JP4020947B1 - 再生粒子凝集体内添紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 パルプに填料を内添した紙であって、前記填料には、脱墨フロスを主原料とし、脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経た再生粒子凝集体の表面をシリカで被覆したシリカ被覆再生粒子凝集体であり、JIS P 8251に準拠した灰分が全質量当り2〜15質量%である。
【選択図】なし
Description
紙中に存在する填料の粒子径と紙の光学特性との関係では、微細粒子径の水和珪酸からなる填料が紙に十分に分散した状態で存在する場合、水和珪酸のもつ不透明性向上効果が発揮され高い不透明性を得ることができるとともに、紙力低下が少ないことが知られており、そのため、水和硅酸は出来る限り微細な粒子径の水和硅酸の使用が試まれている。
然しながら、前述の様に、微細粒子径の水和珪酸は、抄紙工程における初期脱水で抄紙機のワイヤーから抜け落ちるため、水和珪酸の歩留りが低く、水和珪酸の歩留りを向上させるため、凝集剤や歩留り向上剤などのような薬品で紙に留めたものは、粗粒子を形成し易くなるとともに、流送ポンプや攪拌装置などによる物理的な力により容易に微粒子化や形状変化を生じるため、歩留り向上効果が低いだけでなく、紙粉の発生をも生じやすく、薬品添加費用に対する不透明向上効果が極めて低い問題を有する。
特許文献2の軽質炭酸カルシウムを主とした非晶質のシリカ被覆は、合い異なる無機成分であるため、シリカによる軽質炭酸カルシウムの被覆効率が低く、シリカ被覆に長時間が必要であると共に、薬品歩留りが低く製造原価が高くなる問題が発現する。
特許文献3は、無機微粒子を珪酸アルカリ水溶液に添加・分散しシリカゾルを生成させ、無機微粒子・シリカ複合粒子を製造する方法であるが、その原料となる炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、焼成カオリン、二酸化チタン、水酸化アルミニウム等にシリカを被覆する製法のため、多孔性が飛躍的に向上するものでもなく、バージンの無機粒子を使用するため製造コストが高く、生産手段として使用するには困難である。
近年、環境保全、リサイクルの観点から、古紙の利用が飛躍的に増加し、古紙パルプ製造工程から排出されるCODやSS原因物質が他の製紙スラッジと比較して多いため、古紙パルプ製造工程で排出される製紙スラッジを再利用することが提案されている。
しかしながら、この方法は、カチオン化高分子凝集剤により架橋吸着させた、所謂「フロック」と呼称される凝集物であり、流送ポンプや攪拌装置などによる物理的な力により容易に微粒子化や形状変化を生じるため、安定した、所望の不透明性、紙力維持を担保することは困難である。
〔請求項1記載の発明〕
パルプに填料を内添した紙であって、
前記填料には、古紙から脱墨処理を行い古紙パルプを製造する脱墨処理工程で発生する脱墨フロスを主原料とし、脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経た再生粒子凝集体の表面をシリカで被覆したシリカ被覆再生粒子凝集体が少なくとも用いられ、
JIS P 8251に準拠した灰分が全質量当り2〜15質量%である、
ことを特徴とするシリカ被覆再生粒子凝集体内添紙。
・ 本発明でシリカ被覆に用いるシリカ被覆前の再生粒子凝集体は、脱墨フロスを主原料とするものを焼成して得られたもの、つまり原料として脱墨フロスが使用されている。本発明で云う脱墨フロスは、古紙処理工程において、脱インクしパルプを取り出した後の残渣であり、新聞用紙古紙処理フロス、雑誌古紙処理フロス及び上質古紙処理フロス等が主原料であるので、廃棄物が増えるとの問題が生じず、また、原料が安価であることによって製造コストが削減される。
・ 本発明のシリカ被覆の再生粒子凝集体は、脱墨フロスを主原料とし、脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経たシリカ被覆前の再生粒子凝集体を珪酸アルカリ水溶液中に懸濁するとともに鉱酸を添加し、シリカ被覆前の再生粒子凝集体の表面をシリカで被覆して製造するため、多大な設備投資を行う事無く、既存の設備を理由して簡便に製造することができる。
・ 本発明におけるシリカ被覆の再生粒子凝集体内添紙の灰分が全質量当り2〜15質量%である。シリカ被覆の再生粒子の効果を発現させるとともに、紙力低下を抑制する灰分量について検討を重ねた結果、十分な不透明度を得るには、少なくとも灰分として2質量%以上含有する必要があり、紙力の低下を来たさないためには多くとも15質量%以下に灰分を抑える必要がある。特に好ましくは、灰分中のシリカ被覆後の再生粒子凝集体の割合が、灰分中の50%から100%であることが、シリカ被覆後の再生粒子を内添した効果を如何なく発揮できる。
・ 本発明におけるシリカ被覆の再生粒子凝集体は、シリカ被覆処理後の構成成分におけるカルシウム、ケイ素、アルミニウムの質量割合が、酸化物換算で10〜80:10〜80:5〜29である。より好ましくは、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、酸化物換算で30〜62:29〜55:9〜35の質量割合とすることで、シリカ被覆効果による製紙用原料の循環使用と吸油性、不透明性を向上させることができる。
・ 本発明で用いるシリカ被覆の再生粒子凝集体は、カルシウムが酸化物換算で10質量割合以上とされているので、内添した紙の白色度が高くなり、且つ80質量%未満としているので、カルシウム由来のワイヤー摩耗性の悪化を抑えることができる。
・ 本発明で用いる脱墨フロスを主原料とし、脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経たシリカ被覆前の再生粒子凝集体はケイ素を含み、シリカ被覆の再生粒子凝集体が10質量%以上とすることで、シリカ被覆性の向上と、微細なシリカを再生粒子表面に析出することにより光学的屈折率が高くなり、更に、ケイ素の含有量を80質量%以下とすることで、シリカ被覆による用紙表面の過剰な摩擦係数の上昇を抑制することができる。
・ また、シリカ被覆の再生粒子が微細であると、抄紙原料調整段階で原料パルプや助剤との親和性が高まる。したがって、ケイ素が酸化物換算で10質量割合以上、80質量以下とされている本発明のシリカ被覆の再生粒子凝集体を填料として紙中に含有させると、紙力低下を来たす事無く、印刷インクの吸収性や乾燥性が向上する。
・ 本発明で用いるシリカ被覆の再生粒子凝集体は、アルミニウムを酸化物換算で5質量割合以上含む。このアルミニウムは、クレー中のアルミニウムや、抄紙工程における助剤として添加される3価の硫酸アルミニウム・18水和物、不純物としてタルクに含有されるアルミニウムを、主たる由来源としている。アルミニウムが本来持つ極めて高いカチオン性を示し、アニオン性を示す従来の無機填料と比べ、アニオン性のパルプ繊維との結合力が向上し、歩留まり、薬品定着性が向上する。
・ 他方、本発明で用いるシリカ被覆の再生粒子凝集体は、アルミニウムが酸化物換算で29質量割合以下とされているので、カチオン性による塗料ショックを生じさせることがなく、パルプ懸濁液中(パルプスラリー中)における安定した分散性を得ることができる。
・ さらに、本発明におけるシリカ被覆の再生粒子凝集体は、前記カルシウム、前記シリカ及び前記アルミニウムの合計含有割合が、90質量%以上からなる多孔質となっているので、比重が軽く、過度の水溶液吸収が抑えられるため、パルプ懸濁液中(パルプスラリー中)や塗工液中における分散性が高い。したがって、嵩高な塗工層、紙層を形成しやすく、かつ紙層に歩留まり易い。
JIS P 8251に準拠して得た灰分の、JIS K 5101に準拠した吸油度が30〜180ml/100gである、請求項1記載のシリカ被覆再生粒子凝集体内添紙。
・ 本発明における吸油度は、JIS P 8251に準拠した灰分を用いて特定されることを特徴としている。紙中に内添される填料個々の灰分を特定する手段が当初検討されたが、製品において不透明度や印刷適性を総合的に評価する手段として個々の填料の吸油度に依存する部分は小さく、抄紙段階における填料の分散や凝集体の存在、古紙由来の無機物の存在等を考慮し、鋭意検討を重ねた結果、JIS P 8251に準拠した灰分を用いて測定される、JIS K 5101法による吸油度を、30〜180ml/100gにすることで、本発明が求める不透明性向上と紙力低下を来たさない、シリカ被覆の再生粒子凝集体内添紙を製造することができることを見出した。
・ シリカ被覆の再生粒子凝集体が灰分粒子中に50質量%以上含有された灰分のJIS K 5101法による吸油度が、30〜180ml/100g、より好ましくは50〜150ml/100g、更に好ましくは80〜100ml/100gとされている。本発明に従う、カルシウム、シリカ及びアルミニウムを、酸化物換算で30〜82:9〜35:9〜35の質量割合で含有し、かつ、前記カルシウム、前記シリカ及び前記アルミニウムの合計含有割合が、90質量%以上であるシリカ被覆の再生粒子凝集体を灰分粒子中に50質量%以上含有する灰分において、吸油度が30ml/100g未満では、インク吸収効果が少なく裏層抜け防止効果が低い。180ml/100g超では、画線部のニジミや印刷品質が沈んだ状態になり印刷光沢が悪くなる。
JIS P 8251に準拠して得た灰分を構成する粒子をレーザー解析式粒度分布測定装置で測定した際の、体積平均粒子径が0.5〜10μmであり、前記灰分の粒子径が0.1〜10μmの割合が80%以上、かつ20μm以上の割合が0.5%以下である、請求項1または2に記載のシリカ被覆再生粒子凝集体内添紙。
・ 更に本発明は、JIS P 8251に準拠した灰分を用いて測定される、灰分を構成する粒子をレーザー解析式粒度分布測定装置(マイクロトラック粒径分析計:日機装株式会社)を用いて測定した際の体積平均粒子径が0.5μm〜10μmであり、前記灰分の粒子径が0.1μm〜10μmの割合が80%以上、かつ20μm以上の割合が0.5%以下であることを特徴とする。紙に含有される填料の効果は、填料の歩留りや紙中の分散や凝集、古紙に由来する無機物の存在により大きな影響を受けるため、製品の性状を調整するにはJIS P 8251に準拠した灰分を用いることが好適である。
・ 本発明のシリカ被覆の再生粒子凝集体を内在した灰分は、平均粒子径が0.5μm以上とされているので、近年の1300m/分を超える高速抄紙において歩留まりが良いという利点を有する。他方、本発明のシリカ被覆の再生粒子凝集体を内在した灰分は、平均粒子径が10μm以下とされているので、紙粉、粉落ちの発生が少ないという利点を有する。
・ シリカ被覆の再生粒子凝集体は、分散剤を添加してスラリー化した後、分散機による湿式分散により粉砕処理を施し、内添用の填料としては灰分の平均粒子径が0.5μm〜10μmになるまで細かく、更には0.8〜10μmとなるように細かくするのが好ましい。
・ さらに、本発明のシリカ被覆の再生粒子凝集体を含有した灰分は、粒子径が0.1〜10μmの割合が80%以上、かつ20μm以上の割合が0.5%以下であることを特徴とする。
粒子径が0.1〜10μmの割合が80%以上とすることで、シャープな粒子分布となり、原料パルプへの配合において均一な分散を得やすく、かつ紙層内で均質な分散が得られるため、紙質強度の偏りを生じにくく、紙質強度の保持に寄与する。
更に、20μm以上の割合が0.5%以下とすることで、多大な粒子の存在による紙層形成において強度低下部位が生じることを防止し、紙粉の発生抑制、不透明度や印刷適性の低下を抑えることができる。特に、シリカ被覆の再生粒子凝集体を内在した灰分においては、20μm以上の割合が0.5%を超えると、シリカに起因する吸油性の偏りが生じ、ベタ印刷を施した場合にインク濃度・光沢ムラが生じやすくなる。
〔シリカ被覆前の再生粒子凝集体〕
本発明におけるシリカ被覆前の再生粒子凝集体は、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを酸化物換算で30〜82:9〜35:9〜35の質量割合で含有する。
シリカ被覆前の再生粒子凝集体中のこれらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの割合は、X線マイクロアナライザー(型番:E−MAX・S−2150、(株)日立製作所/(株)堀場製作所製)にて元素分析を行い、酸化物換算で、カルシウム:ケイ素:アルミニウムが30〜82:9〜35:9〜35、さらには40〜82:9〜30:9〜30、特に60〜82:9〜20:9〜20の質量割合で、凝集体であることが好ましい。
また同時に、これらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの元素分析における酸化物換算の合計含有割合は、90質量%以上、好ましくは93質量%以上である。
このように、例えばカルシウムが酸化物換算で30質量割合以上含有されたシリカ被覆前の再生粒子凝集体を用い、更にシリカ被覆処理を行った再生粒子を填料として原料パルプに内添した場合には、特に得られる紙の白色度を向上させることができる。
シリカ被覆前の再生粒子凝集体中のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの割合を、例えば酸化物換算で前記範囲内に調整するには、本来、脱墨フロスにおける原料構成を調整することが好ましいが、乾燥工程や焼成工程、さらには必要に応じて分級工程において、由来が明確な塗工フロスや調整工程フロスをスプレー等で含有させる方法や、焼却炉スクラバー石灰を含有させる方法を採用することも可能である。
例えば、シリカ被覆前の再生粒子凝集体におけるカルシウムの調整には、中性抄紙系の排水スラッジや、塗工紙製造工程の排水スラッジを、ケイ素の調整には不透明度向上剤として多量添加されている新聞用紙製造系の排水スラッジを、アルミニウムの調整には酸性抄紙系等の硫酸バンドが使用された抄紙系の排水スラッジや、クレーの使用量が多い上質紙抄造工程の排水スラッジを適宜用いることができる。
本形態のシリカ被覆の再生粒子凝集体の製造方法において用いられる脱墨フロスを主原料とするシリカ被覆前の再生粒子凝集体は、古紙から脱墨処理を行い古紙パルプを製造する脱墨処理工程で発生する脱墨フロスを主原料とする。
シリカ被覆前の再生粒子は、脱墨フロスを焼成して得られる循環使用が可能なものであるので、廃棄物としての埋立等の処分が不要であり、環境負荷の低減と、省資源化に大きく貢献するものである。また、原料が古紙処理工程で生じる脱墨フロスであるので、安価であり、新たな再生粒子の使用量を抑えることができ、製造コストが充分に削減されるという利点がある。
特に古紙のリサイクル工程で排出される脱墨フロスが、製紙原料由来の材料からなり、鉄分やその他重金属等の不純物の混入が少ないため好適である。これら脱墨フロスには、無機物として炭酸カルシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン、シリカ、アルミナ等が含有される。
脱水物は、予め乾燥される。乾燥手段は、熱風乾燥等公知の乾燥手段を使用可能であるが、脱墨フロスを乾燥させながらほぐす事が可能であり、更に比重分級をも可能な熱風乾燥手段が最も好適に使用できる。
好適に使用できる熱風乾燥手段を具体的に例示すると、脱水脱墨フロスをインペラ等のほぐし設備にて、355〜2000μm程度の体積平均粒子径になるようにほぐしながら、インペラ設備下方に設けた熱風吹きだし手段にて熱風を吹き込み熱風乾燥を行う。ほぐされ、乾燥された脱墨フロスのうち、比重の軽い脱墨フロスを熱風乾燥手段の上部に設けた取出し口から排出させることで、乾燥と分級とを行うことができる。
乾燥させた脱墨フロスの分級には、好適な手段として、サイクロンによる分級を採用することもできる。乾燥・分級された脱墨フロスは、既に最終的に得られる再生粒子凝集体の類似形状を呈している。
焼成は、例えば、ロータリーキルン、流動床炉、浮遊炉、ストーカ炉等通常用いられている焼却炉を用いることができ、特に好適には、熱風炉や電気炉による間接加熱による燃焼方法が焼成温度コントロール、焼成度合いの微調整が容易である。焼成温度は、スラッジ中のカーボンブラック等のインク顔料や繊維及びポリマー等の有機系化合物を燃焼するのに十分また安定した温度であれば、特に限定されない。
脱墨フロス中にシリカが含まれる場合には、シリカがカルシウム及びアルミニウムと反応し、硬度の高いケイ酸アルミニウムカルシウム等が生成する恐れがある。硬度の高い物質の生成を防止するため、例えば、500℃以下の温度で焼成することが検討されるが、このような条件では、有機化合物を完全燃焼させることが難しく、製紙用として有用に利用できるレベルの白色度を有するシリカ被覆の再生粒子凝集体を得ることができない。
一方、焼成温度が1000℃を超えると脱墨フロス中に含まれる炭酸カルシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン、シリカ、アルミナ等無機物の分解および焼結が進み高硬度化するため、焼成して得られた脱墨フロスを主原料とするシリカ被覆前の再生粒子凝集体を本発明において所望される粒子径まで粉砕するのに多大のエネルギーや時間を要するおそれがあるため好ましくない。したがって、焼成条件としては、一次焼成が510〜750℃で、二次焼成が500〜700℃で行われるのが好ましく、一次焼成が520〜650℃で、二次焼成が500〜600℃で行われるのがより好ましい。
焼成工程は、一段階とすることもできるが、少なくとも二段階とするのが好ましく、連続する設備により少なくとも二段階焼成とするのがより好ましい。焼成工程が、少なくとも二段階の焼成工程からなると、有機物の燃焼による焼成において焼成ムラが生じにくく、満遍なく焼成を進めることが可能になる。特に焼成工程における物理的手段を異ならせることで、偏った焼成を避け焼成速度の向上を図ることが可能である。
この点、焼成工程内の酸素は、焼成させるためのバーナー等によって消費され酸素濃度が低下するが、空気などの酸素含有ガスを送風し、あるいは排気することで、酸素濃度を維持、調節可能であり、さらに酸素含有ガスを送風し、あるいは排気することで、焼成工程内の温度を細かく調節可能になり、再生粒子をムラなく万遍に焼成することができる。
一次焼成炉での焼成は、未燃率が5〜30質量%となるように行なっている。8〜25質量%となるように行うのがより好ましく、10〜20質量%となるように行うのが特に好ましい。一次焼成での、未燃率が5質量パーセント未満では、焼成におけるシリカ被覆前の再生粒子表面の過焼が生じ表面が硬くなるとともに、内部の酸素不足が生じ、シリカ被覆前の再生粒子の白色度が低下する問題が生じる。他方、一次焼成での未燃率が30質量%を超えると、後行する燃焼焼成後においても未燃分が残る問題、未燃分が自燃による過焼成によりシリカ被覆前の再生粒子が硬化する問題、未燃分が残るのを防止するためとしてシリカ被覆前の再生粒子表面が過焼するまで燃焼焼成してしまい、シリカ被覆前の再生粒子表面が硬くなる問題が生じる。
なお本実施形態においては、前記乾燥工程や焼成工程、及び必要に応じて分級工程において、粉砕工程前にあらかじめ、粒子径が40μm以下の粒子が80質量%以上、より好ましくは90%以上となるように処理しておくことが好ましい。これにより、通常行われている乾式粉砕による粗大粒子の粉砕及び湿式粉砕による微粒子化といった複数段の粉砕処理を行うことなく、湿式粉砕による一段粉砕処理も可能となる。
本実施形態に用いられるシリカ被覆前の再生粒子の粒子径は、シリカ被覆後の原料パルプ中への歩留まりやシリカ被覆後の再生粒子の白水中への流失防止という点から、平均粒子径が0.5μm以上、さらには0.8μm以上であることが好ましく、また印刷適正の維持と剣先詰まりの防止という点から、シリカ被覆後の再生粒子の平均粒子径が10μm以下、さらには8μm以下であることが好ましい。
さらには原料である脱墨フロス中のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、あらかじめ、例えば後述する質量割合に調整することで、シリカ被覆前の再生粒子の細孔容積を0.15〜0.60cc/g、細孔表面積を10〜25m2/g、細孔半径を30〜100nmとすることもでき、吸油性、不透明性に優れるシリカ被覆後の再生粒子とすることができる。
シリカ被覆前の再生粒子の粒度を各工程で均一に揃えるためには、分級を行うことが好ましく、粗大粒子や微小粒子を前工程にフィードバックすることでより品質の安定化を図ることができる。
また乾燥工程の前段階において、脱水処理を行った脱墨フロスを造粒することが好ましく、さらには造粒物の粒度を均一に揃えるための分級を行うことがより好ましく、粗大や微小の造粒粒子を前工程にフィードバックすることでより品質の安定化を図ることができる。なお造粒においては、通常の造粒設備を使用することができ、回転式、攪拌式、押出式等の設備が好適である。
シリカ被覆後の再生粒子凝集体の表面を被覆するシリカについては、天然に産出するシリカではなく、何らかの化学反応による合成シリカであれば特に制限なく使用することが可能である。具体的には、例えばコロイダルシリカ、シリカゲル、無水シリカなどがあげられる。これらの合成シリカは、高比表面積、ガス吸着能の高さ、微細性、細孔への浸透力や吸着力の大きさ、付着性の高さ、高吸油性などの優れた特性を活かして、幅広い分野で利用されているものである。これらのうち、コロイダルシリカは、ケイ酸化合物から不純分を除去して無水ケイ酸ゾルとし、pH及び濃度を調整してゾルを安定化させた、球状、連鎖状、不定形等の形状を有する非晶質シリカである。シリカゲルは、ケイ酸ナトリウムを無機酸で分解することによって得られる含水ケイ酸である。また無水シリカは、四塩化ケイ素の加水分解によって得られるものである。
まず、シリカ被覆前の再生粒子凝集体をケイ酸アルカリ溶液に添加、分散させ、スラリーを調製した後に加熱攪拌しながら、液温を70〜100℃程度に保持して酸を添加し、シリカゾルを生成させる。次いで最終反応液のpHを8〜13の範囲に調整することにより、シリカ被覆前の再生粒子凝集体の表面にシリカを析出させることができる。このようにしてシリカ被覆前の再生粒子凝集体の表面に析出されるシリカは、ケイ酸アルカリ(例えばケイ酸ナトリウム:水ガラス)を原料として、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸の希釈液と高温下で反応し、加水分解反応とケイ酸の重合化により得られる、粒子径が10〜20nm程度のシリカゾル粒子である。
さらに係るシリカ被覆後の再生粒子凝集体を、紙に内添することで、抄造時の灰分歩留まりが高く、例えば炭酸カルシウムと異なり、ワイヤー摩耗等の抄紙設備の摩耗劣化を来たすことが無く、更に樹脂成分が微細な状態下でシリカ被覆後の再生粒子に吸着することで、樹脂分の凝集によるピッチトラブルを防ぎ印刷設備汚れを殆ど起こすことがなく、低コストで高い操業性で紙を製造することができ、しかも軽量紙において問題となる、紙力低下、不透明度低下を生じにくい内添紙が得られる。
本発明の新聞用紙の灰分量は2〜15質量%である。灰分量が多いほど不透明度は改善されるが、一般に6質量%を超える量とするあたりから紙力低下が生じ始め、7質量%を超える当りから紙力低下が顕著になるが、本発明におけるシリカで被覆した再生粒子凝集体の場合は、15重量%を超える場合に紙の強度低下が起こる。15重量%を超えるような灰分とするためには多量のシリカ被覆の再生粒子凝集体や併在添加可能な各種填料の添加が必要であり、添加したシリカ被覆の再生粒子凝集体や併在添加可能な各種填料を紙に留めるために、有機或いは無機の歩留まり向上剤も多量に添加することになる。しかし、歩留まり向上剤を多量に添加すると紙の地合の悪化を伴うので好ましくない。さらに紙中から水和ケイ酸の脱落が多くなるため、表面に多量のサイズ剤を塗布しなければならず、経済的ではない。また、2質量%未満では、近年の坪量が45g/m2を下回る様な印刷用紙の場合、不透明度にはほとんど寄与しない。
本発明における、灰分は、近年の坪量が45g/m2を下回る様な印刷用紙にシリカ被覆の再生粒子凝集体を使用することで、従来紙質強度の低下により灰分が6質量%程度が上限で有ったにもかかわらず、2〜15質量%の範囲において、紙力低下を来たさず不透明度を確保することができる。
更に、灰分中にシリカ被覆の再生粒子凝集体を50質量%以上含有することで、従来紙力低下を来たしていた慣用的に使用されてきた填料を併在使用することができ、不透明性や白色度、吸油性を調整することができる。
内添紙中の灰分は、JIS P 8251に準拠して525℃で燃焼して得られるものであり、灰分の平均粒子径及び粒子径分布(粒度分布と表現することもある)は、次の方法によって求める。
(1)得られた灰分20mgを、3重量%濃度のヘキサメタリン酸ナトリウム(試薬一級)水溶液200ミリリットル中に入れて振り混ぜて分散させ、3時間放置する。
(2)上記分散液をレーザー解析式粒度分布測定装置(マイクロトラック粒径分析計:日機装株式会社)により、粒径分布の測定を行う。分布は粒子直径に対する体積の分布であり、累積体積の中央値(メデイアン値)に対応する粒子径を平均粒子径μmとして採用する。
本形態の再生粒子凝集体内添紙の灰分における好適な特徴は、灰分の平均粒子径を0.5〜10μmの範囲になるように粉砕することである。10μmを超す平均粒子径の場合、光学特性への寄与が小さい。一方、灰分が0.5μm未満ということは、使用時点で非常に平均粒子径の小さな填料を添加する必要があり、また、この微小粒子を紙に留めるため、歩留まり向上剤のごとき薬品を多量に使用する。そのため、紙の地合を著しく損ねるという致命的な欠点を有するので好ましくない。
本発明の再生粒子凝集体内添紙の灰分における更なる好適な特徴は、粒子径を0.1〜10μmの割合が少なくとも80%以上、かつ20μm以上の割合を0.5%以下になるように粉砕することである。粒子径が0.1〜10μmの割合を少なくとも80%以上、かつ20μm以上の割合を0.5%以下にすることで、不透明性に寄与する填料の割合を多くし、紙質強度の低下や光学特性に寄与しないものが少なく存在することになり、同一灰分であっても紙力の確保、不透明度は高いものとなる。
本形態で用いる灰分の吸油度は、30ml/100g〜180ml/100gである。好ましくは50ml/100g〜150ml/100g程度である。
ここで言う吸油度は、JIS K 5101記載の練り合わせ法によるものである。すなわち、105℃〜110℃で2時間乾燥した灰分2g〜5gをガラス板に取り、精製アマニ油(酸化4以下のもの)をビュレットから少量ずつ試料の中央に滴下しその都度ヘラで練り合わせる。滴下練り合わせの操作を繰り返し、全体が初めて1本の棒状にまとまったときを終点として、精製アマニ油の量を求め、次の式によって吸油度を算出する。
吸油量=[アマニ油量(g)×100]/紙料(g)
ここで本発明に基づくシリカ被覆再生粒子凝集体を内添した再生粒子凝集体内添紙では、シリカ被覆再生粒子凝集体を含有した灰分の吸油度が180ml/100gより大きい場合、印刷時のインキの吸収性及びインキのセット性は向上するものの、紙質としては充分な不透明度が得られにくい。吸油度が30ml/100g未満のシリカ被覆再生粒子凝集体を含有した灰分の場合、インクの吸収乾燥性が遅く、インクの裏移りやコスレ汚れの問題が生じる。
一般に填料内添紙は、填料の添加率を大きくするとオフセット印刷時に印刷過程で使用される湿し水によって容易に紙層内から填料が浸みだす傾向があり、填料がブランケットにパイリングする紙粉の主要な成分の1つとなっている。また、近年の環境に優しい資源としてより多くの活用が図られているDIP(脱墨古紙パルプ)の高率配合化は、DIPがGPやRGP、TMP等のメカニカルパルプに比較して不透明度が低く、一旦抄紙されたのち物理的、化学的処理により劣化が進んでおり、紙紛発生の原因となるため、不透明度、紙粉の改良とDIPの高率配合化を両立させるのは極めて困難であるのが実状である。
このようなオフセット印刷用紙の難点に対処するため、従来から紙の表面に澱粉、PVA、あるいはポリアクリルアミド等を成分とする表面処理剤を塗布することが一般に行われている。これらの表面処理剤は、紙面強度を向上させ、紙表面の微細繊維や填料をパルプ繊維等に接着させ紙紛の発生を抑制する働きはあるものの、紙表面での粘着性(以後、ネッパリと称す。)を増大させ、結果として印刷時におけるブランケットへの貼り付きや、皺、断紙といった走行性トラブルの原因となる。
一般紙の分野で使用されているカオリンや炭酸カルシウム等の通常の填料と表面処理剤との併用は、PVA等の表面処理剤の持つネッパリ性を低減することはできるが、本発明の目的とする高い不透明度を持ち且つ紙力を維持した内添紙を製造するには不十分なものであった。他方、不透明度の高い填料として知られる二酸化チタンは、他の填料を使用した場合に比較して、良好な不透明度を得ることができ、ネッパリ性にも改善効果が認められるが、表面処理剤との相溶性が悪く、オフセット印刷時にブランケットが白く汚れ、しかも拭取り難いという問題点があった。一方、ホワイトカーボンや無定形シリカ等の水和珪酸類は、吸油度が高いため、これらを内添することにより、良好な印刷後の不透明度を得ることができるが、表面強度が弱いため、印刷時に紙粉がパイリングする問題がある。
特に、45g/m2以下の低米坪品で古紙パルプ配合率が40重量%以上であるような原紙の場合には、原紙の米坪を下げることで米坪を一定に保つと、このパルプ繊維減によって低下する不透明度、紙力低下を、従来のように単純に填料を内添し、表面処理剤にて用紙表面を被覆処理することではカバーしきれず、紙力の確保も困難であった。
古紙パルプの使用は、基紙への古紙パルプの配合と澱粉及びポリビニルアルコールを基紙表面に塗工することとの組み合わせが、古紙パルプの短所をカバーしながら、インキ濃度、印刷適性を向上するという相乗効果を生み出すものである。すなわち、古紙パルプは、一度抄紙され、カレンダー処理され、市場で使用され回収された古紙から再生したパルプであるため、パルプ繊維が損傷し繊維が短く、クッション性が低くなっている。そのため、古紙パルプを多く配合した再生粒子凝集体内添紙は密度が高く、クッション性が低い用紙となり、インキセット性の低下、インキ着肉性の低下、表面強度の低下による紙粉の発生、これらの問題に起因するインキ濃度の低下を招くおそれがある。
ところが、被膜性の高い澱粉及びポリビニルアルコールを一定割合でフィルム転写方式によって塗工することで、基紙表面が古紙パルプの配合により緻密になった表面性を有するため、被膜性を得やすくなり、更に、古紙パルプの配合による表面強度の低下も澱粉及びポリビニルアルコールからなる被覆にて改善され、澱粉及びポリビニルアルコールの比率や塗工量を調整することにより、インキセット性も良好にできるのである。 本形態においては、基紙の原料パルプには、古紙パルプが50質量%以上配合し、再生粒子凝集体を填料として用いることで、前記問題を来たさない再生粒子凝集体内添紙を得ることができる。
表面処理剤に用いる澱粉の種類は、特に限定されないが、カルボキシメチルデンプン(アニオン性)、ヒドロキシアルキルデンプン(カチオン性)、リン酸デンプン(アニオン性)等の従来の変性澱粉は、紙中に浸透しながら、引張り強度や表面強度を向上させる効果を有するものの、中性又はアニオン性を示すため、アニオン性を呈するパルプ繊維表面への定着性に劣り、被膜性が低い。したがって、アニオン性を呈するパルプ繊維表面への定着性が高いカチオン性の澱粉であることが好ましい。カチオン性の澱粉であると、パルプ繊維に対する定着性が向上し、被膜性に優れ、また、表面強度も向上する。
さらに、本形態の澱粉は、エステル化澱粉であるのがより好ましい。エステル化澱粉であると、インキ濃度及びインキセット性が飛躍的に向上する。エステル化用の原料澱粉としては、未処理澱粉、処理澱粉の他、各種の澱粉含有物が包含される。このようなものとしては、例えば、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、甘薯澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、モチトウモロコシ粉、高アミロース含量トウモロコシ澱粉などの未処理澱粉、小麦粉、タピオカ澱粉、コーンフラワー、米粉等の澱粉含有物及びこれらの澱粉及び澱粉含有物の酸化、酸処理化等を行ったもの等が挙げられる。中でもタピオカ澱粉は、エステル変性物が、粘性、被膜性、弾力性、伸展性の面で他の穀物澱粉類より秀でており好ましい。エステル化澱粉において、そのエステル化の度合は特に制約されないが、導入されるエステル結合の平均数で、グルコース単位当り、1〜3、好ましくは1〜2である。エステル化澱粉の中でも、ヒドロキシエステル化澱粉が好ましい。このものは原料澱粉に酸化処理を施し、カルボキシメチル基をヒドロキシエチル基へ還元反応させることにより容易にかつ安価に得ることができる。最も好適には、エステル変性された澱粉の末端基に疎水性基を導入した、疎水性基含有エステル変性タピオカ澱粉を使用することできる。
更に好適に使用するエステル化澱粉としては、末端基にカルボン酸(−COOH)構造を有し、中性領域において、−COO-のようにイオン化することで水素結合による繋がりを確保できず、反発性を示すことによるチキソトロピカルな挙動を示すエステル変性澱粉が、塗工において流動性を示しながら、基紙表面に塗布後は基紙中に浸透しにくく、基紙表面に高い被膜性を呈するため好ましく、加えて被膜性の高いポリビニルアルコールの用なバインダー樹脂を含有させることによって上記課題を解決する。このエステル化澱粉の種類は、特には、タピオカ澱粉を主原料にエステル化変性させた1−オクテニルコハク酸エステル化澱粉が好ましい。1−オクテニルコハク酸エステル化澱粉は、粘性、被膜弾力性、被覆性の点で特に優れており、ポリビニルアルコールとの組合せで、更に顕著な被覆性と、インキ濃度、インキセット性向上とを図ることができる。
表面処理剤としてポリビニルアルコール単独で塗工した場合には、澱粉単独で塗工した場合に比べて、ほぼ3倍の表面強度を示し、被膜性に優れる反面、被膜性が高いために、コールドセット型インキのように、用紙中に溶媒が浸透して乾燥する印刷インキの場合、印刷インキの溶媒の吸収性が悪く、インキのインキセット性速度が劣る。また、ポリビニルアルコールを単独で一定量塗工する場合には、塗工液の粘性が高く、フィルム転写方式では、断紙、抄紙設備の汚れ、粕、紙面の汚れなどの問題が生じるため使用できない。したがって、澱粉と併用することで、適度なインキ溶媒の用紙中への浸透を促しながら、インキ顔料成分を用紙表面に留め被膜性が向上するとともに、インキセット性の低下も抑えられる。ポリビニルアルコールの種類は、特に限定されない。ポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
ポリビニルアルコールとしては、平均重合度が300〜3000のものが好ましく用いられ、特に、平均重合度が1500〜2000、更には、1700〜2000の範囲のものが澱粉との相溶性に優れるため、均質な被膜性を得やすくなるため、好ましく用いられる。また、ケン化度が80以上、100に近いポリビニルアルコールであるのが好ましく、ケン化度が90以上、100の完全ケン化ポリビニルアルコールであることが好ましい。完全ケン化ポリビニルアルコールであると、部分ケン化ポリビニルアルコールである場合よりも、再生粒子凝集体内添紙表面に耐水性・耐熱性を有する被膜性を得やすくなる。
また、このようなポリビニルアルコールを用いることで、澱粉との親和性が良く短時間で澱粉とポリビニルアルコールとがブレンド可能であり、操業性を向上させることができるとともに、塗工設備においてミストの発生を低減させることができる。ケン化度が高く、重合度も高い性質を有するポリビニルアルコールを用いることにより、高いインキ濃度を得ながら、高いオフセットインキのインキセット性を実現することができる。また、用紙に印刷した後、用紙を積層しても、裏面へのインキ転写を防止することができ好ましい。
澱粉及びポリビニルアルコールは、10:0.8〜2.0の固形分質量割合であるのが好ましい。澱粉に対するポリビニルアルコールの割合が10:2.0を超えると、急激に塗工液粘度が上昇するため、塗工ムラやミストが発生し、塗工品質の低下と、設備周辺の汚損が生じる。他方、10:0.8を下回ると、澱粉とポリビニルアルコールの相溶性には問題ないものの、基紙表面に塗付した際に、澱粉及びポリビニルアルコールとの相乗効果が得られず、用紙中への浸透やムラが生じやすくなる。より好ましくは、澱粉及びポリビニルアルコールは、10:0.9〜1.2の固形分質量割合であるのが好ましい。この範囲に設定することで、澱粉とポリビニルアルコールの相乗効果が確保でき、インキの顔料成分を再生粒子凝集体内添紙表面に留めることにより高いインキ濃度を発現させ、また、インキ中の溶媒を素早く再生粒子凝集体内添紙内部に吸収させ、もって早いインキセット性を発現させる。
澱粉及びポリビニルアルコールは、再生粒子凝集体内添紙表面に塗工することで本発明の効果を如何なく発揮できるが、基紙表裏面に偏在させるとともに、基紙中も含めて0.1〜2.0g/m2含有させることが好ましい。澱粉及びポリビニルアルコールの合計含有量が0.1g/m2を下回ると、澱粉及びポリビニルアルコールによる被膜性が損なわれ、本発明に基づく基紙表面の被膜性が確保できず、インキの顔料成分を再生粒子凝集体内添紙表面で留めることが難しく成り、高いインキ濃度が得られない。澱粉及びポリビニルアルコールの合計含有量が2.0g/m2を上回ると、塗工設備周辺に澱粉溶液のミストが多量に発生し、周辺機器を汚損するとともに、汚れに起因する断紙、用紙に欠陥が生じる問題を惹き起こす。
(1)測定用紙の一定量(A4版1〜2枚程度:試料面積又は重量を精秤しておく)をとり、約1cm2に切り出す。これを水にて攪拌下、加熱・溶解し、紙の繊維を完全にほぐす。
(2)No.1の濾紙にて濾別する。抽出液は濃縮する。濾過残渣物は、水を加え再び加熱溶解を行い、濾過する。標準作業では、この操作を6〜7回繰り返す。実際は、1回の操作で約90%が溶出し、3回繰り返すことで約99%が抽出されていると見なし、3回程度で終える事が多い。全抽出液を、約100mlまで濃縮する。
(3)上記全抽出液に濃塩酸約10mlを添加し、2〜3時間加熱(80〜90℃)を行い一夜放置する。ここで、沈殿を生成すれば濾過除去(No.5Aの濾紙)する。沈殿洗浄に蒸留水を約100ml用いるため、最終的には約200mlの濾液となる(ここでの液量を精秤しておく。)。
(4) (3)で得られた濾液を2分割し各々以下の方法に従い、澱粉の定量、PVAの定量を実施する。
PVAの定量法(ホルマール化法) 300mlのビーカー中で実施。
(5)抽出液に市販ホルマリン水溶液約10〜15mlを添加し、80〜90℃以上で1〜2時間の加熱により沈殿を完全に生成させる。
(6)あらかじめ乾燥し、精秤している濾紙(No.5A)にて濾別し、酸性反応を示さなくなるまで水、又は温水にて洗浄を繰り返す(通常、熱水500〜800mlを使い洗浄する)。
(7)沈殿の付着した濾紙を乾燥秤量し、求めた沈殿物の重量から次式にてPVA量を算出する。
PVA(g)=沈殿物重量(g)×0.95(0.95はホルマール化における重量増加分補正係数)
澱粉定量法(レイエイノン法) 300mlの三角フラスコ中で実施。
−試薬の調整−
A液 結晶硫酸銅34.62gを水に溶解し全量500mlとする。
B液 酒石酸カリウムナトリウム:173g、NaOH:50gを水に溶解し全量500mlとする。
C液 メチレンブルー1gを水に溶解し100mlとする。
(8) 抽出液にフェノールフタレイン指示薬を3〜4滴入れ、NaOH粒、濃塩酸、1N NaOHで微赤色になるよう調製する(試料液)。
(9)A液とB液を等量混合(フェーリング液の調整)しておき、この液の1〜5cc(1ccとする場合が多い)にC液の1滴を滴下する。そこに、(8)で中和した試料液の一定量(例えば5cc)と蒸留水20ccと混合する。直火にて加熱する。
(10)加熱発泡後15秒にて、青色が消え微赤色となれば終点とする。終点とならない場合には、(8)の試料量を追加して加熱発泡後15秒にて、青色が消え微赤色となる様な試料量を探す(加熱は発泡開始後、3分間以内を限度とする。終点が確認しにくくなるため。)。
(11)供試料と全試料液、フェーリング液量から下記計算式にて澱粉(転化糖)の量を算出する。
澱粉量(g)=フェーリング液力価×フェーリング液消費料(ml)
例)フェーリング液力価:0.0046、フェーリング液消費量:1ml、供試料量:5+5+1=11ml、全試料量:262×2=524ml(ここで、抽出液を2分割する場合を考えて、2倍している)。この場合、抽出液中の澱粉量(g)=0.22(g)。ここで、最初のサイズ紙面積が、0.12m2の場合は、澱粉塗布量=1.8g/m2となる。なお、フェーリング液力価は、別途測定しておく。
(参考)フェーリング液力価の測定法。
[1]酸化澱粉0.7gを蒸留水200mlに溶解。
[2]濃塩酸10ml添加。
[3]これに蒸留水300ml添加。
[4][3]で得た液を5ml用い、上記(8)〜(11)に従い滴定する。上記計算式を用いて、フェーリング液力価を決定する。
本発明における再生粒子凝集体内添紙の原料パルプは、古紙パルプ(DIP)を含有する、特に40%以上含有すると特に好ましいがそのほかは特に制限されない。例えば、化学パルプ(NBKP、LBKP等)、機械パルプ(GP、CGP、RGP、PGW、TMP等)等の公知のものを組み合わせて使用することが可能である。古紙パルプを多配合することは環境保全の面から好ましい。なお、化学パルプを製造する際の漂白方法についても、特に限定するものではないが、漂白工程で塩素ガスのような分子状塩素を使用しないで漂白したECFパルプ、さらには、二酸化塩素のような塩素化合物をも使用しないで漂白したTCFパルプの使用が、環境保全の観点から好ましい。
古紙パルプの使用は、基紙への古紙パルプ、再生粒子凝集体の配合と澱粉及びポリビニルアルコールを基紙表面に塗工することとの組み合わせが、古紙パルプの短所をカバーしながら、不透明性、紙質強度、インキ濃度、印刷適性を向上するという相乗効果を生み出すものである。
再生粒子凝集体の含有と、更に好適には、被膜性の高い澱粉及びポリビニルアルコールを一定割合でフィルム転写方式等の公知の手段によって塗工することで、基紙表面が古紙パルプの配合により緻密になった表面性を有するため、被膜性を得やすくなり、更に、古紙パルプの配合による表面強度の低下も再生粒子凝集体の含有と、澱粉及びポリビニルアルコールからなる被覆にて改善され、澱粉及びポリビニルアルコールの比率や塗工量を調整することにより、インキセット性も良好にできるのである。
本実施例においては、脱墨パルプ製造工程における脱墨処理において得られる脱墨フロス(製造例1〜9)、製紙スラッジ(製造例10〜12)、バージン添量(製造例13)を脱水機により固形分50%に脱水処理し、更に乾燥工程で固形分12%まで乾燥し、表1に記載の各条件で焼成し、湿式粉砕、シリカの被服処理、湿式粉砕などを行い各製造例の再生粒子凝集体を得た。得られた各製造例に基づく再生粒子凝集体を、表2に示す条件で内添し、更に表面処理剤の塗工をおこない評価した。結果を、表3に示した。
なお、表1の製造例13においては、カオリン、炭酸カルシウム、ホワイトカーボンの混合溶液に、カチオン性高分子凝集剤を加え、凝集(フロック化)させ、所定の灰分になるように抄紙原料に添加した。
また、表2の抄造条件は、硫酸バンド0.5部、カチオン性澱粉0.7部、AKDサイズ剤1.0部である。さらに、表2の澱粉について、FilmkoteシリーズはNatianl Starch社製、PGシリーズはPENFORD社製、SKシリーズは日本コーンスターチ社製である。また、PVAはクラレ製である。
○ 酸素濃度:ガス分析装置(堀場製作所製、形式:PG250型)を使用して測定。
○ 再生粒子凝集体構成成分:X線マイクロアナライザー(型番:E−MAX・S−2150、(株)日立製作所/(株)堀場製作所製)を使用して元素分析。
○ 再生粒子凝集体平均粒子径:粒径分布測定装置(レーザー方式のマイクロトラック粒径分析計:日機装(株))を使用して測定。
○ 湿式粉砕後の吸油度:スラリーサンプルを出来る限り形状を損なわないように凍結真空乾燥した後、測定。
○ 坪量:JIS P 8124に準拠して測定。
○ 紙厚:JIS P 8118に準拠して測定。
○ 密度:JIS P 8118に準拠して測定。
○ 灰分:JIS P 8251に準拠して測定。
○ 引張り強さ(縦):JIS P 8113に準拠して測定。
○ 引裂き強さ(横):JIS P 8116に準拠して測定。
○ 白色度:JIS P 8148に準拠して測定。
○ 不透明度:JIS P 8149に準拠して測定。
Claims (3)
- パルプに填料を内添した紙であって、
前記填料には、古紙から脱墨処理を行い古紙パルプを製造する脱墨処理工程で発生する脱墨フロスを主原料とし、脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経た再生粒子凝集体の表面をシリカで被覆したシリカ被覆再生粒子凝集体が少なくとも用いられ、
JIS P 8251に準拠した灰分が全質量当り2〜15質量%である、
ことを特徴とするシリカ被覆再生粒子凝集体内添紙。 - JIS P 8251に準拠して得た灰分の、JIS K 5101に準拠した吸油度が30〜180ml/100gである、請求項1記載のシリカ被覆再生粒子凝集体内添紙。
- JIS P 8251に準拠して得た灰分を構成する粒子をレーザー解析式粒度分布測定装置で測定した際の、体積平均粒子径が0.5〜10μmであり、前記灰分の粒子径が0.1〜10μmの割合が80%以上、かつ20μm以上の割合が0.5%以下である、請求項1または2に記載のシリカ被覆再生粒子凝集体内添紙。
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