JP2010222737A - 再生粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製紙用の填料又は塗工用顔料として必要な特性を備えた再生粒子を、安定して製造することができ、燃焼工程から排出される燃焼物の水溶液分散体(スラリー)を得るにおいて、燃焼物の凝固を防止し、製造の安定化と得られる再生粒子の均質化を図ることができる再生粒子の製造方法とする。
【解決手段】製紙工程から発生する製紙スラッジを主原料に、脱水、乾燥、燃焼及び粉砕工程をこの順に経て再生粒子を製造する方法であって、前記燃焼工程から排出された燃焼物に、前記粉砕工程に供するに先立って、硫酸カルシウムを含有させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種製紙工程から排出される製紙スラッジを主原料として再生粒子を製造する方法に関するものである。
近年、環境保護、資源保護、ゴミ減少の観点から、古紙を再生することに関心が強まっている。これら再生紙の原料となる古紙源としては、現在のところ主として新聞紙、雑誌、段ボール古紙等が使用されている。また最近では、オフィスから発生する廃事務用紙をビル全体で回収しようとする動きも見られ、古紙の再生は益々重要な技術になってきている。
一方、紙パルプ工場の各種工程から排出される製紙スラッジは、無機充填剤及び無機顔料粒子をかなりの割合で含み、これらの製紙スラッジは、回収され、流動床炉やストーカー炉などの焼却炉で製紙スラッジ中の有機物を燃焼して製紙スラッジの減容化を図るとともに、エネルギーとして回収されている。
しかしながら、製紙スラッジには、多量の無機物が含有されているため、燃焼しても多量の焼却灰(無機物)が残り、減容化にも限度がある。そこで、この焼却灰をセメント原料の助剤として活用することや、土壌改良材として活用すること等の努力もなされている。しかし、これらセメント原料の助剤や、土壌改良材としての焼却灰の使用量はわずかなものであり、結局、大部分の焼却灰は埋立て処分されているのが実情である。
そこで、焼却によって熱エネルギーとして回収するだけでなく、製紙スラッジ中の無機物を製紙用填料、顔料、プラスチック用充填剤等として再利用することは、製紙業界において古紙利用率の向上とともに環境問題に関わる重要な改善課題である。
しかしながら、製紙スラッジの焼却灰には燃焼されずに残った有機物がカーボンとして含まれるため白色度が低く、あるいは、無機物の焼結が進み、粒子径が不揃いで大きくなっており、そのままの状態では製紙用の填料や塗工用顔料、プラスチック用の充填剤等として使用するのに適さない。
そこで、特許文献1は焼却灰を再燃焼し、白色度を向上させてから使用する方法を開示している。しかしながら、特許文献1の焼却灰を再燃焼する方法の場合、未燃焼カーボンを完全に燃焼させるため再燃焼温度を500℃〜900℃に設定する必要があり、焼却灰の白色度は50%程度にまでしか向上せず、製紙用の填料や塗工用顔料として使用するに適するものとはならないことが知見された。また、再燃焼温度を900℃超に設定すると、焼却灰(無機物)が焼結、溶融し、極めて硬くなることが知見された。また、再焼却した焼却灰(以下、再焼却灰という)を填料として使用すると、この再焼却灰は非常に硬い性質をもつため、抄紙ワイヤーの摩耗進行が早く、抄紙ワイヤーの寿命が非常に短くなるため、実操業には使用できるものではなかった。また、この再焼却灰を塗工用顔料として使用すると、再焼却灰が非常に硬い性質であるため、摩耗による塗工設備の毀損が生じると共に、カレンダー処理を行ってもその塗工層表面の平滑性が劣るという問題が生じる。
この点、再焼却灰を粉砕し、その粒子径を小さくして、摩耗の低減、平滑性の向上を図ることも考えられるが、焼却灰を再燃焼することにより過燃焼が生じやすく、再焼却灰の中に水和硬化性物質が生じ、水に溶解した時に固化を生じ易い、更に内添填料として使用する場合には、抄紙時における歩留りが低いものになり、焼却灰自体がきわめて硬いため、粉砕のためのエネルギーコストが極めて高いものとなる。
特許文献2では、製紙スラッジを、酸素含有ガスを注入した反応器内に供給し、250℃〜300℃、3000psig程度の加温加圧下で0.25時間〜5時間酸化して、製紙スラッジ中の無機物を製紙用の顔料として再生化する方法が提案されている。
しかし、この方法は、製紙スラッジを液相のままで湿式空気酸化処理によるものであるため、酸化処理ムラが生じやすく、特許文献1と同様に水和硬化性物質が生じ易い、更に有機物除去が十分でなく、また、得られた顔料の白色度が低く、粒子径も不揃いで、製紙用の填料や顔料として使用するには不適であり、しかも反応操作が複雑でコストが高いという問題がある。
一方、特許文献3には、製紙スラッジをいぶし焼きしてPS炭とした後、さらにこれを内熱キルン炉で焼却して製紙用原料となる白土を生成させる方法が提案されている。
しかし、この方法は製紙スラッジをいぶし焼きするため、製紙スラッジからエネルギーを有効に取り出すことができないばかりか、逆に投入エネルギーが必要になるという大きなデメリットがある。また、いぶし焼きにより、揮発分が除去され有機物が燃焼(酸化)し難い所謂「残カーボン」とよばれる状態となり、後工程での燃焼が困難になるとともに、残カーボンのために長い燃焼時間を掛けなければ高い白色度を得がたく、過焼問題が生じやすく、水和硬化性物質が生じやすく、製造工程内や製品において凝集物が生じたり固化したりする問題が生じる。さらに、生成した白土も粒子径が不揃いで大きくなっており、また、内熱キルンで使用される重油バーナーからのカーボンやイオウ酸化物による汚染が生じ、製紙用顔料としては使用できないという問題がある。
また、特許文献4のように、排水処理汚泥をロータリーキルン炉内で連続して乾燥・炭化・燃焼する方法が知られている。しかしながら、この方法において使用される排水処理汚泥は、種々の発生源を有する汚泥で構成されているため、発生源や発生量の変動により、得られる造粒・成形物質においても変動が生じる問題を有し、当該特許文献においては、燃焼に先立って、造粒・成形するのは、燃焼を均一に行うためであると考えられるものの、実施の形態に記載されている固形分濃度40%〜60%(換言すれば水分率60%〜40%)の状態でロータリーキルン炉内で連続して乾燥・炭化・燃焼する場合、汚泥の乾燥状態、炭化状態のいかんに係らず、キルン炉の回転によって汚泥粒子は強制的に処理が進行してしまう。したがって、乾燥が不十分であると粒子内部に未燃分が多く残留しその結果燃焼が不完全となって白色度の低下を生じ、逆に過乾燥になると燃焼は完全となるが過燃焼を招き、水分散時に不均一な分散状態を招きやすく、得られた再生粒子の硬度が高くなり、この再生粒子を使用すると抄紙機でのワイヤー摩耗や紙を断裁する場合のカッター刃摩耗が生じやすくなるという問題を惹き起こす。
先行する特許文献1〜4に記載の製紙スラッジを原料とする場合における最も大きな問題点は、原料とする製紙スラッジが、過燃焼等の影響により水和硬化性物質を生成し水溶解時に凝集,固化を生じ易く、また、抄紙工程でワイヤーを通過して流出したもの、パルプ化工程での洗浄過程で発生した固形分を含む排水から回収したもの、排水処理工程において、沈殿あるいは浮上などを利用した固形分分離装置によりその固形分を分離、回収したもの、古紙処理工程での混入異物除去したもの等の各種スラッジが混在している点である。
これらの製紙スラッジのうち、例えば、抄紙工程でワイヤーを通過して流出したものは、紙力剤等が混入しており、また、抄紙工程における抄造物の変更によって品質に変動が生じる。また、排水処理工程から回収した製紙スラッジには凝集剤が混入する他、工場全体の抄造物、生産量の変動、あるいは生産設備の工程内洗浄などにより大きな変動が生じる。
パルプ化工程での洗浄過程から生じる製紙スラッジにおいては、チップ水分やパルプ製造条件で変動が生じる他、さまざまな填料、顔料とすることができない物質が混入し、品質変動が生じる。したがって、全ての製紙スラッジを無選別に用いようとすると、製紙用の填料としての品質が大きく低下し、しかも品質の変動が極めて大きく、不安定なものとなる。
すなわち、従来公知の方法で得られる再生粒子は、製紙スラッジの主成分たる炭酸カルシウムとカオリンの分解,反応によって生じる種々の副生成物の発生はもとより、製紙用の填料や塗工用顔料、プラスチック用等の充填剤として使用するには品質が適さず、品質安定性に欠けるものであった。
特開平11−310732号公報 特公昭56−27638号公報 特開昭54−14367号公報 特許第3812900号公報
本発明が解決しようとする課題は、特に製紙用の填料又は塗工用顔料として必要な特性を備えた再生粒子を、安定して製造することにある。そして主たる課題は、燃焼工程から排出される燃焼物の水溶液分散体(スラリー)を得るにおいて、燃焼物の凝固を防止し、製造の安定化と得られる再生粒子の均質化を図ることにある。
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
製紙工程から発生する製紙スラッジを主原料に、脱水、乾燥、燃焼及び粉砕工程をこの順に経て再生粒子を製造する方法であって、
前記燃焼工程から排出された燃焼物に、前記粉砕工程に供するに先立って、硫酸カルシウムを含有させる、
ことを特徴とする再生粒子の製造方法。
〔請求項2記載の発明〕
前記硫酸カルシウムは、前記燃焼物100質量部に対して、0.5〜10質量部の割合となるように含有させる、
請求項1記載の再生粒子の製造方法。
〔請求項3記載の発明〕
前記燃焼物を前記粉砕工程に供するに先立って、水に溶解して濃度15〜50質量%のスラリーとし、
前記硫酸カルシウムの含有は、前記溶解に先立って行い、又は前記溶解と同時に行う、
請求項1又は請求項2記載の再生粒子の製造方法。
〔請求項4記載の発明〕
前記粉砕工程における粉砕は、再生粒子の平均粒子径が0.1〜10.0μmとなるように行う、
請求項3記載の再生粒子の製造方法。
〔請求項5記載の発明〕
前記燃焼工程から排出された排ガスによって、前記スラリーのpHを9〜11に調節する、
請求項3又は請求項4記載の再生粒子の製造方法。
本発明の製造方法によると、特に製紙用の填料又は塗工用顔料として必要な特性を備えた再生粒子を、安定して製造することができる。また、燃焼工程から排出される燃焼物の水溶液分散体(スラリー)を得るにおいて、燃焼物の凝固を防止し、製造の安定化と得られる再生粒子の均質化を図ることができる。
製造設備の概要図である。 第2燃焼炉の概要図で、(a)は縦断面図、(b)は内面の展開図である。
以下では、本発明の位置付け、本発明の実施の形態の順に説明する。
<本発明の位置付け>
本発明者らは、優れた再生粒子を得るために、特開2008−127704号において、紙パルプを製造する古紙処理設備の脱墨工程においてパルプ繊維から分離された脱墨フロスを主原料として、前記主原料を脱水、乾燥、燃焼及び粉砕工程を経て、再生粒子を得る再生粒子の製造方法であって、前記乾燥と燃焼工程が、前記脱水後の原料の乾燥と燃焼を一連で行う先の第1燃焼炉と第1燃焼炉にて燃焼された脱墨フロスを再度燃焼する、後の第2燃焼炉を有する、少なくとも2段階の燃焼工程を有し、その後に粉砕し、再生粒子を得る操作を有する再生粒子の製造方法を提案した。
さらに、その具体的な提案内容は、第1(次)燃焼炉(内熱キルン炉)内の酸素濃度が0.2%〜20%となるように、500℃〜650℃の熱風を吹き込み、第2燃焼炉では、内熱キルン炉からの燃焼物を、550℃〜750℃の温度で燃焼するものである。
しかしながら、古紙パルプを製造する脱墨工程においてパルプ繊維から分離された脱墨フロスは、再生粒子の原料となる微細な無機微粒子を含有すると共に、古紙パルプとして利用が困難な微細繊維や塗工紙に多用される有機高分子であるラテックス、印刷により付与されたインキ成分を多く含み、燃焼処理においては脱墨フロスそのものが自ら燃焼反応(酸化)を生じ燃焼するため、先の出願で提案した熱風による加熱処理以上の発熱が生じ、原料の過剰燃焼を惹き起す問題がみられることを知見した。
過剰な燃焼は、次記の問題を招いている。(1)高温燃焼により原料が黄変化し白色度の低下を招く。(2)原料の溶融によりゲーレナイト等の硬質物質(参考:特願2007−22377)を生じやすくなり、抄紙設備でのワイヤー摩耗度が上昇する。(3)原料の溶融による凝集体を形成するため、後の微粉砕工程において粉砕エネルギーの増加、処理効率が低下する。(4)原料の表面が高温に晒され、原料内部よりも先に溶融されるため、原料内部まで燃焼反応(酸化反応)が進まず、有機物(カーボン)が残留する(結果として白色度の低下を招く)。(5)原料の分解・反応によりアルミン酸カルシウム等の水和硬化物質が生じ、スラリーの凝集,固化が生じる
本発明者らは、前記問題を解決する手段として、過剰な燃焼をコントロールする方策に着目し、鋭意検討を行った結果、第1燃焼炉において、燃焼温度を原料である脱墨フロスが自燃せず、脱墨フロス中に含有される有機成分がガス化し発生する燃焼ガス(可燃焼ガス)を放出するに必要なだけの第1次燃焼炉の炉内温度に留め、有機成分ガスの燃焼反応(酸化反応)のみを促進させることが、前記問題を解決できることを見出した。
さらに、第1次燃焼炉内において、燃焼ガス(可燃焼ガス)を燃焼させるために必要な酸素濃度0.2%〜20%を確保するとともに、脱墨フロスの過剰燃焼を防止するため、熱風供給に加え、原料となる脱墨フロスの含有水分を高める方策が有効であることを見出している。本発明者らの知見によると、第1次燃焼炉内の酸素濃度0.2%〜20%を確保することは、燃焼が促進される炉内環境となるため、脱墨フロスの過剰燃焼が発生しやすくなる。
しかるに、原料となる脱墨フロスの脱水後の水分を、40%以上、望ましは90%未満、より好適には40%〜70%、最適には45%〜70%の高含水状態で第1次燃焼炉内に供給することが、脱墨フロスの過剰燃焼を防止するために適していることを知見した。その理由は、第1次燃焼炉内に高含水状態で供給することで、第1次燃焼炉内において水の蒸発により、炉内温度が低下し、脱墨フロスの自燃を抑え、発生する燃焼ガス(可燃焼ガス)のみの燃焼を促進し、過剰な燃焼温度の上昇を抑制することができるものと考えられる。
更に好適には、第1次燃焼炉において、燃焼温度を原料である脱墨フロスが自燃せず、脱墨フロス中に含有される有機成分がガス化し発生する燃焼ガス(可燃焼ガス)を放出するに必要なだけの第1次燃焼炉の炉内温度に留め、有機成分ガスの燃焼反応(酸化反応)のみを促進させる方策、さらに、第1次燃焼炉内において、燃焼ガス(可燃焼ガス)を燃焼させるために必要な酸素濃度0.2%〜20%を確保するとともに、脱墨フロスの過剰燃焼を防止するため、熱風供給に加え、原料となる脱墨フロスの含有水分を高める方策との組み合わせにおいて、より高品質の再生粒子を得ることができることを見出した。
他方、より好適には、第2次燃焼炉内の内壁に、その一端側から他端側に向けて、螺旋状リフター及び/または軸心と平行な平行リフターを配設することで、原料の均一な燃焼と、品質の均一化を図ることができる。
先に述べた発明者等の知見によると、第1次燃焼炉では、低い燃焼温度で原料脱墨フロスを燃焼反応に晒し、均質な第1次燃焼炉出口原料を得たのち、残留する白色度を低下させる原因となる炭素分をできる限り燃焼させる必要があるため、原料を緩慢に燃焼させる必要があり、可能な限り均一な燃焼を連続的に実施するには、第2次燃焼炉内での原料搬送速度を適宜コントロールする方策が最も好適と考えられ、その手段として、リフター設備を用い、原料の搬送速度を調整可能にすることができることも見出した。しかるに、公知のリフターは鉄素材で一般に製造されているため、鉄分がコンタミとして原料中に含有され、鉄の酸化により白色度を低下させる問題を招く。そこで、本発明者らは、ステンレス製のリフターを第2次燃焼炉に設けることで、前記鉄の酸化問題を生じることなく、白色度の低下がないなど、高品質の再生粒子を製造できる技術を見出した。
なお、第2次燃焼炉の構造としては、外熱または内熱キルンどちらも、更には併用して適宜採用することができる。外熱キルンはバーナーの直火が原料に直接晒されないため、過焼を防止でき、均一な燃焼品質(高い白色度が得られる)。一方、内熱キルンは、内部に貼り付けた耐火物が断熱性を持つと同時に遠赤外線を放出し、少ない熱量で加温できるメリットがある。
また、第2燃焼炉として好適に用いられる外熱及び内熱併用キルン炉により燃焼すると、例えば電気炉のように温度調整が可能な外熱により第2燃焼炉における燃焼物の燃焼状況変動に応じた燃焼温度調整が容易になるとともに、内熱として例えば二酸化炭素ガス発生効率がよく未燃カーボン等の白色度低下要因物質が発生し難いLPGによる内熱加熱手段を併用することで、白色度の低下を来たさず、過剰な酸化反応を抑えながら燃焼物に均一な加熱を行う事ができ、燃焼物の品質の安定化を図ることが出来る、また、内熱によって、直接燃焼物に対し加熱を施すことで、燃焼物の燃焼状況に応じて均一かつ十分な加熱が可能になり、製紙スラッジ由来による燃焼物の燃焼のバラツキ、燃焼物の構成変動に応じた燃焼を施すことが可能となる。さらに、キルン炉の回転により、回転方向に沿って燃焼物が偏在する状態になるとともに、燃焼物と内壁との摩擦によって燃焼物が転動し、キルン炉内で緩やかに攪拌されつつ排出口へ燃焼物が移動するため、燃焼物の微粉化を抑えることが可能になり、その結果、最終的な燃焼物の品質及び形状が安定したものとなる。
上記のとおり、乾燥、燃焼の操作、特に燃焼物中の未燃物の割合を2〜20質量%となるように先の第1燃焼炉で燃焼処理を行い、その後の残留する有機物、炭化物等の未燃物の燃焼を第2燃焼炉で行う、好適には内熱キルン炉と外熱・内熱併用キルン炉にて、少なくとも2段階の燃焼炉により行うことで、特に製紙用の填料や塗工用顔料として必要な特性を備えた再生粒子を、均一で安定して製造することができる。
好適な燃焼炉として用いられる内熱又は外熱・内熱併用キルン炉は、内部耐火物を円周状でなく、六角形や八角形とすることで乾燥・燃焼物を滑らす事無く持ち上げて撹拌することができ、粉塵の発生を抑制し排ガスへの粉塵混入を抑えることができ、製品歩留りを向上させることができる。第2燃焼炉の構造については、これら諸条件を鑑みて適宜選択できるが、いずれに方式についてもリフターを設けることが最適である。
上記のように再生粒子の製造における燃焼工程において、再生粒子を過燃焼させることなく燃焼する必要がある。しかし、燃焼工程内での燃焼変動により一部過燃焼した再生粒子が生じる場合があり、その場合、過燃焼された再生粒子は、填料または塗工用顔料として水に懸濁化し適宜、粒度調整のため粉砕を行うが、過燃焼により生じた水和硬化物質が製造工程内で硬化反応を生じ凝集,固化する。あるいは製品粒度を増大させたり、粘性を増大させたりする等、操業性および品質に問題が生じている。
凝集,固化の問題の発生要因を鋭意検討した結果、製紙スラッジの主成分たる炭酸カルシウムとカオリンが過焼成により酸化カルシウムとメタカオリン更にはアルミナと珪酸に分解することでアルミン酸カルシウムが生成することが判った。アルミン酸カルシウムは水と混合すると水和硬化反応が生じ固化する。また、カオリンが焼成により生じるメタカオリンは水和硬化反応の促進剤として作用する。従って、過燃焼によって生じた水和硬化物質を含む焼成灰(燃焼物)を水に懸濁した場合は、メタカオリンの硬化促進との相乗作用により凝集、固化に至ると考えられた。
水和硬化物質を生成させないために焼成炉での燃焼条件を研究してきたが、実際の製造工程においては種々の変動要因によって微量ながらアルミン酸カルシウムを生成させてしまう焼成条件が見られた。
本発明者は、これらの知見をもとに、水和硬化物質を改質することで凝集、固化を防止し、製造安定性および品質向上を図る方策について検討した。アルミン酸カルシウムを硫酸カルシウム二水和物と反応させ、エトリンガイトと呼ばれる物質に改質することで固化を防止することができることを見出した。
エトリンガイトは、サチンホワイトと呼ばれ、一般的に塗工用顔料として用いられる物質であり、本来、製紙用薬品として適さないアルミン酸カルシウムを塗工用顔料として使用されるサチンホワイトに改質することで、凝集、固化を防止するだけで無く、紙の表面の光沢,白色度,不透明度を付与する効果を果たす。
一方、反応で余剰に残留した硫酸カルシウムは、柔らかく、酸にもアルカリにも不溶の白色物質であることから、内添用填料として使用した場合に、ワイヤー摩耗性の改善や白色度の向上に寄与する。
硫酸カルシウム二水和物の添加は、抄紙用薬品として適さない水和硬化性物質の改質と同時に残留した薬品はそれ自体が抄紙用薬品として使用できる点で有効である。
一方、たとえば、製紙用スラッジを燃焼する場合、(1)特開2003−119695号公報記載の発明では、乾燥物を炉内の酸素濃度が0.1体積%以下となる実質的に酸素が存在しない貧酸素状態で、具体的には間接加熱炉(外熱燃焼炉)によって乾燥及び炭化処理する。次に炭化物に含まれる有機物由来の炭素を酸化させて脱炭素する、具体的には間接加熱炉によって白化処理する方法が提案されている。また、同発明は、後者の白化処理については内熱ロータリーキルン炉を使用することも教示している。
他方、本出願人は、(2)特開2002−275785号として、炭化後に再燃焼のためにロータリーキルン炉を使用することも教示している。
さらに、本出願人は、(3)特許3808852号として、「原料スラッジとして脱墨スラッジを用い、これを乾燥させる乾燥工程と、前記乾燥させた脱墨スラッジをサイクロン型燃焼炉の炉上部から炉内に供給し、旋回下降させつつ燃焼させ未燃分を含む一次燃焼物を得る一次燃焼工程と、前記サイクロン型燃焼炉に連通し、その下端からの未燃分を含む一次燃焼物を受けて、機械的な攪拌により酸素との接触を促進させながら、前記一次燃焼工程の燃焼熱を利用して所定の白色度となるまで燃焼させる二次燃焼工程とを含む、ことを特徴とする脱墨スラッジからの白色顔料または白色填料の製造方法。」を提案した。
また、(4)特開2004−176208号においては、「塗工紙製造工程の排水処理汚泥」から填料を製造するに際し、成形汚泥を「一つのロータリーキルン炉内で乾燥、炭化、燃焼」を行うことを提案している。
上記(1)(2)及び(4)は、古紙パルプを製造する古紙処理設備の脱墨工程においてパルプ繊維から分離された脱墨フロスを主原料とするものではなく、前述の製紙スラッジを主原料とするものである。そして、得られる再生粒子は、本発明のような、再生粒子「凝集体」とは異なるものと考えられる。
一方、(3)の方法によれば、本発明によって得られるものと同様な再生粒子を得ることができる。しかし、同方法ではサイクロン式流動燃焼炉を使用し、乾燥物を燃焼し、次いで二次燃焼を行っている。
しかし、サイクロン式流動燃焼炉自体の形式に由来するものと考えられるが、サイクロン式は数十〜数百ミクロンの原料と空気を旋回流として供給口から供給し、空気の旋回作用により空気と効果的に混合されながら燃焼させるため、原料に含有される微粒子が、排ガスとともに系外に排出され製品歩留りが低下する問題、主原料である脱墨フロスの燃焼時間(加熱時間)が短時間であることにより未燃焼分が生じやすい問題、最終的に得られる燃焼物の品質(特に形状)が一定でなく、燃焼物の白色度もバラツキが生じる場合があることが知見された。
そこで、本発明者は、過剰燃焼させないで、得られる再生粒子の水和硬化物質の生成を防止することで水溶解時の安定性を図り、品質の安定した再生粒子を得る手段について検討を重ね、燃焼工程が、第1燃焼工程と、第1燃焼炉にて燃焼された脱墨フロスを再度燃焼する、後の第2燃焼工程とを有する、少なくとも2段階の燃焼工程を有し、前記第1燃焼工程において、300℃以上〜500℃未満で燃焼処理を行うことで、品質の安定した再生粒子を得、水溶解時に硫酸カルシウム二水和物を凝集抑制剤として添加することで、高品質の再生粒子を製造できることを見出し、本発明を解決できたものである。
更に、水和硬化物質を生じさせない好適な再生粒子を得る態様としては、脱水後の原料の乾燥と燃焼が一連で行われ、内熱による第1次燃焼炉における燃焼時間(滞留時間)が30分を超え90分以下、より好適には40分〜80分の、最適には50分〜70分の第1燃焼炉を用い、好ましくは本体が横置きで中心軸周りに回転する内熱(直接加熱)キルン炉により、前記脱水後の原料の乾燥及び燃焼を行い、次に、第1燃焼炉から得られる燃焼物を再度燃焼する燃焼時間(滞留時間)が、60分以上の、より好適には60分〜240分、特には90分〜150分、最適には120分〜150分の、外熱による第2燃焼炉を用い、好ましくは本体が横置きで中心軸周りに回転する外熱(間接加熱)キルン炉、特に燃焼温度を容易に調整可能な外熱電気炉により、燃焼する方法を採用するものである。
また、後に図面と共に説明する実施の形態では、第1燃焼炉として内熱キルン炉、第2燃焼炉として外熱キルン炉を選択し詳説するが、これらのキルン炉としては公知の燃焼炉を使用できる。また、キルン炉に限定されることなく、流動床炉、ストーカー炉、サイクロン炉、半乾留・負圧燃焼式炉等、公知の装置を用いることもできる。
本発明において好適な態様は、先の第1燃焼炉を内熱で行い、後の第2燃焼炉を外熱で行うものである。さらに、この外熱第2燃焼炉としては重油等を熱源にした間接加熱方式の燃焼炉等の公知の燃焼方法が採用こともできる。
第1燃焼炉として好適に用いることができる内熱キルン炉によれば、乾燥及び燃焼を一つの炉で行うことができ、供給口から排出口に至るまで、緩やかに安定的に乾燥及び燃焼が進行し、かつ燃焼物の微粉化が抑制される。また、第2燃焼炉として好適に用いることができる外熱キルン炉により燃焼すると、その端部から燃焼物を所定の滞留時間をもって、他端部の排出口から排出でき、さらに外熱により燃焼物に均一な熱が加わるので、燃焼が均一なものとなり、燃焼のバラツキを生じさせないものとなる。さらに、キルン炉内壁の回転による摩擦によって燃焼物が緩やかに攪拌されるため、微粉化を生じにくい。その結果、最終的な燃焼物の品質及び形状が安定したものとなるのである。
従来の第1燃焼炉においては、原料中の微細繊維や塗工紙に多用される有機高分子であるラテックス、印刷により付与されたインキ成分等を効率よく燃焼させるために、水分率を40%未満に脱水乾燥させ、高温で燃焼させる方法が先に述べた公知文献にも記載されているものの、本発明者等の知見では、第1燃焼炉においては300℃以上〜500℃未満の従来に比して低温で加温操作することにより、原料中から、原料に含有される有機物が燃焼ガス化し、燃焼ガスを燃焼(酸化)させることが、得られる再生粒子のイオン性が安定化し、硫酸カルシウム二水和物を主剤とする凝集抑制剤と組み合わせることで均一な分散が図れ、得られる再生粒子の品質安定化、白色度向上に対する寄与が大きいことを見出している。
上記のとおり、乾燥、燃焼の工程を、好適には内熱キルン炉と外熱キルン炉にて、少なくとも2段階の燃焼炉により行うことで、均一で安定的な再生粒子が得られる。
好適な燃焼炉として用いられる内熱または外熱キルン炉は、内部耐火物を円周状でなく、六角形や八角形とすることで燃焼物を滑らすことなく持ち上げて攪拌することができるが、現実には、キルン炉として円筒形であり、燃焼物攪拌用のリフターを設けることが、原料の均一な燃焼と、品質の均一化を図ることができる点で最適である。これは、第1燃焼炉において、本発明が低温でじっくり原料全体を燃焼することを意図することとも関係すると考えられる。
ここで、本発明者らが好適な再生粒子を得るに当り、最も注力した燃焼炉の選択について説明する。
従来から慣用的に用いられてきた燃焼炉は、ストーカー炉(固定床)、流動床炉、サイクロン炉、キルン炉の4種に大別でき、本発明者らは、それぞれの焼却炉で再生粒子の製造の検討を重ねたところ、次記の事項が明らかとなった。
・ ストーカー炉(固定床)については、脱墨フロスの燃焼度合い調整が困難であり、燃焼物が不均一である上に、灰分の多い脱墨フロスの燃焼では火格子間のクリアランスから落塵を生じるため適さない。火格子を通し燃焼物の下に空気を吹上げ燃焼させるため、炭酸カルシウムなどが飛灰となり排ガスとともに排ガス設備へ送られるため、歩留の低下が問題となる。
・ 流動床炉については、炉内の流動媒体に珪砂のような粒子状の流動媒体を使用するため、珪砂が再生填料へ混入し品質の低下を招く問題を有する。均一な攪拌ができない。硅砂を流動層混合して燃焼させた後、硅砂と燃焼物を分離し、硅砂は燃焼炉へ戻し燃焼物のみを取り出すが、燃焼物も硅砂と同程度の粒径が生じるため分離できない。硅砂と浮遊した状態で燃焼させているため、燃焼の度合い調整が困難であり、品質のばらつきが発生する。燃焼炉のストーカ(階段状)を、所定幅で、燃焼物が通過しながら燃焼するため灰の攪拌が不十分で幅方向で燃焼にバラツキが発生する。また、硬度の高い珪砂との摩擦、衝突により燃焼物が微粉化され飛灰となって系外へ排出され歩留りが低下する。
・ サイクロン炉については、炉内を一瞬で通過するため燃焼物中の固定炭素を十分に燃焼できず白色度の低下に繋がる。さらに、風送により細かい粒子はサイクロンで分離されず排ガスと一緒に排ガス処理工程に回るため歩留が低下する。
前記諸問題について鋭意検討を重ねた結果、燃焼炉としてはキルン炉にて燃焼させることが最も好適な燃焼手段として選択され、さらに以下の理由から、本発明において最適な実施の形態である、先の第1燃焼炉を外熱キルン、後の第2燃焼炉を内熱キルンとすることは次記の理由から好適であることを見出している。
外熱キルン炉は、キルン炉の外側に加熱設備を設けた構成となるため、キルン炉の構造が複雑になるとともに、燃焼物を間接的に乾燥、燃焼させるゆえに多量の熱源が必要になるため、本発明に係る、脱水後の水分率が高い原料の乾燥、燃焼処理に外熱キルン炉を先の第1燃焼炉として使用した場合には、乾燥・燃焼効率が低くなり、生産性が悪く、温度の制御が困難になるとともに多大なエネルギーコストを必要とし、費用対効果が極めて低くなる。
また、内熱キルン炉を2次燃焼炉に使用した場合には、残カーボンを燃焼するにおいて、炉内温度の調整に多量の希釈空気が必要であり、また、多量の空気を投入しないと燃焼熱を内熱キルン炉内に均一に伝えることが困難であり、さらに炉内温度の変動を抑えることが困難であるため、燃焼物の過燃焼や燃焼ムラが生じやすい問題を呈する。
さらに、通常加熱に使用される重油バーナーからの重油燃焼残カーボンやイオウ酸化物等による汚染が発生し、製品段階で白色度の低下やバラツキが生じ、得られる燃焼物の品質の均一化が困難な問題が生じる。
次に、本発明の工程全体に関する実施の形態の一例を、図面を参照しながら説明する。
<本発明の実施の形態>
本形態の再生粒子の製造方法は、脱水工程、乾燥工程、燃焼工程、粉砕工程を有するが、更に脱墨フロスの凝集工程、造粒工程や、各工程間における分級工程等を設けてもよい。
再生粒子の製造設備フローの一部構成例(乾燥・燃焼工程及び燃焼工程を含む)を、図1に示した。本設備には、各種センサーが備わっており、被燃焼物や設備の状態、処理速度のコントロール等を行っている。
〔原料〕
古紙パルプ製造工程では、安定した品質の古紙パルプを連続的に生産する目的から、使用する古紙の選定、選別を行い、一定品質の古紙を使用する。そのため、古紙パルプ製造工程に持ち込まれる無機物の種類やその比率、量が基本的に一定になる。しかも、古紙中に未燃物の変動要因となるビニールやフィルムなどのプラスチック類が含まれていたとしても、これらの異物は脱墨フロスを得る脱墨工程に至る前段階で除去される。したがって、脱墨フロスは、工場排水工程や製紙原料調成工程等の、他の工程で発生する製紙スラッジと比べて、極めて安定した品質の再生粒子を製造するための原料となる。
ここに脱墨フロスとは、古紙パルプを製造する古紙処理工程において、主に、古紙に付着したインクを取り除く脱墨工程で、パルプ繊維から分離されるものをいう。
〔脱水工程〕
古紙パルプを製造する脱墨工程においてパルプ繊維から分離された脱墨フロスは、種々の操作を経て、同じく図示しない公知の脱水設備により脱水する。本形態における一例では、脱水手段たる例えばスクリーンによって、脱墨フロスから水を分離して脱水する。このスクリーンにおいて、水分率を90%〜97%に脱水した脱墨フロスは、脱水手段たる例えばスクリュープレスに送り、更に所定の水分率まで脱水するのが望ましい。脱水後の原料(脱墨フロス)は、40%以上、好ましくは40%以上90%未満、より好ましくは45%以上70%以下、特に好ましくは50%超60%以下の高含水状態とすることが望ましい。
脱水後の原料の水分率が70%を超えると、第1燃焼炉における乾燥・燃焼処理温度の低下を招き、加熱のためのエネルギーロスが多大になるとともに、原料の燃焼ムラが生じやすくなり均一な燃焼を進めがたくなる。また、排出される排ガス中の水分が多くなり、ダイオキシン対策における再燃焼処理効率の低下と、排ガス処理設備の負荷が大きくなる問題を有する。他方、脱水後の原料の水分率が40%未満と低いと、脱墨フロスの過剰燃焼の原因となる。また、脱水処理エネルギーの削減にも反する。
以上のように、脱墨フロスの脱水を多段工程で行い急激な脱水を避けると、無機物の流出が抑制でき脱墨フロスのフロックが硬くなりすぎるおそれがない。脱水処理においては、脱墨フロスを凝集させる凝集剤等の脱水効率を向上させる助剤を添加しても良いが、凝集剤には、鉄分を含まないものを使用することが好ましい。鉄分が含有されると、鉄分の酸化により再生粒子の白色度が低下するおそれがある。
脱墨フロスの脱水工程は、再生粒子の製造工程に隣接することが生産効率の面で好ましいが、予め古紙パルプ製造工程に隣接して設備を設け、脱水を行った物を搬送することも可能であり、トラックやベルトコンベア等の搬送手段によって定量供給機まで搬送し、この定量供給機から乾燥・燃焼工程に供給することもできる。
〔粉砕工程〕
脱水後の原料10は、第1燃焼炉14に供給する前に、粉砕機(又は解砕機)等により、平均粒子径40mm以下、好ましくは平均粒子径3mm〜30mm、より好ましくは平均粒子径5mm〜20mmに粒子径を揃えると好適であり、また、粒子径50mm以下の割合が70重量%以上となるように粒子径を揃えると好適である。脱墨フロスに含まれる炭酸カルシウムの熱変化を来たさない燃焼を図るため、原料の粒子径は均一であることが好ましいところ、平均粒子径が3mm未満では過燃焼になりやすく、他方、平均粒子径が40mmを超えると、原料芯部まで均一に燃焼を図るのが困難になる。
前記平均粒子径及び粒子径の割合は、攪拌式の分散機で充分分散させた試料溶液を用いて測定した値である。なお、各燃焼工程における粒子径は、JIS Z 8801−2:2000に基づき、金属製の板ふるいにて測定した値である。
〔第1燃焼工程〕(乾燥及び燃焼工程)
脱水、粉砕等を行った原料10は、貯槽12から切り出されて、第1燃焼炉14に供給される。第1燃焼炉14は本体が横置きで中心軸周りに回転する内熱キルン炉方式からなり、この内熱キルン炉14の一方側から原料10が装入機15により装入される。この内熱キルン炉14においては、熱風発生炉20にて生成された熱風が、内熱キルン炉14の排出口側から原料(脱水物)10の流れと向流するように送り込まれる。内熱キルン炉14の一方側には、排ガスチャンバー16が、他方側には排出チャンバー18が設けられている。排出チャンバー18を貫通して、熱風が内熱キルン炉14の他方側から吹き込まれ、前記一方側から装入され、内熱キルン炉14の回転に伴って前記他方側へ順次移送される原料10の乾燥及び燃焼を行うようになっている。
このように本乾燥・燃焼工程においては、脱水物10を、本体が横置きで中心軸周りに回転する内熱キルン炉によって乾燥・燃焼することにより、供給口から排出口に至るまで、緩やかに乾燥と有機分の燃焼とを行うことができ、燃焼物の微粉化が抑制され、凝集体形成、硬い・柔らかい等さまざまな性質を有する脱水物10の燃焼度合いの制御と、粒揃えとを、安定的に行うことができる。なお、乾燥を別工程に分割し、例えば、吹上げ式の乾燥機によって乾燥させることもできる。
ここで、内熱キルン炉14内に吹き込む熱風は、酸素濃度0.2%〜20%であるのが好ましく、1%〜17%であるのがより好ましく、7%〜15%であるのが特に好ましい。この点、内熱キルン炉14内の酸素濃度は、原料10の燃焼(酸化)により酸素が消費されるため、燃焼の状況により変動が生じる。そして、酸素濃度が過度に低いと、十分な燃焼を図ることが困難になる。しかしながら、熱風発生炉20等により、空気などの酸素を含有するガスを送風し、あるいは排気することで、酸素濃度の維持、調節が可能であり、また、酸素含有ガスを送風し、あるいは排気することで、内熱キルン炉14内の温度を細かく調節可能であり、原料10をムラなく万遍に燃焼することができる。
第1燃焼炉14の炉内温度は、300℃以上500℃未満、好ましくは400℃以上500℃未満、より好ましくは400℃以上450℃以下が好適である。第1燃焼炉14においては、容易に燃焼可能な有機物を緩やかに燃焼させ、燃焼し難い残カーボンの生成を抑える目的から、燃焼温度300℃以上500℃未満の温度範囲で燃焼するのが好ましい。過度に温度が低いと、有機物の燃焼が不十分であり、他方、過度に温度が高いと過燃焼が生じ、炭酸カルシウムの分解によって酸化カルシウムが生成し易くなる。また、炉内燃焼温度500℃以上の場合は、硬い・柔らかい等さまざまな性質を有する脱水物10の粒揃えが進行するよりも早くに乾燥・燃焼が局部的に進むため、粒子表面と粒子内部との未燃率の差を少なく均一にするのが困難になる。熱風は、バーナー20Aを備える熱風発生炉20から吹き込まれる。
排ガスチャンバー16からは、乾燥・燃焼に供した排ガスが再燃焼室22に送り込まれる。排ガス中に含まれる微粉末は、排ガスチャンバー16の下部から排出され、再び原料10に配合され再利用される。排ガスは、再燃焼室22でバーナー等により再燃焼され、予冷器24により予冷された後、熱交換器26を通され、誘引ファン28によって煙突30から排出される。
ここで、熱交換器26は外気を昇温し、この昇温した外気は、熱風発生炉20に送られ、内熱キルン炉14に吹き込まれる。つまり、熱交換器26は、排ガスチャンバー16からの排ガスの熱を回収する。排ガスの処理は、排ガス中に含まれる有害物質の除去に有効である。
第1燃焼炉14は、脱水物10に含有される燃焼容易な有機物を緩慢に燃焼させ、残カーボンの生成を抑制するため、前記条件下で、30分〜90分の滞留(燃焼)時間で燃焼させるのが好ましい。燃焼時間が30分未満では、十分な燃焼が行われず残カーボンの割合が多くなる。他方、燃焼時間が90分を超えると、原料10の過燃焼による炭酸カルシウムの熱分解が生じ、また、得られる再生粒子が極めて硬くなる。有機物の燃焼及び生産効率の面では、40分〜80分の滞留時間で燃焼させるのが好ましい。恒常的な品質を確保するためには、50分〜70分の滞留時間で燃焼させるのが好ましい。
また、本工程の乾燥及び燃焼は、後述する第2燃焼工程に供給する燃焼物の未燃率が、2〜20質量%となるように行うのが好ましく、5〜17質量%となるように行うのがより好ましく、7〜12質量%となるように行うのが特に好ましい。未燃率が2〜20質量%となるように乾燥及び燃焼を行うことで、第2燃焼工程における燃焼を短時間に効率よく行うことができるようになるとともに、第2燃焼工程における安定した加熱により、硬度が低く白色度が通常80%以上、少なくとも70%以上の高白色度の燃焼物を得ることができるようになる。未燃率が2質量%未満となるように乾燥及び燃焼を行うと、第1燃焼炉14におけるエネルギーコストが高いものになるとともに、燃焼物の硬度が高くなるおそれがあり、第2燃焼工程を経た燃焼物の白色度の低下等の品質低下を来たすおそれがある。
〔第2燃焼工程〕(燃焼工程)
内熱キルン炉14において乾燥及び燃焼した燃焼物は、移送流路等を通して、本体が横置きで中心軸周りに回転する外熱ジャケット31を有する第2燃焼炉にあたる外熱キルン炉32に装入する。
この外熱キルン炉32では、燃焼物を、外熱で加温しながらキルン炉内壁に設けたリフターにより、燃焼物の燃焼炉内での搬送を制御し、緩慢に燃焼させることで、更に均一に未燃分を燃焼する。
第2燃焼炉32における燃焼においては、第1燃焼炉14で燃焼しきれなかった残留有機物、例えば残カーボンを燃焼させるため、第1燃焼炉14に供給される原料10の粒子径よりも小さい粒子径に調整された燃焼物を用いることが好ましい。乾燥・燃焼工程後の燃焼物の粒揃えは、平均粒子径10mm以下となるように調整するのが好ましく、平均粒子径1〜8mmとなるように調整するのがより好ましく、平均粒子径1〜5mmとなるように調整するのが特に好ましい。第2燃焼炉32入口での平均粒子径が1mm未満では、過燃焼の危惧があり、平均粒子径10mm超では、残カーボンの燃焼が困難であり、芯部まで燃焼が進まず得られる再生粒子の白色度が低下するおそれがある。
また、第2燃焼炉32での安定生産を確保するためには、平均粒子径1〜8mmの燃焼物が70%以上となるように粒子径を調整しておくのが好ましい。このような調整は、得られる再生粒子の品質を均一にするという観点における実用化可能性に有益である。また、このように分級(粒径の調整)を乾燥・燃焼後に行うと、小粒径の燃焼物を確実に除去することができ、また、処理効率も向上する。
外熱キルン炉32の外熱源としては、外熱キルン炉32内の温度コントロールが容易で、かつ長手方向の温度制御が容易な電気加熱方式の熱源が好適であり、したがって、電気ヒーターによる外熱キルン炉32が好ましい。外熱源に電気を使用することにより、炉内の温度を細かく、かつ均一にコントロールすることができ、凝集体の形成、硬い・柔らかい等のさまざまな性質を有する燃焼物の燃焼度合いの制御と、粒揃えとを、安定的に行うことができる。また、電気炉は、電気ヒーターを炉の流れ方向に複数設けることで、任意に温度勾配を設けることが可能であると共に、燃焼物の温度を一定時間、一定温度に保持することができ、第1燃焼炉14を経た燃焼物中の残留有機分、特に残カーボンを第2燃焼炉32で炭酸カルシウムの分解を来たすことなく限りなくゼロに近づけることができ、例えば重質炭酸カルシウムと比べて低いワイヤー摩耗度で、高白色度の再生粒子を得ることができる。
外熱キルン炉32においては、酸素濃度を調整する空気あるいは酸素の供給機構(図示せず)を用いる等して、酸素濃度5%〜20%、好ましくは10%〜20%、より好ましくは10%〜15%となるようにするのが望ましい。外熱キルン炉32内の酸素濃度が5%未満では、燃焼困難な残カーボンの燃焼が進まないおそれがある。
外熱キルン炉32における燃焼温度は、好ましくは550℃〜780℃、より好ましくは600℃〜750℃である。第2燃焼炉32では、先に述べたように、第1燃焼炉14で燃焼しきれなかった残留有機物、特に残カーボンを燃焼させる必要があるため、第1燃焼炉14よりも高温で燃焼させるのが好ましく、燃焼温度が550℃未満では、十分に残留有機物の燃焼を図ることができないおそれがあり、燃焼温度が780℃を超えると、燃焼物中の炭酸カルシウムの酸化が進行し、粒子が硬くなるおそれがある。
外熱キルン炉32における滞留(燃焼)時間は、好ましくは60分以上、より好ましくは60分〜240分、特に好ましくは90分〜150分、最適には120分〜150分が、残カーボンを完全に燃焼させるに望ましい。特に残カーボンの燃焼は炭酸カルシウムの分解をできる限り生じさせない高温で、緩慢に燃焼させる必要があり、滞留時間が60分未満では、残カーボンの燃焼には短時間で不十分であり、他方、滞留時間が240分を超えると、炭酸カルシウムが分解するおそれがある。また、燃焼物の安定生産を行うにおいては、滞留時間を60分以上、過燃焼防止、生産性確保のためには、滞留時間を240分以下とするのが好適である。
外熱キルン炉32から排出される燃焼物の平均粒子径は、10mm以下、好ましくは1mm〜8mm、より好ましくは1mm〜4mmに調整すると好適である。この調整は、例えば、燃焼物を一定のクリアランスを持った回転する2本ロールの間を通過させること等により行うことができる。
第2燃焼工程を経た燃焼物は、好適には凝集体であり、冷却機34により冷却された後、振動篩機などの粒径選別機36により選別され、湿式粉砕機等を用いた粉砕工程で目的の粒子径に調整された後、燃焼品サイロ38に一時貯留され、再生粒子として顔料や填料等の用途先に仕向けられる。
なお、以上では、脱墨フロスを原料として用いた場合を例示したが、脱墨フロスを主原料に、抄紙工程における製紙スラッジ等の他の製紙スラッジを適宜混入させたものを原料とすることなどもできる。
〔スラリー化工程〕
以上の脱水工程、乾燥・燃焼工程、燃焼工程等を経て得られた再生粒子は、水中に懸濁して再生粒子のスラリーにするのが好ましい。
再生粒子は、後工程である粉砕工程において、効果的な粉砕を図るために、ミキサー等を使用して水に溶解しながら粉砕するのが好ましいが、この際の溶解は、スラリー濃度が15〜50%、好ましくは20〜40%となるように行い、また、このスラリー化にあたっては、粉体の状態の再生粒子に硫酸カルシウム二水和物を混合し、又は溶解と同時に硫酸カルシウム二水和物等を混合させると好適である。再生粒子をスラリー化した後に硫酸カルシウム二水和物等を添加すると、既に水和硬化物質の硬化反応が開始されており、水和硬化物質の硬化反応抑制という効果が得られないか、又は効果が低下するおそれがある。また、硫酸カルシウムを含有させることで、燃焼物(再生粒子)を極めて均一に水に溶解することができる。
硫酸カルシウム二水和物は、燃焼物(再生粒子)100質量部に対して、0.5〜10質量部含有させると好適である。硫酸カルシウム二水和物が0.5質量部未満の場合には、水和硬化物質との接触確率が低く、硬化反応抑制効果が得られないおそれがある。他方、10質量部を超えても、硬化反応抑制効果が頭打ちとなってしまうおそれがある。硫酸カルシウムの含有量は、2〜7質量部が品質、操業性の面でより好適である。水に溶解した再生粒子スラリーは、用途に応じて粉砕機等にて微粒子化し、粒度の調整を行うことになる。
硫酸カルシウムは、市販されているものを購入して使用できる他に、製紙工場等で使用されている塩化カルシウムと希硫酸とを用いて硫酸カルシウム二水和物を反応生成させて使用することもできる。これは、塩化カルシウムを水に溶解し、希硫酸を添加させると硫酸カルシウム二水和物が生成沈殿することから可能である。
また、産業廃棄物として処理されている廃石膏ボードを回収し、利用することもできる。資源循環の面から廃石膏ボードを利用するのも好適であるが、費用面等を考慮した上で適宜選択できる。
〔粉砕工程〕
本形態の再生粒子の製造方法においては、公知の分散・粉砕装置等を用いて、再生粒子を適宜必要な粒子径に微細粒化することで、塗工用の顔料、内添用の填料として好適に使用することができる。
前記燃焼工程、スラリー化工程を経た、好ましくは15〜50%の濃度の再生粒子は、好適には粉砕機にて微粒子化する。微粒子化された再生粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm〜10.0μm、より好ましくは0.3μm〜5.0μm、特に好ましくは0.5μm〜2.0μmである。平均粒子径が0.1μm未満では、再生粒子中に内在するアルミン酸カルシウム等の水和硬化物質が露出し、スラリーの凝集が生じるおそれがあり、また、比表面積が増大して、例えば塗工用顔料用途において、塗料中のバインダー成分が過剰に必要となり、コストアップ要因になると共に、塗工層強度の低下を招き、製造した塗工紙の印刷時の紙紛発生等品質に影響を及ぼすおそれがある。他方、平均粒子径が10.0μmを超えると、粒度分布がブロードなピークを描き、例えば、塗工用顔料用途において、塗工紙表面の光沢度が低下し、印刷時の見映え等の品質低下に繋がるおそれがある。
なお、粉砕工程後における再生粒子の粒子径は、粒径分布測定装置(レーザー方式のマイクロトラック粒径分析計:日機装製)により測定した体積平均粒子径である。
〔その他の工程〕
得られた再生粒子スラリーは、そのままではpHが12以上とアルカリ性を呈し、例えば、塗工用顔料用途における塗工液調整工程で他の薬品と反応して品質低下をまねくおそれがあるため、再生粒子中の酸化カルシウムを炭酸カルシウムに戻し、pHを低減させるために、乾燥・燃焼工程や燃焼工程において排出された排ガス中の二酸化炭素を利用して、例えば9〜11にpH調整すると好適である。このpH調整は、排ガスだけでなく市販の二酸化炭素ガスを利用、併用することもできる。
pH調整を完了させたスラリーは、脱水機等に送り、濃度を50〜70%に高める。50〜70%濃度の再生粒子は、固形状(ケーキ状)となる。脱水機としては、例えば、フィルタープレス、遠心脱水機、ベルトプレスなどから、適宜選択して使用することができる。
固形状となった再生粒子は、分散工程に送られ、高濃度スラリー化される。分散装置としては、例えば、ミキサー、コーレス分散機、ボールミルなどから、適宜選択して使用することができる。この際の再生粒子の濃度は、50〜70質量%、好ましくは55〜70質量%、より好ましくは60〜65質量%である。スラリー濃度が50質量%未満であると、例えば、塗工顔料用途における塗工液の低濃度化、凝集抑制剤の効果低減や、再生粒子スラリー中の粒子分の沈殿等が生じ、再生粒子スラリーの品質安定性が低下するおそれがある。他法、スラリー濃度が70質量%を超えると、スラリーが増粘・固化するおそれがあり、また、脱水に要するエネルギーの増加が問題となる。
本形態において、再生粒子のいっそうの品質安定化を図るためには、被処理物の粒子径を、各工程で均一に揃えるための分級を行うことが好ましく、粗大や微小粒子を前工程にフィードバックすることで、より品質の安定化を図ることができる。
また、乾燥工程の前段階において、脱水処理を行った脱墨フロス(脱水物)を造粒することが好ましく、更には造粒物の粒子径を均一に揃えるための分級を行うことがより好ましく、粗大や微小の造粒粒子を前工程にフィードバックすることでより品質の安定化を図ることができる。造粒においては、公知の造粒設備を使用できるが、回転式、攪拌式、押し出し式等の設備が好適である。
本形態の製造方法における原料としては、再生粒子の原料と成り得るもの以外は予め除去しておくことが好ましく、例えば古紙パルプ製造工程の脱墨工程に至る前段階のパルパーやスクリーン、クリーナー等で砂、プラスチック異物、金属等を除去することが、除去効率の面で好ましい。特に鉄分の混入は、鉄分が酸化により微粒子の白色度低下の起因物質になるため、鉄分の混入を避け、選択的に取り除くことが推奨され、各工程を鉄以外の素材で設計またはライニングし、摩滅等により鉄分が系内に混入することを防止するとともに、乾燥・分級設備内等に磁石等の高磁性体を設置し選択的に鉄分を除去することが好ましい。
本形態の再生粒子の製造方法による再生粒子は、X線マイクロアナライザーによる微細粒子の元素分析において、カルシウム、シリカ及びアルミニウムの比率が酸化物換算で30〜82:9〜35:9〜35の質量割合であるのが好ましく、40〜82:9〜30:9〜30の質量割合であるのがより好ましく、60〜82:9〜20:9〜20の質量割合であるのが特に好ましい。カルシウム、シリカ及びアルミニウムを酸化物換算で30〜82:9〜35:9〜35の質量割合で含ませることで、比重が軽く、過度の水溶液吸収が抑えられるため、脱水工程のおける脱水性が良好であり、乾燥・燃焼工程における未燃物の割合や、燃焼工程における焼結による過度の硬さを生じる恐れを低減できる。
カルシウム、シリカ及びアルミニウムの質量割合を調整する方法としては、脱墨フロスにおける原料構成を調整することが本筋ではあるが、乾燥・燃焼工程、燃焼工程において、出所が明確な塗工フロスや調成工程フロスをスプレー等で工程内に含有させる手段や、焼却炉スクラバー石灰を含有させる手段にて調整することも可能である。例えば、脱墨フロスを主原料に、再生粒子中のカルシウムの調整には、中性抄紙系の排水スラッジや、塗工紙製造工程の排水スラッジを用い、シリカの調整には、不透明度向上剤としてホワイトカーボンが多量添加されている新聞用紙製造系の排水スラッジを、アルミニウムの調整には酸性抄紙系等の硫酸バンドの使用がある抄紙系の排水スラッジや、クレーの使用の多い上質紙抄造工程における排水スラッジを用いることができる。
また、本形態の再生粒子の製造方法による再生粒子は、示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製(型式 TG/DTA6200))を用い、測定条件を(1)昇温速度25〜1050℃:20℃/min、(2)供給ガス:空気(酸素濃度約5vol%)、(3)供給ガス流量:約48ml/minにて測定した示差熱分析において、700℃近傍で生じる炭酸カルシウムの分解(酸化カルシウムへの変化)における減量(率)が50%以上となるように、被処理物を燃焼制御することで、より正確にカルシウム成分の酸化の進行を抑制し、粒子が硬くなることを防止することができる。
(第2燃焼炉32のリフター)
先に採用理由と共に述べたように、第2燃焼炉32内の内壁には、その一端側から他端側に向けて、螺旋状リフター及び/又は軸心と平行な平行リフターを配設することで、原料(被燃焼物)の均一な燃焼と、品質の均一化を図ることができる。
そして、特に被燃焼物の装入側から排出側に向けて、螺旋状リフターと、軸心と平行な平行リフターとをこの順で配設するのが望ましい。この構成によると、装入側から投入された被燃焼物が、まず螺旋状リフターにて他端側に向けて適正量ずつ送り込まれながら持ち上げられて落下する間に、被燃焼物に起因する有機成分がガス化し発生する燃焼ガス(可燃焼ガス)と効率的に接触し、引き続いて平行リフターにて持ち上げられて落下する動作を繰り返すことで燃焼ガス(可燃焼ガス)と効率的に接触するため、熱交換効率よく被燃焼物を燃焼させることができる。特に、螺旋状リフターにて平行リフターに送り込まれる被燃焼物の量がコントロールされることで、平行リフター部分における被燃焼物の持ち上げ・落下が適正に行われ、被燃焼物の燃焼を均一かつ効率的に行うことができる。また、耐火物の損傷の恐れがないことから、被燃焼物の純度の低下がなく、その生産能力も向上する。
また、螺旋状リフター及び平行リフターを、例えば耐熱性を有するステンレス鋼板などの金属製とすると、比較的温度が低いので高価な耐熱材料を用いなくても十分に耐久性と強度を確保できるとともに、耐火物製のリフターなどに比して伝熱効率が高いので、一層熱効率を向上することができる。
上記の実施の形態例を図2によって説明すると、被燃焼物は、図2では、第2燃焼炉32の左側から装入され、回転駆動手段(図示せず)にて回転駆動可能に構成され、他端側から排出される。
第2燃焼炉32は、円筒状の外筐32Aの内面に耐火キャスタブルや耐火レンガから成る耐火壁32Bを内張りして構成されている。第2燃焼炉32の耐火壁32Bの内面には、投入(装入)側において、第2燃焼炉32の軸心に対して45ー〜70ーの傾斜角で傾斜した複数条(図示例では8条)の螺旋状リフター4が等間隔に突設され、さらにこの螺旋条リフター4の配設領域の他端側に、第2燃焼炉32の軸心と平行な適当長さの平行リフター5Aが周方向に等間隔置き複数(図示例では8つ)かつ軸心方向に複数列(図示例では8列)千鳥状に配列して突設されている。
また、平行リフター5Aは、図示の右側に排出部に向かって連続的に形成されている(図示せず)。この場合、装入側では低温であるので、ステンレス鋼板などの耐熱性と耐腐食性のある金属板にて形成するのが望ましく、排出部側では相対的に高温となるので、排出側の平行リフター5Aは耐火物製とすることができる。
本実施形態では、螺旋状リフター4はその長手方向に適当間隔おきに配設した取付けブラケット6に固定されて配設されている。また、各平行リフター5Aは、それぞれの取付けブラケット5Bに固定されて配設されている。なお、必要ならば、螺旋状リフターまたは平行リフターの一方のみを設けることでもよい。
次に、本発明の実施例及び比較例を示す。
表1に示す条件で再生粒子を製造するとともに、得られた再生粒子及び凝集抑制剤をスラリー化し、得られたスラリーについて各種評価を行った。凝集抑制剤の添加方法及び評価結果は、表2に示した。なお、表1に示すように、第1燃焼工程及び第2燃焼工程における燃焼温度は、スラリー化後の凝固が生じやすくなるように、好適な値よりも高く設定した。
Figure 2010222737
Figure 2010222737
なお、各種測定方法及び評価方法は、次のとおりとした。
(未燃率):電気マッフル炉を予め600℃に昇温後、ルツボに試料を入れ約3時間で完全燃焼させ、燃焼前後の重量変化から未燃分を算出した。
(スラリー化(水溶解)後の凝固):再生粒子及び硫酸カルシウム二水和物を表2に記載のスラリー濃度になるように水に添加し、ミキサーで粉砕、溶解し、密閉した容器に入れて静置した後、硬化するまでの時間を評価した。1日以内に硬化した場合を×、1日以内に硬化しなかったが4日以内に硬化した場合を△、4日以内に硬化しなかった場合を○とした。
(生産性):スラリー(原料)の脱水効率、生産性、粉砕に必要な電力を3段階評価し、良かったものを〇、脱水効率、生産性及び粉砕性のいずれかに問題を見出したものを△、実操業困難なものを×とした。
(白色度):スラリーを110℃で6時間以上乾燥し、完全に水分を除去後、乾式粉砕機にて細かく粉砕し、粉体をガラスセルに詰めて色差計にて測定した。
この評価結果からは、硫酸カルシウム二水和物を添加することで白色度が上昇することがわかる。
本発明は、脱墨フロスなどの製紙スラッジを主原料として再生粒子を製造する方法として、適用可能である。
10…原料、14…内熱キルン炉(第1燃焼炉)、20…熱風発生炉、31…外熱ジャケット、32…外熱キルン炉(第2燃焼炉)。

Claims (5)

  1. 製紙工程から発生する製紙スラッジを主原料に、脱水、乾燥、燃焼及び粉砕工程をこの順に経て再生粒子を製造する方法であって、
    前記燃焼工程から排出された燃焼物に、前記粉砕工程に供するに先立って、硫酸カルシウムを含有させる、
    ことを特徴とする再生粒子の製造方法。
  2. 前記硫酸カルシウムは、前記燃焼物100質量部に対して、0.5〜10質量部の割合となるように含有させる、
    請求項1記載の再生粒子の製造方法。
  3. 前記燃焼物を前記粉砕工程に供するに先立って、水に溶解して濃度15〜50質量%のスラリーとし、
    前記硫酸カルシウムの含有は、前記溶解に先立って行い、又は前記溶解と同時に行う、
    請求項1又は請求項2記載の再生粒子の製造方法。
  4. 前記粉砕工程における粉砕は、再生粒子の平均粒子径が0.1〜10.0μmとなるように行う、
    請求項3記載の再生粒子の製造方法。
  5. 前記燃焼工程から排出された排ガスによって、前記スラリーのpHを9〜11に調節する、
    請求項3又は請求項4記載の再生粒子の製造方法。
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