JP5346237B2 - 製紙用填料を含有するコールドオフセット印刷用紙 - Google Patents

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Description

本発明は、焼却灰から得られる製紙用填料を含有するコールドオフセット印刷用紙、中でも新聞用紙に適したコールドオフセット印刷用紙に関する。
近年、環境保全の観点から、産業廃棄物の削減が強く求められている。産業廃棄物の削減は、発電や廃棄物焼却等を行っている全ての企業及び自治体に対する要請であり、紙・パルプ業界もその例外ではない。
このような状況の中、焼却灰の取り扱いが大きな社会問題となっている。現在、焼却灰は、その一部が、セメント原料や製鉄用酸化防止剤、混和剤などの再生材料として有効利用されているが、残りは産業廃棄物として埋め立てられることが多い。再利用があまり進んでいない原因として、焼却灰は同じ設備から排出されるものであっても、構成元素が一定しないため、再利用品の製品品質が一定しないことが最も大きいと考えられる。また、他の原因としては、発生量が膨大であることも考えられる。
しかし、その一方で焼却灰の再利用方法の開発も進んでおり、その方法は大きく分けて、(1)焼却灰をそのまま何らかの原料とし再利用する方法と、(2)焼却灰に何らかの処理を行い、特定の性質を改善した後に原料として再利用する方法、の2通りに分けられる。
前者の方法としては、セメント原料や製鉄用酸化防止剤、融雪剤または有機汚泥等と焼却灰とを混合することで人工土壌として再利用する方法などが検討され、製品化されている(特許文献1)。
後者の方法は、処理を行うためより複雑である。一例を挙げると、特許文献2には、製紙スラッジや紙類を650℃以下の非酸素雰囲気下で炭化処理し、これをさらにアルカリ水溶液中で水熱合成して製造する多孔質物質が示されている。また、特許文献3には、脱墨フロスを主原料とし、前記主原料に脱水、乾燥、燃焼、粉砕操作を施して得る再生粒子凝集体であって、ゲーレナイト(CaAlSiO)やアノーサイト(CaAlSi)といった硬質物質の合計含有量を2.0質量%以下に抑える再生粒子凝集体が示されている。さらに、特許文献4には、有機物と無機粒子を含む水性スラリー排出物に600〜800℃の熱処理を施し、排出物中の炭酸カルシウムの分解を抑制しつつ無機材料を製造する方法が示されている。
前者および後者のいずれも、焼却灰を廃棄物とせず、何らかの付加価値を付け、再度原料として用いている点では共通しており、現在の社会背景を反映していると考えられる。
一方でこれら焼却灰を用いた製品を再利用するためには、多くのコストとエネルギーを必要とする場合があり、あるいは、再利用品の品質が要求される品質に達しないことも少なくない。また、ライフサイクルアセスメントの観点からは、焼却灰の再利用に要したコストやエネルギーと、得られた再利用品の品質とを総合的に判断して、現実的に実用レベルとはいえない場合も多い。例えば、特許文献2のように、非酸素雰囲気下での炭化処理およびアルカリ水溶液中での水熱処理を行うためには、多大なエネルギーが必要となり、工程も複雑なものとなる。特許文献3でも複数の燃焼炉を用いて複数段の燃焼行程を行うことが好ましいとされているため、やはりエネルギーを多量に消費するほか、必要な設備空間も多大なものとなり、工業的および土地利用的観点からコスト面で不利となる可能性がある。このように、焼却灰再利用のための各種前処理を行うためには、多くの費用と手間が必要となり、実際には困難であることが多い。これも、焼却灰の再利用が積極的に進められない理由の一つである。
一方、近年、印刷技術はカラー化、高速大量印刷化、自動化等大きな進歩を遂げている。様々な印刷方式の中でもコールドオフセット印刷(あるいはコールドセット型オフセット印刷ということがある)方式は鮮明なカラー印刷、高速且つ大量印刷可能である利点を持っており、タワープレス型などの大型輪転印刷機による新聞印刷は代表的なものである。しかし、コールドオフセット印刷は、浸透乾燥型インキを使用しアフタードライヤーを持たない輪転機で印刷する方式であるため、乾燥性に劣る面がある。特にインキの層が多いカラー印刷ではこの問題が大きくなり、鮮明なカラー印刷を実現するため、用紙には良好なインキ着肉性やインキセット性が求められる。また、高速且つ大量印刷を実現するため、高い印刷作業性が求められる。
コールドオフセット印刷方式は、PS版(Pre-Sensitized Plate)と呼ばれる版に湿し水とインキを供給し、ブランケットを介して用紙に転写し印刷する方式であり、使用するインキは比較的タックが高いという特徴を持つ。そのため、印刷時に用紙からベッセルなどの繊維状物質が取られて、紙粉として版やブランケットに堆積する、いわゆるパイリングが生じることによるトラブルがしばしば起こる。そこで、印刷機を停機して版やブランケットを洗浄する必要があり、印刷作業性を著しく落とす要因となる。
また、年々、新聞用紙の品質に対する要求は高くなっており、特に軽量化の進行に伴って、裏抜け(印刷時の不透明度:印刷時に反対面の文字や絵柄が透けて見える現象)に対する要求は高くなっている。紙の裏抜けを改善するためにはいくつかの方法があるが、比散乱係数の高い填料を使用し、紙の不透明度を向上させることが最も効果的である。しかし、紙中灰分(紙中の填料含有率)を増加させていくと、紙の表面強度や引張り強さ、紙厚が低下するという問題が発生する。特に表面強度の低下は、印刷機のブランケットに堆積する紙粉量や刷版の摩耗を増加させ、文字・罫線のカスレを引き起こしたり、ベタ面のガサツキ(着肉不良)などインキ着肉性にも悪影響を及ぼす。また、新聞用紙では環境への意識の向上から古紙の利用も進んでいるが、DIP中の灰分もほとんどが填料に由来するものであるため、紙中への持込量が多くなると紙粉によるトラブル発生の原因となる。
特開平09−121674号公報 特開2004−277272号公報 特開2008−190049号公報 特開平10−29818号公報
上述したように、印刷用紙に填料を高配合することによって紙の不透明度を高め、印刷の裏抜けを抑制することができるものの、填料を高配合した紙をオフセット印刷、特に比較的タックの高いインキが用いられるコールドオフセット印刷にかけると、紙粉が発生しやすく、インキ着肉性が低下するという技術課題が存在していた。
本発明の課題は、紙中灰分が高いにもかかわらず、印刷時の紙粉発生や刷版の摩耗が抑制されたコールドオフセット印刷用紙を提供することである。
本発明者は、温度700〜800℃にて熱処理を施した後の焼却灰を原料とする製紙用填料を印刷用紙に内添することによって、紙中灰分が高い場合であってもコールドオフセット印刷時の紙粉発生や刷版の摩耗が抑制され、インキ着肉性が改善されることを見出し、本発明を完成させた。また、本発明の印刷用紙は、コールドオフセット印刷時の刷版の摩耗が少ない。
本発明において原料の焼却灰としては、製紙スラッジ焼却灰、石炭焼却灰、紙を含む廃棄物の焼却灰、バイオマス焼却灰、複合燃料焼却灰からなる群より選択される1種以上が用いられ、製紙スラッジおよび/または石炭の焼却灰を使用することがより好ましい。また、本発明に用いる製紙用填料は、好ましい。また、本発明に用いる製紙用填料は、平均粒径が0.1〜10μmであると、紙粉発生や刷版の摩耗の抑制に効果的であり、好ましい。さらに、本発明の製紙用填料は、白色度が10%〜60%であることが好ましく、30%〜60%がより好ましい。
これに限定されるものではないが、本発明は、以下の発明を包含する。
(1) 製紙スラッジ、石炭、紙を含む廃棄物、バイオマス、複合燃料からなる群より選択される1種以上を含んでなる原料を温度700〜800℃にて焼却して得られる製紙用填料を含有し、紙中灰分が13重量%を超えるコールドオフセット印刷用紙。
(2) 前記製紙用填料の平均粒径が0.1〜10μmである、(1)に記載のコールドオフセット印刷用紙。
(3) 前記製紙用填料の白色度が10〜60%である、(1)〜(3)のいずれかに記載のコールドオフセット印刷用紙。
本発明により、ボイラー等の燃焼設備から排出される焼却灰を原料とする上記製紙用填料を用いる。
また、本発明では、上記製紙用填料を用いることで、紙中灰分が高い場合であっても、インキ着肉性などの印刷品質に優れ、印刷時の紙粉発生や刷版の摩耗が抑制されたコールドオフセット印刷用を得ることができる。また、原料とする焼却灰に熱処理を施す際の温度を所定の範囲に調整されている製紙用填料を内添した本発明の印刷用紙は、オフセット印刷時にオフセット印刷の刷版を摩耗させにくい特性を有しており、オフセット印刷用紙として特に好適である。さらに、本発明に用いる製紙用填料は、焼却灰を原料として比較的シンプルな方法で製造することができるため、廃棄物削減や、エネルギー、コストの観点からも極めて有利かつ実用的である。
図1は、本発明に用いる製紙用填料の結晶組成をX線回折で分析した結果である。
以下、本発明のコールドオフセット印刷用紙に含有される焼却灰を原料とする製紙用填料およびその製造方法の詳細を記載する。
製紙用填料
本発明の製紙用填料は、原料に温度700〜800℃にて熱処理を施して得られる焼却灰を使用する。一般に焼却灰は、各種金属及びそれらの酸化物、硫化物、塩化物などの無機物を主に構成されているが、その組成は非常に複雑であり、焼却物や産地によっても種々異なる。焼却灰には、SiO、Al、CaO、MgOなどの無機酸化物、未燃カーボンのような燃焼原料中の有機物の他、ハロゲンや重金属を含んでいることがある。このように焼却灰は、場所、季節などによってその組成が変動するが、工業的に安定して再利用するためには、このような組成が一定しない焼却灰を原料としても一定レベルの製紙用填料を安定して製造できることが要求される。このような状況の中、本発明者は、焼却灰を得る際の焼却温度を700〜800℃に制御することによって、驚くべきことに、焼却灰のワイヤー磨耗度が改善されることを見出した。つまり、本発明によれば、熱処理を施す時間、燃焼設備の形状等の燃焼条件に関係なく、種々の原料から、ワイヤー摩耗性に優れた製紙用填料を安定的に製造することが可能である。後述する実施例において実証されているように、熱処理温度を800℃以下にして酸素存在下で原料を燃焼させることにより、ワイヤー磨耗性が著しく低下し、製紙用填料として好適に使用することが可能になる。一方、熱処理温度を700℃より低くすると、燃焼効率が低下し、主に未燃カーボンからなる未燃成分が多く残ってしまうため、好ましくない。燃焼効率などの観点から、より好ましい態様において本発明の燃焼温度は750〜800℃である。
一般に焼却原料を熱処理する際の温度は、原料が十分に焼却され、エネルギー回収、体積減容等において所望の効果を挙げられるよう、焼却設備の仕様などに応じて設定される。近年は、焼却時にダイオキシン類の発生を抑制するために、800℃を超える温度で原料を焼却することが一般的である。しかし、焼却温度を800℃を越える範囲に設定して焼却を行った場合、ゲーレナイト(CaAl(AlSi)O)を典型とするアルミニウム・カルシウム珪酸塩が生成するが、この物質はモース硬度が5〜6と非常に高く、ゲーレナイト等を含む焼却灰を製紙用填料として使用すると、抄紙機の抄紙ワイヤーを著しく損傷することになる。本発明によってワイヤー摩耗性に優れた製紙用填料が得られるメカニズムの詳細は明らかでないが、原料の焼却温度を低温化して700〜800℃とすることによって、焼却灰に含まれるゲーレナイトの量が減少することと関係があるものと推測される。なお、焼却灰中に含まれるゲーレナイトなどは、X線回折により確認することができる。
また、本発明の製紙用填料を内添したオフセット印刷用紙は、紙中灰分を高くしてもコールドオフセット印刷時に紙粉が発生しにくく、また、オフセット印刷の刷版を摩耗させにくい。本発明の製紙用填料を用いると、紙粉が発生しにくく、オフセット印刷の刷版を摩耗させにくくなる理由の詳細は明らかでなく、本発明は以下に拘束されるものではないが、原料の焼却温度を低温化して700〜800℃とすることによって、硬度の高い物質の生成が抑えられることで、紙層構造から脱落しやすい粒子が少なくなることが関係しているものと推測される。
本発明では、種々の焼却原料を温度700〜800℃にて熱処理することにより、ワイヤー摩耗性を著しく改善することができるが、種々の焼却原料を製紙用填料として再利用できるため、その応用範囲が広い。原料とする焼却原料は、単一の出所から生じたものを単独で使用することもでき、また、複数の出所から生じたものを混合して使用することもできる。700〜800℃の温度で燃焼させた複数の焼却灰を混合して製紙用填料とする場合、各焼却灰は700〜800℃の温度で熱処理されていることが必要であるが、焼却灰を生ぜしめた燃焼設備の方式や、灰の原料が異なっていてもよい。
本発明において燃焼装置としては、特に制限されないが、例えば、ストーカー炉(固定床)、バーナー炉、流動床炉、燃料噴射式炉、サイクロン炉、キルン炉、多段燃焼炉などの内熱燃焼炉や、重油等を熱源にした間接加熱方式の外熱燃焼炉などの燃焼装置を使用することができ、ストーカー炉(固定床)、バーナー炉、流動床炉、キルン炉が好ましい。また、燃焼時間(滞留時間)も、原料の量や酸素条件などに応じて決定することができるが、0.1〜60秒が好ましく、0.2〜30秒がより好ましい。燃焼装置における酸素濃度も条件に応じて適宜決定することができるが、燃焼効率の観点から、0.1〜15%が好ましく、1〜10%がより好ましい。
本発明の原料としては、製紙スラッジ、石炭、紙を含んでなる廃棄物、バイオマス、複合燃料等が挙げられ、これらの他に別の材料が含まれていてもよい。中でも、製紙スラッジおよび/または石炭の焼却灰を使用することが本発明において好ましい。
本発明の製紙用填料として、製紙工程から発生するスラッジ(PS:paper sludge、製紙スラッジともいう)をキルンや熱回収ボイラー等の各種燃焼設備で700〜800℃にて熱処理して得られる焼却残渣(焼却灰)を好適に用いることができる。製紙工程由来のスラッジから得られる焼却灰は、古紙リサイクル工程や製紙白水から排出された炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、カオリンのような無機顔料、無機凝集剤である硫酸アルミニウム、さらにインク成分や繊維の一部等を含んでなる。本発明において、製紙工程からのスラッジを原料として製紙用填料を製造すると、製紙工場からの廃棄物を削減しつつ、製紙原料として再利用することができ、また、輸送コストなどもかからないため極めて有利である。また、製紙スラッジの焼却灰は、その組成が比較的安定している点でも有利である。製紙スラッジの燃焼設備は特に限定されないが、ロータリーキルンやスラッジボイラーなどが挙げられる。
本発明の製紙スラッジとしては、例えば、古紙リサイクル工程(DIP工程)、パルプ製造工程、抄紙工程などからのスラッジなどを挙げることができる。製紙スラッジは、古紙リサイクル工程、パルプ製造工程、抄紙工程などから流失した排水中の固形分を主として構成され、例えば、古紙リサイクル工程からの製紙スラッジであれば、古紙懸濁液スラリーからパルプを取り出した後の廃液を脱水処理して得られるスラッジを挙げることができる。このような製紙スラッジには、カオリンクレーや炭酸カルシウムなどの無機填料および無機顔料に加え、繊維やインク粒子等が含まれる。
本発明において石炭焼却灰とは、燃焼設備で発生する石炭の燃えかすを指す。一般に、石炭灰の粒径はフライアッシュでほぼ100μm以下、ボトムアッシュではこれ以上から1mmの大きさのものが多いと言われるが、本発明ではいずれの大きさ、形状の石炭焼却灰を製紙用填料として用いてもよい。石炭焼却灰としては、例えば、電力業界などの微粉炭ボイラーから排出される石炭焼却灰や、製紙工場の石炭燃焼設備から得られる石炭焼却灰を本発明の製紙用填料の原料とすることができる。
本発明において紙を含む廃棄物とは、家庭・オフィス・製紙工程などで不要となったいわゆる紙くずや古紙などの紙から主に構成させる廃棄物に加えて、紙以外に種々の廃棄物が混入している廃棄物をも含む。例えば、樹脂フィルムなどでコーティングされている紙を原料としても、本発明によれば、ワイヤー摩耗性に優れた製紙用填料を得ることができる。
本発明においてバイオマスとは、生物由来の産業資源であり、例えば、廃棄物系バイオマスとしては、紙、家畜糞尿、食品廃棄物、木屑や木粉などの建設廃材、黒液、下水汚泥、生ゴミなど、未利用バイオマスとしては、稲わら、麦わら、籾殻などの農業廃棄物、間伐材・被害木などの林地残材、木材、資源作物、飼料作物などが挙げられる。
本発明において複合燃料とは、廃棄物固形燃料(RDF:Refuse Derived Fuel)などのように廃棄物などの材料を燃料化したものであり、燃焼によって主に熱エネルギーを得るために用いられ、廃棄物発電やボイラーなどの燃料として有効活用されている。例えば、RDFは、家庭などで捨てられる生ゴミやプラスチックゴミなどの廃棄物を固形燃料にしたものであり、本発明において好適に使用することができる。また、古紙及び廃プラスチック類を主とした廃棄物から得られるRPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)は、廃棄物の内容が明確であるため発熱量がコントロールが容易で含水量が少なく、また、ダイオキシンの発生原因とされたポリ塩化ビニル(PVC)を除外できるため、本発明において特に好適に使用することができる。
本発明の製紙用填料は、700〜800℃で熱処理した焼却灰に何らの処理も施さずそのまま製紙用填料として用いることももちろん可能であるが、焼却灰に粉砕処理を施して平均粒径を0.1〜10μmとして使用することが好ましい。一般に製紙用填料として使用される炭酸カルシウム、フィラーカオリン、タルク、含水珪酸(ホワイトカーボン)、二酸化チタン等は、製紙用填料として用いる場合、平均粒径を0.1〜30μmとすることが好ましいとされている。しかし、焼却灰は比較的硬度が高いために、単に前述の粒度範囲にある焼却灰を内添して紙を製造すると、主に抄紙機のワイヤーを大きく磨耗させてしまうためワイヤー寿命を短縮させ、生産性が著しく低下するという問題があった。本発明においては、焼却灰を粉砕して粒径を0.1〜10μmの範囲にすることにより、ワイヤー摩耗性が大きく改善される。この理由の詳細は明らかでなく、本発明は以下に拘束されるわけではないが、粉砕処理によって硬度の高い焼却灰が適度に粉砕されるとともに、填料粒子の重量が減少して粒子が抄紙機内を移動する際の運動エネルギーが減少するため、ワイヤー摩耗性が改善されるものと推測される。
本発明の製紙用填料は、填料歩留りとワイヤー摩耗性とのバランスを考慮すると、焼却灰の粉砕後の平均粒径を0.1〜10μmとすることが好ましく、0.5〜5.0μmがより好ましく、1.0〜4.0μmがさらに好ましく、1.0〜3.0μmが最も好ましい。平均粒径が0.1μmより小さいと、抄紙工程において紙中に留まりにくくなり焼却灰の紙中歩留が低くなるため、工業的に好ましくない。
本発明における焼却灰の粉砕処理は、種々の方法で行うことができ、粉砕機を用いて粉砕することが好ましく、その粉砕方法は乾式、湿式いずれも用いることができる。粉砕工程に用いる粉砕機としては、ボールミル、ロッドミル等の広義のボールミルや、ビーズミル、タワーミル、アトライター、セイトリーミル、サンドグラインダー、アニュラーミル等の媒体攪拌式粉砕機、コロイドミル、ホモミキサー、ホモジナイザー、インラインミル等の高速回転粉砕機の他に、ジェットミル、乾式ビーズミル、乾式ボールミルのような乾式の粉砕機でも良い。また、粉砕工程の前、後、または粉砕工程中に、粉砕の効率化や規格外製品の除去を目的として、篩等による分級工程を組み合わせることもできる。篩等による分級手段としては、振動篩、超音波篩、ジェットスクリーン、エアセパレータ、トロンメルスクリーン等が挙げられる。粉砕工程は複数の粉砕機を組み合わせて行ってもよい。この際使用する粉砕機は、前述の通り乾式でも湿式でもよく、乾式粉砕機と湿式粉砕機を組み合わせて使用することもできる。
本発明における焼却灰の粉砕を湿式で行う場合、湿式粉砕に先立って焼却灰をスラリー化する。スラリーの濃度は、湿式粉砕を行うことができる濃度であれば特に制限はないが、0.05〜50%が好ましく、1〜40%がより好ましい。0.05%未満では生成される粒子の量が少なくなり効率が悪く、50%を越えるとスラリーの流動性が悪化し粉砕工程の操業性が低下するおそれがある。スラリーを粉砕機に施用する前には、攪拌・分散処理を行って焼却灰粒子をスラリー中に均一に分散させることが望ましい。この攪拌・分散処理は、焼却灰が十分に分散し、極端に凝集していなければ問題はなく、時間や攪拌強度等の制限は特にない。撹拌機または分散機としては、例えばアジテータ、ホモミキサー、ホモジナイザー、ミキサー等をはじめとする、既知の攪拌機または分散機を問題なく使用できる。焼却灰スラリーの溶媒は水系溶媒であることが好ましい。
本発明において粉砕工程および/またはスラリー分散処理を行う際に、粘度の調整などを目的として粉砕助剤および/または分散剤を用いることもできる。乾式粉砕に使用する粉砕助剤の種類は特に限定されるものではなく、エタノールやイソプロピルアルコール等のアルコール類や、プロピレングリコール、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、水または水系助剤等既知の粉砕助剤であれば問題無く使用できる。また、湿式粉砕および/またはスラリー分散処理に使用する分散剤の種類も特に限定されるものではなく、アクリル酸やメタクリル酸、ポリアクリル酸、およびその誘導体や塩を構成成分とする水性高分子等、既知の分散剤であれば問題無く使用できる。粉砕助剤/分散剤の添加量は、粒径、粒度分布、スラリー濃度や粘度などに応じて適宜調節される。
本発明の製紙用填料は、そのpHを7〜10の範囲に調整することが好ましく、pH8〜10の範囲に調整することがより好ましい。焼却灰は一般的にpH11以上の高いアルカリ性を示すことがあり、このアルカリ分がそのまま抄紙機へ持ち込まれると、紙料に添加される種々の薬剤の効果を阻害する可能性があるため、本発明の焼却灰が高いアルカリ性を示す場合は、これに対してpH調整処理を行うことが望ましい。pHが10を超えていると、製紙用填料として内添した場合、紙料に添加される種々の薬剤の効果を阻害させるおそれがある。また、pHを7未満にするためには多量の酸性物質が必要となり、工業的に現実的ではないほか、酸性物質として硫酸または硫酸塩を用いた場合は、灰に含まれるカルシウム分と反応することにより硫酸カルシウムが生成され、抄紙機においてスケール発生の可能性を増大させるおそれもある。なお、本発明において製紙用填料のpHとは、製紙用填料を水中に分散させ、12固形分重量%程度のスラリーを調製した際の、スラリーのpHを指す。
本発明の製紙用填料のpHを調整する方法は、特に制限されないが、焼却灰に酸性物質を加える方法が簡便であり好ましい。添加する酸性物質としては、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸等の無機酸、クエン酸等の有機酸、二酸化炭素等の気体酸や、さらには硫酸アルミニウム(硫酸バンド)や硫酸マグネシウムのような酸性金属塩を含む酸を、単独あるいは組み合わせて使用できる。製紙工場における入手容易性、費用および作業性の面から、硫酸または硫酸アルミニウムを用いることが工業的に好ましい。
本発明においてpH調整を行う場合、pHを調整する工程は、粉砕工程の前、粉砕処理中、粉砕工程の後のいずれの段階で行ってもよく、また複数段に分けて行ってもよい。一方、焼却灰のpH調整を均一に行うためには、焼却灰を分散しスラリーとした後に、該スラリーに対して酸性物質を添加することが好ましい。酸性物質の添加に際しては、攪拌・分散処理を行って酸性物質をスラリー中に均一に分散させることが望ましい。この攪拌・分散処理は、酸性物質が十分に分散すれば問題はなく、時間や攪拌強度等の制限は特にない。撹拌機または分散機としては、例えばアジテータ、ホモミキサー、ホモジナイザー、ミキサー等をはじめとする、既知の攪拌機または分散機であれば問題なく使用できる。また、粉砕処理と同時に酸性物質の添加を行う場合は、粉砕処理により酸性物質がスラリー中に分散されると考えられるため、攪拌処理のみを行う工程を省略してもpHを十分に調整することができる。
本発明の焼却灰材料に対して、副生成分を取り除くこと等を目的として、濾過、水洗、再分散処理を施すこともできる。また、輸送等のために乾燥が必要な場合、加熱または減圧等により乾燥させることができる。本発明の製紙用填料は、乾燥後に再度分散処理を行ってスラリー化しても物性がほとんど変化しないため、乾燥処理を施すことができる。
本発明によって得られた焼却灰材料は、焼却灰をそのまま製紙用填料として使用する場合は、白色度は当然ながらその焼却灰と同等となる。また、焼却灰に粉砕処理を施して使用する場合も、製紙用填料の白色度は出発原料とした焼却灰とほぼ同等となり、平均粒径は0.1〜10μmが好ましい。原料として用いる焼却灰に熱処理を施す際の温度を700〜800℃に調整することにより、従来焼却灰を使用する上で避けがたい問題であった磨耗性を著しく良化させることができる。本発明の製紙用填料の白色度は、一般に製紙用填料として使用される炭酸カルシウム、フィラーカオリン、タルク、含水珪酸(ホワイトカーボン)、二酸化チタン等に比べて低いものの、ワイヤー摩耗度に優れるため低白色度グレードの紙には問題なく使用でき、また、高白色度グレードの紙であっても、添加率を調整したり、他の製紙用填料と組み合わせることにより使用することが可能となる。一般に、焼却灰の白色度を上げることは困難であり、莫大な費用や作業時間が必須となるが、本発明では白色度を調整する工程が必須ではないため、極めて経済的に、出発原料の白色度をほぼ維持した状態の焼却灰材料を製紙用填料として使用することができる。焼却灰の白色度は一般に60%以下であるため、特に白色度向上処理を行わない場合、本発明の製紙用填料の白色度は60%以下となる。一方、本発明の製紙用填料の白色度は、製紙用填料として実用的な水準を維持するため、10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。白色度が30〜60%であれば、紙の白色度をあまり低下させずに、廃棄物の有効利用を行いながら同時に所望の品質を達成できる。製紙用填料の白色度が30%に満たない場合、紙に内添した際に、紙の白色度を十全には維持できない場合がある可能性があるが、紙の不透明度を上げる効果は高くなり、要求品質によっては好適に利用できる場合がある。また、比較的白色度の低い石炭灰を利用することは、廃棄物のさらなる削減につなげる効果も期待できる。もちろん、製紙用填料としての付加価値を高めるため、公知の方法により本発明の製紙用填料に白色度を上げるための処理を施してもよい。
本発明によれば、廃棄物として処分されている焼却灰を再利用できるため、環境面への負荷を低減することができる。また、本発明は、焼却灰に対する処理が比較的シンプルで少ないため、エネルギーやコストの観点から有利であり、工業的に簡便に実施することができる。
コールドオフセット印刷用紙の製造
本発明の製紙用填料を用いてコールドオフセット印刷用紙を製造することができる。本発明の製紙用填料は、抄紙機のワイヤーを摩耗させにくいため、一般的な抄紙機を用いる抄紙に使用することができる。特に、新聞用紙を抄造するために用いられる抄紙機は、両面脱水機構を有しているギャップフォーマー、ハイブリッドフォーマー、オントップフォーマーなどが望ましいが、これに限定されるものではない。
本発明で製造されるコールドオフセット印刷用紙のパルプ原料としては、特に限定されるものではなく、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、脱墨パルプ(DIP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)など、一般的に抄紙原料として使用されているものであればよい。中でも、環境面から脱墨パルプの使用が多いほど望ましい。具体的には、全パルプ固形分に対し脱墨パルプを50重量%、好ましくは60重量%、さらに70重量%以上であることがより好ましい。もちろん、脱墨パルプを100重量%使用することが最も好ましい。
本発明の製紙用填料は、それ単独で用いることもでき、また、他の製紙用填料と併用することもできる。他の製紙用填料と併用する場合は、公知の填料を単独でまたは適宜2種類以上を組み合わせて使用することができ、例えば、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム−シリカ複合物、カオリン(フィラーカオリン、焼成カオリン等)、タルク、含水珪酸(ホワイトカーボン)、含水珪酸塩、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化亜鉛、酸化珪素、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛などの無機填料;塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、尿素/ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、スチレン/ブタジエン系共重合体系樹脂、フェノール樹脂、プラスチック中空粒子等の有機填料;または有機・無機複合填料などを使用することができる。
本発明は、高灰分のコールドオフセット印刷用紙に適し、紙中灰分としては紙の絶乾重量に対し13重量%を超える場合に効果が高い。好ましくは15重量%以上、より好ましくは17重量%以上である。紙中灰分(無機分)のほとんどは、紙の製造にあたり添加される填料に由来するものと、パルプ原料であるDIPによって持ち込まれるものである。本発明において、焼却灰を原料とする上記製紙用填料の使用割合は、添加填料の100重量%に対し0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%である。本発明の製紙用填料が多すぎると用紙の白色度への影響が大きくなる。
本発明の製紙用填料を用いて紙を製造する場合、各種製紙用薬品を使用することができる。具体的には、必要に応じて、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、澱粉系高分子(カチオン化澱粉、変性澱粉等)、尿素/ホルマリン樹脂、メラミン/ホルマリン樹脂等の紙力増強剤;アクリルアミド/アミノメチルアクリルアミド共重合物塩、澱粉系高分子(カチオン化澱粉、変性澱粉等)、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム共重合物等の濾水性向上剤または歩留向上剤;硫酸アルミニウム(硫酸バンド);耐水化剤;嵩高剤;紫外線防止剤;印刷適性向上剤;退色防止剤等の助剤を使用することができる。これらの助剤は、本発明の焼却灰填料のスラリーに予め添加してから抄紙機に施用してもよく、また、本発明の焼却灰填料のスラリーと別々に抄紙機に施用してもよい。
また、本発明では、表面強度を高める目的で、上記製紙用填料を含有する紙の上に水溶性高分子を主体とする表面処理剤をクリア塗工してもよい。水溶性高分子としては、澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン化澱粉、酵素変性澱粉、アルデヒド化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉などの変性澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコールなどの変性アルコール、スチレンブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミドなどから選ばれ、接着剤を含む水溶液、または水性ラテックスの状態で塗布される。表面処理剤には、サイズ性を高める目的で、スチレンアクリル酸、スチレンマレイン酸、オレフィン系化合物などの表面サイズ剤を含有することができる。また、本発明では、印刷適性を高める目的で、上記製紙用填料を含有する紙の上に、顔料と接着剤を主体とする塗工液を塗工して、顔料塗工層を設けてもよい。
本発明のコールドオフセット印刷用紙の物性は、各種用途に応じて設定すればよい。新聞用紙の場合、例えば、坪量は30〜60g/m、ベック平滑度は20〜150秒、動摩擦係数は0.3〜0.7程度である。
物性値
本発明における各特性値は、下記の測定方法により得られた値である。
(1)粒度分布測定(レーザー法):レーザー回折法により粒度分布を測定する。試料スラリーを、分散剤(ヘキサメタリン酸ソーダ)0.2重量%(対試料固形分)を添加した純水中に滴下混合して均一分散体とし、レーザー法粒度測定器(使用機器:マルバーン社製マスターサイザー)を使用して粒度測定する。
(2)ワイヤー磨耗度:リン青銅線円盤(以下ワイヤー)を用いてアインレーナー(Einlehner)AT1000磨耗試験機により、ワイヤー摩耗性を測定する。測定に用いるワイヤーは超音波浴中で5分間洗浄した後、イオン交換水で洗浄し、さらにアセトンにより洗浄を行った。これを105℃で1時間以上乾燥させ、デシケータ中で放冷した後、0.1mgの精度で重量を測定した。このワイヤーを試験円筒機の底に固定し、撹拌機を下ろしてワイヤーに接しさせた。イオン交換水で10%濃度としたスラリーを測定試料とし、試験円筒機に注入した。この状態で、撹拌機を174000回転させて、ワイヤーを摩耗させた。摩耗試験後のワイヤーを、再び超音波浴中で5分間洗浄した後、イオン交換水で洗浄し、さらにアセトンにより洗浄を行った。これを105℃で1時間以上乾燥させ、デシケータ中で放冷した後、0.1mgの精度で重量を測定した。摩耗試験前のワイヤー重量から摩耗試験後のワイヤー重量を差し引き、ワイヤー磨耗度(mg)とした。
(3)白色度:測定光が裏側に透けない程度の厚みを持つよう、試料をリング状の測定器具の中に入れ、約20kg/cmの圧力をかけてペレット状にした。このペレットについて、村上色彩技術研究所CMS−35SPXを用いて、D65光源、10度視野、紫外光を含む条件で白色度を測定した。
(4)X線回折:X線回折測定装置(X’Pert PRO:PANalytical製)により、試料の結晶組成を測定した。
(5)元素分析:蛍光X線測定装置(ED2000:Oxford Instruments製)により、試料の元素組成を測定した。
紙質評価
本発明におけるコールドオフセット印刷用紙の紙質は、下記に規定される方法に準じて測定した値である。
(1)坪量:ISO536
(2)紙中灰分:ISO1762
(3)白色度:ISO2470
(4)不透明度:ISO2471
印刷評価
本発明におけるコールドオフセット印刷用紙の印刷評価は、東芝オフセット輪転機にて、CTP出力版(KODAK社製ExThermoTP-Rポジサーマルプレート)を用いて、印刷速度900rpm、湿し水膜厚0.7μmで新聞用インキ(東洋インキ製バンテアンエコーHAS墨)を用いて、墨単色印刷を6万部行ったときの印刷作業性・印刷品質である。
(1)紙粉量の測定:6万部印刷した後のブランケット上に堆積している紙粉をかきとり、その重量を測定し、100cmあたりの重量で表した。
(2)刷版磨耗評価方法:印刷前および6万部印刷後の刷版の画線部(網点濃度100%)を反射型印刷濃度計(マクベス濃度計RD918)で測定し、印刷前後の濃度差を算出した。濃度差が大きいほど画線部の傷みが大きく、刷版の磨耗が進行していることを示す。
(3)インキ着肉性:インキ着肉性は6万部印刷時の墨ベタ面を目視にて評価した。
(4)裏抜け:裏抜けは6万部印刷時の墨ベタ面を裏面から目視して評価した。
以下、本発明の実施例を比較例と対比しつつ具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、説明中、「%」および「部」は特に断らない限り、「重量パーセント」および「重量部」を示す。また、材料添加率については、特に指定が無い場合、固形分の添加率を示す。
<製紙用填料の製造>
以下に示す方法により、焼却灰を原料として製紙用填料を製造した。原料としては、製紙工程由来のスラッジ(古紙リサイクル工程由来のスラッジ約80重量%、製紙白水由来のスラッジ約20重量%)または石炭を用いた。なお、焼却灰材料の物性評価(粒径、ワイヤー磨耗度、白色度)は前述した方法で実施した。
[製紙用填料A]
出発原料として、製紙工程由来のスラッジを用いた。このスラッジを、流動床炉を用い、酸素濃度7%、滞留時間2秒、770℃で焼却して、焼却灰300kgを得た。この焼却灰を測定したところ、平均粒径は230μm、白色度は51%だった。
上記焼却灰300kgに、水2200kgを添加し、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム(アロンT−40:東亜合成製)を焼却灰に対して固形分で1%添加し、アジテータにて攪拌を十分行って、固形分濃度12%の焼却灰スラリーを得た。
次に、このスラリーを用いて、サンドグラインダー(粉砕媒体:0.8mm径ガラスビーズ)にて粉砕処理を行った。粉砕処理は、スラリーをホールディングタンクと粉砕機の間を循環させて3時間30分間行い、最終的に平均粒径2.7μmの焼却灰材料を得た。粉砕工程を行いながら、pH調整を目的として徐々に硫酸を添加した。具体的には、97%硫酸をロータリーポンプによりホールディングタンクに添加し、97%硫酸の総添加量は24Lだった。硫酸は、1000rpmで回転しているアジテータの攪拌羽根直下に添加し、添加された硫酸が十分に分散されるようにした。pH調整後の焼却灰スラリーのpHは8.5だった。
200メッシュ篩(目開き:0.075mm)を用いて上記スラリーから粗粒分を除去した後、No.2の濾紙を用いて吸引濾過した。固相の一部を減圧乾燥させ、白色度測定用サンプルとした。また、濾過したケーキの一部を10%の濃度で水に再分散し、平均粒径、ワイヤー磨耗度測定用サンプルとした。さらに、濾過したケーキの残りを1%の濃度で水に再分散し、抄紙用サンプルとして使用した。また、上記製紙用填料のゲーレナイト含量は後述する比較例1のゲーレナイト含量に対して、X線回折のピーク面積から推定するところによれば、20%だった。
[製紙用填料B]
実施例1と同様にして、製紙工程からのスラッジから焼却灰を得た。この焼却灰300kg(平均粒径230μm、白色度51%)を、水2200kgに添加し、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム(アロンT−40:東亜合成製)を焼却灰に対して固形分で1%添加し、アジテータにて攪拌を十分行って、固形分濃度12%の焼却灰スラリーを得た。
次に、このスラリーを用いて、1段目の粉砕としてサンドグラインダー(粉砕媒体:0.8mm径ガラスビーズ)を用いて3時間20分間粉砕処理を行った。粉砕処理は、スラリーをホールディングタンクと粉砕機の間を循環させて行い、平均粒径2.9μmの焼却灰材料を得た。次いで、このスラリーを用いて、2段目の粉砕として横型ビーズミル(粉砕媒体:0.5mmジルコンビーズ)を用いて1時間30分粉砕処理を行った。粉砕処理は、スラリーをホールディングタンクと粉砕機の間を循環させて行い、最終的に平均粒径1.6μmの焼却灰材料を得た。1段目及び2段目の粉砕工程を行いながら、pH調整を目的として徐々に硫酸を添加した。具体的には、97%硫酸をロータリーポンプによりホールディングタンクに添加し、97%硫酸の総添加量は24Lだった。硫酸は、1000rpmで回転しているアジテータの攪拌羽根直下に添加し、添加された硫酸が十分に分散されるようにした。pH調整後の焼却灰スラリーのpHは8.5だった。
200メッシュ篩を用いて上記スラリーから粗粒分を除去した後、No.2の濾紙を用いて吸引濾過した。固相の一部を減圧乾燥させ、白色度測定用サンプルとした。また、濾過したケーキの一部を10%の濃度で水に再分散し、平均粒径、ワイヤー磨耗度測定用サンプルとした。さらに、濾過したケーキの残りは1%の濃度で水に再分散し、抄紙用サンプルとして填料として使用した。また、上記製紙用填料のゲーレナイト含量は後述する比較例1のゲーレナイト含量に対して、X線回折のピーク面積から推定するところによれば、20%だった。
[製紙用填料C]
粉砕時間を1時間45分とし、最終的に平均粒径7.8μmの焼却灰材料を得た以外は、実施例1と同様にして製紙用填料を製造および評価した。
[製紙用填料D]
出発原料として、実施例1と同じ製紙工程からのスラッジを用いた。このスラッジを、流動床炉を用い、酸素濃度7%、滞留時間2秒、730℃で焼却して、焼却灰300kgを得た。この焼却灰を測定したところ、平均粒径は205μm、白色度は53%だった。
上記焼却灰300kgに、水2200kgを添加し、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム(アロンT−40:東亜合成製)を焼却灰に対して固形分で1%添加し、アジテータにて攪拌を十分行って、固形分濃度12%の焼却灰スラリーを得た。
次に、このスラリーを用いて、サンドグラインダー(粉砕媒体:0.8mm径ガラスビーズ)にて粉砕処理を行った。粉砕処理は、スラリーをホールディングタンクと粉砕機の間を循環させて3時間30分間行い、最終的に平均粒径2.5μmの焼却灰材料を得た。粉砕工程を行いながら、pH調整を目的として徐々に硫酸を添加した。具体的には、97%硫酸をロータリーポンプによりホールディングタンクに添加し、97%硫酸の総添加量は24Lだった。硫酸は、1000rpmで回転しているアジテータの攪拌羽根直下に添加し、添加された硫酸が十分に分散されるようにした。pH調整後の焼却灰スラリーのpHは8.5だった。
200メッシュ篩を用いて上記スラリーから粗粒分を除去した後、No.2の濾紙を用いて吸引濾過した。固相の一部を減圧乾燥させ、白色度測定用サンプルとした。また、濾過したケーキの一部を10%の濃度で水に再分散し、平均粒径、ワイヤー磨耗度測定用サンプルとした。さらに、濾過したケーキの残りを1%の濃度で水に再分散し、抄紙用サンプルとして填料として使用した。また、上記製紙用填料のゲーレナイト含量は後述する比較例1のゲーレナイト含量に対して、X線回折のピーク面積から推定するところによれば、13%だった。
[製紙用填料E]
出発原料として、石炭を用いた。石炭を、バーナー炉を用い、酸素濃度4%、滞留時間2秒、750℃で焼却して、焼却灰300kgを得た。この焼却灰を測定したところ、平均粒径は145μm、白色度は21%だった。
上記焼却灰300kgに、水2200kgを添加し、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム(アロンT−40:東亜合成製)を焼却灰に対して固形分で1%添加し、アジテータにて攪拌を十分行って、固形分濃度12%の焼却灰スラリーを得た。
次に、このスラリーを用いて、サンドグラインダー(粉砕媒体:0.8mm径ガラスビーズ)にて粉砕処理を行った。粉砕処理は、スラリーをホールディングタンクと粉砕機の間を循環させて3時間10分間行い、最終的に平均粒径2.6μmの焼却灰材料を得た。粉砕工程を行いながら、pH調整を目的として徐々に硫酸を添加した。具体的には、97%硫酸をロータリーポンプによりホールディングタンクに添加し、97%硫酸の総添加量は24Lだった。硫酸は、1000rpmで回転しているアジテータの攪拌羽根直下に添加し、添加された硫酸が十分に分散されるようにした。pH調整後の焼却灰スラリーのpHは8.5だった。
200メッシュ篩を用いて上記スラリーから粗粒分を除去した後、No.2の濾紙を用いて吸引濾過した。固相の一部を減圧乾燥させ、白色度測定用サンプルとした。また、濾過したケーキの一部を10%の濃度で水に再分散し、平均粒径、ワイヤー磨耗度測定用サンプルとした。さらに、濾過したケーキの残りを1%の濃度で水に再分散し、抄紙用サンプルとして填料として使用した。また、上記製紙用填料のゲーレナイト含量は後述する比較例1のゲーレナイト含量に対して、X線回折のピーク面積から推定するところによれば、8%だった。
[製紙用填料F](比較例)
出発原料として、実施例1と同じ製紙工程由来のスラッジを用いた。このスラッジを、流動床炉を用い、酸素濃度7%、滞留時間2秒、860℃で焼却して、焼却灰300kgを得た。この焼却灰を測定したところ、平均粒径は220μm、白色度は48%だった。
上記焼却灰300kgに、水2200kgを添加し、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム(アロンT−40:東亜合成製)を焼却灰に対して固形分で1%添加し、アジテータにて攪拌を十分行って、固形分濃度12%の焼却灰スラリーを得た。
次に、このスラリーを用いて、サンドグラインダー(粉砕媒体:0.8mm径ガラスビーズ)にて粉砕処理を行った。粉砕処理は、スラリーをホールディングタンクと粉砕機の間を循環させて3時間30分間行い、最終的に平均粒径2.8μmの焼却灰材料を得た。粉砕工程を行いながら、pH調整を目的として徐々に硫酸を添加した。具体的には、97%硫酸をロータリーポンプによりホールディングタンクに添加し、97%硫酸の総添加量は24Lだった。硫酸は、1000rpmで回転しているアジテータの攪拌羽根直下に添加し、添加された硫酸が十分に分散されるようにした。pH調整後の焼却灰スラリーのpHは8.5だった。
200メッシュ篩を用いて上記スラリーから粗粒分を除去した後、No.2の濾紙を用いて吸引濾過した。固相の一部を減圧乾燥させ、白色度測定用サンプルとした。また、濾過したケーキの一部を10%の濃度で水に再分散し、平均粒径、ワイヤー磨耗度測定用サンプルとした。さらに、濾過したケーキの残りを1%の濃度で水に再分散し、抄紙用サンプルとして填料として使用した。
[製紙用填料G](比較例)
サンドグラインダーによる粉砕時間を2時間50分間に短縮し、最終的に平均粒径7.3μmの焼却灰材料を得た以外は、実施例2と同様にして製紙用填料を製造した。
Figure 0005346237
表1に、上記製紙用填料の諸性能を示す。製紙用填料F・G(比較例)と比較して、700〜800℃にて原料を焼却して得られた製紙用填料A〜Eは、ワイヤー磨耗度を大幅に改善できていた。特に製紙用填料Aと製紙用填料Fを比較すると、両者は燃焼原料が同じで、粉砕後の平均粒径も、製紙用填料Aでは2.7μm、製紙用填料Fでは2.8μmと約4%しか変わらないにもかかわらず、ワイヤー磨耗度に顕著な差が見られ、770℃で処理した製紙用填料Aと860℃で処理した製紙用填料F・Gとは約3.1倍の開きがあった。熱処理温度がおよそ800℃を境にしてこのようにワイヤー磨耗度に著しい差が生じることは、従来知られていなかった知見であり、本発明により見出された効果である。
白色度に関しては、粉砕処理の前後でほとんど変化が無かった。本発明では白色度を上げるための工程を含むことは必須ではなく、実際に製紙用填料A〜Eではそのような工程による処理を行っていない。ただし、製紙用填料としての付加価値を高めるため、公知の方法により本発明の製紙用填料に白色度を上げるための処理を施してもよい。
Figure 0005346237
また、得られた各種焼却灰材料の元素組成を蛍光X線にて分析した結果を表2に示す。製紙用填料A〜C、F、Gは同一の製紙工程由来スラッジを用いているため、元素組成も同一である。製紙用填料Dも製紙工程由来スラッジを用いており、製紙用填料A〜C、F、Gと類似した組成となっている。一方、製紙用填料Eは石炭焼却灰であるため、これらとは異なる元素組成となっている。
さらに、得られた各種焼却灰材料をX線回折により分析した結果を図1に示す。860℃で熱処理した製紙用填料F・Gと比較して、730〜770℃で熱処理した製紙用填料A〜Eでは、ゲーレナイト由来のピークが小さく、硬度の高いゲーレナイトの生成が抑制されていた。
本発明の焼却灰材料はワイヤー摩耗性に優れ、抄紙工程で内添した際に抄紙ワイヤーを傷つけにくいため、製紙用填料として特に好適である。
<製紙用填料を用いたコールドオフセット印刷用紙の製造>
以下の方法により、本発明の製紙用填料を内添してコールドオフセット印刷用紙を製造した。紙質評価(坪量、灰分、白色度、不透明度)、印刷評価(紙粉量、刷版摩耗性、インキ着肉性、裏抜け)は前述した方法で実施した。結果を表3に示す。
[実施例1]
製紙用原料パルプとして、新聞脱墨パルプ(ろ水度200ml、灰分10%、以下DIPと略す。)、サーモメカニカルパルプ(ろ水度100ml、以下TMPと略す。)、針葉樹クラフトパルプ(ろ水度520ml、以下NKPと略す。)を80:15:5の配合割合で混合したパルプスラリーに、パルプ絶乾重量当たり、硫酸バンドを2%、填料として軽質炭酸カルシウム(粒径2.1μm)を10%、製紙用填料Aを2%、歩留り向上剤を300ppmをそれぞれ添加し、ギャップフォーマー型抄紙機、抄速1200m/分で、坪量43g/mになるように中性抄紙し新聞用紙原紙を抄造した。さらにゲートロールコーターでヒドロキシエチル化澱粉、カチオン性表面サイズ剤(スチレン/アクリル酸エステル共重合体)をそれぞれ塗工量がフェルト面、ワイヤー面ともに0.3g/m、0.02g/mとなるように塗工し、新聞用紙を得た。
[実施例2]
製紙用填料Aの代わりに製紙用填料Bを添加した以外は実施例1と同様の方法で行なった。
[実施例3]
製紙用填料Aの代わりに製紙用填料Cを添加した以外は実施例1と同様の方法で行なった。
[実施例4]
製紙用填料Aの代わりに製紙用填料Dを添加した以外は実施例1と同様の方法で行なった。
[実施例5]
製紙用填料Aの代わりに製紙用填料Eを添加した以外は実施例1と同様の方法で行なった。
[比較例1]
製紙用填料Aを用いずに、軽質炭酸カルシウム(粒径2.1μm)をパルプ絶乾重量当たり12重量%添加した以外は実施例1と同様の方法で行なった。
[比較例2]
製紙用填料Aの代わりに製紙用填料Fを添加した以外は実施例1と同様の方法で行なった。
[比較例3]
製紙用填料Aの代わりに製紙用填料Gを添加した以外は実施例1と同様の方法で行なった。
[比較例4]
製紙用原料パルプとして、新聞脱墨パルプ(ろ水度200ml、灰分10%、以下DIPと略す。)、サーモメカニカルパルプ(ろ水度100ml、以下TMPと略す。)、針葉樹クラフトパルプ(ろ水度520ml、以下NKPと略す。)を80:15:5の配合割合で混合したパルプスラリーに、パルプ絶乾重量当たり、硫酸バンドを2%、填料として軽質炭酸カルシウム(粒径2.1μm)を6%、製紙用填料Bを2%、歩留り向上剤を200ppmそれぞれ添加し、ギャップフォーマー型抄紙機、抄速1200m/分で、坪量43g/mになるように中性抄紙し新聞用紙原紙を抄造した。さらにゲートロールコーターでヒドロキシエチル化澱粉、カチオン性表面サイズ剤(アクリル酸エステル系)をそれぞれ塗工量がフェルト面、ワイヤー面ともに0.3g/m、0.02g/mとなるように塗工し、新聞用紙を得た。
Figure 0005346237
表3に、上記製紙用填料の製造例A〜Gで得られた製紙用填料の諸性能と、実施例1〜6、比較例1〜4によって得られた新聞用紙の紙質・印刷評価の結果を示す。これらの結果から、次のことがいえる。
(1)製紙用填料A〜Eは、製紙用填料F、Gと比較して、700〜800℃にて原料を焼却して得られており、それによってワイヤー磨耗度を大幅に改善できていた。特に製紙用填料AとFとを比較すると、両者は燃焼原料が同じで、粉砕後の平均粒径も、製紙用填料Aでは2.7μm、製紙用填料Fでは2.8μmと約4%しか変わらないにもかかわらず、ワイヤー磨耗度に顕著な差が見られ、770℃で処理した製紙用填料Aと860℃で処理した製紙用填料Fとは約3.1倍の開きがあった。このことから、熱処理温度がおよそ800℃を境にしてこのようにワイヤー磨耗度に著しい差が生じることがわかる。
(2)製紙用填料の白色度に関しては、製紙用填料A〜Eでは白色度を上げるための特別な工程による処理を行っていないが、問題はなかった。
(3)得られた製紙用填料をX線回折により分析したところ、860℃で熱処理した製紙用填料F、Gと比較して、730〜770℃で熱処理した製紙用填料A〜Fでは、ゲーレナイト由来のピークが小さく、ゲーレナイトの生成が抑制されていた(図1)。
(4)本発明の製紙用填料A〜Eを使用した場合(実施例1〜5)、焼却灰から得られる製紙用填料を使用しなかった場合(比較例1)と同様に、新聞用紙を問題なく製造することができた。填料の全量に炭酸カルシウムを使用している比較例1に比べ、その一部を焼却灰から得られる製紙用填料で置き換えた実施例1〜5でも、白色度、不透明度とも特に低くなることはなく、新聞用紙としての品質が維持されているといえる。
(5)6万部印刷したとき、実施例1〜5と860℃で熱処理した製紙用填料F、Gを使用した場合(比較例2、3)とを比べると、比較例2、3では紙粉量、刷版の磨耗が著しく悪化し、インキ着肉性も劣っていた。
(6)実施例1と比較例2の印刷評価結果を比べると、両者の製紙用填料は出発原料が同じで、粉砕後の平均粒径も実施例1では2.7μm、比較例1では2.8μmとほぼ同じであるのに対して、紙粉量、刷版の摩耗性、インキ着肉性に大きな差が見られた。但し、860℃で熱処理した製紙用填料であっても、紙中灰分が13%である場合(比較例4)には、紙粉量、刷版の磨耗にそれほど大きな問題はなかった。このことから、13%を超える高灰分の紙では、熱処理温度がおよそ770℃を境にして、紙粉量、刷版の磨耗、インキ着肉性が著しく変化することがわかる。

Claims (3)

  1. 製紙スラッジ、石炭、紙を含む廃棄物、バイオマス、複合燃料からなる群より選択される1種以上を含んでなる原料を温度700〜800℃にて焼却して焼却灰を得る工程と、焼却灰を分散してスラリー化する工程と、その焼却灰スラリーに硫酸および/または硫酸塩を添加してpHを7〜10に調整しながら湿式粉砕処理を行って平均粒径を0.1〜10μmとする工程と、を含む方法によって得られる白色度が10%〜60%である製紙用填料を含有し、紙中灰分が13重量%を超えるコールドオフセット印刷用紙。
  2. 前記焼却灰が、製紙スラッジ焼却灰および/または石炭焼却灰である、請求項1に記載のコールドオフセット印刷用紙。
  3. 前記焼却灰スラリーの固形分濃度が1〜50%である、請求項1または2に記載のコールドオフセット印刷用紙。
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