JP4239034B2 - 無機粒子の製造方法およびその製造プラント - Google Patents
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Description
ペーパースラッジとは、製紙工場の各種工程から排出される廃水として、(1)パルプ化工程での洗浄過程で発生した廃水、(2)古紙処理工程の混入異物除去、脱墨浮選処理、および洗浄処理過程で発生した廃水、(3)紙製造時に原料損失分として抄紙用ワイヤー等を通過して流出した廃水、および(4)生物廃水処理工程の廃水などの各種廃水が挙げられるが、これら廃水に対してスラッジ回収処理として、凝集・沈殿・濃縮・脱水等の工程を適宜組合せて行って、各廃水が含有する固形分をスラッジとして回収したものである。前記した各種廃水は個別にスラッジ回収処理を行って、脱墨スラッジ、塗工紙製造系スラッジ、生物処理余剰汚泥などの各種スラッジを個別回収する場合もあるが、一般的には前記した製紙工場から排出される各種工程スラッジを総称してペーパースラッジ(製紙スラッジ)と呼ぶ。
このペーパースラッジには、製紙工場廃水由来の各種成分が含まれており、例えば、パルプ化工程で洗い出されたリグニンや微細繊維、原料損失分由来のパルプなどの繊維分、澱粉や合成接着剤を主とする有機物、塗工紙用顔料や内添填料を主とする無機物、および古紙由来の印刷インキ等が含まれている。
スラッジを焼却炉で焼却した焼却灰を再燃焼させることにより、未燃焼カーボンを燃焼させスラッジ焼却灰の白色度を向上させる方法(特許文献1)、スラッジ中の有機材料の燃焼を生じさせ、有機物質を含まない無機材料を製造する方法(特許文献2)、流動床炉を使用して燃焼させ未燃カーボンが少ないスラッジ焼却灰を分取し、使用する方法(特許文献3)、ペーパースラッジを成形し、内燃式ロータリーキルンなどで焼却し、粉砕する方法(特許文献4、5)、ペーパースラッジを造粒、成形し、ロータリーキルン内で乾燥、炭化、焼成段階で有機分を効率良く燃焼させ焼却灰を得、粉砕と同時に炭酸ガスで中和する方法(特許文献6)が提案されている。これらの方法の熱処理工程は、いずれも高白色度の焼成品を得ようとして有機物中の黒色の炭化物を焼成炉内で完全に燃焼させているため、無機成分が焼結硬化し、摩耗性が悪化してしまう。また、無機成分の高硬度化合物の発生を防止するために低温で焼成した場合は長時間の処理が必要であり、多量のペーパースラッジを処理するためには大きな装置となり経済的ではない。
前記熱処理装置を筒型熱処理装置とすることで、熱処理装置を小規模化することできるので好ましい。さらに、筒型熱処理装置の内部を分割することで、スラッジ積層・堆積が低減するため、より多くのスラッジ処理でき、熱処理装置をより小規模化することができるので好ましい。
さらに、前記熱処理工程において、前記スラッジ供給口の近傍から未燃焼物搬送用空気流を強制的に排出すると共に該空気流の排出量の制御は該空気流排出側で行われることが未燃焼物を効果的に未燃焼物搬送用空気流に載せて取り出す上で好ましい。
さらに、前記未燃焼物搬送用空気を前記熱処理装置のスラッジ排出口の近傍に設けた空気供給口から吸入することが未燃焼物を効果的に未燃焼物搬送用空気流に載せて取り出す上で好ましい。
さらに、前記熱処理工程が、ペーパースラッジ温度600〜850℃で処理することが熱処理すなわちスラッジの燃焼を適切に行う上で好ましい。
さらに、前記熱処理工程で処理されたペーパースラッジ中の炭酸カルシウムを50%を超えて分解することが好ましい。
さらに、前記熱処理工程の後に、該熱処理工程で得られた焼成物を水と混合、攪拌し、焼成物懸濁液とする焼成物懸濁液化工程と、焼成物懸濁液に二酸化炭素を接触させる炭酸化工程と、を更に備えると、得られる無機粒子を塗工用顔料、製紙用添料として利用する上で好ましい。
本発明の製造方法によって製造された無機粒子は、製紙用材料である塗工用顔料や製紙用填料用の無機粒子として好ましい。
本発明の製造プラントは、ペーパースラッジを筒型熱処理装置の筒軸方向の端部のスラッジ供給口から供給し、該スラッジ供給口に対して筒軸方向について反対側の端部に設置されるスラッジ排出口から取り出す間に過剰空気雰囲気下で間接的加熱方法により熱処理する筒型熱処理装置であって、未燃焼物搬送空気流を発生するための排気手段を該スラッジ供給口近傍に有し、該スラッジ供給口側から熱処理装置内空気を強制的に排出することにより、同他端のスラッジ排出口側から未燃焼物搬送用空気を熱処理装置内へ吸入し該未燃焼物を熱処理後の焼成物スラッジから載せて取り出すように未燃焼物搬送空気流を排出すると共に該空気流の排出量の制御は排気手段側で行われるように構成した熱処理装置を備える無機粒子の製造プラントである。
すなわち、スラッジ焼成灰の白色度の低下は主として混入した黒色の炭化物粒子に起因するが、このような炭化物粒子が原料のスラッジ中に含まれていても、常識的には熱処理工程でスラッジと共に出口まで移送される間に燃焼して炭酸ガスとして焼失するはずである。しかるに、従来方法で得られたスラッジ焼成灰中に炭化物粒子が残留するのは、熱処理内の気相中に飛散浮遊した炭化物粒子が燃焼する間もなく一足飛びに出口付近に達し、出口から排出される熱処理物に混ざり込むことによると考えられ、しかも炭化物粒子はカーボンブラック等として原料のスラッジ中に元々存在するものに加えて、当該スラッジ中の有機物が熱処理工程で燃焼する際に煤として多量に発生するから、従来方法では熱処理物への未燃焼の炭化物粒子の混入が避けられなかったものと想定される。
そして、熱処理装置が請求項2のように筒型、特に請求項3のように単一の直管状筒型炉、更には回転キルン炉である場合、設備構成が簡素になる反面、スラッジ中の有機物比率が高く、それだけ激しい燃焼で煤発生量が多くなる熱処理工程の前半領域から出口までの空間が直通しているから、元来は熱処理物の未燃焼の炭化物粒子が混入し易いが、前記の未燃焼物空気流によって該混入が防止される。とりわけ、請求項5及び請求項6のような未燃焼物搬送用空気流の給排位置の設定により、未燃焼物搬送用空気流がスラッジの移動方向に対して向流になり、浮遊する未燃焼の炭化物粒子がスラッジ供給口側へ戻される形になるから、熱処理物への未燃焼の炭化物粒子の混入がより確実に防止される。なお、気相中に浮遊せずにスラッジに混ざって移送される炭化物粒子は出口に至るまでに燃焼・焼失する時間的余裕が得られるから、前記向流の未燃焼物搬送用空気流によってスラッジ供給口側へ戻される炭化物粒子がスラッジ中に移行しても支障はない。また、熱処理工程の後段ほどスラッジ中の有機物が減少し、それだけ燃焼に伴う煤発生量も少なくなるから、出口近くで浮遊する炭化物粒子がスラッジ中に移行して残留する懸念もない。
図1は本発明のスラッジを原料とする無機粒子の製造方法の基本フローシートを示す図である。以下本基本フローシートに従って説明する。
原料の製紙スラッジは、パルプ化工程、紙製造工程、古紙再生工程などの製紙工場の各種工程から排出される廃水に対してスラッジ回収処理として、凝集・沈殿・濃縮・脱水等の工程を適宜組合せて行って、各廃水が含有する固形分を回収したもの(製紙スラッジ各種)を、単独、または混合して適宜原料スラッジとして用いることができる。
また、製紙スラッジ中の有機成分、および無機成分の比率は、処理する古紙の種類や脱墨工程程度によって多少は変動するが、概ね無機成分/有機成分の重量比で30/70〜80/20の範囲である。
本発明では、熱処理工程で用いられるに用いるスラッジの固形分濃度は特に限定はないが、熱処理工程中のエネルギーコストを低減する観点から、また熱処理装置を小さくする観点から、スラッジの固形分濃度はなるべく高くした方が好ましいので、70%以上にするのがよい。しかるに、前記の脱水工程のみでは、脱水装置機の能力によって異なるものの、固形分濃度は概ね5〜60質量%程度であるため、更に乾燥処理して固形分濃度を高めることが推奨される。
本発明の熱処理工程は、空気(酸素)雰囲気で行うことで、燃焼効率が向上するため、熱処理装置を小規模化、省力化することができる。その熱処理温度は、スラッジ中のカーボンブラック等のインク顔料や繊維およびポリマー等の有機物を安定して燃焼させる温度になるように後述の方法により制御される。
熱処理工程の主要部となる焼成炉としては、特に限定はなく、トンネルキルン、ローラーハースキルン、プッシャーキルン、シャトルキルンのような箱型炉、縦型円筒炉、回転式横型円筒炉、スクリュー式横型円筒炉などを用いることができる。スラッジを供給する方式としてはバッチ式、連続式があるが、多量に処理できる連続式の方が好ましい。スラッジへの伝熱が良好で、加熱炉内のスラッジがより均一に表面に出ることができる回転式横型円筒炉あるいは流動させることが可能なスクリュー式横型円筒炉を用いることが好ましい。設備の維持の面から極力単純なもので駆動エネルギーが少ない、回転式横型円筒炉であるロータリーキルンが好ましい。ロータリーキルンの焼成室の形としては円筒型、六角型などを使用することができる。ロータリーキルンとしては、高砂工業(株)の外熱式連続ロータリーキルン、(株)栗本鉄工所の連続外熱式ロータリーキルンIRK型、(株)ノリタケエンジニアリングの間接加熱連続式ロータリーキルンRKC−SG型、岩佐機械工業(株)の外熱型ロータリーキルンなどを用いることができる。また、キルン炉内にリフターや回転駆動できる攪拌部材を設けることで、スラッジと酸素がより多くかつ均一に接触するので、有機分の燃焼が効率的に行われ、スラッジ焼成物の白色度が向上し品質も均一になるのでより好ましい。さらに、多筒型キルンやキルンの焼成室内を多分割隔壁構造にすることで、伝熱面積が増大、かつ、スラッジへのキルン炉内のスラッジ積層・堆積が低減され、スラッジと酸素との接触、およびスラッジへの伝熱が良くなるので、スラッジ焼成物の白色度が向上し、均一な品質を得ることができるので好ましい。また、焼成室内を多分割隔壁構造にすることで、従来のキルンよりも前述のようにスラッジ積層・堆積を低減させることができるため、多くのスラッジを処理することが可能で、熱処理装置を小規模化することができる。焼成室内の分割数については、特に限定はないが、好ましくは6分割以上、さらに好ましくは10分割以上である。分割は焼成室の筒断面を放射状に区切る仕切り板を設けることによって行える。
カオリンは、400℃を超えた付近から結晶水が脱離し、500〜850℃までは非晶質のメタカオリンとして存在する。この非晶質のメタカオリンは、焼成カオリンと呼ばれるもので、嵩高く、不透明度が良好で、平滑性に優れる無機粒子である。900℃を超えると、γアルミナ、ムライトを生成する。これらのγアルミナ、ムライトは、非常に硬いため、ワイヤー摩耗、塗工ブレード摩耗が悪くなるため、製紙用材料としては好ましくない。また、850℃をやや超えた領域で、非晶質のメタカオリンと先出の炭酸カルシウムから分解された酸化カルシウムが存在すると、化学反応により、硬い、再利用に適さないゲーレナイトが生成する。
また、本発明の熱処理工程においては、850℃を超えない温度までスラッジ温度を段階的に上げていってもよい。
なお、ここに示した温度は焼成室9内で焼成処理される際のスラッジ温度であり、熱処理装置内雰囲気温度とは厳密には異なる。熱処理装置内雰囲気温度は供給される空気の温度にもよるが、通常、スラッジ温度よりも低くなる。
この熱処理時間、スラッジ温度、空気流量、流速等の条件を適宜制御することにより炭酸カルシウムの分解率を好ましくは50%以上とし、より好ましくは60%以上とし、更に好ましくは70%以上にさせている。
本発明においては、図1に例示するように、熱処理工程後の焼成物は、焼成物を水と混合、攪拌し、焼成物懸濁液とする懸濁液化工程を熱処理工程後に備えてもよい。懸濁液化工程の目的はスラッジ焼成物が含有する酸化カルシウム(CaO)を水酸化カルシウム〔Ca(OH)2〕に転化することであり、焼成物懸濁液化温度は特に制限はない。処理温度が低いと長い保持時間が必要であり、処理温度が高いと温度を維持する必要があるため経済的に好ましくないので、通常は20〜80℃、より好ましくは40〜60℃で行われるのがよい。例えば、処理温度が60℃であれば保持時間は60分程度で十分である。
本発明の熱処理工程のようにスラッジの燃焼効率を向上させると、炭酸カルシウムの分解は促進される。つまり、本発明の熱処理工程後の焼成灰の白色度と炭酸カルシウムの分解率は比例関係にあり、所望の白色の焼成灰を得るには、スラッジ中の炭酸カルシウムを50%を超え分解させている、高白色の焼成灰を得るには60%以上、さらに高白色度の焼成灰を得るには70%以上を分解させている。そのため、熱処理したスラッジ焼成灰を炭酸化処理、硫酸アルミニウム混合処理などの何らかの方法で前記アルカリ成分を中和処理するのが好ましい。
本発明においては、焼成物懸濁液化工程後に炭酸化工程を行うことにより、焼成物懸濁液化中の水酸化カルシウム〔Ca(OH)2〕が炭酸カルシウム(CaCO3)に再生転化され、再生無機粒子スラリーのpHを下げることができる。なお、再生無機粒子スラリーのpHを11以下、好ましくは10以下にすることで、スラリー粘度の上昇を抑制し、顔料の分散不良を生じることを抑制することができる。
本発明の再生無機粒子スラリー(炭酸化後のスラリー)を塗工用顔料として利用する場合は、炭酸化工程後の再生無機粒子スラリーを脱水して脱水組成物とする脱水工程と、該脱水工程により得られる該脱水組成物に水分を加えてスラリー状の分散組成物とする分散工程とを備えることが好ましい。脱水工程は、濾過、遠心分離、加圧脱水、圧搾などの操作により行うことができる。好適な脱水装置としては、フィルタープレスと称される圧搾濾過装置があり、炭酸化処理物の脱水ケーキを得ることができる。分散工程は、脱水工程により得られる脱水組成物に水分を加えてスラリー状の分散組成物とするものであればよい。分散工程時に水分以外に、分散剤を添加することで、スラッジを原料とした再生無機粒子を良好に分散することができ、製紙用材料としての品質が向上すると共に、取り扱いやすくなるので好ましい。分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子系の分散剤など、製紙用材料の製造の際に用いられる一般的な分散剤を使用できる。
本発明において、粉砕処理工程を、分散工程後に備えていてもよい。粉砕処理を行うことにより、再生された無機粒子の粒径を微細化することができ、平滑性が向上するので好ましい。粉砕工程において用いる粉砕機としては、サンドミル、湿式ボールミル、振動ミル、攪拌槽型ミル、流通管型ミル、コボールミルなどの湿式粉砕機を使用することができる。また、二酸化炭素を吹き込みながら、粉砕を行っても良い。
本方法で得られた再生無機粒子を填料として使用した紙は、不透明度、嵩高性を付与することができ、従来の填料と同様に本発明の再生無機粒子を内添した紙であればよく、特に限定はない。また、紙の種類としては、包装用紙、紙容器、インクジェット用紙、PPC用紙などの記録用紙、新聞用紙、上質紙、中質紙、各種塗工用原紙、壁紙、繊維板、写真用原紙、含浸用原紙、難燃紙などが挙げられる。
また、パルプ原料に対して再生無機粒子を含む製紙用填料を添加する際の製紙用填料の濃度としては、パルプ原料混合してから抄紙されるため、抄紙機のインレット濃度の範囲内となるような濃度で添加されれば問題ない。
原紙の少なくとも片面に、本方法で得られた再生無機粒子を含有する顔料と接着剤を主成分とする塗被層を1層以上形成させることで製造することができる。本方法で得られた再生無機粒子は、顔料として用いた場合、平滑性、被覆性、不透明度、インキセット性に優れた性質をもっており、これら効果を発現させるために、塗被層中の全顔料の5質量%以上含有するのが好ましい。5質量%未満では、平滑性、被覆性、不透明度、インキセット性の向上効果を付与することが難しい。特に、本方法で得られた再生無機粒子を含有した塗被層を原紙と接しさせることで、平滑性、被覆性、不透明度、インキセット性の向上効果をより発現させることができるので好ましいまた、再生無機粒子のレーザー回折散乱法による平均粒子径としては、0.3〜5μmとすることが好ましく、2.5μm以下にするのが平滑性の点から特に好ましい。
なお、炭酸化処理していない再生無機粒子は、遊離Caイオンの影響により、塗被液の粘度上昇や分散不良などの問題が生じ、高濃度の塗被液を調製することができず、乾燥不良を招き、操業性や生産性に影響を及ぼす可能性がある。また、紙面pHが高い塗被紙は、カレンダ工程や保管時にアルカリ焼けを起こし、塗被紙外観を損なう可能性がある。したがって、これらの問題を回避するためにも、炭酸化した再生無機粒子を用いるのが好ましい。
また、塗被層の塗被量も、特に限定されるものではなく、塗被紙の白紙品質、印刷品質などに応じて調整することが可能であるが、一般には、片面あたり5〜40g/m2程度である。
以下に、実施例、比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、勿論、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、特に断らない限り、例中の部および%はそれぞれ質量部、および質量%を示す。また、実施例や比較例中のpHおよびX線回折測定は以下の方法で測定した。
試料を乳鉢で粗い粒子がなくなるまですりつぶし、X線回折装置(株式会社マックサイエンス社製MO3XHF)を用いて、測定条件40KV、20mA、測定範囲:5〜50度で測定した。その詳細は以下のごとくであった。
次に、表1に挙げた項目以外の評価として、各実施例について、熱処理後の炭酸カルシウム分解率を、以下i)〜vi)の手順にて熱処理処理前のペーパースラッジ中の炭酸カルシウムとスラッジ焼成物中の残存炭酸カルシウムの量等を求めて評価した。
結晶構造がカルサイトの炭酸カルシウム(奥多摩工業社製 タマパール222H)に対して、内部標準物質として酸化亜鉛(キシダ化学社製 試薬特級)を、重量比1:5、1:1、5:1となるようにそれぞれ混合した。次いで、各混合物について、乳鉢を用いて充分に磨り潰したのちに、X線回折装置(マックスサイエンス社製 MO3XHF)を用いて、40KV、20mA、回折角測定範囲5〜50度の条件で測定し、カルサイト炭酸カルシウムと酸化亜鉛のそれぞれのX線回折100%ピーク面積を基にして、カルサイト炭酸カルシウムの検量線を作成した。
結晶構造がアラゴナイトの炭酸カルシウム(奥多摩工業社製タマパール123)を用いた以外は、前記カルサイト炭酸カルシウムの検量線作成と同様にして、アラゴナイト炭酸カルシウムの検量線を作成した。
秤量した絶乾のペーパースラッジに対して、秤量した酸化亜鉛(試薬特級 前出)を添加混合した。次いで、該混合物について、乳鉢を用いて充分に磨り潰したのちに、X線回折装置(MO3XHF 前出)を用いて、40KV、20mA、回折角測定範囲5〜50度の条件で測定し、酸化亜鉛に対するカルサイト炭酸カルシウム及びアラゴナイト炭酸カルシウムのX線回折100%ピーク面積を求め、前記した各炭酸カルシウムの検量線を基にして、製紙スラッジ1g中に含まれる炭酸カルシウム量(g)を算出した。
秤量した絶乾のペーパースラッジを、マッフル炉にて350℃、30分で燃焼処理し、得られたスラッジ焼成物の重量を秤量し、下式によってスラッジの灰分含有量(%)を測定した。
灰分含有量(%)=(スラッジ焼成物重量/絶乾の製紙スラッジ重量)×100
秤量したスラッジ焼成物に対して、秤量した酸化亜鉛(試薬特級 前出)を添加混合した。次いで、該混合物について、乳鉢を用いて充分に磨り潰したのちに、X線回折装置(MO3XHF 前出)を用いて、40KV、20mA、回折角測定範囲5〜50度の条件で測定し、酸化亜鉛に対するカルサイト炭酸カルシウム及びアラゴナイト炭酸カルシウムのX線回折100%ピーク面積を求め、前記した各炭酸カルシウムの検量線を基にして、スラッジ焼成物1g中に含まれる炭酸カルシウム量(g)を算出した。
スラッジ焼成物1g中の炭酸カルシウム量(g)をA、製紙スラッジ1g中の炭酸カルシウム量(g)をB、灰分含有量(%)をCとし、下式によって燃焼処理後の炭酸カルシウムの分解率を算出した。
炭酸カルシウム分解率(%)=100−〔A×(C/100)〕÷B×100
得られた無機粒子について、乳鉢で粗い粒子がなくなるまで磨り潰した無機粒子試料を、X線回折装置(MO3XHF 前出)を用いて、40KV、20mA、回折角測定範囲5〜50度の条件で測定し、炭酸カルシウム未再生化物である酸化カルシウム及び水酸化カルシウムの有無を調べた。
日機装株式会社製マイクロトラック粒度測定分布装置HRAX−100を用いて測定した。
[スラッジ]
古紙処理設備を有する製紙工場における雑誌古紙主体の古紙脱墨工程において、浮遊選別法(フローテーション法)によって古紙パルプから浮上分離除去された泡沫状の脱墨浮選廃液に、凝集剤を添加して廃液中の固形分を凝集させた後に、ロータリースクリーンおよびスクリュープレスに順次通液して、固形分約50%の製紙スラッジ(脱墨スラッジ)を回収した。
このペーパースラッジ中の灰分は60%で、その組成は炭酸カルシウム55%、カオリン45%、タルク5%であった。
本熱処理工程は図3に示した構成の熱処理装置によって行った。具体的には連続外熱式ロータリーキルン1(栗本鉄工所製IRK−02、加熱部分:φ25×180cm)を熱処理装置として使用した。ペーパースラッジ11は3.5kg/hの速度でスラッジ供給口である供給ホッパ2から供給した。スラッジはスクリューフィーダー10によって直径約35mmの大きさになるようにしつつ熱処理装置1内に搬送される。ロータリーキルン内を通過しながらスラッジは熱処理、すなわち燃焼される。間接的加熱手段5としては別途図示を省略した燃焼ボイラーからの燃焼ガスを循環ブロワー7から供給して使用した。この際に、排気ファン4からキルン内ガスを未燃焼物搬送用空気流として100L/分(20℃換算)で排出しつつ、その空気流量と間接加熱の制御によりスラッジ温度が850℃になるように加熱し、加熱部分に50分(キルン傾斜:2%、回転数:1.2rpm)滞留させ、焼成物を調製した。
得られたスラッジ焼成物を、懸濁液化槽(消和槽)で60℃温水と混合し、懸濁液化槽を60℃に保持しながら60分間攪拌し、12%焼成物懸濁液を調製した。
炭酸化反応槽に、温度60℃の12%焼成物懸濁液を10kg入れ、反応槽を60℃に保持しながら25容量%の二酸化炭素含有ガスを20L/分吹き込み、60分間攪拌を行い、再生無機粒子を得た。得られた再生無機粒子をX線回折で測定したところ、焼成処理によって分解された炭酸カルシウムは全量炭酸カルシウムに再生されていた。
炭酸化工程によって得られた再生無機粒子については、製紙用填料としては、そのまま使用した。また塗工用顔料としては、以下の次工程を行なった後に使用した。
炭酸化工程終了組成物をフィルタープレスで脱水することにより固形分が約50%の脱水組成物とし、続いて固形分48%となるようにコーレスミキサーで該脱水組成物を水に分散させた。その分散の際、水にポリアクリル酸系分散剤(商品名:アロンT−50、東亜合成株式会社製)を組成物(該脱水組成物)の固形分対比で1.0部の量を添加し、スラリーを調製した。
分散工程後のスラリー組成物を湿式粉砕機であるサンドグラインダーを用いて平均粒子径が1.3μmになるまで粉砕した。
熱処理工程前に以下の乾燥工程を付加した以外は実施例1と同様にして行った。
ペーパースラッジを、回転乾燥機を用いて、固形分75%になるように乾燥を行い、熱処理工程用原料とした。
熱処理工程を変更した以外は実施例2と同様にして行った。
[熱処理工程]
本熱処理工程は図2に示した構成の熱処理装置によって行った。具体的には連続外熱式ロータリーキルン1(栗本鉄工所製IRK−02、加熱部分:Φ25 ×180cm)を熱処理装置として使用した。ペーパースラッジ11は3.5kg/hの速度でスラッジ供給口である供給ホッパ2から供給した。スラッジはスクリューフィーダー10によって熱処理装置1内に搬送される。ロータリーキルン内を通過しながらスラッジは熱処理、すなわち燃焼される。間接的加熱手段5としては別途図示を省略した燃焼ボイラーからの燃焼ガスを循環ブロワー7から供給して使用した。この際に、排気ファン4からキルン内ガスを未燃焼物搬送用空気流として250L/分(20℃換算)で排出しつつ、その空気流量と間接加熱の制御によりスラッジ温度が850℃になるように加熱し、加熱部分に50分滞留(キルン傾斜:2%、回転数:1.2rpm)させ、焼成物を調製した。
熱処理工程の温度を700℃に変更した以外は実施例3と同様にして行った。得られた焼成物をX線回折で測定し、炭酸カルシウムの分解率を求めた。その結果、炭酸カルシウムは35%が酸化カルシウムに分解されていた。また、カオリンは100%が焼成カオリンに変成し、タルクは全く分解されていなかった。
熱処理工程の加熱時間を90分に変更した以外は実施例4と同様にして行った。得られた焼成物をX線回折で測定し、炭酸カルシウムの分解率を求めた。その結果、炭酸カルシウムは70%が酸化カルシウムに分解されていた。また、カオリンは100%が焼成カオリンに変成し、タルクは全く分解されていなかった。
スラッジの大きさを直径1mmに変更した以外は実施例5と同様にして行った。得られた焼成物をX線回折で測定し、炭酸カルシウムの分解率を求めた。その結果、炭酸カルシウムは70%が酸化カルシウムに分解されていた。また、カオリンは100%が焼成カオリンに変成し、タルクは全く分解されていなかった。
スラッジの大きさを直径20mmに変更し、未燃焼物搬送用空気流Aを500L/分とした以外は実施例6と同様にして行った。得られた焼成物をX線回折で測定し、炭酸カルシウムの分解率を求めた。その結果、炭酸カルシウムは100%が酸化カルシウムに分解されていた。また、カオリンは100%が焼成カオリンに変成し、タルクは全く分解されていなかった。
乾燥工程前に以下の造粒工程を付加し、熱処理工程を変更した以外は実施例7と同様にして行った。
スラッジを、ブリケットマシンを用いてφ20mm×5mm厚になるように成形し、乾燥工程用の原料とした。
ペーパースラッジの供給速度を3.5kg/hとし、未燃焼物搬送用空気流の流量を300L/分とし、スラッジ温度が600℃になるように加熱し、加熱部分に240分(キルン傾斜:0.5%、回転数:1.3rpm)滞留させたほかは実施例7と同様にして焼成物を調製した。
熱処理工程の温度を750℃、加熱時間を120分に変更した以外は実施例7と同様にして行った。その結果、炭酸カルシウムは100%が酸化カルシウムに分解され、カオリンは100%焼成カオリンに変成し、タルクは全く分解されていなかった。
造粒工程、熱処理工程を変更した以外は実施例7と同様にして行った。
[造粒工程]
スラッジを、ディスク・ペレッター(株式会社ダルトン製、既述)を用いて、φ5mm×長さ15mmになるように成形し、乾燥工程および熱処理工程用の原料とした。
造粒したペーパースラッジの供給速度を3.5kg/hとし、未燃焼物搬送用空気流Aの流量を250L/分、スラッジ温度を600℃、加熱部分に30分(キルン傾斜:2%、回転数:2.1rpm)滞留させ、一次処理焼成物を調製した。次いで調製した一次処理焼成物を、再度、ロータリーキルン1に供給し、未燃焼物搬送用空気流Aの流量を200L/分、二次焼成物温度を800℃、加熱部分に70分(キルン傾斜:1%、回転数:1.0rpm)滞留させ、焼成物を調製した。
炭酸化工程を行わずに、熱処理焼成物をそのまま製紙用填料および塗工用顔料用途の無機粒子として使用した以外は、実施例4と同様にして行った。得られたスラッジ焼成物(無機粒子)をX線回折で測定し、炭酸カルシウムの分解率を求めた。その結果、炭酸カルシウムは35%が酸化カルシウムに分解されていた。また、カオリンは100%焼成カオリンに変成し、タルクは全く分解されていなかった。得られたスラッジ焼成物には未燃焼物の混入が見られなかった。得られた無機粒子については、製紙用填料として使用する場合には、そのまま使用し、塗工用顔料として使用する場合には、以下の分散工程および粉砕工程を追加して行い、塗工用顔料とした。
熱処理焼成物を固形分が約35%となるようにコーレスミキサーを用いて水に分散させた。その分散の際、水にポリアクリル酸系分散剤(商品名:アロンT−50、東亜合成株式会社製)を焼成物の固形分対比で2.0部の量を添加し、スラリーを調製した。
分散工程後のスラリー組成物を湿式粉砕機であるサンドグラインダーを用いて平均粒子径が1.3μmになるまで粉砕した。
造粒工程、熱処理工程を変更した以外は実施例7と同様にして行った。
[造粒工程]
スラッジを、ディスク・ペレッター(株式会社ダルトン製)を用いて、φ5mm×長さ15mmになるように成形し、熱処理工程用の原料とした。
ペーパースラッジの供給速度を3.5kg/hとし、未燃焼物搬送用空気流の流量を500L/分、スラッジ温度を750℃、加熱時間を120分(キルン傾斜:1%、回転数:0.95rpm)滞留させたほかは実施例7と同様にして焼成物を調製した。その結果、炭酸カルシウムは100%が酸化カルシウムに分解され、カオリンは100が%焼成カオリンに変成し、タルクは全く分解されていなかった。
熱処理工程を以下のように変更した以外は実施例9と同様にして行った。
[熱処理工程]
ペーパースラッジ3.5kg/hを、連続式直接的加熱型ロータリーキルン(加熱部分:φ25×180cm)の一端から供給し、他端から排出した。最高温度を750℃とし、キルン内部に60分滞留させ、焼成物を調製した。直接的加熱型であるのでスラッジ供給側からいわゆる燃焼用灯油バーナーで炉内を直接加熱し、その燃焼量により温度調整をおこなった。この際、直接的加熱型キルン内の温度を均一に調整することは困難であった。
ペーパースラッジを熱処理した焼成品、およびペーパースラッジから製造した再生無機粒子を、以下の方法により評価を行った。
サンプル(乾燥物)を約10g、乳鉢で粗い粒子がなくなるまですりつぶしたのち、粉体試料成形機(理学電機工業株式会社製、Cat9302/30)を用いて、圧力100kNにて30秒加圧して粉体試料成形した。成形したサンプルの白色度を分光白色度測色計(スガ試験機社製SC−10WT型)を使用し、JIS P8148(2001年)に準拠し、測定した。
王子工営(株)製ワイヤー摩耗試験機を使用し、固形分濃度:5%の填料分散液をポンプ循環させながら、試験条件(加重=650g,ワイヤー=プラスチックワイヤー/SS−60、日本フィルコン社製を使用、試験時間=3時間)で摩耗度試験を行い、減量したワイヤーの重量(mg)をもって、ワイヤー摩耗性を評価した。また軽質炭酸カルシウム(自製品)、重質炭酸カルシウム(自製品)およびタルク(商品名:SK−2、東洋化成社製)の各5質量%濃度のスラリーを調製し、磨耗試験の比較用試料として用いた。
○ :ワイヤー摩耗性は良好である。
○’:ワイヤー摩耗性は若干悪いが、使用できる範囲である。
× :ワイヤー摩耗性が悪く、使用できない。
得られた無機粒子の分散液は、ラコムテスターpH計(pHScanWPBN型/アズワン製)を使用し、各種顔料分散液中に直接pH電極を浸漬させて顔料分散液のpHを測定した。なお、pH測定に使用したpH計については、NIST基準校正液(pH6.86、およびpH9.18の2種類)を用いてpH校正を行なった後にpH測定を行なった。実施例1〜10、12、比較例1は、pH9.6〜10.6、実施例11はpH11.5であった。
実施例13
[下塗り塗被液の調製]
実施例12で得た再生無機粒子10質量%、平均粒子径2μm重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブK−6、備北粉化社製)90質量%からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:エースB、王子コーンスターチ社製)4部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:T2628G、JSR社製)6部(いずれも固形分換算)、さらに、助剤として消泡剤及び染料を添加し、最終的に固形分濃度62%の塗被液を調製した。
微粒カオリン(商品名:ミラグロスJ、エンゲルハード社製)60質量%、平均粒子径1.3μm重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブK−9、備北粉化工業社製)40質量%からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:エースB、前出)2部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:T2628G、前出)10部(いずれも固形分換算)、さらに、助剤として消泡剤及び染料を添加し、最終的に固形分濃度65%の塗被液を調製した。
緊度が0.75g/cm3である上質原紙(米坪70.0g/m2)に、下塗り塗被層用塗被液を片面当たりの乾燥重量が7g/m2となるようにブレードコーターを使用して両面塗被、乾燥を行い、下塗り塗被層を設けた。次いで、上塗り塗被層用塗被液を片面当たりの乾燥重量が9g/m2となるようにブレードコーターを使用して両面塗被、乾燥を行い、上塗り塗被層を設けた。このようにして得られた塗被紙を、温度70℃、線圧200KN/mでスーパーカレンダに通紙して、塗被紙を得た。
下塗り塗被層を変更した以外は実施例13と同様にして塗被紙を得た。
[下塗り塗被液の調製]
実施例12で得た再生無機粒子30質量%、平均粒子径2μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブK−6、前出)70質量%からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:エースB、前出)4部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:T2628G、前出)6部(いずれも固形分換算)、さらに、助剤として消泡剤及び染料を添加し、最終的に固形分濃度59%の塗被液を調製した。
下塗り塗被層の顔料を比較例1で得た再生無機粒子に変更し、最終的に固形分濃度60%の塗被液を調製した以外は実施例14と同様にして塗被紙を得た。
下塗り塗被層の顔料を実施例11で得た再生無機粒子に変更し、最終的に固形分濃度50%の塗被液を調製した以外は実施例14と同様にして塗被紙を得た。
下塗り塗被層を変更した以外は実施例13と同様にして塗被紙を得た。
[下塗り塗被液の調製]
平均粒子径1.3μm重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブK−9、前出)100質量%からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:エースB、前出)4部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:T2628G、前出)6部(いずれも固形分換算)、さらに、助剤として消泡剤及び染料を添加し、最終的に固形分濃度65%の塗被液を調製した。
下塗り塗被層の顔料を平均粒子径2.0μm重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブK−6、前出)に変更した以外は参考例2と同様にして塗被紙を得た。
下塗り塗被層の顔料を微粒カオリン(商品名:ミラグロスJ、前出)に変更した以外は参考例2と同様にして塗被紙を得た。
以上の実施例、参考例、比較例についての品質評価を纏めれば、主に[表2]のとおりになる。なお品質評価については特に記載ない限り、23℃、50RH%の環境において、以下の方法により評価を行った。
スガ試験機社製、分光白色度測色計を使用し、JIS P8148に準拠し、測定した。
スガ試験機社製、分光白色度測色計を使用し、JIS P8149に準拠し、測定した。
村上色彩技術研究所製、75°光沢度計を使用し、JIS Z8741に準拠し、測定した。
パーカープリントサーフ(PPS)表面平滑度試験機(機種名:MODEL M−569型、MESSMER BUCHEL社製、英国)を用い、バッキングディスク:ソフトラバー、クランプ圧力:0.98MPaで5回平滑度測定を行ない、その平均を求めた。
RI印刷機にて、印刷インキ(商品名:FUSION−G 墨、Sタイプ、大日本インキ化学工業社製)を0.1cc使用して印刷を行い、転写したインキ濃度(インキ着肉性)およびインキの転写均一性(印刷平滑性)を総合的に目視で観察して評価した。
◎:印刷適性が特に優れる。
○:印刷適性が優れる。
△:印刷適性がやや劣るが、実用上問題ない。
×:印刷適性が劣る。
RI印刷機にて、印刷インキ(商品名:FUSION−G 墨、Sタイプ、既述)を0.6cc使用して印刷を行い、3分後に白紙と印刷面を重ねて、再度RI印刷機にニップし、白紙に転写したインキ濃度を目視評価した。
◎:インキセットが非常に早く、特に優れる。
○:インキセットが早く、優れる。
△:インキセットはやや遅いが、実用上問題ない。
×:インキセットが遅く、実用上問題がある。
実施例15
[塗被液の調製]
実施例12で得た再生無機粒子15質量%、平均粒子径1.3μm重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブK−9、前出)35質量%、微粒カオリン(ミラグロスJ、前出)50質量%からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:エースB、前出)4部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:T2628G、前出)7部(いずれも固形分換算)、さらに、助剤として消泡剤及び染料を添加し、最終的に固形分濃度62%の塗被液を調製した。
緊度が0.75g/cm3である上質原紙(米坪70.0g/m2)に、塗被層用塗被液を片面当たりの乾燥重量が8g/m2となるようにブレードコーターを使用して両面塗被、乾燥を行い、塗被層を設けた。このようにして得られた塗被紙を、温度70℃、線圧200KN/mでスーパーカレンダに通紙して、塗被紙を得た。
塗被層の顔料を比較例1で得た再生無機粒子に変更した以外は実施例15と同様にして塗被紙を得た。
塗被層の顔料を実施例11で得た再生無機粒子に変更し、最終的に固形分濃度55%の塗被液を調製したた以外は実施例15と同様にして塗被紙を得た。
塗被層の顔料を微粒カオリン(商品名:ミラグロスJ、前出)に変更し、最終的に固形分濃度65%の塗被液を調製したた以外は実施例15と同様にして塗被紙を得た。
以上の実施例、参考例、比較例についてのデーターを纏めれば、主に[表3]のとおりになる。なお、品質評価方法については前記表2と同様に行った。
実施例16
[紙料の調製]
広葉樹パルプ(LBKP濾水度450ml)のスラリー(濃度2.5%)に、実施例12で得た再生填料30質量%、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−121、奥多摩工業社製)70質量%の混合填料スラリーをパルプ絶乾重量当たり15部、カチオン化澱粉(商品名:エースK100、王子コンスターチ社製)0.8部、硫酸バンド0.5部、アルキルケテンダイマー(商品名:K−287、荒川化学工業社製)0.1部をそれぞれ添加し、固形分濃度0.5%の紙料を調製した。
調製した紙料をオントップのツインワイヤー抄紙機で抄紙、乾燥し、続いて、ゲートロールコーターで酸化澱粉の塗布量が乾燥重量で両面合計1.5g/m2となるように塗布、乾燥後、3ニップのマシンカレンダに通紙して、米坪70g/m2の上質紙を得た。
上質紙中の填料を比較例1で得た再生填料に変更した以外は実施例16と同様にして塗被紙を得た。
上質紙中の填料を軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−121、前出)100質量%に変更した以外は実施例16と同様にして塗被紙を得た。
以上の実施例、参考例、比較例についてのデーターを纏めれば、主に[表4]のとおりになる。なお品質評価は、前記表2と同様の方法および以下の方法により、特に記載ない限り、23℃、50RH%の環境下で行った。
熊谷理機工業社製、クラーク剛度試験機を使用し、JIS P8143(1996)に準拠し、測定した。
島津製作所社製、引っ張り試験機を使用し、JIS P8113(1998)に準拠し、測定した。
インターナルボンドテスタを使用し、JAPAN TAPPI 18−2に準拠し、測定した。
Claims (10)
- ペーパースラッジを原料として熱処理装置の一方の端部に設置されるスラッジ供給口から供給し、該スラッジ供給口に対してペーパースラッジの移動方向にあたる反対側の端部に設置されるスラッジ排出口から取り出す間に過剰空気雰囲気下で間接的加熱方法により熱処理する熱処理工程を備える無機粒子の製造方法であって、その熱処理工程の際に、熱処理装置の一端のスラッジ供給口側から熱処理装置内空気を強制的に排出することにより、同他端のスラッジ排出口側から未燃焼物搬送用空気を熱処理装置内へ吸入し該未燃焼物搬送用空気流を該熱処理装置から排出することにより未燃焼物を該未燃焼物搬送用空気流に載せて取り出し、ペーパースラッジから除去することを特徴とする無機粒子の製造方法。
- 前記熱処理装置が筒型であることを特徴とする請求項1記載の無機粒子の製造方法。
- 前記熱処理装置が単一の直管状筒型炉からなることを特徴とする請求項1または2記載の無機粒子の製造方法。
- 未燃焼物が炭化物粒子であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の無機粒子の製造方法。
- 前記熱処理工程において、前記スラッジ供給口の近傍から未燃焼物搬送用空気流を強制的に排出すると共に該空気流の排出量の制御は該空気流排出側で行われることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の無機粒子の製造方法。
- 前記未燃焼物搬送用空気を前記熱処理装置のスラッジ排出口の近傍に設けた空気供給口から吸入することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の無機粒子の製造方法。
- 前記熱処理工程が、ペーパースラッジ温度600〜850℃で処理することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の無機粒子の製造方法。
- 前記熱処理工程で、ペーパースラッジ中の炭酸カルシウムを50%を超えて分解することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の無機粒子の製造方法。
- 前記熱処理工程の後に、該熱処理工程で得られた焼成物を水と混合、攪拌し、焼成物懸濁液とする焼成物懸濁液化工程と、焼成物懸濁液に二酸化炭素を接触させる炭酸化工程と、を更に備えたことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の無機粒子の製造方法。
- ペーパースラッジを筒型熱処理装置の筒軸方向の端部のスラッジ供給口から供給し、該スラッジ供給口に対して筒軸方向について反対側の端部に設置されるスラッジ排出口から取り出す間に過剰空気雰囲気下で間接的加熱方法により熱処理する筒型熱処理装置であって、未燃焼物搬送空気流を発生するための排気手段を該スラッジ供給口近傍に有し、該スラッジ供給口側から熱処理装置内空気を強制的に排出することにより、同他端のスラッジ排出口側から未燃焼物搬送用空気を熱処理装置内へ吸入し該未燃焼物を熱処理後の焼成物スラッジから載せて取り出すように未燃焼物搬送空気流を排出すると共に該空気流の排出量の制御は排気手段側で行われるように構成した熱処理装置を備えることを特徴とする無機粒子の製造プラント。
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