次に、本願発明の実施の形態を説明する。
本願発明の壁紙用裏打ち紙は、パルプと填料を主原料とし適宜必要な薬品を添加したスラリーを通常の長網、円網、短網、傾斜等のワイヤーパートからなる抄紙機で製造でき、抄紙機は特に限定されるものではない。また、乾燥工程はヤンキードライヤーを用いることで、多筒ドライヤーによる乾燥方式よりも、湿紙に対しテンションをさほど掛けることなく乾燥処理を行えるため、寸法安定性に優れる壁紙用裏打ち紙を得ることができ好ましい。ヤンキードライヤーによる乾燥方式は一般の多筒式ドライヤーによる乾燥方式とは異なり、湿紙をシリンダー表面に貼り付けて乾燥させるため、乾燥時に紙の収縮を少なくすることができ、壁紙用裏打ち紙として用い、壁へ貼合時に水系の糊を塗布した場合の紙の伸びが少なく、寸法安定性に優れ、特に壁紙用裏打ち紙に適した紙を得ることができる。補助的に、通常の多筒ドライヤー等を併用することも可能である。
本願発明で用いる機械パルプとしては、GP(グランドウッドパルプ)、PGW(プレッシャライズグランドウッドパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)などが使用でき、上記機械パルプは、用途によって漂白の施されていない未漂白パルプでも良いし、漂白処理がなされている、例えばBCTMP等も好適に使用することができる。
また、その他のパルプとしては、クラフトパルプ、セミケミカルパルプなどが使用できる。
パルプを得る原料としては、針葉樹や広葉樹などの木材原料のほか、じん皮、麻、ケナフなどの非木材原料も用いることができる。
さらには、機械パルプを含む/または含まない古紙由来の再生パルプを使用することもできる。
また、JIS−P8220に準処して離解された壁紙用裏打ち紙の離解パルプの数平均繊維長を0.8〜2.0mmとする、抄紙機ワイヤーパートでの初期脱水を増やす、針葉樹パルプを増やす等の方法により、繊維間の歪を低減でき高い寸法安定性を得ることができる。
機械パルプの配合率は、所望の隠蔽性を得る上で、全パルプ中1〜65質量%含有させる。さらには、リフォーム時の壁紙用裏打ち紙の再剥離性、塗工した樹脂のブリスターの発生を防止する点等から、20〜50質量%含有させることが好ましく、30〜50質量%含有させることがより好ましい。
機械パルプが1質量%未満では、壁紙用裏打ち紙の不透明性が低下し、壁材の壁紙表面への写りの問題や、壁紙用裏打ち紙の層間強度(インターナルボンド)が高くなり、再剥離時に樹脂層や石膏ボード表層紙を毀損する問題が生じる。
一般的な印刷用紙や板紙等の用紙においては、層間強度の高いことが要求されるが、本願発明における壁紙用裏打ち紙においては、層間強度が高いと、壁に貼合後、リフォーム時の剥離作業効率が低下するのである。すなわち、本願発明品の用途においては、リフォーム時に壁紙を剥がす際には裏打ち紙の層間で容易に剥れるように層間強度を一定範囲に調整する必要があるのである。裏打ち紙において層間強度が高い場合には、リフォーム時に壁紙を剥がす際に強い力を要するばかりでなく、剥がした際に裏打ち紙の一部は壁紙側に、一部は壁側に残り、壁面に凹凸が生じたり、樹脂層のみが剥離するため、次に貼合する壁紙を綺麗に貼ることができなくなるのである。
一方、機械パルプの含有率が65質量%を超えると層間強度が低くなり過ぎ、不本意な剥離を生じるおそれがある。また、層間強度を調整するために、過剰に紙力増強剤を添加するなどの強度補助剤が必要となり、コストアップとなるだけでなく、機械パルプに含まれる樹脂分(リグニン)によって系内の汚れを生じ易く、操業性の低下を招くこととなる。
また、引張強度の低下を招き問題の生じるおそれがある。すなわち、建物の吹き抜けなどに壁紙を貼る場合には長さ4〜5mの壁紙を用いることとなるが、わずかな外力と壁紙の自重により、壁紙が破れるおそれがある。
本願発明の壁紙用裏打ち紙は、機械パルプを1〜65質量%含有させることで所望の隠蔽性を得ながら、さらに、リフォーム時の壁紙剥離性に優れる層間強度(インターナルボンド)を70〜120mJの範囲に調整することが容易になり、更に好ましくは、層間強度を90〜110mJとすることが作業性の面でより好適である。
本願発明で得られる壁紙用裏打ち紙の好適な坪量は40〜150g/m2である。坪量が40g/m2未満であると、壁紙として必要な剛性、強度、隠蔽性などを得ることが難しく、坪量が150g/m2を超えると、剛性、強度、隠蔽性には優れるものの、反面、壁紙の重量が大きくなり、壁や天井に壁紙を貼合する作業者に過度の負担作業をしいることになる。また、剛性が高くなりすぎるため、部屋のコーナー部分などに壁紙を貼る際の貼合適性が低下する。
本願発明においては、壁紙用裏打ち紙の填料として再生粒子凝集体を用いる。本願発明に用いる再生粒子凝集体を得るための、原料から再生凝集体の製造方法について、以下に詳述する。
〔原料〕 古紙パルプ製造工程では、安定した品質の古紙パルプを連続的に生産する目的から、使用する古紙の選定、選別を行い、一定品質の古紙を使用する。
そのため、古紙パルプ製造工程に持ち込まれる無機物の種類やその比率、量が基本的に一定になる。しかも、再生粒子凝集体の製造方法において未燃物の変動要因となるビニールやフィルムなどのプラスチック類が古紙中に含まれていた場合においても、これらの異物は脱墨フロスを得る脱墨工程に至る前段階で除去することができる。従って、脱墨フロスは、工場排水工程や製紙原料調整工程等、他の工程で発生する製紙スラッジと比べ、極めて安定した品質の再生粒子凝集体を製造するための原料となる。
本願発明で云う脱墨フロスとは、古紙パルプを製造する古紙処理工程において、主に、古紙に付着したインクを取り除く脱墨工程で、パルプ繊維から分離されるものをいう。
〔脱水工程〕 脱墨フロスの更なる脱水は、公知の脱水手段を適宜に使用できる。本実施形態における一例では、脱墨フロスは、脱水手段たる例えばスクリーンによって、脱墨フロスから水を分離して脱水する。スクリーンにおいて、水分を90%〜97%に脱水した脱墨フロスは、例えばスクリュープレスに送り、更に水分を50%以下に脱水することが好適である。
水分率が50%を超えると、第1燃焼炉における乾燥・燃焼処理温度の低下を招き、加熱のためのエネルギーロスが多大になるとともに、原料の燃焼ムラが生じやすくなり均一な燃焼を進めがたくなる。さらに、排出される排ガス中の水分が多くなり、ダイオキシン対策における再燃焼処理効率の低下と、排ガス処理設備の負荷が大きくなる問題を有する。また、原料の水分率を低くすることで、均一な燃焼を進め易くなるものの、原料の水分率を25%未満まで脱水を行うことは、脱水設備が大型化すると共に、脱水処理エネルギーが多大になる問題を有する。
以上のように、脱墨フロスの脱水を多段工程で行い急激な脱水を避けると、無機物の流出が抑制でき脱墨フロスのフロックが硬くなりすぎるおそれがない。脱水処理においては、脱墨フロスを凝集させる凝集剤等の脱水効率を向上させる助剤を添加しても良いが、凝集剤には、鉄分を含まないものを使用することが好ましい。鉄分が含有されると、鉄分の酸化により再生粒子凝集体の白色度を下げる問題を引き起こす。
脱墨フロスの脱水工程は、本願発明で使用する再生粒子凝集体の製造工程に隣接することが生産効率の面で好ましいが、予め古紙パルプ製造工程に隣接して設備を設け、脱水を行った物を搬送することも可能であり、トラックやベルトコンベア等の搬送手段によって定量供給機まで搬送し、この定量供給機から乾燥・燃焼工程に供給する。
かかる脱水後の原料は、第1燃焼炉に供給する操作において、望ましくは、粉砕機(又は解砕機)により平均粒子径40mm以下の粒子径に揃えることが好ましく、より好ましくは平均粒子径が3〜30mm、更に好ましくは平均粒子径が5〜25mmの範囲に成るように調整することが好ましく、好適には粒子径が50mm以下の割合が、70重量%以上に成るように粉砕しておく事がより好ましい。脱墨フロス中に含まれる炭酸カルシウムの熱変化を来たさない燃焼処理を図るため、原料の粒子径は均一であることが好ましいところ、平均粒子径が3mm未満では過燃焼になりやすく、40mmを超える平均粒子径では、原料芯部まで均一に燃焼を図る事が困難な問題を有するためである。
本願発明における平均粒子径と粒子径の割合は、攪拌式の分散機で充分分散させた試料溶液を用いて測定した。
各燃焼行程における粒子径は、JIS Z 8801−2:2000に基づき、金属製の板ふるいにて測定した。
〔第1燃焼工程〕(乾燥、燃焼工程) かかる原料が貯槽から切り出されて、第1燃焼炉に供給される。第1燃焼炉は本体が横置きで中心軸周りに回転する内熱キルン炉方式が好適であり、内熱キルン炉の一方側から装入機により装入される。内熱キルン炉加熱手段は、熱風発生炉にて生成された熱風を内熱キルン炉の排出口側から、脱水物の流れと向流する様に送り込まれる。内熱キルン炉の一方側には、排ガスチャンバーが、他方側には排出チャンバーが設けられている。排出チャンバーを貫通して、熱風が内熱キルン炉の他方側から吹き込まれ、前記一方側から装入され、内熱キルン炉の回転に伴って前記他方側に順次移送される原料の乾燥及び燃焼を行うようになっている。
すなわち、本乾燥・燃焼工程は、脱水物を、本体が横置きで中心軸周りに回転する、内熱キルン炉という有形的な手段によって、乾燥・燃焼することにより、供給口から排出口に至るまで、緩やかに乾燥と有機分の燃焼が行え、燃焼物の微粉化が抑制され、硬い・柔らかい等さまざまな性質を有する脱水物の燃焼度合いの制御と粒揃えを安定的に行うことができる。また、乾燥を別工程に分割し吹き上げ式の乾燥機を入れることも出来る。
ここで、内熱キルン炉内に吹き込む熱風は、酸素濃度が0.2〜20%が好ましく、より好ましくは1〜15%、最も好ましくは5〜12%となるようにするのが望ましい。
酸素濃度は、原料の燃焼(酸化)により消費されるため、燃焼の状況により酸素濃度に変動を生じる。酸素濃度が0.2%未満では、十分な燃焼を図る事が困難である。燃焼炉内の酸素は、原料の燃焼等によって消費され酸素濃度が低下するが、燃焼させるための熱風発生装置等により、空気などの酸素含有ガスを送風し、あるいは排気することで、酸素濃度を維持、調節可能であり、さらに酸素含有ガスを送風し、あるいは排気することで、燃焼炉内の温度を細かく調節可能になり、原料をムラなく万遍に燃焼することができる。
第1燃焼炉の温度としては、500℃〜650℃、より好ましくは510℃〜620℃、特に好ましくは、530℃〜600℃が望ましい。第1燃焼炉においては、容易に燃焼可能な有機物を緩やかに燃焼させ、燃焼温度500℃〜650℃の温度範囲で燃焼する事が好ましく、500℃未満では有機物の燃焼が不十分であり、650℃を超えると過燃焼が生じ、炭酸カルシウムの分解による酸化カルシウムが生成し易くなる。更に、熱風の温度が650℃を超える場合は、硬い・柔らかい等さまざまな性質を有する燃焼物の粒揃えが進行するよりも早く乾燥・燃焼が局部的に進むため、粒子表面と内部の未燃率の差を少なく均一にすることが困難になる。
熱風は、バーナーを備える熱風発生炉から吹き込まれる。
排ガスチャンバーからは、乾燥・燃焼に供した排ガスが再燃焼室に送り込まれる。微粉末は、排ガスチャンバーの下部から排出され、再び原料に配合され再利用される。
排ガスは、再燃焼室でバーナーにより再燃焼が行われ、予冷器により予冷された後、熱交換器を通し、誘引ファンにより煙突から排出される。ここで、熱交換器は外気を昇温した後に、熱風発生炉に送られ、内熱キルン炉から吹き込まれる熱風の用に供せられ、排ガスチャンバー16からの排ガスの熱を回収するようにしてある。
第1燃焼炉は、脱墨フロス中に含有される燃焼容易な有機物を緩慢に燃焼させ、残カーボンの生成を抑制するため、好適には前記条件で30分から90分の滞留時間で燃焼させることが好ましい。より好ましくは、40分から80分が有機物の燃焼と生産効率の面で好ましい。最も好ましくは、50分から70分の範囲が恒常的な品質を確保するために好ましい。燃焼時間が30分未満では、十分な燃焼が行われず残カーボンの割合が多くなる。燃焼時間が90分を超えると、原料の過燃焼による炭酸カルシウムの熱分解が生じ、得られる再生粒子凝集体が極めて硬くなる。
特に、次工程の第2燃焼工程内に供給する燃焼物の未燃率を、2〜20質量%に乾燥・燃焼することが好ましく、より好ましくは未燃率を、2〜15質量%、特に好ましくは未燃率を、2〜10質量%にすることが望ましい。
未燃率を、2〜20質量%にすることで、第2燃焼工程での燃焼を短時間に効率よく行うことができるとともに、外熱炉における安定した加熱により、硬度が低く白色度が80%以上、少なくとも70%以上の高白色度の燃焼物を得ることができる。未燃物が2質量%未満では、先の第1燃焼炉におけるエネルギーコストが高いものとなるとともに、燃焼物の硬度が比較的高くなっている場合があり、第2燃焼炉出口における白色度の低下等の品質低下を来たす場合がある。
〔第2燃焼工程〕 内熱キルン炉において乾燥及び燃焼処理を経た燃焼物は、移送流路を通して、本体が横置きで中心軸周りに回転する外熱ジャケットを有する第2燃焼炉にあたる外熱キルン炉に装入される。
この燃焼炉では、燃焼物を、外熱で加温しながらキルン炉内壁の回転による摩擦によって緩やかに攪拌させることで粒子の微細化を抑制し、また、更に均一に、硬質物質の生成を抑制しながら未燃分を燃焼する。
第2燃焼炉における燃焼においては、第1燃焼炉で燃焼しきれなかった残留有機物、例えば残カーボンを燃焼させるため、第1燃焼炉において供給される原料の粒子径よりも小さい粒子径に調整された燃焼物を用いることが好ましい。乾燥・燃焼工程後の燃焼物の粒揃えは、平均粒子径が2〜30mmとなるように調整するのが好ましく、更に好適には平均粒子径2〜18mmとなるように燃焼凝集させる調整がより好ましく、平均粒子径を3〜15mmとなるように燃焼凝集させるのが特に好ましい。
第2燃焼炉入り口での平均粒子径が2mm未満では、過燃焼の危惧があり、平均粒子径が30mmを超える粒子径では、残カーボンの燃焼が困難であり、芯部まで燃焼が進まず得られる再生粒子凝集体の白色度が低下する問題を引き起こす。第2燃焼炉での安定生産を確保するためには、粒子径が1〜30mmの燃焼物が70%以上に成るように粒子径を調整することが好ましい。従って、得られる再生粒子凝集体の品質を均一にするという観点における実用化可能性に、有益である。更に、本形態のように、分級を乾燥後とすると、小径な粒子の燃焼物を確実に除去することができ、また、処理効率も向上する。
外熱キルン炉での外熱源としては、外熱キルン炉内の温度コントロールが容易で長手方向の温度制御が容易な電気加熱方式の電気キルン炉が好適であり、原料中に含有する有機物の過燃焼、再生粒子構成物質の溶融による硬質物質の生成を抑制することができる。したがって、電気ヒータによる外熱キルン炉であることが最も望ましい。
外熱に電気を使用することにより、温度の調整を細かくかつ内部の温度を均一にコントロール可能になり、硬い・柔らかい等さまざまな性質を有する脱水物の燃焼度合いの制御と粒揃えを安定的に行うことができる。
さらに電気キルン炉は、電気ヒーターを炉の流れ方向に複数設けることで、任意に温度勾配を設ける事が可能であると共に、燃焼物の温度を一定時間、一定温度保持することが可能であり、第1燃焼炉を経た燃焼物中の残留有機分、特に残カーボンを第2燃焼炉で炭酸カルシウムの分解を来たすことなく未燃分を限りなくゼロに近づけることができ、低いワイヤー摩耗度で、高白色度の再生粒子凝集体を得ることができる。
外熱キルン炉においては、酸素濃度が5〜21%、より好ましくは10〜21%、最も好ましくは、15〜21%となるようにするのが望ましい。
外熱キルン炉内の酸素濃度が、5%未満では、燃焼困難な残カーボンの燃焼が進まない問題を生じる。
温度としては、550℃〜750℃、より好ましくは600℃〜725℃、特に好ましくは650〜710℃が望ましい。
第2燃焼炉は先に述べたように、第1燃焼炉で燃焼しきれなかった残留有機物、特に残カーボンを燃焼させる必要があるため、第1燃焼炉よりも高温で燃焼させることが好ましく、燃焼温度が550℃未満では、十分に残留有機物の燃焼を図ることが困難であり、燃焼温度が750℃を超える場合は、燃焼物中の炭酸カルシウムの酸化が進行し、粒子が硬くなる問題が生じる。
また、滞留時間は10〜60分、より好ましくは15〜45分、特に好ましくは20〜40分が望ましい。特に残カーボンの燃焼は炭酸カルシウムの分解を出来る限り生じさせない高温で、緩慢に燃焼させる必要があり、滞留時間が10分未満では、残カーボンの燃焼には短時間で不十分であり、60分を超えると、炭酸カルシウムが分解する問題が生じる。
更に、燃焼物の安定生産を行うにおいて滞留時間を10分以上、過燃焼の防止、生産性の確保のため60分以下で燃焼させることが好適である。
この外熱キルン炉32から排出される燃焼物の粒子径としては、20mm以下、より望ましくは平均粒子径が5〜18mm以下、最も好ましくは平均粒子径が8〜15mmに調整することが好適であり、20mm以下の粒子径の割合を65%以上にすることが、後工手である粉砕工程の不可低減に効果的である。
燃焼が終了した再生粒子凝集体は、冷却機により冷却された後、振動篩機などの粒径選別機により目的の粒子径のものが燃焼品サイロに一時貯留され、顔料や填料の用途先に仕向けられる。
なお、脱墨フロスを原料として用いた場合を例示したが、脱墨フロスを主原料に、抄紙工程における製紙スラッジ等の他製紙スラッジを適宜混入させたものの燃焼品であってもよい。
〔粉砕工程〕 前記焼成後の粒子は、粉砕工程にて適宜必要な粒子径に微細粒化することで、填料として使用可能な再生粒子凝集体とすることができる。
例えば、焼成して得られた粒子を、ジェットミルや高速回転式ミル等の乾式粉砕機、又はアトライター、サンドグラインダー、ボールミル等の湿式粉砕機を用いて粉砕し、目的とする再生粒子凝集体とすることができる。該再生粒子凝集体を内添用に填料として用いる場合には、コールターカウンター法による平均粒子径を0.1〜10μmに調整することが好ましい。
〔付帯工程〕 再生粒子凝集体について、さらなる品質の安定化を求める場合には、再生粒子凝集体の粒度を各工程で均一に揃えるための分級を行うことが好ましく、粗大粒子や微小粒子を前工程にフィードバックすることが望ましい。
また、乾燥工程の前段階において、脱水処理を行った脱墨フロスを造粒することが好ましく、さらには造粒物の粒度を均一に揃えるための分級を行うことがより好ましく、粗大造粒粒子や微小造粒粒子を前工程にフィードバックすることで、より品質の安定化を図ることができる。なお造粒には、公知の造粒設備を使用することができ、例えば回転式、攪拌式、押出式等の設備が好適である。
さらに、再生粒子凝集体以外の異物を除去することが好ましく、例えば古紙パルプの製造工程において、脱墨工程の前段階のパルパーやスクリーン、クリーナー等で、砂、プラスチック異物、金属等を除去することが、除去効率の面で好ましい。特に鉄分は、酸化することによって再生粒子凝集体の白色度を低下させる恐れがあるので、鉄分の混入を避け、選択的に取り除くことが好ましい。各工程における設備を鉄以外の素材で設計又はライニングし、磨滅等により鉄分が系内に混入することを防止すると共に、乾燥・分級設備内等に磁石等の高磁性体を設置し選択的に鉄分を除去することが好ましい。
なお、前記乾燥工程や焼成工程、及び必要に応じて分級工程において、粉砕工程前にあらかじめ、粒子径が40μm以下の粒子が90質量%以上となるように処理しておくことが好ましい。これにより、通常行われている乾式粉砕による粗大粒子の粉砕及び湿式粉砕による微粒子化といった複数段の粉砕処理を行うことなく、湿式粉砕による一段粉砕処理も可能となる。またこれにより、コールターカウンター法による粒度分布の微分曲線における平均粒子径のピーク高さを30%以上とすることができる。さらには主原料である脱墨フロス中のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、あらかじめ、例えば後述する質量割合に調整することで、再生粒子凝集体の細孔容積を0.15〜0.60mL/g、細孔表面積を10〜25m2/g、細孔半径を30〜100nmとすることもできる。
このように、古紙パルプの製造工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、該主原料を脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程に供することにより再生粒子凝集体が得られるが、本願発明においては、該再生粒子凝集体として、前記のごとき工程を経て得られた粒子の表面をさらにシリカで被覆した、シリカ被覆再生粒子凝集体を特に好適に用いることができる。
前記再生粒子凝集体の表面にさらにシリカを析出させ、シリカ被覆再生粒子凝集体とすることで、循環使用における古紙処理工程において、水酸化ナトリウムと反応させて、緩衝剤や漂白助剤として製紙用原料、無機粒子の循環使用に寄与させることができる。
なお、本願発明に用いられる、古紙処理工程から排出される脱墨フロスは、近年の中性抄紙化に伴い、炭酸カルシウムの含有量が増加傾向にあり、得られる再生粒子凝集体中のカルシウムの割合も高くなる傾向がある。このようにカルシウムの割合が高い再生粒子凝集体をパルプに内添すると、紙の不透明度がやや低下する場合があるが、表面にシリカを析出させたシリカ被覆再生粒子凝集体は、製紙用途の再生粒子凝集体としての機能が非常に高く、該シリカ被覆再生粒子凝集体をパルプに内添して得られる壁紙用裏打ち紙の不透明度は向上する。
再生粒子凝集体の表面を被覆するシリカについては、天然に産出するシリカではなく、何らかの化学反応による合成シリカであれば特に制限なく使用することが可能である。具体的には、例えばコロイダルシリカ、シリカゲル、無水シリカ等があげられる。これらの合成シリカは、高比表面積、ガス吸着能の高さ、微細性、細孔への浸透力や吸着力の大きさ、付着性の高さ、高吸油性等の優れた特性を活かして、幅広い分野で利用されているものである。これらのうち、コロイダルシリカは、ケイ酸化合物から不純分を除去して無水ケイ酸ゾルとし、pH及び濃度を調整してゾルを安定化させた、球状、連鎖状、不定形等の形状を有する非晶質シリカである。シリカゲルは、ケイ酸ナトリウムを無機酸で分解することによって得られる含水ケイ酸である。また無水シリカは、四塩化ケイ素の加水分解によって得られるものである。
再生粒子凝集体の表面にシリカを析出させ、シリカ被覆再生粒子凝集体を得る方法には特に限定がないが、例えば以下の方法を好適に採用することができる。まず、再生粒子凝集体をケイ酸アルカリ溶液に添加、分散させ、スラリーを調製した後に加熱攪拌しながら、液温を70〜100℃程度に保持して酸を添加し、シリカゾルを生成させる。次いで最終反応液のpHを8〜11の範囲に調整することにより、再生粒子凝集体の表面にシリカを析出させることができる。このようにして再生粒子凝集体の表面に析出されるシリカは、ケイ酸アルカリ(例えばケイ酸ナトリウム:水ガラス)を原料として、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸の希釈液と高温下で反応し、加水分解反応とケイ酸の重合化により得られる、粒子径が10〜20nm程度のシリカゾル粒子である。
また、ケイ酸ナトリウム溶液等のケイ酸アルカリ溶液に希硫酸等の酸を添加することによって生成する、粒子径が数nm程度のシリカゾル微粒子を、再生粒子凝集体の多孔性を有する表面全体を被覆するように付着させ、このシリカゾル微粒子の結晶成長に伴う、無機微粒子表面上のシリカゾル微粒子と再生粒子凝集体に包含されるケイ素やカルシウム、アルミニウムとの間で生じる結合により、再生粒子凝集体の表面にシリカを析出させることもできる。この場合、ケイ酸アルカリ溶液に酸を添加する際のpHは、中性〜弱アルカリ性の範囲とし、好ましくはpHを8〜11の範囲に調整する。これは、pHが7未満の酸性条件になるまで酸を添加してしまうと、シリカゾル粒子ではなくホワイトカーボンが生成する恐れが生じるからである。
なお、前記ケイ酸アルカリ溶液の種類には特に限定がないが、入手が容易である点からケイ酸ナトリウム溶液(3号水ガラス)が特に望ましい。このケイ酸アルカリ溶液の濃度としては、再生粒子凝集体中のシリカ成分が低下し、再生粒子凝集体の表面にシリカが析出し難くならないようにするには、溶液中のケイ酸分(SiO2換算)が3質量%以上であることが好ましく、再生粒子凝集体の表面に析出されるシリカが、シリカゾルの形態からホワイトカーボンになり、再生粒子凝集体の多孔性が阻害され、不透明度の向上効果が不充分になる恐れをなくすには、該ケイ酸分(SiO2換算)が10質量%以下であることが好ましい。
かくして得られる再生粒子凝集体は、その粒子構成成分として、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを含有しており、粒子中でこれらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムが複合体を形成している。再生粒子凝集体中のこれらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの質量割合(カルシウム:ケイ素:アルミニウム)は、X線マイクロアナライザー(型番:E−MAX・S−2150、(株)日立製作所/(株)堀場製作所製)を用いた元素分析にて、酸化物換算で、30〜82:9〜35:9〜35、好ましくは40〜82:9〜30:9〜30、特に好ましくは60〜82:9〜20:9〜20である。なお、特に再生粒子凝集体がシリカ被覆再生粒子凝集体である場合には、これらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの質量割合(カルシウム:ケイ素:アルミニウム)は、前記X線マイクロアナライザーを用いた元素分析にて、酸化物換算で、30〜62:29〜55:9〜35、好ましくは30〜50:35〜55:15〜30である。また同時に、前記粒子構成成分中の、これらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの合計含有割合は、前記と同様の元素分析にて、酸化物換算で、90質量%以上、好ましくは94質量%以上である。
このように、再生粒子凝集体がその粒子構成成分として、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、酸化物換算で、前記質量割合で含有しているので、その比重が軽く、過度の水溶液吸収が抑制され、脱水工程における脱水性が良好であり、乾燥工程における水分調整が容易であるだけでなく、焼成工程における未燃物の割合が減少し、焼結による過度の硬さを生じる恐れを低減することができる。
再生粒子凝集体中のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの質量割合を、酸化物換算で例えば前記範囲内に調整するには、本来、脱墨フロスにおける原料構成を調整することが好ましいが、乾燥工程や焼成工程、さらには必要に応じて分級工程において、由来が明確な塗工フロスや調整工程フロスをスプレー等で含有させる方法や、焼却炉スクラバー石灰を含有させる方法を採用することも可能である。
例えば、再生粒子凝集体中のカルシウムの含有割合を調整するには、中性抄紙系の排水スラッジや、塗工紙製造工程の排水スラッジを、ケイ素の含有割合を調整するには、不透明度向上剤として多量添加されている新聞用紙製造系の排水スラッジを、アルミニウムの含有割合を調整するには、酸性抄紙系等の硫酸バンドが使用された抄紙系の排水スラッジや、クレーの使用量が多い上質紙抄造工程の排水スラッジを、各々適宜用いることができる。
またカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの合計含有割合を、酸化物換算で90質量%以上に調整するには、例えば排水スラッジの凝集処理に鉄分を含有しない凝集剤を使用する手段や、前記したように、製造設備工程を鉄以外の素材で設計又はライニングし、摩滅等により鉄分が系内に混入するのを防止したり、さらには乾燥・分級設備内に磁石等の高い磁性体を設置して鉄分を除去する手段等を採用することが可能である。特に鉄分は、酸化により白色度を低下させる起因物質になるため、選択的に除去することが好ましい。
ところで、炭酸カルシウムには、六方結晶系のカルサイト結晶(方解石)や、斜方結晶系のアラゴナイト結晶(あられ石)などの同質異像が存在する。天然に産する石灰石はそのほとんどがカルサイト結晶であり、貝殻類にはカルサイト結晶のほか、アラゴナイト結晶も存在する。さらに炭酸カルシウムには、天然ではないが、バテライト結晶も存在する。前記脱墨フロスから得られるカルシウムは多種多様であるが、焼成凝集化することでほぼ均一の炭酸カルシウム性状となる。したがって、該カルシウムは再生粒子凝集体そのものの品質安定性に寄与し、該再生粒子凝集体は、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムといった異なる成分が複合体となった粒子で構成される凝集体でありながら、安定した性状を示す。
また再生粒子凝集体は、その粒子構成成分としてケイ素を含むが、該ケイ素からなるシリカの粒子は微細であるので、光学的屈折率が高い。このようなケイ素が酸化物換算で9質量割合以上含有された再生粒子凝集体を填料として用いることで、得られる壁紙用裏打ち紙の不透明度がさらに向上する。
すなわち、かくして得られる再生粒子凝集体は、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムといった異なる成分が凝集した凝集体の構成であることに一つの特徴があり、比熱が小さく、さらに不透明性、吸水性に優れることから、壁紙用裏打ち紙に含有させた場合において、特に樹脂の発泡性、寸法安定性、隠蔽性に優れ、しかもリフォーム時の壁紙剥離時における作業性に優れる壁紙用裏打ち紙を得ることができる。
本願発明の壁紙用裏打ち紙において含有させ得る他の填料としては、特にクレーを用いることが、良好な樹脂発泡性を得る点で好ましいが、適宜、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、ホワイトカーボンなどの公知の無機粒子を使用することもできる。
更に、JIS−P 8220に準じて離解した壁紙用裏打ち紙の離解パルプスラリーを、440メッシュ(網目32μm)円形標準フルイにてろ過し、ろ液中に含有する填料の90%以上が0.1μmから15μmの範囲に成るように填料を添加することで、機械パルプと嵩高な再生粒子凝集体による相乗効果で、原紙を嵩高に低い透気度を得ることができる。
壁紙用裏打ち紙の抄造において、原料調整段階で内添された填料は、抄紙段階の脱水とともに流失し、原料への内添段階と異なる粒子径で紙中に留まるため、紙質を決定付ける紙中に留まっている填料分の性状を調整する必要があり、本件発明者等の検討において、前記ろ液中に含有する填料性状をろ液中に含有する填料の90%以上が0.1μmから15μmの粒径範囲にすることで、微細な填料による紙質強度が低下しすぎる問題と、過大な填料の存在による塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂等塗工時における塗工不良の発生の抑制、壁紙用裏打ち紙に塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂等の樹脂を塗布した際の発泡性を均一に、再剥離時の剥離性を改善するとともに、寸法安定性を向上させることができる。
本願発明の壁紙用裏打ち紙においては、填料を灰分として1〜18質量%となるように含有させ、好ましくは、ヤンキードライヤーを用いて用紙を乾燥させることにより、J・TAPPI―No27−28A法で規定される紙の横方向(抄紙機幅方向)の水中伸度を0.8〜1.5%、更には、水中伸度を0.8〜1.2%とすることが好ましく、壁紙を壁に貼合した後の目開きを防止、寸法安定性を向上することができる。
なお、紙の横方向の水中伸度が1.5%を超えると、壁紙施工後に目開き等のトラブルが生じるだけでなく、施工時にもカール等の不具合が発生し、作業性の低下を招くという問題を生じる。また、紙の横方向の水中伸度を0.8%未満にするためには、合成繊維を含有させる、樹脂で紙層を固めるなどの過度の対応が必要となり、操業性の低下、コストアップなどを招く他、一般的な壁紙用裏打ち紙としては過剰な品質となり、経済的でない。
更に本願発明の壁紙用裏打ち紙の好適な構成としては、填料として、クレーと再生粒子凝集体を主成分に、クレーと再生粒子凝集体との配合割合が、2/8から8/2の割合で含有し、JIS−P 8220に準じて離解した壁紙用裏打ち紙の離解パルプスラリーを、440メッシュ(網目32μm)円形標準フルイにてろ過し、ろ液中に含有する填料の体積平均粒子径が0.1μmから15μmの範囲にあるようにすることが好ましい。
クレーと再生粒子凝集体との配合割合が、2/8から8/2の範囲を外れると、クレー、再生粒凝集体個々の効果の発現が偏り、用紙表面の平坦性が低下したり、密度が高くなる問題が発現する。
壁紙用填料として、クレーは板状結晶構造を有することから用紙表面の平坦性、光沢性を安価に向上させる効果を有し、再生粒子凝集体は従来廃棄、埋立処分され資源として有効に活用されていなかった脱墨フロスを主原料に、環境保護、省資源の点でも優れる点で好ましいとともに、再生粒子の保有する凝集体としての多孔性、クッション性が壁紙としての施工性、糊と裏打ち紙若しくは塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂等の樹脂との親和性が向上し、不用意な樹脂層の剥離や糊面からの剥離が生じ難くなる効果を発現する。
前記再生粒子凝集体としては、粒子構成成分がカルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、酸化物換算で30〜82:9〜35:9〜35の質量割合で含有し、かつ、前記再生粒子凝集体の粒子構成成分の内、前記カルシウム、前記ケイ素及び前記アルミニウムの合計含有割合が再生粒子凝集体構成成分中の90質量%以上である再生粒子凝集体を使用することができる。
本願発明の壁紙用裏打ち紙の好適な構成においては、紙中に、湿潤紙力増強剤と乾燥紙力増強剤を含有することが推奨される。
本願発明の壁紙用裏打ち紙は、ヤンキードライヤーの金属表面に接する側の紙面(艶面)のJIS−P 8119に準じた平滑度を20秒以上、ヤンキードライヤーの金属表面に接触しない紙面(非艶面)の平滑度を5秒以上、好適には、ヤンキードライヤーの金属表面に接する側の艶面のJIS−P 8119に準じた平滑度を30〜42秒、ヤンキードライヤーの金属表面に接触しない非艶面の平滑度を11〜15秒以上とすることが好適である。
ロール、好適には樹脂ロールを用いることで、紙に過度の圧力をかけることなく紙表面の平坦性を確保でき、ヤンキードライヤーの金属表面に接する側の艶面のJIS−P 8119に準じた平滑度が20秒未満では、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂等塗工時に塗工面の平坦性が損なわれ、塗工後の未栄えが低下するとともに、樹脂等塗工時の作業性も低下する。
また、ロール、特には樹脂ロールにて圧接される側の非艶面の平滑度が5秒未満では、壁紙貼付施工時の糊量が不均一に成りやすく不用意な剥がれや施工後に壁紙表面にうねりや凹凸が生じる問題が発現する。
壁紙用裏打ち紙の表裏面を所望の平滑度に調整するに好適に使用できる樹脂ロールは、JIS K 6253に準拠した「デュロメータ硬さ」において、90度から95度のゴム硬さを有するものが、ヤンキードライヤーに対し、過度の線圧を付与することなく面で押圧可能であり平坦性確保のため好適である。ゴム硬度が95度より高い場合や金属ロールの場合は、面でなく線による加圧になり、密度が過度に高くなる傾向が生じるため好ましくない。また、90度を下回る場合は、非艶面の平坦性への寄与が低く、また艶面への押圧が分散されるため艶の発現性が低くなる問題を有し、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂等の合成樹脂による被覆性が劣る問題が生じる。
本願発明の壁紙用裏打ち紙においては、JIS−P 8135に準じた、湿潤引張強度(縦)が0.3kN/m以上、1.0kN/m以下が好適であり、より好ましくは0.5〜0.9kN/mの範囲である。湿潤引張強度(縦)が0.3kN/m未満では、壁紙施工時の糊付与後においても、十分な紙力を維持することが困難になり、1.0kN/mを超えると、リフォーム時等の壁紙剥離時に石膏ボードに代表される貼付材料の毀損や、高価な薬品使用によるコストアップ、抄紙機系内の汚れが問題となる。
特に好適に用いることができる湿潤紙力増強剤は、ポリウレタン系樹脂,ポリアミドエポキシ系樹脂,メラミン系樹脂,尿素系樹脂,シリコン系樹脂から選択された1種又は複数の樹脂を用い、乾燥紙力増強剤は、澱粉,植物性ガム,半合成高分子又は合成高分子から選択された1種又は複数のものを好適に用いることができ、乾燥紙力増強剤と湿潤紙力増強剤の配合比は、乾燥紙力増強剤:湿潤紙力増強剤=1:4〜4:1であることが好ましい。
乾燥紙力増強剤の割合が過剰だと地合いの調整が困難であり、抄紙機系内の汚れが生じる問題が生じ、湿潤紙力増強剤が過剰に添加されると、損紙の再利用が困難になるだけでなく、ヤンキードライヤー表面への貼りつきや壁紙剥離時に石膏ボードを毀損する問題が生じる。
〔湿潤紙力増強剤〕 本願発明の壁紙用裏打ち紙に好適に用いられる湿潤紙力増強剤は、例えば、エポキシ化ポリアミド樹脂、アクリル酸エステル、ジアルデヒドデンプン、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミド・エピクロルピロリン樹脂系のもの等を含む湿潤紙力増強剤等が例示できる。湿潤紙力増強剤の使用量については、特に限定はないが、パルプから得られる紙1平方メートル当たり、0.015〜0.3g付着させるのが好ましい。湿潤紙力増強剤の使用量が0.015g/m2 未満であると、十分に壁紙用裏打ち紙に耐水性を付与することはできず、壁紙用裏打ち紙に糊を付与した後の施工性が低下する。耐水剤の使用量が0.3g/m2 を超えると、得られる紙が硬くなり、湿潤紙力増強剤の使用量に応じた耐水性向上の効果が得られなくなる。
〔乾燥紙力増強剤〕 本願発明の壁紙用裏打ち紙に好適に用いられる乾燥紙力増強剤は、アクリルアミド系の乾燥紙力増強剤である。
ここに、アクリルアミド系の乾燥紙力増強剤としては、例えばアクリルアミドとアミノメチルアクリルアミド共重合体の塩又は第4級アンモニウム塩、アクリルアミドと第4級アンモニウム塩基含有アルキル(メタ)アクリレート共重合体、アクリルアミドとアクリル酸ソーダ共重合体等で分子量が50万〜150万程度のポリアクリルアミド系の乾燥紙力増強剤等が例示できる。
なお、乾燥紙力増強剤としては、上記アクリルアミド系の乾燥紙力増強剤の外に生澱粉系、加工澱粉系、植物ガム系等の乾燥紙力増強剤も適宜併用できるが、耐熱性の点でポリアクリルアミド系の乾燥紙力増強剤が特に優れるものである。乾燥紙力増強剤の添加量は絶乾パルプに対して0.2〜1.5質量%程度で調節される。因みに、0.2質量%未満では本願発明が所望とする耐熱性が得難く、一方1.5質量%を越えるような量ではその作用効果が飽和し、経済面からも望ましくない。
本願発明の壁紙用裏打ち紙は、良好な樹脂の発泡性、強度、壁紙剥離性、寸法安定性、隠蔽性を得るために、JIS−P8251に準じて測定した灰分が1〜18質量%となるように填料を含有させ、5〜15質量%となるように含有させることがより好ましい。灰分が1質量%未満であると、得られる壁紙用裏打ち紙の熱伝導率を所定の範囲に調整することが難しくなり、壁紙へ加工する際に樹脂の発泡不良を招きやすくなる。また、隠蔽性に劣る他、層間強度が高くなりやすく、リフォーム時の剥離作業効率が低下する問題を招く。
さらには、壁紙用裏打ち紙に必要な寸法安定性を得ることが難しくなるのである。
更に本願発明者等は、壁紙製造時において、壁紙用裏打ち紙へ塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂等の合成樹脂を塗工し、約160℃で予備乾燥後、約230℃の加熱炉にて樹脂を発泡させる工程において、前記樹脂発泡性は、裏打ち紙の熱伝導性に大きく影響を受けていることを見出している。
本願発明の壁紙用裏打ち紙のより好適な構成としては熱伝導率を0.2〜0.5W/(m・K)とすることが好ましく、0.3〜0.5W/(m・K)とすることがより好ましい。壁紙用裏打ち紙の熱伝導率を0.2〜0.5W/(m・K)とするためには、壁紙樹脂を乾燥、発泡させる約230℃の温度における填料の比熱が1.2J/g/deg以下の無機粒子を使用することが好ましく、1.1J/g/deg以下の無機粒子を使用することがより好ましい。使用する填料の230℃の温度における比熱が1.2J/g/degより高いと、壁紙用裏打ち紙の熱伝導率を0.2〜0.5W/(m・K)とすることが難しくなり、樹脂を発泡乾燥させるための熱が裏打ち紙により阻害され、樹脂に伝わり難く樹脂の温度上昇が阻害されるため、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂等の樹脂の良好な発泡性を得ることができなくなるのである。
上記製法による裏打ち紙について、機械パルプの含有率と填料の含有率を一定範囲とすることで、壁紙用裏打ち紙として必要な寸法安定性、隠蔽性、またリフォーム時の剥離作業性を得ながら、さらに熱伝導率を0.2〜0.5W/(m・K)に調整することができ、裏打ち紙の熱伝導性を一定範囲に高めることで樹脂の発泡性が良好となるのである。
また、本願発明で好適に使用できるクレー、再生粒子凝集体は、隠蔽性の点からコールターカウンター法による平均粒子径が15μm以下のものが好ましい。平均粒子径15μmを超えると、不透明性が下がり、所望の隠蔽性を得にくくなる。
また、これら填料の配合によって、前記層間強度(インターナルボンド)が70〜120mJに調整することが容易となる。インターナルボンドが70mJより低いと、リフォーム時の剥離作業が容易となるが、壁紙貼合作業時における不本意な外力により層間剥離の生じるおそれがあり、壁紙としての所望の強度が得にくくなる。また、120mJを超えると、リフォーム時の壁紙の剥離作業効率が低下する。
本願発明においては、壁紙用裏打ち紙に無機粒子をJIS P 8251に準じて測定した紙の灰分において、1〜18質量%含有させ、好ましくは無機粒子としてクレー、または再生粒子凝集体を用いることで、壁紙用裏打ち紙の寸法安定性が向上し、JIS 8138に準じた不透明度を85〜90%とすることができ、より好ましくは不透明度を90〜92%とすることで、隠蔽性の高い壁紙用裏打ち紙を得ることができる。填料の含有率(灰分)が1質量%未満であると、所望の隠蔽性を得ることが難しく、逆に填料の含有率が18質量%を超えると、壁紙用裏打ち紙に必要な剛性や強度を得ることが難しくなる。
したがって、本願発明では、パルプ中に機械パルプを1〜65質量%含有し、灰分が1〜18質量%となるように填料を含することで、壁紙用裏打ち紙の熱伝導率を0.2〜0.5W/(m・K)とすることが実施形態の一つである。さらには、特定の無機粒子、特定の比熱、粒径の無機粒子を用いることがより好ましい実施形態の一つである。
[実施例] 次に本願発明の具体的実施例を説明する。
実施例1〜11及び比較例1〜10における共通事項 本願発明に係る壁紙用裏打ち紙の効果を確認するため、以下のような各種の試料を作製し、これらの各試料に対する品質を評価する試験を行った。なお、本実施例において、配合、濃度等を示す数値は、固形分又は有効成分の質量基準の数値である。また、本実施例で示すパルプ・薬品等は一例にすぎないので、本願発明はこれらの実施例によって制限を受けるものではなく、適宜選択可能であることはいうまでもない。
本願発明の実施例に係る11種類の紙(これを「実施例1」ないし「実施例11」とする)と、これらの実施例1ないし実施例11と比較検討するために、10種類の紙(これを「比較例1」ないし「比較例10」とする)を、表1に示すような構成で作製した。
本実施例で使用する再生粒子凝集体は、以下の方法により調整した。
<再生粒子凝集体> (1) 原料として脱墨フロスを使用し、脱水工程後水分40%、乾燥物水分が5%に成るように乾燥することで、平均粒子径1000μmの原料を得た。
(2) 焼成工程において、1次焼成温度520℃、酸素濃度を一次焼成炉上部にて7.00%、一次焼成炉後未燃率が25.9%、2次焼成温度510℃、二次焼成炉内の酸素濃度が20.0%の条件で焼成した結果、得られた再生粒子は、白色度が80.7%であり、カルシウム、シリカ、アルミニウムそれぞれの酸化物換算による割合が、カルシウム30%、シリカ35%、アルミニウム35%であり、カルシウム、シリカ、アルミニウムの構成成分中の割合が、再生粒子全構成の87%であった。
(3) 得られた再生粒子凝集体は、湿式粉砕機にて粉砕を施し、本願発明の実施例に供した。
<シリカ被覆再生粒子凝集体> (4) 更に、(3)にて得た再生粒子凝集体を、シリカ処理工程において、液温100℃、最終反応におけるpHを8.0でシリカ被覆処理を行い、シリカ被覆後の体積平均粒子径が7.0μmのシリカ被覆処理再生粒子を得て、本願発明の実施例に供した。
(5) (4)に記載のシリカ被覆処理再生粒子は、カルシウム、シリカ、アルミニウムの酸化物換算割合がカルシウム10%、シリカ80%、アルミニウム10%であり、構成成分中の割合が95%であり、粒子径が0.1〜10μmの割合が80%以上であることを確認した。
[実施例1] 壁紙用裏打ち紙のパルプ原料として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)40質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)20質量%と、機械パルプ(BTMP)40質量%を配合した後に、内添用填料として、クレーと再生粒子凝集体を6:4の割合で、得られる壁紙用裏打ち紙の灰分が10質量%になるように添加し、硫酸バンドを2.5質量%、サイズ剤(商品名:E−3600、近代化学株式会社製)を固形分換算で1.0質量%、乾燥紙力増強剤(商品名:DS−4360、星光PMC株式会社製)を固形分換算で0.8質量%、湿潤紙力増強剤(WS4024、星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で1.2質量%添加して原料スラリーを調整した。この原料スラリーを、ヤンキードライヤーを備える長網抄紙機で抄紙し、坪量65g/m2の壁紙用裏打ち紙を得た。
この壁紙用裏打ち紙をJIS−P8220に準処して離解した時の離解パルプの数平均繊維長は2.0mmであった。
[実施例2] 壁紙用裏打ち紙のパルプ原料として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)40質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)59質量%と、機械パルプ(BTMP)1質量%を配合した後に、内添用填料として、クレーと再生粒子凝集体を6:4の割合で、得られる壁紙用裏打ち紙の灰分が10質量%になるように添加し、硫酸バンドを2.5質量%、サイズ剤(商品名:E−3600、近代化学株式会社製)を固形分換算で1.0質量%、乾燥紙力増強剤(商品名:DS−4360、星光PMC株式会社製)を固形分換算で0.8質量%、湿潤紙力増強剤(WS4024、星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で1.2質量%添加して原料スラリーを調整した。この原料スラリーを、ヤンキードライヤーを備える長網抄紙機で抄紙し、坪量65g/m2の壁紙用裏打ち紙を得た。
この壁紙用裏打ち紙をJIS−P8220に準処して離解した時の離解パルプの数平均繊維長は0.8mmであった。
[実施例3] 壁紙用裏打ち紙のパルプ原料として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)40質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)40質量%と、機械パルプ(BTMP)20質量%を配合した後に、内添用填料として、クレーと再生粒子凝集体を6:4の割合で、得られる壁紙用裏打ち紙の灰分が10質量%になるように添加し、硫酸バンドを2.5質量%、サイズ剤(商品名:E−3600、近代化学株式会社製)を固形分換算で1.0質量%、乾燥紙力増強剤(商品名:DS−4360、星光PMC株式会社製)を固形分換算で0.8質量%、湿潤紙力増強剤(WS4024、星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で1.5質量%添加して原料スラリーを調整した。この原料スラリーを、ヤンキードライヤーを備える長網抄紙機で抄紙し、坪量65g/m2の壁紙用裏打ち紙を得た。
この壁紙用裏打ち紙をJIS−P8220に準処して離解した時の離解パルプの数平均繊維長は0.9mmであった。
[実施例4] 壁紙用裏打ち紙のパルプ原料として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)40質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)30質量%と、機械パルプ(BTMP)30質量%を配合した後に、内添用填料として、クレーと再生粒子凝集体を6:4の割合で、得られる壁紙用裏打ち紙の灰分が10質量%になるように添加し、硫酸バンドを2.5質量%、サイズ剤(商品名:E−3600、近代化学株式会社製)を固形分換算で1.0質量%、乾燥紙力増強剤(商品名:DS−4360、星光PMC株式会社製)を固形分換算で2.0質量%、湿潤紙力増強剤(WS4024、星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で2.5質量%添加して原料スラリーを調整した。この原料スラリーを、ヤンキードライヤーを備える長網抄紙機で抄紙し、坪量65g/m2の壁紙用裏打ち紙を得た。
この壁紙用裏打ち紙をJIS−P8220に準処して離解した時の離解パルプの数平均繊維長は1.0mmであった。
[実施例5] 壁紙用裏打ち紙のパルプ原料として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)40質量%と機械パルプ(BTMP)60質量%を配合した後に、内添用填料として、クレーと再生粒子凝集体を6:4の割合で、得られる壁紙用裏打ち紙の灰分が10質量%になるように添加し、硫酸バンドを2.5質量%、サイズ剤(商品名:E−3600、近代化学株式会社製)を固形分換算で1.0質量%、乾燥紙力増強剤(商品名:DS−4360、星光PMC株式会社製)を固形分換算で1.0質量%、湿潤紙力増強剤(WS4024、星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で1.8質量%添加して原料スラリーを調整した。この原料スラリーを、ヤンキードライヤーを備える長網抄紙機で抄紙し、坪量65g/m2の壁紙用裏打ち紙を得た。
この壁紙用裏打ち紙をJIS−P8220に準処して離解した時の離解パルプの数平均繊維長は1.9mmであった。
[実施例6] 壁紙用裏打ち紙のパルプ原料として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)30質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)5質量%と、機械パルプ(BTMP)65質量%を配合した後に、内添用填料として、クレーと再生粒子凝集体を6:4の割合で、得られる壁紙用裏打ち紙の灰分が12質量%になるように添加し、硫酸バンドを2.5質量%、サイズ剤(商品名:E−3600、近代化学株式会社製)を固形分換算で1.0質量%、乾燥紙力増強剤(商品名:DS−4360、星光PMC株式会社製)を固形分換算で1.0質量%、湿潤紙力増強剤(WS4024、星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で1.8質量%添加して原料スラリーを調整した。この原料スラリーを、ヤンキードライヤーを備える長網抄紙機で抄紙し、坪量65g/m2の壁紙用裏打ち紙を得た。
この壁紙用裏打ち紙をJIS−P8220に準処して離解した時の離解パルプの数平均繊維長は1.9mmであった。
[実施例7] 壁紙用裏打ち紙のパルプ原料として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)40質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)20質量%と、機械パルプ(BTMP)40質量%を配合した後に、内添用填料として、クレーと再生粒子凝集体を2:8の割合で、得られる壁紙用裏打ち紙の灰分が1質量%になるように添加し、硫酸バンドを2.5質量%、サイズ剤(商品名:E−3600、近代化学株式会社製)を固形分換算で1.0質量%、乾燥紙力増強剤(商品名:DS−4360、星光PMC株式会社製)を固形分換算で1.5質量%、湿潤紙力増強剤(WS4024、星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で1.5質量%添加して原料スラリーを調整した。この原料スラリーを、ヤンキードライヤーを備える長網抄紙機で抄紙し、坪量65g/m2の壁紙用裏打ち紙を得た。
この壁紙用裏打ち紙をJIS−P8220に準処して離解した時の離解パルプの数平均繊維長は1.8mmであった。
[実施例8] 壁紙用裏打ち紙のパルプ原料として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)40質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)20質量%と、機械パルプ(BTMP)40質量%を配合した後に、内添用填料として、クレーと再生粒子凝集体を4:6の割合で、得られる壁紙用裏打ち紙の灰分が4質量%になるように添加し、硫酸バンドを2.5質量%、サイズ剤(商品名:E−3600、近代化学株式会社製)を固形分換算で1.0質量%、乾燥紙力増強剤(商品名:DS−4360、星光PMC株式会社製)を固形分換算で1.5質量%、湿潤紙力増強剤(WS4024、星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で1.5質量%添加して原料スラリーを調整した。この原料スラリーを、ヤンキードライヤーを備える長網抄紙機で抄紙し、坪量65g/m2の壁紙用裏打ち紙を得た。
この壁紙用裏打ち紙をJIS−P8220に準処して離解した時の離解パルプの数平均繊維長は1.7mmであった。
[実施例9] 壁紙用裏打ち紙のパルプ原料として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)40質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)20質量%と、機械パルプ(BTMP)40質量%を配合した後に、内添用填料として、クレーとシリカ被覆再生粒子凝集体を8:2の割合で、得られる壁紙用裏打ち紙の灰分が18質量%になるように添加し、硫酸バンドを2.5質量%、サイズ剤(商品名:E−3600、近代化学株式会社製)を固形分換算で1.0質量%、乾燥紙力増強剤(商品名:DS−4360、星光PMC株式会社製)を固形分換算で1.5質量%、湿潤紙力増強剤(WS4024、星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で2.0質量%添加して原料スラリーを調整した。この原料スラリーを、ヤンキードライヤーを備える長網抄紙機で抄紙し、坪量65g/m2の壁紙用裏打ち紙を得た。
この壁紙用裏打ち紙をJIS−P8220に準処して離解した時の離解パルプの数平均繊維長は1.7mmであった。
[実施例10] 壁紙用裏打ち紙のパルプ原料として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)40質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)20質量%と、機械パルプ(BTMP)40質量%を配合した後に、内添用填料として、クレーとシリカ被覆再生粒子凝集体を4:6の割合で、得られる壁紙用裏打ち紙の灰分が10質量%になるように添加し、硫酸バンドを2.5質量%、サイズ剤(商品名:E−3600、近代化学株式会社製)を固形分換算で1.0質量%、乾燥紙力増強剤(商品名:DS−4360、星光PMC株式会社製)を固形分換算で1.5質量%、湿潤紙力増強剤(WS4024、星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で1.5質量%添加して原料スラリーを調整した。この原料スラリーを、ヤンキードライヤーを備える長網抄紙機で抄紙し、坪量65g/m2の壁紙用裏打ち紙を得た。
この壁紙用裏打ち紙をJIS−P8220に準処して離解した時の離解パルプの数平均繊維長は1.7mmであった。
[実施例11] 壁紙用裏打ち紙のパルプ原料として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)40質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)20質量%と、機械パルプ(BTMP)40質量%を配合した後に、内添用填料として、クレーとシリカ被覆再生粒子凝集体を2:8の割合で、得られる壁紙用裏打ち紙の灰分が6質量%になるように添加し、硫酸バンドを2.5質量%、サイズ剤(商品名:E−3600、近代化学株式会社製)を固形分換算で1.0質量%、乾燥紙力増強剤(商品名:DS−4360、星光PMC株式会社製)を固形分換算で0.2質量%、湿潤紙力増強剤(WS4024、星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で1.0質量%添加して原料スラリーを調整した。この原料スラリーを、ヤンキードライヤーを備える長網抄紙機で抄紙し、坪量65g/m2の壁紙用裏打ち紙を得た。
この壁紙用裏打ち紙をJIS−P8220に準処して離解した時の離解パルプの数平均繊維長は1.7mmであった。
[比較例1] 壁紙用裏打ち紙のパルプ原料として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)40質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)60質量%を配合した後に、内添用填料として、クレーと再生粒子凝集体を6:4の割合で、得られる壁紙用裏打ち紙の灰分が8質量%になるように添加し、硫酸バンドを2.5質量%、サイズ剤(商品名:E−3600、近代化学株式会社製)を固形分換算で1.0質量%、乾燥紙力増強剤(商品名:DS−4360、星光PMC株式会社製)を固形分換算で0.8質量%、湿潤紙力増強剤(WS4024、星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で1.2質量%添加して原料スラリーを調整した。この原料スラリーを、ヤンキードライヤーを備える長網抄紙機で抄紙し、坪量65g/m2の壁紙用裏打ち紙を得た。
この壁紙用裏打ち紙をJIS−P8220に準処して離解した時の離解パルプの数平均繊維長は0.5mmであった。
[比較例2] 壁紙用裏打ち紙のパルプ原料として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)10質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)20質量%と、機械パルプ(BTMP)70質量%を配合した後に、内添用填料として、クレーと再生粒子凝集体を6:4の割合で、得られる壁紙用裏打ち紙の灰分が8質量%になるように添加し、硫酸バンドを2.5質量%、サイズ剤(商品名:E−3600、近代化学株式会社製)を固形分換算で1.0質量%、乾燥紙力増強剤(商品名:DS−4360、星光PMC株式会社製)を固形分換算で0.8質量%、湿潤紙力増強剤(WS4024、星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で1.2質量%添加して原料スラリーを調整した。この原料スラリーを、ヤンキードライヤーを備える長網抄紙機で抄紙し、坪量65g/m2の壁紙用裏打ち紙を得た。
この壁紙用裏打ち紙をJIS−P8220に準処して離解した時の離解パルプの数平均繊維長は1.6mmであった。
[比較例3] 壁紙用裏打ち紙のパルプ原料として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)40質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)20質量%と、機械パルプ(BTMP)40質量%を配合した後に、内添用填料として、クレーのみを、得られる壁紙用裏打ち紙の灰分が2質量%になるように添加し、硫酸バンドを2.5質量%、サイズ剤(商品名:E−3600、近代化学株式会社製)を固形分換算で1.0質量%、乾燥紙力増強剤(商品名:DS−4360、星光PMC株式会社製)を固形分換算で1.2質量%、湿潤紙力増強剤(WS4024、星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で1.4質量%添加して原料スラリーを調整した。この原料スラリーを、ヤンキードライヤーを備える長網抄紙機で抄紙し、坪量65g/m2の壁紙用裏打ち紙を得た。
この壁紙用裏打ち紙をJIS−P8220に準処して離解した時の離解パルプの数平均繊維長は1.6mmであった。
[比較例4] 壁紙用裏打ち紙のパルプ原料として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)40質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)20質量%と、機械パルプ(BTMP)40質量%を配合した後に、内添用填料として、クレーと再生粒子凝集体を7:3の割合で、得られる壁紙用裏打ち紙の灰分が20質量%になるように添加し、硫酸バンドを2.5質量%、サイズ剤(商品名:E−3600、近代化学株式会社製)を固形分換算で1.0質量%、乾燥紙力増強剤(商品名:DS−4360、星光PMC株式会社製)を固形分換算で1.0質量%、湿潤紙力増強剤(WS4024、星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で1.0質量%添加して原料スラリーを調整した。この原料スラリーを、ヤンキードライヤーを備える長網抄紙機で抄紙し、坪量65g/m2の壁紙用裏打ち紙を得た。
この壁紙用裏打ち紙をJIS−P8220に準処して離解した時の離解パルプの数平均繊維長は1.6mmであった。
[比較例5] 壁紙用裏打ち紙のパルプ原料として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)40質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)20質量%と、機械パルプ(BTMP)40質量%を配合した後に、内添用填料として、クレーのみを、得られる壁紙用裏打ち紙の灰分が10質量%になるように添加し、硫酸バンドを2.5質量%、サイズ剤(商品名:E−3600、近代化学株式会社製)を固形分換算で1.0質量%、乾燥紙力増強剤(商品名:DS−4360、星光PMC株式会社製)を固形分換算で1.2質量%、湿潤紙力増強剤(WS4024、星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で1.4質量%添加して原料スラリーを調整した。この原料スラリーを、ヤンキードライヤーを備える長網抄紙機で抄紙し、坪量65g/m2の壁紙用裏打ち紙を得た。
この壁紙用裏打ち紙をJIS−P8220に準処して離解した時の離解パルプの数平均繊維長は1.7mmであった。
[比較例6] ヤンキー式ドライヤーを備えた抄紙機に変え、多筒式ドライヤーを用いたことを除くその他の点は実施例1と同様にして得た壁紙用裏打ち紙。多筒式ドライヤーを備えた抄紙機を使用した。
[比較例7] 壁紙用裏打ち紙のパルプ原料として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)40質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)20質量%と、機械パルプ(BTMP)40質量%を配合した後に、内添用填料として、クレーのみを、得られる壁紙用裏打ち紙の灰分が5質量%になるように添加し(再生粒子凝集体は使用しない)、硫酸バンドを2.5質量%、サイズ剤(商品名:E−3600、近代化学株式会社製)を固形分換算で1.0質量%、乾燥紙力増強剤(商品名:DS−4360、星光PMC株式会社製)を固形分換算で0.8質量%添加して原料スラリーを調整した。この原料スラリーを、ヤンキードライヤーを備える長網抄紙機で抄紙し、坪量65g/m2の壁紙用裏打ち紙を得た。
この壁紙用裏打ち紙をJIS−P8220に準処して離解した時の離解パルプの数平均繊維長は1.7mmであった。
[比較例8] 市販されている一般的な晒片艶クラフト紙60g/m2について、実施例と同様に評価した。
[比較例9] 市販されている一般的なコピー用紙64g/m2について、実施例と同様に評価した。
表1中の「比熱(230℃比熱:J/g/deg)」は、JIS−K7123に準じ、セイコーインスツルメンツ(株)製の熱分析装置を用い、示差走査熱量分析(DSC)にて100〜250℃の範囲において比熱変化量を測定した230℃の値である。
「灰分(%)」は、JIS−P8251に準じ、525℃で燃焼した際の灰分を測定した値である。
「熱伝導率(W/(m・K))」は、JIS−A1412−2に準じた、京都電子工業(株)製の熱伝導率計を用い、熱流計法にて測定した値である。なお、測定は温度20℃の条件下で行った。
「塩ビ樹脂発泡性」は、塩化ビニルペーストをテーブルブレードコーターにより100μmの厚さに塗布し、160℃で予備乾燥を行い、その後230℃の加熱炉にて発泡させ、試作ビニル壁紙を得、その発泡性を評価した。発泡性が非常に良好であるものを「◎」、問題ないものを「○」、発泡性がやや悪いものを「△」、発泡性が悪く裏打ち紙として使用できないものを「×」とした。
「引張強度(縦)(kN/m)」とは、JIS−P8113に規定する「紙及び板紙−引張特性の試験方法」により測定した縦方向(流れ方向)の値である。
「湿潤引張強度(縦)(kN/m)」とは、JIS−P8135に規定する「紙及び板紙−湿潤引張強さ試験方法」により測定した縦方向(流れ方向)の値である。
「層間強度(mJ)」とは、JAPAN TAPPI No.18−2に規定するインターナルボンドテスタ法により測定した値である。
「壁紙剥離性」とは、壁紙用裏打ち紙に塩化ビニルペーストを塗布した試作ビニル壁紙を、裏打ち紙の面に澱粉糊を塗布後、ベニヤ板に貼り付け、3日間、23℃、50%R/Hの条件で静置した後、ベニヤ板から剥がした際の層間剥離性、ベニヤ板に残った壁紙用裏打ち紙の残り方を観察した。剥離が紙層間で均一に剥れるものを「◎」、問題なく剥れるものを「○」、裏打ち紙の一部は樹脂側に、一部はベニヤ板側に残り、不均一に剥離するものを「×」とした。
「水中伸度(横)」とは、J・TAPPI―No27−28A法に準じて測定した値である。
「壁紙目開き」とは、塩化ビニルペーストを塗布した試作ビニル壁紙を、裏打ち紙の縦(流れ)方向が長辺となるような長方形に断裁し、裏打ち紙の面に澱粉糊を塗布後、2枚の壁紙を、長辺同士が隙間なく、かつ重ならないようにベニヤ板に貼り、3日間、23℃、50%R/Hの条件で静置した後の、壁紙長辺間の目開きの有無を確認した。目開きがないものを「◎」、問題ないレベルであるもの「○」、目開きが大きいものを「×」とした。
「不透明度(%)」とは、JIS−P8149に規定する「紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照明法」により測定した値である。
「隠蔽性」とは、壁紙用裏打ち紙に塩化ビニルペーストを塗布した試作ビニル壁紙を、裏打ち紙の面に澱粉糊を塗布後、ベニヤ板に貼り付け、3日間、23℃、50%R/Hの条件で静置した後、壁紙の隠蔽性を目視評価した。隠蔽性に優れるものを「◎」、問題ないものを「○」、隠蔽性が低く商品価値を損なうものを「×」とした。
評 価 本願発明の壁紙用裏打ち紙は、請求項1に示すように、ヤンキードライヤーを備えたヤンキー抄紙機を用い、原料としてパルプと填料を主原料とした壁紙用裏打ち紙であって、 前記パルプ中には機械パルプが1〜65質量%含有され、 前記填料は、クレーと再生粒子凝集体を主成分に、かつ好適には、クレーと再生粒子凝集体との配合割合が、2/8から8/2の割合で含有され、JIS−P 8252に準じて測定した壁紙用裏打ち紙の灰分が、1〜18質量%になるように紙中に含有する壁紙用裏打ち紙であるが、これらの条件を全て充足する実施例1〜11の壁紙用裏打ち紙は、塩ビ樹脂発泡性、壁紙剥離性、壁紙目開き、隠蔽性等の諸物性においてすぐれた評価(◎又は〇評価)が得られた。これに対して、機械パルプ含有量が請求項1における条件よりも少ない比較例1の壁紙用裏打ち紙は、壁紙剥離性、隠蔽性が劣り(×評価)、機械パルプ含有量が請求項1における条件よりも多い比較例2の壁紙用裏打ち紙は、塩ビ樹脂発泡性、壁紙目開きが劣る(×評価)結果であった。
また、参考に比較例8として市販の晒片艶クラフト紙を評価したが、塩ビ樹脂発泡性、壁紙剥離性、壁紙目開きともに劣る(×評価)結果であり、本願発明品との差異は明らかであった。
また、参考に比較例9として市販の上質紙を評価したが、壁紙剥離性、壁紙目開きが劣る(×評価)結果であり、本願発明品との差異は明らかであり、また、壁紙用裏打ち紙としては使用できるものではなかった。