを8〜13の範囲に調整することにより、再生粒子の表面にシリカを析出させることができる。このようにして再生粒子の表面に析出されるシリカは、ケイ酸アルカリ(例えばケイ酸ナトリウム:水ガラス)を原料として、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸の希釈液と高温下で反応し、加水分解反応とケイ酸の重合化により得られる、粒子径が10〜20nm程度のシリカゾル粒子である。
また、ケイ酸ナトリウム溶液等のケイ酸アルカリ溶液に希硫酸等の酸を添加することによって生成する、粒子径が数nm程度のシリカゾル微粒子を、再生粒子の多孔性を有する表面全体を被覆するように付着させ、このシリカゾル微粒子の結晶成長に伴う、無機微粒子表面上のシリカゾル微粒子と再生粒子に包含されるケイ素やカルシウム、アルミニウムとの間で生じる結合により、再生粒子の表面にシリカを析出させることもできる。この場合、ケイ酸アルカリ溶液に酸を添加する際のpHは、中性〜弱アルカリ性の範囲とし、好ましくはpHを8〜13の範囲に調整する。これは、pHが7未満の酸性条件になるまで酸を添加してしまうと、シリカゾル粒子ではなくホワイトカーボンが生成する恐れが生じるからである。
なお、前記ケイ酸アルカリ溶液の種類には特に限定がないが、入手が容易である点からケイ酸ナトリウム溶液(3号水ガラス)が特に望ましい。このケイ酸アルカリ溶液の濃度としては、再生粒子中のシリカ成分が低下し、再生粒子の表面にシリカが析出し難くならないようにするには、溶液中のケイ酸分(SiO換算)が3質量%以上であることが好ましく、再生粒子の表面に析出されるシリカが、シリカゾルの形態からホワイトカーボンになり、再生粒子の多孔性が阻害され、不透明度やトナー定着性の向上効果が不充分になる恐れをなくすには、係るケイ酸分(SiO換算)が10質量%以下であることが好ましい。
シリカ被覆の再生粒子とすることで、循環使用における古紙処理工程において、水酸化ナトリウムと反応させて緩衝剤や漂白助剤として製紙用原料、再生粒子の循環使用にも寄与させることができる。またかかるシリカ被覆再生粒子を填料として原料パルプに内添した場合には、シリカで被覆していない再生粒子を用いた場合よりもさらに、紙の白色度、不透明度、表面強度、インク乾燥性、インク吸収ムラ、嵩高といった効果をより向上させることができる。
なお、本実施形態に用いられる古紙処理工程にて生じる脱墨フロスは、近年の中性抄紙化に伴い、炭酸カルシウムの含有量が増加傾向にあり、得られる再生粒子中のカルシウムの割合も高くなる傾向がある。このようにカルシウムの割合が高い再生粒子を原料パルプに内添すると、紙の不透明度がやや低下する場合があるが、表面にシリカを析出させたシリカ被覆再生粒子は、製紙用途の再生粒子としての機能が非常に高く、該シリカ被覆再生粒子を原料パルプに内添して得られる紙の不透明度は、著しく向上する。
かくして得られるシリカ被覆再生粒子は、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを含有している。再生粒子中のこれらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの割合は、X線マイクロアナライザー(型番:E−MAX・S−2150、(株)日立製作所/(株)堀場製作所製)にて元素分析を行い、酸化物換算で、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、酸化物換算で10〜80:10〜80:5〜29の質量割合であることが好ましい。また同時に、これらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの元素分析における酸化物換算の合計含有割合は、90質量%以上、好ましくは93質量%以上である。このように、酸化物換算で10質量割合以上された再生粒子を填料として原料パルプに内添した場合には、特に得られる紙の白色度を向上させることができる。
シリカ被覆再生粒子中のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの割合を、例えば酸化物換算で前記範囲内に調整するには、本来、脱墨フロスにおける原料構成を調整することが好ましいが、乾燥工程や焼成工程、さらには必要に応じて分級工程において、由来が明確な塗工フロスや調整工程フロスをスプレー等で含有させる方法や、焼却炉スクラバー石灰を含有させる方法を採用することも可能である。
例えば、再生粒子中のカルシウムの調整には中性抄紙系の排水スラッジや、塗工紙製造工程の排水スラッジを、ケイ素の調整には不透明度向上剤として多量添加されている新聞用紙製造系の排水スラッジを、アルミニウムの調整には酸性抄紙系等の硫酸バンドが使用された抄紙系の排水スラッジや、クレーの使用量が多い上質紙抄造工程の排水スラッジを適宜用いることができる。
さらに本実施形態に用いられるシリカ被覆再生粒子は、微細な粒子が凝集した柔軟かつポーラスな性状を有するので、嵩高な紙層形成に寄与し、該シリカ被覆再生粒子を填料として原料パルプに内添して得られる新聞用紙は、填料歩留りが高く、密度が低く、取りまわしが良好な剛度を有する。
また原料パルプ及び填料から得られた紙料スラリーに添加する添加剤としては、通常の新聞用紙に配合されるものを用いることができ、例えば澱粉類、ポリアクリルアミド、エピクロルヒドリン等の紙力増強剤、ロジン、アルキルケテンダイマー、ASA(アルケニル無水コハク酸)、中性ロジン等の内添サイズ剤、硫酸バンド、ポリエチレンイミン等の凝結剤、ポリアクリルアミドやその共重合体等の凝集剤などがあげられる。
さらには、原料パルプから紙料スラリーを調整して抄紙して抄紙した後、新聞用紙の表裏面に、少なくとも澱粉を主成分とする表面処理剤が塗布されることが好ましい。澱粉の例としては、酸化澱粉、変性澱粉が使用でき、その他にPVA(ポリビニールアルコール)、ポリアクリルアミド等があげられ、これらは単独または同時に用いることができる。これにより、コールドセット型オフセットインキのビヒクル分が素早く吸収され、輪転機の高速化や両面カラー用タワープレス機の使用によって印刷インキ量が増加しても、充分な吸収乾燥性が発現され、また、填料が確実に繊維に固着されるため、填料の脱落を防止し、優れた印刷不透明度、印刷適性等を確保することができる。
前記澱粉の種類には特に限定がないが、例えば、変性澱粉は、紙中に浸透しながら、引張強度や表面強度を向上させる効果を有するものの、中性又はアニオン性を示すため、アニオン性を呈するパルプ繊維表面への定着性が低く、皮膜性が低い。したがって、本発明では、アニオン性を呈するパルプ繊維表面への定着性が高いカチオン性の澱粉を用いることが好ましい。カチオン澱粉の場合には、パルプ繊維に対する定着性が高く、皮膜性に優れ、また表面強度も向上する。
さらに前記澱粉としては、エステル化澱粉がより好ましい。エステル化澱粉を用いた場合には、インキ濃度及びインキセット性が飛躍的に向上する。かかるエステル化澱粉を得る際の原料澱粉としては、例えば未処理澱粉、処理澱粉の他、各種澱粉含有物があげられる。このような原料澱粉の代表例としては、例えば小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、モチトウモロコシ粉、高アミロース含有トウモロコシ澱粉等の未処理澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、コーンフラワー、米粉等の澱粉含有物に、酸化、酸処理化を行った処理澱粉等があげられる。これらの中でも、タピオカ澱粉は、エステル変性物が、粘性、皮膜性、弾力性、伸展性の面で他の穀物澱粉よりも優れる点で好ましい。
なお、本発明に用いられる酸化澱粉としては、従来から使用されている化工澱粉が好適に例示され、例えば次亜塩素酸ナトリウム等による酸化反応によって、低分子量化と、分子中へのカルボシキル基、アルデヒド基、カルボニル基等の導入を行ったものが挙げられる。
なお、この澱粉類の平均分子量としては、60万〜300万が好ましく、80万〜280万が特に好ましい。かかる平均分子量を有する澱粉類は、サイズ性の向上に加え、インキ成分を用紙表面に留めつつ、溶媒成分を紙中に取り込んで吸収乾燥性を向上させる。また、澱粉類の粘度(10%)としては、30×10−3Pa・s以下が好ましく、15×10−3〜25×10−3Pa・sが特に好ましい。かかる粘度の澱粉類は、粘度が高いことから紙中に浸透せず、紙表面に留まることができ、填料の固着性を向上させ、填料の脱落を防止できる。
表面処理剤には、適宜、消泡剤、耐水化剤、表面サイズ剤、防腐剤等の各種助剤を添加することができる。サイズ性を更に向上させるため、表面サイズ剤が塗工されるとよい。この表面サイズ剤としては、公知のものが用いられ、例えば、スチレン系サイズ剤、オレフィン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、ロジン等を使用することができるが、高いサイズ性、オフセット輪転印刷におけるインクとの相性、及び填料の脱落防止効果の点から、スチレン系サイズ剤が好ましい。
スチレン系サイズ剤としては、スチレン/アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体(なお、(メタ)アクリル酸は、「アクリル酸、及び/またはメタクリル酸」を意味する。)、スチレン/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/マレイン酸半エステル共重合体、スチレン/マレイン酸エステル共重合体等が例示される。
前記表面処理剤は、製紙分野で一般に使用されている塗布装置、例えばサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ブレードコータ、バーコータ、ゲートロールコータ、ロッドコータ、エアナイフコータ等を用いて塗布すればよい。
表面処理剤の塗布量は、紙の表面強度を充分に向上させるためには、新聞用紙の表裏面に片面あたり乾燥質量で0.1〜2.0g/m、さらには0.3〜1.5g/mの量で塗布されていることが好ましい。0.1g/mを下回ると澱粉、PVAなどによる充分な被膜性を得ることが困難となり、充分な紙の表面強度が得られない。一方2.0g/mを上回ると、塗布設備周辺に澱粉、PVAなど表面処理剤のミストが多量に発生し、周辺機器を汚損するとともに、汚れに起因する断紙、用紙の欠陥が生じる恐れがある。表面サイズ剤の塗布量は、紙のサイズ性及び表面強度を充分に向上させるには、乾燥質量で0.03g/m以上となるように調整することが好ましく、また、コスト高となったり不透明度やインク乾燥性の低下を招いたりしないようにするには、乾燥質量で0.7g/m以下となるように、より好ましくは、0.1〜0.5g/m以下に調整することが好ましい。
紙料スラリー及び必要に応じて添加剤から調製された紙料は、公知の抄紙機によって抄造することができ、さらに必要に応じてカレンダー装置に通紙し、加圧、平滑化処理を施して新聞用紙に仕上げることができる。
上記カレンダー装置としては、金属ロール同士の組合せによるマシンカレンダーや、金属ロールと、ウールーンペーパーロールやポリアミド系樹脂等の耐久性の高い樹脂素材でカバーしたロールのように弾性を付与したロールとから構成されるいわゆるソフトカレンダーなどが知られ、金属ロールと金属ロールとの組み合わせによるマシンカレンダーの使用が一般的である。
しかしながら、カレンダー処理のニップ圧力を高くしたり、ニップ数を増やしたりすることで平滑化すれば、インキ着肉性は高まるが紙の嵩高さが損なわれるために印刷時の皺発生など走行性不良トラブルの原因となる恐れがあるとともに、印刷後の不透明度が低下や剛度が低くなる。
一方で、カレンダー処理を軽減すれば嵩高な紙を得ることはできるが、紙面の着肉性の表裏差が増大し、特に平滑度が低い側の紙面で着肉性が悪くなるため、表と裏とで画像の濃度が著しく異なるという問題が発生する。これは、抄紙工程中、ワイヤーパート、プレスパートでの脱水条件が表面と裏面とで微妙に異なるため、用紙の平滑性に表裏差ができたり、厚さ方向での填料、微細繊維の分布状態が異成ったりするために、インキの転移性に表裏差がでるためと考えられている。
特に近年では、新聞用紙のカラー化や軽量化に伴い、良好なインキの着肉性や印刷後の高い不透明性が一層求められており、本発明においては、ソフトカレンダーを好適に使用する。
再生粒子を填料として内添した場合の新聞用紙との好適な組合せにおいて、マシンカレンダーを使用すると、表面処理剤塗布前の乾燥までの工程で生じた平滑性の表裏差を助長してしまう傾向がある一方、ソフトカレンダーとの組合せにおいては、紙層の地合ムラに起因するカレンダー処理後の密度ムラが軽減でき、その結果オフセット印刷時にカラー刷りした場合にインキ吸収ムラのない均一な濃度の印刷面を得ることができ、特に再生粒子との併用においては、元来クッション性を有する再生粒子と密度を上げずに用紙表面を高温のアイロンで平坦化するように凹凸を軽減するソフトカレンダーにより、再生粒子が原料パルプのフィブリル繊維と絡み易く、密度を上げず用紙表面の平坦性と緻密性を向上させるともに、紙力低下を来たしにくい。また、インキ着肉性を高める手段としては、先に述べたソフトカレンダー等による平坦化処理により新聞用紙を平滑化することが、紙層を強く加圧せずに平滑化することができ、さらに紙層強度の低下を充分に抑制することができるのでソフトカレンダーを使用することがより好ましい。
他方、ソフトカレンダーの弾性ロールの硬度は、JIS−Z2246によるショア硬さが87〜95°であることが望ましい。87°未満であると弾性ロールの耐久性が悪く、十分な平滑性が得られない一方、95°を超えると均一なプロファイルが得にくい問題がある。前記弾性ロールの粗さは、JIS−B 6001による表面粗さの最大値が0.5μm未満であることが紙面のインキ着肉ムラを少なくするために特に望ましい。
また、前記ソフトカレンダーの金属ロールに接する面を平滑化するために、前記金属ロールの表面温度は、40〜150℃、好ましくは80〜140℃、さらに好ましくは90〜120℃とする。表面温度をこの範囲内とすることにより、僅かな密度ムラが影響するような多色刷りにおいても、均一な濃度の印刷面を表裏差なくことができる。
ソフトカレンダーの使用においては、新聞用紙のワイヤー面側に当たる裏面側がソフトカレンダーの金属ロール面に先に接触するように通紙することで、より平坦性及び嵩高性の向上をより図ることができ、1500m/分以上の高速抄紙において、高い平坦性とカラー印刷における表裏差の少ない新聞用紙を得ることができる。
さらに好ましくは、表裏面に設ける表面サイズ剤の塗布量を表面側より裏面側を多くすることにより、より良好な平坦性と嵩高性とが得られ、腰のある新聞用紙を得ることができる。
当該新聞用紙の坪量は、軽量化、例えば高速輪転印刷における紙質強度の確保、印刷不透明度の確保という点から、JIS−P8124に記載の「坪量測定方法」に準拠して測定して、38g/m以上、さらには40g/m以上であることが好ましく、またその軽量化の点から、係る坪量は48g/m以下、さらには46g/m以下であることが好ましい。坪量が上記下限未満では、例えば高速オフセット輪転印刷機における強度確保が困難であり、上記上限を超えると、近年の軽量化、省資源に逆行することとなる。
当該新聞用紙の白色度は、購読者の眼精疲労をきたさないように、JIS−P8148に記載の「紙、板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法」に準拠して測定して52%以上57%以下が好ましく、53%以上56%以下が特に好ましい。
当該新聞用紙の不透明度は、印刷時の裏抜けが発生し難いという点から不透明度は高いものが求められるが、JIS−P8138に記載の「紙の不透明度試験方法」に準拠して測定した下限として90%が好ましく、92%が特に好ましい。また、不透明度の上限としては、95%が好ましく、94%が特に好ましい。不透明度が上記下限未満であると裏抜けが生じやすくなる。逆に、不透明度が上記上限を超えると、必要な填料が増大し、その結果、パルプ繊維間の密着性が低下し、新聞用紙の強度が低下する。
当該新聞用紙は、少なくとも、ホワイトカーボン及びシリカ含有粒子を填料として用いており、前記填料が、0.5μmごとに集計したシリカを含む粒子の面積粒子径の分布において、15μm以上25μm以下と1μm以上15μm以下それぞれの範囲に極大値を有する面積粒子径分布を持つことでホワイトカーボンの隙間にシリカ含有粒子が組み合わされ、不透明度を90%以上とすることができる。さらに、シリカ含有粒子として、脱墨フロスを主原料とする再生粒子の表面にシリカを被覆したシリカ被覆再生粒子を用いることにより不透明度を高めることができる。
当該新聞用紙の印刷不透明度は、印刷時の裏抜けが発生し難いという点から印刷不透明度は高いものが求められるが、後述する印刷不透明度試験方法に準拠して測定した下限として90%が好ましく、91%が特に好ましい。また、不透明度の上限としては、94%が好ましく、93%が特に好ましい。印刷不透明度が上記下限未満であると裏抜けが生じやすくなる。逆に、印刷不透明度が上記上限を超えると、必要な填料が増大し、その結果パルプ繊維間の密着性が低下し、新聞用紙の強度が低下したり、紙表面からの填料の脱落によって印刷時の紙紛が増加するだけでなく、製造工程におけるマシン系内の汚れが増大し操業性を悪化させる。
当該新聞用紙は、少なくとも、ホワイトカーボン及びシリカ含有粒子を填料として用いており、前記填料が、0.5μmごとに集計したシリカを含む粒子の面積粒子径の分布において、15μm以上25μm以下と1μm以上15μm以下それぞれの範囲に極大値を有する面積粒子径分布を持つことでホワイトカーボンの隙間にシリカ含有粒子が組み合わされ、印刷不透明度を90%以上とすることができる。さらに、シリカ含有粒子として、脱墨フロスを主原料とする再生粒子の表面にシリカを被覆したシリカ被覆再生粒子を用いることにより印刷不透明度を高めることができる。
また新聞用紙の密度は、近年の軽量化や軽量化に伴う強度維持の点から、JIS−P8118に記載の「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定して、0.50〜0.80g/cm、さらには0.55〜0.75g/cmであることが好ましい。
また紙のMD方向の剛度は、例えば高速輪転印刷に適した腰を付与するという点から、JIS−P8143に記載の「紙のクラークこわさ試験機によるこわさ試験方法」に準拠して測定して、30〜55cm/100、さらには32〜50cm/100であることが好ましい。
このように本実施例の新聞用紙は、内添される填料としてホワイトカーボンに加え、シリカ含有粒子を備えているため、極めて高いインクの吸油性を発揮させることができる。また、当該新聞用紙に内添されるシリカ含有粒子とホワイトカーボンとの平均面積粒子径の関係で、ホワイトカーボンとパルプ繊維によって形成される細かい空隙にシリカ含有粒子を固着することができる。従って、当該新聞用紙は、粒子径が小さく、かつ光散乱機能が高いシリカ含有粒子が、この空隙間を埋めるように固着されるため極めて高い不透明度を有している。更には、このように固着性の高い2種類の填料を用いていることで、製造工程におけるマシン系内の汚れを低減するとともに、マシン操業性を向上させる。
なお、本発明の新聞用紙は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、ホワイトカーボンの平均面積粒子径が、シリカ含有粒子の平均面積粒子径より小さくてもよい。この場合は、ホワイトカーボンの平均面積粒子径が1μm以上15μm以下、シリカ含有粒子径の平均粒子径が15μm以上25μm以下であるとよい。このような粒子径を有する2種類の填料を内添した新聞用紙においては、シリカ含有粒子径及びパルプ繊維によって形成される網目の空隙に、小さい粒子径を有するホワイトカーボンが埋め込まれる。従ってこのような新聞用紙によっても、不透明度が高まると共に、2種類の填料が適当なサイズ比を有し、基紙内に固着するために、紙粉落ちを減少させることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳説するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
離解・脱墨古紙パルプ(DIP)を80質量%、サーモメカニカルパルプ(TMP)を20質量%配合し、レファイナーでフリーネスを120mL C.S.F(JIS−P8121に準拠)に調整したパルプスラリーを得た。このパルプスラリーに対し、さらに、ホワイトカーボン(平均面積粒子径20μm)を20Kg/パルプトン、シリカ含有粒子としてシリカ被覆再生粒子(平均面積粒子径8μm)を30Kg/パルプトン添加し、硫酸バンドでpHを調整後、絶乾パルプ100質量部あたり0.07部の凝集剤(ハイモ(株)製ハイモロックND270)を添加してツインワイヤー抄紙機で坪量42g/mの新聞用紙を抄造した。更に、表面処理剤として酸化澱粉を両面に乾燥質量で1.5g/m塗工して実施例1の新聞用紙を得た。なお、シリカ被覆再生粒子は、特開2008−111206号公報の実施例に記載の製造例1に従って製造した。
(実施例2)
シリカ被覆再生粒子の平均面積粒子径が1μmであること以外は実施例1と同様にして実施例2の新聞用紙を得た。
(実施例3)
シリカ被覆再生粒子の平均面積粒子径が2μmであること以外は実施例1と同様にして実施例3の新聞用紙を得た。
(実施例4)
シリカ被覆再生粒子の平均面積粒子径が5μmであること以外は実施例1と同様にして実施例4の新聞用紙を得た。
(実施例5)
シリカ被覆再生粒子の平均面積粒子径が10μmであること以外は実施例1と同様にして実施例5の新聞用紙を得た。
(実施例6)
シリカ被覆再生粒子の平均面積粒子径が12μmであること以外は実施例1と同様にして実施例6の新聞用紙を得た。
(実施例7)
シリカ被覆再生粒子の平均面積粒子径が14μmであること以外は実施例1と同様にして実施例7の新聞用紙を得た。
(実施例8)
シリカ被覆再生粒子の添加量が10Kg/パルプトンである以外は、実施例1と同様にして実施例8の新聞用紙を得た。
(実施例9)
ホワイトカーボンの平均面積粒子径が15μmであること以外は実施例1と同様にして実施例9の新聞用紙を得た。
(実施例10)
ホワイトカーボンの平均面積粒子径が24μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして実施例10の新聞用紙を得た。
(実施例11)
ホワイトカーボンの添加量を5Kg/パルプトンとしたこと以外は、実施例1と同様にして実施例11の新聞用紙を得た。
(実施例12)
シリカ被覆再生粒子の添加量を5Kg/パルプトンとしたこと以外は、実施例1と同様にして実施例12の新聞用紙を得た。
(実施例13)
シリカ被覆再生粒子の添加量を15Kg/パルプトンとしたこと以外は、実施例1と同様にして実施例13の新聞用紙を得た。
(実施例14)
シリカ被覆再生粒子の添加量を50Kg/パルプトンとしたこと以外は実施例1と同様にして実施例14の新聞用紙を得た。
(実施例15)
ホワイトカーボンの添加量を10Kg/パルプトンとし、シリカ被覆再生粒子の添加量を10Kg/パルプトンとしたこと以外は実施例1と同様にして実施例15の新聞用紙を得た。
(実施例16)
ホワイトカーボンの添加量を16Kg/パルプトンとし、シリカ被覆再生粒子の添加量を25Kg/パルプトンとしたこと以外は実施例1と同様にして実施例16の新聞用紙を得た。
(実施例17)
ホワイトカーボンの添加量を30Kg/パルプトンとし、シリカ被覆再生粒子の添加量を40Kg/パルプトンとしたこと以外は実施例1と同様にして実施例17の新聞用紙を得た。
(実施例18)
ホワイトカーボンの添加量を40Kg/パルプトンとし、シリカ被覆再生粒子の添加量を55Kg/パルプトンとしたこと以外は実施例1と同様にして実施例18の新聞用紙を得た。
(実施例19)
ホワイトカーボンの添加量を45Kg/パルプトンとしたこと以外は実施例1と同様にして実施例19の新聞用紙を得た。
(実施例20)
シリカ被覆再生粒子の代わりに、シリカ被覆炭酸カルシウムを使用した以外は実施例1と同様にして実施例20の新聞用紙を得た。
(比較例1)
シリカ被覆再生粒子の面積平均粒子径が0.5μmであること以外は実施例1と同様にして比較例1の新聞用紙を得た。
(比較例2)
シリカ被覆再生粒子の面積平均粒子径が20μmであること以外は実施例1と同様にして比較例2の新聞用紙を得た。
(比較例3)
ホワイトカーボンの面積平均粒子径を5μmとしたこと以外は実施例1と同様にして比較例3の新聞用紙を得た。
(比較例4)
ホワイトカーボンの面積平均粒子径を30μmとしたこと以外は実施例1と同様にして比較例4の新聞用紙を得た。
(比較例5)
シリカ被覆再生粒子の代わりに、平均面積粒子径8μmのタルクを15Kg/パルプトン添加したこと以外は実施例1と同様にして比較例5の新聞用紙を得た。
(比較例6)
シリカ被覆再生粒子を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして比較例6の新聞用紙を得た。
実施例1〜20及び比較例1〜6の新聞用紙について、以下の基準により品質評価を行った。その結果を表1に示す。
〔評価〕
(1)灰分
JIS−P8251(2003)「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に準じて測定した。
(2)白色度
JIS−P8148に記載の「紙、板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法」に準拠して測定した。
(3)不透明度
JIS−P8138に記載の「紙の不透明度試験方法」に準拠して測定した。
(4)印刷不透明度
RI印刷適性試験機(型番:RI−2型、石川島産業機械(株)製)で、オフセット輪転印刷用インキ(商品名:ニューズゼットナチュラリス(墨)、大日本インキ化学工業(株)製)のインキ量を変えて印刷し、印刷面反射率が9%のときの、印刷前の裏面反射率に対する印刷後の裏面反射率の比率:
(印刷後の裏面反射率/印刷前の裏面反射率)×100(%)
を求めた。なお、これら反射率の測定には、分光白色度測色機(スガ試験器(株)製)を用いた。
(5)作業性
オフセット輪転印刷機(型番:LITHOPIA BTO−4、三菱重工業(株)製)を使用し、50連巻きの新聞用紙にて印刷を行った。ブランケット非画像部における紙粉発生・堆積の有無を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:紙粉の発生が全く認められない。
○:紙粉の発生がわずかに認められるがブランケット上での堆積は全く認められない。
△:紙粉の発生が認められ、ブランケット上に堆積している。
×:ブランケット上での紙粉の堆積が著しい。
(6)面積粒子径及び面積粒子径分布
「面積粒子径」は、エネルギー分散型X線分析装置を備えた走査電子顕微鏡(型番S−4800、(株)日立ハイテクノロジーズ製、型番ENERGY EX−250、(株)堀場製作所)で新聞用紙表面を倍率3000倍で撮影し観察された填料粒子について、粒子を内包できる最小の円(粒子の外接円)の直径とした。また、粒子が凝集された二次粒子の場合は、その凝集された二次粒子の径を粒子径とした。平均面積粒子径は、前記、走査電子顕微鏡で観測される粒子から無作為に抽出された100個の面積粒子径を平均したものとした。シリカを含む2種類の填料粒子(ホワイトカーボン及びシリカ含有粒子)の合計、すなわちエネルギー分散型X線分析装置でシリカが検出される填料粒子の面積粒子径分布の極大値は、エネルギー分散型X線分析装置を備えた走査電子顕微鏡(型番S−4800、(株)日立ハイテクノロジーズ製、型番ENERGY EX−250、(株)堀場製作所)で倍率3000倍で撮影して観察されたシリカを含む填料粒子について、無作為に100個の粒子を抽出し、面積粒子径0.5μmごとに填料粒子の数を集計して面積粒子径の分布を求め、15μm以上25μm以下の範囲を(A)、1μm以上15μm以下の範囲を(B)とし、(A)及び(B)の範囲における極大値の有無を判断した。
Figure 0005610723
実施例1〜20の新聞用紙は、いずれも高い印刷不透明度及び満足する作業性を有し、オフセット輪転印刷用の新聞用紙としての特性が優れていることが分かる。特に、シリカ被覆再生粒子(シリカ含有粒子)の平均面積粒子径を調整することで、品質が大きく左右されることが確認され、シリカ被覆再生粒子の平均面積粒子径が、2〜12μmであるとき、特に5〜10μmであるときは、極めて高い特性を発揮できることが示される。また填料の配合量を調整することで、新聞用紙中の灰分を調整することができ、灰分が増加すると不透明度は上がり、また、灰分が8〜13%の時は紙粉の落ちが少ないなど、作業性にも優れていることが分かる。
一方、比較例1の新聞用紙は、シリカ被覆再生粒子の平均面積粒子径が小さすぎて、パルプ繊維中の空隙間を通り抜け固着しにくくなるため、不透明度が向上しない。比較例2の新聞用紙は、シリカ被覆再生粒子の平均面積粒子径が大きすぎて、パルプ繊維中の空隙間に入りにくくなり、不透明度が向上せず、紙面からの填料の脱落による印刷作業性がわるい。また、比較例3の新聞用紙は、ホワイトカーボンの平均面積粒子径が小さく、シリカを含む粒子の面積粒子径分布において、1〜15μmにしか極大値を有さないため、不透明度が向上しない。比較例4の新聞用紙は、ホワイトカーボンの平均面積粒子径が大きすぎるため、紙面からの填料の脱落により印刷作業性が悪い。また、シリカ含有粒子の代わりにタルクを添加したもの(比較例5)は、更に印刷不透明度が低く、印刷作業性も悪い。シリカ含有粒子を含有しなかったもの(比較例6)は、印刷不透明度が低いことが分かる。
本発明の新聞用紙は、例えば17〜20万部/時間といった高速でのオフセット輪転印刷等に好適に使用することができる。

Claims (3)

  1. パルプに少なくとも2種類の填料を内添した新聞用紙であって、
    この2種類の填料として、ホワイトカーボン及びシリカ含有粒子が用いられ、このシリカ含有粒子が脱墨フロスを主原料とする再生粒子の表面にシリカを被覆したシリカ被覆再生粒子であり、
    この2種類の填料の合計が、0.5μmごとに集計した面積粒子径の分布において、次の(A)及び(B)それぞれの範囲に極大値を有する面積粒子径分布を持ち、
    上記ホワイトカーボンの含有量が原料パルプに対して1質量%以上4質量%以下、上記シリカ含有粒子の含有量が原料パルプに対して0.5質量%以上5質量%以下であることを特徴とする新聞用紙。
    (A)15μm以上25μm以下
    (B)1μm以上15μm以下
  2. 灰分が8質量%以上13質量%以下である請求項1に記載の新聞用紙。
  3. 坪量が38g/m以上48g/m以下、
    白色度が52%以上57%以下、
    不透明度が90%以上95%以下である請求項1又は請求項2に記載の新聞用紙。
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