JP4257550B2 - 白色無機粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、製紙工場から排出される製紙スラッジを原料とし、塗工紙用顔料または製紙用填料として有用な白色の無機粒子を製造する方法に関する。
製紙工場においては、製紙原料であるパルプ等の繊維分、澱粉や合成接着剤等の有機物、紙製品に歩留らずに排水中に含まれて処理される製紙用填料や塗工紙用顔料を主とする無機物、さらには、パルプ化工程で洗い出されたリグニンや微細繊維、古紙由来の印刷インク、それに付着した塗工紙用顔料や製紙用填料、また生物廃水処理で生じる余剰汚泥などから成る、いわゆる製紙スラッジが発生する。近年、環境保全の観点から従来の廃棄対象物を資源として有効活用する動きが産業界全体で強まっており、製紙業界においても製紙原料として回収古紙を利用する比率が高まっているが、この古紙利用の増加に伴って製紙工場廃水に含まれるスラッジの処理が大きな課題になっている。
このような製紙スラッジは、従来では産業廃棄物として埋立て処分されることが多かったが、最近では流動床炉、ストーカ炉などの焼却炉内でスラッジ中の有機成分を焼却処理することにより、エネルギーとしての回収と同時に減容化を図るようにしている。しかるに、製紙スラッジ中には無機物が高比率で含まれるため、焼却処理してもスラッジ焼却灰が発生することになる。そして、大量に発生するスラッジ焼却灰は、一部がセメント原料、製鉄の酸化防止剤、土壌改良剤などに再利用されているが、大部分は産業廃棄物として埋立て処分されているのが現状である。
一方、回収される古紙は、無機成分含量が少ない新聞、上質紙などの非塗工紙系古紙と、無機成分含量が多い雑誌などの塗工紙系古紙との2種に大別され、現状では再生処理が容易な非塗工紙系古紙が主流をなしている。しかし、今後の古紙利用率を高める上で必然的に塗工紙系古紙の比率が増すことになり、これに伴ってスラッジ発生量も急増することが予想される。従って、今後は製紙スラッジ、およびその焼却灰を廃棄物として処理することがますます困難になり、また年々高騰している廃棄物処理費用が紙パルプ工業の収益を圧迫することにもなるから、製紙スラッジを高率で有効利用し得る技術の開発が急務である。
製紙スラッジの有望な再生用途として、その焼却処理後の無機成分主体のスラッジ焼却灰を製紙用填料、塗工紙用顔料などの製紙用材料に再利用することが挙げられる。この再利用が実現すれば、大量のスラッジ焼却灰を製紙用材料として消費できるから、産業廃棄物の削減のみならず、古紙利用率の向上にも結び付き、環境対策上の問題が一挙に解消することになる。
そこで、製紙スラッジを好適な製紙用材料に転化することを目的として、既に様々な方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、製紙汚泥廃棄物の焼成システムに関する発明が提案されており、このシステムにおいては、製紙スラッジは350〜700℃程度で炭化された後、650〜800℃で焼成処理される。また、特許文献2には、製紙スラッジを低酸素条件下(好ましくは無酸素条件下)600℃未満の温度で炭化処理した後、600〜800℃で焼成処理する紙の製造方法に関する発明が提案されている。特許文献3には、製紙スラッジを原料とし、400〜700℃で有機分を炭化し、炭化物を粉砕した後、650〜700℃で有機分を焼成させる顔料塗工古紙の脱墨スラッジを原料とする白色顔料の製造方法に関する発明が提案されている。
特許文献4には、製紙スラッジを貧酸素状況下1000℃以下で炭化処理した後、450〜1000℃で焼成処理する有機成分と白色無機粒子を含む混合物の処理方法に関する発明が提案されている。また、特許文献5には、製紙スラッジを貧酸素雰囲気下、400〜700℃で炭化した後、650℃以上で2段階の焼成処理を行う製紙汚泥廃棄物からの炭酸カルシウム回収方法に関する発明が提案されている。特許文献6には、製紙スラッジを1基のキルン内で200℃から徐々に昇温して乾燥させ、600℃で炭化させた後に更に昇温して850℃で焼成処理する塗工紙用顔料の製造方法に関する発明が提案されている。
一方、製紙スラッジを炭化処理せずに特定条件での焼成処理を行なう方法としては、例えば、引用文献7には、製紙スラッジを2段階で焼成処理を行い、その第1段階の焼成温度を750℃以下、第2段階の焼成温度を800℃未満とすることにより、製紙用原材料に由来し、製紙スラッジ中に含まれる炭酸カルシウムの熱分解を50%未満に抑える方法が提案されている。特許文献8には、製紙スラッジの中の脱墨スラッジ分を1次焼成工程がサイクロン炉を用いて700℃以下、焼成時間10秒以内で焼成処理し、次いで2次焼成工程が700℃以下で焼成処理する脱墨スラッジからの白色顔料又は白色填料の製造方法に関する発明が提案されている。また、特許文献9には、製紙スラッジを800℃で焼却した焼却灰を、500〜1100℃で再度焼成する白色顔料の製造方法に関する発明が提案されている。
以上の方法はすべて製紙スラッジを乾式酸化(所謂、焼成処理)するものであるが、乾式酸化と湿式酸化を組み合せてスラッジ焼却灰とする方法として、例えば、特許文献10には、製紙スラッジを200〜800℃で湿式酸化処理した後に800〜1100℃乾式酸化処理するか、逆に乾式酸化処理後に湿式酸化処理する白色顔料の製造方法に関する発明が提案されている。
特開2005−161239号公報 特許第3563707号公報 特開2001−262002号公報 特開2002−308619号公報 特開2004−262701号公報 特開2004−176209号公報 特開平10−029818号公報 特許第3831719号 特開平11−310732号公報 特開2001−026727号公報
製紙スラッジを製紙用材料として再利用するためには、できるだけ白色度の高いスラッジ焼却灰を得ることが望ましい。そのためには、白色度低下の要因となる煤、炭などの未燃焼の有機成分をスラッジ焼成灰から極力除去することが重要である。
前記のとおり、従来技術においては、スラッジ中に含まれる有機成分の除去は、スラッジを焼却し、炭化水素(Cn2n+2)、炭水化物(Cn2nn)などの有機成分を燃焼させることにより行われる。有機成分の燃焼は、有機成分中の炭素(C)、水素(H)および酸素(O)の各原子が酸素(O2)と化学的に反応して、二酸化炭素(CO2)と水(H2O)となる反応である。この燃焼反応を安定して行うためには、(1)燃料となる炭素源(有機成分)、(2)炭素源を発火させるための熱源、および(3)燃焼のための充分な酸素(O2)の3要素が不可欠である。
図15は、従来の単一管で構成されるスラッジ焼成用回転式キルン炉のスラッジの状態を例示した図であり、回転式キルン炉の横長の回転胴の長手方向に対して直交する方向の断面(径方向断面)を示している。図15に示すように、スラッジの焼成には回転式キルン炉が用いられ、回転式キルン炉内には、単一の略円柱状の管部で構成される回転胴1が配置されており、回転胴1内には粒子状の製紙スラッジSが投入され、積層、堆積される。そして、製紙スラッジSは、回転胴1の回転dに従って図の左上方向に移送され、その後、図の右下方向に流れ落ちることにより撹拌される。このようにして、製紙スラッジSは、撹拌されつつ、回転胴1内を図の垂直方向に移送され、連続的に焼成されることになる。
しかし、従来の回転式キルン炉においては、回転胴1に対して投入される製紙スラッジSの量が多いと、回転胴1に回転を与えても、回転胴1の下底部の左隅に偏在し、十分に撹拌をすることができない。このような状態で、スラッジに含まれる有機成分を燃焼させるのに必要な酸素(空気)を焼成炉内に送り込んだところで、積層・堆積した下底部のスラッジ原材料まで酸素が行き渡らず、不完全燃焼が生じる。
このように、製紙スラッジと酸素との接触が不十分のままでは、有機成分の燃焼除去効率が大きく低下して、未燃カーボン(煤)が多く残存し、白色度の低い加熱・焼成処理物しか得られない。
特許文献8には、サイクロン炉のほか、前掲の焼成炉の回転胴内に積層・堆積した製紙スラッジの空気との接触を向上させるため、回転胴内に撹拌部材を設け、この撹拌部材を回転動力で機械的に駆動させることにより、積層・堆積する製紙スラッジを強制的に撹拌し、製紙スラッジと空気と接触させることが提案されている。しかし、このような方法で強制的に撹拌しても、実際にはスラッジは直ぐに落下して積層・堆積する。従って、スラッジと空気との充分な接触を確保することが困難であり、しかも、1ヶ月当り最大で数千トンにも及ぶ極めて大量の製紙スラッジを効率よく処理するためには、回転動力を与える装置への負担が大きく、機械的な耐久性など実用上の問題が生じる。
このように、従来技術においては、大量の製紙スラッジを処理する場合においても、スラッジと酸素(O2)との充分な接触を確保できず、スラッジの焼成処理を高効率で行うことができなかった。
一方、スラッジ中に含まれる炭酸カルシウム(CaCO3)は、焼成処理によって熱分解(脱炭酸)を起こし、酸化カルシウム(CaO)と二酸化炭素(CO2)に変化することが知られている。純粋な炭酸カルシウムの熱分解は、898℃、解離圧1atmで行われるとされているが(理化学辞典 第4版 岩波書店参照)、JIS P 8251(2003年)によれば、実際には、紙中の炭酸カルシウムは前記温度よりも低い約525℃を超えた温度で熱分解、すなわち、炭酸カルシウムから炭酸ガス(CO2)が離脱して酸化カルシウム(CaO)に転化する反応が起こる。
このため、前掲の従来技術のように、600〜800℃という温度で製紙スラッジを焼成すると、必然的に紙中の炭酸カルシウムは熱分解される。従って、このような焼成温度で炭酸カルシウムの熱分解を押さえつつ、白色化するというのは、相反的作用を期待することになり、所望する高品位なスラッジ焼却灰を高効率に得るのは困難であった。
なお、前記従来の製紙スラッジを乾式酸化と湿式酸化を組み合せて多段酸化処理する方法は、処理工程および処理設備が複雑化するため、処理コストが非常に高く付き、多量の製紙スラッジの焼成処理には不向きである。
したがって、処理を要する製紙スラッジは最終的に1ヶ月当たり数百トン〜数千トンにもなることが予想されるが、前記従来の製紙スラッジの各種処理方法では、そのいずれにおいても多量の製紙スラッジを効率的に処理できない上、高白色度で高品位のスラッジ焼却灰を得るには不向きであった。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、製紙工場から排出される製紙スラッジから製紙用材料の製紙用填料、塗工紙用顔料などとして有効利用できる高品質の白色の無機粒子を効率よく、経済的且つ大規模に製造する方法を提供することを目的としている。
本発明は、「製紙スラッジを筒型熱処理炉内で焼成して白色の無機粒子を製造する方法であって、筒型熱処理炉の回転胴内が横長の回転胴の長手方向に対して直交する方向の断面(径方向断面)において複数の区分室に分割されており、回転胴の回転軸に垂直な断面において、回転胴を上下方向に等間隔に4等分し、上から第1領域、第2領域、第3領域および第4領域とするとき、第1領域および第2領域に存在する製紙スラッジの平均スラッジ存在比率が34%以上である状態で焼成することを特徴とする白色無機粒子の製造方法。」を要旨としている。
ここで、例えば、図11に例示するように、横長の回転胴の長手方向に対して直交する方向の断面(径方向断面)において、回転胴を上下方向に等間隔に4等分し、上から第1領域、第2領域、第3領域および第4領域とするとき、第1領域および第2領域に存在する製紙スラッジの平均スラッジ存在比率が34%以上の状態とする必要がある。第4領域に存在する製紙スラッジ量の合計は、スラッジ充填率が変化しても常時製紙スラッジ総量の1/2以下であり、しかも第3領域に存在する平均スラッジ存在比率が30%未満であることがより望ましい。
なお、回転胴の回転軸に垂直な断面において、製紙スラッジの充填率(製紙スラッジが占める面積/区分室の面積の合計×100)が5〜50%であることが望ましく、区分室の数は、6以上であることが望ましい。また、区分室は、固定された隔壁および/または従動回転型の撹拌翼によって構成されているものであってもよい。回転胴は、6個以上の管を束ねた管部束体により構成されているのが望ましい。
上記の焼成が2段階の工程により行われる場合には、第1および第2の焼成工程における回転胴の区分室の数をそれぞれn1およびn2とするとき、各工程における回転胴の区分室の数が下記の(1)式を満たすことが望ましい。
n1≧n2 ・・・(1)
但し、(1)式中の各記号の意味は下記の通りである。
上記の白色無機粒子の製造方法においては、回転胴内の製紙スラッジの進行方向と逆方向の流れとなるように空気を導入するのが望ましい。また、製紙スラッジに含まれる有機成分の完全燃焼に要する理論酸素量の1.1〜5倍の酸素量を含む空気を回転胴内に導入するのが好ましい。
焼成時には、製紙スラッジに含有される炭酸カルシウムの50%以上を分解してもよい。焼成により得た焼成物を水に懸濁し、その懸濁液に炭酸ガスを通じることにより得た無機粒子懸濁液を脱水、分散および粉砕するのがよい。上記無機粒子懸濁液は、pH11以下であるのが望ましい。特に、白色無機粒子の大きさは、0.1〜20μmであることが望ましい。製紙スラッジは、抄紙系および塗工紙製造系の廃水スラッジならびに古紙脱墨系の加圧浮上(浮選)および/または洗浄によって得られる脱墨スラッジのいずれか一種またはこれらの混合スラッジであることが望ましい。
本発明によれば、筒型熱処理炉内に投入される製紙スラッジの積層、堆積を軽減させ、製紙スラッジと酸素との十分な接触を確保することができるので、効率よく、経済的且つ大規模に高品質の白色無機粒子を製造することができる。
1.概要
図1は、本発明の白色無機粒子の製造方法の好適な一例を示すフローチャート図である。例えば、図1に示すように、本発明の白色無機粒子の製造方法においては、まず、原材料である製紙スラッジを脱水、乾燥および造粒の各工程からなる前処理に供される。焼成効率を向上させるためには、前処理を実施するのがよいが、これらの全部または一部(脱水または造粒)を省略してもよい。
製紙スラッジは、そのまま、または前処理の後、焼成される。この焼成物は、粉砕工程を行って得られた焼成粉砕物を白色の無機粒子として直接使用することもできる。しかし、懸濁液化、炭酸化、脱水、分散および粉砕の各工程からなる後処理を経た白色の無機粒子として回収する方がより好適である。
2.焼成
(a)装置概要
筒型熱処理炉には、被処理物の移送方式により、ロータリーキルン炉(回転式キルン炉)とスクリュー式キルン炉とがあるが、焼成効率の観点からはロータリーキルン炉を用いるのが望ましい。
図2は、本発明において用いられる筒型熱処理炉(回転式キルン炉)の一例を模式的に示す縦断側面図である。図2に示すように、この筒型熱処理炉K1においては、横円筒型の回転胴1が加熱ジャケット2で包囲されており、回転胴1の原料供給口1aには、排気口3と、排気口3からやや離れて設置された原料投入口4とを有し、この原料投入口4と回転胴1の原料供給口1aとの間には、例えば、スクリューフィーダーなどの原料供給手段5が配設されている。回転胴1の焼成物排出口1bには、給気口6と焼成物取出口7とが設けられている。
そして、間接的加熱手段8A、8Bの複数の熱風放出口82から加熱ジャケット2内に熱風が導入されている。熱風放出口82にはバルブが付けられており、ブロア81からの熱風量を調整できるので、回転胴1内の焼成温度を精度よく制御しながら、製紙スラッジSを間接的に加熱できる構成となっている。
(b)望ましい空気の供給・排気方法
排気口3には、例えば、排気ファンのような排気手段9が介装されており、その稼働によって破線矢印aで示すように回転胴1内の空気が排気されるとともに、排気に伴う減圧作用で給気口6より外部の空気が回転胴1内へ吸入される。排気は、排気口3の下流側に設けた排気循環ブロア10により行われる。このように、本発明の白色無機粒子の製造方法においては、回転胴内の製紙スラッジの進行方向と逆方向の流れとなるように空気を導入するのが望ましい。
回転胴内での空気の流れ方向は、被処理物(製紙スラッジとその焼成物)の移送方向に対して逆向き(向流)になるのがよい。こうすれば、仮に、燃焼に伴って不完全燃焼状態にある煤などの浮遊性有機成分が炉内に飛散しても、浮遊性有機成分は空気の流れに乗って原料供給口1aへ戻されて燃焼するか、または、更に排気に付随して筒型熱処理炉外へ排出される。このため、焼成物に不完全燃焼の黒色有機成分が混入するのを防止でき、もって白色度の高い焼成物が得られる。このような浮遊性有機成分は、バグフィルターなどで捕集して除去するか、排気と共に適当な加熱手段によって焼成処理して消失させるのがよい。
排気口3からの高温の排気ガスは、排気循環ブロア10によって熱風循環系へ送られ、前処理の乾燥工程における熱源、間接的加熱手段8A、8Bの熱源または熱風の一部として循環利用できる。なお、間接的加熱手段8A、8Bの熱源または熱風には、前処理の乾燥工程などからの燃焼排ガスを利用してもよい。
回転胴内への空気の供給は、給気口6から空気を吹き込む、吹き込み方式により行ってもよい。但し、上記のように、排気に伴う減圧作用で給気口6より外部の空気が回転胴1内に吸入する方式を採用すれば、排気量によって空気供給量を容易に制御できると共に、安定した空気流によって長い回転胴の全長にわたって空気を確実に行き渡らせることができるので望ましい。また、吹き込み方式および吸入方式を併用することも好ましい。
(c)望ましい空気中の酸素量:製紙スラッジに含まれる有機成分の完全燃焼に要する理論酸素量の1.1〜5倍
空気供給量が少ない場合には、回転胴内を過剰空気雰囲気にすることが困難になり、有機成分の一部の燃焼が不十分となり、その炭化物が残存して焼成物の白色度が低下するおそれがある。一方、空気供給量が過剰な場合には、供給空気によって回転胴内が過度に冷やされ、燃焼温度を維持するためのエネルギーコストが嵩むことになる。従って、供給する空気中の酸素量は、製紙スラッジに含まれる有機成分の完全燃焼に要する理論酸素量の1.1〜5倍とするのが望ましい。特に望ましい下限は2倍程度である。なお、この燃焼用の空気は、有機成分を充分に燃焼させる酸素を含んでおればよいから、通常の外気よりも二酸化炭素の含有量が多いものでも支障はない。
(d)製紙スラッジの移送
なお、回転胴1は、実際には、原料供給口1aから焼成物排出口1bに向かって非常に緩やかな下り勾配を有し、この回転胴1の下り勾配と回転により、内部の被処理物が重力作用で原料供給口1aから焼成物排出口1bへ徐々に移送されるようになっている。
原料投入口4から投入された製紙スラッジSは、実線矢印bで示すように、原料供給手段5によって回転胴1の原料供給口1aに送り込まれ、回転胴1の回転によって焼成物排出口1bへ移送する過程で焼成される。このとき、製紙スラッジS中の有機成分が燃焼される。
(e)望ましい加熱方式
本発明における筒型熱処理炉の加熱方式としては、直接的加熱方式(内熱式)よりも、図2に示すような間接的加熱方式(外熱式)の方が好ましい。すなわち、直接的加熱方式では、処理炉内で熱源ガスを燃焼させるのに大量の空気(酸素)を消費するため、製紙スラッジSに含まれる有機成分の燃焼が空気不足で不完全になる懸念がある上、熱源ガスの燃焼によって炉内温度(スラッジ温度)の制御が非常に困難になる。これに対し、間接的加熱方式では、熱源のために炉内空気を消費することがないから、炉内を過剰空気雰囲気に確実に設定できることに加え、外部からの加熱度合を自在に変化できるので、炉内温度の制御が極めて容易になる。
上記の間接的加熱方式における加熱手段としては、電気的ヒータや誘導電流による加熱も可能ではある。より好ましいのは、エネルギーコスト低減のため、灯油、重油などの燃焼ガス、既存の焼却設備から排出される燃焼排ガス、高温空気、過熱水蒸気などを加熱ジャケット2内に導入する方法、処理炉の周壁にガスバーナーからの燃焼ガスを吹き付けて加熱する方法などである。例えば、炉本体内での焼成処理を経た高温の排気、前処理の乾燥工程からの燃焼排ガスなども、間接的加熱方式の熱媒、熱源の一部として利用できる。
本発明における筒型熱処理炉においては、回転胴1が数〜数十メートルの長さに及ぶ場合もある。そのような場合には、回転胴全体を所望の焼成温度に安定して維持するため、図2に示すように、複数の間接的加熱手段を設けるのがよい。
(f)回転胴の形状
より多くの製紙スラッジを焼成処理するためには、回転胴への製紙スラッジの充填率を増やすことが重要であるが、あまりに多くの製紙スラッジを回転胴内に供給すると、回転胴内における製紙スラッジの積層、堆積の度合いが大きくなり過ぎて有機成分の燃焼が不十分となり、高品質の白色無機粒子を高効率で得ることが難しくなる。
本発明は、筒型熱処理炉K1の回転胴1内が横長の回転胴の長手方向に対して直交する方向の断面(径方向断面)において複数の区分室に分割されており、この複数の区分室に製紙スラッジSを分散配置した状態で焼成することによりこの問題を解決するものである。
図3から図8までは、いずれも本発明の回転胴の例を示す断面図(横長の回転胴の長手方向に対して直交する方向の断面(径方向断面)における断面図)であり、いずれの図においても、(a)は、製紙スラッジが充填されていない状態を示し、(b)は、製紙スラッジが充填された状態を示す。また、図7の(c)は、3分割隔壁の斜視図を示す。
図3(a)に示すように、本発明方法で用いられる回転胴1の一例は、略6角形の外殻11aを有し、その内部が断面六方放射状をなす隔壁11bによって断面正三角形の6個の区分室12に分割された構成を有するものである。図3(b)に示すように、この回転胴1においては、製紙スラッジSの造粒物が充填された状態で矢印d方向に回転が与えられ、区分室12それぞれにおいて製紙スラッジSが分散配置され、常に撹拌されつつ焼成される。
図4(a)に示すように、本発明方法で用いられる回転胴1の他の例は、6本の管部13をドーナツ板状の管部固定部材14によって略円環状に束ねた構成を有するものである。この回転胴1においては、6本の管部13に囲まれた中央の空洞部15は、管部固定部材14の中心孔14aを通して軸心方向に連通しており、6つの区分室と1つの空洞部を有する。図4(b)に示すように、この回転胴1においても、製紙スラッジSの造粒物が充填された状態で矢印d方向に回転が与えられ、区分室13それぞれにおいて製紙スラッジSが分散配置され、常に撹拌されつつ焼成される。空洞部15には熱風が供給され、製紙スラッジS中の有機成分の燃焼が図3に示す例より効率的に行われる。また、この構成であれば、ほぼ管を束ねるだけで構成できるので、所望の分割構造を比較的容易に形成することができる。
図5(a)に示すように、本発明方法で用いられる回転胴1の他の例は、略単円筒の外殻16aを有し、その内部が断面十二方放射状をなす隔壁16bによって12個の区分室17に分割された構成を有するものである。図5(b)に示すように、この回転胴1においては、製紙スラッジSの造粒物が充填された状態で矢印d方向に回転が与えられ、区分室17それぞれにおいて製紙スラッジSが分散配置され、常に撹拌されつつ焼成される。
図6(a)に示すように、本発明方法で用いられる回転胴1の他の例は、二重管をなす内筒部18aと外筒部18bとの間の環状空間を12枚の隔壁18cで放射状に仕切ることにより、12個の区分室19を形成したものであり、内筒部18aの内側は空洞部15をなしている。図6(b)に示すように、この回転胴1においても製紙スラッジSの造粒物が充填された状態で矢印d方向に回転が与えられ、区分室19それぞれにおいて製紙スラッジSが分散配置され、常に撹拌されつつ焼成される。また、空洞部15には熱風が供給され、製紙スラッジS中の有機成分の燃焼が効率的に行われる。
図7(a)に示すように、本発明方法で用いられる回転胴1の他の例は、前掲の図3に示すような、略6角形の外殻11aを有し、その内部が断面六方放射状をなす隔壁11bによって断面正三角形の6個の区分室に分割され、各区分室には図7(c)に示す3分割隔壁11cが挿入されて、中心領域区分室21cおよび最外層領域区分室21oを構成してなるものである。この回転胴は、6分割されたそれぞれの区分室を3分割することにより、18分割したものである。なお、3分割隔壁11cは、他の障壁11bと共に作られた固定式のものでも良い。図7(b)に示すように、この回転胴1においても製紙スラッジSの造粒物が充填された状態で矢印d方向に回転が与えられ、区分室21c、21oそれぞれにおいて製紙スラッジSが分散配置され、常に撹拌されつつ焼成される。
図8に示すように、本発明方法で用いられる回転胴1の他の例は、前掲の図4に示すような、6本の管部13をドーナツ板状の管部固定部材14によって略円環状に束ねた構成を有し、管部13には従動回転型撹拌翼24が挿入され、36個の区分室に分割されたものである。そして、この回転胴1においても製紙スラッジSの造粒物が充填された状態で矢印d方向に回転が与えられ、区分室26において製紙スラッジSが分散配置されるとともに、回転胴の回転により従動回転型撹拌翼24も回転し、常に撹拌された状態で焼成されることになる。
図9および10は、従動回転型撹拌翼の例を示す模式図であり、いずれの図においても、(a)は斜視図、(b)は長手方向に対して直交する方向の断面における断面図を示す。図9に示すのは、堰き止めを有しない従動回転型撹拌翼23であり、図10に示すのは、堰き止め25を有する従動回転型撹拌翼24である。いずれの従動回転型撹拌翼も、図8に示す管部13に挿入されて用いることができる。また、従動回転型撹拌翼における翼の数には特に制限はなく、従動回転できればよい。
これらの回転胴を用いれば、この複数の区分室に製紙スラッジSを分散配置した状態で焼成することができるので、各区分室に充填される製紙スラッジの量が少量になる。このため、図15に例示した単一円筒型の回転胴に同量の製紙スラッジSを供給した場合と比較して、当該回転胴1内の移送過程における被処理物(製紙スラッジS,焼成物)の堆積厚さが格段に小さくなると共に、回転胴1の回転に伴う被処理物の攪拌作用が強くなり、有機成分を燃焼させるための空気(酸素)と被処理物との接触効率が著しく向上する。これにより、有機成分の燃焼効率が飛躍的に高まり、高品質の焼成物、即ち、白色度の高い無機粒子が得られる。
図11は、横長の回転胴の長手方向に対して直交する方向の断面(径方向断面)における製紙スラッジの分散配置状況を評価するための概念図であり、(a)は回転胴の外郭が円形断面を有する場合の例を示し、(b)は回転胴の外郭が正多角形(正六角形)断面を有する場合の例を示している。図11(a)に示すように、回転胴の外郭が円形断面を有する場合には、その円の最上点および最下点を結ぶ線分を等間隔に4等分する水平面を考え、それぞれの水平面で分割された領域を上から第1領域、第2領域、第3領域および第4領域と決定する。また、図11(b)に示すように、外郭が正多角形断面を有する場合には、正多角形の各頂点を通る円を想定し、上記の例と同様に、第1領域から第4領域までを決定する。
ここで、製紙スラッジSを分散配置した状態とは、例えば、図11の第1領域および第2領域に存在する製紙スラッジの平均スラッジ存在比率が34%以上である場合を意味する。即ち、従来の単一円筒型の回転胴の場合、図11の第4領域だけ、または第3領域および第4領域において製紙スラッジが充填された状態で焼成が行われているが、本発明は、従来全く用いられていない第1領域および第2領域においても焼成をしようとするものである。このような構成とすることにより、製紙スラッジ中の有機成分の燃焼が十分に行われることになる。
なお、平均スラッジ存在比率は、下記の方法で決定される回転胴の回転角0°のときの製紙スラッジ総量に対する領域内にある製紙スラッジの割合(百分率)と、下記の方法で決定される回転角X°のときの製紙スラッジ総量に対する領域内にある製紙スラッジの割合(百分率)を求め、これらを平均した値である。
回転角0°:外郭の円(または、想定される円)と隔壁とが接する交点(図4に示す管を束ねて構成した回転胴の場合は、管部13と管部固定部材14とが接する接点)が少なくとも最上点を占めるときの回転角。
回転角X°:上記の交点と中心とを結ぶ直線で構成される角度(例:図3および図4に示す6分割の例では60°、図5および図6に示す12分割の例では30°、図に示す18分割の例では60°、図14に示す3分割の例では120°)の1/2の角度だけ回転させたときの回転角。
特に、第4領域に存在する製紙スラッジ量の合計が、スラッジ充填率が変化しても常時製紙スラッジ総量の1/2以下であるのがよい。第4領域に存在する製紙スラッジ量の合計が製紙スラッジ総量の1/2を超える場合には、単一円筒型の回転胴を用いた場合と同様に、製紙スラッジの撹拌が不十分となり、有機成分の燃焼効率が低下するおそれがある。また、第3領域に存在する平均スラッジ存在比率は、30%未満であることが望ましい。製紙スラッジは、回転胴内において常に回転が与えられた状態で焼成されるため、各領域における製紙スラッジの存在比率は刻々と変化する。従って、ある時点においては、第3領域における製紙スラッジの存在比率が高くなっても良いが、その平均値は30%未満に制限しなければ、有機成分の燃焼を十分に行うのが困難となる。
(g)望ましい回転胴の区分室の数
本発明においては、回転胴の区分室の数を特に制限しないが、上記の第1領域〜第4領域の望ましい条件を満足するためには、最低でも6は必要である。区分室の数、分割方法については、上記の第1領域〜第4領域の望ましい条件を満足すれば、特に制約はない。6分割、12分割、18分割に限らず、24分割、36分割などの多分割隔壁構造を採用しても良いし、多胴型構造の各管状部材に対して隔壁あるいは仕切りを設けて、総分割数として6〜126分割した多胴多室・多分割構造としたものでもよい。
その他、図8から図10に例示したような従動回転型攪拌翼23または24を回転胴内および管状部材13内に非固定状態に挿入することにより、回転胴内を複数の区分室26に分割し、該回転胴内に供給される製紙スラッジSを複数の区分室26に分配させるようにしてもよい。
(h)望ましい回転胴の設置位置
図12および図13は、いずれも本発明において用いられる筒型熱処理炉(回転式キルン炉)の他の例を模式的に示す縦断側面図である。
図12に示すように、原材料供給口1aから焼成物排出口1bに至る回転胴1内のほぼ全領域に対して、多分割構造部(または多胴構造部)20Aを連続的に設けることができる。また、例えば、図13に示すように、回転胴1内の前段部分、中段部分、後段部分の3箇所に多分割構造部20B、20C、および20Dを部分的に設けることもできる。なお、図13に示す構成を採用する場合には、全ての多分割構造部20B、20C、20Dを同じ構造で分割しても良いし、それぞれが異なる構造で分割しても良い。
(i)望ましい回転胴のサイズ
また、図12および図13に例示した本発明における多分割構造部20A〜20Dの横長の長手方向の長さ(図13のように部分的に設置する場合には、多分割構造部の合計長さ)は、製紙スラッジSを一定時間以上多分割構造部の区分室内に保持するべく、0.3〜50mとすることが好ましい。望ましい上限は30mである。
回転胴1の内径は、0.5〜10mとすることが好ましい。回転胴1の内径が0.5m未満では効率的な焼成を行えず、一方、回転胴1の内径が10mを超える場合には、筒型熱処理炉K1が過大な装置となり、実用的ではない。望ましい上限は5mである。
(j)回転胴および多分割構造部の望ましい材質と形状
回転胴および多分割構造部は、1000℃程度という焼成温度に充分に耐え得るとともに、酸性またはアルカリ性に耐え得る材質であることが望ましく、例えば、ステンレス、チタン等の耐熱性および耐腐食性を有する金属材料が好適である。
特に、造粒した製紙スラッジを焼成する場合には、パンチングメタルのような穴明きの金属板で多分割構造部の隔壁を構成することが好ましい。穴明き金属板であれば、多分割構造部の各区分室内に導入された製紙スラッジSに空気(酸素)を行き渡らせやすいからである。金属板の穴の形状、大きさには特に限定はなく、造粒成形された製紙スラッジS粒子が穴明き金属板に設けられた穴から別の区分室にこぼれ落ちないような大きさであればよく、また、丸形、三角形、四角形、スリット形などの各種穴形状の穴明き金属板を使用することができる。
(k)望ましい製紙スラッジの充填率:5〜50%
回転胴の回転軸に垂直な断面において、製紙スラッジの充填率(製紙スラッジが占める面積/区分室の面積の合計×100)は、5%未満の場合、有機成分の燃焼を行いやすいが、処理効率が悪くなる。一方、充填率が50%を超えると、製紙スラッジの積層、堆積の度合いが大きくなり過ぎて、製紙スラッジの焼成効率が低下し、高品質の白色無機粒子を高効率で得ることが難しくなる。有機成分の燃焼が不十分となる。従って、充填率は、5〜50%とするのが望ましい。望ましい下限は15%である。
(l)望ましい焼成温度
焼成温度が600℃未満では、インキ由来のカーボンブラックなど、発火、燃焼しにくい有機成分を確実に燃焼除去するのが難しい。一方、焼成温度が850℃を超えると、ゲーレナイトと呼ばれる硬質焼結物が発生し、製紙機械設備を磨耗させて操業不安定化の要因となるおそれがある。このため、焼成温度は、600〜850℃とするのが望ましい。望ましい上限は、800℃である。
(m)望ましい炭酸カルシウムの分解率:50%以上
製紙スラッジの焼成処理においては、原料の製紙スラッジに含まれていた炭酸カルシウムが熱分解(脱炭酸)して酸化カルシウムに変化する。その分解率は、焼成処理前の炭酸カルシウム全量の50%以上とするのが好ましい。焼成処理における炭酸カルシウムの分解率を50%未満にしようとすると、600℃以上の温度でスラッジ中の有機成分を燃焼除去させながら、その燃焼温度よりも低い525℃程度から生じる炭酸カルシウムの熱分解を抑制せざるを得ず、その処理は非効率になってしまう。
従って、本発明の白色無機粒子の製造方法においては、炭酸カルシウム含有量は、後述の後処理工程で容易に増加できることから、焼成処理においては、炭酸カルシウムの熱分解が進んでも良いこととし、有機成分の燃焼除去を優先的に行うこととした。
(n)焼成炉
本発明では、筒型熱処理炉により製紙スラッジの焼成を行うこととしているが、焼成工程の全部又は一部を本発明方法により実施すればよい。従って、焼成工程に用いる焼成炉として、本発明で用いる筒型熱処理炉と、筒型熱処理炉以外の各種焼成処理炉とを組合せて用いることができる。組み合わせて用いることができる焼成処理炉としては、例えば、ロータリーキルン炉、スクリューキルン炉、流動床炉、ストーカ炉、縦型円筒路(タワーキルン)、サイクロン炉、半乾留・負圧式燃焼式炉、炭化炉(低酸素雰囲気下焼成炉)などが挙げられる。これらの焼成処理炉は、前焼成工程または後焼成工程としても用いることができる。
製紙スラッジの焼成が筒型熱処理炉による2段階の工程により行われる場合には、第1および第2の焼成工程における回転胴の区分室の数(最大分割数)をそれぞれn1およびn2とするとき、各工程における回転胴の区分室の数が下記の(1)式を満たすことが望ましい。
n1≧n2 ・・・(1)
第1焼成工程において焼成処理された製紙スラッジSは、焼成処理前に比べて幾分か減容するため、後続の第2焼成工程においては製紙スラッジSの充填量が減少する。このため、第2の焼成工程における回転胴の区分室の数は第1の焼成工程におけるものと同数か、それより少なくても良い。
3.原料となる製紙スラッジおよび前処理
原料となる製紙スラッジは、そのまま、または、後段の脱水等の前処理を実施した後、本発明の白色無機粒子の製造方法に供される。
(a)原料スラッジ
原料の製紙スラッジは、パルプ化工程、紙製造工程、古紙再生工程などの各種工程から排出される。古紙再生工程からのスラッジについては、古紙脱墨工程の加圧浮上(フローテーション、または浮選)および/または洗浄によって古紙パルプから分離排出される脱墨廃液に対して凝集および脱水処理を行い、脱墨排水中の固形分を脱墨スラッジとして回収することが推奨される。また、白色度の低い古紙原料からスラッジを回収する場合には、古紙再生工程における脱墨処理及び浮選処理を充分に行い、カーボンブラックなどを含むインク粒子をできるだけ除去しておくのがよく、必要に応じて複数回のスラッジの加圧浮上工程および/または洗浄工程を追加することもできる。また、古紙脱墨工程から回収する脱墨スラッジについては、上質古紙、新聞古紙、雑誌(塗工紙系)古紙などに分別して古紙種類毎の脱墨スラッジを調製し、必要に応じてこれらの古紙種類別脱墨古紙を単独、または混合して適宜原料スラッジとして用いることができる。
製紙スラッジには、パルプ等の繊維成分、澱粉および合成樹脂接着剤を主とする有機成分、製紙用填料および塗工紙用顔料などの無機物などが利用されずに廃水中へ移行したもの、パルプ化工程などで発生するリグニンおよび微細繊維、古紙由来の製紙用填料および印刷インキ、生物廃水処理工程から生じる余剰汚泥などからなり、古紙処理工程において印刷インキなどを除去する脱墨工程および製紙用原料を回収して洗浄する洗浄工程に由来する固形成分などを含んでいる。この製紙スラッジの一部には、再利用困難な低級古紙およびそれに付随するプラスチックを主としたRPF(Refused Paper & Plastic Fuel)を含まれることがあるが、本発明においては、これらいずれの製紙スラッジをも、単独または適宜混合して原料とすることができる。
(b)製紙スラッジの組成
原料として用いることができる製紙スラッジ中の無機成分(灰分)は、製紙用填料または塗工紙用顔料に由来するカオリン(クレー)および炭酸カルシウムを主成分とし、これらが無機成分全体の約80〜95質量%を占めており、その他にタルク、二酸化チタンなどが少量混在しているものである。
上記カオリンと炭酸カルシウムとの比率は、処理する古紙の種類などによって多少のばらつきはあるが、概ねカオリン/炭酸カルシウムの質量比で20/80〜80/20の範囲である。また、上記無機成分(灰分)中のカルシウム(CaO換算)、アルミニウム(Al23換算)およびケイ素(SiO2換算)のそれぞれの含有比率(カルシウム/アルミニウム/ケイ素)は、13〜73/12〜40/15〜47である。
製紙スラッジ中の有機成分と無機成分との含有比率については、処理する古紙の種類や脱墨工程の程度によって多少は変動するが、概ね無機成分/有機成分の質量比で30/70〜80/20の範囲である。
(c)前処理1(脱水)
脱水は、製紙スラッジを含有する排水を濾過、遠心分離、加圧脱水、圧搾等して、所要の含水率の製紙スラッジを得る工程である。好適な濾過装置としては、ロータリースクリーンと称される濾過装置があり、また脱水装置としては、スクリュープレスと称される加圧・圧搾脱水装置があり、これらの濾過装置、圧搾装置を単独、または適宜組合せて用いることができる。
(c)前処理2(乾燥)
乾燥は、製紙スラッジの水分を蒸発させて固形分濃度を高める工程である。本発明においては、焼成処理する際の製紙スラッジの固形分濃度は、特に限定されない。但し、固形分濃度は、熱エネルギー効率を高め、また装置をコンパクト化するためには、なるべく高い方がよい。特に、70質量%以上とすることが好ましい。前記の脱水工程のみでは、脱水装置機の能力によって異なるものの、固形分濃度は概ね5〜60質量%程度であるため、更に乾燥処理して固形分濃度を高めることが推奨される。
このような乾燥工程に用いる乾燥機としては、特に限定はなく、例えば、直接加熱型ロータリーキルン、間接加熱型ロータリーキルン、気流乾燥機、流動層乾燥機、回転・通気回転乾燥機(サイクロン)等を用いることができる。また、これら乾燥機の熱源として前述した焼成処理の排熱を使用することにより、エネルギーコストを低減することが可能である。
乾燥処理の温度は、気流乾燥機や回転・通気回転乾燥機のような熱風を利用して乾燥させる装置においては、スラッジの燃焼や炭化を防止するために熱風温度を600℃以下とすることが好ましく、250℃以下とすることが特に好ましい。この熱風温度が高過ぎては、スラッジが発火し、その際の焼成条件が適切でなければ、易燃焼性の有機成分が炭化して難燃焼性に変化する懸念がある。また、乾燥工程においては乾燥効率を向上させるために、スラッジを細かく解すことが好ましく、撹拌機や機械式ロール等により強制的にスラッジを解し、必要に応じてスラッジを300〜2000μm程度に分級して乾燥させることが好ましい。
(d)前処理3(造粒工程)
造粒は、乾燥後の製紙スラッジを適当な手段で適度な粒子サイズに成形する工程である。本発明で原料とする製紙スラッジは、筒型熱処理炉内を移送しつつ空気(酸素)と接触して有機成分を燃焼できる形態および粒子サイズであればよい。粒子サイズが細か過ぎると堆積層が高密度化し、その層内に空気が入り込みにくくなり、一方、粗大になり過ぎると、塊状物内部まで空気が行き渡りにくくなる。いずれの場合も、有機成分の燃焼性が悪化して未燃焼炭化物による焼成物の白色度の低下を招くため、ある程度の大きさに造粒することが好ましい。
造粒手段としては、ブリケットマシン、ローラコンパクタなどの圧縮成形機、ディスクペレッターなどの押出成形機、転動造粒法、攪拌造粒法等によってペレット造粒する一般的な造粒装置を用いることができる。また、スクリューフィーダーなどの剪断作用のある搬送装置を用い、脱水処理後の製紙スラッジを乾燥装置または筒型熱処理炉置へ投入する際に、搬送を兼ねて造粒することができる。更に、乾燥工程中での製紙スラッジの搬送運動を利用して造粒することも可能である。
造粒後のスラッジ粒子のサイズは、長さ又は直径で2〜30mm程度の範囲が好適である。2mm未満では、焼成時の空気との接触が不十分となり、30mmを越えると中心部まで完全に燃焼させることが困難となるおそれがある。より好ましい上限は20mmである。造粒の粒子形状としては、円柱状、球状、楕円、三角形、その他の多角形や、凹凸を有するもの等、特に制約はない。
4.後処理
前記の方法により得た焼成物は、原料スラッジがカオリン(クレー)を含有しているため、カオリンが焼結凝集した焼成カオリン(メタカオリン)に類似した「焼成カオリン類似様態」の多孔質凝集体となっており、このため嵩高性、吸油性および不透明性に優れる特性を有している。したがって、そのまま、または後述の後処理を実施した後に、粉砕され、白色無機粒子として使用される。
(a)懸濁液化および炭酸化
焼成物を水に混合・攪拌して懸濁液とし、この懸濁液中に炭酸ガスを吹き込んで焼成物を炭酸化処理する。原料の製紙スラッジ中の炭酸カルシウムは、焼成過程において酸化カルシウム(CaO)となるが、この酸化カルシウムを含む無機粒子は、製紙用填料、塗工紙用顔料等の製紙用材料に用いると、アルカリ性が非常に強くなったり、粘度の上昇や顔料の分散不良等の問題が生じたりする。このため、焼成後には、懸濁液化で酸化カルシウムを水酸化カルシウム〔Ca(OH)2〕に変換し、更に炭酸化処理して炭酸カルシウムに戻すのが望ましい。
懸濁液化工程には、特に条件的な制約はない。但し、処理温度が低すぎると懸濁液化に長時間を要し、処理温度が高すぎると加熱コストが嵩んで不経済である。従って、処理温度は20〜80℃とするのが好ましい。より好ましい下限は40℃である。好ましい上限は60℃である。因みに、処理温度が60℃程度であれば、懸濁液化を60分程度で完了できる。また、懸濁液の固形分濃度は、5〜20質量%とするのが好ましい。後続の炭酸化処理を効率的に行い、また懸濁液の粘度を低く維持して流動攪拌性および送液性を良好に維持するためである。
懸濁液に対しては、本発明のスラッジ焼成物の他に、必要に応じて酸化カルシウム(CaO:生石灰)または水酸化カルシウム〔Ca(OH)2:消石灰〕を添加してスラッジ焼成物と水酸化カルシウムの所定固形分濃度の混合懸濁液とすることもできる。この場合、酸化カルシウムおよび水酸化カルシウムは、消和後の形態である水酸化カルシウム〔Ca(OH)2:消石灰〕として、例えば、スラッジ焼成物100重量部に対して最大100重量部(スラッジ:水酸化カルシウム=50:50)まで添加することができる。100重量部を超えて水酸化カルシウムを添加することもできるが、消和懸濁液中のスラッジ焼成物の配合率が少なくなり、スラッジ利用が進まなくなるため好ましくない。
炭酸化は、焼成物の懸濁液に炭酸ガスを吹き込んで行う。炭酸ガスとしては、高純度の二酸化炭素ガスを用いることができるが、不経済である。一方、二酸化炭素濃度が低過ぎると、炭酸化に長時間を要し、それだけ無機粒子の生産性が低下する。従って、吹き込む炭酸ガス中の二酸化炭素濃度は5〜40容量%とするのが好ましい。より好ましい下限は10容量%である。また好ましい上限は35容量%である。このような二酸化炭素含有ガスとしては、例えば、スラッジ燃焼排ガス、石灰石焼成排ガス、石灰焼成排ガス、ゴミ焼却排ガス、発電ボイラー排ガスまたはパルプ製造工程で用いられる苛性化炭酸カルシウム焼成キルンからの排出ガス等、種々の燃焼排ガスを適当な手段で除塵して用いることができる。
炭酸化工程での炭酸ガスの吹き込み量は、焼成物懸濁液中の水酸化カルシウム固形分1kgに対し、二酸化炭素ガスとして0.5〜15L/分の割合が好適である。吹き込み量が少な過ぎると、炭酸化に時間を要して無機粒子の生産性を低下させ、多過ぎると動力負荷が大きくなって不経済となる。また、炭酸化の際の焼成物懸濁液の温度(炭酸化反応温度)は、30〜80℃とするのが望ましい。低過ぎると炭酸化反応の効率が低下し、高過ぎると二酸化炭素ガスが懸濁液中に充分に溶解しなくなって炭酸化反応の効率低下を招く。望ましい炭酸化反応温度の下限は40℃であり、望ましい上限は70℃である。
炭酸化では、焼成物懸濁液中に所望の結晶形状を持つ炭酸カルシウムの種結晶を添加してもよい。また、前記炭酸カルシウムの種結晶を添加しないで、炭酸化処理における焼成物の炭酸化反応効率を最優先し、無機粒子の粒子形状を、あえて針状、紡錘状、柱状などの特定の粒子形状を有さない塊粒状とすることもできる。
なお、通常、炭酸化処理後の白色無機粒子は、炭酸化処理によって生じた微細な1次粒子が凝集して2次粒子(凝集粒子)を形成し、製紙用填料に適した粒子径となっている。従って、この懸濁液をそのまま製紙用填料としてパルプなどの製紙用原材料に配合して用いることもできる。
炭酸化処理物の懸濁液は、そのまま、または液体サイクロンを用いた分級処理を行った後、脱水前に振動篩等の篩でろ過処理するのがよい。ろ過処理を実施すれば、炭酸化処理物中に混入するα−クオーツなどの珪素を含む粒子や粗大粒子が除去され、抄紙用ワイヤーの摩耗を低減できる。また、ろ過処理前に液体サイクロンによる分級処理を行えば、後続するろ過処理の篩の目詰まりを防止できる。
(b)脱水、分散および粉砕
炭酸化処理物は、脱水した後、分散および粉砕され、塗工紙用顔料として適した微細な白色の無機粒子の高濃度スラリーとなる。その脱水は、前処理における脱水と同様に、炭酸化処理物の懸濁液から、濾過、遠心分離、加圧脱水、圧搾等により、所要の含水率の炭酸化処理物とする工程である。好適な脱水装置としては、フィルタープレスと称される圧搾濾過装置があり、炭酸化処理物の脱水ケーキを得ることができる。
分散は、脱水されたケーキ状の炭酸化処理物に水分を加えて高濃度スラリーとする工程である。その分散操作には、通常の分散処理で行われている攪拌、解砕、分散などの各種手法を採用できる。この分散操作に際して分散剤を添加することにより、無機粒子が良好な分散状態になり、製紙用材料としての品質が向上すると共に、取り扱いやすくなる。分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子系の分散剤など、製紙用材料の製造の際に用いられる一般的な分散剤を使用できる。
粉砕は、分散後の無機粒子を粉砕して微粒子化することにより、塗工紙用顔料として好適な高品質の白色無機粒子とする工程である。粉砕装置としては、製紙用材料の製造において一般的に用いられるサンドミル、湿式ボールミル、振動ミル、攪拌槽型ミル、流通管型ミル、コボールミルなどを使用できる。
後処理後に得られた無機粒子の組成は、無機粒子を配合した紙の不透明性や被覆性を向上させるべく、焼成カオリン(メタカオリン)と炭酸カルシウムの2成分で80%以上とすることが好ましい。無機粒子を好適な組成とするためには、各種スラッジを必要に応じて混合し、前記組成となるように各種スラッジ配合率を調整することが好ましい。
後処理工程後に得られた無機粒子の懸濁液は、pH11以下とすることが好ましい。これは、無機粒子懸濁液中に残留する未炭酸化の水酸化カルシウムが少なくすることで、カルシウムイオン(Ca2+)を低減し、塗被液の分散状態の悪化を防ぐためである。また、塗被液、原紙のアルカリ性を低減するから、アルカリによる紙の変色(アルカリ焼け)等の問題を改善できる。pHの調整は、炭酸化における炭酸ガス吹込み量の調整に加えて、さらに分散工程や粉砕工程における炭酸ガス吹込みなどによっても調整できる。
後処理工程後に得られた無機粒子の大きさ(粒子径)は、レーザー回折粒度分布測定による平均粒子径で、0.1〜20μmとすることが好ましい。塗工用顔料として用いる場合には下限を0.3μm、上限を5μmとするのが特に好ましい。また、内添用製紙顔料として用いる場合には、下限を3μm、上限を15μmとすることが特に好ましい。この平均粒子径は、製紙用填料および塗工用顔料として、抄紙の際のワイヤー歩留りならびに紙製品に仕上げた際の不透明性、白色度、平滑性および印刷適性に優れる品質が得られるように、操業および品質上バランスされた粒子径を選んだものである。したがって、無機粒子の平均粒子径を前記粒子径の範囲とすることにより、操業において、従来の製紙用填料および塗工用顔料と同様に取り扱うことができ、また無機粒子を内添した原紙および無機粒子を塗工した塗被紙の品質についても、従来の製紙用填料および塗工用顔料と概ね同等の品質を発現させることができる。
無機粒子の平均粒子径が0.1μm未満のような微細な粒子になると、不透明性、白色度および平滑性等の改善に対しては有効ではあるが、反面、製紙用填料として用いる場合にワイヤー歩留りが悪くなることがある。このために、多量の填料が必要となり、操業性が不安定になる場合がある。また、塗工用顔料として用いる場合に充分な塗工層強度を発現させるためには著しく多量の接着剤が必要となる場合がある。他方、平均粒子径が20μmを越える無機粒子を製紙用填料として用いた場合には、填料のワイヤー歩留りは良くなるが、反面、ワイヤー摩耗性が悪化するおそれがある。また、上記粗大な無機粒子を塗工用顔料として用いた場合には、塗工紙製品の平滑性や光沢が低下し、印刷適性を低下させることがある。
無機粒子を所望の粒子径とするためには、脱水工程後に分散工程および粉砕工程を設けることが好ましい。ただし、分散処理後の無機粒子の平均粒子径が所望の範囲になる場合は、粉砕工程を行わなくてもよい。この場合、分散処理後の無機粒子の分散液をそのまま製紙用填料または塗工用顔料として使用することになる。
5.本発明方法により得られる無機粒子の用途
本発明方法により得られる無機粒子(以下、「本発明の無機粒子」と呼ぶ。)は、スラッジが含有する無機成分であるカオリンおよび炭酸カルシウムを主体とした多孔質粒子構造を有している。そして、本発明の無機粒子には、焼成カオリンに、カオリンと同様、スラッジ中に含まれる他の無機成分、即ち、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、タルク、酸化チタン等が凝集、凝結した状態のもの、焼成カオリンの周りに上記の他の無機成分が付着したもの、上記の他の無機成分の周りに焼成カオリン成分が付着したものなどがある。本発明の無機粒子は、このような構成を有するので、焼成カオリンと炭酸カルシウムの各々の特長である不透明度、平滑度、高吸油度、およびインキ乾燥性に優れ、そのまま製紙用填料、塗工紙用顔料などの製紙用材料として使用できる。
本発明の無機粒子の特徴を最大限に有効活用できる用途としては、不透明度および平滑度が発現し難く、白色度も要求されるオフセット印刷、グラビア印刷等の各種印刷用紙がある。本発明の無機粒子の用途としては、例えば、(1)坪量が75g/m2以下の非塗工印刷用紙または塗工用原紙の内添填料(以下、「第1の用途」と呼ぶ。)、(2)坪量が75g/m2以下の片面あたり1層塗工された微塗工〜軽量コート紙(A3コート紙、B3コート紙)の塗工用顔料(以下、「第2の用途」と呼ぶ。)の他、嵩高性、高被覆性(平滑性)、インキ乾燥性等が要求される洋紙として、(3)片面あたり2層塗工のコート紙(A2コート紙、B2コート紙)、アート紙(A0コート紙、B0コート紙、A1コート紙、B1コート紙)などの塗工用顔料(以下、「第3の用途」と呼ぶ。)などが挙げられる。以下、これらの3態様について説明する。
本発明の無機粒子は、填料として単独または他の製紙用填料とともに用いることができる(以下、これらを総称して「本発明の填料」と呼ぶ)。他の製紙用填料としては、クレー、焼成クレー、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等の無機填料、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子などの有機填料等が挙げられる。本発明の無機粒子は、これらの填料の中から選択される1種以上の填料とともに使用することができる。
本発明の無機粒子を他の製紙用填料とともに用いる場合の配合量は、特に制限しないが、原料コスト低減の観点からは、填料総量に対して10質量%以上含有させるのが好ましい。
填料の内填紙中の含有率(灰分)は、特に制限はないが、1質量%未満の場合には、目的とする不透明度等の紙質が低くなるおそれがあり、30質量%を超える場合には、引き裂き強さ、紙の層間強度、およびブリスタ等の紙質が低下するおそれがある。従って、填料の含有率は1〜30質量%の範囲とするのが好ましい。特に好ましいのは5〜20質量%である。この範囲で含有させることにより、紙の散乱表面積を増加させて、紙の不透明性を高めることができる。
本発明の填料を内添する紙のパルプ原料には、特に制限はなく、通常、紙の製造に使用される公知の製紙用パルプを使用することができる。具体的には、広葉樹材、針葉樹材の制限はなく両者の原料から得られるパルプとして、サルファイトパルプ、クラフトパルプ、ソーダパルプ等のケミカルパルプ、砕木パルプ、リファイナーパルプ砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、ケミグランドパルプ、セミケミカルパルプ等の機械パルプ、楮、三椏、麻等の非木材パルプ、および新聞古紙、印刷古紙、雑誌古紙、OA古紙等の古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。これらのパルプから選択される1種以上に、本発明の填料を混合して抄紙することができる。
本発明の填料をパルプ原料に添加する際には、パルプ原料を充分に攪拌しながら製紙用填料を添加することが好ましい。その際の撹拌速度は100〜5000rpm程度とすることが好ましい。
パルプ原料に添加する際の本発明の填料の濃度は、パルプ原料に混合してから抄紙されるため、抄紙機のインレット濃度の範囲内となるような濃度とすればよい。パルプ原料への本発明の填料の添加は、出来る限り抄紙機の直前で行うのが望ましい。これは、カチオン性高分子等の歩留り向上剤の添加によって凝集形成させた本発明の填料のフロック(凝集粒子)が剪断力等により破壊されるのを抑制し、製紙用填料が凝集状態を維持したままで紙に内添させるためである。
パルプ原料には、本発明の填料の他、通常の抄紙で用いられる添加剤、例えば、サイズ剤、消泡剤、スライムコントロール剤、染料、着色顔料、蛍光染料、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、濾水性向上剤、定着剤及び歩留り向上剤等を、適宜必要に応じて添加することができる。
かくして調製された紙料は、目的に応じた公知の抄紙機によって抄造することができる。湿式抄紙機としては、例えば、丸網式抄紙機、短網式抄紙機、長網式抄紙機、ツインワイヤー式抄紙機等の商業規模の抄紙機を用いることができる。
本発明の填料を内添した紙の表面には、紙力、塗工適性、印刷適性等を改善または向上させるために一般的に用いられる各種デンプン類、ポリビニルアルコール類、ポリアクリルアミド類、各種表面サイズ剤等を主体とする塗被液を塗布することも可能である。
上記の塗被液に対しては、塗工用に一般的に使用される各種顔料として、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、二酸化チタン、合成シリカ、水酸化アルミニウム等の無機顔料、およびポリスチレン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等の合成高分子微粒子等の1種以上を必要に応じて配合することができる。
本発明の填料を内添した紙の坪量については、特に限定はないが、所望する効果が発揮されるのは、40〜200g/m2程度の範囲である。特に、40〜75g/m2程度の範囲とする場合に、本発明の効果が顕著となる。ただし、この範囲を越えた板紙、カード等の厚紙へ当然ながら添加できる。
このようにして抄造された紙は、本発明の無機粒子を含んでいるために、紙の白色度、不透明度および平滑度に優れているので、そのまま印刷用紙、筆記用紙、事務用紙等の非塗工紙として使用できるほか、塗工用原紙としても好適に使用できる。
(2)第2の用途(塗工用顔料としての用途)
本発明の無機粒子は、塗工用顔料として、単独または他の塗工用顔料とともに用いることができる(以下、これらを総称して「本発明の顔料」と呼ぶ)。他の塗工用顔料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、サチンホワイト、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウム、アルミナ、ゼオライト、シリカ、酸化亜鉛、活性白土、珪藻土、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の無機顔料、および密実型、中空型、お椀型、ドーナツ型などの各種プラスチックピグメント、バインダピグメント等が挙げられる。本発明の無機粒子は、これらの顔料から選択される1種以上とともに使用することができる。
本発明の無機粒子を他の製紙用顔料とともに用いる場合の配合量は、特に制限しないが、原料コスト低減の観点からは、顔料の総量に対して10質量%以上含有させるのが好ましい。
本発明の顔料には、塗工紙用の一般的な接着剤が添加され塗工紙用塗被液とされるが、この接着剤には特に制限はなく、例えば、分散液型接着剤として、アクリル系、スチレン−アクリル系、スチレン−ブタジエン系、酢酸ビニル−アクリル系、ブタジエン−メチルメタクリル系、酢酸ビニル−ブチルアクリレート系等の各種共重合体ラテックス、水溶性接着剤として、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、酵素変性澱粉等の各種変性澱粉、カゼイン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド等が挙げられる。これらの接着剤から選択される1種以上を使用することができる。
上記接着剤は、本発明の顔料100質量部あたり5〜50質量部含有させるのが好ましい。接着剤の配合量が本発明の顔料100質量部あたり5質量部未満であると、顔料塗工層の強度が低下して、ストリーク、スクラッチ、ピッキング等の問題を引き起こし、50質量部を超えると、顔料塗工層の強度は充分に発現されるものの、平滑性の低下、インキ乾燥性の悪化等の問題が生じる。接着剤のより好ましい配合量は、本発明の顔料100質量部あたり8〜30質量部である。
なお、上記塗工紙用塗被液中には、本発明の効果が損なわれない範囲で、サイズ剤、染料、増粘剤、保水剤、流動変性剤、耐水化剤、pH調整剤、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、界面活性剤、導電剤、離型剤など一般に使用されている添加剤を添加してもよい。
本発明の顔料を用いて、坪量75g/m2以下の片面あたり1層塗工の塗工紙を調製する際には通常の塗工方式を用いることができる。塗工方式としては、例えば、2本ロールサイズプレス、ゲートロールサイズプレスコーター、メタリングサイズプレスコーター、シムサイザー等のトランスファーロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、カーテンコーター、ダイコーター、スプレーコーターなどが挙げられる。特に、複数のロールを介してアプリケーターロールに塗工液を転写し、このアプリケーターロールに所定量付着した塗工液を原紙表面に付与する塗工方式である、トランスファーロールコーター方式を採用するのが好ましい。
トランスファーロールコーターは、前計量塗工方式とも呼ばれ、原紙に塗工する前に塗工液を所定量に調整することを特徴としている。このため、原紙に付着させた塗工液を掻き取る塗工方式(後計量塗工方式)であるブレードコーター、バーブレードコーターなどと比較して、コーター条件設定が容易であり、ブレード等の消耗部品の交換が不要である。このため、安定した塗工条件をできるので、長時間安定操業が可能である。そのほか、ストリーク欠陥が少ないこと、1000m/min以上での高速塗工が可能であること、原紙の両面に同時に塗工層を設けることができること等の利点もあるため、生産性を大幅に向上させ、塗工紙を安価に製造できる。
トランスファーロールコーターには、オンマシンコーターおよびオフマシンコーターの各種方式があるが、いずれの方式を採用してもよい。なお、オンマシンコーターとは、原紙の製造機(抄紙機など)上に設置されて原紙の製造と同じラインで塗工するコーター設置形式であり、オフマシンコーターとは、原紙の製造機とは別に設置され、製造された原紙を一旦巻き取った後に、別ラインに設置したコーターで塗工する設置形式である。生産効率を向上させてコストダウンを図る点では、オンマシン方式のトランスファーロールコーターを用いるのが好ましい。
上記塗工紙用塗被液の粘度は、ハーキュレス粘度で5〜30mPa・sにすることが好ましい。塗被液のハーキュレス粘度が5mPa・s未満であると、充分な塗工量を得ることができなくなるおそれがあり、ハーキュレス粘度が30mPa・sを超えると、例えば、トランスファーロールコーターによる塗工時にはジャンピングと呼ばれる塗被液が飛散する不具合が生じ、例えば、ブレードコーターによる塗工時にはストリークが生じて塗工不良となるおそれがあるからである。
なお、ハーキュレス粘度とは、流体(塗被液)に対して高いズリ速度を与えたときの流体の粘度であり、本件明細書においては、Tappi T648準拠し、ハーキュレス粘度計(回転子:Fボブ)を用い、回転数8800rpmの条件で測定した粘度を意味する。上記塗工紙用塗被液のハーキュレス粘度を前記範囲とすると、トランスファーロールコーターによる高速塗工を安定して行うことが可能になる。
ハーキュレス粘度の調整方法としては、例えば、塗工紙用塗被液に使用する各顔料の平均粒子径、濃度などの調整、塗工紙用塗被液へ添加する接着剤の配合量の調整、増粘剤、保水剤、流動変性剤などの種類、配合量などの調節が挙げられる。これらの何れを採用してもよい。
上記塗工紙用塗被液の塗工量(乾燥塗工量)は、原紙の片面当り2〜7g/m2とするのが好ましい。塗工量が2g/m2未満であると、塗工ムラが生じ、原紙表面に塗工層を均一に形成しにくく、塗工量が7g/m2を超えると、乾燥負荷が過大となって操業性が低下するおそれがあるからである。
トランスファーロールコーターによって塗工する場合には、上記塗工紙用塗被液中の固形分濃度を10〜60%とすることが好ましい。上記塗工紙用塗被液中の固形分濃度が10%未満の場合には十分な塗工量を確保できなくなるおそれがあり、60%を超える場合には、上記塗工紙用塗被液の粘度が過大となり、塗工量の制御が困難になるなどの実用上の問題が生じるおそれがあるからである。特に好ましい固形分濃度の範囲は、30〜60%である。
塗工紙用の原紙としては、木材セルロース繊維を原料とする一般的な塗工用原紙を用いることができる。塗工用原紙に用いる木材セルロースとしては抄紙用パルプを用いることができ、具体的には、広葉樹材、針葉樹材の制限はなく両者の原料から得られるパルプとして、サルファイトパルプ、クラフトパルプ、ソーダパルプ等のケミカルパルプ、砕木パルプ、リファイナーパルプ砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、ケミグランドパルプ、セミケミカルパルプ等の機械パルプ、楮、三椏、麻等の非木材パルプ、および新聞古紙、印刷古紙、雑誌古紙、OA古紙等の古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられ、前記各種パルプを単独、または2種類以上を併用して抄紙した原紙を用いることができる。
前記塗工用原紙には、本発明の填料または前掲の製紙用填料として通常使用されている各種填料を添加することができ、また、通常の塗工用原紙の抄紙で用いられる前掲の添加剤を必要に応じて添加することができる。
本発明において、無機粒子を含む塗工用顔料を用いた第2用途の塗工紙の坪量については特に限定はないが、被覆性、表面平滑性、嵩高性、光沢度、インキ乾燥性等の効果が顕著となるのは、40〜75g/m2程度の範囲とする場合である。
上記塗工用塗被液を原紙に塗工した後は、塗被層を乾燥させ、塗工紙を得る。この乾燥方法としては、例えば、蒸気加熱ヒーター、ガスヒーター、赤外線ヒーター、電気ヒーター、熱風加熱ヒーター、マイクロウェーブ、シリンダードライヤー等の通常の方法を任意に選択して使用することができる。塗工紙は、乾燥後、さらに必要に応じて、後加工として所望の面質、白紙光沢となるように加圧平滑化処理が施された後、巻取り製品もしくは枚葉製品として仕上げてもよい。加圧平滑化処理方法としては、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、マットカレンダー、ソフトカレンダー等を任意に選択して使用することができる。
(3)第3の用途(塗工用顔料としての用途)
片面2層塗工のコート紙およびアート紙には白色度、平滑度および不透明度に加えて、嵩高性、高被覆性(平滑性)、インキ乾燥性等の各種性能が要求される。これらの性能を満たすために、本発明の顔料を下塗り層および上塗り層の一方又は双方に配合することができる。特に、下塗り層に配合することが好ましい。これは、本発明の無機粒子が焼成カオリン類似様態の多孔質粒子であり、この無機粒子を顔料塗工層に配合すると塗被紙の嵩高性、インキ吸収性、およびインキ乾燥性が向上させることができ、特に原紙面に近い下塗り層に対して本無機粒子を配合することにより、前記効果を顕著、かつ効果的に発現させることができる。
下塗り層、上塗り層ともに、本発明の無機粒子の顔料の総量に対する配合量は第2の用途の場合と同様である。ただし、下塗り層に用いる顔料としては、平均粒子径1.2μm以上の顔料が顔料の総量に対して40質量%以上含まれていることが好ましい。下塗り層の顔料の総量に対する平均粒子径1.2μm以上の顔料の配合量が40質量%未満の場合、下塗り層の平滑度が高くなりすぎてストリークを誘発してしまうおそれがあるからである。なお、顔料の平均粒子径は、大きすぎると、所望とする平滑性、白紙光沢等が発現しにくくなるので、5μm以下のものを使用するのが好ましい。
上塗り層および下塗り層の顔料に添加する接着剤の種類及び上塗り層の顔料に添加する接着剤の配合量は、第2の用途の場合と同様である。また、塗工紙用塗被液には、サイズ剤等の助剤を添加できることも第2の用途の場合と同様である。ただし、下塗り層の顔料に添加する接着剤の配合量は、本発明の顔料100質量部あたり6質量部以下とすることが好ましい。これを超える接着剤を配合すると、水溶性接着剤が本発明の顔料によって形成された塗工層空隙の連接部分に埋められ、塗工層空隙による吸収が阻害されて、インキ吸収性、インキ乾燥性等が低下するおそれがあるからである。
下塗り層の塗工方式については、第2の用途の場合と同様である。ただし、上塗り層の塗布方式については、第2の用途で掲げた塗布方式のうち、ブレードコーター方式を採用するのが特に好ましい。下塗り層においてトランスファーロールコーター方式を採用することにより、前述のように、下塗り層の平滑性を適度に保ちつつ、塗工紙の生産性・操業性を向上でき、また、上塗り層においてブレードコーター方式を用いることにより、上塗り層の平滑性を最大限に発現させることができ、これによって、白紙光沢度、印刷の均一性、印刷再現性などを向上させることができる。
下塗り層、上塗り層ともに塗工紙用塗被液の粘度は、第2の用途の場合と同様に、ハーキュレス粘度(8800rpm)を5〜30mPa・sにすることが好ましい。その理由も前掲の通りである。
下塗り層および上塗り層のそれぞれについての塗工紙用塗被液の塗工量(乾燥塗工量)は、原紙片面当り2〜12g/m2とし、2層塗工によって原紙の少なくとも片面に、塗工量(片面あたりの総塗工量)が4〜24g/m2となるように塗布・乾燥することが好ましい。各塗工層の塗工量が2g/m2未満では、塗工ムラが生じ、塗工層を均一に形成しにくく、各塗工層の塗工量が12g/m2を超えると、乾燥負荷が過大となって操業性が低下するおそれがあるからである。
下塗り層をトランスファーロールコーターによって塗工する場合の塗工紙用塗被液中の固形分濃度については、第2の用途の場合と同様、10〜60%とすることが好ましい。ただし、上塗り層をブレードコーターによって塗工する場合の塗工紙用塗被液の固形分濃度は、30〜65%とすることが好ましい。上記塗工紙用塗被液中の固形分濃度が30%未満の場合には十分な塗工量を確保できなくなる、十分な平滑性が発現しなくなるなどのおそれがあり、65%を超える場合には、顔料塗被液の粘度が過大となり、ストリークの発生や塗工量の制御が困難になるなどの実用上の問題が生じるおそれがあるからである。特に好ましいのは40〜64%である。
塗工紙用原紙の原料、内添する填料および助剤については、第2の用途の場合と同様である。本発明において、無機粒子を含む塗工用顔料を用いた塗工紙の坪量については特に限定はないが、所望する効果が発揮されるのは、40〜200g/m2程度の範囲である。特に、40〜75g/m2程度の範囲とする場合に、本発明の効果が顕著となる。ただし、この範囲を越えた板紙、カード等の厚紙へ当然ながら添加できる。
以下に、具体例を挙げて本発明を説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断らない限り、「部」および「%」は、それぞれ「質量部」および「質量%」を意味する。
古紙処理設備を有する製紙工場における雑誌古紙主体の古紙脱墨工程において、浮遊選別法(フローテーション法)によって古紙パルプから浮上分離除去された泡沫状の脱墨浮選廃液に、凝集剤を添加して廃液中の固形分を凝集させた後に、ロータリースクリーンおよびスクリュープレスに順次通液して、固形分約50%の製紙スラッジ(脱墨スラッジ)を回収した。その後、乾燥機を用いて固形分約75%になるように乾燥し、次いでディスクペレッターを用いて直径約5mm、長さ約15mmのペレットに造粒成形し、前処理を終えた。この前処理後の製紙スラッジ造粒物を、下記の条件に従って焼成し、無機粒子を得た。
(本発明例1)
前処理後の製紙スラッジ造粒物を、図12に示すような、回転胴1内のほぼ全領域に多分割構造部20Aが設けられている間接加熱式の回転式キルン炉(回転胴の内径300mm、長さ2400mm。)で焼成した。このとき、図3に示す横長の回転胴の長手方向に対して直交する方向の断面(径方向断面)において区分室数が6である回転胴を用いた。
この焼成処理では、ホッパを用いて原料の製紙スラッジ造粒物を20Kg/hの供給速度で原料投入口4から供給し、原料供給手段5であるスクリューフィーダーによって回転胴1の原料供給口1aに送り込み、回転胴1内を移送しつつ、焼成を行った。焼成は、図示を省略した燃焼ボイラーからの燃焼ガスを熱源として間接的加熱手段8A、8Bによる加熱ジャケット2への燃焼ガスの導入量で熱処理温度を制御し、スラッジ温度820℃で処理時間(スラッジ滞留時間)を約170分に設定して行った。この焼成処理条件におけるスラッジ充填率は50%であった。一方、排気手段9の排気ファンによって回転胴1内から燃焼排ガスを570L/分(空気温度20℃換算)で排出し、これに伴う減圧作用で排気口3から排出される排ガスと同量の外気を給気口6Aから吸入し、もって回転胴1内全体を常に過剰空気雰囲気に維持した。
この焼成処理で得られた焼成物の組成をX線回折によって調べた結果、硬質の高温焼結物(ゲーレナイト)は含まれておらず、焼成処理前の製紙スラッジに含有されていた炭酸カルシウムは全て酸化カルシウムに変化していた。また、炭酸カルシウム以外の成分では、カオリンが全て焼成カオリンに変化していたが、タルクは全く変化していなかった。
次いで、上記の焼成物を懸濁液化槽(消和槽)を用いて60℃の温水と混合し、温度を60℃に保持しながら60分間攪拌して、固形分濃度が約12%の焼成物懸濁液を調製した。その後、この焼成物懸濁液10kgを炭酸化反応槽に仕込み、この炭酸化反応槽の温度を60℃に保持しつつ、懸濁液中に25容量%の二酸化炭素含有ガスを20L/分で吹き込みながら60分間攪拌を行って懸濁液状の炭酸化処理物を得た。この炭酸化処理後の無機粒子の組成をX線回折で調べた結果、焼成処理によって生成していた酸化カルシウムの全量が炭酸カルシウムに転化していた。また、炭酸化処理後の無機粒子の平均粒子径を測定したところ12.8μmであった。この粒子径は、製紙用填料に適しているので、そのまま後段の評価に供した。
(本発明例2)
図5に示す区分室数が12である回転胴を用いたことを除き、本発明例1と同様の方法により白色無機粒子を得た。また、炭酸化処理後の無機粒子の平均粒子径を測定したところ11.5μmであった。この粒子径は、製紙用填料に適しているので、そのまま後段の評価に供した。
(本発明例3)
図7に示す区分室が18である回転胴を用いたことを除き、本発明例1と同様の方法により白色無機粒子を得た。また、炭酸化処理後の無機粒子の平均粒子径を測定したところ14.2μmであった。この粒子径は、製紙用填料に適しているので、そのまま後段の評価に供した。
(本発明例4)
前処理後の製紙スラッジ造粒物を、図12に示すような、回転胴1内のほぼ全領域に多分割構造部18Aが設けられている間接加熱式の回転式キルン炉(回転胴の内径300mm、長さ2400mm。)で焼成した(一次焼成)。一次焼成では、図5に示す区分室数が12である回転胴を用いた。
この一次焼成では、ホッパを用いて原料の製紙スラッジ造粒物を80Kg/hの供給速度で原料投入口4から供給し、原料供給手段5であるスクリューフィーダーによって回転胴1の原料供給口1aに送り込み、回転胴1内を移送しつつ、焼成を行った。この焼成は、図示を省略した燃焼ボイラーからの燃焼ガスを熱源として間接的加熱手段8A、8Bによる加熱ジャケット2への燃焼ガスの導入量で熱処理温度を制御し、スラッジ温度630℃で処理時間(スラッジ滞留時間)を約40分に設定した。この1次焼成処理条件におけるスラッジ充填率は45%であった。一方、排気手段9の排気ファンによって回転胴1内から燃焼排ガスを2300L/分(空気温度20℃換算)で排出し、これに伴う減圧作用で排気口3から排出される排ガスと同量の外気を給気口6Aから吸入し、もって回転胴1内全体を常に過剰空気雰囲気に維持した。
次いで、1次焼成によって得られた焼成処理物を、一次焼成と同様の回転式キルン炉を用いた二次焼成に供した。二次焼成では、図3に示す区分室数が6である回転胴を用いた。
この2次焼成では、ホッパを用いてスラッジの1次焼成処理物を32Kg/hの供給速度で原料投入口4から供給し、原料供給手段5であるスクリューフィーダーによって回転胴1の原料供給口1aに送り込み、回転胴1内を移送しつつ、焼成を行った。この焼成は、図示を省略した燃焼ボイラーからの燃焼ガスを熱源として間接的加熱手段8A、8Bによる加熱ジャケット2への燃焼ガスの導入量で熱処理温度を制御し、スラッジ温度820℃で処理時間(スラッジ滞留時間)を約80分に設定した。この2次焼成処理条件におけるスラッジ充填率は50%であった。一方、排気手段9の排気ファンによって回転胴1内から燃焼排ガスを900L/分(空気温度20℃換算)で排出し、これに伴う減圧作用で排気口3から排出される排ガスと同量の外気を給気口6Aから吸入し、もって回転胴1内全体を常に過剰空気雰囲気に維持した。
次に、前記炭酸化処理にて得られた炭酸化処理物の懸濁液をフィルタープレスで脱水処理し、得られた固形分濃度が約48%のケーキ状の炭酸化処理物をコーレスミキサーにて水に分散させることにより、固形分濃度が約46%の白色の無機粒子スラリーを調製した。なお、この分散させる水には、分散剤としてポリアクリル酸系分散剤(商品名:アロンT−50、東亜合成株式会社製)を炭酸化処理物の固形分100質量部に対して1.0質量部添加した。そして、最後にサンドグラインダーを用いて上記の無機粒子スラリーを湿式粉砕し、塗工紙用顔料に適した白色無機粒子を得た。得られた白色無機粒子の平均粒子径は、塗工紙用顔料に適した1.2μmであった。
(本発明例5)
1次焼成において、図3に示す区分室数が6である回転胴を用いたことを除き、本発明例4と同様の方法により白色無機粒子を得た。得られた白色無機粒子の平均粒子径は、塗工紙用顔料に適した1.5μmであった。
(本発明例6)
一次焼成において、回転胴1内への空気供給を停止して貧酸素雰囲気下で焼成処理(炭化処理)したことを除き、本発明例5と同様の方法により白色無機粒子を得た。得られた白色無機粒子の平均粒子径は、塗工紙用顔料に適した1.6μmであった。
(比較例1)
図15に示す単一の円筒管で構成される回転胴を用いたことを除き、本発明例1と同様の方法により白色無機粒子を得た。
(比較例2)
図14に示す区分室が3である回転胴を用いたことを除き、本発明例1と同様の方法により白色無機粒子を得た。
(比較例3)
排気手段9および排気循環ブロア10を原料投入口4側から給気口6側に移設して、回転胴1内における空気の流れ方向を原料供給口1aから焼成物排出口1bへ流れる方向(並流:図2に示した矢印aと逆方向)としたことを除き、比較例2と同様の方法により白色無機粒子を得た。
(比較例4)
1次焼成および2次焼成のいずれにおいても、図15に示す単一の円筒管で構成される回転胴を用いたことを除き、本発明例4と同様の方法により白色無機粒子を得た。
(比較例5)
1次焼成処理において、回転胴内への空気供給を停止して貧酸素雰囲気下で焼成処理(炭化処理)したことを除き、比較例4と同様の方法により白色無機粒子を得た。
(比較例6)
焼成処理物の炭酸化処理を行わなかったことを除き、比較例4と同様の方法により白色無機粒子を得た。
上記の本発明例および比較例について、各焼成工程中の回転胴1内のスラッジ存在比率、スラッジ充填率、焼成後の焼成物(焼成灰)の白色度および炭酸カルシウム分解率、最終的に得られる無機粒子の白色度および炭酸カルシウム未再生化物有無、平均粒子径および総合評価についてそれぞれ調べた結果を、各処理条件とともに表1および2に示す。なお、各項目の測定方法および評価は次の通りである。
[スラッジ充填率]
回転胴1内におけるスラッジ充填率(体積充填率%)を下記の(1)〜(3)の手順に従って算出し、評価した。
(1)回転胴1内の総スラッジ体積の算出
焼成処理する直前の状態のスラッジ(粉体または造粒物)を、1Lのメスシリンダーに入れて、スラッジ体積が1L時のスラッジの質量を測定し、スラッジの比重R(Kg/L)を求めた。スラッジ投入量C(Kg/h)、スラッジ比重R(Kg/L)および焼成処理時間(回転胴1内のスラッジ保持時間)T(h)から下記式を用いて、回転胴1内の総スラッジ体積VS(L)を算出した。
VS=C÷R×T
(2)回転胴1の総容量の算出
回転胴1の内径ID(mm)および長さL(mm)から回転胴1の総容量VP(L)を算出した。
(3)スラッジ充填率の算出
回転胴1内の総スラッジ体積および回転胴1の総容積から下記式を用いて、回転胴1内のスラッジ充填率(体積充填率)を算出した。
スラッジ充填率(%)=VS÷VP×100
[白色度]
懸濁液の状態の白色無機粒子を120℃乾燥機で乾燥させて白色無機粒子の乾燥物を調製し、この白色無機粒子乾燥物約10gを乳鉢で粗い粒子がなくなるまで磨り潰した後、粉体錠剤成形機(理化学電気工業社製 Cat9302/30型)を用いて圧力100kNにて30秒加圧成形した。次いで、この成形試料の白色度を分光白色度測色計(スガ試験機社製 SC−10WT型)を用いてJIS P 8148(2001年)に準拠して測定した。
[焼成処理後の炭酸カルシウム分解率]
焼成処理後の焼成物(焼成灰)における炭酸カルシウム分解率を下記の(1)〜(7)の手順に従って求め、評価した。
(1)カルサイト炭酸カルシウムの検量線の作成
結晶構造がカルサイトの炭酸カルシウム(奥多摩工業社製 タマパール222H)に対して、内部標準物質として酸化亜鉛(キシダ化学社製 試薬特級)を、質量比1:5、1:1、5:1となるようにそれぞれ混合した。次いで、各混合物について、乳鉢を用いて充分に磨り潰したのちに、X線回折装置(マックスサイエンス社製 MO3XHF)を用いて、40KV、20mA、回折角測定範囲5〜50度の条件で測定し、カルサイト炭酸カルシウムと酸化亜鉛のそれぞれのX線回折100%ピーク面積を基にして、カルサイト炭酸カルシウムの検量線を作成した。
(2)アラゴナイト炭酸カルシウムの検量線の作成
結晶構造がアラゴナイトの炭酸カルシウム(奥多摩工業社製タマパール123)を用いた以外は、前記カルサイト炭酸カルシウムの検量線作成と同様にして、アラゴナイト炭酸カルシウムの検量線を作成した。
(3)焼成処理前の製紙スラッジ中の炭酸カルシウムの定量
秤量した絶乾の製紙スラッジに対して、秤量した酸化亜鉛(試薬特級 前出)を添加混合した。次いで、この混合物について乳鉢を用いて充分に磨り潰したのちに、X線回折装置(MO3XHF 前出)を用いて、40KV、20mA、回折角測定範囲5〜50度の条件で測定し、酸化亜鉛に対するカルサイト炭酸カルシウム及びアラゴナイト炭酸カルシウムのX線回折100%ピーク面積を求め、前記した各炭酸カルシウムの検量線を基にして、製紙スラッジ1g中に含まれる炭酸カルシウム量(g)を算出した。
(4)製紙スラッジの灰分の測定
秤量した絶乾の製紙スラッジを、マッフル炉を用いて実施例における回転式キルン炉の各焼成処理条件と同条件となるように焼成処理し、得られたスラッジ焼成物の質量を秤量し、下式によってスラッジの灰分含有量(%)を測定した。
灰分含有量(%)=(スラッジ焼成物質量/絶乾の製紙スラッジ質量)×100
(5)スラッジ焼成物中の炭酸カルシウムの定量
秤量したスラッジ焼成物に対して、秤量した酸化亜鉛(試薬特級 前出)を添加混合した。次いで、該混合物について、乳鉢を用いて充分に磨り潰したのちに、X線回折装置(MO3XHF 前出)を用いて、40KV、20mA、回折角測定範囲5〜50度の条件で測定し、酸化亜鉛に対するカルサイト炭酸カルシウム及びアラゴナイト炭酸カルシウムのX線回折100%ピーク面積を求め、前記した各炭酸カルシウムの検量線を基にして、スラッジ焼成物1g中に含まれる炭酸カルシウム量(g)を算出した。
(6)焼成処理後の炭酸カルシウムの分解率
スラッジ焼成物1g中の炭酸カルシウム量(g)をA、製紙スラッジ1g中の炭酸カルシウム量(g)をB、灰分含有量(%)をCとし、下式によって焼成処理後の炭酸カルシウムの分解率を算出した。
炭酸カルシウム分解率(%)=100−〔A×(C/100)〕÷B×100
(7)焼成物中の炭酸カルシウム分解率の評価結果
上記の方法により炭酸カルシウム分解率を測定した結果、いずれの例でも、スラッジ焼成物中の炭酸カルシウム量(A)は、スラッジ焼成物1g当たり0.0g(0質量%)であり、焼成によってスラッジ焼成物中の炭酸カルシウムは全て分解しており、分解率は100%であった。
[炭酸カルシウム未再生化物の有無]
最終的に得られた無機粒子について、乳鉢で粗い粒子がなくなるまで磨り潰した無機粒子試料を、X線回折装置(MO3XHF 前出)を用いて、40KV、20mA、回折角測定範囲5〜50度の条件で測定し、炭酸カルシウム未再生化物である酸化カルシウム及び水酸化カルシウムの有無を調べた。その結果、いずれの例においても、最終的に得られた無機粒子には炭酸カルシウム未再生化物を含まれておらず、品質的に優れていた。
[無機粒子懸濁液のpH測定方法]
得られた無機粒子の懸濁液は、ラコムテスターpH計(pHScanWPBN型/アズワン製)を使用し、各種顔料懸濁液中に直接pH電極を浸漬させて顔料懸濁液のpHを測定した。なお、pH測定に使用したpH計については、NIST基準校正液(pH6.86、およびpH9.18の2種類)を用いてpH校正を行なった後にpH測定を行なった。その結果、炭酸化処理を行わなかった比較例6の無機粒子懸濁液のpHが12.5であった。その他の実施例1〜6および比較例1〜5については、いずれの例でも、最終的に得られた無機粒子懸濁液は、pH9.5〜10.8の範囲にあり、品質的に優れていた。
[平均粒子径の測定]
レーザー回折粒度分布測定装置(装置名: マイクロトラックHRAX−100 日機装社製)を用いて、無機粒子懸濁液における平均粒子径を測定した。
[総合評価]
最終的に得られた無機粒子について、白色度および懸濁液pHのデータから製紙用材料としての品質を総合的に評価した。○は、白色度が76%以上と高く、懸濁液のpHが11以下であった場合を意味し、×は、白色度および懸濁液のpHの少なくとも一方が所望性能に満たない場合を意味する。
Figure 0004257550
Figure 0004257550
表1および2に示すように、本発明例1〜6においては、いずれも充填率50%と高い状態で焼成を実施したにもかかわらず、いずれの例でも比較例1〜6よりも格段に優れる、白色度が76%以上と高い白色無機粒子を製造することができた。
本発明の白色無機粒子を製紙用填料に用いた場合の効果を確認するべく、下記の実験を行った。
(本発明例7)
本発明例1において得られた無機粒子(平均粒子径12.8μm)30%および軽質炭酸カルシウム(王子製紙製、平均粒子径6.2μm)70%を混合して、固形分濃度10%の填料懸濁液を調製した。
一方、広葉樹晒クラフトパルプ(王子製紙製、LBKP)60%および古紙再生パルプ40%から成る混合パルプのスラリー(パルプ濃度2.5%)を調製した。次いでパルプ絶乾質量あたりの添加量として、カチオン化澱粉(商品名:王子エースK100、王子コーンスターチ社製)0.8部、硫酸アルミニウム(Al2(SO43・18H2O)0.5部、アルキルケテンダイマー(商品名:SPK903、荒川化学工業社製)0.1部および前記填料懸濁液を原紙灰分としての填料の添加量が約13質量%となるように、前記パルプスラリーに対して、パルプスラリーを攪拌しながらそれぞれ2分毎に順次添加して充分に混合した後、このパルプスラリーを固形分濃度0.5%となるように希釈し試料とした。
次いでこの試料を用いて、実験用角形手抄きシートマシン(東西精機社製)によって風乾坪量69g/m2のシートに抄いた後、温度100℃のシリンダードライヤーによって乾燥させて手抄きシートを調製した。この手抄きシートを20℃、65%RH環境下で24時間調湿したのち、実験用マシンカレンダー(熊谷理機工業社製)を用いて線圧10kg/cmにて1回通紙仕上げ処理して無機粒子内添紙を得た。
(比較例7)
軽質炭酸カルシウム(王子製紙製、平均粒子径6.2μm)100%として、固形分濃度10%に調製した填料懸濁液を用いたこと以外は、本発明例7と同様にして無機粒子内添紙を得た。
(参考例1)
タルク(商品名:SK−2、東洋化成社製、平均粒子径12.8μm)100%として、固形分濃度10%の填料懸濁液を調製した。なお、参考例1は、手抄き填料内添紙には調整せず、填料分散液のワイヤー磨耗度測定のみを行ったものである。
本発明例7および比較例7について、下記の方法により、填料分散液のワイヤー磨耗度、紙の灰分、坪量、厚さ、密度、平滑度、白色度および不透明度を調査した。その結果を表3に示す。
[填料分散液のワイヤー磨耗度]
ワイヤー摩耗試験機(王子工営製)を使用し、固形分濃度:10%の填料分散液をポンプ循環させながら、試験条件(加重=650g,ワイヤー=プラスチックワイヤ/SS−40…日本フィルコン社製を使用,試験時間=3時間)で摩耗度試験を行い、減量したワイヤーの重量(mg)をもって、ワイヤー摩耗度とした。数値が大きい程、ワイヤー摩耗性が大きいことを示す。
[紙の灰分]
ISO2144に準拠して、紙の灰分を測定した。
[紙の坪量]
ISO536に準拠して、紙の坪量を測定した。
[紙の厚さ、および密度(緊度)]
ISO534に準拠して、紙の厚さ、および密度(緊度)を測定した。
[紙の平滑度(PPS平滑度)]
パーカープリントサーフ(PPS)表面平滑度試験機(機種名:MODEL M-569型、Messmer Buchel社製、英国)を用い、バッキングディスク:ソフトラバー、クランプ圧力:0.98MPaの条件で、5回平滑度測定を行い、その平均値を求めた。
[紙の白色度]
ISO2470に準拠して、紙の白色度を測定した。
[紙の不透明度]
ISO2471に準拠して、紙の不透明度を測定した。
Figure 0004257550
表3に示すように、本発明例7では、比較例7に比べて、嵩高であり、不透明度も良好であった。
本発明の白色無機粒子を軽量コート紙用顔料に用いた場合の効果を確認するべく、下記の実験を行った。
(本発明例8)
本発明例5において得られた無機粒子(平均粒子径1.5μm)40%と、平均粒子径0.3μmのカオリン(商品名:ミラグロスJ、エンゲルハード社製)20%および平均粒子径0.7μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブK−9、備北粉化製)40%を配合した顔料100部に対して、ポリアクリル酸ナトリウム分散剤(商品名:アロンT50、東亜合成社製)を1部添加し、コーレス分散機で水中に前記顔料を分散して顔料スラリーを得た。この顔料スラリー100部に対して、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ1000、JSR社製)12部(固形分)、予め糊化した酸化澱粉(商品名:王子エースB、王子コーンスターチ製)7部(固形分)を添加して混合攪拌し、最終的に固形分濃度が53%であり、かつハーキュレス粘度が17mPa・sである軽量コート紙用顔料塗被液を調製した。
この軽量コート紙用顔料塗被液を、坪量52g/m2の上質原紙の両面に、ゲートロールコーターを用いて塗工速度600m/minで塗工し、乾燥させて両面塗被紙を得た。塗工量(固形分)は片面あたり7g/m2であった。得られた塗被紙には更にスーパーカレンダー処理を行い、両面1層軽量コート紙を得た。
(比較例8)
平均粒子径0.3μmのカオリン(商品名:ミラグロスJ、前出)50%および平均粒子径0.7μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブK−9、前出)50%から成る顔料を用い、最終的に固形分濃度が59%であり、かつハーキュレス粘度が20mPa・sである軽量コート紙用顔料塗被液を調製したこと以外は、本発明例8と同様にして両面1層軽量コート紙を得た。
本発明例8および比較例8について、上記の方法により紙の坪量、厚さ、密度、平滑度、白色度および不透明度を調査し、更に、下記の方法により、顔料塗被液のハーキュレス粘度、ならびに、紙の白紙光沢度、印刷光沢度、印刷強度およびインキ乾燥性を調査した。その結果を表4に示す。
[顔料塗被液のハーキュレス粘度]
ハーキュレスハイシェア粘度計(熊谷理機工業製)を用いて、Fボブによる8800rpm時の粘度(mPa・s)を測定した。
[紙の白紙光沢度]
ISO 8254−1 Part1(1999)(JIS P8142)に準拠して、75度における紙の白紙面の光沢度(白紙光沢度)を測定した。
[紙の印刷光沢度]
RI−II型印刷試験機(明製作所製)を用い、オフセット印刷用インク(商品名:Fusion-G 墨 Sタイプ、大日本インキ化学社製)を0.7cc使用して各塗被紙に印刷を施し、印刷物を24時間静置乾燥した。その後、JIS Z8741―1997に準拠して、各塗被紙の印刷面の60度における光沢度(印刷光沢度)を測定した。
[紙の印刷強度]
RI印刷試験機にて、印刷インキ(商品名:紙試験用SD50 紅、東洋インキ社製)を0.6cc使用して印刷を行い、印刷面のピッキングの程度を目視評価した。ただし、表中の各記号の意味は、下記の通りである。
○:ピッキングが全く発生せず、表面強度が良好である。
△:ピッキングが少し発生しており、表面強度がやや劣る。
×:ピッキングが多く発生しており、表面強度がかなり劣る。
[紙のインキ乾燥性]
RI印刷試験機にて、印刷インキ(商品名:Fusion-G 墨 Sタイプ、前出)を1.0cc使用して印刷を行い、3分後に白紙(商品名:ユポFPG−80、ユポ・コーポレーション社製)と印刷面を重ねて、再度RI印刷試験機にてニップし、白紙に転写したインキの濃度(裏移り汚れ)を目視評価した。ただし、白紙に転写したインキ濃度(裏移り汚れ)が高濃度なほど、紙のインキ乾燥性が遅いことを示す。表中の各記号の意味は、下記の通りである。
○:白紙への裏移り汚れがほとんどなく、インキ乾燥性が良好である。
△:白紙への裏移り汚れが少し発生しており、インキ乾燥性がやや劣る。
×:白紙への裏移り汚れが多く発生しており、インキ乾燥性がかなり劣る。
Figure 0004257550
表4に示すように、本発明例8は、比較例8に比べて、低緊度であり、高い平滑性、光沢度(白紙光沢)および不透明度を有し、しかも、インキ乾燥性も良好であった。
本発明の白色無機粒子を2層塗工紙用顔料に用いた場合の効果を確認するべく、下記の実験を行った。
(本発明例9)
本発明例5において得られた無機粒子(平均粒子径1.5μm)30%と、平均粒子径1.4μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブK−6、備北粉化社製)70%とを配合した顔料100部に対して、ポリアクリル酸ナトリウム分散剤(商品名:アロンT50、東亜合成社製)を1部添加し、コーレス分散機で水中に前記顔料を分散して顔料スラリーを得た。この顔料スラリー100部に対して、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ1000、前出)9部(固形分)、予め糊化した酸化澱粉(商品名:王子エースB、王子コーンスターチ製)3部(固形分)を添加して混合攪拌し、最終的に固形分濃度が59%であり、かつハーキュレス粘度が21mPa・sの下塗り層用塗被液を調製した。
一方、平均粒子径0.7μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブK−9、前出)40%および平均粒子径0.3μmのカオリン(商品名:ミラグロスJ、前出)60%からなる顔料100部に対して、ポリアクリル酸ナトリウム分散剤(商品名:アロンT50、東亜合成社製)を1部添加し、コーレス分散機で水中に前記顔料を分散して顔料スラリーを得た。この顔料スラリー100部に対して、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ1000、前出)11部(固形分)、予め糊化した酸化澱粉(商品名:王子エースB、王子コーンスターチ製)2部(固形分)を添加して混合攪拌し、最終的に固形分濃度が62%であり、かつハーキュレス粘度が23mPa・sの上塗り層用塗被液を調製した。
下塗り層用塗被液を、坪量52g/m2の上質原紙の両面に、ゲートロールコーターを用いて塗工速度600m/minで塗工し、乾燥させて両面塗被紙を得た。塗工量(固形分)は片面あたり7g/m2であった。次いで、下塗り塗被液を塗工した塗工紙に、上塗り層用塗被液を、片面あたりの乾燥塗工量が9g/m2になるようにブレードコーターを用いて塗工速度600m/minで片面ずつ順次塗工、乾燥した後、スーパーカレンダー処理を行い、両面2層塗工紙を作製した。
(比較例9)
平均粒子径1.4μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブK−6)100%から成る顔料を用い、最終的に固形分濃度が61%であり、かつハーキュレス粘度が22mPa・sである下塗り層用塗被液を調製したこと以外は、本発明例9と様にして両面2層塗工紙を得た。
本発明例9および比較例9について、上記の方法により顔料塗被液のハーキュレス粘度、紙の坪量、厚さ、密度、平滑度、白紙光沢度、白色度および不透明度、印刷光沢度、印刷強度ならびにインキ乾燥性を調査した。その結果を表5に示す。
Figure 0004257550
表5に示すように、本発明例9は、比較例9に比べて、低緊度であり、高い平滑性、光沢度(白紙光沢)および不透明度を有し、しかも、インキ乾燥性も良好であった。
本発明によれば、筒型熱処理炉内に投入される製紙スラッジの積層、堆積を軽減させ、製紙スラッジと酸素との十分な接触を確保することができる。従って、効率よく、経済的且つ大規模に高品質の白色無機粒子を製造することができる。本発明の白色無機粒子は、製紙用填料または塗工紙用顔料に好適である。
本発明の白色無機粒子の製造方法の好適な一例を示すフローチャート図。 本発明において用いられる筒型熱処理炉(回転式キルン炉)の一例を模式的に示す縦断側面図。 本発明の回転胴の例(区分室が6つの例)を示す断面図(横長の回転胴の長手方向に対して直交する方向の断面における断面図)。(a)は、製紙スラッジが充填されていない状態を示し、(b)は、製紙スラッジが充填された状態を示す。 本発明の回転胴の例(管を束ねて区分室を6つ設けた例)を示す断面図(横長の回転胴の長手方向に対して直交する方向の断面における断面図)。(a)は、製紙スラッジが充填されていない状態を示し、(b)は、製紙スラッジが充填された状態を示す。 本発明の回転胴の例(区分室が12の例)を示す断面図(横長の回転胴の長手方向に対して直交する方向の断面における断面図)。(a)は、製紙スラッジが充填されていない状態を示し、(b)は、製紙スラッジが充填された状態を示す。 本発明の回転胴の例(内部空洞を有し、区分室が12の例)を示す断面図(横長の回転胴の長手方向に対して直交する方向の断面における断面図)。(a)は、製紙スラッジが充填されていない状態を示し、(b)は、製紙スラッジが充填された状態を示す。 本発明例の回転胴の例(区分室が18の例)を示す断面図(横長の回転胴の長手方向に対して直交する方向の断面における断面図)。(a)は、製紙スラッジが充填されていない状態を示し、(b)は、製紙スラッジが充填された状態を示す。また、(c)は、3分割隔壁の斜視図を示す。 図4に示す回転胴の管部に従動回転型撹拌翼を挿入して多胴・多分割構造とした回転胴の例を示す断面図。 堰き止め構造を有しない従動回転型撹拌翼の例を示す模式図。(a)は斜視図、(b)は長手方向に対して直交する方向の断面における断面図を示す。 堰き止め構造を有する従動回転型撹拌翼の例を示す模式図。(a)は斜視図、(b)は長手方向に対して直交する方向の断面における断面図を示す。 横長の回転胴の長手方向に対して直交する方向の断面(径方向断面)における製紙スラッジの分散配置状況を評価するための概念図。(a)は回転胴の外郭が円形断面を有する場合の例を示し、(b)は回転胴の外郭が多角形断面を有する場合の例を示している。 本発明において用いられる筒型熱処理炉(回転式キルン炉)の他の例を模式的に示す縦断側面図。 本発明において用いられる筒型熱処理炉(回転式キルン炉)の他の例を模式的に示す縦断側面図。 比較例の回転胴の例(区分室が3の例)を示す断面図(横長の回転胴の長手方向に対して直交する方向の断面における断面図)。 従来の単一管で構成されるスラッジ焼成用回転式キルン炉のスラッジの状態を例示した軸方向に垂直な断面図。
符号の説明
1 ・・・・回転胴
1a ・・・・原料供給口
1b ・・・・焼成物排出口
2 ・・・・加熱ジャケット
3 ・・・・排気口
4 ・・・・原料投入口
5 ・・・・原料供給手段
6 ・・・・・給気口
7 ・・・・・焼成物取出口
8A,8B・・間接的加熱手段
81 ・・・熱風ブロア
82 ・・・熱風放出口
9 ・・・・・排気手段
10 ・・・排気循環ブロア
11a ・・外殻
11b ・・隔壁
11c ・・3分割隔壁
12 ・・・区分室
13 ・・・管部
14 ・・・管部固定部材
14a ・・・中心孔
15 ・・・空洞部
16a ・・外殻
16b ・・隔壁
17 ・・・区分室
18a ・・・内筒部
18b ・・・外筒部
18c ・・・隔壁
19 ・・・・区分室
20A ・・・多分割構造部
20B ・・・多分割構造部
20C ・・・多分割構造部
20D ・・・多分割構造部
21o ・・最外層領域の区分室群
21c ・・中心領域の区分室群
22 ・・・区分室
23 ・・・従動回転型攪拌翼(堰き止めなし構造)
24 ・・・従動回転型攪拌翼(堰き止め付き構造)
25 ・・・堰き止め
26 ・・・区分室
a ・・・・空気が流れる方向
b ・・・・製紙スラッジの進行方向
c ・・・・・回転胴の回転軸中心
d ・・・・・回転胴の回転方向
K1・・・・・筒型熱処理炉
S ・・・・・製紙スラッジ

Claims (14)

  1. 製紙スラッジを筒型熱処理炉内で焼成して白色の無機粒子を製造する方法であって、筒型熱処理炉の回転胴内が横長の回転胴の長手方向に対して直交する方向の断面(径方向断面)において複数の区分室に分割されており、回転胴の回転軸に垂直な断面において、回転胴を上下方向に等間隔に4等分し、上から第1領域、第2領域、第3領域および第4領域とするとき、第1領域および第2領域に存在する製紙スラッジの平均スラッジ存在比率が34%以上である状態で焼成することを特徴とする白色無機粒子の製造方法。
  2. 第4領域に存在する製紙スラッジ量の合計が、スラッジ充填率が変化しても常時製紙スラッジ総量の1/2以下であり、しかも第3領域に存在する平均スラッジ存在比率が30%未満であることを特徴とする請求項に記載の白色無機粒子の製造方法。
  3. 回転胴の回転軸に垂直な断面において、製紙スラッジの充填率(製紙スラッジが占める面積/区分室の面積の合計×100)が5〜50%であることを特徴とする請求項1または2に記載の白色無機粒子の製造方法。
  4. 区分室の数が6以上であることを特徴とする請求項1からまでのいずれかに記載の白色無機粒子の製造方法。
  5. 区分室が固定された隔壁および/または従動回転型の撹拌翼によって構成されていることを特徴とする請求項1からまでのいずれかに記載の白色無機粒子の製造方法。
  6. 回転胴が6個以上の管を束ねた管部束体により構成されていることを特徴とする請求項1からまでのいずれかに記載の白色無機粒子の製造方法。
  7. 焼成が2段階の工程により行われ、第1および第2の焼成工程における回転胴の区分室の数をそれぞれn1およびn2とするとき、各工程における回転胴の区分室の数が下記の(1)式を満たすことを特徴とする請求項1からまでのいずれかに記載の白色無機粒子の製造方法。
    n1≧n2 ・・・(1)
  8. 回転胴内の製紙スラッジの進行方向と逆方向の流れとなるように空気を導入することを特徴とする請求項1からまでのいずれかに記載の白色無機粒子の製造方法。
  9. 製紙スラッジに含まれる有機成分の完全燃焼に要する理論酸素量の1.1〜5倍の酸素量を含む空気を回転胴内に導入することを特徴とする請求項1からまでのいずれかに記載の白色無機粒子の製造方法。
  10. 焼成時に製紙スラッジに含有される炭酸カルシウムの50%以上を分解することを特徴とする請求項1からまでのいずれかに記載の白色無機粒子の製造方法。
  11. 焼成により得た焼成物を水に懸濁し、その懸濁液に炭酸ガスを通じることにより得た無機粒子懸濁液を脱水、分散および粉砕することを特徴とする請求項1から10までのいずれかに記載の白色無機粒子の製造方法。
  12. 無機粒子懸濁液が、pH11以下であることを特徴とする請求項11に記載の白色無機粒子の製造方法。
  13. 白色無機粒子の大きさが、0.1〜20μmであることを特徴とする請求項11または12に記載の白色無機粒子の製造方法。
  14. 製紙スラッジが、抄紙系および塗工紙製造系の廃水スラッジならびに古紙脱墨系の加圧浮上(浮選)および/または洗浄によって得られる脱墨スラッジのいずれか一種またはこれらの混合スラッジであることを特徴とする請求項1から13までのいずれかに記載の白色無機粒子の製造方法。
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