JP5056378B2 - 塗工白板紙 - Google Patents

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Description

本発明は白色性、白紙外観に優れ、且つ良好な印刷適性を有した塗工白板紙に関する。
一般に、白板紙は、通常白ボールとマニラボールに分類され、マニラボールはさらに高級白板紙と特殊白板紙に分類される。さらに白ボールについては、塗工タイプと非塗工タイプがある。白板紙は、通常3〜9層の多層構造からなる厚紙で、各種包装箱等に多く使用される。中でも、白ボール、塗工白ボールおよび特殊白板紙は、環境面や包材のコストダウンの観点から古紙パルプが多く用いられており、中層には未脱墨の古紙パルプが使用されている。例えば、塗工白ボールでは、表層には、バージンパルプまたは脱墨された白色度の高いパルプを、また中層、裏層には白色度の低い未脱墨の古紙パルプを使用する。また、特殊白板紙カードでは、最外層(表層、裏層)には、バージンパルプまたは脱墨された白色度の高いパルプを使用し、中層は脱墨古紙が使用されている。
中層の色を隠蔽するためには、最外層にはある程度の厚さが必要であるが、最外層のみに隠蔽性を求めると、コスト的な問題があるため、最外層と中層の間に中間層(表下層、裏下層)を設けて、この層でも中層の色を隠蔽させるのが普通である。
しかし、中間層には上述のとおりコスト的な問題から最外層と同等の高い白色度を有するパルプを使用することが難しく、中層ほどではないが最外層よりも白色度の低いパルプが使用される。中間層を設けることにより、中層の隠蔽は可能となるものの、中間層の白色度の影響は受けるため、紙面を上方から直視して見たときに、微小な面積の色差ムラ(白色ムラ)を生じ、面感の低下をまねく。
白色度の低い未脱墨の古紙パルプが使用されている白板紙において、白色ムラが存在する原因は必ずしも明らかではないが、次のように考えられる。すなわち最外層の米坪が約30〜80g/mと少なく、隠蔽性が低いうえに、通常の板紙マシンにて得られる各層の原紙地合いは、マシン構造の違いから洋紙系の長網マシンに比べると劣ることが多い。そのため最外層は、パルプ量の少ない(透明性の高い)部分と、パルプ量の多い(透明性の低い)部分の差が比較的大きく、目立ちやすい。この層が内側の層と抄合わされると中間層の表面部が、最外層のパルプ量の少ない(透明性の高い)部分より透けて映り、このときの最外層と中間層のシート表面の白色度差が大きい場合には、中間層の表面が透けて映る部分は色差ムラ(以下、白色ムラとする)となって、白紙面感の低下をもたらすものと推定される。
印刷適性付与の目的で顔料塗被層を設けた塗工白板紙は、塗被層を設けることにより白色ムラは良化する傾向にあるが、単層紙の洋紙と比較して原紙が多層からなり、多層構造由来の各層の原紙凹凸により、塗被層の被覆性は大きく劣るため、被覆性を補うために塗被層中の顔料として、これまでに焼成カオリン、二酸化チタン及び中空型のプラスチックピグメントを使用する方法が提案されている(特許文献1、2を参照)が、いずれも高コスト材料、また高白色度顔料であるため、白色度の低い原紙を使用する際には、塗被層との白色度差が大きくなり、白色ムラ悪化が懸念されるため添加量が制限されている。その他の方法としては、原紙面より白色ムラを改良する目的で、最外層と中間層との白色度差を少なくする方法も提案されている(特許文献3を参照)。
特開平06−166991号公報 特開2003−306892号公報 特願2004−114995号公報
近年、産業界全体で環境保全の観点から従来の廃棄対象物を資源として有効活用する動きが強まり、製紙業界においても製紙原料に回収古紙を利用する比率が高まっているが、この古紙利用の増加に伴って製紙工場廃水に含まれるスラッジの処理が大きな課題になっている。製紙スラッジとは、製紙材料であるパルプなどの繊維分、澱粉や合成接着剤を主とする有機物や白色顔料を主とする無機物で利用されずに廃水中に混ざって処理される固形原料、さらにはパルプ化工程で洗い出されたリグニン、微細繊維、あるいは古紙由来の製紙用填料、それに付着した印刷インキ、および生物廃水処理工程から生じる余剰汚泥からなる。その生物廃水処理工程で生じる余剰汚泥以外の主な製紙スラッジの発生源は、抄紙時にワイヤーを通過して流出したもの、古紙処理工程での混入異物除去、脱墨処理や洗浄過程で発生したもの、およびパルプ化工程での洗浄過程で発生したものであり、これらの固形物を含む廃水は、沈殿あるいは浮上などを利用した固形分分離装置によりその固形分が分離、回収され、その後、必要に応じて活性スラッジ処理等の生物処理が施された後、放流される。このような処理によって分離、回収された固形分や廃水の最終生物処理によって発生する余剰汚泥が製紙スラッジとなる。
製紙工場から発生した製紙スラッジは、従来は、産業廃棄物として、そのまま埋め立て処分されることが多かったのに対し、最近は流動床炉やストーカ炉等の焼却炉でスラッジ中の有機物を燃焼させてエネルギーとして回収すると同時に、製紙スラッジの減容化が図られている。しかし、製紙スラッジ中には無機物も含まれるため、燃焼後には多量の残渣(焼却灰)が残るという問題がある。現在、焼却灰の一部はセメントに混合されたり、製鉄の酸化防止剤、土壌改良剤等にも使用されているが、大半は産業廃棄物として埋め立て処分されている。一方、回収される古紙は、無機成分含量が少ない新聞や上質紙などの非塗工紙系古紙と、無機成分含量が多い雑誌などの塗工紙系古紙との2種に大別され、現状では再生処理が容易な非塗工紙系古紙が主流をなすが、今後の古紙利用率を高める上で必然的に塗工紙系古紙の比率が増すことになり、これに伴ってスラッジ発生量も急増することが予想される。従って、今後は製紙スラッジやその焼却灰を廃棄物として処理することがますます困難になり、また年々高騰している処理費用が紙パルプ工業の収益を圧迫することが予想される。このため、古紙を再生している製紙業界においては、製紙スラッジの問題は極めて深刻で、その対策の一環としてその有効活用が強く求められている。
製紙スラッジの有望な再生用途として、その焼却処理後の無機成分主体のスラッジ焼却灰を製紙用填料や塗工用顔料などの製紙用材料に再利用することが挙げられる。この再利用が実現すれば、大量のスラッジ焼却灰を製紙用材料として消費できるから、産業廃棄物の削減のみならず、古紙利用率の向上にも結び付き、環境対策上の問題が一挙に解消することにもなる。
本発明は、塗工白板紙の製造方法について、製紙スラッジを原料とした再生顔料を使用し、表面の白色ムラが少なく、平滑性や印刷適性に優れた環境に優しい塗工白板紙の製造方法を提供するものである。
本発明にかかる塗工白板紙の製造方法は、塗被層中の顔料成分中に、製紙スラッジを燃焼処理して得られる再生顔料を5質量%以上含有し、前記再生顔料が、製紙スラッジを原料とし、筒型熱処理炉内を移送しつつ燃焼処理を施して製造されたものであって、燃焼処理が、過剰空気雰囲気下、スラッジ温度650℃以下でスラッジ中の易燃焼性有機成分を燃焼除去する一次燃焼工程と、スラッジ温度700〜850℃でスラッジ中の難燃焼性有機成分を燃焼除去する二次燃焼工程との、少なくとも2段階の燃焼工程を経ることによって行われることを特徴とする。
2層以上の塗被層を有する塗工白板紙において最外塗被層に接する内側塗被層(以下下塗り塗被層)の顔料成分中に、製紙スラッジを燃焼処理して得られる再生顔料を5質量%以上含有することを特徴とする。
前記再生顔料が、筒型熱処理炉の筒方向の端部に設置されるスラッジ供給口から供給し、該スラッジ供給口に対して筒軸方向について反対側の端部に設置されるスラッジ排出口から取り出す間に空気雰囲気下で間接的加熱方法により燃焼処理して得られる再生顔料であることが好ましい。
前記燃焼処理が、筒型熱処理炉の一端のスラッジ供給口側から炉内空気を強制的に排出することにより、同他端の焼成物排出口側から空気を炉内へ吸入することによって行われるものであることが更に好ましい。
前記燃焼処理が、筒型熱処理炉の焼成室内部が分割されたものによって行われるものであることが更に好ましい。
記再生顔料が、原料の製紙スラッジを造粒または塊状に成形した後に該燃焼処理が行われて製造されたものであることが好ましい。
前記燃焼処理後の焼成物を水に混合、攪拌して懸濁液とする懸濁液化工程と、この懸濁液に二酸化炭素を接触させて炭酸化処理物を得る炭酸化処理工程と、該炭酸化処理物を粉砕する粉砕工程を更に供えて得られる再生顔料を使用して得られる塗工白板紙が好ましい。
前記再生顔料が、前記燃焼処理工程中で、製紙スラッジ中の炭酸カルシウムが50%を越えて分解している焼成物から得た再生顔料であることが好ましい。
本発明によって、その大半が産業廃棄物として処分されている製紙スラッジが有効に活用され、かつ、塗工表面の白色ムラが少なく、平滑性や印刷適性に優れた塗工白板紙を提供することが可能となった。
一般に、古紙配合率の高いパルプ構成である塗工白板紙において、片面10〜30g/m以下の塗工量にて塗工表面の高白色性と、かつ基紙表面のくすみを十分に隠蔽した良好な白紙外観を得ることは難しい。そこで、本発明者らは上記のごとき難点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、塗被層中の顔料として、製紙スラッジを原料として得られる再生顔料を5質量%以上含有することにより、塗工表面の隠蔽性、つまり白色ムラの少ない優れた白紙外観を有する塗工白板紙を得ることができ、平滑性および印刷適性にも優れた環境に優しい塗工白板紙が得られ、本発明の所望とする目的を達成することができたのである。
すなわち本発明に使用する再生顔料は、通常の白色顔料に比べ高い被覆性を有することにより、塗工表面の隠蔽性、および原紙白色度とコントラストの少ない塗工層が形成でき優れた白紙外観を得ることができる。
製紙スラッジから再生顔料を得る方法として、製紙スラッジを焼却炉で焼却した焼却灰を再燃焼させることにより、未燃焼カーボンを燃焼させ白色度を向上させる方法(特許文献4)、スラッジ中の有機材料の燃焼を生じさせ、有機物質を含まない無機材料を製造する方法(特許文献5)、流動床炉を使用して燃焼させ未燃カーボンが少ないスラッジ焼却灰を分取し、使用する方法(特許文献6)、製紙スラッジを成形し、内燃式ロータリーキルンなどで焼却し、粉砕する方法(特許文献7、8)、製紙スラッジを造粒、成形し、ロータリーキルン内で乾燥、炭化、焼成段階で有機分を効率良く燃焼させ焼却灰を得、粉砕と同時に炭酸ガスで中和する方法(特許文献9)が利用できる。
また、有機物中の黒色の炭化物を効率よく燃焼させるために、製紙スラッジを一次燃焼後、粗粉砕し、二次燃焼において残留した有機分を燃焼させ、さらに粉砕する方法(特許文献10)、一次燃焼を着火機能とし、二次燃焼においては酸素との接触を促進させながら燃焼する方法(特許文献11)、製紙スラッジの有機化合物を焼却する第一段階と、過剰の酸素供給下で残留炭質物質を焼却する第二段階の熱処理後、熱処理生成物を水性懸濁液にし、二酸化炭素を吹き込む方法(特許文献12)、製紙スラッジを乾燥後、燃焼炉で有機分を完全に燃焼させ粗粉砕あるいは微粉砕後に水分散液とし、二酸化炭素ガスを吹き込む方法(特許文献13)といった多段燃焼、燃焼の間に粉砕処理するといった方法があげられる。また、炭酸カルシウムの分解の抑制と白色度を両立させるために、炭素成分を燃焼させる際に二酸化炭素を吹き込む方法(特許文献14)も適用できる。
製紙スラッジからの再生無機粒子の硬度を低減させるために、スラッジ中の炭化水素物質が酸化される高い温度で焼却した灰粒子と水酸化カルシウムとのスラリーを作製し、スラリーを炭酸塩化して、灰粒子の表面に炭酸カルシウムを沈降させた複合粒状物質を製造する方法、その他の方法としては、焼却灰をアルカリ金属化合物と混合焼成することで高硬度化合物の生成を防止でき、混合焼成物を酸処理し、非晶質シリカ微粒子を製造する方法が適用できる。焼却灰を、ケイ酸を含むアルカリ溶液中に浸漬し、これを酸により中和することで、焼却灰をケイ酸などに包含させた多孔性粒体を製造する方法により得られた再生顔料も使用できる。
特開平11−310732号公報 特表平10−505055号公報 特開2001−11337号公報 特開2002−167523号公報 特許3611830号公報 特開2004−176208号公報 特開2001−262002号公報 特開2005−53984号公報 特開平10−29818号公報 特開2002−356629号公報 特開2004−262701号公報
製紙スラッジから再生顔料とする無機粒子を得るための非常に好ましい方法の一例の基本フローシートを図1に示した。図1は本発明で好適に用いられる再生顔料となる無機粒子の製造方法の基本フローシートを示す図である。以下本基本フローシートに従って説明する。
[スラッジ]
スラッジは本発明に係る再生顔料の原料となる。原料の製紙スラッジは、パルプ化工程、紙製造工程、古紙再生工程などの製紙工場の各種工程から排出される廃水に対してスラッジ回収処理として、凝集・沈殿・濃縮・脱水等の工程を適宜組合せて行って、各廃水が含有する固形分を回収したもの(製紙スラッジ各種)を、単独、または混合して適宜原料スラッジとして用いることができる。
このうち古紙再生工程からのスラッジについては、古紙脱墨工程の加圧浮上(フローテーション、または浮選)および/または洗浄によって古紙パルプから分離排出される脱墨廃液に対して凝集および脱水処理を行い、脱墨排水中の固形分を脱墨スラッジとして回収することが推奨される。また、白色度の低い古紙原料からスラッジを回収する場合には、古紙再生工程における脱墨処理及び浮選処理を充分に行い、カーボンブラックなどを含むインク粒子をできるだけ除去しておくのがよく、必要に応じて複数回のスラッジの加圧浮上工程および/または洗浄工程を追加することもできる。また、古紙脱墨工程から回収する脱墨スラッジについては、上質古紙、新聞古紙、雑誌(塗工紙系)古紙などに分別して古紙種類毎の脱墨スラッジを調製し、必要に応じてこれらの古紙種類別脱墨古紙を単独、または混合して適宜原料スラッジとして用いることができる。
なお、製紙スラッジ中の無機成分(灰分)は、製紙用填料や塗工紙用顔料に由来するカオリン(クレー)および炭酸カルシウムが無機成分全体の約80〜95重量%を占める主成分であり、タルク、二酸化チタンなどが少量混在している。前記無機成分の主成分であるカオリン、および炭酸カルシウムの比率は処理する古紙の種類等によって多少のばらつきはあるが、概ねカオリン/炭酸カルシウムの重量比で20/80〜80/20の範囲である。また、上記無機成分(灰分)中のカルシウム(CaO換算)、アルミニウム(Al換算)およびケイ素(SiO換算)のそれぞれの含有比率(カルシウム/アルミニウム/ケイ素)は、13〜73/12〜40/15〜47である。
また、製紙スラッジ中の有機成分、および無機成分の比率は、処理する古紙の種類や脱墨工程程度によって多少は変動するが、概ね無機成分/有機成分の重量比で30/70〜80/20の範囲である。
スラッジとは別に、製紙用材料として再利用が困難な低級な古紙やそれに付随するプラスチックを主としたRPF(Refused Paper & Plastic Fuel)を原料として使用することもできる。
[脱水工程]
各種工程の廃水から原料スラッジを固形分として回収する方法としては、濾過、遠心分離、加圧脱水、圧搾等の方法が挙げられ、前記各種方法を組合せて所要の含水率の製紙スラッジを得る。好適な濾過装置としては、ロータリースクリーンと称される濾過装置があり、また脱水装置としては、スクリュープレスと称される加圧・圧搾脱水装置があり、これらの濾過装置、圧搾装置を単独、または適宜組合せて用いることができる。また、遠心脱水装置としては、デカンタ型遠心脱水装置がある。
スラッジ中の固形分濃度は、脱水機の能力の違いで異なるため、通常5〜60質量%であるが、固形分濃度60質量%を超えるものは現状の脱水機あるいは濃縮機の能力では達成が難しい。
[乾燥工程]
本発明では、熱処理工程で用いられるに用いるスラッジの固形分濃度は特に限定はないが、熱処理工程中のエネルギーコストを低減する観点から、また熱処理装置を小さくする観点から、スラッジの固形分濃度はなるべく高くした方が好ましいので、70%以上にするのがよい。しかるに、前記の脱水工程のみでは、脱水装置機の能力によって異なるものの、固形分濃度は概ね5〜60質量%程度であるため、更に乾燥処理して固形分濃度を高めることが推奨される。
スラッジの固形分濃度を高くするために、図1に示すように、熱処理工程前にスラッジを乾燥する乾燥工程を設けることが好ましい。乾燥工程で用いる乾燥機としては、特に限定はなく、直接加熱型ロータリーキルン、間接加熱型ロータリーキルン、気流乾燥機、流動層乾燥機、振動流動乾燥機、回転・通気回転乾燥機(サイクロン)などを用いることができる。また、これら乾燥機の熱源としては、後述する焼成処理工程の排熱を使用することにより、エネルギーコストを低減することが可能である。
乾燥処理の温度は、気流乾燥機や回転・通気回転乾燥機のような熱風を利用して乾燥させる装置においては、スラッジの燃焼や炭化を防止するために熱風温度を600℃以下とすることが好ましく、250℃以下とすることが特に好ましい。この熱風温度が高過ぎては、スラッジが発火し、その際の焼成条件が適切でなければ、易燃焼性の有機成分が炭化して難燃焼性に変化する懸念がある。また、乾燥工程においては乾燥効率を向上させるために、スラッジを細かく解すことが好ましく、撹拌機や機械式ロール等により強制的にスラッジを解し、必要に応じてスラッジを300〜2000μm程度に分級して乾燥させることが好ましい。
また本発明の熱処理工程に用いるスラッジは、熱処理装置内にスラッジが積層された時に酸素と接触できる大きさ、形状であれば特に限定はない。しかし、スラッジを細かく、かつ大きさを均一にすると、スラッジが細密充填のように積層され、積層内に酸素が入り込まないため、有機物、特にカーボンの燃焼が不十分になり白色度が向上しない可能性がある。また、スラッジを大きくし過ぎると、カーボンを完全に燃焼することができず、スラッジ塊状の中心部に未燃カーボンが残存する可能性がある。以上のことから、本発明で用いられるスラッジは、長さまたは直径が2mm以上30mm以下の範囲の大きさのものを用いるのが好ましい。形状は、円柱状、球状、楕円、三角形、その他の多角形や、凹凸を有するものなどを用いることができる。
前記した所望の大きさ、形状にスラッジを成形するために、造粒成形することも可能である。スラッジを造粒する方法は、ブリケットマシンやローラーコンパクター等の圧縮成形機を用いる方法、ディスクペレッターのような半乾式造粒機を用いる方法、転動造粒法や攪拌造粒法、押出成形法等がある。
また前記のように造粒成形機を用いてスラッジを造粒させなくても、含水スラッジを乾燥機に投入あるいは乾燥スラッジを熱処理装置に投入する時のスクリューフィーダーなどで大きさを調整することも可能である。また、スラッジ乾燥機で大きさ、形状を調整することも可能である。すなわちある程度の塊状の大きさに成型すればよいのである。
[熱処理工程]
本発明の熱処理工程は、過剰空気(酸素)雰囲気で行うことで、燃焼効率が向上するため、熱処理装置を小規模化、省力化することができる。その熱処理温度は、スラッジ中のカーボンブラック等のインク顔料や繊維およびポリマー等の有機物を安定して燃焼させる温度になるように後述の方法により制御される。
このような熱処理工程に使用される熱処理装置の一例を図2に示した。図2は本発明の熱処理工程に使用される、間接的加熱型ロータリンキルンを使用した熱処理装置の構成図である。
熱処理工程の主要部となる焼成炉としては、特に限定はなく、トンネルキルン、ローラーハースキルン、プッシャーキルン、シャトルキルンのような箱型炉、縦型円筒炉、回転式横型円筒炉、スクリュー式横型円筒炉などを用いることができる。スラッジを供給する方式としてはバッチ式、連続式があるが、多量に処理できる連続式の方が好ましい。スラッジへの伝熱が良好で、加熱炉内のスラッジがより均一に表面に出ることができる回転式横型円筒炉あるいは流動させることが可能なスクリュー式横型円筒炉を用いることが好ましい。設備の維持の面から極力単純なもので駆動エネルギーが少ない、回転式横型円筒炉であるロータリーキルンが好ましい。ロータリーキルンの焼成室の形としては円筒型、六角型などを使用することができる。ロータリーキルンとしては、高砂工業(株)の外熱式連続ロータリーキルン、(株)栗本鉄工所の連続外熱式ロータリーキルンIRK型、(株)ノリタケエンジニアリングの間接加熱連続式ロータリーキルンRKC−SG型、岩佐機械工業(株)の外熱型ロータリーキルンなどを用いることができる。また、キルン炉内にリフターや回転駆動できる攪拌部材を設けることで、スラッジと酸素がより多くかつ均一に接触するので、有機分の燃焼が効率的に行われ、スラッジ焼成物の白色度が向上し品質も均一になるのでより好ましい。さらに、多筒型キルンやキルンの焼成室内を多分割隔壁構造にすることで、伝熱面積が増大、かつ、スラッジへのキルン炉内のスラッジ積層・堆積が低減され、スラッジと酸素との接触、およびスラッジへの伝熱が良くなるので、スラッジ焼成物の白色度が向上し、均一な品質を得ることができるので好ましい。また、焼成室内を多分割隔壁構造にすることで、従来のキルンよりも前述のようにスラッジ積層・堆積を低減させることができるため、多くのスラッジを処理することが可能で、熱処理装置を小規模化することができる。焼成室内の分割数については、特に限定はないが、好ましくは6分割以上、さらに好ましくは10分割以上である。
そこで本発明の熱処理工程に使用される熱処理装置に好適に使用可能なこれらの焼成炉を使用した熱処理装置を、横型または縦型の筒を使用しているので筒型熱処理炉を用いた筒型熱処理装置と称する。
図2に本発明の熱処理工程に好適に用いられる熱処理装置の一例の構成図を示した。図2に示すように、脱水、乾燥、造粒の各処理を単独または組み合わせて処理したスラッジSが図示を省略した乾燥装置から送られ、筒型熱処理装置の一例である連続式間接的加熱型ロータリーキルン1の筒軸方向の一端部に設置されたスラッジ供給口となる供給ホッパ2に投入され、スクリューフィーダー10を介してロータリーキルン1内の焼成室9へと供給される。スラッジSはロータリーキルン1の焼成室9内を通過しながら、その内部の有機成分が燃焼される。燃焼した後のスラッジSはスラッジ供給口に対して筒軸方向の反対側の端部に設置されたスラッジ排出口8を通して炉外に取り出され次の工程に送られる。
供給ホッパ2の近傍に排気手段としての排気ファン4が設置されており、この排気ファンがロータリーキルン1内の空気を強制排気することによってロータリーキルン1内へ、スラッジ排出口8の近傍に設置された空気供給口3からロータリーキルン1内に空気が破線矢印Aで示すように吸入される。このように空気供給口3から排気ファン4方向へ破線矢印Aで示す空気流が常に発生することになる。この空気流が後に説明する未燃焼物搬送用空気流Aとなる。この空気量の制御は排気ファン4の排気量を制御することで行われる。この空気量は炉内が過剰(富)酸素雰囲気下になるように過剰に吸入されるよう制御されることが好ましい。この詳細は後に説明する。
ロータリーキルン1の炉内を加熱する熱は主として間接的加熱手段5から供給される。この熱によって焼成室9内を間接的に加熱している。ロータリーキルン1の焼成室9内でスラッジ中の可燃成分が燃焼することによっても熱が発生するが、この熱に比べて間接的加熱手段5から供給される熱の方がはるかに大きい。この間接的加熱手段5を制御することにより、ロータリーキルン1内の温度を均一に維持する。この間接的加熱手段5としては、電気的な加熱も可能であるが、灯油や重油の燃焼ガスによる加熱、ガスバーナーによる加熱が経済的に好ましい。既存の焼却設備から排出される燃焼排ガスを使用することもできるし、水蒸気などを使用することもできる。本図2に示した例では循環ブロアー7によって燃焼排ガスが間接的加熱手段5として供給されている。
スラッジ中の有機成分は基本的にはロータリーキルン1の焼成室9内で燃焼させるが、一部の未燃焼物は空気流Aに載せて、ロータリーキルン1内から取り出される。排気ファン4を通して強制排気される空気流は熱風であるので、熱風循環ファン6を用いて図示を省略したスラッジ乾燥機などに送風されて熱エネルギーとして再利用することが好ましい。
以上説明したように本発明の熱処理工程は、過剰空気(酸素)雰囲気下で均一な温度コントロールが可能な間接的加熱方法により行われる。間接的加熱方法とは、焼成室(炉内)9を加熱するひとつの方法であり、間接的加熱型の燃成炉は、燃焼ガスあるいは燃焼ガスにより生じた熱風とスラッジが直接接触しないように隔壁が設けてあるのでこう呼ばれる。他の加熱方法としては、火炎、あるいは燃焼ガス、熱風を筒の一端から吹き込む直接的加熱方法がある。直接的加熱型の焼成炉は、焼成室(炉内)の一端から加熱する方法であるため、加熱側とその反対側では、温度が大きく異なり、焼成室( 炉内) 全体の温度を正確にコントロールすることができない。それに対して、間接型加熱方法は、直接的加熱方法のように燃焼ガスあるいは熱風を筒の一端から吹き込む方式ではなく、焼成室(炉内)全体を加熱する方式であるため、熱処理装置全体の均一な温度コントロールが容易となる。均一な温度コントロールは以下のような理由により重要である。
スラッジ中には、カーボンブラック等のインク成分や繊維およびポリマー等の有機物と炭酸カルシウム、カオリン、タルクなどの無機粒子などが存在している。スラッジ焼成物の白色度を向上させるには黒インキ成分であるカーボンブラックを除去することが必要である。単体のカーボンブラックを完全に燃焼させるには少なくとも過剰空気雰囲気下で600℃にて60分、850℃にて20分の燃焼処理時間が少なくとも必要であることから、なるべく熱処理温度を高くした方がよい。しかし、あまり温度を高くし過ぎると、スラッジ中の無機粒子が焼結変化し、スラッジ焼成物が硬くなってしまい、製紙用材料としては好ましくない性質を呈しやすい。
前記高温の熱処理による無機粒子の硬質化は、以下のスラッジが主として含有する無機物の炭酸カルシウムとカオリン(クレー)の熱的変質現象に起因する。すなわち、炭酸カルシウムは600℃を越えた付近から脱炭酸を始め、少なくとも一部が酸化カルシウムに分解され始め、900℃で完全に酸化カルシウムに分解する。タルクは900℃まで結晶構造は変化しない。二酸化チタンは1000℃でも安定であり、全く変化しない。 カオリンは、400℃を超えた付近から結晶水が脱離し、500〜850℃までは非晶質のメタカオリンとして存在する。この非晶質のメタカオリンは、焼成カオリンと呼ばれるもので、嵩高く、不透明度が良好で、平滑性に優れる無機粒子である。900℃を超えると、γアルミナ、ムライトを生成する。これらのγアルミナ、ムライトは、非常に硬いため、ワイヤー摩耗、塗工ブレード摩耗が悪くなるため、製紙用材料としては好ましくない。また、850℃をやや超えた領域で、非晶質のメタカオリンと先出の炭酸カルシウムから分解された酸化カルシウムが存在すると、化学反応により、硬い、再利用に適さないゲーレナイトが生成する。
よって、本発明の熱処理工程のスラッジ温度は、硬い焼成物が生成しない850℃を超えないことが好ましい。また、最高温度が600℃未満では白色度を向上させるには非常に長い処理時間がかかり、エネルギーコストが高くなるだけでなく、熱処理装置も大きくなるため、実用上あまり好ましくない。従って、好ましいスラッジ温度としては、600℃以上850℃以下が好ましく、600℃以上800℃以下がより好ましい。また、本発明の熱処理工程においては、850℃を超えない温度までスラッジ温度を段階的に上げていってもよい。
結局、このようにスラッジ焼成物が硬くなることを未然に防ごうとすると焼成時のスラッジ温度を低めに設定することになり、スラッジS中の有機分を完全に燃焼させることは困難であり、カーボンブラックに代表される未燃焼物が若干残存するおそれがある。なお、ここに示した温度は焼成室9内で焼成処理される際のスラッジ温度であり、熱処理装置内雰囲気温度とは厳密には異なる。熱処理装置内雰囲気温度は供給される空気の温度にもよるが、通常、スラッジ温度よりも低くなる。
本発明の熱処理工程において、熱処理装置内を過剰空気雰囲気下、つまり富酸素雰囲気下で熱処理する理由は、スラッジが含有する有機物の燃焼を効率的に行うためである。ここでいう過剰(富)酸素雰囲気下とは、燃焼排ガス中の残留酸素濃度が5%以上の状態となるように、燃焼対象の有機物に対して燃焼に必要な充分な空気(酸素)を供給し、有機物が完全燃焼できる状態のことである。また、排気する空気量、吸入する空気温度によりスラッジ温度を調整することも可能である。
熱処理装置内に吸入される空気量は、有機分を燃焼させるのに必要な理論酸素量以上にすることが好ましい。しかし、有機分を燃焼させることで発生する燃焼ガスは理論酸素量に相当する空気量よりも多くなるため、過剰(富)酸素化にするには、少なくとも発生した燃焼ガスを排気する必要がある。従って、吸入する空気量は、排気ファンの排気量を調節することで制御される。この排気量は、理論空気量の1.1倍以上が好ましく、より好ましくは1.5倍以上、さらに好ましいのは2倍以上である。しかし、吸入空気量が多過ぎるとスラッジ温度を下げてしまい、エネルギーコスト的にもあまり好ましくないので理論空気量の5倍以下にすることが好ましい。また、吸入する空気中には二酸化炭素を通常よりも多く含んでいてもよい。なお、熱処理装置内の酸素量が理論酸素量よりも少なく不足した場合、貧酸素状態になり、スラッジが炭化することで、スラッジ中に未燃カーボンが残存してしまう。この未燃カーボンを取り除くためには熱処理温度をより高くすることや、長時間の処理を必要とする。結局、所望のスラッジ焼成物を得ることは難しい。したがって炉内を貧酸素状態にすることは絶対に避けなければならない。
本発明においては、過剰(富)酸素雰囲気下でスラッジSをより完全に燃焼させるために高温処理することによりスラッジ焼成物の白色度は高くなるが、先に述べたように硬い焼成物が発生し易くなる。
本発明では、図2に示したように空気供給口3をスラッジ排出口8の近傍に設置し、未燃焼物搬送用空気流Aを排出する排気ファン4をスラッジ供給口2の近傍に設置した場合は、熱処理装置内にスラッジSの進行する方向Bと対向する方向に未燃焼物搬送用空気流Aを発生させることができる。
このようにスラッジSの進行方向Bと逆方向に未燃焼物搬送用空気流Aを生じさせる方式を本発明では向流方式と呼ぶ。この向流方式は、未燃焼物搬送用空気流がスラッジ焼成物のスラッジ排出口8側に送られるのと逆方向に流れていくので、スラッジ焼成物から未燃焼物を効率よく除去でき、スラッジ焼成物の白色度を向上させることができより好ましい。特に熱処理工程の最初の段階の燃焼の際に生じるような未燃焼物は後々まで完全燃焼されにくいので、この向流の未燃焼物搬送用空気流によって効果的に取り除くことができる。
したがって、白色度をより高くするためにスラッジの未燃焼物の100%の完全燃焼の保障を図り、スラッジ温度をより高めに設定したりするより、100%の燃焼の保障は断念して微量の未燃焼物の発生を看過し、寧ろその未燃焼物をスラッジ焼成物から取り除くことによって高白色度でかつ高硬度合成物を含有しない無機粒子を得ようとすることに本発明の特徴がある。前記した未燃焼物とは、未燃有機物のことで大半は未燃カーボン粒子、換言すれば炭化物粒子である。つまりカーボンブラック状物質であり、カーボンブラックの性状は大きさが10〜500nmで、比重1.8〜1.9の微粉末状である。この微粉末状の未燃焼物を取り除くために、炉内の空気を排気ファン4により排出することにより、未燃焼物搬送用空気流Aを熱処理装置内に発生させ、搬送用空気流Aに載せて未燃焼物を取り出しているのである。このように排気ファンなどを用いて未燃焼物搬送用空気流を強制排気させることが非常に好ましい。このような強制排気に加えて空気を強制導入させると更に好ましい。
強制排気等による未燃焼物空気流の流速は、微粉末状の未燃焼物を取り除くことができる流速であれば特に限定はないが、流速が遅い場合は、空気流が供給ホッパ2側に流れず、未燃焼物を上手く取り除くことができずにスラッジ焼成物中に混入してしまい、白色度が低下してしまう懸念がある。上記のような性状のカーボンブラックを含む未燃焼物を搬送する未燃焼物搬送用空気流の流速は0.4m/分以上が好ましく、より好ましくは0.8〜1.5m/分以上、特に好ましくは1.5m/分以上である。しかし、空気流の流速があまり速すぎるとスラッジ焼成物もいっしょに排気ファン4側に混入する恐れが大きくなり熱効率も低下する。尚、この空気流の流速は排気ファンの排気量、空気温度等を測定し、それらの値と熱処理装置内の温度等から理論的に求めた。
一方、他の方式前記向流方式とは逆の空気流入方式の例を図3に示した。図3は本発明の熱処理工程に使用される、間接的加熱型ロータリンキルンを使用した熱処理装置の他の一例の構成図である。図3中、図2と同一の符号を付した部材は図2において説明したものと同様であるので説明を省略する。図3の熱処理装置においては排気ファン4がスラッジ排出口8の近傍に設置されているしたがって、未燃焼物搬送用空気流A' とスラッジの進行方向B'が同一方向となる。このような方式を本発明では並流方式と呼ぶ。この並流方式はスラッジ焼成物と未燃焼物を分別して取り出す排出口が同方向であるため、多少、未燃焼物がスラッジ焼成物に混入しやすい懸念がある。また、並流方式では前記に記載したように未燃焼物搬送用空気流の流速を調整してもスラッジ焼成物に未燃焼物が混入しやすいので向流方式の方がより好ましい。
また本発明においては、本熱処理装置におけるスラッジ燃焼温度が高くなった場合に対して、一定以上の空気流入量を増大させることにより、空気流によって過剰なスラッジ燃焼熱を熱処理装置外に排出する、すなわちロータリンキルン1の焼成室9内の高温の燃焼排ガスをスラッジ供給側の排気ファン4によってロータリーキルン1外部に排出することにより、焼成室9内のスラッジSの燃焼温度を下げることができる。そこで、本熱処理装置では一般の燃焼制御とは逆に温度が高い場合であっても一定量以上の空気流入量を増大させることによりスラッジ燃焼熱を熱処理装置外に排出する、すなわちロータリンキルンの本体筒部からスラッジ供給側の外部に熱を空気流と共に排出することにより温度を下げることができる。すなわち設定した熱処理温度以上に上昇することを避けるという制御をおこなうことができる。従って、先ほど述べた未燃焼物搬送用空気流Aは、スラッジ燃焼熱排出用空気流の役割もある。この点においても、向流方式は、空気流を排出する排気口がスラッジ供給口近傍にあるため、並流方式に比べてスラッジ燃焼熱が熱処理装置内を通過することなく、スラッジ燃焼熱を熱処理装置外に排出することができ、スラッジ温度の制御を容易にすることができるのでより好ましい。
前記以外にもスラッジ燃焼温度を制御する方法があるが、燃焼用の原料スラッジが充分に存在するなかでスラッジ燃焼温度が低い場合は、空気を多く流入させ燃焼を行うことで温度を高くすることができるが、多大な燃焼熱が発生して温度制御をすることが難しくなるため、必要以上の空気流入量を増大させることは好ましくない。他方、スラッジ燃焼温度が高い場合は、空気流入量を絞ることで燃焼を抑制(炭化)し、温度制御することができるが、本発明においては、スラッジの白色度を高く焼成するという目的のため熱処理装置内を富酸素状態にさせ、スラッジの燃焼を十分行わせることが必要であるため、空気流入量を必要以上に絞ることは好ましくない。
このようなまた、前記向流方式、並流方式の各空気流入方式の特徴の差異は回転式横型円筒炉やスクリュー式横型円筒炉において顕著に出やすい。これに対して縦型円筒炉では空気とスラッジの接触を良くするためには空気を流動させる必要があるため差異は出にくいが、並流方式の方が若干向流方式よりも若干効果的である。
未燃焼物搬送用空気流Aに載せて分別して取り出された未燃焼物は熱風循環ファン6に後続して設けられるバグフィルターで取り除くかおよび/または排ガスとともに燃焼装置(共に図示省略)により、捕集除去または燃焼させることがより好ましい。
熱処理装置から排出された熱風は熱循環ファン6により、熱処理装置または乾燥機などの熱源として再利用することで、エネルギーコストを低減できることができ好ましい。
スラッジが一定温度に加熱される時間(熱処理時間)は特に限定はされないが、空気流未燃焼物搬送用空気流Aにより吹き飛ばされないで焼成室9内に残留する有機物が完全に燃焼する時間を有保持する必要があることから、1時間以上が好ましい。しかし、必要以上に長い熱処理時間はエネルギーコストが高くなるだけでなく、熱処理装置も大きくなるため、実用上あまり好ましくない。従って、本発明の熱処理工程中の熱処理時間は1〜5時間とするのがより好ましい。この熱処理時間、スラッジ温度、空気流量、流速等の条件を適宜制御することによりスラッジ中の炭酸カルシウム成分の分解率を好ましくは50%以上とし、より好ましくは60%以上とし、更に好ましくは70%以上にさせている。
[焼成物懸濁液化工程]
本発明においては、図1に例示するように、熱処理工程後の焼成物は、焼成物を水と混合、攪拌し、焼成物懸濁液とする懸濁液化工程を熱処理工程後に備えてもよい。懸濁液化工程の目的は、スラッジ焼成物が含有するカルシウムを水中にカルシウムイオンとして溶解させることであり、焼成物懸濁液化温度は特に制限はないが、処理温度が高いと温度を維持する必要があるため経済的に好ましくないので、通常は20〜80℃で行われるのがよい、より好ましくは40〜60℃で行われるのがよい。
焼成物懸濁液の固形分濃度は5〜20質量%の範囲に調整することが後続の炭酸化処理を効率的に行い、また懸濁液の粘度を低く維持して流動攪拌性および送液性を良好に維持するために好ましい。焼成物懸濁液の固形分濃度が5%質量未満である場合は、生産性が劣るため好ましくなく、また、20%質量より高い場合は、該焼成物懸濁液の粘度が高くなるため、攪拌動力の増加となるとともに、操業性に劣ることから好ましくない。
また焼成物懸濁液に対しては、本発明のスラッジ焼成物の他に、必要に応じて別途、酸化カルシウム(CaO:生石灰)または水酸化カルシウム〔Ca(OH):消石灰〕を添加してスラッジ焼成物と水酸化カルシウムの所定固形分濃度の混合懸濁液とすることもでき、この場合、酸化カルシウムおよび水酸化カルシウムは、消和後の形態である水酸化カルシウム〔Ca(OH):消石灰〕として、スラッジ焼成物100重量部に対して最大100重量部(スラッジ:水酸化カルシウム=50:50)まで添加することができる。100重量部を超えて水酸化カルシウムを添加することもできるが、消和懸濁液中のスラッジ焼成物の配合率が少なくなり、スラッジ利用が進まなくなるため好ましくない。
[炭酸化工程]
炭酸カルシウムを含んだスラッジは600℃以上の熱処理工程において、炭酸カルシウム(CaCO)は分解される。分解された炭酸カルシウムが存在した焼成灰を水性懸濁液にすると、高アルカリになり、スラリー粘度の上昇、分散不良などといった問題があるため、そのまま、製紙用填料、塗工用顔料として利用するのは難しい。本発明の熱処理工程のようにスラッジの燃焼効率を向上させると、炭酸カルシウムの分解は促進される。つまり、本発明の熱処理工程後の焼成灰の白色度と炭酸カルシウムの分解率は比例関係にあり、所望の白色の焼成灰を得るには、スラッジ中の炭酸カルシウムを50%を超えて分解させている。高白色の焼成灰を得るために60%以上、さらに高白色度の焼成灰を得るには70%以上を分解させている。そのため、熱処理したスラッジ焼成灰を炭酸化処理、硫酸アルミニウム混合処理などの何らかの方法で前記アルカリ成分を中和処理するのが好ましい。
本発明においては、焼成物懸濁液化工程後に炭酸化工程を行うことにより、焼成物懸濁液化中のカルシウムイオンが炭酸カルシウム(CaCO)に再生転化され、再生無機粒子スラリーのpHを下げることができる。このようになお、再生無機粒子スラリーのpHを11以下、好ましくは10以下にすることで、スラリー粘度の上昇を抑制し、顔料の分散不良を生じることを抑制することができる。なお、再生無機粒子としては、炭酸化処理により新たに析出した炭酸カルシウム粒子とカオリンが熱処理により変性した非晶質成分粒子が主に存在している。なお、この非晶質成分は焼成カオリンによく似た性質を示す。従ってこの非晶質成分は焼成カオリン類似成分と呼ぶことができる。
なお、スラッジ中に炭酸カルシウムを含有しない場合は、炭酸カルシウムが分解され酸化カルシウムにならないため、焼成灰を高濃度で分散することができ、熱処理工程後の焼成物懸濁液化工程および炭酸化工程を用いなくても製紙用材料としてそのまま再利用することができる。
炭酸化工程は通常の軽質炭酸カルシウム製造工程と同様の方法で行うことができる。すなわち、焼成物懸濁液に、二酸化炭素ガスあるいは二酸化炭素含有ガスを吹き込む。炭酸化に用いるガスは、工業的には二酸化炭素含有ガスが好ましく、この場合の二酸化炭素濃度は特に限定されるものではないが、好ましくは5〜40容量%、より好ましくは10〜35容量%の二酸化炭素含有ガスを用いる。また二酸化炭素含有ガスとしては、例えば、スラッジ焼成排ガス、石灰石焼成排ガス、石灰焼成排ガス、ゴミ焼却排ガス、発電ボイラー排ガス、或いはパルプ製造工程で用いられる苛性化炭酸カルシウム焼成キルンなどから排出される排ガスなどを適当な手段で除塵後、用いてもよい。
二酸化炭素ガスあるいは二酸化炭素含有ガスを吹き込む割合は、二酸化炭素ガスとして焼成物1kg当たり、0.5〜15L/分の割合となるように焼成物懸濁液中に吹き込む。二酸化炭素導入量が0.5L/分未満では生産性が劣るし、15L/分を超えるような量を採用することはできるが、そのように使用量を増加させるために必要な動力負荷に見合った効果は期待できない。炭酸化の反応開始温度は好ましくは30〜80℃、より好ましいのは40〜70℃である。再生無機粒子に含まれる再生炭酸カルシウム成分の形状としては、米粒状、紡錘状、膠質状、針状、立方状、板状などにすることができ、特に形状に限定はなく、また、炭酸化工程中において所望の形状の結晶を得るために種晶を添加してもよい。
なお、本発明の炭酸化処理後の無機粒子は、炭酸化処理によって生じた微細な炭酸カルシウム1次粒子が凝集して2次粒子(凝集粒子)を形成し、製紙用填料に適した粒子径となる場合がある。このような場合には、この懸濁液をそのまま製紙用填料としてパルプなどの製紙用原材料に配合して用いることもできる。
[脱水、分散工程]
本発明の再生無機粒子スラリー(炭酸化後のスラリー)を塗工用顔料として利用する場合は、炭酸化工程後の組成物再生無機粒子スラリーを脱水して脱水組成物とする脱水工程と、該脱水工程により得られる該脱水組成物に水分を加えてスラリー状の分散組成物とする分散工程とを備えることが好ましい。脱水工程は、濾過、遠心分離、加圧脱水、圧搾などの操作により行うことができる。好適な脱水装置としては、フィルタープレスと称される圧搾濾過装置があり、炭酸化処理物の脱水ケーキを得ることができる。分散工程は、脱水工程により得られる脱水組成物に水分を加えてスラリー状の分散組成物とするものであればよい。分散工程時に水分以外に、分散剤を添加することで、スラッジを原料とした再生無機粒子を良好に分散することができ、製紙用材料としての品質が向上すると共に、取り扱いやすくなるので好ましい。分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子系の分散剤など、製紙用材料の製造の際に用いられる一般的な分散剤を使用できる。
[粉砕工程]
本発明において、粉砕処理工程を、分散工程後に備えていてもよい。粉砕処理を行うことにより、再生された無機粒子の粒径を微細化することができ、平滑性が向上するので好ましい。粉砕工程において用いる粉砕機としては、サンドミル、湿式ボールミル、振動ミル、攪拌槽型ミル、流通管型ミル、コボールミルなどの湿式粉砕機を使用することができる。また、二酸化炭素を吹き込みながら、粉砕を行っても良い。このように無機粒子を炭酸化処理後、必要に応じて粉砕して得られた粒子を再生顔料と呼ぶ。
本発明の再生顔料の大きさ(粒子径)は、レーザー回折粒度分布測定による平均粒子径として、最終的に0.1〜20μmとすることが好ましく、0.3〜5μm、とすることが特に好ましい。
この平均粒子径は、塗工用顔料として、紙製品に仕上げた際の不透明性、白色度、平滑性、および印刷適性に優れる品質が得られるように、操業および品質上バランスされた粒子径を選んだものである。したがって、再生顔料の平均粒子径を前記粒子径の範囲とすることにより、操業において、従来の塗工用顔料と同様に取り扱うことができ、また再生顔料を塗工した塗被紙の品質についても、従来の塗工用顔料を塗工した塗被紙と概ね同等の品質を発現させることができる。
因みに、再生顔料の平均粒子径が0.1μm未満のような微細な粒子になると、不透明性、白色度および平滑性等の改善に対しては有効ではあるが、反面、塗工層強度を発現させるために、著しく多量の接着剤が必要となる難点があるので好ましくない。他方、再生顔料の平均粒子径が20μmを越えるような大きい粒子になると、塗工紙製品の平滑性や光沢が低下し、結果的に印刷適性も低下することになり好ましくない。
再生顔料を前記した所望の粒子径とするために脱水工程後に分散工程、および粉砕工程を設けることが好ましいが、分散処理後の無機粒子の平均粒子径が前記した粒子径の範囲になる場合は、粉砕工程を行わないで、分散処理後の無機粒子の分散液をそのまま塗工用顔料として当然ながら使用しても良い。
また、分散工程において、無機粒子の脱水組成物を炭酸カルシウムスラリーに混合し、混合スラリーとし、湿式粉砕機を用いて粉砕することで、炭酸カルシウムよりも品質が良好で、なおかつ炭酸カルシウムスラリーよりも粉砕時間を短くすることができ、高濃度なスラリーを調整することが可能である。なお、再生顔料と炭酸カルシウムの比率は、塗被紙の白紙品質などに応じて、調整することが可能であり、特に制限はない。
本方法における工程は、熱処理工程は必要必須であるが、乾燥工程、造粒工程、懸濁液化工程、炭酸化工程、脱水・分散工程、粉砕工程は適宜選択して組み合わせることができる。これらの工程を行う装置が組み合わされてひとつのプラントが構成されることになる。
本方法で得られた再生顔料として後に説明するように炭酸カルシウム、タルク、カオリン、焼成カオリン、二酸化チタン、サチンホワイト、シリカ等の無機顔料を必要に応じて混合し、最外層の塗被層の中の下塗り塗被層や上塗り塗被層の無機顔料として用いることができる。
製紙スラッジより再生顔料を得るためのより好ましい熱処理方法として、一次燃焼工程と二次燃焼工程とからなる少なくも2段階の燃焼工程を有する熱処理工程を用いることが好ましい。以下にその熱処理工程を詳述する。
[熱処理工程]
本発明では、少なくとも2段階の燃焼処理により、製紙スラッジに含まれる全ての有機成分を確実に燃焼除去する。すなわち、本発明における燃焼処理は、原料の製紙スラッジを筒型熱処理炉内で移送しつつ行うが、その一次燃焼工程を過剰空気雰囲気下でスラッジ温度650℃以下の燃焼条件に、二次燃焼工程を過剰空気雰囲気下でスラッジ温度700〜850℃の燃焼条件に、それぞれ設定するものである。なお、過剰空気雰囲気とは、有機成分の燃焼に対して充分な酸素量を与えて不完全燃焼を生じさせない空気雰囲気を意味する。
まず、一次燃焼工程では、過剰空気雰囲気下で比較的低温の燃焼条件になるから、製紙スラッジ中の易燃焼性有機成分が、分子中の官能基を起点として容易に熱分解・発火し、炭化することなく燃焼して消失する。次の二次燃焼工程では、過剰空気雰囲気下で高温の燃焼条件になるから、一次燃焼工程で燃焼しきらずに残っていた難燃焼性有機成分も確実に燃焼して消失する。このような2段階の燃焼処理では、易燃焼性有機成分を燃焼しにくい炭化物に変化させずに燃焼除去できて合理的であり、製紙スラッジ中の有機成分全体の燃焼除去も短時間で効率よく行える。そして、得られる焼成物は、煤や炭などの未燃焼の有機成分を含まないために白色度が高く、塗工用顔料に好適に利用できるものとなる。
なお、一次燃焼工程のスラッジ温度が650℃を越えると、前述したように、易燃焼性有機成分が炭化して難燃焼性有機成分に変化し、燃焼効率が悪化することになる。また、この一次燃焼工程の燃焼温度があまりに低過ぎては易燃焼性有機成分でも熱分解・発火しにくくなって燃焼効率が悪化するため、スラッジ温度の下限を250℃とすることが望ましい。更に、一次燃焼工程の最も好適な焼成条件は、スラッジ温度350〜630℃となる範囲である。
一方、二次燃焼工程のスラッジ温度が700℃未満になると、難燃焼性有機成分の燃焼に時間がかかり、燃焼効率が悪化することになる。逆に該スラッジ温度が850℃を超える高温燃焼になった場合は、一般的にゲーレナイトと呼ばれる硬質の焼結物の生成によって製紙用材料としての適性が損なわれる。すなわち、このような硬質の焼結物が混入した焼成物から調製した製紙用填料や塗工用顔料に用いた場合、抄紙用ワイヤーや塗工用のブレードなどの製造設備を傷つけて製造操業性を悪化させ、製品品質にも悪影響を与えることになる。しかして、二次燃焼工程の最も好適な焼成条件は、スラッジ温度750〜800℃となる範囲である。
また、燃焼処理は、上記の一次及び二次燃焼工程からなる2段階で行う以外に、これら一次燃焼工程から二次燃焼工程への移行区間としての燃焼工程を挟んだり、一次及び二次燃焼工程の一方又は両方を更に燃焼温度(スラッジ温度)の異なる複数の燃焼工程に分けたりして、3段階以上とすることも可能である。
一次燃焼工程の燃焼処理時間は、少なくとも10分以上で5時間以内とすることが好ましく、15分以上で2時間以内とすることが特に好ましく、短過ぎては製紙スラッジ中の易燃焼性有機成分の燃焼除去が不充分になる恐れがあり、長過ぎては熱エネルギーの無駄になる。ともかく全ての易燃焼性有機成分が燃焼除去されるのに充分な時間をかけることが重要である。また、二次燃焼工程の燃焼処理時間は、少なくとも10分以上で5時間以内とすることが好ましく、20分以上で2時間以内とすることが特に好ましく、短過ぎては製紙スラッジ中の難燃焼性有機成分の燃焼除去が不充分になる恐れがあり、長過ぎては熱エネルギーの無駄になる。そして、一次燃焼工程と二次燃焼工程の燃焼処理時間の比率は、一次燃焼工程/二次燃焼工程で1/10〜10/1の範囲とすることが好ましい。
燃焼処理に用いる筒型熱処理炉は、被処理物の移送方式により、ロータリーキルンと称される回転式キルン炉と、スクリュー式キルン炉とがあるが、燃焼効率面から回転式キルン炉が好適である。また、前記の少なくとも2段階の燃焼処理は、1基の筒型熱処理炉内で行う他、段階ごとに異なる複数基の筒型熱処理炉を用いて行うことも可能であるが、当然に1基で行う方が設備効率及び設備コスト面で有利である。
なお、燃焼処理を前記1基の筒形熱処理炉を用いて行う場合の一次燃焼工程と二次燃焼工程との間に生じる昇温領域、具体的には燃焼温度が650℃から700℃へ上昇する領域については、できるだけ短くすることが好ましく、10分以内とすることが特に好ましい。このように一次燃焼工程と二次燃焼工程との間の昇温領域を短くすることは、筒型熱処理炉の全長短縮によるコンパクト化に繋がり、設備効率及び設備コスト面で有利である。
筒型熱処理炉の加熱方式としては、直接的加熱方式(内熱式)よりも間接的加熱方式(外熱式)の方が好ましい。すなわち、直接的加熱方式では、処理炉内で熱源ガスを燃焼させるのに大量の空気(酸素)を消費するため、製紙スラッジに含まれる有機成分の燃焼が空気不足で不完全になる懸念がある上、熱源ガスの燃焼によって炉内温度(スラッジ温度)の制御が非常に困難になる。これに対し、間接的加熱方式では、熱源のために炉内空気を消費することがないから、炉内を過剰空気雰囲気に確実に設定できることに加え、外部からの加熱度合を自在に変化できるので、炉内温度の制御が極めて容易になる。
上記の間接的加熱方式における加熱手段としては、電気的ヒータや誘導電流による加熱も可能ではあるが、エネルギーコスト面より、筒型の炉本体を包囲する加熱ジャケット内に、灯油や重油などの燃焼ガス、既存の焼却設備から排出される燃焼排ガス、高温空気、過熱水蒸気などを導入したり、該処理炉の周壁にガスバーナーからの燃焼ガスを吹き付けて加熱する方法が推奨される。また、炉本体内での燃焼処理を経た高温の排気や前処理の乾燥工程からの燃焼排ガスも、当該加熱手段の熱媒や熱源の一部として利用できる。
筒型熱処理炉の炉本体内への燃焼用空気の供給は、高品質の焼成物を製出する上で、焼成物排出口側から行うことが推奨される。すなわち、焼成物排出口側からの空気供給により、炉本体内での空気の流れ方向が被処理物(製紙スラッジとその焼成物)の移送方向に対して逆向きになり、燃焼に伴って未燃焼の難燃焼性有機成分が煤の如き状態となってたまたま炉内に飛散しても、煤の如き浮遊性物質は空気の流れに乗って原料供給口側へ戻されて燃焼するか、あるいは更に排気に付随して筒型熱処理炉外へ排出されるため、焼成物に黒色の未燃焼の難燃焼性有機成分が混入するのを防止でき、もって白色度の高い焼成物が得られる。しかして、排気に付随して筒型熱処理炉外へ排出される未燃焼の難燃焼性有機成分は、バグフィルターなどで捕集して除去するか、排気と共に適当な加熱手段によって燃焼処理して消失させるのがよい。
上述のように炉本体内への燃焼用空気を焼成物排出口側から供給するには、該焼成物排出口側から空気を吹き込んでもよいが、原料供給口側の排気によって空気を吸入する方法が好適である。すなわち、原料供給口側から強制的に排気することによって炉内が負圧になるから、焼成物排出口の近傍に給気口を設けておけば、該負圧によって空気が給気口から自動的に炉内へ吸入される。しかして、このような原料供給口側の排気による空気供給では、排気量によって空気供給量を容易に制御できると共に、安定した空気流によって長い炉本体の全長にわたって空気を確実に行き渡らせることができる。
上記の空気供給量は、炉本体内を過剰空気雰囲気とする上で、製紙スラッジに含まれる有機成分の完全燃焼に要する理論酸素量に対し、1.1〜5倍の酸素量を与える量に設定することが好ましく、1.5〜5倍の酸素量を与える量がより好ましく、特に2〜5倍の酸素量を与える量が望ましい。この空気供給量が少な過ぎては、炉本体内を過剰空気雰囲気にすることが困難になり、有機成分の不完全燃焼で残留した炭化物によって焼成物の白色度が低下する恐れがある。また、逆に空気供給量が多過ぎては、供給空気によって炉内が過度に冷やされるため、燃焼温度を維持する上で加熱手段による加熱度合を強める必要があり、それだけエネルギーコストが嵩むことになる。しかして、この燃焼用の空気は、有機成分を充分に燃焼させる酸素を含んでおればよいから、通常の外気よりも二酸化炭素の含有量が多いものでも支障はない。
本発明方法による製紙スラッジの好適な燃焼処理状態が現出すれば、一次燃焼工程では、スラッジ中の有機成分の大部分を占める多量の易燃焼性有機成分が充分な酸素の存在下で炎を上げて燃焼し、この燃焼が当該一次燃焼工程の1/2〜2/3まで連続する状態となる。同じく二次燃焼工程では、残留した難燃性有機成分が燃焼するが、その含有量が少ないために炎を上げることはなくとも、700〜850℃の高温であるためにスラッジが灼熱しながら持続的に燃焼する状態となる。
図4は本発明に用いる筒型熱処理炉のひとつの構成例である間接的加熱方式の回転式キルン炉(ロータリーキルン)K1を模式的に示す縦断側面図である。図示のように、この回転式キルン炉K1は、炉本体である横円筒型の回転胴9の外周が加熱ジャケット20で包囲されており、該回転胴9の一端の原料供給口9a側に、排気口30'とやや離間して原料投入口2とが設けられると共に、この原料投入口2と回転胴9の原料供給口9aとの間に、スクリューフィーダーの如き原料供給手段10が配設され、また回転胴9の他端の焼成物排出口9bに臨んで、給気口3と焼成物取出口8とが設けられている。
そして、加熱ジャケット20内には、一次燃焼用及び二次燃焼用の2系統の間接的加熱手段5A,5Bにより、それぞれの熱風ブロアー71を介して送出される熱風が各々複数本のバルブ付き放出口72…から、原料供給口9a側の前部加熱空間20aと焼成物排出口9b側の後部加熱空間20bとに分けて導入される。また、排気口30'には排気ファンの如き排気手段4が介装されており、その稼働によって破線矢印Aで示すように回転胴9内の空気が排気されると共に、この排気に伴う減圧作用で給気口3より外部の空気が回転胴9内へ吸入される。6は排気口30'の下流側に設けた排気循環ブロアーである。
なお、回転胴9は、厳密な図示を省略しているが、原料供給口9a側から焼成物排出口9b側に向かって非常に緩やかな下り勾配に傾斜しており、この回転胴9の傾斜と回転により、内部の被処理物が重力作用で原料供給口9a側から焼成物排出口9b側へ徐々に移動するようになっている。
上記構成の回転式キルン炉K1によって製紙スラッジSの焼成処理を行うには、実線矢印Bで示すように、原料投入口2に投入された原料の製紙スラッジSを、原料供給手段10によって回転胴9の原料供給口9aへ送り込み、該回転胴9の回転によって焼成物排出口9b側へ移送する過程で、加熱ジャケット20内へ導入される熱風による間接加熱により、当該スラッジS中の有機成分を既述焼成条件の一次燃焼工程と二次燃焼工程の2段階で燃焼させる。
すなわち、この2段階の燃焼処理は、排気手段4の稼働による排気口30'からの排気に伴う給気口3からの空気の吸入により、回転胴9内全体を過剰空気雰囲気に維持しつつ、2系統の間接的加熱手段5A,5Bから加熱ジャケット20内の前部加熱空間20aと後部加熱空間20bに各々導入される熱風の温度と導入速度によって加熱度合を調整し、図中の仮想線cで分かつように、その前部加熱空間20aに対応した回転胴9内の前側領域を一次燃焼区間Z1としてスラッジ温度650℃以下(好適には650℃以下で250℃以上、最適には350〜630℃)に制御すると共に、後部加熱空間20bに対応した回転胴9内の後側領域を二次燃焼区間Z2としてスラッジ温度700〜850℃(好適には750〜800℃)に制御する。
これにより、製紙スラッジSは、一次燃焼区間Z1を通過する過程で含有する易燃焼性有機成分が炭化することなく燃焼除去され、次いで二次燃焼区間Z2を通過する過程で含有する難燃焼性有機成分が燃焼除去され、もって未燃焼の有機成分ならびに硬質の焼結物を含まない高白色度の焼成物として、回転胴9の焼成物排出口9bから排出され、焼成物取出口8を通して炉外に取り出される。
なお、両燃焼区間Z1,Z2における処理時間(通過時間)は、回転胴9の回転速度と傾斜度合によって設定すればよい。また、回転胴9内における両燃焼区間Z1,Z2の長さ比率は、前述の如く一次燃焼工程/二次燃焼工程で1/10〜10/1の範囲とすることが好ましいが、2系統の間接的加熱手段5A,5Bから加熱ジャケット20内へそれぞれ熱風を導入する領域の大きさの相対比率によって任意に調整できる。しかして、両燃焼区間Z1,Z2の燃焼温度(スラッジ温度)を制御するための温度計測には、熱電対や赤外線温度センサーを始めとする様々な計測手段を利用できるが、作動の信頼性とコスト面より熱電対が好適である。
本発明に用いる筒型熱処理炉の炉本体としては、既述の構成例のロータリーキルン1における回転胴9のような横円筒型に限らず、内部に仕切りや隔壁を設けることにより、内部を複数の区分室に区画した多分割構造や多胴(管部束体)多室構造とした回転胴も採用可能である。これら多分割構造や多胴(管部束体)多室構造とした回転胴の例を図5〜図7に示す。なお、これら図5〜図7はいずれも、横長の回転胴の長手方向に対して直交する方向の断面図(径方向断面図)であり、図の上下方向が実際の上下方向に一致している。
図5(a)に示す回転胴9は、略6角形外殻12aを有する6分割隔壁構造であり、その内部が断面六方放射状をなす隔壁12bによって断面正三角形の6個の区分室13…に分割されている。図5(b)は、製紙スラッジSの造粒物を供給した同回転胴9が矢印C方向に回転している場合の、各区分室13における該製紙スラッジSの積層・堆積状態を示している。
図6(a)に示す回転胴9は、6本の管部14…をドーナツ板状の管部固定部材15によって略円環状に束ねた6胴型多胴(管部束体)構造であり、6本の管部14…に囲まれた中央の空洞部16が管部固定部材15の中心孔15aを通して軸心方向に連通している。図6(b)は、製紙スラッジSの造粒物を供給した同回転胴9が矢印C方向に回転している場合の、各管部14における該製紙スラッジSの積層・堆積状態を示している。
図7(a)に示す回転胴9は、12分割隔壁構造であり、二重管をなす内筒部17aと外筒部17bとの間の環状空間を12枚の隔壁17c…で放射状に仕切ることにより、12個の区分室18…を形成しており、内筒部17aの内側は空洞部16をなしている。図7(b)は、製紙スラッジSの造粒物を供給した同回転胴9が矢印C方向に回転している場合の、各区分室18における該製紙スラッジSの積層・堆積状態を示している。
これら図5〜図7に例示したように、横長の回転胴9を多分割構造や多胴(管部束体)多室構造とすれば、供給される製紙スラッジSが複数の区分室や胴部に少量ずつ分配されることになるから、全体が単一の炉内空間をなす単なる横円筒型の回転胴に比較して、当該回転胴9内の移送過程における被処理物(製紙スラッジS,焼成物)の堆積厚さが格段に小さくなると共に、回転胴9の回転に伴う被処理物の攪拌作用が強くなり、有機成分を燃焼させるための空気(酸素)と被処理物との接触効率が著しく向上し、もって有機成分の燃焼効率が飛躍的に高まり、高品質の焼成物ひいては無機粒子が得られる。
なお、このような多分割構造や管部束体(多胴)多室構造における移送経路の分割数は、上記の作用効果を充分に発揮させる上で、少なくとも6以上とすることが推奨される。また、回転胴の分割構造は、図5〜図7に例示した構造に限らず、例えば18分割型、24分割型、36分割型などの断面が三角形状の区分室に分割した多分割隔壁構造や、多胴型構造の各管状部材に対して隔壁あるいは仕切りを設けて、総分割数として6〜126分割した多胴・多分割構造とした回転胴構造など、種々の構造が可能である。更に、これらのような回転胴、および管状部材の内部を隔壁で複数の区分室に区画する構造の他に、隔壁に類似した形状の従動型攪拌翼を回転胴内、および管状部材内に非固定状態に挿入することにより、回転胴内を複数の区分室に分割し、該回転胴内に供給される製紙スラッジSを複数の区分室に分配させるようにしてもよい。
また、図6及び図7に示すように、軸心方向に沿う空洞部16を設けた多分割構造や多胴(管部束体)構造の回転胴9を採用する場合、外側からの間接的加熱に加えて、空洞部16を利用して内側(中心側)からも間接的加熱を行うようにすれば、より精度よく燃焼温度を制御できる上、より高い熱処理効率を達成できる。この内側からの間接的加熱手段としては、既述した外側からの間接的加熱手段と同様の種々の熱媒及び熱源を採用できる。
上記の方法で得られた再生顔料もまた、後に説明するように炭酸カルシウム、タルク、カオリン、焼成カオリン、二酸化チタン、サチンホワイト、シリカ等の無機顔料を必要に応じて混合し、最外層の塗被層の中の下塗り塗被層や上塗り塗被層の無機顔料として用いることができる。
製紙スラッジから再生顔料とする無機粒子を得るための別の好ましい方法の一例のフローシートを図8に示した。図8は本発明で好適に用いられる再生顔料となる無機粒子の炭化法による製造方法のフローシートを示す図である。以下本基本フローシートに従って説明する。本方法を以降省略して炭化法と呼ぶ。51は本発明の原料となるスラッジである。次に52は乾燥、熱分解、炭化を含む炭化工程である。53は脱炭素による白化処理工程である。これらの炭化、脱酸素工程を総括的な熱処理工程とする。熱処理工程を経たスラッジが白色無機粒子として回収されるが、54は粉砕工程である。これらの工程を経て、スラッジは再生顔料55として顔料、填料等に再生される。以下各工程を説明する。
(スラッジ)スラッジ51は、下水や工場廃水等から発生する廃棄物である。下水や工場廃水には固形分が含まれているために、クラリファイヤーや凝集沈殿槽で沈降分離されてから放流されている。この際、廃棄物として廃水中に含まれる固形分がスラッジとして回収される。通常、スラッジは、脱水または焼却後に埋立て廃棄されている。この実施形態ではスラッジを炭化・脱炭素による白化することにより顔料の再生を行う。これとは別に、製紙材料として再利用が困難な雑誌古紙等の不純物を多く含む低級な古紙やそれに付随するプラスチックを主としたRPF(Refused Paper&Plastic Fuel)を原料として使用することもできる。製紙原料への使用に関する本発明においては、製紙材料に由来したスラッジが好ましい原料であることから、以下に、その製紙材料に由来するスラッジを使用した例について記述する。ペーパースラッジの由来は、パルプ製造工程、古紙再生工程、抄紙工程から流失した排水中の固形分である。
なお、スラッジ中の鉄分含有量(Fe)は、固形分比率で5.0重量%以下、好ましくは3.0重量%以下であることが好ましい。鉄を多量に含むスラッジは白色度が十分に高くならない問題が生じる。鉄分量を減らす方法としては、例えば、製紙工場廃水処理工程で固形分分離のために使用される凝集剤に鉄分を含まないものを使用することが好ましい。さらに、分級機に磁石等を設置し、スラッジ中に混入する針金やくぎなどの鉄片を除去したり、混入しない工夫をすることが可能である。この他にも必要に応じて異物や粗大焼結塊の除去を行うことが好ましい。これらの異物除去処理は炭化、脱炭素による白化、粉砕等の各処理工程間において、スラッジと除去対象物の形態に合わせて、効率的に除去できるように設置することが好ましいが、できるだけ前段の工程で除去しておくことがより好ましい。なお、本明細書中に示す部または%は、特に断らない限り、それぞれ有効成分重量部または重量%を示す。
スラッジを炭化前に造粒し炭化することも可能である。この造粒処理により、微細粒子が一体化し、微細粒子の飛散を防止でき、炭化後の収率を向上できる。また、大きさのバラツキが小さくなり、その炭化効率が高まり、効率よく有機物が熱分解し、設備を小型化できる。含水状態のスラッジを転動造粒法や撹拌造粒法等により造粒することもできるが、乾燥したスラッジを圧縮成形する方法は、炭化工程で熱エネルギーを節約することができ、好ましい。
乾式の造粒方法として、ブリケットマシンやローラーコンパクター等の圧縮成形機を用いることが好ましい。これらの圧縮成形機は、加圧された2本のロール間にスラッジを、スクリューにより強制的に押し込み、ロールを回転させることで圧縮成形することができる。
(炭化工程)炭化工程52ではスラッジの乾燥と熱分解による炭化を行う。スラッジ中の固形分は、脱水機の能力で異なるため、5%〜60%である。そのため、炭化工程の前半で、含水スラッジを乾燥することが好ましい。スラッジを乾燥することで効率的に熱分解をすることができる。スラッジの乾燥と熱分解を区分せずに、炭化処理することも可能であるが、それぞれ別々の温度帯を設けることがより好ましい。すなわち、スラッジの炭化処理において、有機物の乾燥、熱分解温度が異なるため、2段階以上の加熱帯を設けることにより、効率的にスラッジを炭化することができる。
これに対して、炭化工程前半において、装置の雰囲気温度が400℃以下でスラッジ中の水分を蒸発させ、後半の熱分解において、400℃〜850℃、好ましくは450℃〜700℃の範囲で行うことで、紙製造に適した状態で再生後の白色無機粒子が得られやすくなる。炭化工程前半において、装置の雰囲気温度が400℃以下でスラッジ中の水分を蒸発させ、後半の熱分解において、400℃〜850℃、好ましくは450℃〜700℃の範囲で行うことで、紙製造に適した状態で再生後の白色無機粒子が得られやすくなる。
因みに、水分蒸発後の後半の熱分解の際に炉内温度が400℃未満では、炭化時間が長くなり、850℃を超えるような高温では白色無機粒子の溶融〜焼結が進み、焼却後の微粉砕化が困難となるだけでなく、粒子硬度が高くなったり、着色傾向が強くなるので好ましくない。炭化処理は、最終的に熱分解による可燃性ガスが発生しなくなるまで、行われることが好ましい。炭化処理時間としては、スラッジの形態、量、水分、有機物量、経済的効果、環境から考慮されるべきものであるが、30分から2時間程度が好ましい。
また、炭化工程後に有機物由来の炭素が焼き固まらない(結晶化しない)で、残存するために好ましい炭化条件として、乾燥工程にて水分除去し、次に貧酸素状態下にて450℃〜650℃、より好ましくは500℃〜600℃の温度にて30〜60分間処理すると再利用に問題ない程度にシリカ等の粘土成分がそのまま維持されつつ、パルプ成分等の有機成分を炭化することができる。有機物由来の炭素と炭酸カルシウム由来の炭素を区別することは難しいが、結果的に有機物由来の炭素を固定炭素化し、炭酸カルシウム由来の炭素は炭酸カルシウムのまま保持し、炭化処理することが好ましい。
炭化工程において、酸素が存在すると、スラッジ中に含まれる揮発分の燃焼とともに有機物が燃焼する。この結果、有機物の燃焼によって燃焼被物の燃焼温度が炉内の雰囲気温度以上に上昇し、スラッジ中に含まれる顔料の望まざる熱変性が生じてしまう。そこで、炭化工程では、酸素含有ガス(空気)の流入を制限することにより、スラッジの発火による炉内雰囲気温度以上の温度上昇を防止することができる。スラッジを投入する際に、できるだけスラッジに酸素が同伴しないように、投入口は必要最低限の大きさにすることが好ましい。スラッジに同伴する酸素含有ガス(空気)が炉内に存在する場合もありえるが、スラッジから発生する水蒸気や揮発性成分(一酸化炭素、水素ガス)によって、速やかに置換することが好ましい。実質的に酸素が炉内に存在しない貧酸素状態であることがより好ましい。
スラッジの加熱方法として、電気的な加熱も可能であるが、灯油や重油の燃焼ガスによる加熱が経済的に好ましい。スラッジを、燃焼ガスにより直接加熱することも可能であるが、熱風に含まれる酸素(空気)とスラッジが接触し、スラッジが発火し、燃焼してしまうことから、スラッジと熱風が直接接触することがないように隔壁を設けることが好ましい。そのため、スラッジを炭化する設備としては、空気の流入が制限される密閉室を用いることが好ましい。すなわち、炭化装置は密閉式のスラッジの炭化室と炭化室を加熱する加熱室からなる2重構造の間接加熱炉であることがより好ましい。
炭化における加熱方法として、加熱室に燃焼ガスを送風することにより、スラッジを加熱し乾燥することができる。燃焼ガスは、既存の焼却設備から排出される燃焼ガスを使用することができる。焼却設備としては、火格子方式(ストーカ炉)、散布浮遊方式、材料撹拌方式、熱風燃焼方式等を例示することができる。もちろん、間接加熱室内にバーナーを設けることで、直接にスラッジの加熱室を加熱することも可能であるし、間接加熱炉の外部にバーナーを設置することで燃焼ガスを発生させることも可能である。
スラッジの乾燥後に、乾燥スラッジを加熱することで、スラッジ中の有機物が熱分解する。この際、一酸化炭素、メタン、エタン等の可燃性ガスが発生するが、炉内に酸素が実質的に含まれないため、有機物の燃焼を抑制することができる。可燃性ガスを熱風発生装置へ吸入し、スラッジの乾燥、炭化の熱源とすることができる。
(脱炭素による白化処理工程)次に、脱炭素工程53にて炭化物の脱炭素による白化処理工程を行う。本工程において、炭化物に含まれる有機物由来の炭素を酸化させ脱炭素することにより白化させる、その後白色無機顔料を回収する。既に前段の炭化工程において、発熱量の大きい可燃性ガスは揮発し、なくなっているため、揮発分の燃焼による炉内温度以上の燃焼を抑制することができる。この結果、有機物の燃焼によりスラッジ中に含まれる白色無機粒子の望まざる熱変性を防止することができる。すなわち炭化工程後の脱炭素による白化処理工程では、炭化物が酸化するために必要な酸素(空気)を十分に供給することが可能となる。この状態を富酸素状態という。結局、前段の炭化工程と本脱炭素による白化処理工程とを組み合わせることによって最終的に白色無機粒子を好適な条件で白化することができる。
脱炭素による白化室が450℃〜850℃の範囲になるように、加熱することで、効率的に白色度を向上させることができる。脱炭素による白化室内では、炉内の雰囲気温度を500℃以上にすることで、炭化物に含まれる有機物由来の炭素が酸化し、白色無機粒子を効率的に白化することができる。
450℃未満での脱炭素による白化では処理時間が長くなり、850℃を超えるような高温では白色無機粒子の溶融・焼結が進み、脱炭素による白化後の微粉砕化が困難となる不都合がある他、着色傾向が強くなるので好ましくない。処理時間は、炭化物の形態、量、水分、炭素含有率、のみならず、経済的効果、環境から考慮されるべきものであるが、30分から2時間程度が好ましい。最終的に炭化物を脱炭素し、白色無機粒子の白色度を70%以上、好ましくは80%以上とすることで、製紙用原料に適した白色無機粒子を製造することができる。特に、脱炭素による白化処理工程、この工程は焼成処理の工程とも呼ばれる。この工程を1段処理にて行う場合には、450℃〜650℃、より好ましくは500℃〜600℃にて富酸素状態下で60〜180分間焼成すると炭化物が燃焼し、炭酸カルシウム、カオリンクレー、シリカ等の無機成分が、再使用に問題ない程度に残るものと推定される。450℃未満では有機成分の炭化が進行しにくく650℃を越えると粘土成分等の構造が破壊されやすくなるから安定した再生材料を得るにはペーパースラッジの成分にあわせて処理温度範囲を調整することが望ましい。
脱炭素による白化処理工程において、急激な炭化物の加熱は白色無機粒子の溶融〜焼結が進み、炭素分子が白色無機粒子中に取り込まれ、白化が困難になるため、好ましくない。炉内を単一の温度帯に保つことも可能であるが、炭化物の急激な加熱を防止するために、2段階以上の温度帯で脱炭素による白化処理することがより好ましい。脱炭素による白化処理において、450℃〜600℃と600℃〜850℃の2段階以上の加熱帯を経ることがより好ましい。2段階以上の熱処理における後段で、雰囲気温度以上に被処理物の温度が上がらないように前段で脱炭素することが好ましい。この際、炭化物の自体の温度を管理することがより好ましい。ただし、炭化物の局所的な温度変化を測定することは困難である。そのため、白化室に温度センサを設置し、白化室の雰囲気温度が800℃以下になるように、酸素含有ガス(空気)を供給し、炭化物の自燃により炭化物自体の温度が急激に上昇することがないように管理することが好ましい。
処理前のスラッジにカオリナイトを含んでいた場合には、カオリナイトを効率的に減少させるように脱炭素による白化処理時の熱処理を制御することで、白色無機粒子の白色度が効率的に向上する。これは、450℃〜850℃の脱炭素による白化処理工程において、カオリナイトを非晶質化させて白色度の高い焼成カオリンに変性するためである。そのため、脱炭素による白化処理工程の処理温度を450℃〜850℃とすることで、元来スラッジ中に含まれていた白色無機粒子の白色度以上にすることができる。白色無機粒子の溶融〜焼結を防止するために、600℃〜800℃とすることがより好ましい。
ただし、処理前のスラッジにカオリナイトと炭酸カルシウムを含んでいた場合に、炭酸カルシウムと焼成カオリンが反応して白色無機粒子の溶融〜焼結が生じることの影響を考慮することが重要である。これらの白色無機粒子は、脱炭素による白化後の微粉砕化が困難となる不都合がある他、着色傾向が強くなるので好ましくない。
炭酸カルシウムの含有率にもよるが、白色無機粒子の溶融〜焼結を防止しつつ、カオリナイトの白色度を向上させるために、炭化物の自体の温度を管理することが好ましい。ただし、炭化物の局所的な温度変化を測定することは困難である。そのため、白化室に温度センサを設置し、白化室の雰囲気温度が800℃以下になるように、酸素含有ガス(空気)を供給し、炭化物の自燃により炭化物自体の温度が急激に上昇することがないように管理することが好ましい。なお、カオリナイトとは、2八面体型1:1層状ケイ酸塩であり、狭義のカオリナイトの他にポリタイプであるやディッカイト、ナクライト、およびハロサイトを含む。
炭酸カルシウムの脱炭酸を防止することで、脱炭素後の白色無機粒子中には、スラッジ由来の炭酸カルシウムが混在することになる。そのため、白色無機粒子中の残炭素率は、脱炭素による白化処理後であっても、高い値となることがある。有機物由来の炭素と炭酸カルシウム由来の炭素を区別することは難しいが、有機物由来の残炭素率をできるだけ低くすることが好ましい。有機物由来の残炭素率を1%以下とすることで、紙製造に適した白色無機粒子を回収することが好ましい。
炭化物の加熱方法として、燃焼ガスにより直接炭化物を加熱することも可能であるが、熱風に含まれる未燃炭素が白化した白色無機粒子に接触し、白色度が低下してしまうことから、スラッジと熱風が直接接触することがないように隔壁を設けることがより好ましい。すなわち、脱炭素による白化処理工程においても、炭化工程と同様に密閉式の炭化物の脱炭素による白化室と加熱室からなる2重構造の間接加熱炉であることがより好ましい。
加熱室の電気的な加熱も可能であるが、灯油や重油の燃焼ガスによる加熱が経済的に好ましい。前述のスラッジ由来の揮発ガスを回収し、燃焼して得られる熱風も使用することができる。この他にも焼却炉等の既存の焼却設備から排出される燃焼ガスも使用することが可能である。焼却設備としては、火格子方式(ストーカ炉)、散布浮遊方式、材料撹拌方式、熱風燃焼方式等を例示することができる。
この他にも、各製紙工場に排水処理装置の一部として設置されているロータリーキルンや既存の焼却炉(サイクロン炉や流動床焼却炉)を用いることができるが、長時間の脱炭素による白化処理が可能なロータリーキルンがより好ましい。
また、炭化および脱炭素による白化処理の間に処理対象物温度を一旦400℃以下に冷却した後、その後の処理をすることで、炭化処理により熱分解した有機物由来の可燃性ガスを完全に炭化物から除去することができる。さらに、この間に炭化物に水および/または水蒸気を接触させて冷却することにより、炭化物の比表面積を増加させ、脱炭素による白化処理工程における酸素との反応効率が向上し、効率的に脱炭素による白化を行うことができる。
連続的に炭化、脱炭素による白化する場合には、熱処理室内にスクリューや撹拌羽を設置することで、スラッジや炭化物を強制的に移送することができる。スクリューにより強制的に押し込むことで、撹拌が促進され、熱処理効率を向上させるができる。逆に多角形状の炭化室を回転させることでスラッジや炭化物を移送することもできる。
(粉砕工程)次に白色無機粒子の粉砕工程54について説明する。脱炭素による白化処理工程を経た白色無機粒子は、紙製造用に適した粒径に調節することができる。使用方法により最適粒子径は異なるが、おおむね0.1μm〜10μmが好ましい粒子径である。脱炭素による白化後の白色無機粒子は、乾式粉砕機に送られて一次粉砕される。一次粉砕後の粉体は、分散機に移送され、水や少量の分散剤とともに撹拌されてスラリー化される。そして、このスラリーは湿式粉砕機に送られ、粉体が二次粉砕されて、微粉(白色無機粒子)となる。
粉砕方法として、乾式粉砕機のみによる粉砕、又は湿式粉砕機のみによる粉砕も可能であるが、上述のように乾式粉砕機と湿式粉砕機を適宜組み合わせることが好ましい。各粉砕機をそれぞれ又は一方のみ複数段設けることも可能である。最終的に白色無機粒子の平均粒子径が紙製造に適した値になるように粉砕するが、湿式粉砕前に乾式粉砕により予め小粒子化しておくことが粉砕効率上より好ましい。このとき、乾式粉砕された粉体の粒子径が35μmを越えると、分散機での粉体の分散が悪くなり、粉砕機での粉砕効率が悪くなるとともに、分散機や粉砕機が摩耗し、白色無機粒子の白色度が低下する。また、乾式粉砕で、粉体を2μm未満に粉砕するのは、粉砕効率が悪く経済上好ましくない。
このように、乾式粉砕機と湿式粉砕機を組み合わせ、乾式粉砕で粒体の平均粒子径を2μm〜35μm、好ましくは2μm〜10μmに粉砕し、所定の固形分濃度、例えば50%以上の水性スラリーとして湿式粉砕することにより、分散機や湿式粉砕機の摩耗による白色度低下を防止しながら、効率良く微粒子まで粉砕することができる。このとき、湿式粉砕後の白色無機粒子の平均粒子径が0.1μm〜10μmとなるように粉砕するとよい。粉砕が不十分であると、紙製造時や加工時にロール表面を摩耗させたり、カッターの刃を著しく摩耗させ深刻な問題を生じる。このように、白色無機粒子の平均粒子径を0.1μm〜10μmに調節をすることで、製紙用白色無機粒子としての摩耗性を改善し得る。
以下に乾式粉砕機についてさらに詳しく説明する。数mmのものを数十μmにまで粉砕する粉砕機としては、例えばロールクラッシャ、ロールミル、スタンプミル、エッジランナ、カッタミル、ロッドミルなどを例示することができる。また、製紙用原料に適した数μm以下にする乾式微粉砕機としてはローラミル、ジェットミル、乾式ボールミル、衝撃式粉砕機などが使用される。なお、これらの乾式粉砕機は、耐摩耗鋼を用いる等、摩耗に対する考慮がされている。
次に、湿式粉砕機としては、湿式ボールミル、振動ミル、撹拌槽型ミル、流通管型ミル、コボールミルなどの粉砕機により粉砕することが可能である。さらに、粉砕機の摩耗による白色無機粒子の汚染(白色低下)を防ぐために、粉砕機の粉砕ゾーンを耐摩耗性材、例えばゴムや耐摩耗性プラスチックで被覆することが望ましい。その粉砕ゾーンとは、粉砕室内面、撹拌部材の外面などをいい、粉砕の際に、スラリー中の粉体が接触するゾーンである。粉砕室に仕切板等の部材が設けられている場合には、これらも粉砕ゾーンの一部となる。なお、ボール等の粉砕媒体が用いられる湿式粉砕機では、耐摩耗性プラスチックで被覆されたボール、あるいは、セラミック製ボールを用いることが望ましく、これらのボールも粉砕ゾーンの一部である。耐摩耗性プラスチックとしては、ウレタン樹脂やナイロン樹脂を例示することができ、およそ1mm〜10mm程度の厚みに被覆することが望ましいが、使用頻度や粉砕条件によって適宜選択することができる。なお、湿式粉砕前後に、オープン型振動スクリーン、多管式振動加圧フィルタや機械式加圧フィルタなどのスクリーニング装置を介して難粉砕性の焼結物を除去することもできる。また、前述の分散機も、その分散ゾーンを、湿式粉砕機と同様に、ゴムや耐摩耗性プラスチックなどで被覆することが望ましい。
湿式粉砕に際して、粉体を均一に分散するために分散剤を添加してスラリー化することが行われる。分散剤を添加することによって、スラリーを高濃度化しても粘度上昇を防止することができる他、湿式粉砕による粘度上昇を防止し、粉砕効率やハンドリング性を向上させることができる。このとき、スルホン酸基含有ポリアクリル酸の分散剤は他の分散剤に比べて耐塩性、耐熱性に優れる利点を有しているため、分散剤としてスルホン酸基を含有した分子量が、例えば、1000〜10000のスルホン酸基含有ポリアクリル酸を0.05%〜3%添加するとよい。その添加量が3%を越すと、添加量を増やしても分散性はよくならず、0.05%以下では、分散性がわるく、後工程の湿式粉砕を効率よく行うことができない。工程55は粉砕処理により粒子径の調節された白色無機粒子であり、紙製造に適した顔料や填料として再利用が可能となる。
白色無機粒子を水性媒体で希釈した際に、懸濁液のpHが13を上回るアルカリ性を示す場合には、酸を用いて8〜13に調整することが好ましい。これは、懸濁液のpHが高いと分散剤の効果が低下し、粉砕性や流動性が低下するためである。なお、水性媒体とは水、分散剤、塗料安定化剤等を含んだ液体である。白色無機粒子の懸濁液のpHを二酸化炭素を用いて8〜13に調整することがより好ましい。これは、pH調整後に炭酸カルシウムが生成し、白色無機粒子の収率が向上するためである。白色無機粒子の分散、粉砕処理前にpHを調整することにより、粘度上昇を防止した効率的な処理が可能となる。逆に白色無機粒子の懸濁液のpH調整に先立って、白色無機粒子の平均粒子径を100μm以下に調節することで、効率的にpHを調整することが可能となる。さらに、白色無機粒子の分散、粉砕の際に、二酸化炭素を導入することで、分散とpHを同時に処理することもできる。pH調整後の白色無機粒子を含む懸濁液は、湿式粉砕、貯蔵、流送されて紙製造用の原料として使用することができる。尚、以上のように湿式粉砕まで行って白色無機粒子をスラリー化することは既に、白色無機粒子を顔料や填料として使用する段階に入っていると考えても良い。
勿論、白化処理工程後に回収された白色無機粒子を乾式粉砕や湿式粉砕せずに紙製造用の原料として使用することもできる。湿式粉砕せずに白色無機粒子を紙製造用原料として使用する場合など、白色無機粒子を水性媒体で希釈して使用することが多い、その際にも、懸濁液のpHを酸を用いて8〜13に調整することが好ましい。この場合にも、白色無機粒子の懸濁液のpHを二酸化炭素を用いて8〜13に調整することがより好ましい。白色無機粒子を分散する際に、二酸化炭素を導入することで、分散処理とpH調整を同時に行うこともできる。
この方法において使用する熱処理装置の一例について、図9を参照しつつ、詳しく説明する。図9は炭化工程及び白化処理工程を行う熱処理装置の一例の概略系統図である。
炭化工程は第1間接加熱炉1および第2間接加熱炉26により行う。脱炭素による白化処理工程は第3間接加熱炉30で行う。第1間接加熱炉1は、炭化工程の乾燥帯であり、第1間接加熱炉のスラッジ投入口22からスラッジが投入され、スラッジ乾燥室23で乾燥される。スラッジ乾燥室を加熱するための熱風取り入れ口24a及び熱風、水蒸気、乾留ガス排出口25aが備えられている。なお、図示を省略したが、排出口25a近傍には、スラッジから発生する水蒸気等を同排出口に排出するために、微少開口部をスラッジ乾燥室23の後半部分に設けている。
第2間接加熱炉26は、炭化工程の熱分解帯である。第2間接加熱炉のスラッジ熱分解、炭化室27の一方に乾燥したスラッジを炭化する加熱室を加熱するための熱風取り入れ口4b、他方に熱風、水蒸気、乾留ガス排出口25bが備えられている。なお、図示を省略したが、排出口25b近傍には、スラッジから発生する乾留ガス等を同排出口に排出するために、微少開口部をスラッジ熱分解、炭化室27の後半部分に設けている。炭化が終了すると、炭化物は炭化物排出口28から排出される。
炭化物排出口28から排出された炭化物は、炭化物流送路29を経由して第3間接加熱炉30に移送され、脱炭素による白化処理をする。第3加熱炉の炭化物投入口31から炭化物が投入され、炭化物を酸化させるための空気の取り入れ口32、炭化物の脱炭素による白化室33、脱炭素による白化室を加熱するための熱風取り入れ口24c、熱風、水蒸気排出口25cが備えられている。脱炭素による白化処理された白色無機粒子は、白色無機粒子回収口34から排出される。
図8において、炭化工程について説明する。炭化装置は2段階の間接加熱帯を設けている。これは、炭化工程におけるスラッジの乾燥、熱分解温度が異なるためである。第1間接加熱炉21でスラッジの乾燥を行う。スラッジの乾燥室23の雰囲気温度が400℃以下でスラッジ中の水分を蒸発させることができる。
熱風取り入れ口24aから送風することにより、間接的にスラッジを加熱し乾燥することができる。スラッジから発生する水蒸気と熱風は排出口25aから排出される。各熱風取り入れ口24a,24b,24c、排出口25a,25b,25cは図示を省略した熱風発生装置にそれぞれ接続されており、熱風発生装置から供給される熱風は、温度、供給量および排出量を調節することができる。この他にも焼却炉等の既存の焼却設備から排出される燃焼ガスも使用することが可能である。
スラッジの乾燥後に、第2間接加熱炉26により、乾燥スラッジを熱分解、炭化する。乾燥スラッジの炭化室27で、乾燥スラッジの有機物が熱分解する。この際、一酸化炭素、メタン、エタン等の可燃性ガスが発生するが、炉内に酸素が実質的に含まれないため、有機物の燃焼を抑制することができる。炭化室後半に設けた微細開口部から吸引される可燃性ガスは熱風、水蒸気、乾留ガス排出口25bから熱風とともに排出する。図示を省略した熱風発生装置によりそれらのガスも燃焼し、スラッジの乾燥、炭化の熱源とすることができる。
炭化室27の温度を400℃〜850℃、好ましくは450℃〜700℃とすることで、スラッジ中の白色無機粒子の望まざる熱変性が生じない温度以下で、有機物の熱分解を促進することができる。これらの温度は熱風発生装置により発生する熱風の温度、供給量および排出量により調節することができる。
連続的に炭化、脱炭素による白化を行う場合には、熱処理室内にスクリューや撹拌羽を設置することで、スラッジを強制的に移送することができる。スラッジの投入口は炭化室に空気が同伴しないように必要最低限の開口としている。スクリューにより強制的に押し込むことで、同伴空気量を制限することができる。また、スクリューによりスラッジの撹拌が促進されるため、熱効率を向上させるができる。
炭化時間は、熱分解による可燃性ガス発生量をガス検知装置を用いて測定することで、調節することができる。この際、スクリューの回転速度を調節することでスラッジの滞留時間を調節することができる。図8では、炭化工程を2段階で行った例であるが、1段階で処理することも可能である。2軸式のスクリューを用いることで、炭化物を解砕しつつ、炭化させることも可能である。有機物由来の炭素と炭酸カルシウム由来の炭素を区別することは難しいが、結果的に有機物由来の炭素を固定炭素化し、炭酸カルシウム由来の炭素は炭酸カルシウムのまま保持し、炭化処理することが好ましい。
図8において脱炭素による白化処理工程を説明する。炭化物流送路29により移送された炭化物は、第3間接加熱炉30に設けられた投入口31から投入される。この際、炭化物の酸化に要する空気を空気の取り入れ口32から取り入れることができる。取り入れ口には流量調節器を設置し、炭化物の酸化を制御することができる。脱炭素による白化室33における加熱は、焼却炉等の既存の焼却設備から排出される燃焼ガスにより行うことができる。なお、好ましい温度範囲で炭化物が自燃するように酸素含有ガス(空気)や熱風(燃焼ガス)の供給量を調節することが好ましい。特に、原料となるスラッジが未知のものであったり、変動が大きい場合には、白化装置にはより敏感な温度センサを多数設置することで、炭化物の温度変化をより詳細に観察することが好ましい。
脱炭素による白化室33が450℃〜850℃の範囲になるように、加熱することで、効率的に白色度を向上させることができる。この際、炭化物が急激に加熱されないように、熱風の温度、供給量および排出量、空気流量により調節することが好ましい。これにより、450℃〜600℃と600℃〜850℃の2段階以上の加熱帯を設けることが好ましい。脱炭素による白化処理された白色無機粒子は白色無機粒子回収口34から排出される。有機物由来の炭素と炭酸カルシウム由来の炭素を区別することは難しいが、有機物由来の残炭素率をできるだけ低くすることが好ましい。有機物由来の残炭素率を1%以下とすることで、紙製造に適した白色無機粒子を回収することが好ましい。最終的に炭化物を脱炭素し、白色無機粒子の白色度を70%以上、好ましくは80%以上とすることで、製紙用原料に適した白色無機粒子を製造することができる。
このようにしてペーパースラッジを処理して得られる材料の外観は白色系を呈していた。特にリサイクル可能な処理方法及びその処理をして得られた材料としての特徴を有する。このようにしてペーパースラッジ等を処理して得られる材料の用途としては炭酸カルシウムやカオリンクレーとして上質紙等製紙工程におけるパルプ懸濁液の調質材として再利用ができる。
上記の方法で得られた無機粒子もまた、再生顔料として後に説明するように炭酸カルシウム、タルク、カオリン、焼成カオリン、二酸化チタン、サチンホワイト、シリカ等の無機顔料を必要に応じて混合し、最外層の塗被層の中の下塗り塗被層や上塗り塗被層の無機顔料として用いることができる。
以下本発明の塗工白板紙の各構成について説明する。白板紙は通常3〜9層の抄きあわせにて形成され、各層のパルプは目標品質に応じて脱墨率を変更したり、古紙配合率を変更して抄造するのが一般的である。白板紙の米坪範囲としては通常200〜450g/mの間で形成される。
[中層]
本発明で述べる中層とは、例えば5層抄き紙の場合では、原紙最外層、中間層を除く、3層目または3〜4層目を指し、白色度の低い未脱墨の安価な古紙パルプを使用することが多い。
[中間層]
中層の低白色度の古紙パルプ層を隠蔽する目的で有し、例えば5層抄き紙の場合では、塗工白ボール紙では2層目を、また特殊白板紙では2層目および4層目の最外層と中層の間のパルプ層を示す。最外層ほどではないが、比較的白色度の高い脱墨したパルプを使用する。通常中間層の付け量としては30〜60g/mの間で形成される。
[最外層]
印刷適性等を付与する目的で設ける塗被層塗工面の原紙最外層を示し、5層抄き紙の場合、白ボール紙では1層目を特殊白板紙では1層目および5層目を示す。原紙中で最も白色度の高いパルプを使用する。なお中層の隠蔽や加工適性付与のためバージンパルプを使用することもある。通常、最外層の付け量としては、30〜60g/mの間で形成される。
[裏面層]
白ボール紙では、裏面に印刷適性を付与する塗被層を設けないため、裏面層には中層と同様に未脱墨のパルプを使用する。通常、裏面層の付け量としては30〜60g/mの間で抄造される。なお、特殊白板紙の場合は最外層と同様に高白色性のパルプ層を設け、中層の低白色性パルプ層の隠蔽を行う。
[塗被層]
通常塗被層としては、以下に示す下塗り塗被層、上塗り塗被層の2層を有することが多く、美匠性、印刷適性付与の目的で適用される。白ボール紙においては、裏面の「毛羽とられ」の対策のため、また特殊白板紙では、表面ほどではないが、裏面に多少の印刷適性付与のために、1層の塗被層を形成する。
[下塗り塗被層]
本発明にかかる塗工白板紙の下塗り塗被層は、製紙スラッジより得られる再生顔料5〜100質量%と、その他の無機顔料0〜95質量%とにより構成させた顔料成分と、好ましくは顔料成分100質量部当たり10〜30質量部の接着剤を含有する下塗り塗被層を形成する塗被液を、原紙の片面又は両面に塗工して乾燥することによって形成される。さらに再生顔料が50質量%以上含まれることが経済性等の点でより好ましい。
製紙スラッジより得られる再生顔料の中でも先に説明した図1に示した無機粒子の製造方法の基本フローシートにしたがって得られる再生顔料がより好ましく使用できる。
このようなフローにより得られた再生顔料は、嵩高性を有しているため、平滑性や印刷適性に優れ、表面の白色ムラが少なくなるので好ましい。
なお、再生顔料の組成としては、凡そ製紙スラッジ中の無機成分の主成分がカオリン/炭酸カルシウムが20/80〜80/20の範囲であるので、燃焼処理条件にもよるが、燃焼処理後の焼成物に二酸化炭素を接触させる工程後に得られた再生顔料は、カオリンが熱変性により変性した非晶質成分、すなわち焼成カオリン類似成分と炭酸カルシウム成分の割合はほぼ20/80〜80/20の範囲である。焼成カオリン類似成分が10質量%以上あると、白板紙も表面白色ムラ、印刷適性に優れより好ましい。
本発明において、その他下塗り塗被層に含有する顔料としては例えば、重質炭酸カルシウム、デラミネーテッドカオリン、カオリン、タルク、クレー、焼成カオリン、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、パルプ製造プロセスの苛性化工程から生成する炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、石膏、硫酸バリウム、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、デラミカオリン、ケイソウ土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベントナイト、セリサイト等の無機顔料のほか、尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機顔料等、通常の塗被紙分野に使用される顔料を使用することが可能であり、これらの中から1種あるいは2種以上を適宜選択して使用できる。なお、使用する顔料の平均粒子径は、0.1〜3.5μmの範囲が好ましい。
本発明において、下塗り塗被層に含有する接着剤としては、特に限定させるものではなく、通常の塗工白板紙分野で使用される接着剤、例えば水溶性接着剤として、酸化澱粉、エステル化澱粉、冷水可溶性澱粉などの各種澱粉類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白などの蛋白質類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコールやその変性品などを、また分散液型接着剤として、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックスなどを使用することが可能であり、必要に応じてこれらの中から1種類あるいは2種類以上を適宜選択して使用する。
また本発明においては、下塗り塗被層の接着剤成分の量は、顔料成分100質量部当たり10〜30質量部の範囲が好ましく、特には10〜25質量部がより好ましい。塗工白板紙に印刷、加工を施す場合、必要とされる印刷、加工強度を発現させるために、塗被層に接着剤を含有させるが、接着剤成分の量が10〜30質量部の範囲であれば、印刷時の加工強度に優れ、良好な平滑性が得られる。
下塗り塗被層の接着剤成分として、水溶性接着剤を併用する場合は、その含有量を顔料成分100質量部当たり、7質量部以下、特に5質量部以下とすることが好ましい。7質量部以下の範囲であれば、下塗り塗被層において良好な平滑性を得ることができる。なお、少量の水溶性接着剤を分散型接着剤と併用することは、下塗り塗被層を形成する塗被液の増粘、保水に有効である。
原紙に下塗り塗被層用塗被液を塗工するための塗工装置としては特に限定されるものではなく、例えばエアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、バーコーターおよびゲートロールコーター、サイズプレス等のロールコーター、ビルブレードコーター、ベルバパコーター等が本発明の効果を損なわない範囲で適宜組み合わせて使用されるが、ロッドコーターがより好ましく使用される。ロッドコーターが好ましく使用されるのは、基紙表面の凹凸に沿った輪郭塗工が可能であり、かつ高濃度塗料を使用できるため高速塗工も可能であることが理由としてあげられる。
[上塗り塗被層]
また本発明にかかる塗工白板紙の上塗り塗被層は、原紙上に形成されている下塗り塗被層の表面に塗工して乾燥することによって形成され、下塗り塗被層を設けた紙への上塗り塗被層形成の塗工装置としてはブレードコーターが好ましく使用される。上塗り塗被層用塗料の塗工装置として、ブレードコーターが好ましく使用されるのは、高平滑な塗工面が得られやすく、また下塗りで使用されるロッドコーターと同じく、高濃度塗料を使用できるため高速塗工も可能であることが理由としてあげられる。上塗り塗被液の塗工量は、前述した下塗り塗被液の塗工量との合計で、原紙の片面当たり、乾燥重量で10〜30g/mの範囲で選ばれる。
製紙スラッジを原料とする再生顔料のほかに上塗り塗被層に使用できる顔料としては、例えば、カオリン、炭酸カルシウム、焼成カオリン、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドカオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ニ酸化チタン、サチンホワイト、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、アルミノ珪酸マグネシウム、珪酸カルシウムベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の無機顔料や、密実型、中空型、貫通孔型のプラスチックピグメント等を挙げることができる。これらの白色顔料は、1種又は2種以上が本発明では使用可能である。
中でもカオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタンは、再生顔料と組み合わせることで、印刷適性、平滑性や、隠蔽性を高める理由で好ましく使用される顔料である。
上塗り塗被層の接着剤成分には、通常は分散型接着剤を使用する。分散型接着剤としては、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックスなどを例示することができ、これらの1種又は2種以上が、上塗り塗被層の接着剤成分として使用可能である。
上記した分散型接着剤と共に少量の水溶性接着剤を併用することができる。水溶性接着剤としては、酸化澱粉、エステル化澱粉、冷水可溶性澱粉などの各種澱粉類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白などの蛋白質類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコールやその変性品などが例示できる。
上塗り塗被層が含有する接着剤成分の量は、水溶性接着剤を併用するか否かにかかわらず、上塗り塗被層に含まれる顔料成分100質量部当たり、10〜25質量部の範囲が好ましい。接着剤成分の含有量が10〜25質量部の範囲であれば、印刷時の加工強度に優れ、良好な平滑性が得られる。
下塗り塗被層の形成に使用する塗被液および上塗り塗被層の形成に使用する塗被液には、それぞれ必要に応じて、青系統あるいは紫系統の染料や有色顔料、蛍光染料、増粘保水剤、酸化防止剤、老化防止剤、導電誘導剤、消泡剤、紫外線吸収剤、分散剤、pH調整剤、離型剤、耐水化剤、撥水剤等の各種助剤を適宜配合することができる。
下塗り塗被層を形成する前にマシンキャレンダー、ソフトキャレンダー、あるいはヤンキードライヤー等を使用して、あらかじめ基紙の平滑化処理を行うこともできる。また、上塗り用塗被液を塗工、乾燥した後にマシンキャレンダー、ソフトキャレンダー、あるいはスーパーキャレンダー等を使用して平滑化処理を施すのが望ましい。
原紙としては二層以上の多層抄きで構成され、使用するパルプとしては特に限定するものではなく、例えば晒ないしは未晒の化学パルプ、機械パルプ、さらには脱墨ないしは未脱墨の古紙パルプ等の一種、又は二種以上を適宜混合して使用される。その他、基紙には必要に応じて、サイズ剤;紙力剤;濾水剤;填料;染料等を適宜添加することもできる。なお、基紙の米坪は通常150〜650g/m程度である。
一般的に言えば、塗工白板紙は原紙の少なくとも片面に、白色顔料と接着剤を主成分とする塗被層を複層で形成させることで製造される。本発明によって、特に未脱墨の古紙パルプを使用した原紙に対して、ペーパースラッジを原料として得られる無機顔料を5質量%以上使用することにより、表面の白色ムラが少なく、平滑性や印刷適性に優れた塗工白板紙を提供することが可能となった。
[実施例、比較例]
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。もちろん、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、例中の%は「質量%」を示す。また、実施例や比較例中のX線回折測定は以下の方法で測定した。
「X線回折の測定」
試料を乳鉢で粗い粒子がなくなるまですりつぶし、株式会社マックサイエンス社製MO3XHFを用いて、測定条件40kV、20mA、測定範囲:5〜50度で測定した。
参考例1
[スラッジ]
古紙処理設備を有する製紙工場における雑誌古紙主体の古紙脱墨工程において、古紙パルプの洗浄排水を浮選機に供給し浮選処理し白水を得た。得られた白水に凝集剤を添加して廃液中の固形分を凝集させた後に、ロータリースクリーンおよびスクリュープレスに順次通液して、固形分約50%の製紙スラッジ(脱墨スラッジ)を回収した。このペーパースラッジ中の灰分は60%で、その組成は炭酸カルシウム55%、カオリン40%、タルク5%であった。
[熱処理工程]
本熱処理工程は図3に示した構成の熱処理装置(並流方式)によって行った。具体的には連続外熱式ロータリーキルン1(高砂工業製ロータリーキルン、加熱部φ30×240cm)を熱処理装置として使用した。ペーパースラッジSは3.5kg/hの速度でスラッジ供給口である供給ホッパ2からロータリーキルン1に供給した。供給された製紙スラッジSはスクリューフィーダー10によって直径約35mmの大きさになるようにしつつ、ロータリーキルン1内の焼成室(回転筒)9に搬送され、焼成室(回転筒)9内を通過しながら熱処理、すなわち焼成される。間接的加熱手段5としては別途図示を省略した燃焼ボイラーからの燃焼ガスを循環ブロワー7から供給して使用した。この際に、排気ファン4からキルン内ガスを未燃焼物搬送用空気流A'として150L/分(20℃換算)で排出しつつ、その空気流量と間接加熱の制御によりスラッジ温度が850℃になるように加熱し、加熱部分に140分滞留させ、焼成物を調製した。
得られたスラッジ焼成物をX線回折で測定し、スラッジ中に含まれる無機成分のうち、炭酸カルシウム成分の分解率を求めた。その結果、炭酸カルシウム成分は100%分解されていた。また、スラッジ焼成物中に含まれる炭酸カルシウム以外の無機成分として、カオリン成分は100%非晶質成分に変成し、タルク成分は全く分解されていなかった。また得られたスラッジ焼成物には一部の未燃焼物の混入が認められた。
[焼成物懸濁液化工程]
得られたスラッジ焼成物を、懸濁液化槽(消和槽)で60℃温水と混合し、懸濁液化槽を60℃に保持しながら60分間攪拌し、12%焼成物懸濁液を調製した。
[炭酸化工程]
炭酸化反応槽に、温度60℃の12%焼成物懸濁液を10kg入れ、反応槽を60℃に保持しながら25容量%の二酸化炭素含有ガスを20L/分吹き込み、60分間攪拌を行い、再生無機粒子を得た。得られた再生無機粒子をX線回折で測定したところ、焼成処理によって分解された炭酸カルシウムは全量炭酸カルシウムに再生されていた。
[脱水・分散工程]
炭酸化工程終了組成物をフィルタープレスで脱水することにより固形分が約50%の脱水組成物とし、続いて固形分48%となるようにコーレスミキサーで該脱水組成物を水に分散させた。その分散の際、水にポリアクリル酸系分散剤(商品名:アロンT−50、東亜合成株式会社製)を組成物(該脱水組成物)の固形分対比で1.5部の量を添加し、スラリーを調製した。
[粉砕工程]
分散工程後のスラリー組成物を湿式粉砕機であるサンドグラインダーを用いて粉砕し、平均粒子径が1.6μmの白色無機粒子を再生顔料として得た。
塗被層用塗被液の調整
(1a)下塗り塗被層用塗被液の調製
顔料として、上記方法により得られた再生顔料50質量%、重質炭酸カルシウム(商品名:FMT65、ファイマテック社製)50質量%を使用し、分散剤として、前記全顔料に対し、ポリアクリル酸ソーダ0.2質量%を添加し、コーレス分散機を用いて固形分濃度が64%の顔料スラリーを調製した。このスラリーにリン酸エステル化澱粉(商品名:エースP−F260、王子コーンスターチ社製)3質量部(固形分換算)、および固形濃度50%のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:X−400A、JSR社製)15質量部(固形分換算)をそれぞれ添加し、さらに水を加えて固形分濃度が60%の塗料を調製した。
(1b)上塗り塗被層用塗被液の調製
顔料として、カオリン(商品名:UW−90、エンゲルハード社製)60質量%、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−221−GS、奥多摩工業社製)40質量%を使用し、分散剤として、前記全顔料に対し、ポリアクリル酸ソーダ0.2質量%を添加し、コーレス分散機を用いて固形分濃度が65%の顔料スラリーを調製した。このスラリーにリン酸エステル化澱粉(商品名:エースP−F260、王子コーンスターチ社製)3質量部(固形分換算)、固形濃度50%のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:L−1825、ガラス転移温度:8℃、旭化成社製)15質量部(固形分換算)をそれぞれ添加し、さらに水を加えて固形分濃度が60%の塗料を調製した。
(1c)塗工白板紙の作製
外層に脱墨古紙パルプ(最外層1層目:パルプ白色度70%、中間層2層目:〃54%)、中層、および最外層裏層5層目に未脱墨の古紙パルプ(パルプ白色度50%)を使用して5層に抄き合わされた米坪290g/mの原紙の片面に、上記で得た下塗り塗被層用塗被液をロッドコーターを用いて、乾燥重量で10g/mとなるように塗被、乾燥して下塗り塗被層を形成し、さらに下塗り塗被層上に、上記で得た上塗り塗被層用塗被液をブレードコーターを用い、乾燥重量で10g/mとなるように塗被、乾燥してそれぞれ表面2層タイプの塗工白板紙を得た。次に、2スタックの、金属ロール表面温度が150℃、2ニップのソフトキャレンダーに通紙して、平滑化処理された塗工白板紙を得た。
参考例2
参考例1の下塗り塗被層用塗被液の調製において、上記方法で得られた再生顔料100質量%に変更した以外は参考例1と同様にして塗工白板紙を得た。
参考例3
参考例1の下塗り塗被層用塗被液の調製において、上記方法で得られた再生顔料10質量%、重質炭酸カルシウム(商品名:FMT65、前出)90質量%に変更した以外は参考例1と同様にして塗工白板紙を得た。
実施例1 (2段燃焼)
参考例1と以下の点を異ならせた他は同様にして白色無機粒子を再生顔料として得た。得られた再生顔料から参考例1と同様にして塗工白板紙を得た。
[スラッジおよび前処理]
古紙処理設備を有する製紙工場における雑誌古紙主体の古紙脱墨工程において、古紙パルプの洗浄排水を浮選機に供給し浮選処理し白水を得た。得られた白水に凝集剤を添加して廃液中の固形分を凝集させた後に、ロータリースクリーンおよびスクリュープレスに順次通液して、固形分約50%の製紙スラッジ(脱墨スラッジ)を参考例1と同様に回収した。次いで乾燥機を用いて固形分約75%になるように乾燥し、次いでディスクペレッターを用いて直径約12mm、長さ約15mmのペレットに造粒成形し、前処理を終えた。
前処理後の製紙スラッジ造粒物を、図2に示した構成の熱処理装置(向流方式)によって行った。すなわち連続外熱式ロータリーキルン1(高砂工業製ロータリーキルン、加熱部φ30×240cm)を2回用いて、下記に詳述する一次焼成、および二次焼成の2段階焼成処理を行った。この2段階焼成処理を行う回転式キルン炉の回転胴9としては、図4に示す区分室数が6である多分割隔壁構造部を用いた回転胴を用いた。
[一次焼成処理]
前処理後の原料の製紙スラッジ造粒物Sを7.0Kg/hの供給速度でスラッジ供給口である供給ホッパ2からロータリーキルン1に供給した。供給された製紙スラッジSは、原料供給手段10であるスクリューフィーダーによってロータリーキルン1内の焼成室(回転筒)9に搬送され、焼成室(回転筒)9内を通過しながら熱処理、すなわち焼成される。間接的加熱手段5としては別途図示を省略した燃焼ボイラーからの燃焼ガスを循環ブロワー7から供給して使用した。この際に、排気ファン4からキルン内ガスを未燃焼物搬送用空気流Aとして300L/分(20℃換算)で排出しつつ、その空気流量と間接加熱の制御によりスラッジ温度が630℃になるように加熱し、加熱部分に30分滞留させ、一次焼成処理物を調製した。
[二次焼成処理]
次いで、一次焼成によって得られた一次焼成処理物を、二次焼成に供した。二次焼成では、製紙スラッジSの1次焼成処理物を7.0Kg/hの供給速度でスラッジ供給口である供給ホッパ2からロータリーキルン1に供給した。供給された製紙スラッジSの一次焼成処理物は、原料供給手段10であるスクリューフィーダーによってロータリーキルン1内の焼成室(回転筒)9に搬送され、焼成室(回転筒)9内を通過しながら熱処理、すなわち焼成される。間接的加熱手段5としては別途図示を省略した燃焼ボイラーからの燃焼ガスを循環ブロワー7から供給して使用した。この際に、排気ファン4からキルン内ガスを未燃焼物搬送用空気流Aとして300L/分(20℃換算)で排出しつつ、その空気流量と間接加熱の制御によりスラッジ温度が850℃になるように加熱し、加熱部分に70分滞留させ、二次焼成処理物を調製した。
得られたスラッジ焼成物(二次焼成処理物)をX線回折で測定し、炭酸カルシウムの分解率を求めた。その結果、炭酸カルシウム成分は100%分解されていた。また、カオリン成分は100%非晶質成分に変成し、タルクは全く分解されていなかった。
得られたスラッジ焼成物(二次焼成処理物)については、焼成物懸濁液化工程、炭酸化工程、脱水・分散工程、および粉砕工程を実施例1と同様に行い、平均粒子径が1.5μmの再生顔料を得た。
参考例4
参考例1の下塗り塗被層用塗被液の調製において、上記方法で得られた再生顔料を下記製造法により得られた白色無機粒子50質量%、重質炭酸カルシウム(商品名:FMT65、前出)50質量%に変更した以外は参考例1と同様にして塗工白板紙を得た。なおこの製造方法は先に説明した炭化法によるもので、先出の図8及び9および段落[0108]からの記載を参照。
スラッジの乾燥処理は、間接加熱型の雰囲気制御式ロータリーキルン炉(高砂工業製、加熱部φ30×220cm)にスラッジ15kgを投入し、行った。毎分2回転で回転するロータリーキルンの試料投入口を塞ぐことで、空気の流入を防止した。もう一方の開放口から、水蒸気と乾留ガスを排出した。炭化工程の前半の乾燥温度は、キルン内部の雰囲気が前半30分に400℃となるような速度で加熱を行った。
スラッジの乾燥後、続けてこのロータリーキルンにより熱分解、炭化処理を行った。すなわち後半の30分間で600℃となるような速度で加熱を行った。
次に、このロータリーキルンを用いて、600℃で60分間加熱し、脱炭素による白化室となるキルン内部には空気を100L/分の割合で供給し、この炭化物の脱炭素による白化処理を行い、白色無機粒子を回収した。
参考例5
参考例1の上塗り塗被層用塗被液の調製において、顔料としてスラッジを原料とする無機粒子を20質量%、カオリン(商品名:UW−90、前出)60質量%、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−221−GS、前出)20質量%に変更した以外は参考例1と同様にして塗工白板紙を得た。
参考例6
参考例5の下塗り塗被層用塗被液の調製において、顔料配合を重質炭酸カルシウム(商品名:FMT65、前出)100質量%に変更した以外は参考例5と同様にして塗工白板紙を得た。
参考例7
参考例6の上塗り塗被層用塗被液の調製において、顔料としてスラッジを原料とする無機粒子を80質量%、カオリン(商品名:UW−90、前出)20質量%とし、さらに水を加えて40%塗被液とし、エアナイフコーターを用いて塗工に変更した以外は参考例5と同様にして塗工白板紙を得た。
参考例8
参考例6の上塗り塗被層用塗被液の調製において、顔料としてスラッジを原料とする無機粒子20質量%を先に示した炭化法(前出)により得られた無機粒子20質量%に変更した以外は参考例5と同様にして塗工白板紙を得た。
比較例1
参考例1の下塗り塗被層用塗被液の調製において、顔料を重質炭酸カルシウム(商品名:FMT65、前出)100質量%に変更した以外は参考例1塗被層用塗被液の調整以下と同様にして塗工白板紙を得た。
比較例2
比較例1の上塗り塗被層用塗被液の調製において、得られた塗被液にさらに水を加えて40%とし、エアナイフコーターを用いて塗工に変更した以外は比較例1と同様にして塗工白板紙を得た。
比較例3
参考例1の下塗り塗被層用塗被液の調製において、顔料として上記方法で得られた無機粒子3質量%、重質炭酸カルシウム(商品名:FMT65、前出)97%に変更した以外は参考例1と同様にして塗工白板紙を得た。
比較例4
比較例1の上塗り塗被層用塗被液の調製において、顔料として上記方法で得られた無機粒子3質量%、カオリン(商品名:UW−90、前出)60質量%、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−221−GS、前出)37質量%に変更した以外は参考例1と同様にして塗工白板紙を得た。
各実施例及び比較例で得られた塗工白板紙を、下記の方法で評価し、その結果を表1に示した。なお、本発明における測定および評価については、特に記載のない限り、23℃、50%RHの環境下でおこなった。
(白色ムラ)
表面の白色ムラの程度を目視にて評価した。
◎:均一で白色ムラがない。
○:一部白色ムラが認められるが、実用上問題ない。
△:白色ムラが目立ち、実用上問題ある。
×:白色ムラが、非常に目立つ。
(PPS平滑度)
測定は、JIS規格JISP8151紙および板紙−表面粗さおよび平滑度試験方法(エア・リーク法)−プリントサーフ試験機法に準じて行った。パーカープリントサーフ(PPS)表面平滑度試験機(機種名:MODEL M-569型、MESSMER BUCHEL社製、英国)を用い、バッキングディスク:ソフトラバー、クランプ圧力:2MPaの条件で、表面を5回平滑度測定を行い、その平均を求めた。単位はμmである。
(印刷適性)
RI印刷機にて、印刷インキ(商品名:Values−G 墨 Sタイプ、大日本インキ化学工業社製)を0.1cc使用してRI印刷機にて、各塗工白板紙の表面に印刷を行い、塗工白板紙のインキ転写面を肉眼で観察し、転写したインキ濃度(インキ着肉性)と、濃度の均一性(印刷平滑性)とから、塗被紙の印刷適性を4段階評価した。
◎:印刷適性が特に優れる。
○:印刷適性が優れる。
△:印刷適性がやや劣る。
×:印刷適性が劣る。
Figure 0005056378
表からわかるように、本願発明の塗工白板紙は製紙スラッジを原料とする再生無機粒子を再生顔料として使用したので白色ムラが少なく、平滑性や印刷適性に優れた良好なものとなった。この理由は、再生顔料として、炭酸化処理により新たに析出した炭酸カルシウム粒子とカオリンが熱処理により変性した非晶質成分粒子が主に存在しているからである。特に、この非晶質成分が焼成カオリンによく似た性質を示すため、再生顔料として嵩高く、不透明度が良好で、平滑性に優れるという特徴が生まれ、塗工白板紙として白色ムラが少なく、平滑性や印刷適性に優れたものとなったと考えられる。
本発明で好適に用いられる再生顔料となるスラッジを原料とする無機粒子の製造方法の基本フローシートを示す図。 本発明の熱処理工程に使用される間接的加熱型ロータリンキルンを使用した熱処理装置の一例の構成図。 本発明の熱処理工程に使用される間接的加熱型ロータリンキルンを使用した熱処理装置の他の一例の構成図。 本発明の実施形態に用いるひとつの構成例である間接的加熱型のキルン炉を模式的に示す縦断側面図面図。 同回転キルン炉に用いる6分割隔壁構造の回転胴を示す径方向断面図。 同回転キルン炉に用いる6胴型多胴構造の回転胴を示す径方向断面図。 同回転キルン炉に用いる12分割隔壁構造の回転胴を示す径方向断面図。 再生顔料となる無機粒子の炭化法による製造方法のフローシートを示す図。 炭化法による炭化工程及び白化処理工程を行う熱処理装置の一例の概略系統図。
符号の説明
1 間接的加熱型ロータリーキルン
2 供給ホッパ(スラッジ供給口)
4 排気ファン
8 スラッジ排出口

Claims (8)

  1. 塗被層を有する塗工白板紙の製造方法において塗被層中の顔料成分中に、製紙スラッジを燃焼処理して得られる再生顔料を含有し、前記再生顔料が、製紙スラッジを原料とし、筒型熱処理炉内を移送しつつ燃焼処理を施して製造されたものであって、燃焼処理が、過剰空気雰囲気下、スラッジ温度650℃以下でスラッジ中の易燃焼性有機成分を燃焼除去する一次燃焼工程と、スラッジ温度700〜850℃でスラッジ中の難燃焼性有機成分を燃焼除去する二次燃焼工程との、少なくとも2段階の燃焼工程を経ることによって行われるものであることを特徴とする塗工白板紙の製造方法
  2. 前記塗工白板紙が2層以上の塗被層を有し、最外塗被層に接する内側塗被層の顔料成分中に、製紙スラッジを燃焼処理して得られる再生顔料を5質量%以上含有することを特徴とする請求項1記載の塗工白板紙の製造方法
  3. 前記再生顔料が、筒型熱処理炉の筒方向の端部に設置されるスラッジ供給口から供給し、該スラッジ供給口に対して筒軸方向について反対側の端部に設置されるスラッジ排出口から取り出す間に空気雰囲気下で間接的加熱方法により燃焼処理して得られる再生顔料である請求項1または2項に記載の塗工白板紙の製造方法
  4. 前記燃焼処理が、筒型熱処理炉の一端のスラッジ供給口側から炉内空気を強制的に排出することにより、同他端の焼成物排出口側から空気を炉内へ吸入することによって行われるものである、請求項1から3のいずれか一項に記載の塗工白板紙の製造方法
  5. 前記燃焼処理が、筒型熱処理炉の内部が分割されたものによって行われるものである、請求項1から4のいずれか一項に記載の塗工白板紙の製造方法
  6. 前記再生顔料が、原料の製紙スラッジを造粒または塊状に成形した後に燃焼処理が行われて製造されたものである、請求項1からのいずれか一項に記載の塗工白板紙の製造方法
  7. 前記再生顔料が、燃焼処理後の焼成物を水に混合、攪拌して懸濁液とする懸濁液化工程と、この懸濁液に二酸化炭素を接触させて炭酸化処理物を得る炭酸化処理工程と、該炭酸化処理物を粉砕する粉砕工程によって製造されたものである請求項1からのいずれか一項に記載の塗工白板紙の製造方法
  8. 前記再生顔料が、前記燃焼処理工程中で、製紙スラッジ中の炭酸カルシウムが50%を越えて分解している焼成物から得た再生顔料である請求項1からのいずれか一項に記載の塗工白板紙の製造方法
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