JP2002030231A - 焼却灰を原料とする白色顔料及びその製造方法並びにその製造装置 - Google Patents

焼却灰を原料とする白色顔料及びその製造方法並びにその製造装置

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JP2002030231A
JP2002030231A JP2000216375A JP2000216375A JP2002030231A JP 2002030231 A JP2002030231 A JP 2002030231A JP 2000216375 A JP2000216375 A JP 2000216375A JP 2000216375 A JP2000216375 A JP 2000216375A JP 2002030231 A JP2002030231 A JP 2002030231A
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Nobuo Yamada
信夫 山田
Terunobu Fukui
照信 福井
Teruo Kurioka
照男 栗岡
Akihiro Tomoto
晃弘 塔本
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Kurimoto Ltd
New Oji Paper Co Ltd
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Kurimoto Ltd
Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼却灰a中の有機物をできるだけ短時間で完
全燃焼させ、白色度を向上させるとともに、焼成物の収
率を向上させる。 【解決手段】 焼却灰aを造粒し、その造粒焼却灰dを
焼成した後、その焼成物eを乾式粉砕8及び湿式粉砕1
0して粒子径を調整した白色顔料hとする。このとき、
焼成する造粒焼却灰dは粒度を500μm以上とし、乾
式粉砕により、2〜25μmの粒子径として、固形分濃
度50%以上の水性スラリーgに調整して湿式粉砕す
る。焼却灰aの造粒により、焼成時の粒子が大きくなっ
て、焼成効率が向上して白色度が増し、飛散も少なく収
率が向上する。粒子径:2〜25μmの焼成物eの湿式
粉砕により、その粉砕機10の摩耗が少なく、その摩耗
による白色度の低下が防止される。粒径:0.5〜2.
0μmの白色顔料はカミソリ刃摩耗量が40μm以下と
なる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼却灰を原料とす
る白色顔料に関し、さらに詳しくは焼却灰を焼成するこ
とで焼却灰の白色度を上げ、さらに、粉砕して粒子径を
調整して白色度の高い紙用などに好適な白色顔料の製造
方法及びその製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】白色顔料は農薬の展着剤、増量剤、塗
料、印刷インキの体質顔料、ゴム類の補強剤、プラスチ
ック類(成形品、フィルム、繊維など)の充填材,改質
剤、および製紙産業における内添用填料や塗工用顔料な
どとして利用されている。ここでは、白色顔料としてカ
オリン類や炭酸カルシウム等の使用量が最も多い製紙産
業での利用形態を代表例として記載する。
【0003】一般に、紙の白色度、不透明度などの光学
特性や平滑性等を改善するために、通常、パルプを主成
分とする紙料に内添用填料としての白色顔料を添加して
抄紙が行われる。また、印刷適性の改善を主目的に、白
色顔料と接着剤を主成分とする顔料塗被層を紙(原紙)
の上に設けることも広く行われている。
【0004】このような内添用あるいは塗工用に使用さ
れる製紙用白色顔料として、通常はカオリン、焼成カオ
リン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウ
ム、硫化亜鉛、二酸化チタン、硫酸カルシウム、亜硫酸
カルシウム、硫酸バリウム、サチンホワイト、タルク、
シリカ等の無機顔料を主体に、さらに必要に応じてプラ
スチックピグメントと称される有機顔料の1種あるいは
2種以上が適宜混合されて使用されている。
【0005】一方、製紙産業においては、製紙材料であ
るパルプなどの繊維分、澱粉や合成接着剤などの接着剤
を主とする有機物や上記のごとき白色顔料を主とする無
機物で利用されずに廃水中に含ませて処理される固形原
料、さらにはパルプ化工程で洗い出されたリグニン、微
細繊維、あるいは古紙由来の製紙用填料、それに付着し
た印刷インキ、および生物廃水処理工程で生じる余剰ス
ラッジ等からなる、所謂製紙スラッジが発生する。
【0006】その生物廃水処理工程で生じる余剰スラッ
ジ以外の主な製紙スラッジの発生源は、抄紙時にワイ
ヤーを通過して流出したもの、古紙処理工程での混入
異物除去、脱墨処理や洗浄過程で発生したもの、および
パルプ化工程での洗浄過程で発生したものであり、こ
れら固形分を含む廃水は、沈殿あるいは浮上などを利用
した固形分分離装置によりその固形分が分離、回収さ
れ、その後、必要に応じて活性スラッジ処理等の生物処
理が施された後放流される。このような処理によって分
離、回収された固形分や廃水の最終生物処理によって発
生する余剰スラッジが製紙スラッジ(以降単にスラッジ
と呼ぶ)となる。
【0007】近年、古紙利用率が高まるにつれ、古紙の
脱墨工程由来のスラッジが多くなっている。その中で、
新聞古紙や上質古紙は古紙中に含まれる無機物(無機顔
料)が少ないのでスラッジ発生量が比較的少なくその利
用率が高いのに対し、雑誌古紙は古紙に含まれる無機物
が多く、その結果スラッジ発生量が多くなる。このこと
は、新聞古紙や上質古紙に比べて雑誌古紙の利用率が低
いことの一因となっている。今後、古紙利用を一層促進
するためには、雑誌古紙の利用率向上が必要となるが、
反面その利用率が高まると、スラッジの発生量が増える
という新たな問題が発生する。
【0008】そこで、スラッジの大量発生に対処するた
め、廃水から分離、回収されたスラッジは、従来は脱水
後そのまま埋め立て処分されることが多かったのに対
し、最近は流動床炉やストーカ炉等の焼却炉でスラッジ
中の有機物を燃焼させてエネルギとして回収すると同時
に、スラッジの減容化が図られている。
【0009】スラッジを焼却炉で燃焼させることは、従
来利用されずに廃棄される繊維などの有機物をエネルギ
として有効に取り出して回収できる反面、スラッジには
無機物が多く含まれるために、焼却後には多量の残渣
(灰)が残るという問題がある。現在、焼却灰の一部は
セメントに混合されたり土壌改良剤等にも使用されてい
るが、大部分は産業廃棄物として埋め立て処分されてい
る。
【0010】このため、焼却によってエネルギとして回
収されている有機物だけでなく、焼却灰として残る無機
物を製紙用白色顔料(内添用填料,塗工用顔料)として
再利用することができれば、埋め立て処分に要する環境
負荷が減るのみならず、現在利用率が低い雑誌古紙の利
用率向上に結びつくと考えられる。
【0011】しかしながら、焼却灰には燃焼の状態によ
っては完全燃焼されずに残った有機物がカーボンとして
含まれるために白色度が低くかったり、あるいは無機物
(焼却灰)の焼結が進み粒子径が不揃いで、かつ大粒子
化して、そのままでは製紙用白色顔料として使用できな
いといった難点もある。
【0012】このような状況の下、特開平10−298
18号や特開平11−310732号には、スラッジを
一旦焼却炉で焼却して残渣として残った焼却灰を、さら
に焼成炉へ再供給し、白色度を向上させる提案がなされ
ている。
【0013】前者の公報記載技術は、スラッジを造粒
し、この造粒スラッジを600〜800℃で焼却し、さ
らに、その焼却残渣(焼却灰)をロータリキルン等で6
00〜950℃の下で焼成して、残存する有機物や炭素
物質を燃焼させ、その焼成物を粉砕処理して、白色度の
高い無機材料を得ることができるとしている。
【0014】また、後者の公報記載技術は、焼却灰を5
00〜1100℃で焼成し、その焼成物を湿式分散によ
り粉砕して白色顔料を得ている。そして、500℃以上
の高温焼成により白色度が短時間で向上すること、11
00℃以下では、焼却灰の溶融を防止でき、後工程の粉
砕が困難を伴わずに行えるとしている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、両公報
記載技術は、焼却灰をそのまま焼成しているため、その
粒子が小さく、焼成工程で、焼却灰中の微細粒子が飛散
しやすく、その飛散微細粒子が焼成物として回収されず
に燃焼ガスとともに炉外に排出されてしまい収率が低下
することが判明した。特に、内燃式の焼成炉を用いた場
合には、収率低下が大きくなって経済上好ましくない。
【0016】また、近年、さらに白色度を向上させるこ
とや、焼成に要する時間を短縮することが望まれ、なお
一層の検討を進める必要がある。
【0017】さらに、この種の白色顔料の製造におい
て、分散機、粉砕機が使用されるが、その摩耗が激し
く、摩耗によって白色度が低下するため、その改善が望
まれている。また、紙製造時や加工時におけるロール表
面やカッター刃の摩耗が少ない白色顔料が望まれてい
る。
【0018】本発明は、焼成物の収率を向上させるとと
もに、焼却灰中の有機物をできるだけ短時間で完全燃焼
させ、白色度を向上させることを第1の課題とし、焼成
物の粉砕効率を高めることにより、安定した微細粒の白
色顔料を得ることを第2の課題とし、粉砕時の白色度低
下を防ぐことを第3の課題とし、さらに、紙製造時や加
工時のロール表面、カッター刃の摩耗を抑制することを
第4の課題とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記第1の課題を達成す
るために、本発明は、焼却灰を造粒した後、焼成するよ
うにしたのである。造粒すれば、焼却灰の粒径が大きく
なって、微細粒子も少なくなり、焼成工程での微細粒子
の飛散が減少する。このため、燃焼ガスとともに炉外に
排出される焼却灰も減少し、収率が向上する。また、焼
成時の焼却灰の粒子が大きくなれば、熱効率もよく、焼
成時間を短縮し得るとともに、熱効率の向上により白色
度も向上する。
【0020】第2の課題を達成するために、本発明は、
焼成物を粉砕する際、乾式粉砕により粗粉砕を行った
後、湿式粉砕により細粉砕を行うようにしたのである。
粗粉砕は乾式が、細粉砕は湿式がそれぞれ優れているた
め、両者を段階的に行うことにより、円滑な粉砕ができ
る。このため、白色顔料も均一な細粒径のものとなる。
【0021】第3の課題を達成するために、本発明は、
一手段として、乾式粉砕により、焼成物を一定の平均粒
子径、例えば2〜35μmとし、それをスラリー化して
湿式粉砕するようにしたのである。焼成物の粒子が大き
いと、湿式粉砕機における撹拌部材などの表面が摩耗し
易く、その摩耗粉が混入して白色度を低下させるからで
ある。他の手段としては、その湿式粉砕機の撹拌部材等
から成る粉砕ゾーンを耐摩耗性の素材で被覆して、摩耗
粉の発生を抑制する。
【0022】第4の課題を達成するために、本発明は、
最終製品である白色顔料の平均粒子径を0.1〜2.0
μmに調整することとしたのである。2.0μm以上で
あると、カッター刃等の摩耗が激しくなり、0.1μm
以下では、摩耗度は低下するが、その粒度までの粉砕時
間がかかり、粉砕効率の点から、好ましくないからであ
る。
【0023】
【発明の実施の形態】この実施形態は、上記第1乃至第
4の課題を達成し得る図2に示すフローで白色顔料を得
る製造方法に係るものであり、その概略図を図1に示
し、同図において、1は焼却灰を棒状あるいは板状に圧
縮する圧縮成形機(造粒機)、2は圧縮成形機で圧縮さ
れた圧縮成形物(造粒焼却灰b)を解砕するグラニュレ
ータ、3は解砕された解砕物cを篩い分けて分級する
篩、4は篩を通過した篩下物d’を圧縮成形機2のホッ
パ5に返送する返送経路、6は篩3を通過しなかった篩
上物dを、焼成炉(キルン)7に移送する移送経路であ
る。
【0024】8は焼成炉7で焼成された焼成物eを一次
粉砕して粉体fとする乾式粉砕機(ローラミル)、9は
粉体fを、水や分散剤とともに攪拌してスラリーgとす
る分散機、10は該スラリーg中の粉体fを、二次粉砕
して微粉(白色顔料)hとする湿式粉砕機である。
【0025】次に、この実施形態の作用の説明をする
と、まず、圧縮成形機1のホッパ5には焼却灰aが投入
される。この焼却灰aの原料として、下水や工場廃水等
のスラッジがある。下水や工場廃水には固形分が含まれ
ているために、クラリファイヤーや凝集沈殿槽で沈降分
離されてから放流されている。この際、廃棄物として廃
水中に含まれる固形分がスラッジとして回収される。通
常、スラッジは、脱水または焼却後に埋立て廃棄されて
いる。この実施形態ではこのスラッジを焼却・造粒・焼
成・粉砕することにより顔料の再生を行う。焼却灰aの
製紙原料への利用に関する本発明においては、製紙材料
に由来したスラッジが好ましい原料であることから、以
下に、その製紙材料に由来するスラッジを使用した例に
ついて記述する。
【0026】スラッジの由来は、パルプ製造工程、古紙
再生工程、抄紙工程から流失した排水中の固形分であ
る。脱水後のスラッジは、前工程で焼却(酸化)され、
その大部分が酸化ガス(炭酸ガスや水蒸気)に、少量が
無機質(焼却灰a)となる。焼却温度(焼却炉内雰囲気
の最高温度)は、200〜1000℃が好ましい。因み
に、2 00℃未満での焼却では処理時間が長くなり、1
000℃を超えるような高温では無機物の溶融〜焼結が
進み、焼却後の微粉砕化が困難となるだけでなく、粒子
硬度が高くなったり、着色傾向が強くなるので好ましく
ない。
【0027】焼却には乾式酸化(焼却)と湿式酸化があ
るが、ここでは両者を合わせて焼却と呼ぶ。湿式酸化と
は、スラッジを、水中に懸濁した状態で、酸素含有ガス
あるいは過酸化物などの酸化剤を一緒に混在させて、高
温高圧下で一定時間保持して処理するものである。特に
限定されるものではないが、実用的には温度で200℃
以上、好ましくは水の臨界温度である374.2℃以
上、圧力で臨界圧である22MPa以上、好ましくは2
2〜30MPaとするのが望ましい。なお、反応処理時
間はそのときの温度、および圧力により異なるが、通常
22MPa以上の圧力で行う場合は1〜10分が適当で
ある。しかし、湿式酸化は現時点ではエネルギーコスト
が大きく実用的ではないため、以下、乾式酸化(焼却)
について記述する。
【0028】スラッジを乾式酸化(焼却)する具体的設
備としては、火格子方式(ストーカ炉)、散布浮遊方
式、材料攪拌方式、熱風燃焼方式どを例示することがで
き、500〜1000℃で焼却することが好ましい。ま
た、焼却装置から排出される排ガスの熱エネルギを用い
て、スラッジを乾燥させる乾燥装置、温水や蒸気を製造
するボイラ等を組み合わせることも可能である。これら
の装置の選択は、燃焼に供するスラッジの形態、量、水
分、有機物量、のみならず、経済的効果、環境から考慮
されるべきものである。
【0029】ここで、脱水汚泥(スラッジ)の焼却に広
く用いられる材料攪拌式焼却炉のうち、後述の実施例に
用いた流動床炉について説明する。勿論、本発明は以下
の説明に限定されるものではない。流動床炉とは、炉の
底部が流動層となっているもので、砂を使用した粉粒体
層の底部から散気管、又は分散板を通して予熱した空気
を吹込み、空気の流量と個々の砂重量のバランスにより
砂を浮遊流動状態にしているもので、本発明におけるス
ラッジは、この流動層の上に投入される。そして、スラ
ッジは、その大きさや重量により、一部は流動層内部ま
で落下してそこで砂や空気と接触するとともに加熱され
て燃焼し、一部は流動層には落下せず流動層上で浮遊し
たまま空気により加熱され燃焼する。燃焼した後に残る
スラッジ灰の内、流動層の層密度より大きなものは流動
層を沈降して流動床炉底部より排出される炉底灰と燃焼
空気の流れに従って炉外に排出される飛灰の2種類があ
る。本発明では飛灰をスラッジ灰として使用する方が好
ましい。すなわち、炉底灰には、混入異物である金属片
や石などの粗大粒子が多く、白色顔料の原料としては好
ましくない。一方、飛灰であってその粒子径が大きいも
のは、炉内での滞留時間が長いだけでなく、混入異物も
少ないので白色顔料の原料として好ましく使用できる。
【0030】なお、焼却後のスラッジ灰としては、鉄分
含有量(Fe)が焼却灰中の全無機物に対し固形分比率
で5.0重量%以下、好ましくは3.0重量%以下であ
る焼却灰aが好ましい。その焼却灰中の鉄分量を減らす
方法としては、例えば、製紙工場廃水処理工程で固形分
分離のために使用される凝集剤に鉄分を含まないものを
使用すること、あるいは焼却灰中に混入する針金やくぎ
などの鉄片を磁石等により除去したり、混入しない工夫
をすることで対処することができる。鉄を多量に含む焼
却灰を焼成すると、焼成物の白色度が十分に高くならな
い問題が生じる。この他にも必要に応じて異物や粗大焼
結塊の除去を行う。
【0031】次に、焼却から得た焼却灰aを造粒する。
この造粒処理により、焼却灰a中の微細粒子が一体化
し、微細粒子の飛散を防止でき、焼成物eの収率を向上
できる。また、造粒焼却灰bの大きさのバラツキが小さ
くなり、その焼成効率が高まり、焼却灰中の残カーボン
が効率よく燃焼除去され、設備を小型化できる。焼却灰
aに水を加えて加湿し、転動造粒法や攪拌造粒法等によ
り造粒することもできるが、乾燥した焼却灰aを圧縮成
形する方法は、焼成工程で熱エネルギーを節約すること
ができる。
【0032】乾式の造粒方法として、ブリケットマシン
やローラコンパクター等の圧縮成形機1を用いることが
好ましい。これらの圧縮成形機1は、加圧された2本の
ロール11間に焼却灰aを、スクリュ12により強制的
に押し込み、ロール11を回転させることで圧縮成形す
ることができる。
【0033】圧縮成形物bの形状はロール11の表面形
状により異なり、ロール11の表面が平滑であれば板状
となり、ロール11の全表面にロール11の軸方向と平
行な溝が周方向に等間隔に形成されていれば棒状に圧縮
成形される。この圧縮成形物bは、ロール11の下方の
グラニュレータ2により、スクリーン13を通過できる
大きさに解砕される。板状の圧縮成形物bの場合は、こ
の解砕により所定の大きさ以下に整粒(造粒)が行わ
れ、この解砕物cが造粒焼却灰として焼成炉7に送られ
る。一方、棒状の圧縮成形物bの場合は、その直径が所
定の大きさ以下に圧縮成形(造粒)されているので、グ
ラニュレータ2を省き、そのまま焼成炉7への造粒焼却
灰として扱うこともできる。
【0034】圧縮成形物bの強度はロール圧によって決
定されるが、概ねロール圧は1〜5トン/cmが好まし
い。ロール圧は、圧縮成形物bの密度や大きさが適切な
値となるように設定することが望ましく、1 トン/cm
を下回ると圧縮成形物bの強度が不十分なために、後工
程の焼成工程で崩れて粉化し、排ガスとともに飛散しや
すく、5 トン/cmを上回ると後工程の粉砕工程での負
荷が大きくなり好ましくない。同様の理由から圧縮成形
物bの嵩密度が、0.6〜1.0g/mlに造粒される
ことが好ましい条件である。
【0035】造粒焼却灰bの大きさは、厚みが1〜5m
m、さらに2〜3mmがより好ましく、幅は1〜10m
m、さらに3〜8mmがより好ましく、長さは100m
m程度以内が好ましい範囲である。この範囲よりも過大
なサイズの場合、後工程の焼成工程で、熱が造粒焼却灰
の内部に伝わりにくく、未燃カーボンが燃焼されず、焼
成物eの白色度が低くなる。また、未燃カーボンを燃焼
させるために焼成温度を高くすれば、造粒焼却灰b、
c、d(焼成物e)の外面で溶融が生じ、焼成物eの粉
砕が困難になる等の問題が生じる。
【0036】圧縮成形機1では、焼却灰aがロール11
だけを通過するように、シールが設けられているが、シ
ールの摩耗により隙間が広がり、ロール11の間を通過
せずにショートパスすることがある。このため、造粒焼
却灰bには、未造粒の焼却灰aをかなり含むことにな
る。また、グラニュレータ2による解砕の時に造粒焼却
灰bの一部が粉化することもある。細かな焼却灰は、焼
成工程で飛散しやすいため、飛散しにくい所定の粒度以
上の造粒焼却灰dを送り込むことが望ましい。
【0037】細かな焼却灰aを取り除くと、焼成工程で
の焼却灰の飛散を防止できるため、分級機、例えば篩3
により篩い分け、篩下物d’を返送手段4により圧縮成
形機1のホッパ5に返送し、大きな篩上物dだけを焼成
工程に移送することが望ましい。篩3の目開きを小さく
しすぎれば、焼成工程での焼却灰の飛散が多くなるとと
もに、篩3の処理能力が小さくなる。このため、篩上物
dとして、500μm以下の粒子が50%以内となるよ
うに分級するのが望ましい。より好ましくは、篩上物d
の全てを500μm以上とするのがよい。
【0038】このように、焼成炉7の直前で焼却灰aを
造粒することにより、焼成炉7に適した大きさの造粒焼
却灰を供給できる。造粒のみで支障がなければ、圧縮成
形物bを、解砕・分級せずに、直接に焼成することもで
きる。なお、特開平10−29818号公報記載技術の
ように、スラッジを造粒して焼却した場合は、造粒物ど
うしが溶融して粗大焼結塊になったり、焼却の際に粉化
したりするので、焼成炉7に適切な大きさの焼却灰を供
給することができない。
【0039】次に、造粒焼却灰の焼成を行う。焼却の場
合、被焼却物中の有機物を炭酸ガスや水蒸気等の燃焼排
ガスとして排出することで固形分を減量させているのに
対し、焼成は被焼成物の熱処理による改質(未燃カーボ
ンの燃焼)を目的としている。この焼成炉7としては、
高温運転が可能なローターリーキルンが望ましいが、こ
の他にも、各製紙工場に排水処理装置の一部とし設置さ
れている既存の焼却炉(サイクロン炉や流動床焼却炉)
を用いることができる。焼成温度(焼成炉内雰囲気の最
高温度)は800〜1100℃の範囲になるように、加
熱することで、短時間で白色度を向上させることが可能
である。この際、800℃未満での焼成では処理時間が
長くなり、1100℃を超えるような高温では焼成残渣
の溶融・焼結が進み、焼成処理後の微粉砕化が困難とな
る不都合がある他、着色傾向が強くなるので好ましくな
い。
【0040】焼成炉7で生成された焼成物eは、乾式粉
砕機(ローラミル)8に送られて一次粉砕される。粉砕
された粉体(焼成物)fはローラミル8の下部から取り
入れた空気とともに排出され、捕集機14により粉体f
が捕集され、空気は大気中に放出される。捕集された粉
体fは、分散機9に移送され、水や少量の分散剤ととも
に攪拌されてスラリー化される。そして、このスラリー
gは湿式粉砕機10に送られ、粉体fが二次粉砕され
て、非常に細かい微粉(白色顔料)hとなる。
【0041】粉砕方法として、乾式粉砕機のみによる粉
砕、又は湿式粉砕機のみによる粉砕も可能であるが、上
述のように乾式粉砕機8と湿式粉砕機10を適宜組み合
わせることが好ましい。各粉砕機8、10をそれぞれ又
は一方のみ複数段設けることも可能である。最終的に白
色顔料hの平均粒子径が0.1〜2.0μmになるよう
に粉砕するが、湿式粉砕前に乾式粉砕により予め小粒子
化しておくことが粉砕効率上より好ましい態様である。
このとき、乾式粉砕された粉体fの粒子径が35μmを
越えると、分散機9での粉体fの分散が悪くなり、粉砕
機10での粉砕効率が悪くなるとともに、分散機9や粉
砕機10が摩耗し、白色顔料hの白色度が低下する。ま
た、乾式粉砕で、粉体fを2μm未満に粉砕するのは、
粉砕効率が悪く経済上好ましくない。
【0042】このように、乾式粉砕機8と湿式粉砕機1
0を組み合わせ、乾式粉砕で粒体fの平均粒子径を2〜
35μm、好ましくは2〜10μmに粉砕し、所定の固
形分濃度、例えば50%以上の水性スラリーgとして湿
式粉砕することにより、分散機9や湿式粉砕機10の摩
耗による白色度低下を防止しながら、効率良く微粒子ま
で粉砕することができる。このとき、湿式粉砕後の白色
顔料hの平均粒子径が0.1〜2.0μmとなるように
粉砕するとよい。粉砕が不十分であると、紙製造時や加
工時にロール表面を摩耗させたり、カッターの刃を著し
く摩耗させ深刻な問題を生じる。このように、白色顔料
hの平均粒子径を0.1〜2.0μmに調整をすること
で、製紙用白色顔料hとしての摩耗性を改善し得る。
【0043】以下に乾式粉砕機8についてさらに詳しく
説明する。数mmのものを数十μmにまで粉砕する粉砕
機としては、例えばロールクラッシャ、ロールミル、ス
タンプミル、エッジランナ、カッタミル、ロッドミルな
どを例示することができる。また、製紙用原料に適した
数μm以下にする乾式微粉砕機としてはローラミル、ジ
ェットミル、乾式ボールミル、衝撃式粉砕機などが使用
される。なお、これらの乾式粉砕機8は、耐摩耗鋼を用
いる等、摩耗に対する考慮がされている。
【0044】次に、湿式粉砕機10としては、湿式ボー
ルミル、振動ミル、攪拌槽型ミル、流通管型ミル、コボ
ールミルなどの粉砕機により粉砕することが可能であ
る。さらに、粉砕機の摩耗による白色顔料hの汚染(白
色低下)を防ぐために、粉砕機の粉砕ゾーンを耐摩耗性
材、例えばゴムや耐摩耗性プラスチックで被覆すること
が望ましい。その粉砕ゾーンとは、粉砕室内面、攪拌部
材の外面などをいい、粉砕の際に、スラリーg中の粉体
fが接触するゾーンである。粉砕室に仕切板等の部材が
設けられている場合には、これらも粉砕ゾーンの一部と
なる。なお、ボール等の粉砕媒体が用いられる湿式粉砕
機10では、耐摩耗性プラスチックで被覆されたボー
ル、あるいは、セラミック製ボールを用いることが望ま
しく、これらのボールも粉砕ゾーンの一部である。耐摩
耗性プラスチックとしては、ウレタン樹脂やナイロン樹
脂を例示することができ、およそ1〜10mm程度の厚
みに被覆することが望ましいが、使用頻度や粉砕条件に
よって適宜選択することができる。なお、湿式粉砕前後
に、オープン型振動スクリーン、多管式振動加圧フィル
タや機械式加圧フィルタなどのスクリーニング装置を介
して難粉砕性の焼結物を除去することもできる。また、
前述の分散機9も、その分散ゾーンを、湿式粉砕機8と
同様に、ゴムや耐摩耗性プラスチックなどで被覆するこ
とが望ましい。
【0045】湿式粉砕に際して、粉体fを均一に分散す
るために分散剤を添加してスラリー化することが行われ
る。分散剤を添加することによって、スラリーgを高濃
度化しても粘度上昇を防止することができる他、湿式粉
砕による粘度上昇を防止し、粉砕効率やハンドリング性
を向上させることができる。このとき、スルホン酸基含
有ポリアクリル酸の分散剤は他の分散剤に比べて耐塩
性、耐熱性に優れる利点を有しているため、分散剤とし
てスルホン酸基を含有した分子量が、例えば、1000
〜10000のスルホン酸基含有ポリアクリル酸を0.
05〜3%添加するとよい。その添加量が3%を越す
と、添加量を増やしても分散性はよくならず、0.05
%以下では、分散性がわるく、後工程の湿式粉砕を効率
よく行なうことができない。
【0046】
【実施例】以下に、実施例を挙げて、さらに本発明を具
体的に説明する。勿論、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。なお、実施例および比較例に示す
部または%は、特に断らない限り、それぞれ有効成分重
量部または重量%を示す。
【0047】(白色顔料の平均粒子径の測定)平均粒子
径の測定には、セディグラフ粒度分布測定装置〔510
0/micromeritic社〕を使用して測定を行った。
【0048】(塗工紙の作成および白色度の測定)市販
の顔料(重質炭酸カルシウム(BF-100/備北粉化社商品
名)、2級カオリン(HT/エンゲルハード社商品名) )及
び焼却灰aから再生した各顔料hに対して分散剤を0.
5%、PH調整剤(苛性ソーダ)を適量添加して水中に
分散させて固形分含有量率50%〜60%のスラリーを
調整した。この顔料スラリーに、澱粉(エースA/王子
コーンスターチ社商品名)を2部、アルカリ増粘型スチ
レンブタジエン共重合体ラテックス(JSR−0693
/ジェイエスアール社商品名)7部を加えて、塗料を得
た。
【0049】得られた塗料を48.5g/m2 の原紙に
乾燥固形分が片面10g/m2 になるように卓上ロッド
コーターにて両面塗工し乾燥して塗工紙を得た。この両
面塗工紙の白色度はスガ試験機社製、分光白色度測色計
を使用し、JIS P 8123に準拠して測定を行った。
【0050】(塗工紙の摩耗性の測定方法)厚み10μ
mのカミソリ刃を台に挟んで固定する。固定されたカミ
ソリ刃の一定箇所に塗工紙が当たるように一定速度で引
き裂く。所定長さ(5m)引き裂いたところでカミソリ
刃を台からはずし、塗工紙を引き裂いていた箇所を顕微
鏡で観察して刃の摩耗量を測定する。測定値が小さいほ
どカミソリの刃の摩耗量が小さく、引き裂いた塗工紙の
摩耗性が低い(良い)ことになる。
【0051】(実施例1〜3、比較例1)洋紙、板紙用
の抄紙機および塗工機、さらに原料として使用する脱墨
パルプ化設備を有する製紙工場の廃水処理クラリファイ
ヤーで分離した固形分および活性スラッジ処理工程から
生じる余剰スラッジからなるスラッジを脱水機により固
形分濃度が約50%となるように脱水したのち、流動床
ボイラーを使用し、800℃で、滞留時間は供給した空
気が4秒以上滞留する条件で燃焼させて、焼却灰aを得
た。
【0052】なお、上記無機物を蛍光X線分析装置(P
W2404/フィリップス社製)を用いて測定した組成
分(%)は、Si(41.9)、Al(27.8)、C
a(19.5)、Mg(3.3)、Ti(3.3)、F
e(1.8)、K(0.6)、Na(0.4)、その他
(1.4)などが含まれる。上記から、無機物の主体は
カオリン、炭酸カルシウムなどの混合物と思われる。因
みに、焼却灰の白色度は、粒径やサンプリング時間によ
って変化しており、焼却灰aをこのままで製紙用白色顔
料として安定して使用することは難しい。焼却灰aの白
色度は概ね50%前後であった。そのため、後述の焼成
(脱カーボン)を行う。
【0053】焼成処理に先立って、焼却灰の造粒を行っ
た。まず、ローラコンパクタを用いて圧縮成形を行っ
た。処理条件は、ロール間隔1mm、回転数6〜12r
pm、ロール線圧2トン/cmで処理した。得られた圧
縮成形物bの大きさは厚みが2〜3.5mm、幅が3〜
8mmとなっていた。長さは30〜100mm程度に成
形されていた。この圧縮成形物bの粒度を均一化するた
めグラニュレータ2を用いて解砕処理を行った。処理条
件は800rpm、φ10mmのパンチングプレート通
過分を回収した。造粒前の焼却灰a中には500μm以
上の粒子は15%だったが、圧縮成形、解砕処理後の造
粒焼却灰(解砕物)cには500μm〜2mmが15
%、2mm以上が約60%で、500μm以上のものが
75%含まれていた。さらに、この造粒焼却灰cを分級
して粒子径が500μm以上の造粒焼却灰dと2mm以
上の造粒焼却灰dを調整した。
【0054】次に、篩3による分級処理をしていない造
粒焼却灰cを、内燃式ロータリーキルン7を用いて、最
高温度950℃での条件(滞留時間60分)で焼成物e
を得た(実施例1)。また、実施例1と同じ焼成条件
で、500μm以上に分級した造粒焼却灰dを用いて焼
成物eを得(実施例2)、2mm以上に分級した造粒焼
却灰dを用いて焼成物eを得た(実施例3)。比較例1
として、未造粒の焼却灰aを用いて焼成物cを得た。各
実施例及び比較例1の収率と白色度を表1に示す。
【0055】これによると、未造粒品は微細な粒子が多
量に含まれるため、内燃キルンの燃焼ガスとともに飛散
し、収率が実施例1〜3に比べて著しく低いばかりか、
焼結体が発生し出口の配管に閉塞するトラブルが多数生
じた。造粒品(造粒焼却灰c)と分級造粒品(造粒焼却
灰d)は、十分に白色度が向上した。特に分級品d(実
施例2、3)は回収率が88%以上で良好な結果となっ
た。
【0056】(実施例4)造粒により著しく焼成効率が
向上した実施例1の焼成物eを用いて粉砕処理を行っ
た。得られた無機物を、ローラミル8を用いて平均粒子
径8μmまで乾式粉砕後、水を加えて固形分濃度60%
を目標に、スルホン酸基含有ポリアクリル酸ソーダ系
(分子量10000)の分散剤(A6028 /東亜合成社商
品名)を無機物に対し、固形分で0.5%となるように
添加後、分散機9を用いて分散してスラリーgを調整し
た。なお、分散剤を全く使用いない場合、無機物は均一
に分散しなかった。このスラリーgを粉砕ゾーンをウレ
タンライニングしたビーズミル10を用いて平均粒子径
が5.0μmになるまで湿式粉砕した。粉砕に要する滞
留時間はそれぞれ4分であった。
【0057】得られたそれぞれの白色顔料hを含むスラ
リーに前述の澱粉とラテックスを加えて攪拌し塗料スラ
リーを調製した。塗料スラリーを手塗りして塗工紙を作
成し、白色度と摩耗性を測定したところ、白色度75
%、カミソリ刃摩耗量70μmであった。
【0058】(実施例5)湿式粉砕機10の粉砕時間を
8分とした他は、実施例4と同一条件で白色顔料hを得
た。白色顔料hの平均粒子径は2μm、塗工紙の白色度
は75%、カミソリ刃摩耗量は40μmであった。
【0059】(実施例6)湿式粉砕機10の粉砕時間を
10分とした他は、実施例4と同一条件で白色顔料hを
得た。白色顔料hの平均粒子径は0.7μm、塗工紙の
白色度は75%、カミソリ刃摩耗量は30μmであっ
た。
【0060】(実施例7)湿式粉砕機10の粉砕時間を
20分とした他は、実施例4と同一条件で白色顔料hを
得た。白色顔料hの平均粒子径は0.5μm、塗工紙の
白色度は75%、カミソリ刃摩耗量は20μmであっ
た。
【0061】なお、参考として、前述の市販の顔料を塗
工した手塗り紙の白色度と摩耗量を表2に示すが、実施
例4〜7の白色度は2級カオリン以上であり、摩耗量は
平均粒子径が小さくなるほど改善され、平均粒子径が
2.0μm以下であれば既存の顔料並みの値であった。
【0062】(実施例8)実施例1で用いた造粒焼却灰
bを、外熱式ロータリーキルン7を用いて、1000℃
で30分間の条件で焼成処理を行った。焼成物eは、や
や黄味を帯び、若干の溶融・焼結が生じた。実施例1と
同様にローラミル8を用いて平均粒子径8μmまで乾式
粉砕後、水を加えて固形分濃度55%を目標に、分散剤
を無機物に対し、固形分で0.5%となるように添加
後、分散機9を用いて分散してスラリーgを調整した。
このスラリーgをウレタンライニングビーズミル10を
用いて平均粒子径が0.7μmになるまで湿式粉砕し
た。粉砕に要する滞留時間は30分間を要した。
【0063】得られた白色顔料hを含むスラリーに上述
と同様に澱粉とラテックスを加えて攪拌し塗料スラリー
を調製した。塗料スラリーを手塗りして塗工紙を作成
し、白色度と摩耗性を測定したところ、高温焼成によ
り、カミソリ刃摩耗量は40μmでやや悪化していたも
のの白色度は77%とやや高かった。
【0064】(実施例9)実施例1で得られた焼成物e
を実施例4と同様にローラミル8を用いて乾式粉砕した
が、このとき平均粒子径は50μmであった。その乾式
粉砕後、水を加えて固形分濃度55%を目標に、分散剤
を無機物に対し、固形分で0.5%となるように添加
後、分散機9を用いて分散してスラリーgを調整した。
しかしながら、粉体fの粒子が大きいために所定の濃度
では分散せずに、40%までスラリーを希釈しなけれ
ば、良好なスラリーgを得ることができなかった。この
とき、スラリー白色度は分散機aの摩耗によって灰色に
着色した。このスラリーgをウレタンライニングビーズ
ミル10を用いて平均粒子径が0.5μmになるまで湿
式粉砕した。粉砕に要する滞留時間は30分間を要し
た。
【0065】得られた顔料hを含むスラリーに上述と同
様に澱粉とラテックスを加えて攪拌し塗料スラリーを調
製した。塗料スラリーを手塗りして塗工紙を作成し、白
色度と摩耗性を測定したところ、白色度65%、カミソ
リ刃摩耗量40μmであった。焼成後に0.5μmまで
粉砕しているので、摩耗性は実施例1と同等であるが、
分散時にスラリー白色度が低下した分、最終の白色度も
低下している。これは、乾式粉砕で十分に粉砕していな
かったためと考える。
【0066】(実施例10)実施例1の焼成物cをロー
ラミル8を用いて乾式粉砕し、このとき、平均粒子径は
10μmであった。その乾式粉砕後、水を加えて固形分
濃度55%を目標に、分散剤を無機物に対し、固形分で
0.5%となるように添加後、分散機を用いて分散して
スラリーgを調整した。このスラリーgをウレタンライ
ニングのないビーズミル10を用いて平均粒子径が0.
5μmになるまで湿式粉砕した。粉砕に要する滞留時間
は実施例1と同様に20分間を要した。
【0067】得られた顔料hを含むスラリーに実施例4
と同様に澱粉とラテックスを加えて攪拌し塗料スラリー
を調製した。塗料スラリーを手塗りして塗工紙を作成
し、白色度と摩耗性を測定したところ、白色度62%、
カミソリ刃摩耗量30μmであった。これは、粉砕機1
0の摩耗による白色度低下を示す。
【0068】(実施例11)実施例1の焼成物eをロー
ラミル8を用いて粉砕し、平均粒子径が8μmの粉体f
を得た。この粉体fに水を加えて固形分濃度55%を目
標に、スルホン酸基を含まない分散剤、すなわち、ポリ
アクリル酸ソーダ系の分散剤(SDA−40K/ソマー
ル社)を無機物に対し、固形分で0.5%となるように
添加後、分散機を用いて分散してスラリーgを調整し
た。このスラリーgをウレタンライニングしたビーズミ
ル10を用いて湿式粉砕したが、粉砕途中(6分)で、
著しく粘度が上昇して、目標の平均粒子径まで粉砕する
ことができなかった。このため、分散剤の添加量を増加
してスラリー粘度を低下させたが、このとき、当該分散
剤の添加率は3%となった。その後、平均粒子径が0.
5μmになるまで、20分間の湿式粉砕を行った。
【0069】得られた顔料hを含むスラリーに実施例4
と同様にして摩耗性を測定したところ、白色度74%、
カミソリ刃摩耗量30μmであった。これは、分散剤の
添加量が多かったことによる結果と考える。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【発明の効果】本発明は、以上のように焼却灰を造粒す
ることで、効率的に焼成することができるとともに、焼
成物の収率を高めることができる。そして、焼成物を白
色度の低下を防止した効率的な粉砕処理によって粒径を
細かく揃えることにより、摩耗性の少ない高白色度製紙
用充填材(顔料、填料)とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の概略図
【図2】同実施形態の工程図
【符号の説明】
1 圧縮成形機(造粒機) 2 グラニュレータ 3 篩 4 返送経路 5 焼却灰ホッパ 6 移送経路 7 焼成炉 8 乾式粉砕機 9 スラリー化分散機 10 湿式粉砕機 a 焼却灰 b 圧縮成形物(造粒焼却灰) c 解砕物(造粒焼却灰) d 篩上物(造粒焼却灰) d’ 篩下物 e 焼成物 f 粉体(焼成物) g スラリー h 白色顔料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福井 照信 尼崎市常光寺4丁目3番1号 王子製紙株 式会社尼崎研究センター内 (72)発明者 栗岡 照男 大阪市西区北堀江1丁目12番19号 株式会 社栗本鐵工所内 (72)発明者 塔本 晃弘 大阪市西区北堀江1丁目12番19号 株式会 社栗本鐵工所内 Fターム(参考) 3K061 NA12 4J037 AA30 CC16 DD05 EE29 EE33 EE43 FF04

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼却灰aを造粒し、その造粒焼却灰b、
    c、dを焼成した後、その焼成物eを粉砕して粒子径を
    調整する白色顔料の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記造粒焼却灰b、cを分級して、所定
    粒度以上の造粒焼却灰dを焼成するようにしたことを特
    徴とする請求項1に記載の白色顔料の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記焼成物eの粉砕において、乾式粉砕
    処理により所要の平均粒子径とした後、その粒子径の焼
    成物fを水性スラリーgに調製して湿式粉砕することを
    特徴とする請求項1又は2に記載の白色顔料の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 上記湿式粉砕処理を、上記水性スラリー
    gの粉砕ゾーンが耐摩耗材で被覆された湿式粉砕機10
    を用いて行うことを特徴とする請求項3に記載の白色顔
    料の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記水性スラリーgとする際に、スルホ
    ン酸基含有ポリアクリル酸を添加することを特徴とする
    請求項3又は4に記載の白色顔料の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記焼却灰aが製紙スラッジの焼却灰で
    あることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載
    の白色顔料の製造方法。
  7. 【請求項7】 焼却灰aを造粒する造粒機1と、その造
    粒機1からの造粒焼却灰b、c、dを焼成する焼成炉7
    と、その焼成物eを粉砕して粒子径を調整する粉砕機と
    から成る白色顔料の製造装置。
  8. 【請求項8】 上記造粒機1と焼成炉7との間に篩3を
    介設して、造粒機1からの造粒焼却灰b、cを篩3によ
    り篩い分け、その篩下物d’を前記造粒機1に返送し、
    篩上物dを前記焼成炉7に移送するようにしたことを特
    徴とする請求項7に記載の白色顔料の製造装置。
  9. 【請求項9】 上記粉砕機は、乾式粉砕機8と湿式粉砕
    機10とから成り、上記焼成炉7からの焼成物eを、前
    記乾式粉砕機8により粉砕した後、前記湿式粉砕機10
    により粉砕することを特徴とする請求項7又は8に記載
    の白色顔料の製造装置。
  10. 【請求項10】 上記乾式粉砕機8と湿式粉砕機10と
    の間に分散機9を介設し、この分散機9により、乾式粉
    砕機8からの焼成物粉体fをスラリー化して湿式粉砕機
    10に移送するようにしたことを特徴とする請求項9に
    記載の白色顔料の製造装置。
  11. 【請求項11】 上記粉砕工程により得られる白色顔料
    hの平均粒子径を0.1〜2μmとしたことを特徴とす
    る請求項1乃至6のいずれかに記載の白色顔料の製造方
    法により得た白色顔料。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002115196A (ja) * 2000-10-06 2002-04-19 Oji Paper Co Ltd 顔料塗工紙およびその製造方法
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WO2014049206A1 (en) * 2012-09-25 2014-04-03 Upm-Kymmene Corporation Method and apparatus for manufacturing a material component, a material component and its use, an extender pigment product and a final product

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