JP2003119692A - 填料内添紙およびその製造方法 - Google Patents

填料内添紙およびその製造方法

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JP2003119692A
JP2003119692A JP2001318769A JP2001318769A JP2003119692A JP 2003119692 A JP2003119692 A JP 2003119692A JP 2001318769 A JP2001318769 A JP 2001318769A JP 2001318769 A JP2001318769 A JP 2001318769A JP 2003119692 A JP2003119692 A JP 2003119692A
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Nobuo Yamada
信夫 山田
Yoshiki Kojima
良樹 小島
Terunobu Fukui
照信 福井
Ken Takanishi
謙 高西
Yoshiki Hanabusa
芳樹 花房
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NKK Plant Engineering Corp
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WAVE 21 KK
NKK Plant Engineering Corp
Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製紙スラッジ等から回収した無機物を、再生
填料として、内添させ、紙力低下を引き起こすことな
く、しかも紙の不透明度、白色度が高く、摩耗性に優
れ、安定した品質を有する填料内添紙を提供する。 【解決手段】 填料内添紙を、填料として、有機物と白
色無機粒子の混合物を酸素含有ガスの存在を制限した貧
酸素条件下、温度1000℃以下で炭化処理し、次いで
炭化処理によって得た炭化物を温度450℃〜1000
℃の範囲で酸化させるように制御した酸素含有ガスが存
在する条件下で脱炭素して得たメジアン径0.5〜5μ
mの再生填料を1〜30重量%含有し、かつカチオン化
高分子を内添したものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃棄物を原料とす
る再生填料を含む内添紙に関し、さらに詳しくは製紙ス
ラッジ等の有機物と白色無機粒子を含む混合物から再生
した白色度の高い填料を用いた内添紙に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】白色無機粒子は農薬の展着剤、増量剤、
印刷インキの改質顔料、ゴム類の補強剤、プラスチック
類(成形品、フィルム、繊維など)の充填材、改質剤、
および製紙産業における内添用填料や塗工用顔料などと
して利用されている。ここでは、白色無機粒子としてカ
オリン類や炭酸カルシウム等の使用量が最も多い製紙産
業での利用形態を代表例として説明する。
【0003】一般に、紙の白色度、不透明度などの光学
特性や平滑性等を改善するために、パルプを主成分とす
る紙料には内添用填料としての白色無機粒子を添加して
抄紙が行われる。また、印刷適性の改善を主目的に、白
色無機粒子と接着剤を主成分とする顔料塗工層を紙(原
紙)の上に設けることが広く行われている。
【0004】このような内添用あるいは塗工用に使用さ
れる製紙用白色無機粒子としては、カオリン、焼成カオ
リン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウ
ム、硫化亜鉛、二酸化チタン、硫酸カルシウム、亜硫酸
カルシウム、硫酸バリウム、サチンホワイト、タルク、
シリカ等の無機顔料(填料)を主体に、さらに必要に応
じてプラスチックピグメントと称される有機顔料の1種
あるいは2種以上が適宜混合され使用されている。
【0005】一方、古紙からパルプを再生する際には、
求めるパルプ品質と古紙原料の品質に応じて、離解、叩
解、ソーキング、洗浄、浮選処理、漂白等の工程を組み
合わせて古紙を処理している。各工程では、最適な濃度
に希釈もしくは脱水されるが、各工程で脱水された搾液
は白水と呼ばれ、この中には古紙由来の微細な繊維やそ
れらに付着した印刷インキおよび上記の白色無機粒子が
含まれている。
【0006】また、抄紙工程においても、紙料中のパル
プなどの微細繊維分、澱粉や合成接着剤などの接着剤を
主とする有機物および上記の白色無機粒子を主とする無
機物の一部が抄紙ワイヤーを通過して白水中に流出して
いる。しかし、これらの有機物と白色無機粒子の混合物
を含む白水を、そのままパルプの希釈水として再使用す
ると、製造した紙の嵩や紙力などが劣ることがある。そ
のため、白水は、沈殿あるいは浮上などを利用した固形
分分離装置により固形分と清澄水とに分離され、清澄水
をパルプの希釈水として使用し、固形分は遠心分離機や
脱水機で脱水処理した後、廃棄処分されている。さら
に、古紙からパルプを再生する工程や抄紙工程で発生す
る白水などを廃水として放出する際には、一般に活性汚
泥処理等の生物処理が施される。このような白水や工場
廃水の排水処理によって分離、回収された固形分や廃水
の最終生物処理によって発生する余剰スラッジを、一般
に製紙スラッジ(以降単にスラッジと呼ぶ)という。
【0007】近年、古紙利用率が高まるにつれ、古紙の
脱墨工程由来のスラッジが多くなっている。その中で、
新聞古紙や上質古紙は、古紙中に含まれる無機物(無機
填料)が少ないのでスラッジ発生量が比較的少なく、こ
のため、かかる古紙の利用率は高い。一方、顔料塗工さ
れたチラシや雑誌古紙は、古紙に含まれる無機物が多
く、その結果スラッジ発生量が多くなり、これが、新聞
古紙や上質古紙に比べて雑誌古紙の利用率が低いことの
一因となっている。今後、古紙利用を一層促進するため
には、雑誌古紙の利用率向上が必要となるが、反面その
利用率が高まると、スラッジの発生量が増えるという新
たな問題が発生する。
【0008】そこで、スラッジの大量発生に対処するた
め、廃水から分離、回収されたスラッジは、従来は脱水
後そのまま埋め立て処分されることが多かったのに対
し、最近は流動床炉やストーカ炉等の焼却炉でスラッジ
中の有機物を燃焼させてエネルギーを回収すると同時
に、スラッジの減容化が図られている。
【0009】スラッジを焼却炉で燃焼させることは、従
来利用されずに廃棄されている繊維などの有機物をエネ
ルギーとして有効に取り出して回収できる反面、スラッ
ジには無機物が多く含まれるために、焼却後には多量の
残渣(灰)が残るという問題がある。現在、焼却灰の一
部はセメントに混合されたり土壌改良剤等にも使用され
ているが、大部分は産業廃棄物として埋め立て処分され
ている。このため、焼却によってエネルギーとして回収
されている有機物だけでなく、焼却灰として残る無機物
を製紙用白色無機粒子(内添用填料、塗工用顔料)とし
て再利用することができれば、埋め立て処分に要する環
境負荷が減るのみならず、現在利用率が低い雑誌古紙の
利用率向上に結びつくと考えられる。
【0010】しかしながら、焼却灰には燃焼の状態によ
って白色度が低くなったり、あるいは無機物(焼却灰)
の焼結が進み粒子径が不揃いで、かつ大粒子化して、そ
のままでは製紙用の填料や顔料として使用できないとい
った難点もある。このような状況の下、特開平10−0
29818号や特開平10−505055号には、スラ
ッジを酸素存在下に一旦有機物を燃焼して残った灰を、
さらに焼成炉へ再供給し、白色度を向上させる提案がな
されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】環境保全の必要性から
産業廃棄物の低減は急務であり、また、資源の有効利用
の観点から、廃棄物のリサイクルが要請されている。そ
こで、本発明者等は、紙製造工程から排出される有機物
と無機物の混合物であるスラッジを高温で燃焼した焼却
残査(焼却灰)を焼却炉から回収し、内添用填料として
再利用することを試みた。
【0012】しかしながら、上記公報に記載された方法
は、1段目の熱処理で燃焼した焼却残査(灰)を回収
し、2段目の焼成炉で白色度を向上させるものであり、
1段目が燃焼により処理する方法のため得られる灰の白
色度が不均一であることから、2段目の焼成で均一焼成
することが困難であることがわかった。この結果、内添
紙の白色度を低下させてしまう欠点があることが判明し
た。
【0013】さらに、回収した填料を再利用しようとす
ると、もともと粒径の小さい填料は抄紙時に大部分が白
水中に流出し、紙層中への保持が非常に悪いという課題
のあることが判明した。また、このような粒径の小さい
填料粒子は、繊維間に分布することによって繊維間の結
合を阻害し、紙力を低下させてしまう欠点もある。さら
に、高温で燃焼した焼却残査(焼却灰)を焼却炉から回
収し、製紙用填料として紙中に内添すると、その填料は
通常紙に含まれている填料そのものとは化学的にも、物
性的にも異なった形態に変化していることがわかった。
この結果、紙製造時や加工時におけるロール表面やカッ
ター刃の摩耗が激しく、内添紙を製造する上で解決しな
ければならない課題を有することが判明した。
【0014】本発明の目的は、紙製造時に悪影響を及ぼ
すために従来では廃棄されていた無機物を、内添紙製造
への悪影響を軽減しうる再生填料としてスラッジから回
収し、内添紙の填料として有効に活用する方法を提案す
ることにある。さらに詳しくは、かかる再生填料を内添
した紙の紙力低下を引き起こすことなく、しかも紙の不
透明度、白色度が高く、摩耗性に優れ、安定した品質を
有する填料内添紙を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の内添紙は、填料
として、有機物と白色無機粒子の混合物を酸素含有ガス
の存在を制限した貧酸素条件下、温度1000℃以下で
炭化処理し、次いで炭化処理によって得た炭化物を温度
450℃〜1000℃の範囲で酸化させるように制御し
た酸素含有ガスが存在する条件下で脱炭素して得たメジ
アン径0.5〜5μmの再生填料を1〜30重量%含有
し、かつカチオン化高分子を内添したことを特徴とす
る。
【0016】かかる再生填料が、メジアン径0.5〜5
μmとなるように粉砕処理されていると、紙製造時や加
工時の摩耗がより改善され、しかも紙中への歩留りも改
善されるため好ましい。また、カチオン化高分子とし
て、カチオン化澱粉またはカチオン化グアーガムから選
ばれる少なくとも1種を用いると、地合の低下を招くこ
となく、填料の歩留りをより改善することができるため
好ましい。さらに、かかる再生填料をカチオン化高分子
によって予め凝集させて内添すると、紙中への再生填料
の歩留りがより一層改善されるため、添加量を削減で
き、経済的に好ましく、そのうえ地合の低下も防止でき
るため、好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の内添紙に用いる
に好適な填料の、スラッジからの再生方法について説明
する。 (原料)図1に示すフローを用いて説明する。本発明で
は、再生填料の原料として、製紙スラッジ51を用い
る。製紙スラッジは、古紙パルプ製造工程や抄紙工程に
おいて、脱水された白水と呼ばれる搾液中に含まれる有
機物と白色無機粒子の混合物である。具体的には、
(1)古紙処理工程での混入異物除去、脱墨処理や洗浄
過程で発生したもの、(2)パルプ化工程での洗浄過程
で発生したもの、および(3)抄紙時にワイヤーを通過
して白水に流出した有機物と白色無機粒子を含む混合物
を使用することができる。この実施形態では、古紙再生
工程の脱墨工程よりも前段工程である離解工程の白水か
らスラッジを回収することにより、古紙再生工程におけ
る脱墨処理、漂白処理、洗浄処理の負荷が低減され、古
紙処理コストの低減に加え、排水処理の負荷が低減でき
るため好ましい。
【0018】特に古紙処理工程では、古紙原料に由来し
た白色無機粒子が白水中に多量に流出するが、この白水
を凝集処理して白色無機粒子を効率的に回収することが
できる。例えば、通常の古紙パルプの製造工程から得る
ことができ、離解処理であれば、従来公知の低濃度パル
パー、高濃度パルパーのいずれからの搾水も利用でき
る。古紙の脱墨処理についても従来公知のいずれの方法
でも使用でき、各工程の洗浄機からの搾水も使用でき
る。また、白色度の低い古紙原料から得られた白水の場
合は、白水の浮選処理によって白水からインク粒子を除
去しておく方が好ましい。
【0019】また、本発明では、再生填料の原料とし
て、下水や工場廃水等から発生するスラッジを用いるこ
ともできる。下水や工場廃水には固形分が含まれている
ために、クラリファイヤーや凝集沈殿槽で沈降分離され
てから放流されている。この際、廃棄物として廃水中に
含まれる固形分がスラッジとして回収される。
【0020】スラッジとは別に、製紙材料として再利用
が困難な低級な古紙やそれに付随するプラスチックを主
としたRPF(Refused Paper & Pl
astic Fuel)を原料として使用することもで
きる。内添紙への使用に関する本発明においては、製紙
材料に由来したスラッジが好ましい原料であることか
ら、製紙材料に由来する製紙スラッジを使用した例につ
いて以下に記述する。この実施形態ではスラッジを熱処
理することで、内添紙製造に適した再生填料を有機物と
分離して回収することができる。
【0021】なお、スラッジ中の鉄分含有量(Fe)
は、固形分比率で5.0重量%以下、好ましくは3.0
質量%以下であることが好ましい。鉄を多量に含むスラ
ッジは白色度が十分に高くならない問題が生じる。鉄分
量を減らす方法としては、例えば、製紙工場廃水処理工
程で固形分分離のために使用される凝集剤に鉄分を含ま
ないものを使用することが好ましい。さらに、分級機に
磁石等を設置し、スラッジ中に混入する針金やくぎなど
の鉄片を除去したり、混入しない工夫をすることが可能
である。この他にも必要に応じて異物や粗大焼結塊の除
去を行うことが好ましい。これらの異物除去処理は炭
化、脱炭素による白化、粉砕等の各処理工程間におい
て、スラッジと除去対象物の形態に合わせて、効率的に
除去できるように設置することが好ましいが、できるだ
け前段の工程で除去しておくことがより好ましい。
【0022】スラッジを熱処理前に造粒することも可能
である。この造粒処理により、微細粒子が一体化し、微
細粒子の飛散を防止でき、熱処理後の収率を向上でき
る。また、大きさのバラツキが小さくなり、その熱処理
効率が高まり、効率よく有機物が熱分解し、設備を小型
化できる。含水状態のスラッジを転動造粒法や攪拌造粒
法等により造粒することもできるが、乾燥したスラッジ
を圧縮成形する方法は、熱処理で熱エネルギーを節約す
ることができ、好ましい。
【0023】乾式の造粒方法として、ブリケットマシン
やローラコンパクター等の圧縮成形機を用いることが好
ましい。これらの圧縮成形機は、加圧された2本のロー
ル間にスラッジを、スクリューにより強制的に押し込
み、ロールを回転させることで圧縮成形することができ
る。
【0024】(炭化処理工程)炭化処理工程52ではス
ラッジの乾燥と熱分解による炭化を行う。本発明におい
ては、スラッジに含まれる白色無機粒子が炭化処理工程
と焼成工程を経て再生填料として回収されることによ
り、従来技術の焼却処理に比べて、無機粒子の熱変成を
少なくすることができる。この結果、紙製造時や加工時
におけるロール表面やカッター刃の摩耗を抑制した、紙
製造上好ましい填料として回収することができる。ただ
し、得られる再生填料は微細な粒子から凝集した粒子を
含むため、粉砕により整粒した後に、カチオン化高分子
を用いて、紙中に内添することがより好ましい。
【0025】スラッジ中の固形分は、脱水機の能力で異
なるため、5%〜60%である。そのため、炭化工程の
前半で、含水スラッジを乾燥することが好ましい。スラ
ッジを乾燥することで効率的に熱分解をすることができ
る。スラッジの乾燥と熱分解を区分せずに、炭化処理す
ることも可能であるが、それぞれ別々の温度帯を設ける
ことがより好ましい。すなわち、スラッジの炭化処理に
おいて、有機物の乾燥、熱分解温度が異なるため、2段
階以上の加熱帯を設けることにより、効率的にスラッジ
を炭化することができる。
【0026】炭化工程前半において、装置の雰囲気温度
が400℃以下でスラッジ中の水分を蒸発させ、後半の
熱分解において、400℃〜1000℃、好ましくは4
50℃〜700℃の範囲で行うことで、紙製造に適した
再生填料が得られやすくなる。
【0027】因みに、水分蒸発後の熱分解の際に炉内温
度が400℃未満では、炭化時間が長くなり、1000
℃を超えるような高温では白色無機粒子の溶融〜焼結が
進み、焼却後の微粉砕化が困難となるだけでなく、粒子
硬度が高くなったり、着色傾向が強くなるので好ましく
ない。炭化処理は、最終的に熱分解による可燃性ガスが
発生しなくなるまで、行われることが好ましい。炭化処
理時間としては、スラッジの形態、量、水分、有機物
量、経済的効果、環境から考慮されるべきものである
が、30分から2時間程度が好ましい。
【0028】炭化工程において、酸素が存在すると、ス
ラッジ中に含まれる揮発分の燃焼とともに有機物が燃焼
する。この結果、有機物の燃焼によって燃焼被物の燃焼
温度が炉内の雰囲気温度以上に上昇し、スラッジ中に含
まれる顔料の望まざる熱変性が生じてしまう。そこで、
炭化工程では、酸素含有ガス(空気)の流入を制限する
ことにより、スラッジの発火による炉内雰囲気温度以上
の温度上昇を防止することができる。スラッジを投入す
る際に、できるだけスラッジに酸素が同伴しないよう
に、投入口は必要最低限の大きさにすることが好まし
い。スラッジに同伴する酸素含有ガス(空気)が炉内に
存在する場合もありえるが、スラッジから発生する水蒸
気や揮発性成分(一酸化炭素、水素ガス)によって、速
やかに置換することが好ましい。実質的に酸素が炉内に
存在しない貧酸素状態であることがより好ましい。
【0029】スラッジの加熱方法として、電気的な加熱
も可能であるが、灯油や重油の燃焼ガスによる加熱が経
済的に好ましい。スラッジを、燃焼ガスにより直接加熱
することも可能であるが、熱風に含まれる酸素(空気)
とスラッジが接触し、スラッジが発火し、燃焼してしま
うことから、スラッジと熱風が直接接触することがない
ように隔壁を設けることが好ましい。そのため、スラッ
ジを炭化する設備としては、空気の流入が制限されされ
る密閉室を用いることが好ましい。すなわち、炭化装置
は密閉式のスラッジの炭化室と炭化室を加熱する加熱室
からなる2重構造の間接加熱炉であることがより好まし
い。
【0030】炭化における加熱方法として、加熱室に燃
焼ガスを送風することにより、スラッジを加熱し乾燥す
ることができる。燃焼ガスは、既存の焼却設備から排出
される燃焼ガスを使用することができる。焼却設備とし
ては、火格子方式(ストーカ炉)、散布浮遊方式、材料
攪拌方式、熱風燃焼方式等を例示することができる。も
ちろん、間接加熱室内にバーナーを設けることで、直接
にスラッジの加熱室を加熱することも可能であるし、間
接加熱炉の外部にバーナーを設置することで燃焼ガスを
発生させることも可能である。
【0031】スラッジの乾燥後に、乾燥スラッジを加熱
することで、スラッジ中の有機物が熱分解する。この
際、一酸化炭素、メタン、エタン等の可燃性ガスが発生
するが、炉内に酸素が実質的に含まれないため、有機物
の燃焼を抑制することができる。可燃性ガスを熱風発生
装置へ吸入し、スラッジの乾燥、炭化の熱源とすること
ができる。
【0032】(白化処理工程)次に、脱炭素による白化
処理工程53にて炭化物の脱炭素による白化を行う。脱
炭素による白化処理工程において、炭化物に含まれる有
機物由来の炭素を酸化させ脱炭素することにより白化さ
せる、その後填料を回収する。既に前段の炭化工程にお
いて、発熱量の大きい可燃性ガスは揮発してなくなって
いるため、揮発分の燃焼による炉内温度以上の燃焼を抑
制することができる。この結果、有機物の燃焼によりス
ラッジ中に含まれる白色無機粒子の望まざる熱変性を防
止することができる。すなわち炭化工程後の脱炭素によ
る白化処理工程では、炭化物が酸化するために必要な酸
素(空気)を十分に供給することが可能となる。この状
態を富酸素状態という。結局、前段の炭化工程と本脱炭
素による白化処理工程とを組み合わせることによって最
終的に白色無機粒子を好適な条件で白化することができ
る。
【0033】脱炭素による白化室が450℃〜1000
℃の範囲になるように、加熱することで、効率的に白色
度を向上させることができる。脱炭素による白化室内で
は、炉内の雰囲気温度を500℃以上にすることで、炭
化物に含まれる有機物由来の炭素が酸化し、白色無機粒
子を効率的に白化することができる。
【0034】450℃未満での脱炭素による白化では処
理時間が長くなり、1000℃を超えるような高温では
白色無機粒子の溶融・焼結が進み、脱炭素による白化後
の微粉砕化が困難となる不都合がある他、着色傾向が強
くなるので好ましくない。処理時間は、炭化物の形態、
量、水分、炭素含有率、のみならず、経済的効果、環境
から考慮されるべきものであるが、30分から2時間程
度が好ましい。最終的に炭化物を脱炭素し、填料の白色
度を70%以上、好ましくは80%以上とすることで、
製紙用原料に適した再生填料を製造することができる。
【0035】脱炭素による白化処理工程において、急激
な炭化物の加熱は白色無機粒子の溶融〜焼結が進み、炭
素分子が白色無機粒子中に取り込まれ、白化が困難にな
るため、好ましくない。炉内を単一の温度帯に保つこと
も可能であるが、炭化物の急激な加熱を防止するため
に、2段階以上の温度帯で脱炭素による白化処理するこ
とがより好ましい。脱炭素による白化処理において、4
50℃〜600℃と600℃〜1000℃の2段階以上
の加熱帯を経ることがより好ましい。2段階以上の熱処
理における後段で、雰囲気温度以上に被処理物の温度が
上がらないように前段で脱炭素することが好ましい。こ
の際、被処理物の自体の温度を管理することがより好ま
しいが、被処理物の局所的な温度変化を測定することは
困難である。そのため、白化室に温度センサを設置し、
白化室の雰囲気温度が800℃以下になるように、酸素
含有ガス(空気)を供給し、炭化物の自燃により炭化物
自体の温度が急激に上昇することがないように管理する
ことが好ましい。
【0036】スラッジ中の炭酸カルシウムの脱炭酸を防
止することで、脱炭素後の再生填料中には、スラッジ由
来の炭酸カルシウムが混在することになる。そのため、
再生填料中の残炭素率は、脱炭素による白化処理後であ
っても、高い値となることがある。有機物由来の残炭素
率は、原料スラッジ中に含まれるカルシウム量から推定
した炭酸カルシウム含有率と白化処理後のX線回折によ
り推定した炭酸カルシウム分解率から炭酸カルシウム残
存率を試算した後、元素分析により得られる全炭素含有
率から残存炭酸カルシウム由来の炭素分を差し引いた値
により推定する。この有機物由来の残炭素率をできるだ
け低くすることが好ましく、1重量%以下とすること
で、紙製造に適した再生填料を回収することができる。
【0037】炭化および白化処理を経て、原料スラッジ
中に含まれていた炭酸カルシウムは酸化カルシウムに熱
分解する。炭酸カルシウムの分解率は、X線回折分析装
置用いて両者のピーク強度比や白化処理後の消和反応の
発熱量を測定することから推定することができる。50
%を越えて炭酸カルシウムの分解が進むと、再生顔料を
スラリー化した際に粘度が上昇するために移送が困難と
なったり、スケーリングの原因になる。水酸化カルシウ
ムを含むスラリーに二酸化炭素や硫酸を加えて中和し、
粘度を低下させることも可能であるが、炭酸カルシウム
の分解が少ない方が、中和反応槽、酸、時間等の節約に
繋がり好ましい。炭酸カルシウムの分解率は50%以下
が好ましく、30%以下がより好ましい。本発明におけ
る炭化および白化工程の処理温度を800℃以下、より
好ましくは700℃以下にすることで、炭酸カルシウム
の分解率を50%以下、より好ましくは30%以下にす
ることができる。
【0038】炭化物の加熱方法として、燃焼ガスにより
直接炭化物を加熱することも可能であるが、熱風に含ま
れる未燃炭素が白化した白色無機粒子に接触し、白色度
が低下してしまうことから、スラッジと熱風が直接接触
することがないように隔壁を設けることがより好まし
い。すなわち、脱炭素による白化処理工程においても、
炭化工程と同様に密閉式の炭化物の脱炭素による白化室
と加熱室からなる2重構造の間接加熱炉であることがよ
り好ましい。
【0039】加熱室の電気的な加熱も可能であるが、灯
油や重油の燃焼ガスによる加熱が経済的に好ましい。前
述のスラッジ由来の揮発ガスを回収し、燃焼して得られ
る熱風も使用することができる。この他にも焼却炉等の
既存の焼却設備から排出される燃焼ガスも使用すること
が可能である。焼却設備としては、火格子方式(ストー
カ炉)、散布浮遊方式、材料攪拌方式、熱風燃焼方式等
を例示することができる。
【0040】この他にも、各製紙工場に排水処理装置の
一部として設置されているロータリーキルンや既存の焼
却炉(サイクロン炉や流動床焼却炉)を用いることがで
きるが、長時間の脱炭素による白化処理が可能なロータ
リーキルンの使用がより好ましい。
【0041】また、炭化および脱炭素による白化処理の
間に処理対象物温度を一旦400℃以下に冷却した後、
その後の処理をすることで、炭化処理により熱分解した
有機物由来の可燃性ガスを完全に炭化物から除去するこ
とができる。さらに、この間に炭化物に水および/また
は水蒸気を接触させて冷却することにより、炭化物の比
表面積を増加させ、脱炭素による白化処理工程における
酸素との反応効率が向上し、効率的に脱炭素による白化
を行うことができる。
【0042】連続的に炭化、脱炭素による白化する場合
には、熱処理室内にスクリューや攪拌羽を設置すること
で、スラッジや炭化物を強制的に移送することができ
る。スクリューにより強制的に押し込むことで、攪拌が
促進され、熱処理効率を向上させるができる。逆に多角
形状の炭化室を回転させることでスラッジや炭化物を移
送することもできる。
【0043】本発明で用いる再生填料を製造する際に使
用できる熱処理装置の一例について、図2を参照しつ
つ、詳しく説明する。図2は本発明の炭化工程及び脱炭
素による白化処理工程を行う熱処理装置の一例の概略系
統図である。炭化工程は第1間接加熱炉1および第2間
接加熱炉6により行う。脱炭素による白化処理工程は第
3間接加熱炉10で行う。第1間接加熱炉1は、炭化工
程の乾燥帯であり、第1間接加熱炉のスラッジ投入口2
からスラッジが投入され、スラッジ乾燥室3で乾燥され
る。スラッジ乾燥室を加熱するための熱風取り入れ口4
a及び熱風、水蒸気、乾留ガス排出口5aが備えられて
いる。なお、図示を省略したが、排出口5a近傍には、
スラッジから発生する水蒸気等を同排出口に排出するた
めに、微少開口部をスラッジ乾燥室3の後半部分に設け
ている。
【0044】第2間接加熱炉6は、炭化工程の熱分解帯
である。第2間接加熱炉のスラッジ熱分解、炭化室7の
一方に乾燥したスラッジを炭化する加熱室を加熱するた
めの熱風取り入れ口4b、他方に熱風、水蒸気、乾留ガ
ス排出口5bが備えられている。なお、図示を省略した
が、排出口5b近傍には、スラッジから発生する乾留ガ
ス等を同排出口に排出するために、微少開口部をスラッ
ジ熱分解、炭化室7の後半部分に設けている。炭化が終
了すると、炭化物は炭化物排出口8から排出される。
【0045】炭化物排出口8から排出された炭化物は、
炭化物流送路9を経由して第3間接加熱炉10に移送さ
れ、脱炭素による白化処理をする。第3加熱炉の炭化物
投入口11から炭化物が投入され、炭化物を酸化させる
ための空気の取り入れ口12、炭化物の脱炭素による白
化室13、脱炭素による白化室を加熱するための熱風取
り入れ口4c、熱風、水蒸気排出口5cが備えられてい
る。脱炭素による白化処理された再生填料は、再生填料
回収口14から排出される。
【0046】図2において、炭化工程について説明す
る。炭化装置は2段階の間接加熱帯を設けている。これ
は、炭化工程におけるスラッジの乾燥、熱分解温度が異
なるためである。第1間接加熱炉1でスラッジの乾燥を
行う。スラッジの乾燥室3の雰囲気温度が400℃以下
でスラッジ中の水分を蒸発させることができる。
【0047】熱風取り入れ口4aから送風することによ
り、間接的にスラッジを加熱し乾燥することができる。
スラッジから発生する水蒸気と熱風は排出口5aから排
出される。各熱風取り入れ口4a、4b、4c、排出口
5a、5b、5cは図示を省略した熱風発生装置にそれ
ぞれ接続されており、熱風発生装置から供給される熱風
は、温度、供給量および排出量を調節することができ
る。この他にも焼却炉等の既存の焼却設備から排出され
る燃焼ガスも使用することが可能である。
【0048】スラッジの乾燥後に、第2間接加熱炉6に
より、乾燥スラッジを熱分解、炭化する。乾燥スラッジ
の炭化室7で、乾燥スラッジの有機物が熱分解する。こ
の際、一酸化炭素、メタン、エタン等の可燃性ガスが発
生するが、炉内に酸素が実質的に含まれないため、有機
物の燃焼を抑制することができる。炭化室後半に設けた
微細開口部から吸引される可燃性ガスは熱風、水蒸気、
乾留ガス排出口5bから熱風とともに排出する。図示を
省略した熱風発生装置によりそれらのガスも燃焼し、ス
ラッジの乾燥、炭化の熱源とすることができる。
【0049】炭化室7の温度を400℃〜1000℃、
好ましくは450℃〜700℃とすることで、スラッジ
中の白色無機粒子の望まざる熱変性が生じない温度以下
で、有機物の熱分解を促進することができる。これらの
温度は熱風発生装置により発生する熱風の温度、供給量
および排出量により調節することができる。
【0050】連続的に炭化、脱炭素による白化を行う場
合には、熱処理室内にスクリューや攪拌羽を設置するこ
とで、スラッジを強制的に移送することができる。スラ
ッジの投入口は炭化室に空気が同伴しないように必要最
低限の開口としている。スクリューにより強制的に押し
込むことで、同伴空気量を制限することができる。ま
た、スクリューによりスラッジの攪拌が促進されるた
め、熱効率を向上させるができる。
【0051】炭化時間は、熱分解による可燃性ガス発生
量をガス検知装置を用いて測定することで、調節するこ
とができる。この際、スクリューの回転速度を調節する
ことでスラッジの滞留時間を調節することができる。図
2では、炭化工程を2段階で行った例であるが、1段階
で処理することも可能である。2軸式のスクリューを用
いることで、炭化物を解砕しつつ、炭化させることも可
能である。有機物由来の炭素と炭酸カルシウム由来の炭
素を区別することは難しいが、結果的に有機物由来の炭
素を固定炭素化し、炭酸カルシウム由来の炭素は炭酸カ
ルシウムのまま保持し、炭化処理することが好ましい。
【0052】図2において脱炭素による白化処理工程を
説明する。炭化物流送路9により移送された炭化物は、
第3間接加熱炉10に設けられた投入口11から投入さ
れる。この際、炭化物の酸化に要する空気を空気の取り
入れ口12から取り入れることができる。取り入れ口に
は流量調節器を設置し、炭化物の酸化を制御することが
できる。脱炭素による白化室13の加熱は、焼却炉等の
既存の焼却設備から排出される燃焼ガスにより行うこと
ができる。なお、好ましい温度範囲で炭化物が自燃する
ように酸素含有ガス(空気)や熱風(燃焼ガス)の供給
量を調節することが好ましい。特に、原料となるスラッ
ジが未知であったり、変動が大きい場合には、白化装置
にはより敏感な温度センサを多数設置することで、炭化
物の温度変化をより詳細に観察することが好ましい。
【0053】脱炭素による白化室13が450℃〜10
00℃の範囲になるように、加熱することで、効率的に
白色度を向上させることができる。この際、炭化物が急
激に加熱されないように、熱風の温度、供給量および排
出量、空気流量により調節することが好ましい。これに
より、450℃〜600℃と600℃〜1000℃の2
段階以上の加熱帯を設けることが好ましい。脱炭素によ
る白化処理された再生顔料は再生顔料回収口14から排
出される。再生顔料中の有機物由来の残炭素率をできる
だけ低くすることが好ましく、有機物由来の残炭素率を
1%以下とすることで、紙製造に適した再生填料を回収
することが好ましい。最終的に炭化物を脱炭素し、填料
の白色度を70%以上、好ましくは80%以上とするこ
とで、製紙用原料に適した再生填料を製造することがで
きる。
【0054】図3は、図2の脱炭素による白化処理工程
に用いた第3間接加熱炉の代わりに内燃式ロータリーキ
ルンを、さらに炭化物流送路9の代わりに貯蔵器16を
設置した一例である。図3を参照しつつ、詳しく説明す
る。炭化工程は図2で示した例と同じであるため、説明
を省略する。
【0055】内燃式ロータリーキルン15にて脱炭素に
よる白化処理をする例である。炭化物貯蔵器16にて炭
化物が一度貯蔵され、内燃式ロータリーキルンの炭化物
投入口17から投入される。脱炭素による白化処理室1
8、バーナー19、白色無機粒子回収口20が備えられ
ている。
【0056】炭化工程により得られた炭化物は、脱炭素
による白化処理工程に直接流送せずに、貯蔵器16で貯
蔵する。ここで、炭化物を一旦冷却し、可燃性ガスを完
全に揮発させることが好ましい。さらには、炭化物の比
表面積を増加させるために、水を噴霧することも可能で
ある。ポンプで加圧した水を噴霧ノズルを用いて噴霧す
ることにより均一に噴霧処理することができる。水と加
圧空気を同時に噴射する二流体ノズルを用いれば、水粒
子の大きさが100μm以下に調節することができ、よ
り均一な噴霧処理が可能となる。
【0057】次に、脱炭素による白化処理工程に、ロー
タリーキルンを用いた工程を説明する。内燃式ロータリ
ーキルン15の炭化物投口17から投入された炭化物
は、白色無機粒子回収口20の付近に設置されたバーナ
ー19により直接加熱される。炉内の温度が450℃〜
1000℃の範囲になるように、加熱することで、効率
的に白色度を向上させることができる。この際、炭化物
が急激に加熱されないように、バーナー19に供給する
燃料を調節することで、炉内温度を調節することが好ま
しい。なお、図示を省略したが、内燃式ロータリーキル
ン15から排出される燃焼ガスは、排ガス処理装置を用
いて、処理することが好ましい。
【0058】図3では炭化物貯蔵器16を用いたが、炭
化処理工程の間接加熱炉と脱炭素による白化処理工程の
ロータリーキルン間を炭化物流送路9により直接につな
ぐことも可能である。また、図2において、炭化物流送
路9の代わりに炭化物貯蔵器16を使用することも可能
である。
【0059】図3で用いた内燃式ロータリーキルン以外
にも、各製紙工場に排水処理装置の一部として設置され
ている既存の焼却炉(サイクロン炉や流動床焼却炉)を
用いることができる。間接加熱式のロータリーキルンを
用いることもでき、熱風は焼却炉等の既存の焼却設備か
ら排出される燃焼ガスを使用することが可能である。特
に、図示を省略したが炭化、脱炭素による白化処理装置
には断熱材を用いて、周囲を被覆し装置を保温すること
が好ましい。また、装置の材質は、処理温度や経済性を
考慮してセラミックや合金類を選択することができる。
【0060】(スラリー化・粉砕処理工程)次に、図1
のスラリー化・粉砕処理工程54について説明する。本
発明においては、製紙スラッジから回収された再生填料
をそのまま使用することもできるが、再生填料中には非
常に微細な粒子から粗大粒子まで含まれており、紙中へ
の歩留りが劣ったり、あるいは抄紙ワイヤーを摩耗する
虞があるため、予め整粒することが好ましい。以下に説
明する乾式粉砕や湿式粉砕処理によって、紙製造用に適
した粒径に調節することができる。なお、本発明におい
ては、目的とする内添紙の種類あるいは再生填料の使用
方法により最適粒子径は異なるが、メジアン径として
0.5〜5μmが好ましい粒子径である。一方、填料の
粒子径が小さいほど、パルプと混合後の抄紙工程での填
料の歩留まりが低下する。そのため、填料をカチオン化
高分子で凝集させた後にパルプ等の紙料に添加すること
が好ましい。
【0061】脱炭素による白化後の再生填料は、乾式粉
砕機に送られて一次粉砕される。一次粉砕後の粉体は、
分散機に移送され、水や少量の分散剤とともに攪拌され
てスラリー化される。そして、このスラリーは湿式粉砕
機に送られ、粉体が二次粉砕されて、微粉の再生填料と
なる。
【0062】粉砕方法として、乾式粉砕機のみによる粉
砕、又は湿式粉砕機のみによる粉砕も可能であるが、上
述のように乾式粉砕機と湿式粉砕機を適宜組み合わせる
ことが好ましい。各粉砕機をそれぞれ又は一方のみ複数
段設けることも可能である。最終的に再生填料のメジア
ン径が、紙製造に適した値になるように粉砕するが、湿
式粉砕前に乾式粉砕により予め小粒子化しておくことが
粉砕効率上より好ましい。このとき、乾式粉砕された粉
体の粒子径が35μmを越えると、分散機での粉体の分
散が悪くなり、粉砕機での粉砕効率が悪くなるととも
に、分散機や粉砕機が摩耗し、填料の白色度が低下す
る。また、乾式粉砕で、粉体を2μm未満に粉砕するの
は、粉砕効率が悪く経済上好ましくない。
【0063】このように、乾式粉砕機と湿式粉砕機を組
み合わせ、乾式粉砕で粒体のメジアン径を2μm〜35
μm、好ましくは2μm〜20μmに粉砕し、所定の固
形分濃度、例えば50%以上の水性スラリーとして湿式
粉砕することにより、分散機や湿式粉砕機の摩耗による
白色度低下を防止しながら、効率良く微粒子まで粉砕す
ることができる。粉砕が不十分であると、紙製造時や加
工時に抄紙ワイヤーやロール表面を摩耗させたり、カッ
ターの刃を著しく摩耗させ深刻な問題を生じる。このと
き、湿式粉砕後の再生填料のメジアン径が0.5μm〜
5μmとなるように粉砕することができる。
【0064】以下に乾式粉砕機についてさらに詳しく説
明する。数mmのものを数十μmにまで粉砕する粉砕機
としては、例えばロールクラッシャ、ロールミル、スタ
ンプミル、エッジランナ、カッタミル、ロッドミルなど
を例示することができる。また、製紙用原料に適した数
μm以下にする乾式微粉砕機としてはローラミル、ジェ
ットミル、乾式ボールミル、衝撃式粉砕機などが使用さ
れる。なお、これらの乾式粉砕機は、耐摩耗鋼を用いる
等、摩耗に対する考慮がされている。
【0065】次に、湿式粉砕機としては、サンドミル、
湿式ボールミル、振動ミル、攪拌槽型ミル、流通管型ミ
ル、コボールミルなどの粉砕機により粉砕することが可
能である。さらに、粉砕機の摩耗による填料の汚染(白
色低下)を防ぐために、粉砕機の粉砕ゾーンを耐摩耗性
材、例えばゴムや耐摩耗性プラスチックで被覆すること
が望ましい。その粉砕ゾーンとは、粉砕室内面、攪拌部
材の外面などをいい、粉砕の際に、スラリー中の粉体が
接触するゾーンである。粉砕室に仕切板等の部材が設け
られている場合には、これらも粉砕ゾーンの一部とな
る。なお、ボール等の粉砕媒体が用いられる湿式粉砕機
では、耐摩耗性のセラミック製ボールを用いることが望
ましく、これらのボールも粉砕ゾーンの一部である。耐
摩耗性プラスチックとしては、ウレタン樹脂やナイロン
樹脂を例示することができ、およそ1mm〜10mm程
度の厚みに被覆することが望ましいが、使用頻度や粉砕
条件によって適宜選択することができる。なお、湿式粉
砕前後に、オープン型振動スクリーン、多管式振動加圧
フィルタや機械式加圧フィルタなどのスクリーニング装
置を介して難粉砕性の焼結物を除去することもできる。
また、前述の分散機も、その分散ゾーンを、湿式粉砕機
と同様に、ゴムや耐摩耗性プラスチックなどで被覆する
ことが望ましい。
【0066】湿式粉砕に際して、粉体を均一に分散する
ために分散剤を添加してスラリー化することが行われ
る。分散剤を添加することによって、スラリーを高濃度
化しても粘度上昇を防止することができる他、湿式粉砕
による粘度上昇を防止し、粉砕効率やハンドリング性を
向上させることができる。スルホン酸基含有ポリアクリ
ル酸塩は、他の分散剤に比べて耐塩性、耐熱性に優れる
利点を有しているため、分散剤としてスルホン酸基を含
有した、分子量が1000〜10000程度のスルホン
酸基含有ポリアクリル酸塩を填料に対して0.05〜3
重量%添加するとよい。因みに、3%を越えて添加量を
増やしても、分散性の改善は頭打ちとなり、0.05%
以下では分散性がわるく、湿式粉砕を効率よく行うこと
ができない。
【0067】なお、再生填料を水性媒体の懸濁液とする
際や粉砕処理する際に、懸濁液のpHを二酸化炭素を用
いて8〜13に調整することもできる。
【0068】(カチオン化高分子の添加工程)次に、再
生填料へのカチオン化高分子の添加工程55を説明す
る。本発明においては、パルプ・紙製造工程から発生す
るスラッジを原料として、炭化〜白化〜粉砕工程を経て
再生填料を回収することができる反面、かかる再生填料
には非常に微細な粒子も含まれているため、これらの粒
子をそのまま紙料へ添加すると歩留まりが低くなる。本
発明によれば、かかる再生填料をカチオン化高分子を併
用することで、良好な歩留りで、内添紙中に1〜30重
量%含ませることができる。填料の含有率が低いと目的
とする不透明度等の紙質低くなり、逆に高すぎると引き
裂き強さ等の紙質が低下するため、填料の含有率は5〜
20%がより好ましい。填料の内添により、紙の散乱表
面積を増加させ、紙の不透明性を高めることができる。
さらに、予め再生填料を凝集させ、凝集粒子を紙中に含
ませることにより、粒径の小さい顔料粒子が繊維間に分
布することによって繊維間の結合を阻害し、紙力を低下
させてしまう欠点をも克服することができる。以下にさ
らに詳しく説明する。
【0069】本発明では、カチオン化高分子には、サイ
ズ剤、紙力増強剤、歩留向上剤、填料などを効率良くパ
ルプ繊維に定着させる方法(例えば特開昭52−654
23号公報)等において使用されているような公知のも
のが使用できる。即ち、カチオン化高分子としては、カ
チオン化ポリアミン樹脂、カチオン化ポリアミンポリア
ミド樹脂、カチオン化ポリアクリルアマイド(PA
M)、カチオン化澱粉、カチオン化グアーガム等のカチ
オン系高分子を例示することができる。
【0070】ただし、凝集が強すぎると、抄紙したシー
トの地合が悪化し、紙質が低下してしまうことがあるの
で注意しなければならない。一般的に、分子量が高いカ
チオン化高分子ほど凝集力大きくなり、本発明において
は数万〜1000万程度のものを適宜選択することがで
きる。填料の含有率やカチオン化高分子の添加率は、求
める紙質や填料の粒子径、粒度分布、形状に合わせて適
宜選択することができる。
【0071】さらに、カチオン化高分子と無機系凝集剤
の併用添加法を例示することができる。無機系凝集剤に
は硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウム(PAC)
が有る。特に硫酸アルミニウムは、填料中のアニオン成
分を中和して不活性化する働きあるため、カチオン化高
分子の凝集効率を高めることができる。すなわち、無機
凝集剤の電化の中和による「凝結」と有機凝集剤の架橋
吸着による「凝集」が主な作用機構である。カチオン化
高分子と無機系凝集剤を組み合わせる事によって「凝
結」と「凝集」の両効果を得ることもできるため、紙力
や歩留がいっそう向上すると推定される。高価なカチオ
ン化高分子の添加量を削減することができ、経済的な方
法とも言える。無機系凝集剤の添加率は、填料の乾燥固
形分に対して0.01〜5.0重量%程度添加すること
が望ましい。
【0072】なお、カチオン化高分子と無機系凝集剤の
水溶液が酸性を示す場合には、填料中に含まれる炭酸カ
ルシウムが分解するため、注意が必要である。填料中に
炭酸カルシウムが含まれる場合、特に填料の炭酸カルシ
ウムの含有率が10%を越えるような場合には、水溶液
が酸性を示す硫酸アルミニウムの併用は避ける方が好ま
しい。この場合には、比較的凝集力の大きい分子量が1
00万〜1000万のカチオン化高分子を使用すること
で、填料の紙中での歩留まりを高めることができる。さ
らに、シートの地合や紙質を低下させないように填料を
凝集処理する方法としては、予め填料に対してカチオン
化高分子を添加した後に、凝集填料を紙料に添加する方
法が好ましい。填料に予め添加することで、カチオン化
高分子を過剰に添加しなくて済むため好ましい。填料へ
のカチオン化高分子の添加率は、求める紙質や填料の粒
子径、粒度分布、形状に合わせて適宜選択することがで
きる。
【0073】この際、カチオン化高分子にカチオン化澱
粉、カチオン化グアーガムを使用することがより好まし
い。これらのカチオン化高分子は、安価なことに加え凝
集力が弱いために、たとえ添加量が過剰になっていて
も、抄紙後のシートの地合や紙質の低下を防止すること
ができるからである。カチオン化高分子の添加率は、求
める紙質や填料の粒子径、粒度分布、形状に合わせて適
宜選択することができる。
【0074】本発明に使用するカチオン化澱粉の原料澱
粉としては、小麦、甘蔗、馬鈴薯、玉蜀黍、米、タピオ
カなどのいずれでも良い。これらの原料をカチオン化処
理し、カチオン化澱粉として使用できる。本発明で使用
されるカチオン化澱粉とは、製紙業界で一般にカチオン
化澱粉と呼ばれているものであれば何でも良く、澱粉分
子のOH基に、3級アミノ基または4級アミノ基などの
カチオン基を有する化合物をエーテル化反応させて得ら
れるものであれば良い。3級アミノ基または4級アミノ
基を有する化合物として、例えば下記の式1〜式2のよ
うな物質が挙げられる。
【0075】
【化1】
【0076】
【化2】
【0077】なお、上記式1、式2において、Xはハロ
ゲン原子を示し、R1 、R2 、R3 はそれぞれ炭素数1
〜4のアルキル基を示し、R1 およびR2 は各々環を形
成しても良く、nは1〜3の整数を示す。
【0078】本発明に使用するカチオン化グアーガム
は、上記と同様にカチオン化処理を行われたグアーガム
である。グアーガムはマメ科植物であるグアー(Gua
r)の種子の胚乳部分に含有される粘液物質で、分子量
約20,000、組成としては約80%がD−ガラクトー
スとD−マンノースであり、他に蛋白質、繊維等を含む
天然多糖類である。
【0079】填料の歩留まり向上と紙の地合悪化を防止
する上で、カチオン化澱粉、カチオン化グアーガムはい
ずれも填料分に対して0.01〜5.0質量%の使用が
望ましい。
【0080】カチオン化高分子の添加順序としては、カ
チオン化澱粉とカチオン化グアーガムはいずれを先に添
加しても良く、同時に添加しても良いし、予め混合して
から添加しても良い。無機凝集剤を併用する場合は、無
機凝集剤を始めに添加し撹拌してからカチオン化澱粉と
カチオン化グアーガムを添加するほうが、歩留、紙力の
点で好ましい。無機系凝集剤には硫酸アルミニウムやポ
リ塩化アルミニウム(PAC)が有り、白水中の対固形
分0.01〜5.0%程度加えることが好ましい。填料
の炭酸カルシウムの含有率が10%を越えるような場合
には、水溶液が酸性を示す硫酸アルミニウムの併用は避
けた方が好ましい。
【0081】本発明においては、填料のスラリーのゼー
タ電位が−10〜+10mVの範囲に維持されるよう
に、予めカチオン化高分子を添加する方が好ましい。ゼ
ータ電位が上記範囲内であれば、抄紙後のシートの地合
や紙質の低下を防止することができる。ゼータ電位が−
10mV未満及び10mVを越える領域では、填料の凝
集が不十分となる。
【0082】カチオン化高分子を填料のスラリーに添加
する時、スラリーの濃度が高過ぎると、カチオン化高分
子の分散が不均一になってしまうため、0.1〜10.
0%程度が好ましい。このときの攪拌速度は100〜5
000rpm程度が好ましい。パルプに混合してから抄
紙されるため、抄紙機のインレット濃度の範囲内であれ
ば問題ない。カチオン化高分子の添加によって生成した
フロックは剪断力により破壊されるため、凝集粒子を添
加する位置は出来るだけ抄紙機の直前が望ましい。
【0083】この発明に用いるパルプ原料に古紙パルプ
が使用でき、原料古紙としては、新聞古紙、印刷古紙、
雑誌古紙、OA古紙等が挙げられる。この他にバージン
パルプも使用することができ、広葉樹材、針葉樹材の制
限はなく両者の原料から得られるパルプを任意に配合で
きる。また、製造方法においても蒸解液によって脱リグ
ニンされる化学的パルプ化法であるクラフトパルプ(K
P)、サルファイトパルプ(SP)や機械的に砕木され
る砕木パルプ(GP)、リファイナーパルプ砕木パルプ
(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミ
サーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパ
ルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)等の機
械パルプ化法のどちらでもかまわない。これらのパルプ
とカチオン化高分子添加後の填料を混合し、抄紙するこ
とができる。
【0084】本発明では、上記の如き炭化〜白化〜粉砕
工程工程を経て得られる再生填料を単独で使用すること
もできるし、かかる再生填料と内添用填料として通常使
用される重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タ
ルク、クレー、カオリン、二酸化チタン、合成シリカ、
水酸化アルミニウム等の無機填料、ポリスチレン樹脂、
尿素ホルムアルデヒド樹脂等の合成高分子微粒子等から
選ばれる少なくとも1種の填料を併用することもでき
る。勿論、これらの2種以上と併用することもできる。
再生顔料を含む填料の添加率が30%を越えると、紙力
が低下するため、内添紙中に紙灰分として1〜30重量
%含むことが好ましい。また、必要に応じて、紙力増強
剤、サイズ剤、染料、蛍光増白剤、消泡剤、ピッチコン
トロール剤、スライムコントロール剤等を紙料に添加す
ることも可能である。
【0085】かくして調製された紙料は、公知の抄紙機
によって抄造することができる。本発明において、内添
紙の坪量についてはとくに限定するものではないが、一
般に、40〜200g/m2程度の範囲であると、本発
明の所望する効果が顕著に発揮されるため好ましい。も
ちろんこの範囲を越えた板紙やカード等の厚紙へも添加
することは可能である。
【0086】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的
に説明するが、勿論、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。なお、例中の部および%は、特に断らない限
り重量部および重量%を示す。なお、実施例および比較
例において示した紙の諸物性は、ISO5269- 1
(パルプ試験用手抄き紙調製法)に基づき調製した手抄
き紙を用いて、白色度(ISO2470に準拠)、不透
明度(ISO2471に準拠)、灰分(ISO2144
に準拠)、引張強さ(ISO1924に準拠)、引裂強
さ(ISO1974に準拠)をそれぞれ評価した。
【0087】実施例1 <炭化装置の説明>実施例で用いた装置構成を図4を使
用して説明する、21は原料ホッパ、22は原料ホッパ
の下部に設置した切出し装置である。23は切出された
原料を乾燥装置までの搬送する装置、Aは原料の乾燥装
置である。乾燥装置Aにおいて、24は炉本体、25は
乾燥装置への熱風供給装置、26は上下2段で連結され
た炉内搬送装置である。30aは乾燥装置炉本体内部の
温度を計測する温度計である。Bは乾燥装置の直下に設
置した炭化装置である。炭化装置Bにおいて、27は炉
本体、28は上下3段で連結された炉内搬送装置、29
は炭化装置への熱風発生装置である。30bは炭化装置
炉本体内温度を計測する温度計である。
【0088】<白化装置の説明>31は炭化装置から排
出される炭化物を焼成装置(白化装置)Cまで搬送する
原料搬送装置である。焼成装置Cにおいて、32は炉本
体、33は上下2段で連結された炉内搬送装置である。
34は焼成装置への熱風を供給するための熱風発生装置
である。35aは焼成装置炉本体内部の温度を計測する
温度計である。
【0089】<スラッジの供給>古紙パルプの洗浄排水
を浮選機に供給し浮選処理し白水を得た。得られた白水
をスクリュープレス式脱水機(富国製作所)に送り固形
分濃度約50%スラッジを得た。原料ホッパに貯えたス
ラッジは、切出し装置22から一定量で切出される。切
出された原料は搬送装置23により乾燥装置A内に連続
的に装入される。本実施例では100kg/hrで切り
出しを行った。
【0090】<原料の乾燥・炭化>乾燥装置内へ装入さ
れた原料は、炉内搬送装置26によって、炉本体内を水
平方向に搬送される。乾燥装置Aでは熱風発生装置から
炉本体内へ供給される燃焼高温ガスによる間接的な加熱
を行い、原料中の水分を蒸発する。この間、搬送装置内
にある空気等の酸素含有ガスは、発生した水蒸気によっ
て置換され、酸素濃度0.1%未満の貧酸素状況下とな
った。上記乾燥処理後原料を、炭化装置本体内へ連続的
に装入した。炭化装置では、熱風発生装置29から供給
される燃焼高温ガスにより搬送装置内で水平移動を伴い
ながら乾燥した原料を搬送装置の鉄皮を介して間接的に
加熱し、その炉内雰囲気温度を600℃とした。この
間、空気等の酸素含有ガスは、炭化工程で発生した乾留
ガスによって完全に置換され、その酸素濃度は0.1%
未満の貧酸素状況下の還元雰囲気となっており有機物の
炭化を促進した。本実施例では脱墨製紙スラッジを連続
的に処理し、炭化装置でのその炉内滞留時間を60分と
した。生成された炭化物中にある有機物由来の固定炭素
の割合は平均で8%(質量比)であった。炭化装置から
排出される原料(炭化物)の排出量は乾燥・炭化処理を
行うことで30kg/hrとなった。
【0091】<炭化物の白化処理>炭化室Bから排出さ
れた炭化物を搬送装置31により焼成装置Cへ連続的に
装入した。導入される燃焼ガスの酸素濃度は燃焼空気比
ならびに送風ファンによる空気付加により3%から15
%まで調整することが可能であり、本実施例では焼成装
置Cの炉内酸素濃度を12%とした。焼成装置Cの炉内
温度は制御可能である。この温度を本実施例では650
℃とした。焼成対象物はこの雰囲気ガスの中を搬送装置
のスクリュー機構により水平移動ならびに攪拌を行い、
酸素による脱炭素反応を緩慢に行った。炭化物の焼成装
置Cでの炉内滞留時間を120分とした。焼成装置Cか
ら排出量は25kg/hrとなった。
【0092】<白化処理後の填料>蛍光X線分析装置
(XRF、島津製作所)を用いたカルシウム元素の測定
結果より原料スラッジ中に含まれる推定炭酸カルシウム
含有率は、全白色無機粒子に対して60%であった。さ
らに、白化処理後における再生顔料のX線回折分析装置
(XRD、マックサイエンス社)の測定結果から炭化お
よび白化処理によって、炭酸カルシウムの推定分解率は
20%であった。従って、白化処理後の再生顔料中には
炭酸カルシウムが50%程度含まれているものと考えら
れた。残り50%はカオリンと酸化カルシウム等であ
る。
【0093】<粉砕>得られた再生填料を、分散剤 (A
6028、東亞合成社) 1.0%を含む水に加えて、再
生填料の固形分濃度が60%のスラリーを調製し、ビー
ズミル (アシザワ) を用いて湿式粉砕した。粉砕機1パ
ス後の再生填料の50%粒度(メジアン径)は0.5μ
mであった。なお、再生填料の粒度分布はセディグラフ
粒度分布測定装置(micromeritic社)を用いて測定し
た。これは、通常の炭酸カルシウムを粉砕する場合より
も低負荷で粉砕することができ、炭化・焼成により得ら
れる再生填料が焼結せずにそのまま再生されていること
を示す。
【0094】<填料の白色度の測定>上記で粉砕処理し
た再生填料の一部を乾燥した後、約10gをサンプリン
グし、乳鉢で粗い粒子がなくなるまで粉砕したのち、中
空円筒と内径の合う太さの円柱からなる粉体錠剤成型機
を用いて13kgf/cm2で30秒加圧して成型す
る。円筒は強光沢アクリル板上に置かれて操作される。
錠剤状の粉体を円筒に付けたまま、白色度を測定した結
果、再生填料の白色度は82%であった。なお、白色度
は、分光白色度測色計(スガ試験機社製)を使用してJ
ISZ8722に準拠し測定した。
【0095】次に、白色度80%、不透明度82%の古
紙パルプ60部に、白色度85%、不透明度64%の広
葉樹晒しパルプ(自製LBKP)40部を配合した。得
られた填料の固形分濃度を10%に調整した懸濁液にカ
チオン化澱粉(ピラースターチ社製P−2A)を対固形
分3.0%添加してよく攪拌した後、カチオン化グアー
ガム(三晶社製メイプロボンド9806)を対固形分
0.3%添加してよく攪拌し、凝集粒子を得た。手抄き
紙の米坪が60g/m2で填料の含有率が10質量%に
なるように上記パルプ(フリーネスが350cc)に凝
集粒子を混合し、直後に手抄きした。このときの填料歩
留まりは88%と高い値だった。得られた内添紙の諸物
性を表1に示した。
【0096】実施例2 実施例1で用いたパルプに、実施例1で得られた填料の
含有率が15質量%になるように混合し、硫酸バンド対
固形分0.5%、カチオン化澱粉(エースK100/王
子コーンスターチ社)対固形分0.8%、アクリルアマ
イド系高分子(ハイモロックNR12MLS/ハイモ社)
対固形分0.02%を添加して紙料とした。手抄き紙の
米坪が60g/m2になるように手抄きした。このとき
の填料歩留まりは75%だった。得られた内添紙の諸物
性を表1に示した。
【0097】比較例1 実施例1で用いたカチオン化高分子を添加しなかったこ
と以外は実施例1と同様に手抄きした。このときの填料
歩留まりは25%と低い値だった。得られた内添紙の諸
物性を表1に示した。
【0098】比較例2 実施例1で用いたスラッジを流動床ボイラーによって焼
却した。焼却温度は900℃、滞留時間は供給した空気
が4秒以上滞留する条件で燃焼させ、焼却灰を得た。次
に、実施例1と同様に、得られた焼却灰粒子に分散剤
(東亜合成) と水を加えて、固形分濃度が60%のスラ
リーを調整し、ビーズミル (アシザワ) を用いて湿式粉
砕した。粉砕機1パス後の50%粒度が2.0μmの焼
却灰粒子を得た。これは、炭化〜焼成から得られた再生
填料に比べて焼却灰粒子の粉砕性が劣っていることを示
す結果となった。得られた焼却灰について、実施例1と
同様にして手抄紙を得た。このときの填料歩留まりは9
0%と高い値だった。得られた内添紙の諸物性を表1に
示した。
【0099】比較例3 実施例2で用いた填料に変えてタルク(イライト、日本
タルク)を用いたこと以外は実施例2と同様にして手抄
き紙を得た。このときの填料歩留まりは81%だった。
得られた内添紙の諸物性を表1に示した。
【0100】
【表1】
【0101】
【発明の効果】表1の結果から明らかなように、本発明
の内添紙は、スラッジを原料とする特定の再生填料が内
添されているため、不透明度に優れた内添紙であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内添紙を製造するプロセスを概念的に
示した工程図。
【図2】本発明の内添紙に使用する再生顔料を製造する
ための、炭化処理工及び脱炭素による白化処理工程を行
なう熱処理装置の一例の概念系統図。
【図3】本発明の内添紙に使用する再生顔料を製造する
ための、炭化処理工程及び脱炭素による白化処理工程を
行なう熱処理装置の別の一例の概念系統図。
【図4】本発明の実施例に適用した熱処理装置例を示
す。
【符号の説明】
1 :第1間接加熱炉(炭化工程の乾燥帯) 2 :スラッジ投入口 3 :スラッジ乾燥室 4a:熱風取り入れ口 5a:熱風、水蒸気、乾留ガス排出口 6 :第2間接加熱炉(炭化工程の熱分解による炭化
帯) 7 :スラッジ熱分解、炭化室 4b:熱風取り入れ口 5b:熱風、水蒸気、乾留ガス排出口 8 :炭化物排出口 9 :炭化物流送路 10:第3間接加熱炉(脱炭素による白化帯) 11:炭化物投入口 12:空気取り入れ口 13:脱炭素による白化室 4c:熱風取り入れ口 5c:熱風排出口 14:再生填料回収口 15:内燃式ロータリーキルン(脱炭素による白化帯) 16:炭化物貯蔵器 17:炭化物投入口 18:炭化物酸化室 19:バーナー 20:再生填料回収口
フロントページの続き (72)発明者 山田 信夫 兵庫県尼崎市常光寺4丁目3番1号 王子 製紙株式会社尼崎研究センター内 (72)発明者 小島 良樹 兵庫県尼崎市常光寺4丁目3番1号 王子 製紙株式会社尼崎研究センター内 (72)発明者 福井 照信 兵庫県尼崎市常光寺4丁目3番1号 王子 製紙株式会社尼崎研究センター内 (72)発明者 高西 謙 愛知県春日井市王子町1番地 王子製紙株 式会社春日井工場内 (72)発明者 花房 芳樹 愛知県春日井市王子町1番地 王子製紙株 式会社春日井工場内 Fターム(参考) 4L055 AA03 AC06 AC09 AG15 AG48 AG73 AG99 AH01 AH16 AH18 EA16 EA20 EA32 FA30 GA35

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】填料内添紙において、填料として、有機物
    と白色無機粒子の混合物を酸素含有ガスの存在を制限し
    た貧酸素条件下、温度1000℃以下で炭化処理し、次
    いで炭化処理によって得た炭化物を温度450℃〜10
    00℃の範囲で酸化させるように制御した酸素含有ガス
    が存在する条件下で脱炭素して得たメジアン径0.5〜
    5μmの再生填料を1〜30重量%含有し、かつカチオ
    ン化高分子を内添したことを特徴とする填料内添紙。
  2. 【請求項2】再生填料が、メジアン径0.5〜5μmと
    なるように粉砕処理されている請求項1に記載の填料内
    添紙。
  3. 【請求項3】カチオン化高分子が、カチオン化澱粉また
    はカチオン化グアーガムの少なくとも1種である請求項
    1または2に記載の填料内添紙。
  4. 【請求項4】有機物と白色無機粒子を含む混合物が、製
    紙スラッジを主体とする廃棄物または低級古紙の少なく
    とも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の填
    料内添紙。
  5. 【請求項5】再生填料をカチオン化高分子によって予め
    凝集させて内添することを特徴する請求項1〜4のいず
    れか1項に記載の内添紙の製造方法。
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